説明

支持構造およびタイヤ用シートならびにシートの製造方法

平面シートは、3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーン(20、30、40)と、複数のスチールワイヤ(21、31、41)とを含み、スチールワイヤが、第1のクリンプおよび第2のクリンプを施されており、第1のクリンプは、第2のクリンプの平面と実質的に異なる平面にある。スチールワイヤの第1および第2のクリンプピッチおよび振幅は、スチールワイヤおよびポリアミドヤーンを組み合わせたとき、ワイヤの破断点伸びがポリアミドヤーンのものと同様であるようなものとする。ワイヤおよびヤーンは、平面シート内で互いに平行に配向されるように構成される。シートは、タイヤおよびベルト用エラストマー成分の構築に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤおよび支持構造の補強に有用な平面シートに関する。
【背景技術】
【0002】
アラミド繊維と金属ストランドの組み合わせは、米国特許出願公開第2004/0123930号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンと、
(b)0.04〜1.10mmの主要断面寸法を有する複数のスチールワイヤと
を含み、
(1)スチールワイヤが、第1のクリンプおよび第2のクリンプを施されており、第1のクリンプは、第2のクリンプの平面と少なくとも20°異なる平面にあり、
(2)スチールワイヤの第1および第2のクリンプピッチおよび振幅を、ワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が20%以下となるようなものであり、
(3)スチールワイヤが、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有し、
(4)スチールワイヤおよびポリアミド
平面シートに関する。
【0004】
本発明はまた、
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンを提供する工程と、
(b)任意選択的に、複数のポリアミドヤーンをケーブルヤーンへとツイストする工程と、
(c)0.04〜1.10mmの主要断面寸法と、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有する複数のスチールワイヤを提供する工程と、
(d)クリンプが、互いに少なくとも20°異なる2つの平面にあり、スチールワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が20%以下となるように、スチールワイヤに適用されるクリンプの所望のピッチ、振幅および平面構成を決める工程と、
(e)工程(d)で決めたクリンプパラメータに従って、スチールワイヤをクリンプする工程と、
(f)任意選択的に、複数のスチールワイヤをケーブルワイヤへとツイストする工程と、
(g)全てのヤーン、ワイヤおよびコードが互いに平行に配向されるように、所望数のスチールワイヤおよび/またはスチールコードならびに所望数のポリアミドヤーンおよび/またはポリアミドコードを平面構成で組み合わせる工程と
を含む平面シートを製造する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の平面シートの概略図を示す。
【図2】シート構造に配置されたヤーンおよびワイヤのある組み合わせの断面を示す。
【図3】シート構造に配置されたヤーンおよびワイヤの他の組み合わせの断面を示す。
【図4】シート構造に配置されたヤーンおよびワイヤのさらなる組み合わせの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、平面シートに関し、「平面」とは、厚さ寸法よりかなり大きな長さおよび幅寸法を有する構造を意味する。本発明において、平面シートの表面は、完全に平坦でなくてもよく、うねりがあってもよい。「コード」とは、捩り合わせてハイブリッドコードを形成した、少なくとも1つのポリアミドヤーンと少なくとも1つのスチールワイヤとを含むストランドを意味する。「ハイブリッド」とは、コードが、少なくとも2つの異なる材料を含むことを意味する。コードとはまた、捩り合わせてポリアミドコードを形成した複数のポリアミドヤーン、または捩り合わせてスチールコードを形成した複数のスチールワイヤも意味することができる。
【0007】
本発明の1つの特徴は、組み合わせたとき、ポリアミドヤーンおよびスチールワイヤの両方の破断点伸びが同様になることである。スチールワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差は+/−20%以下でなければならない。より好ましくは、伸びの差は、+/−10%以下、最も好ましくは、+/−5%以下でなければならない。組み合わせたときに、破断点伸びを適合させる、または略適合させることで、コード中のポリアミドヤーンおよびスチールワイヤは、コードが引張荷重を受けると、実質的に同時に破断するであろう。スチールワイヤは、後述するダブルクピンピングプロセスにより、ポリアミドヤーンの破断点伸びに適合するよう調整される。クリンプされたワイヤは、同様のクリンプされていないワイヤに比べると、より高い破断点伸びを有するワイヤを提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、米国特許出願公開第2009/015917号明細書で指定される6.5N/dtexよりはるかに低いモジュラスを有するポリアミドヤーンを用いてよいことである。
