説明

携帯通信端末

【課題】本発明は、携帯通信端末の紛失時等にこの携帯通信端末が圏外にあって遠隔ロックがかけられない場合であっても、ユーザが簡単で確実にロックをかけることができる携帯通信端末を提供する。
【解決手段】所定の情報を受信した際に携帯通信端末1にロックをかける遠隔ロック機能を備えた携帯通信端末1であって、携帯通信端末1が圏外にあるか圏内にあるかを判断する判断手段と、判断手段により圏外にあると判断された場合、携帯通信端末1にロックをかける圏外ロック機能と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによる設定に基づいて、圏外時に個人情報やICカード機能にロックをかけることのできる携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の各事業者は、ユーザが携帯電話機を紛失した場合などに、この携帯電話機が保有する個人情報や非接触ICカード機能に遠隔操作でロックをかけるサービスを行っている。また、ユーザが携帯電話機を紛失した場合などに、特定の電話機からの着信に基づいて携帯電話機にロックをかける機能も使用されている。
【0003】
例えば特許文献1に、通信端末装置をなくした場合であっても、セキュリティが維持されつつ、ユーザが見つけ易く、またユーザ以外が拾い易いように構成された通信端末装置が記載されている。この通信端末装置は、外部と通信を行う無線通信処理部と、自機が有する機能を制限する遠隔ロック部と、無線処理部における着信が所定の条件に合致すると、通話を開始するように制御する自動着信部とを備えており、遠隔ロック部は、自機が有する機能を制限する場合、自動着信部を動作させるものである。
【特許文献1】特開2007−318363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信により携帯電話機にロックをかける方法では、携帯電話機が圏外にある場合には通信が行えないため、ロックをかけることができないという問題があった。そこで、紛失時に拾得者による不正利用や情報漏えいを防止するために、通常時(圏内でも圏外でも設定できる)にも設定できるロック機能が使用されている。それらのロック機能は、例えば、ロック番号やパスワードによるアクセス制限や、別の補助装置によるロック機能、バイオ認証(指紋認証、顔認証、声認証、手書き認証)などがある。
【0005】
しかしながら、ロック番号やパスワードを使用した場合には、ランダム入力やなりすましによりロックが解除される危険性があるとともに、解除時にいちいちロック番号やパスワードを入力する必要があるため、ユーザの使用感、利便性が悪化するという問題があった。また、補助装置を用いたりバイオ認証を行ったりする場合には、ハードウェア追加によるコストアップ、部品追加による端末の大型化、ユーザへの使用感の悪化、その使用感の悪化からロック自体が行われない、などの問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みなされてものであり、携帯通信端末の紛失時等にこの携帯通信端末が圏外にあって遠隔ロックがかけられない場合であっても、個人情報へのアクセスや非接触ICカード機能の使用、及び、PCから情報へのアクセスができないように、ユーザが簡単かつ確実にロックをかけることができる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯通信端末は、所定の情報を受信した際に携帯通信端末にロックをかける遠隔ロック機能を備えた携帯通信端末であって、携帯通信端末が圏外にあるか圏内にあるかを判断する判断手段と、前記判断手段により圏外にあると判断された場合、携帯通信端末にロックをかける圏外ロック機能と、を備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る携帯通信端末によると、携帯通信端末の紛失時等にこの携帯通信端末が圏外にあって遠隔ロックがかけられない場合であっても、個人情報へのアクセスや非接触ICカード機能の使用、及び、PCからの情報アクセスができないように、ユーザが簡単かつ確実にロックをかけることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る携帯通信端末の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る携帯通信端末として、複数の筐体が開閉自在に結合されてなるクラムシェル型の携帯電話機1を例にあげて説明する。
【0010】
