説明

改善された耐久性を有するシリコーンゴム組成物

【課題】改善された貯蔵安定性及び加工性を有する高電圧絶縁体用の難燃性シリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(E)を含有するシリコーンゴム組成物。(A)不飽和基含有ジメチルポリシロキサン100質量部、(B)50〜300m2/gの比表面積を持つシリカ1〜100質量部、(C)0.1〜20m2/gの比表面積及び0.05〜20μmの平均粒度を有する水酸化アルミニウム50〜300質量部、(D)架橋剤,(E)無機塩基、有機塩基、ケイ素有機塩基、無機酸、有機酸、ケイ素有機酸から選択される化合物0.01〜10.0質量部

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性シリコーンゴムへと硬化する、高電圧絶縁体用シリコーンゴム組成物に関する。より詳細には、本発明は水酸化アルミニウムを充填剤として含有する付加架橋性又は過酸化物架橋性のシリコーンゴム組成物に関するものであり、その際に未架橋の組成物は技術水準と比較して改善された貯蔵安定性及び改善された加工性を有する。その際にこれらの改善された性質は表面処理された水酸化アルミニウムを用いて並びに未処理の水酸化アルミニウムを用いて達成される。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム三水和物(ATH)としても公知である水酸化アルミニウムは、アルミニウム塩溶液への塩基の添加による沈殿から又はボーキサイトから得られることができる化学量論的に定義された結晶質水酸化アルミニウムであるか、又は当工業界においてしばしば含水礬土(Tonerdehydrat)と呼ばれ、組成Al・HO又はAl・3HOを有し、それゆえ酸化物水和物とみなされ、かつ鉱物質アルミニウム鉱床の無定形成分、例えばボーキサイト又はアルモゲル(Alumogel)として得られることができる酸化アルミニウム水和物である。
【0003】
水酸化アルミニウム粉末を含有するシリコーンゴム組成物は既に公知である。そのような組成物が硬化剤により、場合により熱時において、シリコーンゴムへと硬化することも公知である。硬化剤は例えば過酸化物、又は遷移金属を含有するヒドロシリル化触媒とメチルハイドロジェンシロキシ基を有するオルガノシロキサンとからなる組合せ物であってよい。シリコーンゴム組成物への十分な量の水酸化アルミニウム粉末の添加により、例えば高電圧絶縁体又は難燃性ケーブル外装としての使用に必要である架橋ゴムの幾つかの性質、例えば耐アーク性、耐トラッキング性及び難燃性がかなり改善されうることは当業者に公知である。
【0004】
他方では、充填剤としての水酸化アルミニウムの使用が一連のかなりの欠点を必然的に伴うことも当業者に公知である。例えば、シート強度(Fellfestigkeit)及びローラー粘着性(Walzenklebrigkeit)のような未架橋の組成物の加工性は劣悪化する。水酸化アルミニウム粉末が殆ど補強性を有していないことにより、架橋ゴムの機械的性質、例えば引張強さ(Reissfestigkeit)及び破断伸び(Reissdehnung)はより劣悪になる。
【0005】
未架橋の組成物の貯蔵安定性もより劣悪になる。貯蔵安定性は、組成物が特定の条件で、例えば特定の温度で、前記組成物が望ましくなく早期に完全にか又は部分的に架橋することがないか、又はその反対に、前記組成物が、例えば架橋に必要な成分が分解したために貯蔵時間後にもはや架橋できなくなることがなく、貯蔵されることができる時間である。
【0006】
組成物又はゴムの多様な性質、例えば未架橋の組成物の加工性及び耐久性、架橋ゴムの誘電性及びまた機械的性質を改善するという目的で、未処理の水酸化アルミニウムを含有するシリコーンゴム組成物並びに表面が例えばシラン、シラザン又はシロキサンで処理された水酸化アルミニウムを含有するシリコーンゴム組成物が当業者に公知である。
【0007】
表面処理された水酸化アルミニウムの使用は既に1970年代に挙げられていた。米国(US)特許第4,217,466号明細書には、遮蔽物が充填剤として表面処理された水酸化アルミニウムを含有するシリコーンエラストマーからなる絶縁体が記載されている。処理試薬は例えばビニルシランである。
【0008】
米国(US)特許第5,691,407号明細書には表面処理された水酸化アルミニウムを含有する付加架橋性のシリコーンゴム組成物が開示されている。表面処理のための試薬はシラン又はシラザン、チタン化合物又はポリシロキサンであってよい。表面処理された水酸化アルミニウムの使用は、高電圧絶縁体における使用の際にシリコーンゴムの改善された電気的性質をもたらす。前もって表面処理された水酸化アルミニウムの使用は好ましいが、しかしまた未処理の水酸化アルミニウムがヘキサメチルジシラザンと組み合わせて使用されることができる。
【0009】
欧州(EP)特許第0 787 772号明細書(B1)には、水酸化アルミニウムを含有するが、しかし別の補強充填剤を含有せず、それにもかかわらず良好な機械的強さ及び抜群の電気的性質を有する硬化性シリコーンゴム組成物が記載されている。硬化剤は過酸化物である。良好な機械的性質は本質的には、水酸化アルミニウム粉末が、アルケニル基とアルコキシ基又はヒドロキシ基とを有するシラン又はシロキサン、例えばビニルトリメトキシシラン又はSiOH又はSi−OR末端基を有するビニル含有オルガノシロキサンで処理されることにより達成される。水酸化アルミニウム粉末はその際に前記試薬で前処理されていてよいか、又は処理はシリコーンゴム組成物の製造の際にその場で行われてよい。未処理の水酸化アルミニウムが充填剤として使用される比較例は明らかにより劣悪な引張強さ及び引裂抵抗を示している。ポリジオルガノシロキサン100部に対して水酸化アルミニウム粉末150部を含有するゴムは、水酸化アルミニウムが処理された場合に5.1MPaの引張強さ及び13N/mmの引裂抵抗を有し、かつ未処理の水酸化アルミニウムの場合に1.7MPaに過ぎない引張強さ及び8N/mmの引裂抵抗を有する。
【0010】
欧州(EP)特許第0 808 868号明細書(B2)、Dowにはオルガノシラン又はオルガノシラザンで表面処理された水酸化アルミニウム粉末を含有する硬化性シリコーンゴム組成物が開示されている。シランもしくはシラザンはその際にアルケニル基も含有していてよく、例えばビニルトリメトキシシラン又はテトラメチル−ジビニル−ジシラザンである。硬化剤はその際に例えば過酸化物であってよいか、又はヒドロシリル化触媒とSi−H基を有するポリオルガノシロキサンとからなる組合せ物であってよい。前記特許明細書には、水酸化アルミニウムが水を吸収し、それにより電気的性質が劣悪化するために、従来のATHを含有するシリコーンゴム組成物が不安定であることが記載されている。オルガノシラン又はオルガノシラザンでの水酸化アルミニウム粉末の処理は、良好な耐水性及び良好な電気的性質を達成するために本質的であるとして記載されている。
【0011】
欧州(EP)特許第0 808 875号明細書(B1)には、良好な防炎性を達成するために水酸化アルミニウム及び白金化合物を含有していてよいシリコーンゴム組成物が記載されており、その際にこれらの組成物は良好に加工可能であるためには、硬化前にさらに十分な流動性を有するべきである。これらの組成物は、100〜100,000mPa・sの粘度を有するポリオルガノシロキサン、熱分解法ケイ酸、表面処理された炭酸亜鉛、Si−H基を有するポリオルガノシロキサン及び白金触媒を含有する。水酸化アルミニウム及び別の白金化合物は組成物の任意成分である。水酸化アルミニウムが使用される場合には、これは表面処理されている。その際に炭酸亜鉛及び水酸化アルミニウムの表面処理は前記発明の目標を達成するのに決定的である。これらの組成物は室温でもゆっくりと架橋するので、加工時間の延長のために抑制剤、例えばエチニルシクロヘキサノール又はトリフェニルホスファンが添加されることができる。
【0012】
米国(US)特許第5,668,205号明細書には、水酸化アルミニウムを含有し、かつ付加的に電気的性質の改善のためにトリメチルシリル末端ジメチルポリシロキサンを含有する付加架橋性のシリコーンゴム組成物が開示されている。同様に水酸化アルミニウム及び場合により不飽和基を有しないポリシロキサンを有する過酸化物性(peroxidische)シリコーンゴム組成物が記載されており、その際にオルガノポリシロキサンの大部分がトリビニルシリル末端基又はジビニルシリル末端基を有する。そのような組成物は射出成形において加工されることができ、かつ、特に前記組成物から製造された絶縁体が高い大気汚染を有する環境において使用される場合に、改善された電気的性質を有するシリコーンゴムへと硬化する。水酸化アルミニウムは未処理又は表面処理されていてよい。ジビニル末端基もしくはトリビニル末端基を有するそのようなポリマーは、シリコーン化学において通常の出発物質ではない。それらの製造は高価であり、かつ複雑であり、それゆえそれらの使用は望ましくない。
【0013】
同様に米国(US)特許第5,977,216号明細書に記載されているように、米国(US)特許第5,668,205号明細書にはエチニルシクロヘキサノールで安定化されている付加架橋性組成物が開示されている。これらの組成物の耐久性は記載されていない。しかし、架橋特性が加工の際に劣悪化するほど多量のエチニルシクロヘキサノールが使用されない場合には、数ヶ月に亘る貯蔵が組成物のゆっくりな架橋をまねくことは当業者には明らかである。
【0014】
米国(US)特許第5,977,216号明細書には、水酸化アルミニウム自体が補強性を有していないことが記載されている。しかし、所望の電気的性質を得るために、シリコーンゴム組成物中で極めて高い充填度の水酸化アルミニウムが必要であるので、このことから僅かな機械的強さを有するシリコーンゴムが生じる。前記明細書には、ビニルシラザン、例えばテトラメチルジビニルジシラザン、又はビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシランで、表面上に水酸化アルミニウム1g当たりビニル基1×10−6〜2×10−4molが存在しているように処理されている水酸化アルミニウムを含有する、硬化性シリコーンゴム組成物が記載されている。そのうえ、ビニル基で変性されたそのような水酸化アルミニウムは補強性を有するので、高い充填度にもかかわらずゴムの強さは損傷を受けない。表面処理された水酸化アルミニウムを有するゴムの引張強さは、前記発明による実施態様において45〜58kgf/cm(4.41〜5.69N/mmに相当)、未処理の水酸化アルミニウムを有するゴムの引張強さは前記実施態様において18〜25kgf/cm(1.76〜2.45N/mm)である。
【0015】
前記実施例において、ヒドロシリル化触媒及びSi−H基を有するオルガノポリシロキサンを含有する、すぐ使用できる付加架橋性組成物が記載されている。組成物の直接架橋を防止するために、そのうえエチニルシクロヘキサノールが抑制剤として含まれている。その際に、エチニルシクロヘキサノールの添加により、すぐ使用できる組成物のポットライフが確かに数日間に高められることができることは当業者には明らかである。しかしながら数ヶ月に亘る貯蔵は不可能である、それというのも、架橋特性が加工の際に劣悪化するようになるほど多量の抑制剤が必要だからである。
【0016】
欧州(EP)特許出願公開第0 928 008号明細書(A2)には、水酸化アルミニウムがその場で表面処理される高電圧絶縁体用のシリコーンゴム組成物が記載されている。組成物の製造の際に、未処理の水酸化アルミニウムはオルガノシラン接着促進剤と組み合わせて使用される。それにより水酸化アルミニウムの表面が疎水化され、それにより水酸化アルミニウムとポリシロキサンとの相互作用、ひいては水酸化アルミニウムの分散性及び補強作用も改善される。
【0017】
米国(US)特許第6,106,954号明細書には、表面処理された水酸化アルミニウムを含有する付加架橋性のオルガノポリシロキサン組成物が開示されており、その際に処理試薬は不飽和基を有しないオルガノシラン又はオルガノシラザンであるか、又はまたこれらの試薬の部分水解物である。水酸化アルミニウムはシリコーンゴム中の絶縁性の改善に使用される。しかし水酸化アルミニウムは本来吸湿性であるので、シリコーンゴムは湿った環境において絶縁性を失う。前記のように表面処理されている水酸化アルミニウムの使用により、シリコーンゴムは湿った条件下でもその絶縁性を保持する。
【0018】
