説明

携帯通信端末

【課題】 無線LAN通信を常時試みることをしないで、無線LAN接続可能なエリアに携帯通信端末が入れば速やかに無線LAN接続によりデータ通信を実行する携帯通信端末を、提供する。
【解決手段】 無線LAN通信機能を備える携帯通信端末である携帯電話機100は、エリア情報記憶部120に無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲を特定するためのエリア情報を記憶しており、位置検出部110でGPSにより携帯電話機100の所在位置を検出し、エリア判定部131により、所在位置とエリア情報とに基づいて、携帯電話機100が、アクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲内に存在するか否かを判定し、肯定的に判定がなされた場合には、漸く無線LAN通信制御部133で無線LANのアクセスポイントとの通信を試み始める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に関し、特に、無線LAN通信機能を有する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、携帯型パーソナルコンピュータ(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)といった携帯端末が開発され普及している。これらの携帯端末の多くは、移動体通信技術を利用し電話回線を通じてインターネットに接続しデータ通信をする機能を備えている。なお、携帯電話機の中には、全地球測位システム(GPS)による測位機能付き携帯電話機も知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、更に無線LAN通信機能を備える携帯通信端末も現れており、このような携帯通信端末は、例えば駅、空港、ショッピングセンター等の人が集まる場所に設置された無線LAN用のアクセスポイントと無線通信することにより、このアクセスポイントを介してインターネットに接続しての比較的高速なデータ通信を可能にする。このような無線LANに係るサービスは、一般に、通信料金と通信速度との面において、電話回線を通じた通信のサービスよりユーザに満足を与える場合が多い。
【0004】
携帯通信端末のユーザは高速なデータ通信等の無線LAN接続による恩恵を受けようと思えば、無線LAN用のアクセスポイントが設置されている場所を探し出して、その場所に赴き、無線LAN通信を開始させる必要がある。
【特許文献1】特開平9−325180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザの指示を受けて無線LAN通信を開始するのではなく、携帯通信端末を持ったユーザの移動により携帯通信端末が無線LAN用のアクセスポイントの周辺の無線LAN接続可能なエリアに入れば、自動的に速やかに無線LAN接続によりデータ通信を実行できるようにするためには、携帯端末が、無線LAN通信を常時試みていなければならない。即ち、無線LAN用のアクセスポイントからのいわゆるビーコン信号の到来を常時監視していなければならない。しかし、常時監視では消費電力が増大する。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、無線LAN通信を常時試みることをしないでも無線LAN接続可能なエリアに携帯通信端末が入れば速やかに無線LAN接続によりデータ通信を実行することを可能にするための携帯通信端末を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯通信端末は、無線LAN通信機能を備える携帯通信端末であって、無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲を特定するための無線LANエリア情報を記憶する記憶手段と、自携帯通信端末の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、アクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により肯定的な判定がなされたときに、前記無線LANのアクセスポイントとの通信を試みる通信制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る携帯通信端末は、上述の構成を備えることにより、無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があるエリアに携帯通信端末が移動した際に無線LAN通信を試行するため、常時無線LAN通信を試みることを不要にして、かつ、無線LAN接続可能なエリアに携帯通信端末が入れば速やかに無線LAN接続によりデータ通信を実行し得るようになる。
【0009】
また、前記無線LANエリア情報は、複数の無線LANのアクセスポイントそれぞれの所在位置と、所定の第1距離とを示し、前記判定手段は、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし前記第1距離を半径とする円内に存在するか否かによって、前記判定を行うこととしてもよい。
【0010】
これにより、簡易な構成で、無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があるエリアを特定することが可能となる。
【0011】
また、前記携帯通信端末は更に、前記位置検出手段により検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし、前記第1距離以下の所定の第2距離を半径とする円内に存在するか否かを判断する判断手段と、前記通信制御手段により通信の試みに成功した後において初めて前記判断手段により否定的な判断がなされたときから、ユーザに通信切断の可能性を報知する切断報知手段とを備えることとしてもよい。
