説明

携帯電子機器

【課題】直感的な判断がしやすくなり、操作性が高い携帯電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】画像を表示させていない状態で透明となる画像表示領域を有する表示部と、
表示部が内部に配置され、画像表示領域に対応する箇所が透明材料で形成されている筐体と、表示部のうち、画像表示領域に、縮尺及び方位の少なくとも一方を基準とした画像を表示させる制御部と、を備える携帯電子機器とすることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示部を備えた携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、PDA、携帯ゲーム機等、表示部を備える携帯電子機器は、種々の機能、アプリケーションが搭載されている(例えば、特許文献1)。種々あるアプリケーションの1つとして、表示部の画面上に物差し等の計器を表示させるアプリケーション、例えば、「iPhone(登録商標)」の「iScale」がある。また、カメラで撮影した画像を表示させ、その画像に算出した測定結果を表示させるアプリケーション、例えば「iPhone(登録商標)」の「Ruler Phone」もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示部の画面上に計器を表示させるアプリケーションは、測定対象を表示面上に重ねないと測定することができない。そのため、測定できる対象が限定されてしまう。また、カメラで撮影した画像に測定結果を表示させるアプリケーションでは、カメラで撮影した画像を見ているため、直感的な理解がしにくい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、直感的な判断がしやすくなり、操作性が高い携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯電子機器であって、画像を表示させていない状態で透明となる画像表示領域を有する表示部と、前記表示部が内部に配置され、前記画像表示領域に対応する箇所が透明材料で形成されている筐体と、前記表示部のうち、前記画像表示領域に、縮尺及び方位の少なくとも一方を基準とした画像を表示させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記画像表示領域に定規の画像を表示させることが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、表示させる前記定規の画像を、複数の画像から選択できることが好ましい。
【0009】
また、電波を送受信するアンテナを備え、画面に表示する情報を外部から取得可能な無線通信部をさらに備え、前記制御部は、前記無線通信部を介して、複数種類の定規の画像を取得可能であることが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記定規の表示時に入力された測定結果を記憶し、入力された測定結果を定規の画像と共に表示させることが好ましい。
【0011】
また、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記筐体の向いている方角を特定する方角特定部と、をさらに有し、前記制御部は、前記位置情報取得部で取得した位置情報と、前記方角特定部で特定した方角とに基づいて、前記画像表示領域の裏面側に位置する自装置の周辺に関する情報を当該画像表示領域に表示させることが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記画像表示領域に、前記画像表示領域の裏面側に位置し、前記画像表示領域に重なる前記自装置の周辺施設の被写体の情報をナビゲーション画像として表示させることが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記画像表示領域の裏面側に位置し、当該画像表示領域を透過してユーザが視認できる対象物の実際の大きさの情報と、前記画像表示領域に重なる前記対象物の画像上の大きさの情報とが入力されると、これらの情報に基づいて、前記対象物と自装置との距離を算出することが好ましい。
【0014】
また、不透明または半透明な材料で形成され、前記筐体の表面に配置された物理キーと、前記物理キーと前記表示部と間に配置された回路部品と、をさらに有することが好ましい。
【0015】
また、前記物理キーは、表面がシート状部材で覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる携帯電子機器は、直感的な判断がしやすくなり、より操作性を高くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の背面図である。
【図3】図3は、図1に示す携帯電子機器の側面図である。
【図4】図4は、図1に示す携帯電子機器の上面図である。
【図5】図5は、図1に示す携帯電子機器のA−A線断面図である。
【図6】図6は、図1に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図7−1】図7−1は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図7−2】図7−2は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図8−1】図8−1は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図8−2】図8−2は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図9−1】図9−1は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図9−2】図9−2は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図10】図10は、携帯電子機器の周囲の状況を説明するための説明図である。
【図11−1】図11−1は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【図11−2】図11−2は、携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器として携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ポータブルゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0019】
まず、図1から図5を用いて、携帯電子機器1の外観を説明する。図1は、本発明の携帯電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。また、図2は、図1に示す携帯電子機器の背面図であり、図3は、図1に示す携帯電子機器の側面図であり、図4は、図1に示す携帯電子機器の上面図であり、図5は、図1に示す携帯電子機器のA−A線断面図である。
