説明

放熱基板及びその製造方法、そして前記放熱基板を備える発光素子パッケージ

【課題】放熱効率を向上させた放熱基板及びその製造方法、そして前記放熱基板を備える発光素子パッケージを提供する。
【解決手段】本発明による放熱基板は、高分子樹脂及び高分子樹脂内に分布され、発熱体から発生される熱を外部に放出させるグラフェン(graphene)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱効率を向上させた放熱基板及びその製造方法、並びに、前記放熱基板を備える発光素子パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、発光素子パッケージは、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)及び発光レーザー(Light Emitting Laser)などのような発光素子を家電製品、リモコン、電光掲示板、表示器、自動化器機、及び照明器機などに備えさせるために前記発光素子をパッケージ化したものである。最近、発光素子が多様な分野に適用されることにより、発光素子の動作時に発光素子から発生される熱を効果的に処理するためのパッケージ技術が要求されている。特に、照明機器に適用される高出力の発光ダイオードの場合、消費電力が増加して、高い温度の熱を発生させるため、前記発光素子の放熱効率を向上させることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010−0128439号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、放熱効率を向上させた放熱基板及びこれを備える発光素子パッケージを提供することである。
本発明が解決しようとする課題は、放熱効率を向上させた放熱基板を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による発熱体から発生される熱を外部に放出させる放熱基板は、高分子樹脂及び前記高分子樹脂内に分布され、発熱体から発生される熱を外部に放出させるグラフェン(graphene)を含む。
【0006】
本発明の実施例によると、前記グラフェンは断層シート構造であり、前記高分子樹脂の間に介在されることができる。
【0007】
本発明の実施例によると、前記グラフェンと極性溶媒の反応性が増加されるように、前記グラフェン表面に形成された誘導体(derivative)をさらに含むことができる。
【0008】
本発明の実施例によると、前記高分子樹脂にはエポキシ樹脂が用いられることができる。
【0009】
本発明の実施例によると、前記放熱基板は複数の絶縁フィルムが積層された多層構造を有することができる。
【0010】
本発明による発熱体から発生される熱を外部に放出させる放熱基板の製造方法は、高分子樹脂及びグラフェン(graphene)を混合して混合物を準備する段階、前記混合物を混合及び分散させて高分子ペーストを形成する段階、前記高分子ペーストをキャスティング(casting)処理して複数の絶縁フィルムを形成する段階、そして前記絶縁フィルムを積層及び焼成し、基板積層体を形成する段階を含む。
【0011】
本発明の実施例によると、前記混合物を準備する段階は、前記高分子ペーストの総重量%に対して前記グラフェンが0.05乃至40wt%になるように、前記グラフェンの添加量を調節する段階を含むことができる。
【0012】
本発明の実施例によると、前記高分子樹脂にはエポキシ樹脂が用いられることができる。
【0013】
本発明の実施例によると、前記混合物を準備する段階は、前記グラフェン表面に誘導体(derivative)を形成する段階を含むことができる。
【0014】
本発明による発光素子パッケージは、発光素子及び前記発光素子に結合され、前記発光素子から発生される熱を放出させる放熱基板を含み、前記放熱基板は高分子樹脂及び前記高分子樹脂内に分布され、前記発光素子から発生される熱を外部に放出させるグラフェン(graphene)を含む。
【0015】
本発明の実施例によると、前記グラフェンは断層シート構造であり、前記高分子樹脂の間に介在されることができる。
【0016】
本発明の実施例によると、前記放熱基板は複数の絶縁フィルムが積層された多層構造を有することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による放熱基板及びこれを備える発光素子パッケージは、放熱基板内に金属に比べて熱伝導性が著しく高いグラフェンを含んでいるため、発熱体から発生される熱を金属プレートを用いて放熱させる場合に比べて、放熱効率を顕著に向上させることができる。
【0018】
