説明

新規な光重合開始剤、それを用いた顔料分散組成物、着色光硬化性組成物、およびカラーフィルタ

【課題】高色再現性の液晶表示装置用カラーフィルタを短時間の露光工程で製造でき、また高解像度の固体撮像素子用カラーフィルタでもパターンプロファイルが良好な着色画素を提供する新規高感度開始剤、顔料分散液および着色光硬化性組成物を提供する。
【解決手段】分子内に有機顔料の母核構造と、光によって分解して開始種を発生する光重合開始剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、カラープルーフ等の画像材料や、インクや塗料などの光硬化性材料を構成するのに利用することができる新規な光重合開始剤を含む顔料分散組成物、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなど着色領域の形成に好適な光硬化性組成物、該光硬化性組成物を用いたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
CCD、CMOSなどのイメージセンサーに用いられるカラーフィルターは、フォトレジスト法で作製されるのが主流となっている。このフォトレジスト法は、着色画素を形成するのに顔料等の着色剤と光重合性化合物と光重合開始剤との反応による光硬化作用が利用されている。イメージセンサー用のカラーフィルタの製造は、高圧水銀灯の線スペクトルの一つであるi線(365nm)が、ネガ型着色硬化性組成物を硬化させるための露光波長として使用されている。
【0003】
しかしながら、i線を露光波長として使用する場合、Red、Green、Blueあるいは補色系においても、着色剤がi線領域の光を吸収するので、着色層の下層には露光光がほとんど届かない。このため着色層の内部が硬化しないので、現像でパターンを出現させたとき、着色層の下層部が上層部よりも現像液の浸食を受けて、いわゆるアンダーカットの現象を生じ、着色画素の形成ができないのである。このため露光量を上げて着色層の内部まで硬化させようとすると、露光に多大の時間を要し、生産性の悪いものとなってしまうのである。
【0004】
また一方、露光量の依存性が高く、露光量が少量振れただけで形成されたピクセルサイズが異なり、工程管理に困難が生じていた。
特にセンサーは高解像力化の市場要求が強まっており、着色画素のサイズは、より微細で、かつ薄膜なものが求められている。上記問題のため、微細なピクセルを矩形で得ようとすると困難を極めていた。また、色濃度を維持し薄膜化するに伴い、硬化成分が少なくなり感度が大幅に低減してしまうという問題がある。
【0005】
また一方液晶表示装置の分野ではノート型パソコンやモニターから、液晶テレビへと用途が拡大する傾向にあり、この用途拡大の傾向に伴ない、画面が大型化している。大型画面の生産性向上が市場要求の一つであり、低露光量で十分に硬化し、良好な現像性の得られるものが必要である。また別の市場要求は、高色再現性であり、このため着色画素は濃い色にしなければならない。濃い色にすると露光光が着色剤で吸収されてしまうので、着色層の内部に露光光が届かないという前述の問題が、液晶表示装置用のカラーフィルタでも発生している。
【0006】
上記の問題点を解決するため、カラーフィルタ用の光硬化性組成物に用いる光重合開始剤の改良により感度を向上させる試みが数多く提案されている。例えば、特定の構造のトリアジン系化合物を使用した光重合性組成物(例えば特許文献1参照)、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系化合物を1つ又は2つ以上混合使用したカラーフィルター用フォトレジストの発明が開示されている。(特許文献2参照)
また、s−トリアジン系化合物の他にアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤を併用することが記載されており(特許文献3参照)、また、光重合開始剤としてビイミダゾール化合物、アセトフェノン系化合物及びトリアジン系化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含む感放射線性組成物が開示されている。(特許文献4参照)
しかしながら、これらに開示された従来の光重合開始剤では上記問題を充分に改良することができなかった。
【特許文献1】特開平6−289611号公報
【特許文献2】特開平9−80225号公報
【特許文献3】特開2000−194132号公報
【特許文献4】特開2000−214592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、低い露光量でも、良好なパターンプロファイルの着色画素を得ることができる着色光硬化性組成物を提供することである。特に、LCD用およびイメージセンサー用のカラーフィルタの製造に最適な光硬化性組成物を提供することである。
これらの欠点を解決すべく種々の化合物を検討したところ、特定の光重合開始剤を用いることによって上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 分子内に、有機顔料の母核構造と、光により分解して開始種を発生しうる部分構造と、を有する光重合開始剤。
<2> 前記有機顔料の母核構造が、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、キノフタロン系顔料、およびジオキサジン系顔料からなる群より選択される1種以上である<1>記載の光重合開始剤。
<3> 前記光により分解して開始種を発生しうる部分構造が、光により分解してラジカルまたはカチオンを生成しうる部分構造であり、オニウム塩基、パーオキサイド基、ハロメチル基、およびアシルオキシム基からならなる群より選択される1種以上である<1>記載の光重合開始剤。
【0009】
<4> (A)分散樹脂、(B)顔料、(C)<1>から<3>のいずれか1項に記載の光重合開始剤、および (E)溶剤を含有する顔料分散組成物。
<5> (A)分散樹脂、(B)顔料、(C)<1>から<3>のいずれか1項に記載の光重合開始剤、(D)ラジカル重合性化合物、および (E)溶剤を含有する着色光硬化性組成物。
<6> <5>記載の光硬化性組成物を用いてなる着色領域を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
<7> <6>記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする固体撮像素子。
<8> <6>記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
さらに好ましい実施態様としては、下記を挙げることができる
<9> 前記(B)分散樹脂が、不飽和二重結合を有する樹脂であることを特徴とする<4>に記載の顔料分散組成物。
<10> 前記(B)分散樹脂が、不飽和二重結合を有する樹脂であることを特徴とする<5>に記載の着色光硬化性組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特定構造を有する光重合開始剤を用いることで、低い露光量でも良好なパターンプロファイルの着色画素を得る着色光硬化性組成物を得ることができる。特に、LCD用およびイメージセンサー用のカラーフィルタの製造に最適な光硬化性組成物が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の光重合開始剤、顔料分散組成物および着色光硬化性組成物及びカラーフィルタについて詳細に説明する。
【0013】
本発明の、有機顔料の母核構造を有し、かつ光によって分解してラジカルまたはカチオンのいずれか1種以上を発生する化学構造を有する光重合開始剤(以下「本発明の光重合開始剤」ともいう)について詳細に説明する。
【0014】
本発明の光重合開始剤の構造で「有機顔料の母核構造」とは、発色原子団に代表される有機顔料の部分化学構造を指し、本発明においては、後述するように、このような部分化学構造と類似の化学構造を有することで、該部分構造と相互作用を形成しうる如き類似化学構造をも「有機顔料の母核構造」に包含するものとする。この有機顔料の母核構造と、かつ光によって分解しラジカルまたはカチオンを生成しうる部分構造(以下、適宜、光分解性基と称する)とを同一分子内に有する化合物であり、有機顔料の母核構造(通常は環構造を含む)に、直接或いは適切な連結基を介して、あるいはイオン対で、光分解性基が結合している態様が好ましい。また、母核と開始剤基は、直接結合しても、連結基を介しても、イオン対でも良い。
【0015】
