説明

携帯電子機器

【課題】本発明は、互いに接続されたコネクタから発生するノイズが筐体の内部において伝播されることを抑制可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、操作部側筐体2の内部に配置され、一方の面に基準電位パターン層75及び第1コネクタ210が設けられる回路基板70と、平板部61及びリブ62を有するケース体60と、回路基板70と、ケース体60における平板部61と、ケース体60におけるリブ62とにより形成される囲繞空間Sと、平板部61に形成される開口部65と、信号線192aを有し、一端から他端に向けて一部が開口部65を介して囲繞空間Sに挿入されるキー基板50と、キー基板50の囲繞空間Sに挿入される一部に信号線192aと電気的に接続して取り付けられると共に、第1コネクタ210に接続される第2コネクタ220と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電子機器としての携帯電話機において、筐体の内部には、複数の基板が収納配置されている。複数の基板は、それぞれに取り付けられたコネクタを介して電気的に接続される。
例えば、一方の面に基準電位パターンが形成され、他方の面に第1コネクタが設けられた回路基板と、ケース部材の平板部における回路基板側と反対側の面からケース部材の壁部の外側を介して回路基板における他方の面に引きまわされるフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板の端部に取り付けられ第1コネクタに接続される第2コネクタと、を備える携帯電話機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される携帯電話機において、互いに接続される第1コネクタ及び第2コネクタがケース部材(シールドケース)の外部に配置されるため、第1コネクタ及び第2コネクタから発生するノイズが筐体の内部において伝播する場合があった。
【0005】
本発明は、互いに接続されたコネクタから発生するノイズが筐体の内部において伝播されることを抑制可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体の内部に配置され、一方の面に基準電位パターン及び第1コネクタが設けられる回路基板と、前記回路基板における前記一方の面側に前記基準電位パターンと電気的に接続して配置されると共に、前記第1コネクタに対向して配置される平板部及び前記平板部と共に前記第1コネクタを囲むように配置される壁部を有するケース部材と、前記回路基板と、前記ケース部材における平板部と、前記ケース部材における壁部とにより形成される囲繞空間と、前記平板部に形成される開口部と、信号線を有し、一端から他端に向けて一部が前記開口部を介して前記囲繞空間に挿入される可撓性基板と、前記可撓性基板の前記囲繞空間に挿入される前記一部に前記信号線と電気的に接続して取り付けられると共に、前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、を備える携帯電子機器に関する。
【0007】
また、前記可撓性基板は、前記囲繞空間に挿入された前記一部が前記信号線を有する第1層と当該第1層に積層配置された第2層とを有し、前記第2層が前記ケース部材に電気的に接続されることが好ましい。
【0008】
また、前記可撓性基板は、前記開口部を閉塞するように前記一端から前記他端に向けて前記一部が前記開口部を介して前記囲繞空間に挿入されることが好ましい。
【0009】
また、前記可撓性基板は、前記一部における前記第2層が前記ケース部材における所定部と直接又は当接部材を介して間接的に当接するよう配置されると共に、前記第2層を剥離して形成され、湾曲形状に変形された状態で前記囲繞空間に配置される第1領域を有し、前記第2コネクタは、前記第1領域における前記第2層が剥離された側に取り付けられることが好ましい。
【0010】
また、前記所定部は、前記第1コネクタに対向する位置に形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記可撓性基板は、前記ケース部材の前記平板部における前記回路基板側と反対側に配置される第2領域を有し、前記第2領域は、前記第2層における前記第1層と反対側に実装される1又は複数のキースイッチを有し、前記開口部は、前記1又は複数のキースイッチに対応する位置と異なる位置に形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記ケース部材は、前記壁部における端部が前記基準電位パターンに当接して配置され、前記開口部は、前記平板部における前記壁部近傍に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば互いに接続されたコネクタから発生するノイズが筐体の内部において伝播されることを抑制可能な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図である。
【図2】操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図3】表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図4】FPC部100を説明するキー基板50の部分正面図である。
【図5】図4におけるA―A断面図である。
【図6】キー基板50の実装状態を説明する部分正面図である。
【図7】図6におけるB―B断面図である。
【図8】図6におけるC―C断面図である。
