説明

攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置

【課題】液体試料全体を短時間で均一に攪拌することができ、測定誤差の発生を抑えることが可能な攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置を提供すること。
【解決手段】液体を保持する容器7と、容器に保持された液体Lに容器の外部から音波を照射する音波発生素子21とを備え、液体を非接触で攪拌する攪拌装置20、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置。音波発生素子21は、音波を気液界面近傍の液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して液体を攪拌する。音波発生素子21は、圧電基板21aと圧電基板上に設けられる電極21b,21cとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に保持された液体を音波によって非接触の下に攪拌する攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化学分析装置は、分析対象の液体試料の微量化に伴い、液体試料のいわゆるコンタミネーションを回避して液体試料を非接触で攪拌する目的で反応容器の外部から超音波を照射し、反応容器内の液体試料を攪拌混合することが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。この場合、液体試料を効率的に攪拌するうえで、反応容器内に先鋭的な音場を形成すると共に、減衰を抑制して超音波発生素子から液体試料まで超音波を伝搬させる必要がある。
【0003】
【特許文献1】特許第3168886号公報
【特許文献2】特開2000−146986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された化学分析装置は、反応容器外部に音波発生手段を設け、反応容器底面中央部付近に音波のエネルギー強度が収束するように構成されている。特許文献1の化学分析装置は、反応容器底面中央部付近に音波のエネルギー強度を収束させることにより、容器底面中央部付近に先鋭的な音場を形成する。このため、特許文献1の化学分析装置は、反応容器底面近傍にのみ音響流が生じ、液面まで音響流が到達し難いことから、反応容器の液体試料全体を短時間で均一に攪拌することが難しかった。
【0005】
また、特許文献2に開示された化学分析装置は、照射した音波によって液面付近を流動させて旋廻流を発生し、この旋廻流によって反応容器内の液体試料を攪拌している。このため、特許文献2の化学分析装置は、攪拌棒で液体試料を攪拌する場合と同様に空気を巻き込み易いことから、反応容器内の液体試料に気泡が発生し易く、液体試料を光学測定する際に誤差が生じ易いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体試料全体を短時間で均一に攪拌することができ、測定誤差の発生を抑えることが可能な攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、液体を保持する容器と、前記容器に保持された液体に前記容器の外部から音波を照射する音波発生素子とを備え、前記液体を非接触で攪拌する攪拌装置であって、前記音波発生素子は、前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生素子は、圧電基板と該圧電基板面上に設けられる電極とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、更に、前記音波発生素子は、音響レンズを有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、更に、前記音波発生素子を駆動する駆動信号の発生タイミング,周波数,振幅もしくは位相を制御する制御手段を備えている。
【0011】
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生素子は、前記容器と対向する面が湾曲面であり、当該湾曲面は前記音波が収束する焦点を複数有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記電極は、曲率半径の異なる湾曲面を有する複数の電極からなり、前記容器に保持された液体の液面に応じて駆動する電極が切り替えられることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記複数の電極は、同心円状の電極からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相により前記音波が収束する焦点の位置の数が異なることを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記複数の同心円状の電極は、面積が等しいことを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相が同位相の場合、前記焦点の位置が一つであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相が逆位相の場合、前記焦点の位置が複数であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