本発明の光重合開始剤を構成する有機顔料の母核構造としては、以下に挙げる有機顔料の母核構造を有するものが挙げられる。そのような有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドスルホン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料が挙げられる。
【0016】
これらの顔料の母核構造として、好ましいものはジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、およびキノフタロン系顔料である。
【0017】
また本発明の有機顔料の母核構造としては、上記に列挙した有機顔料が有する環構造と類似の環構造を有することで、該有機顔料と相互作用を形成しうる下記のような部分構造も含まれる。例えば、ピグメントイエロー139におけるバルビツール酸や、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150におけるフタルイミド、テトラクロロフタルイミドや、ピグメントグリーン36におけるフタロシアニンなどが挙げられる。
【0018】
本発明の光重合開始剤に含有される光分解性基としては、直接励起あるいは有機顔料母核構造からのエネルギー移動あるいは電子移動により分解するものであれば使用することができ、α―アミノアセトフェノン系、アシルホスフィン化合物、ベンゾフェノン、ピリジニウム塩根などがある。好ましくはヨードニウム塩根、スルホニウム塩根、パーオキサイド基、ハロメチル基、およびアシルオキシム基で示され、これらの基は顔料骨格には含まれず、顔料の部分化学構造あるいは顔料の類似化学構造に直接または連結基を介して結合されている。
なお、ヨードニウム塩根、スルホニウム塩根のカウンターアニオンとしてはテトラフルオロボレート、ペンタフルオロホスフェートが感度、安定性の観点から好適に用いることができる。
【0019】
本発明の光重合開始剤は、有機顔料の母核構造に少なくとも1つの光分解性基が直接或いは、適切な連結基を介して結合しても良いし、あるいはイオン対で構成されていても良い化合物であり、分子内に存在する光分解性基の数は、1〜4個であることが、経時安定性の観点から好ましく、更に好ましくは、1〜2個である。
また、このような光分解性基は、有機顔料の母核構造を構成する原子団の少なくとも1つの原子、一般的には水素原子と置換して直接結合してもよく、連結基を介して結合してもよいが、連結基としては、アルキレン基、エステル基、アミド基、エーテル基、メルカプト基、オキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基などの2価の連結基、アミノ基、ベンゼン環、トリアジン環などの多価の連結基などが挙げられ、好ましくはアルキレン基、エステル基、アミド基、エーテル基である。
また顔料の母核構造と光分解性基がイオン結合で連結していても良い。
【0020】
本発明における有機顔料の母核構造を有し、光によって分解してラジカルまたはカチオンを発生しうる光重合開始剤の具体例を下記に示す。ただし、本発明はこれら化合物に限られるものではない。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
本発明の光重合開始剤の顔料分散組成物における含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。この範囲より多いと、顔料分散液の経時安定性の劣化となり、少ないと十分な感度を得ることができないという問題が生じる。
【0029】
また、本発明の光重合開始剤の光硬化性組成物中における含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。この範囲より多いと未反応の開始剤が現像時に残渣の要因となり、少ないと十分な感度を得ることができないという問題が生じる。
【0030】
本発明の光重合開始剤は、顔料分散組成物あるいは光硬化性組成物の溶剤に溶解性を有するが、溶解度以上の量の添加も可能である。溶解度以上の量を使用するときは、顔料の分散工程に同時に添加し、顔料本体と同様に分散させて使用できる。
【0031】
本発明の光重合開始剤は、有機顔料の母核構造を有しているので、可視光領域に光の吸収を有している。このため顔料に近い着色を示す。これによって顔料の着色力を補完するので、高い着色力の顔料分散物、高色濃度の光硬化性組成物を得ることができる。
【0032】
上記本発明の光重合開始剤の合成法は、特開平6−100611号公報、J.Org.Chem;50,23,(1985),4609、Bull.Chem.Soc.Jpn;42,(1969),2924、Tetrahedron Asymmetry;11,10,(2000),2107などにより類似的に合成可能である。
【0033】
本発明の光重合開始剤を用いた顔料分散組成物は、塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い用途に好適に使用することができる。以下、本発明の光重合開始剤を用いた顔料分散組成物、及びこれを用いた着色光硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたカラーフィルタについて詳細に説明する。
【0034】
〔顔料分散組成物〕
本発明の顔料分散組成物は、少なくとも(A)分散樹脂、(B)顔料、(C)有機顔料の母核構造を有し、光によって分解してラジカルまたはカチオンを発生しうる光重合開始剤、(E)溶剤とを含有し、更に必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
以下、本発明の顔料分散組成物を構成する各成分について詳述する。
【0035】
<(A)分散樹脂>
本発明で用いられる分散樹脂とは、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが好ましく、以下に挙げる市販の高分子分散剤でもよい。
【0036】
具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0037】
しかしながら、高感度化のためには、不飽和二重結合を有する分散樹脂であることが好ましい。特に膜厚が薄い場合、感光層中の重合成分が少ない場合、特に有用である。不飽和二重結合を有する樹脂であれば、特に限定されず用いることができるが、光感度向上の観点から、不飽和当量は3,000未満が好ましく、より好ましくは1,500未満、更に好ましくは600未満である。
【0038】
ここで、不飽和当量とは、不飽和結合一つあたりの樹脂の分子量を意味する。
分散樹脂の不飽和当量を3,000未満とすることにより、つまり、分散樹脂分子中において不飽和二重結合数が増加することにより、光重合性、感度が向上し、重合性向上により支持体密着性も向上し、テーパ状ないし矩形状のパターンがより得られる傾向となり好ましい。
また、不飽和当量の下限値は、150近辺が望ましい。不飽和当量を150以上に抑えることにより、顔料の分散時の粘度上昇が抑えられ、保存時の分散安定性のより良好な組成物が得られる傾向となる点で好ましい。
【0039】
さらに、分散樹脂には、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等のアルカリ可溶性基を含むことが好ましい。この中で好ましいのは、カルボキシル基であり、酸価として30〜200mgKOH/gが好ましい。
【0040】
分散樹脂の重量平均分子量(Mw)は、顔料の分散性が良好な点から、好ましくは1,000〜100,000であり、さらに好ましくは5,000〜50,000である。
【0041】
分散樹脂の含有量は、顔料を基準として好ましくは0.01〜40重量%であり、さらに好ましくは5〜30重量%である。分散樹脂の含有量が0.01重量%未満の場合は、顔料分散性が不充分で明度の向上効果が低い。また、40重量%を越える場合は、得られる着色組成物の粘度が高くなりチキソ性が発現し、塗工適性が低くなる。
【0042】
分散樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物やアリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等が代表的な樹脂として挙げられる。
【0043】
中でも、カルボキシル基含有樹脂にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等がより好ましい。
【0044】
分散樹脂は、不飽和二重結合部分として、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを有する高分子化合物が好ましい。
【0045】
【化8】