本発明による放熱基板の製造方法は、高分子樹脂及びグラフェンを混合して混合物でペーストを形成した後、前記ペーストをキャスティング(casting)処理して形成された絶縁フィルムを積層及び焼成して、高分子樹脂内に金属に比べて熱伝導性が高いグラフェンが分布された放熱基板を製造することができる。これにより、本発明による放熱基板の製造方法は、発熱体(例えば、発光素子)から発生される熱を放出させるために放熱基板に別途の金属プレートを形成させる場合に比べて、製造工程を単純化させ、製作コストを低減するとともに、放熱効率を増加させた放熱基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例による発光素子パッケージを示す図面である。
【図2】図1に図示されたビルドアップ絶縁フィルムの内部領域を拡大した図面である。
【図3】本発明の実施例による発光素子パッケージの放熱効果を一般的な放熱素子パッケージと比較して説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されず、相異なる多様な形態で具現されることができる。本実施例は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0021】
本明細書で用いられる用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は文句で特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0022】
図1は本発明の実施例による発光素子パッケージを示す図面であり、図2は図1に図示されたビルドアップ絶縁フィルムの内部領域を拡大した図面である。
【0023】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例による発光素子パッケージ100は、互いに接合された発光素子110及び放熱基板120を含むことができる。
【0024】
前記発光素子110は発光ダイオード及びレーザーダイオードのうち少なくとも何れか一つであることができる。一例として、前記発光素子110は発光ダイオードであることができる。前記放熱基板120に対向される前記発光素子110の一面には、前記発光素子110を前記放熱基板120に電気的に連結させるためのリードフレームのような連結手段(未図示)が備えられることができる。前記発光素子110を外部環境から保護するために、前記発光素子パッケージ100は、前記発光素子110を覆って密閉させるモルディング膜(未図示)をさらに含むことができる。
【0025】
前記放熱基板120は前記発光素子110から発生された熱を外部に放出させることができる。これに加えて、前記放熱基板120は発光素子110を外部電子装置(未図示)に取り付けるために提供されるパッケージ構造物であることができる。
【0026】
前記放熱基板120は複数の絶縁フィルムが積層された積層基板構造を有することができる。例えば、前記放熱基板120はビルドアップ多層回路基板構造を有することができる。これにより、前記放熱基板120は複数のビルドアップ絶縁フィルム122が積層された構造を有することができる。前記絶縁フィルム122夫々は内層回路パターン124を含むことができる。そして、前記放熱基板120の外部には前記内層回路パターン124に電気的に連結された外層回路パターン126が備えられることができる。これにより、前記発光素子110は、前記外層回路パターン126に接合され、前記内層回路パターン124に電気的に連結されることができる。
【0027】
一方、前記放熱基板120は、前記発光素子110から発生される熱を効果的に放出させるために、熱伝導性が非常に高い組成を有することができる。例えば、図2に図示されたように、前記絶縁フィルム122は、高分子樹脂122a及びグラフェン(graphene)122bを含むことができる。
【0028】
前記高分子樹脂122aはエポキシ樹脂(epoxy resin)を含むことができる。前記エポキシ樹脂は、ビルドアップ多層回路基板の製造時、前記放熱基板120の層間絶縁材料として用いられる絶縁物質であることができる。このために、前記エポキシ樹脂は、耐熱性、耐薬品性、及び電気的特性が優れたものが用いられることが好ましい。例えば、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、そしてトリグリシジルイソシアネートのうち少なくとも何れか一つの複素環式エポキシ樹脂を含むことができる。または、前記エポキシ樹脂は臭素置換されたエポキシ樹脂を含むことができる。
【0029】