欧州(EP)特許第1 037 946号明細書(B1)には、水酸化アルミニウム及び別の金属酸化物として酸化亜鉛及び場合により二酸化チタンを含有する付加架橋性のシリコーンゴム組成物が記載されている。この組成物を用いて、前記出願明細書に記載された技術水準の欠点、例えば僅かな貯蔵安定性及び僅かすぎる耐トラッキング性が克服される。水酸化アルミニウムは実施例においてオルガノシラザンによりその場で表面処理される。技術水準における水酸化アルミニウムで充填された付加架橋性のシリコーンゴム組成物の僅かな貯蔵安定性がこの出願明細書を用いて克服されるべきである欠点の1つとして記載されているにもかかわらず、前記組成物はそれにもかかわらず二成分系として製造され、その際に一方の成分中に白金触媒が含まれており、他の成分中にメチルハイドロジェン単位を有するポリオルガノシロキサン架橋剤及び抑制剤が含まれている。双方の成分を混合することにより製造された、すぐ使用できる材料は直接加工される。
【0019】
シリコーンゴム組成物への有機アミン又はその塩又は類似の化合物の添加は既に早くから記載されていた。米国(US)特許第3,268,473号明細書において、剛化挙動(Verstrammungsverhalten;“クリープハードニング”)を改善するために、例えば炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムはヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物と組み合わせて添加される。米国(US)特許第3,334,062号明細書には、微粒状の無機充填剤、好ましくはケイ酸及び環状オルガノシロキサンからなる混合物に水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム又はカルボン酸アンモニウムを添加し、混合物を170℃まで加熱することが記載されている。前記の特許の保護が請求された方法は充填剤の表面処理(疎水化)であり、その際に、環張力(Ringspannung)により存在している高められた反応性に基づき、専らシクロトリシロキサンが使用される。
【0020】
ドイツ連邦共和国(DE)特許出願公開第196 14 343号明細書(A1)にはさらに、ポリオルガノシロキサン100質量部に対してアンモニウムカルバミネート、アルカリ金属カルバミネート又はアルカリ土類金属カルバミネート(カルバミン酸塩)0.01〜1質量部を含有する、エラストマーへと熱時において硬化するポリオルガノシロキサンゴム材料が記載されている。その際に前記カルバミネートはシート強度の改善のために添加される。充填剤として非補強充填剤、すなわち50m/gまでの比表面積(BET)を有する充填剤、例えば石英、ケイ酸カルシウム、金属酸化物粉末及び補強充填剤、すなわち50m/gを上回る表面積(BET)を有する充填剤、例えばケイ酸又はカーボンブラックが含まれていてよい。製造の際に成分は混合され、かつ熱処理にかけられる。
【0021】
すぐ使用できる組成物の安定化のための必要性は、例えば欧州(EP)特許第1 077 226号明細書(B1)に示されている。付加架橋性のシリコーン材料の場合に、架橋は、必要な全ての成分が一成分中に一緒に存在する瞬間において触媒の存在で開始する(すぐ使用できる組成物)。組成物の架橋速度はそのうえ適している添加剤(抑制剤)により、適用に十分なポットライフが生じるように調節されなければならない。一成分の(すぐ使用できる)及び同時に貯蔵安定な組成物は論理計算(Logistik)において利点を提供し、それというのもこれらの組成物は予め加工直前に完成されている必要はないからである。欧州特許(EP)第1 077 226号明細書(B1)においてこの課題は、ポットライフが常用の触媒に比較してかなり延長される特別な白金触媒の使用により解決される。しかしここでもポットライフは制限されている。
【0022】
技術水準にはすなわち、シリコーンゴム中での充填剤としての水酸化アルミニウムの使用の際に難燃性及び電気的性質に関連して一連の利点、しかしまた未架橋のゴムの加工性及び貯蔵安定性及び加硫物の機械的性質に関連して水酸化アルミニウムが必然的に伴う欠点も記載されている。技術水準はこれらの負の性質を本質的には表面処理された水酸化アルミニウムの使用により均衡をとることを試みている。しかしながら表面処理された水酸化アルミニウムを有するそのような組成物の重大な欠点は、水酸化アルミニウム粉末の表面処理が付加的で複雑な、ひいては高価な作業工程であることである。水酸化アルミニウム粉末の表面処理は通常、健康に有害であるか又は有毒であると評価されているか、又は加工の際に有毒物質を脱離しうる処理剤、例えばシランでの前処理又はその場での処理により行われる。それゆえ相応する安全措置が必要である。
【特許文献1】米国(US)特許第4,217,466号明細書
【特許文献2】米国(US)特許第5,691,407号明細書
【特許文献3】欧州(EP)特許第0 787 772号明細書(B1)
【特許文献4】欧州(EP)特許第0 808 868号明細書(B2)
【特許文献5】欧州(EP)特許第0 808 875号明細書(B1)
【特許文献6】米国(US)特許第5,668,205号明細書
【特許文献7】米国(US)特許第5,977,216号明細書
【特許文献8】欧州(EP)特許出願公開第0 928 008号明細書(A2)
【特許文献9】米国(US)特許第6,106,954号明細書
【特許文献10】欧州(EP)特許第1 037 946号明細書(B1)
【特許文献11】米国(US)特許第3,268,473号明細書
【特許文献12】米国(US)特許第3,334,062号明細書
【特許文献13】ドイツ連邦共和国(DE)特許出願公開第196 14 343号明細書(A1)
【特許文献14】欧州(EP)特許第1 077 226号明細書(B1)
【特許文献15】欧州(EP)特許第0 359 252号明細書(B1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
それに応じて、一方では技術水準に記載された、表面処理された水酸化アルミニウムを有する組成物と同じ良好な性質を有する、未処理の水酸化アルミニウムを有するシリコーンゴム組成物が製造されることができ、他方では表面処理された水酸化アルミニウムの使用の際にも加工性及び貯蔵安定性のような性質が改善されることができる場合に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
意外なことに、目下、適している添加剤の添加により、水酸化アルミニウムで充填されたシリコーンゴム組成物の製造の際にシート強度並びに未架橋の組成物の貯蔵安定性及び加工性が明らかに改善されることが見出された。性質のこの改善は表面処理された水酸化アルミニウム及びまた未処理の水酸化アルミニウムの使用の際に達成される。特に未処理の水酸化アルミニウムの使用の際の性質の改善は望ましい、それというのも技術水準にはこれについて、表面処理された水酸化アルミニウムに比較して一連のかなりの欠点が記載されており、これらの欠点は本発明により均衡をとることができるからである。このことは未架橋の組成物の性質についてだけでなく同じように架橋したゴムの機械的性質についてもあてはまる。
【0025】
本発明の対象は、高電圧絶縁体用のシリコーンゴム組成物であって、次の成分:
(A)一般式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
[式中、
は、脂肪族不飽和基を含まない、炭素原子1〜20個を有する非置換又はハロゲン置換された一価炭化水素基であり、
は、少なくとも1つの脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する、非置換又はハロゲン置換された一価炭化水素基であり、その際に各分子は脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する、ケイ素原子に結合したそのような一価炭化水素基を平均して少なくとも2つ有しており、かつ
a、bは、互いに独立して正数であり、但し、1≦a<3、0<b≦1及び1<a+b≦3である]を有するジオルガノポリシロキサン少なくとも1つ 100質量部、
(B)50〜300m/gのBET法を用いて測定された比表面積を有する高分散ケイ酸 (A)100質量部に対して1〜100質量部、
(C)0.1〜20m/gのBET法により測定された比表面積及び0.05〜20μmの平均粒度を有する水酸化アルミニウム粉末少なくとも1つ (A)100質量部に対して50〜300質量部、
(D)組成物を硬化させるために十分である量の架橋剤、その際にこの架橋剤は、
(D1)有機過酸化物、ヒドロペルオキシド又は異なる有機過酸化物もしくはヒドロペルオキシドからなる混合物
(D2)一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、
は、脂肪族不飽和ではない、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、各分子はケイ素原子に結合したそのような水素原子を平均して少なくとも3つ有しており、
c、dは、互いに独立して正数であり、但し、1≦c<3、0<d≦1及び1<c+d≦3である]を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと
遷移金属を少なくとも1つ含有するヒドロシリル化触媒とからなる組合せ物
を含む群から選択されており、
(E)無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸又は加熱の際に無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸を遊離する化合物 (A)100質量部に対して0.01〜10.0質量部
を含有する。
【0026】
本発明によるシリコーンゴム組成物の成分(A)は、一般式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
で示されるジオルガノポリシロキサン又はジオルガノポリシロキサンの混合物である。Rは、脂肪族不飽和基を有しない、置換又は非置換の一価炭化水素基である。Rは、脂肪族不飽和である、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、その際に各分子はケイ素原子に結合したそのような不飽和基を平均して少なくとも2つ有する。添え字a及びbは1≦a<3、0<b≦1及び1<a+b≦3の範囲内の正数である。
【0027】
特にRは、炭素原子1〜18個を有する、脂肪族炭素−炭素−多重結合を含まない、SiC結合した置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。
【0028】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0029】
置換された基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′、2′−ヘキサ−フルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基、並びに好ましくはメルカプト基、エポキシ官能性の基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソシアナト基、アリールオキシ基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、ヒドロキシ基及びハロゲン基で置換されていてよい、Rについて前記の全ての基である。
【0030】
好ましくは基Rは炭素原子1〜6個を有する一価炭化水素基であり、その際にメチル基が特に好ましい。
【0031】
は特に、脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する、SiC結合した一価炭化水素基を表す。
【0032】
基Rの例は、アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基及び4−ペンテニル基、及びアルキニル基、例えばエチニル基、プロパルギル基及び1−プロピニル基である。
【0033】
好ましくは基Rはアルケニル基であり、その際にビニル基が特に好ましい。
【0034】
好ましい一実施態様においてRはメチル基であり、かつRはビニル基である。ジオルガノポリシロキサン(A)の構造は線状又は分枝鎖状であってよく、その際に線状構造が好ましい。ジオルガノポリシロキサン(A)の25℃での粘度(DIN 53018に従って測定)は1,000mPa・s〜50,000,000mPa・sである。好ましい一実施態様においてジオルガノポリシロキサン(A)の粘度は500,000〜40,000,000mPa・s、さらに好ましくは2,000,000〜30,000,000mPa・sであり、それゆえに通常、高温架橋性のゴム(HTV)において使用されるポリシロキサンの範囲内である。
【0035】
他の一実施態様においてジオルガノポリシロキサン(A)の25℃での粘度(DIN 53018に従って測定)は好ましくは1,000mPa・s〜100,000mPa・s、さらにより好ましくは5,000〜50,000mPa・sである。この粘度範囲内のポリシロキサンは通常、液状シリコーンゴム(liquid silicone rubber、LSR)用に使用される。
