新規なコプリヌス・コマトゥスおよびトレメッラ・メセンテリカキノコ菌株、それらの生産物および抽出物、ならびにそれらを含む組成物
それぞれブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123401で寄託されたコプリヌス・コマトュスHAI−1237、およびブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123296で寄託されたトレメッラ・メセンテリカHAI−17(以下、トレメッラ・メセンテリカCBS123296)から選択される、新規で明確な品種の高等担子菌類キノコ、そのバイオマスおよび抽出物、ならびにb−グルカン、フコガラクタンおよびグルクロノキシロマンナンなどの単離構成成分が開示され、ならびに自然食品サプリメント、栄養補給剤、プレバイオティクス、飲料製品、美容品、ペットフードとしてのそれらの使用、ならびに農業用殺虫剤および抗植物ウイルス組成物が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用キノコ、より具体的には、コプリヌス(Coprinus)およびトレメッラ(Tremella)属の種のキノコ、ならびにコプリヌス・コマトゥス(Coprinus comatus)CBS123401およびトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296と命名された、新規で明確な高等担子菌類(Basidiomycetes)の菌株に関する。本発明はさらに、種々の生物活性化合物を含むこれらの新規な菌株由来の、子実体、液内培養菌糸体または単細胞バイオマス、および抽出物、ならびにヒトおよび動物の食餌療法用サプリメント、プレバイオティクス(prebiotics)、美容食品として、およびいくつかの疾患および状態の処置におけるそれらの使用、ならびに抗植物ウイルス剤に関する。
【0002】
背景技術
キノコのバイオテクノロジー生産物は、人間の福祉に対して、例えば、食品、健康強壮剤および薬剤、飼料および肥料として、ならびに環境を保護および再生するために、多くの有益な効果を有する。強力で、独特な健康増強特性を持つ医薬物質が、薬用キノコから最近単離され、世界中に広まっている。それらの多くは、医薬品であるが、他のものとしては、新規なクラスの食餌療法用サプリメント、または「キノコ栄養補給剤」もしくは「栄養補助剤」、菌化学物質、植物化学物質、およびデザイナー食品が示される。いくつかの抗腫瘍多糖類、例えば、ヘテロ−β−グルカンおよびそれらのタンパク質複合体(例えば、キシログルカン、およびウロン酸を含有する酸性β−グルカン)、ならびに食物繊維、レクチン、およびトリテルペノイドが、薬用キノコから単離されている。
【0003】
高等担子菌類キノコは、多量の多糖類、特に種々の種類のタイプのβ−グルカンを含有する。β−グルカンの抗腫瘍効果は、それらの分子量および溶解度に関係していると思われる。例えば、低分子量レチナンだけが高い抗腫瘍活性を示す。可溶性β−グルカンは不溶性のものよりも強い免疫刺激剤のようであるが、これは驚くべきことではない。
【0004】
トレメッラ属の一部の種、液内培養単細胞バイオマスおよび子実体、特に、T.メセンテリカの菌株は、高レベルのグルクロノキシロマンナンおよびβ−グルカンを含有し、そのバイオマスおよび精製多糖類は両方とも、血糖降下およびトリグリセリド降下の活性を有することが示された(米国特許第6,383,799号;米国特許第6,362,397号)。
【0005】
高等担子菌類キノコは、多量の多糖類、タンパク質、バランスの取れた必須アミノ酸、メラニン、必須脂肪酸を含む脂質、トリテルペノイド、抗酸化剤、ビタミン、および他の生物活性物質を含有する。また、グルカン、キチン、およびヘテロ多糖類(ペクチン物質、ヘミセルロースまたはポリウロニドを含む)に属する食物繊維は、キノコすべての組織に豊富にあり、これらは、腸内の胆汁酸または有害物質を吸収することができ、したがって、制癌物質として作用し、且つ様々な種類の毒作用を低下させることができる。
【0006】
さらに、菌類物質は、(i)様々な生理学的および病理学的過程で重要な役割を果たすNF−κB活性化経路のモジュレータ;(ii)酸化性ストレス反応によって引き起こされる酸化損傷を防止または減少させるためのヒト用食餌におけるサプリメントとして適切な抗酸化物質;(iii)免疫モジュレータとして;および炎症過程に影響を与えることで知られている。
【0007】
発明の概要
本発明は、ブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123401で寄託されたコプリヌス・コマトュスHAI−1237(以下、コプリヌス・コマトュスCBS123401)、およびブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123296で寄託されたトレメッラ・メセンテリカHAI−17(以下、トレメッラ・メセンテリカCBS123296)から選択される、新規で明確な品種の高等担子菌類キノコを対象とする。
【0008】
他の側面では、本発明は、炭水化物、必須アミノ酸に富んだタンパク質、ビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤およびミネラルを包含する、栄養補給剤および生物活性物質に富んだ本発明のキノコのバイオマスに関する。このバイオマスは、コプリヌス・コマトュスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得ることができる。トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体培養物は、単細胞バイオマスの形態である。
【0009】
さらなる側面では、本発明は、栄養補給剤活性および生物活性を有する本発明のキノコからの抽出物に関する。抽出物は、このキノコの菌糸体または子実体から得ることができる。
【0010】
さらに他の側面では、本発明は、抽出物から単離された新規な炭水化物、本発明のキノコ由来のバイオマスもしくは抽出物、または該抽出物から単離された新規な炭水化物を含む組成物、本発明の組成物を含む自然食品サプリメント、医薬、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料または美容製品、薬学的に許容される担体ならびに本発明の組成物および新規な炭水化物の1種から選択される活性成分を含む医薬組成物、ならびに該バイオマスおよび抽出物を生産する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発酵装置中、またはバイオリアクター技術におけるコプリヌス・コマトゥスまたはトレメッラ・メセンテリカの液内培養菌糸体生産のための全般的な方法論のスキームを示す図である:a−ペトリ皿用の標準寒天培地の調製;b−培養物の調製に用いられる胞子または子実体の部分;c−ペトリ皿上の培養物;d−チューブ中寒天斜面上の培地;e−培地の顕微鏡調査;f−250mL三角フラスコ中接種前培養物;g−接種前培養物の均質化;h−2L三角フラスコ中における均質化菌糸体バイオマスの培養;i−接種発酵装置培地用の菌糸体バイオマスの均質化;j−発酵装置用の発育培地;k−発酵装置中菌糸体バイオマスの培養;l−菌糸体バイオマスの収穫;m−食餌療法用サプリメント(DS)、医薬品および他の製品のための乾燥バイオマス処方物;HM、収穫菌糸体。
【図2】ウエスタン免疫ブロットにより決定したpIκBαレベルに対するE1およびE2の抽出物の効果を示す図である。この図は、同様の結果を有する2つの独立した実験を代表する。E1−培養液(水)抽出物;E2−酢酸エチル抽出物。
【図3】100μMのH2O2効果と比較したpIκBαに対するE1およびE2の抽出物の効果を示す図2のウエスタン免疫ブロットのデンシトメトリー分析を示す図である。(結果は、H2O2のみ−処理の平均値±標準偏差に対する2つの独立した実験の倍数として示す)。
【図4】コプリヌス・コマトゥス抽出物E1およびE2のIKKβ阻害活性を示す図である。抽出物E1およびE2(100および200μg/ml)ならびに600nMのIKK−β阻害剤Fuct(1μM)を、100ngのGST−IκBα基質および5ngのIKK−β酵素とともにインキュベートし、それらのIKK−β活性を阻害する能力について、材料および方法において記載されるとおりにELISAベースキナーゼ活性アッセイを用いて試験した。E1−培養液(水)粗抽出物;E2−酢酸エチル粗抽出物。
【図5】コプリヌス水抽出物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図6A】水抽出物の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6B】全細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6C】水抽出後の細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6D】NaOH抽出後の細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図7】Sephadex G−50上でサイズ排除クロマトグラフィーにより部分的に分離された、コプリヌス・コマトゥスの水およびNaOH抽出物由来の多糖類のサイズ分離クロマトグラムを示す図である。
【図8A】ガノデルマ属の種(Ganoderma sp.)から抽出したβ−グルカンのメチル化分析を示す図である。
【図8B】コプリヌス・コマトゥスCBS123401から抽出したβ−グルカンのメチル化分析を示す図である。
【図9】トレメッラ・メセンテリカCBS123296から単離したβ−グルカンから得られたメチル化糖類のGCトレースを示す図である。
【図10A】トレメッラ・メセンテリカCBS123296の新たに単離した菌株から得られたメチル化糖類のGCトレースを示す図である。
【図10B】純粋グルクロノキシロマンナンのGCトレースを示す図である。
【図11】タバコモザイクウイルス(TMV)と比べて品種Immune580のタバコ植物の敏感さに対するGXM(1000μg/mL)の効果を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種との間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の数の比(%)。
【図12】TMVと比べて品種Immune580のニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)植物の敏感さに対するGXM(2500μg/ml)の影響を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種との間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の数の比(%)。
【図13】品種Immune580のニコチアナ・タバクム植物においてTMVにより誘導された、局所損傷の増大に対するGXM(2500μg/ml)の影響を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種の間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の大きさ(mm)。
【図14】TMVを接種した品種Immune580のニコチアナ・タバクム植物において誘導されたGXM抵抗性に対するアクチノマイシンD(AMD)の影響を示す図である。横座標:実験変異:1−GXM;2−GXMおよびAMDの混合物(10μg/mL);3−GXM2日後に導入したAMD(10μg/mL);4−GXM2日後に導入したAMD(20μg/mL);5−AMD(10μg/mL)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の量の比(%)。
【0012】
発明の詳細な説明
一側面では、本発明は、必須アミノ酸に富んだタンパク質および炭水化物を包含し、且つビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤、およびミネラルをさらに含む、栄養補給剤および生物活性化合物に富んだ、担子菌類キノコのコプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスに関する。
【0013】
一態様では、該バイオマスは、例えば、栄養培地での液内培養における菌株の培養によって、単細胞バイオマスの形態でコプリヌス・コマトゥスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる。
【0014】
本発明はさらに、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体培養物が、単細胞バイオマスの形態である、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296の純粋液内菌糸体培養物に関する。トレメッラ・メセンテリカ菌糸体培養物が、酵母のように単細胞生物として発育することは、非常に高い発育速度、および担子菌類キノコすべての中で最も高いバイオマス生産性を与え、培地1リットル当たり最大27gの乾燥バイオマスに達する。
【0015】
本発明の2種のキノコの菌糸体の化学組成は、例4および例7で示されるとおりに決定された。本明細書で示される、本発明のキノコに存在すべき構成成分の多くは、抗癌活性、免疫調節活性、抗血糖、抗糖尿病および殺虫活性などの多くの有益な特性を有する。
【0016】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスは、菌糸体の乾燥重量の、約39%の炭水化物および約37%のタンパク質を有し、トレメッラ・メセンテリカCBS123296のそれは、約54%の炭水化物および約20%のタンパク質を有する。キノコ多糖類生産体の液内培養により、特定組成物の培地を用いて短期間で特定組成の制御された条件下での生産が可能になる。
【0017】
バイオマス中の炭水化物は、多糖類ならびに二糖類および単糖類の両方を包含する。コプリヌス・コマトゥスCBS123401のバイオマスの多糖類の例には、β−グルカン、好ましくは低分子量の水溶性β−グルカン、およびガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンが包含される。
【0018】
したがって、本発明は、本明細書で例4.2に示す、β−1−6−D−グルコース残基の側鎖をいくつかの6位に有する、β−1−3−結合D−グルコース残基の骨格構造から構成される新規な低分子量の水溶性β−グルカンに関する。β−グルカンは、コプリヌス・コマトゥス、好ましくはコプリヌス・コマトゥスCBS123401から得られ、10,000Da未満、好ましくは約1000から約10,000Daの分子量を有する。
【0019】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスの多糖類の例には、β−グルカン、好ましくは直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンが包含される。したがって、本発明はさらに、本明細書で例7.4に示されるとおりにトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られる、新規な水不溶性の直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンに関する。このグルクロノキシロマンナンは、キシロースおよびグルクロン酸のβ−(1→2)(1→4)−結合オリゴ糖によってグリコール化された、α−(1→3)−結合マンナンの直鎖状骨格からなり、これは、ポリアニオン特性を与え、抗血糖および抗糖尿病剤として使用され得る。
【0020】
本発明のβ−グルカンは、抗腫瘍および免疫調節、特に免疫刺激活性を有し、本発明のグルクロノキシロマンナンは、血糖降下、免疫刺激、およびコレステロール低下の活性を有し、免疫系の強化が、糖尿病、癌、AIDSなどのウイルス性疾患、心疾患、血圧を予防および処置するために、および高コレステロール状態を処置するためのコレステロール低下剤として重要である疾患および状態を予防および処置する薬草剤として有望である。両方の種の多糖類は、新規なプレバイオティクスの供給源であり得る。「プレバイオティック剤」は、本明細書では、宿主の福祉および健康に利益を与える胃腸微生物叢において、組成および/または活性の両方において特異的な変化を可能にする選択的に発酵された成分として定義される。また本バイオマス中に存在するキチンは、食物繊維の重要な構成成分である。
【0021】
本菌糸体バイオマス中に見出される単糖類および二糖類には、グルコース、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコサミンおよびトレハロースが包含される。これらの単糖類および二糖類のすべては、健康に重要である。さらに、マンノースは、尿路および膀胱の組織への細菌の付着を防止することが示されており、グルコサミンは、骨関節炎の処置に、および軟骨を再構築するために有用であることが知られている。
【0022】
本発明のキノコの菌糸体バイオマスタンパク質は、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、システイン、メチオニン、トレオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リシンおよびヒスチジンに富んでいる。C.コマトゥスは、γ−アミノ酪酸をさらに含有する。したがって、菌糸体のタンパク質は、11種の必須アミノ酸;トレオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、リシン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンのうちの10種を含有する。したがって、本発明のバイオマスは、必須アミノ酸に富んだタンパク質の存在により、重要な食餌療法用サプリメントの構成要素となる。
【0023】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401のバイオマスは、ビタミン:A、B1、B2、B3、C、およびEを含み、トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスは、ビタミン:A、B1、B2、B3、B6、B7、C、およびEを含む。したがって、高レベルの重要なビタミンを含有する本発明のキノコのバイオマスおよび抽出物は、ビタミンの優れた供給源として役立ち、栄養補給剤として使用することができ、および/または食餌療法用サプリメントとして食品および飲料品に添加することができる。
【0024】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスは、脂肪酸であるペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸(C18:2n6)、α−リノレン酸(C18:3n3)、γ−リノレン酸(C18:3n6)、アラキジン酸、ヘンエイコ酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸を包含する脂質をさらに含み;トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスは、脂肪酸であるオレイン酸−(C18:1)、リノール酸(C18:2n6)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトオレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)およびミリスチン酸を含む。脂肪酸は、それらのグリセロールとのエステルの形態でキノコ中に見出される。このキノコの高い栄養価は、必須不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸(C18:3n3)およびリノール酸(C18:2n6)の存在によって明らかとなる。後者は、多価不飽和脂肪酸のオメガ−6シリーズを生じさせ、これらのリン脂質への取り込みは、流動性、柔軟性、透過性および膜結合酵素の活性などの細胞膜特性に影響を与える。
【0025】
本発明のキノコの菌糸体バイオマスは、アルミニウム、銅、鉄、カリウム、マグネシウム、マンガン、リン、ケイ素、ナトリウム、チタンおよび亜鉛を含む、マクロ元素およびミクロ元素の両方のミネラルも含む。本発明の2種のキノコのいずれか1種のバイオマスの1日用量は、鉄および他のミネラルの優れた供給源を与える。
【0026】
本発明のコプリヌス・コマトゥスCBS123401菌株の菌糸体およびバイオマスは、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、メラニン(皮膚の光老化に対して保護を与え、特に太陽のUV線から皮膚を保護し、電離放射線により生じた内部臓器に対する損傷に対しても保護し、そのカルボキシレート基およびフェノールヒドロキシル基によって潜在的に毒性である金属イオンを封鎖するのに役立ち得る)およびレクチン(例4.3を参照)、特にラクトース、ガラクトースおよびグルコサミン結合性レクチンを含み、これらは、多糖類および糖タンパク質の糖部分の同定に関わるアッセイに有用であり得ることも本発明によって見出された。
【0027】
本発明のキノコのバイオマスは、プレバイオティクスまたは栄養補給剤組成物でさらに使用され得る。「キノコ栄養補給剤」は、本キノコの菌糸体または子実体のいずれか由来の精製されたまたは部分的に精製された抽出物または乾燥バイオマスと定義され、これは、食餌療法用サプリメント(従来の食品ではない)としてカプセルまたは錠剤の形態で消費され、潜在的な治療上の利用性を有する。通常の摂取は、人体の免疫応答を強化し、それにより、疾患に対する抵抗性を増加させ、一部の場合には、疾患状態の退行を生じさせ得る。
【0028】
別の側面では、本発明は、栄養補給剤および生物活性を有する本発明のキノコの抽出物を提供する。一態様では、該抽出物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401由来である。別の態様では、抽出物は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296由来である。該抽出物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる。好ましい態様では、本発明のキノコの抽出物は、純粋液内菌糸体培養物から得られる。
【0029】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401培養物から得られる抽出物は、低分子量の水溶性β−グルカンおよび/またはガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンに富んでおり、トレメッラ・メセンテリカCBS123296培養物から得られる抽出物は、直鎖状3,4β−グルカンおよび/またはグルクロノキシロマンナンに富んでおり、これは、抗血糖および抗糖尿病活性を有する。
【0030】
一態様では、本発明のキノコの抽出物に存在する生物活性は、NF−κB経路調節活性、抗酸化活性、遊離ラジカル捕捉活性、抗放射線活性、金属イオン捕捉活性、インターフェロン生成活性、免疫調節活性、抗血糖活性、抗糖尿病活性、コレステロール低下活性、抗アレルギー活性、抗寄生虫活性、殺虫活性および/または抗植物ウイルス活性である。
【0031】
本明細書で使用される「インターフェロン生成活性」および「インターフェロン生成剤」という用語は、哺乳動物の血漿中のインターフェロンの濃度を増加させる活性または剤を指す。
【0032】
本明細書で使用される「免疫調節活性」および「免疫調節剤」という用語は、分裂促進性、造血幹細胞の刺激、代替補体活性化経路の活性化、ならびにTH細胞、Tc細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞の活性化を指すが、これらに限定されない。
【0033】
「抗血糖活性」および「抗血糖剤」という用語は、血中グルコース濃度を減少させる活性または剤を指すが、「抗糖尿病活性」および「抗糖尿病剤」という用語は、血中グルコース濃度を低下させることによって糖尿病を処置する活性または剤を指す。
【0034】
殺虫活性は、オオアリ、ヒアリ、イエシロアリ(coptotermes)、イエシロアリ(Formosan termites)およびレティクリテルメス・テルミテス(reticulitermes termites)などの社会性昆虫を誘引し、感染させ、そしてこれらの昆虫を死滅させることを含む。
【0035】
特に、および本明細書で以下に例で示されるとおりに、コプリヌス・コマトゥスCBS123401酢酸エチル抽出物は、NF−κB経路調節活性(例3)、ならびに抗酸化活性および/またはフリーラジカル捕捉性(例2)を有する。このような抽出物は、例えば、限定されないが、癌、免疫不全、敗血症性ショック、移植による拒絶反応、放射線損傷、虚血後の再潅流傷害、動脈硬化および神経変性疾患などのNF−κB依存性疾患の処置に有用であり得る。
【0036】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296培養物から得られる抽出物は、グルクロノキシロマンナンを含む、したがって、抗糖尿病活性を有し、免疫調節活性、例えば、マクロファージの機能リザーブ(functional reserve)の増加を引き起こす活性、ならびにインターフェロン生成活性(例8参照)および/または抗植物ウイルス活性(例9参照)などをさらに含む。本明細書で使用される「機能活性」という用語は、自発的な活性および刺激(NBT試験)を受けた活性指数間の差、すなわち、例えば、病原菌への曝露による活性化後のその活性と比較して、その休止態でのマクロファージなどの食細胞の活性を指す。
【0037】
さらに別の側面では、本発明は、本発明によるバイオマスまたは抽出物を含む組成物に関する。ある種の態様では、本組成物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られるバイオマスの混合物、またはコプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られる抽出物の混合物を含む。一態様では、本組成物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体もしくは子実体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマス、または前記バイオマスの抽出物を含む。別の態様では、本組成物は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマス、または前記バイオマスの抽出物を含む。
【0038】
なおさらに別の側面では、本発明は、それらのすべてが本明細書で上記におよび本明細書で以下の例に定義されるとおりの、低分子量の水溶性β−グルカン、水不溶性直鎖状3,4β−グルカン、グルクロノキシロマンナンから選択される炭水化物、またはこれらの炭水化物の少なくとも2種の組合せを含む組成物に関する。上記の観点から、本発明では、さらなる側面で、本発明の組成物を含む、自然食品サプリメント、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料品および美容品が提供される。本発明ではさらに、本発明の組成物を含む、ペットフード、殺虫剤、抗寄生虫剤および抗植物ウイルス製品が提供される。
【0039】
なおさらなる側面では、本発明では、薬学的に許容される担体、および(a)本発明の組成物;(b)低分子量の水溶性β−グルカン;(c)水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;(d)グルクロノキシロマンナン;(これらのすべては、本明細書で上記におよび本明細書で下記の例に定義されるとおりである);または(e)(b)から(d)の活性成分の少なくとも2種の組合せから選択される活性成分を含む医薬組成物が提供される。
【0040】
ある種の態様では、本発明の自然食品サプリメント、プレバイオティクスまたは栄養補給剤製品、および医薬組成物は、(a)糖尿病を処置し、または血中グルコース濃度を低下させる;(b)免疫調節性応答を誘導する;または(c)血中コレステロール濃度を低下させ、もしくはコレステロールの蓄積を減少させるために使用され得る。
【0041】
本発明の自然食品サプリメント、プレバイオティクスまたは栄養補給剤製品、および医薬組成物は、単独でまたは制癌剤と組み合わせて、癌を処置するために、免疫調節性応答を誘導するために癌患者に投与され得る。
【0042】
本明細書で使用される「処置する」という用語は、疾患もしくは障害の緩和、進行の低下もしくは完全な治癒、または疾患もしくは障害に関連したもしくはそれらによって引き起こされた症状の低減を指す。
【0043】
本発明による使用のための医薬組成物は、賦形剤および補助剤を含む1種または2種以上の薬学的に許容される担体を用いて従来の方法で製剤化され得る。薬剤の製剤化および投与の技術は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版に見出すことができる。