前記グラフェン122bは、前記高分子樹脂122aの間に配置され、前記発光素子110から発生されて伝導される熱を効果的に受けて、前記放熱基板120から外部に放出させることができる。前記グラフェン122bは高い熱伝導性を有することができる。例えば、前記グラフェン122bは、一般的にダイヤモンドに比べて二倍以上の熱伝導性を有すると知られている。これにより、前記グラフェン122bを含んだ放熱基板120は、前記発光素子110から発生される熱を効果的に放熱させることができる。
【0030】
また、前記グラフェン122bは炭素ナノ物質であり、前記高分子樹脂組成物内で前記高分子樹脂122aの間の架橋(bridge)役割をすることができる。例えば、前記グラフェン122bは豊富な電子雲密度(electron cloud density)を有し、これにより、前記高分子樹脂122aを強い引力でリンク(link)させることができる。この際、前記グラフェン122bによって提供される前記高分子樹脂122aに対する引力は、一般的なエポキシ樹脂のファンデルワールスの力(van der waals)に比べて非常に強い。従って、前記グラフェン122bにより、前記放熱基板120の絶縁フィルム122は温度変化による膨脹率及び収縮率が非常に低い特性を有することができる。
【0031】
ここで、前記絶縁フィルム122の製造のための組成物の総重量%に対して、略0.05乃至40wt%のグラフェン122bが添加されることができる。前記グラフェン122bの含量が0.05wt%より小さい場合、前記グラフェン122bの含量が相対的に非常に低いため、前記放熱基板120の放熱効率及び前記高分子樹脂122aを強い引力でリンクさせるグラフェンの効果などを期待することが困難になる。これに反し、前記グラフェン122bの含量が40wt%を超過する場合、前記グラフェン122bの過度な添加により、前記放熱基板120の絶縁特性の低下及びその他の物質の相対的な減量による物質特性の低下が発生する可能性がある。
【0032】
その他にも、前記絶縁フィルム122は、硬化剤、硬化促進剤、及びその他の多様な添加剤を含むことができ、これに対する具体的な説明は後述する。
【0033】
一方、上述のような放熱基板120は、次のような工程を通じて製造されることができる。まず、高分子樹脂122a及びグラフェン122bを所定の溶媒に混合して混合物を製造することができる。ここで、前記グラフェン122bは極性が非常に高い特徴を有するため、溶媒に容易に溶解されない可能性がある。これにより、前記グラフェン122bの表面にカルボキシル基、アルキル基、そしてアミン基などのような誘導体(derivative)を形成して、前記溶媒に対する前記グラフェン122bの溶解性を高めることができる。
【0034】
また、前記混合物を製造する過程で、前記高分子樹脂122a及びグラフェン122bの他に硬化剤、硬化促進剤、及びその他の多様な添加剤をさらに添加することができる。
【0035】
前記高分子樹脂122aにはエポキシ樹脂(epoxy resin)が用いられることができる。例えば、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、そしてトリグリシジルイソシアネートのうち少なくとも何れか一つの複素環式エポキシ樹脂を含むことができる。または、前記エポキシ樹脂は臭素置換されたエポキシ樹脂のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。
【0036】
前記硬化剤には、アミン系、イミダゾール系、グアニン系、酸無水物系、ジシアンジアミド系、及びポリアミン系のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。または、前記硬化剤には、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−フェニルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチルイミダゾール)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、トリアジン添加タイプイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、フタル酸無水物、テトラハイドロフタル酸無水物、メチルブテニルテトラハイドロフタル酸無水物、ヘキサハイドロフタル酸無水物、メチルハイドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、及びベンゾフェノンテトラカルボキシ酸無水物のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。
【0037】
前記硬化促進剤には、フェノール(phenol)、シアンエステル(cyanate ester)、アミン(amine)、及びイミダゾール(imidazole)のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。
