説明

放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム

【課題】装置の大型化を招くことなく放射線の照射を検出可能であり、かつ、放射線画像の画質の低下を防止可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、走査線5を介してスイッチ手段8に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバ15bと、ゲートドライバ15bにオン電圧およびオフ電圧を供給する電源回路15aとを備える走査駆動手段15と、電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15cを流れる電流または走査線5を流れる電流を検出する電流検出手段41と、電流検出手段41が検出した電流の値に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した場合に、通信手段39を介して放射線の照射終了信号を発信する制御手段22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに係り、特に、放射線の照射を検出可能な放射線画像撮影装置およびそれを用いた放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納した可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
ところで、このような放射線画像撮影装置を、例えば患者の病変部を撮影するための医療用の放射線画像撮影装置として用いる場合などには、良好な放射線画像を得るために十分な線量の放射線が被写体である患者の身体の一部を透過して放射線画像撮影装置に照射されるようにするとともに、患者に必要以上の放射線が照射されないようにするために、被写体を透過して放射線画像撮影装置に到達した放射線の線量を検出するフォトタイマが設けられる場合がある。
【0005】
例えば特許文献4に記載された放射線撮像装置および撮像方法では、放射線画像撮影装置の前後に、このようなフォトタイマや、被写体や放射線画像撮影装置を透過した放射線の線量を検出して出力する放射線検出手段が記載されている。また、同文献には、放射線検出手段を、上記の放射線検出素子(すなわち検出用の画素)を用いて構成してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開平11−151233号公報
【特許文献5】米国特許第7211803号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に記載された放射線撮像装置等のように、放射線画像撮影装置にフォトタイマや放射線検出手段を新たに取り付けるのでは、放射線画像撮影装置が全体的に大型化してしまうとともに、製造コストの増大を招く虞れがある。また、放射線検出素子を用いて放射線検出手段を構成する場合には、放射線画像撮影に寄与しない検出用の放射線検出素子を設ける分だけ装置が大型化してしまい、或いは、既設の放射線検出素子の一部を検出用として用いるように構成する場合には、放射線画像撮影に用いられる放射線検出素子が減ってしまうため、放射線画像撮影装置における撮影可能な領域が狭くなってしまうといった問題がある。
【0008】
また、特許文献4に記載された放射線撮像装置等のように、放射線画像撮影装置の前側(すなわち放射線発生装置側)にフォトタイマを設けると、放射線画像撮影装置に照射された放射線がフォトタイマを透過する際にフォトタイマに吸収されたり散乱されたりして放射線画像撮影装置に到達する放射線の線量がその分だけ減少してしまう。
【0009】
そのため、放射線画像撮影装置で撮影された放射線画像にフォトタイマが写り込んでしまったり、フォトタイマにより放射線画像撮影装置に到達する放射線の線量が減り、得られる画像データの値が小さくなるため、S/N比が悪化する等して、生成される放射線画像の画質が劣化してしまうという問題もある。
【0010】
一方、各放射線検出素子には、通常、バイアス電圧を印加するためのバイアス線が接続されているが、特許文献5では、この既設のバイアス線を流れる電流を検出するように構成し、放射線の照射によって放射線検出素子内に電荷が発生するとバイアス線を流れる電流が増加することを利用して、その電流値の増減に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【0011】
そこで、この技術を応用し、例えばバイアス線を流れる電流の値に基づいて放射線画像撮影装置に照射された放射線の線量を検出するように構成すれば、既に放射線画像撮影装置に設けられているバイアス線に、簡単な電流検出手段を設けるだけで放射線画像撮影装置に照射された放射線の線量を検出できることが期待される。
【0012】
しかしながら、上記のようにバイアス線に電流検出手段を設けて、バイアス線を流れる電流値の増減に基づいて放射線の照射の開始等を検出するように構成すると、バイアス線を介して放射線検出素子に印加されるバイアス電圧に、電流検出手段で発生したノイズが重畳されて印加されるようになる。
【0013】
そして、電流検出手段で発生した電圧のノイズが、放射線の照射により放射線検出素子内で発生した電荷にノイズ電荷として重畳されてしまうため、ノイズ電荷の影響で、最終的に得られる放射線画像の画質、特にその粒状性が悪化してしまう等の問題が生じる虞れがある。
【0014】
放射線画像の画質が低下し、特にその粒状性が悪化すると、例えばこのような放射線画像を用いて診断を行うような場合に、病変部を見落としたり、正常な部分を病変部と見誤ったりして誤診を生じる等の不都合を生じる虞れがある。そのため、放射線画像撮影装置には、ノイズの影響ができるだけ排除された適切な画質の放射線画像が得られることが望まれる。
【0015】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、装置の大型化を招くことなく放射線の照射を検出可能であり、かつ、放射線画像の画質の低下を防止可能な放射線画像撮影装置およびそれを用いた放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記放射線検出素子ごとに配置され、接続された前記走査線に印加される電圧に応じてオフ状態とオン状態とが切り替えられ、前記オフ状態では前記放射線検出素子内で発生した電荷を保持し、前記オン状態では前記放射線検出素子から前記電荷を放出させるスイッチ手段と、
前記走査線を介して前記スイッチ手段に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバと、前記ゲートドライバに前記オン電圧および前記オフ電圧を供給する電源回路とを備える走査駆動手段と、
前記電源回路と前記ゲートドライバとを結ぶ配線を流れる電流、または前記走査線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段が検出した前記電流の値に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した場合に、通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記放射線検出素子ごとに配置され、接続された前記走査線に印加される電圧に応じてオフ状態とオン状態とが切り替えられ、前記オフ状態では前記放射線検出素子内で発生した電荷を保持し、前記オン状態では前記放射線検出素子から前記電荷を放出させるスイッチ手段と、
前記走査線を介して前記スイッチ手段に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバと、前記ゲートドライバに前記オン電圧および前記オフ電圧を供給する電源回路とを備える走査駆動手段と、
前記電源回路と前記ゲートドライバとを結ぶ配線を流れる電流、または前記走査線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段が検出した前記電流の値に基づいて放射線の照射の開始を検出し、前記放射線の照射の開始後、所定時間が経過した時点で、通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
上記の本発明の放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記通信手段を介して、前記放射線発生装置に対して前記照射終了信号を発信し、
前記放射線発生装置は、前記照射終了信号を受信すると、前記放射線源からの放射線の照射を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置の電流検出手段と制御手段により放射線の照射終了を的確に検出することが可能となり、前述したフォトタイマが構成される。そして、放射線画像撮影装置を例えば医療用の放射線画像撮影装置として用いる場合などには、判断基準となる上記の設定値や所定時間を予め適切な値に設定することで、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにすることが可能となる。
【0020】
また、放射線画像撮影装置に既設の走査線や配線に新たに電流検出手段を設け、制御手段を上記のように機能させるだけでフォトタイマを構築することが可能となる。また、電流検出手段は簡単な構成で形成できるため、例えば走査駆動手段の電源回路等が形成される基板上等に設けることができる。そのため、電流検出手段を設けるために放射線画像撮影装置を大型化させる必要はなく、装置が大型化することを防止することが可能となる。
【0021】
また、本発明のような方式の放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、特許文献4に記載された放射線撮像装置等のように放射線画像撮影装置の前側(すなわち放射線発生装置側)にフォトタイマを設けず電源回路とゲートドライバとを結ぶ配線を流れる電流等を検出してフォトタイマが構築されるため、フォトタイマにより放射線画像撮影装置に到達する放射線の線量が減少して放射線画像にフォトタイマが写り込んだりS/N比が悪化する等して放射線画像の画質が劣化する問題が発生することを防止することが可能となる。
【0022】
