説明

新規なアクリル酸エステル誘導体およびその製造方法

【課題】酸に対する反応性および熱安定性に優れ、かつ、現像時の膨潤が小さいフォトレジスト組成物を構成する高分子化合物およびその材料として有用である、新規なアクリル酸エステル誘導体とその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


(式中、Rは水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。Wは直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。AおよびBは酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。mは0または1を表す。)で示されるアクリル酸エステル誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアクリル酸エステル誘導体とその製造方法に関する。本発明で得られるアクリル酸エステル誘導体は新規化合物であり、フォトレジスト組成物用高分子化合物の材料として有用である。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子製造に代表される電子デバイス製造分野においては、デバイスの高集積化に対する要求が高まっており、そのため、微細パターン形成のためのフォトリソグラフィー技術が必要とされている。このため、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)等の波長200nm以下の放射線を露光光としたフォトリソグラフィーに対応するフォトレジスト組成物の開発が活発に行われており、酸解離性官能基を有する高分子化合物と、放射線の照射(以下、「露光」という)により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」という)とからなる化学増幅型フォトレジスト組成物が数多く提案されている。この酸解離性官能基を有する高分子化合物は、アルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ易溶性部位の一部を適当な酸解離性官能基で保護した構造が基本となっており、かかる酸解離性官能基の選択は、フォトレジスト組成物としての機能を調整する上で非常に重要となっている。
既存の酸解離性官能基としては、1)アダマンタン構造を有するもの(非特許文献1、特許文献1参照)、2)テトラヒドロピラニル基を有するもの(特許文献2参照)、3)ラクトン環を有する構成単位を含む高分子化合物を成分とするフォトレジスト組成物が知られている(特許文献3参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、電子デバイスのパターンルールのより一層の微細化が求められる状況下、感度、解像度、ドライエッチング耐性等が改善された、ラクトン系保護基を有する構成単位を含む高分子化合物を成分とするフォトレジスト組成物が提案された(特許文献3、特許文献4参照)。しかし、これらのフォトレジスト組成物は未だ十分な性能を持っているとは言いがたいのが現状である。最大の課題となっているのは、ラインウイドゥスラフネス(LWR)と呼ばれる、形成されたパターンの線幅変動であって、その許容値の線幅の8%未満であることが求められている(非特許文献2)。LWR改善のためには、膨潤によるパターン変形を抑制することが必要である。膨潤によるパターン変形を抑制するためには、レジスト組成物成分である高分子化合物が、膨潤しにくいものであることが必要である。だが、従来知られている重合性化合物の組み合わせで調整された高分子化合物では必ずしも満足できるレベルの性能のものは得られていない。このため、より膨潤し難いフォトレジスト用高分子化合物の開発が依然として切望されている。
また、酸解離性反応基は、酸に対する高反応性および、ベーキング工程に分解しない安定性を両立することが要求され、熱安定性は130℃以上であることが求められている(非特許文献)。しかし、先にあげたテトラヒドロピラニル基は、酸解離性としての反応性が高い利点を持つものの、熱安定性に欠けており、レジストとしての基本性能において満足するものではなかった。
【特許文献1】特開平9−73173号公報
【特許文献2】特開平5−88367号公報
【特許文献3】特開2004−46206
【特許文献4】:特開平11−223950号公報
【特許文献5】:特開平2000−267287号公報
【非特許文献1】Journal of Photopolymer Science and Technology(ジャーナル オブ フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー),Vol.9,No,3,475−487(1996)
【非特許文献2】:ITRS2006年版リソグラフィーの部7頁
【非特許文献3】:ITRS2006年版リソグラフィーの部8頁
【0004】
しかして、本発明の目的は、酸に対する反応性および熱安定性に優れ、かつ、現像時の膨潤が小さいフォトレジスト組成物を構成する高分子化合物およびその材料として有用である、新規なアクリル酸エステル誘導体とその効率的な製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、種々のフォトレジスト用高分子化合物の特性と、フォトレジスト組成物の現像時の膨潤性との関係について鋭意検討を行った結果、1)露光部分の現像液への溶解速度の高いフォトレジスト組成物用高分子化合物を用いると、膨潤が抑制できること、2)露光部分の現像液への溶解速度の高い特定の繰り返し構造を持つ高分子化合物の原料として有用な特定の酸解離性官能基を有する化合物を見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
1.下記一般式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基を表す。R12は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。Wは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。mは0または1を表す。)
