説明

新規ピリジン誘導体

本発明は、式(I)のS1P1/EDG1受容体アゴニストおよび医薬組成物の製造における活性成分としてのこれらの使用に関する。また、本発明は、化合物の製造のための方法、式(I)の化合物を含む医薬組成物、並びに血管機能を改善する化合物としての、および免疫調節薬としての、単独またはその他の活性化合物もしくは療法と組み合わせたこれらの使用を含む関連した側面に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、式(I)のS1P1/EDG1受容体アゴニストおよび医薬組成物の製造における活性成分としてのこれらの使用に関する。また、本発明は、化合物の製造のための方法、式(I)の化合物を含む医薬組成物、並びに血管機能を改善する化合物としての、および免疫調節薬としての、単独またはその他の活性化合物もしくは療法と組み合わせたこれらの使用を含む関連した側面に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒト免疫系は、感染または疾患を生じさせる外来微生物および物質から体を守るようにデザインされている。複雑な調節機構により、免疫応答が侵入する物質または生物体を標的とし、宿主を標的としないように保証する。場合によっては、これらの制御機構は、無秩序であり、自己免疫応答を発症し得る。炎症反応が抑制されない結果として、重篤な器官、細胞、組織または関節の損傷が生じる。また、現在の治療では、通常、全免疫系が抑制されて、体が感染に応答する能力が非常に損なわれてしまう。この種の典型的な薬物には、アザチオプリン、クロランブシル、シクロホスファミド、シクロスポリンまたはメトトレキセートを含む。炎症を減少させて、免疫応答を抑制する副腎皮質ステロイドは、長期治療に使用されると、副作用の原因となることがある。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、疼痛および炎症を減少させることができるが、しかし、これらは、かなりの副作用を示す。代わりの治療には、サイトカインシグナリングを活性化し、または遮断する薬剤を含む。
【0003】
免疫調節特性をもち、免疫応答を損なうことなく、そして副作用が減少された、経口で有効な化合物は、抑制されない炎症性疾患の現在の治療を大幅に向上させるであろう。
【0004】
臓器移植の分野では、器官拒絶反応を防止するために宿主免疫応答を抑制しなければならない。臓器移植レシピエントは、彼らが免疫抑制剤を服用しているときでも、いくらか拒絶反応を受けることがある。拒絶反応は、移植後の最初の数週に最も頻繁に生じるが、拒絶反応の発症は、移植の何月もまたは何年後でさえも生じ得る。副作用を最小にすると共に、拒絶反応から最大限保護するために、3つまたは4つまでの薬物療法の組み合わせが一般に使用されている。移植臓器の拒絶反応を治療するために使用される現在の標準薬は、T型またはB型白血球の活性化における別々の細胞内経路を妨げる。このような薬物の例には、サイトカイン放出またはシグナリングを妨げるシクロスポリン、ダクリズマブ、バシリキシマブ、エベロリムスもしくはFK506;ヌクレオチド合成を阻害するアザチオプリンもしくはレフルノミド;または白血球分化の阻害剤である15-デオキシスペルグアリンがある。
【0005】
広範な免疫抑制療法による有益な効果は、これらの効果に関連するが;しかし、これらの薬物により生じる全身的免疫抑制は、感染および悪性腫瘍に対する免疫系の防御を減弱させる。さらにまた、標準的な免疫抑制剤は、高投薬量で使用されることが多く、器官損傷を引き起こし、または促進し得る。
【発明の開示】
【0006】
本発明の記述
本発明は、Gタンパク質結合受容体S1P1/EDG1のためのアゴニストであり、かつ循環および浸潤するTおよびBリンパ球の数を減少させることによりこれらの成熟、記憶または増殖に影響を及ぼさずに達成される強力かつ持続性の免疫抑制効果を有する式(I)の新規化合物を提供する。S1P1/EDG1アゴニズムの結果としての循環T/Bリンパ球の減少により、おそらくS1P1/EDG1活性化と関連した内皮細胞層機能の改善が観察されることと合わせて、このような化合物が、抑制されていない炎症性疾患を治療するために、および血管機能性を改善するために有用となる。
【0007】
本発明の化合物は、単独で、またはT細胞活性化を阻害する標準薬と組み合わせて、標準的な免疫抑制療法と比較したときに感染の性向が減少した新たな免疫抑制療法を提供するために利用することができる。さらにまた、本発明の化合物は、投薬量を減少した従来の免疫抑制性療法と組み合わせて、一方では有効な免疫抑制活性を、一方では高用量の標準的な免疫抑制剤に付随した末端器官損傷の減少を提供するために使用することができる。S1P1/EDG1活性化と関連した内皮細胞層機能の改善の観察は、血管機能を改善するための化合物のさらなる利点をもたらす。
【0008】
ヒトS1P1/EDG1受容体のためのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、たとえばHla, T., and Maciag, T. J. Biol Chem. 265(1990), 9308-9313;1991年10月17日に公開された国際公開公報第91/15583号;1999年9月16日に公開された国際公開公報第 99/46277号に発表されている。式(I)の化合物の能力および有効性は、EC50値を決定するためのGTPγSアッセイ法を使用して、および経口投与後のラットにおける循環リンパ球を測定することによって、それぞれ評価される(実施例を参照されたい)。
【0009】
特に明記しない限り、使用する一般的な用語は、先に、および以下に、好ましくは、この開示の中で、以下の意味を有する:
【0010】
化合物、塩、医薬組成物、疾患その他のために複数形が使用される場合、これはまた、単一の化合物、塩、またはその他を意味することが意図される。
【0011】
式(I)の化合物に対する以前または以下のいずれの言及も、適切かつ好都合なように、式(I)の化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)も指すことが理解されるはずである。
【0012】
塩形成基は、塩基性もしくは酸性の特性を有する基またはラジカルである。少なくとも1つの塩基性基または少なくとも1つの塩基性ラジカルを有する化合物、たとえば豊富なアミノ、ペプチド結合を形成していない二級アミノ基またはピリジルラジカルは、たとえば無機酸と酸付加塩を形成するであろう。いくつかの塩基性基が存在するときは、モノまたはポリ酸付加塩を形成してもよい。
【0013】
カルボキシ基またはフェノールのヒドロキシ基などの酸性基を有する化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩またはアンモニアもしくは三級モノアミン、たとえばTEAもしくはトリ-(2-ヒドロキシエチル)-アミンなどの適切な有機アミン、もしくは複素環塩基、たとえばN-エチル-ピペリジンもしくはN,N'-ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩などの金属またはアンモニウム塩を形成してもよい。塩の混合物も可能である。
【0014】
酸性および塩基性の両方の基を有する化合物は、内錯塩を形成することができる。
【0015】
また、単離または精製の目的のために、並びに中間体としてさらに使用される化合物の場合、薬学的に容認できない塩、たとえばピクリン酸塩を使用することもできる。しかし、薬学的に許容される無毒の塩のみを治療目的のために使用してもよく、したがって、これらの塩が好ましい。
【0016】
薬学的に許容される塩という表現には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜燐酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、パモ酸、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、TFAおよび生きた生物に対して非中毒性であるその他のような無機酸または有機酸のいずれとの塩、または式(I)の化合物の性質が酸性である場合、アルカリまたはアルカリ土類塩基、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムその他のような無機塩基との塩も包含する。薬学的に許容される塩のその他の例については、"Salt selection for basic drugs", Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217を参照することができる。
【0017】
式(I)の化合物の不斉炭素原子は、存在する場合、(R)または(S)配置で存在してもよい。二重結合または環の置換基は、cis(=Z-)またはtrans(=E-)型で存在してよい。したがって、式(I)の化合物は、異性体の混合物として、または好ましくは純粋な異性体として存在してもよい。混合物は、それ自体は公知の様式で、たとえばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離することができる。
【0018】
i)本発明は、式(I)の新規ピリジン化合物およびその塩に関し、
【0019】
【化1】


式中
Aは、*-CO-CH=CH-、*-CO-CH2CH2-、
【0020】
【化2】


を表し、
式中、アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示し;
Bは、
【0021】
【化3】


を表し;
R1は、水素、メチル、エチルまたは塩素を表し;
R2は、メチル、エチル、n-プロピルまたは塩素を表し;
R3およびR4は、メチルを表すか;
またはR3およびR4は、エチルを表すか;
またはR3およびR4は、これらが付着される炭素原子と共に、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル環を形成し;
R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはトリフルオロメチルを表し;並びに、
R6は、メチルまたはエチルを表す。
【0022】
ii)本発明の詳細な態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中Aは、*-CO-CH2-CH2-を表し、式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示す。
【0023】
iii)本発明のもう一つの詳細な態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中Aは、*-CO-CH=CH-を表し、式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示す。
【0024】
iv)本発明のもう一つの詳細な態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中Aは、
【0025】
【化4】


を表し、式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示す。
【0026】
v)本発明の好ましい態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中Aは、
【0027】
【化5】


を表す。
【0028】
vi)本発明の好ましい態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中Aは、
【0029】
【化6】


