説明

操作装置および画像形成装置

【課題】ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる、操作装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル201は、表示面に複数の操作ボタンを表示するとともに、当該表示面における押圧位置を検出する。ボタン区分保持部404は、タッチパネル201の表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンが属する区分との対応関係を記憶する。相対位置算出部405は、操作ボタンに設定された基準位置と当該操作ボタンに対してなされた操作の際の押圧位置との相対位置を算出する。認識領域シフト部406は、相対位置算出部405が算出した相対位置に基づいて、当該相対位置が算出された操作ボタンと同一の前記区分に属する各操作ボタンの認識領域をシフトさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置は、ユーザによる指示等の入力に使用される操作装置を備えている。このような操作装置の一例として、例えば、タッチパネルを備える操作装置が広く知られている。周知のように、タッチパネルは、表示装置の機能と入力装置の機能とを具備し、操作ボタンを表示するとともに、表示面に配置されたセンサ等により押圧位置(タッチ位置)を検出する。この種の操作装置において、ユーザの押圧位置の検出値を補正してユーザの誤操作を防止する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1は、ユーザの押圧位置の認識領域が、操作ボタン表示領域より大きく設定された操作装置に適用される補正方法を開示している。この技術では、表示領域外の認識領域になされたタッチ頻度に基づいて、表示領域に対する押圧位置ズレ方向を認定する。そして、認識領域よりも、上記押圧位置ズレ方向側の領域をタッチ(押圧)した際の押圧位置に対して所定の補正値を加えて、操作ボタンの認識領域内になるように補正する。これにより、ユーザが認識領域の間をタッチした場合でも、所望の操作ボタンの操作を行うことができる、としている。
【0004】
また、特許文献2は、認識領域以外がタッチされたときの、操作ボタンと押圧位置との相対位置に基づいて、ユーザの位置誤認識傾向の有無を判定し、位置誤認識傾向がある場合、押圧位置の認識領域を拡大または移動する技術を開示している。これにより、操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性を向上させることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−31914号公報
【特許文献2】特開2008−292731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2が開示する技術は、ユーザが操作ボタンの認識領域外をタッチした場合に、その認識領域外の位置を認識領域として認識するようにする技術である。そのため、これらの技術では、ユーザが操作ボタンと異なる位置をタッチしたにもかかわらず何らかの操作が受け付けられることになり、場合によってはユーザが混乱する状況が発生する可能性がある。
【0007】
一方、タッチパネル上の押圧位置のズレは、特許文献1、2が例示する角度調整機能を有するタッチパネルに限らず、固定式のタッチパネルであっても発生する可能性がある。例えば、タッチパネルの操作方法(人差指であるか、小指であるか、タッチペンであるか等)はユーザによって異なるため、ユーザが操作ボタンの中央をタッチしているつもりであっても、タッチパネル上の現実の押圧位置は操作ボタンの端部であることもある。特に、タッチパネルとの接触面積が比較的大きい操作方法(例えば、指の腹でタッチする等)では、ユーザが認識している押圧位置と、タッチパネル上の現実の押圧位置とが一致しないことも多い。したがって、固定式のタッチパネルであっても、操作が受け付けられる確実性を向上させることは有用である。
【0008】
しかしながら、ユーザは、タッチパネルに表示される操作ボタンのサイズに応じて操作方法を変えることもある。例えば、大きな操作ボタンに対しては指の腹でタッチし、小さな操作ボタンに対しては指先でタッチすることが想定される。また、タッチパネルに表示される操作ボタンの位置に依存して、ユーザの押圧位置が変動することもある。例えば、タッチパネルの端部に表示される操作ボタンを操作する場合、ユーザは、無意識に、タッチパネルの端部を避ける傾向にある。すなわち、タッチパネル端部の操作ボタンを操作する場合、ユーザは、タッチパネル中央部の同一サイズの操作ボタンの押圧位置に比べて、タッチパネル端部から離れる側の位置をタッチしていることが多い。
【0009】
特許文献1の技術では、所定期間に実施された操作ボタンに対する操作に基づいて補正量が画一的に設定されるため、当該操作ボタンとサイズの異なる操作ボタンや、タッチパネルの周縁部に配置された操作ボタンに対しても当該補正量が適用されることになる。サイズの大きい操作ボタンに対する補正量をサイズの小さい操作ボタンの補正量に適用した場合、操作ボタンの表示領域と認識領域とのズレが極端になる場合があり、結果的にミスタッチをまねくおそれがある。また、同一サイズの操作ボタンに対する同一ユーザの操作であっても、上述のように操作ボタンの配置位置に依存してズレ量が異なることになる。このような状況下において特許文献1の技術を適用した場合、算出された補正量が適切であるとは限らない。特許文献2が開示する技術であっても、このような問題を解決することはできない。