【0020】
携帯電子機器1は、無線通信機能を備えた携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体2を有し、この筐体2の内部及び表面に各部が配置されている。筐体2は、図1から図4に示すように、箱型形状であり、第1筐体2Aと、第2筐体2Bとを貼り合わせた構造である。第1筐体2Aと第2筐体2Bとは、厚みが薄い板形状であり、夫々の面積が最も広い面同士が向かい合う向きで貼り合わせられている。また、第1筐体2Aと第2筐体2Bとの面積が最も広い面は、同一面積である。また、筐体2(第1筐体2Aと第2筐体2Bと)は、透明な材料で作製されている。ここで、透明な材料とは、光を透過する材料、例えばアクリル樹脂(PMMA)、ポリカードネート(PC)である。また、第1筐体2Aと第2筐体2Bとは、接着剤等で接合されており、接合面は、透明となっている。
【0021】
筐体2は、外面が、表面(第1主面)3と、表面3に対向する(反対側の面である)裏面4(第2主面)と、表面3と裏面4との間の側面5とで構成されている。なお、第1筐体2Aの面積が最も広い面が表面3となり、第2筐体2Bの面積が最も広い面が裏面4となる。また、側面5は、表面3と裏面4の外縁であり、表面3及び裏面4に平行な方向、つまり図3または図4に示す方向から筐体2を見た場合に見える面である。この筐体2は、中心から端部に向かうにしたがって表面3と裏面4との間隔が短くなる形状である。つまり、筐体2は、図3及び図4 に示すように、側面5の断面が曲面となる形状である。
【0022】
図1に示すように、筐体2(第1筐体2A)の表面3には、シート部6が設けられている。なお、シート部6は、表面3の長手方向において、中央よりも下側(標準的に使用した場合に下側となる向き)にオフセットして配置されている。つまり、シート部6は、表面3のうち下側にずれて配置されている。また、シート部6は、短手方向は、略全面に配置されている。このシート部6は、不透明な材料で作製されている。また、シート部6は、可撓性を有し、押されることで変形する。
【0023】
また、シート部6には、数字キー12、方向及び決定キー13、マイク15、カメラ36が設けられている。数字キー12は、電話番号入力時に数字を入力したり、メール作成時等に文字を入力したりするためのキーであり、シート部6の中央に配置されている。なお、数字キー12は、表面がシート部6に覆われている。方向及び決定キー13は、表示部32に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するためのキーであり、シート部6の数字キー12よりも上側に配置されている。また、マイク15は、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取る部分であり、シート部6の下側で、短手方向の一方の端部(図中左側)に配置されている。さらに、カメラ36は、シート部6の下側で、短手方向の他方の端部(図中右側)に撮影窓が配置されている。さらに、筐体2の表面3の上側には、携帯電子機器1の通話時に音声を発するレシーバ16が設けられている。
【0024】
次に、図5に示すように、筐体2の内部には、操作基板7と、回路基板8と、タッチパネル14、アンテナ26aと、表示部32と、バッテリ34と、が配置されている。操作基板7は、数字キー12と、方向及び決定キー13とに対面して配置された基板であり、数字キー12と、方向及び決定キー13に入力された操作を検出する検出回路や、検出した入力を後述する主制御部22に送る回路が設けられている。
【0025】
回路基板8は、後述する主制御部22、記憶部24等の機能を持つ電子部品、例えばCPU、メモリ等が設置されている基板であり、操作基板7よりも裏面4側に配置されている。回路基板8は、筐体2の厚み方向に積層された2枚の基板で構成され、裏面4側に配置されている基板が表面3側の基板よりも面積が大きい基板である。また、回路基板8は、表面3に平行な面上において、数字キー12と、方向及び決定キー13が配置されている領域であり、シート部6が配置されている領域内に配置されている。また、回路基板8は、方向及び決定キー13側の一部に、厚みのある回路部材が設けられている。つまり、回路基板8は、方向及び決定キー13側の一部が、他の部分、つまり、マイク15側の部分よりも厚い形状となっている。
【0026】
次に、アンテナ26aは、筐体2の長手方向において、下側端部近傍に配置されている。具体的には、アンテナ26aは、筐体2の長手方向において、マイク15が配置されている側の端部、つまり、レシーバ16から離れている側の端部に短手方向に伸びて配置されている。また、アンテナ26aは、筐体2の厚み方向において、操作基板7と、回路基板8との間に配置されている。また、アンテナ26aは、表面3に平行な面上において、シート部6が配置されている領域内に配置されている。
【0027】
バッテリ34は、操作基板7の裏面4側で回路基板8の表面3側、つまり、操作基板7と回路基板8との間に挟まれて配置されている。バッテリ34は、回路基板8のうち厚みが薄い領域と対面している。また、バッテリ34は、筐体2の長手方向において、アンテナ26aよりも上側に配置されている。
【0028】
表示部32は、筐体2の回路基板8よりも裏面4側に配置されている。また、図1、図2及び図5に示すように、表示部32は、筐体2の長手方向、短手方向の両方向において、裏面4の大部分の領域に配置された板状の部材である。
【0029】
表示部32は、所定の画像として、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。表示部32は、例えば、透明液晶モニター等の透明な表示装置であり、反対側が透けて見える。つまり、表示部32は、筐体2の外部から入射した光を通過させ筐体2の外部に射出することが可能となる。表示部32は、透明な表示装置であるため、表示している画像を表面3側、裏面4側の両方から視認することができる。これにより、携帯電子機器1は、表示部32の表面3側の面のうち、シート部6に覆われていない領域を、第1表示面42として用い、表示部32の裏面4側の面の全面を第2表示面44として用いる。つまり、携帯電子機器1は、表面3側から視認可能な第1表示面42と、裏面4側から視認可能な第2表示面44に画像を表示させ、表示部32として使用する。
【0030】
なお、表示部32のうち、第1表示面42かつ第2表示面44となる領域は、厚み方向に積層されている部材が基本的に透明部材となる。従って、第1表示面42かつ第2表示面44となる領域は、筐体2の外側から見た場合反対側が見える、つまり、透けている状態となる。また、表示部32のうち、第2表示面44のみとなる領域は、表面3側に回路基板8等が配置されている。このため、表示部32を透明に維持すると、裏面4側からは、回路基板8が見える。
【0031】
