撮像装置及び撮像画像信号の補正方法
【課題】位相差画素の出力信号の補正に要する時間及び演算量を削減することが可能な撮像装置及び撮像画像信号の補正方法を提供する。
【解決手段】位相差を検出するための1対の位相差画素52を含む3つ以上の画素を有する固体撮像素子5と、位相差画素52の出力信号を、当該位相差画素52の周囲の位相差画素52以外のG画素51の出力信号を用いて補正する位相差画素補正部18と、位相差画素補正部18によって補正を実施する位相差画素52と補正を実施しない位相差画素52とを、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52への光の入射角に応じて判定する位相差画素補正実施判定部19とを備え、位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19で補正を実施すると判定された位相差画素52についてのみ、補正を実施するものである。
【解決手段】位相差を検出するための1対の位相差画素52を含む3つ以上の画素を有する固体撮像素子5と、位相差画素52の出力信号を、当該位相差画素52の周囲の位相差画素52以外のG画素51の出力信号を用いて補正する位相差画素補正部18と、位相差画素補正部18によって補正を実施する位相差画素52と補正を実施しない位相差画素52とを、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52への光の入射角に応じて判定する位相差画素補正実施判定部19とを備え、位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19で補正を実施すると判定された位相差画素52についてのみ、補正を実施するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像画像信号の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に搭載される固体撮像素子には、二次元状に配列された多数の光電変換素子(画素)を有し、そのうちの一部(同色カラーフィルタを搭載した隣接する2つの画素)を位相差画素(位相差を検出するための画素)とし、この位相差画素を測距のために使用しているものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この固体撮像素子において、隣接する2つの位相差画素の各々の遮光膜開口は、画素の光学中心に対し異なる方向に偏心して設けられている。
【0004】
また、この位相差画素は、レンズにより入射される光を瞳分割する必要があるため、遮光膜開口の面積が、その他の画素よりも小さくなっている。
【0005】
このように、位相差画素は、遮光膜開口の面積が小さくなっているため、その出力信号を撮像画像信号として使用することができない。したがって、従来は、位相差画素の出力信号を、欠陥画素と同様に、その位相差画素の周りの通常の画素の出力信号を用いて補間演算する補間演算処理、その位相差画素の出力信号を増幅する増幅処理、又はこれらの両方等を用いて補正している。
【0006】
位相差画素を例えば3万個ほど設けた場合、この3万個の位相差画素の出力信号の全てを補間演算処理によって補正すると、200msec〜300msec程度の時間がかかってしまう。また、位相差画素の出力信号を増幅処理によって補正する場合には、位相差画素の位置によって光の入射角が異なり感度の低下度合が異なるため、位相差画素毎にゲインを変えて増幅を行う必要があるが、この場合も、3万個の位相差画素の出力信号でゲインを変えて補正するには時間がかかってしまう。近年の固体撮像素子は1000万画素以上が普通になっているため、位相差画素の数も増える傾向にあり、位相差画素の出力信号の補正に要する時間も長くなる傾向にある。
【0007】
特許文献2には、位相差画素を構成する1対の画素のうちの一方を通常の画素で代用することで、補正対象となる位相差画素の数を半分に減らした撮像装置が開示されている。しかし、この撮像装置であっても、例えば3万個の位相差画素を設ける固体撮像素子であれば、その半分の1万5千個の位相差画素に対しては常に補正を行う必要がある。このため、位相差画素の出力信号の補正には依然として時間がかかる。
【0008】
特許文献3には、複数の光電変換部を有する撮像素子からの信号の欠陥を補正する画像処理装置が開示されている。しかし、この画像処理装置は、位相差画素の出力信号の欠陥を補正することを目的にしておらず、位相差画素の欠陥補正処理に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2009−244854号公報
【特許文献3】特開2002−94884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位相差画素の出力信号の補正に要する時間及び演算量を削減することが可能な撮像装置及び撮像画像信号の補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定部とを備えるものである。
【0012】
本発明の撮像画像信号の補正方法は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正する補正ステップと、前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、位相差画素の出力信号の補正に要する時間及び演算量を削減することが可能な撮像装置及び撮像画像信号の補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態を説明するための撮像装置の概略構成を示す図
【図2】図1に示したデジタルカメラにおける固体撮像素子5の概略構成を示す部分平面模式図
【図3】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図4】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図5】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図6】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図7】図1に示すデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図8】本発明の第二実施形態のデジタルカメラの固体撮像素子の画素領域に設定される分割エリアの例を示す図
【図9】本発明の第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図10】本発明の第三実施形態のデジタルカメラに記憶される閾値Nのテーブルの一例を示す図
【図11】本発明の第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図12】本発明の第三実施形態のデジタルカメラで用いられるプログラム線図の一例を示す図
【図13】本発明の第三実施形態のデジタルカメラで用いられるプログラム線図の一例を示す図
【図14】ガンマ補正処理を説明するための図
【図15】本発明の第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図16】本発明の第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態を説明するための撮像装置の概略構成を示す図である。撮像装置としては、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、電子内視鏡及びカメラ付携帯電話機等に搭載される撮像モジュール、等があり、ここではデジタルカメラを例にして説明する。
【0017】
図示するデジタルカメラの撮像系は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等を含む撮影光学系1と、固体撮像素子5と、この両者の間に設けられた絞り2、赤外線カットフィルタ3、及び光学ローパスフィルタ4とを備える。
【0018】
固体撮像素子5は、詳細は後述するが、平面視において二次元状に配置された3つ以上の光電変換素子(画素)を有し、そのうちの一部を、測距用の画素である位相差画素にし、残りを撮像用の画素である通常画素にした構成となっている。
【0019】
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、レンズ駆動部8を制御してフォーカスレンズをフォーカス位置に移動させて焦点距離を調整したり、ズームレンズを移動させてズーム調整を行ったりし、絞り駆動部9を介し絞り2の開口量を制御して露光量調整を行う。撮像時のフォーカスレンズのフォーカス位置、絞り2の絞り値、及びズームレンズのズーム位置等の撮像条件に応じて、固体撮像素子5の各画素に入射する光の入射角は変化する。
【0020】
システム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して固体撮像素子5を駆動し、撮影光学系1を通して撮像した被写体像を撮像画像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
【0021】
デジタルカメラの電気制御系は、更に、固体撮像素子5の出力に接続された相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部6と、このアナログ信号処理部6から出力された撮像画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路7とを備え、これらはシステム制御部11によって制御される。
【0022】
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、A/D変換回路7から出力された撮像画像信号に含まれる位相差画素の出力信号を補正する位相差画素補正部18と、位相差画素補正部18で補正後の撮像画像信号に対し、所定のデジタル信号処理を行って撮像画像データを生成するデジタル信号処理部17と、固体撮像素子5に含まれる位相差画素毎に、当該位相差画素の出力信号の補正を実施するか否かを判定する位相差画素補正実施判定部19と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された液晶表示部23が接続される表示制御部22とを備える。
【0023】
メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、位相差画素補正部18、位相差画素補正実施判定部19、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
【0024】
図2は、図1に示したデジタルカメラにおける固体撮像素子5の概略構成を示す部分平面模式図である。
【0025】
図2に示すように、固体撮像素子5は、平面視において行方向Xとこれに直交する列方向Yに二次元状に配置された3つ以上の光電変換素子(画素)を有する。
【0026】
3つ以上の画素は、その奇数行が偶数行に対して各行の画素配列ピッチの略1/2だけ行方向Xにずれて配置されている。
【0027】
各画素の上方には原色のカラーフィルタが設けられている。図2では、赤色(R)のカラーフィルタが搭載された画素に“R”を付し、緑色(G)のカラーフィルタが搭載された画素(以下、G画素ともいう)に“G”を付し、青色(B)のカラーフィルタが搭載された画素に“B”を付してある。
【0028】
3つ以上の画素のうちの奇数行の画素の上方にある原色のカラーフィルタは全体としてベイヤ配列となっており、偶数行の画素の上方にある原色のカラーフィルタも全体としてベイヤ配列となっている。
【0029】
この3つ以上の画素は、少なくとも1つの通常画素51と少なくとも2つの位相差画素52とを含む。
【0030】
図2の例では、斜め方向で隣接する同色カラーフィルタを搭載する1対の位相差画素52をペアとして、このペアが、3つ以上の画素が配置される画素領域に所定間隔で配置されている。
【0031】
通常画素51の上方には遮光膜開口51aが設けられ、位相差画素52の上方には遮光膜開口51aよりも小さい遮光膜開口52aが設けられている。
【0032】
遮光膜開口51aは、通常画素51の上方に設けられるマイクロレンズによる光学中心とその中心が一致している。
【0033】
これに対し、遮光膜開口52aは、位相差画素52の上方に設けられるマイクロレンズによる光学中心から、その中心がずれている。隣接する1対の位相差画素52のそれぞれの遮光膜開口52aの中心は、互いに近づく方向に光学中心からずれている。
【0034】
なお、1対の位相差画素52の遮光膜開口の構成は一例であり、周知のどのような構成であってもよい。また、3つ以上の画素の配列は図2に示したものに限らず、正方格子配列等の周知の配列を採用することができる。また、カラーフィルタの配列もベイヤ配列に限らず、周知の配列を採用することができる。また、カラーフィルタも原色に限らず、補色のものを用いることもできる。
【0035】
このように、通常画素51と位相差画素52とでは、遮光膜開口の大きさが異なるため、感度に差が生じる。また、位相差画素52の遮光膜開口の中心は光学中心に対して偏心しているため、位相差画素52の感度は、遮光膜開口52aに入射してくる光の入射角に依存してその値が変化する。通常画素51の感度も、遮光膜開口51aに入射してくる光の入射角に依存してその値が変化するが、その変化の度合いは、位相差画素52よりは小さい。
【0036】
図3は、図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。図3に示した左側の縦軸は画素の感度を示し、横軸は画素の遮光膜開口に入射してくる光の入射角を示している。また、図3には、右側の縦軸を感度比((位相差画素52の感度)÷(G画素51の感度))とし、各入射角における感度比も併せて図示した。なお、図3に示した特性は、固体撮像素子5を、入射角がそれほどきつくならないチップ中央部と入射角がきつくなるチップ周辺部とに分けたときに、チップ中央部でかつチップ中心(撮影光学系1の光軸と固体撮像素子5とが交わる位置)よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して右側(チップ中心に向かう側)にある位相差画素52のものを示した。
【0037】
図3に示すように、G画素51と位相差画素52では、入射角が0°の場合(遮光膜開口に垂直に光が入射した場合)、遮光膜の大きさの違いによる感度差が生じる。そして、G画素51と位相差画素52の感度は、入射角が大きくなるにしたがって低下していくが、位相差画素52の方が感度の低下率は大きく、入射角依存が大きい。この結果、感度比も、入射角が大きくなるにしたがって小さくなっている。
【0038】
図1に示したデジタルカメラでは、デジタル信号処理部17が、位相差画素52の出力信号を補正した後の撮像画像信号に対し、ノイズリダクション処理を実施する。
【0039】