【0044】
本発明の医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口送達、非経口送達(筋内、静脈内、皮下、髄腔内、または腹腔内注射を包含する)による全身投与のために、または局部薬剤送達による局所投与のために製剤化される。
【0045】
本発明の方法における使用のための任意の組成物について、治療有効量または用量は、インビトロおよび細胞培養アッセイから初期に推定され得る。例えば、用量は、所望の濃度または力価を得るために動物モデルにおいて製剤化され得る。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0046】
なおさらなる側面では、本発明は、農業用担体、および本発明の組成物または本明細書で定義されるとおりのグルクロノキシロマンナンから選択される活性成分を含む農業用組成物に関する。ある種の態様では、農業用組成物は、植物ウイルスなどの植物病原菌に対する植物の抵抗性を誘導するためのものである。
【0047】
一態様では、植物ウイルスは、感染植物に過敏な応答を誘導することができる植物ウイルス、例えば、タバコモザイクウイルス、および他のタバモウイルス、例えば、トマトモザイクウイルス、トウガラシ緑斑モットルウイルスおよびオンドントグロッスム輪点ウイルスを包含する植物ウイルスである。ある種の形態では、該ウイルスは、タバコモザイクウイルスである。
【0048】
本発明の農業用組成物は、不活性添加物をさらに含み得る。このような添加物には、増粘剤、流動増強剤、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤、潤沢剤、充填剤、飛散制御剤、沈着増強剤、アジュバント、蒸発遅延剤、霜よけ剤、昆虫誘引臭気剤、UV保護剤、芳香剤などが包含される。増粘剤は、水に可溶性または膨潤し得る化合物、例えば、キサンタンの多糖類(例えば、アニオン性ヘテロ多糖類)、アルジネート、グアールもしくはセルロース;合成巨大分子、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、膨潤性構造生成性シリケート(発熱性または沈降ケイ酸など)のポリカルボキシレート、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトナイト、もしくはアタパルガイト;またはケイ酸アルミニウムの有機誘導体などであり得る。霜よけ剤は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、尿素、またはそれらの混合物であり得る。消泡剤は、例えば、ポリジメチルシロキサンであり得る。本農業用組成物は、本技術分野で一般に知られているように、水系または油系製品に適合させた界面活性剤系も含み得る。
【0049】
本発明ではさらに、生物活性が、NF−κB経路調節活性、抗酸化活性、フリーラジカル捕捉活性、抗放射線活性、金属イオン捕捉活性、インターフェロン生成、免疫調節、抗血糖、抗糖尿病、コレステロール低下活性、抗アレルギー活性、抗寄生虫活性、または抗植物ウイルス活性である、生物活性を有する本発明のキノコ由来の抽出物を製造する方法であって、栄養培地における液内培養で菌類コプリヌス・コマトゥスCBS123401またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296を培養する工程、結果として得られた、該培養ブロスから、食用菌類の得られたバイオマスを単離する工程、乾燥させる工程、および前記バイオマスを微粉末に粉砕し、溶媒抽出に付し、凍結乾燥させる工程を含む方法が提供される。特に、該方法は、グルクロノキシロマンナンに富んだトレメッラ・メセンテリカ、好ましくはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の抽出物を生産するためのものである。
【0050】
さらなる方法では、多糖類、単糖類、タンパク質、必須アミノ酸、ビタミン、必須脂肪酸、ミネラルおよび微量元素に富んだ本発明のキノコ由来のバイオマスを生産する方法であって、栄養培地での液内培養で前記キノコを培養する工程、該培養ブロスから、食用菌類の得られたバイオマスを単離する工程、および前記バイオマスを乾燥させ微粉末に粉砕する工程を含む方法が提供される。
【0051】
特に重要なことは、トレメッラ・メセンテリカ、トレメッラ・フキホルミス(Tremella fuciformis)、およびトレメッラ・アウランティア(Tremella aurantia)から選択されるトレメッラ属、好ましくはトレメッラ・メセンテリカCBS123296を含むキノコの単細胞液内培養物を栄養培地で培養するさらなる方法が、本発明によって提供されることである。
【0052】
上に定義された方法のためにコプリヌス・コマトゥスを培養するために使用される栄養培地が、以下の組成(蒸留水のg/L):グルコース、15;ペプトン、3;酵母エキス、5;KH2PO4、0.8;K2HPO4、0.2;MgSO4・7H2O、0.5からなるべきであること、および上に定義された方法のためにトレメッラ・メセンテリカを培養するために使用される栄養培地が、以下の組成(蒸留水のg/L):スクロース、50;酵母エキス、0.5;KCl、1;酢酸Mg・4H2O、1.0;NaH2PO4・H2O、0.5;Na2HPO4・7H2O、1.0からなることが本発明によって見出された。
【0053】
これから、本発明は、以下の非限定的な例によって例証される。
【0054】
例
材料および方法
1.三角フラスコおよび発酵装置におけるコプリヌス・コマトゥスの菌糸体バイオマスの液内培養
図1は、発酵装置またはバイオリアクター技術を用いて、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296の液内培養菌糸体生産のための全般的な方法論を示す。
【0055】
キノコの液内培養菌糸体(SCM)生産の全般的なスキームは、培養物発育の5工程を包含する:
培地培養物(I)→中間培養物(II)→接種前培養物(III)→接種培養物(IV)→発酵培養物(V)。
【0056】
3種類の培地をSCM生産のために使用する:標準寒天培地(工程Iおよび工程II)、液体標準接種培地(工程IIIおよび工程IV)、および発酵培地(工程V)。培地培養物は、チューブ中寒天斜面上で発生させる;中間培養物は、チューブまたはペトリ皿中の寒天斜面上で発生させる。接種前および接種培養物は、回転式振とう器を用いて三角フラスコ中で発生させる。発酵培養物は、撹拌、温度、pH、溶存酸素濃度(pO2)、および泡状物の測定および/または制御のための装置を備えている発酵装置Bioflo2000(New Brunswich Scientific、米国)中で発生させる。
【0057】
最初の接種前培養物について、250mlの三角フラスコにペトリ皿からの1から3週齢のキノコ菌糸体により接種する。寒天プレートの端で発育する菌糸体からの5から6片(直径5〜7mm)を三角フラスコに移し、フラスコ壁上で小片に切断し、菌糸体の発育点の数を増加させた。100mlの特定合成培地で満たした250mLの三角フラスコに、菌糸体を接種した。菌接種物は、以下の成分(蒸留水のg/L):(gl−1):グルコース、15;ペプトン、3.0;酵母エキス、5.0;KH2PO4、0.8;K2HPO4、0.2;MgSO4・7H2O、0.5からなる合成培地上で発育させた。培地の初期のpHは、6.0であった。ホスフェート塩は、別個に滅菌した(Sigma−Aldrich、St Louis、MO、米国)。接種したフラスコの培養は、回転式振とう器上で、100rpmおよび27℃で6〜7日間行う。培養の最後に、1mlの試料を培養純度の顕微鏡観察のために培養物から採取する。
【0058】
第2の接種培養物について、第1の接種前培養物(ペレット)由来のバイオマスを、Waring Laboratory Blender(Waring、米国)を用いて2×30秒均質化し、700mLの同じ培地が入っている2Lのフラスコに接種した。
【0059】
培養5〜7日後、菌糸体バイオマス(ペレット)を均質化し、上記の同じ合成培地上で10Lの使用容積を有する発酵装置(Bioflo2000 10L、New Brunswick Scientific、米国)中で発育のための接種培養物として使用した。培養の初期パラメータは以下のとおりである:温度27℃;pH−6.1;撹拌−100rpm、通気−0.2v/v/分。用いた消泡剤は、ポリプロピレングリコール2000であった;4%NaOHおよび4%HClを用いて、pHを調節した。
【表1】
【0060】
当初は、培地のpHは調節しなかった。しかし、それが5.2に低下する場合、菌発育に有利になるように、pHは6.0のレベルで自動的に一定に保持した。24時間後、撹拌速度を200rpmに、次いで、48時間後に300rpmに増加させた。48時間後、培地の通気の速度は、0.4に増加させ、次いで(72時間後)0.5v/v/分に増加させた。
【0061】
菌糸体バイオマスの最大収量は、菌培養の7日目に達成された93g/Lの湿潤バイオマスまたは9.3gの乾燥バイオマスであった。培養の条件は表1で規定される。コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスのクランプ連結を有する空胞化菌糸が、菌培養7日後に見られる(図示せず)。
【0062】
2.コプリヌス・コマトゥス抗酸化活性の評価
バイオマス推定。C.コマトゥス液内培養8〜11日後に、菌糸体バイオマスをろ過により収穫し、恒量まで50℃で乾燥させた。乾燥菌糸体を抽出のために粉末形態に摩砕した。
【0063】
C.コマトゥスバイオマスからの抗酸化物質の抽出。収穫したキノコ菌糸体を50℃で乾燥させ、粉末に摩砕した(4〜10g)。3種の異なる溶媒(水の代わりに培養液、エタノール、および酢酸エチル)を用いて、上行性極性でキノコ菌糸体から抗酸化化合物を抽出した。担子菌類培養の間の培養液中の抗酸化物質の存在に関する文献データは存在しなかったが、これらのキノコは、これらの化合物を細胞外に蓄積することができると想定される。したがって、選別したキノコの全抗酸化活性を正確に評価するために、菌バイオマスからの抗酸化物質の抽出のために水の代わりに適当な培養液を用いることを決定した。
【0064】
最初の段階で、菌糸体を、培養液(1g/10ml)によって80℃で(水浴を用いて)3時間抽出した。抽出後、不溶性化合物を6000rpmで15分間遠心分離によって分離させ、WathmanフィルターペーパーN4を通してろ過した。ろ液を蒸発させた。次いで、遠心分離後の残渣を、150rpmで回転式振とう器上、エタノール(80%)によって27℃で3時間連続的に抽出した。抽出後、溶液を遠心分離にかけ、ろ過し、有機溶媒を抽出物から蒸発させた。
【0065】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の培養液からの抗酸化物質の抽出。バイオマスろ過後、培養物の発育培地のpHは、96%硫酸を用いて2.0に低下させた。1菌株当たり1リットルの発育培地を500mlの酢酸エチルで3回分離させ、抽出物−溶媒混合物を、ガラス製化学的分離器を用いて0.5lの蒸留水で1回洗浄した。樹脂(または粉末)が生成されるまで、抽出物−溶媒混合物を溶媒蒸発用の化学フード中に放置し、これは、予め計量した4mlのプラスチック管に採取した、実際の粗菌類抽出物に相当した。抽出物すべてを、最終濃度50mg/mlに99.9%ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、エッペンドルフチューブ中に分配し、使用前に70℃で保った。
【0066】
抗酸化活性アッセイ
β−カロテン漂白法。C.コマトゥス抽出物の抗酸化活性は、β−カロテン漂白法に従って決定した。1mlのβ−カロテン(Sigma)溶液(クロロホルム中0.2mg/ml)、0.02mlのリノール酸(Sigma)、および0.2mlのTween80(Sigma)を含有する試薬混合物を窒素の流れ下で蒸発乾固させた。50ミリリットルの含酸素蒸留水および異なる濃度(2〜8mg/ml)を有する0.2mlのキノコ粗抽出物(エタノールまたは培養液)を添加した。純メタノールまたは水(0.2ml)を対照として用い、そのブランクは、β−カロテンを除く当初の化学物質すべてを含有した。次いで、これらの混合物すべてを振とうして、リポソーム溶液を生成させ、次いで、50℃で2時間インキュベートした。これらのリポソーム溶液のアリコート(1ml)の470nmでの吸光度を、20分の時間間隔で分光光度計によりモニターした。ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(Sigma)(メタノール中2mg/ml)を標準として用いた。β−カロテンの漂白速度(R)を標準として用いた。β−カロテンの漂白速度(R)は、式(1)によって計算した
R=ln(a/b)/t 式(1)
(ここで:ln−自然対数、a−時間0における吸光度、b−時間tにおける吸光度、およびt−インキュベーション間隔20、40、60、80、100、または120分)。
【0067】
抗酸化活性(AOA)は、対照に対する阻害パーセントに関して、式(2)を用いて計算した
AOA=[(R対照−R試料)/R対照]×100 式(2)
【0068】
1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルに対する捕捉活性。C.コマトゥス由来の抽出物の捕捉活性は、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルに対して測定した。メタノール中0.1mMのDPPHラジカル(Sigma)0.5mlのアリコートを、異なる濃度(0.5から9mg/mL)のキノコのエタノールまたは水抽出物1mLを有する試験管に添加した。対照として、キノコ試料の代わりにメタノールまたは水を用いた。この反応混合物を室温で、ボルテックスにより混合し、分光光度計によって520nmで測定することによって、吸光度を混合直後に決定した。DPPHによるフリーラジカルの阻害は、以下のとおりに計算した:I(%)=(Aブランク−A試料/Aブランク)×100(ここで、Iは、阻害(%)、Aブランクは、対照反応物(試験化合物を除くすべての試薬を含有する)の吸光度、A試料は、試験化合物の吸光度である。50%阻害(EC50)を与える抽出物濃度は、抽出物濃度に対するラジカルパーセンテージの捕捉活性のグラフから計算した。1mg/1mlのメタノールの濃度におけるブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を標準として用いた。各値を、平均±標準偏差(n=3)として表す。
【0069】
3.液内コプリヌス・コマトゥス由来の抽出物の生物活性についての試験
実験作業のための細胞培養物の調製。癌細胞培養物に関する実験作業すべては、滅菌生物学的フード内で行った。各実験の前に、細胞をトリプシン処理し、採取し、与えられた実験の必要性に応じて適当な細胞量を播種するために数えた。
【0070】
MCF7乳癌細胞培養物は通常、フラスコ底に付着して増殖する。使用のためにこれらの細胞を調製するために、使い捨てピペットを用いて培地をフラスコから廃棄し、次いで、1〜2mlのトリプシンを2〜3分間添加した。トリプシン処理の間、細胞を、加湿インキュベータ中37℃で保持した。トリプシン処理を停止させるために、フラスコ底から細胞を分離させ、用いたフラスコの大きさに応じて5〜10mlの新鮮な培地を加えた。細胞をマルチピペット採取によって十分混合し、100μlの細胞懸濁液を0.4%のトリパンブルー溶液100μlで染色し、十分に混合し、トリパンブルー排除法に従って血球計を用いて顕微鏡下で数えた。
【0071】
利用できる細胞数を確立後、細胞懸濁液をさらに希釈し、各実験の要件に応じて特定数の細胞を播種した。さらなる実験作業のために利用できる細胞系を再増殖および維持させるために、一部の細胞を常に保持した。細胞系すべてのストック懸濁液を液体窒素で保持し、実験細胞培養物を2〜3ヶ月ごとに1回更新した。
【0072】
細胞溶解、全細胞溶解物の調製。粗菌類抽出処理への応答として特定のタンパク質の細胞内レベルを測定するために、細胞を採取した後に毎回、全細胞の溶解を行った。全細胞溶解の抽出手順を、以下に記載する。
【0073】
細胞を採取し、3,000rpm、4℃で5分間遠心分離によって冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。最終の細胞量をエッペンドルフチューブに採取し、最後の洗浄から残ったPBSを廃棄し、その結果、細胞ペレットだけを各チューブに残した。細胞溶解に関して、毎回、新たに調製した溶解緩衝液を、以下の含有量で用いた:試料の数に依存して500〜1000μLの細胞溶解試薬、タンパク質分解酵素抑制剤カクテル、および1%の最終濃度でホスファターゼ阻害剤カクテル1およびカクテル2の両方、ならびに0.3Mのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)。溶解緩衝液50μLを添加し、試料を10分ごとに激しくボルテックスして氷上で30分間インキュベートし、13,000rpm、4℃で10分間最終の遠心分離にかけた。全細胞溶解物に相当する上清を、新しいエッペンドルフチューブに移し、−70℃で保存する一方、細胞ペレットは廃棄した。
【0074】
H2O2刺激によるPIκBα動力学。25mlのプラスチック製フラスコを用いて、MCF7乳癌細胞(2×105個)を5mlのRPMI1640培地に播種し、37℃に維持した。24時間後、血清中に示される増殖因子によるシグナル伝達カスケードの活性化を最小化するために、増殖培地を、0.5%FCSを含有する培地と置き換えた。24時間後、細胞に50または100μMのH2O2を5分、10分、20分、30分、40分、および60分間補給して、MCF7乳癌細胞系におけるH2O2刺激後の阻害タンパク質カッパB(IκBα)リン酸化を検出した。
【0075】
対照として、H2O2処理なしを用い、それによってpIκBαの動力学を決定した。細胞を採取し、洗浄し、前に記載したとおりに溶解させた。実験を二通りで行った。
【0076】
IKKキナーゼアッセイ。IκBキナーゼ複合体(IKK−β)活性は、Ser32およびSer36のIKK−βリン酸化部位を包含する50アミノ酸GST−IκBα融合ポリペプチド基質を用いるELISAベース活性アッセイである、IKK−β−阻害剤選別キット(Calbiochem、米国)によって評価した。100ngのGST−IκBα基質および5ngの組換えIKK−βを、600nMのIKK−β阻害剤5−(p−フルオロフェニル)−2−ウレイド]チオフェン−3−カルボキサミド(Fuct)、および100または200μg/mlのコプリヌス・コマトゥス抽出物の存在下でインキュベートした。反応混合物を、グルタチオンで前コートしたウェルに添加し、GST−IκBαの捕獲を可能にした。抗ホスホ−IκBα(Ser32/Ser36)抗体を用いて、リン酸化GST−IκBα基質を検出し、続いて、HRP共役化し、TMB基質で発色させた。吸光度を450nmでモニターし、IKK−β活性のレベルと直接関係づける。
【0077】
デンシトメトリー分析。ウエスタンブロットにより検出した、タンパク質バンドのデンシトメトリー定量分析は、TotalLabソフトウェアを用いて行っており、タンパク質バンドの容量の倍数として示す。菌類抽出物の作用への応答におけるpIκBαレベルに対するウエスタンブロットのデンシトメトリー分析は、対照値の平均±SDとして示す。
【0078】
4.コプリヌス・コマトゥスの内容物および化学組成
コプリヌス・コマトゥスの多糖類組成の分析
CBS123401の液内培養菌糸体バイオマス(10g)を、沸騰96%エタノール(300ml)で2時間洗浄した。不溶性残渣(8.2g、82%)を、オートクレーブ中水(300ml)によって120℃で1時間、2回抽出した。抽出物のごく一部を乾燥させ、NMRで分析し、残部を透析し、100mlに濃縮し、120000gで3時間、超遠心分離機にかけ、脱色のために数滴の臭素で溶液を処理し(この後、一部のタンパク質を沈殿させ、遠心分離で除去した)、Sephadex G−50上でゲルクロマトグラフィーにより分離して、様々な割合でデンプン、β−グルカンおよびガラクタンを含有する3画分(150、220、および130mg)を得た。不溶性残渣(5.8g)を沸騰5%KOHで3時間抽出し、溶液を透析し、上記のとおりに処理して、タンパク質−β−グルカン混合物(300mg)を得た。
【0079】
メチル化分析。試料(1〜3mg)を1mlの乾燥DMSOに100℃で溶解させた。不溶性グルカンを一晩そのままにしたが、依然として完全に溶解しなかった。室温に冷却後、粉末にしたNaOH(約30mg)を添加し、混合物を30分間撹拌し、0.5mlのMeIを添加し、30分間撹拌を続け、過剰のMeIを空気流で除去し、水(5ml)を添加した。可溶性試料について、生成物をCH2Cl2で抽出し、水で洗浄し、3M TFAで加水分解し(120℃、3時間)、NaBD4で還元し、アセチル化し、GC−MSで分析した。不溶性化合物は、透析により回収し、もう一度メチル化した。
【0080】
NMR実験は、標準パルスシーケンスDQCOSY、TOCSY(混合時間120ミリ秒)、NOESY(混合時間200ミリ秒)、HSQCおよびHMBC(100ミリ秒 長期トランスファディレイ)を用いて、アセトン内部標準(1Hについて2.225ppmおよび13Cについて31.5ppm)を有する25℃でのVarian Z勾配プローブを備えたVarian INOVA 500MHz分光計によって行った。データ処理は、Bruker Topspinプログラムで行った。
【0081】
単糖類分析。試料(1〜5mg)を、濃HCl(0.2ml)に40℃で1時間溶解させ、イノシトール標準(0.5mg)を添加し、混合物を水(0.4ml)で希釈し、100℃で2時間加熱した。酸を空気流下で蒸発させ、糖をNaBH4(10mg、30分)で還元し、AcOH(0.5ml)を添加し、試料を乾燥させ、次いで、MeOH(1ml)から2度乾燥させ、0.5mlのAc2Oでアセチル化し、乾燥させ、GCで分析した。この手順により、不溶性ポリマーからのグルコースおよびグルコサミンの回収は改善されるが、ペントースおよび6−デオキシヘキソースは部分的に分解する。それらの正確な定量化を得るために、加水分解を3M TFAで行った(120℃、3時間)。
【0082】
メガザイムキットによるβ−グルカン決定。全般説明:すべてのグルカンを濃(37%;10N)塩酸に可溶化し、次いで、1.3N HClにより100℃で2時間、十分に加水分解した。D−グルコースへの加水分解は、高精製exo−1,3−β−グルカナーゼおよびβ−グルコシダーゼの混合物によるインキュベーションで完了させる。この手順は、製造者指図書に対して10分の1で規模を縮小した。
【0083】
オリゴ糖中の全グルカン(α−グルカン+β−グルカン)プラスD−グルコース、スクロースおよび遊離のD−グルコースの測定。グルカンを、試料(約10mg)から、時々ボルテックス撹拌して、濃塩酸(0.2ml)で30℃にて45分間抽出した。酸を水で5倍に希釈し、加水分解を100℃で2時間行った。酸を1mlの2M KOHで中和し、混合物を200mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で10mlに希釈し、1500gで10分間の遠心分離で清澄化した。0.01mLの抽出物に、0.1mlの水および0.1mlの、exo−1,3−β−グルカナーゼ(20U/mL)プラスβ−フルコシダーゼ(4U/ml)の200mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)中混合物を添加し、混合物を40℃で60分間インキュベートした。3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ混合物(GOPOD)を添加し、40℃で20分間インキュベートした。510nmでの吸光度をその試薬ブランクに対して測定した。
【0084】
スクロース中α−グルカン(フィトグリコーゲンおよびデンプン)+グルコース、および遊離のd−グルコースの測定。試料(10mg)を、撹拌しながら、0.2mlの2M KOHで20分間抽出した。0.8mLの1.2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.8)、続いて0.02mLのアミログルコシダーゼ(1630U/ml)プラス転化酵素(500U/mL)を添加し、断続的に混合しながら40℃で30分間インキュベートした。試料を水で10mlに希釈し、遠心分離で清澄化し、0.01mlの試料を、0.01mlの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)および0.3mLのGOPOD試薬と混合し、40℃で20分間インキュベートし、510nmにおける吸光度を試薬ブランクに対して測定した。試薬ブランクは、0.2mLの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)+3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ試薬からなる。D−グルコース標準は、0.1mLのD−グルコース標準(1mg/mL)+0.1mLの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)+3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ試薬からなる。
【0085】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体由来のレクチン画分の抽出。
50gの湿重量を有するコプリヌス・コマトゥス菌糸体バイオマスを、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリドを含有するPBS(40mM KH2PO4、150mM NaCl;pH7.4)下で均質化した(1/6 w/v)。ホモジェネートを4℃で2時間保ち、次いで、8000gで20分間遠心分離にかけた。80%飽和の(NH4)SO4を、タンパク質画分の沈殿のために用いた。混合物を一晩4℃で放置させた。沈殿物を、12000gで20分間の遠心分離処理により採取し、最小容量のPBSに溶解させ、蒸留水中、次いでPBS中で連続的に透析した。得られた抽出物を、タンパク質の量、レクチン活性、および糖特異性について分析した。
【0086】
レクチンの赤血球凝集能のアッセイ。レクチンの赤血球凝集能を測定するために、トリプシン処理した赤血球懸濁液を用いた。ウサギの血液を、150mM NaClを含有する150mMクエン酸三ナトリウム緩衝液中に採取した。10容量の洗浄緩衝液(PBS)で3回赤血球を洗浄することによって、赤血球懸濁液を新たに調製した。次に、4%赤血球懸濁液のトリプシン処理を37℃で1時間行い;次いで、赤血球を洗浄し、同じ緩衝液中に2%懸濁液(v/v)として懸濁させた。
【0087】
レクチン(赤血球凝集)活性のアッセイでは、レクチン溶液のマイクロタイターU−プレート(50μl)中連続的2倍希釈液を、PBS(pH7.4)中ウサギ赤血球細胞の2%懸濁液50μLと20℃で混合した。結果を1時間後に記録した。赤血球凝集を示す最大希釈の逆数として定義される、赤血球凝集力価は、1赤血球凝集単位に等しかった。特異性活性は、タンパク質1mg当たり赤血球凝集単位の数である。
【0088】
レクチンの糖結合特異性。様々な炭水化物による、レクチン誘導赤血球凝集の阻害の調査は、赤血球凝集試験と類似の方法で行った。糖試料(0.3M)は、リン酸緩衝生理食塩水中で調製した。希釈液のすべては、等容量(25μL)のレクチン溶液と混合した。混合物を室温で30分間放置させ、次いで、50μLの2%ウサギ赤血球懸濁液と混合した。糖結合特異性は、力価4のレクチンの赤血球凝集の阻害に必要とされる各糖の最小濃度として表した。N−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc);N−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)、D(+)ガラクトース(Gal);D(+)グルコース、D(+)ラクトース(Lac);D(+)マンノース、キシロース、セロビオース、およびズルシトールを、レクチンの糖結合特異性の検出について試験した。
【0089】
5.品種トレメッラ・メセンテリカCBS123296の特性;三角フラスコおよび発酵装置中単細胞バイオマスの液内培養。
トレメッラ・メセンテリカの培養物の調製。トレメッラ・メセンテリカの子実体を、イスラエルでカシ属(Quercus sp.)の種の朽ちた木の上で採取した。担子菌類紋は、保湿室内の滅菌ペトリ皿下に置いた新鮮な子実体から、湿度をゆっくり低下させることによって得た。滅菌水中のその胞子懸濁液をペトリ皿中の麦芽寒天の表面上に広げて、単胞子培養物を担子菌類紋から発生させた。発芽担子菌類を立体顕微鏡下で調べ、酵母様出芽性細胞由来の若いコロニーを麦芽寒天(MA)の斜面上に移した。
【0090】
第1工程の液内培養物のためのトレメッラ・メセンテリカ菌株の酵母様1倍体細胞の接種物を、滅菌水中MA斜面上の8日齢培養細胞の懸濁液として調製した。発酵培地を、液内培養物で接種して、多糖類生産のための処理を冷蔵の軌道式振とう器中220rpm、27℃で行った。
【0091】