図1は、携帯電話機1のロック機能を説明するための図である。携帯電話機1の事業者は、ユーザが携帯電話機1を紛失した場合などに、この携帯電話機1が有する個人情報や非接触ICカード機能に遠隔操作でロックをかけるサービスを行っている。よって、ユーザが携帯電話機を紛失した場合等に、この携帯電話機に遠隔ロックをかけるように事業者に依頼すると、事業者は、基地局2を介して携帯電話機1に遠隔ロックをかけるための信号を送信して携帯電話機1に遠隔ロックをかけ、携帯電話機1における個人情報へのアクセスや非接触ICカード機能の使用が禁止される。
【0011】
しかしながら、この遠隔ロックは、携帯電話機1が圏外にある場合には基地局2を介した通信が行えないため、たとえユーザから遠隔ロックの依頼があった場合でも、事業者は携帯電話機1に遠隔ロックをかけることができないという問題があった。
【0012】
そこで携帯電話機1は、圏外にある場合に、内部情報へのアクセスや各機能の使用を禁止するための圏外ロック機能を備えている。圏外ロック機能とは、携帯電話機1が圏外に移動したことに基づいて、携帯電話機1にロックをかけて内部情報へのアクセスや各機能の使用を禁止し、携帯電話機1が圏内に復帰したことに基づいて、この圏外ロックを解除する機能である。
【0013】
ここで、携帯電話機1の構成について説明する。図2(A)は、携帯電話機1の開いた状態を示す正面図、図2(B)は、携帯電話機1の開いた状態を示す側面図である。また、図3(A)は、携帯電話機1の閉じた状態を示す正面図、図3(B)は、携帯電話機1の閉じた状態を示す側面図である。
【0014】
携帯電話機1は、図2及び図3に示すように、矩形の板状の上筐体10と、この上筐体10とほぼ同形状をした下筐体11とが、相互に一面を覆うように積層されることにより形成されている。これらの上筐体10及び下筐体11は、ヒンジ部12を挟むようにヒンジ結合されていて、上筐体10は下筐体11に対して、ヒンジ部12を軸にして、図2(A)のX方向に所定角度だけ回転自在なように形成されている。そして携帯電話機1は、上筐体10を下筐体11に対して回転させることにより、閉じた状態から開いた状態に、あるいは開いた状態から閉じた状態に変形する。
【0015】
上筐体10の内面(下筐体11に対面する側の面)には、入力された文字や画像、アドレス帳、送受信されたメール等を表示するためのディスプレイ13、音声を出力するためのスピーカ14が設けられている。これらのディスプレイ13やスピーカ14は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、下筐体11により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0016】
下筐体11の内面(上筐体10に対面する側の面)には、例えば、カーソルを上下左右に移動させるための十字キーや、数字を入力するための数字キー、発信処理を行うための発信キー等の操作キー15が設けられている。また下筐体11には、音声を集音するためのマイクロフォン16が設けられている。これらの操作キー15やマイクロフォン16は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、上筐体10により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0017】
次に、携帯電話機1の機能について、図4に示す機能ブロック図を用いて説明する。携帯電話機1は、図4に示すように、主制御部20、電源回路部21、操作入力制御部22、表示制御部23、音声制御部24、通信制御部25、記憶部26、ロック制御部27、及びICカード制御部28がバスによって相互に接続されて構成されている。
【0018】
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、後述する設定処理や圏外ロック処理、その他の様々な演算処理や制御処理等を行う。電源回路部21は、ユーザによる操作キー15を介した入力に基づいて電源のオン/オフ状態を切り替え、電源がオン状態の場合に電力供給源(バッテリ等)から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
【0019】
操作入力制御部22は操作キー15に対する入力インタフェースを備え、操作キー15を介して入力された信号を主制御部20に伝送する。表示制御部23はディスプレイ13に対する表示インタフェースを備え、主制御部20の制御に基づいて、文書情報や画像情報等をディスプレイ13に表示する。
【0020】
音声制御部24は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン16で集音された音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部24は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部20の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ14から音声として出力する。