タッチパネル14は、表示部32の裏面4側の面に配置されている。タッチパネル14は、裏面4側から入力されるユーザの操作を検出する検出部であり、タッチパネル14のどの部分が指定されているかを検出する。なお、タッチパネル14は、表示部32と対面している領域が透明である。
【0032】
次に、携帯電子機器1の機能と制御部との関係を説明する。図6は、図1に示す携帯電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。図6に示すように携帯電子機器1は、主制御部22と、記憶部24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、表示制御部33と、バッテリ34と、カメラ36と、GPS通信部37と、地磁気センサ38と、を有する。
【0033】
主制御部22は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する処理部、例えばCPU(Central Processing Unit)である。すなわち、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部28の操作や携帯電子機器1の記憶部24に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26、表示部32等の動作を制御する。主制御部22は、記憶部24に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムのプログラム、アプリケーションのプログラム等)に基づいて処理を実行する。
【0034】
記憶部24には、主制御部22での処理に利用されるソフトウェアやデータ、具体的には、計器プログラム60と、計測プログラム62と、ナビゲーションプログラム64と、計器画像フォルダ66とが保存されている。ここで、計器プログラム60は、表示部32に計器を表示させるアプリケーションのプログラムである。また、計測プログラム62は、対象物との距離を計測(計算)する、または、対象物の大きさ、または対象物までの距離を計測(計算)するアプリケーションのプログラムである。ナビゲーションプログラム64は、ユーザに案内情報を通知するアプリケーションのプログラムである。また、計器画像フォルダ66とは、計器プログラム60の実行時に表示させる複数の計器を有する画像フォルダである。なお、計器プログラム60、計測プログラム62、ナビゲーションプログラム64を処理して実行するアプリケーションについては、後ほど説明する。
【0035】
また、記憶部24には、表示部32に表示させる画像を制御するプログラムや、メールの送受信を実行するためのプログラムも保存されている。さらに、記憶部24には、プログラム以外の各種データとしては、計器画像フォルダ66以外にも、例えば、記憶部24には、各種設定条件や、ナビゲーションアプリで使用する地図情報や、アドレス帳や、文字変換に用いる辞書データや、カメラ(読取部)36で撮影した画像データ等が保存されている。
【0036】
通信部26は、アンテナ26aを介して、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。
【0037】
操作部28は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられた数字キー12、方向及び決定キー13、タッチパネル14とで構成される。操作部28は、これらのキーまたはタッチパネル14がユーザの操作により入力されると、その操作内容を主制御部22へ入力する。
【0038】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16から出力される音声信号の処理を実行する。
【0039】
表示部32は、上述したように、透明の表示装置であり、主制御部22から表示制御部33を介して供給される映像データに応じた映像、画像データに応じた画像を表示装置に表示させる。
【0040】
バッテリ34は、主制御部22等、携帯電子機器1の各部に電力を供給する電力源である。カメラ36は、表面3と対面している撮影領域(一定角度の視野角に含まれる領域)の画像を取得する撮像機構である。カメラ36は、撮影した画像を主制御部22に送る。
【0041】
GPS通信部37は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)衛星から発信されるGPS信号を受信する通信部である。また、GPS通信部37は、受信したGPS信号から携帯電子機器1の緯度経度を算出し、算出した緯度経度の情報を主制御部22に送る。主制御部22は、GPS通信部37から送られる情報により、携帯電子機器1の位置を検出することができる。
【0042】
地磁気センサ38は、互いに直交する3つの方向における地磁気の向きを検出する検出器である。ここで、地磁気を検出する検出器としては、ホール素子、MR素子、MI素子、フラックスゲート素子等を用いることができる。地磁気センサ38は、検出した3つの方向における地磁気の向きの検出結果を主制御部22に送る。主制御部22は、地磁気センサ38の検出結果により、携帯電子機器1の向き(方角)を検出することができる。
【0043】
次に、図7−1及び図7−2を用いて、携帯電子機器1の動作、具体的には、計器プログラム60を実行する場合の動作について説明する。ここで、図7−1及び図7−2は、それぞれ携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。なお、図7−1及び図7−2は、筺体2の表面3がユーザに向いており、第1表示面42に画像を表示させる場合である。
【0044】
まず、携帯電子機器1は、ユーザにより計器を表示させるアプリケーションの起動指示が入力されたら、記憶部24に記憶されている計器プログラム60を主制御部22で処理し、該当するアプリケーションを起動させる。主制御部22は、アプリケーションが起動されたら、計器画像フォルダ66から画像、本実施形態では物差し(長さを計測するための計器)の画像を読み出し、表示部32の第1表示面42に表示させる。具体的には、図7−1に示すように、携帯電子機器1の表示部32の第1表示面42に、物差しである計器82を表示させる。
【0045】
ここで、第1表示面42は、透明な表示装置であるため、表面3側から裏面4側が透けて見える。このため、図7−1に示すように、筺体2の裏面4側の第1表示面42に対応する領域に測定対象84が密着する位置に、携帯電子機器1と測定対象84とを相対的に移動させることで、測定対象84に、計器82を重ねることができる。これにより、測定対象84の長さを計器82により計測することができる。なお、計器82は、筐体2の裏面4に密着している測定対象84の長さに対応した間隔で目盛りを表示させている。また、本実施形態では、測定対象84の測定している方向の長さは、約2cm(2cmを超える長さ)となる。
【0046】
