説明

整列装置

【課題】貯留部から汲上搬送した後の作物が下方に落下することを出来るだけ防ぐ整列装置を提供すること。
【解決手段】貯留部の作物を汲上搬送装置Bにより汲上搬送し、汲上搬送装置Bから排出される作物を整列搬送装置Cで受けて整列させながら搬送し、整列搬送装置Cから落下した作物を戻し部材64により貯留部Aに戻す整列装置において、汲上搬送装置Bの搬送始端側に落下する作物を受けて汲上搬送装置Bに戻す受け部74と汲上搬送装置Bの搬送終端側に作物を上方から押圧する押圧部材71と、受け部74と押圧部材71との間に作物が汲上搬送装置Bから落下することを防止する落下防止用紐部材72,73を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫したニンジンや大根等の作物を搬送装置で搬送した後に整列させる作物整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の技術分野に関して、例えば特開2008−183539号公報には、収穫した作物を貯留タンクに投入し、貯留タンクから汲上搬送装置により上方に搬送した後、整列搬送装置で整列させて、次いで選別部で搬送しながら作物を重量毎に選別する作物整列装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の従来発明(選別装置)の整列装置部分には、貯留部から汲上搬送装置により上方に搬送中の作物が落下して、その衝撃で傷付いてしまい、商品価値が低下する問題点がある。
また、汲上搬送装置で汲上搬送中の作物が落下すると、貯留部から再び汲上搬送装置で汲上搬送されるため、作物の移動距離(及び時間)が長くなり、作業能率が低下する問題点がある。
そして、貯留部に作物が過剰に投入されると、汲上搬送装置の搬送始端部の近傍で作物が滞留してしまい、この滞留した作物が汲上搬送されず、この滞留状態を解消する作業が必要となり、作業能率が低下する問題点がある。
【0005】
さらに、汲上搬送した後に、該汲上搬送装置などから落下した作物の長手方向の姿勢が搬送方向に沿って縦方向のままであると、再び汲上搬装置で搬送中に落下してしまい、落下時の衝撃で作物が傷付く問題や作物の移動距離が長くなる問題がある。
【0006】
そして、汲上搬送装置により上方に搬送した後に貯留タンクに戻すための戻し部材が貯留部よりも上方に位置しているので、戻し部材を移動する作物が移動の勢いで機外に飛び出してしまい、作物が落下して、その衝撃で傷付いてしまい、商品価値が低下する問題点もある。
また、落下した作物を拾い集める作業が必要となり、作業能率が低下する問題がある。
【0007】
そこで本発明の課題は、貯留部から汲上搬送した後の作物が下方に落下することを出来るだけ防ぐ整列装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題を解決するための手段は次の通りである。
すなわち請求項1記載の発明は、作物を貯留する貯留部(A)と、作物を貯留部(A)に投入する投入装置(S)と、貯留部(A)の作物を搬送方向下手側に汲上搬送する汲上搬送装置(B)と、汲上搬送装置(B)から排出される作物を受けて整列させながら搬送する整列搬送装置(C)と、整列搬送装置(C)から落下した作物を貯留部(A)に移動させる戻し部材(64)とを設けた整列装置において、前記汲上搬送装置(B)の搬送始端側に汲上搬送装置(B)から落下する作物を受けて汲上搬送装置(B)に戻す受け部(74)と、汲上搬送装置(B)の搬送終端側に作物を上方から押圧する押圧部材(71)と該受け部(74)と押圧部材(71)との間に作物が汲上搬送装置(B)から落下することを防止する落下防止部材(72,73)を設けたことを特徴とする整列装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記受け部(74)の搬送始端側端部に汲上搬送装置(B)の搬送始端部で作物の滞留を検出する検知部材(90)を設け、該検知部材(90)の信号を受けて投入装置(S)を所定時間停止させる制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記汲上搬送装置(B)の駆動に連動して受け部(74)の緩衝板(77)を揺動させる揺動装置(Y)を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記戻し部材(64)の移動終端部側に貯留部(A)の上端部と同じ高さまたは貯留部(A)の上端部よりも上下方向に長い側板(64a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、汲上搬送装置(B)の搬送始端側に落下してきた作物を受ける受け部(74)を設けたことにより、作物が貯留部(A)に落下する前に受け部(74)で受けることができ、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値が損なわれないだけでなく、作物が搬送される距離を短くでき、作業能率が従来の装置より向上する。
【0013】
また、汲上搬送装置(B)の搬送終端側に作物を上部から押圧する押圧部材(71)を設けたことにより、汲上搬送装置(B)の搬送終端近傍まで汲み上げ搬送された作物が落下することを防止できるので落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値が損なわれないだけでなく、作物を貯留部(A)や受け部(74)で再び汲上搬送する必要がなくなり、作業能率が従来の装置より向上する。
【0014】
