説明

操作スイッチ用シート部材及び操作スイッチ

【課題】確実な接触操作が可能であると共に薄型化し易く、しかも背面側から透過させる光が減衰され難くて透光表示部から十分な光を放射させ易いスイッチ用シート部材を提供する。
【解決手段】接触操作及び押圧操作が行われる表面操作部12と、表面操作部12に対する接触操作を静電容量の変化として検出可能な静電容量検出部17とを備え、表面操作部12は、背面側からの光が透過して表面側で視認されるように構成された透光表示部16を備えると共に、静電容量検出部17の透光表示部16に対応する位置が光を透過可能に構成され、表面操作部12と静電容量検出部17とが一体に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触操作及び押圧操作可能な操作スイッチ用シート部材と、その操作スイッチ用シート部材を備えた操作スイッチとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部を押圧することなく、指を接触させたり、摺動させる接触操作により、その操作が内部の回路に入力されて各種の処理が実行されるように構成された操作スイッチが多数存在する。このような操作スイッチには、接触操作が行われる同一の操作部を押圧することにより、その押圧操作で内部に設けられた接点の導通を行い、接触操作とは別の処理が実行されるように構成されたものが存在する。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、メンブレンスイッチの上方に可撓性を有するタッチパネルスイッチを配置し、タッチパネル上に指を接触させて摺動させることで接触操作による入力が行えると共に、タッチパネルスイッチを押圧することで、押圧操作による入力が行えるように構成された電子機器が提案されている。
【0004】
ここでは、タッチパネルスイッチが、互いに離間して対向された一対の絶縁基材と、各導電基板の対向面にそれぞれ積層された導電被膜とからなり、一方の絶縁基材を押圧して変形させることで、タッチパネルスイッチの接触操作による入力が行なえるようになっている。
【0005】
また、タッチパネルスイッチを支持する面に凹部が設けられ、この凹部に配線基板の接点部分が配置されており、タッチパネルスイッチの2枚の絶縁基板を押圧して変形させることで、押圧操作による入力が行えるようになっている。
【0006】
更に、この電子機器では、タッチパネルスイッチを光透過性部材で構成されており、背面側に配置された照光手段により照光することで、背面側からの光が透過して表面側から放射される透光表示部が設けられている。
【特許文献1】特開2001−76582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような装置では、タッチパネルスイッチが複数の絶縁基材及び導電皮膜を離間して配置することで形成されており、接触操作を行わない間は導電被膜間を確実に離間させなければならず、薄型化し難いと共に、接触操作時には適度な力で絶縁基材を変形させて導電被膜間を接触させなければならず、確実な接触操作を行い難かった。
【0008】
しかも、透光表示部では、背面側から照光された光がタッチパネルスイッチの絶縁基材及び導電皮膜を多数透過することで光が減衰され易い上、導電被膜間に設けられている間隙で光が乱反射して減衰され易く、表面側に放射される光が不足し易かった。
【0009】
そこで、この発明は、確実な接触操作が可能であると共に薄型化し易く、しかも背面側から透過する光が減衰され難くて透光表示部から十分な光を放射させ易いスイッチ用シート部材を提供すると共に操作スイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に記載の操作スイッチ用シート部材は、接触操作及び押圧操作が行われる表面操作部と、前記表面操作部に対する接触操作を静電容量の変化として検出可能な静電容量検出部とを備えた操作スイッチ用シート部材であって、前記表面操作部は、背面側からの光が透過して表面側で視認されるように構成された透光表示部を備えると共に、前記静電容量検出部の前記透光表示部に対応する位置が光を透過可能に構成され、前記表面操作部と前記静電容量検出部とが一体に接合されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1に記載の構成に加え、接触操作及び押圧操作が行われる前記表面操作部と、前記表面操作部に対する押圧操作により作動可能な押圧作動部と、前記静電容量検出部とを備え、前記表面操作部、前記押圧作動部、及び前記静電容量検出部とが一体に接合されると共に、前記押圧作動部の前記透光表示部に対応する位置が、光を透過可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記静電容量検出部は、透明な検出部位を有し、該検出部位が前記透光表示部に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項3に記載の構成に加え、前記透明な検出部位は、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンドーパントと、増粘剤と、レベリング剤と、架橋剤とを含有する導電性高分子インクにより形成された導電性被膜層からなることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記静電容量検出部は、不透明な検出部位と、前記透光表示部に対応する位置に前記検出部位が存在しない抜き形状部とを備え、前記抜き形状部を介して離間する前記検出部位間が細幅連結部により接続されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の操作スイッチは、前記請求項2乃至5の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材と、前記操作スイッチ用シート部材と離間して対向する位置に配置された基体部とを備え、前記基体部と前記押圧作動部とに、弾性変形可能な中空立体形状を有する弾性ドームと、該弾性ドームを押圧可能なプランジャとが互いに対向して設けられ、前記表面操作部が押圧されることにより、前記プランジャが前記弾性ドームを弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の操作スイッチは、請求項6に記載の構成に加え、前記表面操作部の前記透光表示部を照光可能な発光部を備え、該発光部は、前記操作スイッチ用シート部材と前記基体部との間で、前記弾性ドーム及び前記プランジャとは異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の操作スイッチは、請求項6又は7に記載の構成に加え、前記表面操作部の前記透光表示部を照光可能な発光部を備え、該発光部は、前記表面操作部とは面方向に離間した位置に配置され、該発光部から前記透光表示部を照光可能な位置まで光を案内するライトガイドが設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の操作スイッチは、請求項8に記載の構成に加え、前記透光表示部は、複数位置に設けられ、前記ライトガイドは、前記各透光表示部を照射可能な位置間に連続して配置された透明樹脂シートからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、接触操作及び押圧操作が行われる表面操作部に静電容量検出部が一体に接合されているので、表面操作部に近接させて静電容量検出部を配置することで、表面操作部への接触操作による静電容量の変化を精度よく検出し易くでき、確実な接触操作が可能である。しかも、各部間に間隙を設ける必要がないため、操作スイッチ用シート部材の厚さを薄く構成し易い。
【0020】