【0046】
前記一般式(1)〜(3)において、A、A、及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。一般式(1)のX、および一般式(3)のZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。一般式(2)のYは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。一般式(1)〜(3)のR〜R20は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。
【0047】
前記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
中でも、一般式(1)のRおよびRとしては水素原子が好ましく、Rとしては水素原子またはメチル基が好ましく、Rとしては、水素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
上記導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、中でもメチル基がより好ましい。
【0048】
また、一般式(1)のRおよびRとしては具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しもよいアリール基が好ましい。
上記導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、中でもメトキシカルボニル基がより好ましい。
【0049】
一般式(1)のAは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21およびR22としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0050】
一般式(1)のGは、2価の有機基を表し、中でも、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましく、より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
【0051】
ここで、一般式(1)のGにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないもの等が好ましい。ただし水酸基は除く。
【0052】
前記一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、RおよびRは水素原子が好ましく、Rは水素原子またはメチル基が好ましい。
【0053】
10〜R12は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられる。中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、上記導入可能な置換基としては、一般式(1)において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0054】
一般式(2)のAは、酸素原子、硫黄原子、または、−N(R21)−を表し、R21としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0055】
一般式(2)のGは、2価の有機基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
ここで、一般式(2)のGにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないもの等が好ましい。ただし水酸基は除く。
【0056】
一般式(2)のYは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0057】
前記一般式(3)において、R13〜R15はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13およびR14は水素原子が好ましく、R15は水素原子またはメチル基が好ましい。
16〜R20は、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで上記導入しうる置換基としては、一般式(1)において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0058】
一般式(3)のAは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、一般式(3)のZは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21およびR22としては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
一般式(3)のGは、2価の有機基を表し、中でも置換基を有してもよいアルキレン基が好ましく、より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
ここで、一般式(3)のGにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。ただし水酸基は除く。
【0059】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位は、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、1分子中に20〜95モル%の範囲で含まれる化合物が好ましい。より好ましくは、25〜90モル%であり、更に好ましくは30〜85モル%の範囲である。
【0060】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する高分子化合物の合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中では、同公報中の合成方法1)によるのが好ましい。
【0061】
高分子化合物の合成において、ラジカル重合時に用いられる開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。開始剤はエチレン性不飽和単量体100重量部に対して好ましくは1〜20重量部使用される。
また、溶剤としては、水および/または水混和性有機溶剤、またはエチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;キシレン、エチルベンゼンなどを用いることができる。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0062】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する高分子化合物の具体的な化合物例としては、下記の高分子化合物1〜22を挙げることができる。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
<(B)顔料>
本発明の顔料分散組成物に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、顔料は、無機顔料または有機顔料を問わず、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、できるだけ粒子径が小さく微少な粒子サイズの顔料を使用することが好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、好ましくは平均一次粒子径0.01〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.15μmの顔料である。該粒径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、色むらの良好なカラーフィルタ、および高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。
平均一次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
【0069】
上記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0070】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
C.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73
C.I. Pigment Green 7、10、36、37
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42
C.I.Pigment Brown 25、28
C.I.Pigment Black 1、7 等を挙げることができる。
【0071】
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,71,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.Pigment Violet 19,23,32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37;
C.I.Pigment Black 1、7
【0072】
本発明では、特に顔料自体の構造中に塩基性の窒素原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性の窒素原子をもつ顔料は、本発明の顔料分散組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
−顔料の微細化−
【0073】
本発明において、必要に応じて、微細でかつ整粒化された有機顔料を用いることができる。顔料の微細化は、顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に高粘度な液状組成物として、摩砕する工程である。
【0074】
本発明の光重合開始剤は、摩砕工程で添加してもよい。特に本発明の光重合開始剤を溶解度以上に使用したいとき、光重合開始剤も微細化しておくことが好ましい。ただしその場合には、摩砕工程は黄色の安全灯のもとで取り扱う注意が必要である。
【0075】
水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。しかし少量用いることで顔料に吸着して、廃水中に流失しないならばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いても良く、また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
【0076】
本発明において水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
水溶性無機塩の使用量は顔料の1〜50倍重量であり、多い方が摩砕効果はあるが、より好ましい量は生産性の点で1〜10倍重量で、さらに水分が1%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の使用量は、顔料に対して50重量%から300重量%の範囲であり、好ましくは100重量%から200重量%の範囲である。 本発明における湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが摩砕効果が大きく好ましい。運転時間は乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50〜150℃が好ましい。また粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ球形が好ましい。
【0077】
これら有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。
【0078】
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。アントラキノン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。
【0079】
また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましく、100:7〜100:40がより好ましく、100:10〜100:30が更に好ましい。100:5未満では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:50超では主波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。
尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0080】
また、緑色顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。
【0081】
緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましく、100:15〜100:140がより好ましく、100:30〜100:120が更に好ましい。
100:5未満や100:150超では目的とする色調を得ることができなくなる場合がある。
【0082】
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、またはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。
【0083】
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
100:100超では透過波長が短波側となり目的とする色調を得ることができなくなる場合がある。
【0084】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独または混合が用いられ、カーボンとチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンカーボンとの質量比は、100:0〜100:60が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく100:0〜100:40が更に好ましい。
100:60超ではブラックマトリックスの剥がれの問題が生じる場合があり好ましくない。
【0085】
<(E)溶剤>
使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や、硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
溶剤の具体例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル類;
【0086】
例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
【0087】
例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が好ましい。
【0088】
これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等がより好ましい。
【0089】
溶剤の含有量としては、顔料分散組成物全量に対して、20〜95質量%が好ましく、25〜90質量%がより好ましい。溶剤量が前記範囲内であると、顔料の分散を均一に行なえ、分散後の分散安定性の点でも有利である。
【0090】
〔着色光硬化性組成物〕
本発明の着色光硬化性組成物は、上述の(A)分散樹脂、(B)顔料、(C)有機顔料の母核構造を有し、光によって分解してラジカルまたはカチオンを発生しうる光重合開始剤、および(E)溶剤の他に、(D)光重合性化合物を使用する。着色光硬化性組成物の製造方法としては、前述の顔料分散組成物に(D)光重合性化合物等を添加して調整するのが一般的であるが、これに拘らない。(C)光重合開始剤等を必要によって、更に添加することもできる。また必要によってアルカリ可溶性樹脂、界面活性剤、その他の添加剤を含んでもよい。
【0091】
<(D)光重合性化合物>
本発明の硬化性組成物は、光重合性化合物として、分散樹脂以外の、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。
【0092】
本発明に用いることができる「エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。
【0093】
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
【0094】
また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0095】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0096】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0097】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0098】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0099】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0100】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(4)で表される化合物における水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0101】
CH=C(R24)COOCHCH(R25)OH 一般式(4)
(一般式(4)中、R24及びR25は、各々独立にH又はCHを示す。)
【0102】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0103】
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
【0104】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0105】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、硬化性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
【0106】
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、及び、未硬化領域の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、及び、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、硬化性組成物中の他の成分(例えば、樹脂、光重合開始剤、顔料)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0107】
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)、UA−7200(新中村化学社製)が好ましい。
【0108】
中でも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)がより好ましい。
【0109】
前記(D)光重合性化合物の含有量は、光感度、支持体への密着性、硬化度を更に向上させる点で、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10%〜70質量%であることが更に好ましい。
【0110】
本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、連鎖移動剤、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、その他充填剤、上記の分散樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
【0111】
本発明の着色硬化性組成物に添加し得る連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの複素環を有するメルカプト化合物、および脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。
連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0112】
また必要によって、本発明の光重合開始剤の他に、従来公知の光重合開始剤を併用してもよい。以下に従来公知の光重合開始剤について説明する。
【0113】
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許USP−4318791、欧州特許公開EP−88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許USP−4199420明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、Fr−2456741明細書に記載の(チオ)キサントン系又はアクリジン系化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン系又はビイミダゾール系の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
【0114】
前記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾイル系、キサントン系、活性ハロゲン化合物(トリアジン系、ハロメチルオキサジアゾール系、クマリン系)、アクリジン類系、ビイミダゾール系、オキシムエステル系等が好ましい。
【0115】
前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1などを好適に挙げることができる。
【0116】
前記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
【0117】
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、を好適に挙げることができる。
【0118】
前記ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ゼンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
【0119】
前記キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、等を好適に挙げることができる。
【0120】
前記活性ハロゲン光重合開始剤(トリアジン系,オキサジアゾール系,クマリン系)としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン,2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール,3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
【0121】
前記アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
【0122】
前記ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等を好適に挙げることができる。
【0123】
上記以外に、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0124】
本発明では、以上の光重合開始剤に限定されるものではなく、他の公知のものも使用することができる。例えば、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、J.C.S. Perkin II(1979)1653−1660、J.C.S.PerkinII(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
【0125】
光重合開始剤の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。光重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
【0126】
−増感色素−
本発明において必要に応じて増感色素を添加することが好ましい。この増感色素が吸収しうる波長の露光により上記重合開始剤成分のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
【0127】
(分光増感色素又は染料)
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、等が挙げられる。
【0128】
【化9】