【図9】図6におけるD―D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1により、携帯電子機器としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図を示す。
【0016】
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体としての操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能に構成される。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
【0017】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。
【0018】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0019】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0020】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップにより覆われている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われる。
【0021】
表示部側筐体3は、外面がフロントパネル3aと、フロントケース3bと、リアケース3cと、リアパネル3dとにより構成される。表示部側筐体3には、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、が外部に露出するように配置される。
表示部21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0022】
次いで、図2から図9により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図2は、操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。図3は、表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。図4は、FPC部100を説明するキー基板50の部分正面図である。図5は、図4におけるA―A断面図である。図6は、キー基板50の実装状態を説明する部分正面図である。図7は、図6におけるB―B断面図である。図8は、図6におけるC―C断面図である。図9は、図6におけるD―D断面図である。
【0023】
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース2aと、キー構造部40と、可撓性基板としてのキー基板50と、ケース部材としてのケース体60と、基準電位パターン層75及び第1コネクタ210が設けられる回路基板70と、バッテリリッド2cを備えたリアケース2bと、バッテリ80と、アンテナ部90とを備える。
【0024】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間(操作部側筐体2の内部)には、キー構造部40と、キー基板50と、ケース体60と、回路基板70と、アンテナ部90とが挟まれるようにして内蔵(配置)される。
【0025】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3の表示部21と対向する内側面に、キー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出される。この露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bの押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれに設けられる後述のメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0026】
キー構造部40は、操作部材40Aと、キーフレーム40Bと、シート部材としてのキーシート40Cと、により構成される。
【0027】
操作部材40Aは、複数のキー操作部材により構成される。具体的には、機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、決定操作キー部材15bとにより構成される。操作部材40Aを構成する各操作キー部材それぞれは、後述するキーフレーム40Bを挟んでキーシート40Cに接着される。キーシート40Cに接着された各操作キー部材それぞれにおける押圧面は、上述の通り、キー孔13a、14a、15aそれぞれから外部に露出して配置される。
【0028】
キーフレーム40Bは、孔部14cが複数形成された金属性の板状部材である。キーフレーム40Bは、入力操作キー部材14bの押圧による回路基板70等への悪影響を防ぐための補強部材である。また、キーフレーム40Bは導電性の部材であり、入力操作キー部材14bにおける静電気を逃がすための部材としても機能する。キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cには、後述するキーシート40Cに形成される凸部14dが嵌合するように配置される。そして、この凸部14dに入力操作キー部材14bが接着される。
【0029】