携帯電子機器1は、第1表示面42の後ろが透けて見える構成とし、さらに、第1表示面42に計器82を表示させることで、測定対象84の上に計器82を重ねた状態で測定することができる。これにより、表示部32の上に測定対象84を載せなくても測定ができるため、測定対象84が動かせない物体であっても、計器82を重ねることができ、種々の物体を測定対象とすることができる。
【0047】
次に、主制御部22は、計器を表示させるアプリケーションにより、ユーザが入力した長さを比較対象として表示させることができる。また、図7−1に示す測定対象84の測定結果を比較対象として記憶させることもできる。ここで、比較対象を記憶させる方法としては、ユーザが測定した値を入力する方法がある。また、図7−1に示すような計測時に、第1表示面42にカーソルを表示させ、ユーザにより方向キーでカーソルを移動させ画面上で始点と終点を指定させ、その指定した始点と終点との距離を長さとして検出してもよい。なお、始点は、計器82の基点、つまり0cm地点とし、終点のみを指定するようにしてもよい。
【0048】
ここで、図7−2は、測定対象を測定中に比較対象を表示させた場合を示している。まず、携帯電子機器1は、測定対象86を計測するために、筺体2の裏面4側の第1表示面42に対応する領域に測定対象86が密着する位置に、携帯電子機器1と測定対象86とを相対的に移動させ、測定対象86と第1表示面42とを重ねる。ここで、携帯電子機器1は、図7−2に示すように、第1表示面42に、計器82に加え、比較対象88も表示させている。ここで、比較対象88は、記憶されている長さ分のバーであり、計器82の画像に重ねて表示されている。このように、比較対象88を表示させることで、ユーザは、比較対象88と測定対象86との大きさの違いを直感的に知ることができる。
【0049】
ここで、図7−1及び図7−2では、計器として物差しを用いたが、計器はこれに限定されない。以下、図8−1及び図8−2を用いて、計器として分度器を用いる場合を説明する。ここで、図8−1及び図8−2は、それぞれ携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。
【0050】
本実施形態の主制御部22は、アプリケーションが起動されたら、計器画像フォルダ66から画像、本実施形態では分度器(角度を計測するための計器)を読み出し、表示部32の第1表示面42に表示させる。具体的には、図8−1に示すように、携帯電子機器1の表示部32の第1表示面42に、分度器である計器92を表示させる。
【0051】
このように計器92を表示させ、上述と同様に携帯電子機器1と測定対象94とを相対的に移動させることで、測定対象94に、計器92を重ねることができる。これにより、測定対象94の角度(なす角)を計器92により計測することができる。
【0052】
また、本実施形態も主制御部は、計器を表示させるアプリケーションにより、ユーザが入力した長さを比較対象として表示させることができる。また、図8−1に示す測定対象94の測定結果を比較対象として記憶させることもできる。ここで、比較対象を記憶させる方法は上述の長さの場合と同様である。
【0053】
また、携帯電子機器1は、分度器を表示させる場合も、図8−2に示すように、測定対象96の測定時に第1表示面42に、計器92に加え、記憶したまたは設定された比較対象98も表示させることができる。ここで、比較対象98は、記憶されている角度分のバーであり、計器92の画像に重ねて表示されている。
【0054】
このように、計器として分度器を用いる場合も物差しの場合と同様に種々の対象物の角度を計測することが可能となる。また、比較対象を表示させることで、直感的に角度を比較することができる。
【0055】
なお、表示部32に表示させる計器は、物差し、分度器に限定されず、長さ、角度等の形状の測定に用いる種々の計器を表示させることができる。また、ユーザは、必要に応じて、表示させる計器を計器フォルダの中から選択すればよい。
【0056】
また、携帯電子機器1は、通信部26を介して外部との通信を行い、計器の画像データを取得するようにしてもよい。このように、外部から計器の画像データを取得することで、種々の計器の画像を取得することが可能となる。また、記憶部24の計器画像フォルダ66に記憶させる画像データを少なくすることができる。
【0057】
次に、図9−1及び図9−2を用いて、携帯電子機器1の動作、具体的には、計測プログラム62を実行する場合の動作について説明する。ここで、図9−1及び図9−2は、それぞれ携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。なお、図9−1は、筺体2の表面3がユーザに向いており、第1表示面42に画像を表示させる場合である。図9−2は、筺体2の裏面4がユーザに向いており、第2表示面44に画像を表示させる場合である。ここで、計測プログラム62を処理することで実行される、対象物の大きさ、または対象物までの距離を計測するアプリケーション(以下「計測アプリケーション」という。)は、対象物の大きさ、または、対象物までの距離の一方が既知の状態で、他方の未知の値を検出し、計測結果として出力する。
【0058】
まず、携帯電子機器1は、ユーザにより計測アプリケーションの起動指示が入力されたら、記憶部24に記憶されている計測プログラム62を主制御部22で処理し、計測アプリケーションを起動させる。主制御部22は、計測アプリケーションが起動されたら、図9−1に示すように基準バー104を表示させる。
【0059】
ユーザは、基準バー104が表示された状態の第1表示面42と対象物、本実施形態では、人物102とを重ねる。その後、ユーザは、第1表示面42に表示されている基準バー104の長さを人物102の長さと同じにする。携帯電子機器1の主制御部22は、ユーザによって入力される操作に基づいて、第1表示面42内における基準バー104の位置や長さを変化させる。
【0060】
ユーザは、基準バー104の長さを人物102の長さと同じにしたら、既知の値を入力する。例えば、人物102の長さ(身長)が既知の場合は、人物102の長さ、本実施形態では1.65mを入力する。携帯電子機器1の主制御部22は、人物102の長さ、つまり、基準バー104の長さが入力されたら、第1表示面42に表示させている基準バー104の長さと、入力された長さの値に基づいて、人物102との距離を算出する。主制御部22は、算出した距離を項目106として第1表示面42に表示させる。
【0061】
なお、主制御部22は、人物102との距離が既知の場合は、距離を入力することで、入力された距離と第1表示面42に表示されている基準バー104の長さとの関係から、人物102の実際の長さを算出することもできる。なお、算出方法としては、三角法(三角測量で使用する計算方法)を用いることができる。
【0062】
携帯電子機器1は、対象物を第1表示面42に重ねても、第1表示面42を介して、対象物を確認することができる。これにより、第1表示面42に表示させている基準バー104と、対象物の画面上での大きさを合わせることができ、さらに、既知の対象物の大きさ、または、既知の対象物までの距離を入力することで、未知の対象物までの距離、または、未知の対象物の大きさを算出することができる。また、携帯電子機器1は、実際にすかして見える実物を対象として、計測を行うため、計測結果を直感的に理解することができる。
