説明

携帯電話端末管理システム、携帯電話端末管理方法、およびコンピュータプログラム

【課題】携帯電話端末の使用が制限される場所への入場者にとって従来よりも好適なタイミングで携帯電話端末を所定の状態に切り替える。
【解決手段】携帯電話端末管理システム1に、飛行機に搭乗する乗客を検知する搭乗ゲートシステム3と、検知された乗客が機内の指定席に着く時刻を予測する着席時刻推定処理部206と、予測された時刻が過ぎた後にその乗客の携帯電話端末に対して電源オフ指令PFCを送信する状態切替指令部210と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末の使用を制限するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末を所定の状態にするように要求される場所がある。例えば、飛行機の中では、携帯電話端末の電源をオフにするように要求される。これは、携帯電話端末が発する電波が飛行機の機器に悪影響を与えることを防止するためである。または、コンサート会場においては、携帯電話端末の電源をオフにしまたはマナーモードにするように要求される。これは、携帯電話端末の着信音が周囲の人にとって迷惑にならないようにするためである。
【0003】
したがって、携帯電話端末を所持している者は、このような場所に立ち入る際に、要求された通りに自分の携帯電話端末の電源をオフにしまたはマナーモードにしなければならない。しかし、電源を切りまたはマナーモードに切り替える操作をし忘れたままである者も少なくない。そこで、特許文献1、2に記載されるような方法が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載される方法によると、コンサート会場に設置した特定通信制御装置CSaにより、コンサート会場内の規制対象エリアにBT無線通信方式を利用した特定無線エリアEaを形成する。そして、特定通信制御装置CSaにおいて、進入検出手段により特定無線エリアEaへの移動通信端末MS2の進入を検出し、進入した移動通信端末MS2に対し端末制御手段によりBT無線通信方式を使用して電源OFFコマンドを送信して、これにより移動通信端末MS2の動作状態を電源断状態に設定する。
【0005】
特許文献2に記載される方法によると、携帯端末装置はチケット情報を基地及びネットワークを介してチケット発行サーバから取得し、その情報を、内蔵する非接触型ICカードに保存する。携帯端末装置はコンサート会場やホール、スタジアム等のゲートに設置されたリーダライタにかざされると、携帯端末装置の設定内容が非接触型ICカードを介してリーダライタからの情報で自動的に書換えられ、携帯端末装置の設定(電源のON/OFFやマナーモード設定)が変更された状態となる。
【特許文献1】特開2001−218264号公報
【特許文献2】特開2004−153785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近、いわゆるチケットレスのサービスが普及し始めている。係るサービスによると、チケットに関する情報を従来の磁気ストライプタイプのチケットの代わりに携帯電話端末に記憶させておく。客は、飛行機の搭乗手続やコンサート会場への入場手続を携帯電話端末によって行う。つまり、特許文献2に記載されるようなサービスである。
【0007】
このようなチケットレスのサービスによると、客は、チケットを受け取る手間を省くことができるし、出掛ける際に忘れてはならない大事な物が1つ減るので精神的な負担を軽減することができる。
【0008】
ところが、チケットレスのサービスと特許文献1、2に記載される方法とを組み合わせた場合に、次のような問題点がある。チケットレスのサービスを利用する場合は、客は、従来型のチケットを持たないので、飛行機またはコンサート会場に入った後、携帯電話端末に表示される座席番号(指定席番号)を見ながら自分の座席を探さなければならない。しかし、特許文献1、2に記載される方法によって、飛行機またはコンサート会場に入るタイミングで携帯電話端末の電源がオフにされるので、自分の座席を探すことができなくなってしまう。または、予め、自分の座席番号を暗記しておかなければならず、面倒である。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑み、携帯電話端末の使用が制限される場所への入場者にとって従来よりも好適なタイミングで携帯電話端末を所定の状態に切り替えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る携帯電話端末管理システムは、所定の場所に入る入場者を検知する入場者検知手段と、前記入場者検知手段によって検知された前記入場者が前記所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測する到着時刻予測手段と、前記到着時刻予測手段によって予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する制御情報送信手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記所定の場所に入るためのチケットごとに、当該チケットを使用する予定である前記入場者の携帯電話端末の識別情報である端末識別情報を当該チケットの識別情報であるチケット識別情報と対応付けて記憶する、端末識別情報記憶手段、を有し、前記入場者検知手段は、前記入場者の前記チケットから前記チケット識別情報を読み取ることによって当該入場者を検知し、前記制御情報送信手段は、前記入場者の携帯電話端末への前記制御情報の送信を、前記端末情報記憶手段に記憶されている、当該入場者の前記チケットから前記入場者検知手段によって読み取られた前記チケット識別情報に対応する前記端末識別情報に基づいて行う。
【0012】