また、表面操作部に透光表示部を備え、静電容量検出部の透光表示部に対応する位置が光を透過可能に構成されているので、背面側から光を照射すれば、透光表示部により表面操作部の表面側から光を放射させることができる。その際、表面操作部に静電容量検出部が接合されていて各部間に間隙がないため、光が乱反射され難く、背面側から透過する光が減衰され難くて透光表示部から十分な光を放射させ易い。
【0021】
請求項2に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、表面操作部、押圧作動部、静電容量検出部とが一体に接合されているので、表面操作部に近接させて静電容量検出部を配置できて確実な接触操作が可能である上に、各部間に間隙がないため、表面操作部への押圧操作で確実に押圧作動部を変位させ易く、確実な押圧操作が可能である。同時に、各部間に間隙がないため、薄型化し易いと同時に、繰返し押圧操作が行われても十分な耐久性を確保できる。
【0022】
更に、押圧作動部の透光表示部に対応する位置が光を透過可能に構成されているので、背面側からの光を透過して透光表示部により表面側から放射させることが可能であり、その際、押圧作動部が表面操作部及び静電容量検出部に接合されていて各部間に間隙がないため、光が乱反射され難く、背面側から透過する光が減衰され難くて透光表示部から十分な光を放射させ易い。
【0023】
請求項3に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、透明な検出部位が透光表示部に対応する位置に配置されているので、透光表示部に対応する位置でも静電容量の変化を検出することができ、検出精度を確保し易い。また、検出部位を透明に形成することにより高度な導電性を確保し難くても、静電容量検出部が表面操作部に近接配置されているため、静電容量検出部の十分な検出精度を確保することが可能である。
【0024】
請求項4に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、静電容量検出部の透明な検出部位が所定の導電性高分子インクにより形成された導電性被膜層からなるので、導電性を確保し易く、静電容量検出部の検出精度を向上することが可能である。
【0025】
請求項5に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、静電容量検出部に不透明な検出部位が設けられていても、透光表示部に対応する位置に検出部位が存在しない抜き形状部が設けられているので、透光表示部を背面側から照射可能であり、その際、検出部位間が抜き形状部を介して離間していても、検出部位間が細幅連結部により接続されているので、各検出部位の面積を確保し易く、静電容量検出部の検出精度を向上することが可能である。
【0026】
請求項6に記載の操作スイッチによれば、基体部と押圧作動部との互いに対向する位置に、弾性変形可能な中空立体形状の弾性ドームと、弾性ドームを押圧可能なプランジャとが設けられ、表面操作部が押圧されることにより、プランジャが弾性ドームを弾性変形可能に構成されているので、表面操作部の押圧操作時に、弾性ドームの変形により、十分なクリック動作感を付与し易い。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、発光部が操作スイッチ用シート部材と基体部との間の弾性ドーム及びプランジャとは異なる位置に配置されているので、弾性ドーム及びプランジャを配置するための厚さを利用して発光部を配置することができ、操作スイッチ全体の厚さを薄く抑え易い。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、表面操作部とは面方向に離間した位置に発光部が設けられ、発光部から透光表示部を照光可能な照光位置まで光を案内するライトガイドが設けられているので、発光部の配置の自由度を向上でき、操作スイッチ全体の厚さを薄く抑え易い。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、ライトガイドが、複数の透光表示部のそれぞれを照射可能な複数の位置間に連続して配置された透明樹脂シートからなるので、透光表示部毎に発光部やライトガイドを設ける必要がなく、部品点数を少なくできると共に、同一のライトガイドにより各透光表示部に光を導くため各透光表示部を均一に照光し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
【0031】
図1乃至図3は、この実施の形態1の操作スイッチを示している。
【0032】
実施の形態1の操作スイッチは、携帯電話に使用されるもので、図1及び図2に示すように、開口部10aを有する筐体10と、筐体10の開口部10aに配置された操作スイッチ用シート部材としての操作パネル11と、筐体10の内部に操作パネル11と離間して対向配設された基体部としての基板21とを備えている。
【0033】
操作パネル11には、接触操作及び押圧操作が可能な表面操作部としての接触押圧操作部12が外部に露出して一部に配置されている。接触押圧操作部12は一つの中央キー13と、中央キー13の周囲を囲むように配置された方向キー14とを備えている。操作パネル11の接触押圧操作部12以外の部位には、押圧操作可能な多数の押圧操作部15が設けられている。また、中央キー13及び方向キー14を含む操作パネル11の各部には、背面側からの光が透過して表面側から視認されるように構成された透光表示部16が設けられている。
【0034】
接触押圧操作部12の筐体10の内部側には、中央キー13及び方向キー14に対する接触操作を静電容量の変化として検出できるシート状の静電容量検出部17と、中央キー13及び方向キー14並びに静電容量検出部17を支持する押圧作動部としての弾性体シート19とが配置され、接触押圧操作部12、静電容量検出部17、及び弾性体シート19が一体に接合されている。ここでは、静電容量検出部17及び弾性体シート19は、何れも中央キー13及び方向キー14の全てに対応する位置に連続して設けられている。また、中央キー13及び方向キー14は、それぞれ分離された状態で、静電容量検出部17及び弾性体シート19に支持されている。
【0035】
一方、基板21には、弾性体シート19を筐体10の表面側に付勢する押圧変形部23が設けられ、押圧変形部23内の基板21上には、図示しない回路と接続されて、中央キー13及び方向キー14に対する押圧操作により接続可能な導通接点部25が設けらている。
【0036】
このような構成の操作スイッチにおいて、まず、操作パネル11の中央キー13及び方向キー14は、硬質の樹脂からそれぞれ別々に分離された状態で成形されており、図2に示すように、操作パネル11の表面シート11bに設けられた開口部11aに配置されている。
【0037】
これらの中央キー13及び方向キー14の各表面はそれぞれ独立に変位可能な押圧操作面となっており、中央キー13及び方向キー14の各押圧操作面と重複する表面全体が連続する接触操作面となっている。
【0038】
各キー13、14は、表面側で行われる接触操作を背面側に配置された静電容量検出部17により検出可能に形成されている。また、各キー13、14は、背面側からの光が表面側に透過可能に形成されている。このような中央キー13及び方向キー14として、この実施の形態1ではポリカーボネートからなるものを使用している。
【0039】
これらの中央キー13及び方向キー14並びに操作パネル11の表面シート11bの背面側には透光表示部16が設けられている。この透光表示部16は、これらの裏面に、文字、図形等の各種のデザインで抜き形状部を有する遮光性の加飾印刷層が形成されることで構成されている。
【0040】
次に、操作パネル11の静電容量検出部17は、シート状に形成されており、表面に中央キー13及び方向キー14が接合されている。ここでは、キー13、14は透明な両面テープ18により接着されており、各キー13、14の押圧操作を阻害しないようにする目的で、各キー13、14の周縁が非接合状態となっている。
【0041】