すなわち、上述の先行技術には、改善の余地があるといえる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる、操作装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係る操作装置は、以下の技術的手段を採用している。まず、本発明に係る操作装置は、タッチパネル、ボタン区分保持部、相対位置算出部、認識領域シフト部を備える。タッチパネルは、表示面に複数の操作ボタンを表示するとともに、当該表示面における押圧位置を検出する。ボタン区分保持部は、タッチパネルの表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンが属する区分との対応関係を記憶する。相対位置算出部は、操作ボタンに設定された基準位置と当該操作ボタンに対してなされた操作の際の押圧位置との相対位置を算出する。認識領域シフト部は、相対位置算出部が算出した相対位置に基づいて、当該相対位置が算出された操作ボタンと同一の前記区分に属する各操作ボタンの認識領域をシフトさせる。ここで、認識領域とは、タッチパネルの表示面において操作ボタンごとに設定される領域であり、各操作ボタンへの操作であると判定される押圧位置の範囲である。
【0012】
この操作装置では、認識領域のシフトは、操作ボタンが属する区分単位で実施される。例えば、サイズが異なる操作ボタンを異なる区分に分類すれば、操作ボタンのサイズに応じた認識領域のシフトを実現することができる。また、タッチパネルの中央部に表示される操作ボタンと、タッチパネルの端部に表示される操作ボタンとを異なる区分に分類すれば、操作ボタンの配置位置に応じた認識領域のシフトを実現することができる。このため、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる。
【0013】
上記操作装置は、タッチパネルの表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンの認識領域の移動制限との対応関係を記憶する移動制限保持部をさらに備えてもよい。この場合、認識領域シフト部は、相対位置算出部が算出した相対位置と移動制限保持部が保持する移動制限とに基づいて認識領域をシフトさせる。この構成では、移動制限を満足する状態で認識領域をシフトさせることができる。例えば、2つの操作ボタンが近接して横方向に配列されている場合、認識領域を斜め方向にシフトさせると、当該認識領域が他の操作ボタンの表示領域と重なる場合があるが、本構成ではこのような重なりの発生を防止できる。
【0014】
また、上記操作装置は、タッチパネルを操作するユーザを特定するための識別情報を取得する識別情報取得部をさらに備えてもよい。この場合、認識領域シフト部は、上記認識領域のシフト量を示す情報を、当該操作をしたユーザの識別情報と対応づけて記憶するとともに、当該ユーザがタッチパネルを操作する際に、当該情報を読み出して認識領域をシフトさせる。この構成では、ユーザごとに認識領域のシフト量を管理することができる。
【0015】
一方、他の観点では、本発明は、上述の操作パネルを備える画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、予め分類した操作ボタンの区分ごとに、認識領域をシフトさせることができる。すなわち、操作ボタンのサイズに応じた認識領域のシフトや、操作ボタンの配置位置に応じた認識領域のシフトを実現することができ、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の全体構成を示す概略構成図
【図2】本発明の一実施形態における複合機の操作パネルを示す模式図
【図3】本発明の一実施形態における複合機のハードウェア構成を示す図
【図4】本発明の一実施形態における複合機を示す機能ブロック図
【図5】本発明の一実施形態における複合機が備える操作装置が実行する手順の一例を示すフロー図
【図6】本発明の一実施形態における複合機が保持するボタン区分情報テーブルの一例を示す図
【図7】本発明の一実施形態における複合機が保持する認識領域シフト情報テーブルの一例を示す図
【図8】本発明の一実施形態における複合機が表示する操作画面における表示領域および認識領域の一例を示す図
【図9】本発明の一実施形態における複合機が保持する認識領域シフト情報テーブルの一例を示す図
【図10】本発明の一実施形態における複合機が保持する移動制限情報テーブルの一例を示す図
【図11】本発明の一実施形態における複合機が表示する操作画面における表示領域および認識領域の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
【0019】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110と原稿トレイ111と排紙トレイ112を備えている。
【0020】
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。画像データには、必要に応じて指定された画像処理が実施されている。原稿は、原稿台103に載置することができる。原稿台103の下方には走査光学系121が配置されている。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。
【0021】
また、原稿は、原稿トレイ111に載置することもできる。原稿搬送装置110は、原稿トレイ111にセットされた原稿を1枚ずつ画像読取位置へ搬送する。原稿トレイ111にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定する。原稿が画像読取位置を通過するとき、光源131は原稿を照明する。光源131からの光は、原稿台103を透過して原稿読取位置を通過する原稿において反射し、ミラー132、133、134、集光レンズ124によってイメージセンサ125に導かれる。画像読取位置を通過した原稿は、排紙トレイ112に排出される。
