操作パネル構造体
【課題】ユニバーサルデザインの要求に応えた使い勝手の良好な、画像入力/出力装置の操作パネル構造体を得る。
【解決手段】操作部が装置本体の前面より突出した操作パネル10を備えた画像形成装置などの操作パネル構造体。表示を主とする第1の操作部11と主に操作キー22を設けた第2の操作部21とからなり、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の角度を有して構成された操作パネル10を備えている。第1の操作面上には使用頻度の低い操作キー15が液晶表示素子12の手前側に設けられており、使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けた操作キー22よりも突出量が大きい。
【解決手段】操作部が装置本体の前面より突出した操作パネル10を備えた画像形成装置などの操作パネル構造体。表示を主とする第1の操作部11と主に操作キー22を設けた第2の操作部21とからなり、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の角度を有して構成された操作パネル10を備えている。第1の操作面上には使用頻度の低い操作キー15が液晶表示素子12の手前側に設けられており、使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けた操作キー22よりも突出量が大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル構造体、特に、スキャナや電子写真法により用紙上に画像を形成するための画像形成装置などの画像入力/出力装置に設置される操作パネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野の工業製品において、健常者のみならず身体的な障害者にも使いやすいようにするためのユニバーサルデザインの思想に対応することが注目されている。特に、スキャナなどの画像入力装置や複写機やプリンタなどの画像形成装置において、画像の処理内容を入力するための入力部や、入力内容及び装置の稼働状況を表示する表示部を備えた操作パネルについてユニバーサルデザインに対応することが求められている。
【0003】
例えば、図15は固定的な操作パネル505を備えた複写機本体500に対する操作者の位置関係を示している。この操作パネル505は複写機本体500から前方に突出したものとされている。図15(A)は平均的な身長の欧州系男性が操作している状態、図15(B)は平均的な身長の欧州系女性が操作している状態、図15(C)は平均的な身長の日本人男性が操作している状態、図15(D)は平均的な身長の日本人女性が操作している状態、図15(E)は車椅子に載っている障害者が操作している状態を示している。
【0004】
図15(A)〜(E)から明らかなように、固定的な操作パネル505にあっては、身長あるいは身体の状態に応じて操作者の腕の角度が相違し、使い勝手が悪い場合が生じる。また、プリントされた用紙は複写機本体500のH部分に水平状態で排紙されるため、用紙を取り出すには屈まなくてはならないが、その場合、操作パネル505が身体と干渉するおそれがある。大きい面積の原稿を複写する場合には、原稿載置台からはみ出した原稿が操作パネル505と干渉することを避けなければならない。また、身体が操作パネル505に衝突した場合でも身体に対する衝撃を和らげる対応が必要となる。
【0005】
特に、社内で大量のプリントを作製する専門的な操作者にあっては、その身体と操作パネル505の高さや、操作面あるいは表示面の角度がマッチしないと、目に疲労を感じたり、足腰が疲労することになる。身体的な障害者にあっては、操作パネル505とミスマッチングがより大きな負担となることは言うまでもない。
【0006】
複写機の操作パネルにおけるユニバーサルデザイン対応としては、特許文献1に記載されているように、操作パネルを上下方向に回動可能とし、回動角度を適宜ロックする構成が提案されている。
【0007】
しかしながら、従来の操作パネルにあっては、操作者の身長に応じてあるいは車椅子使用者などに応じて、使いやすい及び見やすいというユニバーサルデザインの要求に必ずしも十分に応えるものではなかった。特に、表示部が角度と操作部が操作しやすい角度と異なっており、両者が同一平面に配置されていると、見ずらいあるいは操作しずらいものである。また、操作キーのなかには、値数キーやプリントスタートキーのように使用頻度の高いキーと、コピー、ファクシミリ、画像読取りキーなど使用頻度の低いキーが存在し、これらを一つの操作面に配置するとかえって使いづらいものとなる。
【特許文献1】特開平11−119498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、ユニバーサルデザインの要求に応えた使い勝手の良好な、画像入力/出力装置の操作パネル構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明は、操作部が装置本体の前面より突出した操作パネルを備えた、画像入力/出力装置の操作パネル構造体であって、
前記操作パネルは、第1の操作面に設けた液晶表示素子による表示を主とする第1の操作部と、第2の操作面に主に複数の操作キーを設けた第2の操作部とからなり、
前記第1及び第2の操作部は、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されており、
前記第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが前記液晶表示素子の手前側に設けられており、
前記使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、前記第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量が大きいこと、
を特徴とする。
【0010】
本発明に係る操作パネル構造体においては、表示を主とする第1の操作部と主に操作キーを設けた第2の操作部とをそれぞれの操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されているため、視認性が向上し、キー操作が容易になる。また、第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが液晶表示素子の手前側に設けられているため、使用頻度の高い操作キーを設けた第2の操作面とは区別して操作することができ、操作性が向上する。さらに、使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量を大きくしたため、第1の操作面に設けた操作キーを第2の操作面に設けた操作キーと略同じ角度で押圧することができ、操作性が向上する。