この静電容量検出部17は少なくともキー13、14の透光表示部16の部位と密着して接合されていることが好ましく、接合部位内に気泡等の間隙や凹凸が存在しないことが好ましい。光が透過する際に、間隙が存在すると、その部位で乱反射することで、表面側に放射される光が減衰したり、不均一になり易いからである。
【0042】
この静電容量検出部17は、図3に示すように、基材フィルムとしての樹脂フィルム17cに、多数の検出部位17aと各検出部位17aに接続されたリード線17bとが導電性被膜層により形成された構成となっている。
【0043】
複数の扇形の検出部位17aは、それぞれ中央キー13の略中心部から方向キー14の外周縁に至る大きさで放射方向に形成されており、全検出部位17aが円形となるように配置されると共に、各検出部位17aが互いに非接続状態となっている。リード線17bは各検出部位17aの弧状の端縁から延びており、全てのリード線17bが一箇所で集束されて、図示しない回路まで延長されて接続されている。
【0044】
このような静電容量検出部17を構成する樹脂フィルム17cは、光を透過可能な透明性を有すると共に、導電性被膜層が形成可能な剛性を有し、押圧操作時に周囲の押圧変形部を押圧することなく変形可能な柔軟性を有するフィルムが好適である。
【0045】
この樹脂フィルム17cを構成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられ、強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好適である。
【0046】
樹脂フィルム17cは、操作パネル11の薄肉化のために、出来るだけ薄肉のフィルムが好適である。後述するように互いに隣接する検出部位17aを樹脂フィルム17cの異なる面に設ける場合には、更に、十分な電気的絶縁性が得られる範囲で薄肉のフィルムとするのが好適である。
【0047】
具体的には、例えば樹脂フィルム17cの厚さを10〜100μmとするのが好ましい。樹脂フィルム17cの厚さが10μm以上であれば、所望の剛性及び電気的絶縁性を得やすく、一方、100μm以下であれば、柔軟性を得やすいと共に薄肉にできるからである。この実施の形態1では、25μm以下のPETフィルムが使用されている。
【0048】
検出部位17a及びリード線17bを構成する導電性被膜層は、導電性が高い程、接触操作時の検出精度が向上できるため、十分な導電性を有するものが好ましい。ここでは、導電性被膜層の抵抗値は小さい程好ましいが、この実施の形態1では、中央キー13及び方向キー14の直下に静電容量検出部17が配置されているため、導電性被膜層の表面抵抗値が500Ω以上、更に1000Ω以上であっても使用でき、9000Ω以下であれば使用可能である。
【0049】
このような導電性被膜層は、導電性インクを用いてスクリーン印刷、インクジェットによる印刷などにより形成することができる。導電性インクとしては、カーボンインク、銀系インク等を用いてもよく、酸化インジウム錫、導電性高分子等の透明性を有するインクを用いてもよい。透明性を有するインクを用いれば、内部からの照光の妨げにならず、透光表示部16のデザインの自由度が向上できて好ましい。
【0050】
導電性高分子インクとしては、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンドーパントと、増粘剤と、レベリング剤と、架橋剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)が0.1以上1.5未満である導電性インクを好適に使用することができる。
【0051】
導電性高分子インクを構成するπ共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に限定されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及び、これらの共重合体等が挙げられる。空気中の安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類、及びポリアニリン類等が好ましい。
【0052】
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、十分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及び相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコシキ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
【0053】
このπ共役系導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられ、更に、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテンなどが挙げられる。
【0054】
導電性高分子インクを構成するポリアニオンドーパントとしては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。
【0055】
このポリアニオンドーパントのアニオン基としては、−O−SO、−SO、−COO(各式において、Xは水素イオン、アルカリ金属イオンを表す。)が挙げられる。即ち、ポリアニオンドーパントは、スルホ基及び/又はカルボキシル基を含有する高分子酸である。π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO、−COOが好ましい。また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンドーパントの主鎖に配置されていることが好ましい。
【0056】
このポリアニオンドーパントとしては、溶媒溶解性及び導電性の観点から、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレートを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。
【0057】
ポリアニオンドーパントの含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。ポリアニオンドーパントの含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、また、導電性が不足することがあり、更に、溶媒への分散性及び溶解性が低くなり、均一な分散性を得ることが困難になる。また、ポリアニオンドーパントの含有量が10モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、十分な導電性を得難い。
【0058】
このようなポリアニオンドーパントは、π共役系導電性高分子に配位して、複合体を形成していてもよい。
【0059】
導電性高分子インクにおけるπ共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの合計の含有量は、0.05〜5質量%であり、0.5〜4.0質量%であることが好ましい。π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05質量%未満であると、十分な導電性を得難く、5質量%を超えると、ゲル化及び固体粒子の生成が起こり易くなって、印刷適性が低下し、均一な透明の導電性被膜層を得難くなる。
【0060】
導電性高分子インクを構成する増粘剤としては、増粘性が高いことから、グリシジル基及び/又はヒドロキシ基と、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを含有する化合物が好ましい。
【0061】
この化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドが特に好適である。2−ヒドロキシエチルアクリルアミドは増粘性を示すだけでなく、極性が高いため、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとを含有する水溶液を、ゲル化又は固体粒子化せずに置換することができる。また、架橋点を有するため、架橋剤を共存させることにより、導電性被膜層の架橋密度を向上させることができ、耐熱性、耐高温高湿性を向上させることができる。