多糖類生産は、遠心分離により菌株生産体の細胞を分離後に、2容量のエチルアルコールによる培養ブロス上清のアルコール沈殿によって推定した。発酵の最後に培養ブロスから得た粗沈殿物は、細胞外多糖類および菌株生産体の細胞の両方を含有する。
【0092】
5.0g/lのFeSO4・7H2O;0.625g/lのMnSO4・H2O;0.435g/lのZnSO4・7H2Oおよび0.2g/lのCuSO4・5H2O(g/l)から構成される微量元素混合物(微量栄養素)を別に調製し、滅菌培地に添加した。微量元素混合物を培地に1:100に希釈して添加し、最終カチオン濃度(mg/l):Fe++−10.0;Mn++−2.0;Zn++−1.0;Cu++−0.5を得た。
【0093】
微量元素の水酸化物の沈殿生成を防止するために、オートクレーブ処理による滅菌前に、微量元素溶液のpHを50%H2SO4で1.6〜1.8に調整する。
【0094】
決定した組成の培地を、ペプトンおよび酵母抽出物(Pronadisa)ならびにミネラル塩(Sigma)から発生させた。
【0095】
6.トレメッラ・メセンテリカの内容物および化学組成
トレメッラ・メセンテリカCBS123296の酸性グルコロノキシロマンナンの決定。発酵培地上の培養の最後の培養ブロスを脱イオン水で3倍に希釈した。菌株生産体細胞を、Eppendorf5403遠心分離機中5000rpm、4℃で10分間遠心分離により分離させた。上清を、2容量のエチルアルコールと混合し、粗多糖類を沈殿させた。培養ブロスから沈殿した多糖類の混合物を水に溶解させ、Amberlite IR−120(H+−型)で満たしたクロマトグラフィーガラス製カラムを通過させた。酸性グルコロノキシロマンナンを、沈殿物が生成されなくなるまで、10%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)水溶液を徐々に添加することによって、採取画分から沈殿させた。不溶性CPC複合体は、遠心分離で採取し、10%塩化ナトリウム中に溶解させた。不溶性粒子を遠心分離で分離後、酸性多糖類を2容量のエタノールを添加して沈殿させた。
【0096】
精製多糖類を、沈殿物を水に溶解させ、続いてアルコールで繰り返し沈殿させることによって得た。
【0097】
7.トレメッラ・メセンテリカ調製物のインターフェロン生成および免疫調節特性。
血漿中のIFNレベルおよび食細胞の機能活性の決定。血漿中のIFNレベルは、マウス線維芽細胞L−929の培養物中試験ウイルス(水疱性口内炎のウイルス、Indiana菌株−VSV)の細胞変性影響の抑圧により推定した。96小孔培養パネルの小孔を、100μLの細胞懸濁液(1×106個細胞/mL)で満たし、5%CO2の雰囲気中37℃で18時間インキュベートし、次いで、100μLの2倍希釈試験試料を添加した。18時間後、予め滴定したVSV作業用希釈物50μLを添加した。パネルを同一条件下でインキュベートした。結果を顕微鏡下で評価した。試験ウイルスの細胞変性影響に対して50%の細胞防護を与えた、最終IFN希釈の逆数を、IFN活性単位と仮定した。IFN力価は、単位/mlで表した。
【0098】
血漿中のTNFの生物活性は、マウス線維芽細胞L−929上の細胞溶解作用により評価した。指標細胞懸濁液(5×106個細胞/ml)を、100μLを複数回に分けて、フラット底96小孔培養パネル中に導入し、5%CO2雰囲気中37℃で24時間培養した。次いで、培地を小孔から除去し、100μLの試験試料および100μLの、アクチノマイシンD(最終濃度1μg/ml)を含有する培地を、細胞の単層に添加した。試験試料なしで培養した細胞は、対照としての役目をした。インキュベーション24時間後に、培地を除去し、細胞を、クリスタルバイオレットの0.2%溶液によって室温で10分の間染色し、水で3回洗い落とし、37℃で乾燥させた。
【0099】
波長550nmでMulti−scan DYNARECH(Swiss)を用いて、結果を評価した。
【0100】
TNF活性は、細胞毒性指数(CI)以外を評価し、これは、以下の式:CI=(K−D)/K×100%(ここで、Kは、対照小孔における光学密度であり、Dは、試験小孔における光学密度である)を用いて計算した。
【0101】
「VECTOR](Ukraine)により作製したTNF組換え調製物「Rifnamen」を、TNF試験に用いた。
【0102】
食作用系の機能活性は、細胞化学法によってニトロブルーテトラゾリウム回収(NBT試験)で調査した。
【0103】
8.トレメッラ抽出物、および植物ウイルスに対する植物抵抗性
ウイルス:タバコモザイクウイルス(TMV)、菌株U1;
植物:自然の照明、湿度、および温度の条件下の温室で栽培された、タバコ(ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum L.)品種Immune580およびシロバナヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium L.)。4〜6葉期の植物を実験に用いた。
【0104】
一部修正したKovalenko法を用いて、トレメッラ・メセンテリカの培養液から抽出した多糖類を本試験で用いた。中性多糖類から酸性グルクロノキシロマンナン(GXM)を単離するために、本発明者らは、0.05M CaCl2の存在下でアセトンと水の溶液(1:1)からのその沈殿を適用した。ガスクロマトグラフィーを、ピリジニウム−アセテート緩衝液、pH4.5(1L水中4mLピリジンおよび10mL AcOH)中Sephadex G−50(2.5×80cm)上で行い、溶出液を屈折率検出器でモニターした。
【0105】
インビトロの実験において、全調製物、中性多糖調製物、ならびに10、100、500、および1,000μg/mLの濃度の純粋GXMの水溶液を、TMV(10μg/mL)の懸濁液に添加した。30分かけてインキュベートした後、チョウセンアサガオ属の葉の左半分にこの混合物を接種した。葉の右半分に多糖類なしの同じ濃度でのTMVを接種した。ウイルス感染の阻害度、またはVIRを、以下の式:I=((K−D)/K)100%(ここで、Iは、ウイルス阻害度またはAVRのレベル、%であり;Kは、対照における局所損傷の数(大きさ)であり;Dは、実験における局所損傷の数(大きさ)である)で、葉の、実験の半分および対照の半分上の局所損傷の数によって(パーセンテージで)数えた。
【0106】
GXMの誘導特性の調査は、タバコおよびチョウセンアサガオ属の植物で行った。この目的のために、1000〜2500μg/mLの濃度での多糖類の水素溶液を、葉の左半分の細胞間空間中に1mL(インスリン)注射器で注射した。葉の2つの半分にTMV(1〜5μg/mL)を接種した。AVRの程度は、上記の式によって考慮した。
【0107】
植物抵抗性のGXM誘導機構を研究する場合、本発明者らは、RNA−ポリメラーゼを遮断することによりmRNAのDNA依存性合成を阻害するアクチノマイシンD(AMD)を用いた。10および20μg/mLの濃度でのAMDならびにラムノリピド(RL)−1mg/mLの溶液を、同時にまたはGXM後の一定時間を経て、表皮下に導入した。局所損傷の数および大きさの差は、スチューデント(t)検定の基準で評価し;得られたα−値は、以下の記号:+++P≦0.01%;++0.1<P≦1%:+1%≦P≦5%;0p>5%で表に示す。
【0108】
(例1)
品種コプリヌス・コマトゥスCBS123401の特性
純粋培養における植物性菌糸体。菌糸体コロニーは、白く、綿状で、しばしば、「タフト」(菌糸集合体)を成熟とともに発達させる。非対称に形状化して、通常、外側端部に沿って菌糸体マットを形成する。クランプ連結、融着、および髪様結晶がしばしば、菌糸上に存在する。
【0109】
菌傘3〜15cm;若いときに卵形から丸みを帯びた円筒形、つり上げ縁を有する鐘形状に膨張する;年齢が増すとともに黒色の「インク(ink)」に変化する;乾いている;茶色がかった中心を有して白っぽい;大きくて、毛羽だった鱗片;成熟時にしわを寄せた縁。茎をもたないラメラ;白色、ピンクがかって、次いで、黒色になる;黒色「インク」に変わる;非常に混んでいる。柄5〜20cm長;1〜2cm厚さ;しばしば頂点まで先細になる;滑らか;白色;傘から容易に分離できる;中空、内部に垂れ下がる繊維の筋様ストランド;内容物は全体に白色で、軟らかい。胞子紋は黒色。担子胞子 9〜13×7〜9μm;楕円形;滑らか;中心からわずかに偏心した孔。担子器 4胞子、28〜43×10〜13μm、5〜8個の偽副生体で囲まれる。側シスチジアなし。縁シスチジア 様々な形状;最大60×40μm。毛状被は、7〜30μ幅の円筒要素でできている。不完全なクランプだけが存在する。
【0110】
生息場所。しばしば予期されない場所、例えば、街の緑地などに群で生育する。草地および牧草地に広く出現する。
【0111】
(例2)
コプリヌス・コマトゥスの抗酸化活性の評価
2.1 乾燥させた液内培養キノコ菌糸体からのバイオマスおよび抽出物の収量
選別日程の間に高等担子菌類キノコの液内培養のために選択した栄養培地は、選択した種すべての発育を確実にした。しかし、同一の培養条件におけるコプリヌス・コマトゥスCBS123401キノコ培養8〜11日後の菌糸体バイオマスの収量は、6.8g/lであった(表1)。
【0112】
乾燥させ摩砕したキノコ菌糸体からの可溶性化合物の抽出は、培養液(水に代えて)およびエタノールで行った。種々の菌株から得られた抽出物の中での収量の有意差が明らかになった。さらに、キノコバイオマスから得られた抽出物の収量は、使用した溶媒に有意に依存した。コプリヌス・コマトゥスCBS123401バイオマスの培養液による抽出は、23.2%の抽出物を生じさせた。
【0113】
エタノールによる抽出は、あまり有効でなく、試験菌株上で用いた弱い可溶化剤は、単に8.5%を生じさせただけであった。
【0114】
2.2 液内培養コプリヌス・コマトゥスCBS123401キノコ菌糸体からの水(培養液)およびエタノール抽出物の抗酸化活性
表2に示すデータは、コプリヌス・コマトゥスCBS123401から得られた水(培養液)抽出物の抗酸化活性(AOA)を示す。2mg/mLの濃度のC.コマトゥスCBS123401水抽出物を用いた場合、非常に高いAOAが明らかになった。わずかに低いAOAが、コプリヌス・コマトゥスCBS123401菌糸体バイオマスからの水抽出物で観察された。これら抽出物すべての阻害値は、事実、試薬混合物中のそれらの濃度の増加に伴って変化しなかった。
【0115】
キノコバイオマスからのエタノール抽出物のAOAは、高等担子菌類の種に大きく依存しただけでなく、試薬混合物中の抽出物濃度の変化にも依存した。エタノール抽出物の濃度が、2mg/mlから4〜8mg/mlに増加した場合、コプリヌス・コマトゥスCBS123401からの抽出物のAOAは、74.4から86.4%に増加した(表3)。
【表2】
【表3】
【0116】
2.3 液内培養キノコ菌糸体からの水(培養液)およびエタノール抽出物のフリーラジカル捕捉活性
フリーラジカル捕捉は、公知の機構の1つであり、それにより抗酸化物質は、脂質酸化を阻害する。1,1−ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)フリーラジカルを捕捉する方法を用いて、抗酸化活性を評価した。520nmにおける特徴的な吸収を有する安定なフリーラジカル生成物質であるDPPHを用いて、抽出物のラジカル捕捉効果を試験した。吸光度の低下は、ラジカル捕捉の程度の指標と考えられる。
【0117】
水およびエタノールの抽出物の最も高いフリーラジカル捕捉活性が、0.5mg/ml(それぞれ、27.0%および22.0%)の試料濃度で測定されたが、それらの値は、標準(92.0%)のものより非常に低かった(表4および表5)。
【0118】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401のエタノール抽出物のフリーラジカル捕捉能は、22から1に低下し、試料濃度は、0.5から9mg/ml%に、それぞれ増加した(表5)。
【表4】
【0119】
表5および表6に示されるDPPH捕捉効果に対する効果濃度の値は、水およびエタノールの抽出物の両方のEC50が、1mg/mL付近であるようにみえた証拠を示す。
【表5】
【0120】
(例3)
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体からの水(培養液)および酢酸エチル抽出物の生物活性についての試験
3.1 H2O2による、MCF7細胞におけるNF−κB刺激後のpIκBαレベル
薬用キノコについての多くの研究により、食餌療法用サプリメントおよび免疫促進物質としてだけでなく、様々な細胞応答のモジュレータの供給源としても、それらの外にない潜在性が分かった。その化学療法計画の大部分の実際の成功にもかかわらず、細胞適応は、腫瘍細胞を多くの化学療法剤に対して抵抗性にさせることを可能にしてきた。これらの細胞化学物質抵抗性因子の1つは、核因子カッパB(NF−κB)であり、これは、腫瘍増殖を促進することが示された。NF−κBの活性は、IκBタンパク質との相互作用によって強固に制御される。NF−κBタンパク質と同様に、個々のNF−κB複合体に対する異なる親和性を有するいくつかのIκBタンパク質があるが、いくらか異なって制御され、組織特異的様式で発現される。
【0121】
細胞外刺激は、2種の保存セリン(IκBαにおけるSer32およびSer36)上のIκBをリン酸化するIκBキナーゼ(IKK)の活性化をもたらす。このリン酸化は、プロテアソームの分解に対するIκBを特徴づけ、核転座およびNF−κBの活性化を引き起こす。これは、NF−κB活性化の古典的経路と考えられる。NF−κB活性化のいくつかの代替経路が、説明されてきた。NF−κBの活性化の現在の研究では、過酸化水素が用いられ、これは、周知のNF−κB活性化剤であり、強力な酸化試薬である。予備データにより、100μMのH2O2による10分の処理は、最高レベルのpIκBαをもたらし、10μMの、公知の抗酸化物質および抗癌試薬であるクルクミンによる処理は、pIκBαレベルを著しく阻害したことが示された。MCF7細胞を、増加する期間、50および100μMのH2O2で刺激した。20分間および40分間の50μMのH2O2刺激は、H2O2が添加されていないDMSO(ジメチルスルホキシド)処理細胞である対照と比較して、高レベルのpIκBαを示した。最高レベルのpIκBαは、10分の刺激における100μMのH2O2処理細胞により示された(図示せず)。したがって、pIκBαレベルに対する抽出物の潜在効果を調べる最良の条件は、選択された菌類抽出物と一緒の10分のH2O2刺激において確立された。
【0122】
(MCF7細胞を、増加する期間、50および100μMのH2O2で刺激した。10分間隔における100μMのH2O2による刺激により、H2O2が添加されないDMSO処理細胞を用いる対照と比較して、最高レベルのpIκBαが示された。データは、2つの同様の実験の1つの結果を示す)。
【0123】
3.2 細胞生存度に対するコプリヌス・コマトゥスCBS123401粗抽出物の効果
現実験では、コプリヌス・コマトゥスCBS123401を調べた。C.コマトゥス培養液(水)(E1)および酢酸エチル(E2)の粗抽出物を、それらのMCF7細胞系の細胞生存度に影響を与える能力について試験し、IC50を計算した。抽出物E2は、最も強力であるようにみえ、IC50は32μg/mlであり、E1が続き、IC50は76μg/mlであった(表6)。これらの結果は、C.コマトゥスCBS123401抽出物の活性部分が、抽出物E2で濃縮されることを示す。抽出物E1は、有意な仕方で細胞生存度に影響を与えなかったが、このアッセイにより、抽出物E2が、E1よりもより高い増殖阻害活性を示すことが明らかとなっており、E2が、抗癌活性可能性を有する一部の生物活性化合物を保有し得ることが主張される。
【表6】
【0124】
細胞を、増加する濃度のコプリヌス・コマトゥス抽出物で処理した。48時間後、細胞を採取し、0.4%トリパンブルー溶液(1:1)で染色し、血球計を用いて数えた。細胞生存度の阻害パーセントは、DMSO処理した対照に対して計算した。値(μg/ml)は、2通りの実験の平均IC50±標準偏差として表す。
【0125】
3.3 IκBαリン酸化に対するコプリヌス・コマトゥスCBS123401粗抽出物の効果
NF−κB経路は、制癌剤発見における最も有望な目標の1つとして浮上してきている。コプリヌス・コマトゥスCBS123401抽出物は、NF−κB活性化経路を調節することが見出された。pIκBαレベルに対する、C.コマトゥスの2種の抽出物、E1およびE2の効果を確立するために、MCF7細胞を上記のとおりに100μMのH2O2で10分間刺激した。予備データは、100μMのH2O2による10分の処理が、最高レベルのpIκBαを引き起こすことを示した(図示せず)。C.コマトゥス抽出物を、それらの、H2O2による10分の細胞刺激でIκBαリン酸化に影響を与える能力について試験した。結果は、両方の抽出物が、用量依存性様式でIκBαリン酸化に有意に影響を与えることを示した。有機抽出物E2は、用いた両方の濃度(100および200μg/mL)でIκBαリン酸化の最も活性な阻害剤であるように思われた。図2に示すとおりに、抽出物E2は、濃度200μg/mLでIκBαリン酸化をほぼ完全に阻害し、100μg/mLの濃度でリン−IκBαレベルの部分的な阻害を引き起こした。抽出物の効果は、それもまた高いリン−IκBα阻害効果を実証したクルクミンの効果に匹敵する(図2)。
【0126】
これらの結果と対照的に、100および200μg/mlの濃度での抽出物E1は、IκBαのリン酸化を部分的に阻害しただけであった(図3)。
【0127】
E2抽出物が、E1抽出物よりも非常により強力な阻害剤であったということは、脂質可溶性物質が、NF−κB経路の非常に強力な阻害剤であることを示す。
【0128】
3.4 IKK活性に対するコプリヌス・コマトゥスE1およびE2抽出物の効果
NF−κBの主要な活性化剤は、IκBキナーゼ複合体(IKK)である。この複合体は、2つの触媒サブユニット、IKK−αおよびIKK−β、ならびに調節サブユニット、IKK−c(NEMOとしても知られる)を包含する。NF−κB経路は、細菌およびウイルス感染、ならびに炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(例えば、腫瘍壊死因子a(TNF−a)、リポ多糖類(LPS)、インターロイキン(IL−1、IL−6)など)(これらのすべては、IκBαのN末端に近い2個の特定のセリンのIKKβによってIKK複合体リン酸化を活性化し、これは、プロテアソームによるユビキチン化および分解についてIκBαを標的とする)によって誘導される。NF−κBの活性化をもたらすほとんどすべてのシグナルは、セリン特異的IKKを含有する高分子量複合体の活性化に集中している。IKK複合体の活性化は、IκBαのN末端の近くの2つの特定のセリンのIKKβによるリン酸化をもたらし、これは、プロテアソームによるユビキチン化および分解についてIκBαを標的とする。
【0129】
上記の結果に基づいて、本活性抽出物のNF−κB阻害効果は、IκBαリン酸化の上流にあるNF−κB経路の調節によると思われた。IKK複合体は、セリン32および36でIκBαをリン酸化し、これは、26SプロテアソームによるIκBαのユビキチン化および分解をもたらす。E1およびE2がIKK活性に影響を与えるかどうかを確立するために、ELISAベースIKK活性アッセイを適用した。IKK活性に対するE1およびE2の抽出物の効果は、図4に示す。得られたデータは、E2抽出物だけが、未処理試料の対照と比較して、IKK複合体の活性を阻害することを示した。さらに、E2は、用いた正の対照、5−(p−フルオロフェニル)−2−ウレイド]チオフェン−3カルボキサミド(Fuct)の効果、およびMO04−マラスミウス・オレアデス(Marasmius oreades)酢酸エチル粗抽出物に匹敵する、強力な効果を示した。
【0130】
(例4)
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体の内容物および化学組成
コプリヌス・コマトゥスの液内培養菌糸体の化学組成は、本技術で周知の従来の方法によって確立し、表7および表8に開示する。
【0131】
4.1 化学内容物
【表7−1】
【表7−2】
【0132】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体は、17の遊離のアミノ酸を含有したが、その内の10個は、必須アミノ酸である(星印を有するもの):γ−アミノ酪酸*、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン*、イソレイシン*、ロイシン*、リシン*、メチオニン*、フェニルアラニン*、セリン、トレオニン*、トリプトファン*、チロシン、およびバリン*。
【表8】
【0133】
4.2 コプリヌス・コマトゥスCBS123401液内培養バイオマスの多糖類組成の分析
洗浄した細胞を、オートクレーブ中熱水によって120℃で1時間抽出した;沈殿物を遠心分離により除去した。少量の溶液を乾燥させ、NMRで分析した。スペクトル(図5)は、低分子量質量成分の強いシャープなシグナルおよび典型的なタンパク質−多糖類バックグラウンドを示した。この生成物の2次元スペクトルを記録し、低分子量質量成分を、モル比約1:1のトレハロース(α−Glc−1−1−α−Glc、キノコ、例えば、シイタケ(Lentinus edodes)、マイタケ(Grifola fondosa)、ナメコ(Pholiota nameko)、およびユダの耳(Auricularia auricula−judae)などのキノコの特徴的成分(これらは、乾燥重量形態で1%から17%パーセントのトレハロースを含み得る))、およびマンニトールと同定した。マンニトール含有量は、GC分析により推定した。マンニトール含有量は、GC分析により推定した:1%w/wのイノシトール(内部標準)を新鮮な細胞に添加し、混合物を無水酢酸ピリジンによって100℃で1時間アセチル化した。GC分析は、細胞のマンニトール含有量が3重量%であることを示したが、その結果としてトレハロース含有量は6%である(それは、マンニトールの分子質量の2倍の分子質量を有する)。
【0134】
水抽出後の残渣は、5%NaOHで処理した(100℃、3時間);沈殿物を遠心分離により除去した;溶液を透析し、乾燥させた;収量は400mgであった;タンパク質含有量は30%であり、炭水化物含有量は55%であった。
【0135】
全細胞、抽出物、および抽出後の残渣の単糖類の分析を行った;結果は表9および図6に示す。細胞および固形物残渣を、濃HClに40℃で1時間溶解させ、次いで、最終酸濃度2Mまで水で希釈した。他の試料は、2M HClに直接溶解させた。加水分解を100℃で2時間行い、生成物を乾燥させ、糖をアルジトールアセテートに変換し(NaBH4還元およびAc2Oによるアセチル化)、GCで分析した。不溶性β−グルカンは残渣中にそのまま残り、可溶性成分は抽出により徐々に除去されるので、抽出後の固形物残渣のグルコース含有量は増加する。
【表9】
【0136】
透析により水抽出物から低分子質量成分を除去することにより、比色試験により決定して25%炭水化物および40%タンパク質を含有する生成物が残った(多糖類に対しフェノール硫酸およびタンパク質に対しローリー法)。多糖類は、NMRスペクトルに基づいて、デンプン、β−グルカン、およびフコガラクタンと同定した。デンプンアミロース(細胞からの2%w/w)は、CaCl2沈殿により純粋形態で単離した。ガラクタン含有量は、単糖類分析から3%と推定した。全抽出物、および細胞のフコース含有量は、定量化には低すぎた。ガラクタンの構造は、NMRおよびメチル化により分析し、以下に示す:
【化1】
【0137】
水およびNaOHの抽出物由来の多糖類は、Sephadex G−50上でサイズ排除クロマトグラフィーにより部分的に分離した(図7)。デンプンは最初に溶出され、1H NMRスペクトルで同定した。ガラクタンも、空隙容積の近くに溶出され、これは、10,000Daと推定された、その分子質量についての公表データと一致した。Sephadex G−50についての空隙容積(排除容積)は、デキストランについて10,000Daである。ガラクタンは、卵形に近く溶出されたが、わずかに保持され(したがって、その分子質量は、排除質量より大きくなかった)、したがって、それは、10,000Daの最大質量を有した。それは、より低い質量画分にも示された。
【0138】
可溶性β−グルカンは、明確で支配的な質量はもたずに10,000から1000未満の広い分布の分子質量を有した。クロマトグラフ(図7)からわかるように、β−グルカンは、Sephafex G−50の全分画範囲にわたって、空隙容積から塩までの非常に広いピークとして選定された(500〜10,000Da)。純粋なβ−グルカンを調製することはできなかった;それは、いくらかの量のデンプン、ガラクタン、およびタンパク質を含有した。アニオン交換クロマトグラフィーでは、タンパク質の部分の除去のために、スペクトル品質が改善されたが、多糖類は完全に分離しなかった。グルカンの低分子質量のために、いくらかの量のグルカンは、透析およびゲルクロマトグラフィーの間に失われた。
【0139】
β−グルカンのメチル化分析により、末端、3−、4−、6−、および3,6−置換グルコース残基の2:1:0.3:3:1の比での存在が示された。メチル化分析により、側鎖は、主鎖のあらゆる第3のグルコースに結合していること、および側鎖の平均長は、3糖(t−Glc:6−Glc 約1:2、3−Glc:3,6−Glc 約2:1)であることが示唆される。4−および4,6−置換Glcの存在は、デンプンに由来し得る。2−および2,6−置換Galのピークは、ガラクタンに属した。
【0140】
β−グルカン画分のNMR分析は、霊芝(Ganoderma)グルカンに対するその類似性を示した(図8および表10)。その構造を以下に示す:
【化2】
(式中、mは、1から約10の間の整数であり、nは、約3に等しい整数である)。
【0141】
デンプンおよび不溶性β−グルカンの含有量の定量化について、Megazymeアッセイ「Mushroom and beta−glucan」を用いた。測定は、製造者の説明書に従って行った。細胞、水抽出細胞、水およびNaOH抽出細胞、水抽出物ならびにNaOH抽出物の試料を分析した。結果は、表11に示す。Megazymeアッセイ「Mushroom and beta−glucan」は、加水分解および酵素処理の組合せにより放出された全グルコースの測定、ならびにデンプン含有量の別個の測定に基づく。β−グルカン含有量は、最初の2つの数字の差として計算する。β−グルカンの直接の測定は、用いなかった。
【表10】
【表11】
【0142】
結論
この試験の結果は、コプリヌス・コマトゥスが、ガノデルマ・ルキドゥム(Ganoderma lucidum)キノコから抽出された可溶性β−グルカンと類似している、1,6−結合側鎖を有するβ−1−3−グルコース主鎖を有するβ−グルカンを産生することを示す。C.コマトゥスは、フコガラクタン、デンプン、トレハロースおよびマンニトールも産生し;これらの成分のすべては、キノコに以前に見出されたものである。可溶性β−グルカンは、低分子質量を有し、熱水で容易に抽出可能である。
【0143】
4.3 レクチン含有量。試験した種コルピヌス・コマトゥスCBS123401バイオマスは、赤血球凝集能を有する(表12)。非常に高いレクチンの赤血球凝集力価(18585)が、C.コマトゥスからのバイオマス抽出物から明らかになった。C.コマトゥスの特異的な赤血球凝集能は、62700Umg−1に達した。
【表12】
【0144】
データは、ラクトース、続いてGalNAcおよびガラクトースが、試験キノコのレクチンの赤血球凝集能の最も広範囲に及ぶ阻害剤であることを示す。ラクトースは、菌類の最も強力な阻害剤であった。ラクトースは、0.78mMの濃度でC.コマトゥスのレクチン活性を阻害した。同時に、キシロース、セロビオース、およびズルシトールは、コプリヌス・コマトゥスバイオマスのレクチン赤血球凝集能を阻害しなかった。
【0145】
得られた結果は、C.コマトゥスは、バイオマスおよび子実体におけるレクチンを蓄積する能力を有することを示した。特に、高い赤血球凝集能が、C.コマトゥスで明らかとなった。キノコレクチンに対する糖特異性の決定は、ラクトース結合レクチンが、試験菌株の中で最も広範囲に及ぶことを示した。
【0146】
(例5)
品種トレメッラ・メセンテリカCBS123296の特性
純粋培養における植物性菌糸体。菌糸体コロニーは、白く、綿状で、しばしば、「タフト」(菌糸集合体)を成熟とともに発達させる。非対称に形状化して、通常、外側端部に沿って菌糸体マットを形成する。クランプ連結、融着、および髪様結晶がしばしば、菌糸上にしばしば存在する。
【0147】