【0022】
イメージセンサ125は、受光光に基づいて、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する画像データを生成する。生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、ネットワークアダプタ161等を介して、ネットワーク162を通じて他の機器へ送信することもできる。
【0023】
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器からネットワークアダプタ161を介して受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0024】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
【0025】
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル201や操作キー203が配置されている。タッチパネル201は、操作ボタンやメッセージ等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示面と、当該表示面上の押圧位置を検出するセンサとを備える。押圧位置の検知方法は特に限定されない。抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、電磁波方式等、任意の方式を採用することができる。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、タッチパネル201を通じて入力を行うことができる。
【0026】
タッチパネル201は、設定部204およびメッセージ表示部205を有する操作画面を表示する。設定部204には、複数のタブ206が用意されている。「基本」タブは、用紙のサイズや向き、複写倍率、濃度などの設定に使用される。「基本」タブは、その設定のためボタンなどの各種の要素を有している。例えば「濃度設定」ボタン207を押す操作をユーザが行うと、濃度の数値を指定するためのウィンドウがそのタブ上に重ねて表示される。図2の例では、「基本」タブのほか、「ユーザ機能」、「機能リスト」、「プログラム」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する(押圧する)操作を行うことによって、これらのタブの表示を切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
【0027】
メッセージ表示部205は、複写が可能かどうかや用紙の補給が必要かどうかなどの複合機の状態や、複写部数などの設定をユーザに知らせるメッセージを表示する。この表示には、複合機100が備える各種のセンサの検知結果やユーザの操作結果が反映される。なお、図2では、後述の認証部における認証処理が実施される前の状態を示しており、メッセージ表示部205には当該状態を示す「認証してください」のメッセージが表示されている。
【0028】
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212、LogOutキー213等を含む。例えば、主電源キー209は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になれば、クリアキー212を操作すればよい。特に限定されないが、本実施形態では、後述の認証部が予め登録された認証条件を満たすまで、操作パネル200に対する入力が禁止される構成になっている。認証部に認証されたユーザが複合機使用後にLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると、複合機100は認証処理が実施される前の状態に戻るように構成されている。
【0029】
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークアダプタ161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0030】
内部バス306には、操作パネル200のほか、各種のセンサ307やICカードリーダ308も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、タッチパネル201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。また、センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。ICカードリーダ308は、ユーザが所持するICカードから、ICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、認証部が後述の認証処理を実行する。
【0031】
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100は、タッチパネル制御部401、識別情報入力部410、認証部411、動作制御部412を備える。
【0032】
タッチパネル制御部401は、タッチパネル201の表示面の画面表示を制御するとともに、タッチパネルにおける押圧位置の座標を取得する。本実施形態では、タッチパネル制御部401は、表示制御部402、押圧位置検出部403、ボタン区分保持部404、相対位置算出部405、認識領域シフト部406、移動制限保持部407、識別情報取得部408、指示認識部409を備える。各部の機能については後述する。
【0033】
