説明

操舵制御装置

【課題】道路状態や走行状態に応じた目標舵角を設定し、この目標舵角に近づくように操舵反力トルクの制御や、自動操舵の制御時、ドライバの操舵による負担を低減する操舵制御装置を提供する。
【解決手段】操向輪の転舵角と走行路形状に応じた転舵角である目標転舵角との差が小さくなる方向に、操向輪の転舵角が変化しているときには、操舵量に対して転舵量が大きくなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、道路状態や走行状態に応じた目標舵角を設定し、この目標舵角に近づくように操舵反力トルクを制御することや、自動操舵を行う制御について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−315240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、ドライバの操舵による負担を十分に低減することができないおそれがあるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目されたもので、その目的とするところは、ドライバの操舵による負担を低減することができる操舵制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、操向輪の転舵角と走行路形状に応じた転舵角である目標転舵角との差が小さくなる方向に、操向輪の転舵角が変化しているときには、操舵量に対して転舵量が大きくなるようにした。
【発明の効果】
【0006】
よって、ドライバの操舵量を低減することが可能となり、操舵による負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の操舵制御装置の全体構成図である。
【図2】実施例1のコントローラの制御ブロック図である。
【図3】実施例1の転舵補正実行判定部の制御ブロック図である。
【図4】実施例1の転舵補正実行判定部において行われる転舵補正実行判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【図6】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【図7】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【図8】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【図9】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【図10】実施例1の目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施例1]
〔全体構成〕
実施例1の操舵制御装置1の構成を説明する。
図1は、実施例1の操舵制御装置1の全体構成図である。この操舵制御装置1は、前輪2が転舵を行う操向輪となっている。実施例1の操舵制御装置1は、ステアリングホイール11と前輪2とが機械的に切り離された、いわゆる、ステアバイワイヤシステムである。
【0009】
(操舵側機構)
実施例1の操舵制御装置1は操舵側の機構として、運転者が操舵を行うステアリングホイール11(操舵手段)と、ステアリングホイール11に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータ9とを有している。
【0010】
(転舵側機構)
実施例1の操舵制御装置1は転舵側の機構として、前輪2を転舵駆動する転舵アクチュエータ6と、転舵アクチュエータ6に接続されたピニオンギヤ5と、ピニオンギヤ5と噛み合うラックギヤ4と、ラックギヤ4の軸方向の力をナックルアーム3を介して前輪2に転舵力として伝達するタイロッド19とを有している。
【0011】
(制御機構)
実施例1の操舵制御装置1は、操舵反力アクチュエータ9、転舵アクチュエータ6を制御するコントローラ8と、運転者によって操舵されるステアリングホイール11の操舵角を検出する操舵角センサ10と、前輪2の転舵角を検出する転舵角センサ7と、ステアリングホイール11の操舵角を検出する操舵角センサ10と、自車両周辺の状況を検出する超音波センサ12、電波レーダ13、カメラ14、ナビゲーションシステム15と、自車両の横加速度を検出する横加速度センサ16と、自車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ17と、自車両の速度を検出する車速センサ18を有している。
【0012】
超音波センサ12は、自車両の周辺に超音波を送信し、その反射波を受信して、受信した反射波情報をコントローラ8に出力する。電波レーダ13は、自車両の周辺に電磁波を送信し、その反射波を受信して、受信した反射波情報をコントローラ8に出力する。カメラ14は、自車両周辺を撮影し、撮影した画像データをコントローラ8に出力する。ナビゲーションシステム15は、地図情報を有し、GPSにより特定された現在位置周辺の道路情報をコントローラ8に出力する。
【0013】
〔コントローラの詳細〕
図2は、コントローラ8の制御ブロック図である。コントローラ8は、目標転舵角演算部20と、操舵転舵角演算部21と、操舵角速度演算部22と、転舵補正実行判定部23と、操舵反力演算部24と、転舵補正角演算部25と、転舵アクチュエータ制御部26と操舵反力アクチュエータ制御部27と、操舵補正反力演算部28と、加減算部29,30,31,32を有している。
【0014】
(目標転舵角演算部)
目標転舵角演算部20は、超音波センサ12から超音波の反射波の情報を、電波レーダ13から電磁波の反射波の情報を、カメラ14から画像データを、ナビゲーションシステム15から現在地周辺の道路情報を、横加速度センサ16から自車両の横加速度を、ヨーレートセンサ17から自車両のヨーレートを、車速センサ18から自車両の速度を入力し、目標転舵角を演算する。目標転舵角は、自車両が走行している走行路のカーブの曲率や、自車両周辺の障害物等の自車両周囲情報に応じて自車両が走行すべき目標走行ラインを設定し、現在の自車両の速度で設定した目標走行ラインを走行できるように設定した操舵角である。
【0015】
目標転舵角演算部20は、超音波センサ12から入力した超音波の反射波の情報、電波レーダ13から入力した電磁波の反射波の情報から自車両周辺の障害物または他車両の有無、障害物または他車両までの距離および方向等を求める。また目標転舵角演算部20は、カメラ14から入力した画像データからガードレールや白線の形状を読み取り、自車両前方の道路形状を求める。また目標転舵角演算部20は、ナビゲーションシステム15から入力した現在地周辺の道路情報から、自車両前方の道路形状を求める。ここで道路形状とは、直線、カーブ、交差点などの有無、カーブの曲率などの形状、自車両からの相対距離等のことを示す。
【0016】
目標転舵角演算部20は、入力した上記の情報から自車両の走行路に対する目標転舵角を算出する。目標転舵角は、目標走行ラインに対する横位置、ヨー角と、自車両の速度に応じて、次の式により設定することができる。
θd = A×yd + B×φd