を表し、式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示す。
【0030】
vii)もう一つの本発明の好ましい態様は、i)〜vi)の態様のいずれか一つに従ったピリジン誘導体に関し、式中R1およびR2は、メチル基を表す。
【0031】
viii)もう一つの本発明の好ましい態様は、i)〜vi)の態様のいずれか一つに従った、ピリジン誘導体に関し、式中R1は、メチル基を表し、かつR2は、エチル基を表す。
【0032】
ix)本発明のもう一つの詳細な態様は、i)〜viii)の態様のいずれか一つに従ったピリジン誘導体に関し、式中Bは、
【0033】
【化7】


を表し;かつR3、R4およびR5は、態様i)において式(I)について定義されたとおりである。
【0034】
x)もう一つの本発明の好ましい態様は、i)〜viii)の態様のいずれか一つに従ったピリジン誘導体に関し、式中Bは、
【0035】
【化8】


を表し;かつR3およびR4は、メチルを表し、かつR5は、メチルまたはエチルを表す。
【0036】
xi)本発明のもう一つの詳細な態様は、i)〜viii)の態様のいずれか一つに従ったピリジン誘導体に関し、式中Bは、
【0037】
【化9】


を表し;かつR6は、態様i)において式(I)について定義されたとおりである。
【0038】
xii)もう一つの本発明の好ましい態様は、i)〜viii)の態様のいずれか一つに従ったピリジン誘導体に関し、式中Bは、
【0039】
【化10】


を表し;かつR6は、メチルを表す。
【0040】
xiii)本発明の特に好ましい態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中、
Aは、*-CO-CH=CH-、*-CO-CH2CH2-、
【0041】
【化11】


を表し、式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示し;
R1は、メチル、エチルまたは塩素を表し;
R2は、メチルまたはエチルを表し;
R3およびR4は、メチルを表すか;
またはR3およびR4は、エチルを表し;かつ、
R5およびR6は、メチルまたはエチルを表す。
【0042】
xiv)本発明のもう一つの特に好ましい態様は、態様i)に従ったピリジン誘導体に関し、式中、
Aは、*-CO-CH=CH-、*-CO-CH2CH2-、
【0043】
【化12】


または
【0044】
【化13】


を表し;式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示し;
R1は、メチル、エチルまたは塩素を表し;
R2は、メチルまたはエチルを表し;
R3およびR4は、メチルを表すか;
またはR3およびR4は、エチルを表し;かつ、
R5およびR6は、メチルまたはエチルを表す。
【0045】
xv)式(I)に従った具体的な非常に好ましいピリジン誘導体は、以下の通りである:
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン、
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロペノン、
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロパン-1-オン、
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロパン-1-オン、
2-エチル-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2,6-ジエチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2-クロロ-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2,6-ジメチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン、
4-[5-(5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2-エチル-6-メチル-ピリジン、
4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2,6-ジメチル-ピリジン、
2,6-ジメチル-4-[5-(3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、および、
2-クロロ-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン;並びにこれらの化合物の塩。
【0046】
xvi)式(I)に従ったさらに具体的な非常に好ましいピリジン誘導体は、以下の通りである:
2-エチル-6-メチル-4-[5-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-ピリジン、および、
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-6-メチル-ピリジン;並びにこれらの化合物の塩。
【0047】
式(I)の化合物およびこれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、たとえば経腸、非経口(parental)または局所的投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。これらは、たとえば経口的に、たとえば錠剤、コーティング錠、ドラジェー、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形態で、直腸に、たとえば坐薬の形態で、非経口的に、たとえば注射溶液もしくは輸液の形態で、または局所的に、たとえば軟膏、クリームまたは油の形態で投与することができる。
【0048】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者によく知られた様式で(たとえばMark Gibson, Editor, Pharmaceutical Preformulation and Formulation, IHS Health Group, Englewood, CO, USA, 2001; Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Philadelphia College of Pharmacy and Scienceを参照されたい)、記述された式(I)の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩を、任意に、ガレノスの投与形態中に、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体または液体のキャリア材料および必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、その他の治療的に有益な物質と組み合わせることによって遂行することができる。
【0049】
式(I)の化合物を含む医薬組成物は、活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防および/または治療のために有用である。
【0050】
このような疾患または障害は、以下からなる群より選択される:移植された臓器、組織または細胞の拒絶反応;移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎を含む自己免疫性症候群;全身性エリテマトーデス;抗リン脂質症候群;橋本甲状腺炎;リンパ球性甲状腺炎;多発性硬化症;重症筋無力症;I型糖尿病;ブドウ膜炎;上強膜炎;強膜炎;川崎病、ブドウ膜網膜炎;後方のブドウ膜炎;ベーチェット病と関連したブドウ膜炎;ぶどう膜髄膜炎(uveomeningitis)症候群;アレルギー性脳脊髄炎;慢性同種移植脈管障害;リウマチ熱および感染後の糸球体腎炎を含む感染後の自己免疫疾患;炎症性および高増殖性皮膚病;乾癬;乾癬性関節炎;アトピー性皮膚炎;筋障害;筋炎;骨髄炎;接触性皮膚炎;湿疹性皮膚炎;脂漏皮膚炎;扁平苔癬;天疱瘡;類天疱瘡;表皮水泡症;じんま疹;血管性浮腫;血管炎;紅斑;皮膚好酸球増加症;座瘡;強皮症;円形脱毛症;角結膜炎;春季結膜炎;角膜炎;ヘルペス性角膜炎;角膜上皮ジストロフィー;角膜白斑;眼性天疱瘡;モーレン潰瘍;潰瘍性角膜炎;強膜炎;グラーブ眼障害;フォークト-小柳-原田症候群;サルコイドーシス;花粉アレルギー;可逆的閉塞性気道疾患;気管支喘息;アレルギー性喘息;内因性喘息;外因性喘息;粉塵喘息;慢性または難治性喘息;遅発型喘息および気道応答性亢進;細気管支炎;気管支炎;子宮内膜症;睾丸炎;胃潰瘍;虚血性腸疾患;炎症性腸疾患;壊死性小腸大腸炎;熱傷に関連した腸管病変;セリアック病(coeliac disease);直腸炎;エオジン嗜好性胃腸炎;肥満細胞症;クローン病;潰瘍性大腸炎;虚血性疾患および血栓症によって生じる血管障害;アテローム性動脈硬化症;脂肪心;心筋炎;心筋梗塞;大動脈炎症候群;ウイルス疾患のための悪液質;血管血栓症;片頭痛;鼻炎;湿疹;間質性腎炎;IgAで誘導される腎症;グッドパスチャー症候群;溶血尿毒症症候群;糖尿病性腎障害;糸球体硬化症;糸球体腎炎;尿細管間質性腎炎;間質性膀胱炎;多発性筋炎;ギランバレー症候群;メニエール病;多発性神経炎;多発性神経炎;脊髄炎;単発神経炎;神経根障害;甲状腺機能亢進症;バセドウ病;甲状腺中毒症;赤芽球癆;再生不良性貧血;再生不良性貧血;特発性血小板減少性紫斑病;自己免疫溶血性貧血;自己免疫性血小板減少症;無顆粒球症;悪性貧血;巨赤芽球性貧血;赤血球形成不全;骨粗鬆症;肺線維症;特発性間質性肺炎;皮膚筋炎;尋常白斑;尋常性魚鱗癬;光線アレルギー性感受性;皮膚T細胞リンパ腫;結節性多発性動脈炎;ハンチントン舞踏病;シドナム舞踏病;心筋症;心筋炎;強皮症;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;脂肪過多;エオジン好性細胞筋膜症(fascitis);歯肉、歯根膜、歯槽骨、歯セメント質の病変;男性パターン脱毛症または老人性脱毛症(alopecia senilis);筋ジストロフィー;膿皮;セザリー症候群;脳下垂体炎;慢性副腎不全;アジソン病;保存により生じる器官の虚血-再灌流傷害;内毒素ショック;偽膜性大腸炎;薬物または放射線によって生じる大腸炎;虚血性急性腎不全;慢性腎不全;肺癌;リンパ様起源悪性腫瘍;急性または慢性リンパ性白血病;リンパ腫;肺気腫;白内障;シデローシス;網膜色素変性症;老人性黄斑変性症;硝子体(vitreal)瘢痕;角膜アルカリ火傷;皮膚炎紅斑;水疱性(ballous)皮膚炎;セメント皮膚炎;歯肉炎;歯周病;敗血症;膵炎;末梢血管疾患;発癌;固形癌腫瘍;癌腫転移;高山病;自己免疫肝炎;原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;部分的肝切除術;急性肝壊死;肝硬変;アルコール性肝硬変;肝不全;劇症肝不全;遅発性肝不全;および「急性-対-慢性」肝機能不全。
【0051】
式(I)の化合物で治療され、および/または予防される好ましい疾患または障害は、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、角膜および皮膚などの移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、乾癬、乾癬性関節炎、橋本甲状腺炎などの甲状腺炎、ブドウ膜網膜炎を含む自己免疫性の症候群;鼻炎、結膜炎、皮膚炎などのアトピー性疾患;喘息;I型糖尿病;リウマチ熱および感染後の糸球体腎炎を含む感染後の自己免疫疾患;固形癌および腫瘍転移からなる群より選択される。
【0052】
式(I)の化合物で治療され、および/もしくは予防される特に好ましい疾患または障害は、腎臓、肝臓、心臓および肺から選択される移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる対宿主性移植片病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病および橋本甲状腺炎から選択される自己免疫症候群;並びにアトピー性皮膚炎からなる群より選択される。
【0053】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に活性な量を被験体に投与することを含む、本明細書において言及した疾患もしくは障害の予防または治療のための方法にも関する。
【0054】
さらにまた、式(I)の化合物は、1つまたはいくつかの免疫調節薬と組み合わせて、本明細書において言及した疾患および障害の予防および/または治療のために有用である。本発明の好ましい態様によれば、前記薬剤は、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、NSAID、細胞毒性薬、接着分子阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン受容体アンタゴニストおよび組換えサイトカイン受容体からなる群より選択される。
【0055】
また、本発明は、任意に1つまたはいくつかの免疫調節薬と組み合わせて使用するための、本明細書において言及した疾患および障害の予防および/または治療のための医薬組成物の製造のための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0056】
また、本発明は、それ自体をインビボで式(I)の化合物に変換する式(I)の化合物のプロドラッグに関する。したがって、式(I)の化合物に対するいずれの言及も、適切かつ好都合な場合、式(I)の化合物の対応するプロドラッグも指すことが理解されるはずである。
【0057】
式(I)の化合物は、以下の方法によって、実施例に示された方法によって、または類似の方法によって製造することができる。最適反応条件は、使用する具体的反応物または溶媒によって変更してもよいが、このような条件は、当業者により、ルーチンの最適化手順によって決定することができる。
【0058】
本発明の式(I)の化合物は、下記に概説した反応の一般的順序に従った製造することができる。式(I)の化合物を生じる合成による可能性のうちの少数のみを記述してある。一般基AおよびBのいくつかの例は、スキーム1〜7に図示された構築と不適合かもしれないし、したがって、保護基(PG)の使用必要であろう。適切な保護基は、当業者に公知であり、たとえばアルコールを保護するためのベンジルまたはトリアルキルシリル基、ジオールを保護するケタール、その他を含む。これらの保護基は、標準的方法論に従って使用してもよい(たとえば、T. W. Greene, P. G. M. Wuts, Protective Groups のOrganic Synthesis, 3rdEdition, Wiley New York, 1991; P. J. Kocienski, Protecting Groups, Thieme Stuttgart, 1994)。ここでの説明の目的について、このような保護基が、必要に応じて適当であることが仮定されるだろう。
【0059】
Aが-CO-CH=CH-を表す場合、式(I)の化合物は、下記のスキーム1に示すようにKOtBu、NaOMe、NaOEt、NaOH、KOH、NaHMDS、LDAまたはLiHMDSなどの塩基の存在下において構造2の化合物を構造3の化合物と反応することによって製造してもよい。Aが-CO-CH2-CH2-を表す式(I)の化合物は、Aが-CO-CH=CH-を表す式(I)の化合物を、Pd/C、Pt/C、PtO2、その他などの触媒の存在下において、EtOH、MeOH、THF、その他などの溶媒中で水素と反応することによって製造してもよい。構造2の化合物は、Et2O、THF、ジオキサンなどの溶媒中で、-20〜50℃の間の温度にて、構造1の化合物をMeLiで処理することによって製造してもよい。
【0060】
【化14】