識別情報入力部410は、複合機100への、ユーザを識別するための識別情報の入力に使用される。本実施形態では、識別情報入力部410はICカードリーダ308により構成されている。ICカードリーダ308の読取位置に可搬記憶媒体であるICカードが配置されたときに、ICカードリーダ308がICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取る。なお、識別情報は、ユーザを特定することができる情報であればよい。例えば、各ユーザに一義的に割り当てられたユーザIDを当該識別情報として用いることができる。また、ICカードに代えて、磁気カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の他の可搬記憶媒体を使用することもできる。この場合、識別情報入力部410は可搬記憶媒体に対応する構成(磁気ガードリーダ、USBインターフェイス等)になる。また、可搬記憶媒体を使用することなく、タッチパネル201に表示されるソフトウェアキーボード、あるいはテンキー210を識別情報入力部410として用いて、ユーザ識別情報を入力する構成であってもよい。この場合、操作パネル200は、少なくともユーザ識別情報の入力を許可するように構成される。
【0034】
認証部411は、識別情報入力部410を通じて入力された識別情報と予め登録された認証条件とを照合する。本実施形態では、認証部411に、複合機100の使用を許可するユーザのユーザIDを記録した使用許可者リストが予め登録されており、識別情報入力部410が取得したユーザIDが使用許可者リストに含まれる場合、認証部411は、認証条件を満足すると判断する。認証部411は、認証条件を満足する場合に、そのユーザによる複合機100の使用(画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等)を許可し、認証条件を満足しない場合に、複合機100の使用を禁止する。なお、本実施形態では、認証条件を満足するまで、操作パネル200を通じた操作を受け付けない状態にすることで、複合機100の使用を禁止している。
【0035】
動作制御部412は、操作パネル200を通じた指示に基づいて画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等を実行する。
【0036】
続いて、タッチパネル制御部401を構成する各部の機能について詳細に説明する。
【0037】
表示制御部402は、タッチパネル201の表示面に上述の操作画面を表示する。表示制御部402には、操作画面に含まれる、操作ボタンやメッセージ等の各要素の表示位置を示す情報(例えば、表示面上の座標)と、表示内容(例えば、表示すべきデータ)とが予め登録されており、ユーザの操作に応じて所定の操作画面をタッチパネル201の表示面に表示する。また、タッチパネル201の表示面に対してなされた操作は、押圧位置を検出するセンサにより検出され、その押圧位置の座標が押圧位置取得部403に取得される。
【0038】
指示認識部409は、表示制御部402からタッチパネル201の表示面に表示されている操作ボタンの表示位置情報を取得するとともに、押圧位置取得部403からタッチパネル201の表示面に対するユーザの押圧位置情報を取得する。
【0039】
指示認識部409は、取得した操作ボタンの表示位置情報に基づいて、それぞれの操作ボタンの認識領域を抽出する。ここで、認識領域とは、タッチパネル201の表示面において操作ボタンごとに設定される領域であり、各操作ボタンへの操作であると判定される押圧位置の範囲である。当該認識領域は、操作ボタンの表示位置ごとに所定領域が対応づけて記憶されていてもよく、操作ボタンの表示位置情報に基づいて所定の領域が算出される構成であってもよい。なお、本実施形態では、認識領域と、操作ボタンの表示領域とが同一サイズである構成について説明するが、本発明は当該構成に限定されない。例えば、認識領域が、操作ボタンの表示領域より大きく、かつ認識領域が操作ボタンの表示領域を包含していてもよい。あるいは、認識領域が、操作ボタンの表示領域より小さく、かつ認識領域が操作ボタンの表示領域に包含されていてもよい。
【0040】
また、指示認識部409は、取得したユーザの押圧位置情報と各操作ボタンの認識領域とを比較することにより、ユーザが操作した操作ボタンを特定し、特定した操作ボタンに対応する操作を実行する。例えば、ユーザが操作した操作ボタンが操作画面の画面遷移に関するものであれば、指示認識部409は表示制御部402にその旨を通知し、当該画面遷移を実行させる。また、ユーザが操作した操作ボタンが画像読取部120や画像形成部140の動作に関するものであれば、指示認識部409は動作制御部412にその旨を通知し、当該動作を実行させる。
【0041】
一方、相対位置算出部405は、操作ボタンに設定された基準位置と当該操作ボタンに対してなされた操作の際の押圧位置との相対位置を算出する。本実施形態では、相対位置算出部405は、まず、指示認識部409から、ユーザが操作した操作ボタンを特定するための情報を取得し、当該操作ボタンの表示位置情報を表示制御部402から取得する。特に限定されないが、ここでは各操作ボタンに一義的に割り当てられた識別子であるボタンIDをユーザが操作した操作ボタンを特定するための情報として使用している。また、相対位置算出部405は、押圧位置取得部403からタッチパネル201の表示面に対するユーザの押圧位置情報を取得する。そして、操作された操作ボタンの表示位置情報およびユーザの押圧位置情報に基づいて、操作ボタンの基準位置と押圧位置との相対位置を算出する。本実施形態では、相対位置算出部405は、操作された操作ボタン表示領域の中央の座標を基準位置として抽出し、当該座標と押圧位置の座標との差を算出することで相対位置を算出する。相対位置算出部405は、算出した相対位置と、算出対象となった操作ボタンのボタンIDとを認識領域シフト部406に通知する。
