説明

新規なヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物、食品組成物、および化粧料キット

【課題】生体内への吸収性に優れたヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物、食品組成物、および化粧料キットを提供する。
【解決手段】ヒアルロン酸および/またはその塩は、分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%以上であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が3質量%以上であり、かつ、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が50質量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内への吸収性に優れた新規なヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物、食品組成物、および化粧料キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸(平均分子量:50万〜200万)は生体内の多くの組織(例えば皮下組織、眼球、関節)に多く存在するムコ多糖類であり、その高い保湿機能により、例えば化粧料の成分として広く利用されてきた(例えば、特開2000−095660号公報)。また、ヒアルロン酸を経口摂取することにより、生体本来の持つヒアルロン酸含量の低下を補い、皮膚の保湿、弾力性、および柔軟性を改善する効果が認められているため、ヒアルロン酸およびその塩は様々な食品に添加されている。
【0003】
しかしながら、ヒアルロン酸は高分子の多糖類であるため、一般に、生体内に吸収されにくい。その理由としては、ヒアルロン酸は高分子であるため皮膚組織へ浸透しにくく、大部分が皮膚の表面に留まることが挙げられる。したがって、洗顔や入浴等により皮膚表面のヒアルロン酸が洗い流されると、皮膚の保湿効果が持続しにくい。
【特許文献1】特開2000−095660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、生体内への吸収性に優れた新規なヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物、食品組成物、および化粧料キットを提供することである。
【0005】
本発明の第1の態様のヒアルロン酸および/またはその塩は、
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%以上であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が3質量%以上であり、かつ、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が50質量%以上である。
【0006】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩では、前記分子量分布において、前記成分(A)の割合が5質量%以上であることができる。
【0007】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩では、前記分子量分布において、前記成分(B)の割合が5質量%以上であることができる。
【0008】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩では、前記分子量分布において、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が60質量%以上であることができる。
【0009】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩によれば、平均分子量が5万〜300万のヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させることにより得られる成分を含有することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の化粧料は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。
【0011】
本発明の第3の態様の医薬組成物は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。
【0012】
本発明の第4の態様の食品組成物は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。
【0013】
本発明の第5の態様の化粧料キットは、第1の組成物および第2の組成物を含み、かつ、第1の組成物を皮膚に塗布した後、第2の組成物を該皮膚に塗布するための化粧料キットであって、
前記第1の組成物は、平均分子量が5,000〜20,000のヒアルロン酸および/またはその塩を含有し、
前記第2の組成物は、平均分子量が50万以上のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。
【0014】
本発明において、「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩によれば、生体内への吸収性(例えば経皮吸収性)に優れている。例えば、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を皮膚に塗布した場合、主に前記成分(A)が速やかに経皮吸収されるとともに、主に前記成分(B)が皮膚表面に留まることにより、皮膚からの水分の蒸発を防ぎ、かつ、前記成分(A)が皮膚組織内部に浸透するのを促進することができるため、皮膚の保湿性効果および皮膚の改善効果が期待できる。これにより、上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば化粧料、化粧料キット、医薬組成物、および食品組成物の成分として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩、ならびにこれを用いた化粧料、医薬組成物、食品組成物、および化粧料キットについて詳細に説明する。なお、本実施形態および後述する実施例において、「%」は「質量%」を意味する。
【0017】
1.ヒアルロン酸および/またはその塩
本発明の一実施形態に係るヒアルロン酸および/またはその塩は、分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)(以下、単に「成分(A)」ともいう。)の割合が3質量%以上であり、分子量100万以上の成分(B)(以下、単に「成分(B)」ともいう。)の割合が3質量%以上であり、かつ、成分(A)および成分(B)の合計の割合が50質量%以上である。
【0018】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、生体内への吸収性に優れている。例えば、上記ヒアルロン酸および/またはその塩は経皮吸収性に優れており、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を皮膚に塗布した場合、成分(A)が上記ヒアルロン酸および/またはその塩が皮膚表面に留まるのみならず、皮膚組織内部に浸透し、かつ、成分(B)が皮膚表面を覆うことにより、皮膚からの水分の蒸発を防止するとともに、成分(A)が皮膚組織内部に浸透するのを促進することができる。すなわち、成分(A)と成分(B)との相互作用により、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。
【0019】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、経口摂取してもよいし、生体内に経皮吸収させてもよいし、あるいは、皮下や皮内注射等により生体内に注入してもよい。
【0020】
また、上記ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は、生体内への吸収性の高さの点で、5,000〜2万であるのがより好ましく、5,000〜15,000であるのがさらに好ましい。
【0021】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩において、生体内への吸収性が良好である点で、成分(A)の割合が5質量%以上であるのがより好ましく、10質量%以上であるのがさらに好ましい。