スキーム1:Aが-CO-CH=CH-または-CO-CH2-CH2-を表す式(I)の化合物の合成
【0061】
([1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-ピリジン誘導体を表す式(I)の化合物は、下記のスキーム2に示すように、THF、ジオキサン、キシレン、トルエン、ベンゼン、ピリジン、DMF、ジクロロメタン、その他などの溶媒中で、室温、高温にて、またはマイクロ波照射を使用して、酸(たとえば、TFA、酢酸、HCl、その他)、塩基(たとえば、NaH、NaOAc、Na2CO3、K2CO3、DBU、TEA、その他)、テトラアルキルアンモニウム塩または水除去薬(たとえば、Burgess試薬、SOCl2、POCl3、PCl5、P4O10、モレキュラーシーブ、BF3その他)などの補助剤の有無において、構造4の化合物を反応することによって製造される(Lit:たとえば、C.T. Brain, J.M. Paul, Y Loong, P.J. Oakley, Tetrahedron Lett. 40 (1999) 3275-3278; F. Bentiss, M. Lagrenee, D. Barbry, Synthetic Comm. 31 (2001) 935-938; V.K. Tandon, R.B. Chhor, Synthetic Comm. 31 (2001) 1727-1732)。構造4の化合物は、DMF、THF、DCMその他などの溶媒中で、TBTU、DCC、EDC/HOBt、HBTU、CDI、PyBOP、その他などの1つまたは複数のカップリング剤の有無において、およびTEA、DIPEA、NaH、K2CO3、その他などの塩基の有無において、構造1の化合物を構造5の化合物と反応することによって製造してもよい(Lit: たとえば、A. Hamze, J.-F. Hernandez, P. Fulcrand, J. Martinez, J. Org. Chem. 68 (2003) 7316-7321)。あるいは、構造4の化合物は、上記方法を使用して構造6の化合物を構造7の化合物と反応することによって製造してもよい。
【0062】
【化15】


スキーム2:([1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-ピリジン誘導体を表す式(I)の化合物の合成。
【0063】
([1,2,4]オキサジアゾリル)-ピリジン誘導体を表す式(I)の化合物は、スキーム3に示したように、構造8または構造9の化合物をそれぞれ、キシレン、トルエン、ベンゼン、ピリジン、DMF、DCM、その他などの溶媒中で、室温、高温またはマイクロ波照射を使用して、酸(たとえばTFA、酢酸、HCl、その他)、塩基(たとえばNaH、NaOAc、Na2CO3、K2CO3、TEA、その他)、テトラアルキルアンモニウム塩または水除去薬(たとえば、塩化オキサリル、カルボン酸無水物、POCl3、PCl5、P4O10、モレキュラーシーブ、その他)などの補助剤の有無において反応することによって製造される(Lit: たとえば、A. R. Gangloff, J. Litvak, E. J. Shelton, D. Sperandio, V. R. Wang, K. D. Rice, Tetrahedron Lett. 42 (2001), 1441-1443; T. Suzuki, K. Iwaoka, N. Imanishi, Y. Nagakura, K. Miyta, H. Nakahara, M. Ohta, T. Mase, Chem. Pharm. Bull. 47 (1999), 120-122; R. F. Poulain, A. L. Tartar, B. P. Deprez, Tetrahedron Lett. 42 (2001), 1495-1498; R. M. Srivastava, F. J. S. Oliveira, D. S. Machado, R. M. Souto-Maior, Synthetic Commun. 29 (1999), 1437-1450; E. O. John, J. M. Shreeve, Inorganic Chemistry27 (1988), 3100-3104; B. Kaboudin,K. Navaee, Heterocycles60 (2003), 2287-2292)。構造8の化合物は、前述のようにTBTUなどのカップリング剤を使用して構造1の化合物を構造10の化合物と反応することによって製造してもよい。構造9の化合物は、上記の通りにTBTUなどのカップリング剤を使用して、構造11の化合物を構造7の化合物と反応することによって製造してもよい。
【0064】
【化16】


スキーム3:([1,2,4]オキサジアゾリル)-ピリジン誘導体を表す式(I)の化合物の合成。
【0065】
上記スキーム1〜3に使用されるチオフェン中間体は、下記のスキーム4に示すように合成される。構造6の化合物は、構造1のチオフェンカルボン酸からEDC/HOBt、TBTU、SOCl2または同様の物などの酸活性化薬剤およびヒドラジンで処理することによって製造される。ヒドラジンは、ヒドラジンカルボン酸tert.-ブチルエステルまたはヒドラジンカルボン酸ベンジルエステルの形態で保護することができ、保護基は、第2の工程において当該技術分野において周知の方法によって除去されることが想定される。構造11の化合物は、MeOH、EtOH、ピリジン、その他などの溶媒中で、Na2CO3、K2CO3、TEA、その他などの塩基の有無において、構造12のシアノチオフェンをヒドロキシルアミンまたはその塩の1つと反応することによって製造してもよい(Lit:例えばT. Suzuki, K. Iwaoka, N. Imanishi, Y. Nagakura, K. Miyta, H. Nakahara, M. Ohta, T. Mase, Chem. Pharm. Bull. 47 (1999), 120-122; J. Cui, D. Crich, D. Wink, M. Lam, A. L. Rheingold, D. A. Case, W. T. Fu, Y. Zhou, M. Rao, A. J. Olson, M. E. Johnson, Bioorg. Med. Chem. 11(2003), 3379-3392; R. Miller, F. Lang, Z. J. Song, D. Zewge, WO 2004/035538 (Merck & Co., Inc., USA); B. Kaboudin, K. Navaee, Heterocycles 60(2003), 2287-2292)。構造12のシアノチオフェンは、構造1のチオフェンカルボン酸から3工程の順序で製造することができる。第1の工程において、構造1のチオフェンカルボン酸のEDC/HOBt、TBTU、SOCl2またはその他などの酸活性化薬での処理、および続くアンモニアでの処理によって、チオフェンカルボン酸酸アミド得てもよい。構造12のシアノチオフェンは、DCMなどの溶媒中で、TFA無水物およびピリジンなどの薬剤を使用して、脱水によってチオフェンカルボン酸アミドから製造することができる。
【0066】
【化17】