【0036】
ジオルガノポリシロキサン(A)は、例えばビニルを末端基とするポリジメチルシロキサン、ビニルを末端基とするポリジメチル−ポリメチルビニル−シロキサン又はトリメチルシリルを末端基とするポリジメチル−ポリメチルビニル−シロキサンであってよい。成分(A)は単一のジオルガノポリシロキサンからか又は2つもしくはそれ以上のジオルガノポリシロキサンの混合物からなっていてよい。
【0037】
成分(B)は高分散ケイ酸である。成分(B)は、架橋されたシリコーンゴムに十分な機械的強さを付与する補強充填剤として使用される。
【0038】
補強充填剤、すなわち少なくとも50m/gのBET表面積を有する充填剤の例は、50m/gを上回るBET表面積を有する、熱分解法により製造されたケイ酸、沈降ケイ酸又はケイ素−アルミニウム−混合酸化物である。挙げられた充填剤は、例えばオルガノシラン、オルガノシラザン又はオルガノシロキサンでの処理によるか又はアルコキシ基へのヒドロキシル基のエーテル化により、疎水化されていてよい。少なくとも100m/gのBET表面積を有する熱分解法により製造されたケイ酸が好ましい。
【0039】
本発明による材料は成分(A)100質量部に対して好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部の量で補強充填剤を含有する。1質量部未満の量の場合に架橋されたゴムの機械的強さは不十分であり、100質量部を上回る場合にゴムは脆くなる。
【0040】
1種類の充填剤、しかしまた少なくとも2つの充填剤の混合物も使用されることができる。
【0041】
ケイ酸の表面処理は、飽和又は不飽和の基を有するケイ素化合物又はそのようなケイ素化合物の混合物で行われることができる。不飽和基を有するケイ素化合物を使用した場合に、処理されたケイ酸は相応する不飽和基を表面上に有する。未処理のケイ酸は、シリコーンゴム組成物の製造の際にそのようなケイ素化合物又はヒドロキシを末端基とするジオルガノシロキサン−オリゴマーと組み合わせて使用されることができる。ジオルガノシロキサン−オリゴマーはそしてまた不飽和基を有していてよい。
【0042】
ヒドロキシを末端基とするジオルガノシロキサン−オリゴマーの例は、ジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサンオリゴマー、ジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー又はヒドロキシを末端基とするメチルビニルシロキサンオリゴマーである。
【0043】
不飽和基を有するシロキサン−オリゴマーの場合に、そのような不飽和基を有するシロキシ単位の割合は好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは4〜20mol%である。オリゴマーの粘度は好ましくは5〜500mPa・s、特に好ましくは15〜60mPa・sである。ケイ酸の表面処理の際に、処理試薬は好ましくは、使用されるケイ素化合物又はシロキサンオリゴマーの少なくとも一部が不飽和基を有するように選択される。少なくとも10質量%、特に好ましくは少なくとも30質量%の不飽和基を有する処理試薬の割合が好ましい。ケイ酸の表面が少なくとも部分的に不飽和基で変性されている場合には、架橋されたシリコーンゴム組成物の機械的性質は未処理の水酸化アルミニウム粉末の使用の際にも改善される。
【0044】
本発明による組成物の成分(C)は、架橋されたゴムに絶縁体としての使用に必要な電気的性質、例えば耐アーク性及び耐トラッキング性を付与するために決定的である。成分(C)は、アルミニウム三水和物(ATH)の名称でも公知である、水酸化アルミニウム粉末であり、かつ通常、一般式(3)又は(4)により記載される:
Al(OH) (3)
Al・3HO (4)
その際に水酸化アルミニウムは酸化アルミニウム水和物AlO(OH)のような混合酸化物も含有していてよい。通常、シリコーンゴム組成物中で、例えばシラン又はシラザンで表面処理されている水酸化アルミニウムが使用される。本発明による組成物は、そのように表面処理されている水酸化アルミニウム、並びに表面処理されなかった水酸化アルミニウムを含有していてよい。表面処理された水酸化アルミニウムは例えば、商品名Hymod(R) 632 SP(J. M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A.)、Martinal(R) OL 104/A、OL 104/C又はOL 104/S(双方ともMartinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)又はTrefil 744(Quarzwerke GmbH、Frechen/ドイツ連邦共和国)で入手可能である。
【0045】
未処理の水酸化アルミニウムは例えば、商品名Apyral 40 CD(Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、Martinal OL-107又はMartinal OL-104(双方ともMartinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)又はMicral 632(J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)で入手可能である。
【0046】
使用される水酸化アルミニウム粉末は好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは1〜15μmの平均粒度を有する。BET法を用いて測定された水酸化アルミニウム粉末の比表面積は好ましくは0.1〜20m/g、より好ましくは1〜10m/gである。20μmを上回る平均粒度もしくは0.1m/g未満の比表面積の場合に、粒子は、水酸化アルミニウム粉末が場合によりもはや均一にシリコーンゴム中で分配されることができないほど大きい。0.05μm未満の平均粒度もしくは20m/gを上回る比表面積の場合に、水酸化アルミニウム含量はゴムの機械的性質に補強作用を及ぼしうる。
【0047】
成分(C)に関して、成分(A)100質量部に対して好ましくは50〜300質量部が使用される。80〜250質量部が好ましく、90〜200質量部がさらにより好ましい。多すぎる割合の水酸化アルミニウムの場合に、組成物の加工性及び架橋されたゴムの機械的性質は劣悪化し、少なすぎる割合の水酸化アルミニウムの場合に、ゴムの電気的性質の不十分な改善が得られるに過ぎない。
【0048】
成分(C)は、単一の水酸化アルミニウム粉末として使用されることができるか、又は、例えば異なる粒度又は比表面積又は異なる形態を有する、異なる水酸化アルミニウム粉末の組合せ物が使用されることができる。
【0049】
成分(D)は、組成物を場合により高められた温度で、硬化させるために十分である量で添加される架橋剤である。組成物を高められた温度で初めて硬化させる架橋剤が好ましい、それというのも、それにより未架橋の組成物の貯蔵性が改善されるからである。
【0050】
成分(D)は、例えば有機又は無機の過酸化物であってよいか又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンと遷移金属少なくとも1つを有するヒドロシリル化触媒とからなる組合せ物であってよい。
【0051】
成分(D)が過酸化物である場合には、ジアルキルペルオキシド、ジアリールペルオキシド、アルキルアリールペルオキシド、アラルキルペルオキシド及びヒドロペルオキシドの群から選択されている。成分(D)として個々の過酸化物又はヒドロペルオキシド、又は異なる過酸化物又は過酸化物とヒドロペルオキシドとからなる組合せ物が使用されることができる。成分(D)の割合は、(D)が過酸化物である場合に、その都度(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜80質量部及び特に好ましくは0.5〜40質量部である。
【0052】
有機過酸化物の例は、過酸化アシル、例えば過酸化ジベンゾイル、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、ビス−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシド及びビス−(4−メチルベンゾイル)−ペルオキシド;アルキルペルオキシド及びアリールペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジクミルペルオキシド及び1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)−ベンゼン;ペルケタール、例えば1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;過酸エステル、例えばジアセチルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−イソノナノエート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート及び2,5−ジメチル−ヘキサン−2,5−ジペルベンゾエートである。
【0053】
ゴム組成物が付加架橋性である場合には、成分(D)はオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも1つの遷移金属を有するヒドロシリル化触媒とからなる組合せ物からなっている。その際にオルガノハイドロジェンポリシロキサンは一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは、脂肪族不飽和ではない、置換又は非置換の一価炭化水素基である]を有する。各分子はケイ素原子に結合したそのような水素原子を平均して少なくとも3つ有する。添え字a及びbは正数であり、但し、方程式1≦c<3、0<d≦1及び1<c+d≦3を満たしている。
【0054】
の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0055】
置換された基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサ−フルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基、並びに好ましくはメルカプト基、エポキシ官能性の基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソシアナト基、アリールオキシ基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、ヒドロキシ基及びハロゲン基で置換されていてよい、Rについて前記の全ての基である。
【0056】
好ましくは、一般式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ビニル基に対して過剰のSi−Hがゴム中に生じるように添加される。
【0057】
脂肪族多重結合へのSiに結合した水素の付加を促進する触媒として、本発明による方法の場合にも、これまでも脂肪族多重結合へのSiに結合した水素の付加を促進するために使用されることができた同じ触媒が使用されてもよい。触媒は好ましくは白金族金属の群からの金属又は白金族金属の群からの化合物又は錯体である。そのような触媒の例は、担体、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又は活性炭上に存在していてよい、金属の及び微粒状の白金、白金の化合物又は錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO、白金−オレフィン−錯体、白金−アルコール−錯体、白金−アルコラート−錯体、白金−エーテル−錯体、白金−アルデヒド−錯体、白金−ケトン−錯体、HPtCl・6HO及びシクロヘキサノンからの反応生成物を含む、白金−ビニル−シロキサン錯体、例えば検出可能な無機的に結合したハロゲンを含有するか又は含有しない白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ−メチル−ジシロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)−白金ジクロリド、トリメチレンジピリジン白金ジクロリド、ジシクロペンタジエン白金ジクロリド、ジメチルスルホキシドエチレン白金−(II)−ジ−クロリド、シクロオクタジエン−白金ジクロリド、ノルボルナジエン−白金ジクロリド、γ−ピコリン−白金ジクロリド、シクロペンタジエン−白金ジクロリド、並びに四塩化白金とオレフィン及び第一アミン又は第二アミン又は第一及び第二アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解させた四塩化白金とs−ブチルアミンとからの反応生成物又はアンモニウム−白金錯体である。