【0129】
より好ましい分光増感色素又は染料の例を以下に例示する。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
【0130】
(350〜450nmに極大吸収波長を有する色素)
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
【0131】
更に好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
【0132】
【化10】

【0133】
(一般式(XIV)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に、一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例〔(F−1)〜(F−5)〕を示す。
【0134】
【化11】

【0135】
【化12】

【0136】
(一般式(XV)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−6)〜(F−8)〕が挙げられる。
【0137】
【化13】

【0138】
【化14】

【0139】
(一般式(XVI)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−9)〜(F−11)〕が挙げられる。
【0140】
【化15】

【0141】
【化16】

【0142】
(一般式(XVII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−、又は−NR63を表し、R63は置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61、R62はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−12)〜(F−15)〕が挙げられる。
【0143】
【化17】

【0144】
また、そのほかに、本発明に用いられる好適な増感色素として、下記式(XVIII)で表されるものが挙げられる。
【0145】
【化18】

【0146】
(一般式(XVIII)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表し、Yは酸素原子又は−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、一価の非金属原子団を表し、AとR、R、Rとは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
【0147】
ここで、R、R、Rが一価の非金属原子団をあらわすとき、好ましくは、置換若しくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
次に、R、R、Rの好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0148】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アリール−N−アリールウレイド基、N,N−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアリール−N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO2)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
【0149】
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
【0150】
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、又は多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
【0151】
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
【0152】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0153】
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR、R、又はRとして好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0154】
、R、又はRとして好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0155】
、R、又はRとして好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0156】
なお、R及びRの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、Rの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸又は塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
【0157】
次に、一般式(XVIII)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、一般式(XVIII)におけるR、R、又はRについての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
【0158】
次に、式(XVIII)におけるYについて説明する。Yは上述のA及び隣接炭素原子と共同して、複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。このような複素環としては縮合環を有していてもよい5、6、7員の含窒素、或いは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
【0159】
含窒素複素環の例としては例えば、L.G.Brookerら著、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)第73巻(1951年)、p.5326−5358及び参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。
具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール、4,5−ジ(2−フリル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール、等)、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール類(例えば、4−メトキシチアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール、等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5ーメチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6ーメトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、等)、
【0160】
ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール、等)、セレナゾール類(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール、等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール、等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール、等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4−メチルチアゾリン、4,5−ジメチルチアゾリン、4−フェニルチアゾリン、4,5−ジ(2−フリル)チアゾリン、4,5−ジフェニルチアゾリン、4,5−ジ(p−メトキシフェニル)チアゾリン等)、2−キノリン類(例えば、キノリン、3−メチルキノリン、5−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−クロロキノリン、8−クロロキノリン、6−メトキシキノリン、6−エトキシキノリン、6ーヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、等)、4−キノリン類(例えば、キノリン、6−メトキシキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、等)、1−イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4−ジヒドロイソキノリン、等)、3−イソキノリン類(例えば、イソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3−ジメチルベンズイミダゾール、1,3−ジエチルベンズイミダゾール、1−エチル−3−フェニルベンズイミダゾール、等)、3,3−ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、3,3,7−トリメチルインドレニン、等)、2−ピリジン類(例えば、ピリジン、5−メチルピリジン、等)、4−ピリジン(例えば、ピリジン等)等を挙げることができる。また、これらの環の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0161】
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号記載の色素類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール、等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール、等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジエトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール、等)等を挙げることができる。
【0162】
以上に述べた一般式(XVIII)における、Yが上述のA及び隣接する炭素原子と共同して形成する含窒素或いは含硫黄複素環の例のうち、下記一般式(XVIII−2)の部分構造式で表される構造を有する色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた感光性組成物を与えるため、特に好ましい。一般式(XVIII−2)で表される構造を有する色素は新規化合物として、特願2003−311253明細書に詳細に記載した化合物である。
【0163】
【化19】

【0164】
(一般式(XVIII−2)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、AとR、R、R、Rは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVIII−2)中、A及びRは一般式(XVIII)におけるのと同義であり、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと、それぞれ同義である。
【0165】
次に本発明に用いられる一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい態様である一般式(XVIII−3)で表される化合物について説明する。
【0166】
【化20】

【0167】
前記一般式(XVIII−3)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、一価の非金属原子団であり、AとR、R、Rは、それぞれ互いに、脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
【0168】
一般式(XVIII−3)中、A及びRは一般式(XVIII)におけるものと同義であり、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと同義である。また、Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表し、具体例としては、先に一般式(XVIII)におけるAの説明に記載されたもののうち、置換基を有する芳香族環又はヘテロ環に係る具体例が同様に挙げられる。ただし、一般式(XVIII−3)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COHm:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
【0169】
以下に、本発明に係る一般式(XVIII)で表される増感色素の好ましい具体例〔例示化合物(F1)〜例示化合物(F56)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0170】
【化21】