【0012】
これにより、ユーザが無線LAN接続によるデータ通信を利用している最中に無線LANのアクセスポイントから遠ざかってしまって、無線LAN接続が切断されるような事態の発生を事前にユーザに警告することが可能になる。
【0013】
また、前記判定手段により肯定的な判定がなされたときに、ユーザに報知する領域内報知手段を更に備えることとしてもよい。
【0014】
これにより、携帯通信端末を所持したユーザが、無線LAN接続可能なエリアに入ったことを、ユーザに通知することが可能になり、これによりユーザは無線LAN接続を利用してWebページの閲覧やメールが行えることを知ることができる。
【0015】
また、前記位置検出手段により検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、アクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲の外部であって当該地理的範囲から所定距離内の位置に存在するか否かを判定し、肯定的に判定した場合には、ユーザに無線LAN通信可能な地理的範囲が近くにある旨を報知する領域周辺報知手段を更に備えることとしてもよい。
【0016】
これにより、携帯通信端末のユーザは、無線LAN通信可能な地理的範囲の周辺に所在する場合において、そのことを知ることができるようになる。
【0017】
また、前記位置検出手段は、全地球測位システムを用いて前記検出を行うこととしてもよい。
【0018】
これにより、従来よりある種の携帯通信端末において搭載されているGPSの受信機能を流用して、携帯通信端末の位置を検出することが可能になる。なお、ユーザが徒歩で移動している等、移動速度が比較的低速である場合には、GPSの受信間隔は数秒以上と大きくても実用に足りると考えられる。
【0019】
また、前記携帯通信端末は更に、無線基地局と接続して通信を行う機能を有し、前記携帯通信端末は更に、前記無線基地局と接続して通信を行っている間に、前記通信制御手段により通信の試みに成功した場合には、前記無線基地局との接続を断つ切断手段を備えることとしてもよい。
【0020】
これにより、データ通信を継続して、接続方法を電話接続から無線LAN接続に切り替えることが実現できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る携帯電話機について図面を用いて説明する。
【0022】
<構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話機の機能ブロック図である。
【0023】
携帯電話機100は、全地球測位システム(GPS)により所在位置を測定する機構と無線LAN通信を行うための機構とを有する携帯電話機であり、同図に示すように、GPSアンテナ101、無線LANアンテナ102、電話用アンテナ103、キー104、液晶ディスプレイ(LCD)105、マイク106、スピーカ107、バイブレータ108、位置検出部110、エリア情報記憶部120及び制御部130を備える。
【0024】
ここで、位置検出部110は、GPSを構成する複数の衛星からの信号を受信して演算を行うことにより、携帯電話機100の所在位置の緯度及び経度を示す位置情報を得る機能を有する。GPSを利用して取得される位置情報は、例えば、緯度及び経度をそれぞれ度、分、秒、1/100秒までの精度で表した情報である。
【0025】
エリア情報記憶部120は、不揮発性メモリの一領域であり、無線LANのアクセスポイントの位置を示すエリア情報を記憶している。
【0026】
制御部130は、ハードウェア面においてはCPU及びメモリを含んで構成され、キー104を通じてなされるユーザ操作や位置検出部110により得られる位置情報に応じて、携帯電話機100の各部を制御するものであり、機能面において、エリア判定部131、報知制御部132、無線LAN通信制御部133及び電話通信制御部134を有する。
エリア判定部131は、エリア情報記憶部120に記憶されているエリア情報を参照し、位置検出部110から位置情報を得てこの位置情報に応じて、報知制御部132、無線LAN通信制御部133及び電話通信制御部134に指示を出す機能を有する。
【0027】
報知制御部132は、LCD105、スピーカ107及びバイブレータ108を制御してユーザに情報を通知する機能を有する。
【0028】
また、無線LAN通信制御部133は、無線LAN無線LANアンテナを介して無線LANのアクセスポイントと通信を行う機能を有し、電話通信制御部134は、電話用アンテナを介して無線基地局と通信を行う機能を有する。なお、無線LAN通信そのもの及び電話通信そのものの制御は、従来の無線LAN機能を有する端末及び電話通信機能を有する端末における制御と同様であり、例えばキー104を通じたユーザ操作に応じて、無線LAN接続又は電話接続を行って、WebページをLCD105に表示する。
【0029】
<データ>
以下、エリア情報記憶部120に記憶されているエリア情報について説明する。
【0030】
図2は、エリア情報の構成及び内容例を示す図である。
【0031】
エリア情報は、同図に示すように、アクセスポイント情報210とエリア境界情報220とから構成される。
【0032】
ここで、アクセスポイント情報210は、無線LANの複数のアクセスポイントそれぞれについての、アクセスポイントID211、緯度212及び経度213を示す情報である。アクセスポイントID211は、各アクセスポイントを識別するための識別子であり、また、緯度212及び経度213は、アクセスポイントの所在位置を表す。
【0033】
図2では、OSAKA0151というアクセスポイントの所在位置は、北緯34度41分12秒、東経135度29分11秒であること等を例示している。