【0011】
特に、使用頻度の低い操作キーのキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設ければ、使用頻度の低い操作キーの選択状態を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る操作パネル構造体の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
(複写機の全体構成、図1参照)
図1に、本発明に係る操作パネル構造体を複写機1に適用した場合を示す。この複写機1は、従来知られている電子写真法によって用紙上に画像を形成するもので、上段部に原稿画像読取りユニット8を備え、該ユニット8で読み取った原稿画像を本体部2の作像ユニット3にて用紙上に再現する。用紙は給紙カセット4に積載収容されており、1枚ずつ給紙され、周知の画像形成プロセスにて画像を形成された後、排紙部5に矢印A方向に排紙される。
【0014】
操作パネル10は複写機1の前面部であって右側寄りに本体部2から手前側に突出した位置に、かつ、排紙部5より排紙方向(矢印A参照)上流側に設置されている。
【0015】
(操作パネル、図2〜図5参照)
操作パネル10は、図2〜図5に示すように、表示を主とする第1の操作部11と、主にテンキー22などを設けた第2の操作部21とからなり、それぞれの操作面が複写機本体部2の左右方向(矢印B参照)と直交する方向に、かつ、水平面Cに対して所定の異なる角度を有して一体化されている。具体的には、図4に示すように、第1の操作面は水平面Cに対する角度θ1が20°〜25°に設定され、第2の操作面は水平面Cに対する角度θ2が5°〜10°に設定されている。そして、第1及び第2の操作面のなす角度θ3は160°〜170°に設定されている。
【0016】
第2の操作部21は第1の操作部11の手前側に位置し、第1の操作部11は平面視で長方形をなしている。第2の操作部21は平面視で略半月状をなしている。そして、第1の操作部11の手前側辺と第2の操作部21の奥側直線部が段部20(図5参照)を有して結合され、第1の操作部11は第2の操作部21よりも水平面Cに対して起立した角度を有している。また、第1及び第2の操作部11,21の幅寸法は互いに異なり、第1の操作部11の幅寸法は第2の操作部21の幅寸法よりも大きく構成されている。
【0017】
第1の操作面には液晶表示素子12が設けられ、該液晶表示素子12は複写機本体部2や画像読取りユニット8の動作モードを設定するためのタッチパネルが併設され、各種動作モードの設定、表示を行う。第1の操作面には、液晶表示素子12の右側に、モードメモリキー13、カウンタ積算表示キー14が設けられている。さらに、液晶表示素子12の手前側に、使用頻度の低い操作キー15(例えば、明るさ設定、ボックスメモリ、ファクシミリ/スキャン切替え、コピー切替え、リセットの各種操作キー)が設けられている。
【0018】
第2の操作面には、テンキー22、プリントスタートキー23、ストップキー24、割込みキー25、確認コピーキー26、クリアキー27が設けられ、左側の縁部に沿ってヘルプなどのキー28が設けられている。そして、第2の操作部21の手前側の円弧形状をなす部分には複写機本体部2や画像読取りユニット8の注意状態を表示する点灯表示部31が設けられている。この点灯表示部31は、複写機本体部2や画像読取りユニット8が正常に稼動しているときは、例えば緑色が表示され、用紙切れやトナー切れの発生あるいは紙詰まりの発生などが検知されると、例えば赤色が表示される。このように注意状態が表示されると、操作者は第1の操作部11に設けた液晶表示素子12の表示を確認し、その具体的な注意状態を確認することになる。
【0019】
操作パネル10の断面である図5に示すように、第2の操作面に設けたテンキー22などは矢印Dに示す方向に押圧操作される。第1の操作面に設けた使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、テンキー22などよりも突出量が若干大きく、テンキー22などと略同じ方向(矢印D参照)に押圧操作可能である。
【0020】
また、使用頻度の低い操作キー15のキートップ内又はその近傍にはキー15が操作されて対応する動作モードが選択されていることを点灯表示するLEDなどの点灯表示素子が設けられている。
【0021】
ところで、前記操作パネル10は鉛直面に沿った第1の方向E(図4参照)に回動可能であるとともに、水平面に沿った第2の方向F(図2参照)に回動可能である。以下、操作パネル10を第1の方向Eに回動可能に支持する第1の支持手段40及び第2の方向Fに回動可能に支持する第2の支持手段60について説明する。
【0022】
(第1及び第2の支持手段、図6〜図12参照)
第1の支持手段40は、図6〜図9に示すように、固定側ブラケット41,42の間に挟着したパイプ43に回動支点軸44を挿通させ、該回動支点軸44の両端に可動側ブラケット45,46が第1の方向Eに回動可能に取り付けられている。操作パネル10はこの可動側ブラケット45,46の突片45a,46aにビスで固定されている。
【0023】
また、可動側ブラケット45,46には保持ブラケット47が固定されており、該保持ブラケット47にはロック爪48aを有するロック片48(図11参照)がピン48bを支点として回動自在に装着され、ロック片48の一端はピン48cを介してスライド片49に連結されている。スライド片49は保持ブラケット47上に長穴49aがピン47aに係合することによって矢印G方向にスライド自在にとりつけられている。また、スライド片49は、可動側ブラケット46に固定した突片50との間にコイルばね51が張り設けられ、該コイルばね51にて奥側への復帰力を付与されている。さらに、スライド片49の端部には把手52が固定されている。
【0024】
一方、図6及び図9に示すように、固定側ブラケット41には三つのロック穴41a,41b,41cが形成されており、可動側ブラケット45には一つのロック穴45bが形成されている。前記ロック爪48aは固定側ブラケット41の三つのロック穴41a,41b,41cのいずれかに突入するとともに、可動側ブラケット45のロック穴45bに突入することにより、可動側ブラケット45,46、即ち操作パネル10を3段階の回動角度に位置決めする。
【0025】
以上の構成からなる第1の支持手段40において、操作パネル10の第1の方向Eに関するデフォルト位置(図7参照)は、ロック爪48aが固定側ブラケット41の上段のロック穴41aに突入した状態である。このとき、図4に示すように、第2の操作面は水平面Cに対して約7°の角度を有して位置固定される。操作者が把手52を指で手前側(矢印G方向)に引くと、図11に示すように、把手52とともにスライド片49が手前側に引き出され、ロック片48がピン48bを支点として時計回り方向に回動する。これにて、ロック爪48aがロック穴41a,41b,41cとの係合を解除され、操作パネル10は第1の方向Eに対して自由に回動可能な状態となる。