図3に示した感度比が、あるレベルTh以上になっているときには、位相差画素52のキズレベル(G画素51の出力信号のレベルから位相差画素52の出力信号のレベルを減算した値)が小さくなり、ノイズリダクション補正処理によって、このキズレベルを十分に目立たなくすることが可能になる。一方、図3に示した感度比がレベルTh未満のときには、ノイズリダクション処理だけではキズレベルを目立たなくすることが難しい。
【0040】
そこで、このデジタルカメラでは、位相差画素補正実施判定部19が、図3に示した入射角依存特性を持つ位相差画素52については、感度比がレベルTh以上になる入射角θ(θ≦閾値N)のときには、位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、感度比がレベルTh未満になる入射角θ(閾値N<θ)のときには、位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する。
【0041】
なお、図3に示した入射角依存特性は、固体撮像素子5に含まれる位相差画素52及びこれに隣接するG画素51のペア毎に異なり、上記の“閾値N”の値も、位相差画素52の固体撮像素子5の画素領域における配置位置及び遮光膜開口の偏心方向によって異なる。
【0042】
図4は、チップ中央部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して左側(チップ中心から離れる側)にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。
【0043】
図4に示すように、隣接する位相差画素52であっても、遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52では、遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52よりも入射角がきつくなるため、感度が低下する。この結果、感度比も低下するため、閾値Nの値も、図3に示した場合より小さくなる。
【0044】
なお、チップ中央部でかつチップ中心よりも右側の領域にある位相差画素52のペアについての入射角依存特性は、遮光膜開口が左に偏心しているものが図3に示した特性となり、遮光膜開口が右に偏心しているものが図4に示した特性となる。
【0045】
図5は、チップ周辺部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して右側にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。図6は、チップ周辺部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して左側にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。
【0046】
図5、6に示すように、チップ周辺部にある位相差画素52及びG画素51は、チップ中央部にあるものよりも感度が低下するため、感度比もチップ中央部と比較して低下する。このため、遮光膜開口の偏心方向が同じ位相差画素52同士であっても、閾値Nの値は、チップ周辺部にあるものの方が小さくなる。
【0047】
なお、チップ周辺部でかつチップ中心よりも右側の領域にある位相差画素52のペアについての入射角依存特性は、遮光膜開口が左に偏心しているものが図5に示した特性となり、遮光膜開口が右に偏心しているものが図6に示した特性となる。
【0048】
このように、閾値Nの値は、位相差画素52の遮光膜開口の偏心方向及び位相差画素52の固体撮像素子5のチップ上での位置によって異なる。そこで、このデジタルカメラでは、メインメモリ16が、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルを記憶している。
【0049】
そして、位相差画素補正実施判定部19は、撮像条件の情報から、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に、そこに入射する光の入射角を算出し、算出した入射角と上記テーブルとに基づいて、当該位相差画素52毎に、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定する。
【0050】
位相差画素補正部18は、固体撮像素子5に含まれる位相差画素52のうち、位相差画素補正実施判定部19により補正を実施すると判定された位相差画素52のみを補正実施対象とする。位相差画素補正部18は、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号を、その周囲の当該位相差画素52と同色のカラーフィルタが搭載される通常画素51の出力信号を用いて補正する。
【0051】
例えば、図2に示す2つの位相差画素のうちの右下の位相差画素52を補正実施対象とした場合には、当該位相差画素52の出力信号が配置されるメモリ位置に、図2に示した4隅にある4つのG画素51の出力信号を用いて信号を補間生成し、当該位相差画素52の出力信号を、補間生成した信号に置き換える補間処理を実施することで、当該位相差画素52の出力信号の補正を行う。
【0052】
以上のように構成されたデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0053】
図7は、図1に示すデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
操作部14に含まれるシャッタボタンが半押しされると(ステップS41)、システム制御部11は、固体撮像素子5から出力される撮像画像信号に基づいてAE(自動露出)制御を実行する(ステップS42)。このAE制御により、絞り2が所定の絞り値に設定され、シャッタスピードが所定の値に設定される。
【0055】
次に、システム制御部11は、AF制御を実行し(ステップS43)、固体撮像素子5の位相差画素52からの出力信号に基づいて、撮影光学系1に含まれるフォーカスレンズをフォーカス位置に移動させる。
【0056】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、現時点でのズームレンズの位置、絞り2の絞り値、及びフォーカスレンズのフォーカス位置等の撮像条件の情報をシステム制御部11から取得する(ステップS44)。
【0057】
次に、シャッタボタンが全押しされると(ステップS45)、システム制御部11が、撮像素子駆動部10を制御して固体撮像素子5により撮像を実施する(ステップS46)。
【0058】
撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS44で取得した情報に基づいて、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に、遮光膜開口52a中心に入射する光の入射角θを算出する(ステップS47)。
【0059】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、位相差画素52に対応する閾値Nと、当該位相差画素52に対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、当該位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、当該位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS48)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、全ての位相差画素52に対して行う。
【0060】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS48で補正を実施すると判定された位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS49)。
【0061】
位相差画素52の出力信号の補正が終了すると、デジタル信号処理部17が、補正後の撮像画像信号に対し、ノイズリダクション処理、同時化処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス調整処理、RGB/YC変換処理等のデジタル信号処理を施して撮像画像データを生成する(ステップS50)。
【0062】
生成された撮像画像データは圧縮された後、記録媒体21に記録されて(ステップS51)、撮像動作が終了する。
【0063】
以上のように、図1に示したデジタルカメラによれば、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち、撮像時の入射角θが閾値N以下になるものについては、周囲の通常画素51を用いた補正を行わないため、位相差画素52の出力信号の補正にかかる時間を大幅に短縮することができる。この結果、次の撮像が可能になるまでの時間を早めることができ、シャッタチャンスを逃してしまう確率を減らすことができる。また、連写撮像を行う場合には高速な連写が可能となる。
【0064】
また、図1に示したデジタルカメラによれば、全ての位相差画素52の出力信号を補正しなくてすむため、補正のための演算で消費する電力も削減することができ、バッテリを長持ちさせることが可能となる。
【0065】
なお、位相差画素補正部18は、補間処理の代わりに、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を、その位相差画素52への光の入射角に応じたゲインを当該出力信号にかけて増幅する増幅処理によって行ってもよい。または、位相差画素補正部18は、補間処理と増幅処理を組み合わせて実施して、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。
【0066】
増幅処理を行って補正する場合でも、撮像時の入射角θが閾値N以下になるものについては、補正を行わなくてすむため、位相差画素52の出力信号の補正にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0067】
(第二実施形態)
第二実施形態のデジタルカメラは、メインメモリ16に記憶するテーブルの内容と、位相差画素補正実施判定部19の機能の一部とが異なる点を除いては、第一実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0068】
第二実施形態のデジタルカメラでは、図8のFIG8Aに示したように、固体撮像素子5の画素領域50を複数(FIG8Aの例では5つ)のエリア(a、b、c、d、e)に分割し、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52を、その配置位置(配置エリア)によって、複数(ここでは5つ)のグループ(エリアaに配置されるグループ(以下、グループaとする)、エリアbに配置されるグループ(以下、グループbとする)、エリアcに配置されるグループ(以下、グループcとする)、エリアdに配置されるグループ(以下、グループdとする)、エリアeに配置されるグループ(以下、グループeとする))に分けている。そして、これらグループa〜e毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0069】
また、図8のFIG8Bに示したように、固体撮像素子5の画素領域50を複数(FIG8Bの例では5つ)のエリア(a’、b’、c’、d’、e’)に分割し、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52を、その配置位置(配置エリア)によって、複数(ここでは5つ)のグループ(エリアa’に配置されるグループ(以下、グループa’とする)、エリアb’に配置されるグループ(以下、グループb’とする)、エリアc’に配置されるグループ(以下、グループc’とする)、エリアd’に配置されるグループ(以下、グループd’とする)、エリアe’に配置されるグループ(以下、グループe’とする))に分けている。そして、これらグループa’〜e’毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0070】
なお、FIG8Bに示したエリアは、FIG8Aに示した全てのエリアを一律に右側にシフトさせたものとなっており、そのシフト量は、画素領域50の中央部分において、エリアaとエリアa’が重なりを持つ程度とすることが好ましい。
【0071】
各グループa〜eに対応する閾値Nは、当該各グループa〜eに含まれる遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52に対して決まる閾値Nの平均値である。また、各グループa’〜e’に対応する閾値Nは、当該各グループa’〜e’に含まれる遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52に対して決まる閾値Nの平均値である。
【0072】
第二実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正実施判定部19は、撮像条件の情報から、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角を算出する。そして、算出した入射角とメインメモリ16に記憶されているテーブルとに基づいて、当該グループa〜e,a’〜e’毎に位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定する。
【0073】
第二実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19により補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52のみを補正実施対象とする。位相差画素補正部18は、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号を、その周囲の当該位相差画素52と同色のカラーフィルタが搭載される通常画素51の出力信号を用いて補正する。
【0074】
次に、第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0075】
図9は、本発明の第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図9において、図7と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
ステップS46で撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS44で取得した情報に基づいて、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角θを算出する(ステップS61)。
【0077】
各グループa〜e,a’〜e’の入射角は、例えば、グループの全ての位相差画素52の入射角の平均値とする。