【0058】
触媒は本発明による方法の場合に好ましくは触媒量で使用される。
【0059】
未架橋のゴムの貯蔵温度で、好ましくは40℃未満で不活性であり、それに反して高められた温度で組成物を十分に迅速に触媒するヒドロシリル化触媒が特に好ましい。
【0060】
そのようなヒドロシリル化触媒の例は、式(5)
【0061】
【化1】

で示される化合物及び/又は、一般式(6)
【0062】
【化2】

で示される構造単位及び場合により一般式(7)
11SiO(4−r)/2 (7)
で示される構造単位から構成されているオリゴマー化合物又はポリマー化合物からなる群から選択されている白金化合物であり、
ここで、
は、少なくとも1つのπ−結合により白金と結合されており、かつ炭素原子4〜18個を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状の鎖又は炭素原子6〜28個を有する環(cyclischen Ring)である置換又は非置換のジエンを表し、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子、ハロゲン原子、−SiR、−OR又は炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、但し、式(5)の化合物中で少なくとも1つの基Rは−SiRの意味を有し、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素、ハロゲン原子、−OR又は炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子、−SiR又は炭素原子1〜20個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基であり、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子、ハロゲン原子、−SiR、−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2、−OR又は炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、但し、式(6)中で少なくとも1つの基Rは−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2の意味を有し、
10は、同じか又は異なっていてよく、かつ酸素又は酸素原子を介してケイ素に結合されていてよい、炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の二価炭化水素基を表し、
11は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素又は有機基を表し、
rは、0、1、2又は3であり、
sは、0、1、2又は3を意味し、かつ
tは、1、2又は3である。
【0063】
オルガノポリシロキサンという概念に関しては、ポリマーシロキサン、オリゴマーシロキサン並びにダイマーシロキサンが一緒に含まれるべきである。
【0064】
が置換されたジエンであるかもしくは基R、R、R、R、R及びR10が置換された炭化水素基である場合には、置換基としてハロゲン原子、例えばF、Cl、Br及びI、シアノ基、−NR、ヘテロ原子、例えばO、S、N及びP、並びに基−ORが好ましく、その際にRは前記の意味を有する。
【0065】
の例は、ジエン、例えば1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、2,4−ヘキサ−ジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、α−及びγ−テルピネン、(R)−(+)−4−イソプロペニル−1−メチル−1−シクロヘキセン、(S)−(−)−4−イソプロペニル−1−メチル−1−シクロヘキセン、4−ビニル−1−シクロ−ヘキセン、2,5−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1−クロロ−1,5−シクロ−オクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジクロロ−1,5−シクロオクタジエン、5,8−ジヒドロ−1,4−ジオキソシン(dioxocin)、η−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、η−1,3,5−シクロヘプタトリエン、η−1−フルオロ−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、η−1,2,4,7−テトラメチル−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、1,8−シクロテトラデカジエン、1,9−シクロヘキサデカジエン、1,13−シクロテトラコサジエン、η−1,5,9−シクロドデカトリエン、η−1,5,10−トリメチル−1,5,9−シクロドデカトリエン、η−1,5,9,13−シクロ−ヘキサデカテトラエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、1,3−ドデカジエン、メチルシクロペンタジエン二量体、4,7−メチレン−4,7,8,9−テトラヒドロ−インデン、ビシクロ[4.2.2]デカ−3,9−ジエン−7,8−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[4.2.2]デカ−3,9−ジエン−7,8−ジカルボン酸アルキルエステル及びビシクロ[4.2.2]デカ−3,7,9−トリエン−7,8−ジカルボン酸アルキルエステルである。
【0066】
好ましくはジエンRは、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1−クロロ−1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジクロロ−1,5−シクロオクタジエン、1,8−シクロテトラデカジエン、1,9−シクロヘキサデカジエン、1,13−シクロテトラコサジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、及びη−1,3,5,7−シクロオクタテトラエンであり、その際に1,5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンが特に好ましい。
【0067】
の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、シクロアルキル基、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、不飽和基、例えばアリル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基及びスチリル基、アリール基、例えばフェニル基、o−,m−,p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基、アラルキル基、例えばベンジル基及びα−及びβ−フェニルエチル基、並びに式−C(R)=CRで示される基であり;Rの別の例は−OR−基、例えばヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及びフェノキシ基である。ハロゲン化された基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−,m−及びp−クロロフェニル基である。Rに等しいシリル基の例は、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基、n−プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ヒドロキシプロピルジメチルシリル基、メチルビニルフェニルシリル基及びメトキシプロピルシリル基である。
【0068】
好ましくは基Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基及び炭素原子1〜8個を有する炭化水素基並びにトリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基であり、その際に水素原子、メチル基及びトリメチルシリル基が特に好ましい。
【0069】
好ましくは基Rは、炭素原子1〜24個を有する一価炭化水素基、例えば基Rに関連して挙げられた例、置換された炭化水素基、例えばヒドロキシプロピル基、及びクロロプロピル基及び−OR−基、例えばヒドロキシ基、メトキシ基及びエトキシ基であり、その際にメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、メトキシ基、エトキシ基及びヒドロキシプロピル基が特に好ましい。
【0070】
基Rの例は、基Rについて記載された基である。好ましくはRは水素原子、アルキル基及びアリール基であり、その際に水素原子、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
【0071】
基Rの例は、基Rについて記載された基並びに1−トリメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル基、1−エチルジメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル基、1−メトキシジメチルシロキシ−プロピル−3−ジメチルシリル基及びペンタメチルジシロキサニル基である。
【0072】
好ましくはRは一価の基、例えば水素原子、メチル基、メトキシ基、トリメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、1−トリメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル基及びヒドロキシプロピルジメチルシリル基並びに多価の基、例えば−C-、−Si(Me)−O−Si(Me)1/2、−Si(Me)−CH−CH−CH−O−Si(Me)1/2、−Si(Me)−O−Si(Me)O2/2、−Si(Me)−O−SiO3/2、−Si(Me)−CH−CH−Si(Me)1/2及び−Si(Me)−CH−CH−Si(Me)O2/2であり、その際にMeはメチル基の意味を有する。
【0073】
基R10の例は、酸素原子並びに−CH−、−C−、−C−、−C−、−C12−、−C−、−CHCH(CH)−C−CH(CH)CH−及び−(CHO−であり、その際に酸素原子、−C−、−C−及び−(CHO−が特に好ましい。
【0074】
基R11の例は、水素原子並びに基R及び基Rについて記載された例である。
【0075】
好ましくはR11は炭素原子1〜12個を有する一価炭化水素基であり、その際にメチル基、エチル基、フェニル基及びビニル基が特に好ましい。
【0076】
式(7)の単位の例は、SiO4/2−、(Me)SiO1/2−、Vi(Me)SiO1/2−、Ph(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−、Ph(Me)SiO2/2−、Vi(Me)SiO2/2−、H(Me)SiO2/2−、MeSiO3/2−、PhSiO3/2−、ViSiO3/2−、(Me)(MeO)SiO1/2−及びOH(Me)SiO1/2−であり、その際に(Me)SiO1/2−、Vi(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−、Ph(Me)SiO2/2−、Vi(Me)SiO2/2−及びMe(MeO)SiO1/2−MeSiO3/2−が好ましく、かつ(Me)SiO1/2−、Vi(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−及びVi(Me)SiO2/2−が特に好ましく、ここでMeはメチル基に等しく、Viはビニル基に等しく、かつPhはフェニル基に等しい。
【0077】
成分(D)として式(5)〜(7)によるヒドロシリル化触媒が使用される場合には、好ましくはビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体、ビス(アルキニル)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)白金−錯体、ビス(アルキニル)(1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体及びビス(アルキニル)(1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体が重要である。