ここで、θtは目標転舵角、A,Bは自車両の速度に応じたゲイン、ydは目標走行ラインに対する横位置、φdは目標走行ラインに対するヨー角を示す。なお、横位置とは走行車線内における自車両の車線幅方向の位置を表し、目標走行ラインに対する横位置ydとは目標走行ラインに対する自車両の車線幅方向の位置、すなわち目標走行ラインと自車両の車線幅方向における距離を表す。目標走行ラインの設定の仕方は様々あるが、例えば走行路中心付近を目標走行ラインに設定し、また例えば自車両前方に障害物があるときにはその障害物を回避できるように目標走行ラインを設定することができる。目標走行ラインは、自車両の位置、カーブの曲率、障害物の有無、障害物までの距離、横加速度から推定される路面カント量などを用いて設定する。目標走行ラインに対する横位置、ヨー角は、上記のように求めた道路形状や自車両の位置、ヨーレートによって算出することが可能である。
【0017】
(操舵転舵角演算部)
操舵転舵角演算部21は、車速センサ18から自車両の速度を、操舵角センサ10から操舵角を入力し、操舵角と自車両の速度に応じた前輪2の転舵角(操舵転舵角)を演算する。実施例1の操舵制御装置1では、自車両の速度に応じてステアリングホイール11の操舵角に対して前輪2の転舵角を可変にしている。例えば、低速のときには操舵角に対する転舵角(ギヤ比とも言う)を大きくするように制御し、車両の旋回性を高くするようにしている。一方、高速のときには操舵角に対する転舵角を小さくするように制御し、車両の直進安定性を確保するようにしている。具体的には、例えば車速に対するギヤ比をマップとして記憶しておき、車速に基づいたギヤ比を操舵角に乗算することによって前輪2の転舵角(操舵転舵角)を演算する。
【0018】
(操舵角速度演算部)
操舵角速度演算部22は、操舵角センサ10から操舵角を入力し、操舵角速度を演算する。
【0019】
(転舵補正実行判定部)
加減算部29は、目標転舵角演算部20から目標転舵角と、転舵角センサ7から転舵角(実際の転舵角)を入力し、目標転舵角と転舵角の偏差を転舵偏差角として演算する。
転舵補正実行判定部23は、操舵角センサ10から操舵角を、操舵角速度演算部22から操舵角速度を、加減算部29から転舵偏差角を入力し、転舵補正実行を判定する。
【0020】
図3は転舵補正実行判定部23の制御ブロック図である。転舵補正実行判定部23は、転舵偏差角判定部33と、操舵判定部34と、操舵方向判定部35と、操舵速度判定部36と、操舵量判定部37と、転舵補正判定部38と、転舵偏差角速度演算部39を有している。
転舵偏差角判定部33は、転舵偏差角を入力し、転舵偏差角が閾値(第1の設定偏差)より大きいか否かを判定する。転舵偏差角が閾値より大きい場合、ドライバの操舵による前輪2の転舵角が、目標走行ラインに沿った転舵角ではないことを示す。
操舵判定部34は、操舵角速度を入力し、操舵角速度がゼロ(第1の設定角速度以下)であるか否かを判定している。操舵角速度がゼロであることは、ドライバが意図して操舵を行っていないことを示す。なお、操舵角速度がゼロとは、操舵角速度が運転者が意図して操舵を行なっている際の操舵角速度以下であることを意味する。従って、操舵判定部34は、操舵角速度が予め実験等によって設定された運転者が意図して操舵を行なった際の操舵角速度以下である場合に操舵角速度がゼロと判定する。
【0021】
転舵偏差角速度演算部39は、転舵偏差角を入力し、転舵偏差角の絶対値の変化率(速度)を算出する。
操舵方向判定部35は、転舵偏差角の絶対値の変化率を入力し、転舵偏差角の絶対値の変化率がゼロ未満であるか否かを判定する。転舵偏差角の絶対値の変化率がゼロ未満である場合とは、転舵偏差角の絶対値が減少している場合であり、すなわちドライバが目標走行ラインを走行できるように目標転舵角に向かって修正操舵をしている可能性が有る状態であることを示す。逆に転舵偏差角の絶対値の変化率がゼロより大きい場合とは、転舵偏差角の絶対値が増大している場合であり、すなわちドライバは目標走行ラインから外れて走行しようとしている可能性が有ることを示す。
【0022】
操舵速度判定部36は、操舵角速度を入力し、操舵速度が閾値(第2の設定角速度。但し第2の設定角速度>第1の設定角速度とする)より小さいか否かを判定する。操舵速度が閾値以上であることは、ドライバが目標走行ラインを走行できるように目標転舵角に向かって修正操舵をしている状態ではなく、緊急回避やレーンチェンジなどを行おうとしている等の、ドライバが確実に目標転舵角に向かって修正操舵をしていないと判定できる状態であることを示す。
【0023】
操舵量判定部37では、ドライバが目標走行ラインを走行できるように目標転舵角に向かって修正操舵し始めてからの操舵量が閾値より大きいか否かを判定する。操舵量が閾値より大きいことは、ドライバが目標走行ラインを走行できるように目標転舵角に向かって意図して修正操舵をしている状態であることを示す。
【0024】
転舵補正判定部38は、各判定部における判定結果に応じて転舵補正の実行、転舵補正維持の実行、転舵補正減少の実行を判断する。転舵補正の実行とは、前輪2の転舵角が目標転舵角に近づくように補正転舵を演算し、この転舵補正角と操舵転舵角(操舵角に応じた転舵角)との和に基づいて転舵アクチュエータ6を制御するモードの実行を示す。転舵補正維持の実行とは、直前の転舵補正角を維持し、この維持した転舵補正角と操舵転舵角との和に基づいて転舵アクチュエータ6を制御するモードの実行を示す。転舵補正減少の実行とは、直前の転舵補正角を漸減させ、この漸減した転舵補正角と操舵転舵角との和に基づいて転舵アクチュエータ6を制御するモードの実行を示す。
【0025】
(転舵補正角演算部)
転舵補正角演算部25は、転舵補正実行判定部23から転舵補正実行の判定結果を、操舵角速度演算部22から操舵角速度を、加減算部29から転舵偏差角を入力し、転舵補正角を演算する。
【0026】
<転舵補正の実行時>
転舵補正実行判定部23から転舵補正の実行の判定を入力したときには、前輪2の転舵角をドライバの操舵による操舵転舵角に対して増大補正するように転舵補正角を演算する。転舵補正角は、操舵角速度、転舵偏差角、自車両の速度に応じて、次の式により設定することができる。
θo = C×θh' + D×Δθt
ここで、θoは転舵補正角、C,Dは自車両の速度に応じたゲイン、θh'は操舵角速度、Δθtは転舵偏差角を示す。つまり転舵補正角は、操舵角速度が大きいほど、また転舵偏差角が大きいほど、大きな値として演算される。
【0027】
<転舵補正維持の実行時>
転舵補正実行判定部23から転舵補正維持の実行の判定を入力したときには、直前の転舵補正角を維持するように転舵補正角を演算する。
【0028】
<転舵補正減少の実行時>
転舵補正実行判定部23から転舵補正減少の実行の判定を入力したときには、転舵補正角を漸減させ、最終的にゼロとなるように転舵補正角を演算する。
【0029】
(転舵アクチュエータ制御部)
加減算部31は、転舵補正角演算部25から転舵補正角を、操舵転舵角演算部21から操舵転舵角を入力し、操舵転舵角と転舵補正角との和を演算する。
加減算部30は、加減算部31から操舵転舵角と転舵補正角との和を、転舵角センサ7から転舵角を入力し、操舵転舵角と転舵補正角との和と、転舵角との偏差を演算する。
【0030】
転舵アクチュエータ制御部26は、操舵転舵角と転舵補正角の和と、前輪2の転舵角との偏差を入力し、この値に基づいて転舵アクチュエータ6を駆動する転舵指令信号を演算する。転舵アクチュエータ6はこの転舵指令信号に基づき、前輪2の転舵角が目標転舵角となるように(操舵転舵角と転舵補正角との和と、転舵角との偏差がゼロとなるように)転舵させる。
【0031】
(操舵反力演算部)
操舵反力演算部24は、操舵転舵角演算部21から操舵転舵角を入力し、操舵反力を演算する。この操舵反力は、ドライバの操舵により前輪2が転舵される操舵転舵角が大きくなるほど大きな反力となるように設定されている。操舵反力は操舵転舵角にのみ応じて設定するのではなく、操舵角や自車両の速度に応じて設定するようにしても良い。
【0032】