【0078】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、グループaに対応する閾値Nと、当該グループaに対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS62)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0079】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS62で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS63)。ステップS63の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0080】
以上のように、第二実施形態のデジタルカメラによれば、位相差画素52のグループa〜e,a’〜e’毎に、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定しているため、この判定の回数を、第一実施形態のデジタルカメラよりも大幅に減らすことができる。この結果、演算量を削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0081】
また、第二実施形態のデジタルカメラによれば、メインメモリ16に記憶するテーブルのデータ量を、第一実施形態のデジタルカメラよりも削減することができる。このため、メモリコストを削減して低価格化を実現することができる。
【0082】
なお、この実施形態においても、位相差画素補正部18は、補間処理の代わりに増幅処理によって位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。または、位相差画素補正部18は、補間処理と増幅処理を組み合わせて実施して、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。
【0083】
増幅処理によって補正を行う場合には、補正実施対象とした位相差画素52に対し、その位相差画素52が属するグループに対して算出した入射角θに応じたゲインを設定し、その位相差画素52の出力信号に当該ゲインをかけることで補正を行えばよい。
【0084】
(第三実施形態)
第三実施形態のデジタルカメラは、メインメモリ16に記憶するテーブルを変更した点と、位相差画素補正実施判定部19の機能を一部変更した点を除いては、第二実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0085】
第三実施形態のデジタルカメラのメインメモリ16は、図10に示したように、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群を、デジタルカメラに設定可能なISO感度毎に記憶したテーブルを記憶している。
【0086】
第三実施形態のデジタルカメラは、例えばISO100,200,400,800,1600が設定可能となっており、これらISO感度毎に、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群が記憶されている。
【0087】
第三実施形態のデジタルカメラのデジタル信号処理部17では、設定されるISO感度が高くなるほど、ランダムノイズが増えるため、ノイズリダクション処理を強くかける制御を行う。
【0088】
ISO感度が高くなっても、G画素51と位相差画素52はそれぞれ均一に出力信号が増幅されるため、図3〜6に示した感度比は変化しない。このため、ISO感度が高くなっていくと、ランダムノイズ>位相差画素52のキズレベル(G画素51の出力信号のレベルから位相差画素52の出力信号のレベルを減算した値)の関係になる。
【0089】
上述したように、ランダムノイズは、ノイズリダクション処理の強度を上げることで目立たなくすることができる。このため、「ランダムノイズ>位相差画素52のキズレベル」の関係になっている場合は、当該位相差画素52のキズレベルも、ノイズリダクション処理によって十分に目立たなくすることができる。
【0090】
つまり、図3〜6で説明した閾値Nの値は、ISO感度(ノイズリダクション処理の強度)に依存して変化する。そこで、第三実施形態のデジタルカメラでは、図10に示したように、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群をISO感度毎に記憶したテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0091】
次に、第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0092】
図11は、本発明の第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図11において、図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
ステップS43でAF制御が実行された後、位相差画素補正実施判定部19が、現時点でのズームレンズの位置、絞り2の絞り値、フォーカスレンズのフォーカス位置、及びISO感度等の撮像条件の情報をシステム制御部11から取得する(ステップS81)。ステップS81の後は、ステップS45の処理に移行する。
【0094】
ステップS46で撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS81で取得した情報に基づいて、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角θを算出する(ステップS82)。
【0095】
各グループa〜e,a’〜e’の入射角は、例えば、グループの全ての位相差画素52の入射角の平均値とする。
【0096】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS81で取得したISO感度の情報に対応するグループaの閾値Nと、当該グループaに対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS83)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0097】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS83で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS84)。ステップS84の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0098】
以上のように、第三実施形態のデジタルカメラによれば、位相差画素52のグループa〜e,a’〜e’毎の入射角だけでなく、カメラに設定されるISO感度も考慮して、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定することができる。
【0099】
同じグループであっても、ISO感度が高いときには、閾値Nの値が大きくなる。このため、ISO感度が高いときには、補正実施対象となる位相差画素52の数を、ISO感度が低い場合よりも減らすことができる。したがって、ISO感度に関わらず閾値Nを一定にしている場合と比べて、演算量を効率的に削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0100】
なお、第三実施形態は、第一実施形態と組み合わせてもよい。例えば、第一実施形態のデジタルカメラにおいて、メインメモリ16には、位相差画素52毎の閾値Nのデータ群を、ISO感度毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図7のステップS44でISO感度の情報も取得し、図7のステップS48において、ISO感度と入射角θに応じて、位相差画素52毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0101】
(第四実施形態)
第四実施形態のデジタルカメラは、システム制御部11によるAE制御の内容が異なる点を除いては、第三実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0102】
第四実施形態のデジタルカメラは、システム制御部11に内蔵するメモリに、図12に例示されるような、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と、図13に例示されるような、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図との2種類を記憶している。
【0103】
高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行うと、ISO感度が高い側に設定されやすくなる。前述したように、ISO感度が高いときには、補正実施対象となる位相差画素52の数が減る傾向にあるため、補正に要する演算量が削減される。つまり、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図は、消費電力を減らしたり、高速処理を実現したりしたいときに適したプログラム線図である。
【0104】
一方、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行うと、ISO感度が低い側に設定されやすくなるため、高S/Nで撮影が可能になる。つまり、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図は、画質を優先したいときに適したプログラム線図である。
【0105】
第四実施形態のデジタルカメラのシステム制御部11は、この2種類のプログラム線図のいずれかを、デジタルカメラの動作状態に応じて選択し、選択したプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0106】
例えば、システム制御部11は、デジタルカメラの電池残量を定期的にモニタし、電池残量が閾値を下回っていたときには、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。一方、電池残量が閾値以上のときには、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0107】
また、システム制御部11は、動画撮像モード、連写撮像モード等の高速処理が要求される撮像モードのときには、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。一方、高速処理が要求される撮像モード以外の撮像モードのときには、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0108】
以上のように、第四実施形態のデジタルカメラによれば、デジタルカメラの動作状態に対応した最適な処理が可能となる。
【0109】
(第五実施形態)
第五実施形態のデジタルカメラは、位相差画素補正実施判定部19の機能が一部異なる点を除いては、第三実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0110】
図3〜6に示したように、入射角が同じであれば、G画素51と位相差画素52の感度比は一定値になる。このため、G画素51及び位相差画素52の出力信号のレベルが高いほど、位相差画素52のキズレベルは高くなる。逆に、G画素51及び位相差画素52の出力信号のレベルが低いほど、位相差画素52のキズレベルも低くなる。
【0111】
また、第五実施形態のデジタルカメラのデジタル信号処理部17は、撮像画像信号(RAWデータ)からJPEG形式の撮像画像データを生成する際にガンマ補正処理を行う。
【0112】
図14は、ガンマ補正処理を説明するための図である。ここでは、RAWデータに含まれる位相差画素52の出力信号を位相差画素補正部18によって1つも補正しなかった場合を例にして説明する。
【0113】
この場合、図14に示すように、レベルの大きいRAWデータの部分では、データが圧縮されるため、この部分に位相差画素52の出力信号が存在していたとしても、JPEGデータではその位相差画素52のキズレベルは目立たなくなる。
【0114】
また、レベルが小さいRAWデータの部分では、データが大きなゲインで増幅されるが、この部分では位相差画素52のキズレベルがもともと小さいため、JPEGデータではそのキズレベルは目立たない。
【0115】
このように、位相差画素52の出力信号は、そのレベルが所定範囲外(高いレベル範囲、低いレベル範囲)にあるときは、位相差画素補正部18による補正を行わなくても、キズレベルは目立たない。
【0116】
そこで、第五実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正実施判定部19は、ISO感度と入射角θに応じてグループa〜e,a’〜e’毎に位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定した後、更に、補正を実施すると判定したグループの位相差画素52については、その出力信号のレベルに応じて、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを再判定する。
【0117】
第五実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19による再判定の結果、補正を実施すると判定された位相差画素52を補正実施対象とする。
【0118】
次に、第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0119】
図15は、本発明の第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図15において、図11と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0120】
ステップS83の後、位相差画素補正実施判定部19は、補正を実施すると判定したグループの位相差画素52の出力信号のレベルが、所定範囲に入るか否かを判定する。そして、出力信号のレベルが所定範囲に入る位相差画素52については、位相差画素補正部18による補正を実施すると判定し、出力信号のレベルが所定範囲に入らない位相差画素52については、位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定する(ステップS121)。
【0121】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS121で補正を実施すると判定された位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS122)。ステップS122の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0122】
なお、第五実施形態は、第二実施形態と組み合わせてもよい。例えば、図9のステップS62においてグループa〜e,a’〜e’毎に補正するしないを判定した後、補正すると判定したグループの位相差画素52に対し、出力信号のレベルに応じて補正するしないを再判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0123】