さらに、前述した特許文献5に記載された技術を応用した場合、電流検出手段で発生したノイズが、放射線の照射により放射線検出素子内で発生した電荷すなわち画像データにノイズ電荷として重畳され、放射線画像の画質、特にその粒状性が悪化してしまう場合があったが、本発明のような方式の放射線画像撮影装置では、装置の各走査線や配線に電流検出手段を設けたため、電流検出手段と各放射線検出素子との間には少なくとも寄生容量が非常に小さい各スイッチ手段が介在する状態となる。
【0023】
そのため、電流検出手段でノイズが発生したとしても、そのノイズは各走査線や配線を介し、さらに、各スイッチ手段を介して各放射線検出素子に到達するため、ノイズ電荷は非常に小さいものとなり、電流検出手段で発生するノイズの画像データに対する影響を的確に低減させることが可能となり、検出された画像データに基づいて適切な放射線画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】各実施形態に係る放射線画像撮影装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図5】図4におけるY−Y線に沿う断面図である。
【図6】COFやPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】各実施形態に係る放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】電流検出手段の構成およびゲートドライバの内部構成を表す等価回路図である。
【図10】放射線検出素子からの画像データの読み出し処理時に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】放射線検出素子からの逐次リセットによるリセット処理時に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】放射線検出素子からの同時逐次リセットによるリセット処理時に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】放射線検出素子からの一括リセットによるリセット処理時に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】放射線検出素子からの一括リセットによるリセット処理時に各走査線にオン電圧を印加するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図15】電流検出手段で検出される電流に相当する電圧値の例を表すグラフである。
【図16】図9の構成においてさらにオン電圧を供給する配線にも電流検出手段を形成した場合の構成を表す等価回路図である。
【図17】電流検出手段が出力する電圧値をサンプリング周期ごとに加算して放射線の照射開始後の電圧値の積分値を算出することを説明するグラフである。
【図18】放射線の照射開始後に照射された放射線の線量の近似値を電圧値のピーク値と経過時間とに基づいて算出することを説明するグラフである。
【図19】各実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図20】(A)は操作スイッチの構成を示す図であり、(B)はボタン部が半押しされた状態、(C)はボタン部が全押しされた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
なお、以下では、放射線画像撮影装置が、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。また、放射線画像撮影装置が可搬型である場合について説明するが、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置に対しても適用される。
【0027】
[第1の実施の形態]
[放射線画像撮影装置]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4等が収納された可搬型(カセッテ型)の装置として構成されている。
【0028】
筐体2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面R(以下、放射線入射面Rという。)が放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわゆる弁当箱型である場合が示されているが、筐体2を一体的に角筒状に形成した、いわゆるモノコック型とすることも可能である。
【0029】
また、図1に示すように、筐体2の側面部分には、電源スイッチ36や、LED等で構成されたインジケータ37、図示しないバッテリ40(後述する図7参照)の交換等のために開閉可能とされた蓋部材38等が配置されている。また、本実施形態では、蓋部材38の側面部には、アンテナ装置39が埋め込まれている。
【0030】
本実施形態では、後述するように、制御手段22が放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した場合に、外部装置である後述する放射線発生装置55(図19参照)に通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信するようになっており、制御手段22は、このアンテナ装置39を介して無線方式で照射終了信号を送信するようになっている。従って、本実施形態では、アンテナ装置39が、照射終了信号を外部装置に発信する通信手段を構成している。
【0031】
しかし、放射線発生装置55に対する照射終了信号を、必ずしもアンテナ装置39を介する無線方式により発信するように構成する必要はなく、例えば、赤外線等の光信号に変換して発信するように構成してもよく、或いは、LAN(Local Area Network)ケーブルやUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の有線方式で発信するように構成することも可能である。
【0032】
そして、赤外線等の光信号に変換して発信する場合には、通信手段として放射線画像撮影装置1に赤外線等の発光装置が設けられ、LANケーブルやUSBケーブル等の有線方式で発信するように構成する場合には、通信手段として放射線画像撮影装置1にそれらのケーブル等を接続するコネクタが設けられる。
【0033】
筐体2の内部には、図2に示すように、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。なお、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
【0034】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0035】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0036】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0037】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ手段である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下TFTという。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0038】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15により、接続された走査線5にオン電圧が印加され、ゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、放射線検出素子7内で発生し蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加され、ゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止し、放射線検出素子7内で発生した電荷を保持して、放射線検出素子7内に蓄積させるようになっている。
【0039】
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるY−Y線に沿う断面図である。
【0040】
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiN)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
【0041】
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiN)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
【0042】
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
【0043】
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
【0044】
放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
【0045】
また、p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。本実施形態では、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態では、放射線検出素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
【0046】
放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiN)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
【0047】
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
【0048】
本実施形態では、図3に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bとして機能するゲートIC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0049】