【0026】
ロック解除状態で把手52を下げていくと、操作パネル10は回動支点軸44を中心に下方に回動し、ロック爪48aを中段のロック穴41bを通じてロック穴45bに係合させると、操作パネル10は中段位置に回動した状態でロックされる。また、ロック爪48aを下段のロック穴41cを通じてロック穴45bに係合させると、操作パネル10は下段に回動した状態でロックされる(図9参照)。操作パネル10が下段に回動してロックされる角度は前記デフォルト位置から約20°〜30°下方に回動した角度である。
【0027】
ロック動作は、把手52に対する引っ張り力を解除すると、スライド片49がコイルばね51のばね力で奥側にスライドするとともに、ロック片48がピン48bを支点として図11中反時計回り方向に回動し、ロック爪48aがロック穴41a,41b,41cのいずれかを通じてロック穴45bに係合することにより行われる。
【0028】
また、図6及び図9に示すように、パイプ43の外周面には巻きばね53が巻回されており、該巻きばね53の一端が固定側ブラケット42に係止されるとともに、他端が可動側ブラケット46に係止されている。この巻きばね53のばね力によって、操作パネル10を下方に回動させるときの抵抗力となってロックを解除した際に操作パネル10が下方に落ち込むのを防止する。また、巻きばね53は操作パネル10を上方へ回動させる際の抵抗を軽減している。即ち、巻きばね53は重力に抗する方向に操作パネル10の自重を支えるバランサーとして機能する。
【0029】
次に、操作パネル10を水平面Cに沿った第2の方向Fに回動可能に支持する第2の支持手段60について説明する。
【0030】
図6に示すように、ブラケット42はその穴42aに、水平保持ブラケット61,62に鉛直方向に取り付けた回動支点軸63が挿通することで、回動支点軸63を支点として水平面上で回動可能であり、水平保持ブラケット61,62は固定用ブラケット64を介して前記画像読取りユニット8の前面に固定されている。
【0031】
また、ブラケット41,42と水平保持ブラケット61,62との間に介在されたワッシャー65,65は第2の方向Fへの回動に対する回動抵抗力を付与するブレーキ材としても機能する。ワッシャー65は固定側ブラケット41,42と接触する面にフッ素や超高密度ポリエチレンなどの摺動剤を設けたもので、水平保持ブラケット61,62と接触する面には特に処理しないか、ブラスト処理などのブレーキ効果を有する処理が施されている。
【0032】
以上の構成からなる第2の支持手段60において、操作パネル10を操作者が手で水平方向に押すことにより、回動支点軸63を支点として左右方向に回動し(図12参照)、このときワッシャー65によって適度な回動抵抗力が作用する。また、ワッシャー65による回動抵抗力量は、ブラケット41,61及び42,62間の圧接力を変更することで調整可能である。具体的には、回動支点軸63に対するナット66の締付け力を変更することで回動抵抗力を調整することができる。
【0033】
第2の方向Fに対して、操作パネル10のデフォルト位置は、第2の操作面上に配置されたテンキー22などの横列が複写機本体部2の前面と平行になる位置である。そして、操作パネル10はこのデフォルト位置から約25°〜35°操作者側、即ち図12に示すように、左側に回動可能であり、任意の回動角度で停止する。
【0034】
(支持手段による作用効果)
以上に説明した操作パネル構造体によって、操作パネル10を前記第1及び第2の支持手段40,60で鉛直面及び水平面に沿って回動可能とすることにより、操作者の身長や姿勢に応じて、あるいは、車椅子の使用に合わせて、第1及び第2の操作面を任意の角度に調整でき、ユニバーサルデザインの要求に応えることができる。
【0035】
特に、第1の方向Eには操作パネル10を複数(3箇所)の所定の角度で保持するロック手段を設けたため、操作者は迷うことなく所定の角度に設定することができ、かつ、乱暴なキー操作がなされた場合であっても、重力方向への押圧力に十分に耐え得ることができ、支持手段40にがたつきや弛みが生じるおそれはない。また、第2の方向Fにはワッシャー65(ブレーキ材)にて適度な回動抵抗力を付与することにより、人間にとっては操作しずらい水平方向への回動を良好に操作することが可能になる。
【0036】
また、第1の支持手段40は第2の支持手段60に取り付けられ、第1の方向Eの回動動作は第2の方向Fの回動動作とは独立して動作する。そして、操作パネル10は第1の方向Eにロックした状態で第2の方向Fに回動可能であり、かつ、第1の方向Eへのロックを解除した状態であっても第2の方向Fに回動可能である。また、ロックを解除した状態で第1及び第2の方向E,Fに同時に回動可能である。これにて、操作者は自在に操作パネル10の向きを調整することができる。
【0037】
巻きばね53が重力に抗する方向に操作パネル10の自重を支えるバランサーとして機能することで、操作パネル10を上方へ回動させる際の操作が容易になる。なお、本発明においてこの種のバランサーは必ずしも必要ではなく、省略してもよい。また、バランサーではなく、第2の支持手段60と同じように、ワッシャー55(図6参照)に適度な回動抵抗力を付与してブレーキ材として機能させてもよい。また、ロック手段が設けられている場合には、第1の方向Eへのブレーキ材も本発明において必ずしも必要なものではなく、省略してもよい。
【0038】
さらに、本発明においては、前記ロック手段は必ずしも必要なものではなく、省略してもよい。但し、ロック手段を省略した場合には、支持手段40に前記ワッシャー55などによるブレーキ材を設けて任意の位置で操作パネル10の回動角度を停止できる機構が必要となる。
【0039】
(回動支点軸の配置)
ところで、前記第1の支持手段40の回動支点軸44は、第1の操作部11の下方であって、第1の操作面の中心J(図2参照)より奥側に設けられている。第2の支持手段60の回動支点軸63は、第1の操作部11の下方であって、第1の操作面の中心Jより左側に設けられている。具体的には、好ましい配置の一例として図2及び図4に示すように、回動支点軸44は第1の操作面の中心Jと奥側辺との間隔K1の略中間位置に設けられている。また、回動支点軸63は第1の操作面の中心Jと左側辺との間で、間隔K2の約1/3右寄りの位置に設けられている。
【0040】
このように、第1の支持手段40の回動支点軸44を第1の操作面の中心Jより奥側に設けたため、操作パネル10が第1の方向Eへ回動する際に、操作パネル10の奥側部分が不必要に上方に移動することがなく、原稿載置台からはみ出した大きな原稿に干渉することがなくなる。しかも、操作パネル10の前側部分の前方への飛出し量も小さく、操作者に干渉することがなくなる。