【0022】
また、上記ヒアルロン酸および/またはその塩において、成分(A)の生体への吸収性を促進できる点で、成分(B)の割合が5質量%以上であるのがより好ましく、10質量%以上であるのがさらに好ましい。
【0023】
さらに、上記ヒアルロン酸および/またはその塩において、生体内への吸収性が良好である点で、分子量分布において、成分(A)および成分(B)の合計の割合が60質量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。
【0024】
なお、上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、後述するいずれかの方法で製造することができる。
【0025】
また、上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が5万〜300万のヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させることにより得られる成分を含有することができる。この成分は、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩であり、例えば、後述する低分子量成分である。この製造方法により得られた成分(低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩)は褐変がほとんどないため、化粧料、化粧料キット、医薬組成物、および食品組成物の原料として好適である。
【0026】
次に、本発明で規定される分子量分布および平均分子量の測定方法について説明する。
【0027】
1.1.分子量分布
分子量分布は、本発明のヒアルロン酸および/またはその塩の特性を規定する値である。
【0028】
本発明で規定される分子量分布は、ゲル濾過カラムを用いて試料を液体クロマトグラフィー分析することにより得られる。上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、反復構造単位(N−アセチル−D−グルコサミンおよびD−グルクロン酸)の数によって異なる分子量を有する複数の成分の混合物である。したがって、ゲル濾過カラムを用いて試料について液体クロマトグラフィー分析を行なうことにより、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を構成する成分を分子サイズにより分離することができる。
【0029】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩について、ゲル濾過カラムを用いて液体クロマトグラフィー分析を行なうと、保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)…のピークが得られる。この結果に基づいて、ヒアルロン酸の保持時間対分子量の検量線を求め、この検量線から、所定の分子量に対応する保持時間を算出し、その保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求めることができる。
【0030】
例えば、分子量1万以下の成分(成分(A))の割合は、上述の検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以下の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。同様に、分子量100万以上の成分(成分(B))の割合は、上述の検量線から分子量100万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以上の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。さらに、成分(A)および成分(B)の合計の割合は、成分(A)の割合と成分(B)の割合との和である。
【0031】
1.2.平均分子量の測定方法
本発明で規定される平均分子量は、試料の極限粘度から算出された分子量である。本発明においては、動粘度から極限粘度を求め、この極限粘度を分子量に換算する方法により、ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量を求める。より具体的には、この方法においては、後に説明するウベローデ粘度計を用いて動粘度を測定し、この動粘度の値から極限粘度を求め、この極限粘度を平均分子量に換算する。
【0032】
一般に、試料の極限粘度を求めるには、まず、複数の試料溶液を調製し、ウベローデ粘度計における試料溶液の流下秒数および溶媒の流下秒数から、下記式(1)および式(2)に基づいて、比粘度および還元粘度を算出する。
【0033】
(式1)

(式2)

【0034】
次いで、各試料溶液について、得られた還元粘度を縦軸に、乾燥物換算の試料濃度を横軸にプロットして検量線を作成し、前記試料濃度を0に外挿することにより、試料の極限粘度を得る。試料がヒアルロン酸および/またはその塩である場合、下記式(3)に基づいて、試料の極限粘度から平均分子量Mを求めることができる。
(式3)

(上記式(3)において、k’=0.036,α=0.78である。)
【0035】
次に、上記ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量を求める際の指標となる動粘度の測定方法について説明する。
【0036】
上記ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の動粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社製)を用いて測定することができる。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。
【0037】
ウベローデ粘度計により測定された前記水溶液の流下秒数と、ウベローデ粘度計の係数との積により、動粘度(単位:mm/s)を求めることができる。
【0038】
1.3.製造
1.3.1.原料
上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば、分子量5,000〜20,000のヒアルロン酸および/またはその塩(以下、「低分子量成分」ともいう。)と、分子量50万以上のヒアルロン酸および/またはその塩(以下、「高分子量成分」ともいう。)とを所定の割合で混合することにより製造することができる。この場合、低分子量成分と高分子量成分との混合比率(質量比)は、3:97〜95:5であるのが好ましく、5:95〜90:10であるのがより好ましく、10:90〜80:20であるのがさらに好ましい。
【0039】
あるいは、上記ヒアルロン酸および/またはその塩は、例えば、高分子量成分の一部を低分子化して、低分子量成分を生成することにより製造することができる。
【0040】
低分子量成分および高分子量成分の原料は、ヒアルロン酸および/またはその塩(以下、「原料ヒアルロン酸および/またはその塩」ともいう)である。原料ヒアルロン酸およびその塩は一般に、鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生物組織、あるいはストレプトコッカス属の微生物等のヒアルロン酸生産微生物を培養して得られる培養液等を原料として、これらの原料から抽出(さらに必要に応じて精製)して得られるものである。原料ヒアルロン酸および/またはその塩の平均分子量は5万〜300万であるのが好ましい。例えば、鶏冠より抽出されるヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は通常、200万から800万である。
【0041】
原料ヒアルロン酸および/またはその塩としては、当該粗抽出物および精製物のいずれを用いてもよいが、精製物、具体的にはヒアルロン酸および/またはその塩の純度が90%(質量比)以上のものが好ましい。純度が90%以上の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を原料として用いた場合、保存中に色調や風味の変化の原因となり難いため、安定な化粧料および化粧料キット、医薬組成物、ならびに食品組成物が得られる。
【0042】
なお、ヒアルロン酸からヒアルロン酸の塩へと変換する方法、ならびにヒアルロン酸の塩からヒアルロン酸へと変換する方法は、特に限定されるわけではなく、公知の方法を用いて行なうことができる。