【0034】
また、エリア境界情報220は、携帯電話機100と無線LANのアクセスポイントとの間の距離に関する3種類の閾値である広域境界閾値221、狭域境界閾値222及び周辺境界閾値223から構成される。
【0035】
ここで、広域境界閾値221は、携帯電話機100が無線LANのアクセスポイントとの間で通信できる可能性があると推定される上限の距離である。この広域境界閾値221が示す距離は、携帯電話機100がアクセスポイントからこの距離内に入ればおそらく無線LAN通信ができる可能性があると判断する材料として用いられる。運用上はこの閾値として、無線LANアクセスポイントからのいわゆるビーコン信号の到達距離より多少長めの距離が設定されることが想定される。
【0036】
狭域境界閾値222は、携帯電話機100が無線LANのアクセスポイントとの間で通信が継続できる可能性が高いと想定した上限の距離である。この狭域境界閾値222が示す距離は、携帯電話機100がアクセスポイントからこの距離内に入っていればおそらく無線LAN通信は安定して継続できるであろうと判断する材料として用いられる。
【0037】
周辺境界閾値223は、携帯電話機100が、無線LANのアクセスポイントとの間で通信はできないが、アクセスポイントの近くに所在すると想定した上限の距離である。
【0038】
例えば、広域境界閾値221は200mであり、狭域境界閾値は70mであり、周辺境界閾値は500mである。
【0039】
<動作>
以下、携帯電話機100の動作について説明する。図3は、無線LANのアクセスポイント、無線基地局、及び携帯電話機の関係を示す図である。
【0040】
同図では、携帯電話機100は、ユーザに所持され、基地局310を介してインターネット301に接続された各種サーバにアクセスしてウエブ(Web)ページの閲覧等を行っている様子を示している。
【0041】
なお、同図は、無線LANのアクセスポイント320を中心として、狭域境界閾値222が示す距離を半径とする円である狭域境界321と、広域境界閾値221が示す距離を半径とする円である広域境界322と、周辺境界閾値223が示す距離を半径とする円である周辺境界323とを示している。
【0042】
図3は、例えば、ユーザは、無線LANのアクセスポイント320の周辺境界323の内部であり広域境界322の外部を歩いていることを示している。
【0043】
携帯電話機100は、この図3の状態では、基地局310を介してインターネットにアクセスしているが、無線LANを介してインターネットにアクセスする方が利用料金面や通信速度面において有利な可能性があるので、携帯電話機100のユーザに対して無線LANの利用を容易にするために、携帯電話機100は、図4に示すエリア判定制御処理を行っている。
【0044】
以下、携帯電話機のエリア判定制御処理について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、携帯電話機によるエリア判定制御処理を示すフローチャートであり、図5は、LCDに表示される画像例を示す図である。
【0045】
携帯電話機100は、位置検出部110により、例えば30秒等の所定時間間隔で、繰り返しGPSにより位置を検出し(ステップS11)、エリア判定部131により、エリア情報と位置情報とに基づいて、その位置が周辺境界内であってかつ広域境界外であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0046】
ステップS12により肯定的な判定がなされたならば(ステップS12)、エリア判定部131から指示を受けて報知制御部132は、無線LANのアクセスポイントと現在位置との関係を示す地図をLCD105に表示するとともにスピーカ107を通じて音を出力する(ステップS13)。
【0047】
このステップS13によってLCD105には例えば図5(a)の地図が例えば10秒等の一定期間だけ表示される。なお、その地図中の三角印は現在位置を示す。
【0048】
また、ステップS12で否定的な判定がなされた後、又はステップS13を実行した後に、エリア判定部131は、携帯電話機の位置が広域境界内にありかつ無線LANで通信していない状態であるか否かを判定し(ステップS14)、肯定的に判定した場合には、報知制御部132に指示を出して、スピーカ107を通じて音を出力させるとともに無線LAN通信ができる可能性のあるエリア内に所在することを例えば10秒といった一定期間だけLCD105に表示させる(ステップS15)。なお、エリア判定部131は、無線LAN通信制御部133に無線LAN通信を行わせているか否かを示すフラグをメモリ等に保持しており、そのフラグも参照することで、ステップS14の判定を行う。
【0049】
このステップS15によりLCD105には例えば図5(b)のメッセージが表示される。ステップS15に続いて、エリア判定部131は、無線LAN通信制御部133に無線LAN通信を試みさせる(ステップS16)。これにより、無線LAN通信制御部133は、無線LANのアクセスポイントからのいわゆるビーコン信号を検知し始める。この検知開始後は無線LAN通信のための高周波回路が動作することになり、ビーコン信号を検知した後は、所定のプロトコルに従ってアクセスポイントとの間で接続を確立する。
【0050】
このステップS16が実行されるまでは、無線LAN通信のための高周波回路は停止させておくため、無用の電力消費を抑止できる。なお、携帯電話機100は、無線LAN通信を実行しておらずかつ広域境界内に所在しない場合に、無線LAN通信の試行を行うことはない。
【0051】
ステップS16による無線LAN通信の試行に成功した場合には(ステップS17)、エリア判定部131は、電話接続によるデータ通信を既に行っている場合には電話接続を切断させるよう電話通信制御部134を制御し(ステップS18)、無線LAN通信制御部133に無線LANによる双方向のデータ通信を実行させる(ステップS19)。なお、電話接続によってデータ通信がなされていない場合には、ステップS18はスキップされる。
