撮像装置
【課題】ユーザーが意図する画像中の領域の色を、ユーザーに伝えると共にユーザーが意図する色に変換する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、表示手段に表示した画像中の位置及び希望する色を、前記表示手段に重ね合わせたタッチパネルを介してユーザーが指定し、位置演算手段が算出した前記ユーザーが指定した画像中の位置情報と画像情報に基づき、該位置の色を音や画像表示により伝達する。更に、画像データ処理手段は、ユーザーが指定した画像中の位置の色を、タッチパネルを介してユーザーが指定した色に変換する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、表示手段に表示した画像中の位置及び希望する色を、前記表示手段に重ね合わせたタッチパネルを介してユーザーが指定し、位置演算手段が算出した前記ユーザーが指定した画像中の位置情報と画像情報に基づき、該位置の色を音や画像表示により伝達する。更に、画像データ処理手段は、ユーザーが指定した画像中の位置の色を、タッチパネルを介してユーザーが指定した色に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像や再生画像等を表示する表示装置を有するデジタルカメラ、ビデオカメラ等の、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置において、ユーザーが好む画像になる様に画像処理を施す機能を有する機種が増えてきている。この様な機能には、例えば、人物の肌色部を検出し、その部分を好ましい色にする処理(美肌モード)、体型を変更する処理(細身モード)、カラー画像をモノクロ化する処理、画像周辺部の輝度を落とす処理(トイカメラ調)等がある。これらの機能を有するデジタルカメラでは、予め設定されている複数の処理の中から、ユーザーが好みの処理を選択することで、該処理が行われる。
【0003】
また、ユーザーの好みに応じて、撮影した画像の明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータを変更処理する手段を有するデジタルカメラが例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1は、処理対象画像を表示しながら、明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータをユーザーが変更し、変更後の画像を確認しながら好みの値に決定する方法を開示している。また、この特許文献1は、明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータを複数の所定の設定値に変更して得られる画像を一覧表示し、それらの画像の中からユーザーが好みの画像を選択する方法も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−187351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の予め設定されている複数の処理の中からユーザーが好みの処理を選択する撮像装置においては、ユーザーが好みの処理を選択すると撮像装置が自動的に対応した処理を実施するので、ユーザーの意思を細かく画像に反映させることが困難である。また、特許文献1に開示されている技術では、処理対象画像の全体の明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータをユーザーが指定して変更することは可能だが、画像の一部(例えば人物)のみの該パラメータを、好みの値に調整することは困難である。
更に、ユーザーが画像の色等を好みの通りに変換するためには、ユーザーは各画素の色情報を正確に知る必要がある。
【0006】
そこで本発明は、ユーザーが指定した画像の一部の色をユーザーに伝えると共に、ユーザーが指定した画像の一部をユーザーが意図する色に変換する機能を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を果たすため、本発明の一態様の撮像装置は、画像データに基づき画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示した画像を参照しながら該画像中の位置及び希望する色を指定する指定手段と、前記指定手段によりユーザーが指定した前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色を、前記指定手段によりユーザーが指定した前記希望する色に変換する変換処理を含む画像データ処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置は、ユーザーが指定した画像部分の色を用いてユーザーに伝えると共に、ユーザーが指定した画像の一部をユーザーが意図する色に変換する機能を備えた撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図3】デジタルカメラの背面を示す図である。
【図4】色相スケールの第1の例を示す図である。
【図5】色相スケールの第2の例を示す図である。
【図6】色相スケールの第3の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るデジタルカメラの背面を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の撮像装置は、例として、撮影画像や再生画像を表示する表示手段を有するデジタルカメラとする。該デジタルカメラの表示手段には、タッチパネルが重ね合わせてある。このため、ユーザーは表示手段に表示された画像の一部に触れる様にその上に重ねられているタッチパネルに触れることで、撮影中或いは撮影した画像の再生中に、表示画像の一部を選択することができる。本実施形態のデジタルカメラは、ユーザーが選択した画像部分の色の情報を、音声や画像表示等によりユーザーに伝達する機能と、ユーザーが選択した画像部分の色を、ユーザーが色情報を参照しながら選択した色に変換する機能とを有する。
【0011】
本実施形態のデジタルカメラ100は、図1に示す様に、撮影レンズ101と、撮像素子102と、画像信号処理部103と、メモリ制御部104と、第1のメモリ105と、カメラコントローラ106と、ドライバ107と、画像表示部108と、タッチパネル109と、カードインターフェース(カードI/F)110と、記録媒体111と、システムバス112と、D/A変換部113と、スピーカー114と、第2のメモリ115と、ユーザーインターフェース(ユーザーI/F)116と、各種スイッチ117とを有している。
【0012】
撮影レンズ101は、撮像素子102の撮像面上に被写体像を形成する。
撮像素子102は、例えばCCD或いはCMOSイメージセンサ等の撮像素子に例えばベイヤ配列のカラーフィルタが貼り付けられて構成されている。この撮像素子102は、撮像面上に形成された被写体像をデジタル画像信号に変換する。本実施形態の説明において、撮像素子102は、内部にCDS(相関二重サンプリング処理ブロック)、A/D変換処理ブロック等の処理ブロックを有し、デジタル画像信号(以下、単に画像信号という)を出力可能なCMOSイメージセンサであるとする。
【0013】
画像信号処理部103は、特定用途向けの集積回路(ASIC)等で構成することが可能である。この画像信号処理部103は、第1のメモリ105に一時的に保管された画像信号に、同時化処理(デモザイキング処理)、ホワイトバランス調整、階調補正、レベル補正、アンシャープマスク、シェーディング補正等の処理を施し、デジタル画像データを生成する。さらに画像信号処理部103は、以下の3つの処理を含む画像処理を実行できる。即ち、1つ目は、撮影時においてライブビュー表示のためのライブビュー画像を生成する処理(ライブビュー画像表示処理)である。2つ目は、撮像素子102から読み出された画像信号に基づいて記録用の画像データを生成する処理(画像記録処理)である。3つ目は、記録された画像データを読み出して再生用の画像データを生成する処理(再生表示処理)である。
【0014】
メモリ制御部104は、システムバス112を介して、撮像素子102、画像信号処理部103、カメラコントローラ106、ドライバ107から出されるメモリアクセス要求を調停して、第1のメモリ105へのデータの書き込みと第1のメモリ105からのデータの読み出しとを制御する。
【0015】
第1のメモリ105は、システムバス112及びメモリ制御部104を介して、撮像素子102、画像信号処理部103、カメラコントローラ106、ドライバ107がアクセス可能になされている。この第1のメモリ105は、撮像素子102から出力され、メモリ制御部104から入力されたデジタル画像信号等の各種のデジタル信号を記憶する。また、第1のメモリ105は、画像信号処理部103が画像処理を行う際のバッファメモリとしても用いられるので、書き込み・読み出しの速度が速いことが望ましく、例えばDRAMで構成することができる。
【0016】
カメラコントローラ106は、例えばCPU等で構成され、デジタルカメラ100の動作全体を統括して制御する。カメラコントローラ106は、例えば、自動露光に係る測光や露光量演算等の動作、図示しないフラッシュユニット用メインコンデンサの充電やフラッシュの発光量調節、撮影レンズ101のズーム駆動やフォーカス駆動、撮影者による撮影モードの設定操作受付、画像表示部108への制御信号の送出、図示しないシャッターの開閉、図示しない絞りの開度の制御等を行う。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103の動作を統括制御する機能を有し、画像信号処理部103に対して、ライブビュー画像表示処理、画像記録処理及び再生表示処理のいずれかを行うよう指令する。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103に、第1のメモリ105に記憶させた表示用の画像データ(RGBの値)の色情報の平均化処理を行うよう指令する。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103に、画像データの色変換処理を行うよう指令する。更に、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から、ユーザーが選択した画像位置情報を算出する。また、第1のメモリ105に記憶させた表示用の画像データ(RGBの値)から当該画像位置に対応した色情報を得る。更に、カメラコントローラ106は、ユーザーが選択した画像位置に対応した色情報と第2のメモリ115に格納された慣用色データとを比較しユーザーに知らせる色名を選択し、選択した色名をユーザーに知らせる。また、各種スイッチ117より入力されたユーザーの指示をユーザーI/F116を介して取得する。
【0017】
ドライバ107は、画像表示部108の動作を制御する。
画像表示部108は、例えばカラー液晶表示(LCD)パネル又は有機EL表示(OELD)パネル等で構成され、例えばデジタルカメラ100の背面や側面等に設けられている。この画像表示部108は、ドライバ107の制御に従ってライブビューや記録媒体111に記録されている画像等の各種の画像を表示する。尚、本実施形態では、例えばライブビュー時の画像表示用出力解像度はVGA(640×480)、画像表示部の解像度は640×480とする。
【0018】
タッチパネル109は、画像表示部108に重なるように配設され、ユーザーが画像表示部108に表示された画像を確認しながら、画像中の特定の部分をタッチすると、当該タッチ位置に対応した信号を、システムバス112を介してCPU106に送信する。タッチ位置の検出方式は例えばアナログ抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線遮光方式等があるが、本実施形態では方式は問わない。また位置検出の分解能は例えば画像表示部の画素数の1倍〜1/64倍程度あれば良い。
【0019】
カードI/F110は、記録媒体111への画像データの書き込み及び読み出しを仲介する。
記録媒体111は、画像信号処理部103により生成され、必要に応じて例えばJPEG圧縮された画像データを、カードI/F110を介して記録する。また、記録媒体111は、カードI/F110を介して記録した画像を出力することができる。この記録媒体111としては種々の記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体111はフラッシュメモリで構成することが可能である。また記録媒体111は、デジタルカメラ100に内蔵されるものであっても良いし、デジタルカメラ100に対して着脱可能に構成されるものであっても良い。
【0020】
システムバス112は、各構成要素間で制御信号やデータを転送する際に用いられる。
D/A変換部113は、音声データ変換用であり、デジタル音声データをアナログ音声データに変換し、スピーカー114に出力する。
スピーカー114は、色名等を音声でユーザーに知らせるためのスピーカーである。このスピーカー114は、D/A変換部113より入力されたアナログ音声データに基づいて音声を出力する。
【0021】
第2のメモリ115は、慣用色の情報を保存する。タッチパネル109から画像位置情報を入手したカメラコントローラ106は、当該位置の色情報を第2のメモリ115に格納された慣用色データと比較する。
ユーザーI/F116は、カメラコントローラ106と、各種スイッチ117を仲介する。
各種スイッチ117は、例えばシャッターレリーズボタン等の操作部材に応答するスイッチであり、ユーザーの指示を受け取り、それをユーザーI/F116を介してカメラコントローラ106に伝達する。
次に、本実施形態の撮影モードにおける動作について図2を参照して説明する。なお、撮影モードの動作は例えばデジタルカメラ100の電源ON時又は他モードから撮影モードに切り替えられた場合に行われる。
ステップS101において、カメラコントローラ106は、ライブビューモードをONにする。撮像素子102は受光を開始する。
ステップS102において、撮像素子102による受光の開始後、カメラコントローラ106は、ライブビューに適した画像信号読み出し(間引き読み出し、高フレームレート読出し等)を行い、これにより読み出される画像信号を、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に記憶させる。
【0022】
ステップS103において、画像信号処理部103は、第1のメモリ105に記憶された画像信号を、メモリ制御部104を介して読み出す。画像信号処理部103は、読み出した画像信号に基づき、デモザイキング処理により、単板撮像素子からのデジタル画像信号をRGBデータへ変換し、ホワイトバランス処理、ノイズリダクショ処理、輪郭強調処理等の補正を含む画像処理を行う。
【0023】
ステップS104において、カメラコントローラ106は、ユーザーがシャッターレリーズボタンを押したか(撮影操作をしたか)を判定する。判定の結果、シャッターレリーズボタンが押された場合は、撮影・記録モードとなる。撮影・記録モードでは、ステップS901において、カメラコントローラ106は、シャッター制御及び絞り制御を含む露光制御、全画素の画像データの読み出し等を行う。ステップS902において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106が読み出した画像信号を取得し、それに基づき画像処理を行い、記録用の画像データを作成する。ステップS903において、カメラコントローラ106は、ユーザーの希望があれば、作成された画像データに対して、画像信号処理部103により後述の色変換処理を行う。ステップS904において、画像信号処理部103は、作成した画像データを例えばJPEG形式で圧縮する。ステップS905において、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において圧縮された画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111へ出力する。記録媒体111は、カードI/F110を介して入力された圧縮された画像データを保存する。この際、色変換処理を行った画像データのみ保存しても良いし、色変換処理前後の2枚の画像データを保存しても良い。