キーシート40Cは、可撓性を有するシリコンゴム製のシート状部材である。キーシート40Cには、上述の通り、複数の凸部14dが形成される。複数の凸部14dは、キーシート40Cにおけるキーフレーム40Bが配置される側の面に形成される。この複数の凸部14dそれぞれは、後述するキースイッチ52に対応する位置に形成される。
【0030】
図2及び図4に示すように、キー基板50は、キー基板本体99と、キー基板本体99から延出するFPC部100とを有する。
また、図4及び図5に示すように、キー基板50は、複数の信号線192aを有する可撓性基板である。具体的には、キー基板50は、複数の信号線192aを有する第1層192と、基準電位配線194aを含む第2層194とを有する可撓性基板である。
【0031】
図4及び図5に示すように、キー基板50は、第1樹脂層191と、第1層192(信号線192aを含む層)と、第2樹脂層193と、第2層(導電層)194と、第3樹脂層195とを有する。
図4及び図5に示すように、キー基板50は、FPC部100の先端(自由端)側に形成される第1領域110と、第1領域110に連続して形成されFPC部100の一部からキー基板本体99にわたって形成される第2領域120とを有する。
【0032】
第1領域110は、第2層194を有さず、第1層192を有する領域である。第1領域110は、後述する第2領域120における第2層194を剥離することで形成される領域である。
第2領域120は、第1層192と第2層194とが積層配置された領域である。
ここで、基準電位配線は、線状に限定されず、層状に形成された導電性部材を含む。基準電位配線は、後述するケース体60を介して、回路基板70に形成される基準電位パターンとしての基準電位パターン層75に電気的に接続される。
【0033】
キー基板本体99は、キーシート40C側の面である第1面50aに配置される複数のキースイッチ51、52、53を有する。複数のキースイッチ51、52、53、それぞれは、各操作部材40Aに対応する位置に配置される。複数のキースイッチ51、52、53は、第2領域120の第2層194における第1層192側と反対側に実装される。
キー基板50に配置されるキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通するように構成される。また、キー基板50における第2面50b側には、複数の電極配線が形成される。キー基板本体99は、第2領域120で構成される。
【0034】
FPC部100は、キー基板本体99から延出して形成される。FPC部100は、キー基板本体99よりも幅が狭い部分である。
図4に示すように、FPC部100は、キー基板本体99側に形成される第2領域120の一部と、自由端側に形成される第1領域110とを有して構成される。
【0035】
FPC部100は、第2領域120に形成される剥離部300、300を有する。剥離部300、300は、第2領域120における第3樹脂層195を所定領域だけ剥離して形成される。剥離部300、300は、第2層194が露出された部分である。
【0036】
FPC部100における自由端には、第2コネクタ220が取り付けられる。第2コネクタ220は、複数の信号線192aと電気的に接続して取り付けられる。第2コネクタ220は、キー基板50におけるキースイッチ51、52、53及び剥離部300、300と同じ側(第1面50a側)に取り付けられる。第2コネクタ220は、キー基板50において、第1領域110における第2層194が剥離された側に取り付けられる。
【0037】
第2コネクタ200は、回路基板70に実装された第1コネクタ210に接続される(図7から図9参照)。具体的には、FPC部100が後述する開口部65に挿通され、ケース体60の内部(囲繞空間S)に配置される第2コネクタ220は、回路基板70に設けられる第1コネクタ210に接続される。
ここで、第1コネクタ210と第2コネクタ220との接続状態、及びFPC部100における形状については、後に詳述する。
【0038】
図2に示すように、ケース体60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。ケース体60は、回路基板70に対向して配置される平板部61と、平板部61における回路基板70側の面に略垂直に形成されるリブ62(壁部)を有する。リブ62は、回路基板70に実装される各種電子部品のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるよう形成される。リブ62は、平板部61の周縁及び内側に、基準電位部を構成する基準電位パターン層75に対応するように形成される。具体的には、ケース体60が回路基板70に載置された状態で、基準電位パターン層75上に配置されるようにリブ62が形成される。
また、リブ62は、ケース体60が回路基板70に載置された状態で、後述する回路基板70に設けられる第1コネクタ210を囲むように形成される。本実施形態において、ケース体60における平板部61とリブ62とは、回路基板70と共に、所定の囲繞空間Sを形成する。具体的には、平板部61と、リブ62と、回路基板70とは、回路基板70に実装される第1コネクタ210を囲む囲繞空間Sを形成する。
なお、ケース体60は、金属により形成するほか、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成したものでもよい。
【0039】