【0042】
なお、後述のように、当該相対位置は、押圧位置が操作ボタン表示領域の一部(例えば、一端部)に偏る傾向があるユーザに対し、操作ボタンの認識領域を表示面上でシフトさせて、操作が受け付けられる確実性をより向上させるために使用する。したがって、相対位置算出部405は、このような認識領域のシフトを実現可能な相対位置を算出できればよく、上記基準位置は、操作ボタン表示領域の中央の座標に限定されるものではない。
【0043】
認識領域シフト部406は、ボタン区分保持部404を参照して、入力されたボタンIDが属する区分(以下、ボタン区分という。)を抽出する。ボタン区分保持部404はタッチパネルの表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンが属する区分との対応関係を記憶している。当該対応関係は任意の方式で登録することができる。例えば、各ボタンIDとボタン区分とが1対1で対応づけられていてもよく、1のボタン区分に対して複数のボタンIDが対応づけられていてもよい。ここでは、ボタン区分保持部404は、当該情報を、各操作ボタンのボタンIDとボタン区分との対応関係をボタン区分情報テーブルとして保持している。
【0044】
ボタン区分を抽出した認識領域シフト部406は、当該ボタン区分と当該ボタン区分に属する操作ボタンの認識領域についてのシフト量とを対応づけて記憶する。当該シフト量は、入力された相対位置に基づいて決定される。そして、以降のタッチパネルの操作において、抽出された区分に属する各操作ボタンの認識領域を、当該シフト量にしたがってシフトさせる。以下では、ボタン区分とシフト量とを対応づけた情報を認識領域シフト情報という。本実施形態では、認識領域シフト情報は、当該情報取得時に認証部411に認証されていた識別情報と対応づけて記憶される。当該識別情報は、識別情報取得部408が認証部411から取得して、認識領域シフト部406に入力する。本実施形態では、認識領域シフト部406は、当該情報を、認識領域シフト情報テーブルとして保持している。
【0045】
なお、移動制限保持部407は、タッチパネル201の表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンの認識領域の移動制限を示す情報(移動制限情報)との対応関係を記憶している。本実施形態では、移動制限保持部407は、当該情報を、移動制限情報テーブルとして保持している。
【0046】
図5は、複合機が備える操作装置(タッチパネル201とタッチパネル制御部401)が実行する処理の手順の一例を示す図である。当該手順は、識別情報入力部410(ICカードリーダ308)により識別情報が取得されたことをトリガとして進行する(ステップS501Yes)。
【0047】
このとき、認証部411は、識別情報入力部410から入力された識別情報(ユーザID)が、上述の使用許可者リストに含まれているか否かを判定する(ステップS502)。使用許可者リストに含まれていない場合、認証部411は何もすることなく処理を終了し、識別情報入力前の状態になる(ステップS502No)。この場合、このユーザは複合機100を操作することはできない。一方、使用許可者リストに含まれている場合は、認証部411は当該ユーザの操作パネル200を通じた操作を受け付ける状態にする(ステップS502Yes)。そして、複合機100は、当該状態でユーザがタッチパネル201を操作するまで待機する(ステップS503No、S504No)。このとき、識別情報取得部408は認証されたユーザの識別情報を認証部411から取得する。なお、上述したように、当該待機中に、ユーザがLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると当該処理が終了し、識別情報入力前の状態になる(ステップS503Yes)。
【0048】
認証されたユーザがタッチパネル201を操作すると、指示認識部409は、認識領域シフト部406が、認識領域シフト情報を保持しているか否かを確認する(ステップS504Yes、S505)。
【0049】
認識領域シフト部406が当該ユーザに対応づけられた認識領域シフト情報を保持していない場合、指示認識部409は、上述のとおり、表示位置情報(=認識領域の範囲)および押圧位置情報からユーザが操作した操作ボタンを特定し、当該特定した操作ボタンに対応する操作を実行する(ステップS505No、S507)。また、このとき、指示認識部409は、特定した操作ボタンの情報(ボタンID)を相対位置算出部405へ入力する。このようにしてボタンIDを取得した相対位置算出部405は、上述のとおり、当該ボタンIDにより特定される操作ボタンの表示位置情報と、押圧位置情報とから、当該操作ボタンと押圧位置との相対位置を算出する(ステップS508)。
【0050】
例えば、特定された操作ボタンの表示領域中央の座標が(x0,y0)であり、押圧位置情報が示す押圧位置の座標が(x1,y1)である場合、相対位置として、相対位置ベクトル(x1−x0,y1−y0)が算出される。なお、本実施形態での座標系は、x方向が図2において左から右、y方向が図2において下から上であるとする。算出された相対位置ベクトルは、ボタンIDとともに、認識領域シフト部406に通知される。ここでは、認識領域シフト部406は認識領域シフト情報を保持していないので、当該相対位置ベクトルが、当該ユーザに対応する認識領域シフト情報として新たに格納される(ステップS509)。
【0051】
図6は、ボタン区分保持部404が保持するボタン区分情報テーブルの一例を示す図である。図6に示すように、ボタン区分情報テーブル601は、ボタン区分とボタンIDとを対応づけて記録するテーブルである。図6の例では、「A」、「B」、「C」、「D」の4つのボタン区分が登録されている。例えば、相対位置算出部405から入力されたボタンIDが「S101」である場合、認識領域シフト部406は当該操作ボタンのボタン区分が「A」であると認識する。