【0062】
増粘剤の含有量は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンドーパントの合計量100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましい。増粘剤の含有量が1質量部未満であると、所望の粘度を得難く、印刷適性が不足することがあり、200質量部を超えると、粘度が高くなりすぎて、印刷適性が不足したり、十分な導電性を得難くなる傾向がある。
【0063】
導電性高分子インクを構成するレベリング剤は、導電性高分子インクの印刷時の樹脂フィルム17cへの濡れ性の向上、導電性高分子インクの粘度の調整、チクソトロピー性の調整、π共役系導電性高分子の分散性の向上等を図るものである。
【0064】
このレベリング剤としては、効果が優れるという理由で、ポリヒドロキシ化合物が好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリグリセリン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。導電性高分子インクの印刷時の樹脂フィルム17cへの濡れ性や連続印刷性の点から、特にプロピレングリコールが好ましい。
【0065】
導電性インクにおいて、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)は0.1以上1.5未満であり、0.2〜1.0であることが好ましい。増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1未満であると、樹脂フィルム17c上での濡れ性が失われることがあり、1.5以上であると、粘度が低くなって、印刷適性が不足することがある。
【0066】
導電性高分子インクを構成する架橋剤は、不飽和二重結合を2つ以上有し、熱又は光によって反応して、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの複合体を架橋させる化合物である。π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの複合体を架橋させ易い点で、多官能アクリル化合物が好ましい。
【0067】
多官能アクリル化合物としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の2官能アクリルモノマー、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能アクリルモノマー、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の4官能以上のアクリルモノマーなどが挙げられる。
【0068】
この架橋剤の含有量は、増粘剤100質量部に対して0.05〜50質量部の範囲であることが好ましく、0.03〜30質量部の範囲であることがより好ましい。架橋剤の含有量が、増粘剤100質量部に対して0.05質量部未満であると、耐水性、耐熱性、耐高温高湿性が不足することがある。また、増粘剤100質量部に対して50質量部より多くなると、導電性被膜層中のπ共役系導電性高分子及びポリアニオンドーパントの存在量が少なくなり、十分な導電性を得難くなることがある。
【0069】
このような導電性高分子インクには、各種の溶媒が含有されていてよく、更に、各種の添加剤を含有させることが可能である。この添加剤としては、π共役系導電性高分子及びドーパントと混合し得るものであれば適宜使用可能であり、例えば、架橋剤の反応を促進するための重合開始剤、アルカリ性化合物、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などである。
【0070】
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸グリコール、酪酸グリコール、酢酸メトキシプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、N ,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、トルエン、キシレン、ヘキサン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0071】
添加剤である重合開始剤は、架橋剤の反応を促進するものであり、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等の光重合開始剤、アリールジアゾニウム塩類、ジアリールアロニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、シラノール/アルミニウムキレート、αースルホニルオキシケトン類等のカチオン重合開始剤などが挙げられる。
【0072】
以上のような導電性高分子インクは、各種の方法で調製することができ、例えばドーパント含有液中でπ系共役系導電性高分子の前駆体を化学酸化重合し、これに各種の成分を一度に、或いは、順次、均一に混合することにより調製することが可能である。
【0073】
より具体的には、例えば、ポリアニオンドーパントを水溶液中でπ系共役系導電性高分子の前駆体を化学酸化重合して導電性高分子水溶液を作製し、この水溶液に増粘剤、レベリング剤、架橋剤、その他の成分を添加して均一混合し、その後に、水を除去することにより調製することができる。
【0074】
このように調製する場合、得られる導電性高分子インクにおいて、残留する水分が好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは水分が全くないことが好適である。導電性高分子インクの残留水分が20質量%を超えると、印刷安定性が低下する傾向にある。
【0075】
そして、このようにして調製された導電性高分子インクは、樹脂フィルム17cに検出部位17aやリード線17bを形成する方法に応じて粘度が調整されることが好ましい。例えば、スクリーン印刷により形成する場合、300〜10000mPa・s、好ましくは500〜5000mPa・sとするのが望ましく、平版印刷の場合、約5000〜10000mPa・sとするのが好適であり、グラビア印刷及びフレキソグラフィー印刷の場合、約20〜1000mPasとするのが好適であり、インクジェットによる印刷の場合、3〜30mPa・sとするのが好適である。これらの粘度は、25℃にてB型回転粘度系による定剪断速度にて測定される値である。
【0076】
なお、溶媒として水を使用した場合には、残留水分を20質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは全く含まないことが好適である。残留水分が多い程、印刷安定性が低下するからである。
【0077】
この実施の形態1では、以上のような導電性高分子インクを用い、樹脂フィルム17cに印刷して導電性被膜を形成することにより、検出部位17a及びリード線17bを形成している。
【0078】
このような導電性被膜層は、透明性を有するインクを用いた印刷層の場合、0.1〜5μmの厚さとするのが好ましい。0.1μm以上であれば、十分な導電性を確保でき、静電容量検出部17において確実に静電容量の変化を検出し易くでき、5μm以下であれば静電容量検出部17を薄肉に形成し易いと共に、透明性を確保し易いからである。
【0079】
なお、印刷層として、カーボンインク、銀系インク等の導電性インクを用いた場合には、5μm〜25μmの厚さとすることで使用可能である。
【0080】
また、このような印刷層の代わりに、例えば、酸化インジウム錫等の導電性金属を蒸着し、所定の形状にエッチングするなど、他の方法で導電性被膜層を形成することも可能である。
【0081】
