説明

撮像ユニット、内視鏡及び撮像ユニットの製造方法

【課題】撮像素子が実装された後のフレキシブルプリント配線板の厚さが薄く、小型な撮像ユニット及び前記撮像ユニットを備えた内視鏡と前記撮像ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】撮像素子、及びフレキシブルプリント配線板を含む撮像ユニットにおいて、前記撮像素子は、受光部、前記受光部に電気的に接続された金属配線層、前記金属配線層に形成された金属パッド、及び前記金属パッドを受光側とは反対側に露出させるように設けられた開口部、を含み、前記フレキシブルプリント配線板は、前記開口部内において前記金属パッドと電気的に接続される金属線を含み、かつ前記撮像素子の受光側とは反対側の面上に接着剤によって接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板上に実装された撮像素子を有する撮像ユニット、撮像ユニットの製造方法及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の体内や構造物の内部等の観察が困難な箇所を観察するために、生体や構造物の外部から内部に導入可能であって、光学像を撮像するための撮像ユニットを具備した内視鏡が、例えば医療分野や工業分野において利用されている。
【0003】
内視鏡の撮像ユニットは、被写体像を結像する対物レンズと、対物レンズの結像面に配設された一般にCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ等と称される撮像素子を具備してなる。
【0004】
撮像素子には、基板上への実装面積を小さくするために、撮像素子の光が入射する面(入射面)とは反対側に、基板との電気的な接続を行うための金属バンプが設けられる形態のものがある。例えば特開2007−73958号公報には、はんだバンプによって基板上に実装する撮像素子のパッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光が入射する面とは反対側に設けられた金属バンプを介して撮像素子を基板上に実装する場合、撮像素子と基板との間に金属バンプが存在することによって、撮像素子が実装された後の基板の厚さが増してしまう。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、撮像素子が実装された後のフレキシブルプリント配線板の厚さが薄く、小型な撮像ユニット及び前記撮像ユニットを備えた内視鏡と前記撮像ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像ユニットは、被写体像を結像する対物レンズを透過した光を入射面側から受光する撮像素子、及び前記撮像素子の前記入射面とは反対側の面である支持面と接合されるフレキシブルプリント配線板を含む撮像ユニットであって、前記撮像素子は、前記入射面側から受光した光を光電変換する複数のフォトダイオードからなる受光部と、前記受光部に電気的に接続される金属配線層と、前記金属配線層の前記支持面側の面上に設けられた金属パッドと、前記金属パッドを前記支持面側に露出させるように前記支持面から前記金属パッドに至るように凹設された開口部と、を含み、前記フレキシブルプリント配線板は、前記撮像素子と電気的に接続される電子回路と、前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属パッドと電気的に接続される金属線と、を含み、前記撮像素子の前記支持面上に接着剤によって接着される。また、本発明の内視鏡は、前記撮像ユニットを備える。
【0009】
また、本発明に係る撮像ユニットの製造方法は、被写体像を結像する対物レンズを透過した光を入射面側から受光する撮像素子、及び前記撮像素子の前記入射面とは反対側の面である支持面と接合されるフレキシブルプリント配線板を含む撮像ユニットの製造方法であって、前記撮像素子は、前記入射面側から受光した光を光電変換する複数のフォトダイオードからなる受光部と、前記受光部に電気的に接続される金属配線層と、前記金属配線層の前記支持面側の面上に設けられた金属パッドと、を含み、前記フレキシブルプリント配線板は、前記撮像素子と電気的に接続される電子回路と、前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属パッドと電気的に接続される金属線と、を含んでおり、前記撮像素子の前記支持面に開口部を設けて、前記金属パッドを露出させる行程と、前記撮像素子の前記支持面上に、前記フレキシブルプリント配線板を接着剤によって接着する行程と、前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属線を前記金属パッドに電気的に接続する行程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像素子が実装された後のフレキシブルプリント配線板の厚さが薄く、小型な撮像ユニット及び前記撮像ユニットを備えた内視鏡と前記撮像ユニットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】内視鏡の構成を説明する図である。