本発明において、「チケット」は、従来の磁気ストライプを有するタイプのチケットであってもよいし、チケット情報が記憶されている携帯電話端末であってもよい。「所定の場所」は、携帯電話端末の使用が制限される場所または区域であって、例えば、飛行機の機内またはコンサート会場の中などである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、携帯電話端末の使用が制限される場所への入場者にとって従来よりも好適なタイミングで携帯電話端末を所定の状態に切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は携帯電話端末管理システム1の全体的な構成の例を示す図、図2はチケット管理システム2の機能的構成の例を示す図、図3は搭乗ゲートシステム3の構成の例を示す図である。
【0015】
本発明に係る携帯電話端末管理システム1は、図1に示すように、チケット管理システム2、複数の搭乗ゲートシステム3、および通信回線4などによって構成される。チケット管理システム2と各搭乗ゲートシステム3とは、通信回線4を介して互いに接続されている。通信回線4として、インターネット、LAN、専用線、または公衆回線などが用いられる。
【0016】
この携帯電話端末管理システム1は、携帯電話端末の使用が制限される場所への入場者の所有する携帯電話端末を所定の状態に強制的に切り替えるための処理を行うシステムである。例えば、飛行機の乗客(搭乗者)の所有する携帯電話端末を電源オフの状態に強制的に切り替える。または、コンサート会場への入場者の所有する携帯電話端末をマナーモードまたは電源オフの状態に強制的に切り替える。
【0017】
以下、ある航空会社Xが運行する飛行機の乗客の所有する携帯電話端末TRを電源オフの状態に切り替えるために携帯電話端末管理システム1が用いられる場合を例に、説明する。
【0018】
チケット管理システム2は、1台または複数台のサーバ機および種々の通信機器などによって構成される。チケット管理システム2のハードウェアおよびソフトウェアの一部分には、既存のチケット管理システムのハードウェアおよびソフトウェアが用いられる。つまり、このチケット管理システム2は、既存のチケット管理システムに、図2に示す各機能を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアを設けることによって、構築することができる。もちろん、既存のチケット管理システムを用いることなく一からチケット管理システム2を構築することも可能である。チケット管理システム2は、航空会社Xによって運営される。
【0019】
チケット管理システム2には、図2に示すように、チケット販売予約受付部201、利用者情報取得部202、着席所要時間情報取得部203、通過者情報受信部204、チェック対象乗客情報生成部205、着席時刻推定処理部206、携帯電話状態確認部207、要確認携帯電話情報生成部208、警告メール送信部209、状態切替指令部210、チェック対象乗客情報記憶部211、要確認携帯電話情報記憶部212、チケット情報データベースDB1、利用者情報データベースDB2、および着席所要時間データベースDB3などの機能が設けられている。
【0020】
搭乗ゲートシステム3は、図3に示すように、チケット読取装置31、チケット適否判別部32、通過者情報生成部33、および通過者情報送信部34などによって構成される。この搭乗ゲートシステム3は、空港の搭乗ゲートごとに設けられている。
【0021】
チケット読取装置31は、飛行機に搭乗するために搭乗ゲートに訪れた乗客のチケットを読み取る装置であって、既存のチケット読取装置を用いることができる。ただし、通過者情報生成部33および通過者情報送信部34などの機能を実現するためのハードウェアまたはソフトウェアが新たに組み込まれている。また、今後普及すると予想される、携帯電話端末を用いる、いわゆるチケットレスサービス(チケットに関する情報を乗客の所有する携帯電話に記憶させておき、従来の磁気ストライプタイプのチケットの代わりに携帯電話端末を使用できるようにするサービス)にも対応させる場合は、携帯電話端末との近距離通信が可能な通信装置(例えば、ICカードリーダ)をチケット読取装置31に設けておく。
【0022】
図4はチケット情報データベースDB1の例を示す図、図5は利用者情報データベースDB2の例を示す図、図6は着席所要時間情報DTCの例を示す図、図7は乗客情報テーブルTLAの例を示す図、図8は要確認携帯電話情報テーブルTLBの例を示す図である。
【0023】
次に、図2に示すチケット管理システム2の各部および図3に示す搭乗ゲートシステム3の各部について、詳細に説明する。
【0024】
チケット管理システム2のチケット情報データベースDB1には、図4に示すように、航空会社Xの運行する飛行機のチケットに関するチケット情報DTAが格納されている。1枚のチケットごとに1つのチケット情報DTAが与えられる。なお、紙面の都合上、図4では、チケット情報DTAを2段に分けて記載している。
【0025】
チケット情報DTAは、チケット販売予約受付部201の処理によって取得される。チケット販売予約受付部201は、チケットの予約の受付つまりチケットの販売のための処理を行う。係る処理の内容は、基本的に、従来のチケットの予約販売の処理の内容と同様である。すなわち、飛行機を利用したい乗客は、予め、旅行代理店のカウンタ、空港の発券機、または航空会社XのWebサイトなどでチケットの購入のための手続を行う。この際に、乗客は、利用したい日付(搭乗年月日)および便名、自分の氏名、生年月日、性別、住所、その他の必要事項を申告する。さらに、本実施形態では、自分の所有する携帯電話端末TRの電話番号(携帯電話番号)および電子メールアドレス(携帯メールアドレス)を申告する。
【0026】
チケット販売予約受付部201は、これらの事項の申告を受け付けると、チケット情報データベースDB1に新たにチケット情報DTAを1つ生成するとともに販売済の他のチケットと区別するためのチケット番号を発行し、その申告内容、チケット番号、およびその便に使用される飛行機の機種などを、対応する各フィールドに書き込む。座席番号は、購入者に対して与えられた座席つまり指定席を識別する情報である。座席番号は、チケットの販売の際に決定する場合もあればチェックインの際に決定する場合もあるが、いずれの場合であっても、決定した時点で適宜書き込まれる。正常チケットフラグは、この時点では空欄にしておく。
【0027】