【0038】
前記グラフェン122bは炭素ナノ物質であり、前記高分子樹脂122a組成物内で前記エポキシ樹脂の間の架橋(bridg)役割をすることができる。例えば、前記グラフェンは豊富な電子雲密度(electron cloud density)を有して、これにより、前記エポキシ樹脂を強い引力でリンク(link)させることができる。この際,前記グラフェンによって提供される前記エポキシ樹脂に対する引力は,前記エポキシ樹脂のファンデルワールスの力(van der waals)に比べて非常に強い。従って、前記グラフェンによって、前記高分子樹脂組成物は温度変化による膨脹率及び収縮率が非常に低い特性を有することができる。
【0039】
前記高分子樹脂組成物の総重量%に対して、略0.05乃至40wt%のグラフェンが添加されることができる。前記グラフェンの含量が0.05wt%より小さい場合、前記グラフェンの含量が相対的に非常に低いため、前記エポキシ樹脂を強い引力でリンクさせる前記グラフェンの効果を期待することが困難になる。これに反し、前記グラフェンの含量が40wt%を超過する場合、前記グラフェンの過度な添加により、前記高分子樹脂組成物の絶縁特性の低下及びその他の物質の相対的な減量による物質特性の低下が発生する可能性がある。
【0040】
前記添加剤は、前記高分子樹脂組成物を利用して絶縁フィルムを製造する場合、さらには前記絶縁フィルムを利用して多層回路基板を製造する場合において、製造特性及び基板特性を向上させるために提供されることができる。例えば、前記添加剤は充填剤(filler)、反応性稀釈剤、そしてバインダーなどを含むことができる。
【0041】
前記充填剤には、無機または有機充填剤が用いられることができる。例えば、前記充填剤には、硫酸バリウム(Barium Sulfate)、バリウムチタネート、シリコーンオキサイド粉末、無定形シリカ、タルク、粘土、及びマイカ粉末のうち少なくとも何れか一つが用いられることができる。前記充填剤の添加量は、前記高分子樹脂組成物の総重量%を基準に略1乃至30wt%に調節されることができる。前記充填剤の添加量が1wt%未満であると、前記充填剤としての機能を遂行することが困難である。これに反し、前記充填剤の添加量が30wt%を超過すると、前記高分子樹脂組成物で製造された製品の誘電率のような電気的特性が低下する可能性がある。
【0042】
前記反応性稀釈剤は、前記高分子樹脂組成物の製造時、粘度を調節して製造作業性を円滑にするための物質であることができる。前記反応性稀釈剤には、フェニルグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、レゾール型ノボラックタイプフェノール樹脂、及びイソシアネート化合物のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0043】
前記バインダーは、前記高分子樹脂組成物で製造された絶縁フィルムの可撓性を向上させ、また物質特性を向上させるために提供されることができる。前記バインダーは、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリシアネート樹脂、及びポリエステル樹脂のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0044】
前記高分子樹脂組成物の総重量%に対して、30wt%以下の反応性稀釈剤及び前記バインダーが添加されることができる。もし、前記反応性稀釈剤と前記バインダーの含量が前記高分子樹脂組成物の総重量%に対して30wt%を超過すると、前記高分子樹脂組成物の物質特性がむしろ低下し、これにより、高分子樹脂組成物で製造される製品の電気的、機械的、及び化学的特性が低くなる可能性がある。
【0045】
また、前記高分子樹脂組成物は前記添加剤として、所定のゴム(rubber)をさらに含むことができる。例えば、内層回路にラミネートされる絶縁フィルムは仮硬化(precure)後、メッキ層との接着強度を改善するために酸化剤を用いて湿式粗化工程を遂行する。従って、酸化剤に溶解可能なゴムやエポキシ変性ゴム樹脂などが粗化成分(ゴム)として絶縁フィルム組成物に用いられることができる。用いられるゴムの例としては、特にこれに限定するものではないが、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、アクリロニトリル変性、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム分散型エポキシ樹脂のうち少なくとも何れか一つを含むことができる。前記粗化成分の添加量は、前記高分子樹脂組成物の総重量%に対して略5乃至30wt%に調節されることができる。前記粗化成分が5wt%未満であると、粗化性が落ちる可能性がある。これに反し、前記粗化成分が30wt%を超過すると、前記高分子樹脂組成物で製造された製品の機械的強度が低下する可能性がある。