そして、受け部(74)と押圧部材(71)との上下間にゴムひもなどからなる落下防止部材(72,73)を設けたことにより、汲上搬送中の作物が汲上搬送装置(B)から浮き上がることを防止でき、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値が損なわれないだけでなく、作物が搬送される距離を短くでき、作業能率が従来の装置より向上する。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、受け部(74)の搬送始端側端部に作物検出部材(90)を設けたことによって、投入装置(S)から作物が過剰に供給され、汲上搬送装置(B)の搬送始端側に作物が滞留すると、この検出部材(90)が作物の滞留を検知して信号を制御装置に送り、制御装置が設定した時間、投入装置(S)を止めるので、作物が汲上搬送装置(B)の搬送始端側に滞留して汲上搬送されなくなることを防止でき、作業能率が従来の装置より向上する。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、汲上搬送装置(B)の駆動に連動して受け部(74)の緩衝板(77)を揺動させる揺動装置(Y)を設けたことにより、縦向きに落下してきた作物を受ける際に横方向に倒して姿勢変更でき、作物が汲上搬送装置(B)から落下しにくくなり、作業能率が従来の装置より向上する。作物が横向きになることにより、汲上搬送装置(B)の搬送ローラ(15)の前後間に作物が位置するので、落下しかけても搬送ローラ(15)が作物を受けるため落ちにくくなる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、戻し部材(64)の移動終端部側に貯留部(A)の上端部と同じ高さまたは貯留部(A)の上端部よりも上下方向に長い側板(64a)を設けたことにより、戻し部材(64)を移動した作物が貯留部(A)に引き継がれる際、移動時の勢いで機外に飛び出すことを防止でき、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値が向上するとともに、落下した作物を拾う作業を省略でき、作業能率が従来の装置より向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の作物整列装置の右側面図である。
【図2】本発明の作物整列装置の平面図である。
【図3】図1の作物整列装置の汲上搬送コンベアを通常時より急勾配にした場合の受け部の図示を省略した側面図である。
【図4】図2の作物整列装置の一部背面図である。
【図5】図1の作物整列装置の駆動機構の構成図である。
【図6】図1の作物整列装置の駆動機構の一部詳細平面図である。
【図7】本発明の作物整列装置の整列搬送装置の右上方からの斜視図である。
【図8】本発明の作物整列装置の整列搬送装置の左上方からの斜視図である。
【図9】本発明の作物整列装置の汲上搬送コンベア部分の一部詳細左側面図である。
【図10】本発明の作物整列装置の他の実施例の整列搬送装置の右上からの斜視図(図10(a))と左上からの斜視図(図10(b))である。
【図11】本発明の作物整列装置の貯留ホッパの底部床体の平面図(図11(a))と側面図(図11(b)、図11(c))である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
なお、本実施例では作物としてニンジンを用いる例を説明する。また本明細書では搬送装置の作物搬送方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、貯留部A側を作物搬送方向の前側(始端部側)、左右整列搬送装置C側を作物搬送方向の後側(終端部側)ということにする。
【0020】
図1などに示す作物搬送装置は投入コンベアS(図1)からニンジンNが投入される貯留部Aと該貯留部Aからニンジンを複数の搬送ローラ15で汲上搬送する汲上搬送装置Bと汲上搬送装置Bの搬送終端部から排出して落下するニンジンNを受け取り整列させる左右の整列搬送装置Cとをメインフレーム1に取り付けた構成である。
【0021】
まず、貯留部Aの構成について説明する。
メインフレーム1の前側(作物の搬送方向始端部側)の前部にパンタグラフ式の油圧ジャッキ2の下部を回転自在に取り付け、該油圧ジャッキ2の上部を図示しない昇降手段で上下位置を調整できる支持フレーム3に取り付けている。該支持フレーム3の上部には、ニンジンNを貯留するホッパ4を載置している。
【0022】
油圧ジャッキ2を昇降させることによってホッパ4と後述する汲上搬送装置Bの汲上搬送コンベア17とが連動して昇降するため、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と後述する左右の整列搬送装置Cの左右第1整列搬送装置(第1整列搬送コンベア)48,48との落差をニンジンNの品種や大きさによって変更できるので、落下の衝撃でニンジンNが傷つくことを防止でき、ニンジンNの商品価値が向上する。
なお、油圧ジャッキ2は電動ジャッキや空圧ジャッキとしても良く、ハンドル5を取り付けて回転させる手動ジャッキとしても良く、また、油圧、電動、空圧等により伸縮するシリンダに置き換えても良い。
【0023】
そして、貯留ホッパ4の作物搬送装置の機体前側に傾斜板4aを取り付けると共に、貯留ホッパ4の左右両側にそれぞれ下り傾斜姿勢の左右傾斜板4b,4bを取り付けることで、貯留部Aが構成される。なお、傾斜板4a,4bには水切り用のスノコ部(図示せず)を設けても良い。スノコ部を設けると、作物に付着した水分や泥土を落とすことができるので、作物の整列搬送や選別搬送が適正に行われ、作業能率が従来の装置に比べて向上する。
【0024】
次に、汲上搬送装置Bと引継シュータ16の構成について説明する。
前記貯留ホッパ4の左右方向(作物搬送方向に直交する方向)外側にホッパ4の底部に基部を有する前後方向に長い左右一対のフレーム6,6を取り付けると共に、該左右フレーム6,6の後端部左右間に側面視で後方上り傾斜姿勢に左右汲上フレーム7,7を取り付ける。フレーム6,6の前端部の左右方向に従動シャフト12を回転自在に装着すると共に、該従動シャフト12に従動ローラ(従動スプロケット)13,13を軸着する。
【0025】