記電極は、フェーズドアレイ状に配列される複数の電極からなることを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に係る攪拌装置は、上記の発明において、更に、前記容器に対する前記音波発生素子の位置を機械的に変更し、前記音波の収束位置を調整する位置調整手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項14に係る攪拌装置は、液体を保持する容器と、前記容器に保持された液体に前記容器の外部から音波を照射する音波発生素子とを備え、前記液体を非接触で攪拌する攪拌装置であって、前記容器は、前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させる内底面を有し、前記音波の収束によって生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする。
【0021】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項15に係る攪拌方法は、容器に保持された液体を音波によって非接触の下に攪拌する攪拌方法であって、前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする。
【0022】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項16に係る分析装置は、検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記攪拌装置を用いて前記液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置は、音波を気液界面近傍の液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌するので、液体試料全体を短時間で均一に攪拌し、測定誤差の発生を抑えることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置、攪拌方法及び攪拌装置を備えた分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で用いる本発明の攪拌方法を実施する攪拌装置を示す概略構成図である。図3は、図2の攪拌装置のA部を拡大して音響放射圧と音響流とを示す説明図である。図4は、図2に示す反応容器に液体を満たし、攪拌装置によって超音波を照射した場合の鉛直方向における音響エネルギーの分布を示す音響エネルギー分布図である。
【0025】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応テーブル6及び試薬テーブル13が互いに離間してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応テーブル6との間に検体分注機構5が設けられ、反応テーブル6と試薬テーブル13との間には試薬分注機構12が設けられている。
【0026】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0027】
検体分注機構5は、検体を後述する反応容器7に分注する手段であり、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次後述する反応容器7に分注する。
【0028】
反応テーブル6は、図1に示すように、駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室6aが複数設けられている。各収納室6aは、攪拌容器として検体を試薬と反応させる反応容器7が着脱自在に収納される。また、反応テーブル6には、光源8及び排出装置11が設けられている。光源8は、試薬と検体とが反応した反応容器7内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射する。光源8から出射された分析用の光ビームは、反応容器7内の液体試料を透過し、光源8と対向する位置に設けた受光素子9によって受光される。一方、排出装置11は、図示しない排出ノズルを備えており、反応容器7から反応終了後の液体試料を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器7は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0029】
試薬分注機構12は、試薬を反応容器7に分注する手段であり、後述する試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0030】
反応容器7は、側壁7aと底壁7bとによって上部に開口7cを有する四角筒状に成形されている(図2参照)。反応容器7は、発音体21が発する超音波の位相整合条件及び振幅整合条件を満たし、光源8から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器7は、互いに平行な一組の側壁7aの下部が、光源8から出射された分析用の光ビームが透過し、液体試料を光学測定する測光部として利用される。反応容器7は、自動分析装置1に組み込まれた図2に示す攪拌装置20によって保持した液体試料が攪拌される。
【0031】