スキーム4:チオフェン中間体の合成。
【0067】
構造1のチオフェンカルボン酸は、下記のスキーム5に示したように合成される。構造1の化合物は、水、EtOH、MeOH、THF、その他またはこれらの混合物などの溶媒において、構造13の化合物をNaOH水溶液、LiOH水溶液、KOH水溶液その他などの塩基水溶液またはHCl、TFA、その他など酸水溶液で反応することによって製造してもよい。
【0068】
構造13の化合物は、構造14の化合物または構造15の化合物は、MeOH、EtOH、THF、DMF、その他などの溶媒中で、室温にて、または好ましくは高温にて、NaOMeNaOEt、KOtBu、DBU、その他またはこれらの混合物などの非水溶性塩基で処理することによって製造される。構造14の化合物は、NaH、NaOEt、NaOMe、KOtBu、その他などの塩基の存在下において、THF、ジオキサン、DMF、EtOH、MeOH、その他またはこれらの混合物中で、構造16の化合物を2-メルカプト酢酸エステルで処理することによって製造される。類似して、構造15の化合物は、前述のように構造19の化合物を2-メルカプト酢酸エステルで処理することによって製造される。加えて、構造1の化合物は、また、上記の反応順序に従って、構造16の化合物または構造19の化合物から開始して、ワンポット3工程手順で製造してもよい。構造12のニトリルは、2-メルカプトアセトニトリルをS-アセチルメルカプトアセトニトリルからインサイチューで製造した2-メルカプト酢酸エステルと置換することにより、構造16の化合物または構造19の化合物から類似の方法によって製造してもよい(Lit:例えばW.-Y. Ren, K.V.B. Rao, R.S.Klein, J. Heterocyclic Chem. 23 (1986), 1757-1763)。
【0069】
【化18】


スキーム5:構造1の化合物の合成。
【0070】
構造16の化合物は、DCM、CHCl3、THF、その他などの溶媒中で、構造17の化合物を塩化オキサリルなどの塩素化剤と反応することによって製造される(Lit. たとえば、R. E. Mewshaw, Richard E. Tetrahedron Lett. 30(1989), 3753-3756; F. A. Lakhvich, T. S. Khlebnikova, A. A. Akhrem, Zhurnal Organicheskoi Khimii 25(1989), 2541-2549)。構造17の化合物は、K-tert.ブチルラート、NaOMe、NaH、LDA、その他などの塩基の存在下において、THF、トルエン、EtOHその他などの溶媒中で、0〜60℃の間の温度にて、構造18の化合物をギ酸エチルもしくはギ酸メチル、酢酸メチルもしくは酢酸エチル、プロピオン酸メチルもしくはプロピオン酸エチル、クロロホルメート、塩化アセチル、その他などの適切なアシル化剤とアシル化することによって製造してもよい(Lit. たとえば、Ch. Kashima, S. Shibata, H. Yokoyama, T. Nishio, Journal of Heterocyclic Chemistry40 (2003), 773-782; I. Yavari, Issa; M. Bayat, Tetrahedron 59 (2003), 2001-2005; J. P. Konopelski, J. Lin, P. J. Wenzel, H. Deng, G. I. Elliott, B. S. Gerstenberger, Organic Letters 4 (2002) 4121-4124; C. Wiles, P. Watts, S. J. Haswell, E. Pombo-Villar, Tetrahedron Letters 43 (2002), 2945-2948; R. Faure, A. Frideling, J.-P. Galy, I. Alkorta, J. Elguero, Heterocycles 57(2002) 307-316; via imine: M. Hammadi, D. Villemin, Synthetic Communications 26(1996) 2901-2904)。構造18の化合物は、市販されているか、または当業者に公知の手順に従った製造される(Lit.たとえば、M. E. Flaugh, T. A. Crowell, D. S. Farlow, Journal of Organic Chemistry 45 (1980) 5399-5400; A. M. Badger, M. J. Dimartino, C. K. Mirabelli, E. N. Cheeseman, J. W. Dorman, D. H. Picker, D. A. Schwartz, Eur. Pat. Appl. EP 310321 A2 (1989); N. R. Natale, R. O. Hutchins, Organic Preparations and Procedures International 9 (1977), 103-108; L. M. Rice, B. S. Sheth, J. W. Wheeler, Journal of Heterocyclic Chemistry 10 (1973) 731-735)。
【0071】
構造19の化合物は、文献に示した手順に従って(+)-3-カレンから開始して製造してもよい(W. Cocker, D. H. Grayson, Tetrahedron Lett. 51 (1969), 4451-4452; S. Lochynski, B. Jarosz, M. Walkowicz, K. Piatkowski, J. Prakt. Chem. (Leipzig) 330 (1988), 284-288; M. Walkowicz, H. Kuczynsky, C. Walkowicz, Roczniki Chemii Ann. Soc. Chim. Polonorum41 (1967), 927-937; H. Kuczynski, M. Walkowicz, C. Walkowicz, K. Nowak, I. Z. Siemion, Roczniki Chemii Ann. Soc. Chim. Polonorum, 38 (1964), 1625-1633; A.V. Pol, V. G. Naik, H. R. Sonawane, Ind. J. Chem. Sect. B, 19 (1980) 603-604; S. A. Popov, A. Yu. Denisov, Yu. V. Gatilov, I. Yu. Bagryanskaya and A. V. Tkachev, Tetrahedron Asymmetry 5 (1994), 479-489; S. A. Popov, A. V. Tkachev, Synthetic Commun. 31 (2001), 233-243)。
【0072】
構造1の化合物は、構造19(2-[1-クロロ-エチリデン]-6,6-ジメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの(1S,5R)-異性体)の純粋な(1S,5R)-立体異性体から始まって製造してもよいこれは、文献に示した手順に従って市販の(+)-3-カレンから開始して製造してもよい(たとえば、S. A. Popov, A. Yu. Denisov, Yu. V. Gatilov, I. Yu. Bagryanskaya and A. V. Tkachev, Tetrahedron Asymmetry 5 (1994), 479-489; S. A. Popov, A. V. Tkachev, Synthetic Commun. 31 (2001), 233-243)。
【0073】
【化19】


スキーム6:R5は、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基を表す構造1の化合物の合成。
【0074】
また、R5がメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基を表す構造1の化合物は、R5が水素を表す構造1の化合物から、THF、Et2O、その他などの溶媒中のn-BuLi、tert.-BuLi、LDAなどの過剰な強塩基で、続いて適切なアルキル化剤(例えば、メチル-、エチル-、ヨウ化プロピル)と後者の化合物を反応することによって、スキーム6に従って製造してもよい(Lit.、例えばW.-D. Liu, C.-C. Chi, I.-F. Pai, A.-T. Wu, W.-S. Chung, Journal of Organic Chemistry, 67 (2002) 9267-9275; D. W. Knight, A. P. Nott, Tetrahedron Letters 21 (1980) 5051-5054; R. Raap, Canadian Journal of Chemistry 49 (1971) 2155-2157)。
【0075】
上記のスキーム1〜3に使用したピリジン中間体は、下記のスキーム7に示したように合成される。構造7のイソニコチン酸は、市販されているか、または当該技術分野において周知の方法によって製造される。構造7の酸は、DCMまたはTHFなどの非プロトン溶媒中で、低温にて酸をDIBAlHなどの還元剤と反応することなど、当該技術分野において周知の方法によって、構造3のピリジン-4-カルバルデヒドに還元させることができる。あるいは、構造3のピリジン-4-カルバルデヒドは、DCMまたはTHFなどの非プロトン溶媒中における、THFまたはLiAlH4中のBH3などの周知の試薬によって、構造7の酸の4-ヒドロキシメチル-ピリジンへの還元によって、二段階の順序で得ることができる。4-ヒドロキシメチル-ピリジンは、DCMまたはCHCl3などの溶媒中におけるMnO2での処理、Swern酸化またはDess-Martin酸化などの、当該技術分野において周知の方法により、構造3のピリジン-4-カルバルデヒドに酸化させることができる。
【0076】
【化20】