で示されるアクリル酸エステル誘導体(以下、アクリル酸エステル誘導体(1)と称す。);
2.Wがメチレン基または1,1−エタンジイル基であるアクリル酸エステル誘導体(1);
3.nが0であるアクリル酸エステル誘導体(1);
4.R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子であるアクリル酸エステル誘導体(1);
5.R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子であり、Wがメチレン基または1,1−エタンジイル基であるアクリル酸エステル誘導体(1);
6.R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子であり、mが0であるアクリル酸エステル誘導体(1);
7.下記一般式(2)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示されるケトン化合物(以下、ケトン化合物(2)と称す。)にアルキル化剤を反応することで、下記一般式(3)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示される第3級アルコール(以下、第3級アルコール(3)と称す。)を得、次いで第3級アルコール(3)と重合性導入剤と反応する、または、第3級アルコール(3)と連結基導入剤を反応した後に重合性導入剤と反応することを特徴とするアクリル酸エステル誘導体(1)の製造方法;
8.下記一般式(4)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R、R、R、RおよびRは前記定義の通り。Xは塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表す。)
で示されるエピハロヒドリン誘導体(以下、エピハロヒドリン誘導体(4)と称す。)と下記一般式(5)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示されるアルキレン誘導体(以下、アルキレン誘導体(5)と称す。)を反応させることで下記一般式(6)
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示されるエポキシ誘導体(以下、エポキシ誘導体(6)と称す。)を得、次いで、エポキシ誘導体(6)を環化させることで第3級アルコール(3)を得、さらに第3級アルコール(3)と重合性導入剤と反応する、または、第3級アルコール(3)と連結基導入剤を反応した後に重合性導入剤と反応することを特徴とするアクリル酸エステル誘導体(1)の製造方法;
9.ケトン化合物(2)にアルキル化剤を反応することを特徴とする、第3級アルコール(3)の製造方法;
10.エピハロヒドリン誘導体(4)とアルキレン誘導体(5)を反応させることで、エポキシ誘導体(6)を得、次いでエポキシ誘導体(6)を環化することを特徴とする第3級アルコール(3)の製造方法;
11.第3級アルコール(3);
12.R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子である第3級アルコール(3);
13.アクリル酸エステル誘導体(1)を少なくとも原料の1つとして重合することにより得られる高分子化合物(以下、高分子化合物(7)と称する。);
を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現像時の膨潤が小さいLWRが改善されたフォトレジスト組成物を構成する高分子化合物の材料および、その原料となる新規なアクリル酸エステル誘導体とその効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が表す、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0021】
式中、RとR11が一緒になって表す炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1−エタンジイル基、1,2−エタンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基等が挙げられる。RとR11が一緒になってアルキレンを表す場合、該アルキレン基はその結合している炭素原子と共に環構造を形成する。該環構造としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環などが挙げられる。
【0022】
Wが表す炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,1−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等が挙げられる。これらの内、メチレン基およびエタン−1,1−ジイル基が好ましい。
【0023】
[アクリル酸エステル(1)]
アクリル酸エステル誘導体(1)の具体例として、下記式(1−a)〜(1−av)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
アクリル酸エステル誘導体(1)は、第3級アルコール(3)と重合性基導入剤を反応する、または、第3級アルコール(3)と連結基導入剤を反応した後に重合性基導入剤と反応することにより製造することができる(以下、これらを第2工程と称する。)。
第3級アルコール(3)は
ルート1)ケトン化合物(2)にアルキル化剤を反応する(以下、第1工程と称する。);または、
ルート2)エピハロヒドリン誘導体(4)とアルキレン誘導体(5)を反応する(以下、第1’−1工程と称する。)ことで、エポキシ誘導体(6)を得、次いでエポキシ誘導体(6)を環化する(以下、第1’−2工程と称する。また、第1’−1工程と第1’−2工程をあわせて第1’工程と称する。)ことにより製造することができる。
【0027】
【化9】