試薬テーブル13は、図1に示すように、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室13aは、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0032】
ここで、試薬テーブル13の外周には、試薬容器14に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する読取装置15が設置されている。制御部16は、受光素子9、排出装置11、読取装置15、分析部17、入力部18及び表示部19と接続され、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記バーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0033】
分析部17は、制御部16を介して受光素子9に接続され、受光素子9が受光した光量に基づく反応容器7内の液体試料の吸光度から検体の成分や濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0034】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器7に検体分注機構5が検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注する。検体が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって試薬分注機構12の近傍へ搬送されて所定の試薬容器14から試薬が分注される。そして、試薬が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される間に試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源8と受光素子9との間を通過する。このとき、反応容器7内の液体試料は、受光素子9によって測光され、分析部17によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、排出装置11によって反応終了後の液体試料が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0035】
このとき、自動分析装置1は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される反応容器7内の液体試料を攪拌装置によって攪拌し、試薬と検体とを反応させる。この液体試料の攪拌に用いる本発明の攪拌装置20及び攪拌方法を以下に説明する。
【0036】
攪拌装置20は、試薬分注機構12が反応容器7に試薬を分注する位置と互いに対向配置される光源8,受光素子9との間の収納室6a下部に配置されており、図2に示すように、発音体21、電源22及び音響整合層24を有している。
【0037】
発音体21は、図2に示すように、反応容器7の下部に音響整合層24を介して配置され、反応容器7に保持された液体試料に超音波を照射する音波発生素子である。発音体21は、反応容器7の底壁7bの表面よりも大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の圧電基板21aの両面に駆動電極21bとアース電極21cが形成されている。このとき、発音体21は、気液界面近傍の液体試料中の焦点Fに超音波が収束するように、反応容器7に分注される液体試料の液面位置に応じて予め圧電基板21aを所定の曲率半径を有する収束型の湾曲面に成形する。そして、発音体21は、反応容器7の軸心上に焦点Fが位置するように反応容器7の下部に配置する。
【0038】
電源22は、発音体21を駆動する交流電源である。音響整合層24は、反応容器7と発音体21との間の音響インピーダンスを最適化する手段で、エポキシ樹脂等の接着剤やシェラック等の他、ジェルや液体等を使用することができる。音響整合層24は、超音波の伝達効率を上げるため、発音体21が発する周波数の波長λに対して厚みがλ/4となるように調整する。
【0039】
以下、攪拌装置20による液体試料の攪拌方法を説明する。先ず、本発明の攪拌方法は、電源22から電力を供給して発音体21を駆動し、発生した超音波を反応容器7に音響整合層24を介して照射する。すると、超音波は、図2に示すように、音響整合層24を通って底壁7bから反応容器7に入射し、底壁7b内を伝搬した後、液体試料Lに出射される。このとき、攪拌装置20は、気液界面M(図3参照)近傍の液体試料L中の焦点Fに超音波が収束するように発音体21が湾曲面に成形されている。このため、発音体21は、図2に矢印で示すように、焦点Fに収束するように超音波を出射する。
【0040】
この結果、図3に示すように、発音体21が発した超音波Wuは、液体試料L中の焦点Fに収束する。このため、発音体21が発した超音波Wuによって、液体試料L中の音響エネルギーは、鉛直方向において図4に示す分布を有する。ここで、図4は、反応容器7を液体試料Lで満たして発音体21を駆動した場合の、焦点Fを通る反応容器7の軸心における底壁7bの内面を原点とした鉛直方向における音響エネルギーの分布を示している。本発明の攪拌装置20及び攪拌方法は、このようにして超音波Wuが局所的に集中した音場を液体試料L中に形成する。このため、反応容器7中の液体試料Lは、前記音場により超音波Wuの音響エネルギーが収束する焦点F(図3参照)において音圧が最大となり、音響放射圧PAは液体試料Lと空気とが接する気液界面Mに作用する。従って、液体試料Lは、作用する音響放射圧PAによって、図3に示すように、気液界面Mが上方へ変動する。