【0052】
また、図7は、上記相対位置ベクトルを格納することにより新たに生成された認識領域シフト情報(認識領域シフト情報テーブル)の一例を示す図である。図7に示すように、認識領域シフト情報テーブル701は、ボタン区分とシフト量とを対応づけて記録するテーブルである。例えば、相対座標ベクトル(x1−x0,y1−y0)がボタンID「S101」とともに相対位置算出部405から入力された場合、認識領域シフト部406は当該相対座標ベクトル(x1−x0,y1−y0)を、ボタン区分「A」に対応づけるシフト量(xa,ya)であると認識し、認識領域シフト情報テーブル701に記録する。図7において、ボタン区分「B」、「C」、「D」の位置情報欄に記録されている「−」は、データが格納されていないことを示している。また、上述のように、当該認識領域シフト情報テーブル701は、ユーザの識別情報ごとに作成される構成になっている。図7の例では、認識領域シフト情報テーブル701は、ユーザID「0001」と対応づけられている。
【0053】
この後、複合機100は、当該状態でユーザがタッチパネル201を操作するまで待機する(ステップS504No、S503No)。
【0054】
一方、認証ユーザがタッチパネル201を操作したときに認識領域シフト部406が当該ユーザに対応づけられた認識領域シフト情報を保持している場合、指示認識部409は当該認識領域シフト情報を取得する(ステップS504Yes、S505Yes)。そして、当該認識領域シフト情報に基づいて、該当ボタン区分に属する操作ボタンの認識領域のみを、そのボタン区分に対応づけられたシフト量にしたがってシフトさせた状態で、ユーザが操作した操作ボタンを特定し、特定した操作ボタンに対応する操作を実行する(ステップS506、S507)。この場合、表示位置情報が示す操作ボタンの表示領域と、当該操作ボタンの認識領域とは、当該操作ボタンが属するボタン区分に対応づけられたシフト量だけずれた状態になる。
【0055】
図8は、認識領域シフト部406が認識領域シフト情報を保持していない場合と、保持している場合との、認識領域の差異を示す図である。図8(a)が認識領域シフト情報を保持していない場合に対応し、図8(b)が認識領域シフト情報を保持している場合に対応する。図8では、「送信」機能を選択した際にタッチパネル201に表示する画面を択一的に選択するための、送信画面表示選択画面801を例示している。当該画面801には、ボタン区分「A」に属する操作ボタン(「宛先画面」ボタン802、「アドレス帳」ボタン803)と、ボタン区分「B」に属する操作ボタン(「キャンセル」ボタン804、「OK」ボタン805)とが表示されている。また、この例では、「アドレス帳」が選択されている状態を例示している。
【0056】
上述のように、本実施形態では、操作ボタンの表示領域は、その操作ボタンの認識領域と一致し、完全に重なっている。そのため、図8(a)では、「宛先画面」ボタン認識領域806、「アドレス帳」ボタン認識領域807、「キャンセル」ボタン認識領域808、「OK」ボタン認識領域809は、それぞれ、「宛先画面」ボタン802、「アドレス帳」ボタン803、「キャンセル」ボタン804、「OK」ボタン805と重なっている。これに対し、図8(b)では、各操作ボタンの認識領域806〜809は、各操作ボタン802〜805に対して、認識領域シフト情報に応じた量だけシフトしている。なお、操作ボタンの認識領域は、通常、視認できないが、図8(b)では、説明のため破線で示している。
【0057】
図9は、図8(b)に示す場合について、認識領域シフト部406が保持している認識領域シフト情報テーブル701の一例を示す図である。この例では、図7の例とは異なり、各ボタン区分にシフト量が記録されている。図9では、ボタン区分「A」にシフト量(xa,ya)が対応づけられており、ボタン区分「B」にシフト量(xb,yb)が対応づけられている。例えば、「宛先画面」ボタン802の中央座標が(xA1,yA1)であるとすると、「宛先画面」ボタン認識領域806の中央座標は(xA1+xa,yA1+ya)になる。同様に、「アドレス帳」ボタン803の中央座標が(xA2,yA2)であるとすると、「アドレス帳」ボタン認識領域807の中央座標は(xA2+xa,yA2+ya)になる。また、「キャンセル」ボタン804の中央座標が(xB1,yB1)であるとすると、「キャンセル」ボタン認識領域808の中央座標は(xB1+xb,yB1+yb)になる。同様に、「OK」ボタン805の中央座標が(xB2,yB2)であるとすると、「OK」ボタン認識領域809の中央座標は(xB2+xb,yB2+yb)になる。なお、本実施形態では、認識領域の大きさは変化しない。
【0058】
図8および図9の例では、タッチパネル201の中央部に配置されている相対的に大きいボタンをボタン区分「A」とし、タッチパネル201の端部に配置されている相対的に小さいボタンをボタン区分「B」としている。そのため、ユーザの押圧位置が、タッチパネル201の端部から離れる側に分布する傾向があるボタン区分「B」の認識領域シフト量と、ボタン区分「B」に属する操作ボタンに対する押圧位置分布と異なる押圧位置分布を有することが予測されるボタン区分「A」の認識領域シフト量とが個別に設定されることになる。
【0059】