【0028】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、A、B、W、nおよびmは前記定義の通り。)
【0029】
以下、各工程について説明する。
【0030】
[第1工程]
第1工程で使用するケトン化合物(2)の製法に特に制限はなく、例えばジクロロアセトンとエタンジチオールのナトリウム塩を縮合させることで製造することができる(非特許文献4参照)。市販品を使用することも可能である。
【非特許文献4】:Journal of the American Chemical Society(ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティ),No.82,158−164(1960)
【0031】
第1工程は、ケトン化合物(2)とアルキル化剤を反応することにより行う。
第1工程で使用するアルキル化剤としては、有機化学合成において、ケトンから第3級アルコールを製造する際に一般的に用いられるアルキル化剤を使用することができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの有機リチウム化合物;メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイドなどの有機マグネシウム化合物;有機セリウム化合物;有機チタン化合物;有機亜鉛化合物;を挙げることができ、特にこれらに限定されず、導入したいアルキル基の種類に応じた各種化合物が適宜用いられる。アルキル化剤の使用量は、ケトン化合物(2)に対して、0.8モル〜5モルの範囲が好ましいが、副生成物生成の観点から、1.0〜2モルの範囲がより好ましい。
【0032】
第1工程の反応は、溶媒の存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限りどのような溶媒でも構わないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;トルエン、ヘキサンなどの炭化水素;などが挙げられ、これら1種類、若しくは、2種類以上の混合溶媒の中で行われる。
【0033】
第1工程の反応温度は使用する溶媒、ケトン化合物(2)、アルキル化剤等によっても異なるが、通常−20℃から用いる溶媒の還流温度の範囲内である。
【0034】
第1工程の反応時間は使用する溶媒、ケトン化合物(2)によっても異なるが、通常は0.5時間〜48時間の範囲が好ましく、1時間〜24時間の範囲がより好ましい。
【0035】
第1工程の反応は、通常、中和処理をすることで第3級アルコール(3)を取得することができる。必要があれば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの有機化合物を単離する際に用いられる操作により単離可能である。
【0036】
このようにして得られる第3級アルコール(3)は新規化合物である。
【0037】
[第1’工程]
次に第1’工程について説明する。
【0038】
第1’−1工程で使用する、エピハロヒドリン誘導体(4)の製法に特に制限はなく、例えば、アリルクロライド化合物を過酸化水素で酸化することで製造できる(特許文献6参照)。市販品をそのまま使用することもできる。
【特許文献6】特開2005−154340
【0039】
第1’−1工程で使用する、アルキレン誘導体(5)の製法に特に制限はなく、例えば、アルキレン誘導体(5)の一例である2−メルカプトエタノールは、エチレンオキサイドと硫化水素を反応することで得られる(特許文献7参照)。市販品をそのまま使用することもできる。
【特許文献7】特開2008−013453
【0040】
第1’−1工程は、塩基の存在下、アルキレン誘導体(5)とエピハロヒドリン誘導体(4)とを反応することにより行う。
【0041】
第1’−1工程で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンなどを挙げることができ、これらの塩基1種を単独で、あるいは、2種以上の塩基を混合して使用することができる。塩基の使用量は、アルキレン誘導体(5)に対して、0.5モル〜10モルの範囲が好ましいが、副生成物の観点から、0.7モル〜1.5モルの範囲がより好ましい。
【0042】
第1’−1工程は溶媒の存在下、または非存在下に実施できる。溶媒としては、反応に阻害しなければ特に制限はなく、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンズニトリルなどのニトリルが好適である。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。溶媒を使用する場合の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルキレン誘導体(5)に対して0.1質量倍〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1質量倍〜5質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0043】
第1’−1工程の反応温度は、使用する溶媒、エピハロヒドリン誘導体(4)、アルキレン誘導体(5)、塩基性物質の種類により異なるが、−20℃から用いる溶媒の還流温度の範囲内である。
【0044】
第1’−1工程の反応時間は使用する溶媒、エピハロヒドリン誘導体(4)、アルキレン誘導体(5)、塩基の種類によっても異なるが、通常は0.5時間〜48時間の範囲が好ましく、1時間〜24時間の範囲がより好ましい。
【0045】
次に第1’−2工程について説明する。
【0046】
第1’−2工程は、塩基の存在下、エポキシ誘導体(6)を環化反応することで行う。
【0047】
第1’−2工程で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンなどを挙げることができ、これらの塩基1種を単独で、あるいは、2種以上の塩基を混合して使用することができる。塩基の使用量は、エポキシ誘導体(6)に対して、0.5モル〜10モルの範囲が好ましいが、副生成物の観点から、0.7モル〜1.5モルの範囲がより好ましい。
【0048】
第1’−2工程は溶媒の存在下、または非存在下に実施できる。溶媒としては、反応に阻害しなければ特に制限はなく、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンズニトリルなどのニトリルが好適である。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。溶媒を使用する場合の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.1質量倍〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1質量倍〜5質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0049】
第1’−2工程の反応温度は、使用する溶媒、エポキシ誘導体(6)、塩基の種類により異なるが、−20℃から用いる溶媒の還流温度の範囲内である。
【0050】
[第2工程]
次に第2工程について説明する。
【0051】
アクリル酸エステル誘導体(1)のmが0の場合は、第3級アルコール(3)と式CH=CHR12COX(式中R12は前記のとおりである。)、式(CH=CHR12CO)O(式中R12は前記のとおりである。)、式CH=CHR12COOC(=O)R13(式中R12は前記の通りであり、R13は、t−ブチル基または2,4,6−トリクロロフェニル基を表す。)、または式CH=CHR12COOSO14(式中R12は前記の通りであり、R14はメチル基またはp−トリル基を表す。)で示される化合物(以下これらの化合物を重合性基導入剤Aと称する)を塩基性物質の存在下反応すること(以下、第2工程−Aと称する)により行う。アクリル酸エステル誘導体(1)のmが1の場合は、第3級アルコール(3)と式X−W−COX(式中Wは前記の通りであり、Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。)、式(X−W−CO)O(式中、X、Wは前記定義の通りである。)、式X−W−COOC(=O)R14(式中、X、Wは前記定義の通りであり、R15は、t−ブチル基または2,4,6−トリクロロフェニル基を表す。)、または式X−W−COOSO16(式中、X、Wは前記定義の通りであり、R16は、メチル基またはp−トリル基を表す。)で示される化合物(以下、これらの化合物を連結基導入剤B1と称する)を塩基性物質の存在下反応させ(以下、第2工程−B−1と称する。)、次いで式CH=CHR12COOM(式中、R12は前記定義の通りであり、Mはナトリウム原子またはカリウム原子を表す。)で示される化合物(以下、これらの化合物を重合性基導入剤B2と称する)と反応すること(以下、第2工程−B−2と称する。また、第2工程−B−1と第2工程−B−2をあわせて第2工程−Bと称する。)により行う。以下、第2工程−Aおよび第2工程−Bを順に説明する。
【0052】
第2工程−Aにより製造するm=0のアクリル酸エステル誘導体(1)の具体例としては、例えば(1−a)〜(1−ad)が挙げられる。
【0053】