(操舵補正反力演算部)
操舵補正反力演算部28は、転舵補正角演算部25から転舵補正角を入力し、操舵補正反力を演算する。この操舵補正反力は、転舵補正角が大きくなるほど大きな補正反力となるように設定されている。操舵補正反力は、転舵補正角が大きくなるほど操舵反力が小さくなるようにして、ドライバの操舵負荷を小さくするものである。
【0033】
(操舵反力アクチュエータ制御部)
加減算部32は、操舵反力演算部24から操舵反力を、操舵補正反力演算部28から操舵補正反力を入力し、操舵反力演算部24で算出された操舵反力から操舵補正反力を減算した値を演算する。これにより操舵反力アクチュエータ9により発生する力は、操舵反力演算部24で算出された操舵反力より操舵補正反力分だけ小さな力となる。
操舵反力アクチュエータ制御部27は、操舵反力演算部24で算出された操舵反力から操舵補正反力を減算した値を入力し、操舵反力アクチュエータ9を駆動する操舵反力指令信号を演算する。操舵反力アクチュエータ9はこの操舵反力指令信号に基づき、ステアリングホイール11に操舵反力演算部24で算出された操舵反力から操舵補正反力を減算した値に相当する操舵反力を発生させる。
【0034】
〔転舵補正実行判定処理〕
図4は、転舵補正実行判定部23において行われる転舵補正実行判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップS1では転舵偏差角Δθt(目標転舵角と転舵角の偏差)が閾値より大きいか否かを判定し、転舵偏差角Δθtが閾値より大きいときにはステップS2へ移行し、転舵偏差角Δθtが閾値未満のときにはステップS10へ移行する。
【0036】
ステップS2では操舵角速度dθh/dtがゼロであるか否かを判定し、操舵角速度dθh/dtがゼロでないときにはステップS3へ移行し、操舵角速度dθh/dtがゼロであるときにはステップS10へ移行する。
【0037】
ステップS3では転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であるか否かを判定し、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であるときにはステップS4へ移行し、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ以上であるときにはステップS9へ移行する。
【0038】
ステップS4では操舵角速度dθh/dtが閾値未満であるか否かを判定し、操舵角速度dθh/dtが閾値未満であるときにはステップS5へ移行し、操舵角速度dθh/dtが閾値以上であるときにはステップS9へ移行する。
【0039】
ステップS5では、ループ回数カウンタloopをインクリメントしてステップS6へ移行する。
ステップS6ではカウンタloop=1となってからの操舵量が閾値より大きいか否かを判定し、操舵量が閾値より大きいときにはステップS7へ移行し、操舵量が閾値イカであると筋はステップS10へ移行する。
【0040】
ステップS7では、転舵補正を実行すると判定してステップS8へ移行する。
ステップS8では、転舵補正実行フラグFlagを立てて(Flag=1)として処理を終了する。
【0041】
ステップS9では、転舵補正実行フラグFlagを初期化(Flag=0)してステップS10へ移行する。
ステップS10では、転舵補正実行フラグFlag=1であるか否かを判定し、転舵補正実行フラグFlag=1であるときにはステップS11へ移行し、転舵補正実行フラグFlag=1でないときにはステップS13へ移行する。
【0042】
ステップS11では、転舵補正維持を実行すると判定してステップS12へ移行する。
ステップS12では、カウンタloopを初期化して処理を終了する。
【0043】
ステップS13では、転舵補正角がゼロであるか否かを判定し、転舵補正角がゼロでないときにはステップS14へ移行し、転舵補正角がゼロであるときにはステップS15へ移行する。
ステップS14では、転舵補正フェードアウト(転舵補正角の漸減)を実行すると判定して処理を終了する。
ステップS15では、転舵補正なしと判定して処理を終了する。
【0044】
〔転舵補正実行判定処理動作〕
次に、転舵補正実行判定処理の動作について説明する。
【0045】
(転舵補正を実行すると判定される場合)
転舵補正を実行すると判定される場合は、転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値未満であり、カウンタloop=1となってからの操舵量が閾値以下であるときである。このときステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8と進み、ステップS7で転舵補正を実行すると判定される。
【0046】
(転舵補正維持を実行すると判定される場合)
転舵補正維持を実行すると判定される場合は、(1)転舵偏差角Δθtが閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=1のとき、(2)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロであり、転舵補正実行フラグFlag=1のとき、(3)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ以上であり、転舵補正実行フラグFlag=1のとき、(4)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値以上であり、転舵補正実行フラグFlag=1のとき、(5)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値未満であり、カウンタloop=1からの操舵量が閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=1のときである。
【0047】
上記(1)のときにはステップS1→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進み、ステップS11では転舵補正維持を実行すると判定される。上記(2)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進み、ステップS11では転舵補正維持を実行すると判定される。上記(3)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進み、ステップS11では転舵補正維持を実行すると判定される。上記(4)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進み、ステップS11では転舵補正維持を実行すると判定される。上記(5)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進み、ステップS11では転舵補正維持を実行すると判定される。
【0048】
(転舵補正フェードアウトを実行すると判定される場合)