担子果はしばしば、大きく且つ顕著であり、2〜10cm幅および最大5cmの高さ、ほとんど単独、ゼラチン質、若いとき脳の形をしており、湿っており、その後、葉状であり、不規則なクラスター襞を有し、いくつかの波状のひだのある列片からなり、新鮮な標本は黄色から黄色っぽいオレンジ色であり、湿潤のまたは暗い環境で、時に白っぽくまたは全体に無着色および老齢で白色であり、乾燥時に黄色がかったオレジン色からより暗色になる。子実層表面は滑らか、大体つややか。葉肉はゼラチン質で軟らかい。菌糸系は、単一菌糸型。菌糸は、豊富なクランプ連結を有し、ガラス質、薄肉から厚肉、ほとんど1.5〜3μm幅、担子果の内部はいくらか広く、ゼラチン化。吸収管細胞は、球形から長楕円、3〜6×2〜4μm幅、通常、若い試料を除いて存在し、付着点の近くに豊富。担子器、2種類:1)広く楕円からゆがんだ球形、10〜25×10〜22μm;2)卵形からこん棒形、20〜30(〜35)×12〜20μm;垂直方向にまたは斜めに隔壁、4胞子、小柄100〜150×2〜3μm幅を有し、最大7μmまで先端に膨らんでいる。担子胞子は、広く楕円から長楕円、(8〜)10〜16(〜18)×(5〜)7〜10(〜12)μm、滑らか、ガラス質、薄肉、明らかな尖端、メルツァー試薬(Melzer’s reagent)に陰性。分生子柄は、密集して分岐、しばしば子実層に豊富、特に若い標本に存在。分生子は、ゆがんだ球形から卵形、および3〜5×2.5〜3.5μm、または楕円から円筒形、直径3〜5×(1〜)2μm、滑らか、ガラス質、しばしば多数。嚢状体は、通常なし、時に発育の早期に存在、薄肉からわずかに厚肉、最大3.5(〜4)μm幅。小胞は、形状および大きさが変わりやすく、球形から楕円形、大部分20〜30×5〜10μm、厚肉。胞子紋は、白っぽいまたは浅黄色っぽい。
【0148】
生息場所:広葉樹材の朽ちた枝、幹、および切り取った枝の上。
【0149】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296は、特別の生活環を有する。他の高等担子菌類キノコと対照的に、単一の担子胞子が、菌糸および酵母様出芽性細胞によって栄養培地ブロス上で発芽する。モノ担子菌(Monobasidiosporous)培養物は1倍体であり、すなわち、各細胞に1個の核のみを含有する。異なる担子胞子に由来する、2つの和合性1倍体細胞は、接触すると、細胞質体融合および核合体が生じ、核異型菌糸体が発生する。核異型菌糸体は、培養のいかなる条件下でも、出芽性細胞の形態で発育できず、したがって、発育の酵母様型は、キノコ培養物の1倍体状態によって遺伝学的に決定される。貧培地上または枯渇酵母様細胞の状態下で、細胞は1倍体菌糸を生成し得るので、1倍体培養物は、より形成性である。他の微生物のように、単細胞菌類培養物は、菌糸体のものよりバイオテクノロジー処理をより受け入れられる。これは、滅菌菌糸体の形態で発育する担子菌類核異型培養物に特に重要であり、核異型菌糸体の均質化を包含する、担子菌類接種物を調製するための特別の手順が必要とされる。本発明の1倍体酵母様出芽性培養物は、バイオテクノロジーの考慮からだけでなく、菌糸体形態よりも大量の多糖類を生産するその生理学的属性で規定されるように、発育の最適な形態である。
【0150】
(例6)
薬用ゼリー状キノコのトレメッラ・メセンテリカCBS123296純粋培養物の発育および生合成活性の制御
トレメッラ・メセンテリカの子実体は、担子胞子紋発達のために採取した。子実体は、クェルクス属の種の死んだ小枝上のペニオポラ属の種(Peniophora sp.)に関係した。この標本から得られた1倍体酵母様培養物は、寒天培地上で速い発育を示し、それらの14個を液内培養条件で一次選別のために用いた。選択された菌株は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の名称下で、Haifa University Culture Collection(HAI)に寄託されている。
【0151】
液内培養条件における選択菌株バイオマス発育のための最適なpH値は、5.5から中性を意味する値(neutral meaning)の範囲で決定された。バイオマスの最大収量は、pH6.35を有する液体麦芽抽出物培地上で得られた。
【0152】
バイオマス蓄積に好適な培地組成物の最適化により、スクロースが、グルコースと同様に適切な炭素源であることが実証された。
【0153】
ペプトンおよび酵母抽出物の混合物は、良い窒素源であるが、前に調べたアンモニウム塩は、培地のpHを非常に急速に低下させた。リン塩の添加は、バイオマスの収量増加をもたらさなかったので、それらは、細胞成長のためのリンも十分に含有した。酢酸マグネシウムは、MgSO4より生理学的にアルカリ性と考えられ、事実、培地の急速な酸性化を防止した。
【0154】
わずかに改変した培地は、以下の組成(g/l):スクロース−20.0;ペプトン−2.0;酵母抽出物−2.25;酢酸Mg−1.0;KCl−1.0の標準「接種培地」としてさらに用いた。120℃で30分間滅菌後の培地のpHは、6.5に近い。
【0155】
「発酵培地」の最適組成は、以下のとおりであることが見出された:トレメッラ・メセンテリカを、部分A((g/L)スクロース、50.0;酵母抽出物 0.5;KCl、1.0;酢酸Mg・4H2O、1.0からなる)と部分B((g/L)NaH2PO4・H2O、0.5およびNa2HPO4・7H2O、1.0からなる)を混合することにより調製した培地中で培養した。
【0156】
溶液が、滅菌後に室温まで冷えたときに、部分Bを、部分Aを含むフラスコに添加した。
【0157】
T.メセンテリカの培養は、72時間継続し、その時点で、培養液中のTMPは、27.0g/lに達した(表13)。沈殿後、分離させ、乾燥させて、170gのTMP調製物が得られた。
【表13】
【0158】
(例7)
トレメッラ・メセンテリカの内容物および化学組成
7.1一般的組成。トレメッラ・メセンテリカCBS123296液内培養粗生産物は、等しい割合の菌株生産体および細胞外多糖グルコロノキシロマンナンの、細胞バイオマスからなった。この場合の一般的組成を、表14に示す。
【表14】
【0159】
化学組成は、イスラエルにおける2つの異なった、独立した施設(Bactchem CO.およびAminolabs Co.)で決定し、表15から表17に開示する。
【表15】
【表16】
【0160】
7.2 粗食物繊維は、ヘミセルロース、低分子多糖類(デキストリンなど)、および細胞壁成分(β−(1−3)−グルカンなど)を包含する。
【0161】
7.3 ビタミン。トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスでは、ビタミンA(レチノール)、C(アルコルビン酸)、E(α−トコフェロール)、およびビタミンB群が見出された。
【表17】
【0162】
ビタミンB群の中で、感受性栄養要求体微生物の成長特性の推定に基づく、微生物学的方法で決定して、T.メセンテリカバイオマスは、ナイアシンに特に富んでおり、且つビタミンAに富んでいる。
【0163】
7.4 トレメッラ・メセンテリカ(CBS123296)中グルカンおよびグルクロノキシロマンナン
組成は、全トレメッラ・メセンテリカ液内バイオマス、および超遠心分離後に得られた画分のGC分析(グルコース、マンノースおよびキシロースの含有量)により決定した。グルカンは、120000gで完全に沈殿し、グルクロノキシロマンナン(GXM)は溶液中に大部分残存するが、同様に部分的に沈殿する。GXMは、多糖バイオマスの乾燥重量の約70%、グルカンは約30%を構成することがわかった。
【0164】
GXMを含まない純粋グルカンは、高出力超音波により処理したトレメッラ・メセンテリカの分離により得た。超音波処理GXMは、水により良く可溶性であり、超遠心分離で沈殿せず、したがって、純粋β−グルカンは、2回の再沈殿後に単離することができる。1.2gのトレメッラ・メセンテリカの分離により、400mgの沈殿物(約10%のGXMを含むグルカン)および800mgの可溶性生成物(GXM)が得られた。
【0165】
GC分析において、GXM含有量は、(Man+Xyl)*1.3(1.3は、GlcAおよび酢酸塩を補償するために用いた)と見なした。新たに単離したトレメッラ・メセンテリカ(CBS123296)中のグルクロノキシロマンナンの構造は、他のトレメッラ・メセンテリカ菌株から単離したグルクロノキシロマンナンといくらか異なっていることがわかった(図示せず)。グルカンは、グルコース含有量から推定した。グルクロノラクトンのGlcへの還元を避けるために、加水分解は、NaBH4による還元前に24%NH3で処理した。グルカンは、加水分解に用いた3M TFAに十分可溶性でないので、他の組の試料を加水分解前に濃HClで処理した(40℃、1時間)。この手順は、Glc回収の増加をもたらすが、キシロースは、一部分は分解する。
【0166】
β−グルカンのメチル化により、これは3−および4−置換グルコースを主成分として有する直鎖状構造を有することが示された(図9および図10)。したがって、グルカンは、3,4−β−グルカンである。グルカンは、DMSOに十分可溶性ではなく、したがって、それを2回メチル化した;依然として一部の部分は、溶解しなかったが、これは、結果に影響し得る。グルカンは水に可溶性ではない。
【0167】
(例8)
トレメッラ・メセンテリカCBS123296調製物のインターフェロン生成および免疫調節特性
18〜20gの体重の雑種マウスを試験に用いた。これらのマウスに、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の液内単細胞バイオマスによって、餌を経口で与えた。
【0168】
マウスを、本調製物で処理6時間後、24時間後および48時間後に殺し、次いで、血漿を採取し、インターフェロン(IFN)および腫瘍壊死因子(TNF)レベルを決定し、腹膜の滲出液のマクロファージは、本調製物に対する食作用系機能活性応答を調査することを目的とした。
【0169】
8.1 血漿IFNレベル
インターフェロン生成特性は、表18に示し、経口によりマウスに投与した4mg/動物でのバイオマスの単回用量は、24時間後に低力価(80単位/ml)の内因性IFNの合成を誘導したことを示す。上記用量のトレメッラ・メセンテリカバイオマスで処置した動物の血清中のIFNレベルは、48時間後に80単位/mlに増加したままであった。
【0170】
10mg/動物の用量でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスは、より活性であるように見え、投与6時間後に80単位/mlの内因性IFN力価の生成を生じさせた。本調製物投与24時間後に、動物血清中のIFN力価は、最大160〜320単位/mlに達した。さらに(48時間で)、血清IFNのレベルは、低下したが、対照の指数と比較して上昇したまま(80単位/ml)であった。
【表18】
【0171】
本試験で決定された血漿中の腫瘍壊死因子(TNF)レベルによれば、トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、インビボでこのサイトカインの合成をもたらさなかった(図示せず)。同時に、これらの調製物は、内因性の体中毒を低下させることを補助し得る。これは、対照マウスの血漿中で検出されたTNFによって証明される(生理溶液の導入で)。本調製物の使用は、対照動物の血漿中のTNFの量の低下をもたらした。
【0172】
8.2 トレメッラ・メセンテリカバイオマスに対する腹膜滲出液のマクロファージの機能活性の応答。腹膜浸出液のマクロファージの機能活性は、ニトロブルーテトラゾリウムの非基質還元の反応である、Nitro Blue Tetrazolium(NBT)試験で評価した。NBT試験は、マクロファージのNBT還元能の低下が、それらの酸素依存性殺生物特性の病理学と同時に起こるため、マクロファージの機能活性の調査によく使用される。NBT試験におけるマクロファージの活性は、インビトロでの追加の細胞刺激なしで(自発的試験)およびSt.アウレアス(St.aureas)細胞と一緒のインビトロでのそれらの刺激によって(刺激試験)調査した。刺激NBT試験は、食作用を完了するための容易性の細胞化学的基準と見なされる。自発的および刺激NBT試験の指数の間の差は、細胞機能リザーブ(FR)とみなし、これは、一般的な免疫リザーブ(immunity reserve)についての概念に良く当てはまる、食細胞系のエフェクター潜在性を反映する。
【0173】
経口で投与された4および10mg/動物でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスの単回用量は、自発的および刺激NBT試験における腹膜滲出液のマクロファージの酸素依存性殺生物活性指数を変更することが見出された(表19)。トレメラスチン(Tremellastin)の食細胞活性応答は、用量および観察時間に依存したことが言及されるべきである。例えば、4mg/動物用量のトレメッラ・メセンテリカバイオマスを投与して6時間後に、酸素依存性殺生物活性およびマクロファージのFRのわずかな低下が、自発的および刺激NBT試験の両方で生じた。表19に示すデータは、24時間後および48時間後に、自発的NBT試験の指数は増加して、4mg/動物でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスの応答における対照指数値に達したことを示す。しかし、対照と比較して、示された観察期間(24時間および48時間における)の間に刺激NBT試験において、マクロファージ活性の酸素依存性殺生物活性の劇的な増加が生じ、これは、それらのFRの顕著な増加をもたらした。
【表19】
【0174】
トレメッラ・メセンテリカバイオマスの10mg/動物の単回用量に対する応答において、自発的NGT試験の指数のわずかな増加が6時間後に観察されたが、24時間後および48時間後に、その値は対照指数レベルまで低下した。同時に、マクロファージ活性の顕著な増加が、刺激NBT試験で全体の観察期間の間に、6時間、24時間および48時間で観察された。10mg/動物のトレメッラ・メセンテリカバイオマスで処理されたマウスマクロファージの刺激NBT試験指数の増加は、FR細胞の劇的な増加をもたらした。表19からのとおりに、FR増加は6時間後に起こり、48時間で最大に達した。
【0175】
本発明者らの研究から分かるように、トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、自発的NBT試験の指数に対して影響は少なかったが、それは、刺激NBT試験で、マクロファージ活性の顕著な増加を引き起こし、このようにして、食細胞系のリザーブ潜在力を増加させた。
【0176】
本発明者らの調査の結果から分かるように、自発的NBT試験における6時間後のマクロファージの酸素依存性殺菌活性は、対照と比較して変わらないままであった。同時に、刺激NBT試験指数は、6時間後に増加し、これは、細胞FRの顕著な増加をもたらした。24時間後、自発的NBT試験指数は、対照と比べて変わらないままであり、刺激試験の指数は、増加する傾向があり、細胞のFRも変わらないままであった。
【0177】
8.3要約。本調査の結果の分析によれば、トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物の4および10mg/動物の単回用量により、少しのインターフェロン生成活性がもたらされ、「遅い」内因性インターフェロンの生成が誘導される。トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物は、より活性なインターフェロノージェンであるように見え、さらに、それは、10mg/動物に濃縮した場合、最も効率的である。トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物の10mg/動物に対する応答では、血清中のインターフェロン力価のピーク値(160〜320単位/ml)に24時間で到達し、次いで、これは、観察の全期間中に依然として高いままで低下した。トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、動物体におけるインターフェロンの少量の生成を準備し、開始させる、すなわち、他のインターフェロノージェンと一緒に注射される場合、インターフェロン合成を強化することが予期される。
【0178】
トレメッラ・メセンテリカバイオマスへの応答におけるNBT試験での腹膜滲出液マクロファージの機能活性強化が観察された。10mg/動物に濃縮されたトレメッラ・メセンテリカバイオマスは、マクロファージの酸素依存性殺生物活性の最も効率的な活性化剤であると思われた。本調製物は、刺激NBT試験指数の増加をもたらし(自発的NT試験の変わらない指数において)、これは、食細胞系の機能リザーブの劇的な増加をもたらした。食細胞系のリザーブ潜在力の増加は、日和見細菌またはウイルス誘導感染の発生を予防するために重要であることが言及されるべきである。体のさらなる病原菌誘導の汚染を予防する可能性もある。マクロファージのより高い殺菌活性ならびにより高い機能リザーブ(自発的および刺激NBT試験の指数の間の差を有する)は、体におけるインターフェロン生成と相関したトレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物を説明するものであった。これに関しては、食細胞が体におけるIFN作用の主な標的であるので、酸素依存性マクロファージ殺生物活性の活性化は、トレメッラ・メセンテリカバイオマス(および、恐らくは他のサイトカイン、これには、さらに調査が必要である)による内因性IFNの誘導と関連する。さらに、本調製物で活性化された食細胞は、自己分泌および傍分泌の活性化技術によって内因性IFNの生成に関与することができることがあり得る。
【0179】
(例9)
植物ウイルスに対する植物抵抗性に対するトレメッラ・メセンテリカCBS123296抽出物およびグルクロノキシロマンナンの効果
担子菌類の培養液および子実体から単離した多糖類の化学特性を研究したとき、本発明者らは、中性および酸性多糖類を明らかにした。特に、トレメッラ・メセンテリカにより産生されるグルクロノキシロマンナン(GXM)の酸性多糖は、キシロースおよびグルクロン酸のβ−(1→2)(1→4)−結合オリゴ糖によりグリコール化された、α−(1→3)−結合マンナンの直鎖状骨格からなり、これは、ポリアニオン特性を与える。既知のデータに基づいて、中性および酸性グルカンは、抗植物ウイルス活性の異なる特性を有すると想定することが可能である。
【0180】
実際、調査した多糖類は、チョウセンアサガオ植物に対してTMVにより誘導された局所損傷の発生を異なって阻害した(表20)。
【0181】
中性多糖類は、最も活性であることが証明された。局所損傷形成の低下は、最大80および99.4%(100〜1000μg/mLの濃度において)であった。GXMは、活性がかなり低く、この場合、全調製物は、中間位置を占め、TMVの感染性に対する全調製物の活性は、中性多糖類によってより大きな程度に誘導されることの証拠を明らかにした。後者により、超感受性植物におけるウイルス感染性に対する中性多糖類が、それらの硫酸塩誘導体よりもより活性である、文献からのデータが確認され、これは、新たに植物のウイルス抵抗性を主に誘導する。得られた結果に基づいて、硫酸化マンナンと類似であるGXMが、ウイルスに対する植物の遺伝学的依存抵抗性を誘導し得るかどうか調査することが重要である。1000〜2500μg/mLの濃度でのGXMは、TMVに対するタバコおよびチョウセンアサガオ植物の抵抗性を誘導し得ることがわかった(表21)。この場合、AVRは、チョウセンアサガオ植物におけるよりもタバコ植物においてより高いようにみえた。言い換えれば、本多糖類によるAVRの活性化は、超感受性宿主植物の遺伝子型に、その結果として、抵抗性の適切な遺伝子の活性に依存する。
【表20】
【0182】
抵抗性発生の調査により、1000および2500μg/mLの濃度でのGXMは、誘導剤による接種後の最初の日に既にタバコ植物におけるTMVに対するAVRの発生を誘導することが示された(図11および図12)。植物組織における継続した多糖類存在下で1000μg/mLに等しかった、GXMの濃度について、抵抗性のレベルは、30%に−第5日目において、および20%に−第7日目において徐々に低下する(図11)。2500μg/mLに等しかった、GXMの濃度について、このような傾向は観察されない(図12)。対照的に、この事実は、遺伝子レベルでのAVRの多糖類誘導の濃度依存性対してだけでなく、より低いおよびより高い濃度のGXMに適合する植物の種々の能力について証拠を与え得る。
【表21】
【0183】
実験および対照の半分の葉上のTMV局所損傷の大きさの測定に基づいて、2500μg/mLの濃度で、GXMは、ウイルス損傷の増大を強めることが明らかになった(図13)。このGXMの濃度で、壊死の増加の確実な刺激が、植物組織中へ誘導剤を接種してからわずか7日後に観察されるが、このような傾向は、多糖類使用の他の期間に観察される。1000μg/mLの濃度のGXMで処理した半部の葉について、実験と対照の間の局所損傷の大きさの確実な差は、観察されなかった。
【0184】
局所壊死の増大に対する同様の影響が、酵母RNAによってもたらされることが知られている。この現象は、誘導剤の影響下での抵抗性の超感受性機構の植物における活性化によって説明され得る。
【0185】
アクチノマイシンD(AMD)による実験において、この抗生物質が、植物のGXM誘導ウイルス抵抗性の発生を阻害することが確立された(図14)。その適用の方法に係わらず(GXMの導入と同時にまたは2日後に)、AMDは、部分的に(20μg/mL)または完全に(10μg/mL)のいずれかで、ポリアニオンで誘導されたAVRの発生を阻害した。20μg/mLの濃度のアクチノマイシンDによるAVRの不完全な阻害は、植物組織に対する抗生物質毒性に起因し得る。後者は、AMDがGXMの不存在下で葉に注射された、対照における壊死の数の低下で確認される。
【0186】
全体として、得られた結果は、GXMによって超感受性植物中に接種されたAVRは、細胞DNAのマトリックス上の新たなRNAの合成に依存するという結論になる。言い換えれば、DNAが、新たにウイルスに対する植物抵抗性を活性化させるそれら誘導剤に帰することができる。
【0187】
したがって、GXMは、新たにウイルス感染の作用に対する超感受性タバコ植物の抵抗性を誘導するが、この抵抗性は、アクチノマイシンDの作用に感受性であるからであることが確立された。一方、その活性は、以前に研究した硫酸化多糖類および酵母RNAの作用と同様であり;他方、その活性は、タンパク質−炭水化物相互作用に基づく超感受性機構を活性化する中性多糖類と同様である。
【0188】
植物における自然なおよび誘導された抵抗性の機構が、全体として、総合的に研究されてこなかったことを考慮して、自然なウイルス抵抗性を増加させることができる物質の探索が有望である。本発明者らの見解では、このような研究の結果は、多糖類およびまた糖タンパク質が、超感受性植物におけるAVRの活性化に関与する内因性誘因のモデルとして将来使用することができるので、重要性を有する。このような物質は、農業および観賞植物生育におけるウイルス感染の損傷を低下させる目的をもつ実際の適用にとっても興味深い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用キノコ、より具体的には、コプリヌス(Coprinus)およびトレメッラ(Tremella)属の種のキノコ、ならびにコプリヌス・コマトゥス(Coprinus comatus)CBS123401およびトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296と命名された、新規で明確な高等担子菌類(Basidiomycetes)の菌株に関する。本発明はさらに、種々の生物活性化合物を含むこれらの新規な菌株由来の、子実体、液内培養菌糸体または単細胞バイオマス、および抽出物、ならびにヒトおよび動物の食餌療法用サプリメント、プレバイオティクス(prebiotics)、美容食品として、およびいくつかの疾患および状態の処置におけるそれらの使用、ならびに抗植物ウイルス剤に関する。
【0002】
背景技術
キノコのバイオテクノロジー生産物は、人間の福祉に対して、例えば、食品、健康強壮剤および薬剤、飼料および肥料として、ならびに環境を保護および再生するために、多くの有益な効果を有する。強力で、独特な健康増強特性を持つ医薬物質が、薬用キノコから最近単離され、世界中に広まっている。それらの多くは、医薬品であるが、他のものとしては、新規なクラスの食餌療法用サプリメント、または「キノコ栄養補給剤」もしくは「栄養補助剤」、菌化学物質、植物化学物質、およびデザイナー食品が示される。いくつかの抗腫瘍多糖類、例えば、ヘテロ−β−グルカンおよびそれらのタンパク質複合体(例えば、キシログルカン、およびウロン酸を含有する酸性β−グルカン)、ならびに食物繊維、レクチン、およびトリテルペノイドが、薬用キノコから単離されている。
【0003】
高等担子菌類キノコは、多量の多糖類、特に種々の種類のタイプのβ−グルカンを含有する。β−グルカンの抗腫瘍効果は、それらの分子量および溶解度に関係していると思われる。例えば、低分子量レチナンだけが高い抗腫瘍活性を示す。可溶性β−グルカンは不溶性のものよりも強い免疫刺激剤のようであるが、これは驚くべきことではない。
【0004】
トレメッラ属の一部の種、液内培養単細胞バイオマスおよび子実体、特に、T.メセンテリカの菌株は、高レベルのグルクロノキシロマンナンおよびβ−グルカンを含有し、そのバイオマスおよび精製多糖類は両方とも、血糖降下およびトリグリセリド降下の活性を有することが示された(米国特許第6,383,799号;米国特許第6,362,397号)。
【0005】
高等担子菌類キノコは、多量の多糖類、タンパク質、バランスの取れた必須アミノ酸、メラニン、必須脂肪酸を含む脂質、トリテルペノイド、抗酸化剤、ビタミン、および他の生物活性物質を含有する。また、グルカン、キチン、およびヘテロ多糖類(ペクチン物質、ヘミセルロースまたはポリウロニドを含む)に属する食物繊維は、キノコすべての組織に豊富にあり、これらは、腸内の胆汁酸または有害物質を吸収することができ、したがって、制癌物質として作用し、且つ様々な種類の毒作用を低下させることができる。
【0006】
さらに、菌類物質は、(i)様々な生理学的および病理学的過程で重要な役割を果たすNF−κB活性化経路のモジュレータ;(ii)酸化性ストレス反応によって引き起こされる酸化損傷を防止または減少させるためのヒト用食餌におけるサプリメントとして適切な抗酸化物質;(iii)免疫モジュレータとして;および炎症過程に影響を与えることで知られている。
【0007】
発明の概要
本発明は、ブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123401で寄託されたコプリヌス・コマトュスHAI−1237(以下、コプリヌス・コマトュスCBS123401)、およびブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123296で寄託されたトレメッラ・メセンテリカHAI−17(以下、トレメッラ・メセンテリカCBS123296)から選択される、新規で明確な品種の高等担子菌類キノコを対象とする。
【0008】
他の側面では、本発明は、炭水化物、必須アミノ酸に富んだタンパク質、ビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤およびミネラルを包含する、栄養補給剤および生物活性物質に富んだ本発明のキノコのバイオマスに関する。このバイオマスは、コプリヌス・コマトュスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得ることができる。トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体培養物は、単細胞バイオマスの形態である。
【0009】
さらなる側面では、本発明は、栄養補給剤活性および生物活性を有する本発明のキノコからの抽出物に関する。抽出物は、このキノコの菌糸体または子実体から得ることができる。
【0010】
さらに他の側面では、本発明は、抽出物から単離された新規な炭水化物、本発明のキノコ由来のバイオマスもしくは抽出物、または該抽出物から単離された新規な炭水化物を含む組成物、本発明の組成物を含む自然食品サプリメント、医薬、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料または美容製品、薬学的に許容される担体ならびに本発明の組成物および新規な炭水化物の1種から選択される活性成分を含む医薬組成物、ならびに該バイオマスおよび抽出物を生産する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発酵装置中、またはバイオリアクター技術におけるコプリヌス・コマトゥスまたはトレメッラ・メセンテリカの液内培養菌糸体生産のための全般的な方法論のスキームを示す図である:a−ペトリ皿用の標準寒天培地の調製;b−培養物の調製に用いられる胞子または子実体の部分;c−ペトリ皿上の培養物;d−チューブ中寒天斜面上の培地;e−培地の顕微鏡調査;f−250mL三角フラスコ中接種前培養物;g−接種前培養物の均質化;h−2L三角フラスコ中における均質化菌糸体バイオマスの培養;i−接種発酵装置培地用の菌糸体バイオマスの均質化;j−発酵装置用の発育培地;k−発酵装置中菌糸体バイオマスの培養;l−菌糸体バイオマスの収穫;m−食餌療法用サプリメント(DS)、医薬品および他の製品のための乾燥バイオマス処方物;HM、収穫菌糸体。
【図2】ウエスタン免疫ブロットにより決定したpIκBαレベルに対するE1およびE2の抽出物の効果を示す図である。この図は、同様の結果を有する2つの独立した実験を代表する。E1−培養液(水)抽出物;E2−酢酸エチル抽出物。
【図3】100μMのH2O2効果と比較したpIκBαに対するE1およびE2の抽出物の効果を示す図2のウエスタン免疫ブロットのデンシトメトリー分析を示す図である。(結果は、H2O2のみ−処理の平均値±標準偏差に対する2つの独立した実験の倍数として示す)。