スキーム7:ピリジン中間体の合成。
【0077】
構造5のイソニコチン酸ヒドラジドは、構造3のイソニコチン酸から、ヒドラジンでの処理によって、スキーム4に記載されているものと類似の方法により、製造される。ヒドラジンは、ヒドラジンカルボン酸tert.-ブチルエステルまたはヒドラジンカルボン酸ベンジルエステルの形態で保護することができ、保護基は、第2の工程において当該技術分野において周知の方法によって除去されることが想定される。構造9のヒドロキシアミジンは、スキーム4に記載されているものと類似の方法により、構造20のイソニコチノニトリルをヒドロキシルアミンまたはその塩の1つと反応することによって製造してもよい。構造20のイソニコチノニトリルは、市販されているか、または当該技術分野において周知である。これらは、DCMなどの溶媒中において、TFA無水物およびピリジンなどの薬剤を使用するイソニコチン酸アミドの脱水などの当該技術分野において周知の方法によって製造することができる。イソニコチン酸アミドは、EDC/HOBt、TBTU、SOCl2またはその他などの酸活性化薬での構造7のイソニコチン酸の処理、続くアンモニアでの処理によって得てもよい。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明を例証するが、これらの範囲を全く限定しない。
【0079】
すべての温度は、摂氏度で述べてある。化合物は、1H-NMR(300MHz)または13C-NMR(75MHz)によって(Varian Oxford;化学シフトは、使用する溶媒と関連して、ppmで示してある;多重度:s =一重項、d =二重項、t =三重項;p =四重項、hex= 五重項、hept= 六重項、m =多重項、br =広域、結合定数は、Hzで示してある);LC-MSによって(HP 1100 Binary PumpおよびDADを備えたFinnigan Navigator、カラム:4.6×50 mm、Zorbax SB-AQ、5μm、120Å、勾配:5〜95%のアセトニトリルの水溶液、1分、0.04%のトリフルオロ酢酸を含む、流速: 4.5 mL/分)、tRは、分で示してある;TLCによって(MerckからのTLC-プレート、Silica gel 60 F254);または融点によって特徴付けてある。化合物は、調整用HPLCによって(カラム:X-terra RP18、50×19 mm、5mm、勾配:0.5%のギ酸を含む10〜95%のアセトニトリルの水溶液)またはMPLCによって(Labomatic MD-80-100ポンプ、Linear UVIS-201検出器、カラム:350×18 mm、Labogel-RP-18-5s-100、勾配:10%のメタノール水溶液〜100%のメタノール)精製される。
【0080】
略語(本明細書で使用したもの)
abs. 無水
aq. 水溶液
atm 大気の
Bp 沸点
BSA ウシ血清アルブミン
BuLi ブチルリチウム
Burgess試薬 (メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド
CC カラムクロマトグラフィー
CDI 1,1'-カルボニルジイミダゾール
CHO チャイニーズハムスター卵巣
d 日
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIBAlH ジイソブチルアルミニウム水酸化物
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
EDC N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチル-カルボジイミド
eq. 等量
Et エチル
Et2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
FC フラッシュクロマトグラフィー
Fe(acac)3 鉄(III)-アセチルアセトナート
GDP グアノシン二リン酸
GTP グアノシン三リン酸
h 時間
HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,2,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト
HEPES N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HV 高真空状態
KOtBu カリウム-tert.-ブトキシド
LC-MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド
Me メチル
MeLi メチルリチウム
MeOH メタノール
min 分
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
NaHMDS ナトリウムヘキサメチルジシラジド
NaOAc 酢酸ナトリウム
NaOEt エタノール酸ナトリウム
NaOMe メタノール酸ナトリウム
NMP N-メチル-2-ピロリドン
Pd/C 活性炭上のパラジウム
Pt/C 活性炭上の白金
PyBOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート
RP 逆相
rt 室温
sat. 飽和
S1P スフィンゴシン1-リン酸
TBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,2,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
tR 保持時間
UV 紫外線。
【0081】
中間体の製造
実施例A
(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸
a)NaH(7.0g、鉱油中の60%分散、175mmol)をペンタン(100mL)で洗浄後、THF(400mL)に懸濁させる。懸濁液を0℃にて冷却して、エチル2-メルカプトアセテート(12.62g、105mmol)のTHF(50mL)溶液を20分の期間にわたって添加する。反応の温度を5〜10℃にて維持する。添加終了後、冷却を除去して、撹拌を30分続ける。(1S、5R)-2-(1-クロロ-(E)-エチリデン)-6,6-ジメチル-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(S. A. Popov, A. Yu. Denisov, Yu. V. Gatilov, I. Yu. Bagryanskaya and A. V. Tkachev, Tetrahedron Asymmetry 5 (1994), 479-489; S. A. Popov, A. V. Tkachev; Synthetic Commun. 31 (2001), 233-243)(12.93g、70mmol)のTHF(50mL)溶液を懸濁液に添加し、生じる混合物を室温にて1.5時間撹拌する。混合物を濾過して、濾液を約100mLに濃縮して、1M NaOH水溶液(100mL)で希釈し、DCM(150mL)で2回抽出する。抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、蒸発させて、褐色油として粗製{1-[(1S,5R)-6,6-ジメチル-3-オキソ-ビシクロ[3.1.0]ヘキシリデン]-エチルスルファニル}-酢酸エチルエステルのE/Z混合物(18.2g)を与える。LC-MS: tR = 1.00 min, [M+1]+ = 269.13. 1H NMR (CDCl3): δ 4.22 (q, J = 7.0 Hz, 2H 両異性体), 3.67 (d, J = 15.8 Hz, 1H 主要異性体), 3.63 (d, J = 15.8 Hz, 1H 微量異性体), 3.58 (d, J = 15.8 Hz, 1H 主要異性体), 3.54 (d, J = 15.8 Hz, 1H, 微量異性体), 2.67 (dd, J = 6.4, 19.4 Hz, 1 H 微量異性体), 2.60 (dd, J = 7.0, 19.4 Hz, 1H 主要異性体), 2.58 (s, 3H 微量異性体), 2.52 (s, 3H 主要異性体), 2.36-2.32 (m, 1H 主要異性体), 2.30-2.26 (m, 1H 主要異性体, 1H 微量異性体), 2.18 (d, J = 7.0 Hz, 1 H 微量異性体), 2.00 (d, J = 7.0 Hz, 1 H 主要異性体), 1.95 (d, J = 7.6 Hz, 1H 微量異性体), 1.30 (t, J = 7.0 Hz, 3H 主要異性体), 1.28 (t, J = 7.0 Hz, 3H 微量異性体), 1.18 (s, 3H 主要異性体), 1.15 (s, 3H 微量異性体), 0.89 (s, 3H 微量異性体), 0.85 (s, 3H 主要異性体)。
【0082】
b)Na(1.70g、74.8mmol)のEtOH無水物(75mL)溶液を60℃にて加熱後、これを粗製{1-[(1S,5R)-6,6-ジメチル-3-オキソ-ビシクロ[3.1.0]ヘキシ-(2Z)-イリデン]-エチルスルファニル}-酢酸エチルエステル(18.2g、68.0mmol)のEtOH無水物(200mL)溶液で処理する。混合物を75℃にて20分間撹拌し、次いで室温に冷却させ、0.5M NaOH水溶液(500mL)で希釈し、DCM(450 + 200mL)で抽出する。合わせた抽出物をNa2SO4上で乾燥させて、濾過して、溶媒を真空中で除去する。これにより、87%の純度(LC-MS、UV 280nm)の黄色の油として粗製(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸エチルエステル(10.5g)を得る。LC-MS: tR = 1.11 min, [M+1]+ = 251.14; 1H NMR (CDCl3): δ 4.26 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 2.95 (dp, Jd = 18.8 Hz, Jp = 3.5 Hz, 1H), 2.79 (d, J = 19.3, 1H), 2.37 (s, 3H), 1.89-1.84 (m, 2H), 1.34 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.12 (s, 3H), 0.72 (s, 3H)。
【0083】
c)粗製(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸エチルエステル(10.3g、41.2mmol)のEtOH(200ml)溶液に2N LiOH水溶液(300mL)を添加する。生じる混合物を70℃にて1時間撹拌して、室温に冷却して、水(250mL)で希釈する。水溶液をDCM(125mL)で3回抽出後、クエン酸を添加することによってこれをpH 3に酸性化させる。酸性化された溶液をDCM(2×250 mL)で2回抽出して、これらの第2の抽出物を合わせて、Na2SO4上で乾燥させて、濾過して、蒸発させ、1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸(7.0g)を得る。LC-MS: tR = 0.95 min, [M+1]+ = 223.00. 1H NMR (CDCl3): δ 3.04-2.92 (m, 1H), 2.83 (d, J = 19.3 Hz, 1H), 2.39 (s, 3H), 1.91-1.87 (m, 2H), 1.13 (s, 3H), 0.73 (s, 3H)。
【0084】
実施例B
5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸
a)4,4-ジメチル-シクロヘキセ-2-エノン(50g、403mmol)のEA(230mL)溶液に、(2.5g、10%Pd)のEA中の懸濁液を添加する。懸濁液を1barのH2下で室温にて2時間撹拌する。触媒を濾過して、濾液の溶媒を慎重に蒸発させ、無色の油として4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(50g)を得て、これをゆっくりと結晶化させる;1H NMR (CDCl3): δ 2.34 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 1.66 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 1.09 (s, 6H)。
【0085】
b)K.tert.-ブチラート(24.5g、109mmol、50%のtert.-ブタノール溶液)のTHF(700mL)中の氷冷溶液に、エチルホルマート(120mL、123mmol)を添加する。混合物を30分間室温にて撹拌後、4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(50g、396mmol)のエチルホルマート(50mL)およびTHF(70mL)溶液を20分の期間にわたって添加する。添加完了直後に、撹拌を15〜20℃にて30分間続ける。オレンジ懸濁液を10%のクエン酸水溶液(200mL)および鹹水(200mL)に注ぎ、EA(2×200mL)で抽出する。有機抽出物を0.2N NaOH水溶液および鹹水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、乾燥まで蒸発させ、黄色の油として5,5-ジメチル-2-オキソ-シクロヘキサンカルバルデヒド(52g)を得るLC-MS: tR = 0.89 min, [M+1+CH3CN]+ = 196.15。
【0086】
c)5,5-ジメチル-2-オキソ-シクロヘキサンカルバルデヒド(51g、331mmol)のクロロホルム(250mL)溶液に、塩化オキサリル(40mL、465mmol)を迅速に添加する。3〜4分間撹拌後、氷、続いて2N NaOH(100mL)水溶液を添加する。有機相を分離して、水相をクロロホルムでもう1回抽出する。合わせた有機抽出物を水で洗浄して、Na2SO4上で乾燥させる。溶媒を真空中で除去し、褐色油として2-クロロメチレン-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(50g)を得る;LC-MS: tR = 0.96 min。