【0009】
本明細書で用いる「フィラメント」とは、その長さに対して垂直なその断面積にわたる長さ対幅の比率の高い比較的可撓性の巨視的均質体を意味する。本明細書において、「繊維」という用語は、「フィラメント」という用語と区別なく用いられる。
【0010】
「ヤーン」は、連続ストランドを形成する繊維またはフィラメントの集合体である。本発明において、「ヤーン」という用語にはまた、「ケーブルヤーン」も包含される。ケーブルヤーンは、2つ以上のヤーンを捩り合わせることにより形成されるヤーンである。本発明において、ポリアミドヤーンは、フィラメント紡糸プロセスの一部として形成される。
【0011】
ポリアミド繊維およびヤーン
アラミドは、好ましいポリアミドポリマーである。「アラミド」という用語は、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が、2つの芳香族環に直接付加したポリアミドを意味する。好適なアラミド繊維は、Man−Made Fibres−Science and Technology,Volume2,Fibre−Forming Aromatic Polyamidesというタイトルのセクション、297頁、W.Blackら、Interscience Publishers,1968に記載されている。アラミド繊維およびその製造はまた、米国特許第3,767,756号明細書、同第4,172,938号明細書、同第3,869,429号明細書、同第3,869,430号明細書、同第3,819,587号明細書、同第3,673,143号明細書、同第3,354,127号明細書および同第3,094,511号明細書にも開示されている。
【0012】
好ましいアラミドはパラ−アラミドである。好ましいパラ−アラミドは、PPD−Tと呼ばれるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)である。PPD−Tとは、p−フェニレンジアミンおよび塩化テレフタロイルの等モル(mole−for−mole)重合から得られるホモポリマー、ならびに、同じく、p−フェニレンジアミンと少量の他のジアミンの、および塩化テレフタロイルと少量の他の二酸塩化物の取り込みから得られるコポリマーを意味する。原則として、他のジアミンおよびその他二酸塩化物は、p−フェニレンジアミンまたは塩化テレフタロイルの約10モルパーセントまでの量、あるいはこれよりやや多い量で用いることができる。ただし、他のジアミンおよび二酸塩化物が、重合反応を妨げる反応基を有していない場合に限る。PPD−Tはまた、他の芳香族ジアミンおよびその他芳香族二酸塩化物、例えば、塩化2,6−ナフタロイルあるいはクロロ−またはジクロロ塩化テレフタロイルあるいは3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの混入から得られるコポリマーも意味する。
【0013】
添加剤をアラミドと共に用いることができ、10重量パーセント以上の他のポリマー材料をアラミドとブレンドできることが分かっている。コポリマーは、アラミドのジアミンに代えて他のジアミンを10パーセント以上、またはアラミドの二酸塩化物に代えて他の二酸塩化物を10パーセント以上有して、用いることができる。
【0014】
連続パラ−アラミド繊維は、概して、p−アラミドの溶液を毛細管を通して、凝集浴へと押出すことにより紡糸される。ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)の場合には、溶液の溶剤は、概して、濃硫酸であり、押出しは、概して、冷、水性、凝集浴へ、空隙を通してなされる。かかるプロセスは、概して、米国特許第3,063,966号明細書、同第3,767,756号明細書、同第3,869,429号明細書および同第3,869,430号明細書に開示されている。フィラメント断面は、円形または実質的に円形である。パラ−アラミドフィラメントヤーンは、E.I. du Pont de Nemours&Co.,Wilmington,DE(DuPont)より入手可能なKevlar(登録商標)繊維およびTeijin,Ltd.より入手可能なTwaron(登録商標)繊維として商業的に入手可能である。
【0015】
本発明のポリアミドヤーンは、3.7〜6.8N/dtexの範囲、より好ましくは、3.7〜6.0N/dtexの範囲、最も好ましくは、4.4〜5.4N/dtexの範囲のヤーンモジュラスを有している。ヤーンはまた、2.9〜4.7%、より好ましくは、3.0〜4.0%の破断点伸びおよび130〜15000のデニールを有している。これらの特性を有するヤーンとしては、DuPontのKevlar(登録商標)29、Kevlar(登録商標)119およびKevlar(登録商標)129が例示される。
【0016】
スチールワイヤ
スチール組成は、0.60〜1.1%の炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む。硫黄、りん、クロム、ホウ素、コバルト、ニッケルおよびバナジウム等のその他元素が、それぞれ、0.5%未満のレベルで存在していてもよい。