このような導電性被膜層は、樹脂フィルム17cの一方の面に検出部位17a及びリード線17bが全て配置されるように形成してもよいが、互いに隣接する検出部位17aが樹脂フィルム17cの異なる面となるように形成することも可能である。このようにすれば、互いに隣接する検出部位17a間が近接していても、樹脂フィルム17cを介して配置されることにより確実に絶縁することができ、検出部位17a間を絶縁する手間を簡略化することが可能である。
【0082】
操作パネル11の弾性体シート19は、筐体10の開口部10aの端縁と基板21との間で固定される周縁部19aと、周縁部19aから接触押圧操作部12が配置された開口部10a側に突出し、支持面としての頂面19dを備えた膨出部19bと、この膨出部19bの筐体10の内部側に形成された中空部19cと、この中空部19cの中央キー13及び方向キー14に対応する位置に、押圧変形部23側に向けて突出して形成された押圧作動部の作動部位としてのプランジャ部19eとを備えている。
【0083】
この弾性体シート19では、静電容量検出部17が膨出部19bの平坦な頂面19dに接着されている。ここでは、静電容量検出部17の全ての検出部位17aが全面において透明な両面テープ20により頂面19dに密着して接着されている。また、この膨出部19bの頂面19dには、接触押圧操作部12が配置された開口部11a以外の表面シート11bも透明な両面テープ20により接合されている。
【0084】
このような弾性体シート19は、膨出部19bに支持された中央キー13及び方向キー14並びに静電容量検出部17の押圧操作を可能にし、更に、これらを筐体10の表面側に弾性により付勢して繰返し押圧変形を可能にするため、弾性を有する材料から形成されている。
【0085】
この弾性体シート19を構成する弾性を有する材料としては、シリコーンゴム、ポリウレタン等が挙げられ、これらを1種単独、或いは、複数組合わせて使用することができ、特に、光を透過可能な透明性を有する材料が好適である。この実施の形態1では、シリコーンゴム層とポリウレタン層とを積層一体化した成形品を使用している。これにより、薄肉に形成しても切れ等が生じ難く、繰り返しの変形等に対する耐久性を確保し易いからである。
【0086】
次に、基板21は、硬質樹脂製の板材からなり、中央キー13及び各方向キー14或いは押圧操作部15の押圧操作時に変形しない構造となっている。この基板21には、図示しない回路が設けられ、静電容量検出部17のリード線17bが接続され、中央キー13及び方向キー14の接触操作により検出される静電容量の変化が入力されて処理可能に構成されると共に、中央キー13及び方向キー14の押圧操作による入力が処理可能に構成され、更に、押圧操作部15からの押圧操作による入力が処理可能に構成されている。
【0087】
この基板21の中央キー13及び各方向キー14に対向する部位のそれぞれには、押圧変形部23が弾性体シート19の各プランジャ部19eに対向するように配設されている。この押圧変形部23は、中空立体形状に形成された弾性ドームを備え、中央キー13及び各方向キー14が押圧操作されることにより、プランジャ部19eが変位することで、プランジャ部19eにより押圧して弾性変形されるように構成されている。
【0088】
この弾性ドームとしては、PETなどの樹脂製ドームや金属製のドームが挙げられる。この実施の形態1では、弾性変形可能な薄肉の金属からなるメタルドーム27を備えており、メタルドーム27が基板21上に各キー13、14に向けて凸となるように配置され、基板21に貼着可能な可撓性を有する樹脂からなるメタルドーム固定シート24により凸面側から被覆されることにより基板21の表面に固定されている。
【0089】
メタルドーム27内には、基板21に設けられた回路を離接する導通接点部25が設けられており、中央キー13や方向キー14の押圧操作で押圧変形部23が押圧されることにより、メタルドーム27の内表面が接触して導通接点部25が接続されるように構成されている。
【0090】
また、基板21には、中央キー13及び各方向キー14に対向しない非対向部位、即ち、各キー13、14とは面方向に離間した筐体10内の位置に、LEDからなる発光部26が設けられ、この発光部26からの光を中央キー13及び各方向キー14に対向する部位に案内するライトガイド22がメタルドーム固定シート24上に部分的に接着剤等で固定されている。
【0091】
ライトガイド22は、例えばシリコーンゴム、ポリカーボネート、アクリル等、透明性を有すると共に可撓性を有する樹脂材料から形成されている。
【0092】
そのため、押圧変形部23では、弾性体シート19の各プランジャ部19eの先端はメタルドーム固定シート24及びライトガイド22を介してメタルドーム27の凸面に当接して配置されている。
【0093】
次に、このような構成を有する操作スイッチの使用方法について説明する。
【0094】
接触押圧操作部12において、所望のスイッチ動作を行うには、まず、指を中央キー13又は方向キー14の上に接触させることで瞬時の接触操作を行う。すると、静電容量検出部17の隣り合う複数の検出部位17aにおいて、静電容量の変化が検出される。この検出結果がリード線17bを介して基板21上の回路に伝達されて、接触押圧操作部12上の方向が識別される。次に、必要に応じ、指を中央キー13又は方向キー14上で移動することで更なる接触操作を行うと、初期値との静電容量の変化が検出され、その結果に基づき、選択或いは変化が実施される。
【0095】
その後、指で中央キー13又は方向キー14を押圧すると、弾性体シート19が変形することにより、押圧された中央キー13又は方向キー14と共に、静電容量検出部17、及び膨出部19bが下降し、プランジャ部19eにより押圧変形部23が押圧される。そして、ライトガイド22及びメタルドーム固定シート24と共にメタルドーム27が変形されることにより、クリック動作感が得られた状態で、導通接点部25が導通される。この押圧操作により、各種の処理や上述の接触操作と組み合わされた所望の処理が実行される。なお、この押圧操作時の距離は微細であり、押圧操作は短時間で実施されることになる。このようにして所望のスイッチ動作を完了する。
【0096】
また、この操作スイッチには、LEDからなる発光部26が設けられており、この発光部26が、常時、或いは、所定時に発光する。この発光部26の光は、発光部26が筐体10に覆われているため、外部からは直接視認されることはない。
【0097】
ここでは、発光部26からの光が基板21及びメタルドーム固定シート24上に装着されたライトガイド22により、弾性体シート19の中空部19cに導かれ、ライトガイド22の表面から中空部19c内に放射され、操作パネル11が背面側から照射される。
【0098】
操作パネル11では、弾性体シート、静電容量検出部17の樹脂フィルム17c及び導電性被膜層が透明性を有するため、操作パネル11の背面側からライトガイド22により照射されると、下記キー13、14或いは操作パネル11の他の部位が背面側から照射される。そして、これらの背面側に所望の形状で透光可能に設けられた透光表示部16により光が透過し、それぞれの表面側から放射されて外部から視認される。
【0099】
以上のような操作スイッチによれば、操作パネル11では、中央キー13及び方向キー14に透光表示部16を備え、静電容量検出部17の透光表示部16に対応する位置が光を透過可能に構成されると共に、弾性体シート19の透光表示部16に対応する位置が光を透過可能に構成されているので、背面側から光を照射すれば、透光表示部16により中央キー13及び方向キー14の表面側から光を放射させることができる。
【0100】
その際、中央キー13及び方向キー14に静電容量検出部17が一体に密着して接合されており、各部間に間隙が存在しないため、光が操作パネル11を透過する際に内部で乱反射され難く、背面側から透過する光が減衰されずに透光表示部16から放射できる。
【0101】