【0063】
ここで、上記実施形態では、第1表示面42に画像を表示させたが、第2表示面44に画像を表示させて、計測アプリケーションを実行してもよい。以下、図9−2を用いて、第2表示面44に画像を表示させる場合について説明する。ここで、携帯電子機器1は、図9−2に示すように、第2表示面44のうち第1表示面42かつ第2表示面44となる領域が第1表示領域110となり、第2表示面44のみとなる領域が第2表示領域112となる。なお、表示部32に画像を表示させていない場合、第1表示領域110は、透明で筐体2の反対側の景色が透けて見え、第2表示領域112は、回路基板8が見える。なお、主制御部22は、第1表示領域110の背景を透明(つまり透けて見える状態)とし、第2表示領域112の背景を不透明としている。
【0064】
まず、携帯電子機器1は、ユーザにより計測アプリケーションの起動指示が入力されたら、記憶部24に記憶されている計測プログラム62を主制御部22で処理し、計測アプリケーションを起動させる。主制御部22は、計測アプリケーションが起動されたら、図9−2に示すように第2表示面44に基準バー114を表示させる。
【0065】
ユーザは、基準バー114が表示された状態の第2表示面44の第1表示領域110と人物102とを重ねる。その後、ユーザは、第2表示面44に表示されている基準バー114を第1表示領域110に移動させ、基準バー114の長さを人物102の長さと同じにする。携帯電子機器1の主制御部22は、ユーザによって入力される操作に基づいて、第2表示面44内における基準バー114の位置や長さを変化させる。なお、基準バー114は、予め第1表示領域110に表示させてもよい。また、主制御部22は、タッチパネル14に入力される操作をユーザの操作として検出する。
【0066】
ユーザは、基準バー114の長さを人物102の長さと同じにしたら、既知の値を入力する。ここで、主制御部22は、第2表示領域112に、基準バー114の高さを表示させる項目116と、対象物までの距離を表示させる項目118と、数字ボタン119を表示させている。主制御部22は、ユーザによる数字ボタン119に対応する位置の押下をタッチパネル14で検出することで、数値の入力を検出する。主制御部22は、例えば、人物102の長さ(身長)が既知の場合は、人物102の長さとして1.65mが入力されたら、項目116に入力結果を表示させる。なお、基準高さを入力するか、距離を入力するかの、入力する項目の選択は、いずれの項目に対応する位置をユーザがタッチしたかを検出して判断すればよい。さらに、主制御部22は、第1表示面42に表示させている基準バー104の長さと、入力された長さの値に基づいて、人物102との距離を算出する。主制御部22は、算出した距離を項目118に表示させる。
【0067】
このように、第2表示面44に画像を表示させる場合でも同様の処理で、対象物までの距離または対象物の大きさを算出し、表示させることができる。また、第2表示面44は、第1表示面42よりも表示面積が多いため、種々の情報を表示させることができる。また、ユーザは、タッチパネル14に操作を入力できるため、方向キー等の操作をすることなく、基準バー114の位置、大きさを調整することができる。これにより、直感的に操作を行うことが可能となる。
【0068】
また、図9−2では、計測アプリケーションの場合で説明したが、計器を表示させるアプリケーションを実行する場合も第2表示面44に画像を表示させるようにしてもよい。
【0069】
次に、図10、図11−1及び図11−2を用いて、携帯電子機器1の動作、具体的には、ナビゲーションプログラム64を実行する場合の動作について説明する。ここで、図10は、携帯電子機器の周囲の状況を説明するための説明図であり、図11−1及び図11−2は、それぞれ携帯電子機器の動作を説明するための説明図である。なお、図11−1は、筺体2の表面3がユーザに向いており、第1表示面42に画像を表示させる場合である。図11−2は、筺体2の裏面4がユーザに向いており、第2表示面44に画像を表示させる場合である。ここで、ナビゲーションプログラム64を処理することで実行される、ナビゲーションアプリケーションは、ユーザの現在位置、また、向いている方向を検出し、ユーザに周辺の状況を通知する。また、ナビゲーションアプリケーションは、設定された目的地への案内情報を通知することもできる。
【0070】
まず、図10に示すように、携帯電子機器1を持っているユーザ(人物131)は、向いている方向に建物132と、タワー134がある道136に立っている。携帯電子機器1は、この位置状態にいる場合に、ナビゲーションアプリケーションを起動させた場合として説明する。なお、建物132にはAビル、タワー134にはBタワー、道136にはC通りという名称が付けられている。
【0071】
まず、携帯電子機器1は、ユーザによりナビゲーションアプリケーションの起動指示が入力されたら、記憶部24に記憶されているナビゲーションプログラム64を主制御部22で処理し、該当するアプリケーションを起動させる。主制御部22は、アプリケーションが起動されたら、GPS通信部37により携帯電子機器1の位置情報を取得し、さらに、地磁気センサ38で携帯電子機器1が向いている方角、水平面に対する角度を検出する。主制御部22は、携帯電子機器1は、位置と、向いている方向、角度を検出したら、該当する領域(自身がいる位置の周囲)の地図情報を取得する。なお地図情報は、記憶部24に記憶された地図情報を取得しても、通信部26を介して外部のデータベースから情報を取得してもよい。
【0072】
主制御部22は、地図情報を取得したら、位置と、向いている方向、角度に基づいて、第1表示面42に透けて見える景色、つまり、ユーザが第1表示面42を見たときに第1表示面42に重なって見える景色に含まれる建物、道を検出する。その後、主制御部22は、検出した第1表示面42内に見える建物、道の位置を算出し、該当する位置に、建物、道の情報(例えば、名称)を表示させる。具体的には、図11−1に示すように、建物132、タワー134、道136が第1表示面42に重なって見える場合 、主制御部22は、建物132に重なる位置に「Aビル」という文字情報142を表示させ、タワー134に重なる位置に「Bタワー」という文字情報144を表示させ、道136に重なる位置に「C通り」という文字情報146を表示させる。また、主制御部22は、ユーザが進むべき方向を矢印148で表示する。
【0073】
携帯電子機器1は、第1表示面42に重なって見える背景にナビゲーションに関する情報を重ねて表示させることで、ユーザが直感的に理解しやすい情報を提供することができる。具体的には、実際の背景(風景、建物)にナビゲーションの情報を重ねて表示させることで、ユーザがナビゲーションの情報と実際の背景とを比較して、判断する必要がなくなる。つまり、地図や表示部に表示される情報と、実際の風景の両者を見比べて対応付けを行う必要がなく、第1表示面42のみを見ることで、対応付けを理解することができる。そのため、ユーザは、自分の周囲に関する情報や、移動すべき道をより簡単に理解することができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、道案内の情報と、周囲の情報の両方を表示させたが、表示させる情報は、目的に応じて切り替えればよい。