また、前記左右汲上フレーム7,7の後端部の左右方向に駆動シャフト8を回転自在に装着し、該駆動シャフト8の左右端に駆動ローラ(駆動スプロケット)9,9を軸着すると共に、ホッパ4の下方で且つ左右フレーム6,6間に左右方向に中間シャフト10を回転自在に装着し、該中間シャフト10の左右端に左右テンションスプロケット11,11を軸着する。さらに、該左右駆動スプロケット9,9と従動スプロケット13,13と左右テンションスプロケット11,11との間に左右伝動チェーン14,14を無端状に巻き掛ける。
【0026】
更に、該左右伝動チェーン14,14の左右方向の間に複数の搬送ローラ15…を等間隔に回転自在に取り付けて汲上搬送コンベア17を構成すると共に、左右汲上フレーム7,7の搬送終端部の左右の幅方向に亘り、左右伝動チェーン14,14の引継シュータ16を、その終端部より機体前側に整列搬送装置Cのコンベア48,48の搬送始端部が位置するように取り付ける。
【0027】
そして、メインフレーム1の後部に支持台18を取り付け、該支持台18の上部に機体の前後方向にスライド自在なスライド板19を取り付け、該スライド板19の上部に汲上搬送コンベア17と後述する左右整列搬送装置Cに駆動力を供給する駆動モータ20を取り付けている。
【0028】
また、前記左右汲上フレーム7,7の左右一側に機体の上下方向及び前後方向に移動自在にエンジン(図示せず)からの動力を伝達する伝動機構を内部に備えた汲上伝動ケース21を取り付け、該汲上伝動ケース21の内側上部に出力スプロケット22を駆動シャフト8の左右一側の端部に軸着して配置し、汲上伝動ケース21の内部下部に入力スプロケット23を入力軸に軸着して取り付けている。更に、前記出力スプロケット22と入力スプロケット23との間に伝動チェーン24を無端状に巻き掛ける。
【0029】
そして、入力スプロケット23の入力軸の左右一端に従動プーリ25(図5)を軸着し、駆動モータ20の機体外側の出力軸に駆動プーリ26を軸着し、該駆動プーリ26と従動プーリ25との間に伝動ベルト27を無端状に巻き掛けることで、汲上搬送装置Bを構成している。
【0030】
図3に示すように、駆動モータ20を載置したスライド板19が機体の前後方向にスライド移動自在であると共に、駆動モータ20の動力を汲上搬送コンベア17の駆動シャフト8に伝動する伝動機構を備えた汲上伝動ケース21が機体上下方向及び機体前後方向に移動自在であることによって、貯留部Aの油圧ジャッキ2によってホッパ4と汲上搬送コンベア17とを上昇させると駆動モータ20と汲上伝動ケース21とが適切な位置に自動的に移動するので、駆動モータ20や汲上伝動ケース21を着脱することなく、ホッパ4及び汲上搬送コンベア17の上下高さを変更することができる。したがって、作業者の労力が軽減されると共に作業能力が向上する。
【0031】
次に、左右整列搬送装置Cの第1整列搬送コンベア48、作物の第1振分板30、第2振分部材31及び第2整列搬送コンベア56などの構成について説明する。
図1、図2などに示すように、前記メインフレーム1の後側上部に整列搬送フレーム28を取り付け、該整列搬送フレーム28の左右両側に左右側板29,29を取り付ける。そして、該左右側板29,29の左右間中央部で且つ搬送方向上手側に、搬送方向下手側ほど下方傾斜させた、汲上搬送コンベア17の搬送終端部から排出されるニンジンを後述する第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一方に振り分ける山型の第1振分板30を取り付け、該第1振分板30の後部に前端部が第1振分板30の後端部よりも上方に位置する、第1振分部材30の上部を終端部まで移動してきたニンジンを左右の第2整列搬送コンベア56,56の左右いずれか一方に移動させる台形状の第2振分板31(図4)を取り付ける。なお、第1振分板30と第2振分板31とは、一体としても良いが、図1、図2などに示すように分割して構成すると取り外しや取り付けが容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0032】
なお、第1振分板30の上面に平坦な塩化ビニル板等を敷設すると、ニンジンが滑り落ちやすくなるため、作業能率が向上すると共に、第2振分板31まで移動しなかったニンジンが第1振分板30上に取り残されることが防止できる。
【0033】
また、図4の背面図に示すように台形状の第2振分板31の前端部にニンジンが衝突した際の衝撃を緩和するゴム材等で構成する弾性板32(図1,図2)を取り付け、第2振分部材31の左右傾斜面31b,31bを前端部から後方に向かって切り欠き、後述する左右第2整列搬送コンベア56,56からニンジンを落下させる左右内側開口部33a,33aを形成すると共に、該左右内側開口部33a,33aの後端部から第2振分部材31の終端部に亘って左右側壁75,75を左右第2整列搬送コンベア56,56の機体内側端部方向に屈曲させる。さらに、前記左右側板29,29に左右外側開口部33b,33bを第2振分部材31に形成した左右内側開口部33a,33aと略同じ長さに切り欠いて形成する。
【0034】
なお、左右開口部33,33の長さは240mm〜400mm程度に設定しておくと、平均的な長さ(120〜200mm)のニンジンが2本同時に左右開口部33,33に入り込んできても左右開口部33,33に詰まることが防止されるので、作業者が詰まったニンジンを取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0035】
さらに、前記左右側板29,29の前端部左右間に設けた第1整列駆動シャフト35の左右両端部に第1駆動プーリ36,36を軸着すると共に略中央部に整列出力スプロケット50を軸着し、該整列出力スプロケット50を整列伝動ケース40に内装して、第1整列駆動シャフト35を駆動プーリ26を中心として揺動自在に取り付け、該整列出力スプロケット50と同じく、整列伝動ケース40に内装する整列入力スプロケット38と前記整列出力スプロケット50との間に整列伝動チェーン39を無端状に巻き掛ける。そして、前記駆動モータ20の機体内側の出力軸に出力プーリ41を軸着し、整列入力スプロケット38の入力軸37に入力プーリ42を軸着すると共に、該出力プーリ41と入力プーリ42とに伝動ベルト43を無端状に巻き掛ける。