転舵補正フェードアウトを実行すると判定される場合は、(1)転舵偏差角Δθtが閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロでないとき、(2)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロであり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロでないとき、(3)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ以上であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロでないとき、(4)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値以上であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロでないとき、(5)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値未満であり、カウンタloop=1からの操舵量が閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロでないときである。
【0049】
上記(1)のときにはステップS1→ステップS10→ステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14では転舵補正フェードアウトを実行すると判定される。上記(2)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS10→ステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14では転舵補正フェードアウトを実行すると判定される。上記(3)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS9→ステップS10→ステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14では転舵補正フェードアウトを実行すると判定される。上記(4)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS9→ステップS10→ステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14では転舵補正フェードアウトを実行すると判定される。上記(5)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS10→ステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14では転舵補正フェードアウトを実行すると判定される。
【0050】
(転舵補正なしと判定される場合)
転舵補正なしと判定される場合は、(1)転舵偏差角Δθtが閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロであるとき、(2)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロであり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロであるとき、(3)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ以上であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロであるとき、(4)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値以上であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロであるとき、(5)転舵偏差角Δθtが閾値より大きく、操舵角速度dθh/dtがゼロでなく、転舵偏差角の絶対値の変化率d|Δθt|がゼロ未満であり、操舵角速度dθh/dtが閾値未満であり、カウンタloop=1からの操舵量が閾値以下であり、転舵補正実行フラグFlag=0であり、転舵補正角がゼロであるときである。
【0051】
上記(1)のときにはステップS1→ステップS10→ステップS13→ステップS15へと進み、ステップS15では転舵補正なしと判定される。上記(2)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS10→ステップS13→ステップS15へと進み、ステップS15では転舵補正なしと判定される。上記(3)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS9→ステップS10→ステップS13→ステップS15へと進み、ステップS15では転舵補正なしと判定される。上記(4)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS9→ステップS10→ステップS13→ステップS15へと進み、ステップS15では転舵補正なしと判定される。上記(5)のときにはステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS10→ステップS13→ステップS15へと進み、ステップS15では転舵補正なしと判定される。
【0052】
〔タイムチャート〕
次に、各場面における目標転舵角、実転舵角、操舵転舵角、転舵補正角の時間変化について説明する。
【0053】
(場面1)
図5は、カーブ走行中にドライバが修正操舵を行っている場合のタイムチャートである。図5の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。また、カーブの曲率は一定であるものとする。
【0054】
目標転舵角は、カーブの入り口である時間t0において立ち上がり、時間t4以降は一定曲率のカーブに進入しているため一定となる。
時間t0までは、目標転舵角と操舵転舵角とは一致している。そのため転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t0から操舵を開始し、時間t1までは目標転舵角に追従して操舵を行っているため、転舵補正は実行されていない。
【0055】
ドライバは時間t1から時間t2まで操舵角を維持している。このとき操舵転舵角は目標転舵角に追従しないようになるが操舵角速度がゼロであるため、転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t2から目標転舵角に向けて操舵をし始めるが、時間t3までは操舵量が閾値以下であるため、転舵補正は実行されていない。
【0056】
時間t3で操舵量が閾値より大きくなると、転舵補正が実行される。転舵補正が実行されると、実転舵角は操舵転舵角に対して転舵補正角分を増大した量となる。
時間t5では転舵角偏差が閾値以下となる。そのため、それ以降の転舵補正角は時間t5のときの転舵補正角を維持することとなる。
ドライバによる操舵により時間t6において実転舵角が目標転舵角と一致している。
【0057】
転舵補正が実行されていない場合には、時間t7において操舵転舵角と目標転舵角とが一致することとなる。つまり、転舵補正が実行されることにより、操舵転舵角は小さくすることができ、言い換えるとドライバによるステアリングの操作量を小さくできる。また、修正操舵を完了する時間を短くすることができる。なお修正操舵とは、ドライバによる、実転舵角を目標転舵角とする為の操舵操作であり、目標ラインに沿って走行する為の操舵操作である。
【0058】
(場面2)
図6は、一定曲率のカーブ走行中にドライバが修正操舵を行っている場合のタイムチャートである。図6の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。
【0059】
目標転舵角は、常に一定の転舵角を維持するように設定されている。