【0021】
通信制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、基地局2からアンテナ25aを介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、音声制御部24に伝送されてスピーカ14から出力されたり、表示制御部23に伝送されてディスプレイ13に表示されたり、または記憶部26に記録されたりする。また通信制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン16で集音された音声データや操作キー15を介して入力されたデータや記憶部26に記憶されたデータを取得すると、これらのデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、基地局2に対してアンテナ25aを介して送信する。
【0022】
また、通信制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、アンテナ25aの電波の受信感度を示す情報を生成して、この情報を主制御部20に伝送する。主制御部20は、この情報に基づいて、携帯電話機1が圏内にあるか圏外にあるいかを判断する。
【0023】
記憶部26は、主制御部20が行う処理について、処理プログラムや処理に必要なデータ等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク、不揮発性メモリ、データベース、主制御部20が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成される。また、主制御部20が後述する設定処理や圏外ロック処理を行う際の処理プログラムは、例えばROMに記憶されているものとする。
【0024】
また記憶部26は、携帯電話機1が圏外ロック処理を行うための圏外ロック設定情報40を記憶している。圏外ロック設定情報40は、携帯電話機1が圏外にあるときに各々の機能に圏外ロックをかけるかどうかが設定されている情報であり、図5に示すように、機能を示す機能情報40aと、圏外ロックをかけるかどうかを示すロック情報40bとがそれぞれ対応付けられた情報である。ロック情報40bは、例えば圏外ロックをかける場合は「ON」で、圏外ロックをかけない場合は「OFF」で示されている。
【0025】
例えば、図5に示す圏外ロック設定情報40では、「圏外ロック」の機能情報40aに対して「ON」の圏外ロック情報40bが対応付けられている。これは、携帯電話機1が圏外にある場合に、圏外ロック機能を使用することを意味する。ユーザが、例えば地下に移動したり旅行に出かけたりするときに、携帯電話機1が圏外になってしまう恐れがあることを予め認識していた場合に、この圏外ロック機能を「OFF」に設定しておくことにより、携帯電話機1を圏外でも使用することができる。但し、設定は圏内状態でのみ行える。圏外状態でも圏外ロック機能を「OFF」できるようにすると、圏外時の確実な個人情報や非接触IC機能等の保護ができないからである。
【0026】
また、図5に示す圏外ロック設定情報40では、「画像情報閲覧」の機能情報40aに対して「OFF」の圏外ロック情報40bが、「音楽情報再生」の機能情報40aに対して「ON」の圏外ロック情報40bが、「アドレス帳閲覧」の機能情報40aに対して「ON」の圏外ロック情報40bが、「メール閲覧」の機能情報40aに対して「ON」の圏外ロック情報40bがそれぞれ対応付けられている。これは、携帯電話機1が圏外にあるときに、画像情報閲覧の機能に関しては圏外ロックを行わず、音楽情報再生、アドレス帳閲覧、メール閲覧の機能に関しては圏外ロックを行うことを意味する。
【0027】
その他、圏外ロックをかける機能として、非接触ICカード機能等の不正使用、記憶部26に記憶された動画情報やスケジュール情報、Web閲覧に使用されるブックマーク情報等の個人情報の閲覧等が考えられる。また、各機能ごとに「ON」または「OFF」を設定する方法に限定されず、圏外ロックが「ON」に設定されている時には全ての機能に圏外ロックをかけるようにしても良い。
【0028】
なお、圏外ロック機能のON/OFF状態は予めユーザにて設定されるが、この設定は携帯電話機1が圏内にあるときにしか行えない。これは、ユーザが携帯電話機1を紛失したときに携帯電話機1が圏外にあって遠隔ロックがかけられない場合に、第三者により不正に圏外ロックの設定を変更されないためである。また、第三者が携帯電話機1の圏外ロック機能を不正に解除するために圏内に移動した場合であっても、携帯電話機1が圏内に復帰したタイミングで遠隔ロックにより携帯電話機1にロックがかかり、圏外ロック機能を解除することはできない。
【0029】