【図4】コプリヌス・コマトゥス抽出物E1およびE2のIKKβ阻害活性を示す図である。抽出物E1およびE2(100および200μg/ml)ならびに600nMのIKK−β阻害剤Fuct(1μM)を、100ngのGST−IκBα基質および5ngのIKK−β酵素とともにインキュベートし、それらのIKK−β活性を阻害する能力について、材料および方法において記載されるとおりにELISAベースキナーゼ活性アッセイを用いて試験した。E1−培養液(水)粗抽出物;E2−酢酸エチル粗抽出物。
【図5】コプリヌス水抽出物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図6A】水抽出物の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6B】全細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6C】水抽出後の細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図6D】NaOH抽出後の細胞の単糖含有量のガスクロマトグラフィー(GC)分析を示す図である。
【図7】Sephadex G−50上でサイズ排除クロマトグラフィーにより部分的に分離された、コプリヌス・コマトゥスの水およびNaOH抽出物由来の多糖類のサイズ分離クロマトグラムを示す図である。
【図8A】ガノデルマ属の種(Ganoderma sp.)から抽出したβ−グルカンのメチル化分析を示す図である。
【図8B】コプリヌス・コマトゥスCBS123401から抽出したβ−グルカンのメチル化分析を示す図である。
【図9】トレメッラ・メセンテリカCBS123296から単離したβ−グルカンから得られたメチル化糖類のGCトレースを示す図である。
【図10A】トレメッラ・メセンテリカCBS123296の新たに単離した菌株から得られたメチル化糖類のGCトレースを示す図である。
【図10B】純粋グルクロノキシロマンナンのGCトレースを示す図である。
【図11】タバコモザイクウイルス(TMV)と比べて品種Immune580のタバコ植物の敏感さに対するGXM(1000μg/mL)の効果を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種との間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の数の比(%)。
【図12】TMVと比べて品種Immune580のニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)植物の敏感さに対するGXM(2500μg/ml)の影響を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種との間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の数の比(%)。
【図13】品種Immune580のニコチアナ・タバクム植物においてTMVにより誘導された、局所損傷の増大に対するGXM(2500μg/ml)の影響を示す図である。横座標:GXMの導入とTMVの接種の間の間隔(日)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の大きさ(mm)。
【図14】TMVを接種した品種Immune580のニコチアナ・タバクム植物において誘導されたGXM抵抗性に対するアクチノマイシンD(AMD)の影響を示す図である。横座標:実験変異:1−GXM;2−GXMおよびAMDの混合物(10μg/mL);3−GXM2日後に導入したAMD(10μg/mL);4−GXM2日後に導入したAMD(20μg/mL);5−AMD(10μg/mL)。縦座標:実験(暗色無地のバー)と対照(織り目のある淡いバー)における局所損傷の量の比(%)。
【0012】
発明の詳細な説明
一側面では、本発明は、必須アミノ酸に富んだタンパク質および炭水化物を包含し、且つビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤、およびミネラルをさらに含む、栄養補給剤および生物活性化合物に富んだ、担子菌類キノコのコプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスに関する。
【0013】
一態様では、該バイオマスは、例えば、栄養培地での液内培養における菌株の培養によって、単細胞バイオマスの形態でコプリヌス・コマトゥスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる。
【0014】
本発明はさらに、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体培養物が、単細胞バイオマスの形態である、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296の純粋液内菌糸体培養物に関する。トレメッラ・メセンテリカ菌糸体培養物が、酵母のように単細胞生物として発育することは、非常に高い発育速度、および担子菌類キノコすべての中で最も高いバイオマス生産性を与え、培地1リットル当たり最大27gの乾燥バイオマスに達する。
【0015】
本発明の2種のキノコの菌糸体の化学組成は、例4および例7で示されるとおりに決定された。本明細書で示される、本発明のキノコに存在すべき構成成分の多くは、抗癌活性、免疫調節活性、抗血糖、抗糖尿病および殺虫活性などの多くの有益な特性を有する。
【0016】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスは、菌糸体の乾燥重量の、約39%の炭水化物および約37%のタンパク質を有し、トレメッラ・メセンテリカCBS123296のそれは、約54%の炭水化物および約20%のタンパク質を有する。キノコ多糖類生産体の液内培養により、特定組成物の培地を用いて短期間で特定組成の制御された条件下での生産が可能になる。
【0017】
バイオマス中の炭水化物は、多糖類ならびに二糖類および単糖類の両方を包含する。コプリヌス・コマトゥスCBS123401のバイオマスの多糖類の例には、β−グルカン、好ましくは低分子量の水溶性β−グルカン、およびガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンが包含される。
【0018】
したがって、本発明は、本明細書で例4.2に示す、β−1−6−D−グルコース残基の側鎖をいくつかの6位に有する、β−1−3−結合D−グルコース残基の骨格構造から構成される新規な低分子量の水溶性β−グルカンに関する。β−グルカンは、コプリヌス・コマトゥス、好ましくはコプリヌス・コマトゥスCBS123401から得られ、10,000Da未満、好ましくは約1000から約10,000Daの分子量を有する。
【0019】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスの多糖類の例には、β−グルカン、好ましくは直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンが包含される。したがって、本発明はさらに、本明細書で例7.4に示されるとおりにトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られる、新規な水不溶性の直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンに関する。このグルクロノキシロマンナンは、キシロースおよびグルクロン酸のβ−(1→2)(1→4)−結合オリゴ糖によってグリコール化された、α−(1→3)−結合マンナンの直鎖状骨格からなり、これは、ポリアニオン特性を与え、抗血糖および抗糖尿病剤として使用され得る。
【0020】
本発明のβ−グルカンは、抗腫瘍および免疫調節、特に免疫刺激活性を有し、本発明のグルクロノキシロマンナンは、血糖降下、免疫刺激、およびコレステロール低下の活性を有し、免疫系の強化が、糖尿病、癌、AIDSなどのウイルス性疾患、心疾患、血圧を予防および処置するために、および高コレステロール状態を処置するためのコレステロール低下剤として重要である疾患および状態を予防および処置する薬草剤として有望である。両方の種の多糖類は、新規なプレバイオティクスの供給源であり得る。「プレバイオティック剤」は、本明細書では、宿主の福祉および健康に利益を与える胃腸微生物叢において、組成および/または活性の両方において特異的な変化を可能にする選択的に発酵された成分として定義される。また本バイオマス中に存在するキチンは、食物繊維の重要な構成成分である。
【0021】
本菌糸体バイオマス中に見出される単糖類および二糖類には、グルコース、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコサミンおよびトレハロースが包含される。これらの単糖類および二糖類のすべては、健康に重要である。さらに、マンノースは、尿路および膀胱の組織への細菌の付着を防止することが示されており、グルコサミンは、骨関節炎の処置に、および軟骨を再構築するために有用であることが知られている。
【0022】
本発明のキノコの菌糸体バイオマスタンパク質は、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、システイン、メチオニン、トレオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リシンおよびヒスチジンに富んでいる。C.コマトゥスは、γ−アミノ酪酸をさらに含有する。したがって、菌糸体のタンパク質は、11種の必須アミノ酸;トレオニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、リシン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンのうちの10種を含有する。したがって、本発明のバイオマスは、必須アミノ酸に富んだタンパク質の存在により、重要な食餌療法用サプリメントの構成要素となる。
【0023】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401のバイオマスは、ビタミン:A、B1、B2、B3、C、およびEを含み、トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスは、ビタミン:A、B1、B2、B3、B6、B7、C、およびEを含む。したがって、高レベルの重要なビタミンを含有する本発明のキノコのバイオマスおよび抽出物は、ビタミンの優れた供給源として役立ち、栄養補給剤として使用することができ、および/または食餌療法用サプリメントとして食品および飲料品に添加することができる。
【0024】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスは、脂肪酸であるペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸(C18:2n6)、α−リノレン酸(C18:3n3)、γ−リノレン酸(C18:3n6)、アラキジン酸、ヘンエイコ酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸を包含する脂質をさらに含み;トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスは、脂肪酸であるオレイン酸−(C18:1)、リノール酸(C18:2n6)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトオレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)およびミリスチン酸を含む。脂肪酸は、それらのグリセロールとのエステルの形態でキノコ中に見出される。このキノコの高い栄養価は、必須不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸(C18:3n3)およびリノール酸(C18:2n6)の存在によって明らかとなる。後者は、多価不飽和脂肪酸のオメガ−6シリーズを生じさせ、これらのリン脂質への取り込みは、流動性、柔軟性、透過性および膜結合酵素の活性などの細胞膜特性に影響を与える。
【0025】
本発明のキノコの菌糸体バイオマスは、アルミニウム、銅、鉄、カリウム、マグネシウム、マンガン、リン、ケイ素、ナトリウム、チタンおよび亜鉛を含む、マクロ元素およびミクロ元素の両方のミネラルも含む。本発明の2種のキノコのいずれか1種のバイオマスの1日用量は、鉄および他のミネラルの優れた供給源を与える。
【0026】
本発明のコプリヌス・コマトゥスCBS123401菌株の菌糸体およびバイオマスは、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、メラニン(皮膚の光老化に対して保護を与え、特に太陽のUV線から皮膚を保護し、電離放射線により生じた内部臓器に対する損傷に対しても保護し、そのカルボキシレート基およびフェノールヒドロキシル基によって潜在的に毒性である金属イオンを封鎖するのに役立ち得る)およびレクチン(例4.3を参照)、特にラクトース、ガラクトースおよびグルコサミン結合性レクチンを含み、これらは、多糖類および糖タンパク質の糖部分の同定に関わるアッセイに有用であり得ることも本発明によって見出された。
【0027】
本発明のキノコのバイオマスは、プレバイオティクスまたは栄養補給剤組成物でさらに使用され得る。「キノコ栄養補給剤」は、本キノコの菌糸体または子実体のいずれか由来の精製されたまたは部分的に精製された抽出物または乾燥バイオマスと定義され、これは、食餌療法用サプリメント(従来の食品ではない)としてカプセルまたは錠剤の形態で消費され、潜在的な治療上の利用性を有する。通常の摂取は、人体の免疫応答を強化し、それにより、疾患に対する抵抗性を増加させ、一部の場合には、疾患状態の退行を生じさせ得る。
【0028】
別の側面では、本発明は、栄養補給剤および生物活性を有する本発明のキノコの抽出物を提供する。一態様では、該抽出物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401由来である。別の態様では、抽出物は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296由来である。該抽出物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる。好ましい態様では、本発明のキノコの抽出物は、純粋液内菌糸体培養物から得られる。
【0029】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401培養物から得られる抽出物は、低分子量の水溶性β−グルカンおよび/またはガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンに富んでおり、トレメッラ・メセンテリカCBS123296培養物から得られる抽出物は、直鎖状3,4β−グルカンおよび/またはグルクロノキシロマンナンに富んでおり、これは、抗血糖および抗糖尿病活性を有する。
【0030】
一態様では、本発明のキノコの抽出物に存在する生物活性は、NF−κB経路調節活性、抗酸化活性、遊離ラジカル捕捉活性、抗放射線活性、金属イオン捕捉活性、インターフェロン生成活性、免疫調節活性、抗血糖活性、抗糖尿病活性、コレステロール低下活性、抗アレルギー活性、抗寄生虫活性、殺虫活性および/または抗植物ウイルス活性である。
【0031】
本明細書で使用される「インターフェロン生成活性」および「インターフェロン生成剤」という用語は、哺乳動物の血漿中のインターフェロンの濃度を増加させる活性または剤を指す。
【0032】
本明細書で使用される「免疫調節活性」および「免疫調節剤」という用語は、分裂促進性、造血幹細胞の刺激、代替補体活性化経路の活性化、ならびにTH細胞、Tc細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞の活性化を指すが、これらに限定されない。
【0033】
「抗血糖活性」および「抗血糖剤」という用語は、血中グルコース濃度を減少させる活性または剤を指すが、「抗糖尿病活性」および「抗糖尿病剤」という用語は、血中グルコース濃度を低下させることによって糖尿病を処置する活性または剤を指す。
【0034】
殺虫活性は、オオアリ、ヒアリ、イエシロアリ(coptotermes)、イエシロアリ(Formosan termites)およびレティクリテルメス・テルミテス(reticulitermes termites)などの社会性昆虫を誘引し、感染させ、そしてこれらの昆虫を死滅させることを含む。
【0035】
特に、および本明細書で以下に例で示されるとおりに、コプリヌス・コマトゥスCBS123401酢酸エチル抽出物は、NF−κB経路調節活性(例3)、ならびに抗酸化活性および/またはフリーラジカル捕捉性(例2)を有する。このような抽出物は、例えば、限定されないが、癌、免疫不全、敗血症性ショック、移植による拒絶反応、放射線損傷、虚血後の再潅流傷害、動脈硬化および神経変性疾患などのNF−κB依存性疾患の処置に有用であり得る。
【0036】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296培養物から得られる抽出物は、グルクロノキシロマンナンを含む、したがって、抗糖尿病活性を有し、免疫調節活性、例えば、マクロファージの機能リザーブ(functional reserve)の増加を引き起こす活性、ならびにインターフェロン生成活性(例8参照)および/または抗植物ウイルス活性(例9参照)などをさらに含む。本明細書で使用される「機能活性」という用語は、自発的な活性および刺激(NBT試験)を受けた活性指数間の差、すなわち、例えば、病原菌への曝露による活性化後のその活性と比較して、その休止態でのマクロファージなどの食細胞の活性を指す。
【0037】
さらに別の側面では、本発明は、本発明によるバイオマスまたは抽出物を含む組成物に関する。ある種の態様では、本組成物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られるバイオマスの混合物、またはコプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296から得られる抽出物の混合物を含む。一態様では、本組成物は、コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体もしくは子実体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマス、または前記バイオマスの抽出物を含む。別の態様では、本組成物は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の菌糸体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマス、または前記バイオマスの抽出物を含む。
【0038】
なおさらに別の側面では、本発明は、それらのすべてが本明細書で上記におよび本明細書で以下の例に定義されるとおりの、低分子量の水溶性β−グルカン、水不溶性直鎖状3,4β−グルカン、グルクロノキシロマンナンから選択される炭水化物、またはこれらの炭水化物の少なくとも2種の組合せを含む組成物に関する。上記の観点から、本発明では、さらなる側面で、本発明の組成物を含む、自然食品サプリメント、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料品および美容品が提供される。本発明ではさらに、本発明の組成物を含む、ペットフード、殺虫剤、抗寄生虫剤および抗植物ウイルス製品が提供される。
【0039】
なおさらなる側面では、本発明では、薬学的に許容される担体、および(a)本発明の組成物;(b)低分子量の水溶性β−グルカン;(c)水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;(d)グルクロノキシロマンナン;(これらのすべては、本明細書で上記におよび本明細書で下記の例に定義されるとおりである);または(e)(b)から(d)の活性成分の少なくとも2種の組合せから選択される活性成分を含む医薬組成物が提供される。
【0040】
ある種の態様では、本発明の自然食品サプリメント、プレバイオティクスまたは栄養補給剤製品、および医薬組成物は、(a)糖尿病を処置し、または血中グルコース濃度を低下させる;(b)免疫調節性応答を誘導する;または(c)血中コレステロール濃度を低下させ、もしくはコレステロールの蓄積を減少させるために使用され得る。
【0041】
本発明の自然食品サプリメント、プレバイオティクスまたは栄養補給剤製品、および医薬組成物は、単独でまたは制癌剤と組み合わせて、癌を処置するために、免疫調節性応答を誘導するために癌患者に投与され得る。
【0042】
本明細書で使用される「処置する」という用語は、疾患もしくは障害の緩和、進行の低下もしくは完全な治癒、または疾患もしくは障害に関連したもしくはそれらによって引き起こされた症状の低減を指す。
【0043】
本発明による使用のための医薬組成物は、賦形剤および補助剤を含む1種または2種以上の薬学的に許容される担体を用いて従来の方法で製剤化され得る。薬剤の製剤化および投与の技術は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版に見出すことができる。
【0044】
本発明の医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口送達、非経口送達(筋内、静脈内、皮下、髄腔内、または腹腔内注射を包含する)による全身投与のために、または局部薬剤送達による局所投与のために製剤化される。
【0045】
本発明の方法における使用のための任意の組成物について、治療有効量または用量は、インビトロおよび細胞培養アッセイから初期に推定され得る。例えば、用量は、所望の濃度または力価を得るために動物モデルにおいて製剤化され得る。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0046】
なおさらなる側面では、本発明は、農業用担体、および本発明の組成物または本明細書で定義されるとおりのグルクロノキシロマンナンから選択される活性成分を含む農業用組成物に関する。ある種の態様では、農業用組成物は、植物ウイルスなどの植物病原菌に対する植物の抵抗性を誘導するためのものである。
【0047】
一態様では、植物ウイルスは、感染植物に過敏な応答を誘導することができる植物ウイルス、例えば、タバコモザイクウイルス、および他のタバモウイルス、例えば、トマトモザイクウイルス、トウガラシ緑斑モットルウイルスおよびオンドントグロッスム輪点ウイルスを包含する植物ウイルスである。ある種の形態では、該ウイルスは、タバコモザイクウイルスである。
【0048】
本発明の農業用組成物は、不活性添加物をさらに含み得る。このような添加物には、増粘剤、流動増強剤、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤、潤沢剤、充填剤、飛散制御剤、沈着増強剤、アジュバント、蒸発遅延剤、霜よけ剤、昆虫誘引臭気剤、UV保護剤、芳香剤などが包含される。増粘剤は、水に可溶性または膨潤し得る化合物、例えば、キサンタンの多糖類(例えば、アニオン性ヘテロ多糖類)、アルジネート、グアールもしくはセルロース;合成巨大分子、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、膨潤性構造生成性シリケート(発熱性または沈降ケイ酸など)のポリカルボキシレート、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトナイト、もしくはアタパルガイト;またはケイ酸アルミニウムの有機誘導体などであり得る。霜よけ剤は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、尿素、またはそれらの混合物であり得る。消泡剤は、例えば、ポリジメチルシロキサンであり得る。本農業用組成物は、本技術分野で一般に知られているように、水系または油系製品に適合させた界面活性剤系も含み得る。
【0049】
本発明ではさらに、生物活性が、NF−κB経路調節活性、抗酸化活性、フリーラジカル捕捉活性、抗放射線活性、金属イオン捕捉活性、インターフェロン生成、免疫調節、抗血糖、抗糖尿病、コレステロール低下活性、抗アレルギー活性、抗寄生虫活性、または抗植物ウイルス活性である、生物活性を有する本発明のキノコ由来の抽出物を製造する方法であって、栄養培地における液内培養で菌類コプリヌス・コマトゥスCBS123401またはトレメッラ・メセンテリカCBS123296を培養する工程、結果として得られた、該培養ブロスから、食用菌類の得られたバイオマスを単離する工程、乾燥させる工程、および前記バイオマスを微粉末に粉砕し、溶媒抽出に付し、凍結乾燥させる工程を含む方法が提供される。特に、該方法は、グルクロノキシロマンナンに富んだトレメッラ・メセンテリカ、好ましくはトレメッラ・メセンテリカCBS123296の抽出物を生産するためのものである。
【0050】
さらなる方法では、多糖類、単糖類、タンパク質、必須アミノ酸、ビタミン、必須脂肪酸、ミネラルおよび微量元素に富んだ本発明のキノコ由来のバイオマスを生産する方法であって、栄養培地での液内培養で前記キノコを培養する工程、該培養ブロスから、食用菌類の得られたバイオマスを単離する工程、および前記バイオマスを乾燥させ微粉末に粉砕する工程を含む方法が提供される。
【0051】
特に重要なことは、トレメッラ・メセンテリカ、トレメッラ・フキホルミス(Tremella fuciformis)、およびトレメッラ・アウランティア(Tremella aurantia)から選択されるトレメッラ属、好ましくはトレメッラ・メセンテリカCBS123296を含むキノコの単細胞液内培養物を栄養培地で培養するさらなる方法が、本発明によって提供されることである。
【0052】
上に定義された方法のためにコプリヌス・コマトゥスを培養するために使用される栄養培地が、以下の組成(蒸留水のg/L):グルコース、15;ペプトン、3;酵母エキス、5;KH2PO4、0.8;K2HPO4、0.2;MgSO4・7H2O、0.5からなるべきであること、および上に定義された方法のためにトレメッラ・メセンテリカを培養するために使用される栄養培地が、以下の組成(蒸留水のg/L):スクロース、50;酵母エキス、0.5;KCl、1;酢酸Mg・4H2O、1.0;NaH2PO4・H2O、0.5;Na2HPO4・7H2O、1.0からなることが本発明によって見出された。
【0053】
これから、本発明は、以下の非限定的な例によって例証される。
【0054】
例
材料および方法
1.三角フラスコおよび発酵装置におけるコプリヌス・コマトゥスの菌糸体バイオマスの液内培養
図1は、発酵装置またはバイオリアクター技術を用いて、コプリヌス・コマトゥスCBS123401およびトレメッラ・メセンテリカCBS123296の液内培養菌糸体生産のための全般的な方法論を示す。
【0055】
キノコの液内培養菌糸体(SCM)生産の全般的なスキームは、培養物発育の5工程を包含する:
培地培養物(I)→中間培養物(II)→接種前培養物(III)→接種培養物(IV)→発酵培養物(V)。
【0056】
3種類の培地をSCM生産のために使用する:標準寒天培地(工程Iおよび工程II)、液体標準接種培地(工程IIIおよび工程IV)、および発酵培地(工程V)。培地培養物は、チューブ中寒天斜面上で発生させる;中間培養物は、チューブまたはペトリ皿中の寒天斜面上で発生させる。接種前および接種培養物は、回転式振とう器を用いて三角フラスコ中で発生させる。発酵培養物は、撹拌、温度、pH、溶存酸素濃度(pO2)、および泡状物の測定および/または制御のための装置を備えている発酵装置Bioflo2000(New Brunswich Scientific、米国)中で発生させる。
【0057】
最初の接種前培養物について、250mlの三角フラスコにペトリ皿からの1から3週齢のキノコ菌糸体により接種する。寒天プレートの端で発育する菌糸体からの5から6片(直径5〜7mm)を三角フラスコに移し、フラスコ壁上で小片に切断し、菌糸体の発育点の数を増加させた。100mlの特定合成培地で満たした250mLの三角フラスコに、菌糸体を接種した。菌接種物は、以下の成分(蒸留水のg/L):(gl−1):グルコース、15;ペプトン、3.0;酵母エキス、5.0;KH2PO4、0.8;K2HPO4、0.2;MgSO4・7H2O、0.5からなる合成培地上で発育させた。培地の初期のpHは、6.0であった。ホスフェート塩は、別個に滅菌した(Sigma−Aldrich、St Louis、MO、米国)。接種したフラスコの培養は、回転式振とう器上で、100rpmおよび27℃で6〜7日間行う。培養の最後に、1mlの試料を培養純度の顕微鏡観察のために培養物から採取する。
【0058】
第2の接種培養物について、第1の接種前培養物(ペレット)由来のバイオマスを、Waring Laboratory Blender(Waring、米国)を用いて2×30秒均質化し、700mLの同じ培地が入っている2Lのフラスコに接種した。
【0059】