【0024】
一方、ステップS104における判定の結果、シャッターレリーズボタンが押されなかった場合には、ステップS105において、画像信号処理部103は、画像信号を画像表示部108の画素数(例えば640×480)に合せてリサイズしライブビュー画像データを生成する。画像信号処理部103は、このライブビュー画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力されたライブビュー画像データを保存する。
ステップS106において、画像信号処理部103は、リサイズした画像に基づき、該画像信号のRGBの値を例えば4×4画素毎に平均化する。本処理は、ユーザーが領域を選択する際、各領域が細分化しているとユーザーのわずかなタッチ位置の違いにより、色情報が異なってしまうので、一つの領域を広くし、その領域の色情報の平均値を知らせることを目的とする処理である。そのため、4×4画素毎の平均に限らず、画像表示部108を構成する表示パネルのサイズを考慮して、例えば16×16画素毎の平均でも良いし、タッチパネルのセンサー数に合わせるように領域を決めても良い。画像信号処理部103は、平均化処理して得られた画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力された画像データを保存する。
ステップS107において、ドライバ107は、第1のメモリ105に記憶されたライブビュー画像データに基づく画像を画像表示部108に表示させる。
【0025】
ステップS108において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から出力された信号を入力し、それに基づいてユーザーがタッチパネル109に触れたかを判定する。この判定の結果、ユーザーがタッチパネル109に触れていなければ、ステップS102に移る。
ステップS108の判定の結果、ユーザーがタッチパネルに触れていたら、ステップS109において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが触れた表示領域(以下、選択領域と称する)の位置情報を得る。
【0026】
ステップS110において、カメラコントローラ106は、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像データが示す色情報に基づき、選択領域の色相(Hue)を計算する。また、ここでは、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている「赤」「青」等の慣用色名を求めても良い。
【0027】
ここで、選択領域の色情報からHueを計算する方法を説明する。Hueとは、色の三属性である色相H(Hue)、彩度S(Saturation)、明度B(Brightness)の一つである。ここで、RGBの値は各0〜255とし、maxをRGBの3色の値の最大値,minをRGBの3色の値の最小値とすると、色の三属性であるHSBの値はそれぞれの以下の様に求まる。
B=max/255%。
S=(max−min)/max%。
Hは、
Rがmaxの場合:H=60×(B−G)/(max−min)度、
Gがmaxの場合:H=60×(2+(R−B)/(max−min)度、
Bがmaxの場合:H=60×(4+(G−R)/(max−min)度、
(Hが負値の場合には、360を加算する)
となる。
【0028】
また、選択領域の慣用色名を求める方法について説明する。JIS規格Z8102:2001に掲載されている物体色の色名は、それぞれHSBで表現されており、例えば下に示す表1の通りである。
【表1】
【0029】
慣用色名を求める第1の方式は、始めに、上記の様にして、色の三属性であるHSBを求め、次に、第2のメモリ115に格納されているJIS Z8102:2001の色名から、得られた色相H、彩度S、明度Bにもっとも近い物体色を選択する方式である。
慣用色名を求める第2の方式は、第2のメモリ115に、JIS Z8102:2001の色名とRGBの値を計算したものを格納しておき、それを表として読み出し、RGBから直接色名を決定する方式である。例えば、ここで用いる表は、下に示す表2の様になる。
【表2】
【0030】
尚、この実施形態では表1の例を示したが、これに限らず、各国で用いられている色の定義を用いることも可能である。
【0031】
次に、ステップS111において、カメラコントローラ106は、選択領域のHueをユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び画像表示部108に表示した色相スケールへの画像表示、又はそのうちいずれか一方による。選択領域の色情報は、Hueの替わりに例えば慣用色名を用いても良い。また、RGBの信号レベル値を用いても良い。
【0032】
ここで、選択領域のHueをユーザーへ伝達する方法について説明する。図3は本実施形態に係るデジタルカメラ100の背面図である。図1と重複する部材は図1と同じ番号を付している。カメラコントローラ106は、選択領域のHueをユーザーへ通知する旨のデジタル音声信号を作成し、それをD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域のHueのデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号により、選択領域のHueの音声を出力する。また、カメラコントローラ106は、選択領域のHueを表す色相スケール201を作成し、それをドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。色相スケール201に選択領域のHueを表示することで、音声が聞き取りにくい場合や音声が出力されない場合に概略の色を知ることができる。また前述の通り、音声出力及び画像表示はどちらか一方でも良い。
【0033】
図4及び図5は、色相スケールの一例である。図4に示す様に、色相スケールは、直線的な表示しても良いし、図5に示す様に、円形状に表示しても良い。また色相スケールは、例えば、図6のようにXYZ表色系統で表示しても良い。本実施形態の場合は、色の違いの認識のし易さと選択のし易さのため、図4乃至6の様に粗い分解能で表示している。尚、実施にあたっては図4乃至6に示す色相スケールは各色相を示すカラーで表示することが望ましい。
【0034】
また、色相のスケールは0〜360度までの全体を表示しても良いし、例えば選択領域が緑(色相120度)の時、90〜150度のみを表示する等、選択領域の色に近い色相のみを拡大して表示しても良い。特定の色相周辺のみ拡大して表示することで、より詳細な表示が可能になる。
【0035】
この際に、元の色相と変更後の色相とが分かるように、異なる指示形態で変更前後の色相位置を表示するようにしてもよい。これが画像とともに表示されることによって、ユーザーはより多くの情報を掴みやすくなる。
【0036】
図2に戻って説明を続ける。ステップS112において、タッチパネル109は、選択領域の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。なお、以下に説明する希望色の入力及び色変換はステップS903においても同様にして行われる。
【0037】
タッチパネル109を用いたユーザーによる希望色の入力の一つの方式は、図4乃至6に示す色相スケール中から、ユーザーがタッチパネル109を用いて希望色を選択する方式である。
ユーザーによる希望色の入力の別の方式は、慣用色名リストからユーザーが希望色を選択する方式である。表3は、慣用色名リストの例である。この慣用色名リストには、269色が定義され、それぞれの色の慣用色名とその慣用色を示すRGB値とが対応付けられている。この慣用色名リストは例えば第2のメモリ115に格納されている。カメラコントローラ106は、例えば、選択領域の色に近い色を選択して最初に画像表示部107に一覧表示させる。ユーザーがその一覧をスクロールして選択することで早く色を決定することができる。
【表3】
【0038】
カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが希望する色を決定する。カメラコントローラ106は、決定したユーザーの希望色を画像信号処理部103に出力する。
【0039】
次に、ステップS113において、画像信号処理部103は、選択領域の色を、カメラコントローラ106から入力されたユーザーが希望したHue或いは慣用色名の色に変換する。また、選択領域の色と同色の画素全てを選択された色に変換してもよい。このようにすることで、指示した位置の色、またはその位置の色に関連する色をユーザーが任意に変更して表示することができる。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において色変換を施した画像データに基づく画像を、ドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。
ステップS114において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS102に移る。ステップS114の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0040】
次に本実施形態における再生モードでの処理について図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、再生モードの動作は例えば他モードから再生モードに切り替えられた場合に行われる。
ステップS201において、カメラコントローラ106は、記録媒体110に記録されている最新の撮影画像データを選択し、該画像データを画像信号処理部103に出力する。
ステップS202において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106から入力された画像データを伸張する。
ステップS203において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、伸張した選択画像を表示パネルの画素数(例えば640×480)に合せてリサイズし、リサイズして得られた再生用の画像データを第1のメモリ105に記憶させる。
【0041】
ステップS204において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、リサイズ後の画像データのRGBの値を、例えば4×4画素毎に平均化する。画像信号処理部103は、平均化処理した画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力された平均化処理後の画像データを保存する。
ステップS205において、ドライバ107は、撮影モードの場合と同様に、第1のメモリ105に記憶されたリサイズ後の画像データに基づく画像を画像表示部108に表示させる。
【0042】
ステップS206において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から出力された信号を入力し、それに基づいてユーザーがタッチパネル109に触れたかを判定する。この判定の結果、ユーザーがタッチパネル109に触れていなければ、ステップS212に移る。
ステップS206の判定の結果、ユーザーがタッチパネルに触れていたら、ステップS207において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが触れた表示領域、即ち選択領域の位置情報を得る。
【0043】
ステップS208において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択領域の色相(Hue)を計算する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている「赤」「青」等の慣用色名を求めても良い。
【0044】
ステップS209において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域のHueをユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達方法は、音声出力及び画像表示部108に表示した色相スケールへの画像表示、又はそのうちいずれか一方による。選択領域の色情報は、Hueの替わりに例えば慣用色名を用いても良い。また、RGBの信号レベル値を用いても良い。
【0045】
ステップS210において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109を介して、撮影モードの場合と同様に、ユーザーが希望する選択領域の変更後のHue或いは慣用色名を取得する。
ステップS211において、画像信号処理部103は、選択領域の色を、カメラコントローラ106が取得したユーザーが希望したHue或いは慣用色に基づいて変換する。また、ユーザーがタッチした色と同色の画素全てを選択された色に変換してもよい。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において色変換を施した画像データに基づく画像を、ドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。
【0046】
ステップS212において、カメラコントローラ106は、色変換した画像データを記録媒体111に保存するか判定する。この判定の結果、色変換した画像データを記録媒体111に保存しない場合は、ステップS206に移る。
ステップS212の判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存する場合は、ステップS213において、カメラコントローラ106は、色変換後の画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111に出力する。記録媒体111は、カメラコントローラ106から入力された色変換後の画像データを記録する。
【0047】
ステップS214において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS202に移る。
ステップS214の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS215において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS206に移る。ステップS215の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0048】
本実施形態によれば、ユーザーは表示手段に表示された画像の一部に触れることで、撮影中或いは撮影した画像を再生中に画像の一部を選択することができ、ユーザーが選択した画像部分の色の情報を音声や画像情報を用いてユーザーに伝えることができる。更に、ユーザーが希望すれば当該ユーザーが選択した画像部分の色を、ユーザーが色情報を見ながら指定した色に変換することができる。
【0049】
また、ステップS106及びS204の処理により、ユーザーのわずかなタッチ位置の違いで色情報が違ってしまうことを避けることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば特定色を認識することが難しい色覚障害者が、カラー画像を色覚正常者と同様に認識できるようになり、更に、デジタルカラー画像に対して色変換処理を施すことができるようになるという効果も得られる。