第2工程−Aで使用する重合性基導入剤Aの内、式CH=CHR12COXで示される化合物としては、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドなどが挙げられ、式(CH=CHR12CO)Oで示される化合物としては、無水アクリル酸、無水メタクリル酸などが挙げられ、式CH=CHR12COOC(=O)R13で示される化合物としては、アクリル酸ピバリン酸無水物、アクリル酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物、メタクリル酸ピバリン酸無水物、メタクリル酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物などが挙げられ、式CH=CHR12COOSO14で示される化合物としては、アクリル酸メタンスルホン酸無水物、アクリル酸p−トルエンスルホン酸無水物、メタクリル酸メタンスルホン酸無水物、メタクリル酸p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。重合性基導入剤Aの使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.8倍モル〜7倍モルの範囲であることが好ましく、0.8倍モル〜5倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0054】
第2工程−Aで使用する塩基性物質としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。塩基性物質の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.8倍モル〜20倍モルの範囲であることが好ましく、0.8倍モル〜10倍モルの範囲であることがさらに好ましい。
【0055】
第2工程−Aは、溶媒の存在下または非存在下に実施できる。使用する溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンズニトリルなどのニトリルが好適である。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。溶媒を使用する場合の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.1質量倍〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1質量倍〜5質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0056】
第2工程−Aの反応温度は、使用する重合性基導入剤A、第3級アルコール(3)、塩基性物質の種類により異なるが、概ね、−50℃〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0057】
第2工程−Aの反応は、水またはアルコールの添加により、停止することができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびi−プロパノールなどが挙げられる。なお、水およびアルコールの混合物を使用することも可能である。水またはアルコールの使用量は、過剰の重合性基導入剤Aに対して1倍モル以上の量を用いれば良い。使用量が少ないと過剰の重合性基導入剤Aを完全に分解できず、副生成物を生じる場合がある。
【0058】
次に第2工程−Bについて説明する。第2工程−Bにより製造するm=1のアクリル酸エステル誘導体(1)の具体例としては、例えば、(1‐ae)〜(1−av)が挙げられる。
【0059】
第2工程−B−1で使用する連結基導入剤B1のうち、式X−W−COXで示される化合物としては、クロロ酢酸クロリド、2−クロロプロピオン酸クロリド、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドなどが挙げられ、式X−W−COOC(=O)R15で示される化合物としては、クロロ酢酸ピバリン酸無水物、クロロ酢酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物、2−クロロプロピオン酸ピバリン酸無水物、2−クロロプロピオン酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物などが挙げられ、式X−W−COOSO16で示される化合物としては、クロロ酢酸メタンスルホン酸無水物、クロロ酢酸p−トルエンスルホン酸無水物、2−クロロプロピオン酸メタンスルホン酸無水物、2−クロロプロピオン酸p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられ、式(X−W−CO)Oで示される化合物としては、無水クロロ酢酸、無水2−クロロプロピオン酸などが挙げられる。連結基導入剤B1の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.8倍モル〜7倍モルの範囲であることが好ましく、0.8倍モル〜5倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0060】
第2工程−B−1で使用する塩基性物質としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。塩基性物質の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.8倍モル〜20倍モルの範囲であることが好ましく、0.8倍モル〜10倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0061】
第2工程−B−1は、溶媒の存在下または非存在下で実施できる。使用する溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンズニトリルなどのニトリル等が好適である。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3級アルコール(3)に対して0.1質量倍〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1質量倍〜5質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0062】
第2工程−B−1の反応温度は、使用する連結基導入剤B1、第3級アルコール(3)、塩基性物質の種類により異なるが、概ね、−50℃〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0063】
第2工程−B−1の反応は、水またはアルコールの添加により、停止することができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールなどが挙げられる。なお、水およびアルコールの混合物を使用することも可能である。水またはアルコールの使用量は、過剰の連結基導入剤B1に対して1倍モル以上の量を用いれば良い。使用量が少ないと過剰の連結基導入剤B1を完全に分解できず、副生成物を生じる場合がある。
【0064】
第2工程−B−2で使用する重合性基導入剤B2としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムが挙げられる。重合性基導入剤B2の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3工程−B−1の生成物に対して0.8倍モル〜5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8倍モル〜3倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0065】
第2工程−B−2では、必要に応じてヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどを活性化剤として用いることが好ましい。活性化剤を用いる場合、その使用量は、第3工程−B−1の生成物に対して0.001モル倍〜0.5モル倍の範囲であることが好ましく、後処理の容易さおよび経済性の観点から0.005モル倍〜0.3モル倍の範囲であることがより好ましい。
【0066】
第2工程−B−2は、溶媒の存在下、または非存在下に実施できる。使用する溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、第3工程−B−1の生成物に対して0.1質量倍〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1質量倍〜5質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0067】
第2工程−B−2の反応温度は、使用する重合性基導入剤B2、第2工程−B−1の生成物、塩基性物質の種類により異なるが、概ね、−50℃〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0068】
このように、第2工程−Aまたは第2工程Bで得られたアクリル酸エステル誘導体(1)は、必要に応じて常法により分離精製するのが好ましい。例えば、反応混合物を水洗した後、濃縮し、蒸留、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶などの通常の有機化合物の分離精製に用いられる方法により精製することができる。また、必要に応じて、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤の添加後にろ過またはゼータプラス(商品名:キュノ株式会社製)やプロテゴ(製品名:日本マイクロリス株式会社製)などの金属除去フィルターで処理することにより、得られたアクリル酸エステル誘導体(1)中の金属含有量を低減することも可能である。
【0069】
[高分子化合物(7)]
本発明の高分子化合物(7)は、アクリル酸エステル誘導体(1)を単独で重合してなるもの、またはアクリル酸エステル誘導体(1)と他の重合性化合物とを共重合してなるものであり、アクリル酸エステル誘導体(1)に基づく構成単位を0モル%を超え100モル%、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%含有する。アクリル酸エステル誘導体(1)に基づく構成単位の具体例として下記式(1’−a)から(1’−av)で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【化10】