ケース体60は、回路基板70における第1面70a側に、リブ62の底面(端部)が基準電位パターン層75上に載置され、該基準電位パターン層75と電気的に接続されて配置される。ケース体60は、リブの底面が基準電位パターン層75に当接されることで、該基準電位パターン層75と電気的に接続される。ケース体60は、基準電位パターン層75と電気的に導通して該基準電位パターン層75と同じ大きさの電位を有するようになる。つまり、ケース体60は、シールドケースとして機能する。ケース体60は、シールドケースとして外部からの高周波等のノイズが回路基板70に配置される各種電子部品に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等から放出(伝播)されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やアンテナに接続される受信回路等に作用することを抑制する。具体的には、ケース体60におけるリブ62の底面が基準電位パターン層75上に配置されることで、後述する各回路はリブ62により囲われると共に平板部61の一部により覆われる。リブ62は、各回路における隔壁として機能し、平板部61の一部と共に各回路をシールドする。
本実施形態において、ケース体60は、囲繞空間Sにおいて発生したノイズがケース体60の外部に伝播されることを抑制する。具体的には、ケース体60は、囲繞空間Sに配置される第1コネクタ210及び第2コネクタ220や、FPC部100における第1領域110で発生したノイズがケース体60の外部に伝播されることを抑制する。
【0040】
図2及び図6に示すように、ケース体60は、平板部61に形成された開口部65を有する。開口部65は、ケース体60における幅方向Xに延びる細長い長方形状の貫通部である。開口部65は、平板部61における回路基板70と反対側の面である表面61a側と回路基板70側の裏面61b側とをつなぐように形成される。
開口部65は、FPC部100や第2コネクタ220が挿通可能な大きさや形状に形成される。ここで、開口部65は、可能な限り小さいことが好ましい。
開口部65は、ケース体60の長手方向Yにおける一端側に形成される。開口部65は、平板部61におけるリブ62近傍に形成される。
開口部65は、複数のキースイッチ51、52、53に対応する位置と異なる位置に形成される。
開口部65は、後述する回路基板70に実装される電子部品や回路のうち、ノイズを多く発生する電子部品等からできるだけ離間していることが好ましい。
【0041】
図6に示すように、ケース体60における平板部61には、キー基板50におけるキー基板本体99が配置(載置)される。開口部65には、キー基板本体99から延出するFPC部100が挿通される。開口部65に挿通されたFPC部100の先端に取り付けられる第2コネクタ220は、囲繞空間Sにおいて、第1コネクタ210と接続した状態で保持される。
【0042】
図2に示すように、回路基板70には、アンテナ部90が送受信する信号を処理する信号処理部を含む不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0043】
回路基板70におけるケース体60側の第1面70aには、上述の各種電子部品のほか、基準電位部を構成する基準電位パターン層75が形成される。基準電位パターン層75は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層75は、回路基板70の第1面70aの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
【0044】
回路基板70における第1面70aには、基準電位パターン層75に電気的に接続されるタブ400、400が実装される。タブ400は、ケース体60における開口部65の近傍(幅方向Xにおける両端の近傍)に先端部が当接するよう回路基板70に実装される。
回路基板70における第1面70aには、第1コネクタ210が設けられる。第1コネクタ210には、上述の通り、FPC部100の先端に取り付けられた第2コネクタ220が接続される。
【0045】
アンテナ部90は、基台上に所定形状のアンテナエレメントが配置されることにより構成さる。アンテナ部90は、携帯電話機1における連結部4側と反対の端部側に配置される。アンテナ部90のアンテナエレメントは、帯状の板金により形成される。また、アンテナ部90は、不図示の給電端子を介して回路基板70から給電される。これにより、アンテナエレメントは、給電端子を介して回路基板70から給電されると共に、回路基板70のRFモジュール等と接続される。
リアケース2bの一端側(図2において)には、取り外し可能なバッテリリッド2cが設けられており、バッテリ80をリアケース2bの外側から収納した後、リアケース2bに装着される。また、リアケース2bにおける一端側には、ユーザの音声を入力する不図示の音声入力部12が収容される。
【0046】
図3に示すように、表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、音声出力部22と、フロントケース3bと、音声出力部22と、表示部21と、表示部21が接続されたプリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dと、を備える。
【0047】
表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、表示部21と、プリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dとがそれぞれが積層的に配置される。具体的には、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。
【0048】