【0036】
また、前記左右側板29,29の左右間で且つ第1振分板30の後端部近傍に左右第1従動プーリ44,44を軸着すると共に略中央部に伝動スプロケット45を軸着した左右第1整列従動シャフト46を第2整列駆動シャフト51を中心として揺動自在に取り付け、該左右第1従動プーリ44,44と左右第1駆動プーリ36,36とに横断面形状凹型の左右第1整列搬送ベルト47,47を無端状に巻き掛けて、左右第1整列搬送コンベア48,48を構成する。
【0037】
なお、該左右の第1整列搬送ベルト47,47は、図6に示すように左右の第1外側整列搬送ベルト47o,47o、左右の第1内側整列搬送ベルト47i,47i、左右の第1中央整列搬送ベルト47c、47cに分割したものを巻き掛けてもよい。
【0038】
そして、前記左右側板29,29の左右間で且つ第2振分板31の前端下部に左右第2駆動プーリ49,49を軸着すると共に略中央部に整列出力スプロケット50を軸着した第2整列駆動シャフト51を回転自在に取り付け、該整列出力スプロケット50と伝動スプロケット45との間に整列伝動チェーン52を無端状に巻き掛ける。また、左右側板29,29の終端部左右間に左右第2従動プーリ53,53を軸着した第2整列従動シャフト54を回転自在に装着する。さらに、該左右第2従動プーリ53,53と左右第2駆動プーリ49,49とに横断面形状凹型で且つ前記左右第1整列搬送ベルト47,47よりも左右幅の細い左右第2整列搬送ベルト55,55を無端状に巻き掛けて左右第2整列搬送コンベア56,56を構成する。そして、該左右第2整列搬送コンベア56,56の第2整列駆動シャフト51と前記左右第1整列コンベア48,48の左右第1整列従動シャフト46との左右両側端部を左右連結プレート57,57で連結し、第2整列駆動シャフト51を回動支点P(図5、図6)として左右第1整列コンベア48,48を搬送始端側で機体上下方向に回動する構成とすることによって、左右整列搬送装置58,58が構成される。
【0039】
なお、図6に示すように左右第2整列搬送ベルト55,55は、左右第2外側整列搬送ベルト55o,55o、左右第2内側整列搬送ベルト55i,55iに分割したものを巻き掛けてもよい。
【0040】
また、前記左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの前端部に左右第2整列搬送コンベア56,56に載ったニンジンの姿勢を搬送方向に沿わせながら整える左右前側矯正ガイド59,59、59,59を取り付けると共に、後端部には左右第2整列搬送コンベア56,56からはみ出したニンジンの姿勢を整えて左右内側開口部33a,33aもしくは左右外側開口部33b,33bにニンジンが落下するのを防止する左右後側矯正ガイド60,60、60,60を取り付ける。そして、左右第1振分板30の後部左右端と左右前側矯正ガイド59,59、59,59との間に、左右内側開口部33a,33a上に突出する左右突出部材61,61を取り付ける。
【0041】
なお、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60は塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると、ニンジンが接触してもニンジンを傷つけないため、ニンジンの商品価値が向上する。また、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60の厚みを1〜2mm程度とすると、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60は接触するニンジンの姿勢をたわみながら整えることができるため、ニンジンの搬送を妨げたり抵抗となって搬送方向上手側に押し返したりすることが防止されるので、ニンジンが左右第2整列搬送コンベア56,56の搬送始端側に詰まることや、先行するニンジンが後続のニンジンに当たって搬送を妨げる事が防止され、整列搬送作業の能率が向上する。
【0042】
さらに、前記整列搬送フレーム28の後端部で且つ左右整列搬送装置58,58の搬送終端部にニンジンを一本ずつ排出する左右整列排出シュータ62,62を下り傾斜姿勢で取り付け、前記左右内側開口部33a,33aの下方に左右内側開口部33a,33aから落下するニンジンを機体外側方向に排出し後述する左右フィードバックシュータ64,64に送る左右リターンシュータ63,63を機体外側方向に下り傾斜姿勢に取り付けると共に、該左右リターンシュータ63,63の外側端部に、左右リターンシュータ63,63及び左右外側開口部33b,33bからニンジンを受けてホッパ4に移動させる左右フィードバックシュータ64,64を搬送方向上手側に向かって下方傾斜させて、且つ着脱自在に取り付けることによって、整列搬送部Cが構成される。
【0043】
なお、左右リターンシュータ63,63及び左右フィードバックシュータ64,64の上面に平坦な塩化ビニル板等を敷設しておくと、ニンジンに加わる落下の衝撃が吸収されるので、ニンジンが傷付くことが防止されて商品価値が向上する。また、平坦な塩化ビニル板等を敷設することにより、ニンジンが左右リターンシュータ63,63や左右フィードバックシュータ64,64を滑り落ちやすくなるので、左右リターンシュータ63,63や左右フィードバックシュータ64,64上で停止したニンジンを人手でホッパ4に戻す作業が省略されるので、作業者の労力が軽減されると共に、整列搬送作業の自動化を計ることができる。
【0044】
上記構成によれば、第1振分板30を搬送方向下手側ほど下方傾斜させると共に、第2振分板31の前端部を第1振分板の後端部よりも上方に位置させたことによって、汲上搬送コンベア17の終端部から排出され、第1振分板30の上面を滑って搬送方向下手側に移動するニンジンを第1振分板30の終端部までに左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一側に送ることができるので、整列搬送作業の自動化を計ることができて作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0045】