【0041】
このとき、液体試料Lは、連続流体であることから、液体試料Lの気液界面Mが上方へ変動するのに伴い、下方に存在する液体試料Lが上方へ流動させられ、焦点Fを通る上方への流れが発生する。また、焦点Fの近傍では、音響放射圧PAによって生ずる音響流SAは、流速が最大で、変動した気液界面Mに沿って流れる。このため、攪拌装置20は、反応容器7が保持した液体試料L中に音響放射圧PAと音響流SAとが同時に作用し、図5に示すように、焦点Fから左右方向に広がる循環流Fcが発生する。ここで、音響放射圧PAは、超音波が物体を超音波の伝搬方向に押す力の総和であり、反応容器7においては気体と液体試料との気液界面に作用する。また、音響流SAは、音響エネルギーが液体試料に吸収されて駆動エネルギーに変わり、この駆動エネルギーにより液体試料が自ら動くことで生ずる流れであり、音響放射圧PAの有する音響エネルギーの一部が変化して生じた流れである。音響流SAは、音圧分布が最大になる位置よりも、進行方向やや後方で大きくなる。なお、音波の周波数が数MHz程度では音響放射圧が支配的に作用し、周波数が数十MHz程度以上では音響流が支配的に作用する。
【0042】
従って、攪拌装置20は、発音体21の焦点Fを気液界面M近傍の液体試料L中に設定することにより、液体試料Lに音響放射圧PAと音響流SAとを同時に作用させるので、液体試料L全体を短時間で均一に攪拌することができる。また、攪拌装置20は、音響放射圧PAによって液体試料Lを上方へ変動させると共に、音響放射圧PAの両側に最大流速の音響流SAを左右方向へ発生させ、空気を巻き込むことがない。このため、攪拌装置20は、気泡に起因した液体試料Lの測定誤差の発生を抑えることができる。このとき、従来の攪拌装置や攪拌方法は、超音波を気液界面近傍の液体試料中に収束させていないため、音響放射圧を利用せず、音響エネルギーの一部が変化した音響流しか利用していない。従って、本発明の攪拌装置20及び攪拌方法は、従来の攪拌装置や攪拌方法に比べて音響エネルギーの利用効率が格段に改善されている。
【0043】
このようにして、液体試料Lの攪拌が終了した後、反応容器7は、反応テーブル6によって光源8側へ搬送されると共に、未攪拌の新たな反応容器7が反応テーブル6によって攪拌装置20の位置へ搬送され、上述の攪拌操作が繰り返される。このように、本発明の自動分析装置1は、液体試料全体を短時間で均一に攪拌することができ、測定誤差の発生を抑えることができる。
【0044】
ここで、攪拌装置20は、反応容器7の軸心上に焦点Fを配置した。しかし、攪拌装置20は、気液界面M近傍の液体試料L中に発音体21が発する超音波が収束すればよいので、例えば、図6に示すように、反応容器7の軸心から側壁7a側に変位した位置に発音体21を配置してもよい。
【0045】
また、発音体21は、反応容器7の底壁7bの表面よりも大きい湾曲面からなる圧電基板21aの両面に駆動電極21bとアース電極21cを形成したものを使用した。しかし、発音体は、気液界面M近傍の液体試料L中に超音波を収束させることができればよい。従って、図7及び図8に示す発音体27のように、圧電製素材からなる圧電基板27aを平板とし、圧電基板27aの両面に駆動電極27bとアース電極27cを形成すると共に、アース電極27c側に収束型の音響レンズ28を設けた構成としてもよい。音響レンズ28は、反応容器7側が凹面状の湾曲面に成形され、例えば、合成樹脂,ガラス,金属等が使用される。発音体27を用いると、攪拌装置20は、設計上の自由度が増すうえ、発音体21を使用する場合に比べて小型化が可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、電源の電力を直接出力して発音体を駆動したが、実施の形態2の攪拌装置では電源をコントローラによって制御し、これにより発音体を制御している。図9は、実施の形態2に係る攪拌装置を示す概略構成図である。図10は、攪拌装置の発音体を駆動する駆動信号の一例を示す図である。図11は、図10の駆動信号によって発音体を駆動した場合に反応容器に保持された液体試料の液面に発生する変動を示す図9のB部拡大図である。ここで、攪拌装置は、実施の形態1で説明した自動分析装置で用いられ、実施の形態1と同じ攪拌方法を使用している。従って、以下に説明する実施の形態は攪拌装置のみについて説明し、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用している。
【0047】
攪拌装置30は、図9に示すように、電源22にコントラーラ23が接続されている。コントローラ23は、電源22を制御する制御回路であり、発音体21を駆動する駆動信号の発生タイミング,周波数,振幅もしくは位相等を制御する制御信号を電源22に出力する。コントローラ23は、電源22に出力する制御信号によって、例えば、図10に示す駆動信号を電源22に出力させ、この駆動信号によって発音体21を駆動する。コントローラ23は、単独で設けてもよいし、自動分析装置1の制御部16と共用してもよい。このとき、図10に示す駆動信号は、電源22がオンされて攪拌装置30が駆動を開始した時点から時間t1後に振幅A1、周波数f1の駆動信号をTon時間出力した後、Toff時間出力を停止し、その後振幅A1、周波数f2の駆動信号をTon時間出力するタイミングで繰り返される。
【0048】