【0043】
ヒアルロン酸からヒアルロン酸の塩へと変換する方法としては、例えば、アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム等の水溶液)を用いて処理する方法が挙げられる。また、ヒアルロン酸の塩からヒアルロン酸へと変換する方法としては、例えば、酸水溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の水溶液)を用いて処理する方法や、酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
【0044】
1.3.2.高分子量成分
高分子量成分は、原料ヒアルロン酸および/またはその塩をそのまま使用してもよいし、あるいは、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化して得られた成分を使用してもよい。
【0045】
高分子量成分の平均分子量は50万〜300万であるのが好ましく、100万〜300万であるのがより好ましい。
【0046】
1.3.3.低分子量成分
低分子量成分は、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化して得ることができる。低分子化の方法としては、例えば、(i)酵素を用いる方法、(ii)水溶液を酸またはアルカリ条件下で低分子化する方法、(iii)酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させて低分子化する方法が挙げられる。なかでも、得られた低分子量成分の分離精製が容易である点で、(iii)の方法を用いるのが好ましい。
【0047】
低分子量成分の平均分子量は、5,000〜20,000であるのが好ましく、5,000〜15,000であるのがより好ましい。
【0048】
また、低分子量成分は、生体内への吸収性の点で、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ平均分子量5万以上の成分の割合が5重量%以下であるのが好ましく、分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ平均分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下であるのがより好ましく、分子量1万以下の成分の割合が50重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が1重量%以下であるのがさらに好ましい。
【0049】
さらに、低分子量成分は、1質量%水溶液の動粘度が2mm/s以下であることが好ましく、1.8mm/s以下であることがより好ましく、1.5mm/s以下であることがさらに好ましい。
【0050】
1.3.4.低分子量成分の製造
一例として、上述の(iii)の方法にて低分子量成分を製造する方法を以下に説明する。
【0051】
1.3.4−1.分散させる工程
低分子量成分は、平均分子量が5万〜300万の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させることにより製造することができる。
【0052】
分散させる工程においては、例えば、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体に添加して攪拌させることにより行なうことができる。ここで、粉末状のヒアルロン酸および/またはその塩はほとんど溶解することなく、含水媒体中に分散される。したがって、この場合、攪拌を停止することにより当該粉末は沈殿する。
【0053】
ここで、攪拌速度や攪拌時間を調整することにより、低分子化の度合いを調整することができる。また、ヒアルロン酸および/またはその塩を含水媒体中に分散させる時間は、含水媒体のpHや温度に応じて適宜決定することができる。
【0054】
原料ヒアルロン酸および/またはその塩を含水媒体中に分散させることにより、褐変がほとんどない状態で低分子量成分を得ることができる。これにより、脱色のための新たな精製工程を必要としないため、生産工程の省力化を図ることができる。
【0055】
また、上述の分散させる工程を加熱下で行なうことができる。より具体的には、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を、酸性含水媒体中に攪拌しながら添加して得られた分散媒を加熱することができる。あるいは、酸性含水媒体を予め加熱し、これに原料ヒアルロン酸および/またはその塩を添加し、温度を保持してもよい。
【0056】
ここで、酸性含水媒体の加熱温度は30〜70℃であるのが好ましい。酸性含水媒体をこの温度範囲内に加熱することにより、1時間以内の加熱により、目的の分子量まで安定に低分子化することができる。上述の分散させる工程をあえて加熱下で行なわずに、常温(30℃未満)で行なうことにより、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化することも可能である。しかしながら、この場合、加熱下で行なう場合に比べて非常に長い時間を要する。一方、上述の分散させる工程における加熱温度を70℃より高くすることも可能である。しかしながら、この場合、長時間加熱すると低分子化が進行しすぎて、目的の分子量に安定して調整することが困難となる場合がある。
【0057】
1.3.4−2.加熱乾燥する工程
低分子量成分の製造において、上述した、酸性含水媒体中にヒアルロン酸および/またはその塩を分散させる工程の後に、前記含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥する工程を含むことができる。
【0058】
ここで、加熱乾燥する工程においては、例えば、上述の分散させる工程によって、低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩から含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥する。含水媒体の除去は、例えば、ストレーナーでの濾過や遠心処理等の物理的手段や、ロータリーエバポレータ等を使用した蒸留留去が挙げられる。また、加熱乾燥する工程においては、例えば熱蔵庫や熱風乾燥機等を用いて、得られた残留物から、残留する含水媒体および水分を除去することが好ましい。
【0059】
加熱乾燥する工程における温度および時間は特に定めるものではないが、温度は60〜95℃が好ましく、70〜90℃がより好ましく、70〜80℃がさらに好ましい。加熱乾燥する工程における温度が60℃未満である場合、乾燥効率が低下する場合があり、一方、加熱乾燥する工程における温度が95℃を超えると、褐変が生じる場合がある。また、加熱乾燥する工程における時間は6〜48時間が好ましく、12〜36時間がさらに好ましい。加熱乾燥する工程における時間が6時間未満であると、乾燥効率が低下する場合があり、一方、加熱乾燥する工程における温度が48時間を超えると、褐変が生じる場合がある。
【0060】
加熱乾燥する工程により、上述の分散させる工程によって低分子化されたヒアルロン酸および/またはその塩をさらに低分子化することができるため、低分子化工程の効率向上に寄与することができる。また、加熱乾燥する工程により、低分子量成分を容易に得ることができる。
【0061】
1.3.4−3.含水媒体
上記製造方法において、含水媒体は、水を含む、ヒアルロン酸および/またはその塩の分散媒のことをいう。含水媒体に使用できる媒体は、ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性が低いことが好ましい。含水媒体に使用できる媒体は特に限定されないが、例えば液体であって、水に溶解する性質を有し、かつ、化粧料または食品の製造工程において使用できるものが好ましい。含水媒体に使用できる媒体としては、例えば、アルコール系媒体(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノールなど)、ケトン系媒体(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。このうち、沸点の低さおよび価格の点で、エタノール、メタノール、およびアセトンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0062】