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0050】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0051】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極78にそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。
【0052】
また、本実施形態では、放射線検出素子7のp層77側(図5参照)に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極78にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極74側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0053】
本実施形態では、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段は、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を必要に応じて可変させるようになっている。
【0054】
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる各走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0055】
走査駆動手段15は、本実施形態では、電源回路15aとゲートドライバ15bとを備えており、ゲートドライバ15bに接続されている各走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに印加するオン電圧およびオフ電圧を制御するようになっている。本実施形態では、電源回路15aは、ゲートドライバ15bに対して各走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに印加するオン電圧およびオフ電圧を供給するようになっている。また、ゲートドライバ15bは、前述したゲートIC12aが複数並設されて形成されており、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)等により各走査線5に印加するオン電圧のパルス幅等を変調できるようになっている。
【0056】
また、本実施形態では、走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15cに、それらの間を流れる電流を検出する電流検出手段41が設けられている。なお、電流検出手段41は、走査線5の各ラインL1〜Lxのうち単数または複数の走査線5中を流れる電流を検出するように構成することも可能である。
【0057】
ここで、電流検出手段41の構成について説明する。本実施形態では、電流検出手段41は、図9に示すように、走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15cのうち、走査駆動手段15の電源回路15aからゲートドライバ15bにオフ電圧を供給する配線15coffに設けられている。
【0058】
なお、本実施形態では、図9に簡略化して示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bの内部には、スイッチ素子15dが、各走査線5がそれぞれ接続された端子ごとに設けられており、スイッチ素子15dの接続をそれぞれ切り替えることにより、各走査線5に印加する電圧を、電源回路15aから配線15conを介して供給されるオン電圧と、配線15coffを介して供給されるオフ電圧との間でそれぞれ切り替えることができるようになっている。
【0059】
本実施形態では、電流検出手段41は、配線15coffに直列に接続される所定の抵抗値を有する抵抗器41aと、それに並列に接続されたダイオード41bと、入力側端子が抵抗器41aの両端子にそれぞれ接続された差動アンプ41cとを備えて構成されている。なお、差動アンプ41cには、電源供給手段45から電力が供給されるようになっている。
【0060】
そして、電流検出手段41は、差動アンプ41cで抵抗器41aの両端子間の電圧Vを測定し、抵抗器41aを流れる電流、すなわち電源回路15aとゲートドライバ15bとの間を流れる電流を電圧値Vに変換して検出して、制御手段22に出力するようになっている。
【0061】
なお、電流検出手段41に備えられる抵抗器41aとしては、配線15coff中を流れる電流を適切な電圧値Vに変換可能な抵抗値を有する抵抗器が用いられる。なお、配線15coffには、後述するように放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射によって電源回路15aからゲートドライバ15bを介して走査線5側に電流が流れるが、ダイオード41bは、この電流の逆向きに電流が流れることを防止するためのものであり、必ずしも設ける必要はない。
【0062】
また、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射を検出する必要がない場合には、抵抗器41aの抵抗が電源回路15aからゲートドライバ15bへのオフ電圧の供給の妨げになる。そのため、電流検出手段41には、放射線の照射の検出が不要の場合に抵抗器41aの両端子間を短絡するためのスイッチ41dが設けられている。
【0063】
図7や図8に示したように、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。
【0064】
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0065】
本実施形態では、増幅回路18はチャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続されて構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるようになっている。なお、基準電位Vは適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0066】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で、放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介してオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力端子から出力されるようになっている。
【0067】
増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧を出力して電荷電圧変換して増幅するようになっている。また、電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とすることで、増幅回路18の入力側と出力側とを短絡し、コンデンサ18bに蓄積された電荷を放電して増幅回路18をリセットすることができるようになっている。
【0068】
なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。また、図8に示すように、増幅回路18には、電源供給部42から電力が供給されるようになっている。なお、図7では、電源供給部42の図示が省略されている。
【0069】
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が接続されている。相関二重サンプリング回路19は、本実施形態では、サンプルホールド機能を有しており、この相関二重サンプリング回路19におけるサンプルホールド機能は、制御手段22から送信されるパルス信号によりそのオン/オフが制御されるようになっている。
【0070】
すなわち、各放射線検出素子7からの画像データの読み出しの際に、相関二重サンプリング回路19は、増幅回路18がリセットされ、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされた後、各TFT8がオン状態とされる前の時点で制御手段22から1回目のパルス信号を受信すると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値を保持する。その後、TFT8がオン状態とされ、TFT8や信号線6を介して放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積される。
【0071】
そして、相関二重サンプリング回路19は、制御手段22から1回目のパルス信号を受信した時点から所定時間経過し、放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積された時点で制御手段22から2回目のパルス信号を受信すると、その時点で再び増幅回路18から出力されている電圧値を保持して、それらの電圧値の差分値を下流側にアナログ値の画像データとして出力するようになっている。
【0072】
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データは、アナログマルチプレクサ21に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて記憶手段43に出力されて順次保存されるようになっている。
【0073】
制御手段22は、図10に示すように、このようにして走査駆動手段15のゲートドライバ15bから1ライン目の走査線5にオン電圧を印加させて、その走査線5に接続されているTFT8をオン状態とし、当該TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷を各信号線6に放出させて各放射線検出素子7からの画像データの読み出しを行う。そして、走査線5の当該ラインに印加されている電圧をオフ電圧に切り替えさせ、続いて、次のラインの走査線5にオン電圧を印加させて、同様にして当該次の走査線5にTFT8を介して接続されている各放射線検出素子7からの画像データの読み出しを行う。
【0074】
制御手段22は、このようにして、走査駆動手段15のゲートドライバ15bからオン電圧を印加する走査線5のラインLを順次切り替えさせ、オン状態とするTFT8を順次切り替えながら、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理を行うようになっている。