培養5〜7日後、菌糸体バイオマス(ペレット)を均質化し、上記の同じ合成培地上で10Lの使用容積を有する発酵装置(Bioflo2000 10L、New Brunswick Scientific、米国)中で発育のための接種培養物として使用した。培養の初期パラメータは以下のとおりである:温度27℃;pH−6.1;撹拌−100rpm、通気−0.2v/v/分。用いた消泡剤は、ポリプロピレングリコール2000であった;4%NaOHおよび4%HClを用いて、pHを調節した。
【表1】
【0060】
当初は、培地のpHは調節しなかった。しかし、それが5.2に低下する場合、菌発育に有利になるように、pHは6.0のレベルで自動的に一定に保持した。24時間後、撹拌速度を200rpmに、次いで、48時間後に300rpmに増加させた。48時間後、培地の通気の速度は、0.4に増加させ、次いで(72時間後)0.5v/v/分に増加させた。
【0061】
菌糸体バイオマスの最大収量は、菌培養の7日目に達成された93g/Lの湿潤バイオマスまたは9.3gの乾燥バイオマスであった。培養の条件は表1で規定される。コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体バイオマスのクランプ連結を有する空胞化菌糸が、菌培養7日後に見られる(図示せず)。
【0062】
2.コプリヌス・コマトゥス抗酸化活性の評価
バイオマス推定。C.コマトゥス液内培養8〜11日後に、菌糸体バイオマスをろ過により収穫し、恒量まで50℃で乾燥させた。乾燥菌糸体を抽出のために粉末形態に摩砕した。
【0063】
C.コマトゥスバイオマスからの抗酸化物質の抽出。収穫したキノコ菌糸体を50℃で乾燥させ、粉末に摩砕した(4〜10g)。3種の異なる溶媒(水の代わりに培養液、エタノール、および酢酸エチル)を用いて、上行性極性でキノコ菌糸体から抗酸化化合物を抽出した。担子菌類培養の間の培養液中の抗酸化物質の存在に関する文献データは存在しなかったが、これらのキノコは、これらの化合物を細胞外に蓄積することができると想定される。したがって、選別したキノコの全抗酸化活性を正確に評価するために、菌バイオマスからの抗酸化物質の抽出のために水の代わりに適当な培養液を用いることを決定した。
【0064】
最初の段階で、菌糸体を、培養液(1g/10ml)によって80℃で(水浴を用いて)3時間抽出した。抽出後、不溶性化合物を6000rpmで15分間遠心分離によって分離させ、WathmanフィルターペーパーN4を通してろ過した。ろ液を蒸発させた。次いで、遠心分離後の残渣を、150rpmで回転式振とう器上、エタノール(80%)によって27℃で3時間連続的に抽出した。抽出後、溶液を遠心分離にかけ、ろ過し、有機溶媒を抽出物から蒸発させた。
【0065】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の培養液からの抗酸化物質の抽出。バイオマスろ過後、培養物の発育培地のpHは、96%硫酸を用いて2.0に低下させた。1菌株当たり1リットルの発育培地を500mlの酢酸エチルで3回分離させ、抽出物−溶媒混合物を、ガラス製化学的分離器を用いて0.5lの蒸留水で1回洗浄した。樹脂(または粉末)が生成されるまで、抽出物−溶媒混合物を溶媒蒸発用の化学フード中に放置し、これは、予め計量した4mlのプラスチック管に採取した、実際の粗菌類抽出物に相当した。抽出物すべてを、最終濃度50mg/mlに99.9%ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、エッペンドルフチューブ中に分配し、使用前に70℃で保った。
【0066】
抗酸化活性アッセイ
β−カロテン漂白法。C.コマトゥス抽出物の抗酸化活性は、β−カロテン漂白法に従って決定した。1mlのβ−カロテン(Sigma)溶液(クロロホルム中0.2mg/ml)、0.02mlのリノール酸(Sigma)、および0.2mlのTween80(Sigma)を含有する試薬混合物を窒素の流れ下で蒸発乾固させた。50ミリリットルの含酸素蒸留水および異なる濃度(2〜8mg/ml)を有する0.2mlのキノコ粗抽出物(エタノールまたは培養液)を添加した。純メタノールまたは水(0.2ml)を対照として用い、そのブランクは、β−カロテンを除く当初の化学物質すべてを含有した。次いで、これらの混合物すべてを振とうして、リポソーム溶液を生成させ、次いで、50℃で2時間インキュベートした。これらのリポソーム溶液のアリコート(1ml)の470nmでの吸光度を、20分の時間間隔で分光光度計によりモニターした。ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(Sigma)(メタノール中2mg/ml)を標準として用いた。β−カロテンの漂白速度(R)を標準として用いた。β−カロテンの漂白速度(R)は、式(1)によって計算した
R=ln(a/b)/t 式(1)
(ここで:ln−自然対数、a−時間0における吸光度、b−時間tにおける吸光度、およびt−インキュベーション間隔20、40、60、80、100、または120分)。
【0067】
抗酸化活性(AOA)は、対照に対する阻害パーセントに関して、式(2)を用いて計算した
AOA=[(R対照−R試料)/R対照]×100 式(2)
【0068】
1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルに対する捕捉活性。C.コマトゥス由来の抽出物の捕捉活性は、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルに対して測定した。メタノール中0.1mMのDPPHラジカル(Sigma)0.5mlのアリコートを、異なる濃度(0.5から9mg/mL)のキノコのエタノールまたは水抽出物1mLを有する試験管に添加した。対照として、キノコ試料の代わりにメタノールまたは水を用いた。この反応混合物を室温で、ボルテックスにより混合し、分光光度計によって520nmで測定することによって、吸光度を混合直後に決定した。DPPHによるフリーラジカルの阻害は、以下のとおりに計算した:I(%)=(Aブランク−A試料/Aブランク)×100(ここで、Iは、阻害(%)、Aブランクは、対照反応物(試験化合物を除くすべての試薬を含有する)の吸光度、A試料は、試験化合物の吸光度である。50%阻害(EC50)を与える抽出物濃度は、抽出物濃度に対するラジカルパーセンテージの捕捉活性のグラフから計算した。1mg/1mlのメタノールの濃度におけるブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を標準として用いた。各値を、平均±標準偏差(n=3)として表す。
【0069】
3.液内コプリヌス・コマトゥス由来の抽出物の生物活性についての試験
実験作業のための細胞培養物の調製。癌細胞培養物に関する実験作業すべては、滅菌生物学的フード内で行った。各実験の前に、細胞をトリプシン処理し、採取し、与えられた実験の必要性に応じて適当な細胞量を播種するために数えた。
【0070】
MCF7乳癌細胞培養物は通常、フラスコ底に付着して増殖する。使用のためにこれらの細胞を調製するために、使い捨てピペットを用いて培地をフラスコから廃棄し、次いで、1〜2mlのトリプシンを2〜3分間添加した。トリプシン処理の間、細胞を、加湿インキュベータ中37℃で保持した。トリプシン処理を停止させるために、フラスコ底から細胞を分離させ、用いたフラスコの大きさに応じて5〜10mlの新鮮な培地を加えた。細胞をマルチピペット採取によって十分混合し、100μlの細胞懸濁液を0.4%のトリパンブルー溶液100μlで染色し、十分に混合し、トリパンブルー排除法に従って血球計を用いて顕微鏡下で数えた。
【0071】
利用できる細胞数を確立後、細胞懸濁液をさらに希釈し、各実験の要件に応じて特定数の細胞を播種した。さらなる実験作業のために利用できる細胞系を再増殖および維持させるために、一部の細胞を常に保持した。細胞系すべてのストック懸濁液を液体窒素で保持し、実験細胞培養物を2〜3ヶ月ごとに1回更新した。
【0072】
細胞溶解、全細胞溶解物の調製。粗菌類抽出処理への応答として特定のタンパク質の細胞内レベルを測定するために、細胞を採取した後に毎回、全細胞の溶解を行った。全細胞溶解の抽出手順を、以下に記載する。
【0073】
細胞を採取し、3,000rpm、4℃で5分間遠心分離によって冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。最終の細胞量をエッペンドルフチューブに採取し、最後の洗浄から残ったPBSを廃棄し、その結果、細胞ペレットだけを各チューブに残した。細胞溶解に関して、毎回、新たに調製した溶解緩衝液を、以下の含有量で用いた:試料の数に依存して500〜1000μLの細胞溶解試薬、タンパク質分解酵素抑制剤カクテル、および1%の最終濃度でホスファターゼ阻害剤カクテル1およびカクテル2の両方、ならびに0.3Mのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)。溶解緩衝液50μLを添加し、試料を10分ごとに激しくボルテックスして氷上で30分間インキュベートし、13,000rpm、4℃で10分間最終の遠心分離にかけた。全細胞溶解物に相当する上清を、新しいエッペンドルフチューブに移し、−70℃で保存する一方、細胞ペレットは廃棄した。
【0074】
H2O2刺激によるPIκBα動力学。25mlのプラスチック製フラスコを用いて、MCF7乳癌細胞(2×105個)を5mlのRPMI1640培地に播種し、37℃に維持した。24時間後、血清中に示される増殖因子によるシグナル伝達カスケードの活性化を最小化するために、増殖培地を、0.5%FCSを含有する培地と置き換えた。24時間後、細胞に50または100μMのH2O2を5分、10分、20分、30分、40分、および60分間補給して、MCF7乳癌細胞系におけるH2O2刺激後の阻害タンパク質カッパB(IκBα)リン酸化を検出した。
【0075】
対照として、H2O2処理なしを用い、それによってpIκBαの動力学を決定した。細胞を採取し、洗浄し、前に記載したとおりに溶解させた。実験を二通りで行った。
【0076】
IKKキナーゼアッセイ。IκBキナーゼ複合体(IKK−β)活性は、Ser32およびSer36のIKK−βリン酸化部位を包含する50アミノ酸GST−IκBα融合ポリペプチド基質を用いるELISAベース活性アッセイである、IKK−β−阻害剤選別キット(Calbiochem、米国)によって評価した。100ngのGST−IκBα基質および5ngの組換えIKK−βを、600nMのIKK−β阻害剤5−(p−フルオロフェニル)−2−ウレイド]チオフェン−3−カルボキサミド(Fuct)、および100または200μg/mlのコプリヌス・コマトゥス抽出物の存在下でインキュベートした。反応混合物を、グルタチオンで前コートしたウェルに添加し、GST−IκBαの捕獲を可能にした。抗ホスホ−IκBα(Ser32/Ser36)抗体を用いて、リン酸化GST−IκBα基質を検出し、続いて、HRP共役化し、TMB基質で発色させた。吸光度を450nmでモニターし、IKK−β活性のレベルと直接関係づける。
【0077】
デンシトメトリー分析。ウエスタンブロットにより検出した、タンパク質バンドのデンシトメトリー定量分析は、TotalLabソフトウェアを用いて行っており、タンパク質バンドの容量の倍数として示す。菌類抽出物の作用への応答におけるpIκBαレベルに対するウエスタンブロットのデンシトメトリー分析は、対照値の平均±SDとして示す。
【0078】
4.コプリヌス・コマトゥスの内容物および化学組成
コプリヌス・コマトゥスの多糖類組成の分析
CBS123401の液内培養菌糸体バイオマス(10g)を、沸騰96%エタノール(300ml)で2時間洗浄した。不溶性残渣(8.2g、82%)を、オートクレーブ中水(300ml)によって120℃で1時間、2回抽出した。抽出物のごく一部を乾燥させ、NMRで分析し、残部を透析し、100mlに濃縮し、120000gで3時間、超遠心分離機にかけ、脱色のために数滴の臭素で溶液を処理し(この後、一部のタンパク質を沈殿させ、遠心分離で除去した)、Sephadex G−50上でゲルクロマトグラフィーにより分離して、様々な割合でデンプン、β−グルカンおよびガラクタンを含有する3画分(150、220、および130mg)を得た。不溶性残渣(5.8g)を沸騰5%KOHで3時間抽出し、溶液を透析し、上記のとおりに処理して、タンパク質−β−グルカン混合物(300mg)を得た。
【0079】
メチル化分析。試料(1〜3mg)を1mlの乾燥DMSOに100℃で溶解させた。不溶性グルカンを一晩そのままにしたが、依然として完全に溶解しなかった。室温に冷却後、粉末にしたNaOH(約30mg)を添加し、混合物を30分間撹拌し、0.5mlのMeIを添加し、30分間撹拌を続け、過剰のMeIを空気流で除去し、水(5ml)を添加した。可溶性試料について、生成物をCH2Cl2で抽出し、水で洗浄し、3M TFAで加水分解し(120℃、3時間)、NaBD4で還元し、アセチル化し、GC−MSで分析した。不溶性化合物は、透析により回収し、もう一度メチル化した。
【0080】
NMR実験は、標準パルスシーケンスDQCOSY、TOCSY(混合時間120ミリ秒)、NOESY(混合時間200ミリ秒)、HSQCおよびHMBC(100ミリ秒 長期トランスファディレイ)を用いて、アセトン内部標準(1Hについて2.225ppmおよび13Cについて31.5ppm)を有する25℃でのVarian Z勾配プローブを備えたVarian INOVA 500MHz分光計によって行った。データ処理は、Bruker Topspinプログラムで行った。
【0081】
単糖類分析。試料(1〜5mg)を、濃HCl(0.2ml)に40℃で1時間溶解させ、イノシトール標準(0.5mg)を添加し、混合物を水(0.4ml)で希釈し、100℃で2時間加熱した。酸を空気流下で蒸発させ、糖をNaBH4(10mg、30分)で還元し、AcOH(0.5ml)を添加し、試料を乾燥させ、次いで、MeOH(1ml)から2度乾燥させ、0.5mlのAc2Oでアセチル化し、乾燥させ、GCで分析した。この手順により、不溶性ポリマーからのグルコースおよびグルコサミンの回収は改善されるが、ペントースおよび6−デオキシヘキソースは部分的に分解する。それらの正確な定量化を得るために、加水分解を3M TFAで行った(120℃、3時間)。
【0082】
メガザイムキットによるβ−グルカン決定。全般説明:すべてのグルカンを濃(37%;10N)塩酸に可溶化し、次いで、1.3N HClにより100℃で2時間、十分に加水分解した。D−グルコースへの加水分解は、高精製exo−1,3−β−グルカナーゼおよびβ−グルコシダーゼの混合物によるインキュベーションで完了させる。この手順は、製造者指図書に対して10分の1で規模を縮小した。
【0083】
オリゴ糖中の全グルカン(α−グルカン+β−グルカン)プラスD−グルコース、スクロースおよび遊離のD−グルコースの測定。グルカンを、試料(約10mg)から、時々ボルテックス撹拌して、濃塩酸(0.2ml)で30℃にて45分間抽出した。酸を水で5倍に希釈し、加水分解を100℃で2時間行った。酸を1mlの2M KOHで中和し、混合物を200mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で10mlに希釈し、1500gで10分間の遠心分離で清澄化した。0.01mLの抽出物に、0.1mlの水および0.1mlの、exo−1,3−β−グルカナーゼ(20U/mL)プラスβ−フルコシダーゼ(4U/ml)の200mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)中混合物を添加し、混合物を40℃で60分間インキュベートした。3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ混合物(GOPOD)を添加し、40℃で20分間インキュベートした。510nmでの吸光度をその試薬ブランクに対して測定した。
【0084】
スクロース中α−グルカン(フィトグリコーゲンおよびデンプン)+グルコース、および遊離のd−グルコースの測定。試料(10mg)を、撹拌しながら、0.2mlの2M KOHで20分間抽出した。0.8mLの1.2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.8)、続いて0.02mLのアミログルコシダーゼ(1630U/ml)プラス転化酵素(500U/mL)を添加し、断続的に混合しながら40℃で30分間インキュベートした。試料を水で10mlに希釈し、遠心分離で清澄化し、0.01mlの試料を、0.01mlの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)および0.3mLのGOPOD試薬と混合し、40℃で20分間インキュベートし、510nmにおける吸光度を試薬ブランクに対して測定した。試薬ブランクは、0.2mLの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)+3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ試薬からなる。D−グルコース標準は、0.1mLのD−グルコース標準(1mg/mL)+0.1mLの酢酸ナトリウム緩衝液(200mM、pH5.0)+3.0mLのグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ試薬からなる。
【0085】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体由来のレクチン画分の抽出。
50gの湿重量を有するコプリヌス・コマトゥス菌糸体バイオマスを、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリドを含有するPBS(40mM KH2PO4、150mM NaCl;pH7.4)下で均質化した(1/6 w/v)。ホモジェネートを4℃で2時間保ち、次いで、8000gで20分間遠心分離にかけた。80%飽和の(NH4)SO4を、タンパク質画分の沈殿のために用いた。混合物を一晩4℃で放置させた。沈殿物を、12000gで20分間の遠心分離処理により採取し、最小容量のPBSに溶解させ、蒸留水中、次いでPBS中で連続的に透析した。得られた抽出物を、タンパク質の量、レクチン活性、および糖特異性について分析した。
【0086】
レクチンの赤血球凝集能のアッセイ。レクチンの赤血球凝集能を測定するために、トリプシン処理した赤血球懸濁液を用いた。ウサギの血液を、150mM NaClを含有する150mMクエン酸三ナトリウム緩衝液中に採取した。10容量の洗浄緩衝液(PBS)で3回赤血球を洗浄することによって、赤血球懸濁液を新たに調製した。次に、4%赤血球懸濁液のトリプシン処理を37℃で1時間行い;次いで、赤血球を洗浄し、同じ緩衝液中に2%懸濁液(v/v)として懸濁させた。
【0087】
レクチン(赤血球凝集)活性のアッセイでは、レクチン溶液のマイクロタイターU−プレート(50μl)中連続的2倍希釈液を、PBS(pH7.4)中ウサギ赤血球細胞の2%懸濁液50μLと20℃で混合した。結果を1時間後に記録した。赤血球凝集を示す最大希釈の逆数として定義される、赤血球凝集力価は、1赤血球凝集単位に等しかった。特異性活性は、タンパク質1mg当たり赤血球凝集単位の数である。
【0088】
レクチンの糖結合特異性。様々な炭水化物による、レクチン誘導赤血球凝集の阻害の調査は、赤血球凝集試験と類似の方法で行った。糖試料(0.3M)は、リン酸緩衝生理食塩水中で調製した。希釈液のすべては、等容量(25μL)のレクチン溶液と混合した。混合物を室温で30分間放置させ、次いで、50μLの2%ウサギ赤血球懸濁液と混合した。糖結合特異性は、力価4のレクチンの赤血球凝集の阻害に必要とされる各糖の最小濃度として表した。N−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc);N−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)、D(+)ガラクトース(Gal);D(+)グルコース、D(+)ラクトース(Lac);D(+)マンノース、キシロース、セロビオース、およびズルシトールを、レクチンの糖結合特異性の検出について試験した。
【0089】
5.品種トレメッラ・メセンテリカCBS123296の特性;三角フラスコおよび発酵装置中単細胞バイオマスの液内培養。
トレメッラ・メセンテリカの培養物の調製。トレメッラ・メセンテリカの子実体を、イスラエルでカシ属(Quercus sp.)の種の朽ちた木の上で採取した。担子菌類紋は、保湿室内の滅菌ペトリ皿下に置いた新鮮な子実体から、湿度をゆっくり低下させることによって得た。滅菌水中のその胞子懸濁液をペトリ皿中の麦芽寒天の表面上に広げて、単胞子培養物を担子菌類紋から発生させた。発芽担子菌類を立体顕微鏡下で調べ、酵母様出芽性細胞由来の若いコロニーを麦芽寒天(MA)の斜面上に移した。
【0090】
第1工程の液内培養物のためのトレメッラ・メセンテリカ菌株の酵母様1倍体細胞の接種物を、滅菌水中MA斜面上の8日齢培養細胞の懸濁液として調製した。発酵培地を、液内培養物で接種して、多糖類生産のための処理を冷蔵の軌道式振とう器中220rpm、27℃で行った。
【0091】
多糖類生産は、遠心分離により菌株生産体の細胞を分離後に、2容量のエチルアルコールによる培養ブロス上清のアルコール沈殿によって推定した。発酵の最後に培養ブロスから得た粗沈殿物は、細胞外多糖類および菌株生産体の細胞の両方を含有する。
【0092】
5.0g/lのFeSO4・7H2O;0.625g/lのMnSO4・H2O;0.435g/lのZnSO4・7H2Oおよび0.2g/lのCuSO4・5H2O(g/l)から構成される微量元素混合物(微量栄養素)を別に調製し、滅菌培地に添加した。微量元素混合物を培地に1:100に希釈して添加し、最終カチオン濃度(mg/l):Fe++−10.0;Mn++−2.0;Zn++−1.0;Cu++−0.5を得た。
【0093】
微量元素の水酸化物の沈殿生成を防止するために、オートクレーブ処理による滅菌前に、微量元素溶液のpHを50%H2SO4で1.6〜1.8に調整する。
【0094】
決定した組成の培地を、ペプトンおよび酵母抽出物(Pronadisa)ならびにミネラル塩(Sigma)から発生させた。
【0095】
6.トレメッラ・メセンテリカの内容物および化学組成
トレメッラ・メセンテリカCBS123296の酸性グルコロノキシロマンナンの決定。発酵培地上の培養の最後の培養ブロスを脱イオン水で3倍に希釈した。菌株生産体細胞を、Eppendorf5403遠心分離機中5000rpm、4℃で10分間遠心分離により分離させた。上清を、2容量のエチルアルコールと混合し、粗多糖類を沈殿させた。培養ブロスから沈殿した多糖類の混合物を水に溶解させ、Amberlite IR−120(H+−型)で満たしたクロマトグラフィーガラス製カラムを通過させた。酸性グルコロノキシロマンナンを、沈殿物が生成されなくなるまで、10%のセチルピリジニウムクロリド(CPC)水溶液を徐々に添加することによって、採取画分から沈殿させた。不溶性CPC複合体は、遠心分離で採取し、10%塩化ナトリウム中に溶解させた。不溶性粒子を遠心分離で分離後、酸性多糖類を2容量のエタノールを添加して沈殿させた。
【0096】
精製多糖類を、沈殿物を水に溶解させ、続いてアルコールで繰り返し沈殿させることによって得た。
【0097】
7.トレメッラ・メセンテリカ調製物のインターフェロン生成および免疫調節特性。
血漿中のIFNレベルおよび食細胞の機能活性の決定。血漿中のIFNレベルは、マウス線維芽細胞L−929の培養物中試験ウイルス(水疱性口内炎のウイルス、Indiana菌株−VSV)の細胞変性影響の抑圧により推定した。96小孔培養パネルの小孔を、100μLの細胞懸濁液(1×106個細胞/mL)で満たし、5%CO2の雰囲気中37℃で18時間インキュベートし、次いで、100μLの2倍希釈試験試料を添加した。18時間後、予め滴定したVSV作業用希釈物50μLを添加した。パネルを同一条件下でインキュベートした。結果を顕微鏡下で評価した。試験ウイルスの細胞変性影響に対して50%の細胞防護を与えた、最終IFN希釈の逆数を、IFN活性単位と仮定した。IFN力価は、単位/mlで表した。
【0098】
血漿中のTNFの生物活性は、マウス線維芽細胞L−929上の細胞溶解作用により評価した。指標細胞懸濁液(5×106個細胞/ml)を、100μLを複数回に分けて、フラット底96小孔培養パネル中に導入し、5%CO2雰囲気中37℃で24時間培養した。次いで、培地を小孔から除去し、100μLの試験試料および100μLの、アクチノマイシンD(最終濃度1μg/ml)を含有する培地を、細胞の単層に添加した。試験試料なしで培養した細胞は、対照としての役目をした。インキュベーション24時間後に、培地を除去し、細胞を、クリスタルバイオレットの0.2%溶液によって室温で10分の間染色し、水で3回洗い落とし、37℃で乾燥させた。
【0099】
波長550nmでMulti−scan DYNARECH(Swiss)を用いて、結果を評価した。
【0100】
TNF活性は、細胞毒性指数(CI)以外を評価し、これは、以下の式:CI=(K−D)/K×100%(ここで、Kは、対照小孔における光学密度であり、Dは、試験小孔における光学密度である)を用いて計算した。
【0101】
「VECTOR](Ukraine)により作製したTNF組換え調製物「Rifnamen」を、TNF試験に用いた。
【0102】
食作用系の機能活性は、細胞化学法によってニトロブルーテトラゾリウム回収(NBT試験)で調査した。
【0103】
8.トレメッラ抽出物、および植物ウイルスに対する植物抵抗性
ウイルス:タバコモザイクウイルス(TMV)、菌株U1;
植物:自然の照明、湿度、および温度の条件下の温室で栽培された、タバコ(ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum L.)品種Immune580およびシロバナヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium L.)。4〜6葉期の植物を実験に用いた。
【0104】
一部修正したKovalenko法を用いて、トレメッラ・メセンテリカの培養液から抽出した多糖類を本試験で用いた。中性多糖類から酸性グルクロノキシロマンナン(GXM)を単離するために、本発明者らは、0.05M CaCl2の存在下でアセトンと水の溶液(1:1)からのその沈殿を適用した。ガスクロマトグラフィーを、ピリジニウム−アセテート緩衝液、pH4.5(1L水中4mLピリジンおよび10mL AcOH)中Sephadex G−50(2.5×80cm)上で行い、溶出液を屈折率検出器でモニターした。
【0105】
インビトロの実験において、全調製物、中性多糖調製物、ならびに10、100、500、および1,000μg/mLの濃度の純粋GXMの水溶液を、TMV(10μg/mL)の懸濁液に添加した。30分かけてインキュベートした後、チョウセンアサガオ属の葉の左半分にこの混合物を接種した。葉の右半分に多糖類なしの同じ濃度でのTMVを接種した。ウイルス感染の阻害度、またはVIRを、以下の式:I=((K−D)/K)100%(ここで、Iは、ウイルス阻害度またはAVRのレベル、%であり;Kは、対照における局所損傷の数(大きさ)であり;Dは、実験における局所損傷の数(大きさ)である)で、葉の、実験の半分および対照の半分上の局所損傷の数によって(パーセンテージで)数えた。
【0106】
GXMの誘導特性の調査は、タバコおよびチョウセンアサガオ属の植物で行った。この目的のために、1000〜2500μg/mLの濃度での多糖類の水素溶液を、葉の左半分の細胞間空間中に1mL(インスリン)注射器で注射した。葉の2つの半分にTMV(1〜5μg/mL)を接種した。AVRの程度は、上記の式によって考慮した。
【0107】
植物抵抗性のGXM誘導機構を研究する場合、本発明者らは、RNA−ポリメラーゼを遮断することによりmRNAのDNA依存性合成を阻害するアクチノマイシンD(AMD)を用いた。10および20μg/mLの濃度でのAMDならびにラムノリピド(RL)−1mg/mLの溶液を、同時にまたはGXM後の一定時間を経て、表皮下に導入した。局所損傷の数および大きさの差は、スチューデント(t)検定の基準で評価し;得られたα−値は、以下の記号:+++P≦0.01%;++0.1<P≦1%:+1%≦P≦5%;0p>5%で表に示す。
【0108】
(例1)
品種コプリヌス・コマトゥスCBS123401の特性
純粋培養における植物性菌糸体。菌糸体コロニーは、白く、綿状で、しばしば、「タフト」(菌糸集合体)を成熟とともに発達させる。非対称に形状化して、通常、外側端部に沿って菌糸体マットを形成する。クランプ連結、融着、および髪様結晶がしばしば、菌糸上に存在する。
【0109】
菌傘3〜15cm;若いときに卵形から丸みを帯びた円筒形、つり上げ縁を有する鐘形状に膨張する;年齢が増すとともに黒色の「インク(ink)」に変化する;乾いている;茶色がかった中心を有して白っぽい;大きくて、毛羽だった鱗片;成熟時にしわを寄せた縁。茎をもたないラメラ;白色、ピンクがかって、次いで、黒色になる;黒色「インク」に変わる;非常に混んでいる。柄5〜20cm長;1〜2cm厚さ;しばしば頂点まで先細になる;滑らか;白色;傘から容易に分離できる;中空、内部に垂れ下がる繊維の筋様ストランド;内容物は全体に白色で、軟らかい。胞子紋は黒色。担子胞子 9〜13×7〜9μm;楕円形;滑らか;中心からわずかに偏心した孔。担子器 4胞子、28〜43×10〜13μm、5〜8個の偽副生体で囲まれる。側シスチジアなし。縁シスチジア 様々な形状;最大60×40μm。毛状被は、7〜30μ幅の円筒要素でできている。不完全なクランプだけが存在する。