ドライバは操舵を開始しているが、操舵転舵角は目標転舵角に追従していないため、転舵補正が実行されている。
【0060】
時間t10では転舵角偏差が閾値以下となる。そのため、それ以降の転舵補正角は時間t10のときの転舵補正角を維持することとなる。
ドライバによる操舵により時間t11において実転舵角が目標転舵角と一致している。
【0061】
転舵補正が実行されていない場合には、時間t12において操舵転舵角と目標転舵角とが一致することとなる。つまり、転舵補正が実行されることにより、操舵転舵角は小さくすることができ、言い換えるとドライバによるステアリングの操作量を小さくできる。また、修正操舵を完了する時間を短くすることができる。
【0062】
(場面3)
図7は、カーブ走行中にドライバが修正操舵を行っている場合のタイムチャートである。しかし場面1と異なり、転舵補正が実行された後に操舵をしばらく止めている。図7の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。
【0063】
目標転舵角は、カーブの入り口である時間t20において立ち上がり、時間t24以降は転舵角を維持するように設定されている。
時間t20までは、目標転舵角と操舵転舵角とは一致している。そのため転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t20から操舵を開始し、時間t21までは目標転舵角に追従して操舵を行っているため、転舵補正は実行されていない。
【0064】
ドライバは時間t21から時間t22まで操舵角を維持している。このとき操舵転舵角は目標転舵角に追従しないようになるが操舵角速度がゼロであるため、転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t22から目標転舵角に向けて操舵をし始めるが、時間t23までは操舵量が閾値以下であるため、転舵補正は実行されていない。
【0065】
時間t23で操舵量が閾値より大きくなると、転舵補正が実行される。転舵補正が実行されると、実転舵角は操舵転舵角に対して転舵補正角分を増大した量となる。
時間t25から時間t26ではドライバは操舵角を維持している。そのため時間t25から時間t26までの転舵補正角は時間t25のときの転舵補正角を維持することとなる。
【0066】
ドライバは時間t26からステアリングホイール11を切り増していき操舵角が増えるため、転舵補正が実行されている。
時間t27では転舵角偏差が閾値以下となる。そのため、それ以降の転舵補正角は時間t27のときの転舵補正角を維持することとなる。
ドライバによる操舵により時間t28において実転舵角が目標転舵角と一致している。
【0067】
転舵補正が実行されていない場合には、時間t29において操舵転舵角と目標転舵角とが一致することとなる。つまり、転舵補正が実行されることにより、操舵転舵角は小さくすることができ、言い換えるとドライバによるステアリングの操作量を小さくできる。また、修正操舵を完了する時間を短くすることができる。
【0068】
(場面4)
図8は、カーブ走行中に実転舵角が目標転舵角になった後もステアリングホイール11を切り増している場合のタイムチャートである。図8の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。
【0069】
目標転舵角は、カーブの入り口である時間t30において立ち上がり、時間t34以降は転舵角を維持するように設定されている。
時間t30までは、目標転舵角と操舵転舵角とは一致している。そのため転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t30から操舵を開始し、時間t31までは目標転舵角に追従して操舵を行っているため、転舵補正は実行されていない。
【0070】
ドライバは時間t31から時間t32まで操舵角を維持している。このとき操舵転舵角は目標転舵角に追従しないようになるが操舵角速度がゼロであるため、転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t32から目標転舵角に向けて操舵をし始めるが、時間t33までは操舵量が閾値以下であるため、転舵補正は実行されていない。
【0071】
時間t33で操舵量が閾値より大きくなると、転舵補正が実行される。転舵補正が実行されると、実転舵角は操舵転舵角に対して転舵補正角分を増大した量となる。
時間t35では転舵角偏差が閾値以下となる。そのため、転舵補正角は時間t35のときの転舵補正角を維持することとなる。
時間t36では転舵角偏差が閾値より大きくなる。そのため転舵補正角を漸減させ、時間t37において転舵補正角はゼロとなる。
時間t37以降、操舵転舵角は目標転舵角から離れる方向に変化するため転舵補正は実行されない。
【0072】
(場面5)
図9は、カーブ走行中に実転舵角が目標転舵角になった後もステアリングホイール11を切り増している場合のタイムチャートである。図9の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。
【0073】
目標転舵角は、カーブの入り口である時間t40において立ち上がり、時間t44以降は転舵角を維持するように設定されている。
時間t40までは、目標転舵角と操舵転舵角とは一致している。そのため転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t40から操舵を開始し、時間t41までは目標転舵角に追従して操舵を行っているため、転舵補正は実行されていない。
【0074】
ドライバは時間t41から時間t42まで操舵角を維持している。このとき操舵転舵角は目標転舵角に追従しないようになるが操舵角速度がゼロであるため、転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t42から目標転舵角に向けて操舵をし始めるが、時間t43までは操舵量が閾値以下であるため、転舵補正は実行されていない。
【0075】
時間t43で操舵量が閾値より大きくなると、転舵補正が実行される。転舵補正が実行されると、実転舵角は操舵転舵角に対して転舵補正角分を増大した量となる。
時間t45では転舵角偏差が閾値以下となる。そのため、転舵補正角は時間t45のときの転舵補正角を維持することとなる。
【0076】
ドライバの操舵により時間t46において実転舵角が目標転舵角と一致している。
時間t47ではドライバが切り戻し操舵を開始し、時間t48において転舵角偏差が閾値より大きくなる。時間t45から時間t47までは転舵角偏差が閾値以下であるため、転舵補正角は時間t45の転舵補正角を維持することとなる。また時間t48以降は転舵補正角を漸減させ、時間t49において転舵補正角はゼロとなる。
時間t49以降、操舵転舵角は目標転舵角から離れる方向に変化するため転舵補正は実行されない。
【0077】
(場面6)
図10は、カーブ走行中にドライバが修正操舵を行っている場合のタイムチャートである。しかし場面1と異なり、転舵補正が実行された後に操舵をしばらく止めた後、急操舵を行っている。図10の細一転鎖線は目標転舵角を、太実線は実転舵角を、細実線は操舵転舵角を、太一点鎖線は転舵補正角を示す。また細一点鎖線の上下の点線は目標転舵角に対する偏差が閾値以下である範囲を示し、細実線から続く点線は転舵補正角を増大しなかったときの実転舵角を示す。
【0078】
目標転舵角は、カーブの入り口である時間t50において立ち上がり、時間t54以降は転舵角を維持するように設定されている。