【0075】
ここで、上記実施形態では、第1表示面42に画像を表示させたが、ナビゲーションアプリケーションを実行する場合も、第2表示面44に画像を表示させてもよい。以下、図11−2を用いて、第2表示面44に画像を表示させる場合について説明する。なお、本実施形態も、第1表示領域110の背景を透明(つまり透けて見える状態)とし、第2表示領域112の背景を不透明としている。
【0076】
携帯電子機器1は、ナビゲーションアプリケーションを起動させたら、GPS通信部37により携帯電子機器1の位置情報を取得し、さらに、地磁気センサ38で携帯電子機器1が向いている方角、水平面に対する角度を検出する。主制御部22は、携帯電子機器1は、位置と、向いている方向、角度を検出したら、該当領域の地図情報を取得する。主制御部22は、地図情報を取得したら、位置と、向いている方向、角度に基づいて、第2表示面44の第1表示領域110に透けて見える景色に含まれる建物、道を検出する。
【0077】
さらに、主制御部22は、検出した第1表示領域110内に見える建物、道の位置を算出し、該当する位置に、建物、道の情報(例えば、名称)を表示させる。具体的には、図11−2に示すように、建物132、タワー134、道136が第1表示面42に重なって見える場合、主制御部22は、「Aビル」という文字情報152、「Bタワー」という文字情報154、「C通り」という文字情報156を表示させる。ここで、文字情報152、文字情報154、文字情報156は、第2表示領域112に表示される。また、第2表示面44には、文字情報152と建物132に重なる位置とを結ぶ線、文字情報154とタワー134に重なる位置とを結ぶ線、文字情報156が道136に重なる位置を指すことを示す矢印が表示される。さらに、主制御部22は、ユーザが進むべき方向を示す「C通りを直進」という文字情報158を第2表示領域112に表示させる。
【0078】
このように、第2表示面44に画像を表示させる場合も、図11−1に示す場合と同様にナビゲーションアプリケーションを実行することができる。また、第2表示面44に画像を表示させる場合は、文字情報を第2表示領域112に表示させることで、第1表示領域110に透けて見える背景をより、明確に確認することができる。つまり、ナビゲーションアプリケーションで作成した情報は、第2表示領域に優先的に表示させることで、背景を見やすくしつつ、情報を取得することができる。これにより、取得した情報をより理解しやすくすることができる。また、上記実施形態では、背景の各部と、情報とを矢印や、線で対応付けたが、これには限定されず、番号を付して対応付けてもよい。
【0079】
なお、上記実施形態では、携帯電子機器を、計器を用いた計測、測量、ナビゲーションに用いた場合について説明したがこれに限定されない。携帯電子機器は、主制御部22により、第1表示面42または、第2表示面44の第1表示領域110に重なって見える物体(背景)との関係を、縮尺(長さ、大きさ)や、方位(方角)に基づいて処理するアプリケーションであれば種々のアプリケーションを用いることができる。いずれも、物体と表示部の画像とを重ねることができるため、表示部に表示される情報を直感的に理解しやすくすることができる。
【0080】
ここで、携帯電子機器1は、本実施形態のように、操作基板7と、回路基板8と、アンテナ26aと、バッテリ34とは、数字キー12、方向及び決定キー13と表示部32との間に挟まれた領域、つまり、シート部6と表示部32との間に挟まれた領域に配置することが好ましい。これにより、携帯電子機器1を筐体2の表面3側から見た場合、操作基板7と、回路基板8と、アンテナ26aと、バッテリ34とは、本実施形態では、シート部6に隠れて見えない構成とすることができる。
【0081】
さらに、筐体2は、側面5を曲面形状とすることで、回路基板8を見ようとして側面5側から筐体2の内部を覗いても、回路基板8が見えない構造となっている。つまり、側面5を曲面形状とし、側面5から入射した光を屈折させることで、筐体2の側面5から入射した光が回路基板8に届かない構成となる。
【0082】
さらに、携帯電子機器1は、筐体2の裏面4側に、表示部32を配置している。これにより、携帯電子機器1は、表示部32に画像を表示させることで、裏面4側からも回路基板8を見えないようにすることができる。
【0083】
これにより、本実施形態の携帯電子機器1は、筐体2を透明としても、回路基板8等の電子部品を見えないようにすることができ、優れた美観とすることができる。さらに、数字キー12、方向及び決定キー13等の各種キーも配置できるため、操作をしやすくすることができる。
【0084】
また、数字キー12、方向及び決定キー13が配置されている表面3側に第1表示面42を設けることで、第1表示面42に操作画面を表示させることができる。また、裏面4側により大きい第2表示面44を設けることで、大画面に画像を表示させることができる。また、表示部32を透明表示装置とすることで、1つの表示部32で第1表示面42、第2表示面44の両方に画像を表示させることができる。なお、表示面によって、表示させる画像を判定(選択)させることで、適切な画像を表示させることができる。つまり、主制御部22及び表示制御部33の制御により、使用されている表示面に適切な画像を表示させることができる。また、携帯電子機器1は、表面3に、数字キー12、方向及び決定キー13と、表示面積が小さい第1表示面42とを備え、裏面4に、タッチパネル14と、表示面積が大きい第2表示面44とを備える。これにより、携帯電子機器1の使用用途に応じて、表面3と裏面4とを使い分けることができる。例えば、メール等の数字、文字の入力が多くなる操作は、表面3で行い、画面の拡大や、選択が主の操作となる動画、画像の観賞、操作は、裏面4で行うようにすることができる。これにより、操作性を高くすることができる。
【0085】
また、筐体2の数字キー12、方向及び決定キー13等の物理キー(所定の位置に固定されており、タッチパネル14のように透明な板状部材ではないキー)が配置されている面に不透明のシート部6を設けることで、より確実に回路基板8を隠すことができる。このような効果を得ることができるため、シート部6は、不透明とすることが好ましいが、これに限定されず、半透明としてもよい。シート部6を半透明とすることで、回路基板8を見えにくくすることができる。シート部6を見えにくくすることで、美観も一定以上高くすることができる。また、シート部6は、本実施形態のように数字キー12の表面を覆うように配置することが好ましい。これにより、数字キー12の表面の外観を1枚のシート状にすることができ、美観に優れた形状とすることができる。また、キーと筺体2との間の隙間が露出しない構成となるため、防水性を高めることができ、筺体2の構造も簡単になる。