また、第2振分板31の前端部に弾性板32を取り付けたことによって、第1振分板30の終端部まで移動したニンジンを傷つけることなく左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一側に移動させることができるので、ニンジンの商品価値が向上し、整列搬送作業の自動化を計ることができて作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0046】
そして、台形状の第2振分板31の中央部の水平面部31aの両側には左右傾斜面31b,31bを設けており、該両傾斜面31b,31bには内側開口部33a,33aを形成すると共に、左右側壁29,29に左右外側開口部33b,33bを形成したことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56に不安定な姿勢のまま載ったニンジンや、複数本同時に載ったニンジンを落下させることができるので、左右の第2整列搬送コンベア56,56から排出されるニンジンを安定した姿勢で且つ1本ずつ排出することができ、排出時にニンジン同士がぶつかって傷付くことが防止されてニンジンの商品価値が向上すると共に、作物整列搬送部の後部にニンジンのサイズや形状に応じて選別作業を行う選別装置を設置する場合、一本ずつニンジンを投入することにより、誤選別を減少させることができる。
【0047】
さらに、左右内側開口部33a,33aの下方に左右リターンシュータ63,63を設け、左右リターンシュータ63,63の外側端部に左右リターンシュータ63,63と左右外側開口部33b,33bから落下するニンジンをホッパ4に移動させる左右フィードバックシュータ64,64を搬送方向上手側ほど下方傾斜させて設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56から落下したニンジンを自動的にホッパ4に戻して自動的に再度搬送することができるので、作業の無人化を計ることができると共に、作業者の労力を軽減することができる。
【0048】
また、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側を機体上下方向に回動できる構成としたことによって、ニンジンの平均的なサイズが小さめである場合や割れ易い品種である場合、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を上昇させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を小さくすることによって、落下の衝撃でニンジンが傷付くことが防止されてニンジンの商品価値が向上する。逆に、ニンジンの平均的なサイズが大きい場合には、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を下降させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を大きくし、空間部を広く確保することによって、汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との間にニンジンが詰まって搬送作業が中断されることが防止されて作業能率が向上すると共に、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部にニンジンを多く乗せることができる。
【0049】
加えて、左右第2整列搬送コンベア56,56の第2整列駆動シャフト51を回動支点Pとしたことによって、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側の上下位置を変更しても搬送終端側の上下位置は殆ど変化しないので、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側の上下位置に係らず左右第1整列搬送コンベア48,48から左右第2整列搬送コンベア56,56にニンジンを円滑に引き継ぐことができるので、作業能率が向上する。
【0050】
そして、左右第2整列搬送ベルト55,55の幅を左右第1整列搬送ベルト47,47の幅よりも狭くしたことによって、左右第1整列搬送ベルト47,47に複数本乗っていたニンジンを引継の際に左右内側開口部33a,33aもしくは左右外側開口部33b,33bに落下させることができるので、ニンジンを確実に一本ずつ整列させながら搬送することができる。
【0051】
さらに、左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの前端部に左右前側矯正ガイド59,59を設けたことによって、左右第1整列搬送コンベア48,48から左右第2整列搬送コンベア56,56に引き継がれるニンジンの搬送姿勢が乱れていても、左右前側矯正ガイド59,59が搬送姿勢を整えるので、引継の際に全てのニンジンが落下して整列搬送され終わったニンジンと整列搬送中のニンジンとの間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。また、左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの後端部に左右後側矯正ガイド60,60を設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56でニンジンの搬送姿勢が乱れることがあっても、搬送姿勢を正されて排出されるので、排出の前に全てのニンジンが落下して整列搬送され終わったニンジンと整列搬送中のニンジンとの間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0052】