【0078】
成分(E)は、技術水準に比較して改善された組成物の性質の達成にとって本質的である。成分(E)は、無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸又は加熱の際に無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸を遊離する化合物である。可能な塩基はアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物及び水酸化アンモニウムである。より弱い塩基、例えば有機アミン及びアンモニア及び有機アミンの塩及びアンモニウム化合物NHXが好ましい。
【0079】
有機アミンの例は、第一、第二又は第三の脂肪族アミン、例えばジメチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチル−エチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチル−シクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、1−アミノオクタン、2−アミノオクタン、2個のアミノ基を有する化合物、例えばエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン及びそれらの高級同族体;環状アミン、例えばピペラジン、ピペリジン、4−ピペリドン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドン、ピロリジン、アミノピロリジン、モルホリン及びそれらのアルキル−誘導体;芳香族アミン、例えばアニリン、ジメチルアニリン、トルイジン類、ピリジン及びそれらのアルキル誘導体、尿素及びN−アルキル尿素−誘導体である。好ましくは、アンモニア及びゴムから再び容易に除去されうるより揮発性のアミンである。
【0080】
可能な塩基はこれらのアミンの塩及びアンモニウム化合物NHXでもあり、その際にXは例えば以下に挙げる酸基の1つを表す。好ましい例は炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウム、例えばギ酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムである。
【0081】
酸の例は、スルホン酸又は鉱酸である。より好ましくは、ポリシロキサン鎖が分解するあまり強い傾向を有しないより弱い酸、例えばカルボン酸、例えばシュウ酸、又はさらにより好ましくはさらにより弱い酸、例えばマレイン酸、フマル酸、マロン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸並びにモノカルボン酸の高級同族体、並びに別のジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸又はサリチル酸である。
【0082】
ケイ素有機酸又はケイ素有機塩基の例は、アミノシラン、例えばアミノプロピル−トリメトキシシラン、アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメチルシラン、アシルアミノシランR12SiNR13C=O−R14であり、ここでR12はR又はRに等しくてよく、かつR13及びR14は互いに独立してR又はRに等しくてよく、例えばN−トリメチルシリルアセトアミド及びN−トリメチルシリルホルムアミド、N−トリオルガノシリルカルバミン酸エステル、N−トリオルガノシリルカルバミン酸トリオルガノシリルエステル、N−トリオルガノシリル尿素、例えばN,N′−ジメチル−N,N′−ビス−(トリメチルシリル)尿素、ジメチル−トリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン又はジビニル−テトラメチル−ジシラザンである。
【0083】
それらの酸強度又は塩基強度に基づいてポリシロキサン鎖の分解する際立った傾向を有しない、酸又は塩基が好ましい。さらに揮発性の化合物又は加熱の際に揮発性の又は特に好ましくはガス状の塩基又は酸、例えばアンモニアを遊離する化合物が好ましい。故に熱分解する塩、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムが特に好ましい。カルバミン酸アンモニウムが殊に好ましい。
【0084】
成分(E)に関しては、(A)100質量部に対して0.01〜10.0質量部が使用される。(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜6.0質量部、特に好ましくは1.0〜4.5質量部が使用される。0.01質量部未満の場合に、添加剤の本発明による作用は存在しておらず、10質量部を上回る場合に、場合により鎖分解による機械的性質の劣悪化の結果も生じる、架橋系への強すぎる抑制作用が観察される。
【0085】
成分(E)が含窒素化合物、例えばアミン、アンモニウム塩又はシラザンである場合には、組成物は製造後に、相応して高められた窒素含量を有する。1000ppmを上回る高すぎる窒素含量の場合に、組成物の架橋特性及び架橋されたゴムの機械的強さは劣悪化する。10ppm未満の少なすぎる含量の場合に、成分(E)は本発明によれば効果がない。好ましくはシリコーンゴム組成物は故に窒素を少なくとも10ppm、多くとも1000ppm、特に好ましくは窒素を少なくとも20ppm、多くとも500ppm含有する。
【0086】
成分(A)〜(E)に加えて、場合により別の成分は組成物中へ配合されることができる。
【0087】
任意の成分(F)として、架橋速度を制御する抑制剤が使用されることができる。室温で脂肪族多重結合へのSiに結合した水素の付加を遅延する薬剤、いわゆる抑制剤として、本発明による組成物の場合に、これまで同じ目的に使用されることができた全ての抑制剤が使用されることもできる。
【0088】
抑制剤の例は、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ベンゾトリアゾール、ジアルキルホルムアミド、アルキルチオ尿素、メチルエチルケトキシム、1012mbar(絶対)で少なくとも25℃の沸点及び少なくとも1つの脂肪族三重結合を有する有機化合物又は有機ケイ素化合物、例えば1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3,7−ジメチル−オクト−1−イン−6−エン−3−オール、マレイン酸ジアリルと酢酸ビニルとからなる混合物、マレイン酸モノエステル、及び式HC=C−C(CH)(OH)−CH−CH−CH=C(CHの化合物のような抑制剤であり、例えば商品名"Dehydrolinalool"(BASF AG、Ludwigshafen/ドイツ連邦共和国)で入手可能である。
【0089】
成分(F)として、エチニルシクロヘキサノール(ECH)、デヒドロリナロール、3−メチルドデシノール又はシロキシ単位50個までの平均連鎖長を有し、かつ末端の3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ−基を有するジオルガノシロキサン−オリゴマーが好ましい。エチニルシクロヘキサノール及び末端の3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ−基を有するジオルガノシロキサン−オリゴマーが特に好ましい。
【0090】
任意の成分(G)として、電気的性質、耐熱性又は防炎性のさらなる改善を生じさせる添加剤が使用されることができる。これらの添加剤は例えば金属酸化物又は金属水酸化物、三酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム又は金属化合物又は遷移金属化合物、例えばパラジウム又は白金の化合物、場合によりヒドロシリル化反応におけるこれらの化合物の活性を制御する有機化合物と組み合わせて、又はそのような添加剤の組合せ物であってよい。
【0091】
好ましくは金属酸化物の場合に二酸化チタンである。好ましい一実施態様において成分(G)は白金化合物又は白金錯体と、炭素を介してケイ素に結合した塩基性窒素を有する有機ケイ素化合物との反応生成物からか、又はそのような反応生成物と二酸化チタンとの組合せ物からなる。そのような白金化合物又は白金錯体の例は、例えば欧州(EP)特許第0 359 252号明細書(B1)に記載されたH[PtCl]・6HO、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、特に白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体又は例えば欧州(EP)特許第1 077 226号明細書(B1)に記載されたアセチリド配位子を有する白金のシクロオクタジエン−錯体、特にビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体である。白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体又は白金のアセチリド配位子を有するシクロオクタジエン−錯体が好ましい。
【0092】
炭素を介してケイ素に結合した塩基性窒素を有する有機ケイ素化合物の例は、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(シクロヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,2−ビス[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、N,N′−ビス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,2−エタンジアミン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,2−エタンジアミン及びN,N′−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−尿素である。
【0093】
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN,N′−ビス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,2−エタンジアミンが好ましい。
【0094】
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0095】
別の任意の成分(H)として別の非補強充填剤及び顔料を、これらが組成物又は架橋されたゴムの所望の性質を阻害しない限り、含まれていてよい。別の成分(H)は、(A)100質量部に対して、0.001〜100質量部の含分で含まれていてよい。別の成分(H)の例は、カーボンブラック、グラファイト、石英粉、カルボン酸の金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、金属酸化物又は混合酸化物、例えば酸化鉄、コバルト−酸化アルミニウムスピネル、コバルト−鉄−クロムスピネル、アルミニウム−クロム−コバルトスピネル及び他のスピネル、酸化セリウム、酸化クロム、二酸化チタン及び酸化バナジウム、並びにさらに加工助剤、例えば非官能性ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシを末端基とするポリ−ジメチル−シロキサン油、ヒドロキシを末端基とするポリ−ジメチル−メチルビニル−シロキサン油、離型剤及び可塑剤である。
【0096】
本発明による組成物は、成分の単純な混合により、シリコーンゴム−組成物に通常使用される混合装置(ニーダー、押出機、二本ロール機)中で製造されることができる。
【0097】
成分(A)、(B)及び(C)が(E)及び場合により任意の成分(F)〜(H)と一緒にニーダー中で均質になるまで緊密に混合されることによる製造が好ましい。
【0098】
成分(E)が、成分(A)、(B)及び(C)及び場合により別の任意の成分と一緒に適している混合装置中で、例えばニーダー中で緊密に混合されることによる製造が好ましい。成分(E)が特に有効であるように、温度は10分ないし5時間、好ましくは15分ないし1時間の混合過程の間に50℃より高く、好ましくは75℃より高く、特に好ましくは85℃より高く調節される。このことは特に熱的に揮発性の酸又は塩基を遊離する化合物、例えば有機アミンの塩又はアンモニウム塩、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムにも当てはまる。そのような室温で固体の化合物は、混合過程の際に完全に溶融されていなければならない、それというのも、さもないと後の加硫物のより劣悪な機械的性質が生じるからである。ニーダーからの組成物の搬出後にこの予備生成物は成分(D)と共に圧延機上で完成され、その際に組成物の温度は組成物の架橋開始(Anvernetzung)が行われる温度未満のままでなければならない。任意の成分(F)〜(H)は第一工程においてではなくて、また成分(D)と一緒にはじめて圧延機上に添加されることができる。