【0041】
また、第2の支持手段60の回動支点軸63を第1の操作面の中心Jより左側に設けたため、操作パネル10が左側に大きく飛び出すことがなく、複写機本体部2に対して通常左側に立つ操作者に対して干渉することがなくなり、かつ、操作性を犠牲にすることがない。
【0042】
さらに、第1の支持手段40の回動支点軸44は第2の支持手段60の回動支点軸63よりも手前側に設けられているため、換言すれば、第1の支持手段40が第2の支持手段60に保持されているため、操作パネル10が第1の方向Eへの所定の角度を保持した状態で第2の方向Fへ回動することになるので、操作性が向上する。また、操作パネル10の自重による回転モーメントを小さくでき、キー操作による下方への耐衝撃性に対しても有利になる。
【0043】
(操作パネルの構成、形状の作用効果)
前記操作パネル10において、表示を主とする第1の操作部11と主にテンキー22などを設けた第2の操作部21とをそれぞれの操作面が複写機本体部2の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面Cに対して所定の異なる角度を有して一体化しているため、視認性が向上し、キー操作が容易になる。しかも、第1の操作部11は平面視で長方形をなしているため、様々な表示内容を含む液晶表示素子12をシンプルに配置することができる。また、第2の操作部21は平面視で半月状をなしているため、複写機本体部2からの飛出し量が極力少なくなり、見た目がコンパクトで違和感がなくなり、他の部材や操作者との干渉がなくなる。しかも、いずれの方向からもアクセスしやすく、弱視者であっても操作パネル10であることの認識が容易である。
【0044】
また、第2の操作部21の前面部分は平面視で円弧形状をなしているため、操作パネル10の姿勢を水平面Cに沿った方向に回動させて変化させる場合、適度な抵抗感を付与することで操作性が向上する。また、第2の操作部21の前面部分が円弧形状をなしていることで、操作者との干渉の衝撃が小さくなり、いずれの方向からでもアクセスが容易になる。
【0045】
さらに、第2の操作部21の前面部分及び側面部分が厚み分に対応した略円弧形状39(図4参照)をなしている。操作者は排紙された用紙を取り出すときにかがみ込む場合があり、このような場合に操作者の頭部などが操作パネル10に当接しても、第2の操作部21の角部は略円弧形状39をなしているため、頭部への衝撃が緩和される。
【0046】
また、第1の操作面上には使用頻度の低い操作キー15が液晶表示素子12の手前側に設けられているため、使用頻度の高いテンキー22などを設けた第2の操作面とは区別して操作することができ、操作性が向上する。さらに、使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けたテンキー22などよりも突出量を大きくしたため、第1の操作面に設けた操作キー15を第2の操作面に設けたテンキー22などと略同じ角度で押圧することができ、操作性が向上する。
【0047】
また、使用頻度の低い操作キー15のキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設けたため、使用頻度の低い操作キー15の選択状態を容易に確認することができる。
【0048】
(ロック手段の変形例、図13及び図14参照)
前記ロック手段は、把手52を第2の操作部21の手前よりに配置し、操作者によって手前側に引かれることでロックを解除するように構成した。これにて、第2の操作部21と把手52とを同時に把持して操作パネル10を回動させることができ、自然な操作性を達成できる。但し、把手52は、図13及び図14に示すように、第2の操作部21の横側に配置してもよい。図13及び図14において、図10〜図12と同じ部材、同じ機能を有する部材には同じ符号が付されている。
【0049】
この変形例においては、把手52を矢印G’方向へ移動させることで、スライド片49も矢印G’方向へ移動し、ピン48cが長穴48d内を移動するとともに、ロック片48がピン48bを支点として時計回り方向へ回動し、ロック爪48aのロック穴41a,41b,41c(図9参照)への係合が解除される。
【0050】
(他の実施例)
なお、本発明に係る操作パネル構造体は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0051】
特に、第1及び第2の支持手段の細部の構造、形状は任意である。また、操作パネルの第1及び第2の操作面の構成も任意である。また、本発明に係る操作パネル構造体は複写機に設けられる以外に、プリンタやスキャナなど広く画像を入力する装置あるいは画像を出力する装置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る操作パネル構造体を備えた複写機を示す外観斜視図である。
【図2】操作パネルを示す平面図である。
【図3】操作パネルを示す正面図である。
【図4】操作パネルを示す側面図である。
【図5】操作パネルを示す拡大断面図である。
【図6】第1及び第2の支持手段を示す分解斜視図である。
【図7】第1及び第2の支持手段(デフォルト位置)を示す側面図である。
【図8】第1及び第2の支持手段(第1の方向への回動位置)を示す側面図である。
【図9】第1の支持手段ロック位置を示す断面図である。
【図10】第1及び第2の支持手段を示す平面図である。
【図11】第1の支持手段におけるロック解除時を示す平面図である。
【図12】第2の支持手段の回動状態を示す平面図である。
【図13】ロック手段の変形例を示す平面図である。
【図14】図13の変形例におけるロック解除時を示す平面図である。
【図15】操作パネルに対する操作者のアクセス状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…複写機
2…複写機本体部
10…操作パネル
11…第1の操作部
12…液晶表示素子
15…使用頻度の低い操作キー
21…第2の操作部
22〜28…操作キー
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル構造体、特に、スキャナや電子写真法により用紙上に画像を形成するための画像形成装置などの画像入力/出力装置に設置される操作パネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野の工業製品において、健常者のみならず身体的な障害者にも使いやすいようにするためのユニバーサルデザインの思想に対応することが注目されている。特に、スキャナなどの画像入力装置や複写機やプリンタなどの画像形成装置において、画像の処理内容を入力するための入力部や、入力内容及び装置の稼働状況を表示する表示部を備えた操作パネルについてユニバーサルデザインに対応することが求められている。