特に、色覚障害者用途とした場合の変形例として、本実施形態におけるステップS112とS113並びにS210とS211の処理を画像信号処理部103が選択領域の色を色反転させる処理とするようにしてもよい。これにより、特定色を認識することが難しい色覚障害者が、識別できない画像中の色を識別できるようになる。
【0051】
更に、本実施形態の別の変形例を説明する。第1の実施形態では、ユーザーが画像中で触れた点を選択領域としている。これに対して本変形例では、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とする。この場合の本変形例の撮像装置は、面積を有する選択領域の色情報を、音声や画像表示等によりユーザーに伝達する機能と、該選択領域の色を、ユーザーが色情報を参照しながら選択した色に変換する機能とを有する。
【0052】
このため、本変形例では、本実施形態のステップS109又はS207において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが一筆書するように囲って指定した面積を有する表示領域である選択領域の位置情報を取得し、それを画像信号処理部103に出力する。
【0053】
次に本実施形態のステップS110又はS208において、画像信号処理部103は、は、カメラコントローラ106より入力された選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報とに基づき、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。画像信号処理部103は、選択領域の平均化したRGB情報を、カメラコントローラ106に出力する。尚、ここで求めるRGB情報は、平均値に限らず、選択領域の色を表す他の代表値でも良い。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103から入力された選択領域の平均化したRGB情報に基づき、該選択領域の色相(Hue)を計算する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
【0054】
ステップS111以降は、本実施形態と同様に、選択領域のHueをユーザーへ伝達し、また、それをユーザーの希望する色に変換する。
【0055】
以上の変更により、本変形例の撮像装置は、ユーザーが触れた点のみならず、面積を有する領域についても、その色の平均をユーザーに音声や画像表示等によりユーザーに伝達することと、該選択領域の色を、ユーザーが選択した色に変換することとが可能になる。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点に限定して説明する。撮像装置の構成は図1を参照して説明したデジタルカメラと同様である。
【0057】
色情報は色相以外に明度、彩度がある。そのため、色名だけで全ての色情報を伝達することは難しい。そこで本実施形態では、明度の違いを音声周波数の高低の違い、彩度の違いを音量の大小の違いで表現し、ユーザーに正確な色情報を提供する。
【0058】
第2の実施形態における撮影モードでの動作を図8のフローチャートに示す。この図8のフローチャートのステップS301乃至S309は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS101乃至S109の処理と同様である。したがって、ステップS310以後の動作について説明する。
ステップS310において、カメラコントローラ106は、選択領域の色情報が慣用色名のどれに近似しているか求める。求め方は、図2を参照して説明した第1の実施形態におけるステップS110の詳細説明と同様である。
【0059】
ステップS311において、カメラコントローラ106は、計算された近似の慣用色の色情報の彩度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の彩度が、例えば+10%以上であれば音量を通常よりプラスに、−10%以下であれば音量を通常よりマイナスにする設定する。例えば、計算された慣用色がとき色(輝度73、色相342度、彩度37%、明度80%)に近い色で、選択領域の色情報の彩度が47%以上であれば音量を上げ、彩度が27%以下であれば音量を下げる等の処理を行う。
【0060】
ステップS312において、カメラコントローラ106は、計算された近似の慣用色の色情報の明度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の明度が例えば+10%以上であれば音声周波数を通常より高く、−10%以下であれば音声周波数を通常より低く設定する。例えば、計算された慣用色がとき色に近い色で、選択領域の色情報の明度が90%以上であれば周波数を高くし、明度が70%以下であれば周波数を低くする等の処理を行う。
【0061】
ステップS313において、カメラコントローラ106は、設定した音声情報をD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の色に関するデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号に基づいて音声を出力し、ユーザーに色を知らせる。
ステップS314において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS302に移る。ステップS314の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0062】
次に本実施形態における再生モードでの動作を図9に示すフローチャートを参照して説明する。図9のフローチャートに示す様に、ステップS401乃至S407は、図3を参照して説明した第1の実施形態のステップS201乃至S207の処理と同様である。したがって、ステップS408以後の動作について説明する。
ステップS408において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の色情報が慣用色のどれに近似しているか求める。
【0063】
ステップS409において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、計算された近似の慣用色の色情報の彩度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の彩度が例えば+10%以上であれば音量を通常よりプラスに、−10%以下であれば音量を通常よりマイナスに設定する。
【0064】
ステップS410において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、計算された近似の慣用色の色情報の明度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の明度が例えば+10%以上であれば音声周波数を通常より高く、−10%以下であれば音声周波数を通常より低く設定する。
【0065】
ステップS411において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、設定した音声情報をD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の色に関するデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号に基づいて音声を出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0066】
ステップS412において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS402に移る。
ステップS412の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS413において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS406に移る。ステップS413の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0067】
尚、本実施形態では、彩度を音量の大小により、明度を音声周波数の高低により表現しているが、明度を音量の大小により、彩度を音声周波数の高低により表現しても良い。また、明度、彩度のうちいずれか一方を、音量の大小又は音声周波数の高低により表現しても良い。また、勿論、音量や音声周波数を変更する条件として明度又は彩度が±10%より離れている時としたのは一例であり、±5%でも、±20%でも良く、値はこれらに限らない。
【0068】
また、第1の実施形態の別の変形例と同様に、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とし、該選択領域の色情報の代表値を、音量の大小又は音声周波数の高低を変化させた音声を用いてユーザーに伝達することを可能にしてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、画像表示部に表示した色相スケールへの画像表示を併用しても良い。
【0069】
本実施形態によれば、選択領域の色情報を、色相のみならず明度や彩度の情報も含めて音声で表現し、音声でユーザーに伝達することができる。また、本技術は、特定色を認識することが難しい色覚障害者が画像中の色を識別するためにも応用できる。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点に限定して説明する。
JIS Z8102:2001「物体色の色名」では輝度、色相、彩度、明度により269色の色名が定められている。しかし、全てのユーザーが、慣用色名とユーザー自身がイメージしている色が一致しているとは限らない。そこで、本実施形態では、音声によるユーザーへの色情報の伝達の際、選択領域の色名は、慣用色のうち代表的な12色の中から近い色を選択し、選択した慣用色と実際の選択領域の色との差分を音声の音量及び周波数の違いにより表現する。
【0071】
本実施形態における撮影モードでの動作は、図10のフローチャートに示す様に、ステップS501乃至S509は、図8を参照して説明した第2の実施形態のステップS301乃至S309の処理と同様である。したがって、ステップS510以後の動作について説明する。
ステップS510において、カメラコントローラ106は、選択領域の色情報の色相、彩度、明度を算出する。
ステップS511において、カメラコントローラ106は、得られた色相及び明度に基づき、下記表4に示す代表色12色の中から、該選択領域の色名を選択する。
【表4】
【0072】
ステップS512において、カメラコントローラ106は、白と黒以外の色では、彩度の高低に応じて音量を変えることで色の鮮やかさを表現する。例えば、選択領域の色情報の彩度が40%未満の場合は音量を通常よりマイナスに、40%以上60%未満の場合は通常の音量に、60%以上の場合は音量を通常よりプラスに設定する。また、視感度は彩度が高い方が高くなるので、例えば彩度が高くなるにつれ音量レベルを細かく分けても良い。
【0073】
色は、明度が50%を中心に、それより高ければ白っぽくなり低くれば黒っぽくなる。そこで、ステップS513において、カメラコントローラ106は、明度の高低に応じて音声の周波数を高低させることで明度を表現する。例えば、選択領域の色情報の明度が40%未満の場合は音声周波数を通常より低く、40%以上60%未満の場合は通常の音声周波数に、60%以上の場合は音声周波数を通常より高く設定する。
【0074】
ステップS514において、カメラコントローラ106は、第2の実施形態の場合と同様に、設定した音声情報に基づいた音声をスピーカー114から出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0075】
ステップS515において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS502に移る。ステップS514の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0076】
次に本実施形態における再生モードでの動作を図11に示すフローチャートを参照して説明する。図11のフローチャートに示す様に、ステップS601乃至S607は、図9を参照して説明した第2の実施形態のステップS401乃至S407の処理と同様である。したがって、ステップS608以後の動作について説明する。
ステップS608において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109の出力から、選択領域の色情報の色相、彩度、明度を算出する。
ステップS609において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、得られた色相及び明度に基づき、下記表4に示す代表色12色の中から、該選択領域の色名を選択する。
【0077】
ステップS610において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、白と黒以外の色では、彩度の高低に応じて音量を変えることで色の鮮やかさを表現する。
ステップS611において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、明度の高低に応じて音声の周波数を高低させることで明度を表現する。
【0078】
ステップS612において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、設定した音声情報に基づいた音声をスピーカー114から出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0079】
ステップS613において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS602に移る。
ステップS613の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS614において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS606に移る。ステップS614の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0080】
尚、本実施形態では、彩度を音量の大小により、明度を音声周波数の高低により表現しているが、明度を音量の大小により、彩度を音声周波数の高低により表現しても良い。また、明度、彩度のうちいずれか一方を、音量の大小又は音声周波数の高低により表現しても良い。
【0081】
また、本実施形態では、色名を代表的な12色に限定したが、これに限らず、色名は代表的な6〜24色程度にしてもよい。
また、RGBの信号レベル値をユーザーに伝達する場合も、数値だけではイメージが掴み難い。そこで、RGBの信号レベル値を用いる場合にも本実施形態と同様に、音声によるユーザーへの色情報の伝達の際、平均輝度値の高低に応じて、音声周波数を高低に変化させても良い。
【0082】
また、第1の実施形態の別の変形例と同様に、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とし、該選択領域の色情報の代表値を、音量の大小又は音声周波数の高低を変化させた音声を用いてユーザーに伝達することを可能にしてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、画像表示部に表示した色相スケールへの画像表示を併用しても良い。
【0083】
本実施形態によれば、音声により色情報をユーザーに伝達する際、慣用色名とユーザー毎の色のイメージの不一致の影響を抑制することができ、ユーザーがイメージする色に齟齬が生じないようにすることができる。また、本技術は、特定色を認識することが難しい色覚障害者が画像中の色を識別するためにも応用できる。
