説明

携帯通信端末

【課題】
形態を自在に変更することができる携帯通信端末には、第1形態で動作する場合の消費電流量の方が、第2形態で動作する場合の消費電流量よりも大きくなるものがある。
このような携帯通信端末では、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方が、第2形態におけるグラウンド電位の安定性よりも高くなることが望まれる。
【解決手段】
第1形態になると、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが、ばね受け890、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を経由して互いに電気的に接続される。
よって、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方が、第2形態におけるグラウンド電位の安定性の方が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に関し、特に、2つの筐体を備えたものにおいてその2つの筐体の位置関係を変更自在な携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯通信端末として、2つの筐体を有し、これら筐体の相対位置を変更することができるものが知られている。
例えば、特許文献1では、折り畳み式の携帯通信端末に係る技術が開示され、特許文献2では、スライド式の携帯通信端末に係る技術が開示されている。
このような携帯通信端末では、電池が一方の筐体内に内蔵され、電池が内蔵されている筐体のグラウンド配線が電池の陰極に接続され、電池が内蔵されていない筐体のグラウンド配線が、例えば、フレキシブルケーブルを介して、電池が内蔵されている筐体のグラウンド配線に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−159172号公報
【特許文献2】特開2007−166046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、携帯通信端末に搭載されている電子部品のそれぞれは、グラウンド配線のグラウンド電位と、携帯通信端末に内蔵されている電池によって生じる電源電位との間の電位差を利用して動作している。
これら電子部品は、グラウンド電位が変動してしまうと誤動作してしまうことがある。
よって、グラウンド電位の変動は、電子部品に誤動作を発生させてしまうことのない範囲内に抑えられなければならない。
【0005】
ところで、変形自在な携帯通信端末には、形態に応じて利用される機能が互いに異なっているもの、例えば、第1形態の場合にWeb(World Wide Webの略称)閲覧機能や、地上デジタルテレビ放送の視聴機能を実現し、第2形態の場合に通話機能を実現するというものがある。
このような携帯通信端末は、第1形態でWeb閲覧機能や、地上デジタルテレビ放送の視聴機能を実現している場合の消費電流量の方が、第2形態で通話機能を実現している場合における消費電流量よりも大きくなる。この場合、第1形態における、電子部品に誤動作を発生させないために必要となるグラウンド電位の安定性の方が、第2形態における、電子部品に誤動作を発生させないために必要となるグラウンド電位の安定性よりも高くなる。
【0006】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方を第2形態におけるグラウンド電位の安定性よりも高くすることができる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る携帯通信端末は第1筐体と第2筐体とを備え、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の主表面とで1つの平面を形成するように、当該第1筐体の1つの側面と当該第2筐体の1つの側面とが互いに接触する第1形態と、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の裏面とが互いに接触する第2形態とに、形態変更自在な携帯通信端末であって、前記第1筐体内の第1グラウンド配線と、前記第2筐体内の第2グラウンド配線と、前記第2グラウンド配線と接続されており、第2筐体に出没自在に設けられた導体部と、前記第1筐体内に配置され、前記第1グラウンド配線と接続されている導体受け部と、前記携帯通信端末が前記第2形態の場合に、前記導体部を前記第2筐体内に埋没させ、前記携帯通信端末が前記第2形態から前記第1形態へと変更される場合に、当該変更に伴って前記導体部を前記第2筐体から前記第1筐体へと突出させて前記導体部を前記導体受け部と接触させる導体駆動部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る携帯通信端末は、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方を第2形態におけるグラウンド電位の安定性よりも高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第2形態の携帯電話機100の分解斜視図
【図2】第1形態の携帯電話機100の斜視図
【図3】携帯電話機100の変形動作を示す側面図
【図4】第1筐体110の正投影図
【図5】第2筐体120の正投影図
【図6】アーム130の正投影図
【図7】第1形態の携帯電話機100の平面図
【図8】第1筐体110の内部構造の一部と、第2筐体120の内部構造の一部とを示す平面図
【図9】第2筐体120の断面図
【図10】第2基板910の分解斜視図
【図11】第1筐体110の断面図
【図12】第1基板1110の分解斜視図
【図13】(a)第1筐体110の内部構造の一部と、第2筐体120の内部構造の一部とを示す平面図その1、(b)第1筐体110の内部構造の一部と、第2筐体120の内部構造の一部とを示す平面図その2
【図14】(a)第2形態における鏡像アンテナA1410の形態を模式的に示す模式図、(b)第1形態における鏡像アンテナB1420の形態を模式的に示す模式図
【図15】ばね受け1510の構成図