【0003】
例えば、図15は固定的な操作パネル505を備えた複写機本体500に対する操作者の位置関係を示している。この操作パネル505は複写機本体500から前方に突出したものとされている。図15(A)は平均的な身長の欧州系男性が操作している状態、図15(B)は平均的な身長の欧州系女性が操作している状態、図15(C)は平均的な身長の日本人男性が操作している状態、図15(D)は平均的な身長の日本人女性が操作している状態、図15(E)は車椅子に載っている障害者が操作している状態を示している。
【0004】
図15(A)〜(E)から明らかなように、固定的な操作パネル505にあっては、身長あるいは身体の状態に応じて操作者の腕の角度が相違し、使い勝手が悪い場合が生じる。また、プリントされた用紙は複写機本体500のH部分に水平状態で排紙されるため、用紙を取り出すには屈まなくてはならないが、その場合、操作パネル505が身体と干渉するおそれがある。大きい面積の原稿を複写する場合には、原稿載置台からはみ出した原稿が操作パネル505と干渉することを避けなければならない。また、身体が操作パネル505に衝突した場合でも身体に対する衝撃を和らげる対応が必要となる。
【0005】
特に、社内で大量のプリントを作製する専門的な操作者にあっては、その身体と操作パネル505の高さや、操作面あるいは表示面の角度がマッチしないと、目に疲労を感じたり、足腰が疲労することになる。身体的な障害者にあっては、操作パネル505とミスマッチングがより大きな負担となることは言うまでもない。
【0006】
複写機の操作パネルにおけるユニバーサルデザイン対応としては、特許文献1に記載されているように、操作パネルを上下方向に回動可能とし、回動角度を適宜ロックする構成が提案されている。
【0007】
しかしながら、従来の操作パネルにあっては、操作者の身長に応じてあるいは車椅子使用者などに応じて、使いやすい及び見やすいというユニバーサルデザインの要求に必ずしも十分に応えるものではなかった。特に、表示部が角度と操作部が操作しやすい角度と異なっており、両者が同一平面に配置されていると、見ずらいあるいは操作しずらいものである。また、操作キーのなかには、値数キーやプリントスタートキーのように使用頻度の高いキーと、コピー、ファクシミリ、画像読取りキーなど使用頻度の低いキーが存在し、これらを一つの操作面に配置するとかえって使いづらいものとなる。
【特許文献1】特開平11−119498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、ユニバーサルデザインの要求に応えた使い勝手の良好な、画像入力/出力装置の操作パネル構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明は、操作部が装置本体の前面より突出した操作パネルを備えた、画像入力/出力装置の操作パネル構造体であって、
前記操作パネルは、第1の操作面に設けた液晶表示素子による表示を主とする第1の操作部と、第2の操作面に主に複数の操作キーを設けた第2の操作部とからなり、
前記第1及び第2の操作部は、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されており、
前記第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが前記液晶表示素子の手前側に設けられており、
前記使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、前記第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量が大きいこと、
を特徴とする。
【0010】
本発明に係る操作パネル構造体においては、表示を主とする第1の操作部と主に操作キーを設けた第2の操作部とをそれぞれの操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されているため、視認性が向上し、キー操作が容易になる。また、第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが液晶表示素子の手前側に設けられているため、使用頻度の高い操作キーを設けた第2の操作面とは区別して操作することができ、操作性が向上する。さらに、使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量を大きくしたため、第1の操作面に設けた操作キーを第2の操作面に設けた操作キーと略同じ角度で押圧することができ、操作性が向上する。
【0011】
特に、使用頻度の低い操作キーのキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設ければ、使用頻度の低い操作キーの選択状態を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る操作パネル構造体の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
(複写機の全体構成、図1参照)
図1に、本発明に係る操作パネル構造体を複写機1に適用した場合を示す。この複写機1は、従来知られている電子写真法によって用紙上に画像を形成するもので、上段部に原稿画像読取りユニット8を備え、該ユニット8で読み取った原稿画像を本体部2の作像ユニット3にて用紙上に再現する。用紙は給紙カセット4に積載収容されており、1枚ずつ給紙され、周知の画像形成プロセスにて画像を形成された後、排紙部5に矢印A方向に排紙される。
【0014】
操作パネル10は複写機1の前面部であって右側寄りに本体部2から手前側に突出した位置に、かつ、排紙部5より排紙方向(矢印A参照)上流側に設置されている。
【0015】
(操作パネル、図2〜図5参照)
操作パネル10は、図2〜図5に示すように、表示を主とする第1の操作部11と、主にテンキー22などを設けた第2の操作部21とからなり、それぞれの操作面が複写機本体部2の左右方向(矢印B参照)と直交する方向に、かつ、水平面Cに対して所定の異なる角度を有して一体化されている。具体的には、図4に示すように、第1の操作面は水平面Cに対する角度θ1が20°〜25°に設定され、第2の操作面は水平面Cに対する角度θ2が5°〜10°に設定されている。そして、第1及び第2の操作面のなす角度θ3は160°〜170°に設定されている。
【0016】