(第六実施形態)
第六実施形態のデジタルカメラは、位相差画素補正実施判定部19の機能が一部異なる点を除いては、第二実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0124】
第六実施形態のデジタルカメラは、固体撮像素子5の駆動モードとして、同色カラーフィルタを搭載する画素同士の電荷を固体撮像素子5内で混合して、撮像画像信号の1つの出力信号あたりの感度を上げる混合駆動モードと、電荷を混合せずに撮像画像信号を得る通常駆動モードがある。混合駆動モードには、電荷の混合数によって複数パターンが含まれる。
【0125】
撮像素子駆動部10は、混合駆動モード時、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52の電荷については、これに当該位相差画素52の周囲にあるG画素51の電荷を混合する駆動を行って、全ての位相差画素52から出力信号を得る。
【0126】
この場合、各位相差画素52の出力信号は、通常駆動モードのときの出力信号よりも、キズレベルが減少する。このキズレベルは、位相差画素52の電荷に混合するG画素51の電荷の数が増えるほど減少する。キズレベルが減少すると、閾値Nの値は大きくなる。
【0127】
つまり、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nの値は、固体撮像素子5の駆動モードに依存する。
【0128】
そこで、第六実施形態のデジタルカメラでは、メインメモリ16が、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのテーブルを、固体撮像素子5の駆動モード毎に記憶している。
【0129】
例えば、駆動モードが、通常駆動モードと、電荷混合数の異なる複数の電荷混合モードとを含む場合は、メインメモリ16には、通常駆動モード用と各電荷混合モード用とでテーブルが記憶される。
【0130】
次に、第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0131】
図16は、本発明の第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図16において、図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0132】
ステップS41の後、位相差画素補正実施判定部19は、固体撮像素子5の駆動モードの情報を取得する(ステップS131)。ステップS131の後は、ステップS42以降の処理を行う。
【0133】
ステップS61の後、位相差画素補正実施判定部19は、ステップS131で取得した駆動モードの情報から、当該駆動モードに対応するテーブルのグループaの閾値Nを抽出し、この閾値Nと、グループaに対して算出した入射角θとを比較する。
【0134】
比較の結果、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS132)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0135】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS132で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS133)。ステップS133の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0136】
以上のように、第六実施形態のデジタルカメラによれば、グループa〜e,a’〜e’毎の入射角だけでなく、固体撮像素子5の駆動モードも考慮して、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定することができる。
【0137】
同じグループであっても、駆動モードが混合駆動モードのときには、閾値Nの値が大きくなる。このため、混合駆動モードのときには、補正実施対象となる位相差画素52の数を、通常駆動モードのときよりも減らすことができる。したがって、駆動モードに関わらず閾値Nを一定にしている場合と比べて、演算量を効率的に削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0138】
なお、第六実施形態は、第三実施形態と組み合わせてもよい。例えば、メインメモリ16には、図10に示したテーブルを駆動モード毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図11のステップS41の後に駆動モードの情報を取得し、図11のステップS83において、駆動モードとISO感度と入射角θに応じて、グループa〜e,a’〜e’毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。
【0139】
また、第六実施形態は、第一実施形態と組み合わせてもよい。例えば、メインメモリ16には、位相差画素52毎の閾値Nのデータ群を、駆動モード毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図7のステップS41の後に駆動モードの情報を取得し、図7のステップS48において、駆動モードと入射角θに応じて、位相差画素52毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。
【0140】
また、第六実施形態は、第五実施形態と組み合わせてもよい。例えば、図16のステップS133の後に、ステップS133で補正すると判定したグループの位相差画素52の出力信号のレベルに応じて、当該位相差画素52の出力信号の補正を行うか否かを再判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0141】
なお、これまでの説明では、固体撮像素子5に含まれる全ての画素の上方にカラーフィルタを設けるものとしたが、カラーフィルタはなくてもよい。この場合、位相差画素補正部18は、補正実施対象となる位相差画素52の出力信号を、その位相差画素52の周囲にある通常画素51の出力信号を用いて補正すればよい。
【0142】
また、第一実施形態〜第六実施形態は、上述した以外にも、矛盾のない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0143】
以上説明してきたように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0144】
開示された撮像装置は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定部とを備えるものである。
【0145】
開示された撮像装置は、前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定部が、前記複数のグループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定するものである。
【0146】
開示された撮像装置は、前記判定部が、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定するものである。
【0147】
開示された撮像装置は、前記判定部が、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定するものである。
【0148】
開示された撮像装置は、前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なるものである。
【0149】
開示された撮像装置は、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なるものである。
【0150】
開示された撮像装置は、前記判定部が、更にISO感度に応じて前記判定を行うものである。
【0151】
開示された撮像装置は、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図の中から前記撮像装置の動作状態に応じて選択した一方のプログラム線図にしたがって自動露出制御を行う制御部を備えるものである。
【0152】
開示された撮像装置は、前記動作状態が前記撮像装置の電池残量であるものである。
【0153】
開示された撮像装置は、前記動作状態が前記撮像装置の撮像モードであるものである。
【0154】
開示された撮像装置は、前記判定部が、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行うものである。
【0155】
開示された撮像画像信号の補正方法は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正ステップと、前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備えるものである。
【0156】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定ステップでは、前記複数のグループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定するものである。
【0157】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定するものである。
【0158】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定するものである。
【0159】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なるものである。
【0160】
開示された撮像画像信号の補正方法は、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なるものである。
【0161】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、更にISO感度に応じて前記判定を行うものである。
【0162】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行うものである。
【符号の説明】
【0163】
5 固体撮像素子
18 位相差画素補正部
19 位相差画素補正実施判定部
51 通常画素
52 位相差画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像画像信号の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に搭載される固体撮像素子には、二次元状に配列された多数の光電変換素子(画素)を有し、そのうちの一部(同色カラーフィルタを搭載した隣接する2つの画素)を位相差画素(位相差を検出するための画素)とし、この位相差画素を測距のために使用しているものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この固体撮像素子において、隣接する2つの位相差画素の各々の遮光膜開口は、画素の光学中心に対し異なる方向に偏心して設けられている。
【0004】
また、この位相差画素は、レンズにより入射される光を瞳分割する必要があるため、遮光膜開口の面積が、その他の画素よりも小さくなっている。
【0005】
このように、位相差画素は、遮光膜開口の面積が小さくなっているため、その出力信号を撮像画像信号として使用することができない。したがって、従来は、位相差画素の出力信号を、欠陥画素と同様に、その位相差画素の周りの通常の画素の出力信号を用いて補間演算する補間演算処理、その位相差画素の出力信号を増幅する増幅処理、又はこれらの両方等を用いて補正している。
【0006】
位相差画素を例えば3万個ほど設けた場合、この3万個の位相差画素の出力信号の全てを補間演算処理によって補正すると、200msec〜300msec程度の時間がかかってしまう。また、位相差画素の出力信号を増幅処理によって補正する場合には、位相差画素の位置によって光の入射角が異なり感度の低下度合が異なるため、位相差画素毎にゲインを変えて増幅を行う必要があるが、この場合も、3万個の位相差画素の出力信号でゲインを変えて補正するには時間がかかってしまう。近年の固体撮像素子は1000万画素以上が普通になっているため、位相差画素の数も増える傾向にあり、位相差画素の出力信号の補正に要する時間も長くなる傾向にある。
【0007】
特許文献2には、位相差画素を構成する1対の画素のうちの一方を通常の画素で代用することで、補正対象となる位相差画素の数を半分に減らした撮像装置が開示されている。しかし、この撮像装置であっても、例えば3万個の位相差画素を設ける固体撮像素子であれば、その半分の1万5千個の位相差画素に対しては常に補正を行う必要がある。このため、位相差画素の出力信号の補正には依然として時間がかかる。
【0008】
特許文献3には、複数の光電変換部を有する撮像素子からの信号の欠陥を補正する画像処理装置が開示されている。しかし、この画像処理装置は、位相差画素の出力信号の欠陥を補正することを目的にしておらず、位相差画素の欠陥補正処理に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2009−244854号公報
【特許文献3】特開2002−94884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位相差画素の出力信号の補正に要する時間及び演算量を削減することが可能な撮像装置及び撮像画像信号の補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定部とを備えるものである。
【0012】
本発明の撮像画像信号の補正方法は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正する補正ステップと、前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、位相差画素の出力信号の補正に要する時間及び演算量を削減することが可能な撮像装置及び撮像画像信号の補正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態を説明するための撮像装置の概略構成を示す図
【図2】図1に示したデジタルカメラにおける固体撮像素子5の概略構成を示す部分平面模式図
【図3】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図4】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図5】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図6】図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図