しかしながら、携帯電話機1が圏外にあるときに、ユーザがこの携帯電話機1の個人情報や非接触ICカード機能等を使用したい場合に、携帯電話機1にロックがかかってしまうとユーザの利便性が損なってしまう。よって、携帯電話機1が圏内にあるときに、圏外ロック機能を「OFF」に設定できるように構成することにより、ユーザは、圏外ロック機能を予めOFFに設定しておくことで、携帯電話機1が圏外にあるときであっても、携帯電話機1の個人情報や非接触ICカード機能等を使用することができる。
【0030】
ロック制御部27は、主制御部20の制御により、記憶部26に記憶されている圏外ロック設定情報40のON/OFF状態に基づいて、各々の機能に対してロックをかけて使用を禁止したり、このロックを解除して使用を許可したりする。また、通信制御部25が基地局2から、携帯電話機1を遠隔ロックするための信号を受信した場合には、ロック制御部27は、携帯電話機1の各々の機能にロックをかけて、記憶部26に記憶されている情報へのアクセスを禁止したり、携帯電話機1が備えている各々の機能の使用を禁止したりする。
【0031】
ICカード制御部28は、非接触ICカード28a、アンテナ28bを備えていて、この非接触ICカード28aのリーダ及びライタに対して、アンテナ28bを介する通信制御を行う。すなわち、ICカード制御部28は、主制御部20の指示に基づいて、非接触ICカード28aに記憶された情報を非接触ICカード28aのリーダ・ライタにアンテナ28bを介して送信したり、リーダ・ライタからアンテナ28bを介して受信した情報を非接触ICカード28aに記憶したりして、非接触ICカード28aに対する情報の入出力を行う。
【0032】
ユーザは、圏外ロック設定情報40を設定する際に、操作キー15を介して各々の機能に関する圏外ロックのON/OFF状態を入力する。携帯電話機1は、ユーザにより入力された各々の機能に関する圏外ロックのON/OFF状態を設定して、圏外ロック設定情報40として記憶部26に記憶する設定処理を行う。携帯電話機1がこの設定処理を行う際の手順について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」の語句を省略して説明する。
【0033】
ユーザは、携帯電話機1を用いて圏外時ロック機能を設定する際に、まず操作キー15を介した圏外ロックの設定を指示する。始めに主制御部20は、圏外ロック機能の設定が指示されたか否かを判断する(S101)。圏外ロックの設定が指示されていない場合(S101のNo)は、主制御部20はそのまま待機する。
【0034】
圏外ロックの設定が指示された場合(S101のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1が圏内にあるか否かを判断する(S103)。この際、主制御部20は、通信制御部26から電波の受信感度を示す情報を取得し、これに基づいて、携帯電話機1が圏内にあるか圏外にあるかを判断する。そして主制御部20は、携帯電話機1が圏外にある場合(S103のNo)は、圏外ロックの設定を行わずに設定処理を終了する。
【0035】
携帯電話機1が圏内にある場合(S103のYes)は、主制御部20は、ディスプレイ13に圏外ロックの設定画面を表示する(S105)。この表示画面は、例えば各々の機能に対して「ON」または「OFF」を入力する入力欄を備えていて、ユーザは操作キー15を介して各々の入力欄の「ON」または「OFF」を入力する。
【0036】
主制御部20は、「ON」が入力されたか否かを判断する(S107)。「ON」が入力された場合(S107のYes)は、主制御部20は、この機能の機能情報40aに「ON」のロック情報40bを対応付けて、この機能の圏外ロックをONに設定する(S109)。また、「OFF」が入力された場合(S107のNo)は、主制御部20は、この機能の機能情報40aに「OFF」のロック情報40bを対応付けて、この機能の圏外ロックをOFFに設定する(S111)。
【0037】
このようにして携帯電話機1は、ユーザにより各々の機能に対して「ON」または「OFF」が入力された際に、これらの入力された情報を圏外ロック設定情報40として記憶する。そして、携帯電話機1は、この圏外ロック設定情報40に基づいて、携帯電話機1の圏外時に各々の機能にロックをかける圏外ロック処理を行う。携帯電話機1がこの圏外ロック処理を行う際の手順について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
始めに主制御部20は、携帯電話機1が圏外にあるか否かを判断する(S201)。この際、主制御部20は通信制御部25から電波の受信感度を示す情報を取得し、この情報に基づいて圏外か否かを判断する。携帯電話機1が圏外にない場合(S201のNo)、すなわち携帯電話機1が圏内にある場合は、携帯電話機1に圏外ロックをかける必要がないため、主制御部20はそのまま待機する。