含水媒体における含水量は特に規定されないが、含水量が多いと、ヒアルロン酸および/またはその塩が分散状態を維持できず、含水媒体に溶解するため、収率低下を招くおそれがある。したがって、含水媒体の全量に対する水の割合は40容量%以下が好ましく、30容量%以下がさらに好ましい。
【0063】
また、上記製造方法において、含水媒体を酸性にするために使用するものとしては、例えば、酸や酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0064】
酸としては、特に限定されないが、化粧料、医薬品または食品の製造において使用できるものが好ましい。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、氷酢酸等の有機酸を例として挙げることができる。酸の添加量は特に定めるものではないが、酸の添加量が少ないと、ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化が進まず、製造効率が低下する。一方、酸の添加量が多過ぎると、ヒアルロン酸および/またはその塩の低分子化が促進されるため、目的の分子量に安定して調整することが困難となる。例えば、酸として塩酸を使用する場合、0.2容量%以上4容量%以下であることが好ましく、酸として硫酸を使用する場合、0.1容量%以上3容量%以下であることが好ましい。
【0065】
酸性陽イオン交換樹脂としては、特に限定されないが、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられ、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0066】
上記製造方法において、含水媒体のpHは2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。含水媒体のpHが2を超えると、原料ヒアルロン酸および/またはその塩を低分子化するのに長時間を要するため、効率が低下する。
【0067】
2.化粧料
本発明の一実施形態に係る化粧料は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記化粧料の態様は特に限定されないが、例えば、皮膚に使用する洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、美容液、パック、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、ネイルトリートメント、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、クレンジング、洗顔料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング、ヘアパック、ヘアトニック、養毛剤、シェービングローション、アフターシェーブローション、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル、パーマネント液、カラーリング液、石鹸、ボディ洗浄料、入浴剤等を挙げることができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る化粧料によれば、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、主に成分(A)が速やかに経皮吸収されるとともに、主に成分(B)が皮膚表面に留まることにより、皮膚からの水分の蒸発を防ぎ、かつ、成分(A)が皮膚組織内部に浸透するのを促進することができるため、皮膚の水分量が保持されて、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。
【0069】
3.医薬組成物
本発明の一実施形態に係る医薬組成物は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記医薬組成物の態様は特に限定されないが、外用剤および内服剤が挙げられる。外用剤としては、例えば、軟膏剤、外用液剤(例えば、点眼剤、含嗽用液剤)、点鼻薬、点耳剤、貼付剤(例えば、パップ剤、プラスター剤)、坐剤、ローション剤、リニメント剤、エアゾール剤等が挙げられる。また、内服剤としては、例えば、トローチ剤、内服液剤、チュアブル剤等が挙げられる。
【0070】
本発明の一実施形態に係る医薬組成物によれば、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、生体内への吸収性に優れている。例えば、上記医薬組成物が外用剤の場合、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、主に成分(A)が速やかに経皮吸収されるとともに、主に成分(B)が皮膚表面に留まることにより、皮膚からの水分の蒸発を防ぎ、かつ、成分(A)が皮膚組織内部に浸透するのを促進することができるため、皮膚の水分量が保持されて、皮膚を瑞々しい状態に保つことができる。また、例えば、上記医薬組成物が内服剤の場合、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、主に成分(A)が速やかに口腔組織に吸収されるとともに、主に成分(B)が口腔組織の表面に留まることにより、成分(A)が口腔組織内部に浸透するのを促進することができるため、口腔保湿効果を発揮することができる。
【0071】
4.食品組成物
本発明の一実施形態に係る食品組成物は、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有する。上記食品組成物の態様は特に限定されないが、例えば、ガム、キャンディー、グミキャンディー、トローチ様食品、ゼリー飲料等の口腔保湿効果を期待できる食品組成物のほか、主食である米飯加工食品、製パン類等、副食であるレトルト缶詰、冷凍食品、惣菜、乾燥食品等、マヨネーズ等調味料、飲料、菓子、デザート類、液状,ゲル状またはソフトカプセル状等のサプリメント類等の一般食品全般、生理機能を表現することを許可された特定保健用食品全般を挙げることができる。
【0072】
本発明の一実施形態に係る食品組成物によれば、上記ヒアルロン酸および/またはその塩を含有することにより、主に成分(A)が速やかに口腔組織に吸収されるとともに、主に成分(B)が口腔組織の表面に留まることにより、成分(A)が口腔組織内部に浸透するのを促進することができるため、口腔保湿効果を発揮することができる。
【0073】
5.化粧料キット
本発明の一実施形態に係る化粧料キットは、第1の組成物および第2の組成物を含み、かつ、第1の組成物を皮膚に塗布した後、第2の組成物を該皮膚に塗布するための化粧料キットである。ここで、第1の組成物は、平均分子量が5,000〜20,000のヒアルロン酸および/またはその塩(低分子量成分)を含有し、第2の組成物は、平均分子量が50万以上のヒアルロン酸および/またはその塩(高分子量成分)を含有する。
【0074】
第1の組成物および第2の組成物の形態は特に限定されず、例えば、液状、ジェル状、クリーム状であることができる。
【0075】
第1の組成物に含まれる低分子量成分としては、1.3.3.の欄で上述した低分子量成分を用いることができる。
【0076】
また、第1の組成物中の低分子量成分の含有量は、0.01〜5質量%であるのが好ましい。第1の組成物中の低分子量成分の含有量が上記範囲にあることにより、皮膚の保湿効果を発揮することができる。
【0077】
第2の組成物に含まれる高分子量成分としては、1.3.2.の欄で上述した高分子量成分を用いることができる。
【0078】
また、第2の組成物中の高分子量成分の含有量は、0.01〜2質量%であるのが好ましい。第2の組成物中の高分子量成分の含有量が上記範囲にあることにより、皮膚の保湿効果を発揮することができる。
【0079】
第1の組成物および第2の組成物はそれぞれ、別個の容器に収容されるのが好ましい。
【0080】
上記化粧料キットは、上記化粧料の欄において、化粧料として例示した態様であることができる。また、第1および第2の組成物はそれぞれ、化粧料の成分として一般に用いられている成分をさらに含有することができる。
【0081】
上記化粧料キットにおいて、第1の組成物を皮膚に塗布した後、第2の組成物を該皮膚に塗布することにより、第1の組成物中の低分子量成分が皮膚組織内部に浸透し、第2の組成物中の高分子量成分が皮膚表面を覆って水分の蒸発を防ぐとともに、低分子量成分が口腔組織内部に浸透するのを促進することができるため、皮膚の保湿性を高めることができる。
【0082】