【0110】
生息場所。しばしば予期されない場所、例えば、街の緑地などに群で生育する。草地および牧草地に広く出現する。
【0111】
(例2)
コプリヌス・コマトゥスの抗酸化活性の評価
2.1 乾燥させた液内培養キノコ菌糸体からのバイオマスおよび抽出物の収量
選別日程の間に高等担子菌類キノコの液内培養のために選択した栄養培地は、選択した種すべての発育を確実にした。しかし、同一の培養条件におけるコプリヌス・コマトゥスCBS123401キノコ培養8〜11日後の菌糸体バイオマスの収量は、6.8g/lであった(表1)。
【0112】
乾燥させ摩砕したキノコ菌糸体からの可溶性化合物の抽出は、培養液(水に代えて)およびエタノールで行った。種々の菌株から得られた抽出物の中での収量の有意差が明らかになった。さらに、キノコバイオマスから得られた抽出物の収量は、使用した溶媒に有意に依存した。コプリヌス・コマトゥスCBS123401バイオマスの培養液による抽出は、23.2%の抽出物を生じさせた。
【0113】
エタノールによる抽出は、あまり有効でなく、試験菌株上で用いた弱い可溶化剤は、単に8.5%を生じさせただけであった。
【0114】
2.2 液内培養コプリヌス・コマトゥスCBS123401キノコ菌糸体からの水(培養液)およびエタノール抽出物の抗酸化活性
表2に示すデータは、コプリヌス・コマトゥスCBS123401から得られた水(培養液)抽出物の抗酸化活性(AOA)を示す。2mg/mLの濃度のC.コマトゥスCBS123401水抽出物を用いた場合、非常に高いAOAが明らかになった。わずかに低いAOAが、コプリヌス・コマトゥスCBS123401菌糸体バイオマスからの水抽出物で観察された。これら抽出物すべての阻害値は、事実、試薬混合物中のそれらの濃度の増加に伴って変化しなかった。
【0115】
キノコバイオマスからのエタノール抽出物のAOAは、高等担子菌類の種に大きく依存しただけでなく、試薬混合物中の抽出物濃度の変化にも依存した。エタノール抽出物の濃度が、2mg/mlから4〜8mg/mlに増加した場合、コプリヌス・コマトゥスCBS123401からの抽出物のAOAは、74.4から86.4%に増加した(表3)。
【表2】
【表3】
【0116】
2.3 液内培養キノコ菌糸体からの水(培養液)およびエタノール抽出物のフリーラジカル捕捉活性
フリーラジカル捕捉は、公知の機構の1つであり、それにより抗酸化物質は、脂質酸化を阻害する。1,1−ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)フリーラジカルを捕捉する方法を用いて、抗酸化活性を評価した。520nmにおける特徴的な吸収を有する安定なフリーラジカル生成物質であるDPPHを用いて、抽出物のラジカル捕捉効果を試験した。吸光度の低下は、ラジカル捕捉の程度の指標と考えられる。
【0117】
水およびエタノールの抽出物の最も高いフリーラジカル捕捉活性が、0.5mg/ml(それぞれ、27.0%および22.0%)の試料濃度で測定されたが、それらの値は、標準(92.0%)のものより非常に低かった(表4および表5)。
【0118】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401のエタノール抽出物のフリーラジカル捕捉能は、22から1に低下し、試料濃度は、0.5から9mg/ml%に、それぞれ増加した(表5)。
【表4】
【0119】
表5および表6に示されるDPPH捕捉効果に対する効果濃度の値は、水およびエタノールの抽出物の両方のEC50が、1mg/mL付近であるようにみえた証拠を示す。
【表5】
【0120】
(例3)
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体からの水(培養液)および酢酸エチル抽出物の生物活性についての試験
3.1 H2O2による、MCF7細胞におけるNF−κB刺激後のpIκBαレベル
薬用キノコについての多くの研究により、食餌療法用サプリメントおよび免疫促進物質としてだけでなく、様々な細胞応答のモジュレータの供給源としても、それらの外にない潜在性が分かった。その化学療法計画の大部分の実際の成功にもかかわらず、細胞適応は、腫瘍細胞を多くの化学療法剤に対して抵抗性にさせることを可能にしてきた。これらの細胞化学物質抵抗性因子の1つは、核因子カッパB(NF−κB)であり、これは、腫瘍増殖を促進することが示された。NF−κBの活性は、IκBタンパク質との相互作用によって強固に制御される。NF−κBタンパク質と同様に、個々のNF−κB複合体に対する異なる親和性を有するいくつかのIκBタンパク質があるが、いくらか異なって制御され、組織特異的様式で発現される。
【0121】
細胞外刺激は、2種の保存セリン(IκBαにおけるSer32およびSer36)上のIκBをリン酸化するIκBキナーゼ(IKK)の活性化をもたらす。このリン酸化は、プロテアソームの分解に対するIκBを特徴づけ、核転座およびNF−κBの活性化を引き起こす。これは、NF−κB活性化の古典的経路と考えられる。NF−κB活性化のいくつかの代替経路が、説明されてきた。NF−κBの活性化の現在の研究では、過酸化水素が用いられ、これは、周知のNF−κB活性化剤であり、強力な酸化試薬である。予備データにより、100μMのH2O2による10分の処理は、最高レベルのpIκBαをもたらし、10μMの、公知の抗酸化物質および抗癌試薬であるクルクミンによる処理は、pIκBαレベルを著しく阻害したことが示された。MCF7細胞を、増加する期間、50および100μMのH2O2で刺激した。20分間および40分間の50μMのH2O2刺激は、H2O2が添加されていないDMSO(ジメチルスルホキシド)処理細胞である対照と比較して、高レベルのpIκBαを示した。最高レベルのpIκBαは、10分の刺激における100μMのH2O2処理細胞により示された(図示せず)。したがって、pIκBαレベルに対する抽出物の潜在効果を調べる最良の条件は、選択された菌類抽出物と一緒の10分のH2O2刺激において確立された。
【0122】
(MCF7細胞を、増加する期間、50および100μMのH2O2で刺激した。10分間隔における100μMのH2O2による刺激により、H2O2が添加されないDMSO処理細胞を用いる対照と比較して、最高レベルのpIκBαが示された。データは、2つの同様の実験の1つの結果を示す)。
【0123】
3.2 細胞生存度に対するコプリヌス・コマトゥスCBS123401粗抽出物の効果
現実験では、コプリヌス・コマトゥスCBS123401を調べた。C.コマトゥス培養液(水)(E1)および酢酸エチル(E2)の粗抽出物を、それらのMCF7細胞系の細胞生存度に影響を与える能力について試験し、IC50を計算した。抽出物E2は、最も強力であるようにみえ、IC50は32μg/mlであり、E1が続き、IC50は76μg/mlであった(表6)。これらの結果は、C.コマトゥスCBS123401抽出物の活性部分が、抽出物E2で濃縮されることを示す。抽出物E1は、有意な仕方で細胞生存度に影響を与えなかったが、このアッセイにより、抽出物E2が、E1よりもより高い増殖阻害活性を示すことが明らかとなっており、E2が、抗癌活性可能性を有する一部の生物活性化合物を保有し得ることが主張される。
【表6】
【0124】
細胞を、増加する濃度のコプリヌス・コマトゥス抽出物で処理した。48時間後、細胞を採取し、0.4%トリパンブルー溶液(1:1)で染色し、血球計を用いて数えた。細胞生存度の阻害パーセントは、DMSO処理した対照に対して計算した。値(μg/ml)は、2通りの実験の平均IC50±標準偏差として表す。
【0125】
3.3 IκBαリン酸化に対するコプリヌス・コマトゥスCBS123401粗抽出物の効果
NF−κB経路は、制癌剤発見における最も有望な目標の1つとして浮上してきている。コプリヌス・コマトゥスCBS123401抽出物は、NF−κB活性化経路を調節することが見出された。pIκBαレベルに対する、C.コマトゥスの2種の抽出物、E1およびE2の効果を確立するために、MCF7細胞を上記のとおりに100μMのH2O2で10分間刺激した。予備データは、100μMのH2O2による10分の処理が、最高レベルのpIκBαを引き起こすことを示した(図示せず)。C.コマトゥス抽出物を、それらの、H2O2による10分の細胞刺激でIκBαリン酸化に影響を与える能力について試験した。結果は、両方の抽出物が、用量依存性様式でIκBαリン酸化に有意に影響を与えることを示した。有機抽出物E2は、用いた両方の濃度(100および200μg/mL)でIκBαリン酸化の最も活性な阻害剤であるように思われた。図2に示すとおりに、抽出物E2は、濃度200μg/mLでIκBαリン酸化をほぼ完全に阻害し、100μg/mLの濃度でリン−IκBαレベルの部分的な阻害を引き起こした。抽出物の効果は、それもまた高いリン−IκBα阻害効果を実証したクルクミンの効果に匹敵する(図2)。
【0126】
これらの結果と対照的に、100および200μg/mlの濃度での抽出物E1は、IκBαのリン酸化を部分的に阻害しただけであった(図3)。
【0127】
E2抽出物が、E1抽出物よりも非常により強力な阻害剤であったということは、脂質可溶性物質が、NF−κB経路の非常に強力な阻害剤であることを示す。
【0128】
3.4 IKK活性に対するコプリヌス・コマトゥスE1およびE2抽出物の効果
NF−κBの主要な活性化剤は、IκBキナーゼ複合体(IKK)である。この複合体は、2つの触媒サブユニット、IKK−αおよびIKK−β、ならびに調節サブユニット、IKK−c(NEMOとしても知られる)を包含する。NF−κB経路は、細菌およびウイルス感染、ならびに炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(例えば、腫瘍壊死因子a(TNF−a)、リポ多糖類(LPS)、インターロイキン(IL−1、IL−6)など)(これらのすべては、IκBαのN末端に近い2個の特定のセリンのIKKβによってIKK複合体リン酸化を活性化し、これは、プロテアソームによるユビキチン化および分解についてIκBαを標的とする)によって誘導される。NF−κBの活性化をもたらすほとんどすべてのシグナルは、セリン特異的IKKを含有する高分子量複合体の活性化に集中している。IKK複合体の活性化は、IκBαのN末端の近くの2つの特定のセリンのIKKβによるリン酸化をもたらし、これは、プロテアソームによるユビキチン化および分解についてIκBαを標的とする。
【0129】
上記の結果に基づいて、本活性抽出物のNF−κB阻害効果は、IκBαリン酸化の上流にあるNF−κB経路の調節によると思われた。IKK複合体は、セリン32および36でIκBαをリン酸化し、これは、26SプロテアソームによるIκBαのユビキチン化および分解をもたらす。E1およびE2がIKK活性に影響を与えるかどうかを確立するために、ELISAベースIKK活性アッセイを適用した。IKK活性に対するE1およびE2の抽出物の効果は、図4に示す。得られたデータは、E2抽出物だけが、未処理試料の対照と比較して、IKK複合体の活性を阻害することを示した。さらに、E2は、用いた正の対照、5−(p−フルオロフェニル)−2−ウレイド]チオフェン−3カルボキサミド(Fuct)の効果、およびMO04−マラスミウス・オレアデス(Marasmius oreades)酢酸エチル粗抽出物に匹敵する、強力な効果を示した。
【0130】
(例4)
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の液内培養菌糸体の内容物および化学組成
コプリヌス・コマトゥスの液内培養菌糸体の化学組成は、本技術で周知の従来の方法によって確立し、表7および表8に開示する。
【0131】
4.1 化学内容物
【表7−1】
【表7−2】
【0132】
コプリヌス・コマトゥスCBS123401の菌糸体は、17の遊離のアミノ酸を含有したが、その内の10個は、必須アミノ酸である(星印を有するもの):γ−アミノ酪酸*、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン*、イソレイシン*、ロイシン*、リシン*、メチオニン*、フェニルアラニン*、セリン、トレオニン*、トリプトファン*、チロシン、およびバリン*。
【表8】
【0133】
4.2 コプリヌス・コマトゥスCBS123401液内培養バイオマスの多糖類組成の分析
洗浄した細胞を、オートクレーブ中熱水によって120℃で1時間抽出した;沈殿物を遠心分離により除去した。少量の溶液を乾燥させ、NMRで分析した。スペクトル(図5)は、低分子量質量成分の強いシャープなシグナルおよび典型的なタンパク質−多糖類バックグラウンドを示した。この生成物の2次元スペクトルを記録し、低分子量質量成分を、モル比約1:1のトレハロース(α−Glc−1−1−α−Glc、キノコ、例えば、シイタケ(Lentinus edodes)、マイタケ(Grifola fondosa)、ナメコ(Pholiota nameko)、およびユダの耳(Auricularia auricula−judae)などのキノコの特徴的成分(これらは、乾燥重量形態で1%から17%パーセントのトレハロースを含み得る))、およびマンニトールと同定した。マンニトール含有量は、GC分析により推定した。マンニトール含有量は、GC分析により推定した:1%w/wのイノシトール(内部標準)を新鮮な細胞に添加し、混合物を無水酢酸ピリジンによって100℃で1時間アセチル化した。GC分析は、細胞のマンニトール含有量が3重量%であることを示したが、その結果としてトレハロース含有量は6%である(それは、マンニトールの分子質量の2倍の分子質量を有する)。
【0134】
水抽出後の残渣は、5%NaOHで処理した(100℃、3時間);沈殿物を遠心分離により除去した;溶液を透析し、乾燥させた;収量は400mgであった;タンパク質含有量は30%であり、炭水化物含有量は55%であった。
【0135】
全細胞、抽出物、および抽出後の残渣の単糖類の分析を行った;結果は表9および図6に示す。細胞および固形物残渣を、濃HClに40℃で1時間溶解させ、次いで、最終酸濃度2Mまで水で希釈した。他の試料は、2M HClに直接溶解させた。加水分解を100℃で2時間行い、生成物を乾燥させ、糖をアルジトールアセテートに変換し(NaBH4還元およびAc2Oによるアセチル化)、GCで分析した。不溶性β−グルカンは残渣中にそのまま残り、可溶性成分は抽出により徐々に除去されるので、抽出後の固形物残渣のグルコース含有量は増加する。
【表9】
【0136】
透析により水抽出物から低分子質量成分を除去することにより、比色試験により決定して25%炭水化物および40%タンパク質を含有する生成物が残った(多糖類に対しフェノール硫酸およびタンパク質に対しローリー法)。多糖類は、NMRスペクトルに基づいて、デンプン、β−グルカン、およびフコガラクタンと同定した。デンプンアミロース(細胞からの2%w/w)は、CaCl2沈殿により純粋形態で単離した。ガラクタン含有量は、単糖類分析から3%と推定した。全抽出物、および細胞のフコース含有量は、定量化には低すぎた。ガラクタンの構造は、NMRおよびメチル化により分析し、以下に示す:
【化1】
【0137】
水およびNaOHの抽出物由来の多糖類は、Sephadex G−50上でサイズ排除クロマトグラフィーにより部分的に分離した(図7)。デンプンは最初に溶出され、1H NMRスペクトルで同定した。ガラクタンも、空隙容積の近くに溶出され、これは、10,000Daと推定された、その分子質量についての公表データと一致した。Sephadex G−50についての空隙容積(排除容積)は、デキストランについて10,000Daである。ガラクタンは、卵形に近く溶出されたが、わずかに保持され(したがって、その分子質量は、排除質量より大きくなかった)、したがって、それは、10,000Daの最大質量を有した。それは、より低い質量画分にも示された。
【0138】
可溶性β−グルカンは、明確で支配的な質量はもたずに10,000から1000未満の広い分布の分子質量を有した。クロマトグラフ(図7)からわかるように、β−グルカンは、Sephafex G−50の全分画範囲にわたって、空隙容積から塩までの非常に広いピークとして選定された(500〜10,000Da)。純粋なβ−グルカンを調製することはできなかった;それは、いくらかの量のデンプン、ガラクタン、およびタンパク質を含有した。アニオン交換クロマトグラフィーでは、タンパク質の部分の除去のために、スペクトル品質が改善されたが、多糖類は完全に分離しなかった。グルカンの低分子質量のために、いくらかの量のグルカンは、透析およびゲルクロマトグラフィーの間に失われた。
【0139】
β−グルカンのメチル化分析により、末端、3−、4−、6−、および3,6−置換グルコース残基の2:1:0.3:3:1の比での存在が示された。メチル化分析により、側鎖は、主鎖のあらゆる第3のグルコースに結合していること、および側鎖の平均長は、3糖(t−Glc:6−Glc 約1:2、3−Glc:3,6−Glc 約2:1)であることが示唆される。4−および4,6−置換Glcの存在は、デンプンに由来し得る。2−および2,6−置換Galのピークは、ガラクタンに属した。
【0140】
β−グルカン画分のNMR分析は、霊芝(Ganoderma)グルカンに対するその類似性を示した(図8および表10)。その構造を以下に示す:
【化2】
(式中、mは、1から約10の間の整数であり、nは、約3に等しい整数である)。
【0141】
デンプンおよび不溶性β−グルカンの含有量の定量化について、Megazymeアッセイ「Mushroom and beta−glucan」を用いた。測定は、製造者の説明書に従って行った。細胞、水抽出細胞、水およびNaOH抽出細胞、水抽出物ならびにNaOH抽出物の試料を分析した。結果は、表11に示す。Megazymeアッセイ「Mushroom and beta−glucan」は、加水分解および酵素処理の組合せにより放出された全グルコースの測定、ならびにデンプン含有量の別個の測定に基づく。β−グルカン含有量は、最初の2つの数字の差として計算する。β−グルカンの直接の測定は、用いなかった。
【表10】
【表11】
【0142】
結論
この試験の結果は、コプリヌス・コマトゥスが、ガノデルマ・ルキドゥム(Ganoderma lucidum)キノコから抽出された可溶性β−グルカンと類似している、1,6−結合側鎖を有するβ−1−3−グルコース主鎖を有するβ−グルカンを産生することを示す。C.コマトゥスは、フコガラクタン、デンプン、トレハロースおよびマンニトールも産生し;これらの成分のすべては、キノコに以前に見出されたものである。可溶性β−グルカンは、低分子質量を有し、熱水で容易に抽出可能である。
【0143】
4.3 レクチン含有量。試験した種コルピヌス・コマトゥスCBS123401バイオマスは、赤血球凝集能を有する(表12)。非常に高いレクチンの赤血球凝集力価(18585)が、C.コマトゥスからのバイオマス抽出物から明らかになった。C.コマトゥスの特異的な赤血球凝集能は、62700Umg−1に達した。
【表12】
【0144】
データは、ラクトース、続いてGalNAcおよびガラクトースが、試験キノコのレクチンの赤血球凝集能の最も広範囲に及ぶ阻害剤であることを示す。ラクトースは、菌類の最も強力な阻害剤であった。ラクトースは、0.78mMの濃度でC.コマトゥスのレクチン活性を阻害した。同時に、キシロース、セロビオース、およびズルシトールは、コプリヌス・コマトゥスバイオマスのレクチン赤血球凝集能を阻害しなかった。
【0145】
得られた結果は、C.コマトゥスは、バイオマスおよび子実体におけるレクチンを蓄積する能力を有することを示した。特に、高い赤血球凝集能が、C.コマトゥスで明らかとなった。キノコレクチンに対する糖特異性の決定は、ラクトース結合レクチンが、試験菌株の中で最も広範囲に及ぶことを示した。
【0146】
(例5)
品種トレメッラ・メセンテリカCBS123296の特性
純粋培養における植物性菌糸体。菌糸体コロニーは、白く、綿状で、しばしば、「タフト」(菌糸集合体)を成熟とともに発達させる。非対称に形状化して、通常、外側端部に沿って菌糸体マットを形成する。クランプ連結、融着、および髪様結晶がしばしば、菌糸上にしばしば存在する。
【0147】
担子果はしばしば、大きく且つ顕著であり、2〜10cm幅および最大5cmの高さ、ほとんど単独、ゼラチン質、若いとき脳の形をしており、湿っており、その後、葉状であり、不規則なクラスター襞を有し、いくつかの波状のひだのある列片からなり、新鮮な標本は黄色から黄色っぽいオレンジ色であり、湿潤のまたは暗い環境で、時に白っぽくまたは全体に無着色および老齢で白色であり、乾燥時に黄色がかったオレジン色からより暗色になる。子実層表面は滑らか、大体つややか。葉肉はゼラチン質で軟らかい。菌糸系は、単一菌糸型。菌糸は、豊富なクランプ連結を有し、ガラス質、薄肉から厚肉、ほとんど1.5〜3μm幅、担子果の内部はいくらか広く、ゼラチン化。吸収管細胞は、球形から長楕円、3〜6×2〜4μm幅、通常、若い試料を除いて存在し、付着点の近くに豊富。担子器、2種類:1)広く楕円からゆがんだ球形、10〜25×10〜22μm;2)卵形からこん棒形、20〜30(〜35)×12〜20μm;垂直方向にまたは斜めに隔壁、4胞子、小柄100〜150×2〜3μm幅を有し、最大7μmまで先端に膨らんでいる。担子胞子は、広く楕円から長楕円、(8〜)10〜16(〜18)×(5〜)7〜10(〜12)μm、滑らか、ガラス質、薄肉、明らかな尖端、メルツァー試薬(Melzer’s reagent)に陰性。分生子柄は、密集して分岐、しばしば子実層に豊富、特に若い標本に存在。分生子は、ゆがんだ球形から卵形、および3〜5×2.5〜3.5μm、または楕円から円筒形、直径3〜5×(1〜)2μm、滑らか、ガラス質、しばしば多数。嚢状体は、通常なし、時に発育の早期に存在、薄肉からわずかに厚肉、最大3.5(〜4)μm幅。小胞は、形状および大きさが変わりやすく、球形から楕円形、大部分20〜30×5〜10μm、厚肉。胞子紋は、白っぽいまたは浅黄色っぽい。
【0148】
生息場所:広葉樹材の朽ちた枝、幹、および切り取った枝の上。
【0149】
トレメッラ・メセンテリカCBS123296は、特別の生活環を有する。他の高等担子菌類キノコと対照的に、単一の担子胞子が、菌糸および酵母様出芽性細胞によって栄養培地ブロス上で発芽する。モノ担子菌(Monobasidiosporous)培養物は1倍体であり、すなわち、各細胞に1個の核のみを含有する。異なる担子胞子に由来する、2つの和合性1倍体細胞は、接触すると、細胞質体融合および核合体が生じ、核異型菌糸体が発生する。核異型菌糸体は、培養のいかなる条件下でも、出芽性細胞の形態で発育できず、したがって、発育の酵母様型は、キノコ培養物の1倍体状態によって遺伝学的に決定される。貧培地上または枯渇酵母様細胞の状態下で、細胞は1倍体菌糸を生成し得るので、1倍体培養物は、より形成性である。他の微生物のように、単細胞菌類培養物は、菌糸体のものよりバイオテクノロジー処理をより受け入れられる。これは、滅菌菌糸体の形態で発育する担子菌類核異型培養物に特に重要であり、核異型菌糸体の均質化を包含する、担子菌類接種物を調製するための特別の手順が必要とされる。本発明の1倍体酵母様出芽性培養物は、バイオテクノロジーの考慮からだけでなく、菌糸体形態よりも大量の多糖類を生産するその生理学的属性で規定されるように、発育の最適な形態である。
【0150】
(例6)
薬用ゼリー状キノコのトレメッラ・メセンテリカCBS123296純粋培養物の発育および生合成活性の制御
トレメッラ・メセンテリカの子実体は、担子胞子紋発達のために採取した。子実体は、クェルクス属の種の死んだ小枝上のペニオポラ属の種(Peniophora sp.)に関係した。この標本から得られた1倍体酵母様培養物は、寒天培地上で速い発育を示し、それらの14個を液内培養条件で一次選別のために用いた。選択された菌株は、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の名称下で、Haifa University Culture Collection(HAI)に寄託されている。
【0151】
液内培養条件における選択菌株バイオマス発育のための最適なpH値は、5.5から中性を意味する値(neutral meaning)の範囲で決定された。バイオマスの最大収量は、pH6.35を有する液体麦芽抽出物培地上で得られた。
【0152】
バイオマス蓄積に好適な培地組成物の最適化により、スクロースが、グルコースと同様に適切な炭素源であることが実証された。
【0153】
ペプトンおよび酵母抽出物の混合物は、良い窒素源であるが、前に調べたアンモニウム塩は、培地のpHを非常に急速に低下させた。リン塩の添加は、バイオマスの収量増加をもたらさなかったので、それらは、細胞成長のためのリンも十分に含有した。酢酸マグネシウムは、MgSO4より生理学的にアルカリ性と考えられ、事実、培地の急速な酸性化を防止した。
【0154】
わずかに改変した培地は、以下の組成(g/l):スクロース−20.0;ペプトン−2.0;酵母抽出物−2.25;酢酸Mg−1.0;KCl−1.0の標準「接種培地」としてさらに用いた。120℃で30分間滅菌後の培地のpHは、6.5に近い。
【0155】
「発酵培地」の最適組成は、以下のとおりであることが見出された:トレメッラ・メセンテリカを、部分A((g/L)スクロース、50.0;酵母抽出物 0.5;KCl、1.0;酢酸Mg・4H2O、1.0からなる)と部分B((g/L)NaH2PO4・H2O、0.5およびNa2HPO4・7H2O、1.0からなる)を混合することにより調製した培地中で培養した。
【0156】
溶液が、滅菌後に室温まで冷えたときに、部分Bを、部分Aを含むフラスコに添加した。
【0157】
T.メセンテリカの培養は、72時間継続し、その時点で、培養液中のTMPは、27.0g/lに達した(表13)。沈殿後、分離させ、乾燥させて、170gのTMP調製物が得られた。
【表13】
【0158】
(例7)
トレメッラ・メセンテリカの内容物および化学組成
7.1一般的組成。トレメッラ・メセンテリカCBS123296液内培養粗生産物は、等しい割合の菌株生産体および細胞外多糖グルコロノキシロマンナンの、細胞バイオマスからなった。この場合の一般的組成を、表14に示す。
【表14】
【0159】
化学組成は、イスラエルにおける2つの異なった、独立した施設(Bactchem CO.およびAminolabs Co.)で決定し、表15から表17に開示する。
【表15】
【表16】
【0160】
7.2 粗食物繊維は、ヘミセルロース、低分子多糖類(デキストリンなど)、および細胞壁成分(β−(1−3)−グルカンなど)を包含する。
【0161】
7.3 ビタミン。トレメッラ・メセンテリカCBS123296のバイオマスでは、ビタミンA(レチノール)、C(アルコルビン酸)、E(α−トコフェロール)、およびビタミンB群が見出された。
【表17】
【0162】
ビタミンB群の中で、感受性栄養要求体微生物の成長特性の推定に基づく、微生物学的方法で決定して、T.メセンテリカバイオマスは、ナイアシンに特に富んでおり、且つビタミンAに富んでいる。
【0163】
7.4 トレメッラ・メセンテリカ(CBS123296)中グルカンおよびグルクロノキシロマンナン
組成は、全トレメッラ・メセンテリカ液内バイオマス、および超遠心分離後に得られた画分のGC分析(グルコース、マンノースおよびキシロースの含有量)により決定した。グルカンは、120000gで完全に沈殿し、グルクロノキシロマンナン(GXM)は溶液中に大部分残存するが、同様に部分的に沈殿する。GXMは、多糖バイオマスの乾燥重量の約70%、グルカンは約30%を構成することがわかった。
【0164】
GXMを含まない純粋グルカンは、高出力超音波により処理したトレメッラ・メセンテリカの分離により得た。超音波処理GXMは、水により良く可溶性であり、超遠心分離で沈殿せず、したがって、純粋β−グルカンは、2回の再沈殿後に単離することができる。1.2gのトレメッラ・メセンテリカの分離により、400mgの沈殿物(約10%のGXMを含むグルカン)および800mgの可溶性生成物(GXM)が得られた。
【0165】
GC分析において、GXM含有量は、(Man+Xyl)*1.3(1.3は、GlcAおよび酢酸塩を補償するために用いた)と見なした。新たに単離したトレメッラ・メセンテリカ(CBS123296)中のグルクロノキシロマンナンの構造は、他のトレメッラ・メセンテリカ菌株から単離したグルクロノキシロマンナンといくらか異なっていることがわかった(図示せず)。グルカンは、グルコース含有量から推定した。グルクロノラクトンのGlcへの還元を避けるために、加水分解は、NaBH4による還元前に24%NH3で処理した。グルカンは、加水分解に用いた3M TFAに十分可溶性でないので、他の組の試料を加水分解前に濃HClで処理した(40℃、1時間)。この手順は、Glc回収の増加をもたらすが、キシロースは、一部分は分解する。
【0166】
β−グルカンのメチル化により、これは3−および4−置換グルコースを主成分として有する直鎖状構造を有することが示された(図9および図10)。したがって、グルカンは、3,4−β−グルカンである。グルカンは、DMSOに十分可溶性ではなく、したがって、それを2回メチル化した;依然として一部の部分は、溶解しなかったが、これは、結果に影響し得る。グルカンは水に可溶性ではない。