【図2】内視鏡の先端部の構成を説明する図である。
【図3】撮像素子及びフレキシブルプリント配線板の断面図である。
【図4】撮像素子及びフレキシブルプリント配線板を対物レンズとは反対側から見た図である。
【図5】撮像ユニットの製造方法を説明するための図である。
【図6】撮像ユニットの製造方法を説明するための図である。
【図7】撮像ユニットの製造方法を説明するための図である。
【図8】撮像ユニットの製造方法を説明するための図である。
【図9】撮像ユニットの製造方法を説明するための図である。
【図10】第1の変形例を説明するための図である。
【図11】第2の変形例を説明するための図である。
【図12】第3の変形例を説明するための図である。
【図13】第4の変形例を説明するための図である。
【図14】図13のXIV-XIV断面図である。
【図15】第2の実施形態の撮像素子及びフレキシブルプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。まず、図1を参照して、本発明に係る撮像ユニット1を具備する内視鏡101の構成の一例を説明する。本実施形態の内視鏡101は、人体等の被検体内に導入可能であって被検体内の所定の観察部位を光学的に撮像する構成を有する。なお、内視鏡101が導入される被検体は、人体に限らず、他の生体であってもよいし、機械や建造物等の人工物であってもよい。
【0014】
内視鏡101は、被検体の内部に導入される挿入部102と、この挿入部102の基端に位置する操作部103と、この操作部103の側部から延出するユニバーサルコード104とで主に構成されている。
【0015】
挿入部102は、先端に配設される先端部110、先端部110の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部109、及び湾曲部109の基端側に配設され操作部103の先端側に接続される可撓性を有する可撓管部108が連設されて構成されている。なお、内視鏡101は、挿入部に可撓性を有する部位を具備しない、いわゆる硬性鏡と称される形態のものであってもよい。
【0016】
詳しくは後述するが、先端部110には、撮像ユニット1、及び照明光出射部113(図1には不図示)が設けられている。また、操作部103には、湾曲部109の湾曲を操作するためのアングル操作ノブ106が設けられている。
【0017】
ユニバーサルコード104の基端部には外部装置120に接続される内視鏡コネクタ105が設けられている。内視鏡コネクタ105が接続される外部装置120は、例えば、光源部、画像処理部及び画像表示部121を具備して構成されている。
【0018】
また、内視鏡101は、ユニバーサルコード104、操作部103及び挿入部102内に挿通された電気ケーブル115及び光ファイバ束114(図1には不図示)を具備している。
【0019】
電気ケーブル115は、コネクタ部105と撮像ユニット1とを電気的に接続するように構成されている。コネクタ部105が外部装置120に接続されることによって、撮像ユニット1は、電気ケーブル115を介して外部装置120に電気的に接続される。この電気ケーブル115を介して、外部装置120から撮像ユニット1への電力の供給、及び外部装置120と撮像ユニット1との間の通信が行われる。
【0020】
外部装置120に設けられた画像処理部は、撮像ユニット1から出力された撮像素子出力信号に基づいて映像信号を生成し、画像表示部121に出力する構成を有している。すなわち、本実施形態では、撮像ユニット1により撮像された光学像が、映像として表示部121に表示される。なお、画像処理部及び画像表示部121の一部又は全部は、内視鏡101に配設される構成であってもよい。
【0021】
また、光ファイバ束114は、外部装置120の光源部から発せられた光を、先端部110の照明光出射部113にまで伝えるように構成されている。なお、光源部は、内視鏡101の操作部103や先端部110に配設される構成であってもよい。
【0022】