6.実施例
次に、本発明を以下の実施例、比較例および試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、動粘度の測定および極限粘度の算出は、上述した方法により行なわれた。
【0083】
6.1.分子量分布の評価方法
後述する実施例2〜5で得られた本発明のヒアルロン酸および/またはその塩、実施例1で得られた低分子量成分、ならびに実施例2〜5で使用した高分子量成分について、分子量分布を以下の方法にて測定した。
【0084】
本実施例において、ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布は、HPLC分析装置(商品名「アライアンスPDAシステム」,日本ウォーターズ株式会社製)にゲル濾過カラム(商品名「Diol−120」,株式会社ワイエムシイ製)を接続して、ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1%(w/v)水溶液を分析サンプルとして、この分析サンプルを液体クロマトグラフィー分析することにより測定された。一例として、実施例1で得られた低分子量成分のクロマトグラムを図1に示す。
【0085】
また、液体クロマトグラフィー分析の条件は以下の通りであった。
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
低分子量成分の0.1%(w/v)水溶液の注入量:20μL
移動相:0.003M リン酸バッファー(0.15M NaCl含有,pH7.0)
【0086】
本実施例に係るゲル濾過カラムを用いた液体クロマトグラフィーでは、保持時間が遅いものほど低分子である。図1に示されるように、右側から保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)…のピークが得られた。各ピークにおける保持時間および分子量を算出し、この保持時間対分子量の検量線を求めた(式4)。
【0087】
なお、式4において、xは保持時間を示し、yは分子量を示す。次いで、式4に示される検量線から、所定の分子量(1万または100万)に対応する保持時間を算出し、これらの保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求めた。また、各ピークが示す分子量は、分子量が既知のヒアルロン酸の最小構成単位(二糖)について同様の方法で液体クロマトグラフィー分析して得られたクロマトグラム中のピークと照会することにより同定された。
【0088】
例えば、分子量1万以下の成分(成分(A))の割合は、式4に示される検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以下の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めた。同様に、分子量100万以上の成分(成分(B))の割合は、式4に示される検量線から分子量100万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以上の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めた。さらに、成分(A)および成分(B)の合計の割合は、成分(A)の割合と成分(B)の割合との和から求めた。
【0089】
一例として、図1に示すクロマトグラムから得られた各分子量成分の繰り返し単位数および保持時間の関係を表1に示す。
【0090】
【表1】

(式4)
y=−21.4x+1296.2x−26747.1x+189427.1
【0091】
6.2.実施例1(低分子量成分の調製)
本実施例では、原料として、鶏冠より抽出、精製したヒアルロン酸ナトリウム(以下「HANa」ともいう。)微粉末を準備して、低分子量成分を調製した。
【0092】
まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、2%塩酸含有73%含水エタノール(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が50℃となるよう加熱した。この処理液のpHは0.70であった。ここで、73%含水エタノールは、エタノールを73(W/W)%含有し、水を27(W/W)%含有するものであり、2%塩酸含有73%含水エタノールは、塩酸を2(W/W)%含有し、73%含水エタノールを98(W/W)%含有するものである。50℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノールの温度を60℃に維持するように加熱を行ないながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。
【0093】
次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め50℃に加熱した2%塩酸含有73%含水エタノール110Lを加え、同様に50℃に加熱しながら攪拌を15分間行ない、この操作を合計3回繰り返した。
【0094】
次いで、塩酸含有含水エタノールを除去した後に得られた沈殿物に73%含水エタノール110Lを加え、塩酸除去の目的で15分間の攪拌を行なった。塩酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。
【0095】
さらに、含水エタノールをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行なうことにより含水エタノールをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて80℃にて減圧で24時間加熱乾燥した。
【0096】
以上の工程により、白色微粉末の低分子量成分(低分子ヒアルロン酸)5.5kg(収率約92%)を得た。この低分子量成分は、ウベローデ粘度計を用いて測定された1%水溶液の動粘度が1.1mm/sであり、極限粘度より換算した平均分子量が6,000であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が58質量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.2質量%であった。
【0097】
6.3.実施例2(本発明のヒアルロン酸の調製)
本実施例では、低分子量成分として、実施例1で得られた低分子量成分を用い、高分子量成分として、市販のヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量:160万、商品名「ヒアルロンサンHA−LQH」,キユーピー株式会社製)を用いて、上記低分子量成分50gおよび上記高分子量成分50gを混合することにより、実施例2のヒアルロン酸100gを得た。
【0098】
図2に、実施例2のヒアルロン酸の分子量分布を示す。なお、図2には3つのチャートが示されているが、実施例2のヒアルロン酸の分子量分布は上から2番目のチャートであり、一番上のチャートは、実施例2で用いた低分子量成分と高分子量成分との比が80:20である場合の分子量分布であり、一番下のチャートは、実施例2で用いた低分子量成分と高分子量成分との比が20:80である場合の分子量分布である。
【0099】
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が29質量%であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が40質量%であり、かつ、成分(A)および成分(B)の合計の割合が69質量%であった。
【0100】
6.4.実施例3(本発明のヒアルロン酸の調製)
本実施例では、低分子量成分として、実施例1で得られた低分子量成分を用い、高分子量成分として、市販のヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量:60万、商品名「ヒアルロンサンM5070」,キユーピー株式会社製)を用いて、上記低分子量成分80gおよび上記高分子量成分20gを混合することにより、実施例3のヒアルロン酸100gを得た。
【0101】
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が46質量%であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が6質量%であり、かつ、成分(A)および成分(B)の合計の割合が52質量%であった。