また、中央キー13及び方向キー14に静電容量検出部17が一体に均一に密着して接合されているので、中央キー13及び方向キー14の表面に近接させて静電容量検出部17を配置することができ、中央キー13及び方向キー14への接触操作による静電容量の変化を精度よく検出し易い。そのため、確実な接触操作が可能である。しかも、静電容量検出部17では従来のように導電皮膜を離間して配置するような必要がないため、操作パネル11や操作スイッチの厚さを薄く構成し易い。
【0102】
更に、中央キー13及び方向キー14に静電容量検出部17や弾性体シート19が一体に密着して接合されているので、中央キー13及び方向キー14への押圧操作で確実に弾性体シート19を作動させることができ、確実な押圧操作も可能である。同時に、各部間に間隙がないため、繰返し押圧操作が行われても十分な耐久性を確保できる。
【0103】
また、この操作パネル11では、静電容量検出部17の検出部位17aが透明で、透光表示部16に対応する位置にも検出部位17aが存在しているので、透光表示部16に対応する位置でも静電容量の変化を検出することができ、検出精度を確保し易い。また、検出部位17aを透明に形成することにより金属被膜のような高度な導電性を確保し難くても、静電容量検出部16が中央キー13及び方向キー14並びに表面シート11bの表面に近接配置されているため、静電容量の変化を検出し易く、静電容量検出部17の十分な検出精度を確保することが可能である。
【0104】
更に、この操作パネル11では、静電容量検出部17が樹脂フィルム17cに導電性インクの印刷層により形成されているので、樹脂フィルム17cを薄肉化することで、静電容量検出部17を極めて薄肉に形成することができ、より操作スイッチの薄型化を図り易く、操作パネル11に柔軟性を付与し易く、明確な押圧操作を得易い。
【0105】
また、この操作スイッチによれば、操作パネル11と基板21との対向する位置に、弾性変形可能な中空立体形状のメタルドーム27と、メタルドーム27を押圧するプランジャ部19eとが設けられ、中央キー13及び方向キー14が押圧されることにより、プランジャ部19eがメタルドーム27を弾性変形できるように構成されているので、十分なクリック動作感を付与し易い。
【0106】
更に、操作パネル11と基板21との間で、押圧変形部23及びプランジャ部19eとは異なる位置に発光部26が設けられているので、メタルドーム27及びプランジャ部19eを配置するための厚さを利用して発光部26を配置することができ、操作スイッチ全体の厚さを抑えて操作パネル11の透光表示部16を発光させることができる。
【0107】
更に、各キー13、14及び静電容量検出部17とは面方向に離間した位置に発光部26が設けられると共に、透光表示部16を照光可能な位置まで発光部26からの光を案内するライトガイド22が設けられているので、透光表示部16や発光部26の配置位置についての設計の自由度が大きく、操作スイッチ全体の厚さを薄く抑え易い。
【0108】
また、ライトガイド22が、複数の透光表示部16が照光可能な複数の位置に連続して配置された透明樹脂シートからなるので、透光表示部16毎に発光部26やライトガイド22を設ける必要がなく、部品点数を少なくできる。更に、同一のライトガイド22により複数の透光表示部16に光を導くため各透光表示部16を均一に照光し易い。。
【0109】
次に、以上のような操作パネル11を製造する方法について、図4を用いて具体的に説明する。
【0110】
まず、厚さ50μmのポリウレタンフィルム(シーダム株式会社製)の片面に位置決め用の孔を形成すると共に(S101)、透明のウレタン系インクRUX(セイコーアドバンス株式会社製、商品名)を印刷して易接着層を形成した(S102)。この易接着層側に選択接着性の液状シリコーンゴムKE−2090−60A/B(信越化学工業株式会社製、商品名)を塗布して、所定の成形型に配置し、120℃で5分間圧縮成型した(S103)後、成形型から取り出した。そして、パンチングにより不要なバリを取り除く外形抜き(S105)を行い、弾性体シート19を作製した。ここでは、ポリウレタン層が膨出部19bの頂面19dとなるように成形した。
【0111】
次に、厚さ50μmの両面テープ20であるハイボン(日立化成ポリマー株式会社製、商品名)に位置決め用として孔開けをして(S111)、所定形状にハーフカット(S112)を行った後、弾性体シート19の膨出部19bの頂面19dに貼り付けた(S113)。
【0112】
弾性体シート19の作製とは別に、搬送用フィルムに積層された厚さ25μmのPETフィルムに位置決め用孔を開けた(S121)後、検出部位17a及びリード線17bの回路印刷を行った(S122)。この回路印刷は、透明性を有する導電性高分子インクを用いて、スクリーン印刷により行った。
【0113】
透明性を有する導電性高分子インクとしては、予め調製されたポリスチレンスルホン酸によりポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)をドーピングしたポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)水溶液に、増粘剤として2−ヒドロキシエチルアクリルアミドを添加して攪拌濃縮し、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製し、レベリング剤としてのプロピレングリコールと、架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアクリレートと、光重合開始剤とを添加混合することにより作製したものを使用した。
【0114】
この導電性高分子インクでは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との合計の含有量が0.77%であり、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド/プロピレングリコールの質量比が0.4であった。また、粘度は850mPa・sとなっていた。
【0115】
この導電性高分子インクを用いてPETフィルム上にスクリーン印刷して硬化後に得られた検出部位17a及びリード線17bは、光透過率が85%で、表面抵抗値が1215Ωとなっていた。
【0116】
回路印刷後、所定形状にハーフカット(S123)を行い、搬送用フィルムに支持された状態で静電容量検出部17を作製した。そして、この静電容量検出部17を両面テープが貼り付けられた膨出部19bの頂面19dに位置決め孔により位置決めして載置し、この状態で圧着治具を用いて圧着した後、搬送用フィルムを除去することにより、弾性体シート19に静電容量検出部17を接合した(S124)。
【0117】
更に、厚さ50μmの両面テープ18であるハイボン(日立化成ポリマー株式会社製、商品名)を、中央キー13及び方向キー14の裏面の形状より小さい形状で、可動部を形成できるようにして切断すると共に、位置決め用として孔開けをして(S131)、所定形状にハーフカットした(S132)。そして、弾性体シート19の膨出部19bの頂面19dの静電容量検出部17上となる所定位置に貼り付けると共に、操作パネル11の表面シート11bが接合される部位に貼り付けた(S133)。
【0118】
これとは別に、厚さ0.4mmのポリカーボネートシートの裏面に数字や文字等の加飾層を印刷し(S141)、中央キー13及び方向キー14が配置される開口部11aを設けて打ち抜きカットし(S142)操作パネル11の表面シート11bを作製した。また、厚さ0.4mmのポリカーボネートシートの裏面に数字や文字等の加飾層を印刷し(S151)、所定形状に打ち抜きカットして(S152)、中央キー13及び方向キー14を得た。
【0119】
これらの加飾層により、操作パネル11の表面シート11bと中央キー13及び方向キー14とに透光表示部16を形成した。
【0120】