また、乗客には、チケット番号、フライト日(搭乗年月日)、便名、機種、年齢、性別、および氏名などの情報を磁気ストライプに書き込んだチケットを発行する。または、チケットレスサービスを使用する場合は、乗客の携帯電話端末TRにこれらの情報を送信してメモリに書き込ませる。上述したように、座席番号については、チケットの販売の際に決定する場合もあれば、チェックインの際に決定する場合もあるので、決定した時点で適宜書き込まれる。なお、これらの情報をすべてチケットまたは携帯電話端末TRに書き込む必要はなく、少なくともチケット番号だけを書き込んでおけばよい。チケット管理システム2および搭乗ゲートシステム3の各部は、後に説明する各処理を実行するにあたってチケット番号以外の情報の必要が生じても、チケット情報DTAを参照してこれを取得することができるからである。
【0028】
利用者情報データベースDB2には、図5に示すように、航空会社Xが運営するサービスに加入している会員に関する会員情報DTBが格納されている。1人の会員ごとに1つの会員情報DTBが与えられる。
【0029】
会員情報DTBは、利用者情報取得部202の処理によって取得される。利用者情報取得部202は、サービスへの加入を受け付けるための処理を行う。係る処理の内容は、基本的に、従来の受付の処理の内容と同様である。すなわち、サービスへの加入の希望者は、航空会社Xの窓口またはWebサイトなどで加入のための手続を行う。この際に、希望者は、自分の氏名、生年月日、性別、住所、所有する携帯電話端末TRの携帯電話番号および携帯メールアドレス、その他必要な事項を申告する。
【0030】
利用者情報取得部202は、これらの事項の申告を受け付けると、利用者情報データベースDB2に新たに会員情報DTBを1つ生成するとともに他の会員と区別するための会員番号を発行し、その申告内容および会員番号を、対応する各フィールドに書き込む。
【0031】
着席所要時間データベースDB3には、搭乗ゲートを通過してから飛行機の座席に着くまでに要する時間(以下、「所要時間Ts」と記載する。)を示す着席所要時間情報DTCが格納されている。一般に、搭乗ゲートごとに、そこを通過してから飛行機の入口までの距離は、様々である。また、飛行機の機種ごとに、座席の配置は、様々である。これらの点に鑑み着席所要時間データベースDB3には、原則として、搭乗ゲートと飛行機の機種との組合せごとに1つずつ着席所要時間情報DTCが用意されている。ただし、飛行機の入口までの距離がほぼ同じである搭乗ゲート同士で、着席所要時間情報DTCを共用するようにしてもよい。または、座席の配置がほぼ同じである機種同士で着席所要時間情報DTCを共用するようにしてもよい。
【0032】
着席所要時間情報DTCは、図6に示すように、年齢層、性別、および座席の位置の組合せごとの所要時間Tsを示している。これらの所要時間Tsは、各年齢層および各性別の人間が実際に搭乗ゲートから各座席まで移動する時間を計ることによって得ることができる。または、搭乗ゲートから各座席までの距離などに基づいて推定することによって得てもよい。
【0033】
また、着席所要時間情報DTCには、それが用いられる搭乗ゲートおよび機種の識別情報が対応付けられている。
【0034】
着席所要時間情報DTCは、着席所要時間情報取得部203の処理によって例えば次のように取得される。航空会社Xの担当者は、ある搭乗ゲートからある機種の座席までの所要時間についての着席所要時間情報DTCを得るために、各年齢層および各性別の試験者に、実際にその搭乗ゲートから各座席まで移動させ、その時間を計る。または、推定する。そして、そのようにして得た所要時間を示す情報を、その搭乗ゲートの識別情報および機種の識別情報とともに端末装置に入力する。すると、着席所要時間情報取得部203は、端末装置からこれらの情報を受信し、これらの情報に基づいて着席所要時間情報DTCを生成し着席所要時間データベースDB3に格納する。
【0035】
上述の通り、チケット販売予約受付部201ないし着席所要時間情報取得部203は、主に各データベースに情報を格納(登録)するための処理を行う。一方、次に説明する通過者情報受信部204ないし要確認携帯電話情報記憶部212は、飛行機に搭乗した乗客の携帯電話端末TRを電源オフにするための処理を行う。
【0036】
チェック対象乗客情報記憶部211は、飛行機の1便ごとの乗客情報テーブルTLAを一時的に記憶する。要確認携帯電話情報記憶部212は、飛行機の1便ごとの要確認携帯電話情報テーブルTLBを一時的に記憶する。チェック対象乗客情報記憶部211および要確認携帯電話情報記憶部212は、それぞれ、乗客情報テーブルTLAおよび要確認携帯電話情報テーブルTLBを、遅くとも、その便の搭乗開始時刻になるまでに生成し記憶しておく。そして、不要になった時点で削除する。なお。これらのテーブルには、その便を識別する情報例えばフライト日および便名を示す情報を対応付けておく。これらのテーブルの内容については、後に説明する。
【0037】
通過者情報受信部204は、飛行機に搭乗するために搭乗ゲートを通過した乗客に関する搭乗ゲート通過者情報7Aを搭乗ゲートシステム3から受信する処理を行う。搭乗ゲート通過者情報7Aは、次のようにしてチケット管理システム2に届けられる。
【0038】
乗客は、空港において、チェックインを済ませた後、目的の飛行機の搭乗ゲートに向かう。遅くともそのチェックインを完了した時点までに、その乗客が着席すべき座席の座席番号が決定している。その座席番号は、その乗客の今回の搭乗に係るチケット(またはチケットレスサービスを利用している場合はそのチケットとして用いられる携帯電話端末TR)およびチケット情報DTA(図4参照)のそれぞれに記録される。
【0039】
乗客は、搭乗開始時刻が来たらまたは既に搭乗開始時刻が経過していれば、その搭乗ゲートに設置されている搭乗ゲートシステム3のチケット読取装置31(図3参照)に自分のチケットを読み取らせる。または、チケットレスサービスを利用している場合は、チケット読取装置31に自分の携帯電話端末TRをチケットとしてかざす。
【0040】
すると、チケット読取装置31は、チケット(またはチケットとして用いられる携帯電話端末TR)から、それに記憶されているチケット番号、フライト日、および便名などの情報を読み取る。
【0041】