【図7】図1に示すデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図8】本発明の第二実施形態のデジタルカメラの固体撮像素子の画素領域に設定される分割エリアの例を示す図
【図9】本発明の第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図10】本発明の第三実施形態のデジタルカメラに記憶される閾値Nのテーブルの一例を示す図
【図11】本発明の第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図12】本発明の第三実施形態のデジタルカメラで用いられるプログラム線図の一例を示す図
【図13】本発明の第三実施形態のデジタルカメラで用いられるプログラム線図の一例を示す図
【図14】ガンマ補正処理を説明するための図
【図15】本発明の第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【図16】本発明の第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態を説明するための撮像装置の概略構成を示す図である。撮像装置としては、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、電子内視鏡及びカメラ付携帯電話機等に搭載される撮像モジュール、等があり、ここではデジタルカメラを例にして説明する。
【0017】
図示するデジタルカメラの撮像系は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等を含む撮影光学系1と、固体撮像素子5と、この両者の間に設けられた絞り2、赤外線カットフィルタ3、及び光学ローパスフィルタ4とを備える。
【0018】
固体撮像素子5は、詳細は後述するが、平面視において二次元状に配置された3つ以上の光電変換素子(画素)を有し、そのうちの一部を、測距用の画素である位相差画素にし、残りを撮像用の画素である通常画素にした構成となっている。
【0019】
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、レンズ駆動部8を制御してフォーカスレンズをフォーカス位置に移動させて焦点距離を調整したり、ズームレンズを移動させてズーム調整を行ったりし、絞り駆動部9を介し絞り2の開口量を制御して露光量調整を行う。撮像時のフォーカスレンズのフォーカス位置、絞り2の絞り値、及びズームレンズのズーム位置等の撮像条件に応じて、固体撮像素子5の各画素に入射する光の入射角は変化する。
【0020】
システム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して固体撮像素子5を駆動し、撮影光学系1を通して撮像した被写体像を撮像画像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
【0021】
デジタルカメラの電気制御系は、更に、固体撮像素子5の出力に接続された相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部6と、このアナログ信号処理部6から出力された撮像画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路7とを備え、これらはシステム制御部11によって制御される。
【0022】
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、A/D変換回路7から出力された撮像画像信号に含まれる位相差画素の出力信号を補正する位相差画素補正部18と、位相差画素補正部18で補正後の撮像画像信号に対し、所定のデジタル信号処理を行って撮像画像データを生成するデジタル信号処理部17と、固体撮像素子5に含まれる位相差画素毎に、当該位相差画素の出力信号の補正を実施するか否かを判定する位相差画素補正実施判定部19と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された液晶表示部23が接続される表示制御部22とを備える。
【0023】
メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、位相差画素補正部18、位相差画素補正実施判定部19、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
【0024】
図2は、図1に示したデジタルカメラにおける固体撮像素子5の概略構成を示す部分平面模式図である。
【0025】
図2に示すように、固体撮像素子5は、平面視において行方向Xとこれに直交する列方向Yに二次元状に配置された3つ以上の光電変換素子(画素)を有する。
【0026】
3つ以上の画素は、その奇数行が偶数行に対して各行の画素配列ピッチの略1/2だけ行方向Xにずれて配置されている。
【0027】
各画素の上方には原色のカラーフィルタが設けられている。図2では、赤色(R)のカラーフィルタが搭載された画素に“R”を付し、緑色(G)のカラーフィルタが搭載された画素(以下、G画素ともいう)に“G”を付し、青色(B)のカラーフィルタが搭載された画素に“B”を付してある。
【0028】
3つ以上の画素のうちの奇数行の画素の上方にある原色のカラーフィルタは全体としてベイヤ配列となっており、偶数行の画素の上方にある原色のカラーフィルタも全体としてベイヤ配列となっている。
【0029】
この3つ以上の画素は、少なくとも1つの通常画素51と少なくとも2つの位相差画素52とを含む。
【0030】
図2の例では、斜め方向で隣接する同色カラーフィルタを搭載する1対の位相差画素52をペアとして、このペアが、3つ以上の画素が配置される画素領域に所定間隔で配置されている。
【0031】
通常画素51の上方には遮光膜開口51aが設けられ、位相差画素52の上方には遮光膜開口51aよりも小さい遮光膜開口52aが設けられている。
【0032】
遮光膜開口51aは、通常画素51の上方に設けられるマイクロレンズによる光学中心とその中心が一致している。
【0033】
これに対し、遮光膜開口52aは、位相差画素52の上方に設けられるマイクロレンズによる光学中心から、その中心がずれている。隣接する1対の位相差画素52のそれぞれの遮光膜開口52aの中心は、互いに近づく方向に光学中心からずれている。
【0034】
なお、1対の位相差画素52の遮光膜開口の構成は一例であり、周知のどのような構成であってもよい。また、3つ以上の画素の配列は図2に示したものに限らず、正方格子配列等の周知の配列を採用することができる。また、カラーフィルタの配列もベイヤ配列に限らず、周知の配列を採用することができる。また、カラーフィルタも原色に限らず、補色のものを用いることもできる。
【0035】
このように、通常画素51と位相差画素52とでは、遮光膜開口の大きさが異なるため、感度に差が生じる。また、位相差画素52の遮光膜開口の中心は光学中心に対して偏心しているため、位相差画素52の感度は、遮光膜開口52aに入射してくる光の入射角に依存してその値が変化する。通常画素51の感度も、遮光膜開口51aに入射してくる光の入射角に依存してその値が変化するが、その変化の度合いは、位相差画素52よりは小さい。
【0036】
図3は、図2に示した固体撮像素子5における位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。図3に示した左側の縦軸は画素の感度を示し、横軸は画素の遮光膜開口に入射してくる光の入射角を示している。また、図3には、右側の縦軸を感度比((位相差画素52の感度)÷(G画素51の感度))とし、各入射角における感度比も併せて図示した。なお、図3に示した特性は、固体撮像素子5を、入射角がそれほどきつくならないチップ中央部と入射角がきつくなるチップ周辺部とに分けたときに、チップ中央部でかつチップ中心(撮影光学系1の光軸と固体撮像素子5とが交わる位置)よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して右側(チップ中心に向かう側)にある位相差画素52のものを示した。
【0037】
図3に示すように、G画素51と位相差画素52では、入射角が0°の場合(遮光膜開口に垂直に光が入射した場合)、遮光膜の大きさの違いによる感度差が生じる。そして、G画素51と位相差画素52の感度は、入射角が大きくなるにしたがって低下していくが、位相差画素52の方が感度の低下率は大きく、入射角依存が大きい。この結果、感度比も、入射角が大きくなるにしたがって小さくなっている。
【0038】
図1に示したデジタルカメラでは、デジタル信号処理部17が、位相差画素52の出力信号を補正した後の撮像画像信号に対し、ノイズリダクション処理を実施する。
【0039】
図3に示した感度比が、あるレベルTh以上になっているときには、位相差画素52のキズレベル(G画素51の出力信号のレベルから位相差画素52の出力信号のレベルを減算した値)が小さくなり、ノイズリダクション補正処理によって、このキズレベルを十分に目立たなくすることが可能になる。一方、図3に示した感度比がレベルTh未満のときには、ノイズリダクション処理だけではキズレベルを目立たなくすることが難しい。
【0040】
そこで、このデジタルカメラでは、位相差画素補正実施判定部19が、図3に示した入射角依存特性を持つ位相差画素52については、感度比がレベルTh以上になる入射角θ(θ≦閾値N)のときには、位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、感度比がレベルTh未満になる入射角θ(閾値N<θ)のときには、位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する。
【0041】
なお、図3に示した入射角依存特性は、固体撮像素子5に含まれる位相差画素52及びこれに隣接するG画素51のペア毎に異なり、上記の“閾値N”の値も、位相差画素52の固体撮像素子5の画素領域における配置位置及び遮光膜開口の偏心方向によって異なる。
【0042】
図4は、チップ中央部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して左側(チップ中心から離れる側)にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。
【0043】
図4に示すように、隣接する位相差画素52であっても、遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52では、遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52よりも入射角がきつくなるため、感度が低下する。この結果、感度比も低下するため、閾値Nの値も、図3に示した場合より小さくなる。
【0044】
なお、チップ中央部でかつチップ中心よりも右側の領域にある位相差画素52のペアについての入射角依存特性は、遮光膜開口が左に偏心しているものが図3に示した特性となり、遮光膜開口が右に偏心しているものが図4に示した特性となる。
【0045】
図5は、チップ周辺部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して右側にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。図6は、チップ周辺部でかつチップ中心よりも左側の領域にある位相差画素52のペアのうち、遮光膜開口が光学中心に対して左側にある位相差画素52とこれに隣接するG画素51の各々の入射角依存特性を示した図である。
【0046】
図5、6に示すように、チップ周辺部にある位相差画素52及びG画素51は、チップ中央部にあるものよりも感度が低下するため、感度比もチップ中央部と比較して低下する。このため、遮光膜開口の偏心方向が同じ位相差画素52同士であっても、閾値Nの値は、チップ周辺部にあるものの方が小さくなる。
【0047】
なお、チップ周辺部でかつチップ中心よりも右側の領域にある位相差画素52のペアについての入射角依存特性は、遮光膜開口が左に偏心しているものが図5に示した特性となり、遮光膜開口が右に偏心しているものが図6に示した特性となる。
【0048】
このように、閾値Nの値は、位相差画素52の遮光膜開口の偏心方向及び位相差画素52の固体撮像素子5のチップ上での位置によって異なる。そこで、このデジタルカメラでは、メインメモリ16が、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルを記憶している。
【0049】
そして、位相差画素補正実施判定部19は、撮像条件の情報から、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に、そこに入射する光の入射角を算出し、算出した入射角と上記テーブルとに基づいて、当該位相差画素52毎に、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定する。
【0050】
位相差画素補正部18は、固体撮像素子5に含まれる位相差画素52のうち、位相差画素補正実施判定部19により補正を実施すると判定された位相差画素52のみを補正実施対象とする。位相差画素補正部18は、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号を、その周囲の当該位相差画素52と同色のカラーフィルタが搭載される通常画素51の出力信号を用いて補正する。
【0051】
例えば、図2に示す2つの位相差画素のうちの右下の位相差画素52を補正実施対象とした場合には、当該位相差画素52の出力信号が配置されるメモリ位置に、図2に示した4隅にある4つのG画素51の出力信号を用いて信号を補間生成し、当該位相差画素52の出力信号を、補間生成した信号に置き換える補間処理を実施することで、当該位相差画素52の出力信号の補正を行う。
【0052】
以上のように構成されたデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0053】
図7は、図1に示すデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。
【0054】
操作部14に含まれるシャッタボタンが半押しされると(ステップS41)、システム制御部11は、固体撮像素子5から出力される撮像画像信号に基づいてAE(自動露出)制御を実行する(ステップS42)。このAE制御により、絞り2が所定の絞り値に設定され、シャッタスピードが所定の値に設定される。
【0055】
次に、システム制御部11は、AF制御を実行し(ステップS43)、固体撮像素子5の位相差画素52からの出力信号に基づいて、撮影光学系1に含まれるフォーカスレンズをフォーカス位置に移動させる。
【0056】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、現時点でのズームレンズの位置、絞り2の絞り値、及びフォーカスレンズのフォーカス位置等の撮像条件の情報をシステム制御部11から取得する(ステップS44)。
【0057】
次に、シャッタボタンが全押しされると(ステップS45)、システム制御部11が、撮像素子駆動部10を制御して固体撮像素子5により撮像を実施する(ステップS46)。