【0086】
また、回路基板8を隠せるため、シート部6を設けることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、シート部6を設けなくてもよい。シート部6を設けなくとも、方向及び決定キー13等の物理キーに対応する位置(向かい合う位置)に回路基板8を配置することで、物理キーにより回路基板8を隠すことができる。ここで、物理キーは、凹凸があったり、対応する機能の文字が印刷されていたり、複数のキーに分かれているため、その裏側が見えにくくなっている。これにより、回路基板8を見えにくくすることができる。
【0087】
なお、物理キーは不透明とすることが好ましい。さらに、物理キーを構成する部分を不透明な部材で形成することが好ましい。これにより、回路基板8を見えにくくすることができる。
【0088】
また、本実施形態のように、携帯電子機器1は、回路基板8に加え、バッテリ34や、アンテナ26aも物理キーと表示部32との間に配置することが好ましい。これにより、バッテリ34やアンテナ26aも見えにくくすることができる。また、アンテナ26aは、筐体2の端部に設けることが好ましく、特に、筐体2の下側端部(文字の表示方向を基準として下側となる端部)に設けることが好ましい。アンテナ26aを端部に設けることで、他の機器に影響を与えることを抑制しつつ、感度を向上できる。また、アンテナ26aを、筐体の下側端部に設けることで、ユーザが筐体2を握った場合も露出しやすい位置にアンテナ26aを配置することができ、感度を高く維持できる。
【0089】
また、携帯電子機器1のように、物理キーを筐体2の長手方向において、中心よりも下側(操作時、つまり文字を表示させる向きを基準として下側)にオフセットして配置することで、操作しやすい位置に物理キーと第1表示面42とを配置することができる。つまり、物理キーを操作しているときに物理キーの上に第1表示面が配置されるため、第1表示面を見ながらの操作を行いやすい。
【0090】
また、本実施形態では、物理キーとして、表面3に、数字キー12を押下したり、方向及び決定キー13を押下したりすることで操作を入力する装置を配置したが、本発明はこれに限定されない。物理キーとしては、トラックボール、方向キー、タッチパッド、光式ポインティングデバイスを用いることができ、表面3には、これらの少なくとも1つを配置すればよい。なお、裏面4には、本実施形態のように、タッチパネル14を設けることが好ましい。これにより、裏面4の第2表示面44に画像を表示させている場合でも操作を入力することができ、操作性を高くすることができる。
【0091】
また、本実施形態のように、シート部6に、物理キーに加え、マイク15及びカメラ36を配置することで、筐体2の透明部分をより多くすることができ、装置の美観をより向上させることができる。なお、シート部6に配置する装置としては、マイク、カメラに限定されず、レシーバや、スピーカ等、不透明な部分が筐体2から露出している部材は、シート部6に配置することが好ましい。なお、美観を向上させるためには、これらの不透明な部分が筐体から露出している部材は、シート部6上に配置することが好ましいが、必ずしも配置する必要はなく、少なくとも1つを配置することが好ましい。
【0092】
なお、携帯電子機器1は、上記実施形態(図9−2、図11−2)のように、第2表示面44に表示させる画像の設定を、第1表示領域110(回路基板8と対面していない領域)と、第2表示領域112(回路基板8に対面している領域)とで、切り替えることが好ましい。つまり、表示部32のうち、第1表示面42かつ第2表示面44となる領域と、第2表示面44のみとなる領域とで、異なる表示制御を行うことが好ましい。
【0093】
具体的には、待受画面を表示させる場合、第1表示領域110は、背景を透明とし、第2表示領域112は、背景を不透明とする。このように、第2表示領域112を不透明、つまり、何かの画像を表示させることで、第2表示領域112の裏面4にある回路基板8を見えないようにしつつ、表示領域を透けた状態とすることができる。これにより、携帯電子機器1の透明な美観を生かしつつ、回路基板8が見えることを抑制することができる。
【0094】
また、第1表示領域110と第2表示領域112とで背景を切り替えるようにしたが、表示させる画像を切り替えるようにしてもよい。具体的には、待受画面を表示させる際に、第2表示領域112のみに画像を表示させ、第1表示領域110には、画像を表示させないようにしてもよい。このようにしても、第1表示領域110を透明に維持したまま、回路基板8が見えることを抑制することができる。なお、主制御部22は、第2表示領域112に優先的に画像を表示させ、表示させる画像が一定の大きさとなったら、第1表示領域110に画像を表示させるようにしてもよい。なお、その場合も背景(壁紙)は、透明とすることが好ましい。
【0095】
また、その他のアプリケーションの操作画面、画像を表示させる場合も同様に、第1表示領域110の背景は透明とし、第2表示領域112の背景は不透明とすることが好ましい。なお、第1表示領域110に表示される背景は、壁紙に限定されない。主制御部22は、その情報(画像)を表示させるために必要な画像のみを表示させ、その他の画像要素は背景として、第1表示領域110では、表示させずに透明とすればよい。例えば、文字情報を表示させる場合は、文字情報のみを表示させ、その他の画像は表示させないようにすればよい。
【0096】
次に、上記実施形態では、携帯電子機器1の筐体2の側面5を曲面としたが、本発明はこれに限定されない。ここで、筐体2の側面5は、表面3及び裏面4に平行な方向から筐体2を見たときに、筐体2の内部の回路基板8が見えない(認識できない)、または、見えにくい構成となっていることが好ましく、側面5の少なくとも一部が、表面3に直交する方向に対して傾いていることが好ましい。このように、側面5の少なくとも一部を、表面3に直交する方向に対して傾いている形状、つまり、表面3に直交する面形状ではない形状とすることで、筐体2の内部の回路基板8が見えない(認識できない)、または、見えにくくすることができる。例えば、筺体の側面は、波形状、筐体の中心に凸の曲面の形状、表面に直交する方向に対して筐体の中心から離れて行く方向に傾いている2つの斜面で構成された形状とすることができる。
【0097】
なお、このように回路基板を見えにくくまたは見えなくできるため、側面の少なくとも一部が、表面3に直交する方向に対して傾いていることが好ましいが、表面3に直交する面としてもよい。また、携帯電子機器は、側面のうち左右方向(長辺側の側面)の側面のみを表面3に直交する方向に対して傾いている形状とすることも好ましい。また、側面のうち、回路基板と対面している部分を表面3に直交する方向に対して傾いている形状とすることも好ましい。このように、側面のうち、回路基板が見えやすい部分、回路基板に近い部分のみを回路基板が見えにくい構成とすることで、携帯電子機器の美観を高くすることができる。
【0098】