チケット適否判別部32は、チケット読取装置31が読み取った情報およびそれに対応するチケット情報DTA(図4参照)などに基づいて、そのチケットの適否(搭乗の受付中の便のチケットであるかどうか、偽造されたものでないかどうか、など)をチェックし、正しいチケットであることが分かったら、搭乗ゲートを通過することを許可する。チケット読取装置31およびチケット適否判別部32によるこれらの処理は、従来通りのものである。このように、チケット読取装置31およびチケット適否判別部32は、正しいチケットを持った乗客が搭乗ゲートを通過したことを検知する役割を果たす。
【0042】
本実施形態では、さらに、次の処理を行う。通過者情報生成部33は、そのチケットまたはチケット情報DTAに示されるチケット番号、フライト日、便名、座席番号、年齢、および性別などの事項のほか、その読取りの時刻つまり搭乗ゲートの通過時刻(以下、「搭乗ゲート通過時刻Tt」と記載する。)およびそのチケット読取装置31が設置されている搭乗ゲートなどの事項を示す搭乗ゲート通過者情報7Aを生成する。通過者情報送信部34は、その搭乗ゲート通過者情報7Aをチケット管理システム2に送信する。
【0043】
このようにして、搭乗ゲートを通過した乗客の搭乗ゲート通過者情報7Aが搭乗ゲートシステム3からチケット管理システム2に届けられる。なお、チケット適否判別部32によって正しいチケットであると判別されると、そのチケットのチケット識別番号がチケット管理システム2のチケット情報データベースDB1に通知される。チケット情報データベースDB1は、通知されたチケット識別番号に係るチケット情報DTAの正常チケットフラグを「1」に更新する。この「1」という値は、そのチケットが正常であることが確認されかつそのチケットの所有者が搭乗ゲートを通過したことを意味する。
【0044】
チェック対象乗客情報生成部205は、通過者情報受信部204によって新たに搭乗ゲート通過者情報7Aが受信されるごとに、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示されるチケット番号のチケット情報DTAをチケット情報データベースDB1(図4参照)から抽出する。そして、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示されるフライト日および便名に対応する乗客情報テーブルTLAに新規のレコードを生成し、抽出したチケット情報DTAをそのレコードにコピーする。ただし、必要なフィールドの内容のみをコピーするようにしてもよい。本実施形態では、図7に示すように、チケット番号、座席番号、氏名、生年月日、性別、住所、携帯電話番号、および携帯メールアドレスの各フィールドの内容をコピーする。さらに、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示される搭乗ゲート通過時刻Ttをそのレコードの中の対応するフィールドに格納する。なお、紙面の都合上、図7では、搭乗ゲート通過者情報7Aを2段に分けて記載している。
【0045】
このような処理によって、乗客情報テーブルTLAには、それに対応する便に搭乗するために搭乗ゲートを通過した乗客に関する情報が次々に蓄積されていく。この時点では、携帯電話状態フラグ、および携帯電話電源オフ確認時刻の各フィールドは、空のままにしておく。電源オフ予定時刻のフィールドには、次に説明する着席時刻推定処理部206によって算出される着席予定時刻Tcが格納される。以下、乗客情報テーブルTLAの各レコードを「チェック対象乗客情報8A」と記載する。
【0046】
着席時刻推定処理部206は、通過者情報受信部204によって搭乗ゲート通過者情報7Aが受信されると、その搭乗ゲート通過者情報7Aに係る乗客(つまり、搭乗ゲートを通過した旨の通知があった乗客)がその乗客自身の座席に着く時刻を、例えば次のようにして推定する。
【0047】
まず、乗客が搭乗ゲートを通過してから座席に到着するまでの所要時間を、次のように推定する。その搭乗ゲート通過者情報7Aに示される搭乗ゲートおよび機種に対応する着席所要時間情報DTC(図6参照)を着席所要時間データベースDB3から呼び出す。そして、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示される年齢および性別に対応する所要時間Tsを、乗客が搭乗ゲートを通過してから座席に到着するまでの所要時間であると推定する。以下、推定した所要時間を「推定移動所要時間Tp」と記載する。
【0048】
または、当日の混雑具合に応じた係数αを所要時間Tsに乗じることによって推定移動所要時間Tpを求めてもよい。例えば、標準的な混雑具合のときの係数αを「1」とし、混雑しているときの係数を1よりも大きい値とし、混雑していないときの係数を1未満の値とする。そして、「Tp=α・Ts」の式によって推定移動所要時間Tpを求める。または、混雑しているときは混雑の度合いに応じた所定の値を所要時間Tsに加算し、混雑していないときは所定の値を所要時間Tsから減算することによって、推定移動所要時間Tpを求めてもよい。混雑の状況だけでなくその他の種々の状況(例えば、乳児を同伴しているか否か、搭乗開始時刻より何分経過後に搭乗ゲートを通過したか、当日の乗客の体調など)に応じた関数などを用意しておき、所要時間Tsを調整することによって、推定移動所要時間Tpを求めてもよい。
【0049】
そして、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示される搭乗ゲート通過時刻Ttに、推定した推定移動所要時間Tpを加算することによって、その搭乗ゲート通過者情報7Aに係る乗客が自分の座席に着く予定の時刻を算出する。以下、この算出した時刻を「着席予定時刻Tc」と記載する。
【0050】
算出された着席予定時刻Tcは、その搭乗ゲート通過者情報7Aに示されるフライト日および便名に対応する乗客情報テーブルTLA(図7参照)の中の、その搭乗ゲート通過者情報7Aのチケット番号に対応するレコードの電源オフ予定時刻のフィールドに格納される。このフィールドは、機内に入った乗客が自分の携帯電話端末TRの電源をオフにすべき時刻を意味する。このフィールドに着席予定時刻Tcを格納する理由は、次の通りである。
【0051】