【図16】(a)850MHz帯の信号を送信する場合における鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図、(b)2GHz帯の信号を送信する場合における鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
<概要>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、通話機能とWeb閲覧機能と地上デジタルテレビ放送視聴機能とを有し、第1形態と第2形態とに変形自在な携帯電話機100について説明する。
【0011】
図1は、第2形態の携帯電話機100の分解斜視図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、第1筐体110と、第2筐体120と、第1筐体110と第2筐体120とを接続するアーム130とから構成されている。
アーム130は、その基端側が第1筐体110に回転自在に軸支されており、先端側が第2筐体をスライド移動並びに回転自在に支持している。従って、この携帯電話機100は、第1筐体110と第2筐体120とが単なる相対回動するだけでなく、図1の最下部に示した第2形態に変更することが可能である。
【0012】
第2形態においては、第1筐体110と第2筐体120とが互いに重ね合わせられている。
図2は、第1形態の携帯電話機100の斜視図である。
同図に示されるように、携帯電話機100の第1形態とは、第1筐体110の主平面と第2筐体120の主平面とで1つの平面を形成するように、第1筐体110の1つの側面と第2筐体120の1つの側面とが互いに接触する形態のことである。
【0013】
図3は、携帯電話機100を利用するユーザが、携帯電話機100を第1形態から第2形態へと形態を変更する場合における、過渡的な携帯電話機100の形態を段階的に示す側面図である。
同図に示されるように、ユーザは、携帯電話機100を第2形態から第1形態へ変形する場合に、まず、第2筐体120の主平面の向きを保ったまま、第2筐体120をアーム130の第1筐体110側の支点を中心にして右回りに回転させる(図3の変形中形態1参照)。
【0014】
ユーザは、第2筐体110の回転を継続させ、第2筐体120の主表面が、第1筐体110の主表面と同一平面となる位置まで第2筐体120を回転させる(図3の変形中形態2参照)。
最後に、ユーザは、第1筐体110の主表面と第2筐体120の主表面とが同一平面となる状態において、第2筐体120を第1筐体110側へスライドさせることで(図3の変形中形態2参照)、携帯電話機100を第2形態とする。
【0015】
以下、携帯電話機100の構成の詳細について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
図4は、第1筐体110の正投影図である。
同図に示されるように、第1筐体110は、2か所に切り欠き部を有する略直方体であって、主表面に第1ディスプレイ400の表示部を備えている。
【0016】
切り欠き部のそれぞれには、軸状の突起(図4中の突起A410、突起B420)が配置されている。
突起A410と突起B420とは、それぞれの中心軸が互いに同一直線上となるように配置されている。これらの突起は、それぞれ、アーム130の基端側の挿入孔C610(後述)、挿入孔D620(後述)に挿入される。
【0017】
第1ディスプレイ400は、映像等を表示する機能を備える表示装置であって、例えば液晶ディスプレイである。
第1ディスプレイ400の主表面には、図示していない透明な第1タッチパッド(後述)が重ね合わせられている。
図5は、第2筐体120の正投影図である。
【0018】
同図に示されるように、第2筐体120は、小さな直方体の上に大きな直方体が重ね合わせられた形状であって、大きな直方体の主表面に第2ディスプレイ500の表示部とレシーバ開口部510とマイク開口部520とを備え、一方小さな直方体はその側面に挿入孔A530と挿入孔B540とを備えている。
挿入孔A530と挿入孔B540とは、同一サイズで正対向する位置に形成された長孔である。
【0019】
これらの挿入孔には、それぞれアーム130の先端側に設けた挿入棒A630(後述)、挿入棒B640(後述)が挿入される。
これら挿入孔A530、挿入孔B540の長径側寸法は、第1筐体110のスライド移動量を決定するもので、この寸法を適切に設定することで、図3に示した形態変更動作を可能にしている。
【0020】
第2ディスプレイ500は、映像等を表示する機能を備える表示装置であって、例えば液晶ディスプレイである。
第2ディスプレイ500の主表面には、透明な第2タッチパッド925(後述:図5には図示されていない。)が重ね合わせられている。
レシーバ開口部510は、第2筐体120内部に配置されているレシーバ960(後述)から発せされた音声を、第2筐体120外部に伝えるために設けられた孔である。
【0021】
マイク開口部520は、携帯電話機100を利用するユーザの声等を、第2筐体120内部に配置されているマイク950(後述)に伝えるために設けられた孔である。
図6は、アーム130の正投影図である。
同図に示されるように、アーム130は、正面視でコの字型をしており、コの字型の2つの先端には挿入棒A630、挿入棒B640が互いに向かい合う方向に形成されている。アーム130の基端両側には、一対の垂下片A650、垂下片B660が下方へ垂下され、それらの垂下片A650、垂下片B660の対向面に挿入孔C610、挿入孔D620が形成されている。
【0022】
挿入棒A630、B640とは、それぞれ軸上の突起であって、それぞれの中心軸が一致するよう配置されている。これらの突起は、それぞれ、第2筐体120の挿入孔A530、B540に挿入される。これによってアーム130に第2筐体120がスライド並びに回動自在に指示される。アーム130に対する第2筐体120のスライドは、特に、図3の変形中形態2の状態から、第1形態への変形を可能とするために有効である。
【0023】
挿入孔C610と挿入孔D620とは、それぞれ円筒状の孔であって、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。これらの挿入孔には、それぞれ第1筐体の突起A410、第1筐体の突起B420が挿入される。
アーム130は、挿入孔C610に突起A410が挿入され、挿入孔D620に突起B420が挿入されることで、第1筐体110に接続され、これらの挿入孔の中心軸を中心として第1筐体110に対して回転することができるようになっている。