【0058】
撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS44で取得した情報に基づいて、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52毎に、遮光膜開口52a中心に入射する光の入射角θを算出する(ステップS47)。
【0059】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、位相差画素52に対応する閾値Nと、当該位相差画素52に対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、当該位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、当該位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS48)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、全ての位相差画素52に対して行う。
【0060】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS48で補正を実施すると判定された位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS49)。
【0061】
位相差画素52の出力信号の補正が終了すると、デジタル信号処理部17が、補正後の撮像画像信号に対し、ノイズリダクション処理、同時化処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス調整処理、RGB/YC変換処理等のデジタル信号処理を施して撮像画像データを生成する(ステップS50)。
【0062】
生成された撮像画像データは圧縮された後、記録媒体21に記録されて(ステップS51)、撮像動作が終了する。
【0063】
以上のように、図1に示したデジタルカメラによれば、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち、撮像時の入射角θが閾値N以下になるものについては、周囲の通常画素51を用いた補正を行わないため、位相差画素52の出力信号の補正にかかる時間を大幅に短縮することができる。この結果、次の撮像が可能になるまでの時間を早めることができ、シャッタチャンスを逃してしまう確率を減らすことができる。また、連写撮像を行う場合には高速な連写が可能となる。
【0064】
また、図1に示したデジタルカメラによれば、全ての位相差画素52の出力信号を補正しなくてすむため、補正のための演算で消費する電力も削減することができ、バッテリを長持ちさせることが可能となる。
【0065】
なお、位相差画素補正部18は、補間処理の代わりに、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を、その位相差画素52への光の入射角に応じたゲインを当該出力信号にかけて増幅する増幅処理によって行ってもよい。または、位相差画素補正部18は、補間処理と増幅処理を組み合わせて実施して、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。
【0066】
増幅処理を行って補正する場合でも、撮像時の入射角θが閾値N以下になるものについては、補正を行わなくてすむため、位相差画素52の出力信号の補正にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0067】
(第二実施形態)
第二実施形態のデジタルカメラは、メインメモリ16に記憶するテーブルの内容と、位相差画素補正実施判定部19の機能の一部とが異なる点を除いては、第一実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0068】
第二実施形態のデジタルカメラでは、図8のFIG8Aに示したように、固体撮像素子5の画素領域50を複数(FIG8Aの例では5つ)のエリア(a、b、c、d、e)に分割し、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52を、その配置位置(配置エリア)によって、複数(ここでは5つ)のグループ(エリアaに配置されるグループ(以下、グループaとする)、エリアbに配置されるグループ(以下、グループbとする)、エリアcに配置されるグループ(以下、グループcとする)、エリアdに配置されるグループ(以下、グループdとする)、エリアeに配置されるグループ(以下、グループeとする))に分けている。そして、これらグループa〜e毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0069】
また、図8のFIG8Bに示したように、固体撮像素子5の画素領域50を複数(FIG8Bの例では5つ)のエリア(a’、b’、c’、d’、e’)に分割し、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52のうち遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52を、その配置位置(配置エリア)によって、複数(ここでは5つ)のグループ(エリアa’に配置されるグループ(以下、グループa’とする)、エリアb’に配置されるグループ(以下、グループb’とする)、エリアc’に配置されるグループ(以下、グループc’とする)、エリアd’に配置されるグループ(以下、グループd’とする)、エリアe’に配置されるグループ(以下、グループe’とする))に分けている。そして、これらグループa’〜e’毎に閾値Nの値を対応付けたテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0070】
なお、FIG8Bに示したエリアは、FIG8Aに示した全てのエリアを一律に右側にシフトさせたものとなっており、そのシフト量は、画素領域50の中央部分において、エリアaとエリアa’が重なりを持つ程度とすることが好ましい。
【0071】
各グループa〜eに対応する閾値Nは、当該各グループa〜eに含まれる遮光膜開口が右に偏心している位相差画素52に対して決まる閾値Nの平均値である。また、各グループa’〜e’に対応する閾値Nは、当該各グループa’〜e’に含まれる遮光膜開口が左に偏心している位相差画素52に対して決まる閾値Nの平均値である。
【0072】
第二実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正実施判定部19は、撮像条件の情報から、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角を算出する。そして、算出した入射角とメインメモリ16に記憶されているテーブルとに基づいて、当該グループa〜e,a’〜e’毎に位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定する。
【0073】
第二実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19により補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52のみを補正実施対象とする。位相差画素補正部18は、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号を、その周囲の当該位相差画素52と同色のカラーフィルタが搭載される通常画素51の出力信号を用いて補正する。
【0074】
次に、第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0075】
図9は、本発明の第二実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図9において、図7と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
ステップS46で撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS44で取得した情報に基づいて、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角θを算出する(ステップS61)。
【0077】
各グループa〜e,a’〜e’の入射角は、例えば、グループの全ての位相差画素52の入射角の平均値とする。
【0078】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、グループaに対応する閾値Nと、当該グループaに対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS62)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0079】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS62で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS63)。ステップS63の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0080】
以上のように、第二実施形態のデジタルカメラによれば、位相差画素52のグループa〜e,a’〜e’毎に、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定しているため、この判定の回数を、第一実施形態のデジタルカメラよりも大幅に減らすことができる。この結果、演算量を削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0081】
また、第二実施形態のデジタルカメラによれば、メインメモリ16に記憶するテーブルのデータ量を、第一実施形態のデジタルカメラよりも削減することができる。このため、メモリコストを削減して低価格化を実現することができる。
【0082】
なお、この実施形態においても、位相差画素補正部18は、補間処理の代わりに増幅処理によって位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。または、位相差画素補正部18は、補間処理と増幅処理を組み合わせて実施して、補正実施対象とした位相差画素52の出力信号の補正を行ってもよい。
【0083】
増幅処理によって補正を行う場合には、補正実施対象とした位相差画素52に対し、その位相差画素52が属するグループに対して算出した入射角θに応じたゲインを設定し、その位相差画素52の出力信号に当該ゲインをかけることで補正を行えばよい。
【0084】
(第三実施形態)
第三実施形態のデジタルカメラは、メインメモリ16に記憶するテーブルを変更した点と、位相差画素補正実施判定部19の機能を一部変更した点を除いては、第二実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0085】
第三実施形態のデジタルカメラのメインメモリ16は、図10に示したように、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群を、デジタルカメラに設定可能なISO感度毎に記憶したテーブルを記憶している。
【0086】
第三実施形態のデジタルカメラは、例えばISO100,200,400,800,1600が設定可能となっており、これらISO感度毎に、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群が記憶されている。
【0087】
第三実施形態のデジタルカメラのデジタル信号処理部17では、設定されるISO感度が高くなるほど、ランダムノイズが増えるため、ノイズリダクション処理を強くかける制御を行う。
【0088】
ISO感度が高くなっても、G画素51と位相差画素52はそれぞれ均一に出力信号が増幅されるため、図3〜6に示した感度比は変化しない。このため、ISO感度が高くなっていくと、ランダムノイズ>位相差画素52のキズレベル(G画素51の出力信号のレベルから位相差画素52の出力信号のレベルを減算した値)の関係になる。
【0089】
上述したように、ランダムノイズは、ノイズリダクション処理の強度を上げることで目立たなくすることができる。このため、「ランダムノイズ>位相差画素52のキズレベル」の関係になっている場合は、当該位相差画素52のキズレベルも、ノイズリダクション処理によって十分に目立たなくすることができる。
【0090】
つまり、図3〜6で説明した閾値Nの値は、ISO感度(ノイズリダクション処理の強度)に依存して変化する。そこで、第三実施形態のデジタルカメラでは、図10に示したように、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのデータ群をISO感度毎に記憶したテーブルをメインメモリ16に記憶している。
【0091】
次に、第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0092】
図11は、本発明の第三実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図11において、図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
ステップS43でAF制御が実行された後、位相差画素補正実施判定部19が、現時点でのズームレンズの位置、絞り2の絞り値、フォーカスレンズのフォーカス位置、及びISO感度等の撮像条件の情報をシステム制御部11から取得する(ステップS81)。ステップS81の後は、ステップS45の処理に移行する。
【0094】
ステップS46で撮像が終了すると、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS81で取得した情報に基づいて、グループa〜e,a’〜e’毎に、そこに入射する光の入射角θを算出する(ステップS82)。
【0095】
各グループa〜e,a’〜e’の入射角は、例えば、グループの全ての位相差画素52の入射角の平均値とする。
【0096】
次に、位相差画素補正実施判定部19が、ステップS81で取得したISO感度の情報に対応するグループaの閾値Nと、当該グループaに対して算出した入射角θとを比較し、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS83)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0097】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS83で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS84)。ステップS84の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0098】