次に、先端部110の構成を説明する。図2に示すように、先端部110には、撮像ユニット1及び照明光出射部113が配設されている。
【0023】
本実施形態では一例として、撮像ユニット1は、図2中に矢印Lで示す挿入部102の長手方向(挿入軸方向)に沿って先端方向を撮像するように配設されている。より具体的には、撮像ユニット1は、後述する対物レンズ4の光軸Oが挿入部102の長手方向に沿うように配設されている。なお、撮像ユニット1は、光軸Oが、挿入部102の長手方向に対して所定の角度をなすように配設されるものであってもよい。
【0024】
また、照明光出射部113は、光ファイバ束114から入射した光を、撮像ユニット1の被写体を照明するように出射する構成を有している。本実施形態では、照明光出射部113は、挿入部102の長手方向に沿って、先端部110の先端面から先端方向に向かって光を出射するように構成されている。
【0025】
撮像ユニット1及び照明光出射部113は、先端部110に設けられた保持部111によって保持されている。保持部111は、先端部110の先端面110aに露出する硬質な部材であって、挿入部102の長手方向に沿って穿設された貫通孔111a及び111bが設けられている。
【0026】
貫通孔111a及び111b内には、撮像ユニット1及び照明光出射部113が、接着剤やネジ止め等の方法によって固定されている。また、貫通孔111b内に、基端側から光ファイバ束114が挿入され、固定されている。
【0027】
次に、本実施形態の撮像ユニット1の構成を説明する。図2に示すように、撮像ユニット1は、対物レンズ4、撮像素子10及びフレキシブルプリント配線板20を具備して構成されている。撮像ユニット1を構成するこれらの部材は、略枠形状の保持枠3によって保持されている。本実施形態では、保持枠3は、光軸Oの周囲を囲う筒形状の部材である。
【0028】
なお以下において、撮像ユニット1の光軸Oに沿って、撮像ユニット1から被写体へ向かう方向(図2において左方)を前方と称し、その反対の方向を後方と称するものとする。
【0029】
対物レンズ4は、筒形状のレンズ鏡筒2内に配設され、被写体像を後述する撮像素子10の受光部11b上に結像するための1つ又は複数のレンズ等の光学部材からなる。レンズ鏡筒2は、保持枠3内に前方から嵌合し、位置決めされた状態で接着剤等によって固定される。なお、対物レンズ4は、反射鏡、プリズム又は光学フィルタ等の光学素子を含む形態であってもよい。また、対物レンズ4は、焦点距離の変更が可能な構成を有する形態であってもよい。
【0030】
撮像素子10及びフレキシブルプリント配線板20は、詳しくは後述するが、それぞれが一体的に接合された後に、保持枠3内に後方から挿入され、固定される。また、フレキシブルプリント配線板20の後方には、電気ケーブル115が接続されている。
【0031】
撮像素子10は、対物レンズ4を通過した光を受光し光電変換を行う複数のフォトダイオードが配列されてなる受光部11bを有してなり、一般にCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等と称される形式、あるいはその他の各種の形式の撮像素子が適用され得る。
【0032】
本実施形態では一例として、撮像素子10は、いわゆる裏面照射(BackSide Illumination)方式と称される形態のCMOSセンサである。裏面照射方式のCMOSセンサの構成は公知であるため、撮像素子10の詳細な説明は省略するものとする。
【0033】
撮像素子10は、図3に示すように、センサ基板11、ガラス基板12及び支持基板13が接合されて構成されている。
【0034】
センサ基板11は、シリコン基板11aに形成された複数のフォトダイオードからなる受光部11b、及び受光部11b上に形成された金属配線層11cを有して構成されている。裏面照射方式のCMOSセンサを構成するセンサ基板11は、公知のように、受光部11bが、金属配線層11cよりも対物レンズ4からの光が入射する側に配設される構成を特徴とするものである。シリコン基板11aは、シリコン基板11a上に受光部11b及び金属配線層11cを形成する行程が完了した後に、金属配線層11cとは反対側から受光部11bに光が入射する厚さにまで研磨されている。
【0035】
以下では、撮像素子10の受光部11bに光が入射する側の面(前方に向く面)を入射面10dと称し、撮像素子10の入射面10aと反対の面(後方に向く面)を支持面10bと称するものとする。すなわち、撮像素子10の入射面10bは、対物レンズ4側の面である。
【0036】