【0052】
また、ステップS19によるデータ通信は、例えばいわゆるブラウザを通じてのユーザによるWebページの閲覧操作に応じてなされ、LCD105には、例えば図5(c)のような画面等が表示される。また、ステップS19によるデータ通信には、ユーザ操作に応じてのメールの送受信や、IP電話つまりインターネットプロトコルを利用した音声通信等も含まれる。
【0053】
ステップS14で否定的な判定がなされた後、ステップS17で試行に失敗した後、又はステップS19の実行後には、エリア判定部131は、無線LAN通信中であってかつ携帯電話機の位置が狭域境界外にあるか否かを判定し(ステップS20)、肯定的に判定した場合には、報知制御部132に指示を出して、スピーカ107を通じて音を出力させるとともに無線LAN通信が切断される可能性があることを例えば10秒といった一定期間だけLCD105に表示させる(ステップS21)。このステップS21によりLCD105には例えば図5(d)のメッセージが表示される。
【0054】
例えば、ユーザが、携帯電話機100を所持して図3に示した位置から無線LANのアクセスポイント320の方に向かって移動した場合には、LCD105には図5(a)が表示され、広域境界322の内側に入った時に図5(b)が表示されるようになり、その時点から、携帯電話機100はようやく無線LANのアクセスポイントからのビーコン信号の検知動作を実行し、その後、無線LAN経由でインターネットにアクセスができるようになり、ユーザがアクセスポイント320に近づいて狭域境界321の内側に入った後にまたアクセスポイントから離れて狭域境界321から脱出した時点で、LCD105には図5(d)が表示されるようになる。
【0055】
<補足>
以上、本発明に係る携帯通信端末について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、勿論これらの実施形態に限られない。以下、実施形態の変形に関して説明する。
【0056】
(1)上述の実施形態としては携帯電話機を示したが、無線LAN通信機能を有する通信端末であれば、モバイルPCやPDAであってもよい。また、電話の無線基地局を介して通信する電話通信機能は備えられていなくても良い。
【0057】
(2)報知制御部132は、ステップS13、ステップS15及びステップS21においてスピーカ107から音を出力するとともにLCD105にメッセージ又は地図を表示することとしたが、バイブレータ108を振動させてもよいし、携帯電話機に発光ダイオード等の発光部を含ませておいて発光させることとしてもよい。また、地図を表示する代わりに無線LAN接続可能なエリアの周辺に所在している旨を通知するメッセージを表示することとしてもよい。また、地図又はメッセージの表示期間は10秒に限らず、ユーザが所定の操作を行うまでは表示し続けることとしてもよい。
【0058】
(3)エリア境界情報220は、無線LANの全アクセスポイントに共通の情報としたが、アクセスポイント毎の送受信可能な範囲に応じて、アクセスポイント毎に定められることとしてもよい。また、図3に示すように広域境界、狭域境界、周辺境界はそれぞれ円であることとしたが、四角形であることとしてもよく、この場合は各境界の閾値を、下限の緯度、上限の緯度、下限の経度、及び上限の経度の4つの値で構成しアクセスポイント毎に定めることとしてもよいし、緯度範囲と経度範囲の2つの値で構成し全アクセスポイントに共通のものとして定めることとしてもよい。
【0059】
また、エリア境界情報220内の広域境界閾値221と狭域境界閾値222とが同一の値であることにして、いずれか一方の閾値を共用してもよい
(4)無線LANのアクセスポイントからの携帯電話機の距離或いは受信電界強度に応じて、複数段階に変化する画像のいずれかをLCDに表示することで、無線LAN通信できる可能性の高さをユーザに認識させるようにしてもよい。
【0060】
(5)エリア情報は、外部から無線通信等を通じて取得してエリア情報記憶部120に格納するようにしてもよい。これにより、無線LANのアクセスポイントの増設等に対応して最新のエリア情報を取得して利用することができるようになる。
【0061】
(6)上述の実施形態で示した携帯電話機は、無線LAN通信可能であれば特にユーザの指示と関わりなく無線LAN接続を行うこととしたが、ユーザによって予め自動接続の指示がなされている場合のみにその無線LAN接続を行うこととしてもよい。
【0062】
(7)上述の実施形態においては位置検出部110がGPSにより携帯電話機100の所在位置を検出することとしたが、GPSに限らず、各種センサを用いる等、他の位置検出可能なシステムを利用して、所在位置の検出を行うこととしてもよい。
【0063】
(8)上述の実施形態として示した携帯電話機の各機能を実現させるための各種処理(図4参照)をCPUに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM等がある。流通、頒布されたプログラムは、CPUを備える携帯通信端末におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより実施形態で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る携帯通信端末は、無線LAN接続に要する消費電力を削減する等の点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電話機の機能ブロック図である。
【図2】エリア情報の構成及び内容例を示す図である。
【図3】無線LANのアクセスポイント、無線基地局、及び携帯電話機の関係を示す図である。