以上のように、第三実施形態のデジタルカメラによれば、位相差画素52のグループa〜e,a’〜e’毎の入射角だけでなく、カメラに設定されるISO感度も考慮して、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定することができる。
【0099】
同じグループであっても、ISO感度が高いときには、閾値Nの値が大きくなる。このため、ISO感度が高いときには、補正実施対象となる位相差画素52の数を、ISO感度が低い場合よりも減らすことができる。したがって、ISO感度に関わらず閾値Nを一定にしている場合と比べて、演算量を効率的に削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0100】
なお、第三実施形態は、第一実施形態と組み合わせてもよい。例えば、第一実施形態のデジタルカメラにおいて、メインメモリ16には、位相差画素52毎の閾値Nのデータ群を、ISO感度毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図7のステップS44でISO感度の情報も取得し、図7のステップS48において、ISO感度と入射角θに応じて、位相差画素52毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0101】
(第四実施形態)
第四実施形態のデジタルカメラは、システム制御部11によるAE制御の内容が異なる点を除いては、第三実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0102】
第四実施形態のデジタルカメラは、システム制御部11に内蔵するメモリに、図12に例示されるような、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と、図13に例示されるような、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図との2種類を記憶している。
【0103】
高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行うと、ISO感度が高い側に設定されやすくなる。前述したように、ISO感度が高いときには、補正実施対象となる位相差画素52の数が減る傾向にあるため、補正に要する演算量が削減される。つまり、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図は、消費電力を減らしたり、高速処理を実現したりしたいときに適したプログラム線図である。
【0104】
一方、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行うと、ISO感度が低い側に設定されやすくなるため、高S/Nで撮影が可能になる。つまり、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図は、画質を優先したいときに適したプログラム線図である。
【0105】
第四実施形態のデジタルカメラのシステム制御部11は、この2種類のプログラム線図のいずれかを、デジタルカメラの動作状態に応じて選択し、選択したプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0106】
例えば、システム制御部11は、デジタルカメラの電池残量を定期的にモニタし、電池残量が閾値を下回っていたときには、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。一方、電池残量が閾値以上のときには、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0107】
また、システム制御部11は、動画撮像モード、連写撮像モード等の高速処理が要求される撮像モードのときには、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。一方、高速処理が要求される撮像モード以外の撮像モードのときには、低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図を用いてAE制御を行う。
【0108】
以上のように、第四実施形態のデジタルカメラによれば、デジタルカメラの動作状態に対応した最適な処理が可能となる。
【0109】
(第五実施形態)
第五実施形態のデジタルカメラは、位相差画素補正実施判定部19の機能が一部異なる点を除いては、第三実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0110】
図3〜6に示したように、入射角が同じであれば、G画素51と位相差画素52の感度比は一定値になる。このため、G画素51及び位相差画素52の出力信号のレベルが高いほど、位相差画素52のキズレベルは高くなる。逆に、G画素51及び位相差画素52の出力信号のレベルが低いほど、位相差画素52のキズレベルも低くなる。
【0111】
また、第五実施形態のデジタルカメラのデジタル信号処理部17は、撮像画像信号(RAWデータ)からJPEG形式の撮像画像データを生成する際にガンマ補正処理を行う。
【0112】
図14は、ガンマ補正処理を説明するための図である。ここでは、RAWデータに含まれる位相差画素52の出力信号を位相差画素補正部18によって1つも補正しなかった場合を例にして説明する。
【0113】
この場合、図14に示すように、レベルの大きいRAWデータの部分では、データが圧縮されるため、この部分に位相差画素52の出力信号が存在していたとしても、JPEGデータではその位相差画素52のキズレベルは目立たなくなる。
【0114】
また、レベルが小さいRAWデータの部分では、データが大きなゲインで増幅されるが、この部分では位相差画素52のキズレベルがもともと小さいため、JPEGデータではそのキズレベルは目立たない。
【0115】
このように、位相差画素52の出力信号は、そのレベルが所定範囲外(高いレベル範囲、低いレベル範囲)にあるときは、位相差画素補正部18による補正を行わなくても、キズレベルは目立たない。
【0116】
そこで、第五実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正実施判定部19は、ISO感度と入射角θに応じてグループa〜e,a’〜e’毎に位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定した後、更に、補正を実施すると判定したグループの位相差画素52については、その出力信号のレベルに応じて、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを再判定する。
【0117】
第五実施形態のデジタルカメラの位相差画素補正部18は、位相差画素補正実施判定部19による再判定の結果、補正を実施すると判定された位相差画素52を補正実施対象とする。
【0118】
次に、第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0119】
図15は、本発明の第五実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図15において、図11と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0120】
ステップS83の後、位相差画素補正実施判定部19は、補正を実施すると判定したグループの位相差画素52の出力信号のレベルが、所定範囲に入るか否かを判定する。そして、出力信号のレベルが所定範囲に入る位相差画素52については、位相差画素補正部18による補正を実施すると判定し、出力信号のレベルが所定範囲に入らない位相差画素52については、位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定する(ステップS121)。
【0121】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS121で補正を実施すると判定された位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS122)。ステップS122の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0122】
なお、第五実施形態は、第二実施形態と組み合わせてもよい。例えば、図9のステップS62においてグループa〜e,a’〜e’毎に補正するしないを判定した後、補正すると判定したグループの位相差画素52に対し、出力信号のレベルに応じて補正するしないを再判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0123】
(第六実施形態)
第六実施形態のデジタルカメラは、位相差画素補正実施判定部19の機能が一部異なる点を除いては、第二実施形態のデジタルカメラと同じ構成である。
【0124】
第六実施形態のデジタルカメラは、固体撮像素子5の駆動モードとして、同色カラーフィルタを搭載する画素同士の電荷を固体撮像素子5内で混合して、撮像画像信号の1つの出力信号あたりの感度を上げる混合駆動モードと、電荷を混合せずに撮像画像信号を得る通常駆動モードがある。混合駆動モードには、電荷の混合数によって複数パターンが含まれる。
【0125】
撮像素子駆動部10は、混合駆動モード時、固体撮像素子5に含まれる全ての位相差画素52の電荷については、これに当該位相差画素52の周囲にあるG画素51の電荷を混合する駆動を行って、全ての位相差画素52から出力信号を得る。
【0126】
この場合、各位相差画素52の出力信号は、通常駆動モードのときの出力信号よりも、キズレベルが減少する。このキズレベルは、位相差画素52の電荷に混合するG画素51の電荷の数が増えるほど減少する。キズレベルが減少すると、閾値Nの値は大きくなる。
【0127】
つまり、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nの値は、固体撮像素子5の駆動モードに依存する。
【0128】
そこで、第六実施形態のデジタルカメラでは、メインメモリ16が、グループa〜e,a’〜e’毎の閾値Nのテーブルを、固体撮像素子5の駆動モード毎に記憶している。
【0129】
例えば、駆動モードが、通常駆動モードと、電荷混合数の異なる複数の電荷混合モードとを含む場合は、メインメモリ16には、通常駆動モード用と各電荷混合モード用とでテーブルが記憶される。
【0130】
次に、第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作について説明する。
【0131】
図16は、本発明の第六実施形態のデジタルカメラの撮像動作を説明するためのフローチャートである。図16において、図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0132】
ステップS41の後、位相差画素補正実施判定部19は、固体撮像素子5の駆動モードの情報を取得する(ステップS131)。ステップS131の後は、ステップS42以降の処理を行う。
【0133】
ステップS61の後、位相差画素補正実施判定部19は、ステップS131で取得した駆動モードの情報から、当該駆動モードに対応するテーブルのグループaの閾値Nを抽出し、この閾値Nと、グループaに対して算出した入射角θとを比較する。
【0134】
比較の結果、θ≦閾値Nであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施しないと判定し、閾値N<θであった場合には、そのグループaの位相差画素52に対しては位相差画素補正部18による補正を実施すると判定する(ステップS132)。位相差画素補正実施判定部19は、このような判定処理を、他のグループb〜e,a’〜e’に対しても行う。
【0135】
次に、位相差画素補正部18が、ステップS132で補正を実施すると判定されたグループの位相差画素52の出力信号に対してのみ、補正を実施する(ステップS133)。ステップS133の後は、ステップS50以降の処理を行う。
【0136】
以上のように、第六実施形態のデジタルカメラによれば、グループa〜e,a’〜e’毎の入射角だけでなく、固体撮像素子5の駆動モードも考慮して、位相差画素補正部18による補正を実施するか否かを判定することができる。
【0137】
同じグループであっても、駆動モードが混合駆動モードのときには、閾値Nの値が大きくなる。このため、混合駆動モードのときには、補正実施対象となる位相差画素52の数を、通常駆動モードのときよりも減らすことができる。したがって、駆動モードに関わらず閾値Nを一定にしている場合と比べて、演算量を効率的に削減して更なる高速処理が可能になると共に、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0138】
なお、第六実施形態は、第三実施形態と組み合わせてもよい。例えば、メインメモリ16には、図10に示したテーブルを駆動モード毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図11のステップS41の後に駆動モードの情報を取得し、図11のステップS83において、駆動モードとISO感度と入射角θに応じて、グループa〜e,a’〜e’毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。
【0139】
また、第六実施形態は、第一実施形態と組み合わせてもよい。例えば、メインメモリ16には、位相差画素52毎の閾値Nのデータ群を、駆動モード毎に記憶しておく。そして、位相差画素補正実施判定部19が、図7のステップS41の後に駆動モードの情報を取得し、図7のステップS48において、駆動モードと入射角θに応じて、位相差画素52毎に補正を実施するか否かを判定すればよい。
【0140】
また、第六実施形態は、第五実施形態と組み合わせてもよい。例えば、図16のステップS133の後に、ステップS133で補正すると判定したグループの位相差画素52の出力信号のレベルに応じて、当該位相差画素52の出力信号の補正を行うか否かを再判定すればよい。また、補正の方法は、補間処理による方法に限らず、増幅処理による方法や補間処理と増幅処理の併用による方法を採用してもよい。
【0141】
なお、これまでの説明では、固体撮像素子5に含まれる全ての画素の上方にカラーフィルタを設けるものとしたが、カラーフィルタはなくてもよい。この場合、位相差画素補正部18は、補正実施対象となる位相差画素52の出力信号を、その位相差画素52の周囲にある通常画素51の出力信号を用いて補正すればよい。
【0142】
また、第一実施形態〜第六実施形態は、上述した以外にも、矛盾のない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0143】
以上説明してきたように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0144】
開示された撮像装置は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定部とを備えるものである。