センサ基板11においては、受光部11bが入射面10a側に配設されており、金属配線層11cが支持面10b側に配設されている。センサ基板11の支持面10b側の面(対物レンズ4とは反対側の面)上には、金属配線層11cの一部である、金属パッド11fが露出して形成されている。金属パッド11fは、詳しくは後述するが、撮像素子10と、撮像素子10が実装されるフレキシブルプリント配線板20と、の電気的な接続を行うためのものである。この金属パッド11fを介して、撮像素子10への電力供給、撮像素子10の駆動制御及び撮像素子10からの信号出力が行われる。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では一例として、センサ基板11の外縁部に沿って、複数の金属パッド11fが配列されている。なお、本実施形態では、複数の金属パッド11fが1列に配列されているが、複数の金属パッドは行列状や千鳥状に配列される形態であってもよい。
【0038】
ガラス基板12は、センサ基板11の入射面10a側の面上に接合されている。なお、ガラス基板12とセンサ基板11の受光部11bとの間には、カラーフィルタやマイクロレンズ等が適宜に配設される。
【0039】
支持基板13は、センサ基板11の支持面10b側の面(対物レンズ4とは反対側の面)上に接合されている。支持基板13は、受光部11b及び金属配線層11cが形成された後のシリコン基板11aを研磨する行程においてセンサ基板11を保持し、シリコン基板11aが研磨された後のセンサ基板11を含む撮像素子10の剛性を高めるためのものである。
【0040】
支持基板13には、センサ基板11cの金属パッド11fを露出させる1つ又は複数の開口部13aが形成されている。開口部13aは、撮像素子10を、支持面10b側から見た場合(対物レンズ4とは反対側から見た場合、図4の視点)に、センサ基板11の金属パッド11fを露出させるように形成されている。すなわち、撮像素子10において、センサ基板11の入射面10a上に形成された金属パッド11fは、支持基板13の開口部13aを介して外部に露出している。
【0041】
開口部13aは、金属パッド11fを露出させるように、支持基板13の周縁部の一部を厚さ方向に貫通する形状を有する。開口部13aは、1つの開口部13aにつき1つの金属パッド11fを露出させる形態であってもよいし、1つの開口部13aにつき複数の金属パッド11fを露出させる形態であってもよい。
【0042】
開口部13aの形状や数は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、開口部13aは1つであって、センサ基板11に設けられた全ての金属パッド11fを露出させる形態を有する。本実施形態の開口部13aは、支持基板13の外縁を含む開口であり、支持基板13を外縁から内側に向かって切り欠いたような形状を有する。
【0043】
開口部13aを形成する方法は特に限定されるものではなく、エッチング等の化学的な除去加工であってもよいし、切削や研磨等の機械的な除去加工であってもよい。本実施形態では一例として、開口部13aは、プラズマエッチングによって形成される。
【0044】
また、本実施形態では、複数の金属パッド11fのそれぞれに金属バンプ11gが形成されている。金属バンプ11gは、金属パッド11fから突出するように設けられた金属製の部材である。金属バンプ11gには、後述するフレキシブルプリント配線板20の金属線20aが接合される。金属バンプ11gの金属パッド11fからの高さは、金属線20aが接合された状態において、支持面10bよりも低い。すなわち、金属バンプ11fの高さは、支持基板13の厚さよりも低い。言い換えれば、金属バンプ11gの頂部は、撮像素子10の後方の面である支持面10bよりも前方に位置している。
【0045】
金属バンプ11gを構成する材料は、金属パッド11f及び後述する金属線20aとの接合が可能であり導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。本実施形態では一例として、金属バンプ11gは、金によって構成されている。本実施形態の金属バンプ11gは、超音波接合によって金属パッド11f上に接合されている。
【0046】
フレキシブルプリント配線板20は、一部又は全部が可撓性を有する電子回路基板である。フレキシブルプリント配線板20は、電気絶縁性の樹脂からなる折り曲げ可能なフィルム状の基材上に、金属箔等の導電性の材料によって電子回路を形成したものである。なお、フレキシブルプリント配線板20上には、電子部品が実装されていてもよい。
【0047】