飛行機の機内においては、現在のところ、離着陸時および飛行中は、携帯電話端末の使用が禁じられている。この規定を遵守させるためには、乗客に対して、飛行機に搭乗する前に携帯電話端末の電源を予めオフにしておくようにお願いするのが確実である。しかし、携帯電話端末によるチケットレスサービスを利用する乗客は、機内に入ってから、携帯電話端末に表示される座席番号などを見ながら自分の着くべき座席を探すことがある。そこで、本実施形態では、「電源オフ予定時刻」のフィールドに、乗客が座席番号を見る必要がなくなる時刻つまり乗客自身の座席の位置に着く時刻を設定(格納)することとしている。
【0052】
携帯電話状態確認部207は、搭乗ゲートを通過し自分の座席に着席したと思われる乗客の携帯電話端末TRの状態を確認するための処理を行う。係る処理は、例えば次のようにして行われる。
【0053】
携帯電話状態確認部207は、チェック対象乗客情報記憶部211に記憶されている乗客情報テーブルTLAの中から、搭乗開始時刻は過ぎたが離陸前である便に対応する乗客情報テーブルTLAを検索する。さらに、それらの乗客情報テーブルTLAの中から、電源オフ予定時刻(着席予定時刻Tc)を既に過ぎているチェック対象乗客情報8Aを検索する。
【0054】
そして、見つかったチェック対象乗客情報8Aに係る乗客の携帯電話端末TRとの通信を試みることによって、その携帯電話端末TRの状態を確認する。本実施形態では、携帯電話端末TRの電源の状態を確認する。例えば、チェック対象乗客情報8Aに示される携帯電話番号にダイアルし、携帯電話端末TRを呼び出すことができた場合は電源がオンであると判別し、呼び出すことができなかった場合は電源がオフであると判別する。
【0055】
携帯電話端末TRの状態の確認の処理は、定期的に(例えば、1台の携帯電話端末TRに対して数分ごとに)実行する。
【0056】
携帯電話端末TRの電源がオンの状態であることが確認できた場合はその携帯電話端末TRに係るチェック対象乗客情報8Aの携帯電話状態フラグを「オン」に切り替える。オフの状態であることが確認できた場合は「オフ」に切り替えるとともに、携帯電話オフ確認時刻に、その確認時刻を格納する。また、次に説明するその携帯電話端末TRに係る要確認携帯電話情報8Bが既に要確認携帯電話情報テーブルTLBに作成されている場合は、この要確認携帯電話情報8Bについても同様に説明する。
【0057】
要確認携帯電話情報生成部208は、携帯電話状態確認部207によって電源オンの状態であると判別された携帯電話端末TRの要確認携帯電話情報8Bを新たに生成し、これを要確認携帯電話情報テーブルTLBに格納する処理を行う。係る処理は、例えば次のような手順で行われる。
【0058】
携帯電話状態確認部207は、電源オンの状態の携帯電話端末TRに係るチェック対象乗客情報8Aを、そのチェック対象乗客情報8Aの格納されている乗客情報テーブルTLAに係るフライト日および便名の情報とともに、要確認携帯電話情報生成部208に対して提示する。すると、要確認携帯電話情報生成部208は、提示されたチェック対象乗客情報8Aのうちの所定の事項の項目の情報をコピーする。そして、それらの情報を、図8に示すように、要確認携帯電話情報8Bとして、その基のチェック対象乗客情報8Aとともに提示されたフライト日および便名に対応する要確認携帯電話情報テーブルTLBに格納する。さらに、要確認携帯電話情報8Bには、「警告メール送信回数」というフィールドを設けておく。このフィールドは、後に説明する警告メール送信部209が警告メールKMLを送信した回数を示している。このフィールドの初期値は、「0」としておく。なお、紙面の都合上、図8では、要確認携帯電話情報8Bを2段に分けて記載している。
【0059】
ただし、携帯電話状態確認部207から提示されたチェック対象乗客情報8Aのチケット番号と同一のチケット番号を有する要確認携帯電話情報8Bが既に要確認携帯電話情報テーブルTLBに格納されている場合は、これらの処理は行わない。つまり、要確認携帯電話情報テーブルTLBには、チケット番号が重複する要確認携帯電話情報8Bが存在しないようにする。
【0060】
警告メール送信部209は、既に座席に着席したと思われる乗客が携帯電話端末TRの電源を未だオフにしていない場合に、速やかに電源をオフにするように依頼するメッセージの電子メールをその乗客に対して送信する処理を行う。つまり、警告の電子メールを送信する処理を行う。以下、係る電子メールを「警告メールKML」と記載する。警告メールKMLは、例えば次のようにして送信される。
【0061】
電源オンの状態の携帯電話端末TRが携帯電話状態確認部207によって発見されると、警告メール送信部209は、その携帯電話端末TRの携帯メールアドレスを、チケット情報DTA(図4参照)より取得する。そして、その携帯メールアドレスに宛てて、警告メールKMLを送信する。
【0062】
警告メールKMLを送信したら、その携帯電話端末TRに係る要確認携帯電話情報8B(図8参照)の警告メール送信回数に「1」を加算しておく。
【0063】
状態切替指令部210は、既に座席に着席したと思われる乗客の携帯電話端末TRの電源がオンのままである場合に、強制的に電源をオフにするための指令(以下、「電源オフ指令PFC」と記載する。)をその携帯電話端末TRに対して送信する。電源オフ指令PFCは、その携帯電話端末TRの携帯電話番号にダイアルして送信してもよいし、その携帯電話端末TRの携帯メールアドレスに送信してもよい。携帯電話番号および携帯メールアドレスは、チケット情報DTAより取得することができる。
【0064】
ただし、本実施形態では、電源オンの状態の携帯電話端末TRが発見された場合に直ちに電源オフ指令PFCを送信するのではなく、最初は、警告メール送信部209がその携帯電話端末TRに警告メールKMLを送信する。そして、警告メールKMLを所定の回数送信してもなお、その携帯電話端末TRが依然として電源オンのままであることが携帯電話状態確認部207によって検知(確認)された場合に、状態切替指令部210は、警告メール送信部209が警告メールKMLを送信する代わりに、電源オフ指令PFCを送信する。
【0065】