このようなタイミングの駆動信号を電源22から発音体21に出力すると、反応容器7に保持された液体試料Lの表面には、図11に示すように、波が発生し、焦点Fを中心として周囲に移動してゆく。即ち、液体試料Lの表面には、Ton時間出力される周波数f1の駆動信号によって生じた超音波Wuが液面下部の焦点Fに収束し、音響放射圧PAによって気液界面Mが上方へ変動する。この後、駆動信号がToff時間出力を停止することにより気液界面Mの変動が停止し、Ton時間出力される周波数f2の駆動信号によって生じた超音波Wuが液面下部の焦点Fに収束して音響放射圧PAにより気液界面Mが再び上方へ変動する。この繰り返しにより、反応容器7に保持された液体試料Lの表面には、図11に示す波が経時的に発生する。
【0049】
この場合、液体試料Lは、連続流体であることから、液面の変動に伴って反応容器7の下方に存在する液体試料Lが液面の変動に対応して流動される。更に、焦点Fの近傍では、音響放射圧PAによって最大流速の音響流も発生する。このため、攪拌装置30は、従来の音響放射圧又は音響流の一方のみを利用した攪拌方法に比べて反応容器7が保持した液体試料Lを効率良く攪拌することができる。また、攪拌装置30は、電源22をコントローラ23によって制御するので、電源22の電力を直接出力して発音体21を駆動する実施の形態1の攪拌装置20に比べて液体試料全体を更に短時間で均一に攪拌することができる。
【0050】
ここで、気液界面M近傍の液体試料L中に超音波が収束する焦点Fが存在すれば、攪拌装置30は、図12に示すように、反応容器7の側面に発音体21を配置してもよい。
【0051】
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の攪拌装置は、発音体の超音波を発する電極が一つであったが、実施の形態3の攪拌装置は超音波を発する電極を複数有している。図13は、実施の形態3に係る攪拌装置を示す概略構成図である。図14は、駆動電極の正面図である。図15は、反応容器に液体を満たし、攪拌装置によって超音波を照射した場合の鉛直方向における音響エネルギーの分布を示す音響エネルギー分布図である。
【0052】
攪拌装置35は、発音体36の駆動電極が2つの同心円状の駆動電極36b,36cから構成されている。即ち、発音体36は、所定の曲率半径を有する圧電基板36aの一方の面に駆動電極36b,36cが形成され、他方の面にはアース電極36dが形成されている。駆動電極36bは、駆動電極36cよりも曲率半径を小さくすることにより、駆動電極36cよりも曲面の半径が大きく設定され、駆動電極36bは焦点F1を有し、駆動電極36cは焦点F2を有している。
【0053】
ここで、反応容器7を液体試料Lで満たして発音体36を駆動した場合、焦点F1,F2を通る反応容器7の軸心における底壁7bの内面を原点とした鉛直方向における音響エネルギーは図15に示すような分布になる。このとき、図15において、点線は、駆動電極36bを単独で駆動した場合の音響エネルギーの分布であり、実線は駆動電極36cを単独で駆動した場合の音響エネルギーの分布である。また、太い実線は、駆動電極36b及び駆動電極36cの両方を同時に駆動した場合の音響エネルギーの分布である。
【0054】
従って、攪拌装置35は、攪拌装置20と同様に、液体試料L全体を短時間で均一に攪拌することができ、空気を液体試料Lに巻き込むことがないため、気泡に起因した液体試料Lの測定誤差の発生を抑えることができる。
【0055】
このとき、発音体36は、焦点F1の駆動電極36bと、焦点F2の駆動電極36cを有している。このため、攪拌装置35は、駆動電極36bを単独で駆動した場合には、図16に示すように、超音波が焦点F1に収束し、音響放射圧PAによって、気液界面Mが上方へ変動すると共に、音響放射圧PAによって音響流SAが生じ、液体試料Lが攪拌される。一方、攪拌装置35は、駆動電極36cを単独で駆動した場合には、図16に示すように、超音波が焦点F2に収束するが、気液界面がないため、音響流SAが生ずるのみであり、この音響流SAによって液体試料Lが攪拌される。一方、駆動電極36b及び駆動電極36cの両方を同時に駆動した場合、音響エネルギーの分布は図15に太い実線で示すように焦点F1,F2で最大で、焦点F1と焦点F2との間で大きくなる。このため、駆動電極36b及び駆動電極36cの両方を同時に駆動した場合には、図16に示すように、焦点F1では音響放射圧PAと音響流SAが、焦点F2では音響流SAが、共に同時に生じ液体試料Lが攪拌される。従って、攪拌装置35は、駆動電極36b又は駆動電極36c或いは駆動電極36b,36cの双方というように電力供給を切り替えることにより、液体試料Lの液量に応じた攪拌を行うことができ、従来の攪拌装置よりも音響エネルギーを有効に利用することができるうえ、攪拌効率も向上する。
【0056】
ここで、攪拌装置35は、図17及び図18に示すように、発音体36を構成する同心円状の駆動電極36b,36cの面積を同一に成形する。このように構成すると、攪拌装置35は、駆動電極36bを単独で駆動した場合には、図15に示したように、焦点F1にピークを有する音響エネルギーの分布となり、駆動電極36cを単独で駆動した場合には、図15に示したように、焦点F2にピークを有する音響エネルギーの分布となる。一方、攪拌装置35は、駆動電極36b,36cを同位相で同時に駆動した場合、図19に示すように、焦点F1と焦点F2との間にピークを有する細線で示す音響エネルギー分布を示し、駆動電極36b,36cを逆位相で同時に駆動すると、焦点F1と焦点F2とにピークを有する太線で示す音響エネルギー分布を示す。このように、発音体36を構成する駆動電極36b,36cの面積を同一に成形すると、攪拌装置35は、駆動電極36b,36cの駆動態様によって超音波の収束位置と音響エネルギー分布を所定の範囲で変化させることができるので、反応容器7に保持した液体試料の量に応じて攪拌することができるという利点がある。