フレキシブルプリント配線板20は、図2に示すように、先端部110内において前後方向に延在するように配設されている。フレキシブルプリント配線板20の前方側端部は、後述する構成によって、撮像素子10の支持面10bに接着され機械的に固定されており、フレキシブルプリント配線板20に形成された電子回路は撮像素子10の金属パッド11fと電気的に接続されている。
【0048】
また、フレキシブルプリント配線板20の後方側端部には、電気ケーブル115が電気的に接続されている。なお、フレキシブルプリント配線板20と電気ケーブル115との電気的な接続は、半田付けによって直接的に行われる形態であってもよいし、着脱自在なコネクタを介して間接的に行われる形態であってもよい。
【0049】
より具体的には、フレキシブルプリント配線板20は、図3に示すように、撮像素子10の支持面10b上に接着剤21によって機械的に固定されている。本実施形態では、撮像素子10の支持面10bとは支持基板11の後方側の面であることから、フレキシブルプリント配線板20は、支持基板11に接着剤によって接着されている。接着剤21の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態の接着剤21は、一例として非導電性の接着樹脂である。
【0050】
また、フレキシブルプリント配線板20には、電子回路に電気的に接続された複数の金属線20aが外部に露出した状態で設けられている。金属線20aは、撮像素子10の金属パッド11fと、フレキシブルプリント配線板20の電子回路との電気的な接続を行うためのものである。金属線20aは、例えば金属同士の超音波接合や、導電性接着剤による接合、又は半田による接合等の公知の方法によって金属パッド11fに接続されている。
【0051】
本実施形態では一例として、金属線20aは表面に金メッキが施され、フレキシブルプリント配線板20の外縁部から外方に向かって延出する短冊状の金属製の薄片である。金属線20aは、フレキシブルプリント配線板20の電子回路を形成する金属箔の一部がフレキシブルプリント配線板20の外縁部から外方に突出したものであり、一般に、フライングリード等と称されるものである。
【0052】
本実施形態では、複数の金属パッド11fが1列に配列されていることから、複数の金属線20aは、図4に示すように複数の金属パッド11fの配列間隔と略同一の間隔で一方向に沿って配列されている。金属線20aは、金属バンプ11g上に超音波接合されることによって、金属バンプ11gを介して金属パッド11fに接合されている。
【0053】
前述したように、金属バンプ11gの高さが、金属線20aが接合された状態において、支持基板13の厚さよりも低いことから、金属線20aと金属バンプ11gとの接合は、支持基板13とフレキシブルプリント配線板20とが接着剤21により固定された面である支持面10bよりもセンサ基板11に近い位置においてなされている。言い換えれば、金属線20aと金属バンプ11gとの接合は、支持基板13に設けられた開口部13a内においてなされている。
【0054】
金属線20aと金属パッド11fとが接合されることにより、フレキシブルプリント配線板20の電子回路と撮像素子10とが電気的に接続される。以上に説明したように、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20とは、機械的及び電気的に接続されている。
【0055】
次に、図5から図9を参照して以上に述べた構成を有する撮像ユニット1における、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との機械的及び電気的な接続の方法を説明する。
【0056】
図5は、開口部13aが形成される前の撮像素子10単体を示している。前述したように、撮像素子10のセンサ基板11の支持面10b側には金属パッド11fが形成されており、センサ基板11の支持面10b側には支持基板13が接合されている。そして、支持基板13は、センサ基板11の全体を覆っている。
【0057】
次に、図6に示すように、プラズマエッチングにより支持基板13を厚さ方向に貫通する開口部13aを形成する。この行程により、センサ基板11に形成されている金属パッド11fが、撮像素子10の入射面10aとは反対側の支持面10b側に露出する。言い換えれば、金属パッド11fが、対物レンズ4とは反対側に露出する。
【0058】
次に、図7に示すように、金属パッド11f上に金属バンプ11gを形成する。そして、図8に示すように、接着剤21によってフレキシブルプリント配線板20を支持面10b上に位置決めして接着する。このとき、フレキシブルプリント配線板20は、金属線20aが金属パッド11f上に重なるように位置決めされて固定される。次に、金属線20aと、金属バンプ11gとを、開口部13a内の支持面10bよりもセンサ基板11に近い位置において、超音波接合により接合する。