第2の操作部21は第1の操作部11の手前側に位置し、第1の操作部11は平面視で長方形をなしている。第2の操作部21は平面視で略半月状をなしている。そして、第1の操作部11の手前側辺と第2の操作部21の奥側直線部が段部20(図5参照)を有して結合され、第1の操作部11は第2の操作部21よりも水平面Cに対して起立した角度を有している。また、第1及び第2の操作部11,21の幅寸法は互いに異なり、第1の操作部11の幅寸法は第2の操作部21の幅寸法よりも大きく構成されている。
【0017】
第1の操作面には液晶表示素子12が設けられ、該液晶表示素子12は複写機本体部2や画像読取りユニット8の動作モードを設定するためのタッチパネルが併設され、各種動作モードの設定、表示を行う。第1の操作面には、液晶表示素子12の右側に、モードメモリキー13、カウンタ積算表示キー14が設けられている。さらに、液晶表示素子12の手前側に、使用頻度の低い操作キー15(例えば、明るさ設定、ボックスメモリ、ファクシミリ/スキャン切替え、コピー切替え、リセットの各種操作キー)が設けられている。
【0018】
第2の操作面には、テンキー22、プリントスタートキー23、ストップキー24、割込みキー25、確認コピーキー26、クリアキー27が設けられ、左側の縁部に沿ってヘルプなどのキー28が設けられている。そして、第2の操作部21の手前側の円弧形状をなす部分には複写機本体部2や画像読取りユニット8の注意状態を表示する点灯表示部31が設けられている。この点灯表示部31は、複写機本体部2や画像読取りユニット8が正常に稼動しているときは、例えば緑色が表示され、用紙切れやトナー切れの発生あるいは紙詰まりの発生などが検知されると、例えば赤色が表示される。このように注意状態が表示されると、操作者は第1の操作部11に設けた液晶表示素子12の表示を確認し、その具体的な注意状態を確認することになる。
【0019】
操作パネル10の断面である図5に示すように、第2の操作面に設けたテンキー22などは矢印Dに示す方向に押圧操作される。第1の操作面に設けた使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、テンキー22などよりも突出量が若干大きく、テンキー22などと略同じ方向(矢印D参照)に押圧操作可能である。
【0020】
また、使用頻度の低い操作キー15のキートップ内又はその近傍にはキー15が操作されて対応する動作モードが選択されていることを点灯表示するLEDなどの点灯表示素子が設けられている。
【0021】
ところで、前記操作パネル10は鉛直面に沿った第1の方向E(図4参照)に回動可能であるとともに、水平面に沿った第2の方向F(図2参照)に回動可能である。以下、操作パネル10を第1の方向Eに回動可能に支持する第1の支持手段40及び第2の方向Fに回動可能に支持する第2の支持手段60について説明する。
【0022】
(第1及び第2の支持手段、図6〜図12参照)
第1の支持手段40は、図6〜図9に示すように、固定側ブラケット41,42の間に挟着したパイプ43に回動支点軸44を挿通させ、該回動支点軸44の両端に可動側ブラケット45,46が第1の方向Eに回動可能に取り付けられている。操作パネル10はこの可動側ブラケット45,46の突片45a,46aにビスで固定されている。
【0023】
また、可動側ブラケット45,46には保持ブラケット47が固定されており、該保持ブラケット47にはロック爪48aを有するロック片48(図11参照)がピン48bを支点として回動自在に装着され、ロック片48の一端はピン48cを介してスライド片49に連結されている。スライド片49は保持ブラケット47上に長穴49aがピン47aに係合することによって矢印G方向にスライド自在にとりつけられている。また、スライド片49は、可動側ブラケット46に固定した突片50との間にコイルばね51が張り設けられ、該コイルばね51にて奥側への復帰力を付与されている。さらに、スライド片49の端部には把手52が固定されている。
【0024】
一方、図6及び図9に示すように、固定側ブラケット41には三つのロック穴41a,41b,41cが形成されており、可動側ブラケット45には一つのロック穴45bが形成されている。前記ロック爪48aは固定側ブラケット41の三つのロック穴41a,41b,41cのいずれかに突入するとともに、可動側ブラケット45のロック穴45bに突入することにより、可動側ブラケット45,46、即ち操作パネル10を3段階の回動角度に位置決めする。
【0025】
以上の構成からなる第1の支持手段40において、操作パネル10の第1の方向Eに関するデフォルト位置(図7参照)は、ロック爪48aが固定側ブラケット41の上段のロック穴41aに突入した状態である。このとき、図4に示すように、第2の操作面は水平面Cに対して約7°の角度を有して位置固定される。操作者が把手52を指で手前側(矢印G方向)に引くと、図11に示すように、把手52とともにスライド片49が手前側に引き出され、ロック片48がピン48bを支点として時計回り方向に回動する。これにて、ロック爪48aがロック穴41a,41b,41cとの係合を解除され、操作パネル10は第1の方向Eに対して自由に回動可能な状態となる。
【0026】
ロック解除状態で把手52を下げていくと、操作パネル10は回動支点軸44を中心に下方に回動し、ロック爪48aを中段のロック穴41bを通じてロック穴45bに係合させると、操作パネル10は中段位置に回動した状態でロックされる。また、ロック爪48aを下段のロック穴41cを通じてロック穴45bに係合させると、操作パネル10は下段に回動した状態でロックされる(図9参照)。操作パネル10が下段に回動してロックされる角度は前記デフォルト位置から約20°〜30°下方に回動した角度である。
【0027】
ロック動作は、把手52に対する引っ張り力を解除すると、スライド片49がコイルばね51のばね力で奥側にスライドするとともに、ロック片48がピン48bを支点として図11中反時計回り方向に回動し、ロック爪48aがロック穴41a,41b,41cのいずれかを通じてロック穴45bに係合することにより行われる。
【0028】
また、図6及び図9に示すように、パイプ43の外周面には巻きばね53が巻回されており、該巻きばね53の一端が固定側ブラケット42に係止されるとともに、他端が可動側ブラケット46に係止されている。この巻きばね53のばね力によって、操作パネル10を下方に回動させるときの抵抗力となってロックを解除した際に操作パネル10が下方に落ち込むのを防止する。また、巻きばね53は操作パネル10を上方へ回動させる際の抵抗を軽減している。即ち、巻きばね53は重力に抗する方向に操作パネル10の自重を支えるバランサーとして機能する。
【0029】
次に、操作パネル10を水平面Cに沿った第2の方向Fに回動可能に支持する第2の支持手段60について説明する。
【0030】
図6に示すように、ブラケット42はその穴42aに、水平保持ブラケット61,62に鉛直方向に取り付けた回動支点軸63が挿通することで、回動支点軸63を支点として水平面上で回動可能であり、水平保持ブラケット61,62は固定用ブラケット64を介して前記画像読取りユニット8の前面に固定されている。