【0024】
図7は、第1形態の携帯電話機100の平面図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、第1形態になると、第1ディスプレイ400の表示面と第2ディスプレイ500の表示面とが互いに同一平面上において近接する状態となる。
この携帯電話機100は、第1形態において、Web閲覧機能と地上デジタルテレビ放送の視聴機能とを実現する仕様となっており、第1形態において、閲覧するWeb画像や受信する地上デジタルテレビ放送の映像を表示する場合に、第1ディスプレイ400の表示面と第2ディスプレイ500の表示面とを合わせて1つの大きな表示面として利用する。
【0025】
図8は、第1筐体110の内部に設置されている構造物の一部と、第2筐体120の内部に設置されている構造物の一部とを示す平面図である。
同図に示されるように、第1筐体110と第2筐体120の対向する側面にはスライド棒B830先端の導体部860が突出し、侵入する孔110C、孔120Cが開設されている。そして、第1筐体110の孔110C内方には、第1筐体110に固設されたばね受け890と、このばね受け890に止着された圧縮ばね880と、圧縮ばね880先端に設けられた導体受け部870とが設けられている。導体受け部870は、圧縮ばね880が非圧縮状態の場合でも、孔110Cより内方に位置するような関係位置に設けられている。圧縮ばね880は、第2筐体120側のスライド棒B830が突出動作の途中で導体受け部870に当接しても、スライド棒B830の突出動作を阻害することのないよう、自身が弾性収縮することによって対処する。
【0026】
第2筐体120の内部には、作動レバーA810、揺動レバー820、スライド棒B830からなる導体駆動部850が設けられている。
作動レバーA810は、樹脂材料から作成され、アーム130の先端に設けられた挿入棒B640から駆動力を受けて矢印方向にスライド移動するよう、図外の支持部材によってスライド自在に支持されている。なお、作動レバーA810は図示しないばねによって常にアーム130の挿入棒B640に当接する方向に弾性付勢されている。
【0027】
揺動レバー820は、樹脂材料から作成され、長手方向ほぼ中間を支点として揺動自在に支持されている。揺動レバー820の一端は前記作動レバーに回転自在に支着され、他端はスライド棒B830の基端に回転自在に支着されている。
前記作動レバーA810のスライド量はアーム130のスライド量、すなわち挿入孔A530の長径方向長さ以下であり、対してスライド棒B830のスライド量は、第2筐体120から突出し、第1筐体110内に進入するまでの長さが必要であり、アーム130のスライド量よりも長い。このスライド量の差は、揺動レバー820の支点の位置を選択することにより調整される。
【0028】
作動レバーA810は、導体(例えば銅製)の棒であって、電気接続部840の一端と電気的に接続されている。作動レバーA810の先端には導体部860が設けられている。導体部860は導体受け部870に当接した場合に両者が接触抵抗少なく電気的に接続するような高導電材料が用いられる。
なお、揺動レバー820は円弧運動し、作動レバーA810、スライド棒B830は、スライド移動(直線運動)するので、両者の連結点には運動方向の差異を吸収する遊びが設けられている。
【0029】
電気接続部840は、スライド棒B830と第2筐体120の第2基板910(後述)の第2グラウンドプレーン1460(後述)とに接続された導体(例えば銅製)のフレキシブルワイヤを有するフレキシブル基板であって、スライド棒B830と第2グラウンドプレーン1460とに電気的に接続する。
ばね受け890は、圧縮ばね880と第1筐体110の第1基板1110(後述)とに接続された導体(例えば銅製)のブロックであって、圧縮ばね880と第1基板1110の第1グラウンドプレーン1450(後述)とに電気的に接続されている。
【0030】
図9は、第2筐体120の断面図である。
同図に示されるように、第2筐体120の内部には、第2基板910、第2ディスプレイ500、第2タッチパッド925、導体駆動部850、支柱930が設置されている。
そして、第2基板910には、上面側主表面上に、電子部品X911、電子部品Y912、タッチパネルコントローラ917、マイク950、レシーバ960等が搭載されている。
【0031】
第2基板910は、電子部品等を搭載し、搭載している電子部品間の電気的接続を実現するための回路基板である。
図10は、第2基板910の分解斜視図である。
同図に示されるように、第2基板910は、第1配線層1010と第2配線層1020と第3配線層1030との3つの配線層を有する3層構造の回路基板である。
【0032】
第1配線層1010と第2配線層1020とは、主に搭載されている電子部品間の電気的接続を実現する配線を行うための配線層である。
第3配線層1030は、主にグラウンド配線を実現するための配線層であって、一部の例外的領域を除いた略全面に平板状の第2グラウンドプレーン1460が形成されている。
【0033】
この第2グラウンドプレーン1460は、アーム130の内部の図示しない配線を介して、第1筐体110内の第1グラウンドプレーン1450(後述)と電気的に接続されている。
再び図9に戻って、第2筐体120に搭載されている部品の説明を続ける。
第2タッチパッド925は、透明電極(例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)製)を備える透明なタッチパッドであって、第2ディスプレイ500に重ね合わせられて配置されている。
【0034】
第2タッチパッド925と第2ディスプレイ500とは、互いに重ね合わされて使用されることで第2タッチパネル920として機能し、タッチパネルコントローラ917によって制御される。
タッチパネルコントローラ917は、第2タッチパネル920を制御する機能を有するLSIであって、第2基板910の上面側主表面上に搭載されている。
【0035】
支柱930は、第2筐体120と、導体駆動部850を構成する揺動レバー820とに接続された、例えば樹脂製の支持棒であって、導体駆動部850を支え、導体駆動部850を構成する揺動レバー820が梃として機能する場合における支点として作用する機構を有する。