また、左右第1振分板30の後部左右端と左右前側矯正ガイド59,59との間に、左右内側開口部33a,33a上に突出する左右突出部材61,61を取り付けたことによって、第1振分板30の終端部近傍から左右第2整列搬送コンベア56,56に移動するニンジンが第1振分板30の終端部と左右前側矯正ガイド59,59との間の空間部に入り込んでしまうことが防止されるので、整列搬送作業が中断されること無く作業能率が向上すると共に、ニンジンが空間部に入り込んだ際に傷付くことが防止されて、ニンジンの商品価値が向上する。
【0053】
そして、左右内側開口部33a,33aの後端部から第2振分部材31の終端部に亘って、左右側壁75,75を左右第2整列搬送コンベア56,56の機体内側端部方向に屈曲させたことによって、左右側壁75,75の端部が左右第2整列搬送コンベア56,56の搬送終端部を移送されるニンジンの姿勢を安定させるので、排出時のニンジンの姿勢の乱れを防止できる。
【0054】
なお、図示していないが、整列搬送部Cは汲上搬送部Bに対して同じ搬送方向に配置するだけでなく、汲上搬送部Bの搬送方向に対して直角姿勢に配置することもできるが、その際には汲上搬送コンベア17と、汲上搬送コンベア17に対して離間する側の整列搬送部58との間に引継シュータを取り付けて、左右整列搬送装置58,58いずれにもニンジンが投入されるようにすると、作業能率を落とすことなく、作物整列装置の汲上搬送部Bと整列搬送部Cとのレイアウトを自在に変更することができ、作業場所のスペースに応じた配置が可能となる。
【0055】
なお、該引継シュータの傾斜角度が緩く、ニンジンの移動が滞る場合は、貯留部Aの油圧ジャッキ2を上げて汲上搬送部Bの上下高さを変更して傾斜角度を急勾配とすればよい。
また、ニンジンの数が少ないなど、作業条件によっては汲上搬送コンベア17近傍の整列搬送装置58だけで整列搬送を行ってもよい。
【0056】
図7に整列搬送装置の右上方からの斜視図を示し、図8に整列搬送装置の左上方からの斜視図を示し、図9に汲上搬送装置Bの一部左側面拡大図を示す。
汲上搬送装置Bの搬送終端側(上側)にニンジンNを上方から押圧する押圧部材71を配置する。
汲上搬送装置Bの搬送終端部はニンジンNが次の左右整列搬送装置Cの一対の整列搬送コンベア48,48に向けて搬送方向を変更させられる部分であり、ニンジンNが搬送方向を変更させられるときに落下し易い。そこで、汲上搬送装置Bの搬送終端部の左右汲上フレーム7,7間にニンジンNの上方から搬送の妨げに成らない程度の押圧力で押圧する押圧部材71を配置する。押圧部材71は下方が開閉自在となるように上端部側にトルクスプリング(図示せず)を取り付けている。
【0057】
押圧部材71は薄いプラスチック板(例えば、厚さ0.5ミリのPET板など)で構成することでニンジンンNの落下を防ぐと同時に、ニンジンンNに押されても、たわむのでニンジンンNを傷つけない。また、汲上搬送装置Bの搬送終端部に順次汲上げられるニンジンNを搬送方向上流側から軽く押さえることができるように押圧部材71を取り付けることでニンジンNを安定して押圧することができる。さらに押圧部材71はニンジンンNの詰まりや引っ掛かりを防止するために前上がり姿勢(搬送上流側が浮いている姿勢)とする。
【0058】
汲上搬送装置Bの搬送終端側にニンジンNを上部から押圧する押圧部材71を設けたことにより、汲上搬送装置Bの搬送終端近傍まで汲み上げ搬送されたニンジンNが落下することを防止でき、落下の衝撃でニンジンNが傷付くことが無くなり、ニンジンNの商品価値が損なわれることなく、またニンジンNが貯留ホッパ4や受け部74から再び汲上搬送されることがなく、作業能率が従来より向上する。
【0059】
さらに押圧部材71の下方の汲上搬送装置Bの上方にはニンジンNが汲上搬送装置Bから落下することを防止する落下防止用のひも体72,73を設ける。該ひも体72,73はゴム製など伸縮性の素材から作製することが望ましく、また上下2段配置することでニンジンNの落下防止機能がより高まる。
【0060】
そして、落下防止用のひも体72,73を2本設けたことにより、汲上搬送中のニンジンNが汲上搬送装置Bから浮き上がることと落下の衝撃でニンジンNが傷付くことを防止でき、ニンジンNの商品価値を損なうことなく、またニンジンNが搬送される距離を短くでき、搬送作業能率が従来より向上する。
【0061】
落下防止用の2つのひも体72,73のうち下側の第2ひも体73は上側の第1ひも体72より搬送平面に対して垂直方向の高さが高い位置(例えば20mm高い位置)に配置することにより、第1ひも体72の上を乗り越えて落下するニンジンNを第2ひも体73で受け止めて、汲上搬送装置Bの上に戻すことができる。また、第1ひも体72と第2ひも体73との間隔は、ニンジンNの1本分の長さに相当する約100〜200mmとしてニンジンNが2つのひも体72,73の間を通過できるような間隔とする。
【0062】
第2ひも体73の下方には受け部74が配置されており、第2ひも体73を乗り越えて落下するニンジンNを受け部74で受けることができる。受け部74の上面には塩化ビニール樹脂、ゴムなどの軟質性の板材からなる緩衝部材76を設ける。この緩衝部材76に落下してくるニンジンNが受け止められると、緩衝部材76が折れ込むことで落下の衝撃を緩和して、ニンジンNが傷つくことが防止できる。また、緩衝部材76に複数箇所の切り込みを入れておくと、折れ曲がり易く、落下したニンジンNが緩衝部材76の上の載ったままになることがない。
【0063】
また、緩衝部材76の汲上搬送装置Bの搬送平面に対して鉛直方向の高さは第2ひも体73の高さよりも高くすることで落下してくるニンジンNを確実に受け止めることができ、ニンジンNの損傷防止と落下移動距離の短縮効果がある。
【0064】
受け部74の下側には受け部74の内部空間を開閉自在とする塩化ビニール樹脂、ゴムなどの軟質性の板材からなる緩衝板77を取付ることが望ましい。この緩衝板77により受け部74と搬送ローラ15の間を落下したニンジンNが移動し易くなり、作業能率がより向上する。
【0065】