【0084】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点に限定して説明する。
本実施形態では、ユーザーが画像中で面積を有する領域を指定して、該領域の色を変換する場合を考える。この場合、ユーザーが選択領域の設定を行うため正確に画像の境界線を指定することは難しい。例えば、海岸の画像において海の色を変更しようとして海岸線に沿って選択領域を指定しようとしても、複雑な海岸線の形状をユーザーが正確になぞることは困難であり煩雑である。そこで本実施形態では、ユーザーが選択した領域内の画像データのRGB値の平均値と、該領域の境界周辺画素のRGB値とを比較し、RGB値が近ければ領域内、離れていれば領域外とし、ユーザーが選択した該領域の境界を修正し、選択領域を設定する。
【0085】
第4の実施形態における撮影モードでの動作を図12のフローチャートに示す。この図12のフローチャートのステップS701乃至S708は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS101乃至S108の処理と同様である。したがって、ステップS709以後の動作について説明する。
【0086】
ステップS709において、タッチパネル109は、画像データにおけるユーザーが選択する領域を取得し、カメラコントローラ106に出力する。例えば、図13の画像において、手前の森の部分を変更しようとする場合を考える。この際、ユーザーが指等で木々の輪郭を正確になぞることは困難である。そこで、ユーザーは、おおよその輪郭をなぞって選択領域を指定する。
【0087】
ステップS710において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、選択領域の位置情報を算出する。カメラコントローラ106は、算出した選択領域の位置情報を、画像信号処理部103に出力する。
ステップS711において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報とに基づき、ユーザーが指定した選択領域の画像データを取得する。
ステップS712において、画像信号処理部103は、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。例えば、R=50、G=200、B=50等となる。
【0088】
ステップS713において、画像信号処理部103は、指定画像の輪郭部を微調整する。ユーザーが指定した選択領域の画像データのRGB毎の平均値を参照し、例えば、選択領域に連続しており且つ平均値±10%(例えば、R=50±5、G=200±20、B=50±5)の値を有する領域を領域内とし、±10%以上離れている領域を領域外と設定する。このようにして設定した領域を新たな選択指定範囲202とする。勿論平均値の±10%という境界許容値は一例でありこれに限らずとも予め設定した別の値を用いても良い。また、ユーザーの指示により画像ごとに境界許容値を変更できるようにしても良い。
【0089】
ステップS714において、カメラコントローラ106は、第1の実施形態の場合と同様に、選択指定範囲202の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択指定範囲202の色相(Hue)を算出する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
ステップS715において、カメラコントローラ106は、第1の実施形態の場合と同様に、選択指定範囲202のHue又は慣用色名をユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び色相スケール201への画像表示、又はそのうちいずれか一方による。
【0090】
ステップS716において、タッチパネル109は、第1の実施形態におけるステップS112と同様にして、選択指定範囲202の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。
ステップS717において、画像信号処理部103は、選択指定範囲202内の色を、ユーザーが希望したHue或いは慣用色に変換する。この際の変換量は領域内のRGBデータの差異に応じて変化する。例えば、赤色の値を10%アップする場合、例えばタッチ位置のRGB値がR=50、G=200、B=50の場合にはR=55、G=20、B=50とする。即ち、この場合はRの変換量を元の+5とする。また、例えばタッチ位置のRGB値がR=100、G=250、B=45の場合には、R=110、G=250、B=45とする。この場合はRの変換量を元の+10とする。
ステップS718において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS702に移る。ステップS718の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0091】
次に本実施形態における再生モードでの処理について図14に示すフローチャートを参照して説明する。図14のフローチャートに示す様に、ステップS801乃至S806は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS201乃至S206の処理と同様である。したがって、ステップS807以後の動作についてのみ説明する。
ステップS807において、タッチパネル109は、撮影モードの場合と同様に、画像データにおけるユーザーが選択する選択領域を取得する。
ステップS808において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、選択領域の位置情報を得る。
【0092】
ステップS809において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、ユーザーが指し示した選択領域の画像データを取得する。
ステップS810において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。
ステップS811において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、指定画像の輪郭部を微調整する。例えば、選択領域の画像データの平均値の±10%(例えば、R=50±5、G=200±20、B=50±5)の値を有する領域を領域内とし、±10%以上離れている領域を領域外とし、選択指定範囲202を設定する。
【0093】
ステップS812において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択指定範囲202の色相(Hue)を算出する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
ステップS813において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202のHue又は慣用色名をユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び色相スケール201への画像表示、又はそのうちいずれか一方による。
【0094】
ステップS814において、タッチパネル109は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。
ステップS815において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202内の色を、ユーザーが希望したHue或いは慣用色に変換する。この際、変換量は領域内のRGBデータの差異に応じて変化する。例えば、赤色の値を10%アップする場合でタッチ位置におけるRGB値がR=50、G=200、B=50の場合にはR=55、G=20、B=50に変更する。同様に、タッチ位置におけるRGB値がR=100、G=250、B=45の場合には、R=110、G=250、B=45に変更する。
【0095】
ステップS816において、カメラコントローラ106は、色変換した画像を記録媒体111に保存するか判定する。この判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存しない場合は、ステップS806に移る。
ステップS816の判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存する場合は、ステップS817において、カメラコントローラ106は、該色変換した画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111に出力する。記録媒体111は、カメラコントローラ106から入力された画像データを記録する。
【0096】
ステップS818において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS802に移る。
ステップS818の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS819において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS806に移る。ステップS818の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0097】
本実施形態により、複雑な形状のため設定が困難な選択指定範囲を、ユーザーの指定領域と当該領域の色情報に基づいて正確に設定することができる。
尚、第1の実施形態の色覚障害者用途とした場合の変形例と同様に、選択指定範囲202の色を色反転させる処理を実施し、特定色を認識することが難しい色覚障害者が、識別できない画像中の色を識別できるようにしてもよい。
【0098】
また、選択領域又は選択指定範囲202をユーザーへ伝達する方法としては、例えば選択領域を囲む線を表示しても良い。また、選択領域又は選択指定範囲202の認識性を高めれば、ユーザーによる表示画面上での選択領域の識別は容易になる。そこで、例えば、画像信号処理部103は、時間経過と共に選択領域の色を変化させたり、色以外にも空間周波数や明るさなど、他の画像条件を時間経過と共に変化させたりする処理を施し、それを表示するようにしても良い。これらは、既知の方法で条件を変えた画像データをフレーム毎に変更することで実現できる。このようにすると、画像における選択領域又は選択指定範囲202を時間経過と共に変化する動きとして認識することができるため、選択領域又は選択指定範囲202の把握がより行いやすくなる。
【0099】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
尚、本発明の上記実施の形態には以下の発明も含まれる。
【0101】
(1)画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像中の位置及び希望する色を指定するための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、
前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、
前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色情報を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する画像データ処理手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0102】
(2)前記通知手段は、前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声により通知し、
前記音声は、前記色情報のうちの明度及び彩度のうち少なくとも一方を、音声の周波数の高低及び音量の大小のうち少なくとも一方により表現することを特徴とする上記(1)に記載の撮像装置。
【0103】
(3)前記位置演算手段は、前記指定手段により指定された面積を有する領域の位置を算出し、
前記画像データ処理手段は、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色情報の代表値を、該領域の色情報として算出し、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する
ことを特徴とする上記(1)乃至(2)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0104】
(4)前記画像データ処理手段は、隣接する複数個の画素の色情報を代表値として算出する機能を有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0105】
(5)前記画像データ処理手段は、前記ユーザーが指定した面積を有する領域の位置の色情報の代表値に基づいて、前記位置演算手段が算出したユーザーが指定した面積を有する領域の位置を変更する機能を有することを特徴とする上記(3)に記載の撮像装置。
【0106】
(6)前記画像データ処理手段は、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色を色反転させる機能を有することを特徴とする上記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0107】
(7)前記画像データ処理手段は、前記表示手段が表示する画像のうち、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の画像条件を時間経過と共に変化させることを特徴とする上記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0108】
(8)前記指定手段は、前記表示手段に重ねて配設されるタッチパネルであることを特徴とする上記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0109】
100…デジタルカメラ、101…撮影レンズ、102…撮像素子、103…画像信号処理部、104…メモリ制御部、105…第1のメモリ、106…カメラコントローラ、107…ドライバ、108…画像表示部、109…タッチパネル、110…カードI/F、111…記録媒体、112…システムバス、113…D/A変換部、114…スピーカー、115…第2のメモリ、116…I/F、117…各種スイッチ、201…色相スケール、202…選択指定範囲。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像や再生画像等を表示する表示装置を有するデジタルカメラ、ビデオカメラ等の、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置において、ユーザーが好む画像になる様に画像処理を施す機能を有する機種が増えてきている。この様な機能には、例えば、人物の肌色部を検出し、その部分を好ましい色にする処理(美肌モード)、体型を変更する処理(細身モード)、カラー画像をモノクロ化する処理、画像周辺部の輝度を落とす処理(トイカメラ調)等がある。これらの機能を有するデジタルカメラでは、予め設定されている複数の処理の中から、ユーザーが好みの処理を選択することで、該処理が行われる。
【0003】