そして、中央キー13及び方向キー14を弾性体シート19の膨出部19bの頂面19dの静電容量検出部17上に接合すると共に、更に、開口部11aに中央キー13及び方向キー14が配置されるようにして、操作パネル11の表面シート11bを弾性体シート19の膨出部19bの頂面19dに接合する(S153)ことにより、接触押圧操作部12を備えた操作スイッチ用シート部材である操作パネル11を得た。その後、操作パネル11の周縁に、基板21との密着性を確保するためのスポンジテープを貼り付けて(S161)操作スイッチ用シート部材の製造を終了した。
【0121】
その後、予め、形成された筐体10及び基板21に、ライトガイド22、押圧変形部23、導通接点部25、発光部26、メタルドーム27等、各部を構成する部材と共に、得られた操作スイッチ用シート部材を組込み、操作スイッチを得た。
【0122】
このようにすれば、上記のような操作パネル11及び操作スイッチを容易に製造することができる。
【0123】
なお、上記実施の形態1は、本発明の範囲において適宜変更可能である。例えば、上記では、静電容量検出部17と中央キー13及び方向キー14との間を透明な両面テープ18により接合し、弾性体シート19と静電容量検出部17との間を透明な両面テープ20で接合し、基板21とライトガイド22との間をメタルドーム固定シート24により接合したが、例えば、両面テープ18、20に変えて紫外線硬化型接着剤、可視光硬化型接着剤、シアノアクリレート接着剤、ホットメルト等、各種の透明な接着剤を用いることが可能である。
【0124】
また、上記では、中央キー13及び方向キー14並びに静電容量検出部17に弾性体シート19が一体化された例について説明したが、弾性体シート19を設けることなく、他の構成により中央キー13及び方向キー14押圧操作可能に構成することも可能である。
[実施の形態2]
【0125】
図5は、この実施の形態2の操作スイッチを示す。
【0126】
この実施の形態2の操作パネル11では、静電容量検出部17が、樹脂フィルム17cを用いることなく、透明な弾性体シート19に直接印刷することにより形成されている他は、実施の形態1と同様である。
【0127】
このような操作パネル11では、静電容量検出部17を実施の形態1に比べて薄く形成できると共に、樹脂フィルム17cを弾性体シート19に接合するための両面テープ20が不要となるため、操作スイッチ用シート部材全体の厚さをより薄く形成することが可能である。また、操作パネル11の背面側から照射された光が透過する部材が少なく、表面側から放射される光をより強くすることができる。
[実施の形態3]
【0128】
図6は、この実施の形態3の操作スイッチを示す。
【0129】
この実施の形態3の操作スイッチは、ライトガイド22及び発光部26の代わりに、ELシート30を用いており、このELシート30を基板21及びメタルドーム27の表面に両面テープ24’により固定している他は、実施の形態1と同様である。
【0130】
このような操作スイッチにおいても、実施の形態1と同様に、透光表示部16により光を表面側から放射することができる。また、確実な押圧操作と接触操作とを行える構成を少ない部品点数及び簡単な構成で実現することができ、操作スイッチを薄型化し易くでき、十分な耐久性を確保することができる。更に、メタルドーム27の変形による十分なクリック動作感も得られ、設計の自由度を向上できる。
[実施の形態4]
【0131】
図7は、この実施の形態4の操作スイッチを示す。
【0132】
この実施の形態4の操作スイッチでは、操作パネル11が接触押圧操作部12及び押圧操作部15を一体に設けた1枚のフィルムキー31から形成されている。このフィルムキー31は薄肉、例えば0.1mm以下のポリカーボネートフィルムにより変形自在に形成されている。
【0133】
このフィルムキー31の裏面側には加飾印刷層32が積層され、この加飾印刷層32により接触押圧操作部12及び押圧操作部15が表示されており、図1の中央キー13及び方向キー14と同一形状の中央部33と方向部34とが線図により区画されている。また、加飾印刷層32が積層されていない非印刷部位32aにより透光表示部16が形成されている。
【0134】
一方、フィルムキー31の表面側には、押圧操作を容易にする目的で、各操作部12、15の位置に突起を設けていてもよく、この実施の形態4では弾性体シート19の方向部34に突起成形体41が装着されている。この突起成形体41は、透明性を有する樹脂から薄肉に形成されており、例えばPETフィルムに紫外線硬化樹脂の転写若しくはポッティングにより作製されている。
【0135】
ここでは、フィルムキー31が上述の実施の形態1、2の操作パネル11の表面シート11bに比べて薄肉であるため、実施の形態1、2の操作パネル11のように剛性により形状を保持することができず、変形し易い構造となっている。そのため、この実施の形態3では、ポリカーボネート等からなる容易に変形しない硬質ベースフレーム35が設けられ、この硬質ベースフレーム35に操作パネル11が固定されている。
【0136】
硬質ベースフレーム35はフィルムキー31の押圧操作が行われない部位に連続して一体に設けられており、頂部にフィルムキー31及び静電容量検出部17が接合されている。硬質ベースフレーム35の開口部35aには、弾性体シート19の膨出部19bが配置され、弾性体シート19の周縁部19aが硬質ベースフレーム35の底部側に固定されている。この実施の形態3では、弾性体シート19は選択接着シリコーンゴムを用いて成形されている。なお、この硬質ベースフレーム35は、図示しない周縁部の複数の突出部により筐体10にはめ込まれて固定されている。
【0137】
また、この実施の形態4の操作スイッチでは、透光表示部16を照射するためのLEDからなる発光部26が弾性体シート19の膨出部19bの外側のフィルムキー31と対向する基板21上に固定されている。この発光部26からの光が、硬質ベースフレーム35及び弾性体シート19を透過して、接触押圧操作部12に設けられた透光表示部16を照光可能となっている。ここでは、実施の形態1に示されるようなシート状のライトガイド22が設けられておらず、硬質ベースフレーム35により発光部26からの光が操作パネル11の各部に設けられた透光表示部16に導かれるように構成されている。
【0138】
その他は実施の形態1と同様である。
【0139】
このような構成を有する操作スイッチであっても実施の形態1の操作スイッチと同様に使用することができる。
【0140】
そして、以上のような操作スイッチによれば、実施の形態1と同様に、確実な押圧操作と接触操作とを行える構成を簡単な構成で実現することができ、操作スイッチを薄型化し易くでき、十分な耐久性を確保することができる。また、メタルドーム27の変形による十分なクリック動作感も得られ、設計の自由度を向上できる。
【0141】
特に、ここでは、接触押圧操作部12がフィルムキー31からなり、極めて薄く形成されているので、接触押圧操作部12の周辺アッセンブリの厚さをより薄型化することが可能である。
【0142】
また、このような操作スイッチによれば、基板21と硬質ベースフレーム35との間に発光部26が設けられているので、立体的形状のメタルドーム27及びプランジャ部19eを配置するための膨出部19bの厚さを利用して発光部26を配置することができ、操作スイッチ全体の厚さの増加を抑えて接触押圧操作部12の透光表示部16を照光させることが可能である。
[実施の形態5]
【0143】
図8は、実施の形態5の操作スイッチを示している。この実施の形態5は、図1の操作パネル11の押圧操作部15が設けられた部位に適用した例である。
【0144】
ここでは、操作パネル11に多数の押圧操作部15が設けられ、この操作パネル11の筐体10の内部側に静電容量検出部17が接合され、これらが、樹脂シート19の操作パネル11全幅に相当する膨出部19bの頂面19dに接合されて支持されている。
【0145】
この操作パネル11では、弾性体シート19がシリコーンゴムから、操作パネル全体に広がるように連続した膨出部19bを備えて形成されており、膨出部19bの中空部19c内の基板21の表面には、各押圧操作部15に対応する位置にメタルドーム27が設けられ、各メタルドーム27内に導通接点部25が設けられている。そのため、操作パネル11の各押圧操作部15を押圧すると、対応する位置の膨出部19bが変形して弾性体シート19のプランジャ部19eによりメタルドーム27が押圧変形され、これにより、導通接点部25が接続されるようになっている。