時間t50までは、目標転舵角と操舵転舵角とは一致している。そのため転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t50から操舵を開始し、時間t51までは目標転舵角に追従して操舵を行っているため、転舵補正は実行されていない。
【0079】
ドライバは時間t51から時間t52まで操舵角を維持している。このとき操舵転舵角は目標転舵角に追従しないようになるが操舵角速度がゼロであるため、転舵補正は実行されていない。
ドライバは時間t52から目標転舵角に向けて操舵をし始めるが、時間t53までは操舵量が閾値以下であるため、転舵補正は実行されていない。
【0080】
時間t53で操舵量が閾値より大きくなると、転舵補正が実行される。転舵補正が実行されると、実転舵角は操舵転舵角に対して転舵補正角分を増大した量となる。
時間t55から時間t56ではドライバは操舵角を維持している。そのため時間t25から時間t56までの転舵補正角は時間t55のときの転舵補正角を維持することとなる。
【0081】
ドライバは時間t56からステアリングホイール11を切り増していくが、その操舵速度は閾値より大きい。そのため舵補正角を漸減させ、時間t57において転舵補正角はゼロとなる。
時間t57以降も操舵角度が閾値より大きいため転舵補正は実行されない。
【0082】
〔作用〕
実転舵角が目標転舵角となるようにするには、転舵角が目標転舵角に近づく方向に操舵できるように操舵アシストトルクを付与することで実現できる。
しかしながら、操舵アシストトルクを付与したとしても、ドライバの操舵量は変わらず、ドライバの負担を十分に低減できていない。
【0083】
そこで実施例1の操舵制御装置1では、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化しているときには、操舵量(操舵角の変化量)に対して転舵量(転舵角の変化量)が大きくなるように転舵補正角を演算し、前輪2の転舵角が、操舵転舵角と転舵補正角との和となるように転舵アクチュエータ6を制御するようにした。
よって、ドライバの操舵により発生する操舵転舵角に加えて、転舵補正角分が増大されたものが前輪2の実転舵角となるため、ドライバのステアリングホイール11の操舵量を低減でき、ドライバの負担を軽減できる。また実転舵角を目標転舵角に早く一致させることができ、走行路形状に応じて車両挙動を迅速に制御することができる。
また、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化しているときに転舵補正を実行するようにしたため、ドライバが走行路形状に合わせて修正操舵をしているときにのみ、転舵補正角を付与することが可能となる。そのため、ドライバの意図に沿った転舵を実現できる。
【0084】
また実施例1の操舵制御装置1では、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差が閾値より大きいときには転舵補正を実行するようにした
よって、転舵角偏差が小さく、車両挙動が目標走行ラインから大きく外れていないときには転舵補正は行われない。したがって、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0085】
また実施例1の操舵制御装置1では、操舵角速度がゼロでないときに転舵補正を実行するようにした。
よって、ドライバによる操舵が行われていないときには転舵補正が行われない。したがって、操舵が行われていないにも関わらず転舵角が増加することがなく、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0086】
また実施例1の操舵制御装置1では、操舵角速度が閾値より小さいときには転舵補正を実行するようにした。
よって、ドライバが急操舵したときには転舵補正が行われない。したがって、緊急回避やレーンチェンジ等が行われるようなときには転舵補正は行われず、ドライバの違和感を抑制することができる。
【0087】
また実施例1の操舵制御装置1では、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化し始めてからの操舵角の変位量が閾値より大きいときには転舵補正を実行するようにした。
ドライバが前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に操舵を始めたとしても、それが目標転舵角への修正操舵とは限らない。操舵角の変位量が閾値となってから転舵補正を実行することにより、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0088】
また実施例1の操舵制御装置1では、操舵角速度が大きいほど転舵補正角速度を大きく演算するようにした。
ドライバの操舵角速度の増減に応じて転舵角速度も増減するため、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0089】
また実施例1の操舵制御装置1では、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差が大きいほど転舵補正角速度を大きく演算するようにした。
よって、実転舵角を目標転舵角に早く近づけることができ、走行路形状に応じた車両挙動を早く実現することができる。
【0090】
また実施例1の操舵制御装置1では、転舵補正の実行を判定後、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が大きくなる方向に変化しているときには転舵補正減少を実行するようにした。
前輪2の転舵角と目標転舵角との差が大きくなる方向に変化しているときは、ドライバは修正操舵をやめている状況であり、転舵補正を継続することによるドライバの違和感を抑制することができる。
【0091】
また実施例1の操舵制御装置1では、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度が閾値以上であるときには転舵補正減少を実行するようにした。
よって、ドライバが急操舵したときには転舵補正を終了する。したがって、緊急回避やレーンチェンジ等が行われるようなときには行われず、ドライバの違和感を抑制することができる。
【0092】
また実施例1の操舵制御装置1では、転舵補正の実行を判定後、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差(転舵角偏差)が閾値以下であるときには転舵補正維持を実行するようにした。
よって、転舵角偏差が小さくなり、車両挙動が目標走行ラインから大きく外れていないときには転舵補正角を維持する。したがって、実転舵角が目標転舵角に近づいた以降の最終的な調整はドライバの操舵によって行い、制御ハンチングを防止することができる。
【0093】
また実施例1の操舵制御装置1では、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度がゼロであるときには転舵補正維持を実行するようにした。
よって、ドライバが操舵を行っていないにもかかわらず、転舵角が変化するといったドライバの違和感を抑制することができる。
【0094】
また実施例1の操舵制御装置1では、転舵補正角が大きくなるほど操舵補正反力が大きくなるように演算し、操舵反力から操舵補正反力を引いた反力となるように操舵反力アクチュエータ9を制御するようにした。
よって、転舵補正角が大きくなるほど操舵反力は小さくなり、ドライバにより修正操舵方向の操舵を促すことができる。
【0095】
〔効果〕
次に、実施例1の操舵制御装置1により得られる効果を下記に列記する。