【0087】
d)新たに製造したナトリウム(21g、875mmol)のエタノール(500mL)溶液の一部(300mL)に、メルカプト酢酸エチルエステル(50mL)を添加する。生じる溶液を2-クロロメチレン-4,4-ジメチルシクロヘキサノン(50g、290mmol)のTHF(170mL)溶液に10分の期間にわたって添加する。混合物を温める(50℃)。添加完了直後に、新たに製造したナトリウムのエタノール(200mL)の溶液の残りの部分を反応混合物に添加する。混合物を15分間室温にて撹拌後、1N LiOH溶液(300mL)水溶液を添加する。溶液を3時間還流し、次いで室温にて16時間撹拌する。THFおよびエタノールを減圧下で除去して、残りの暗い溶液をヘプタン/EA 3:1(2×200mL)で抽出する。水相をクエン酸(30g)および2N HCl(200mL)水溶液を添加することによって酸性化し、次いでEAで3回抽出する。合わせた有機抽出物を飽和水溶液で3回洗浄する。NaHCO3溶液をNa2SO4上で乾燥させて、蒸発させる。生じる濃褐色の油を60℃にてアセトニトリルに溶解して、5℃にて結晶化させる。結晶を収集し、アセトニトリルで洗浄して、乾燥させ、わずかに灰色の粉末として5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(31g)を得る;LC-MS: tR = 0.95 min, [M+1+CH3CN]+ = 252.18; 1H NMR (CDCl3): δ 7.15 (s, 1H), 3.05 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.47 (s, 2H), 1.58 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 0.97 (s, 6H)。
【0088】
実施例C
3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸
5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(960mg、4.57mmol)のTHF(19mL)中の冷却溶液(-78℃)に、tert.-ブチルリチウム(8mL、1.5Mのペンタン溶液)を添加する。混合物を-78℃にて10分間撹拌後、ヨウ化エチル(3.80g、24.37mmol)を添加する。反応混合物を-78℃にて3時間撹拌する。水/メタノール1:1(8mL)、続いて10%のクエン酸水溶液を添加して、混合物をEAで抽出する。合わせた有機抽出物を鹹水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、蒸発させる。残りの固体をアセトニトリル(6mL)に懸濁し、60℃まで加熱し、室温に冷却し、濾過して、乾燥させ、わずかにベージュの固体として3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(640mg)を得る;LC-MS: tR = 1.01 min, [M+1+CH3CN] = 280.10。
【0089】
実施例D
5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸
a)2-エチルブチルアルデヒド(12.3mL、100mmol)、メチルビニルケトン(5.6mL、67.3mmol)およびH2SO4(0.07mL)の混合物を40℃にて一晩撹拌する。メチルビニルケトン(5.6mL、67.3mmol)およびH2SO4のさらなる部分を添加して、40℃にて2日間撹拌を続ける。黄色溶液をクロロホルムで希釈して、溶媒を減圧下で再び除去する。粗生成物を減圧蒸留によって精製し、無色の油として4,4-ジエチル-2-シクロヘキセ-エノン(10.7g)を得る;Kp11 mbar = 88°C; 1H NMR (CDCl3): δ 6.71 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.42 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.84 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.57-1.40 (m, 4H), 0.87 (t, J = 7.6 Hz, 6H)。
【0090】
b)4,4-ジエチル-シクロヘキセ-2-エノン(10.7g、70.5mmol)のEA(400mL)溶液をPd/C(1.0g、10%のPd)で処理する。懸濁液を1barのH2下で、室温にて24時間撹拌する。混合物を濾過して、濾液を蒸発させ、無色の固体として4,4-ジエチル-シクロヘキサノン(11.7g)を得る;1H NMR (CD3OD): δ 2.32 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 1.66 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 1.48 (q, J = 7.6 Hz, 4H), 0.88 (t, J = 7.6 Hz, 6H)。
【0091】
c)K tert.-ブチラート(9.19g、81.9mmol)のTHF(250mL)懸濁液に、エチルホルマート(24.8mL、260mmol)をゆっくり添加する。わずかに濁った混合物に、4,4-ジエチル-シクロヘキサノン(11.5g、74.4mmol)のギ酸エチル(14mL、150mmol)溶液を添加する。混合物を温めて、氷浴で冷却する。暗赤色〜茶色の懸濁液を室温にて18時間撹拌後、10%のクエン酸水溶液を添加する。混合物をDCMで抽出して、有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させて、蒸発させる。褐色油をクロロホルム(150mL)に溶解して、オキサキシロクロライド(11.3g、89.1mmol)で処理する。気体発生が止まった後、混合物(mixute)を室温にて1時間撹拌する。暗い溶液を2N NaOH水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、蒸発させて、黒い油(11.2g)を残す。この油のTHF(60mL)溶液をNaOEt(11.4g、167mmol)の冷却溶液(3℃)およびメルカプト酢酸エチルエステル(10.0g、83.6mmol)のエタノール(300mL)溶液に添加する。反応混合物を2時間室温にて撹拌後、NaOEt(5.69g、83.6mmol)のさらなる部分を添加する。撹拌を室温にて16時間、および60℃にて2時間続ける。混合物を2N HCl水溶液で希釈し、DCMで2回抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して、溶媒を真空中で除去し、褐色油として粗製5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸エチルエステル(14.2g)を得る;LC-MS: tR = 1.16 min。
【0092】
d)5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸エチルエステル(14.2g、53.38mmol)のエタノール(250mL)および2N LiOH水溶液(250mL)中の溶液を65℃にて18時間撹拌する。混合物を1N NaOH水溶液で希釈し、ジエチルエーテルで抽出する。水相を2N HCl水溶液でpH 2に酸性化し、DCMで抽出する。合わせたDCM抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去する。粗生成物(11.3g)をRp-C18シリカゲルでのMPLCによって精製し、褐色油として5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(2.93g)を得る;LC-MS: tR = 1.01 min, [M+1+CH3CN] = 280.19; 1H NMR (CDCl3): δ 7.12 (s, 1H), 2.99 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.46 (s, 2H), 1.59 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.40-1.20 (m, 4H), 0.84-0.74 (m, 6H)。
【0093】
実施例E
5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸
5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸は、実施例Cに類似して、5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸から、tert.-BuLi、続くヨウ化メチルでの処理によって製造される;LC-MS:tR =1.03min、[M+1+CH3CN]=294.27。
【0094】
実施例F
3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸
3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸は、実施例Cに類似して、5,5-ジエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸から、tert.-BuLi、続くヨウ化メチルでの処理によって製造される;LC-MS:tR =1.07min、[M+1+CH3CN]=308.14。
【0095】
実施例G
(1aS,5aR)-1-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-エタノン
(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸(220mg、1.00mmol)のEt2O(10mL)溶液に、MeLi(1.6M、1.4mL、2.10mmol)のEt2O溶液を、反応混合物が穏やかに還流するようなペースで添加する。添加終了後、撹拌を30分間室温にて続ける。反応を、飽和NH4Cl水溶液(3mL)を添加することによってクエンチする。有機層を分離して、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、淡黄色の油とし(1aS,5aR)-1-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-エタノン(165mg)を得る;LC-MS: tR = 1.03 min, [M+1]+ = 221.20; 1H NMR (CDCl3): δ 3.00 (ddd, J = 1.8, 4.7, 18.8 Hz, 1H), 2.80 (d, J = 18.8 Hz, 1H), 2.38 (s, 6H), 1.93-1.90 (m, 2H), 1.14 (s, 3H), 0.74 (s, 3H)。
【0096】
実施例H
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン
3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(2.10g、8.81mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、メチルリチウム(11mL、1.6Mのジエチルエーテル溶液)の溶液を室温にて添加する。淡黄色の溶液を室温にて15分間撹拌後、メチルリチウム(2mL)のさらなる部分を添加する。撹拌を15分間続け、メチルリチウム(1mL)のさらなる部分を添加して、混合物を室温にて15分間再び撹拌する。反応を水でクエンチする。有機層を分離し、水でもう1回洗浄して、MgSO4上で乾燥させて、蒸発させる。粗生成物をヘプタン:EA 7:3で溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、淡黄色の固体として1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(1.65g)を得る;LC-MS: tR = 1.00 min, [M+1] = 237.15; 1H NMR (CDCl3): δ 3.03 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.73 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.31 (s, 2H), 1.55 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.97 (s, 6H)。
【0097】
実施例I
1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸ヒドラジド
a)(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸(2.2g、9.9mmol)、ヒドラジンカルボン酸ベンジルエステル(3.38g、20.4mmol)およびDIPEA(2mL)のDCM(50mL)溶液に、TBTU(3.2g、10mmol)を添加する。混合物を室温にて20時間撹拌する。混合物をEt2O(200mL)で希釈して、1M NaOH水溶液(3×50mL)および1M HCl水溶液(2×50mL)で抽出する。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させ粗製N'-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボニル)-ヒドラジンカルボン酸ベンジルエステルを得る;LC-MS:tR =1.01min、[M+1]+=371.25。
【0098】