【0075】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段43が接続されている。
【0076】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置39が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段40、バイアス電源14等の各機能部に電力を供給するためのバッテリ40が接続されている。また、バッテリ40には、クレードル等の図示しない充電装置から電力を供給してバッテリ40を充電する際に充電装置とバッテリ40とを接続する接続端子44が取り付けられている。
【0077】
制御手段22は、放射線画像撮影において、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷すなわち画像データをできるだけ正確に取得するために、放射線画像撮影に先立って、各放射線検出素子7内に残存している余分な電荷を各放射線検出素子7から放出させるリセット処理を行うようになっている。
【0078】
各放射線検出素子7のリセット処理の方法としては、下記の種々の方法を採用することが可能である。
【0079】
第1の方法としては、図11に示すように、各TFT8のオン/オフのタイミング、すなわち走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を印加するタイミングを順次切り替えながら、各放射線検出素子7のリセット処理を行う方法を採用することができる。なお、簡単に言い表すために、この第1の方法を、以下では「逐次リセット」という。
【0080】
具体的には、図9に示したゲートドライバ15bの各スイッチ素子15dがオフ電圧側すなわち電源回路15aからオフ電圧が供給される配線15coff側と接続されるようにしておき、オン電圧側すなわち電源回路15aからオン電圧が供給される配線15con側と接続させる各スイッチ素子15dを順次切り替えながら逐次リセットによる各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。
【0081】
第2の方法としては、図12に示すように、逐次リセットによるリセット処理(図11参照)の場合と同様に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を印加するタイミングを順次切り替えながら、各放射線検出素子7のリセット処理を行うが、その際、走査線5の複数のラインLに同時にオン電圧を印加するようにして各放射線検出素子7のリセット処理を行う方法を採用することができる。なお、簡単に言い表すために、この第2の方法を、以下では「同時逐次リセット」という。
【0082】
前述したように、本実施形態では、走査駆動手段15のゲートドライバ15bが、1個のゲートIC12aごとに例えば256本の走査線5が接続された複数のゲートIC12aが並設されて構成されているが、例えば、それらのゲートIC12a自体では逐次リセットを行い、各ゲートIC12aの対応する端子同士、すなわち1番目の端子同士や2番目の端子同士等にオン電圧を印加するタイミングを同時にするように構成することで、同時逐次リセットを実現することができる。
【0083】
なお、図12では、1個のゲートIC12aごとに256本の走査線5の各ラインLが接続されている場合が示されているが、あくまで例示であり、この場合に限定されない。
【0084】
上記の逐次リセットや同時逐次リセットによるリセット処理では、図11や図12に示すように、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の場合と同じタイミングで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるように構成されることが多い。しかし、それに限定されず、リセット処理における走査線5の各ラインL1〜Lxに対するオン電圧の印加タイミングやオン電圧の印加時間を適宜設定することが可能である。
【0085】
また、この逐次リセットや同時逐次リセットによるリセット処理では、走査線5の各ラインL1〜Lxに対する順次のオン電圧の印加が放射線の照射が開始されるまでリセット処理を繰り返し、放射線の照射が開始された時点でリセット処理を終了するように構成することも可能であり、また、走査線5の各ラインL1〜Lxに対する順次のオン電圧の印加を予め設定された回数だけ繰り返し行ってリセット処理を行った後、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して放射線の照射開始まで待機するように構成することも可能である。
【0086】
また、逐次リセットにおいても同時逐次リセットにおいても、放射線画像撮影装置1への放射線の照射が開始された時点で、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧が印加されて各TFT8がオフ状態とされ、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積モードに移行する。
【0087】
第3の方法としては、図13に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオフ電圧から一斉にオン電圧に切り替えた後、オフ電圧に切り替えるようにして各放射線検出素子7のリセット処理を行う方法を採用することができる。なお、簡単に言い表すために、この第3の方法を、以下では「一括リセット」という。
【0088】
具体的には、図9に示したゲートドライバ15bの各スイッチ素子15dを、オフ電圧側に接続された状態から一斉にオン電圧側に接続させた後、再度一斉にオフ電圧側に接続先を切り替えることにより一括リセットによる各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。なお、この一括リセットを複数回繰り返すように構成することも可能である。
【0089】
その際、一括リセットにおいては、図13に示したように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧から一斉にオフ電圧に切り替えて放射線の照射開始を待つように構成することも可能であり、また、図14に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧が印加された状態で待機し、放射線の照射が開始された時点で、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧から一斉にオフ電圧に切り替えて電荷蓄積モードに移行させるように構成することも可能である。
【0090】
なお、各放射線検出素子7のリセット処理の方法として、上記の第1〜第3の方法以外の方法を採用することも可能であり、適宜の方法で各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。
【0091】
ところで、本実施形態では、制御手段22は、上記のように放射線画像撮影に先立って各放射線検出素子7のリセット処理を行った後、或いはリセット処理の最中に、放射線の照射の開始を認識すると、電流検出手段41が検出した配線15c中或いは走査線5中を流れる電流に相当する電圧値Vに基づいて、放射線の照射が開始された後に放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したか否かを判断するようになっている。
【0092】
そして、制御手段22は、照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した場合に、アンテナ装置39等の通信手段を介して放射線の照射終了信号を外部装置に発信するようになっている。
【0093】
この場合、本実施形態では、例えば、外部装置から放射線画像撮影装置1に照射開始信号を送信する等して、制御手段22に放射線の照射の開始を認識させるように構成することが可能である。
【0094】
また、放射線画像撮影が開始され、放射線発生装置55の放射線源52(図19参照)から放射線画像撮影装置1の放射線入射面R(図1参照)に放射線の照射が開始されると、図15に示すように、放射線の照射が開始された時刻tbで、電流検出手段41の差動アンプ41c(図9参照)から出力される電流に相当する電圧値Vが急激に増加する。
【0095】
そのため、電流検出手段41から出力される電圧値Vが増加し、例えば、予め設定された閾値Vthを越えた場合(図15の時刻tc参照)や、電圧値Vの増加率が予め設定された閾値を越えた場合(時刻td参照)等に、放射線の照射が開始されたことを制御手段22で検出するように構成して、制御手段22自身が、電流検出手段41が検出した電流に相当する電圧値Vに基づいて放射線の照射の開始を検出するように構成することも可能である。
【0096】
なお、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されない状態でも、放射線検出素子7の熱による熱励起等により各放射線検出素子7内で暗電荷が発生するため、図15における時刻taに示されるように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射される以前においても、電流検出手段41から微量ではあるが0[V]でない電圧値Vaが出力される場合がある。
【0097】
また、図9に示したように、電流検出手段41を、走査駆動手段15の電源回路15aからゲートドライバ15bにオフ電圧を供給する配線15coffに設けた場合、図11や図12に示した逐次リセットや同時逐次リセットの場合、一部の走査線5はオン電圧が印加されていて配線15coffには接続されていないが、ほとんどの走査線5は配線15coffに接続されているため、放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されると、電流検出手段41の差動アンプ41cから出力される電圧値Vが図15に示したように上昇し、制御手段22自身で放射線の照射の開始を検出することができる。
【0098】