マイク950は、携帯電話機100の外部からマイク開口部520を通して伝わってくる音声を電気信号に変換して第1筐体110内のプロセッサ1113(後述)へ出力する機能を有するマイクであって、第2基板910の上面側主表面上に配置されている。
【0036】
レシーバ960は、第1筐体110内のプロセッサ1113(後述)から入力される電気信号を音声に変換して出力するスピーカであって、第2基板910の上面側主表面上に搭載されている。マイク950から出力された音声は、レシーバ開口部510を通して携帯電話機100の外部へ伝えられる。
図11は、第1筐体110の断面図である。
【0037】
同図に示されるように、第1筐体110の内部には、第1基板1110、第1ディスプレイ400、第1タッチパッド1125、アンテナ構体1130、電池1140が設置されている。
そして、第1基板1110には、上面側主表面上に、出力アンプ1111、通信用LSI1112、プロセッサ1113、電子部品A1114、メモリ1115、デジタルTVデコードLSI1116、タッチパネルコントローラ1117等が搭載され、下面側主表面上に、ばね受け890等が搭載されている。
【0038】
第1基板1110は、電子部品等を搭載し、搭載している電子部品間の電気的接続を実現するための回路基板である。
図12は、第1基板1110の分解斜視図である。
同図に示されるように、第1基板1110は、第1配線層1210と第2配線層1220と第3配線層1230との3つの配線層を有する3層構造の回路基板である。
【0039】
第1配線層1210と第2配線層1220とは、主に、搭載されている電子部品間の電気的接続を実現する配線を行うための配線層である。
第3配線層1230は、主にグラウンド配線を実現するための配線層であって、一部の例外的領域を除いた略全面に平板状の第1グラウンドプレーン1450が形成されている。
【0040】
この第1グラウンドプレーン1450は、電池1140(後述)の陰極と電気的に接続されている。
再び図11に戻って、第1筐体110に搭載されている部品の説明を続ける。
第1タッチパッド1125は、透明電極(例えば、ITOを備える透明なタッチパッド)であって、第1ディスプレイ400に重ね合わせられて配置されている。
【0041】
第1タッチパッド1125と第1ディスプレイ400とは、互いに重ね合わされて使用されることで第1タッチパネル1120として機能し、タッチパネルコントローラ1117によって制御される。
アンテナ構体1130は、850MHz帯の信号を送受信するための850MHz帯アンテナ(図示せず。)と、2GHz帯の信号を送受信するための2GHz帯アンテナ(図示せず。)とを備える構造体である。
【0042】
850MHz帯アンテナは、850MHz帯の電磁波の波長の1/4となる長さ(約8.8cm)のモノポールアンテナであって、2GHz帯アンテナは、2GHz帯の電磁波の波長の1/4となる長さ(約3.75cm)のモノポールアンテナである。
電池1140は、携帯電話機100に搭載されている電子部品に電力を供給するための充電式電池であって、出力電圧は例えば1.5Vとなっている。
【0043】
スプリングピン1150は、先端がばねで伸縮する可動型プローブピンであって、導電性を有し、850MHz帯アンテナの給電点及び2GHz帯アンテナの給電点と、出力アンプ1111及び通信用LSI1112とを電気的に接続している。
出力アンプ1111は、通信用LSI1112から出力される信号を増幅し、増幅した信号を、850MHz帯アンテナ、又は2GHz帯アンテナを用いて、外部の基地局等へ送信するための出力アンプであって、第1基板1110の上面側主表面上に搭載されている。
【0044】
通信用LSI1112は、通話に係る信号の送受信を行うLSIであって、第1基板1110の上面側主表面上に搭載され、以下の機能を有する。
850MHz帯アンテナを介して入力される850MHz帯信号を受信する機能。2GHz帯アンテナを介して入力される2GHz帯信号を受信する機能。受信した信号を復調する機能。復調した信号を復号してプロセッサ1113に出力する機能。プロセッサ1113から入力される信号を符号化する機能。符号化した信号を変調して出力アンプ1111に出力する機能。
【0045】
メモリ1115は、第1基板1110の上面側主表面上に搭載される、プロセッサ1113が利用するプログラム等を記憶するメモリである。
デジタルTVデコードLSI1116は、地上デジタルテレビ放送の受信に係る処理を行うLSIであって、第1基板1110の上面側主表面上に搭載され、地上デジタルテレビアンテナ(図示せず)を介して入力される地上デジタルテレビ信号を受信する機能、受信した信号を復調する機能、及び復調した信号を復号してプロセッサ1113に出力する機能を有する。
【0046】
タッチパネルコントローラ1117は、第1タッチパネル1120を制御する機能を有するLSIであって、第1基板1110の上面側主表面上に搭載されている。
プロセッサ1113は、第1基板1110の上面側主表面上に搭載されるプロセッサであって、メモリ1115に記憶されているプログラムを実行することで、様々な機能を実現することができる。プロセッサ1113がプログラムを実行することで実現される機能のうち、主なものとして、通信用LSI1112とマイク950とレシーバ960とを制御して、携帯電話機100を利用するユーザに、他の携帯電話機を利用する通話対象者と通話させる機能(通話機能)、通信用LSI1112とタッチパネルコントローラ917とタッチパネルコントローラ1117とを制御して、携帯電話機100を利用するユーザにWeb画像を閲覧させる機能(Web閲覧機能)、デジタルTVデコードLSI1116とレシーバ960とタッチパネルコントローラ917とタッチパネルコントローラ1117とを制御して、携帯電話機100を利用するユーザに地上デジタル放送を視聴させる機能(地上デジタルテレビ放送視聴機能)がある。
【0047】
この携帯電話機100では、Web閲覧を実現するために必要な処理量、及び地上デジタルテレビ放送の視聴を実現するために必要な処理量の方が、通話を実現するために必要な処理量よりも多くなっており、従って、Web閲覧時の消費電流、及び地上デジタルテレビ放送視聴時の消費電流は、通話時の消費電流に比べて多くなっている。