b)残渣をMeOH(100ml)に溶解して、10%のPd-C(600mg)を添加する。混合物を大気圧(H2-バロン)にて6日間水素付加する。混合物を濾過して、蒸発させて、残渣を1M HCl水溶液(100mL)に吸収させ、Et2O(2×30mL)で抽出する。水相を塩基性化させ(33% KOH水溶液)、EA(5×50ml)で抽出する。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させて、乾燥させ、明るい黄褐色の泡として1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸ヒドラジドを得る;LC-MS: tR = 0.76 min, [M+1]+ = 237.20; 1H NMR (CD3OD): δ2.93 (dd, J = 18.5, 5.9 Hz, 1 H), 2.80 (s, 2 H), 2.77 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 2.33 (s, 3 H), 1.86-1.92 (m, 2 H), 1.10 (s, 3 H), 0.70 (s, 3 H)。
【0099】
実施例J
2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸
a)N,N-ジメチルホルムアミド-ジtert.ブチル-アセタール(19mL、80mmol)を乾燥トルエン(100mL)中の2-クロロ-6-メチル-イソニコチン酸(3.40g、19.8mmol)の熱い(65℃、フラスコ温度)懸濁液に、40分の間添加する。透明なオレンジ溶液を80℃にて48時間撹拌して、室温に冷却し、トルエン(100mL)で希釈する。溶液を水(2×40mL)、飽和NaHCO3水溶液(3×30mL)および飽和NaCl水溶液(25mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させる。残渣をFC(SiO2、DCM-MeOH)によって精製し、2-クロロ-6-メチル-イソニコチン酸tert-ブチルエステルを得る。
【0100】
b)エチルマグネシウムブロミド(エチルブロミド(392mg、3.6mmol)およびマグネシウム(83mg、3.4mmol)から新たに製造した)のEt2O(10ml)溶液を、冷却し(-40℃)かつ機械的に撹拌した2-クロロ-6-メチル-イソニコチン酸tert-ブチルエステル(0.76g、3.34mmol)Fe(acac)3(21.2mg、0.06mmol)およびNMP(0.6ml)のTHF(60ml)溶液に添加する。混合物を0.5時間の間室温に暖め、Et2O(150mL)で希釈して、KHSO4水溶液(1M、40mL)でクエンチする。相を分離して、水相をEt2O(2×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ、(MgSO4)、濾過して、蒸発させる。残渣を逆相MPLCによって精製し2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸tert-ブチルエステルを得る;LC-MS: tR = 0.67 min, [M+1]+ = 222.19; 1H NMR (CDCl3): δ 7.44 (s, 2 H), 2.83 (q, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.58 (s, 3 H), 1.59 (s, 9 H), 1.30 (t, J = 7.6 Hz, 3 H)。
【0101】
c)2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸tert-ブチルエステルのDCM(10ml)溶液をTFA(10ml)で処理し、混合物を室温にて0.5時間撹拌する。混合物を蒸発させて、残渣をHV下で乾燥させ、2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸を得る;LC-MS: tR = 0.28 min, [M+1]+ = 166.25。
【0102】
実施例K
2,6-ジエチル-イソニコチン酸
2,6-ジエチル-イソニコチン酸は、実施例Jに従って、2,6-ジクロロ-イソニコチン酸およびエチルマグネシウムブロミド(2当量)から合成される;LC-MS:tR =0.42min、[M+1]+=180.11。
【0103】
実施例L
2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルバルデヒド
a)2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸(2.73g、16.5mmol)のTHF(30mL)中の懸濁液を室温にて15時間ボランのTHF(1M、33.1mL)溶液で処理する。混合物を飽和Na2CO3水溶液(100mL)でクエンチし、CHCl3(5×50mL)で抽出する。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させて、粗製(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-メタノール(2.18g)を得る;LC-MS:tR =0.80min、[M+1]+=205.32.。
【0104】
b)粗製(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-メタノール(453.6mg、3mmol)のDCM(30mL)およびMnO2(2.6g、30mmol)溶液を添加する。混合物を室温にて15時間撹拌して、濾過して、蒸発させ(130mbar、45℃)、粗製2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルバルデヒド(0.48g)を得る;1H NMR (CDCl3): δ10.02 (s, 1 H), 7.37 (s, 2 H), 2.89 (q, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.64 (s, 3 H), 1.33 (t, J = 7.6 Hz, 3 H)。
【0105】
実施例M
2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸ヒドラジド
a)2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸(0.53g、3.2mmol)、ヒドラジンカルボン酸tert.-ブチルエステル(0.43g、3.2mmol)およびDIPEA(0.85mL)のDMF (10mL)溶液に、TBTU(1.23g、3.8mmol)を添加する。混合物を室温にて3時間撹拌する。混合物を1M NaOH水溶液(50mL)で希釈して、Et2O-EA(1:1、3×50mL)で抽出する。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させ、粗製N'-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルボニル)-ヒドラジンカルボン酸tert-ブチルエステルを得る。
【0106】
b)粗製N'-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルボニル)-ヒドラジンカルボン酸tert-ブチルエステルのジオキサン(10mL)溶液を、4M HClのジオキサン(4ml)溶液で6時間処理する。混合物を蒸発させて、残渣をMeOHに吸収させ、2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸ヒドラジドハイドロクロライドを白い泡としてEt2Oから沈殿させる;1H NMR (CD3OD): δ8.16 (s, 1 H), 8.14 (s, 1 H), 3.15 (q, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 1.46 (t, J = 7.6 Hz, 3 H)。
【0107】
実施例N
2-エチル-N-ヒドロキシ-6-メチル-イソニコチンアミジン
2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸ハイドロクロライド(1.85g、9.18mmol、実施例J)のDMF(90mL)溶液に、DIPEA(6.3mL、4.75g、36.7mmol)を添加する。混合物を0℃に冷却後、PyBOP(5.25g、10.1mmol)を添加する。撹拌を0℃にて15分間続け、次いでNH3(64mLの0.5Mジオキサン溶液)を添加する。撹拌を室温にて2時間続けた後、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をDCM(80mL)およびピリジン(4.5mL、4.39g、55.5mmol)に溶解し、続いてTFA無水物(6.32mL、9.39g、44.7mmol)を0℃にて添加する。混合物を室温にて2時間撹拌後に、これをDCMで希釈し、飽和Na2CO3水溶液で洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させて、濾過して、蒸発させる。粗生成物をヘプタンで溶出するシリカゲル:EA 4:1でのCCによって精製し、黄色の油として2-エチル-6-メチル-イソニコチノニトリル(0.675g)を得る;1H NMR (CDCl3): δ 1.33 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 2.61 (s, 3 H), 2.86 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 7.21 (s, 2 H)。
【0108】
b)0℃にて、KOtBu(1.81g、16.2mmol)をメタノール(25ml)に慎重に添加する。次いで、塩酸ヒドロキシルアミン(963mg、13.9mmol)をこの溶液に添加する。懸濁液を30分間撹拌後、2-エチル-6-メチル-イソニコチンoニトリル(675mg、4.62mmol)を添加する。混合物を1時間還流して、溶媒を蒸発させる。残渣を水に溶解して、EAで3回抽出する。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させて、濾過して、蒸発させて、HV下で乾燥させ、白色粉末として2-エチル-N-ヒドロキシ-6-メチル-イソニコチンアミジン(897mg)を得る、LC-MS:tR =0.31min、[M+1]+=180.32。
【0109】
最終生成物の製造
実施例1
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン
NaHMDSの溶液(2M THF(1.5mL)溶液)をTHF(25mL)で希釈して、-78℃にて冷却する。(1aS,5aR)-1-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-エタノン(328.3mg、1.5mmol)のTHF(2mL)溶液をゆっくり添加して、 混合物を0.5時間撹拌する。2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルバルデヒド(444.6mg、3mmol)のTHF(1mL)溶液をゆっくり添加する。混合物を-78℃にて1時間撹拌し、次いで-30℃に暖めて、1時間撹拌する。混合物を-78℃にて冷却して、1M NaH2PO4水溶液(10mL)でクエンチする。混合物をDCM(150mL)および水(100mL)で希釈して、1M NaOH水溶液で塩基性化する。相を分離して、有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させる。残渣をMPLC(SiO2、EA-ヘキサン)によって精製し、無色油状物として3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-(1aS,5aR)-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン(48mg)を得る;LC-MS:tR =0.89min、[M+1]+=352.36。
【0110】
加えて、3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-3-ヒドロキシ-1-(1aS,5aR)-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロパン-1-オン(165mg)も得られる。この材料を0℃にてメタンスルホニルクロリド(1当量)およびTEA(2当量)のDCM(13mL)溶液で処理する。混合物をDCM(50mL)で希釈して、飽和Na2CO3水溶液(30mL)で洗浄する。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させる。
残渣をMPLC(SiO2、ヘキサン-EA勾配)によって精製し、3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン(71mg)を得る;LC-MS:tR =0.89min、[M+1]+=352.36。
【0111】
実施例2
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロペノン
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロペノンは、実施例1に類似して、1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノンおよび2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルバルデヒドから製造される;LC-MS:tR =0.95min、[M+1]=368.33。
【0112】
実施例3
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロパン-1-オン