一括リセットの場合でも、図13に示したように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧から一斉にオフ電圧に切り替えて一括リセットを終了し、放射線の照射開始を待つように構成されている場合には、放射線の照射の開始時点で、走査線5の全てのラインL1〜Lxが配線15coffに接続されているため、上記と同様に、制御手段22自身で放射線の照射の開始を検出することができる。
【0099】
しかし、一括リセットの場合に、図14に示したように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧が印加された状態で待機するように構成されている場合には、放射線の照射の開始時点では、走査線5の全てのラインL1〜Lxが走査駆動手段15の電源回路15aからゲートドライバ15bにオン電圧を供給する配線15conに接続されているため、配線15coffに設けられた電流検出手段41では配線15con中を流れる電流を検出することができず、制御手段22自身で放射線の照射の開始を検出することができない。
【0100】
そのため、この場合には、すなわち一括リセットにおいて走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧が印加された状態で待機するように構成する場合(図14参照)には、例えば、図16に示すように、配線15conにも電流検出手段41を設け、電流検出手段41では配線15con中を流れる電流を検出するように構成することで、制御手段22自身で放射線の照射の開始を検出することが可能となる。
【0101】
なお、この場合、図14に示したように、制御手段22が放射線の照射開始を検出した時点で、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧から一斉にオフ電圧に切り替えられて電荷蓄積モードに移行されるため、その時点で、電流を検出する電流検出手段41を、配線15conに設けられた電流検出手段41から配線15coffに設けられた電流検出手段41に切り替える。
【0102】
そして、制御手段22で、配線15coffに設けられた電流検出手段41が検出した配線15coff中を流れる電流に相当する電圧値Vに基づいて、放射線の照射が開始された後に放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したか否かが判断される。従って、この場合、配線15conに設けられた電流検出手段41は、放射線の照射開始の検出用として機能することになる。
【0103】
一方、本実施形態では、制御手段22は、配線15coffに設けられた電流検出手段41により検出された配線15coff中を流れる電流に相当する電圧値Vの、放射線の照射開始後の積分値を算出し、当該積分値に基づいて照射された放射線の線量を検出し、検出した放射線の線量が予め設定された設定値に達したか否かを判断するようになっている。
【0104】
すなわち、制御手段22は、外部装置からの照射開始信号を受信したり、或いは、例えば図15に示した電圧値Vのグラフにおいて電流検出手段41から出力される電圧値Vが予め設定された閾値Vthを越えた時点tcで放射線の照射が開始されたと判断すると、その時点tcから、電流検出手段41から出力される電圧値Vの積分を開始する。
【0105】
その際、上記のように電圧値Vの積分処理を制御手段22での処理として行うように構成することも可能であり、また、例えば、電流検出手段41の差動アンプ41cの出力端子側に積分手段を設ける等して放射線の照射開始後の電圧値Vの積分値を算出するように構成してもよく、積分処理の仕方としては任意の方法を採用することができる。また、図17に示すように、電流検出手段41が出力する電圧値Vを所定のサンプリング周期でサンプリングし、サンプリング周期ごとの電圧値Vを加算していくことで放射線の照射開始後の電圧値Vの積分値を算出するように構成することも可能である。このように構成すれば、より正確な放射線の照射開始後の放射線の線量を算出することが可能となる。
【0106】
なお、その際、図15に示したように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されない状態でも電流検出手段41から微量の電圧値Vaが出力される場合があり、この微量の電圧値Vaは、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されている間も、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射に関わりなく電流検出手段41から出力されると考えられる。
【0107】
そのため、例えば、放射線画像撮影装置1に放射線を照射しない状態で予めこの微量の電圧値Vaの時間的平均値を算出しておき、電流検出手段41から出力される電圧値Vを積分手段で積分したり、サンプリング周期ごとの電圧値Vを加算して電圧値Vの積分値を算出する際に、電圧値Vから微量の電圧値Vaの時間的平均値を減算した値を積分したり加算したりするように構成することも可能である。
【0108】
また、例えば、電流検出手段41から出力される電圧値Vにノイズ成分が重畳されているような場合には、ノイズ成分を除去するために、上記の構成において、電流検出手段41の差動アンプ41cの出力端子と制御手段22との間などに、さらに、所定の範囲の周波数帯のデータのみを通過させて他の周波数のデータは減衰させて通さないバンドパスフィルタ(帯域通過フィルタ)を追加して配置するように構成することも可能である。上記のように電流検出手段41の差動アンプ41cの出力端子側に積分手段を設ける場合には、バンドパスフィルタは、差動アンプ41cと積分手段との間に設けられる。
【0109】
このように構成すれば、ノイズ成分が的確に除去された状態で、放射線の照射開始後の放射線の線量をより正確に算出することが可能となる。
【0110】
また、より簡単に放射線の線量を算出するため、例えば、電流検出手段41から出力される電圧値Vに対するピークホールド回路を設け、制御手段22で、電流検出手段41により出力される電圧値Vのピーク値Vp(図15参照)と、放射線の照射が開始された時点tcからの経過時間に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量を算出するように構成することも可能である。
【0111】
具体的には、制御手段22は、図18に示すように、照射開始時刻tc以降の電圧値Vのピーク値Vpと、照射開始時刻tcからの経過時間Tとに基づいて、下記(1)式に従って、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量の近似値M(図18の斜線部分参照)を算出する。なお、下記(1)式において、aは予め設定された係数である。
M=a×Vp×T …(1)
【0112】
また、実際には図15に示したように略台形状になる電圧値Vの推移を、最初からピーク値Vpが出力されていたように見なし、電圧値Vの推移が直線状(或いは矩形状)であるように見なすことにより生じる誤差を調整するための定数αを予め設定し、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量の近似値Mを、
M=a×Vp×(T−α) …(2)
を演算することにより算出するように構成することも可能である。
【0113】
なお、上記(1)式や(2)式に従って放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量の近似値Mを算出する場合も、電圧値Vのピーク値Vpをそのまま用いる代わりに、電圧値Vのピーク値Vpから微量の電圧値Vaの時間的平均値を減算した値を用いるように構成することも可能である。また、電圧値Vのピーク値Vpが時間的に変化し得る値であることは言うまでもない。
【0114】
そして、制御手段22は、このようにして算出した放射線の照射開始後に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したか否かを判断し、照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した時点(図15の時刻te参照)で、アンテナ装置39等の通信手段を介して放射線の照射終了信号を外部装置である後述する放射線発生装置55(図19参照)に発信するようになっている。
【0115】
[放射線画像撮影システム]
図19は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。放射線画像撮影システム50は、図19に示すように、例えば、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師等の操作者が被写体に照射する放射線開始の制御等の種々の操作を行う前室R2、およびそれらの外部に配置される。
【0116】
撮影室R1には、前述した放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51や、被写体に照射する放射線を発生させる図示しないX線管球を備える放射線源52やそれをコントロールする放射線発生装置55、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置55やコンソール58が無線通信する際にこれらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた基地局54等が設けられている。
【0117】
なお、図19では、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填して用いる場合が示されているが、前述したように、放射線画像撮影装置1はブッキー装置51や支持台等と一体的に形成されたものであってもよい。また、図19に示したように、放射線画像撮影装置1と基地局54とを前述したLANケーブルやUSBケーブル等で接続し、ケーブルを介して有線通信でデータを送信することができるように構成することも可能である。
【0118】
また、基地局54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、基地局54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等の間で情報を送信する際のLAN通信用の信号等を、放射線発生装置55との間で情報を送信する際の信号に変換し、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。また、前述したように、放射線画像撮影装置1から赤外線等の光信号として照射終了信号を発信するように構成されている場合には、基地局54や放射線発生装置55に照射終了信号である光信号を受信する受光装置が設けられる。