また、ユーザーの好みに応じて、撮影した画像の明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータを変更処理する手段を有するデジタルカメラが例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1は、処理対象画像を表示しながら、明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータをユーザーが変更し、変更後の画像を確認しながら好みの値に決定する方法を開示している。また、この特許文献1は、明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータを複数の所定の設定値に変更して得られる画像を一覧表示し、それらの画像の中からユーザーが好みの画像を選択する方法も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−187351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の予め設定されている複数の処理の中からユーザーが好みの処理を選択する撮像装置においては、ユーザーが好みの処理を選択すると撮像装置が自動的に対応した処理を実施するので、ユーザーの意思を細かく画像に反映させることが困難である。また、特許文献1に開示されている技術では、処理対象画像の全体の明るさ、色あい、コントラスト等のパラメータをユーザーが指定して変更することは可能だが、画像の一部(例えば人物)のみの該パラメータを、好みの値に調整することは困難である。
更に、ユーザーが画像の色等を好みの通りに変換するためには、ユーザーは各画素の色情報を正確に知る必要がある。
【0006】
そこで本発明は、ユーザーが指定した画像の一部の色をユーザーに伝えると共に、ユーザーが指定した画像の一部をユーザーが意図する色に変換する機能を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を果たすため、本発明の一態様の撮像装置は、画像データに基づき画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示した画像を参照しながら該画像中の位置及び希望する色を指定する指定手段と、前記指定手段によりユーザーが指定した前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色を、前記指定手段によりユーザーが指定した前記希望する色に変換する変換処理を含む画像データ処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置は、ユーザーが指定した画像部分の色を用いてユーザーに伝えると共に、ユーザーが指定した画像の一部をユーザーが意図する色に変換する機能を備えた撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図3】デジタルカメラの背面を示す図である。
【図4】色相スケールの第1の例を示す図である。
【図5】色相スケールの第2の例を示す図である。
【図6】色相スケールの第3の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る撮影モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るデジタルカメラの背面を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る再生モードにおける処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の撮像装置は、例として、撮影画像や再生画像を表示する表示手段を有するデジタルカメラとする。該デジタルカメラの表示手段には、タッチパネルが重ね合わせてある。このため、ユーザーは表示手段に表示された画像の一部に触れる様にその上に重ねられているタッチパネルに触れることで、撮影中或いは撮影した画像の再生中に、表示画像の一部を選択することができる。本実施形態のデジタルカメラは、ユーザーが選択した画像部分の色の情報を、音声や画像表示等によりユーザーに伝達する機能と、ユーザーが選択した画像部分の色を、ユーザーが色情報を参照しながら選択した色に変換する機能とを有する。
【0011】
本実施形態のデジタルカメラ100は、図1に示す様に、撮影レンズ101と、撮像素子102と、画像信号処理部103と、メモリ制御部104と、第1のメモリ105と、カメラコントローラ106と、ドライバ107と、画像表示部108と、タッチパネル109と、カードインターフェース(カードI/F)110と、記録媒体111と、システムバス112と、D/A変換部113と、スピーカー114と、第2のメモリ115と、ユーザーインターフェース(ユーザーI/F)116と、各種スイッチ117とを有している。
【0012】
撮影レンズ101は、撮像素子102の撮像面上に被写体像を形成する。
撮像素子102は、例えばCCD或いはCMOSイメージセンサ等の撮像素子に例えばベイヤ配列のカラーフィルタが貼り付けられて構成されている。この撮像素子102は、撮像面上に形成された被写体像をデジタル画像信号に変換する。本実施形態の説明において、撮像素子102は、内部にCDS(相関二重サンプリング処理ブロック)、A/D変換処理ブロック等の処理ブロックを有し、デジタル画像信号(以下、単に画像信号という)を出力可能なCMOSイメージセンサであるとする。
【0013】
画像信号処理部103は、特定用途向けの集積回路(ASIC)等で構成することが可能である。この画像信号処理部103は、第1のメモリ105に一時的に保管された画像信号に、同時化処理(デモザイキング処理)、ホワイトバランス調整、階調補正、レベル補正、アンシャープマスク、シェーディング補正等の処理を施し、デジタル画像データを生成する。さらに画像信号処理部103は、以下の3つの処理を含む画像処理を実行できる。即ち、1つ目は、撮影時においてライブビュー表示のためのライブビュー画像を生成する処理(ライブビュー画像表示処理)である。2つ目は、撮像素子102から読み出された画像信号に基づいて記録用の画像データを生成する処理(画像記録処理)である。3つ目は、記録された画像データを読み出して再生用の画像データを生成する処理(再生表示処理)である。
【0014】
メモリ制御部104は、システムバス112を介して、撮像素子102、画像信号処理部103、カメラコントローラ106、ドライバ107から出されるメモリアクセス要求を調停して、第1のメモリ105へのデータの書き込みと第1のメモリ105からのデータの読み出しとを制御する。
【0015】
第1のメモリ105は、システムバス112及びメモリ制御部104を介して、撮像素子102、画像信号処理部103、カメラコントローラ106、ドライバ107がアクセス可能になされている。この第1のメモリ105は、撮像素子102から出力され、メモリ制御部104から入力されたデジタル画像信号等の各種のデジタル信号を記憶する。また、第1のメモリ105は、画像信号処理部103が画像処理を行う際のバッファメモリとしても用いられるので、書き込み・読み出しの速度が速いことが望ましく、例えばDRAMで構成することができる。
【0016】
カメラコントローラ106は、例えばCPU等で構成され、デジタルカメラ100の動作全体を統括して制御する。カメラコントローラ106は、例えば、自動露光に係る測光や露光量演算等の動作、図示しないフラッシュユニット用メインコンデンサの充電やフラッシュの発光量調節、撮影レンズ101のズーム駆動やフォーカス駆動、撮影者による撮影モードの設定操作受付、画像表示部108への制御信号の送出、図示しないシャッターの開閉、図示しない絞りの開度の制御等を行う。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103の動作を統括制御する機能を有し、画像信号処理部103に対して、ライブビュー画像表示処理、画像記録処理及び再生表示処理のいずれかを行うよう指令する。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103に、第1のメモリ105に記憶させた表示用の画像データ(RGBの値)の色情報の平均化処理を行うよう指令する。また、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103に、画像データの色変換処理を行うよう指令する。更に、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から、ユーザーが選択した画像位置情報を算出する。また、第1のメモリ105に記憶させた表示用の画像データ(RGBの値)から当該画像位置に対応した色情報を得る。更に、カメラコントローラ106は、ユーザーが選択した画像位置に対応した色情報と第2のメモリ115に格納された慣用色データとを比較しユーザーに知らせる色名を選択し、選択した色名をユーザーに知らせる。また、各種スイッチ117より入力されたユーザーの指示をユーザーI/F116を介して取得する。
【0017】
ドライバ107は、画像表示部108の動作を制御する。
画像表示部108は、例えばカラー液晶表示(LCD)パネル又は有機EL表示(OELD)パネル等で構成され、例えばデジタルカメラ100の背面や側面等に設けられている。この画像表示部108は、ドライバ107の制御に従ってライブビューや記録媒体111に記録されている画像等の各種の画像を表示する。尚、本実施形態では、例えばライブビュー時の画像表示用出力解像度はVGA(640×480)、画像表示部の解像度は640×480とする。
【0018】
タッチパネル109は、画像表示部108に重なるように配設され、ユーザーが画像表示部108に表示された画像を確認しながら、画像中の特定の部分をタッチすると、当該タッチ位置に対応した信号を、システムバス112を介してCPU106に送信する。タッチ位置の検出方式は例えばアナログ抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線遮光方式等があるが、本実施形態では方式は問わない。また位置検出の分解能は例えば画像表示部の画素数の1倍〜1/64倍程度あれば良い。
【0019】
カードI/F110は、記録媒体111への画像データの書き込み及び読み出しを仲介する。
記録媒体111は、画像信号処理部103により生成され、必要に応じて例えばJPEG圧縮された画像データを、カードI/F110を介して記録する。また、記録媒体111は、カードI/F110を介して記録した画像を出力することができる。この記録媒体111としては種々の記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体111はフラッシュメモリで構成することが可能である。また記録媒体111は、デジタルカメラ100に内蔵されるものであっても良いし、デジタルカメラ100に対して着脱可能に構成されるものであっても良い。
【0020】
システムバス112は、各構成要素間で制御信号やデータを転送する際に用いられる。
D/A変換部113は、音声データ変換用であり、デジタル音声データをアナログ音声データに変換し、スピーカー114に出力する。
スピーカー114は、色名等を音声でユーザーに知らせるためのスピーカーである。このスピーカー114は、D/A変換部113より入力されたアナログ音声データに基づいて音声を出力する。
【0021】
第2のメモリ115は、慣用色の情報を保存する。タッチパネル109から画像位置情報を入手したカメラコントローラ106は、当該位置の色情報を第2のメモリ115に格納された慣用色データと比較する。
ユーザーI/F116は、カメラコントローラ106と、各種スイッチ117を仲介する。
各種スイッチ117は、例えばシャッターレリーズボタン等の操作部材に応答するスイッチであり、ユーザーの指示を受け取り、それをユーザーI/F116を介してカメラコントローラ106に伝達する。
次に、本実施形態の撮影モードにおける動作について図2を参照して説明する。なお、撮影モードの動作は例えばデジタルカメラ100の電源ON時又は他モードから撮影モードに切り替えられた場合に行われる。
ステップS101において、カメラコントローラ106は、ライブビューモードをONにする。撮像素子102は受光を開始する。
ステップS102において、撮像素子102による受光の開始後、カメラコントローラ106は、ライブビューに適した画像信号読み出し(間引き読み出し、高フレームレート読出し等)を行い、これにより読み出される画像信号を、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に記憶させる。
【0022】
ステップS103において、画像信号処理部103は、第1のメモリ105に記憶された画像信号を、メモリ制御部104を介して読み出す。画像信号処理部103は、読み出した画像信号に基づき、デモザイキング処理により、単板撮像素子からのデジタル画像信号をRGBデータへ変換し、ホワイトバランス処理、ノイズリダクショ処理、輪郭強調処理等の補正を含む画像処理を行う。
【0023】
ステップS104において、カメラコントローラ106は、ユーザーがシャッターレリーズボタンを押したか(撮影操作をしたか)を判定する。判定の結果、シャッターレリーズボタンが押された場合は、撮影・記録モードとなる。撮影・記録モードでは、ステップS901において、カメラコントローラ106は、シャッター制御及び絞り制御を含む露光制御、全画素の画像データの読み出し等を行う。ステップS902において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106が読み出した画像信号を取得し、それに基づき画像処理を行い、記録用の画像データを作成する。ステップS903において、カメラコントローラ106は、ユーザーの希望があれば、作成された画像データに対して、画像信号処理部103により後述の色変換処理を行う。ステップS904において、画像信号処理部103は、作成した画像データを例えばJPEG形式で圧縮する。ステップS905において、カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において圧縮された画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111へ出力する。記録媒体111は、カードI/F110を介して入力された圧縮された画像データを保存する。この際、色変換処理を行った画像データのみ保存しても良いし、色変換処理前後の2枚の画像データを保存しても良い。
【0024】
一方、ステップS104における判定の結果、シャッターレリーズボタンが押されなかった場合には、ステップS105において、画像信号処理部103は、画像信号を画像表示部108の画素数(例えば640×480)に合せてリサイズしライブビュー画像データを生成する。画像信号処理部103は、このライブビュー画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力されたライブビュー画像データを保存する。
ステップS106において、画像信号処理部103は、リサイズした画像に基づき、該画像信号のRGBの値を例えば4×4画素毎に平均化する。本処理は、ユーザーが領域を選択する際、各領域が細分化しているとユーザーのわずかなタッチ位置の違いにより、色情報が異なってしまうので、一つの領域を広くし、その領域の色情報の平均値を知らせることを目的とする処理である。そのため、4×4画素毎の平均に限らず、画像表示部108を構成する表示パネルのサイズを考慮して、例えば16×16画素毎の平均でも良いし、タッチパネルのセンサー数に合わせるように領域を決めても良い。画像信号処理部103は、平均化処理して得られた画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力された画像データを保存する。
ステップS107において、ドライバ107は、第1のメモリ105に記憶されたライブビュー画像データに基づく画像を画像表示部108に表示させる。
【0025】
ステップS108において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から出力された信号を入力し、それに基づいてユーザーがタッチパネル109に触れたかを判定する。この判定の結果、ユーザーがタッチパネル109に触れていなければ、ステップS102に移る。