上述の構成の携帯電話機100において、以下、携帯電話機100の変形に伴う導体駆動部850、導体部860、導体受け部870の動きについて、図面を用いて説明する。
【0048】
<導体駆動部850、導体部860、導体受け部870の動き>
図13(a)は、挿入棒B640が挿入孔B540の中の、X軸方向における左端の位置にある場合(図8参照:図3中の第2形態〜変形中形態2に対応。)における、第1筐体110の内部に設置されている構造物の一部と、第2筐体120の内部に設置されている構造物の一部とを示す平面図である。
【0049】
図13(b)は、挿入棒B640が挿入孔B540の中の、X軸方向における右端の位置にある場合(図8参照:図3中の第1形態に対応。)における、第1筐体110の内部に設置されている構造物の一部と、第2筐体120の内部に設置されている構造物の一部とを示す平面図である。
<挿入棒B640が挿入孔B540の左端から右端へ移動する場合>
挿入棒B640が挿入孔B540の左端から右端へ移動する(図3中の変形中形態2から第1形態への変形に対応。)と、作動レバーA810は、挿入棒B640に押されて、X軸方向において右側に移動する。
【0050】
揺動レバー820は、作動レバーA810のX軸方向における右側への移動の動きを、スライド棒B830へ、X軸方向における左側への移動の動きとして伝達し、スライド棒B830を左側へ移動させる。
スライド棒B830が左側へ移動すると、スライド棒B830の先端に設置されている導体部860は、第2筐体120の内部から外部へ押し出され、第1筐体110の内部の導体受け部870に押しつけられる。
【0051】
導体受け部870は、導体部860に押しつけられる力によって左側に移動し、圧縮ばね880を縮める。
<挿入棒B640が挿入孔B540の右端から左端へ移動する場合>
挿入棒B640が挿入孔B540の右端から左端へ移動する(図3中の第1形態から変形中形態2から第2形態への変形に対応。)と、作動レバーA810は、図示しないばねの力によって、挿入棒B640の動きに沿って、X軸方向において左側に移動する。
【0052】
揺動レバー820は、作動レバーA810のX軸方向における左側への移動の動きを、スライド棒B830へ、X軸方向における右側への移動の動きとして伝達し、スライド棒B830を右側へ移動させる。
スライド棒B830が右側へ移動すると、スライド棒B830の先端に設置されている導体部860は、導体受け部870に押しつけられている状態を解消され、第2筐体120の内部へと移動する。
【0053】
導体受け部870は、導体部860に押しつけられる力がなくなると、圧縮ばね880が伸びることによって、右側へ移動する。
携帯電話機100は、通話時において信号を外部の例えば基地局へ送信する場合に、モノポールアンテナ(850MHz帯アンテナ又は2GHz帯アンテナ)と、グラウンドプレーンに形成される、そのモノポールアンテナに対応する鏡像アンテナとを、あたかもダイポールアンテナとして利用することで送信する。
【0054】
<鏡像アンテナの振舞い>
図14(a)は、携帯電話機100が第2形態である場合、すなわち、導体部860と導体受け部870とが互いに接触していない場合における鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図である。
ここで、出力アンプ接地点1400は、第1グラウンドプレーン1450における、出力アンプ1111の接地点を示す。
【0055】
一般に、鏡像アンテナは、モノポールアンテナに信号を出力する回路の接地点を始点とし、その給電点から最も遠い場所にある、固定端となり得る地点を終点として、その始点とその終点とを結ぶ最短経路上に形成される。
従って、携帯電話機100が第1形態である場合に形成される鏡像アンテナA1410は、図14(a)に示される通り、出力アンプ接地点1400を始点として、第1グラウンドプレーン1450の右上端を終点とする線分上に形成される。
【0056】
ここで、この鏡像アンテナA1410の長さは、例えば、8.8cmとなっている。
図14(b)は、携帯電話機100が第1形態である場合、すなわち、導体部860と導体受け部870とが互いに接触している場合における鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図である。
この場合には、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが、ばね受け890、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を介して電気的に接続されている。
【0057】
従って、この場合に形成される鏡像アンテナB1420は、図14(b)に示される通り、出力アンプ接地点1400を始点として、ばね受け890、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を経由して、終点である第2グラウンドプレーン1460の右上端へ至る経路上に形成される。
ここで、この鏡像アンテナB1420の長さは、例えば、15cmとなっている。
【0058】
以下、携帯電話機100の特徴について説明する。
<特徴>
携帯電話機100は、第1形態において、Web閲覧機能や地上デジタルテレビ放送視聴機能を実現している場合の消費電流量の方が、第2形態において、通話機能を実現している場合の消費電流量よりも多くなる。
【0059】
携帯電話機100は、第2形態の場合には、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが、ばね受け890、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を経由して互いに電気的に接続されることはない。
これに対して、第1形態の場合には、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが、ばね受け890、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を経由して互いに電気的に接続される。すなわち、第2形態の場合における第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460との間の電気的接続経路に、新たな電気的接続経路が追加されることとなる。