【0059】
以上の行程により、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20とが機械的及び電気的に接続される。
【0060】
以上に説明した撮像ユニット1では、撮像素子10の、対物レンズ4とは反対側(光が入射する側とは反対側)に配設された支持基板13に開口部13aを形成することによって金属パッド11fを露出させ、この開口部13a内において金属パッド11fとフレキシブルプリント配線板20の金属線20aとの電気的な接続が行われている。また、本実施形態の撮像ユニット1における、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との機械的な接続は、撮像素子10の光が入射する入射面10aとは反対側の支持面10bとフレキシブルプリント配線板20との間に接着剤21を介装させることで行われている。
【0061】
このように、本実施形態では、撮像素子10の光が入射する側とは反対側の面から突出するはんだバンプや金バンプ等の金属バンプを用いずに、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との機械的な接続及び電気的な接続を行うため、撮像素子10が実装された後のフレキシブルプリント配線板20の厚さを薄くすることが可能である。またこのような撮像ユニット1を備えた内視鏡101は、先端部110を小型なものとすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、撮像素子10の支持面10bと、フレキシブルプリント配線板20の実装面とを接着剤21によって接着し固定することから、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との接着面積を大きくすることができ、両者間の固定強度を高くすることができる。
【0063】
このため、撮像ユニット1内においてフレキシブルプリント配線板20を屈曲させる場合であっても、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との接続の信頼性が向上する。
【0064】
また、本実施形態では、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20とが接着され固定される箇所から離れた位置において、金属パッド11fと金属線20aとが接合される。ここで、金属線20aは、フレキシブルプリント配線板20の外縁部から延出する薄片状である。このため、外力や温度変化等によってフレキシブルプリント配線板20が撮像素子10に対して相対的に移動した場合であっても、この移動量を金属線20aの変形によって吸収することができ、力が金属パッド11fと金属線20aとの接合部に加わることを防止することができる。すなわち、本実施形態では、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との接続の信頼性が向上する。
【0065】
言い換えれば、本実施形態の撮像ユニット1は、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20との機械的な接続と、両者の電気的な接続とを異なる箇所において行い、かつ、両者の電気的な接続をフレキシブルプリント配線板20の外縁部から延出する薄片状の金属線20aを介して行うことによって、金属パッド11fと金属線20aとの接合部に、フレキシブルプリント配線板20からの機械力が伝わらないように構成されている。
【0066】
なお、上述した実施形態における撮像素子10は、一般に裏面照射方式と称され、入射面10aとは反対側に支持基板13が接合される形態を有しているが、本発明は支持基板を持たない表面照射方式のイメージセンサにも適用可能である。
【0067】
図10に、撮像素子10が表面照射方式である場合の変形例を示す。表面照射方式の撮像素子10は、シリコン基板11aに形成された複数のフォトダイオードからなる受光部11bよりも、対物レンズ4からの光が入射する側に金属配線層11cが配設されている。そして、金属配線層11cの支持面10b側に、金属パッド11fが形成されている。
【0068】
本変形例のように、撮像素子10を表面照射方式とする場合には、開口部13aは、シリコン基板11aを厚さ方向に貫通することによって形成される。また、撮像素子10の支持面10bは、シリコン基板11aの後方側を向く面であり、フレキシブルプリント配線板20は、シリコン基板11aに接着剤21によって接着され固定される。このような本変形例であっても、上述した本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0069】