【0099】
別の好ましい一実施態様において、まず最初に適している混合装置中で成分(A)及び(B)は表面処理剤と一緒に加熱しながら均質になるまで混合される。ついでこの中間生成物は第二工程においてニーダー中で成分(C)と、成分(E)及び場合により任意の成分(F)〜(H)の添加下に均質になるまで緊密に混合され、その際に温度はそしてまた10分ないし5時間、好ましくは15分ないし1時間の混合過程の間に50℃より高く、好ましくは75℃より高く、特に好ましくは85℃より高いべきである。引き続いてこの予備生成物は上記のように成分(D)及び任意の成分(F)〜(H)と共に圧延機上で完成される。成分(D)がニーダー中で達成される温度を上回る分解温度を有する場合には、成分(D)は既に、場合により温度処理工程後の適している温度へのニーダーの冷却後に、ニーダー中へ配合されることもできる。
【0100】
他の好ましい一実施態様において、まず最初にニーダー中で成分(A)は成分(C)と一緒に、(E)及び場合により任意の成分(F)〜(H)の添加下に加熱しながら均質になるまで混合され、その際に温度は10分ないし5時間、好ましくは15分ないし1時間の混合過程の間に50℃より高く、好ましくは75℃より高く、特に好ましくは85℃より高いべきである。これはATH−含有の予備生成物1である。ついで適している混合装置中で成分(A)及び(B)は表面処理剤と一緒に加熱しながら均質になるまで混合される。これは予備生成物2である。引き続いて予備生成物1及び予備生成物2は所望の比でローラー上で混合され、成分(D)及び場合により任意の成分(F)〜(H)と共に完成した組成物へと完成される。
【0101】
成分(A)〜(E)に加えて、好ましい全ての製造方法において別の成分が組成物中へ任意に配合されることができる。
【0102】
本発明によるシリコーンゴム組成物から、前記の架橋方法により本発明によるシリコーンゴムが得られる。
【0103】
こうして得られた本発明によるシリコーンゴムはそれらの卓越した機械的性質及び電気的性質に基づいて特に高電圧絶縁体及びケーブル外装の製造に適している。
【実施例】
【0104】
ベース混合物1の製造:
ニーダー中で、ジメチルシロキシ単位99.94mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.06mol%を有し、かつシロキシ単位約6000個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部を、300m/gのBET法に従って測定された表面積を有するビニルシランで処理されたケイ酸31部と均質になるまで混合する。
【0105】
ベース混合物2の製造:
ニーダー中で、ジメチルシロキシ単位99.94mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.06mol%を有し、かつシロキシ単位約6000個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部を、300m/gのBET法に従って測定された表面積を有するケイ酸31部及び40mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサンオリゴマー7部と均質になるまで混合し、170℃に2時間加熱する。
【0106】
ベース混合物3の製造:
ニーダー中で、ジメチルシロキシ単位 99.94mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.06mol%を有し、かつシロキシ単位約6000個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部を、300m/gのBET法に従って測定された表面積を有するケイ酸31部、40mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサンオリゴマー5部及び40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー5部と均質になるまで混合し、170℃に2時間加熱する。
【0107】
架橋剤1:
架橋剤1はジクミルペルオキシドである。
【0108】
架橋剤2:
架橋剤2は、シリコーン油中の2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンからなる50%ペーストである。
【0109】
架橋剤3:
架橋剤3は、シロキシ単位150個の平均連鎖長、0.5質量%のSi−H含量及び360mm/sの25℃での粘度を有するトリメチルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキシ−メチルハイドロジェンシロキシコポリマーである。
【0110】
触媒1:
触媒1は、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするポリジメチルシロキサン中の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−白金錯体の白金0.025質量%を含有する溶液である。
【0111】
触媒2:
触媒2は、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするポリジメチルシロキサン中の1,5−シクロオクタジエン−ビス[トリメチルシリルフェニルエチニル]白金の白金0.025質量%を含有する溶液である。
【0112】
添加剤1:
メチルビニルシロキシ単位20mol%を有し、かつ50,000mPa・sの25℃での粘度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部を撹拌機中で、熱分解法により気相中で製造された二酸化チタン50部と均質に混合する。これに、1400mPa・sの25℃での粘度を有するジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルポリシロキサン中の白金−ビニルシロキサン−錯体(Karstedt触媒として公知である)からなるPt 1質量%(元素として計算)を含有する混合物25部を添加し、均質になるまで混合する。この混合物にN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン4部を添加し、激しく撹拌しながらゆっくりと150℃に加熱し、150℃で2時間撹拌する。
【0113】
添加剤2:
添加剤2は、ベース混合物1中の、商品名Sicopal blau K 6310 (BASF AG、Ludwigshafen/ドイツ連邦共和国)で入手可能な、コバルト−酸化アルミニウム−スピネルの50質量%混合物である。
【0114】
添加剤3:
添加剤3は、シロキシ単位12個の平均連鎖長及び8mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有し、かつ末端の3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ−基を有する、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマーである。
【0115】
例1:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム1.4部及び未処理の水酸化アルミニウム145部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で架橋剤2 1.0部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスし、引き続いて150℃で4時間熱処理する。
【0116】
例2:
ニーダー中でベース混合物3 100部をカルバミン酸アンモニウム1.4部及び未処理の水酸化アルミニウム140部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で架橋剤2 1.0部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスし、引き続いて150℃で4時間熱処理する。
【0117】
例3:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム1.4部及び未処理の水酸化アルミニウム130部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.03部、架橋剤3 3部及び触媒1 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0118】
例4:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム1.5部、未処理の水酸化アルミニウム140部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)及び、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有するジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.03部、架橋剤3 3部及び触媒1 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0119】
例5(本発明によらない):
ニーダー中でベース混合物2 100部を未処理の水酸化アルミニウム130部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)と均質になるまで混合する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.03部、架橋剤3 3部及び触媒1 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0120】
例6:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム1.25部、未処理の水酸化アルミニウム125部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、40mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてステアリン酸カルシウム1.0部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0121】
例7:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム2.5部、未処理の水酸化アルミニウム150部(Micral(R) 632; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部、及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間120℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0122】
例8:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム2.5部、未処理の水酸化アルミニウム150部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%及びシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間120℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0123】
例9(本発明によらない):
ニーダー中でベース混合物2 100部を未処理の水酸化アルミニウム150部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と均質になるまで混合する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0124】
例10:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム2.5部、未処理の水酸化アルミニウム150部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間120℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。抑制剤を添加しない。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0125】