【0071】
【化11】

【0072】
共重合させる他の重合性化合物(以下、共重合単量体と称す)として下記式(I)から(X)(式中R17、R18、R19、R21、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ独立してCH=CR26CO−(R26は、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す)で示される基を表し、R20は、HまたはCOOR26(R26は、メチル基、エチル基およびn−プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基および2−アダマンチル基などのシクロアルキル基を表す)を表す。)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。共重合単量体は、1種類のみを使用することもでき、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。
【0073】
【化12】

【0074】
高分子化合物(7)の具体例としては、以下の高分子化合物(A−1)〜(A−20)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。(R17、R18、R19、R21、R22、R23、R24およびR25は、前期定義の通り。l、m、nは構成単位モル比を表す。)
【0075】
【化13】

【0076】
【化14】

【0077】
高分子化合物(7)の重量平均分子量(Mw)に特に制限は無いが、以下の測定方法によるMwが500〜50000の範囲、好ましくは1000〜30000の重合体であると、フォトレジスト用重合体組成物の原料として有用である。かかるMwの測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)により、TSK−gel SUPER HZM−H(商品名、東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)2本およびTSK−gel SUPER HZ2000(東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)1本を直列につないだものを使用し、テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度40℃、RI温度40℃、溶離液の流速0.35ml/分、の条件で行い、標準ポリスチレンで作成した検量線による換算値として求める。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除すことにより分散度(Mw/Mn)を求める。
高分子化合物(7)の分散度は、1.0〜2.5の範囲であることが好ましく、1.0〜2.0の範囲であることがより好ましい。
【0078】
前記高分子化合物は、アクリル酸エステル誘導体(1)、重合開始剤、必要に応じて1種類以上の共重合単量体、溶媒および連鎖移動剤を反応器に供給してラジカル重合反応させて得られる。以下、かかる重合反応について説明する。
【0079】
高分子化合物(7)の製造では、単量体のアクリル酸エステル誘導体(1)および共重合単量体を、目的とする高分子化合物中の対応する構成単位モル比に応じて重合させる。即ち、一般的なラジカル重合反応で行われているのと同様に、各単量体の重合速度比と所望とする高分子化合物中の対応する構成単位のモル比を勘案して重合反応に供するアクリル酸エステル誘導体(1)と共重合単量体のモル比を適宜調節することにより、所望の構成単位のモル比を持つ高分子化合物を得ることができる。
【0080】
高分子化合物(7)の製造に使用する重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド化合物;ジ−t−ブチルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド化合物;過酸化ベンゾイルなどのジアシルペルオキシド化合物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物などが挙げられる。これらの中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、重合性化合物の合計モル数に対して、0.5モル%〜20モル%の範囲が好ましく、1〜15モル%の範囲がより好ましい。一般的なラジカル重合反応と同様に、重合開始剤の使用量により、高分子化合物(7)の分子量を調整できる。
【0081】
高分子化合物(7)の製造に際し、必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、ドデカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸およびメルカプトプロピオン酸などのチオール化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、重合性化合物の合計モル数に対して、0.5モル%〜20モル%の範囲が好ましく、1〜15モル%の範囲がより好ましい。
【0082】
高分子化合物(7)の製造は、溶媒中で行うのが好ましい。使用する溶媒としては、重合反応を阻害しなければ特に制限はなく、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテルが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。溶媒の使用量は、経済性および後処理の容易さのの観点から、重合性化合物の合計質量に対して、通常、0.5質量倍〜20質量倍の範囲が好ましく、1質量倍〜10質量倍の範囲であることがより好ましい。
【0083】
高分子化合物(7)の製造において、重合法に特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法など、アクリル系ポリマーを製造する際に用いる公知の方法を使用でき、中でも、溶液重合法を用いることが好ましい。
【0084】
高分子化合物(7)の製造に際しての重合温度は、アクリル酸エステル誘導体(1)および高分子化合物の安定性の観点から、40℃〜150℃の範囲であり、60℃〜120℃の範囲であるのが好ましい。
【0085】
このようにして得られる高分子化合物(7)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、再沈殿などの通常の操作により単離可能である。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、再沈殿などの通常の操作により、分子量や分散度の調整が可能である。更に、必要に応じて、キレート剤処理、金属除去フィルター処理などの操作により、金属含有量を低減することも可能である。
【0086】
上記再沈澱用の溶媒として用いる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタンなどのニトロ化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコールが挙げられる。これらの溶媒は、1つを単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
高分子化合物(7)は、高分子化合物(7)を含有するフォトレジスト組成物(以下、フォトレジスト組成物(8)と称する。)の成分として使用できる。フォトレジスト組成物(8)は、高分子化合物(7)、後述の溶媒、光酸発生剤、並びに必要に応じて塩基性物質および添加物とからなる。
【0088】
フォトレジスト組成物(8)に用いる溶媒としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、高分子化合物に対して、通常、1質量倍〜50質量倍の範囲であり、2質量倍〜25質量倍の範囲であることが好ましい。
【0089】
フォトレジスト組成物(8)に用いる光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用公知の化合物を用いることができる。使用される光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートなどのスルホニウム塩;ジフェニルヨードヘキサフルオロスルフェートなどのヨードニウム塩;ジフェニルジスルホン、ジトリルジスルホンなどのジスルホン;1−メチル−3,5−ビストリクロロメチルトリアジン、1,3,5−トリストリクロロメチルトリアジンなどのトリアジン;ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン;(2’−ニトロフェニル)メチル−p−トルエンスルホネート、(2’,6’−ジニトロフェニル)メチル−p−トルエンスルホネート、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタンなどのスルホン酸エステル;ジアゾナフトキノン;ベンゾイントシレートなどが挙げられる。これらの光酸発生剤は単独で使用することも2種以上を混合して使用することもできる。光酸発生剤の使用量は、放射線照射により生成する酸の強度や前記高分子化合物におけるアクリル酸エステル誘導体(1)の量に応じて選択でき、前記高分子化合物に対して、0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲である。
【0090】
フォトレジスト組成物(8)は、必要によって塩基性物質をさらに含有していても良い。塩基性物質としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(1−アダマンチル)アセトアミド、ベンズアミド、N−アセチルエタノールアミン、1−アセチル−3−メチルピペリジン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、2−ピロリジノン、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、ニコチン、キノリン、アクリジン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ピラゾール、ピロリジン、ピペリジン、テトラゾール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミンが挙げられる。これらの塩基性物質は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。塩基性物質を使用する場合、その使用量は塩基性物質の種類により異なるが、光酸発生剤に対して、概ね0.01モル倍〜10モル倍の範囲で使用され、0.05モル倍〜1モル倍の範囲で使用されることが好ましい。
【0091】
フォトレジスト組成物(8)には、さらに、必要に応じて、界面活性剤、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することもできる。
【0092】
フォトレジスト組成物(8)は、基板に塗布してから70℃〜160℃程度の温度でプリベークし、放射線、特にArFエキシマレーザーを照射した後、70℃〜160℃の温度で30秒以上ポストベークし、次いで水又はアルカリ現像液で処理することにより、パターンを形成することができる。
【0093】
フォトレジスト組成物(8)の露光には、種々の波長の放射線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常g線、i線、XeCl、KrF,KrCl、ArF、ArCl、Fなどのエキシマレーザーが使用される。露光エネルギーは、0.1〜1000mJ/cmの範囲が好ましく、1〜500mJ/cmの範囲がより好ましい。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
なお、重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、検出器として示差屈折率計を用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、標準ポリスチレンで作成した検量線による換算値として求めた。
GPC測定:カラムとして、TSK−gel SUPER HZM−H(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)2本およびTSK−gel SUPER HZ2000(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)1本を直列につないだものを使用し、カラム温度40℃、示差屈折率計温度40℃、溶離液の流速0.1mL/分の条件で測定した。
【0095】
<合成例1>
1,4−ジチアシクロヘプタン‐6−オンの合成
【0096】
【化15】