【0096】
(1)ドライバにより操舵されるステアリングホイール11(操舵手段)と、ステアリングホイール11の操舵量に対して、前輪2(操向輪)の転舵量を可変にすることができる転舵アクチュエータ6(転舵アクチュエータ)と、操舵手段の操舵角を検出する操舵角検出手段(操舵角センサ)と、前輪2の転舵角を検出する転舵角センサ7(転舵角検出手段)と、操舵角に応じた前輪2の転舵角である操舵転舵角を演算する操舵転舵角演算部21(操舵転舵角演算手段)と、自車両の走行路形状を検出する超音波センサ12、電波レーダ13、カメラ14、ナビゲーションシステム15(走行路形状検出手段)と、走行路形状に応じた転舵角である目標転舵角を演算する目標転舵角演算部20(目標転舵角演算手段)と、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化しているときには転舵補正の実行と判定する転舵補正実行判定部(転舵補正実行判定手段)と、転舵補正の実行が判定されているときには、操舵量に対して転舵量が大きくなるように転舵補正角を演算する転舵補正角演算部25(転舵補正角演算手段)と、前輪2の転舵角が、操舵転舵角と転舵補正角との和となるように転舵アクチュエータ6を制御する転舵アクチュエータ制御部(転舵アクチュエータ制御手段)と、を設けた。
よって、ドライバの操舵により発生する操舵転舵角に加えて、転舵補正角分が増大されたものが前輪2の実転舵角となるため、ドライバのステアリングホイール11の操舵量を低減でき、ドライバの負担を軽減できる。また実転舵角を目標転舵角に早く一致させることができ、走行路形状に応じて車両挙動を迅速に制御することができる。
また、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化しているときに転舵補正を実行するようにしたため、ドライバが走行路形状に合わせて修正操舵をしているときにのみ、転舵補正角を付与することが可能となる。そのため、ドライバの意図に沿った転舵を実現できる。
【0097】
(2)転舵補正実行判定部23は、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差(転舵角偏差)が閾値(第1の設定偏差)より大きいときには転舵補正の実行と判定するようにした。
よって、転舵角偏差が小さく、車両挙動が目標走行ラインから大きく外れていないときには転舵補正は行われない。したがって、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0098】
(3)転舵補正実行判定部23は、操舵角速度がゼロ(第1の設定角速度)より大きい(ゼロでない)ときには転舵補正の実行と判定するようにした。
よって、ドライバによる操舵が行われていないときには転舵補正が行われない。したがって、操舵が行われていないにも関わらず転舵角が増加することがなく、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0099】
(4)転舵補正実行判定部23は、操舵角速度が閾値(第2の設定角速度)より小さいときには転舵補正の実行と判定するようにした。
よって、ドライバが急操舵したときには転舵補正が行われない。したがって、緊急回避やレーンチェンジ等が行われるようなときには転舵補正は行われず、ドライバの違和感を抑制することができる。
【0100】
(5)転舵補正実行判定部23は、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に変化し始めてからの操舵角の変位量が閾値(第1の設定変位量)より大きいときには転舵補正の実行と判定するようにした。
ドライバが前輪2の転舵角と目標転舵角との差が小さくなる方向に操舵を始めたとしても、それが目標転舵角への修正操舵とは限らない。操舵角の変位量が閾値となってから転舵補正を実行することにより、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0101】
(6)転舵補正角演算部25は、操舵角速度が大きいほど転舵補正角速度を大きく演算するようにした。
ドライバの操舵角速度の増減に応じて転舵角速度も増減するため、転舵補正によるドライバの違和感を抑制することができる。
【0102】
(7)転舵補正角演算部25は、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差が大きいほど転舵補正角速度を大きく演算するようにした。
よって、実転舵角を目標転舵角に早く近づけることができ、走行路形状に応じた車両挙動を早く実現することができる。
【0103】
(8)転舵補正実行判定部23は、転舵補正の実行を判定後、前輪2の転舵角と目標転舵角との差が大きくなる方向に変化しているときには転舵補正減少の実行と判定し、転舵補正角演算部25は、転舵補正減少の実行が判定されているときには、転舵補正角を小さくするように演算するようにした。
前輪2の転舵角と目標転舵角との差が大きくなる方向に変化しているときは、ドライバは修正操舵をやめている状況であり、転舵補正を継続することによるドライバの違和感を抑制することができる。
【0104】
(9)転舵補正実行判定部23は、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度が閾値(第3の設定角速度)以上であるときには転舵補正減少の実行と判定し、転舵補正角演算部25は、転舵補正減少の実行が判定されているときには、転舵補正角を小さくするように演算するようにした。
よって、ドライバが急操舵したときには転舵補正を終了する。したがって、緊急回避やレーンチェンジ等が行われるようなときには行われず、ドライバの違和感を抑制することができる。また転舵補正の実行時には、ステアリングホイール11と前輪2との中立位置がずれているが、転舵補正が終了したときには中立位置が一致させることができる。
【0105】
(10)転舵補正実行判定部23は、転舵補正の実行を判定後、目標転舵角と前輪2の転舵角との偏差(転舵角偏差)が閾値(第2の設定偏差)以下であるときには転舵補正維持の実行を判定し、転舵補正角演算部25は、転舵補正維持の実行が判定されているときには、転舵補正角を維持するように演算するようにした。
よって、転舵角偏差が小さくなり、車両挙動が目標走行ラインから大きく外れていないときには転舵補正角を維持する。したがって、実転舵角が目標転舵角に近づいた以降の最終的な調整はドライバの操舵によって行い、制御ハンチングを防止することができる。
【0106】
(11)転舵補正実行判定部23は、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度がゼロ(第4の設定角速度以下)であるときには転舵補正維持の実行を判定し、転舵補正角演算部25は、転舵補正維持の実行が判定されているときには、転舵補正角を維持するように演算するようにした
よって、ドライバが操舵を行っていないにもかかわらず、転舵角が変化するといったドライバの違和感を抑制することができる。
【0107】
(12)ステアリングホイール11に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータ9と、前輪2の転舵角に応じたステアリングホイール11の操舵反力を演算する操舵反力演算部24(操舵反力演算手段)と、転舵補正角が大きくなるほど操舵補正反力が大きくなるように演算する操舵補正反力演算部28(操舵補正反力演算手段)と、操舵反力から操舵補正反力を引いた反力となるように操舵反力アクチュエータ9を制御する操舵反力アクチュエータ制御部27(操舵反力アクチュエータ制御手段)とを設けた。