【0017】
スチールワイヤは、1つ以上の対称軸を含む断面を有していてもよい。例えば、楕円または矩形断面は、2つの対称軸を有しており、三角断面は、3つの対称軸を有している。好ましい実施形態において、スチールワイヤ断面は円形または実質的に円形である。
【0018】
ワイヤの主要断面寸法は、0.04mm〜1.1mmの範囲、より好ましくは、0.07mm〜0.60mmである。円形断面の場合には、この寸法は直径である。ワイヤには、典型的に、ゴムへの親和力を与えるコーティングが施される。かかるコーティングとしては、ゴム中の硫黄原子と反応できるもの、例えば、銅、亜鉛およびかかる金属の合金、例えば、真鍮が挙げられる。好ましい実施形態において、ポリアミドヤーンが、ハイブリッドコードの外側表面を形成するときは、コーティング基材として亜鉛を用いる。それ以外は、真鍮が好ましいコーティング材料である。
【0019】
クリンピング
スチールワイヤはクリンプされて、波形のワイヤを作製する。好ましくは、ワイヤは、第1および第2のクリンプを有し、第1のクリンプは、第2のクリンプの平面とは実質的に異なる平面にある。実質的に異なるとは、クリンプ平面が、少なくとも20°の角度、より好ましくは、少なくとも60°の角度、最も好ましくは、少なくとも80°の角度異なることを意味する。第1および第2のクリンプは、クリンプピッチおよびクリンプ振幅を有する。振幅の典型的な値は、0.5〜1.0mm、ピッチの値は、2.0〜16.0mmである。しかしながら、他のクリンプおよびピッチ値を本発明で用いてもよい。
【0020】
用いるポリアミドヤーンの破断点伸びに応じて、クリンプ平面の角度ならびに第1および第2のクリンプピッチおよび振幅を計算すると、ポリアミドヤーンのものに近い破断点伸びを有するスチールワイヤが得られる。好ましくは、スチールワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差は20%以下、より好ましくは、差は10%以下、最も好ましくは、差は5%以下である。理想的には、ポリアミドヤーンおよびスチールワイヤの破断点伸びは同じである。スチールワイヤの破断点伸びの典型的な値は、2.3〜5.7%の範囲、より好ましくは、2.4〜4.8%である。
【0021】
スチールワイヤは、それらを歯車に通過させることによりクリンプしてもよい。かかるプロセスは、欧州特許(EP)第1036235B1号明細書に記載されている。このタイプのクリンプワイヤは、N.V.Bekaert S.A.,Zwevegem,Belgiumより、High Impact Steelという商品名で入手可能である。
【0022】
平面シートの製造
一実施形態において、本発明は、
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンを提供する工程と、
(b)任意選択的に、複数のポリアミドヤーンをポリアミドコードへとツイストする工程と、
(c)0.04〜1.10mmの主要断面寸法と、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有する複数のスチールワイヤを提供する工程と、
(d)クリンプが、互いに少なくとも20°異なる2つの平面にあり、スチールワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が20%以下となるように、スチールワイヤに適用されるクリンプの所望のピッチ、振幅および平面構成を決める工程と、
(e)工程(d)で決めたクリンプパラメータに従って、スチールワイヤをクリンプする工程と、
(f)任意選択的に、複数のスチールワイヤをスチールコードへとツイストする工程と、
(g)全てのヤーン、ワイヤおよびコードが互いに平行に配向されるように、所望数のスチールワイヤおよび/またはスチールコードならびに所望数のポリアミドヤーンおよび/またはポリアミドコードを平面構成で組み合わせる工程と
を含む平面シートを製造する方法に関する。
【0023】
他の実施形態において、本発明はまた、
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンを提供する工程と、
(b)0.04〜1.10mmの主要断面寸法と、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有する複数のスチールワイヤを提供する工程と、
(c)クリンプが、互いに少なくとも20°異なる2つの平面にあり、スチールワイヤの破断点伸びのポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が20%以下となるように、スチールワイヤに適用されるクリンプの所望のピッチ、振幅および平面構成を決める工程と、
(d)工程(c)で決めたクリンプパラメータに従って、スチールワイヤをクリンプする工程と、
(e)少なくとも1つのクリンプスチールワイヤを、少なくとも1つのポリアミドヤーンとツイストして、複合ハイブリッドスチール−ポリアミドコードを形成する工程と、
(f)全てのヤーン、ワイヤおよびコードが互いに平行に配向されるように、所望数のスチールワイヤ、ポリアミドヤーンおよび複合ハイブリッドスチール−ポリアミドコードを平面構成で組み合わせる工程と
を含む平面シートを製造する方法に関する。