そして、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、表示部21が接続されたプリント基板85が挟まれるようにして内蔵される。プリント基板85には、不図示のアンプと接続されるスピーカが接続される。
【0049】
次いで、図6から図9により、第1コネクタ210と第2コネクタ220との接続状態、及びFPC部100における形状について説明する。また、併せて、各作用について説明する。
図6及び図7に示すように、キー基板50は、一端側が平板部61における回路基板70側と反対側の表面61aに配置(載置)されると共に、他端側における第1領域110及び第2領域120の一部を含む所定領域が平板部61における回路基板70側の裏面61b側に配置される。
【0050】
図7に示すように、FPC部100は、開口部65に挿通される。開口部65には、FPC部100における第2領域120が挿通される。
所定領域を構成する第1領域110は、囲繞空間S内において、湾曲して配置される。
FPC部100の先端に取り付けられた第2コネクタ220は、囲繞空間S内において、回路基板70に設けられた第1コネクタ210に接続された状態で配置される。
【0051】
つまり、携帯電話機1は、第1コネクタ210及び第2コネクタ220(接続状態)や、第2層194が剥離された第1領域110が囲繞空間Sに配置されるので、第1コネクタ210及び第2コネクタ220や、第1領域110(第1層192、信号線192a)から発生するノイズがケース体60の外に漏れることを抑制できる。携帯電話機1は、第1コネクタ210及び第2コネクタ220や、第1領域110(第1層192、信号線192a)から発生するノイズが漏れて操作部側筐体2の内部に伝播することを抑制できる。
【0052】
また、第2領域120における開口部65に挿通された部分に連続し、上述の所定領域を構成する第2領域120の一部は、開口部65における回路基板70側の縁部65aに当接配置される。
これにより、第2層194が縁部65aに近接して配置され、キー基板50が開口部65を閉塞するので、開口部65近傍におけるシールド性が向上される。
【0053】
図6及び図8に示すように、囲繞空間Sに配置された第2領域120の一部には、第2層194が露出された剥離部300、300が形成される。
剥離部300と平板部61の当接部320(所定部)との間には、弾力性を有する導電性部材である当接部材310が配置される。
剥離部300は、平板部61の当接部320(所定部)と当接部材310を介して間接的に当接される。
剥離部300(第2層194、基準電位配線194a)と平板部61の当接部320とは、当接部材310を介して、互いに電気的に接続される。
【0054】
ここで、FPC部100における第1領域110が湾曲され(折り曲げられ)弾性力を有した状態で囲繞空間Sに配置されるので、当接部材310は、FPC部100からの弾性力を受けて当接部(所定部)320に押し当てられる。これにより、剥離部300と当接部320とは、安定的に電気的に接続される。
【0055】
また、平板部61における当接部320は、第1コネクタ210(第2コネクタ220)と対向して配置される。これにより、FPC部100からの弾性力が好適に当接部材310に伝えられ、当接部材310は、より好適に当接部320に押し当てられる。剥離部30と当接部320とは、より安定的に電気的に接続される。つまり、ケース体におけるシールド性が向上される。
【0056】
また、当接部320は、開口部65における近傍に形成される。つまり、剥離部300(第2層194、基準電位配線194a)とケース体60とは、開口部65近傍において、電気的に導通される。これにより、ノイズがケース体60の外部に漏れやすい開口部65近傍におけるシールド性が向上される。
【0057】
図6及び図9に示すように、タブ400、400は、開口部65における近傍(幅方向Xにおける両端の近傍)に当接するよう配置される。具体的には、基準電位パターン層75に接続されるタブ400、400は、開口部65の近傍において、先端がケース体60の平板部61における裏面61bに当接するよう配置される。つまり、基準電位パターン層75とケース体60は、開口部65近傍において、電気的に導通される。これにより、ノイズがケース体60の外部に漏れやすい開口部65近傍におけるシールド性が向上される。
【0058】
本実施形態によれば、互いに接続された第1コネクタ210及び第2コネクタ220から発生するノイズが操作部側筐体2の内部に伝播されることを抑制可能な携帯電話機1を提供することができる。
また、本実施形態によれば、第2層194が剥離された第1領域110から発生するノイズが操作部側筐体2の内部に伝播されることを抑制可能な携帯電話機1を提供することができる。
また、本実施形態によれば、囲繞空間Sに挿入された第2層194がケース体60と電気的に接続されるので、挿入された第2層194の電位を確実に基準電位と等しくすることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、FPC部100及び第2コネクタ220をケース体60内(囲繞空間S)に収納させたので、携帯電話機1は、小型化可能である。また、従来キー基板50が配置されていたケース体60の表面61a上のスペースを有効利用することができ、携帯電話機1における設計の自由度が向上される。
【0060】
また、本実施形態によれば、開口部65が平板部61におけるリブ62近傍に形成されるので、開口部65に押圧力が加えられた場合でも、ケース体60が破損することが抑制される。
【0061】