チケット管理システム2から送信された警告メールKMLおよび電源オフ指令PFCは、基地局、交換機、またはメールサーバなどを介して、送信先である携帯電話端末TRに届けられる。
【0066】
警告メールKMLを受信した携帯電話端末TRは、着信を知らせる音または画面を出力し、その後、その内容(メッセージ)を表示する。ここで、その携帯電話端末TRの所有者である乗客は、その内容を読んだ後、速やかに電源をオフにする。
【0067】
電源オフ指令PFCを受信した携帯電話端末TRは、強制的に(つまり、乗客の操作とは無関係に)電源をオフにする。
【0068】
図9は搭乗ゲートシステム3の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図10はチケット管理システム2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0069】
次に、フライト日が「2005年10月1日」であり便名が「703便」である便の乗客の携帯電話端末TRを管理する場合を例に、チケット管理システム2および搭乗ゲートシステム3の処理の流れを、図9および図10のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
その便が離陸する予定の空港には、その便に搭乗する乗客が次々に訪れ、チェックイン(搭乗手続)を済ませる。この時点までに、各乗客の座席が決定する。乗客は、チェックインの後、セキュリティチェックまたは出国審査などを受け、その便の搭乗ゲートに進む。そして、搭乗開始時刻になったら、自分のチケットまたは携帯電話端末TRをチケット読取装置31に読み取らせることによって、搭乗ゲートを通過するための手続を行う。
【0071】
すると、搭乗ゲートシステム3のチケット読取装置31は、チケットまたは携帯電話端末TRからチケット番号などの情報を読み取り(図9の#30)、その内容の不具合の有無などをチェックする(#31)。正常であることが分かったら(#32でYes)、そのチケットについての搭乗ゲート通過者情報7Aを生成し(#33)、これをチケット管理システム2に送信する(#34)。その後、その乗客は、搭乗ゲートの通過が認められ、飛行機の自分の座席へ向かう。
【0072】
一方、そのチケットに不具合などがあった場合は(#32でNo)、従来通りそれに対応するための処理を実行する(#35)。
【0073】
本便の乗客が搭乗ゲートを通るたびに、図9の処理が実行され、それらの乗客の情報がチケット管理システム2に集められる。
【0074】
チケット管理システム2は、2005年10月1日の703便に対応する乗客情報テーブルTLA(図7参照)および要確認携帯電話情報テーブルTLB(図8参照)を、遅くともその便の搭乗開始時刻になるまでに作成しておく。搭乗開始時刻が過ぎたら、その便の乗客に関する搭乗ゲート通過者情報7Aが搭乗ゲートシステム3から次々に送信されて来るので、これに基づいて各乗客のチェック対象乗客情報8Aを生成しその便に対応する乗客情報テーブルTLAに格納する。
【0075】
さらに、チケット管理システム2は、その便の搭乗開始時刻が過ぎたら、チェック対象乗客情報8Aを生成し格納する処理と並行して、図10に示す処理を実行する。乗客情報テーブルTLAに格納されているチェック対象乗客情報8Aを1つ読み出し(#11)、それに示される電源オフ予定時刻を確認する(#12)。電源オフ予定時刻が既に過ぎている場合は(#12でYes)、そのチェック対象乗客情報8Aに示される携帯電話番号にダイアルすることによって、そのチェック対象乗客情報8Aに係る乗客の携帯電話端末TRの状態を確認する(#13)。
【0076】
乗客の携帯電話端末TRが電源オンの状態であることを初めて検知した場合は(#14でYes、#15でNo)、その乗客の要確認携帯電話情報8Bを生成してその便に対応する要確認携帯電話情報テーブルTLBに格納する(#16)。その携帯電話端末TRに対して警告メールKMLを送信し(#17)、要確認携帯電話情報テーブルTLBの中のその乗客に係る要確認携帯電話情報8Bの警告メール送信回数に「1」を加算する(#18)。
【0077】
その乗客の要確認携帯電話情報8Bを作成済である場合つまりその携帯電話端末TRが電源オンの状態であることが前に検知されたことがある場合であって(#15でYes)、その要確認携帯電話情報8Bに警告メール送信回数に示される回数が所定の値以上である場合は(#19でYes)、その携帯電話端末TRに対して電源オフ指令PFCを送信する(#20)。警告メール送信回数に示される回数が所定の値未満である場合は(#19でNo)、警告メールKMLを送信する(#17)。
【0078】
まだ電源オフ予定時刻が過ぎていない場合(#12でNo)または電源オンの状態であることが確認できなかった場合は(#14でNo)、警告メールKMLおよび電源オフ指令PFCのいずれも送信しない。
【0079】
1つのチェック対象乗客情報8Aに係る携帯電話端末TRについてステップ#11〜#20の処理が終わったら、乗客情報テーブルTLAに格納されている次のチェック対象乗客情報8Aに係る携帯電話端末TRについて同様の処理を実行する。また、これらの処理は、所定の時点までの間、定期的に実行する。例えば、その便の飛行機の離陸時までの間、1つのチェック対象乗客情報8Aに係る携帯電話端末TRに対して2〜3分おきに実行する。
【0080】
このような処理によって、搭乗ゲートを通過した乗客の携帯電話端末TRが乗客の操作によってまたは強制的に電源オフの状態にされる。また、要確認携帯電話情報テーブルTLBには、警告メールKMLを送信したにも関わらず、電源をオフにしてくれなかった乗客の情報が蓄積される。乗務員は、機内の通信装置を用いて係る情報をチケット管理システム2から取得し、注意を喚起する際に参考にすることができる。
【0081】
なお、その便の乗客の携帯電話端末TRの管理が不要になったら、乗客情報テーブルTLAおよび要確認携帯電話情報テーブルTLBを削除する。
【0082】
本実施形態によると、飛行機の乗客の携帯電話端末TRの電源を、従来のように搭乗ゲートを通過した後直ちに切るのではなく、乗客が座席に着いてから切ることができる。よって、携帯電話端末TRの発する電波による飛行機への悪影響を防止しつつ、ユーザがチケット代わりの携帯電話端末TRの画面を見ながら座席を探せるようにすることができる。