【0167】
(例8)
トレメッラ・メセンテリカCBS123296調製物のインターフェロン生成および免疫調節特性
18〜20gの体重の雑種マウスを試験に用いた。これらのマウスに、トレメッラ・メセンテリカCBS123296の液内単細胞バイオマスによって、餌を経口で与えた。
【0168】
マウスを、本調製物で処理6時間後、24時間後および48時間後に殺し、次いで、血漿を採取し、インターフェロン(IFN)および腫瘍壊死因子(TNF)レベルを決定し、腹膜の滲出液のマクロファージは、本調製物に対する食作用系機能活性応答を調査することを目的とした。
【0169】
8.1 血漿IFNレベル
インターフェロン生成特性は、表18に示し、経口によりマウスに投与した4mg/動物でのバイオマスの単回用量は、24時間後に低力価(80単位/ml)の内因性IFNの合成を誘導したことを示す。上記用量のトレメッラ・メセンテリカバイオマスで処置した動物の血清中のIFNレベルは、48時間後に80単位/mlに増加したままであった。
【0170】
10mg/動物の用量でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスは、より活性であるように見え、投与6時間後に80単位/mlの内因性IFN力価の生成を生じさせた。本調製物投与24時間後に、動物血清中のIFN力価は、最大160〜320単位/mlに達した。さらに(48時間で)、血清IFNのレベルは、低下したが、対照の指数と比較して上昇したまま(80単位/ml)であった。
【表18】
【0171】
本試験で決定された血漿中の腫瘍壊死因子(TNF)レベルによれば、トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、インビボでこのサイトカインの合成をもたらさなかった(図示せず)。同時に、これらの調製物は、内因性の体中毒を低下させることを補助し得る。これは、対照マウスの血漿中で検出されたTNFによって証明される(生理溶液の導入で)。本調製物の使用は、対照動物の血漿中のTNFの量の低下をもたらした。
【0172】
8.2 トレメッラ・メセンテリカバイオマスに対する腹膜滲出液のマクロファージの機能活性の応答。腹膜浸出液のマクロファージの機能活性は、ニトロブルーテトラゾリウムの非基質還元の反応である、Nitro Blue Tetrazolium(NBT)試験で評価した。NBT試験は、マクロファージのNBT還元能の低下が、それらの酸素依存性殺生物特性の病理学と同時に起こるため、マクロファージの機能活性の調査によく使用される。NBT試験におけるマクロファージの活性は、インビトロでの追加の細胞刺激なしで(自発的試験)およびSt.アウレアス(St.aureas)細胞と一緒のインビトロでのそれらの刺激によって(刺激試験)調査した。刺激NBT試験は、食作用を完了するための容易性の細胞化学的基準と見なされる。自発的および刺激NBT試験の指数の間の差は、細胞機能リザーブ(FR)とみなし、これは、一般的な免疫リザーブ(immunity reserve)についての概念に良く当てはまる、食細胞系のエフェクター潜在性を反映する。
【0173】
経口で投与された4および10mg/動物でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスの単回用量は、自発的および刺激NBT試験における腹膜滲出液のマクロファージの酸素依存性殺生物活性指数を変更することが見出された(表19)。トレメラスチン(Tremellastin)の食細胞活性応答は、用量および観察時間に依存したことが言及されるべきである。例えば、4mg/動物用量のトレメッラ・メセンテリカバイオマスを投与して6時間後に、酸素依存性殺生物活性およびマクロファージのFRのわずかな低下が、自発的および刺激NBT試験の両方で生じた。表19に示すデータは、24時間後および48時間後に、自発的NBT試験の指数は増加して、4mg/動物でのトレメッラ・メセンテリカバイオマスの応答における対照指数値に達したことを示す。しかし、対照と比較して、示された観察期間(24時間および48時間における)の間に刺激NBT試験において、マクロファージ活性の酸素依存性殺生物活性の劇的な増加が生じ、これは、それらのFRの顕著な増加をもたらした。
【表19】
【0174】
トレメッラ・メセンテリカバイオマスの10mg/動物の単回用量に対する応答において、自発的NGT試験の指数のわずかな増加が6時間後に観察されたが、24時間後および48時間後に、その値は対照指数レベルまで低下した。同時に、マクロファージ活性の顕著な増加が、刺激NBT試験で全体の観察期間の間に、6時間、24時間および48時間で観察された。10mg/動物のトレメッラ・メセンテリカバイオマスで処理されたマウスマクロファージの刺激NBT試験指数の増加は、FR細胞の劇的な増加をもたらした。表19からのとおりに、FR増加は6時間後に起こり、48時間で最大に達した。
【0175】
本発明者らの研究から分かるように、トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、自発的NBT試験の指数に対して影響は少なかったが、それは、刺激NBT試験で、マクロファージ活性の顕著な増加を引き起こし、このようにして、食細胞系のリザーブ潜在力を増加させた。
【0176】
本発明者らの調査の結果から分かるように、自発的NBT試験における6時間後のマクロファージの酸素依存性殺菌活性は、対照と比較して変わらないままであった。同時に、刺激NBT試験指数は、6時間後に増加し、これは、細胞FRの顕著な増加をもたらした。24時間後、自発的NBT試験指数は、対照と比べて変わらないままであり、刺激試験の指数は、増加する傾向があり、細胞のFRも変わらないままであった。
【0177】
8.3要約。本調査の結果の分析によれば、トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物の4および10mg/動物の単回用量により、少しのインターフェロン生成活性がもたらされ、「遅い」内因性インターフェロンの生成が誘導される。トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物は、より活性なインターフェロノージェンであるように見え、さらに、それは、10mg/動物に濃縮した場合、最も効率的である。トレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物の10mg/動物に対する応答では、血清中のインターフェロン力価のピーク値(160〜320単位/ml)に24時間で到達し、次いで、これは、観察の全期間中に依然として高いままで低下した。トレメッラ・メセンテリカバイオマスは、動物体におけるインターフェロンの少量の生成を準備し、開始させる、すなわち、他のインターフェロノージェンと一緒に注射される場合、インターフェロン合成を強化することが予期される。
【0178】
トレメッラ・メセンテリカバイオマスへの応答におけるNBT試験での腹膜滲出液マクロファージの機能活性強化が観察された。10mg/動物に濃縮されたトレメッラ・メセンテリカバイオマスは、マクロファージの酸素依存性殺生物活性の最も効率的な活性化剤であると思われた。本調製物は、刺激NBT試験指数の増加をもたらし(自発的NT試験の変わらない指数において)、これは、食細胞系の機能リザーブの劇的な増加をもたらした。食細胞系のリザーブ潜在力の増加は、日和見細菌またはウイルス誘導感染の発生を予防するために重要であることが言及されるべきである。体のさらなる病原菌誘導の汚染を予防する可能性もある。マクロファージのより高い殺菌活性ならびにより高い機能リザーブ(自発的および刺激NBT試験の指数の間の差を有する)は、体におけるインターフェロン生成と相関したトレメッラ・メセンテリカバイオマス調製物を説明するものであった。これに関しては、食細胞が体におけるIFN作用の主な標的であるので、酸素依存性マクロファージ殺生物活性の活性化は、トレメッラ・メセンテリカバイオマス(および、恐らくは他のサイトカイン、これには、さらに調査が必要である)による内因性IFNの誘導と関連する。さらに、本調製物で活性化された食細胞は、自己分泌および傍分泌の活性化技術によって内因性IFNの生成に関与することができることがあり得る。
【0179】
(例9)
植物ウイルスに対する植物抵抗性に対するトレメッラ・メセンテリカCBS123296抽出物およびグルクロノキシロマンナンの効果
担子菌類の培養液および子実体から単離した多糖類の化学特性を研究したとき、本発明者らは、中性および酸性多糖類を明らかにした。特に、トレメッラ・メセンテリカにより産生されるグルクロノキシロマンナン(GXM)の酸性多糖は、キシロースおよびグルクロン酸のβ−(1→2)(1→4)−結合オリゴ糖によりグリコール化された、α−(1→3)−結合マンナンの直鎖状骨格からなり、これは、ポリアニオン特性を与える。既知のデータに基づいて、中性および酸性グルカンは、抗植物ウイルス活性の異なる特性を有すると想定することが可能である。
【0180】
実際、調査した多糖類は、チョウセンアサガオ植物に対してTMVにより誘導された局所損傷の発生を異なって阻害した(表20)。
【0181】
中性多糖類は、最も活性であることが証明された。局所損傷形成の低下は、最大80および99.4%(100〜1000μg/mLの濃度において)であった。GXMは、活性がかなり低く、この場合、全調製物は、中間位置を占め、TMVの感染性に対する全調製物の活性は、中性多糖類によってより大きな程度に誘導されることの証拠を明らかにした。後者により、超感受性植物におけるウイルス感染性に対する中性多糖類が、それらの硫酸塩誘導体よりもより活性である、文献からのデータが確認され、これは、新たに植物のウイルス抵抗性を主に誘導する。得られた結果に基づいて、硫酸化マンナンと類似であるGXMが、ウイルスに対する植物の遺伝学的依存抵抗性を誘導し得るかどうか調査することが重要である。1000〜2500μg/mLの濃度でのGXMは、TMVに対するタバコおよびチョウセンアサガオ植物の抵抗性を誘導し得ることがわかった(表21)。この場合、AVRは、チョウセンアサガオ植物におけるよりもタバコ植物においてより高いようにみえた。言い換えれば、本多糖類によるAVRの活性化は、超感受性宿主植物の遺伝子型に、その結果として、抵抗性の適切な遺伝子の活性に依存する。
【表20】
【0182】
抵抗性発生の調査により、1000および2500μg/mLの濃度でのGXMは、誘導剤による接種後の最初の日に既にタバコ植物におけるTMVに対するAVRの発生を誘導することが示された(図11および図12)。植物組織における継続した多糖類存在下で1000μg/mLに等しかった、GXMの濃度について、抵抗性のレベルは、30%に−第5日目において、および20%に−第7日目において徐々に低下する(図11)。2500μg/mLに等しかった、GXMの濃度について、このような傾向は観察されない(図12)。対照的に、この事実は、遺伝子レベルでのAVRの多糖類誘導の濃度依存性対してだけでなく、より低いおよびより高い濃度のGXMに適合する植物の種々の能力について証拠を与え得る。
【表21】
【0183】
実験および対照の半分の葉上のTMV局所損傷の大きさの測定に基づいて、2500μg/mLの濃度で、GXMは、ウイルス損傷の増大を強めることが明らかになった(図13)。このGXMの濃度で、壊死の増加の確実な刺激が、植物組織中へ誘導剤を接種してからわずか7日後に観察されるが、このような傾向は、多糖類使用の他の期間に観察される。1000μg/mLの濃度のGXMで処理した半部の葉について、実験と対照の間の局所損傷の大きさの確実な差は、観察されなかった。
【0184】
局所壊死の増大に対する同様の影響が、酵母RNAによってもたらされることが知られている。この現象は、誘導剤の影響下での抵抗性の超感受性機構の植物における活性化によって説明され得る。
【0185】
アクチノマイシンD(AMD)による実験において、この抗生物質が、植物のGXM誘導ウイルス抵抗性の発生を阻害することが確立された(図14)。その適用の方法に係わらず(GXMの導入と同時にまたは2日後に)、AMDは、部分的に(20μg/mL)または完全に(10μg/mL)のいずれかで、ポリアニオンで誘導されたAVRの発生を阻害した。20μg/mLの濃度のアクチノマイシンDによるAVRの不完全な阻害は、植物組織に対する抗生物質毒性に起因し得る。後者は、AMDがGXMの不存在下で葉に注射された、対照における壊死の数の低下で確認される。
【0186】
全体として、得られた結果は、GXMによって超感受性植物中に接種されたAVRは、細胞DNAのマトリックス上の新たなRNAの合成に依存するという結論になる。言い換えれば、DNAが、新たにウイルスに対する植物抵抗性を活性化させるそれら誘導剤に帰することができる。
【0187】
したがって、GXMは、新たにウイルス感染の作用に対する超感受性タバコ植物の抵抗性を誘導するが、この抵抗性は、アクチノマイシンDの作用に感受性であるからであることが確立された。一方、その活性は、以前に研究した硫酸化多糖類および酵母RNAの作用と同様であり;他方、その活性は、タンパク質−炭水化物相互作用に基づく超感受性機構を活性化する中性多糖類と同様である。
【0188】
植物における自然なおよび誘導された抵抗性の機構が、全体として、総合的に研究されてこなかったことを考慮して、自然なウイルス抵抗性を増加させることができる物質の探索が有望である。本発明者らの見解では、このような研究の結果は、多糖類およびまた糖タンパク質が、超感受性植物におけるAVRの活性化に関与する内因性誘因のモデルとして将来使用することができるので、重要性を有する。このような物質は、農業および観賞植物生育におけるウイルス感染の損傷を低下させる目的をもつ実際の適用にとっても興味深い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記から選択される新規で明確な品種の高等担子菌類キノコ:
ブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123401で寄託されたコプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)HAI−1237(以下、コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401)およびブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123296で寄託されたトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)HAI−17(以下、トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296)。
【請求項2】
炭水化物、必須アミノ酸に富んだタンパク質、ビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤およびミネラルを包含する、栄養補給剤および生物活性化合物に富み、コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から、好ましくは栄養培地での液内培養におけるキノコの培養によって得られる請求項1に記載のキノコのバイオマス。
【請求項3】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の炭水化物が、トレハロース、β−グルカン、好ましくは低分子量の水溶性β−グルカン、およびガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンを包含し、トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の炭水化物が、β−グルカン、好ましくは直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンを包含する、請求項2に記載の菌糸体バイオマス。
【請求項4】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から、好ましくはキノコの純粋液内菌糸体培養物から得られる、栄養補給および生物活性を有する請求項1に記載のキノコの抽出物。
【請求項5】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401培養物から得られ、且つ低分子量の水溶性β−グルカンおよび/もしくはガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンに富んでいる、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296培養物から得られ、且つ直鎖状3,4β−グルカンおよび/もしくはグルクロノキシロマンナンに富んでいる、請求項4に記載の抽出物。
【請求項6】
請求項2もしくは3に記載のバイオマス、請求項4もしくは5に記載の抽出物、あるいは前記バイオマスまたは抽出物の混合物、を含む組成物。
【請求項7】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の菌糸体もしくは子実体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマスまたは前記バイオマスの抽出物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマスまたは前記バイオマスの抽出物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の純粋液内菌糸体培養物。
【請求項10】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の純粋液内菌糸体培養物であって、単細胞バイオマスの形態である純粋液内菌糸体培養物。
【請求項11】
β−1−6−D−グルコース残基の側鎖として下記構造をいくつかの6位に有するβ−1−3−結合D−グルコース残基の骨格構造から構成される低分子量の水溶性β−グルカンであって、好ましくは10,000Da未満、好ましくは約1000から約10,000Daの分子量を有するもの:
【化1】
式中、mは1から約10の間の整数であり、nは約3に等しい整数である。
【請求項12】
コプリヌス・コマトゥス(Coprinus comatus)、好ましくはコプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401から得られる、請求項11に記載のβ−グルカン。
【請求項13】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296から得られる、水不溶性直鎖状3,4β−グルカン。
【請求項14】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296から得られるグルクロノキシロマンナン。
【請求項15】
下記から選択される炭水化物を含む組成物:
(a)請求項11もしくは12に記載の低分子量の水溶性β−グルカン;
(b)請求項13に記載の水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;
(c)請求項14に記載のグルクロノキシロマンナン;または
(d)(a)〜(c)の少なくとも2種の炭水化物の組合せ。
【請求項16】
請求項6から8までのいずれかまたは請求項15に記載の組成物を含む食品サプリメント、医薬、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料または美容製品。
【請求項17】
請求項6から8までのいずれかまたは請求項15に記載の組成物を含むペットフード、殺虫剤、抗寄生虫剤または抗植物ウイルス製品。
【請求項18】
薬学的に許容される担体、および以下から選択される活性成分を含む医薬組成物:
(a)請求項6から8までのいずれかもしくは請求項15に記載の組成物;
(b)請求項11もしくは12に記載の低分子量の水溶性β−グルカン;
(c)請求項13に記載の水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;
(d)請求項14に記載のグルクロノキシロマンナン;または
(e)(b)〜(d)のうちの少なくとも2種の活性成分の組合せ。
【請求項19】
糖尿病の処置;血糖値の低下;免疫調節性応答の誘導;血液コレステロールレベルの低減;またはコレステロールの蓄積の低減のための請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
担体および請求項6から8までのいずれかもしくは請求項15に記載の組成物または請求項15に記載のグルクロノキシロマンナンから選択される活性成分を含む農業用組成物。
【請求項21】
植物ウイルスに対する植物の抵抗性を誘導するための請求項20に記載の農業用組成物。
【請求項1】
下記から選択される新規で明確な品種の高等担子菌類キノコ:
ブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123401で寄託されたコプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)HAI−1237(以下、コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401)およびブダペスト条約下、Centralbureau voor Schimmelcultures(CBS)にアクセション番号CBS123296で寄託されたトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)HAI−17(以下、トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296)。
【請求項2】
炭水化物、必須アミノ酸に富んだタンパク質、ビタミン、必須脂肪酸に富んだ脂質、抗酸化剤およびミネラルを包含する、栄養補給剤および生物活性化合物に富み、コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から、好ましくは栄養培地での液内培養におけるキノコの培養によって得られる請求項1に記載のキノコのバイオマス。
【請求項3】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の炭水化物が、トレハロース、β−グルカン、好ましくは低分子量の水溶性β−グルカン、およびガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンを包含し、トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の炭水化物が、β−グルカン、好ましくは直鎖状3,4β−グルカン、およびグルクロノキシロマンナンを包含する、請求項2に記載の菌糸体バイオマス。
【請求項4】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の子実体もしくは菌糸体、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から、好ましくはキノコの純粋液内菌糸体培養物から得られる、栄養補給および生物活性を有する請求項1に記載のキノコの抽出物。
【請求項5】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401培養物から得られ、且つ低分子量の水溶性β−グルカンおよび/もしくはガラクタン、好ましくは中性フコガラクタンに富んでいる、またはトレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296培養物から得られ、且つ直鎖状3,4β−グルカンおよび/もしくはグルクロノキシロマンナンに富んでいる、請求項4に記載の抽出物。
【請求項6】
請求項2もしくは3に記載のバイオマス、請求項4もしくは5に記載の抽出物、あるいは前記バイオマスまたは抽出物の混合物、を含む組成物。
【請求項7】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の菌糸体もしくは子実体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマスまたは前記バイオマスの抽出物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の菌糸体から得られる栄養補給剤および生物活性物質に富んだバイオマスまたは前記バイオマスの抽出物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
コプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401の純粋液内菌糸体培養物。
【請求項10】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296の純粋液内菌糸体培養物であって、単細胞バイオマスの形態である純粋液内菌糸体培養物。
【請求項11】
β−1−6−D−グルコース残基の側鎖として下記構造をいくつかの6位に有するβ−1−3−結合D−グルコース残基の骨格構造から構成される低分子量の水溶性β−グルカンであって、好ましくは10,000Da未満、好ましくは約1000から約10,000Daの分子量を有するもの:
【化1】
式中、mは1から約10の間の整数であり、nは約3に等しい整数である。
【請求項12】
コプリヌス・コマトゥス(Coprinus comatus)、好ましくはコプリヌス・コマトュス(Coprinus comatus)CBS123401から得られる、請求項11に記載のβ−グルカン。
【請求項13】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296から得られる、水不溶性直鎖状3,4β−グルカン。
【請求項14】
トレメッラ・メセンテリカ(Tremella mesenterica)CBS123296から得られるグルクロノキシロマンナン。
【請求項15】
下記から選択される炭水化物を含む組成物:
(a)請求項11もしくは12に記載の低分子量の水溶性β−グルカン;
(b)請求項13に記載の水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;
(c)請求項14に記載のグルクロノキシロマンナン;または
(d)(a)〜(c)の少なくとも2種の炭水化物の組合せ。
【請求項16】
請求項6から8までのいずれかまたは請求項15に記載の組成物を含む食品サプリメント、医薬、プレバイオティクス、栄養補給剤、飲料または美容製品。
【請求項17】
請求項6から8までのいずれかまたは請求項15に記載の組成物を含むペットフード、殺虫剤、抗寄生虫剤または抗植物ウイルス製品。
【請求項18】
薬学的に許容される担体、および以下から選択される活性成分を含む医薬組成物:
(a)請求項6から8までのいずれかもしくは請求項15に記載の組成物;
(b)請求項11もしくは12に記載の低分子量の水溶性β−グルカン;
(c)請求項13に記載の水不溶性直鎖状3,4β−グルカン;
(d)請求項14に記載のグルクロノキシロマンナン;または
(e)(b)〜(d)のうちの少なくとも2種の活性成分の組合せ。
【請求項19】
糖尿病の処置;血糖値の低下;免疫調節性応答の誘導;血液コレステロールレベルの低減;またはコレステロールの蓄積の低減のための請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
担体および請求項6から8までのいずれかもしくは請求項15に記載の組成物または請求項15に記載のグルクロノキシロマンナンから選択される活性成分を含む農業用組成物。
【請求項21】
植物ウイルスに対する植物の抵抗性を誘導するための請求項20に記載の農業用組成物。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図5】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図5】
【図7】
【公表番号】特表2012−520289(P2012−520289A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553599(P2011−553599)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000202
【国際公開番号】WO2010/103519
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220865)パルメッド テバ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000202
【国際公開番号】WO2010/103519
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220865)パルメッド テバ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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