【0102】
6.5.実施例4(本発明のヒアルロン酸の調製)
本実施例では、低分子量成分として、実施例1で得られた低分子量成分を用い、高分子量成分として、市販のヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量:140万、商品名「ヒアルロンサンHA−LQ」,キユーピー株式会社製)を用いて、上記低分子量成分5gおよび上記高分子量成分95gを混合することにより、実施例4のヒアルロン酸100gを得た。
【0103】
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が62質量%であり、かつ、成分(A)および成分(B)の合計の割合が65質量%であった。
【0104】
6.6.実施例5(本発明のヒアルロン酸の調製)
本実施例では、低分子量成分として、実施例1で得られた低分子量成分を用い、高分子量成分として、市販のヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量:250万、商品名「ヒアルロンサンHA−QSS」,キユーピー株式会社製)を用いて、上記低分子量成分60gおよび上記高分子量成分40gを混合することにより、実施例5のヒアルロン酸100gを得た。
【0105】
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が35質量%であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が38質量%であり、かつ、成分(A)および成分(B)の合計の割合が73質量%であった。
【0106】
6.7.試験例1
本試験例においては、上記実施例2で得られたヒアルロン酸をヒトに経皮投与して、経皮吸収性の評価を行なった。より具体的には、上記実施例2で得られたヒアルロン酸を滲み込ませたガーゼを被験者の前腕部に1日8時間ずつ3日間(8h/d×3d)貼付した後の皮膚の水分量を測定して、対照(蒸留水)、上記実施例2で用いた低分子量成分のみ、ならびに上記実施例2で用いた高分子量成分のみをそれぞれ滲み込ませたガーゼを貼り付けた場合における皮膚の水分量との比較を行なった。
【0107】
6.7.1.使用サンプル
サンプルI…実施例2で得られたヒアルロン酸の1%水溶液
サンプルII…実施例2で用いた低分子量成分(実施例2で得られた低分子量成分(低分子ヒアルロン酸))の1%水溶液
サンプルIII…実施例2で用いた高分子量成分(平均分子量160万のヒアルロン酸ナトリウム(商品名「ヒアルロンサンHA−LQH」,キユーピー株式会社製)の1%水溶液
サンプルIV…蒸留水
【0108】
6.7.2.測定機器
水分量測定器:商品名「SKICON−200」,I.B.S.Co.,LTD製
【0109】
6.7.3.測定方法
サンプルI〜IVをそれぞれ1mL滲み込ませたガーゼ(面積:3×3cm)を被験者(25〜50歳の成人15名)の前腕部に48時間貼付した後、該ガーゼを剥がし、貼付部位の皮膚の水分量を水分量測定器にて測定した。水分量の測定は、貼付直前、貼付終了直後、貼付終了後1日経過時、貼付終了後4日経過時にそれぞれ行なった。その結果を表2に示す。表2に示される数値は、被験者5名の平均の数値である。
【0110】
【表2】

【0111】
表2によれば、サンプルIを貼付した場合、サンプルII,IIIを貼付した場合と比較して、皮膚の水分量を多くかつ持続的に保持できることが確認された。
【0112】
特に、サンプルIを貼付した場合においては、サンプルII,IIIを貼付した場合と比較して、ガーゼを剥がした後においても、皮膚の水分量をより多くかつ持続的に保持できることが確認された。
【0113】
サンプルIに使用した実施例2で得られたヒアルロン酸は、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%以上であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が3質量%以上であり、かつ、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が50質量%以上であった。これにより、皮膚の保湿性効果が優れていることが理解できる。
【0114】
これに対して、サンプルIIに使用した低分子量成分は、分子量100万以上の成分(B)の割合が3質量%未満であり、サンプルIIIに使用した高分子量成分は、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%未満であるため、サンプルII,IIIの皮膚の保湿性効果は、サンプルIよりも劣ることが理解できる。
【0115】
6.8.試験例2
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0116】
《処方》 EMALEX CC-158(オクタン酸セチル) 0.30%
メトキシ桂皮酸オクチル 0.15%
酢酸トコフェロール 0.10%
EMALEX RWIS-158(イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油)
2.00%
Eldew PS-306(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル
/フィトステリル/ベヘニル)) 0.50%
PCA−Na 0.10%
グリシン 0.10%
トラネキサム酸 0.10%
ブチルパラベン 0.10%
メチルパラベン 0.20%
1,3−ブチレングリコール 4.70%
ヒアルロン酸 0.02%
水 91.63%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水を得ることができた。
【0117】
6.9.試験例3
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0118】
《処方》 ジメチコン 2.00%
シクロメチコン 21.00%
ホホバ油 0.10%
甘草エキス 0.05%
アルブチン 0.15%
リン酸アスコルビルMg 0.50%
EMALEX SS-1906EX(PEG-10ジメチコン)
4.00%
ジメチルシリル化シリカ 0.20%
Pemulen TR-2((アクリル酸/アクリル酸アルキル
(C10−30))コポリマー) 0.05%
ヒドロキシエチルセルロース 0.05%
酢酸トコフェロール 0.10%
プロピルパラベン 0.05%
ブチルパラベン 0.05%
メチルパラベン 0.10%
酸化鉄 0.00%
酸化チタン 0.10%
酸化亜鉛 0.10%
1,3−ブチレングリコール 1.00%
ヒアルロン酸 0.05%
グリセリン 24.05%
硫酸マグネシウム 0.20%
水 46.10%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水を得ることができた。
【0119】
6.10.試験例4
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した乳液(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0120】
《処方》 プロピレングリコール 7.71%
トレハロース 0.03%
ヒアルロン酸 0.01%
セラミド3 0.05%
ヒノキチオール 0.01%
クエン酸 0.05%
グリコール酸 0.05%
ミネラルオイル 3.00%
トリオクタノイン 1.50%
スクワラン 1.00%
ステアリン酸 0.50%
セテアリルアルコール 0.50%
ラノリン 0.30%
パラフィン 0.20%
ステアリン酸ソルビタン 1.40%
テトラオレイン酸ソルベース−30 1.00%
ポリソルベート60 0.80%
メチルパラベン 0.20%
プロピルパラベン 0.10%
エタノール 0.01%
フェノキシエタノール 適 量
カルボマー 0.10%
水酸化カリウム 0.10%
アルギニン 0.05%
BHT 0.02%
トコフェロール 適 量
EDTA−2ナトリウム 0.02%
――――――――――――――――――――――――
水 全量を100%とする
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる乳液を得ることができた。
【0121】
6.11.試験例5
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したクリーム(内容量50g/スクリューキャップ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0122】