【0171】
【化22】

【0172】
【化23】

【0173】
【化24】

【0174】
【化25】

【0175】
【化26】

【0176】
【化27】

【0177】
【化28】

【0178】
本発明に適用可能な前記増感色素の中でも、前記一般式(XVIII)で表される化合物が、深部硬化性の観点から好ましい。
【0179】
上記の増感色素に関しては、本発明の感光性組成物の特性を改良する目的で、以下のような種々の化学修飾を行うことが可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、架橋硬化膜の高強度化や、架橋硬化膜からの色素の不要な析出抑制効果向上を得ることができる。
【0180】
増感色素の含有量は、本発明のカラーフィルタ用着色感光性組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
増感色素の含有量がこの範囲であることで、超高圧水銀灯の露光波長に対して高感度であり、膜深部硬化性が得られると共に、現像マージン、パターン形成性の点で好ましい。
【0181】
〔カラーフィルタ及びその製造方法〕
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
【0182】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、着色光硬化性組成物を、直接又は他の層を介して支持体(基板)上に塗布して、光重合性組成物層を形成して乾燥させ(以下、適宜「着色層形成工程」と略称する。)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(以下、適宜「露光工程」と略称する。)、現像液で現像することによって(以下、適宜「現像工程」と略称する。)、各色(3色あるいは4色以上)の画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
具体的には、以下で、本発明の製造方法における各工程について説明する。
【0183】
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の着色光硬化性組成物を塗布して、該硬化性組成物からなる着色層を形成する。
【0184】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、プラスチック基板、およびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0185】
支持体上への本発明の着色光硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
硬化性組成物の塗布膜厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。固体撮像素子のような高解像度のためには、膜厚が0.7μm以下、特に0.6μm以下の膜厚で、一定の色価を保ち硬化させる場合に、本発明は特に有用である。
支持体上に塗布された着色光硬化性組成物は、通常、70〜110℃で2〜4分程度の条件下で乾燥され、着色層が形成される。
【0186】
<露光工程>
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層をマスクを介して露光し、光照射された着色層部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。液晶表示装置用のカラーフィルタは、プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機で主としてh線、i線を使用した露光が好ましく、固体撮像素子用のカラーフィルタでは、ステッパー露光機で主としてi線を使用することが好ましい。
露光量は液晶表示装置用カラーフィルタでは5〜600mJ/cmが好ましく、10〜300mJ/cmがより好ましく、10〜200mJ/cmが最も好ましい。固体撮像素子用カラーフィルタでは5〜3000mJ/cmが好ましく、10〜1500mJ/cmがより好ましく、10〜800mJ/cmが好ましい。
【0187】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
現像液としては、未硬化部における光硬化性の光硬化性組成物の塗膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0188】
前記有機溶剤としては、本発明の顔料分散組成物又は光硬化性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせても良い。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。また基板を傾斜させて現像することもできる。
固体撮像素子用の場合はパドル現像も用いられる。
【0189】
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0190】
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0191】
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の硬化性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。
【実施例】
【0192】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0193】
<(C)有機顔料の母核構造を有し、光によって分解してラジカルまたはカチオンを発生しうる光重合開始剤>
(合成例1:C−1の合成)
500mlフラスコを用い、p−シアノヨードベンゼン20gの硫酸80ml溶液を10℃に冷却して、過硫酸カリウム42gを1時間かけて加えた。10℃で20分間撹拌を行なった後、ベンゼン75mlを加えて25℃で3時間撹拌操作を行なった。この反応溶液を氷水で反応終結させ、ヨウ化カリウム40gを加えて晶析させ(p−シアノフェニル)−フェニルヨードニウムヨウ素塩を得た。これを塩化メチレン50mlに溶解させ、ヘキサフルオロホスフィン酸10mlを加えてアニオン交換を行ない、得られた(p−シアノフェニル)−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフィン酸塩結晶を濾取した(収率51%)。500mlフラスコにエチル−4,5−ジヒドロ−5−オキソ−2−フェニル−1H−ピロール−3−カルボキシレート16gを仕込みt−アミルアルコール200mlに溶解させた。これに先で合成した(p−シアノフェニル)−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフィン酸塩15gを加えて均一溶液になるまで攪拌した。室温下でt−ブトキシカリウム23gを加えて10分撹拌したのち、100℃に加温してさらに4時間加熱撹拌を行なった。得られた赤色溶液に酢酸50mlを加えて中和操作を行ない濾取した。得られた赤色粉体をアセトン150ml、メタノール150mlで洗浄し、目的化合物C−1を得た(収率27%)。1HNMR(300MHz):δ7.0−7.5(m、14H)、8.1(brs、2H)
【0194】
(合成例2:C−31の合成例)
200mlの3口フラスコにジフェニルスルフィド10gとクロロベンゼン30mlを仕込み、塩化アルミニウム5gを添加した。これに3−クロロブタン酸クロリド12gを加えて80℃で3時間反応を行なった。氷水を加えて反応終結させ、酢酸エチルで抽出、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄したのち、乾燥、溶媒溜去してクロロ化物(I)を82%収率で得た。既知化合物であるヒドロキシフタロシアニン20gをDMF200mlに溶解させ、NaH4.3gを加えて1時間0℃で攪拌した。これに先で合成したクロロ化物(I)を加えて室温で3時間攪拌した。氷水を加えて反応終結させ酢酸エチルで抽出、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥、濃縮した。これをTHF100mlに溶解させ0℃に冷却し、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液6.7gを加えて室温で1時間撹拌した。これを再び0℃に冷却して亜硝酸ネオペンチル3.9gを加えて室温で3時間撹拌操作を行なった。これにアセチルクロリド4.1gを加え、1時間室温で撹拌した。反応液を氷水に入れ、得られた固体を濾取し、アセトン100ml、メタノール100mlでリスラリーすることで目的化合物(C−31)を26%収率で得た。
1HNMR(300MHz):δ1.81(t,J=4.8Hz,2H),2.08(s,3H),4.16(t,J=4.8Hz,2H),7.0−8.0(m,24H)
【0195】
(実施例1)
−A1.硬化性組成物の調製−
[A1−1.顔料分散組成物の調製]
(B)顔料 C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントエロー150との40/60(質量比)混合物〔一次平均粒子径32nm〕 50部
(A)分散樹脂(表1〜表5の高分子化合物) 5部
(E)溶剤 プロピレングリコールモノメチルエーテル 500部
を混合した混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散組成物(P1)を調製した。
実施例1の顔料、分散樹脂、および溶剤を表6のように変更し、顔料分散組成物P2〜P16を調整した。
【0196】
【表6】