なお、図9の例では、各ボタン区分に対して1つのシフト量が対応づけられているが、当該シフト量は、そのボタン区分に属する操作ボタンに対してなされた直前の操作において取得された相対位置(相対位置ベクトル)に限るものではない。例えば、予め指定された回数分の操作において取得された複数の相対位置ベクトルの平均値や中央値をシフト量として記録することができる。この場合、異常値(例えば、ボタン表示領域中央から所定距離以上離れた押圧位置)を除外した、平均値や中央値をシフト量として採用してもよい。あるいは、微小値(例えば、ボタン表示領域中央に近接する押圧位置)を無視(除外)した平均値や中央値をシフト量として採用してもよい。また、複数の相対位置ベクトルからシフト量を算出する場合、特定のボタン区分に対応する相対位置ベクトルの相対位置算出部405からの入力回数が上記指定回数に満たないときであってもその時点でのシフト量を算出記録する構成、あるいは当該指定回数に到達したときに初めてシフト量を算出記録する構成のいずれを採用してもよい。あるいは、認識領域シフト部406が、ボタン区分ごとに、所定数(例えば、5個)の相対位置を保持する構成とし、所定数の相対位置が取得される都度、シフト量を更新する構成を採用することもできる。
【0060】
指示認識部409は、認識領域シフト情報を保持していない場合と同様、特定した操作ボタンのボタンIDを相対位置算出部405へ入力し、相対位置算出部405が当該操作ボタンと押圧位置との相対位置を算出する(ステップS508)。当該相対位置は、ボタンIDとともに認識領域シフト部406に通知され、認識領域シフト部406は当該ボタンIDが属するボタン区分のシフト量を、上述のような更新ルールにしたがって更新する(ステップS509)。例えば、図8(b)の例において、指示認識部409が特定した操作ボタンが「キャンセル」ボタン804(ボタンID:C01)であった場合、認識領域シフト部406はボタン区分保持部404を参照して当該操作ボタンがボタン区分「B」に属することを認識し、入力された相対位置に基づいて認識領域シフト情報内の、ボタン区分「B」に対応づけられたシフト量を上述の更新ルールにしたがって更新する。
【0061】
その後、複合機100は、当該状態でユーザがタッチパネル201を操作するまで待機する(ステップS504No、S503No)。
【0062】
以上のように、本実施形態では、ボタン区分ごとにそれぞれ独立して、認識領域のシフト量が設定される。したがって、操作ボタンサイズや操作ボタンの配置位置に起因して発生する、押圧位置ずれの差異を反映した認識領域のシフトを実現することができ、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる。
【0063】
ところで、本実施形態の複合機100は、上述のように移動制限保持部407を備えている。以下で、移動制限保持部407の機能について説明する。
【0064】
図10は、移動制限保持部407が保持する移動制限情報テーブルの一例を示す図である。図10に示すように、移動制限情報テーブル1001は、ボタン区分と移動制限情報とを対応づけて記録するテーブルである。この移動制限情報テーブル1001では、ボタン区分「C」とボタン区分「D」とに移動制限情報である「xc=0」、「yd=0」がそれぞれ記録されており、ボタン区分「A」とボタン区分「B」とには移動制限情報が登録されていないことを示す「−」が記録されている。なお、移動制限情報「xc=0」は、ボタン区分「C」のシフト量のx成分を「0」にする、すなわち、移動方向をy方向に制限することを意味する。同様に、移動制限情報「yd=0」は、ボタン区分「D」のシフト量のy成分を「0」にする、すなわち、移動方向をx方向に制限することを意味する。
【0065】
図11は、移動制限保持部407が特に有効に機能する事例を例示する図である。図11では、理解を容易にするため、上述の送信画面表示選択画面に適用した事例を示している。当該画面1101には、ボタン区分「C」に属する「宛先画面」ボタン1102、「アドレス帳」ボタン1103と、ボタン区分「B」に属する「キャンセル」ボタン1104、「OK」ボタン1105とが表示されている。図11の送信画面表示選択画面1101は、「宛先画面」ボタン1102および「アドレス帳」ボタン1103が相互に接する状態でx方向に隣りあって配置されている点で図8の送信画面表示選択画面801と相違している。
【0066】
送信画面表示選択画面1101では、仮に、「宛先画面」ボタン認識領域1106および「アドレス帳」ボタン認識領域1107が、x方向およびy方向のいずれにもシフト可能であるとすると、x方向にシフトした場合に一方の認識領域が他方の表示領域と重なることになる。当該状態はユーザに混乱を招くため好ましくない。本実施形態では、「宛先画面」ボタン1102および「アドレス帳」ボタン1103はボタン区分「C」に属するため、図11に示すように、「宛先画面」ボタン認識領域1106および「アドレス帳」ボタン認識領域1107は、y方向にしかシフトされない。一方、ボタン区分「B」に属する「キャンセル」ボタン1104および「OK」ボタン1105の認識領域1108、1109は、図8の事例と同様、x方向およびy方向のいずれにもシフトすることができる。
【0067】
このように、本実施形態では、ボタン区分ごとに認識領域の移動に制限を付与することができる。なお、上記では、移動制限情報として移動方向のみを例示したが、移動制限情報は、シフト量上限値や一方向移動(例えば、−x方向)等を含んでもよい。すなわち、操作ボタンの認識領域にシフトに対する制限する任意の情報を移動制限情報として採用することができる。
【0068】
なお、上記では、操作ボタンの表示領域と押圧位置との相対位置に基づいて、その操作ボタンの認識領域をシフトする構成を説明したが、操作ボタンに設定された基準位置として当該認識領域の任意点(例えば中央)を採用し、当該基準位置と押圧位置との相対位置に基づいて、その操作ボタンの認識領域をシフトする構成としても同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、指示認識部409が各操作ボタンの認識領域を記憶する構成とすればよい。また、当該構成では、上述の認識領域シフト情報は、相対位置が算出される都度更新される、あるいは、認識領域シフト部406が、ボタン区分ごとに、所定数(例えば、5個)の相対位置を保持する構成とし、所定数の相対位置が取得される都度更新される構成とすることができる。