例11:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム4.0部、未処理の水酸化アルミニウム150部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間120℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.01部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.7部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0126】
例12:
例12を例8と同じように製造したが、均質化する際にニーダー中の温度を少なくとも30min、90℃に保持したという差異を有していた。
【0127】
例13(本発明によらない):
例13を例8と同じように製造したが、均質化する際にニーダー中の温度が60℃を上回らなかったという差異を有していた。
【0128】
例14:
例14は例12と同一であるが、しかしその際に未架橋の組成物を、試験体の製造及び機械的な値の測定の前に3ヶ月間室温で貯蔵した。
【0129】
例15:
ニーダー中でベース混合物2 100部をカルバミン酸アンモニウム2.0部、処理された水酸化アルミニウム145部(Martinal OL 104/S; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー18部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間90℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.5部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0130】
例16(本発明によらない):
ニーダー中でベース混合物2 100部を、処理された水酸化アルミニウム145部(Martinal OL 104/S; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー18部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.5部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1部と均質になるまで混合する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部、添加剤1 0.5部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0131】
例17:
ニーダー中でベース混合物1 100部を炭酸アンモニウム3.0部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー16部、加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1.5部及び添加剤2 2.2部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも45分間110℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0132】
例18:
ニーダー中でベース混合物1 100部を炭酸水素アンモニウム3.5部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー16部、加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1.5部及び添加剤2 2.2部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間110℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0133】
例19:
ニーダー中でベース混合物1 100部を酢酸2.5部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー18部、加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1.5部及び添加剤2 2.2部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間120℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.045部、添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0134】
例20:
ニーダー中でベース混合物1 100部を炭酸水素アンモニウム3.5部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー16部、加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1.5部及び添加剤2 2.2部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間110℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。抑制剤を添加しない。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0135】
例21:
ニーダー中でベース混合物3 100部をカルバミン酸アンモニウム1.5部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Micral 623; J. M. Huber Corporation、Edison NJ/U.S.A.)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間90℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で添加剤1 1部、添加剤3 2部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0136】
例22:
ニーダー中でベース混合物3 100部をカルバミン酸アンモニウム2.0部、未処理の水酸化アルミニウム145部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー10部、ジメチルシロキシ単位99.94mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.06mol%を有し、かつシロキシ単位約6000個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー10部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー2.8部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム2.0部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間90℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0137】
例23:
ニーダー中でベース混合物3 100部をカルバミン酸アンモニウム2.0部、未処理の水酸化アルミニウム150部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)、ジメチルシロキシ単位99.94mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.06mol%を有し、かつシロキシ単位約6000個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー18部、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー3.0部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム2.0部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間90℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 0.8部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0138】
例24:
ニーダー中でベース混合物3 100部をカルバミン酸アンモニウム2.0部、未処理の水酸化アルミニウム130部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH、Schwandorf/ドイツ連邦共和国)、二酸化チタン1.5部、ジメチルシロキシ単位99.55モルmol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を含有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー20部及び加工助剤としてのステアリン酸カルシウム2.0部と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間90℃の温度を有する。この混合物100部をローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 2.5部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minでプレスする。
【0139】
ベース混合物4の製造:
ニーダー中でジメチルシロキシ単位99.55mol%及びメチルビニルシロキシ単位0.45mol%を含有し、かつシロキシ単位約5500個の重合度を有する、ジメチルビニルシリルオキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部を、40mPa・sの粘度及び10mol%のメチルビニルシロキシ−含量を有するジメチルヒドロキシシロキシを末端基とするジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー4部、カルバミン酸アンモニウム4部及び未処理の水酸化アルミニウム290部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH、Bergheim/ドイツ連邦共和国)と、加熱しながら均質になるまで混合した結果、材料はニーダー中で少なくとも30分間100℃の温度を有する。
【0140】
例25:
ベース混合物4 100部をローラー上でベース混合物3 45部と共に均質化させる。こうして製造した混合物100部を再びローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.05部、架橋剤3 3部及び触媒1 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0141】
例26:
ベース混合物4 100部をローラー上でベース混合物3 45部と共に均質化させる。こうして製造した混合物100部を再びローラー上で抑制剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.05部、架橋剤3 3部及び触媒2 1部と共に完成させる。試験体の製造のために、組成物を170℃で15minプレスする。
【0142】
前記の例の測定結果は第1a及び1b表にまとめられている。その際にショア硬さの測定をDIN 53505-Aに従って厚さ6mmの試験体について行った。引張強さ(Reissfestigkeiten)及び破断伸び(Reissdehnungen)の測定を、DIN 53504に従って厚さ2mmのS1ショルダーバー(Schulterstaeben)について実施した。引裂抵抗の測定をASTM D 624 Bに従って厚さ2mmの試験体について行った。着火温度(Anspringtemperaturen)の測定をDIN 53529-A3に従って非等温的に行い、T50値の測定をDIN 53529-A3に従って150℃で等温的に実施した。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