【0197】
なお、前記表6、および後述の表9において用いた化合物の詳細は以下の通りである。
<顔料>
PG36;C.I.ピグメントグリーン36
PR254;C.I.ピグメントレッド254
PB15:6;C.I.ピグメントブルー15:6
PY150;C.I.ピグメントエロー150
PY139;C.I.ピグメントエロー139
PV23;C.I.ピグメントバイオレット23
【0198】
[A1−2.着色光硬化性組成物(塗布液)の調製]
上記により得られた顔料分散組成物P1を用いて、下記組成となるよう撹拌、混合を行って着色光硬化性組成物の溶液を調製した。
<組成>
・上記顔料分散組成物(P1) 200部
・(C−7)本発明の光重合開始剤 4部
・(D)光重合性化合物 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5部
・(E)溶剤 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 250部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(基板密着剤) 0.5部
【0199】
−A2.カラーフィルタの作製−
[A2−1.硬化性組成物層(着色層)の形成]
上記のようにして調製した着色光硬化性組成物を、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、真空乾燥とプリベーク(prebake;100℃、80秒間)を施して硬化性組成物層(着色層)を形成した。
【0200】
<スリット塗布条件>
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚: 1.75μm
・塗布温度: 23℃
【0201】
[A2−2.露光、現像]
その後、上記着色層を、2.5kWの超高圧水銀灯により、200μm×300μmのマスクを介してパターン状に露光し、露光後、KOH系現像液(商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製の1%水溶液)でシャワー現像(28℃ 60秒)した。その後純水で洗浄した。
【0202】
[A2−3.加熱処理]
洗浄後、220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に着色光硬化性組成物層が硬化された着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0203】
(実施例2〜8)
顔料分散組成物、および本発明の光重合開始剤を表7に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0204】
(比較例1、2)
実施例1の顔料分散組成物の調製において、本発明の光重合開始剤を、それぞれ下記開始剤X−1、X−2に置き換えて、その他は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0205】
【化29】

開始剤 X−1
【0206】
【化30】

開始剤 X−2
【0207】
−A3.性能評価−
上記で調製した顔料分散組成物および着色光硬化性組成物(塗布液)の保存安定性、微細分散性及び着色光硬化性組成物を用いてガラス基板上に形成された硬化性組成物層の露光感度、支持体密着性、現像性、及びパターン断面形状を下記のようにして評価した。評価結果を下記表7に示す。
【0208】
[A3−1.顔料分散組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した顔料分散組成物を室温で1週間保存した後、顔料分散組成物の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0209】
[A3−2.顔料分散組成物の微細分散性]
顔料分散組成物について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製)を用いて、希釈することなく測定した。顔料の平均粒径が小さいほど、微細分散性が高いことを意味する。
―評価基準―
○:平均粒径が70nm未満であった。
△:平均粒径が70nm以上150nm未満であった。
×:平均粒径が150nm以上であった。
【0210】
[A3−3.硬化性組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した着色光硬化性組成物を室温で1ケ月保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0211】
[A3−4.硬化性組成物層の露光感度]
塗布後の硬化性組成物層を、露光幅20μmのマスクを用いて、露光量を10〜200mJ/cm(照度20mW/cm)の範囲で、種々の露光量に変更して露光し、ポストベーク後のパターン線幅が20μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、その値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0212】
[A3−5.現像性、パターン断面形状、支持体密着性]
各々の露光感度におけるポストベーク後の支持体表面及びパターンの断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認し、それぞれ下記に示すようにして現像性、パターン断面形状、支持体密着性を評価した。評価方法及び評価基準の詳細は以下の通りである。
【0213】
<現像性>
上記A2−2.露光、現像において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、下記評価基準に従って現像性を評価した。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった。
△:未露光部に残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に残渣が著しく確認された。
【0214】
<パターン断面形状>
形成された着色パターンの断面形状を観察し、評価した。パターン断面形状は順テーパが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパは好ましくない。
【0215】
<支持体密着性>
支持体密着性の評価は、パターン欠損が発生しているか否かを観察することにより、下記評価基準に従って行った。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった。
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、部分的に欠損が観察された。
×:パターン欠損が著しく観察された。
【0216】
【表7】

【0217】
表7の結果から、本発明の光重合開始剤を用いて調製した着色光硬化性組成物は、支持体上で着色パターンを形成した場合には、これら特定の化合物を用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、パターン断面形状の何れにも優れたカラーフィルタが得られていることが判る。
【0218】
次に、以下に示す実施例9〜16及び比較例3〜5において、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として、顔料を含有する着色光硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
【0219】
(実施例9)
−B1.着色光硬化性組成物の調製−
下記組成の成分を混合して溶解し、透明レジスト液を調製した。
<透明レジスト液の組成>
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
(PGMEA:溶剤)
・乳酸エチル(溶剤) 36.67部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液 30.51部
(バインダーポリマー)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 12.20部
(光重合性化合物)
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061部
・フッ素系界面活性剤 0.83部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・TAZ−107 0.586部
(みどり化学社製;トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)
【0220】
−B2.下塗り層付シリコン基板の作製−
6inchシリコンウエハを、オーブン中で200℃で30分間、加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に前記透明レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
【0221】
−B3.硬化性組成物の調製−
[B3−1.顔料分散組成物の調製]
A1−1に記載
【0222】
[B3−2.着色光硬化性組成物の調製]
前記分散処理した顔料分散組成物(P2)を用い、下記組成となるよう撹拌、混合して硬化性組成物の溶液を調製した。
<組成>
・上記顔料分散組成物(P2) 200部
・本発明の光重合開始剤(C−20) 4部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5部
(DPHA;(D)光重合性化合物)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 250部
(PGMEA;溶剤)
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.5部
(基板密着剤)
【0223】
−B4.硬化性組成物によるカラーフィルタの作製−
[着色パターンの形成]
前記B2で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に、着色層(着色光硬化性組成物層)の乾燥膜厚が0.7μmになるように、着色光硬化性組成物を塗布した。そして、この着色塗布基板を100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.5μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜500mJ/cmの種々の露光量で露光した。
その後、露光後の着色層が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行ない、シリコンウエハに着色パターンを形成した。
【0224】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後、スプレー乾燥して、カラーフィルタを作製した。
【0225】
(実施例10〜16)
実施例9の着色光硬化性組成物の調製において、顔料分散組成物および本発明の光重合開始剤を表8に示す化合物に代えた以外は、実施例9と同様にして着色光硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0226】
(比較例3、4)
実施例10の着色光硬化性組成物の調製において、それぞれ開始剤X−1、X−2を用いた以外は実施例10と同様にして着色光硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0227】
−B5.性能評価−
上記で調製した顔料分散組成物および着色光硬化性組成物の保存安定性、微細分散性及び硬化性組成物を用いてシリコンウエハに形成された着色光硬化性組成物層の露光感度、支持体密着性、現像性、パターン断面形状、及び色ムラを下記のようにして評価した。評価結果を下記表8に示す。
[B5−1.顔料分散組成物の経時での保存安定性]
A3−1と同じ。
【0228】
[B5−2.顔料分散組成物の微細分散性]
A3−2と同じ
【0229】
[B5−3.露光感度の評価]
塗布後の着色層を、露光量を50〜1200mJ/cmの範囲で種々の露光量に変更して露光し、スプレー乾燥後の着色パターンを測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて観察し、着色パターンの線幅を測定した。パターン線幅が1.5μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、その値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0230】
[B5−4.硬化性組成物の経時での保存安定性]
A3−3と同じ。
【0231】
[B5−4.色ムラ]
色ムラの評価は、輝度分布を下記方法で解析し、平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに行った。評価基準は以下の通りである。
輝度分布の測定方法について説明する。まず、硬化性組成物を、前記B2と同様の方法で得られた下塗り層付ガラス板の下塗り層上に、乾燥膜厚が0.7μmになるように塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。この塗布済みガラス板の輝度分布を顕微鏡MX−50(オリンパス社製)にて撮影した画像を解析した。
なお輝度分布において、最も画素数の多い輝度を平均輝度と定義する。
−評価基準−
○:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の99%以上
△:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%以上99%未満
×:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%未満
【0232】
[B5−5.現像性、パターン断面形状、支持体密着性]
上記で調製した硬化性組成物を用いてシリコンウエハに形成された着色層の露光感度における現像性、支持体密着性、及びパターン断面形状を、上記A3、性能評価(A3−5)と同様にして評価した。
尚、パターン断面形状については、矩形が最も好ましく、次いで順テーパであり、逆テーパは好ましくない。
【0233】
【表8】