【0031】
また、ブラケット41,42と水平保持ブラケット61,62との間に介在されたワッシャー65,65は第2の方向Fへの回動に対する回動抵抗力を付与するブレーキ材としても機能する。ワッシャー65は固定側ブラケット41,42と接触する面にフッ素や超高密度ポリエチレンなどの摺動剤を設けたもので、水平保持ブラケット61,62と接触する面には特に処理しないか、ブラスト処理などのブレーキ効果を有する処理が施されている。
【0032】
以上の構成からなる第2の支持手段60において、操作パネル10を操作者が手で水平方向に押すことにより、回動支点軸63を支点として左右方向に回動し(図12参照)、このときワッシャー65によって適度な回動抵抗力が作用する。また、ワッシャー65による回動抵抗力量は、ブラケット41,61及び42,62間の圧接力を変更することで調整可能である。具体的には、回動支点軸63に対するナット66の締付け力を変更することで回動抵抗力を調整することができる。
【0033】
第2の方向Fに対して、操作パネル10のデフォルト位置は、第2の操作面上に配置されたテンキー22などの横列が複写機本体部2の前面と平行になる位置である。そして、操作パネル10はこのデフォルト位置から約25°〜35°操作者側、即ち図12に示すように、左側に回動可能であり、任意の回動角度で停止する。
【0034】
(支持手段による作用効果)
以上に説明した操作パネル構造体によって、操作パネル10を前記第1及び第2の支持手段40,60で鉛直面及び水平面に沿って回動可能とすることにより、操作者の身長や姿勢に応じて、あるいは、車椅子の使用に合わせて、第1及び第2の操作面を任意の角度に調整でき、ユニバーサルデザインの要求に応えることができる。
【0035】
特に、第1の方向Eには操作パネル10を複数(3箇所)の所定の角度で保持するロック手段を設けたため、操作者は迷うことなく所定の角度に設定することができ、かつ、乱暴なキー操作がなされた場合であっても、重力方向への押圧力に十分に耐え得ることができ、支持手段40にがたつきや弛みが生じるおそれはない。また、第2の方向Fにはワッシャー65(ブレーキ材)にて適度な回動抵抗力を付与することにより、人間にとっては操作しずらい水平方向への回動を良好に操作することが可能になる。
【0036】
また、第1の支持手段40は第2の支持手段60に取り付けられ、第1の方向Eの回動動作は第2の方向Fの回動動作とは独立して動作する。そして、操作パネル10は第1の方向Eにロックした状態で第2の方向Fに回動可能であり、かつ、第1の方向Eへのロックを解除した状態であっても第2の方向Fに回動可能である。また、ロックを解除した状態で第1及び第2の方向E,Fに同時に回動可能である。これにて、操作者は自在に操作パネル10の向きを調整することができる。
【0037】
巻きばね53が重力に抗する方向に操作パネル10の自重を支えるバランサーとして機能することで、操作パネル10を上方へ回動させる際の操作が容易になる。なお、本発明においてこの種のバランサーは必ずしも必要ではなく、省略してもよい。また、バランサーではなく、第2の支持手段60と同じように、ワッシャー55(図6参照)に適度な回動抵抗力を付与してブレーキ材として機能させてもよい。また、ロック手段が設けられている場合には、第1の方向Eへのブレーキ材も本発明において必ずしも必要なものではなく、省略してもよい。
【0038】
さらに、本発明においては、前記ロック手段は必ずしも必要なものではなく、省略してもよい。但し、ロック手段を省略した場合には、支持手段40に前記ワッシャー55などによるブレーキ材を設けて任意の位置で操作パネル10の回動角度を停止できる機構が必要となる。
【0039】
(回動支点軸の配置)
ところで、前記第1の支持手段40の回動支点軸44は、第1の操作部11の下方であって、第1の操作面の中心J(図2参照)より奥側に設けられている。第2の支持手段60の回動支点軸63は、第1の操作部11の下方であって、第1の操作面の中心Jより左側に設けられている。具体的には、好ましい配置の一例として図2及び図4に示すように、回動支点軸44は第1の操作面の中心Jと奥側辺との間隔K1の略中間位置に設けられている。また、回動支点軸63は第1の操作面の中心Jと左側辺との間で、間隔K2の約1/3右寄りの位置に設けられている。
【0040】
このように、第1の支持手段40の回動支点軸44を第1の操作面の中心Jより奥側に設けたため、操作パネル10が第1の方向Eへ回動する際に、操作パネル10の奥側部分が不必要に上方に移動することがなく、原稿載置台からはみ出した大きな原稿に干渉することがなくなる。しかも、操作パネル10の前側部分の前方への飛出し量も小さく、操作者に干渉することがなくなる。
【0041】
また、第2の支持手段60の回動支点軸63を第1の操作面の中心Jより左側に設けたため、操作パネル10が左側に大きく飛び出すことがなく、複写機本体部2に対して通常左側に立つ操作者に対して干渉することがなくなり、かつ、操作性を犠牲にすることがない。
【0042】
さらに、第1の支持手段40の回動支点軸44は第2の支持手段60の回動支点軸63よりも手前側に設けられているため、換言すれば、第1の支持手段40が第2の支持手段60に保持されているため、操作パネル10が第1の方向Eへの所定の角度を保持した状態で第2の方向Fへ回動することになるので、操作性が向上する。また、操作パネル10の自重による回転モーメントを小さくでき、キー操作による下方への耐衝撃性に対しても有利になる。
【0043】
(操作パネルの構成、形状の作用効果)
前記操作パネル10において、表示を主とする第1の操作部11と主にテンキー22などを設けた第2の操作部21とをそれぞれの操作面が複写機本体部2の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面Cに対して所定の異なる角度を有して一体化しているため、視認性が向上し、キー操作が容易になる。しかも、第1の操作部11は平面視で長方形をなしているため、様々な表示内容を含む液晶表示素子12をシンプルに配置することができる。また、第2の操作部21は平面視で半月状をなしているため、複写機本体部2からの飛出し量が極力少なくなり、見た目がコンパクトで違和感がなくなり、他の部材や操作者との干渉がなくなる。しかも、いずれの方向からもアクセスしやすく、弱視者であっても操作パネル10であることの認識が容易である。
【0044】
また、第2の操作部21の前面部分は平面視で円弧形状をなしているため、操作パネル10の姿勢を水平面Cに沿った方向に回動させて変化させる場合、適度な抵抗感を付与することで操作性が向上する。また、第2の操作部21の前面部分が円弧形状をなしていることで、操作者との干渉の衝撃が小さくなり、いずれの方向からでもアクセスが容易になる。