【0060】
これにより、第1形態となる場合における第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460との間の電気抵抗の方が、第2形態となる場合における第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460との間の電気抵抗よりも小さいこととなる。
従って、この携帯電話機100は、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方を第2形態におけるグラウンド電位の安定性よりも高くすることができる。
【0061】
携帯電話機100は、第1形態の場合における鏡像アンテナの長さと第2形態における鏡像アンテナの長さとが互いに異なっている。
これによって、第1形態の携帯電話機100の送信時におけるアンテナ特性と、第2形態の携帯電話機100の送信時におけるアンテナ特性とが、互いに異なるものとなる。
従って、この携帯電話機100は、通信に使用する信号の周波数帯、周囲の地形、基地局との位置関係等に応じて、より適したアンテナ特性となるように変形されて使用されることができるようになる。
<実施の形態2>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態1で説明した携帯電話機100の一部を変形した変形携帯電話機について説明する。
【0062】
実施の形態1に係る携帯電話機100は、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが特別な電気回路を介さずに互いに電気的に接続される場合の例であるのに対して、実施の形態2に係る変形携帯電話機は、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが共振回路を介して互いに電気的に接続される場合の例となっている。
【0063】
以下、実施の形態2に係る変形携帯電話機の構成について、実施の形態1に係る携帯電話機100からの変更点を中心に、図面を用いて説明する。
<構成>
変形携帯電話機は、実施の形態1に係る携帯電話機100から、ばね受け890が、ばね受け1510に変形されたものである。
【0064】
図15はばね受け1510の構成図である。
同図に示されるように、ばね受け1510は、内部に共振回路1520を備えている。
共振回路1520は、3pFのコンデンサ1530と12nHのインダクタA1540と2.7nHのインダクタB1550とからなり、圧縮ばね880と第1グラウンドプレーン1450とに電気的に接続されている。
【0065】
この共振回路1520は、周波数が850MHzの交流に対してオープン状態(高インピーダンス状態)となり、周波数が2GHzの交流に対してショート状態(低インピーダンス状態)となる回路特性を有している。
上述の構成の変形携帯電話機において、以下、変形携帯電話機の形態が第2形態であるときにグラウンドプレーンに形成される鏡像アンテナについて、以下図面を用いて説明する。
【0066】
<鏡像アンテナの振舞い>
図16(a)は、変形携帯電話機が第1形態である場合、すなわち、導体部860と導体受け部870とが互いに接触している場合において、変形携帯電話機が850MHz帯の信号を送信するときの鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図である。
共振回路1520は、周波数が850MHzの交流に対してオープン状態となる。よって、変形携帯電話機が850MHz帯の信号を送信するときの鏡像アンテナである850MHz帯鏡像アンテナ1610は、図16(a)に示される通り、出力アンプ接地点1400を始点として、第1グラウンドプレーン1450の右上端を終点とする線分上に形成される。
【0067】
ここで、この850MHz帯鏡像アンテナ1610の長さは、例えば、8.8cmとなっている。
図16(b)は、変形携帯電話機が第1形態である場合、すなわち、導体部860と導体受け部870とが互いに接触している場合において、変形携帯電話機が2GHz帯の信号を送信するときの鏡像アンテナの形状を模式的に示す模式図である。
【0068】
共振回路1520は、周波数が2GHzの交流に対してショート状態となる。よって、変形携帯電話機が2GHz帯の信号を送信するときの鏡像アンテナである2GHz帯鏡像アンテナ1620は、図16(a)に示される通り、出力アンプ接地点1400を始点として、ばね受け1510、圧縮ばね880、導体受け部870、導体部860、スライド棒B830、電気接続部840を経由して、終点である第2グラウンドプレーン1460の右上端へ至る経路上に形成される。
【0069】
ここで、この2GHz帯鏡像アンテナ1620の長さは、例えば、15cmとなっている。
以下、変形携帯電話機の特徴のうち、携帯電話機100にない特徴について説明する。
<特徴>
変形携帯電話機は、第1形態の場合において、850MHz帯鏡像アンテナ1610の長さと2GHz帯鏡像アンテナ1620の長さとは、互いに異なるものとなる。
【0070】
従って、この変形携帯電話機は、第2形態において、通信に使用する信号の周波数帯が850MHz帯であるか2GHz帯であるかに応じて、鏡像アンテナの長さを変更することができるようになる。
<補足>
以上、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態1、実施の形態2において、2つの携帯電話機の例について説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態1、実施の形態2で示した通りの携帯通信端末に限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態1において、導体部860が導体受け部870に押しつけられることによって発生する力を受けて伸縮する圧縮ばね880は、導体受け部870とばね受け890との間に配置されている場合の例を示したが、導体部860が導体受け部870に押しつけられることによって発生する力を受けて伸縮することができれば、必ずしも導体受け部870とばね受け890との間に配置されている必要はなく、例えば、導体部860とスライド棒B830との間に配置されていても構わない。