【0119】
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射するように放射線源52を備える放射線発生装置55が設けられている。また、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が前室R2に設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための操作スイッチ56が設けられている。
【0120】
操作スイッチ56は、例えば図20(A)に示すように、所定長のストロークを有する棒状のボタン部56aと、ボタン部56aを図中矢印Sで示されるストローク方向に移動可能に支持する筐体部56bとで構成されている。そして、操作スイッチ56のボタン部56aは、例えば、筐体部56bから上方に突出した円筒部56a1と、その内部からさらに上方に突出した円柱部56a2を備えて構成されている。
【0121】
そして、図20(B)に示すように、円柱部56a2が円筒部56a1の上端部分までそのストローク方向Sに押し込まれると(すなわちいわゆる半押し操作が行われると)、操作スイッチ56は、操作卓57を介して放射線発生装置55に起動信号を送信するようになっている。
【0122】
放射線発生装置55は、この起動信号を受信すると、放射線源52のX線管球の陽極の回転を開始させる等して放射線源52をスタンバイ状態とさせるようになっている。
【0123】
そして、図20(C)に示すように、操作スイッチ56の円筒部56a1と円柱部56a2とがともに筐体部56bの上端部分まで押し込まれると(すなわちいわゆる全押し操作が行われると)、操作スイッチ56は、操作卓57を介して放射線発生装置55に照射信号を送信するようになっている。
【0124】
放射線発生装置55は、この照射信号を受信すると、放射線源52のX線管球から放射線を照射させるようになっている。なお、前述したように、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、外部装置から放射線画像撮影装置1に送信された照射開始信号をトリガとして放射線の照射の開始を認識するように構成されている場合には、放射線発生装置55は、照射信号を受信した時点で上記のように放射線源52を制御すると同時に、基地局54を介して放射線画像撮影装置1に照射開始信号を送信するように構成される。
【0125】
放射線発生装置55は、このほか、指定されたブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に対して放射線を適切に照射できるように放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りを調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を放射線源52に対して行うようになっている。なお、これらの処理を放射線技師等が手動で行う場合もある。
【0126】
また、放射線発生装置55は、上記のように、放射線画像撮影装置1からアンテナ装置39等の通信手段を介して放射線の照射終了信号が送信されてくると、放射線源52のX線管球を停止させる等して、放射線源52からの放射線の照射を停止させるようになっている。
【0127】
放射線画像撮影装置1の構成等については前述した通りであるが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、上記のようにブッキー装置51に装填されて用いられる場合もあるが、ブッキー装置51には装填されず、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。
【0128】
すなわち、放射線画像撮影装置1を単独の状態で例えば撮影室R1内に設けられたベッドや図19に示すように臥位撮影用のブッキー装置51B等に上面側に配置してその放射線入射面R(図1参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。この場合、例えばポータブルの放射線源52B等から、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射して放射線画像撮影が行われる。
【0129】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データ等に基づいて画像データに対して処理を行い、最終的な放射線画像を生成することが可能なコンピュータ等で構成されたコンソール58が、撮影室R1や前室R2の外側に設けられている。なお、コンソール58を例えば前室R2等に設けるように構成することも可能である。また、コンソール58には、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続、或いは内蔵されている。
【0130】
なお、例えば、コンソール58に、放射線画像撮影で取得された画像データに基づくプレビュー画像を表示させたり、放射線画像撮影装置1の状態をwake up状態とsleep状態との間で遷移させる機能を持たせたり、或いは、放射線技師等の操作者が撮影室R1で行う放射線画像撮影の内容を表す撮影オーダ情報を作成したり選択したりすることを可能とする機能を持たせたりするように構成することも可能であり、適宜に構成される。
【0131】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
【0132】
前述したように、放射線画像撮影に先立って、放射線発生装置55は自動的に、或いは放射線技師等が手動で、放射線源52に対する所定の位置への移動、放射方向の調整、絞りの調整、X線管球から照射する放射線の線量の調整等を行う。
【0133】
また、それと並行して、放射線画像撮影装置1では、制御手段22は、図11〜図14に示したように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧やオフ電圧を適宜印加させて、逐次リセット、同時逐次リセット或いは一括リセットにより各放射線検出素子7内に残存している余分な電荷を各放射線検出素子7から放出させるリセット処理を行う。
【0134】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1への放射線の照射開始を検出した時点、或いはそれ以前に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積モードに移行させる。
【0135】
放射線画像撮影装置1に対する放射線源52からの放射線の照射が開始されると、放射線画像撮影装置1では、前述したように、放射線入射面R(図1参照)に入射した放射線がシンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が直下の放射線検出素子7のi層76(図5参照)に到達して、放射線検出素子7のi層76内で電子正孔対が発生する。そのため、放射線検出素子7内では、第2電極78に対する第1電極74の電位が変化する。
【0136】
本実施形態では、第2電極78にはバイアス電源14からバイアス線9を介して所定の負の値のバイアス電圧Vbiasが印加されていて電位が固定されており、i層76内で発生した電子正孔対のうち、正孔が第2電極78側に移動し、電子が第1電極74側に移動する。そのため、第1電極74側の電位が下がり、それに伴って、放射線検出素子7の第1電極74側に接続されたTFT8のソース電極8s(図8参照)側の電位が下がる。
【0137】
また、TFT8では、ゲート電極8gとソース電極8sとそれらの間に形成された絶縁層71(図5参照)とで一種のコンデンサ状の構造が形成されており、ゲート電極8gとソース電極8sとの間に寄生容量が存在している。そして、TFT8のゲート電極8gには上記のように所定のオフ電圧が印加されていて電位が固定されているのに対して、TFT8のソース電極8s側の電位が下がるため、TFT8のゲート電極8gとソース電極8sとの電位差が変化する。
【0138】
そのため、電位差の変化分に相当する電荷が、走査駆動手段15の電源回路15aから配線15coffおよびゲートドライバ15bを介して各走査線5に供給され、各TFT8のゲート電極8g部分にそれぞれ供給される。そのため、走査線5中や配線15coff中を電流が流れる。
【0139】
このように放射線の照射に伴って各走査線5中を電流が流れるため、この電流を検出して照射された放射線の線量を検出することができる。また、図9に示したように、オフ電圧が印加された各走査線5は全て、走査駆動手段15のゲートドライバ15bを介して電源回路15aからゲートドライバ15bにオフ電圧を供給する配線15coffに接続されるため、配線15coff中には各走査線5を流れる電流の総量に相当する電流が流れるため、比較的大きな電流となり、放射線の照射に伴って流れる電流(或いはそれに相当する電圧値V)を検出し易くなる。
【0140】
このようにして、走査線5や配線15coffを流れる電流に相当する電圧値Vを電流検出手段41で検出することで、電流検出手段41が検出した電圧値Vに基づいて、放射線の照射が開始された後に放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を検出することが可能となる。また、図15に示したように、放射線の照射が開始されたことも検出することも可能である。
【0141】
また、制御手段22は、放射線の照射が開始された後に放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を、電流検出手段41から出力される電圧値Vを積分したり(図15参照)、所定のサンプリング周期ごとに電圧値Vを加算したり(図17参照)、或いは、上記(1)式に従って近似値Mを算出する(図18参照)等して検出する。
【0142】
そして、制御手段22は、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した時点(図15の時刻te参照)で、アンテナ装置39等の通信手段を介して外部装置である放射線発生装置55に放射線の照射終了信号を発信する。
【0143】
照射終了信号を受信した放射線発生装置55は、上記のようにして、放射線源52からの放射線の照射を停止させる。