緩衝板77は汲上搬送装置Bの搬送ローラ15の搬送速度に連動して揺動する構成とする。汲上搬送装置Bの駆動に連動して受け部74の緩衝板77を揺動させる揺動装置Yを設ける。これにより、汲上搬送装置Bの駆動に連動して受け部74の緩衝板77を揺動させることができる。
【0066】
上記揺動装置Yは図9に示すように駆動装置(モータ)79の駆動軸79aにカムローラ81を設け、このカムローラ81にクランクロッド82の基部を設け、クランクロッド82の端部に先端ローラ84を設けて構成する。また左右どちらかの汲上フレーム7にリンクカム85の基部を取り付け、その端部をクランクロッド82に取り付けておき、クランクロッド82の回転移動とともに、リンクカム85の端部側が回転する。すなわち、クランクロッド82は基部側にカムローラ81を取り付け、先端部側に先端ローラ84を取り付け、カムローラ81と先端ローラ84との間にリンクカム85の端部側を取り付けた状態とすることにより、クランクロッド82はモータ79によって周回する。この先端ローラ84がスプリング86で付勢された緩衝板77を受け部74の内面に定期的に接触させる構成である。
【0067】
前記揺動装置Yを設けたことにより、縦向きに落下してきたニンジンNを緩衝板77で受ける際に横方向に倒して姿勢変更でき、ニンジンNが汲上搬送装置Bから落下しにくくなり、作業能率が従来より向上する。
なおニンジンンNが横向きで搬送されると、汲上搬送装置Bの搬送ローラ15の前後間にニンジンNが位置するので、落下しかけても搬送ローラ15が受けるため、落ちにくくなる。
【0068】
このように汲上搬送装置Bの搬送始端側に落下してきたニンジンNを受ける受け部74などを設けることにより、ニンジンNをホッパ4に落下する前に受けることができ、落下の衝撃でニンジンNが傷付くことを防止でき、ニンジンNの商品価値が損なわれることなく、またニンジンNが搬送される距離を短くでき、搬送作業能率が従来より向上する。
【0069】
受け部74の搬送始端側端部の一方の側壁に設けた板材90aの内側面に、汲上搬送装置Bの搬送始端部でニンジンNの滞留を検出する検知部材(光電センサ)90を設ける。汲上搬送装置Bの搬送始端部の他方の側壁に設けた光受板90bが該検知部材90の信号を受けてニンジンンNの投入コンベアSを所定時間(基本1秒、0〜7秒に0.5秒単位で設定可能)停止させる制御装置(図示せず)を設けておく。
【0070】
検知部材(光電センサ)90は落下するニンジンンNの影響を受けないようにセンサ90の上側に保護部材91を配置する。また、板材90aに設けた長穴90cに検知部材(光電センサ)90のコード90dを通すことにより、検知部材(光電センサ)90は汲上搬送装置Bの斜面に対して長穴90cに沿って垂直方向に上下位置変更可能な構成として取付けておき、収穫季節の差異で大きさの異なるニンジンンNでも検知することができようにしておく。
また検知部材(光電センサ)90と検知部材(光電センサ)用のコード90dとコンセント(図示せず)を一体化しておくと、異なるニンジン整列装置にも適用することができる。
【0071】
検知部材90がニンジンンNを検知しない場合は汲上搬送装置Bは作動しないようにしておき、エネルギーの浪費を抑える。また検知部材90がニンジンンNを検知しはじめても、それから一定時間(〜7秒)が経過しないと汲上搬送装置Bが作動しないようにする。また、汲上搬送装置Bの停止時間はニンジンNの滞留の程度に応じて可変とする。
【0072】
受け部74の搬送始端側端部に検出部材90を設けたことによって、ニンジンNが投入コンベアS(図1)から過剰に供給され、汲上搬送装置Bの搬送始端側にニンジンNが滞留すると、この検出部材90がニンジンNの滞留を検知して信号を制御装置に送り、この制御装置が設定した時間の間、投入コンベアSを止めるので、ニンジンNが汲上搬送装置Bの搬送始端側に滞留して汲上搬送されなくなることを防止でき、作業能率が従来より向上する。
【0073】
なお、光電センサ90と電源装置(コンセントタップ)(図示せず)を一体のユニットとして形成することにより、投入装置Sがメーカーの異なるものであっても、投入装置のコンセントを電源装置に差し込めば作動するので、専用の投入装置Sを既に持っていれば新たに投入装置Sを導入することなく滞留防止のための停止・作動切替機構を使用することができる。
【0074】
図10には他の実施例の整列搬送装置の右上からの斜視図(図10(a))と左上からの斜視図(図10(b))を示す。前記受け部74のほかに受け部74の搬送方向後流側であって押圧部材71の直下に第2の受け部92を設けても良い。
この第2の受け部92により、ニンジンNが押圧部材71の付近から落下した時に損傷するのを防止し、他のニンジンNに当たって共に落下するのを防止することができる。
また、押圧部材71は上下スライド可能としておくことで、押圧部材71により第2の受け部92の上端部まで覆うことができる。
【0075】
さらに、前記受け部74と第2の受け部92の間にはニンジンNが飛び出さないようにカバー93を設けてもよい。該カバー93が透明で、柔軟性がある素材で形成されていると、ニンジンNの搬送具合が目視でき、ひも部材72,73に接触して落下するニンジンNがカバー内面にぶつかっても損傷しない構成としているので、ニンジンの商品価値が向上する。
前記カバー93は着脱自在、又は開閉自在とすることでメンテナンス性が保たれる。
【0076】
図11には、貯留ホッパ4の底部床体96の平面図(図11(a))と側面図(図11(b)、図11(c))を示す。
複数の板97をヒンジ98で連結した構成にして縦断面で折れ曲がり状に配置しておき、かつこの折れ曲がり状の底部床体96を図11(b)に示すようなカム99により揺動自在とする。折れ曲がり状にした底部床体96の下方でカム体99が折れ曲がり状の板97に触れると、図11(c)に示すように下側に折れ曲がっていた底部床体96の板97が上側に折れ曲がり、上側に折れ曲がっていた板97が下側に折れ曲がる。
こうして底部床体96が貯留ホッパ4から汲上げ搬送装置Bに確実にニンジンNを搬送できるようになる。
【0077】