【0145】
開示された撮像装置は、前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定部が、前記複数のグループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定するものである。
【0146】
開示された撮像装置は、前記判定部が、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定するものである。
【0147】
開示された撮像装置は、前記判定部が、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定するものである。
【0148】
開示された撮像装置は、前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なるものである。
【0149】
開示された撮像装置は、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なるものである。
【0150】
開示された撮像装置は、前記判定部が、更にISO感度に応じて前記判定を行うものである。
【0151】
開示された撮像装置は、高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図の中から前記撮像装置の動作状態に応じて選択した一方のプログラム線図にしたがって自動露出制御を行う制御部を備えるものである。
【0152】
開示された撮像装置は、前記動作状態が前記撮像装置の電池残量であるものである。
【0153】
開示された撮像装置は、前記動作状態が前記撮像装置の撮像モードであるものである。
【0154】
開示された撮像装置は、前記判定部が、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行うものである。
【0155】
開示された撮像画像信号の補正方法は、撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正ステップと、前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備えるものである。
【0156】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定ステップでは、前記複数のグループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定するものである。
【0157】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定するものである。
【0158】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定するものである。
【0159】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なるものである。
【0160】
開示された撮像画像信号の補正方法は、互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なるものである。
【0161】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、更にISO感度に応じて前記判定を行うものである。
【0162】
開示された撮像画像信号の補正方法は、前記判定ステップでは、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行うものである。
【符号の説明】
【0163】
5 固体撮像素子
18 位相差画素補正部
19 位相差画素補正実施判定部
51 通常画素
52 位相差画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、
前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、
前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角を用いて判定する判定部とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、
前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定部が、前記グループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角を用いて前記補正の要否を判定する撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置であって、
前記判定部が、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定する撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記判定部が、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定する撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なる撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の撮像装置であって、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なる撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記判定部が、更にISO感度に応じて前記判定を行う撮像装置。
【請求項8】
請求項7記載の撮像装置であって、
高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図の中から前記撮像装置の動作状態に応じて選択した一方のプログラム線図にしたがって自動露出制御を行う制御部を備える撮像装置。
【請求項9】
請求項8記載の撮像装置であって、
前記動作状態が前記撮像装置の電池残量である撮像装置。
【請求項10】
請求項8記載の撮像装置であって、
前記動作状態が前記撮像装置の撮像モードである撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記判定部が、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行う撮像装置。
【請求項12】
撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正ステップと、
前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備える撮像画像信号の補正方法。
【請求項13】
請求項12記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、
前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定ステップでは、前記グループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項14】
請求項13記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項15】
請求項12記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項16】
請求項15記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なる撮像画像信号の補正方法。
【請求項17】
請求項16記載の撮像画像信号の補正方法であって、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なる撮像画像信号の補正方法。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれか1項記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、更にISO感度に応じて前記判定を行う撮像画像信号の補正方法。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれか1項記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行う撮像画像信号の補正方法。
【請求項1】
撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子と、
前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正部と、
前記測距用画素の前記補正部による補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角を用いて判定する判定部とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、
前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定部が、前記グループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角を用いて前記補正の要否を判定する撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置であって、
前記判定部が、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定する撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記判定部が、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定する撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なる撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の撮像装置であって、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なる撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記判定部が、更にISO感度に応じて前記判定を行う撮像装置。
【請求項8】
請求項7記載の撮像装置であって、
高ISO感度を優先的に設定するプログラム線図と低ISO感度を優先的に設定するプログラム線図の中から前記撮像装置の動作状態に応じて選択した一方のプログラム線図にしたがって自動露出制御を行う制御部を備える撮像装置。
【請求項9】
請求項8記載の撮像装置であって、
前記動作状態が前記撮像装置の電池残量である撮像装置。
【請求項10】
請求項8記載の撮像装置であって、
前記動作状態が前記撮像装置の撮像モードである撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記判定部が、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行う撮像装置。
【請求項12】
撮像用画素及び測距用画素を含む固体撮像素子から出力される撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素の出力信号を当該測距用画素の周囲の前記撮像用画素の出力信号を用いて補間する第一の処理及び前記測距用画素の出力信号を増幅する第二の処理の少なくとも一方を行って前記測距用画素の出力信号を補正する補正ステップと、
前記測距用画素の前記補正ステップでの補正の要否を、少なくとも前記測距用画素への光の入射角に応じて判定する判定ステップとを備える撮像画像信号の補正方法。
【請求項13】
請求項12記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が所定方向に偏心した第一の測距用画素と、遮光膜開口が前記所定方向と反対方向に偏心した第二の測距用画素とを含み、
前記固体撮像素子に含まれる前記第一の測距用画素と前記第二の測距用画素とが、それぞれ、その配置位置に応じて複数のグループに分けられ、
前記判定ステップでは、前記グループ毎に、当該グループの前記測距用画素への光の入射角に応じて前記補正の要否を判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項14】
請求項13記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、前記補正を実施すると判定した前記グループの各測距用画素に対しては、当該各測距用画素の出力信号のレベルに応じて、前記補正の要否を再判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項15】
請求項12記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、前記入射角と前記測距用画素毎に記憶された前記入射角の閾値との比較により、前記補正の要否を判定する撮像画像信号の補正方法。
【請求項16】
請求項15記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記測距用画素が、遮光膜開口が前記測距用画素の光学中心に対して互いに異なる方向に偏心した2種類の測距用画素を含み、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が異なる撮像画像信号の補正方法。
【請求項17】
請求項16記載の撮像画像信号の補正方法であって、
互いに隣接する前記2種類の測距用画素の各々に対する前記閾値が、当該測距用画素の配置位置に応じて異なる撮像画像信号の補正方法。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれか1項記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、更にISO感度に応じて前記判定を行う撮像画像信号の補正方法。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれか1項記載の撮像画像信号の補正方法であって、
前記判定ステップでは、更に前記固体撮像素子の駆動モードに応じて前記判定を行う撮像画像信号の補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−244288(P2011−244288A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115840(P2010−115840)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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