【0097】
内容量1Lの3つ口フラスコにテトラヒドロフラン260g、トリエチルアミン225g、エタンジジチオール87g投入した。並行して、内容量1Lの3つ口フラスコにテトラヒドロフラン520gとジクロロアセトン140gを投入し攪拌したものを用意した。これら、2つの溶液を内容量2Lの4つ口フラスコへ、室温下、かつ窒素雰囲気下で約4時間かけて攪拌しながら滴下した。その後、さら1時間攪拌し、反応液をろ過した。取得したろ液870gに、トルエン870g、水870gを加え攪拌、有機層と水層に分離した。有機層を減圧蒸留した。105℃/90Paの留分を集め、1,4−ジチアシクロヘプタン‐6−オンを70g得た(純度99%、収率43%)。
【0098】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:3.13(4H,d,J=4.7Hz)、3.69(4H,d,J=5.0Hz)
【0099】
<実施例1>
6−エチルー1,4−ジチアシクロヘプタン−6−オールの合成
【0100】
【化16】

【0101】
内容量2Lの3つ口フラスコにエチルマグネシウムクロライド240ml(2mol/L テトラヒドロフラン溶液)を仕込み、反応液の温度が5℃以下であるように合成例1で得た1,4−ジチアシクロヘプタン‐6−オン70gとテトラヒドロフラン420gを混合したものを1時間かけて滴下した。その後、室温で1時間攪拌を行った。反応混合液に、25%塩化アンモニウム水溶液を500g滴下した後、トルエンを500g投入し、有機層と水層に分離した。この有機層を減圧下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、以下の物性を示す6−エチルー1,4−ジチアシクロヘプタン−6−オールを59g得た(純度99%、収率70%)。
【0102】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:0.96(3H,t,J=7.5Hz)、1.63(2H,q,J=7.5Hz)、2.74(1H,br)、2.95(4H,s)、3.69(4H,s)
【0103】
<実施例2>
6−エチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−ジチアシクロヘプタンの合成
【0104】
【化17】

【0105】
内容量50mlの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、実施例1の方法で得られた6−エチルー1,4−ジチアシクロヘプタン−6−オール2gを仕込んだ。塩化メチレン6g、ジメチルアミノピリジン137mgおよびトリエチルアミン3.3gを仕込んだ。次いで、塩化メタクリロイル2.3gを反応液の内温が35℃以下であるように滴下した。その後、室温で7時間攪拌した。反応混合液にエタノール350mgを滴下し、次いで水30gを投入し、15分攪拌した。この有機層と水層を分離し、有機層を水30gで洗浄した後、減圧下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、以下の物性を示す6−エチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−ジチアシクロヘプタンを1.9g得た(純度99%、収率70%)。なお、オクタノール/水分配係数のlog値であるlogPと溶解性パラメーターであるSPは、計算ソフトCAChe(商品名;富士通株式会社)のハミルトニアンPM5を用いて計算を行った。
【0106】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:0.85(3H,t,J=7.5Hz)、1.91(3H,s)、2.13(2H,q,J=7.5Hz)、2.90−3.02(4H,m)、3.27(2H,d,J=14.7Hz)、3.42(2H,d,J=14.7Hz)、5.53(1H,s)、6.06(1H,s)
logP2.05
SP17.0(J/mol)0.5
【0107】
<実施例3>
2−〔(2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピル)チオ〕エタノールの合成
【0108】
【化18】

【0109】
内容量200mlの4つ口フラスコにピリジン7.4g、水30g、メルカプトエタノール7.3gを投入した。その後、反応液の温度が20℃以下であるようにメチルエピクロロヒドリン10gを滴下した。その後、室温で6時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル50gを投入し、有機層と水層を分離した。この有機層は減圧下に濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、2−〔(2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピル)チオ〕エタノール9.5gを得た(純度99%、収率65%)。
【0110】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:1.36(3H,s)、2.74(1H,d,J=13.7Hz)、2.81(2H,t,J=5.8Hz)、3.59(2H,s)、3.79(2H,t,J=5.8Hz)
【0111】
<実施例4>
6−メチル−1,4−オキサチエパン−6−オールの合成
【0112】
【化19】

【0113】
内容量100mlの4つ口フラスコ中、水酸化ナトリウム2.4gを水24gに溶解した。そこへ、実施例3で得た2−〔(2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピル)チオ〕エタノール9gを滴下した。反応混合液を2時間、加熱還流した。反応終了後、酢酸エチル30gと6規定塩酸水溶液12gと投入し、有機層と水層を分離した。この有機層は減圧下に濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、6−メチル−1,4−オキサチエパン−6−オール3.6gを得た(純度99%、収率40%)。
【0114】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:1.19(3H,s)、2.70(2H,s)、2.74(1H,ddd,J=4.9Hz、7.7Hz、14.8Hz)、2.84(1H,ddd,J=4.9Hz、5.2Hz、14.8Hz)、3.54(1H,br)、3.58(1H,d,J=12.7Hz)、3.68(1H,d,J=12.7Hz)、3.83(1H,ddd,J=4.9Hz、5.2Hz、12.1Hz)、3.95(1H,ddd,J=4.9Hz、7.7Hz、12.1Hz)
【0115】
<実施例5>
6−メチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−オキサチエパンの合成
【0116】
【化20】

【0117】
内容量50mlの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、実施例4の方法で得られた6−メチル−1,4−オキサチエパン−6−オール1.7gを仕込んだ。塩化メチレン5.1g、ジメチルアミノピリジン137mgおよびトリエチルアミン3.3gを仕込んだ。次いで、塩化メタクリロイル2.3gを反応液の内温が35℃以下であるように滴下した。その後、室温で7時間攪拌した。反応混合液にエタノール350mgを滴下し、次いで水25gを投入し、15分攪拌した。この有機層と水層を分離し、有機層を水20gで洗浄した後、減圧下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、以下の物性を示す6−エチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−ジチアシクロヘプタンを1.7g得た(純度99%、収率70%)。
【0118】
H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,ppm)δ:1.55(3H,s)、1.91(3H,s)、2.69(1H,m)、2.83(1H,m)、3.11(1H,d,J=14.8Hz)、3.25(1H,d,J=14.8Hz)、3.81(1H,m)、3.96(1H,d,J=13.2Hz)、4.16(1H,m)、4.22(1H,d,J=13.2Hz)、5.53(1H,s)、6.06(1H,s)
【0119】
[高分子化合物(7)の合成]
【0120】
<実施例6>高分子化合物aの合成
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、6−エチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−ジチアシクロヘプタン3g(12.2mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.9g(12.2mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル42gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.42g(2.6mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、60℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物a3.3gを得た。得られた高分子化合物aのMwは10197、分散度は1.8であった。
【0121】
【化21】