【図4】携帯電話機によるエリア判定制御処理を示すフローチャートである。
【図5】LCDに表示される画像例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
100 携帯電話機
101 GPSアンテナ
102 無線LANアンテナ
103 電話用アンテナ
104 キー
105 LCD
106 マイク
107 スピーカ
108 バイブレータ
110 位置検出部
120 エリア情報記憶部
130 制御部
131 エリア判定部
132 報知制御部
133 無線LAN通信制御部
134 電話通信制御部
301 インターネット
310 基地局
320 無線LANのアクセスポイント
321 狭域境界
322 広域境界
323 周辺境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN通信機能を備える携帯通信端末であって、
無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲を特定するための無線LANエリア情報を記憶する記憶手段と、
自携帯通信端末の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、アクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲内に存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により肯定的な判定がなされたときに、前記無線LANのアクセスポイントとの通信を試みる通信制御手段とを備え、
前記無線LANエリア情報は、複数の無線LANのアクセスポイントそれぞれの所在位置と、所定の第1距離とを示し、
前記判定手段は、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし前記第1距離を半径とする円内に存在するか否かによって、前記判定を行い、
前記携帯通信端末は更に、
前記位置検出手段により検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし、前記第1距離以下の所定の第2距離を半径とする円内に存在するか否かを判断する判断手段と、
前記通信制御手段により通信の試みに成功した後において初めて前記判断手段により否定的な判断がなされたときから、ユーザに通信切断の可能性を報知する切断報知手段とを備えることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記判定手段により肯定的な判定がなされたときに、ユーザに報知する領域内報知手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記位置検出手段は、全地球測位システムを用いて前記検出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記携帯通信端末は更に、無線基地局と接続して通信を行う機能を有し、前記携帯通信端末は更に、前記無線基地局と接続して通信を行っている間に、前記通信制御手段により通信の試みに成功した場合には、前記無線基地局との接続を断つ切断手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯通信端末。
【請求項5】
CPU及びメモリを備え無線LAN通信機能を有する携帯通信端末に、制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記制御処理は、
前記携帯通信端末の位置を検出する位置検出ステップと、
無線LANのアクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲を特定するための無線LANエリア情報を前記メモリから読み出し、前記位置検出ステップにより検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、前記携帯通信端末が、アクセスポイントと通信できる可能性があると推定される地理的範囲内に存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより肯定的な判定がなされたときに、前記無線LANのアクセスポイントとの通信を試みる通信制御ステップとを含み、
前記無線LANエリア情報は、複数の無線LANのアクセスポイントそれぞれの所在位置と、所定の第1距離とを示し、
前記判定ステップは、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし前記第1距離を半径とする円内に存在するか否かによって、前記判定を行い、
前記制御処理は更に、
前記位置検出ステップにより検出された位置と前記無線LANエリア情報とに基づいて、自携帯通信端末が、いずれかのアクセスポイントの所在位置を中心とし、前記第1距離以下の所定の第2距離を半径とする円内に存在するか否かを判断する判断ステップと、
前記通信制御ステップにより通信の試みに成功した後において初めて前記判断ステップにより否定的な判断がなされたときから、ユーザに通信切断の可能性を報知する切断報知ステップとを備えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−17575(P2009−17575A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206463(P2008−206463)
【出願日】平成20年8月9日(2008.8.9)
【分割の表示】特願2003−309860(P2003−309860)の分割
【原出願日】平成15年9月2日(2003.9.2)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】