【0046】
上述のような方法で製造された放熱基板の製造のための高分子樹脂組成物を混合及び分散させた後、キャスティング(casting)してフィルム形態に製造することができる。前記高分子組成物の混合及び分散は、3−ボールミルローラー(3−ball mill roller)を利用して遂行されることができる。上述のような方式で製造された絶縁フィルムを積層及び焼成して、ビルドアップ多層回路基板を形成することができる。この過程で、前記絶縁フィルム夫々に金属回路パターンを形成する段階が付加されることができる。これにより、複数の絶縁フィルム122が積層された構造を有し、内層回路パターン124及び外層回路パターン126を有する放熱基板120が製造されることができる。
【0047】
以下、本発明の実施例による発光素子パッケージ100の放熱効果に対して、一般的な放熱素子パッケージの構造と比較説明する。
【0048】
図3は本発明の実施例による発光素子パッケージの放熱効果を一般的な放熱素子パッケージと比較して説明するための図面である。より具体的には、図3(a)は従来技術の一例による発光素子パッケージの放熱効果を説明するための図面である。図3(b)は従来技術の他の例による発光素子パッケージの放熱効果を説明するための図面である。そして、図3(c)は本発明の実施例による発光素子パッケージの放熱効果を説明するための図面である。
【0049】
図3(a)を参照すると、従来技術の一例による発光素子パッケージ11は、別途の導電性プレートをさらに備えて、発光素子から発生される熱を外部に放出させる構造を有する。例えば、前記発光素子パッケージ11は、放熱基板13を基準に一面に実装された発光素子12及び前記一面の反対側面である他面に結合された放熱板14を備える。前記放熱基板13は一般的な多層印刷回路基板(PCB)の構造を有し、前記放熱板14は金属からなる。
【0050】
上述のような構造の発光素子パッケージ11は、前記発光素子12から発生された熱H1が放熱基板13を経由して前記放熱板14に移動された後、前記放熱板14が外部に前記熱H1を放出させる構造を有する。この場合、発光素子パッケージ11は、一般的な印刷回路基板構造を有する前記放熱基板13の低い熱伝逹特性により、前記発光素子12から発生された熱H1が前記放熱基板13に効果的に伝達されず、放熱効率が低いという問題点がある。また、前記発光素子パッケージ11は、前記放熱基板13の外部に前記放熱板14が備えられる領域を別途に確保しなければならない点を勘案すると、前記放熱基板13の両面に各種電子部品を実装する場合には大きい制約が伴うようになる。
【0051】
図3(b)を参照すると、従来技術の他の例による発光素子パッケージ21は、放熱基板の内部に別途の導電性プレートをさらに備えて、発光素子から発生される熱を外部に放出させる構造を有する。例えば、前記発光素子パッケージ21は、互いに結合された発光素子22及び放熱基板23を備え、前記放熱基板23の内部には前記発光素子22から発生された熱H2を前記放熱基板23の外部に放出させる導電性コア板24を含む。前記放熱基板23は一般的な多層印刷回路基板の構造を有し、前記導電性コア板24は金属材質からなる。
【0052】
上述のような構造の発光素子パッケージ21は、発光素子22から発生された熱H2が放熱基板23内の導電性コア板24を経由した後、前記放熱基板23の外部に放出される構造を有する。この場合、前記発光素子パッケージ21は、別途の導電性コア板24を放熱基板23内に内蔵させなければならないため、その製造過程が複雑であり、信頼性などに問題点が発生される可能性が高い。例えば、前記導電性コア板24は金属材質からなるため、金属材質の導電性コア板24と前記放熱基板23の高分子樹脂の間の接合率は非常に低い。従って、前記導電性コア板24と前記放熱基板23は、離れやすいブリスター(blister)現象が発生して、信頼性が低下する。
【0053】
図3(c)を参照すると、本発明の実施例による発光素子パッケージ100は互いに結合された発光素子110及び放熱基板120を含み、前記放熱基板120自体の熱伝導率を増加させて、前記発光素子110から発生された熱H3を外部に放出させる構造を有することができる。これにより、本発明による発光素子パッケージ100は、図3(a)及び図3(b)を参照して上述した発光素子パッケージ11、21に比べて、別途の金属板を備える必要がないため、パッケージの製造工程を単純化させ、製作コストを減少させることができ、グラフェンの高い熱伝導性により前記発光素子110の放熱効果を向上させることができる。
【0054】