【0083】
乗客の中には、自分の座席に着いた後、警告メールKMLまたは電源オフ指令PFCの作用によって自分の携帯電話端末TRの電源をオフにしたにも関わらず、または搭乗時には電源をオフにしておいたにも関わらず、規則に従わずに電源をオンにする乗客が時々見られる。このような乗客に厳しく対処するために、携帯電話端末管理システム1を次のように構成してもよい。
【0084】
図10のステップ#13において携帯電話端末TRの電源がオフであることが確認できたら(#14でNo)、別に用意しておいたテーブルにその携帯電話端末TRに関する情報(チケット番号、携帯電話番号、および電子メールアドレスなど)を格納する。そして、その後、図10の処理を繰り返し実行している最中に、ステップ#13においてその携帯電話端末TRの電源がオンであることが確認できた場合は、ステップ#17において通常よりも厳しい内容のメッセージの警告メールKMLをその携帯電話端末TRに送信する。または、乗務員にその携帯電話端末TRに関する情報を知らせるようにしてもよい。
【0085】
搭乗ゲートに印刷装置を設けておき、搭乗ゲートの通過を認めた乗客に対して、乗客の要求に応じて座席番号および座席までの経路を案内する印刷物を発行してもよい。
【0086】
本実施形態では飛行機の乗客の所有する携帯電話端末TRの状態を管理する場合を例に説明したが、本発明は、他の場所への入場者(進入者)の携帯電話端末TRの状態を管理する場合にも適用することができる。例えば、コンサート会場(イベントホール、球場、または体育館など)の入場者の携帯電話端末TRの状態を管理する場合にも適用することができる。この場合は、携帯電話端末管理システム1を例えば次のように構成し直せばよい。
【0087】
搭乗ゲートシステム3を、コンサート会場の入口ごとに設けておく。チケット情報データベースDB1には、搭乗年月日(フライト日)、便名、および機種の代わりに開催日、コンサート名、および会場名を示すチケット情報DTAを格納しておく。着席所要時間データベースDB3には、コンサート会場ごとに着席所要時間情報DTCを設けておく。
【0088】
入場者が入口を通過しようとするごとにその入場者のチケットを読み取り、そのコンサート会場に対応する着席所要時間情報DTC、その入場者の属性(年齢または性別など)、および周囲の状況(混雑の具合など)に応じて、着席予定時刻Tc(電源オフ予定時刻)を算出する。そして、着席予定時刻Tcを過ぎてもなお、その入場者の携帯電話端末TRの電源オンの状態であることが確認できたら、電源オフ指令PFCまたは警告メールKMLを送信する。状態の確認または電源オフ指令PFCなどの送信の処理は、コンサートが終了するまで繰り返し実行する。
【0089】
間違って他人の座席に座ってしまった乗客のために、携帯電話端末管理システム1にリセット機能を設けておいてもよい。すなわち、乗客の携帯電話端末TRからリセットの要求があった場合に、間違った座席の位置と正しい座席の位置との関係、その乗客の属性、および周囲の状況などに基づいて着席予定時刻Tcを算出し直すようにしてもよい。
【0090】
搭乗する当日に、乗客が携帯電話端末TRを自宅などに忘れてしまうことがある。このように携帯電話端末TRが機内に持ち込まれない場合は、携帯電話端末TRの電源を管理する必要がない。そこで、携帯電話端末TRの状態を確認する際に、GPS(Global Positioning Systems)の機能を用いてその携帯電話端末TRの位置情報を取得し、携帯電話端末TRが機内にないことが分かったら、その携帯電話端末TRが電源オフの状態であるものとみなしてもよい。
【0091】
本実施形態では、携帯電話端末を電源オフの状態に切り替える場合を例に説明したが、本発明を適用する場所によっては、マナーモードの状態に切り替えるように設計してもよい。
【0092】
その他、携帯電話端末管理システム1、チケット管理システム2、搭乗ゲートシステム3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データベース、テーブルの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0093】
上に述べた実施例には、以下に述べるような付記も開示されている。
(付記1)
所定の場所に入る入場者を検知する入場者検知手段と、
前記入場者検知手段によって検知された前記入場者が前記所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測する到着時刻予測手段と、
前記到着時刻予測手段によって予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する制御情報送信手段と、
を有することを特徴とする携帯電話端末管理システム。
(付記2)
前記所定の場所に入るためのチケットごとに、当該チケットを使用する予定である前記入場者の携帯電話端末の識別情報である端末識別情報を当該チケットの識別情報であるチケット識別情報と対応付けて記憶する、端末識別情報記憶手段、を有し、
前記入場者検知手段は、前記入場者の前記チケットから前記チケット識別情報を読み取ることによって当該入場者を検知し、
前記制御情報送信手段は、前記入場者の携帯電話端末への前記制御情報の送信を、前記端末情報記憶手段に記憶されている、当該入場者の前記チケットから前記入場者検知手段によって読み取られた前記チケット識別情報に対応する前記端末識別情報に基づいて行う、
付記1記載の携帯電話端末管理システム。
(付記3)
前記入場者の属性に関する属性情報を取得する属性情報取得手段、を有し、
前記到着時刻予測手段は、前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻を、前記属性情報取得手段によって取得された当該入場者の前記属性情報に基づいて予測する、
付記1または付記2記載の携帯電話端末管理システム。
(付記4)
前記入場者の指定席を示す指定席情報を取得する指定席情報取得手段、を有し、
前記到着時刻予測手段は、前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻として、当該入場者に与えられた座席に到着する時刻を、前記指定席情報取得手段によって取得された当該入場者の前記指定席情報に基づいて予測する、