(2)実施の形態1において、携帯電話機100は、第2形態になると、1組の導体部860と導体受け部870とを介して、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とが互いに電気的に接続される場合の例について説明したが、第2形態になると、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460との電気的接続状況が強化されることとなれば、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とを互いに電気的に接続される導体部と導体受け部との組は必ずしも1組である場合に限られない。
【0071】
例えば、2つの導体部と2つの導体受け部と2つの導体駆動部とを備え、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とを互いに電気的に接続される導体部と導体受け部との組が2組であっても構わないし、3つの導体部と3つの導体受け部と3つの導体駆動部とを備え、第1グラウンドプレーン1450と第2グラウンドプレーン1460とを互いに電気的に接続される導体部と導体受け部との組が3組であっても構わない。
(3)実施の形態1において、携帯通信端末が携帯電話機である場合の例について説明したが、携帯通信端末は必ずしも携帯電話機に限られる必要はなく、例えば、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)であっても構わない。
(4)実施の形態1において、アンテナ構体1130は、850MHz帯アンテナと2GHz帯アンテナとを備えている場合の例について説明したが、基地局との通信に利用することができるアンテナを備えていれば、必ずしも850MHz帯アンテナと2GHz帯アンテナとを備えている必要はなく、例えば、1.5GHz帯アンテナを1つだけ備えていても構わない。
(5)実施の形態1において、第1基板1110、第2基板910は、主に搭載されている部品間の配線を実現するための配線層と、主にグラウンド配線を実現するための配線層とを有している場合の例について説明したが、グラウンド配線を実現することができる構成であれば、必ずしも主に搭載されている部品間の配線を実現するための配線層と、主にグラウンド配線を実現するための配線層とを有している必要はなく、例えば、全ての配線層において、部品間配線とグラウンド配線とが混在している構成であっても構わない。
(6)実施の形態2において、共振回路1520は、周波数が850MHzの交流に対してオープンとなり、周波数が2GHzの交流に対してショートとなる回路特性を有する場合の例について説明したが、特定の周波数に対してオープンとなり、別の特定の周波数に対してショートとなる回路特性を有していれば、必ずしもオープンとなる交流の周波数が850MHzでショートとなる交流の周波数が2GHzに限られる必要はない。
【0072】
例えば、オープンとなる交流の周波数が2GHzでショートとなる交流の周波数が850MHzとなる回路特性であっても構わない。
(7)以下、さらに本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、第1筐体と第2筐体とを備え、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の主表面とで1つの平面を形成するように、当該第1筐体の1つの側面と当該第2筐体の1つの側面とが互いに接触する第1形態と、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の裏面とが互いに接触する第2形態とに、形態変更自在な携帯通信端末であって、前記第1筐体内の第1グラウンド配線と、前記第2筐体内の第2グラウンド配線と、前記第2グラウンド配線と接続されており、第2筐体に出没自在に設けられた導体部と、前記第1筐体内に配置され、前記第1グラウンド配線と接続されている導体受け部と、前記携帯通信端末が前記第2形態の場合に、前記導体部を前記第2筐体内に埋没させ、前記携帯通信端末が前記第2形態から前記第1形態へと変更される場合に、当該変更に伴って前記導体部を前記第2筐体から前記第1筐体へと突出させて前記導体部を前記導体受け部と接触させる導体駆動部とを備えることを特徴とする。
【0073】
グラウンド電位の変動は、主に、電気抵抗を有するグラウンド配線に電流が流れることで生じることが知られている。よって、グラウンド配線における電気抵抗をより小さくすることで、グラウンド配線のグラウンド電位はより安定したものとなる。
上述の構成を備える本実施形態に係る携帯通信端末は、第1形態となる場合に、第1筐体内の第1グラウンド配線と第2筐体内の第2グラウンド配線とが、導体部と導体受け部とを介して互いに電気的に接続されることとなる。これにより、第1形態となる場合における第1グラウンド配線と第2グラウンド配線との間の電気抵抗の方が、第2形態となる場合における第1グラウンド配線と第2グラウンド配線との間の電気抵抗よりも小さいこととなる。
【0074】
従って、本実施形態に係る携帯通信端末は、第1形態におけるグラウンド電位の安定性の方を第2形態におけるグラウンド電位の安定性よりも高くすることができる。
(b)また、前記導体駆動部は、前記携帯通信端末が前記第1形態から前記第2形態へと変更される場合に、当該変更に伴って前記導体部を前記第2筐体内に没入させる状態とするとしてもよい。
【0075】
これにより、この携帯通信端末は、第1形態から第2形態へと変形される場合に、導体部が第2筐体内に収められるようになる。
よって、この携帯通信端末を利用するユーザは、携帯通信端末を、第1形態から第2形態へと変形して利用する場合に、導体部が邪魔になることがない。
(c)また、前記導体受け部を、前記導体部に接近する方向に付勢する付勢部を備えるとしてもよい。
【0076】
これにより、導体部が導体受け部に接触することで生じる力の一部が、付勢部の弾性変形として吸収されることとなる。
よって、導体部と導体受け部との接触時における衝撃力が抑制されることとなる。
(d)また、前記導体部を、前記導体受け部に接近する方向に付勢する付勢部を備えるとしてもよい。
【0077】
これにより、導体部が導体受け部に接触することで生じる力の一部が、付勢部の弾性変形として吸収されることとなる。
よって、導体部と導体受け部との接触時における衝撃力が抑制されることとなる。