【0024】
ワイヤコードは、複数のスチールワイヤを捩り合わせて、単一のマルチワイヤケーブルワイヤ構造を形成することにより製造される。好ましくは、撚り合わせるスチールワイヤの数は、2か3である。同様に、複数のポリアミドヤーンを撚り合わせてマルチヤーンケーブルコード構造を形成してもよい。好ましくは、撚り合わせるアラミドヤーンの数は、2か3である。当然のことながら、ポリアミドの個々のヤーンをスチールワイヤとツイストして、複合ポリアミド−スチールコードを作製してもよい。好ましい実施形態において、複合コード中のポリアミドヤーンの総数は、1〜10であり、複合コード中のスチールワイヤの総数は、1〜8である。好ましい実施形態において、コードを形成するヤーンおよびワイヤの撚り係数は、少なくとも0.8である。撚り係数は、テキスタイル業界において熟知されている用語である。ポリアミドヤーンおよびスチールワイヤをコードへと組み合わせるツイスト、プライまたは撚り等の方法は、業界に周知されており、Wellington Sears Handbook of Industrial Textilesの3.2章に詳述されている。
【0025】
平面シートは、同方向に全て配向されたヤーン、ワイヤまたはコードを含む。これは、通常、Xまたは機械方向と呼ばれる。シートの平面は、XY面と呼ばれる。Y方向は、X方向に直交している。かかる構成を、概して、図1に示す。X方向は10で示され、Y方向は11で示されている。ポリアミドヤーンまたはコードおよびクリンプスチールワイヤまたはコードを組み合わせて、ゴムおよびエラストマーと共に用いるのに好適な平面シートを形成し得る様々なやり方がある。かかる一実施形態を、図2に断面で示す。ポリアミドヤーン20がスチールワイヤ21と交互になっている。図3のような他の実施形態において、複数のポリアミドヤーンを構成して、第1のサブセクション30を形成し、複数のワイヤを構成して、第2のサブセクション31を形成する。これらのサブセクションは、互いに近接するように構成されている。図4に、この概念をさらに拡張したものを示す。各アレイに異なる数のヤーンを含むポリアミドヤーン40の2つのアレイが、同じく、各アレイに異なる数のワイヤを有するワイヤ41の2つのアレイと組み合わせられている。図示するとおり、ヤーンまたはクリンプワイヤの数および互いのシートの位置の両方に関して、ポリアミドとスチールの潜在的な組み合わせは、非常に多数ある。上記の記載は、ポリアミドヤーンまたはスチールワイヤに限定されない。ポリアミドコード、スチールコードまたは複合スチール−ポリアミドコードもまた、上記構造に含まれていてもよい。このように、平面シートは、ポリアミドヤーン、ポリアミドコード、スチールワイヤ、スチールコードおよび複合スチール−ポリアミドコードを含み得る。平面シートの長さおよび幅は、製造上の制約によってのみ限定される。
【0026】
ヤーン、ワイヤおよびコードを並べる方法は、テキスタイル、ロープおよびワイヤ形成産業において周知されている。かかる方法には、個々のストランドを、コリメートステーションを通して供給し、最終組み立て品をスプールに巻き付ける前に、材料を組み立てるクリールおよびビームを用いることが含まれる。あるいは、コリメーションした後に、シートの長さを整えてもよい。平面シートの凝集性を維持するのを補助するために、バインダー、フィルムおよび接着剤が用いられていてもよい。これを達成する他の手段は、軽いバインダーヤーンを、Y方向に、シートの表面に組み込むか、またはシートへ織り込むものである。
【0027】
好ましい実施形態において、シート中のポリアミドの重量パーセンテージは、ポリアミドおよびスチールの総重量を基準として、10〜50重量パーセントである。
【0028】
支持構造およびタイヤ
平面シートは、例えば、乗用車タイヤ、トラックおよびバスタイヤ、同じくオートバイタイヤに有用である。純粋なスチール補強コードに比べて、複合ハイブリッドコードはタイヤの重量を減じ、転がり抵抗を改善する。
【0029】
平面シートをタイヤに組み込むには、1つ以上のシートを、マトリックスへと組み込んで、カーカス、ビード補強チェーファ(低サイドウォール補強用複合ストリップ)またはベルトストリップの形態の支持構造を形成する。マトリックスは、複数のコードを、互いに固定配向および位置に保持できる任意のポリマー材料とすることができる。典型的な材料は、ゴム等の熱硬化性材料であるが、熱可塑性加硫物およびコポリエーテルエステル等の熱可塑性材料を用いることもできる。次に、支持構造を、タイヤ構造、典型的には、トレッド下に適用する。所望なら、複合ハイブリッドコードを、エラストマー補強を必要とする用途に用いる他の支持構造に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンと、
(b)0.04〜1.10mmの主要断面寸法を有する複数のスチールワイヤと
を含み、
(1)前記スチールワイヤが、第1のクリンプおよび第2のクリンプを施されており、前記第1のクリンプは、前記第2のクリンプの平面と少なくとも20°異なる平面にあり、
(2)前記スチールワイヤの前記第1および第2のクリンプピッチおよび振幅が、前記ワイヤの破断点伸びの、前記ポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が、20%以下となるようなものであり、