【0045】
さらに、第2の操作部21の前面部分及び側面部分が厚み分に対応した略円弧形状39(図4参照)をなしている。操作者は排紙された用紙を取り出すときにかがみ込む場合があり、このような場合に操作者の頭部などが操作パネル10に当接しても、第2の操作部21の角部は略円弧形状39をなしているため、頭部への衝撃が緩和される。
【0046】
また、第1の操作面上には使用頻度の低い操作キー15が液晶表示素子12の手前側に設けられているため、使用頻度の高いテンキー22などを設けた第2の操作面とは区別して操作することができ、操作性が向上する。さらに、使用頻度の低い操作キー15は上部断面が円弧形状をなし、第2の操作面に設けたテンキー22などよりも突出量を大きくしたため、第1の操作面に設けた操作キー15を第2の操作面に設けたテンキー22などと略同じ角度で押圧することができ、操作性が向上する。
【0047】
また、使用頻度の低い操作キー15のキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設けたため、使用頻度の低い操作キー15の選択状態を容易に確認することができる。
【0048】
(ロック手段の変形例、図13及び図14参照)
前記ロック手段は、把手52を第2の操作部21の手前よりに配置し、操作者によって手前側に引かれることでロックを解除するように構成した。これにて、第2の操作部21と把手52とを同時に把持して操作パネル10を回動させることができ、自然な操作性を達成できる。但し、把手52は、図13及び図14に示すように、第2の操作部21の横側に配置してもよい。図13及び図14において、図10〜図12と同じ部材、同じ機能を有する部材には同じ符号が付されている。
【0049】
この変形例においては、把手52を矢印G’方向へ移動させることで、スライド片49も矢印G’方向へ移動し、ピン48cが長穴48d内を移動するとともに、ロック片48がピン48bを支点として時計回り方向へ回動し、ロック爪48aのロック穴41a,41b,41c(図9参照)への係合が解除される。
【0050】
(他の実施例)
なお、本発明に係る操作パネル構造体は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0051】
特に、第1及び第2の支持手段の細部の構造、形状は任意である。また、操作パネルの第1及び第2の操作面の構成も任意である。また、本発明に係る操作パネル構造体は複写機に設けられる以外に、プリンタやスキャナなど広く画像を入力する装置あるいは画像を出力する装置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る操作パネル構造体を備えた複写機を示す外観斜視図である。
【図2】操作パネルを示す平面図である。
【図3】操作パネルを示す正面図である。
【図4】操作パネルを示す側面図である。
【図5】操作パネルを示す拡大断面図である。
【図6】第1及び第2の支持手段を示す分解斜視図である。
【図7】第1及び第2の支持手段(デフォルト位置)を示す側面図である。
【図8】第1及び第2の支持手段(第1の方向への回動位置)を示す側面図である。
【図9】第1の支持手段ロック位置を示す断面図である。
【図10】第1及び第2の支持手段を示す平面図である。
【図11】第1の支持手段におけるロック解除時を示す平面図である。
【図12】第2の支持手段の回動状態を示す平面図である。
【図13】ロック手段の変形例を示す平面図である。
【図14】図13の変形例におけるロック解除時を示す平面図である。
【図15】操作パネルに対する操作者のアクセス状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…複写機
2…複写機本体部
10…操作パネル
11…第1の操作部
12…液晶表示素子
15…使用頻度の低い操作キー
21…第2の操作部
22〜28…操作キー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が装置本体の前面より突出した操作パネルを備えた、画像入力/出力装置の操作パネル構造体であって、
前記操作パネルは、第1の操作面に設けた液晶表示素子による表示を主とする第1の操作部と、第2の操作面に主に複数の操作キーを設けた第2の操作部とからなり、
前記第1及び第2の操作部は、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されており、
前記第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが前記液晶表示素子の手前側に設けられており、
前記使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、前記第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量が大きいこと、
を特徴とする操作パネル構造体。
【請求項2】
前記使用頻度の低い操作キーのキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の操作パネル構造体。
【請求項1】
操作部が装置本体の前面より突出した操作パネルを備えた、画像入力/出力装置の操作パネル構造体であって、
前記操作パネルは、第1の操作面に設けた液晶表示素子による表示を主とする第1の操作部と、第2の操作面に主に複数の操作キーを設けた第2の操作部とからなり、
前記第1及び第2の操作部は、それぞれの第1及び第2の操作面が装置本体の左右方向と直交する方向に、かつ、水平面に対して所定の異なる角度を有して構成されており、
前記第1の操作面上には使用頻度の低い操作キーが前記液晶表示素子の手前側に設けられており、
前記使用頻度の低い操作キーは上部断面が円弧形状をなし、前記第2の操作面に設けた操作キーよりも突出量が大きいこと、
を特徴とする操作パネル構造体。
【請求項2】
前記使用頻度の低い操作キーのキートップ内又は該操作キーの近傍に点灯表示素子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の操作パネル構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−134367(P2008−134367A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319523(P2006−319523)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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