【0144】
放射線の照射が終了すると、放射線画像撮影装置1では、各放射線検出素子7内では新たに電子正孔対が発生しなくなり、第1電極74と第2電極78との電位差が変動しなくなる。TFT8でも、ゲート電極8gとソース電極8sと間の電位差が変化しなくなる。そのため、各走査線5や配線15coffを流れていた電流が流れなくなり、図15に示すように、放射線の照射が停止された時刻te以降では、電流検出手段41で検出される電流に相当する電圧値Vが減少し、各放射線検出素子7の熱による熱励起等により各放射線検出素子7内で発生する暗電荷等に起因する元の電圧値Vaに戻る。
【0145】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の電流検出手段41で、各走査線5や走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15c(特にオフ電圧を供給する配線15coff)を流れる電流やそれに相当する電圧値Vを検出し、制御手段22を、電流検出手段41が検出した電流や電圧値Vの値に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量を検出し、放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した時点でアンテナ装置39等の通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信する。
【0146】
このように、本実施形態では、電流検出手段41と制御手段22により放射線の照射終了を的確に検出することが可能となり、前述したフォトタイマが構成される。そして、放射線画像撮影装置1を例えば医療用の放射線画像撮影装置として用いる場合などには、判断基準となる上記の設定値を予め適切な値に設定することで、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにすることが可能となる。
【0147】
また、放射線画像撮影装置1に既に設けられている各走査線5や配線15c(配線15coff)に新たに電流検出手段41を設け、制御手段22を上記のように機能させるだけでフォトタイマを構築することが可能となる。また、電流検出手段41は、図9に示したように簡単な構成で形成できるため、例えば走査駆動手段15の電源回路15a等が形成されるPCB基板33上等に設けることができる。そのため、電流検出手段41を設けるために放射線画像撮影装置1を大型化させる必要はなく、装置が大型化することを防止することが可能となる。
【0148】
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50によれば、前述した特許文献4に記載された放射線撮像装置等のように放射線画像撮影装置の前側(すなわち放射線発生装置側)にフォトタイマを設けず走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15cを流れる電流等を検出するようにしてフォトタイマが構築されるため、フォトタイマにより放射線画像撮影装置に到達する放射線の線量が減少して放射線画像にフォトタイマが写り込んだり、S/N比が悪化する等して放射線画像の画質が劣化する問題が発生することを防止することが可能となる。
【0149】
さらに、前述した特許文献5に記載された技術を応用し、バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段を設け、バイアス線を流れる電流の値に基づいて放射線画像撮影装置に照射された放射線の線量を検出するように構成した場合、前述したように、各放射線検出素子7に直接接続されたバイアス線を介して、各放射線検出素子7に電流検出手段で発生したノイズが重畳されたバイアス電圧が印加される。そして、電流検出手段で発生した電圧のノイズが、放射線の照射により放射線検出素子内で発生した電荷(すなわち画像データ)にノイズ電荷として重畳され、ノイズ電荷の影響で、最終的に得られる放射線画像の画質、特にその粒状性が悪化してしまう場合があった。
【0150】
しかし、本実施形態の放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50では、上記のように、放射線画像撮影装置1の各走査線5やそれらの配線15c(配線15coff)に電流検出手段41を設けたため、電流検出手段41と各放射線検出素子7との間には少なくとも各TFT8が介在する状態となる。そのため、電流検出手段41でノイズが発生したとしても、そのノイズは配線15cや各走査線5を介し、さらに、各TFT8を介して各放射線検出素子7に到達する。
【0151】
そして、各TFT8の寄生容量は、各放射線検出素子7自体の寄生容量に比べて相対的に非常に小さいため、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生し蓄積される電荷すなわち画像データに対して電流検出手段41で発生したノイズがノイズ電荷として重畳されるとしても、ノイズ電荷は非常に小さいものとなる。
【0152】
そのため、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50によれば、電流検出手段41で発生するノイズの画像データに対する影響を的確に低減させることが可能となり、検出された画像データに基づいて適切な放射線画像を生成することが可能となる。そして、このように放射線画像の画質の低下が的確に防止され、特にその粒状性の悪化が的確に防止されるため、例えば、このような放射線画像を用いて診断を行うような場合に、病変を見落としたり正常な部分を病変と見誤ったりして誤診を生じる等の不都合が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0153】
なお、上記のように、放射線画像撮影装置1を例えば医療用の放射線画像撮影装置として用いる場合などには、制御手段22で放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量が設定値に達したか否かを判断する判断基準となる上記の設定値を予め適切な値に設定することで、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにすることができる。
【0154】
その際、例えば被写体である患者に同じ線量の放射線を照射した場合でも、被写体を透過して放射線画像撮影装置1のシンチレータ3に到達する放射線の線量は、患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件によって異なる。
【0155】
具体的には、例えば、患者の胸部正面を撮影するような場合には、放射線が患者の比較的分厚い胸部を透過する際に吸収、散乱されるため、比較的弱い放射線がシンチレータ3に到達する。そして、胸部正面は、放射線画像撮影装置1の検出部P(図3参照)の大きな領域を占める。
【0156】
そのため、患者の胸部正面を撮影するような場合には、同じ線量の放射線を照射した場合でも、電流検出手段41で検出される配線15cや走査線5を流れる電流やそれに相当する電圧値Vは比較的小さい値になる。
【0157】
また、例えば、患者の胸部側面を撮影するような場合には、放射線が患者の胸部を左右方向に透過するため、胸部正面の場合よりもさらに厚みが増し、吸収、散乱される度合が大きくなる。そのため、電流検出手段41で検出される配線15cや走査線5を流れる電流やそれに相当する電圧値Vはさらに小さい値になる。
【0158】
また、例えば、患者の手や脚部を撮影するような場合には、放射線が患者のさほど厚みがない手足を透過する際に吸収、散乱される度合が小さいため、比較的強い放射線がシンチレータ3に到達する。また、手足が放射線画像撮影装置1の検出部P(図3参照)に占める領域はさほど大きくなく、手足が占める領域以外の領域には、放射線が直接到達する。
【0159】
そのため、患者の手足を撮影するような場合には、同じ線量の放射線を照射した場合でも、電流検出手段41で検出される配線15cや走査線5を流れる電流やそれに相当する電圧値Vは比較的大きな値になる。
【0160】
このように、被写体である患者に同じ線量の放射線を照射した場合でも、被写体を透過して放射線画像撮影装置1のシンチレータ3に到達する放射線の線量は、患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件によって異なり、電流検出手段41で検出される配線15cや走査線5を流れる電流やそれに相当する電圧値Vも患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件によって異なる値になる。
【0161】
そこで、上記のように判断基準となる設定値を、被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向を含む撮影条件に基づいて可変して予め設定するように構成することが可能である。このように構成することで、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにすることが可能となり、患者の被曝線量を適切な量に抑制することが可能となる。
【0162】
なお、放射線画像撮影装置1に対して上記の設定値を設定するために、例えば、電源スイッチ36を操作し、或いは別個に設けた選択スイッチ等を操作する等して、撮影条件等の情報を入力するように構成することも可能である。
【0163】
また、例えば、コンソール58で作成、選択する撮影オーダ情報で被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向を含む撮影条件を設定するように構成し、それらの撮影オーダ情報やその中の各撮影条件をコンソール58から放射線画像撮影装置1に送信して入力するように構成することも可能であり、放射線画像撮影装置1に対する撮影条件等の情報の入力方法については適宜の方法を採用し得る。
【0164】
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、放射線画像撮影装置1の走査線5や配線15c(配線15coff)を流れる電流を電流検出手段41で検出し、それに相当する電圧値Vを出力し、その電圧値Vに基づいて、制御手段22で放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量を検出する場合について説明した。