【0146】
更に、この中空部19cの基板21上には発光部26が装着されており、操作パネル11の透光表示部16を照光させることが可能となっている。
【0147】
この実施の形態の静電容量検出部17は、押圧操作部15の押圧操作とは別に、独立して接触操作を行うことができるように構成されており、押圧操作部15が設けられた操作パネル11で指を接触或いは摺動させることにより、押圧操作による入力とは別に、位置、距離、或いは方向等の入力が可能に構成されている。
【0148】
この静電容量検出部17は、文字「6MNO」の位置に設けられており、実施の形態1と同様の透明性を有する樹脂フィルムに、図12に示すように、透明性を有しないカーボンや銀などの有色インクを用いて不透明な検出部位17a及びリード線17bが形成されている。ここでは、有色インクによりパターンを印刷する際、文字「6MNO」の形状に対応して印刷層を抜いて抜き形状部としての抜き文字を形成している。
【0149】
このような抜き文字を形成すると、文字部分に検出部位17aが存在しない抜き部17gが形成され、この抜き部17gを介して離間した位置に同一の電極を構成する検出部位17aの一部17d、17eが形成される。そこで、これらの検出部位17aの一部17dと他の一部17eとが、同一のインクからなる細幅連結部17fにより繋がれている。
【0150】
このような静電容量検出部17では、検出部位17aの一部17d、17e間が抜き部17gを介して離間されていても、細幅連結部17fにより繋がれているので、検出部位17aの面積を確保し易く、接触操作による静電容量の変化を検出できる。更に、この実施の形態では、抜き文字により減少した面積分を図示しない制御部等において演算することにより、検出可能に構成されている。そのため、抜き文字を設けない場合と同様に接触操作による静電容量の変化を精度よく検出することが可能である。
【0151】
また、照光時には、抜き部17gが設けられているので、光を透光表示部16に照射して透過させることが可能であり、抜き文字及び透光表示部16に対応して光を放射することができる。その際、細幅連結部17fが、導電性が確保できる範囲で検出部位17aの一部17d、17eより格段に細く形成されているため、透光表示部16により放射される光を十分に鮮明に確保することができる。
【0152】
このような操作スイッチにおいても、実施の形態1と同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】この発明の実施の形態1の操作スイッチの正面図である。
【図2】同実施の形態1の図1のA−A断面図である。
【図3】同実施の形態1の静電容量検出部を示す正面図である。
【図4】同実施の形態1の操作スイッチ用シート部材の製造工程を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態2の操作スイッチの部分断面図である。
【図6】この発明の実施の形態3の操作スイッチの部分断面図である。
【図7】この発明の実施の形態4の操作スイッチの部分断面図である。
【図8】この発明の実施の形態5の操作スイッチを示す図1のB−B断面図である。
【図9】同実施の形態5の静電容量検出部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0154】
10 筐体
10a 開口部
11 操作パネル
11a 開口部
12 接触押圧操作部
13 中央キー
14 方向キー
15 押圧操作部
16 透光表示部
17 静電容量検出部
19 弾性体シート
19b、29b 膨出部
19c、29c 中空部
19e プランジャ部
21 基板
22 ライトガイド
23 押圧変形部
25 導通接点部
26 発光部
27 メタルドーム
30 ELシート
31 フィルムキー
32 加飾印刷層
35 硬質ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触操作及び押圧操作が行われる表面操作部と、前記表面操作部に対する接触操作を静電容量の変化として検出可能な静電容量検出部とを備えた操作スイッチ用シート部材であって、
前記表面操作部は、背面側からの光が透過して表面側で視認されるように構成された透光表示部を備えると共に、前記静電容量検出部の前記透光表示部に対応する位置が光を透過可能に構成され、前記表面操作部と前記静電容量検出部とが一体に接合されていることを特徴とする操作スイッチ用シート部材。
【請求項2】
接触操作及び押圧操作が行われる前記表面操作部と、前記表面操作部に対する押圧操作により作動可能な押圧作動部と、前記静電容量検出部とを備え、
前記表面操作部、前記押圧作動部、及び前記静電容量検出部とが一体に接合されると共に、前記押圧作動部の前記透光表示部に対応する位置が、光を透過可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項3】
前記静電容量検出部は、透明な検出部位を有し、該検出部位が前記透光表示部に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項4】
前記透明な検出部位は、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンドーパントと、増粘剤と、レベリング剤と、架橋剤とを含有する導電性高分子インクにより形成された導電性被膜層からなることを特徴とする請求項3に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項5】
前記静電容量検出部は、不透明な検出部位と、前記透光表示部に対応する位置に前記検出部位が存在しない抜き形状部とを備え、前記抜き形状部を介して離間する前記検出部位間が細幅連結部により接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項6】
前記請求項2乃至5の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材と、前記操作スイッチ用シート部材と離間して対向する位置に配置された基体部とを備え、
前記基体部と前記押圧作動部とに、弾性変形可能な中空立体形状を有する弾性ドームと、該弾性ドームを押圧可能なプランジャとが互いに対向して設けられ、前記表面操作部が押圧されることにより、前記プランジャが前記弾性ドームを弾性変形可能に構成されていることを特徴とする操作スイッチ。
【請求項7】
前記表面操作部の前記透光表示部を照光可能な発光部を備え、該発光部は、前記操作スイッチ用シート部材と前記基体部との間で、前記弾性ドーム及び前記プランジャとは異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の操作スイッチ。
【請求項8】
前記表面操作部の前記透光表示部を照光可能な発光部を備え、該発光部は、前記表面操作部とは面方向に離間した位置に配置され、該発光部から前記透光表示部を照光可能な位置まで光を案内するライトガイドが設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の操作スイッチ。
【請求項9】
前記透光表示部は、複数位置に設けられ、前記ライトガイドは、前記各透光表示部を照射可能な位置間に連続して配置された透明樹脂シートからなることを特徴とする請求項8に記載の操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−140766(P2008−140766A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209588(P2007−209588)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】