ステップS108の判定の結果、ユーザーがタッチパネルに触れていたら、ステップS109において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが触れた表示領域(以下、選択領域と称する)の位置情報を得る。
【0026】
ステップS110において、カメラコントローラ106は、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像データが示す色情報に基づき、選択領域の色相(Hue)を計算する。また、ここでは、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている「赤」「青」等の慣用色名を求めても良い。
【0027】
ここで、選択領域の色情報からHueを計算する方法を説明する。Hueとは、色の三属性である色相H(Hue)、彩度S(Saturation)、明度B(Brightness)の一つである。ここで、RGBの値は各0〜255とし、maxをRGBの3色の値の最大値,minをRGBの3色の値の最小値とすると、色の三属性であるHSBの値はそれぞれの以下の様に求まる。
B=max/255%。
S=(max−min)/max%。
Hは、
Rがmaxの場合:H=60×(B−G)/(max−min)度、
Gがmaxの場合:H=60×(2+(R−B)/(max−min)度、
Bがmaxの場合:H=60×(4+(G−R)/(max−min)度、
(Hが負値の場合には、360を加算する)
となる。
【0028】
また、選択領域の慣用色名を求める方法について説明する。JIS規格Z8102:2001に掲載されている物体色の色名は、それぞれHSBで表現されており、例えば下に示す表1の通りである。
【表1】
【0029】
慣用色名を求める第1の方式は、始めに、上記の様にして、色の三属性であるHSBを求め、次に、第2のメモリ115に格納されているJIS Z8102:2001の色名から、得られた色相H、彩度S、明度Bにもっとも近い物体色を選択する方式である。
慣用色名を求める第2の方式は、第2のメモリ115に、JIS Z8102:2001の色名とRGBの値を計算したものを格納しておき、それを表として読み出し、RGBから直接色名を決定する方式である。例えば、ここで用いる表は、下に示す表2の様になる。
【表2】
【0030】
尚、この実施形態では表1の例を示したが、これに限らず、各国で用いられている色の定義を用いることも可能である。
【0031】
次に、ステップS111において、カメラコントローラ106は、選択領域のHueをユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び画像表示部108に表示した色相スケールへの画像表示、又はそのうちいずれか一方による。選択領域の色情報は、Hueの替わりに例えば慣用色名を用いても良い。また、RGBの信号レベル値を用いても良い。
【0032】
ここで、選択領域のHueをユーザーへ伝達する方法について説明する。図3は本実施形態に係るデジタルカメラ100の背面図である。図1と重複する部材は図1と同じ番号を付している。カメラコントローラ106は、選択領域のHueをユーザーへ通知する旨のデジタル音声信号を作成し、それをD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域のHueのデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号により、選択領域のHueの音声を出力する。また、カメラコントローラ106は、選択領域のHueを表す色相スケール201を作成し、それをドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。色相スケール201に選択領域のHueを表示することで、音声が聞き取りにくい場合や音声が出力されない場合に概略の色を知ることができる。また前述の通り、音声出力及び画像表示はどちらか一方でも良い。
【0033】
図4及び図5は、色相スケールの一例である。図4に示す様に、色相スケールは、直線的な表示しても良いし、図5に示す様に、円形状に表示しても良い。また色相スケールは、例えば、図6のようにXYZ表色系統で表示しても良い。本実施形態の場合は、色の違いの認識のし易さと選択のし易さのため、図4乃至6の様に粗い分解能で表示している。尚、実施にあたっては図4乃至6に示す色相スケールは各色相を示すカラーで表示することが望ましい。
【0034】
また、色相のスケールは0〜360度までの全体を表示しても良いし、例えば選択領域が緑(色相120度)の時、90〜150度のみを表示する等、選択領域の色に近い色相のみを拡大して表示しても良い。特定の色相周辺のみ拡大して表示することで、より詳細な表示が可能になる。
【0035】
この際に、元の色相と変更後の色相とが分かるように、異なる指示形態で変更前後の色相位置を表示するようにしてもよい。これが画像とともに表示されることによって、ユーザーはより多くの情報を掴みやすくなる。
【0036】
図2に戻って説明を続ける。ステップS112において、タッチパネル109は、選択領域の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。なお、以下に説明する希望色の入力及び色変換はステップS903においても同様にして行われる。
【0037】
タッチパネル109を用いたユーザーによる希望色の入力の一つの方式は、図4乃至6に示す色相スケール中から、ユーザーがタッチパネル109を用いて希望色を選択する方式である。
ユーザーによる希望色の入力の別の方式は、慣用色名リストからユーザーが希望色を選択する方式である。表3は、慣用色名リストの例である。この慣用色名リストには、269色が定義され、それぞれの色の慣用色名とその慣用色を示すRGB値とが対応付けられている。この慣用色名リストは例えば第2のメモリ115に格納されている。カメラコントローラ106は、例えば、選択領域の色に近い色を選択して最初に画像表示部107に一覧表示させる。ユーザーがその一覧をスクロールして選択することで早く色を決定することができる。
【表3】
【0038】
カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが希望する色を決定する。カメラコントローラ106は、決定したユーザーの希望色を画像信号処理部103に出力する。
【0039】
次に、ステップS113において、画像信号処理部103は、選択領域の色を、カメラコントローラ106から入力されたユーザーが希望したHue或いは慣用色名の色に変換する。また、選択領域の色と同色の画素全てを選択された色に変換してもよい。このようにすることで、指示した位置の色、またはその位置の色に関連する色をユーザーが任意に変更して表示することができる。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において色変換を施した画像データに基づく画像を、ドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。
ステップS114において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS102に移る。ステップS114の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0040】
次に本実施形態における再生モードでの処理について図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、再生モードの動作は例えば他モードから再生モードに切り替えられた場合に行われる。
ステップS201において、カメラコントローラ106は、記録媒体110に記録されている最新の撮影画像データを選択し、該画像データを画像信号処理部103に出力する。
ステップS202において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106から入力された画像データを伸張する。
ステップS203において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、伸張した選択画像を表示パネルの画素数(例えば640×480)に合せてリサイズし、リサイズして得られた再生用の画像データを第1のメモリ105に記憶させる。
【0041】
ステップS204において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、リサイズ後の画像データのRGBの値を、例えば4×4画素毎に平均化する。画像信号処理部103は、平均化処理した画像データを、メモリ制御部104を介して第1のメモリ105に出力する。第1のメモリ105は、画像信号処理部103から入力された平均化処理後の画像データを保存する。
ステップS205において、ドライバ107は、撮影モードの場合と同様に、第1のメモリ105に記憶されたリサイズ後の画像データに基づく画像を画像表示部108に表示させる。
【0042】
ステップS206において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から出力された信号を入力し、それに基づいてユーザーがタッチパネル109に触れたかを判定する。この判定の結果、ユーザーがタッチパネル109に触れていなければ、ステップS212に移る。
ステップS206の判定の結果、ユーザーがタッチパネルに触れていたら、ステップS207において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが触れた表示領域、即ち選択領域の位置情報を得る。
【0043】
ステップS208において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択領域の色相(Hue)を計算する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている「赤」「青」等の慣用色名を求めても良い。
【0044】
ステップS209において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域のHueをユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達方法は、音声出力及び画像表示部108に表示した色相スケールへの画像表示、又はそのうちいずれか一方による。選択領域の色情報は、Hueの替わりに例えば慣用色名を用いても良い。また、RGBの信号レベル値を用いても良い。
【0045】
ステップS210において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109を介して、撮影モードの場合と同様に、ユーザーが希望する選択領域の変更後のHue或いは慣用色名を取得する。
ステップS211において、画像信号処理部103は、選択領域の色を、カメラコントローラ106が取得したユーザーが希望したHue或いは慣用色に基づいて変換する。また、ユーザーがタッチした色と同色の画素全てを選択された色に変換してもよい。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103において色変換を施した画像データに基づく画像を、ドライバ107を介して画像表示部108に表示させる。
【0046】
ステップS212において、カメラコントローラ106は、色変換した画像データを記録媒体111に保存するか判定する。この判定の結果、色変換した画像データを記録媒体111に保存しない場合は、ステップS206に移る。
ステップS212の判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存する場合は、ステップS213において、カメラコントローラ106は、色変換後の画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111に出力する。記録媒体111は、カメラコントローラ106から入力された色変換後の画像データを記録する。
【0047】
ステップS214において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS202に移る。
ステップS214の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS215において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS206に移る。ステップS215の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0048】
本実施形態によれば、ユーザーは表示手段に表示された画像の一部に触れることで、撮影中或いは撮影した画像を再生中に画像の一部を選択することができ、ユーザーが選択した画像部分の色の情報を音声や画像情報を用いてユーザーに伝えることができる。更に、ユーザーが希望すれば当該ユーザーが選択した画像部分の色を、ユーザーが色情報を見ながら指定した色に変換することができる。
【0049】
また、ステップS106及びS204の処理により、ユーザーのわずかなタッチ位置の違いで色情報が違ってしまうことを避けることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば特定色を認識することが難しい色覚障害者が、カラー画像を色覚正常者と同様に認識できるようになり、更に、デジタルカラー画像に対して色変換処理を施すことができるようになるという効果も得られる。
特に、色覚障害者用途とした場合の変形例として、本実施形態におけるステップS112とS113並びにS210とS211の処理を画像信号処理部103が選択領域の色を色反転させる処理とするようにしてもよい。これにより、特定色を認識することが難しい色覚障害者が、識別できない画像中の色を識別できるようになる。
【0051】
更に、本実施形態の別の変形例を説明する。第1の実施形態では、ユーザーが画像中で触れた点を選択領域としている。これに対して本変形例では、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とする。この場合の本変形例の撮像装置は、面積を有する選択領域の色情報を、音声や画像表示等によりユーザーに伝達する機能と、該選択領域の色を、ユーザーが色情報を参照しながら選択した色に変換する機能とを有する。
【0052】
このため、本変形例では、本実施形態のステップS109又はS207において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、ユーザーが一筆書するように囲って指定した面積を有する表示領域である選択領域の位置情報を取得し、それを画像信号処理部103に出力する。
【0053】
次に本実施形態のステップS110又はS208において、画像信号処理部103は、は、カメラコントローラ106より入力された選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報とに基づき、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。画像信号処理部103は、選択領域の平均化したRGB情報を、カメラコントローラ106に出力する。尚、ここで求めるRGB情報は、平均値に限らず、選択領域の色を表す他の代表値でも良い。カメラコントローラ106は、画像信号処理部103から入力された選択領域の平均化したRGB情報に基づき、該選択領域の色相(Hue)を計算する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
【0054】
ステップS111以降は、本実施形態と同様に、選択領域のHueをユーザーへ伝達し、また、それをユーザーの希望する色に変換する。
【0055】