図7,図8に示すように一対のフィードバックシュータ64,64の入口側に配置した赤外線センサ67,67によりニンジンNの戻り量が一定量(たとえば3本/秒)以上検出されるようになると、汲上げ搬送装置Bの搬送速度は速すぎると判断して、その搬送速度を遅くする。この搬送速度の調整は、例えば一定速度(0.005m/秒)ずつ多段的にインバータで減速させることが望ましい。これは急に搬送速度を減速すると搬送中のニンジンNにブレーキが掛かり落下するおそれがあるからである。その後、フィードバックシュータ64の入口側におけるニンジンNの検知量が一定量(たとえば3本/秒)未満に戻ると汲上げ搬送装置Bの搬送速度は通常速度に戻す。
【0078】
またフィードバックシュータ64の出口側(貯留ホッパ4側)の移動終端部側(機体前側)に貯留部Aの上端部と同じ高さまたは貯留部Aの上端部よりも上下方向に長い側板64aを設けておくことで、フィードバックシュータ64(戻し部材)を移動したニンジンNが貯留部Aに引き継がれる際、移動時の勢いで機外に飛び出すことを防止でき、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値を損なうこと無く、落下したニンジンNを拾う作業を省略でき、作業能率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の整列装置によれば、根菜などの作物の搬送に限らず、他の作物の搬送等にも利用できる。
【符号の説明】
【0080】
A 貯留部 B 汲上搬送装置
C 整列搬送装置 D 左右選別装置
S 投入コンベア N ニンジン
Y 揺動装置 1 メインフレーム
2 油圧ジャッキ 3 支持フレーム
4 ホッパ 4a,4b 傾斜板
5 ハンドル 6 左右フレーム
7,7 左右汲上フレーム
8 駆動シャフト
9,9 左右駆動スプロケット
10 中間シャフト
11 左右テンションスプロケット
12 従動シャフト
13,13 従動スプロケット
14,14 左右伝動チェーン
15 搬送ローラ 16 引継シュータ
17 汲上搬送コンベア 18 支持台
19 スライド板 20 駆動モータ
21 汲上伝動ケース 22 出力スプロケット
23 入力スプロケット 24 伝動チェーン
25 従動プーリ 26 駆動プーリ
27 伝動ベルト 26 第1整列駆動シャフト
28 整列搬送フレーム 29 側板
30 第1振分板 31 第2振分板
32 弾性板 33a 内側開口部
33b 外側開口部 35 第1整列駆動シャフト
36 第1駆動プーリ 37 入力軸
38 整列入力スプロケット
39 整列伝動チェーン 40 整列伝動ケース
41 出力プーリ 42 入力プーリ
43 伝動ベルト 44 第1従動プーリ
45 伝動スプロケット 46 第1整列従動シャフト
47 第1整列搬送ベルト
48 第1整列搬送コンベア
49 第2駆動プーリ 50 整列出力スプロケット
51 第2整列駆動シャフト
52 整列伝動チェーン 53 第2従動プーリ
54 第2整列従動シャフト
55 第2整列搬送ベルト
56 第2整列搬送コンベア
57 連結プレート 58 整列搬送装置
59 前側矯正ガイド 60 後側矯正ガイド
61 突出部材 62 左右整列排出シュータ
63 リターンシュータ 64 フィードバックシュータ
64a 長い側板 65 引継シュータ
67 赤外線センサ 71 押圧部材
72 第1ひも体 73 第2ひも体
74 受け部 75 側壁
76 緩衝部材 77 緩衝板
79 駆動装置(モータ)
79a 駆動軸 81 カムローラ
82 クランクロッド 84 先端ローラ
85 リンクカム 86 スプリング
88 フレーム 90 検知部材(光電センサ)
90a 板材 90b 光受板
90c 長穴 90d コード
91 保護部材 92 第2の受け部
93 カバー 96 底部床体
97 板 98 ヒンジ
99 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を貯留する貯留部(A)と、
作物を貯留部(A)に投入する投入装置(S)と、
貯留部(A)の作物を搬送方向下手側に汲上搬送する汲上搬送装置(B)と、
汲上搬送装置(B)から排出される作物を受けて整列させながら搬送する整列搬送装置(C)と、
整列搬送装置(C)から落下した作物を貯留部(A)に移動させる戻し部材(64)とを設けた整列装置において、
前記汲上搬送装置(B)の搬送始端側に汲上搬送装置(B)から落下する作物を受けて汲上搬送装置(B)に戻す受け部(74)と、
汲上搬送装置(B)の搬送終端側に作物を上方から押圧する押圧部材(71)と
該受け部(74)と押圧部材(71)との間に作物が汲上搬送装置(B)から落下することを防止する落下防止部材(72,73)
を設けたことを特徴とする整列装置。
【請求項2】
前記受け部(74)の搬送始端側端部に汲上搬送装置(B)の搬送始端部で作物の滞留を検出する検知部材(90)を設け、
該検知部材(90)の信号を受けて投入装置(S)を所定時間停止させる制御装置
を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置。
【請求項3】
前記汲上搬送装置(B)の駆動に連動して受け部(74)の緩衝板(77)を揺動させる揺動装置(Y)
を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置。
【請求項4】
前記戻し部材(64)の移動終端部側に貯留部(A)の上端部と同じ高さまたは貯留部(A)の上端部よりも上下方向に長い側板(64a)
を設けたことを特徴とする請求項1記載の整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−26089(P2011−26089A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175620(P2009−175620)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】