また、本実施形態では、筐体2を表面3側の第1筐体2Aと、裏面4側の第2筐体2Bとに分けたが、これには、限定されない。例えば、筐体は、1つの部材で作製してもよく、また、筐体の上下に分かれる構成としてもよい。また、筐体は、1面が開放された箱と、その箱の開放されている面を塞ぐ蓋とで構成してもよい。さらに、筐体は、3つ以上の部材を接合する構成としてもよい。なお、美観をよくするために、いずれの場合も接合面は、接着剤等で接合し、接合面が透明となるようにすることが好ましい。
【0099】
また、携帯電子機器1は、バッテリを非接触で充電可能なバッテリ、例えば、電磁誘導型のバッテリとすることが好ましい。バッテリを非接触で充填できるようにすることで、筐体2に充電用の端子を設ける必要がなくなり、筐体2の美観をよりよくすることができる。また、携帯電子機器を防水性の高い携帯電子機器としやすくすることができる。
【0100】
また、携帯電子機器1は、他の機器とのデータの通信を無線、例えば、赤外線通信、Bluetoothで行うようにすることが好ましい。これにより、データ通信用の端子を設ける必要がなくなり、筐体2の美観をよりよくすることができる。また、携帯電子機器を防水性の高い携帯電子機器としやすくすることができる。
【0101】
また、上記実施形態では、表示部32を、画像を表示させていない状態では透明としたが、半透明でもよい。半透明でも筐体の向こう側が透けて見えるため、上述した各種処理を実行することができる。また、本実施形態では、装置構成が簡単になるため、表示部32を1枚の表示装置で構成したが、2枚の表示装置で構成してもよい。つまり、第1表示面と第2表示面とに異なる表示装置を設けてもよい。また、上述した各種効果を得ることができるため、携帯電子機器の表示部32は、両面に画像を表示させることが好ましいが、いずれか一方のみに画像を表示させる構成としてもよい。
【0102】
また、携帯電子機器1は、美観を高めるために筺体を透明とすることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、表示部の所定領域に背景を重ねることができる、つまり、表示部が透けて見え、背景が重なる構成であればよく、筺体は、不透明でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明にかかる携帯電子機器は、画像を表示させる携帯電子機器に用いることに有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 携帯電子機器
2 筐体
2A 第1筐体
2B 第2筐体
3 表面(第1主面)
4 裏面(第2主面)
5 側面
6 シート部
7 操作基板
8 回路基板
12 数字キー
13 方向及び決定キー
14 タッチパネル
15 マイク
16 レシーバ
22 主制御部(CPU)
24 記憶部(メモリ)
26 通信部
26a アンテナ
28 操作部
30 音声処理部
32 表示部
33 表示制御部
36 カメラ
37 GPS通信部
38 地磁気センサ
42 第1表示面
44 第2表示面
60 計器プログラム
62 計測プログラム
64 ナビゲーションプログラム
66 計器画像フォルダ
82、92 計器
84、86、94、96 測定対象
88、98 比較対象
102、131 人物
104、114 基準バー
106、116、118 項目
110 第1表示領域
112 第2表示領域
119 数字ボタン
132 建物
134 タワー
136 道
142、144、146、152、154、156、158 文字情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示させていない状態で透明となる画像表示領域を有する表示部と、
前記表示部が内部に配置され、前記画像表示領域に対応する箇所が透明材料で形成されている筐体と、
前記表示部のうち、前記画像表示領域に、縮尺及び方位の少なくとも一方を基準とした画像を表示させる制御部と、を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像表示領域に定規の画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、表示させる前記定規の画像を、複数の画像から選択できることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
電波を送受信するアンテナを備え、画面に表示する情報を外部から取得可能な無線通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記無線通信部を介して、複数種類の定規の画像を取得可能であることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記定規の表示時に入力された測定結果を記憶し、入力された測定結果を定規の画像と共に表示させることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
位置情報を取得する位置情報取得部と、前記筐体の向いている方角を特定する方角特定部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記位置情報取得部で取得した位置情報と、前記方角特定部で特定した方角とに基づいて、前記画像表示領域の裏面側に位置する自装置の周辺に関する情報を当該画像表示領域に表示させることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像表示領域に、前記画像表示領域の裏面側に位置し、前記画像表示領域に重なる前記自装置の周辺施設の被写体の情報をナビゲーション画像として表示させることを特徴とする請求項6に記載に携帯電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像表示領域の裏面側に位置し、当該画像表示領域を透過してユーザが視認できる対象物の実際の大きさの情報と、前記画像表示領域に重なる前記対象物の画像上の大きさの情報とが入力されると、これらの情報に基づいて、前記対象物と自装置との距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
不透明または半透明な材料で形成され、前記筐体の表面に配置された物理キーと、
前記物理キーと前記表示部と間に配置された回路部品と、をさらに有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記物理キーは、表面がシート状部材で覆われていることを特徴とする請求項9に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【公開番号】特開2011−166629(P2011−166629A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29553(P2010−29553)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】