上述したように、本発明の実施例による放熱基板120は複数の絶縁フィルムが積層された多層構造を有して、前記絶縁フィルム夫々は高分子樹脂122a及び前記高分子樹脂122a内に分布され、発熱体(例えば、発光素子)から発生される熱を外部に放出させるグラフェン122bを含むことができる。これにより、本発明による放熱基板及びこれを備える発光素子パッケージは、放熱基板自体の組成に熱伝導性が極めて高いグラフェンを含むため、発熱体から発生される熱を外部に効果的に放出させ、放熱効率を向上させることができる。
【0055】
また、本発明の実施例による放熱基板120の製造方法は、高分子樹脂122a及びグラフェン122bを混合して混合物でペーストを形成した後、前記ペーストから形成された絶縁フィルムを積層及び焼成して、高分子樹脂122a内に金属に比べて熱伝導性が高いグラフェン122bが分布された放熱基板120を製造することができる。これにより、本発明による放熱基板の製造方法は、発熱体(例えば、発光素子)から発生される熱を放出させるために放熱基板に別途の金属プレートを形成させる場合に比べて、製造工程を単純化させ、製作コストを低減するとともに、放熱効率を増加させた放熱基板を製造することができる。
【0056】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施例は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0057】
100 発光素子パッケージ
110 発光素子
120 放熱基板
122 絶縁フィルム
122a 高分子樹脂
122b グラフェン
124 内層回路パターン
126 外層回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体から発生される熱を外部に放出させる放熱基板において、
高分子樹脂;及び
前記高分子樹脂内に分布され、前記発熱体から発生される熱を外部に放出させるグラフェン(graphene)を含む放熱基板。
【請求項2】
前記グラフェンは断層シート構造であり、前記高分子樹脂の間に介在される請求項1に記載の放熱基板。
【請求項3】
前記グラフェンと極性溶媒の反応性が増加されるように、前記グラフェン表面に形成された誘導体(derivative)をさらに含む請求項1に記載の放熱基板。
【請求項4】
前記高分子樹脂には、エポキシ樹脂が用いられる請求項1に記載の放熱基板。
【請求項5】
前記放熱基板は複数の絶縁フィルムが積層された多層構造を有する請求項1に記載の放熱基板。
【請求項6】
発熱体に結合され、前記発熱体から発生される熱を外部に放出させる放熱基板の製造方法において、
高分子樹脂及びグラフェン(graphene)を混合して混合物を準備する段階;
前記混合物を混合及び分散させて高分子ペーストを形成する段階;
前記高分子ペーストをキャスティング(casting)処理して複数の絶縁フィルムを形成する段階;及び
前記絶縁フィルムを積層及び焼成し、基板積層体を形成する段階を含む放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記混合物を準備する段階は、前記高分子ペーストの総重量%に対して前記グラフェンが0.05乃至40wt%になるように、前記グラフェンの添加量を調節する段階を含む請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項8】
前記高分子樹脂には、エポキシ樹脂が用いられる請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項9】
前記混合物を準備する段階は、前記グラフェン表面に誘導体(derivative)を形成する段階を含む請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項10】
発光素子;及び
前記発光素子に結合され、前記発光素子から発生される熱を放出させる放熱基板を含み、
前記放熱基板は、
高分子樹脂;及び
前記高分子樹脂内に分布され、前記発光素子から発生される熱を外部に放出させるグラフェン(graphene)を含む発光素子パッケージ。
【請求項11】
前記グラフェンは断層シート構造であり、前記高分子樹脂の間に介在される請求項10に記載の発光素子パッケージ。
【請求項12】
前記放熱基板は複数の絶縁フィルムが積層された多層構造を有する請求項10に記載の発光素子パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−74703(P2012−74703A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210475(P2011−210475)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】