【0122】
<実施例7>高分子化合物bの合成
【0123】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、6−メチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−オキサチエパン2.5g(12.2mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.9g(12.2mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル42gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.42g(2.6mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、60℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物a2.8gを得た。得られた高分子化合物aのMwは10045、分散度は1.9であった。
【0124】
【化22】

【0125】
<実施例8> 高分子化合物cの合成
【0126】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、6−エチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−ジチアシクロヘプタン4.6g(18.7mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.96g(12.5mmol)、α―メタクリロイルオキシ−γ―ブチロラクトン3.18g(18.7mmol)、メチルエチルケトン60.0gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.66g(4.0mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物a6.63gを得た。得られた高分子化合物aのMwは9000、分散度は2.0であった。
【0127】
【化23】

【0128】
<実施例9> 高分子化合物dの合成
【0129】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、6−メチル−6−メタクリロイルオキシ−1,4−オキサチエパン4.04g(18.7mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.96g(12.5mmol)、α―メタクリロイルオキシ−γ―ブチロラクトン3.18g(18.7mmol)、メチルエチルケトン61.0gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.66g(4.0mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物b6.45gを得た。得られた高分子化合物bのMwは8500、分散度は1.95であった。
【0130】
【化24】

【0131】
<合成例2>高分子化合物eの合成
【0132】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積200mlの丸底フラスコに、窒素雰囲気下、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン10.0g(42.3mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン10.0g(42.7mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル80.0gおよび2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.40g(8.53mmol)を仕込み、81〜87℃にて2時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、反応混合液に対して約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物をTHF100.0gに溶解した液を上記と同質量のメタノール中に攪拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取後、上記と同質量のメタノールで洗浄することにより白色沈殿物を得た。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物h13.2gを得た。得られた高分子化合物hのMwは16100、分散度は1.68であった。
【0133】
【化25】

【0134】
<合成例3>高分子化合物fの合成
【0135】
合成例2において、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン10.0g(42.3mmol)の代わりに2−メタクリロイルオキシテトラヒドロピラン7.39g(42.7mmol)を用いた以外は実施例10と同様の仕込み量および条件で重合反応を行った。得られた反応混合液を、室温下、反応混合液に対して約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物をTHF100.0gに溶解した液を上記と同質量のメタノール中に攪拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取後、上記と同質量のメタノールで洗浄することにより白色沈殿物を得た。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物i9.96gを得た。得られた高分子化合物iのMwは13200、分散度は1.71であった。
【0136】
【化26】

【0137】
<合成例4>高分子化合物gの合成
【0138】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積200mlの丸底フラスコに、窒素雰囲気下、1−メタクリロイルオキシ−1−メチルシクロヘキサン9.14g(50.2mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン5mmol)を仕込み、80〜82℃にて5時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、反応混合液に対して約20倍質量の水―メタノール混合溶液(重量比 水:メタノール=1:3)中に撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物をTHF140.0gに溶解した液を上記と同質量の水―メタノール混合溶液(重量比 水:メタノール=1:3)中に攪拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取後、上記と同質量の水―メタノール混合溶液(重量比 水:メタノール=1:3)で洗浄することにより白色沈殿物を得た。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物j11.8gを得た。得られた高分子化合物jのMwは12600、分散度は1.83であった。
【0139】
【化27】

【0140】
<合成例5> 高分子化合hの合成
【0141】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン4.39g(18.7mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.96g(12.5mmol)、α―メタクリロイルオキシ−γ―ブチロラクトン3.18g(18.7mmol)、メチルエチルケトン60.5gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.66g(4.0mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物c6.06gを得た。得られた高分子化合物cのMwは9800、分散度は1.53であった。
【0142】
【化28】

【0143】
<合成例6> 高分子化合物iの合成
【0144】
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積100mlの丸底フラスコに、2−メタクリロイルオキシテトラヒドロピラン3.18g(18.7mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン2.96g(12.5mmol)、α―メタクリロイルオキシ−γ―ブチロラクトン3.18g(18.7mmol)、メチルエチルケトン58.0gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった、窒素雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.66g(4.0mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、約20倍質量のメタノール中に撹拌しながら滴下することにより、白色沈殿物を得た。該沈殿物をろ取し、減圧(26.7Pa)下、50℃で10時間乾燥して、以下の繰り返し単位からなる高分子化合物d5.82gを得た。得られた高分子化合物dのMwは6500、分散度は1.60であった。
【0145】
【化29】

【0146】
<QCM法による現像液中の溶解特性評価>
実施例6〜9および合成例2〜6で得られた高分子化合物a〜iを100質量部と、光酸発生剤としてTPS−109(製品名、みどり化学株式会社製)3質量部と、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル=1/1の混合溶媒)とをそれぞれ混合し、高分子化合物の濃度が12質量%のフォトレジスト組成物4種類を調製した。これらのフォトレジスト組成物を、フィルター[四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製、孔径0.2μm]を用いてろ過した後、表面に金電極を真空蒸着した1インチサイズの石英基板上にそれぞれスピンコーティング法により塗布し、厚み約300nmの感光層を形成させた。これらの感光層を形成させた石英基板をホットプレート上にて、110℃で90秒間プリベークした後、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を用い、露光量100mJ/cmで露光し、続いて110℃で90秒間ポストエクスポージャーベークした。水晶振動子マイクロバランス装置「RQCM」(商品名;Maxtek社製)に上記石英基板をセットし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて120秒間現像処理した。現像処理中の石英基板の振動数変化を経時的にモニターした後、得られた振動数変化を膜厚の変化に換算し、膜厚の増加変化から最大膨潤量、膜厚の減少変化から溶解速度を算出した。結果を表1に示した。
【0147】
【表1】