【0039】
携帯電話機1が圏外にあった場合(S201のYes)は、主制御部20は、圏外ロック機能がONに設定されているか否かを判断する(S203)。この際、主制御部20は、記憶部26から圏外ロック設定情報40を取得し、「圏外ロック」の機能情報40aに対応付けられたロック情報40bが「ON」に設定されている場合に、圏外ロック機能がONに設定されているものと判断する。
【0040】
圏外ロック機能が「OFF」に設定されている場合(S203のNo)は、携帯電話機1に圏外ロックをかける必要がないため、ステップS201に戻って、主制御部20は携帯電話機1が圏外にあるか否かを判断する。例えば、ユーザが地下に移動したり旅行に出かけたりする場合などには、圏外ロックをかけてしまうと携帯電話機1の各機能が使用できなくなってしまう恐れがあり、圏外ロック機能を「OFF」に設定していることも考えられるため、圏外ロック機能が「OFF」に設定されている場合には、圏外ロックを行わない。
【0041】
圏外ロック機能が「ON」に設定されている場合は、主制御部20は、ロック情報40bが「ON」に設定されている機能を全てロックし、使用を禁止する(S205)。これにより、携帯電話機1に圏外ロックがかけられた状態となる。例えば図5に示す圏外ロック設定情報40によると、音楽情報再生、アドレス帳閲覧、メール閲覧等の機能がロックされる。
【0042】
主制御部20は、携帯電話機1が圏内に復帰したか否かを判断する(S207)。この際、主制御部20は通信制御部25から電波の受信感度を示す情報を取得し、この情報に基づいて圏外に復帰したか否かを判断する。携帯電話機1が圏内に復帰していない場合(S207のNo)は、ステップS207に戻って、主制御部20は携帯電話機1が圏内に復帰するまで待機する。
【0043】
携帯電話機1が圏内に復帰した場合(S207のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1に遠隔ロックが指示されたか否かを判断する(S209)。この遠隔ロックは、ユーザが携帯電話機1の事業者に連絡することに基づいて、携帯電話機1と通信することにより遠隔でロックをかける機能である。
【0044】
遠隔ロックが指示されていない場合(S209のNo)は、主制御部20は、ステップS205にてかけた圏外ロックを解除する(S211)。また、遠隔ロックが指示された場合(S211のYes)は、主制御部20は、携帯電話機1にロックをかける(S213)。
【0045】
もしユーザが携帯電話機1を紛失せずに所持していた場合には、携帯電話機1が圏内に復帰したタイミングで圏外ロックが解除され、ユーザが携帯電話機1を使用することができる。また、もしユーザが携帯電話機1を紛失して、携帯電話機1の事業者に遠隔ロックをかけるように連絡してあった場合には、携帯電話機1が圏内に復帰したタイミングで、携帯電話機1に遠隔操作により遠隔ロックがかけられ、第三者により携帯電話機1が不正使用されることが防止される。
【0046】
このようにして携帯電話機1は、圏外ロック設定情報40に基づいて圏外ロックの設定状態を判断し、圏外ロック機能が「ON」に設定されているときには、携帯電話機1が圏外にある場合に、携帯電話機1に圏外ロックをかける。また、携帯電話機1に圏外ロックをかけた後に、携帯電話機1が圏内に移動した場合に、この圏外ロックを解除する。
【0047】
ユーザが携帯電話機1を紛失したときに、携帯電話機1が圏内にあるときには、事業者サービスによる遠隔操作で個人情報や非接触ICカード機能等が遠隔ロックされるため、拾得者による携帯電話機1の不正使用や情報漏えいは防止される。また、ユーザが携帯電話機1を紛失したときに、携帯電話機1が圏外にあるときには、携帯電話機1が圏内にあるときに事前にユーザにより設定された圏外ロック機能により、携帯電話機1の不正利用や情報漏えいが防止される。
【0048】
なお、圏外ロック機能はソフトウェアによって制御されるため、携帯電話機1において、ハードウェア追加によるコストアップ、ハードウェア追加による装置の大型化、ユーザへの使用感、利便性悪化などの防止が図られる。また、圏外時にソフトウェアにてパスワードロックする様な方法では、ランダム入力などにより解除される危険性がある。
【0049】
本発明に係る携帯通信端末(携帯電話機1)によると、ユーザが圏外ロック設定情報40において圏外ロック機能を「ON」に設定しておくことで、紛失時等に携帯電話機1が圏外にあって遠隔ロックがかけられない場合であっても、個人情報へのアクセスや非接触ICカード機能の使用、及び、PCから情報へのアクセスができないように、ユーザが簡単かつ確実にロックをかけることが可能となる。
【0050】