付記1ないし付記3のいずれかに記載の携帯電話端末管理システム。
(付記5)
前記到着時刻予測手段によって予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末を前記所定の状態に切り替えるように当該入場者に依頼するメッセージを当該携帯電話端末に対して送信する切替依頼メッセージ送信手段、を有し、
前記制御情報送信手段は、前記入場者の携帯電話端末への前記制御情報の送信を、前記切替依頼メッセージ送信手段によって前記メッセージが所定の回数以上当該携帯電話端末に送信された後に、行う、
付記1ないし付記4のいずれかに記載の携帯電話端末管理システム。
(付記6)
所定の場所に入る入場者を検知し、
検知した前記入場者が前記所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測し、
予測した前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する、
ことを特徴とする携帯電話端末管理方法。
(付記7)
所定の場所での携帯電話端末の使用を制限するためのコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
所定の場所に入る入場者が検知されると当該入場者が当該所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測する処理を実行させ、
予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する処理を実行させる、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】携帯電話端末管理システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】チケット管理システムの機能的構成の例を示す図である。
【図3】搭乗ゲートシステムの構成の例を示す図である。
【図4】チケット情報データベースの例を示す図である。
【図5】利用者情報データベースの例を示す図である。
【図6】着席所要時間情報の例を示す図である。
【図7】乗客情報テーブルの例を示す図である。
【図8】要確認携帯電話情報テーブルの例を示す図である。
【図9】搭乗ゲートシステムの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】チケット管理システムの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯電話端末管理システム
31 チケット読取装置(入場者検知手段、属性情報取得手段、指定席情報取得手段)
206 着席時刻推定処理部(到着時刻予測手段)
210 状態切替指令部(制御情報送信手段)
DB1 チケット情報データベース(端末識別情報記憶手段)
PFC 電源オフ指令(制御情報)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所に入る入場者を検知する入場者検知手段と、
前記入場者検知手段によって検知された前記入場者が前記所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測する到着時刻予測手段と、
前記到着時刻予測手段によって予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する制御情報送信手段と、
を有することを特徴とする携帯電話端末管理システム。
【請求項2】
前記所定の場所に入るためのチケットごとに、当該チケットを使用する予定である前記入場者の携帯電話端末の識別情報である端末識別情報を当該チケットの識別情報であるチケット識別情報と対応付けて記憶する、端末識別情報記憶手段、を有し、
前記入場者検知手段は、前記入場者の前記チケットから前記チケット識別情報を読み取ることによって当該入場者を検知し、
前記制御情報送信手段は、前記入場者の携帯電話端末への前記制御情報の送信を、前記端末情報記憶手段に記憶されている、当該入場者の前記チケットから前記入場者検知手段によって読み取られた前記チケット識別情報に対応する前記端末識別情報に基づいて行う、
請求項1記載の携帯電話端末管理システム。
【請求項3】
前記入場者の属性に関する属性情報を取得する属性情報取得手段、を有し、
前記到着時刻予測手段は、前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻を、前記属性情報取得手段によって取得された当該入場者の前記属性情報に基づいて予測する、
請求項1または請求項2記載の携帯電話端末管理システム。
【請求項4】
所定の場所に入る入場者を検知し、
検知した前記入場者が前記所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測し、
予測した前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する、
ことを特徴とする携帯電話端末管理方法。
【請求項5】
所定の場所での携帯電話端末の使用を制限するためのコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
所定の場所に入る入場者が検知されると当該入場者が当該所定の場所の中の所定の位置に到着する時刻を予測する処理を実行させ、
予測された前記入場者が前記所定の位置に到着する時刻が過ぎた後に当該入場者の携帯電話端末に対して当該携帯電話端末を所定の状態にするための制御情報を送信する処理を実行させる、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−150545(P2007−150545A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340294(P2005−340294)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】