よって、転舵補正角が大きくなるほど操舵反力は小さくなり、ドライバにより修正操舵方向の操舵を促すことができる。
【0108】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば実施例1の操舵制御装置1はステアバイワイヤシステムとしたが、ステアリングホイール11と前輪2とが機械的に連結された状態であっても、可変舵角システムを有していれば良い。
また転舵補正実行判定部23では、操舵角速度がゼロであるか否かを判定している(図4:ステップS2)が、ドライバが操舵しているか否かを判定できる程度に操舵角速度の閾値を十分に小さい値に設定すれば良く、ゼロでなくとも構わない。
また転舵補正角を自車両の速度に応じたゲインを用いた式で求めているが、ゲインを固定にして操舵角速度に比例するようにしても良い。またゲインを転舵偏差角に応じて変化させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0109】
1 操舵制御装置
2 前輪(操向輪)
6 転舵アクチュエータ
7 転舵角センサ(転舵角検出手段)
9 操舵反力アクチュエータ
10 操舵角センサ(操舵角検出手段)
11 ステアリングホイール(操舵手段)
12 超音波センサ(走行路形状検出手段)
13 電波レーダ(走行路形状検出手段)
14 カメラ(走行路形状検出手段)
15 ナビゲーションシステム(走行路形状検出手段)
20 目標転舵角演算部(目標転舵角演算手段)
21 操舵転舵角演算部(操舵転舵角演算手段)
23 転舵補正実行判定部(転舵補正実行判定手段)
24 操舵反力演算部(操舵反力演算手段)
25 転舵補正角演算部(転舵補正角演算手段)
26 転舵アクチュエータ制御部(転舵アクチュエータ制御手段)
27 操舵反力アクチュエータ制御部(操舵反力アクチュエータ制御手段)
28 操舵補正反力演算部(操舵補正反力演算手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバにより操舵される操舵手段と、
前記操舵手段の操舵量に対して、操向輪の転舵量を可変にすることができる転舵アクチュエータと、
前記操舵手段の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記操向輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記操舵角に応じた操向輪の転舵角である操舵転舵角を演算する操舵転舵角演算手段と、
自車両の走行路形状を検出する走行路形状検出手段と、
前記走行路形状に応じた転舵角である目標転舵角を演算する目標転舵角演算手段と、
前記操向輪の転舵角と前記目標転舵角との差が小さくなる方向に、前記操向輪の転舵角が変化しているときには転舵補正の実行を判定する転舵補正実行判定手段と、
前記転舵補正の実行が判定されているときには、前記操舵量に対して前記転舵量が大きくなるように転舵補正角を演算する転舵補正角演算手段と、
前記操向輪の転舵角が、前記操舵転舵角と前記転舵補正角との和となるように前記転舵アクチュエータを制御する転舵アクチュエータ制御手段と、
を設けたことを特徴とする操舵制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操舵制御装置において、
転舵補正実行判定手段は、前記目標転舵角と前記操向輪の転舵角との偏差が第1の設定偏差より大きいときには転舵補正の実行と判定することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の操舵制御装置において、
転舵補正実行判定手段は、操舵角速度が第1の設定角速度より大きいときには転舵補正の実行と判定することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
転舵補正実行判定手段は、操舵角速度が第2の設定角速度より小さいときには転舵補正の実行と判定することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
転舵補正実行判定手段は、前記操向輪の転舵角と前記目標転舵角との差が小さくなる方向に変化し始めてからの操舵角の変位量が第1の設定変位量より大きいときには転舵補正の実行と判定することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記転舵補正角演算手段は、操舵角速度が大きいほど前記転舵補正角速度を大きく演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記転舵補正角演算手段は、前記目標転舵角と前記操向輪の転舵角との偏差が大きいほど前記転舵補正角速度を大きく演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
転舵補正実行判定手段は、転舵補正の実行を判定後、前記操向輪の転舵角と前記目標転舵角との差が大きくなる方向に変化しているときには転舵補正減少の実行と判定し、
前記転舵補正角演算手段は、前記転舵補正減少の実行が判定されているときには、前記転舵補正角を小さくするように演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記転舵補正実行判定手段は、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度が第3の設定角速度以上であるときには転舵補正減少の実行と判定し、
前記転舵補正角演算手段は、前記転舵補正減少の実行が判定されているときには、前記転舵補正角を小さくするように演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記転舵補正実行判定手段は、転舵補正の実行を判定後、前記目標転舵角と前記操向輪の転舵角との偏差が第2の設定偏差以下であるときには転舵補正維持の実行を判定し、
前記転舵補正角演算手段は、前記転舵補正維持の実行が判定されているときには、前記転舵補正角を維持するように演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記転舵補正実行判定手段は、転舵補正の実行を判定後、操舵角速度が第4の設定角速度以上であるときには前記転舵補正維持の実行を判定し、
前記転舵補正角演算手段は、前記転舵補正維持の実行が判定されているときには、前記転舵補正角を維持するように演算することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
操舵手段に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、
前記操向輪の転舵角に応じた操舵手段の操舵反力を演算する操舵反力演算手段と、
前記転舵補正角が大きくなるほど操舵補正反力が大きくなるように演算する操舵補正反力演算手段と、
前記操舵反力から前記操舵補正反力を引いた反力となるように前記操舵反力アクチュエータを制御する操舵反力アクチュエータ制御手段と、
を設けたことを特徴とする操舵制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−35709(P2012−35709A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176691(P2010−176691)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】