また、本発明に係る携帯通信端末(携帯電話機1)によると、ユーザが事前に携帯電話機1が圏外に移動することがわかっている場合には、予め圏外ロック設定情報40において圏外ロック機能を「OFF」に設定しておくことで、個人情報へのアクセスや非接触ICカード機能の使用、及び、PCから情報へのアクセスができるように、ユーザが簡単にロックを解除することが可能となる。更に圏外ロックを「OFF」設定しているものに限っては圏外でも「ON」設定が出来るような仕組みにすることで圏外での機能使用後、圏内に戻らずに圏外ロックが行えるので、更に安心な携帯通信端末の提供も可能である。
【0051】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等、遠隔ロック機能を備えている携帯通信端末であれば、任意の携帯通信端末であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)におけるロック機能について説明するための図。
【図2】(A)は、本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)の開いた状態を示す正面図、(B)は、本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)の開いた状態を示す側面図。
【図3】(A)は、本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)の閉じた状態を示す正面図、(B)は、本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)の閉じた状態を示す側面図。
【図4】本発明に係る携帯通信機器(携帯電話機)の機能ブロック図。
【図5】圏外ロック設定情報を示すデータ構成図。
【図6】本発明に係る携帯通信端末において圏外ロック機能の設定処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図7】本発明に係る携帯通信端末において圏外ロック処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯電話機,10…上筐体,11…下筐体,12…ヒンジ部,13…ディスプレイ,14…スピーカ,15…操作キー,16…マイクロフォン,20…主制御部,21…電源回路部,22…操作入力制御部,23…表示制御部,24…音声制御部,25…通信制御部,25a…アンテナ,26…記憶部,27…ロック制御部,28…ICカード制御部,28a…非接触ICカード,28b…アンテナ,40…圏外ロック設定情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を受信した際に携帯通信端末にロックをかける遠隔ロック機能を備えた携帯通信端末であって、
携帯通信端末が圏外にあるか圏内にあるかを判断する判断手段と、
前記判断手段により圏外にあると判断された場合、携帯通信端末にロックをかける圏外ロック機能と、
を備えたことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記圏外ロック機能は、携帯通信端末にロックをかけた後に、前記判断手段により圏外にないと判断された場合、このロックを解除することを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記判断手段により圏内にあると判断された場合に、前記圏外ロック機能のON/OFF状態の入力を受け付ける受付手段を備え、
前記圏外ロック機能は、前記受付手段によりONの入力を受け付けた場合、圏外ロック機能をONに設定し、前記受付手段によりOFFの入力を受け付けた場合、圏外ロック機能をOFFに設定することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
データを記憶する記憶手段を備え、
前記圏外ロック機能は、携帯通信端末にロックをかける際に、前記記憶手段に記憶されたデータへのアクセスを禁止することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項5】
携帯通信端末に内蔵された非接触ICカードに対するデータの入出力を行う入出力手段を備え、
前記圏外ロック機能は、携帯通信端末にロックをかける際に、前記入出力手段が前記非接触ICカードに対してデータの入出力を行うのを禁止することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−232255(P2009−232255A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76333(P2008−76333)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】