前記の例から選択された幾つかの電気的試験についての測定結果は第2表にまとめられている。その際に、絶縁耐力(Durchschlagfestigkeit)の試験をDIN IEC 243-2に従って及び比体積抵抗(spezifischen Durchgangswiderstands)の試験をDIN IEC 93に従って行った。高圧−耐アーク性の試験をDIN VDE 0441 1部に従って及び高圧−耐トラッキング性(Hochspannungs-Kriechstromfestigkeit)の試験をDIN IEC 587(VDE 0303 10部)に従って実施した。
【0146】
【表3】

【0147】
前記の例から選択された幾つかの煮沸後の電気的試験についての測定結果は第3表にまとめられている。その際に試験を前記の規格に従って行った。煮沸後の試料を、塩化ナトリウムを0.1%添加した脱イオン水中で前もって100時間貯蔵し、かつ前記試料は3mmの試料厚さを有していた。
【0148】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム組成物において、
(A)一般式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
[式中、
は、脂肪族不飽和基を含まない、炭素原子1〜20個を有する非置換又はハロゲン置換された一価炭化水素基であり、
は、少なくとも1つの脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する、非置換又はハロゲン置換された一価炭化水素基であり、その際に各分子は脂肪族炭素−炭素−多重結合を有する、ケイ素原子に結合したそのような一価炭化水素基を平均して少なくとも2つ有しており、かつ
a、bは、互いに独立して正数であり、但し、1≦a<3、0<b≦1及び1<a+b≦3である]を有するジオルガノポリシロキサン少なくとも1つ100質量部、
(B)50〜300m/gのBET法に従って測定された比表面積を有する高分散ケイ酸 (A)100質量部に対して1〜100質量部、
(C)0.1〜20m/gのBET法により測定された比表面積及び0.05〜20μmの平均粒度を有する水酸化アルミニウム粉末少なくとも1つ (A)100質量部に対して50〜300質量部、
(D)組成物を硬化させるために十分である量の架橋剤、その際にこの架橋剤は、
(D1)有機過酸化物、ヒドロペルオキシド又は異なる有機過酸化物もしくはヒドロペルオキシドからなる混合物
(D2)一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、
は、脂肪族不飽和ではない、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、各分子がケイ素原子に結合したそのような水素原子を平均して少なくとも3つ有しており、
c、dは、互いに独立して正数であり、但し、1≦c<3、0<d≦1及び1<c+d≦3である]を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと
遷移金属を少なくとも1つ有するヒドロシリル化触媒とからなる組合せ物
を含む群から選択され、
(E)無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸又は加熱の際に無機塩基、有機塩基もしくはケイ素有機塩基又は無機酸、有機酸もしくはケイ素有機酸を遊離する化合物 (A)100質量部に対して0.01〜10.0質量部
を含有していることを特徴とする、シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
塩基(E)がアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機第一アミン、有機第二アミン及び有機第三アミン、アンモニア、有機アミンの塩及びアンモニウム化合物を含む群から選択されている、請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
塩基(E)が炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムである、請求項2記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
酸(E)がスルホン酸、鉱酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸を含む群から選択されている、請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
成分(E)がアミノシラン、アシルアミノシラン、N−トリオルガノシリルカルバミン酸エステル、N−トリオルガノシリルカルバミン酸トリオルガノシリルエステル、N−トリオルガノシリル尿素、ジメチル−トリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン及びジビニル−テトラメチル−ジシラザンを含む群から選択されている、請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項6】
シリコーンゴム組成物が窒素を少なくとも10ppm及び多くとも1000ppm含有している、請求項1、2、3又は5記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
(D)が、一般式(2):
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは、脂肪族不飽和ではない、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、各分子はケイ素原子に結合したそのような水素原子を平均して少なくとも3つ有しており、
c、dは互いに独立して正数であり、但し、1≦c<3、0<d≦1及びl<c+d≦3である]を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
遷移金属を少なくとも1つ有するヒドロシリル化触媒とからなる組合せ物である、請求項1から6までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項8】
ヒドロシリル化触媒が、式(5)
【化1】

で示される化合物、一般式(6)
【化2】

で示される構造単位及び場合により一般式(7)
11SiO(4−r)/2 (7)
で示される構造単位から構成されているオリゴマー化合物又はポリマー化合物からなる群から選択されており、
ここで、
は、少なくとも1つのπ−結合により白金と結合されており、かつ炭素原子4〜18個を有する非分枝鎖状又は分枝鎖状の鎖又は炭素原子6〜28個を有する環である、置換又は非置換のジエンを表し、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子、ハロゲン原子、−SiR、−OR又は、炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、但し、式(5)の化合物中で少なくとも1つの基Rは−SiRの意味を有し、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素、ハロゲン原子、−OR又は炭素原子1〜24個を有する、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
は、同じか又は異なっていてよく、水素原子、−SiR又は炭素原子1〜20個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基であり、
は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子、ハロゲン原子、−SiR、−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2、−OR又は、炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、但し、式(6)中で少なくとも1つの基Rは−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2の意味を有し、
10は、同じか又は異なっていてよく、酸素又は、酸素原子を介してケイ素に結合していてよい、炭素原子1〜24個を有する置換又は非置換の二価炭化水素基を表し、
11は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素又は有機基を表し、
rは、0、1、2又は3であり、
sは、0、1、2又は3であり、かつ
tは、1、2又は3である、請求項7記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項9】
ヒドロシリル化触媒が、ビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体、ビス(アルキニル)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)白金−錯体、ビス(アルキニル)(1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体及びビス(アルキニル)(1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体からなる群から選択されている、請求項8記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項10】
シリコーンゴム組成物が付加的に抑制剤を含有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項11】
(D)が、有機過酸化物、ヒドロペルオキシド又は異なる有機過酸化物もしくはヒドロペルオキシドからなる混合物である、請求項1から6までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項12】
成分(B)がケイ素化合物又はヒドロキシを末端基とするジオルガノシロキサン−オリゴマーで表面処理されており、その際に、これらのケイ素化合物又はヒドロキシを末端基とするジオルガノシロキサン−オリゴマーの不飽和基を有する割合は少なくとも10%である、請求項1から11までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項13】
シリコーンゴム組成物が付加的に金属酸化物を含有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項14】
シリコーンゴム組成物が付加的に、白金化合物又は白金錯体又は白金化合物もしくは白金錯体と炭素を介してケイ素に結合した塩基性窒素を有する有機ケイ素化合物との反応生成物を含有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項15】
シリコーンゴム組成物が別の充填剤を含有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の製造方法において、成分を混合装置中で混合することにより製造することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項17】
成分(E)を、成分(A)、(B)及び(C)と一緒に及び成分(F)〜(H)の存在又は不在で適している混合装置中で混合し、混合装置からの予備生成物の搬出後に、圧延機上で成分(D)と共に完成させる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
成分(E)の混入の間の温度が少なくとも10分間、50℃よりも高い、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
請求項1から15までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の架橋により得ることができるシリコーンゴム。
【請求項20】
請求項1から15までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物を架橋させることによる、請求項19記載の架橋されたシリコーンゴムの製造方法。
【請求項21】
高電圧絶縁体又は難燃性ケーブル外装の製造のための請求項1から15までのいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の使用。
【請求項22】
高電圧絶縁体又は難燃性ケーブル外装としての請求項20記載のシリコーンゴムの使用。

【公開番号】特開2006−111881(P2006−111881A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299343(P2005−299343)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】