【0057】
また、攪拌装置35は、図20に示すように、電源22を一つにし、コントローラ23の指示でスイッチ25の切り替えによって駆動電極36bを単独で駆動し、或いは駆動電極36b,36cを同時に駆動するようにしてもよい。攪拌装置35は、スイッチ25を用いることにより、反応容器7に保持した液体試料の量が少ない場合には、スイッチ25をオフする。これにより、攪拌装置35は、駆動電極36bのみを駆動し、底壁7bの内面からの高さが低い焦点F2に超音波を収束させて液体試料Lを攪拌する。一方、反応容器7に保持した液体試料の量が多い場合、攪拌装置35は、図21に示すように、コントローラ23の指示でスイッチ25をオンする。これにより、攪拌装置35は、駆動電極36b,36cを同時に駆動し、駆動電極36bが発した超音波を焦点F2に、駆動電極36cが発した超音波を焦点F1に、それぞれ同時に収束させることにより、液体試料Lを効率良く攪拌することができる。なお、コントローラ23は、スイッチの制御のみならず、駆動信号の発生タイミング,周波数,振幅を制御することも可能である。
【0058】
ここで、発音体は、気液界面M近傍の液体試料L中を含めて2つの焦点に超音波を収束させることができればよい。従って、図22及び図23に示す発音体37のように、圧電製素材からなる圧電基板37aを平板とし、圧電基板37aの両面に駆動電極37b,37cとアース電極37dを形成すると共に、アース電極37d側に収束型の音響レンズ38を設けてもよい。このとき、音響レンズ38は、駆動電極37bによって生ずる超音波が焦点F1に収束し、駆動電極37cによって生ずる超音波が焦点F2に収束するように、反応容器7側の凹面を所定曲率の湾曲面に成形する。駆動電極37b,37cは、コントローラ23の指示によりスイッチ25を切り替えることで選択する。
【0059】
また、図24及び図25に示す発音体39のように、圧電製素材からなる圧電基板39aの反応容器7側を凹面39bとすると共に、他方の面に駆動電極39cを設け、凹面39b側にフェーズドアレイ状にアース電極39d,39eを設け、コントローラ23の指示を受けたスイッチSwによってアース電極39d,39eの駆動タイミングを制御するようにしてもよい。このとき、駆動電極39dと駆動電極39eは、それぞれ焦点F1と焦点F2を有するように、凹面39bに沿った湾曲面に成形する。これらの発音体37,39を用いると、攪拌装置35は、設計上の自由度が増すうえ、発音体36を使用する場合に比べて小型化が可能となる。
【0060】
(実施の形態4)
次に、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態3の攪拌装置は、超音波を発する電極を複数有しており、電力を印加する電極を切り替えることによって超音波を複数の焦点に収束させたが、実施の形態4の攪拌装置は反応容器に対する音波発生素子の位置を変更することによって超音波の収束位置を調整する位置調整部材を備えている。図26は、実施の形態4に係る攪拌装置を示す概略構成図である。図27は、図26において位置調整部材を駆動させた状態を示す概略構成図である。
【0061】
攪拌装置40は、図26に示すように、発音体27、位置調整部材41及びコントローラ42を有している。発音体27は、図7及び図8に示したアース電極27c側に収束型の音響レンズ28を設けたもので、反応容器7の底壁7b下部に音響整合層24を介して配置されている。位置調整部材41は、反応容器7に保持された液体の高さ方向に対する位置を機械的に変更する位置調整手段であり、例えば、リニアモータ,双安定ソレノイド等のアクチュエータが使用され、コントローラ42によって作動が制御される。コントローラ42は、単独で設けてもよいし、自動分析装置1の制御部16と共用してもよい。
【0062】
攪拌装置40は、例えば、反応容器7に保持された第一試薬と検体が分注された液面レベルH2の液体試料Lを攪拌する場合には、図26に示すように、液面レベルH2近傍の液体試料L中の焦点F2に超音波を収束させて攪拌する。そして、攪拌装置40は、反応容器7に更に第二試薬が分注され、液面レベルH1となった液体試料Lを攪拌する場合には、図27に示すように、コントローラ42によって位置調整部材41を駆動し、発音体27を液面レベルの上昇分(=H1−H2)上方へ移動させる。これにより、発音体27は、液面レベルH1近傍の液体試料L中の新たな焦点F1に超音波を収束させる。攪拌装置40は、このようにして反応容器7に保持された液体試料Lの液量に応じて発音体27の位置を調整し、液体試料Lを攪拌することができる。
【0063】
ここで、攪拌装置40は、位置調整部材41に代えて、図28に示すように、反応容器7に対する発音体27の位置を角度の面から変更する角度調整部材44を反応容器7に傾斜させて配置し、気液界面M近傍の液体試料L中の焦点Fに超音波を収束するようにしてもよい。このとき、角度調整部材44は、発音体27を支持する支持部材45と回動軸44aを介して連結され、コントローラ46によって発音体27の角度を調整する。コントローラ46は、単独で設けてもよいし、自動分析装置1の制御部16と共用してもよい。
【0064】