(e)また、前記第1筐体と前記第2筐体とを、前記第1形態と前記第2形態とに変更自在に連結する連結アームを備え、前記導体駆動部は、前記連結アームの前記第2筐体側の部位と前記導体部との間に、前記第1形態から前記第2形態に変更されたとき、連結アームと前記第2筐体との相対変移を前記導体部の出没方向の直線運動に変換する運動変換機構を有するとしてもよい。
【0078】
これにより、連結アームと第2筐体との相対変移動作によって、第1グラウンド配線と第2グラウンド配線とが電気的に接続されることとなる。
(f)また、前記第1筐体内に、前記第1グラウンド配線をグラウンドプレーンの少なくとも一部として利用するモノポールアンテナを備えるとしてもよい。
これにより、モノポールアンテナに対応する鏡像アンテナが、少なくとも第1グラウンド配線を含むグラウンドプレーンに形成されることとなる。
【0079】
(g)また、前記第1筐体内に、前記モノポールアンテナを利用して所定の周波数帯の電磁波からなる信号を外部に送信する送信部を備え、前記導体受け部は、共振周波数が前記所定の周波数帯の周波数となる共振回路を有し、前記第2グラウンド配線と前記導体受け部に有される導体との前記接続は、前記共振回路を介してなされているとしてもよい。
これにより、所定の周波数帯の電磁波を送信する場合に、モノポールアンテナに対応する鏡像アンテナは、第1グラウンド配線と第2グラウンド配線とを含むグラウンドプレーンに形成されることとなる。
【0080】
(h)また、前記第1筐体内に、表示面が前記第1筐体の主表面の一部を形成する第1ディスプレイを備え、前記第2筐体内に、表示面が前記第2筐体の主表面の一部を形成する第2ディスプレイを備えるとしてもよい。
これにより、第1ディスプレイの表示面と第2ディスプレイの表示面とが同じ平面に並ぶ。
【0081】
よって、第1ディスプレイと第2ディスプレイとで、1つの大きなディスプレイとして機能させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、形態を変更することができる携帯通信端末に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 携帯電話機
110 第1筐体
120 第2筐体
130 アーム
400 第1ディスプレイ
500 第2ディスプレイ
540 挿入孔B
640 挿入棒B
810 作動レバーA
820 揺動レバー
830 スライド棒B
840 電気接続部
850 導体駆動部
860 導体部
870 導体受け部
880 圧縮ばね
890 ばね受け
1450 第1グラウンドプレーン
1460 第2グラウンドプレーン
1520 共振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とを備え、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の主表面とで1つの平面を形成するように、当該第1筐体の1つの側面と当該第2筐体の1つの側面とが互いに接触する第1形態と、当該第1筐体の主表面と当該第2筐体の裏面とが互いに接触する第2形態とに、形態変更自在な携帯通信端末であって、
前記第1筐体内の第1グラウンド配線と、
前記第2筐体内の第2グラウンド配線と、
前記第2グラウンド配線と接続されており、第2筐体に出没自在に設けられた導体部と、
前記第1筐体内に配置され、前記第1グラウンド配線と接続されている導体受け部と、
前記携帯通信端末が前記第2形態の場合に、前記導体部を前記第2筐体内に埋没させ、前記携帯通信端末が前記第2形態から前記第1形態へと変更される場合に、当該変更に伴って前記導体部を前記第2筐体から前記第1筐体へと突出させて前記導体部を前記導体受け部と接触させる導体駆動部とを備える
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記導体駆動部は、前記携帯通信端末が前記第1形態から前記第2形態へと変更される場合に、当該変更に伴って前記導体部を前記第2筐体内に没入させる状態とする
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記導体受け部を、前記導体部に接近する方向に付勢する付勢部を備える
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記導体部を、前記導体部に接近する方向に付勢する付勢部を備える
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記第1筐体と前記第2筐体とを、前記第1形態と前記第2形態とに変更自在に連結する連結アームを備え、
前記導体駆動部は、前記連結アームの前記第2筐体側の部位と前記導体部との間に、前記第1形態から前記第2形態に変更されたとき、連結アームと前記第2筐体との相対変移を前記導体部の出没方向の直線運動に変換する運動変換機構を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記第1筐体内に、前記第1グラウンド配線をグラウンドプレーンの少なくとも一部として利用するモノポールアンテナを備える
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記第1筐体内に、前記モノポールアンテナを利用して所定の周波数帯の電磁波からなる信号を外部に送信する送信部を備え、
前記導体受け部は、共振周波数が前記所定の周波数帯の周波数となる共振回路を有し、
前記第2グラウンド配線と前記導体受け部に有される導体との前記接続は、前記共振回路を介してなされている
ことを特徴とする請求項6記載の携帯通信端末。
【請求項8】
前記第1筐体内に、表示面が前記第1筐体の主表面の一部を形成する第1ディスプレイを備え、
前記第2筐体内に、表示面が前記第2筐体の主表面の一部を形成する第2ディスプレイを備える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−114734(P2012−114734A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262737(P2010−262737)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】