また、上述した本実施形態では、撮像素子10の金属パッド11f上に金属バンプ11gを形成し、金属バンプ11gとフレキシブルプリント配線板20の金属線20aとを接合しているが、金属バンプ11gと金属線20aとの接続の形態は本実施形態に限られるものではない。
【0070】
例えば、図11に示すように、撮像素子10の金属パッド11fと、フレキシブルプリント配線板20の金属線20aとが、直接接合される形態であってもよい。図11に示す変形例では、金属バンプの形成が不要であるため、撮像ユニット1をより安価に製造することが可能となる。
【0071】
また、上述した実施形態では、複数の金属パッド11fは1列に配列されているが、図12に示すように、複数の金属パッド11fは千鳥状に配列される形態であってもよい。図12に示すように複数の金属パッド11fを千鳥状に配列すれば、複数の金属線20a間の間隔を広めながら、金属パッド11fの面積を大きくすることができるため、撮像素子10とフレキシブルプリント配線板20とを接着する際に許容される位置ずれ量を大きくすることができ、接着を容易に行うことが可能となる。
【0072】
また、上述した本実施形態では、開口部13aを形成することによって露出した金属パッド11fに、金属線20aを、金属バンプ11gを介して接合、又は直接的に接合することにより両者を電気的に接続しているが、本発明はこれらの形態に限られるものではない。金属パッド11fと金属線20aとの電気的な接続は、開口部13a内において支持面10bよりも金属パッド11fに近い位置において行われる形態であればよい。
【0073】
例えば、図13及び図14に示すように、支持基板13に開口部13aを形成して露出させた金属パッド11fに電気的に接続される再配線金属パッド11hを、開口部13aの底面部上に新たに形成し、この再配線金属パッド11hと金属線20aとを接合する形態であってもよい。
【0074】
このように、金属配線層11cとは異なる後の行程において再配線金属パッド11hを形成するようにすれば、再配線金属パッド11hの位置、寸法形状及び材料等を、金属配線層11cを形成する行程における制約を受けること無く自由に定めることが可能である。例えば図13に示すように、金属配線層11cに形成される金属パッド11fの面積に上限がある場合には、金属パッド11fよりも面積の大きい再配線金属パッド11hを後の行程において形成し、これに金属線20aを接合することによって、金属パッド11fと金属線20aを容易に電気的に接続することができる。なお、再配線金属パッド11hは、金属配線層11cと同様にフォトリソグラフィー技術により形成されるものであってもよいし、導電性ペースト等を用いた印刷技術により形成されるものであってもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0076】
第1の実施形態では、金属線20aは、フレキシブルプリント配線板20の外縁部から外方に延出しているが、本実施形態では、図15に示すように、金属線20aは、フレキシブルプリント配線板20の周縁部の面上に形成されている。
【0077】
そして、フレキシブルプリント配線板20は、撮像素子10の対物レンズ4とは反対側の面上に接着剤21により接着された後に、金属線20aが形成された領域が開口部13a内に入り込むように屈曲されている。そして、金属線20aと金属パッド11fとが、例えば超音波接合や導電性接着剤によって電気的に接合されている。
【0078】
このような本実施形態であれば、第1の実施形態のように、金属線20aをフレキシブルプリント配線板20の外方に突出させて形成する必要が無いため、安価かつ容易にフレキシブルプリント配線板20を製造することができる。また、本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う撮像ユニット及びその製造方法と撮像ユニットを備えた内視鏡もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
上述のように、本発明は、フレキシブルプリント配線板に実装される撮像素子を具備する撮像ユニット及びその製造方法と撮像ユニットを備えた内視鏡に対して好適である。
【符号の説明】
【0081】
1 撮像ユニット、
2 レンズ鏡筒、
3 保持枠、
4 対物レンズ、
10 撮像素子、
10a 入射面、
10b 支持面、
11 センサ基板、