角度調整部材44を使用すると、攪拌装置40は、図29に示すように、発音体27が発生した超音波が液体試料L中の焦点Fに収束する。このため、液体試料Lは、図29に示すように、気液界面Mに音響放射圧PAが斜めに作用する結果、気液界面Mの変動が斜め左上方へ変形した非対称な形となる。従って、斜めに作用する音響放射圧PAと、音響放射圧PAに起因した音響流並びに連続流体である液体試料Lの気液界面Mの変動が元に戻ろうとする力によって、攪拌が促進され液体試料Lの攪拌効率が向上する。
【0065】
(実施の形態5)
次に、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態5について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1〜4の攪拌装置は、収束型の発音体を用いて超音波を気液界面近傍の液体試料中に収束させたが、実施の形態5の攪拌装置は反応容器の底壁内面によって発音体が照射した超音波を気液界面近傍の液体試料中に収束させている。図30は、実施の形態5に係る攪拌装置を示す概略構成図である。
【0066】
攪拌装置50は、図30に示すように、反応容器7の下部に音響整合層51を介して発音体52が配置され、電源53から供給される電力によって駆動される。反応容器7は、底壁7bの内面7dが球面に成形されている。内面7dは、所定量の液体試料Lに対して発音体52が発した超音波を気液界面近傍の液体試料中の焦点Fに収束させる。音響整合層51は、実施の形態1の音響整合層24と同じものが使用される。発音体52は、圧電製素材からなる平板の圧電基板52aの両面に駆動電極52bとアース電極52cが形成されている。電源53は、発音体52を駆動する交流電源である。
【0067】
攪拌装置50は、反応容器7の内面7dが球面に成形され、発音体52が発した超音波を気液界面近傍の液体試料中の焦点Fに収束させる。このため、攪拌装置50は、液体試料Lに音響放射圧と音響流とを作用させるので、液体試料L全体を短時間で均一に攪拌することができる。また、攪拌装置50は、音響放射圧によって液体試料Lを上方へ変動させると共に、上方へ変動した気液界面に沿って音響流を左右方向へ発生させ、空気を巻き込むことがない。このため、攪拌装置50は、気泡に起因した液体試料Lの測定誤差の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で用いる本発明の攪拌方法を実施する攪拌装置を示す概略構成図である。
【図3】図2の攪拌装置のA部を拡大して音響放射圧と音響流とを示す説明図である。
【図4】図2に示す反応容器に液体を満たし、攪拌装置によって超音波を照射した場合の鉛直方向における音響エネルギーの分布を示す音響エネルギー分布図である。
【図5】図2の攪拌装置において、反応容器の液体試料中に発生する循環流を示す図である。
【図6】図2の攪拌装置において、反応容器の側壁側に変位した位置に発音体を配置した変形例を示す図である。
【図7】図2の攪拌装置において、発音体の変形例を示す斜視図である。
【図8】図2の攪拌装置において、発音体の変形例を示す断面図である。
【図9】実施の形態2に係る攪拌装置を示す概略構成図である。
【図10】攪拌装置の発音体を駆動する駆動信号の一例を示す図である。
【図11】図10の駆動信号によって発音体を駆動した場合に反応容器に保持された液体試料の液面に発生する変動を示す図9のB部拡大図である。
【図12】図9の攪拌装置において、反応容器の側壁側に発音体を配置した変形例を示す図である。
【図13】実施の形態3に係る攪拌装置を示す概略構成図である。
【図14】図13の攪拌装置における駆動電極の正面図である。
【図15】反応容器に液体を満たし、攪拌装置によって超音波を照射した場合の鉛直方向における音響エネルギーの分布を示す音響エネルギー分布図である。
【図16】図13の攪拌装置のC部を拡大して音響放射圧と音響流とを示す説明図である。
【図17】図13の攪拌装置において、発音体を構成する同心円状の駆動電極の面積を同一とした変形例を示す概略構成図である。
【図18】図17の攪拌装置における駆動電極の正面図である。
【図19】図17の攪拌装置において、反応容器に液体を満たし、攪拌装置によって超音波を照射した場合の鉛直方向における音響エネルギーの分布を示す音響エネルギー分布図である。
【図20】図13の攪拌装置において、電源を一つにした変形例を示す概略構成図であり、駆動電極36bを単独で駆動する状態を示す図である。
【図21】図20の攪拌装置において、二つの駆動電極を同時に駆動する状態を示す図である。
【図22】実施の形態3に係る攪拌装置で使用する発音体の変形例を示す斜視図である。
【図23】図22の発音体を使用した攪拌装置において、発音体を破断して示す断面図である。
【図24】実施の形態3に係る攪拌装置で使用する発音体の他の変形例を示す斜視図である。
【図25】図24の発音体を使用した攪拌装置において、発音体を破断して示す断面図である。
【図26】実施の形態4に係る攪拌装置を示す概略構成図である。
【図27】図26において位置調整部材を駆動させた状態を示す概略構成図である。
【図28】位置調整部材に代えて角度調整部材を用いた実施の形態4に係る攪拌装置の変形例を示す概略構成図である。
【図29】図28の攪拌装置のD部を拡大して音響放射圧を示す説明図である。
【図30】実施の形態5に係る攪拌装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0069】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応テーブル