【0234】
上記表8の結果から、本発明の光重合開始剤を用いて調製した着色光硬化性組成物は、支持体上で着色パターンを形成した場合には、本発明の開始剤を用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、支持体密着性、パターン断面形状の何れにも優れたカラーフィルタが得られていることが判る。
【0235】
これらの結果より、本発明の着色光硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示装置用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかる。
【0236】
次に本発明の光重合開始剤を、顔料の分散工程から用いて、顔料分散組成物を調製した実施例、比較例を示す。
−B6.硬化性組成物の調製−
【0237】
[B6−1.顔料分散組成物の調製]
(B)顔料 C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントエロー150との40/60(質量比)混合物〔一次平均粒子径32nm〕 50部
(A)分散樹脂(表1〜表5に記載の高分子化合物) 5部
(C)本発明の光重合開始剤(C−1) 3部
(E)溶剤 プロピレングリコールモノメチルエーテル 500部
を混合した混合液を、黄色灯下でビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散組成物(P17)を調製した。
同様にして表9に示すように、顔料分散組成物P18〜P23を調製し、顔料分散液の保存安定性と微細分散性について評価し、表10にまとめた。
【0238】
【表9】

【0239】
[B6−1.顔料分散組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した顔料分散組成物を、室温で1週間保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0240】
[B6−2.顔料分散組成物の微細分散性]
前記顔料分散組成物(P17〜P23)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製)を用いて、顔料分散組成物を更に希釈することなく測定した)により測定した。顔料の平均粒径が小さいほど、微細分散性が高いことを意味する。
―評価基準―
○:平均粒径が70nm未満であった。
△:平均粒径が70nm以上150nm未満であった。
×:平均粒径が150nm以上であった。
【0241】
[B6−3.顔料分散組成物の光重合開始剤の感度簡易評価(分解率測定)]
顔料分散組成物の感度を見積もるために、顔料分散組成物を固形分で2×10−3質量%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、直径5cmのシャーレに1mLを充填した。これを浜松ホトニクス社製水銀−キセノンランプLC−5を用い、365nmの光のみを選択的に透過するバンドパスフィルターを介して1000mJ/cmで露光した。得られた溶液を、Waters社製高速液体クロマトグラフィーWaters 1525を用いて、本発明の光重合開始剤の分解率を測定した。分解率が大きいほど高い感度を実現できる。
【0242】
【表10】

【0243】
本発明の光重合開始剤を、顔料の分散剤として使用すると、顔料分散組成物の保存安定性が良好で、しかも微細分散ができることが表10からわかる。さらに本発明の光重合開始剤は365nmの波長での分解率が高く、高い感度を持っていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に、有機顔料の母核構造と、光により分解して開始種を発生しうる部分構造と、を有する光重合開始剤。
【請求項2】
前記有機顔料の母核構造が、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、キノフタロン系顔料、およびジオキサジン系顔料からなる群より選択される1種以上である請求項1記載の光重合開始剤。
【請求項3】
前記光により分解して開始種を発生しうる部分構造が、光により分解してラジカルまたはカチオンを生成しうる部分構造であり、オニウム塩基、パーオキサイド基、ハロメチル基、およびアシルオキシム基からならなる群より選択される1種以上である請求項1記載の光重合開始剤。
【請求項4】
(A)分散樹脂、(B)顔料、(C)請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光重合開始剤、および (E)溶剤を含有する顔料分散組成物。
【請求項5】
(A)分散樹脂、(B)顔料、(C)請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光重合開始剤、(D)ラジカル重合性化合物、および (E)溶剤を含有する着色光硬化性組成物。
【請求項6】
請求項5記載の光硬化性組成物を用いてなる着色領域を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項8】
請求項6記載のカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2009−79150(P2009−79150A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250103(P2007−250103)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】