(3)前記スチールワイヤが、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有し、
(4)前記スチールワイヤおよびポリアミドヤーンが、前記平面シート内で互いに平行に配向された、平面シート。
【請求項2】
前記ポリアミドヤーンが、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)フィラメントを含む請求項1に記載の平面シート。
【請求項3】
前記ポリアミドヤーンが、3.7〜6.0N/dtexのモジュラスを有する請求項1に記載の平面シート。
【請求項4】
前記ポリアミドヤーンが、4.4〜5.4N/dtexのモジュラスを有する請求項1に記載の平面シート。
【請求項5】
前記ポリアミドヤーンが、3.0〜4.0%の破断点伸びを有する請求項1に記載の平面シート。
【請求項6】
前記スチールワイヤの断面が、円形または実質的に円形である請求項1に記載の平面シート。
【請求項7】
ベルト、カーカスまたはビードの形態の請求項1に記載の平面シートを含むタイヤの支持構造。
【請求項8】
請求項1に記載の平面シートを含むタイヤ。
【請求項9】
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンを提供する工程と、
(b)任意選択的に、複数のポリアミドヤーンをケーブルヤーンへとツイストする工程と、
(c)0.04〜1.10mmの主要断面寸法と、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有する複数のスチールワイヤを提供する工程と、
(d)クリンプが、互いに少なくとも20°異なる2つの平面にあり、前記スチールワイヤの破断点伸びの前記ポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が、20%以下となるように、前記スチールワイヤに適用される前記クリンプの所望のピッチ、振幅および平面構成を決める工程と、
(e)工程(d)で決めたクリンプパラメータに従って、前記スチールワイヤをクリンプする工程と、
(f)任意選択的に、複数のスチールワイヤをケーブルワイヤへとツイストする工程と、
(g)全てのヤーン、ワイヤおよびコードが互いに平行に配向されるように、所望数のスチールワイヤおよび/またはスチールコード、ならびに所望数のポリアミドヤーンおよび/またはポリアミドコードを平面構成で組み合わせる工程と
を含む平面シートを製造する方法。
【請求項10】
(a)3.7〜6.8N/dtexのヤーンモジュラス、2.9〜4.7%の破断点伸びおよび130〜15,000のデニールを有する複数のポリアミドヤーンを提供する工程と、
(b)0.04〜1.10mmの主要断面寸法と、0.60〜1.10%の最小炭素含量、0.20%〜0.90%のマンガン含量および0.10%〜0.90%のシリコン含量を含む組成を有する複数のスチールワイヤを提供する工程と、
(c)クリンプが、互いに少なくとも20°異なる2つの平面にあり、前記スチールワイヤの破断点伸びの前記ポリアミドヤーンの破断点伸びとの差が20%以下となるように、前記スチールワイヤに適用される前記クリンプの所望のピッチ、振幅および平面構成を決める工程と、
(d)工程(c)で決めたクリンプパラメータに従って、前記スチールワイヤをクリンプする工程と、
(e)少なくとも1つのクリンプスチールワイヤを、少なくとも1つのポリアミドヤーンとツイストして、スチールコードへの複合ハイブリッドスチール−ポリアミドコードを形成する工程と、
(g)全てのヤーン、ワイヤおよびコードが互いに平行に配向されるように、所望数のスチールワイヤまたはコード、ポリアミドヤーンまたはコードおよび複合ハイブリッドスチール−ポリアミドコードを平面構成で組み合わせる工程と
を含む平面シートを製造する方法。
【請求項11】
前記ポリアミドヤーンが、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)フィラメントを含む請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリアミドヤーンが、3.7〜6.0N/dtexのモジュラスを有する請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリアミドヤーンが、4.4〜5.4N/dtexのモジュラスを有する請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリアミドヤーンが、3.0〜4.0%の破断点伸びを有する請求項9または10に記載の方法。
【請求項15】
前記スチールワイヤの断面が、円形または実質的に円形である請求項9または10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507540(P2013−507540A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534308(P2012−534308)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052428
【国際公開番号】WO2011/046994
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】