11a シリコン基板、
11b 受光部、
11c 金属配線層、
11f 金属パッド、
11g 金属バンプ、
11h 再配線金属パッド、
12 ガラス基板、
13 支持基板、
13a 開口部、
20 フレキシブルプリント配線板、
20a 金属線、
21 接着剤、
101 内視鏡、
102 挿入部、
103 操作部、
104 ユニバーサルコード、
105 コネクタ部、
106 アングル操作ノブ、
108 可撓管部、
109 湾曲部、
110 先端部、
110a 先端面、
111 保持部、
111a 貫通孔、
111b 貫通孔、
113 照明光出射部、
114 光ファイバ束、
115 電気ケーブル、
120 外部装置、
121 画像表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を結像する対物レンズを透過した光を入射面側から受光する撮像素子、及び前記撮像素子の前記入射面とは反対側の面である支持面と接合されるフレキシブルプリント配線板を含む撮像ユニットであって、
前記撮像素子は、
前記入射面側から受光した光を光電変換する複数のフォトダイオードからなる受光部と、
前記受光部に電気的に接続される金属配線層と、
前記金属配線層の前記支持面側の面上に設けられた金属パッドと、
前記金属パッドを前記支持面側に露出させるように前記支持面から前記金属パッドに至るように凹設された開口部と、
を含み、
前記フレキシブルプリント配線板は、
前記撮像素子と電気的に接続される電子回路と、
前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属パッドと電気的に接続される金属線と、を含み、
前記撮像素子の前記支持面上に接着剤によって接着される
ことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記撮像素子は、前記受光部の前記支持面側に前記金属配線層が配設され、前記金属配線層の前記金属パッドが設けられた面上に支持基板が接合されてなり、
前記開口部は、前記支持基板を厚さ方向に貫通するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記金属線は、前記フレキシブルプリント配線板の外縁部から外方に向かって延出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記金属線は、前記フレキシブルプリント配線板の前記撮像素子に接着される面上に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記撮像素子は、前記開口部を形成した後に前記開口部の底面部上の前記金属パッドとは離間した位置に形成され、前記金属パッドと電気的に接続された再配線金属パッドを有し、
前記金属パッドと前記金属線との電気的な接続は、前記再配線金属パッドを介して行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像ユニットを備える内視鏡。
【請求項7】
被写体像を結像する対物レンズを透過した光を入射面側から受光する撮像素子、及び前記撮像素子の前記入射面とは反対側の面である支持面と接合されるフレキシブルプリント配線板を含む撮像ユニットの製造方法であって、
前記撮像素子は、
前記入射面側から受光した光を光電変換する複数のフォトダイオードからなる受光部と、
前記受光部に電気的に接続される金属配線層と、
前記金属配線層の前記支持面側の面上に設けられた金属パッドと、
を含み、
前記フレキシブルプリント配線板は、
前記撮像素子と電気的に接続される電子回路と、
前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属パッドと電気的に接続される金属線と、
を含んでおり、
前記撮像素子の前記支持面に開口部を設けて、前記金属パッドを露出させる行程と、
前記撮像素子の前記支持面上に、前記フレキシブルプリント配線板を接着剤によって接着する行程と、
前記開口部内の前記撮像素子の前記支持面よりも前記入射面に近い位置において、前記金属線を前記金属パッドに電気的に接続する行程と、
を含むことを特徴とする撮像ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−98182(P2013−98182A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236388(P2011−236388)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】