また、本実施形態によれば、開口部65がキー基板本体99に実装されたキースイッチ51等が対応する位置と異なる位置に形成されるので、キースイッチ51等に対して加えられる押圧力によりケース体60が破損されることが抑制される。
【0062】
また、本実施形態によれば、開口部65近傍に当接するようタブ400が配置されるので、開口部65が形成されたことにより低下したケース体60のシールド性及び強度を補うことができる。
【0063】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0064】
また、本実施形態において、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉及び回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【0065】
また、本実施形態において、剥離部300と当接部(所定部)320とは、当接部材310を介して間接的に当接されているが、これに限定されず、剥離部300と当接部320とが直接的に当接するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態において、キー基板50において第2コネクタ220が設けられている部分には第2層194が設けられていないが、これに限定されず、第2コネクタ220が、キー基板50において、第1領域110における第2層194が剥離された側に取り付けられる構成であれば、第2コネクタ220と第1層192との間に第2層194が設けられていてもよい。
【0067】
また、本実施形態において、キー基板50の一端側がケース体60の平板部61に載置されているが、これに限定されず、キー基板50と平板部61の間に他の部材が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
50 キー基板
60 ケース体
61 平板部
62 リブ
65 開口部
70 回路基板
90 アンテナ部
99 キー基板本体
100 FPC部
110 第1領域
120 第2領域
192 第1層
194 第2層
192a 信号線
210 第1コネクタ
220 第2コネクタ
S 囲繞空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、一方の面に基準電位パターン及び第1コネクタが設けられる回路基板と、
前記回路基板における前記一方の面側に前記基準電位パターンと電気的に接続して配置されると共に、前記第1コネクタに対向して配置される平板部及び前記平板部と共に前記第1コネクタを囲むように配置される壁部を有するケース部材と、
前記回路基板と、前記ケース部材における平板部と、前記ケース部材における壁部とにより形成される囲繞空間と、
前記平板部に形成される開口部と、
信号線を有し、一端から他端に向けて一部が前記開口部を介して前記囲繞空間に挿入される可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記囲繞空間に挿入される前記一部に前記信号線と電気的に接続して取り付けられると共に、前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、を備える
携帯電子機器。
【請求項2】
前記可撓性基板は、
前記囲繞空間に挿入された前記一部が前記信号線を有する第1層と当該第1層に積層配置された第2層とを有し、
前記第2層が前記ケース部材に電気的に接続される
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記可撓性基板は、前記開口部を閉塞するように前記一端から前記他端に向けて前記一部が前記開口部を介して前記囲繞空間に挿入される
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記一部における前記第2層が前記ケース部材における所定部と直接又は当接部材を介して間接的に当接するよう配置されると共に、前記第2層を剥離して形成され、湾曲形状に変形された状態で前記囲繞空間に配置される第1領域を有し、
前記第2コネクタは、前記第1領域における前記第2層が剥離された側に取り付けられる
請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記所定部は、前記第1コネクタに対向する位置に形成される
請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記可撓性基板は、前記ケース部材の前記平板部における前記回路基板側と反対側に配置される第2領域を有し、
前記第2領域は、前記第2層における前記第1層と反対側に実装される1又は複数のキースイッチを有し、
前記開口部は、前記1又は複数のキースイッチに対応する位置と異なる位置に形成される
請求項2から5のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記ケース部材は、前記壁部における端部が前記基準電位パターンに当接して配置され、
前記開口部は、前記平板部における前記壁部近傍に形成される
請求項1から6のいずれかに記載の携帯電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−71942(P2011−71942A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223548(P2009−223548)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】