以上の変更により、本変形例の撮像装置は、ユーザーが触れた点のみならず、面積を有する領域についても、その色の平均をユーザーに音声や画像表示等によりユーザーに伝達することと、該選択領域の色を、ユーザーが選択した色に変換することとが可能になる。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点に限定して説明する。撮像装置の構成は図1を参照して説明したデジタルカメラと同様である。
【0057】
色情報は色相以外に明度、彩度がある。そのため、色名だけで全ての色情報を伝達することは難しい。そこで本実施形態では、明度の違いを音声周波数の高低の違い、彩度の違いを音量の大小の違いで表現し、ユーザーに正確な色情報を提供する。
【0058】
第2の実施形態における撮影モードでの動作を図8のフローチャートに示す。この図8のフローチャートのステップS301乃至S309は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS101乃至S109の処理と同様である。したがって、ステップS310以後の動作について説明する。
ステップS310において、カメラコントローラ106は、選択領域の色情報が慣用色名のどれに近似しているか求める。求め方は、図2を参照して説明した第1の実施形態におけるステップS110の詳細説明と同様である。
【0059】
ステップS311において、カメラコントローラ106は、計算された近似の慣用色の色情報の彩度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の彩度が、例えば+10%以上であれば音量を通常よりプラスに、−10%以下であれば音量を通常よりマイナスにする設定する。例えば、計算された慣用色がとき色(輝度73、色相342度、彩度37%、明度80%)に近い色で、選択領域の色情報の彩度が47%以上であれば音量を上げ、彩度が27%以下であれば音量を下げる等の処理を行う。
【0060】
ステップS312において、カメラコントローラ106は、計算された近似の慣用色の色情報の明度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の明度が例えば+10%以上であれば音声周波数を通常より高く、−10%以下であれば音声周波数を通常より低く設定する。例えば、計算された慣用色がとき色に近い色で、選択領域の色情報の明度が90%以上であれば周波数を高くし、明度が70%以下であれば周波数を低くする等の処理を行う。
【0061】
ステップS313において、カメラコントローラ106は、設定した音声情報をD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の色に関するデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号に基づいて音声を出力し、ユーザーに色を知らせる。
ステップS314において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS302に移る。ステップS314の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0062】
次に本実施形態における再生モードでの動作を図9に示すフローチャートを参照して説明する。図9のフローチャートに示す様に、ステップS401乃至S407は、図3を参照して説明した第1の実施形態のステップS201乃至S207の処理と同様である。したがって、ステップS408以後の動作について説明する。
ステップS408において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の色情報が慣用色のどれに近似しているか求める。
【0063】
ステップS409において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、計算された近似の慣用色の色情報の彩度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の彩度が例えば+10%以上であれば音量を通常よりプラスに、−10%以下であれば音量を通常よりマイナスに設定する。
【0064】
ステップS410において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、計算された近似の慣用色の色情報の明度に対し、ユーザーがタッチパネルに触れた表示領域の色情報の明度が例えば+10%以上であれば音声周波数を通常より高く、−10%以下であれば音声周波数を通常より低く設定する。
【0065】
ステップS411において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、設定した音声情報をD/A変換部113に出力する。D/A変換部113は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の色に関するデジタル音声信号をアナログ信号に変換し、それをスピーカー114に出力する。スピーカー114は、D/A変換部113から入力されたアナログ信号に基づいて音声を出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0066】
ステップS412において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS402に移る。
ステップS412の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS413において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS406に移る。ステップS413の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0067】
尚、本実施形態では、彩度を音量の大小により、明度を音声周波数の高低により表現しているが、明度を音量の大小により、彩度を音声周波数の高低により表現しても良い。また、明度、彩度のうちいずれか一方を、音量の大小又は音声周波数の高低により表現しても良い。また、勿論、音量や音声周波数を変更する条件として明度又は彩度が±10%より離れている時としたのは一例であり、±5%でも、±20%でも良く、値はこれらに限らない。
【0068】
また、第1の実施形態の別の変形例と同様に、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とし、該選択領域の色情報の代表値を、音量の大小又は音声周波数の高低を変化させた音声を用いてユーザーに伝達することを可能にしてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、画像表示部に表示した色相スケールへの画像表示を併用しても良い。
【0069】
本実施形態によれば、選択領域の色情報を、色相のみならず明度や彩度の情報も含めて音声で表現し、音声でユーザーに伝達することができる。また、本技術は、特定色を認識することが難しい色覚障害者が画像中の色を識別するためにも応用できる。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点に限定して説明する。
JIS Z8102:2001「物体色の色名」では輝度、色相、彩度、明度により269色の色名が定められている。しかし、全てのユーザーが、慣用色名とユーザー自身がイメージしている色が一致しているとは限らない。そこで、本実施形態では、音声によるユーザーへの色情報の伝達の際、選択領域の色名は、慣用色のうち代表的な12色の中から近い色を選択し、選択した慣用色と実際の選択領域の色との差分を音声の音量及び周波数の違いにより表現する。
【0071】
本実施形態における撮影モードでの動作は、図10のフローチャートに示す様に、ステップS501乃至S509は、図8を参照して説明した第2の実施形態のステップS301乃至S309の処理と同様である。したがって、ステップS510以後の動作について説明する。
ステップS510において、カメラコントローラ106は、選択領域の色情報の色相、彩度、明度を算出する。
ステップS511において、カメラコントローラ106は、得られた色相及び明度に基づき、下記表4に示す代表色12色の中から、該選択領域の色名を選択する。
【表4】
【0072】
ステップS512において、カメラコントローラ106は、白と黒以外の色では、彩度の高低に応じて音量を変えることで色の鮮やかさを表現する。例えば、選択領域の色情報の彩度が40%未満の場合は音量を通常よりマイナスに、40%以上60%未満の場合は通常の音量に、60%以上の場合は音量を通常よりプラスに設定する。また、視感度は彩度が高い方が高くなるので、例えば彩度が高くなるにつれ音量レベルを細かく分けても良い。
【0073】
色は、明度が50%を中心に、それより高ければ白っぽくなり低くれば黒っぽくなる。そこで、ステップS513において、カメラコントローラ106は、明度の高低に応じて音声の周波数を高低させることで明度を表現する。例えば、選択領域の色情報の明度が40%未満の場合は音声周波数を通常より低く、40%以上60%未満の場合は通常の音声周波数に、60%以上の場合は音声周波数を通常より高く設定する。
【0074】
ステップS514において、カメラコントローラ106は、第2の実施形態の場合と同様に、設定した音声情報に基づいた音声をスピーカー114から出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0075】
ステップS515において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS502に移る。ステップS514の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0076】
次に本実施形態における再生モードでの動作を図11に示すフローチャートを参照して説明する。図11のフローチャートに示す様に、ステップS601乃至S607は、図9を参照して説明した第2の実施形態のステップS401乃至S407の処理と同様である。したがって、ステップS608以後の動作について説明する。
ステップS608において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109の出力から、選択領域の色情報の色相、彩度、明度を算出する。
ステップS609において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、得られた色相及び明度に基づき、下記表4に示す代表色12色の中から、該選択領域の色名を選択する。
【0077】
ステップS610において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、白と黒以外の色では、彩度の高低に応じて音量を変えることで色の鮮やかさを表現する。
ステップS611において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、明度の高低に応じて音声の周波数を高低させることで明度を表現する。
【0078】
ステップS612において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、設定した音声情報に基づいた音声をスピーカー114から出力し、ユーザーに色を知らせる。
【0079】
ステップS613において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS602に移る。
ステップS613の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS614において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS606に移る。ステップS614の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0080】
尚、本実施形態では、彩度を音量の大小により、明度を音声周波数の高低により表現しているが、明度を音量の大小により、彩度を音声周波数の高低により表現しても良い。また、明度、彩度のうちいずれか一方を、音量の大小又は音声周波数の高低により表現しても良い。
【0081】
また、本実施形態では、色名を代表的な12色に限定したが、これに限らず、色名は代表的な6〜24色程度にしてもよい。
また、RGBの信号レベル値をユーザーに伝達する場合も、数値だけではイメージが掴み難い。そこで、RGBの信号レベル値を用いる場合にも本実施形態と同様に、音声によるユーザーへの色情報の伝達の際、平均輝度値の高低に応じて、音声周波数を高低に変化させても良い。
【0082】
また、第1の実施形態の別の変形例と同様に、ユーザーが例えば一筆書するように囲って指定した面積を有する部分を選択領域とし、該選択領域の色情報の代表値を、音量の大小又は音声周波数の高低を変化させた音声を用いてユーザーに伝達することを可能にしてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、画像表示部に表示した色相スケールへの画像表示を併用しても良い。
【0083】
本実施形態によれば、音声により色情報をユーザーに伝達する際、慣用色名とユーザー毎の色のイメージの不一致の影響を抑制することができ、ユーザーがイメージする色に齟齬が生じないようにすることができる。また、本技術は、特定色を認識することが難しい色覚障害者が画像中の色を識別するためにも応用できる。
【0084】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点に限定して説明する。
本実施形態では、ユーザーが画像中で面積を有する領域を指定して、該領域の色を変換する場合を考える。この場合、ユーザーが選択領域の設定を行うため正確に画像の境界線を指定することは難しい。例えば、海岸の画像において海の色を変更しようとして海岸線に沿って選択領域を指定しようとしても、複雑な海岸線の形状をユーザーが正確になぞることは困難であり煩雑である。そこで本実施形態では、ユーザーが選択した領域内の画像データのRGB値の平均値と、該領域の境界周辺画素のRGB値とを比較し、RGB値が近ければ領域内、離れていれば領域外とし、ユーザーが選択した該領域の境界を修正し、選択領域を設定する。
【0085】
第4の実施形態における撮影モードでの動作を図12のフローチャートに示す。この図12のフローチャートのステップS701乃至S708は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS101乃至S108の処理と同様である。したがって、ステップS709以後の動作について説明する。
【0086】
ステップS709において、タッチパネル109は、画像データにおけるユーザーが選択する領域を取得し、カメラコントローラ106に出力する。例えば、図13の画像において、手前の森の部分を変更しようとする場合を考える。この際、ユーザーが指等で木々の輪郭を正確になぞることは困難である。そこで、ユーザーは、おおよその輪郭をなぞって選択領域を指定する。
【0087】
ステップS710において、カメラコントローラ106は、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、選択領域の位置情報を算出する。カメラコントローラ106は、算出した選択領域の位置情報を、画像信号処理部103に出力する。
ステップS711において、画像信号処理部103は、カメラコントローラ106から入力された選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報とに基づき、ユーザーが指定した選択領域の画像データを取得する。
ステップS712において、画像信号処理部103は、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。例えば、R=50、G=200、B=50等となる。
【0088】