【0069】
以上説明したように、この複合機100では、予め分類した操作ボタンの区分ごとに、認識領域をシフトさせることができる。すなわち、サイズが異なる操作ボタンを異なる区分に分類すれば、操作ボタンのサイズに応じた認識領域のシフトを実現することができる。また、タッチパネル201の中央部に表示される操作ボタンと、タッチパネル201の端部に表示される操作ボタンとを異なる区分に分類すれば、操作ボタンの配置位置に応じた認識領域のシフトを実現することができる。その結果、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる。
【0070】
また、複合機100は、移動制限保持部407を備えるため、移動制限を満足する状態で認識領域をシフトさせることができる。さらに、複合機100は、識別情報取得部408を備えるため、認識領域をシフトするための情報を、各ユーザに対応づけて記憶することができる。そのため、ユーザがタッチパネルを操作する際に、当該ユーザに固有の認識領域シフト情報に読み出して操作ボタンの認識領域をシフトさせることができる。
【0071】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、移動制限保持部、識別情報取得部の双方を備える構成について説明したが、これらは本願発明に必須の要素ではなく任意に採用することが可能である。例えば、移動制限保持部および識別情報取得部を備えない構成であっても、少なくとも、予め分類した操作ボタンの区分ごとに、認識領域をシフトさせることが可能である。また、隣り合う操作ボタンが接して配置されるような操作ボタンのレイアウトを採用しない場合には、移動制限保持部を備えない構成であっても本願発明の効果を損なうことはない。また、識別情報取得部を備えない構成では、認識領域シフト情報をユーザごとに管理できなくなるが、例えば、所定時間経過ごとに認識領域シフト情報をリセットする構成や、タッチパネルに対する操作が一定時間なされない場合に認識領域シフト情報をリセットする構成等を採用することで、特定のユーザに対して、認識領域シフト情報を適用することが可能になる。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置、さらには、タッチパネルを備える任意の操作装置に本発明を適用することも可能である。
【0073】
以上のように、本発明によれば、予め分類した操作ボタンの区分ごとに、認識領域をシフトさせることができる。すなわち、操作ボタンのサイズに応じた認識領域のシフトや操作ボタンの配置位置に応じた認識領域のシフトを実現することができ、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、ユーザが操作ボタンをタッチした場合に、操作が受け付けられる確実性をより向上させることができ、操作装置および画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 複合機
200 操作パネル
201 タッチパネル
401 タッチパネル制御部
402 表示制御部
403 押圧位置検出部
404 ボタン区分保持部
405 相対位置算出部
406 認識領域シフト部
407 移動制限保持部
408 識別情報取得部
409 指示認識部
410 識別情報入力部
411 認証部
412 動作制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に複数の操作ボタンを表示するとともに、当該表示面における押圧位置を検出するタッチパネルと、
前記表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンが属する区分との対応関係を記憶するボタン区分保持部と、
前記操作ボタンに設定された基準位置と当該操作ボタンに対してなされた操作の際の押圧位置との相対位置を算出する相対位置算出部と、
前記算出された相対位置に基づいて、当該相対位置が算出された操作ボタンと同一の前記区分に属する各操作ボタンについて、各操作ボタンへの操作であると判定する前記表示面における押圧位置範囲である認識領域をシフトさせる、認識領域シフト部と、
を備える操作装置。
【請求項2】
前記表示面に表示される各操作ボタンと、各操作ボタンの前記認識領域の移動制限との対応関係を記憶する移動制限保持部をさらに備え、
前記認識領域シフト部は、前記算出された相対位置と前記移動制限保持部に保持された移動制限とに基づいて、前記認識領域をシフトさせる、請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記タッチパネルを操作するユーザを特定するための識別情報を取得する識別情報取得部をさらに備え、
前記認識領域シフト部は、前記認識領域のシフト量を示す情報を、当該操作をしたユーザの識別情報と対応づけて記憶するとともに、当該ユーザがタッチパネルを操作する際に、当該情報を読み出して前記認識領域をシフトさせる、請求項1または2記載の操作装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の操作装置を備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−175456(P2011−175456A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38982(P2010−38982)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】