7 反応容器
8 光源
9 受光素子
11 排出装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
20 攪拌装置
21 発音体
21a 圧電基板
21b 駆動電極
21c アース電極
22 電源
23 コントローラ
24 音響整合層
25 スイッチ
27 発音体
28 音響レンズ
30,35 攪拌装置
36 発音体
36a 圧電基板
36b,36c 駆動電極
36d アース電極
37 発音体
38 音響レンズ
39 発音体
40 攪拌装置
41 位置調整部材
42 コントローラ
44 角度調整部材
46 コントローラ
50 攪拌装置
51 音響整合層
52 発音体
53 電源
F 焦点
F1,F2 焦点
L 液体試料
M 気液界面
PA 音響放射圧
SA 音響流
Wu 超音波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持する容器と、前記液体に前記容器の外部から音波を照射する音波発生素子とを備え、前記液体を非接触で攪拌する攪拌装置であって、
前記音波発生素子は、前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記音波発生素子は、圧電基板と該圧電基板上に設けられる電極とを有することを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
更に、前記音波発生素子は、音響レンズを有することを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
更に、前記音波発生素子を駆動する駆動信号の発生タイミング,周波数,振幅もしくは位相を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記音波発生素子は、前記容器と対向する面が湾曲面であり、当該湾曲面は前記音波が収束する焦点を複数有することを特徴とする請求項4に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記電極は、曲率半径の異なる湾曲面を有する複数の電極からなり、前記容器に保持された液体の液面に応じて駆動する電極が切り替えられることを特徴とする請求項5に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記複数の電極は、同心円状の電極からなることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
【請求項8】
前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相により前記音波が収束する焦点の位置の数が異なることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項9】
前記複数の同心円状の電極は、面積が等しいことを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。
【請求項10】
前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相が同位相の場合、前記焦点の位置が一つであることを特徴とする請求項9に記載の攪拌装置。
【請求項11】
前記複数の同心円状の電極は、駆動信号の位相が逆位相の場合、前記焦点の位置が複数であることを特徴とする請求項9に記載の攪拌装置。
【請求項12】
前記電極は、フェーズドアレイ状に配列される複数の電極からなることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
【請求項13】
更に、前記容器に対する前記音波発生素子の位置を機械的に変更し、前記音波の収束位置を調整する位置調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項14】
液体を保持する容器と、前記容器に保持された液体に前記容器の外部から音波を照射する音波発生素子とを備え、前記液体を非接触で攪拌する攪拌装置であって、
前記容器は、前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させる内底面を有し、前記音波の収束によって生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項15】
容器に保持された液体を音波によって非接触の下に攪拌する攪拌方法であって、
前記音波を気液界面近傍の前記液体中に収束させて生ずる音響放射圧と音響流とを利用して前記液体を攪拌することを特徴とする攪拌方法。
【請求項16】
検体と試薬とを含む液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、請求項1〜14のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて前記液体試料を攪拌して反応させ、反応液を分析することを特徴とする分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2007−10345(P2007−10345A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188289(P2005−188289)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】