ステップS713において、画像信号処理部103は、指定画像の輪郭部を微調整する。ユーザーが指定した選択領域の画像データのRGB毎の平均値を参照し、例えば、選択領域に連続しており且つ平均値±10%(例えば、R=50±5、G=200±20、B=50±5)の値を有する領域を領域内とし、±10%以上離れている領域を領域外と設定する。このようにして設定した領域を新たな選択指定範囲202とする。勿論平均値の±10%という境界許容値は一例でありこれに限らずとも予め設定した別の値を用いても良い。また、ユーザーの指示により画像ごとに境界許容値を変更できるようにしても良い。
【0089】
ステップS714において、カメラコントローラ106は、第1の実施形態の場合と同様に、選択指定範囲202の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択指定範囲202の色相(Hue)を算出する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
ステップS715において、カメラコントローラ106は、第1の実施形態の場合と同様に、選択指定範囲202のHue又は慣用色名をユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び色相スケール201への画像表示、又はそのうちいずれか一方による。
【0090】
ステップS716において、タッチパネル109は、第1の実施形態におけるステップS112と同様にして、選択指定範囲202の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。
ステップS717において、画像信号処理部103は、選択指定範囲202内の色を、ユーザーが希望したHue或いは慣用色に変換する。この際の変換量は領域内のRGBデータの差異に応じて変化する。例えば、赤色の値を10%アップする場合、例えばタッチ位置のRGB値がR=50、G=200、B=50の場合にはR=55、G=20、B=50とする。即ち、この場合はRの変換量を元の+5とする。また、例えばタッチ位置のRGB値がR=100、G=250、B=45の場合には、R=110、G=250、B=45とする。この場合はRの変換量を元の+10とする。
ステップS718において、カメラコントローラ106は、撮影モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS702に移る。ステップS718の判定の結果、撮影モードでなければ、処理を終了する。
【0091】
次に本実施形態における再生モードでの処理について図14に示すフローチャートを参照して説明する。図14のフローチャートに示す様に、ステップS801乃至S806は、図2を参照して説明した第1の実施形態のステップS201乃至S206の処理と同様である。したがって、ステップS807以後の動作についてのみ説明する。
ステップS807において、タッチパネル109は、撮影モードの場合と同様に、画像データにおけるユーザーが選択する選択領域を取得する。
ステップS808において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、タッチパネル109から入力された信号に基づいて、選択領域の位置情報を得る。
【0092】
ステップS809において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択領域の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、ユーザーが指し示した選択領域の画像データを取得する。
ステップS810において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択領域内の画像データをRGB毎に平均化する。
ステップS811において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、指定画像の輪郭部を微調整する。例えば、選択領域の画像データの平均値の±10%(例えば、R=50±5、G=200±20、B=50±5)の値を有する領域を領域内とし、±10%以上離れている領域を領域外とし、選択指定範囲202を設定する。
【0093】
ステップS812において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202の位置情報と、第1のメモリ105に保存された画像情報の色情報に基づき、該選択指定範囲202の色相(Hue)を算出する。また、JIS Z8102:2001「物体色の色名」に記載されている慣用色名を求めても良い。
ステップS813において、カメラコントローラ106は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202のHue又は慣用色名をユーザーへ伝達する。ユーザーへの伝達手段は、音声出力及び色相スケール201への画像表示、又はそのうちいずれか一方による。
【0094】
ステップS814において、タッチパネル109は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202の変更後のHue或いは慣用色名の希望をユーザーから取得する。
ステップS815において、画像信号処理部103は、撮影モードの場合と同様に、選択指定範囲202内の色を、ユーザーが希望したHue或いは慣用色に変換する。この際、変換量は領域内のRGBデータの差異に応じて変化する。例えば、赤色の値を10%アップする場合でタッチ位置におけるRGB値がR=50、G=200、B=50の場合にはR=55、G=20、B=50に変更する。同様に、タッチ位置におけるRGB値がR=100、G=250、B=45の場合には、R=110、G=250、B=45に変更する。
【0095】
ステップS816において、カメラコントローラ106は、色変換した画像を記録媒体111に保存するか判定する。この判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存しない場合は、ステップS806に移る。
ステップS816の判定の結果、色変換した画像を記録媒体111に保存する場合は、ステップS817において、カメラコントローラ106は、該色変換した画像データを、カードI/F110を介して記録媒体111に出力する。記録媒体111は、カメラコントローラ106から入力された画像データを記録する。
【0096】
ステップS818において、カメラコントローラ106はユーザーが他の再生画像を選択したか判定する。この判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択した場合は、ステップS802に移る。
ステップS818の判定の結果、ユーザーが他の再生画像を選択していない場合、ステップS819において、カメラコントローラ106は、再生モードか判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、ステップS806に移る。ステップS818の判定の結果、再生モードでなければ、処理を終了する。
【0097】
本実施形態により、複雑な形状のため設定が困難な選択指定範囲を、ユーザーの指定領域と当該領域の色情報に基づいて正確に設定することができる。
尚、第1の実施形態の色覚障害者用途とした場合の変形例と同様に、選択指定範囲202の色を色反転させる処理を実施し、特定色を認識することが難しい色覚障害者が、識別できない画像中の色を識別できるようにしてもよい。
【0098】
また、選択領域又は選択指定範囲202をユーザーへ伝達する方法としては、例えば選択領域を囲む線を表示しても良い。また、選択領域又は選択指定範囲202の認識性を高めれば、ユーザーによる表示画面上での選択領域の識別は容易になる。そこで、例えば、画像信号処理部103は、時間経過と共に選択領域の色を変化させたり、色以外にも空間周波数や明るさなど、他の画像条件を時間経過と共に変化させたりする処理を施し、それを表示するようにしても良い。これらは、既知の方法で条件を変えた画像データをフレーム毎に変更することで実現できる。このようにすると、画像における選択領域又は選択指定範囲202を時間経過と共に変化する動きとして認識することができるため、選択領域又は選択指定範囲202の把握がより行いやすくなる。
【0099】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
尚、本発明の上記実施の形態には以下の発明も含まれる。
【0101】
(1)画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像中の位置及び希望する色を指定するための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、
前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、
前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色情報を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する画像データ処理手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0102】
(2)前記通知手段は、前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声により通知し、
前記音声は、前記色情報のうちの明度及び彩度のうち少なくとも一方を、音声の周波数の高低及び音量の大小のうち少なくとも一方により表現することを特徴とする上記(1)に記載の撮像装置。
【0103】
(3)前記位置演算手段は、前記指定手段により指定された面積を有する領域の位置を算出し、
前記画像データ処理手段は、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色情報の代表値を、該領域の色情報として算出し、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する
ことを特徴とする上記(1)乃至(2)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0104】
(4)前記画像データ処理手段は、隣接する複数個の画素の色情報を代表値として算出する機能を有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0105】
(5)前記画像データ処理手段は、前記ユーザーが指定した面積を有する領域の位置の色情報の代表値に基づいて、前記位置演算手段が算出したユーザーが指定した面積を有する領域の位置を変更する機能を有することを特徴とする上記(3)に記載の撮像装置。
【0106】
(6)前記画像データ処理手段は、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色を色反転させる機能を有することを特徴とする上記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0107】
(7)前記画像データ処理手段は、前記表示手段が表示する画像のうち、前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の画像条件を時間経過と共に変化させることを特徴とする上記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【0108】
(8)前記指定手段は、前記表示手段に重ねて配設されるタッチパネルであることを特徴とする上記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0109】
100…デジタルカメラ、101…撮影レンズ、102…撮像素子、103…画像信号処理部、104…メモリ制御部、105…第1のメモリ、106…カメラコントローラ、107…ドライバ、108…画像表示部、109…タッチパネル、110…カードI/F、111…記録媒体、112…システムバス、113…D/A変換部、114…スピーカー、115…第2のメモリ、116…I/F、117…各種スイッチ、201…色相スケール、202…選択指定範囲。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像中の位置及び希望する色を指定するための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、
前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、
前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色情報を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する画像データ処理手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声により通知し、
前記音声は、前記色情報のうちの明度及び彩度のうち少なくとも一方を、音声の周波数の高低及び音量の大小のうち少なくとも一方により表現することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記位置演算手段は、前記指定手段により指定された面積を有する領域の位置を算出し、
前記画像データ処理手段は、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色情報の代表値を、該領域の色情報として算出し、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する
ことを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像中の位置及び希望する色を指定するための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記画像中の位置の位置情報を算出する位置演算手段と、
前記画像における前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声及び画像表示のうち少なくともいずれか一方により通知する通知手段と、
前記位置演算手段が算出した前記画像中の位置の色情報を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する画像データ処理手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記位置演算手段が算出した位置の色情報を、音声により通知し、
前記音声は、前記色情報のうちの明度及び彩度のうち少なくとも一方を、音声の周波数の高低及び音量の大小のうち少なくとも一方により表現することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記位置演算手段は、前記指定手段により指定された面積を有する領域の位置を算出し、
前記画像データ処理手段は、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色情報の代表値を、該領域の色情報として算出し、
前記位置演算手段が算出した面積を有する領域の位置の色を、前記指定手段により指定された前記希望する色に変換する
ことを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−23890(P2011−23890A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165942(P2009−165942)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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