【0148】
<二光束干渉法露光評価>
実施例6〜9および合成例2〜6で得られた高分子化合物a〜iを100質量部と、光酸発生剤としてTPS−109(製品名、みどり化学株式会社製)3質量部と、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル=1/1の混合溶媒)とをそれぞれ混合し、高分子化合物の濃度が12質量%のフォトレジスト組成物4種類を調製した。これらのフォトレジスト組成物を、フィルター[四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製、孔径0.2μm]を用いてろ過した。クレゾールノボラック樹脂(群栄化学製PS−6937)6質量%濃度のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコーティング法により塗布して、ホットプレート上で200℃で90秒間焼成することにより、膜厚約100nmの反射防止膜(下地膜)を形成させた直径10cmのシリコンウエハー上に、該ろ液をそれぞれスピンコーティング法により塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プリベークして膜厚約300nmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いて二光束干渉法露光した。引き続き、130℃で90秒間ポストエクスポージャーベークした後、2.38質量%−テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて60秒間現像処理することにより、1:1のラインアンドスペースパターンを形成させた。現像済みウエハーを割断したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、線幅100nmのラインアンドスペースを1:1で解像した露光量におけるパターンの形状観察と線幅の変動(以下、LWRと称する。)測定を行った。LWRは、測定モニタ内において、線幅を複数の位置で検出し、その検出位置のバラツキの分散(3σ)を指標とした。結果を表2に示した。
【0149】
【表2】

【0150】
<熱安定性>
実施例6、7および合成例2、3、4で得られた高分子化合物a、b、e、f、gの熱安定性をミクロ熱重量測定装置TGA−50(商品名;島津製作所社製)により確認した。サンプル量は高分子化合物約5mgとし、窒素ガス50mL/分、昇温10℃/分の設定下、20℃〜600℃まの範囲で測定した。得られたグラフから、重量減少の開始温度と元の重量に対して5%分が減少したときの温度を読み取った。なお、ここでの重量減少は、熱によって高分子化合物が分解していることを示すものであり、一般的に重量減少を示した時の温度が高いものほど熱に対して安定であると解釈できる。結果を表3に示した。
【0151】
【表3】

【0152】
以上の結果より、本発明のアクリル酸エステル誘導体(1)を繰り返し単位に含む高分子化合物(7)の場合(高分子化合物a、b、cおよびd)、含まない高分子化合物の場合(高分子化合物e、f、g、hおよびi)に比べ、フォトレジストを製造する際の現像工程にて使用するアルカリ現像液への溶解速度が非常に高く、現像時の最大膨潤量が非常に小さく、LWRが改善されていることがわかる。また、熱安定性も優れていることから、半導体デバイス製造用の化学増幅型レジストとして有用であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明のアクリル酸エステル誘導体(1)および高分子化合物(7)は半導体デバイス製造用の化学増幅型レジストとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。R12は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。Wは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。mは0または1を表す。)
で示されるアクリル酸エステル誘導体。
【請求項2】
Wがメチレン基または1,1−エタンジイル基である請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体。
【請求項3】
mが0である請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体。
【請求項4】
、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子である請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体。
【請求項5】
、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子であり、Wがメチレン基または1,1−エタンジイル基である請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体。
【請求項6】
、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子であり、mが0である請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体。
【請求項7】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。)
で示されるケトン化合物とアルキル化剤とを反応することにより、下記一般式(3)
【化3】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。)
で示される第3級アルコールを得、次いで該第3級アルコールと重合性基導入剤と反応する、または、該第3級アルコールと連結基導入剤を反応した後に重合性基導入剤と反応することを特徴とする下記一般式(1)
【化4】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。R12は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。Wは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。mは0または1を表す。)
で示されるアクリル酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項8】
下記一般式(4)
【化5】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表す。)
で示されるエピハロヒドリン誘導体と下記一般式(5)
【化6】

(式中、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。)
で示されるアルキレン誘導体を反応することで下記一般式(6)
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示されるエポキシ誘導体を得、次いで、該エポキシ誘導体を環化することで下記一般式(3)
【化8】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示される第3級アルコールを得、さらに該第3級アルコールと重合性基導入剤と反応する、または、該第3級アルコールと連結基導入剤を反応した後に重合性基導入剤と反応することを特徴とする下記一般式(1)
【化9】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。R12は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。Wは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキレン基を表す。mは0または1を表す。)
で示されるアクリル酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項9】
下記一般式(2)
【化10】

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基を表す。A、Bはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。)
で示されるケトン化合物にアルキル化剤を反応することを特徴とする、下記一般式(3)
【化11】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状および環状のアルキル基を表す。)
で示される第3級アルコールの製造方法。
【請求項10】
下記一般式(4)
【化12】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を表す。)
で示されるエピハロヒドリン誘導体と下記一般式(5)
【化13】

(式中、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11はそれぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。)
で示されるアルキレン誘導体を縮合させることで下記一般式(6)
【化14】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示されるエポキシ誘導体を得、次いで、該エポキシ誘導体を環化することを特徴とする下記一般式(3)
【化15】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、A、Bおよびnは前記定義の通り。)
で示される第3級アルコールの製造方法。
【請求項11】
下記一般式(3)
【化16】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表す。RおよびR11は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を表すか、またはRとR11が一緒になって炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基を表す。AおよびBはそれぞれ、酸素原子、または硫黄原子を表す。nは0または1を表す。)
で示される第3級アルコール。
【請求項12】
、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が水素原子である請求項11記載の第3級アルコール。
【請求項13】
請求項1記載のアクリル酸エステル誘導体を少なくとも原料の1つとして重合することにより得られる高分子化合物。

【公開番号】特開2009−196945(P2009−196945A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41012(P2008−41012)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】