【0165】
しかし、放射線の照射開始さえ検出できれば、その後、放射線画像撮影装置1に照射される放射線の線量が所定の設定値に達したか否かは、放射線の照射開始からの時間経過で判断できる場合も多い。第2の実施形態では、このように、フォトタイマを構成する制御手段22が、放射線の照射の開始後の経過時間を監視するように構成されている場合について説明する。
【0166】
具体的には、放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50の構成は、上記の第1の実施形態の場合と同様であり、放射線画像撮影装置1の電流検出手段41は、各走査線5や走査駆動手段15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15c、特に電源回路15aからゲートドライバ15bにオフ電圧を供給する配線15coffを流れる電流に相当する電圧値Vを検出するように構成されている。
【0167】
また、本実施形態では、制御手段22は、電流検出手段41が検出した電流に相当する電圧値Vに基づいて放射線の照射の開始を検出するようになっており、本実施形態では、制御手段22自身が、電流検出手段41が検出した電流に相当する電圧値Vに基づいて放射線の照射の開始を検出することが必須の構成となる。
【0168】
放射線の照射の開始は、前述したように、電流検出手段41から出力される電圧値Vが増加し、例えば予め設定された閾値Vthを越えた場合(図15の時刻tc参照)や、電圧値Vの増加率が予め設定された閾値を越えた場合(時刻td参照)に、制御手段22で検出されるようになっている。
【0169】
そして、本実施形態では、制御手段22は、放射線の照射の開始を検出した時点(図15における時刻tcや時刻td)で経過時間のカウントを開始し、放射線の照射開始後、予め設定された所定時間が経過した時点で、アンテナ装置39等の通信手段を介して放射線の照射終了信号を放射線発生装置55に発信するようになっている。
【0170】
本実施形態の場合も、放射線画像撮影装置1を例えば医療用の放射線画像撮影装置として用いる場合などには、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにするために、第1の実施形態における設定値と同様に、放射線の照射開始後の所定時間を予め適切な値に設定することが可能である。
【0171】
その際、第1の実施形態における設定値を、患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件によって可変させて設定したように、本実施形態では、この所定時間が撮影条件によって可変させて設定される。例えば患者の胸部正面等を撮影するような場合には、上記の所定時間が比較的長い時間に設定され、また、例えば患者の手や脚部を撮影するような場合には、所定時間は比較的短い時間に設定される。
【0172】
この場合も、例えば、電源スイッチ36を操作したり、別個に設けた選択スイッチ等を操作したり、或いは、コンソール58から撮影オーダ情報やその中の各撮影条件を放射線画像撮影装置1に送信する等して、放射線画像撮影装置1に撮影条件等の情報を入力するように構成することも可能である。
【0173】
以上のように、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50によっても、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50の上記の効果と同様の効果を的確に発揮することが可能となる。
【0174】
すなわち、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の大型化を招くことなく放射線の照射の開始を的確に検出して、被写体である患者に必要以上の放射線が照射されないようにすることが可能となる。
【0175】
また、それとともに、電流検出手段41で発生するノイズが、寄生容量が小さい各TFT8を介して各放射線検出素子7の電荷に重畳されるため、ノイズ電荷が非常に小さいものとなり、放射線画像の画質の低下が的確に防止され、特にその粒状性の悪化が的確に防止される。そのため、例えば、このような放射線画像を用いて診断を行うような場合に、病変を見落としたり正常な部分を病変と見誤ったりして誤診を生じる等の不都合が生じることを的確に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0176】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
15a 電源回路
15b ゲートドライバ
15c 配線
15coff 電源回路からゲートドライバにオフ電圧を供給する配線
22 制御手段
39 アンテナ装置(通信手段)
41 電流検出手段
52 放射線源
55 放射線発生装置
r 領域
T 経過時間
V 電圧値(電流)
Vp ピーク値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記放射線検出素子ごとに配置され、接続された前記走査線に印加される電圧に応じてオフ状態とオン状態とが切り替えられ、前記オフ状態では前記放射線検出素子内で発生した電荷を保持し、前記オン状態では前記放射線検出素子から前記電荷を放出させるスイッチ手段と、
前記走査線を介して前記スイッチ手段に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバと、前記ゲートドライバに前記オン電圧および前記オフ電圧を供給する電源回路とを備える走査駆動手段と、
前記電源回路と前記ゲートドライバとを結ぶ配線を流れる電流、または前記走査線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段が検出した前記電流の値に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量が予め設定された設定値に達したと判断した場合に、通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信する制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記電流検出手段が設けられる前記配線は、前記走査駆動手段の前記電源回路から前記ゲートドライバに前記オフ電圧を供給する配線であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電流検出手段により検出された前記電流の値の、前記放射線の照射開始後の積分値を算出し、当該積分値に基づいて前記照射された放射線の線量を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電流検出手段により検出された前記電流の値に対してバンドパスフィルタ処理を施した値の、前記放射線の照射開始後の積分値を算出し、当該積分値に基づいて前記照射された放射線の線量を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記電流検出手段により検出された前記電流の値のピーク値と、放射線の照射が開始された後の経過時間に基づいて、放射線の照射が開始された後に照射された放射線の線量を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記設定値は、被写体である患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件に基づいて可変して設定可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記電流検出手段が検出した前記電流の値に基づいて放射線の照射の開始を検出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記放射線検出素子ごとに配置され、接続された前記走査線に印加される電圧に応じてオフ状態とオン状態とが切り替えられ、前記オフ状態では前記放射線検出素子内で発生した電荷を保持し、前記オン状態では前記放射線検出素子から前記電荷を放出させるスイッチ手段と、
前記走査線を介して前記スイッチ手段に印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバと、前記ゲートドライバに前記オン電圧および前記オフ電圧を供給する電源回路とを備える走査駆動手段と、
前記電源回路と前記ゲートドライバとを結ぶ配線を流れる電流、または前記走査線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段が検出した前記電流の値に基づいて放射線の照射の開始を検出し、前記放射線の照射の開始後、所定時間が経過した時点で、通信手段を介して放射線の照射終了信号を発信する制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記電流検出手段が検出した前記電流の値が増加した場合に放射線の照射の開始を検出することを特徴とする請求項8に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記所定時間は、被写体である患者の身体の撮影部位または撮影方向を含む撮影条件に基づいて可変して設定可能とされていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置に対して放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置と、
を備え、
前記放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記通信手段を介して、前記放射線発生装置に対して前記照射終了信号を発信し、
前記放射線発生装置は、前記照射終了信号を受信すると、前記放射線源からの放射線の照射を停止させることを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−153876(P2011−153876A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14915(P2010−14915)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】