《処方》 スクワラン 11.00%
ジメチコン 1.00%
ベヘニルアルコール 3.00%
ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル
2.00%
EMALEX GMS-50 (ステアリン酸グリセリル(SE))
8.00%
EMALEX 805(ステアリン酸PEG−5)1.50%
水添レシチン 0.50%
プロピルパラベン 0.10%
プロピレングリコール 5.00%
メチルパラベン 0.20%
尿素 5.00%
ヒアルロン酸 0.03%
水 62.67%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるクリームを得ることができた。
【0123】
6.12.試験例6
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したクレンジングクリーム(内容量50g/スクリューキャップ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0124】
《処方》 ミネラルオイル 30.00%
パラフィン 3.00%
ミツロウ 2.00%
オクタン酸セチル 25.00%
ベヘニルアルコール 5.00%
ステアリン酸グリセリル 1.00%
EMALEX 600di-ISEX(ジイソステアリン酸PEG-12)
3.00%
EMALEX 620(ステアレス−20) 1.00%
酢酸トコフェロール 0.10%
プロピルパラベン 0.15%
ステアロイルグルタミン酸Na 0.40%
1,3−ブチレングリコール 3.00%
メチルパラベン 0.15%
キサンタンガム 10.00%
ヒアルロン酸 0.10%
水 16.10%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるクレンジングクリームを得ることができた。
【0125】
6.13.試験例7
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した化粧下地(内容量30g/フタ付プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0126】
《処方》 エタノール 10.00%
メントール 0.02%
グリセリン 4.80%
BG 3.00%
ヒアルロン酸 0.01%
ジメチコン 2.00%
トリオクタノイン 2.00%
ジメチルPABAオクチル 0.50%
オキシベンゾン−2 0.05%
カルボマー 0.30%
タルク 0.10%
マイカ 0.10%
シリカ 0.20%
AMP 0.20%
メチルパラベン 0.16%
フェノキシエタノール 適 量
トコフェロール 0.02%
EDTA−2ナトリウム 0.01%
――――――――――――――――――――――――
水 全量を100%とする
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧下地を得ることができた。
【0127】
6.14.試験例8
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したヘアコンディショナー(内容量500mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0128】
《処方》 ジメチコン 3.00%
プロピレングリコール 8.00%
ミネラルオイル 2.00%
グリセリン 3.00%
PPG−30 0.50%
ステアレス−4 1.00%
セトリモニウムブロミド 2.00%
セタノール 2.00%
ヒアルロン酸 0.50%
加水分解コラーゲン 1.00%
加水分解シルク 1.00%
ベヘントリモニウムメトサルフェート 0.80%
フェノキシエタノール 0.40%
セトステアリルアルコール 0.50%
ステアリルアルコール 0.50%
EDTA−2ナトリウム 0.10%
メチルパラベン 0.10%
香料 適 量
水 75.10%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、髪の櫛通りを改善することができるヘアコンディショナーを得ることができた。
【0129】
6.15.試験例9
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したアフターサンローション(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0130】
《処方》 エタノール 11.04%
BG 4.16%
オウゴンエキス 適 量
ヒアルロン酸 0.50%
ステアリルアルコール 0.72%
アボカド油 0.72%
ステアリン酸 0.02%
オリザノール 適 量
ポリソルベート 0.23%
PPG−6デシルテトラデセス−20 0.20%
オクトキシノール−3 0.08%
メチルパラベン 0.14%
プロピルパラベン 0.07%
カルボマー 0.13%
PVP 適 量
水酸化カリウム 0.04%
EDTA−2ナトリウム 0.01%
トコフェロール 適 量
水 75.10%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるアフターサンローションを得ることができた。
【0131】
6.16.試験例10
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したアフターシェーブローション(内容量100mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0132】
《処方》 エタノール 58.00%
メントール 0.10%
プロピレングリコール 2.00%
グリチルリチン酸二カリウム 0.05%
ヒアルロン酸 2.00%
香料 0.10%
――――――――――――――――――――――――
水 全量を100%とする
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができるアフターシェーブローションを得ることができた。
【0133】
6.17.試験例11
本試験例では、化粧料として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した入浴剤(内容量200mL/プラスチック製容器入り)をそれぞれ調製した。
【0134】
《処方》 オクタン酸セチル 43.80%
オクチルドデセス−10 8.00%
ブチルパラベン 0.20%
メチルパラベン 0.10%
グリセリン 2.00%
ヒアルロン酸 1.00%
水 44.90%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる入浴剤を得ることができた。
【0135】
6.18.試験例12
本試験例では、化粧料として、表3に記す処方にて、実施例1で得られた低分子ヒアルロン酸と、実施例2〜5で用いた高分子ヒアルロン酸とを配合した美容液(内容量30mL/ガラス瓶入り)を調製した。なお、本試験例では、ヒアルロン酸(低分子ヒアルロン酸+高分子ヒアルロン酸)の濃度が異なる2種類の美容液を調製した。
【0136】
【表3】

【0137】
本試験例によれば、実施例1で得られた低分子ヒアルロン酸と、実施例2〜5で用いた高分子ヒアルロン酸とを配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる美容液を得ることができた。
【0138】
6.19.試験例13
本試験例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られた低分子量成分を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)を第1の組成物とし、実施例2で使用した高分子量成分を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)を第2の組成物として、化粧料キットを調製した。
【0139】
《処方》第1の組成物
オクタン酸セチル 0.30%
メトキシ桂皮酸オクチル 0.15%
酢酸トコフェロール 0.10%
EMALEX RWIS-158(イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油)
1.95%
Eldew PS-306(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル
/フィトステリル/ベヘニル)) 0.50%
リゾレシチン 0.05%
ブチルパラベン 0.10%
メチルパラベン 0.20%
1,3−ブチレングリコール 5.00%
低分子量成分 0.10%
水 91.55%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
《処方》第2の組成物
オクタン酸セチル 0.30%
メトキシ桂皮酸オクチル 0.15%
酢酸トコフェロール 0.10%
EMALEX RWIS-158(イソステアリン酸PEG-58水添ヒマシ油)
2.00%
Eldew PS-306(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル
/フィトステリル/ベヘニル)) 0.50%
ブチルパラベン 0.10%
メチルパラベン 0.20%
1,3−ブチレングリコール 2.00%
ペンチレングリコール 3.00%
高分子量成分 0.50%
水 91.63%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例1で得られた低分子量成分を含有する第1の組成物と、実施例2で用いた高分子量成分を含有する第2の組成物とを用いることにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水キットを得ることができた。
【0140】
6.20.試験例14
本試験例では、以下に記す処方にて、実施例1で得られた低分子量成分を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)を第1の組成物とし、実施例2で使用した高分子量成分を配合した化粧水(内容量100mL/プラスチック製容器入り)を第2の組成物として、化粧料キットを調製した。
【0141】
《処方》第1の組成物
グリセリン 4.00%
低分子量成分 0.50%
加水分解コラーゲン 0.20%
アスコルビルグルコシド 0.20%
メチルパラベン 0.20%
加水分エラスチン 0.10%
加水分解卵殻膜 0.10%
水 94.70%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
《処方》第2の組成物
1,3−ブチレングリコール 5.00%
高分子量成分 0.50%
メチルパラベン 0.20%
水 94.30%
――――――――――――――――――――――――
計 100.00%
本試験例によれば、実施例1で得られた低分子量成分を含有する第1の組成物と、実施例2で用いた高分子量成分を含有する第2の組成物とを用いることにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる化粧水キットを得ることができた。
【0142】
6.21.試験例15
本試験例では、医薬組成物として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した温感刺激パップ剤をそれぞれ調製した。
【0143】
《処方》 ポリアクリル酸ナトリウム 4.00g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.00g
カオリン 5.00g
ゼラチン 3.00g
グリセリン 20.00g
トウガラシエキス 0.15g
ヒアルロン酸 5.00g
水 65.85g
――――――――――――――――――――――――――
計 100.00g
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる温感刺激パップ剤を得ることができた。
【0144】
6.22.試験例16
本試験例では、医薬組成物として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合した冷感経皮吸収型パップ剤をそれぞれ調製した。
【0145】
《処方》 ヒアルロン酸 2.50g
インドメタシン 0.30g
L−メント−ル 0.40g
ポリアクリル酸ナトリウム 6.50g
カルボキシメチルセルロ−スナトリウム 1.00g
ゼラチン 3.00g
グリセリン 29.70g
アルミニウムグリシネート 0.08g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.50g
乳酸 1.00g
水 55.02g
――――――――――――――――――――――――――
計 100.00g
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、皮膚の水分量を良好に保持することができる冷感経皮吸収型パップ剤を得ることができた。
【0146】
6.23.試験例17
本試験例では、食品組成物として、以下に記す処方にて、実施例2〜5でそれぞれ得られたヒアルロン酸を配合したスパウトパウチ入りグレープフルーツゼリー飲料(内容量100g/透明スパウトパウチ入り)をそれぞれ調製した。
【0147】
《処方》 ヒアルロン酸 0.1g
5倍濃縮グレープフルーツ果汁 2.0g
カラギーナン(ゲル化剤) 1.0g
キサンタンガム(増粘剤) 0.5g
スクラロース(甘味料) 0.1g
クエン酸 1.0g
クエン酸ナトリウム 0.2g
グレープフルーツ香料 0.5g
精製水 94.1g
――――――――――――――――――――――
計 100.0g
本試験例によれば、実施例2〜5で得られたヒアルロン酸を配合することにより、風味および食感に優れたグレープフルーツゼリー飲料を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1は、実施例1で得られた低分子量成分のクロマトグラムを示す。
【図2】図2は、実施例2で得られたヒアルロン酸の分子量分布を示すチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量分布において、分子量1万以下の成分(A)の割合が3質量%以上であり、分子量100万以上の成分(B)の割合が3質量%以上であり、かつ、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が50質量%以上である、ヒアルロン酸および/またはその塩。
【請求項2】
請求項1において、
前記分子量分布において、前記成分(A)の割合が5質量%以上である、ヒアルロン酸および/またはその塩。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記分子量分布において、前記成分(B)の割合が5質量%以上である、ヒアルロン酸および/またはその塩。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記分子量分布において、前記成分(A)および前記成分(B)の合計の割合が60質量%以上である、ヒアルロン酸および/またはその塩。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
平均分子量が5万〜300万のヒアルロン酸および/またはその塩を酸性含水媒体中に分散させることにより得られる成分を含有する、ヒアルロン酸および/またはその塩。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する化粧料。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する医薬組成物。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する食品組成物。
【請求項9】
第1の組成物および第2の組成物を含み、かつ、第1の組成物を皮膚に塗布した後、第2の組成物を該皮膚に塗布するための化粧料キットであって、
前記第1の組成物は、平均分子量が5,000〜20,000のヒアルロン酸および/またはその塩を含有し、
前記第2の組成物は、平均分子量が50万以上のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する、化粧料キット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−297460(P2007−297460A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125139(P2006−125139)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】