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-(1aS,5aR)-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン(154mg、0.44mmol)および10%の木炭上のPd(20mg)のMeOH (30mL)中の混合物を3barにて室温で水素付加する。混合物を蒸発させて、残渣をTLC(SiO2、EA)によって精製し、無色油状物として3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロパン-1-オン(16mg)を得る;LC-MS:tR =0.86min、[M+1]=354.32。
【0113】
実施例4
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロパン-1-オン
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロパン-1-オンは、実施例3に類似して、41-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロペノンから製造される;LC-MS: tR = 0.90 min, [M+1] = 370.38; 1H NMR (CD3OD): δ 6.97 (s, 2 H), 3.12 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 2.98 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.96 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.74 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.70 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.33 (s, 2 H), 2.44 (s, 3 H), 1.54 (t, J = 6.7 Hz, 2 H), 1.25 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.22 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.96 (s, 6 H)。
【0114】
実施例5
2-エチル-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン
a)2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸(87.9mg、0.53mmol)、1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸ヒドラジド(141.8mg、0.6mmol)、HOBt(100mg、0.74mmol)およびTEA(0.42mL)のDCM(5mL)溶液の混合物に、0℃にてEDC(200mg、0.78mmol)を添加する。混合物を15時間撹拌市、その時間の間に0℃から室温まで暖める。混合物をEA(50mL)でクエンチして、1M NaOH水溶液(2×10mL)で洗浄する。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させ、粗製2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸N'-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボニル)-ヒドラジド(350mg)を得る;LC-MS:tR =0.80min、[M+1]=384.34。
【0115】
b)粗製2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸N'-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボニル)-ヒドラジド(350mg、およそ0.5mmol)およびBurgess試薬(385mg、1.62mmol)のTHF (5mL)溶液を電子レンジにおいて3分間110℃にて温める。混合物をEA(10mL)で希釈して、飽和Na2CO3水溶液(2×5mL)で抽出する。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させ、粗生成物(50.9mg)を得て、HPLCによって精製して、明るい黄色粉末として2-エチル-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン(16mg)を得る;LC-MS:tR =0.91min、[M+1]=366.21。
【0116】
実施例6
2,6-ジエチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン
2,6-ジエチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジンは、実施例5に類似して、1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸ヒドラジドおよび2,6-ジエチル-イソニコチン酸から合成される;LC-MS:tR =0.96min、[M+1]=380.34。
【0117】
実施例7
2-クロロ-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン
2-クロロ-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジンは、実施例5に類似して、1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸ヒドラジドおよび2-クロロ-6-メチル-イソニコチン酸から合成される;LC-MS:tR =1.17min、[M+1]=374.22.。
【0118】
実施例8
2,6-ジメチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン
2-クロロ-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン(62.9mg、0.17mmol)、Fe(acac)3(6mg)およびNMP(20mg)のTHF (5mL)溶液に、ヨウ化メチルマグネシウムのTHF (3M、0.51mmol)溶液を添加し、混合物を室温にて15時間撹拌する。混合物を水(30mL)でクエンチして、Et2O(2×50mL)で抽出する。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させる。残渣をTLC(SiO2、EA-ヘキサン)によって精製し、2,6-ジメチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン(28mg)を得る;LC-MS:tR =0.88min、[M+1]=352.54。
【0119】
実施例9
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン
a)3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(114mg、0.48mmol)、2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸ヒドラジドハイドロクロライド(120.5mg、0.48mmol)およびDIPEA(0.49mL)のDMF (8mL)溶液に、TBTU(190mg、0.59mmol)を添加する。混合物を室温にて15時間撹拌する。混合物をEt2O(50mL)で希釈して、1M NaOH水溶液(2×20mL)で抽出する。水性抽出物をEA(2×20mL)で洗浄して、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させて、粗製3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸N'-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルボニル)-ヒドラジドを得る;LC-MS:tR =0.83min、[M+1]=400.31。
【0120】
b)粗製3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸N'-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-カルボニル)-ヒドラジド(289mg、ca。0.48mmol)およびBurgess試薬(367mg、1.6mmol)のTHF(5mL)中の混合物を電子レンジにおいて3分、110℃にて加熱する。混合物をEA(50mL)で希釈して、1M NaOH水溶液(2×10mL)で抽出する。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させる。残渣をHPLCによって精製し、2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン(53mg)を得る;LC-MS:tR =0.96min、[M+1]=382.26。
【0121】
実施例10
4-[5-(5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2-エチル-6-メチル-ピリジン
4-[5-(5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2-エチル-6-メチル-ピリジンは、実施例9に類似して、5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸および2-エチル-6-メチル-イソニコチン酸ヒドラジドハイドロクロライドから合成される;LC-MS:tR =0.98min、[M+1]=396.39。
【0122】
実施例11
4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2,6-ジメチル-ピリジン
4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2,6-ジメチル-ピリジンは、実施例9に類似して、3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸および2,6-ジメチル-イソニコチン酸ヒドラジドハイドロクロライドから合成される;LC-MS: tR = 0.93 min, [M+1] = 368.44; 1H NMR (CD3OD): δ 7.66 (s, 2 H), 3.09 (t, J = 6.7 Hz, 2 H), 2.80 (q, J = 7.6 Hz, 2 H), 2.60 (s, 6 H), 2.39 (s, 2 H), 1.67 (t, J = 6.7 Hz, 2 H), 1.29 (t, J = 7.6 Hz, 3 H), 1.03 (s, 6 H)。
【0123】
実施例12
2,6-ジメチル-4-[5-(3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン
2,6-ジメチル-4-[5-(3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジンは、実施例9に類似して、3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸および2,6-ジメチル-イソニコチン酸ヒドラジドハイドロクロライドから合成される;LC-MS:tR =0.99min、[M+1]=396.28。
【0124】
実施例13
2-クロロ-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン
2-クロロ-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジンは、実施例9に類似して、3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸および2-クロロ-6-メチル-イソニコチン酸ヒドラジドから合成される;LC-MS:tR =1.22min、[M+1]=388.25。
【0125】
実施例14
2-エチル-6-メチル-4-[5-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-ピリジン
a)(1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-カルボン酸(64mg、289μmol)およびDIPEA(112mg、868μmol)のDMF(3mL)溶液に0℃にてTBTU(98mg、306mmol)を添加する。混合物を0℃にて15分間撹拌後、2-エチル-N-ヒドロキシ-6-メチル-イソニコチンアミジン(55mg、306μmol)を添加する。撹拌を0℃にて1時間続ける。反応を水(2mL)でクエンチして、混合物をEAに希釈し、次いで、飽和NaHCO3水溶液、続いて水で洗浄する。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させて、濾過して、蒸発させる。粗生成物をヘプタン:EA3:2での調製用TLCによって精製し、黄色の油として対応するヒドロキシアミジンにエステル(62mg)を得る;LC-MS:tR =0.86min、[M+1]=384.10。
【0126】
b)上記の材料(62mg、162mmol)をジオキサン(2ml)に溶解して、溶液を90℃にて48時間撹拌する。溶媒を蒸発させて、粗生成物をヘプタン:EA1:1での調製用TLCプレートで精製し、無色の油として2-エチル-6-メチル-4-[5-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-ピリジン(36mg)を得る;LC-MS: tR = 0.96 min, [M+1] = 366.11; 1H NMR (CDCl3): δ 0.78 (s, 3 H), 1.17 (s, 3 H), 1.36 (t, J = 7.8 Hz, 3 H), 1.94-2.03 (m, 2 H), 2.46 (s, 3 H), 2.64 (s, 3 H), 2.90 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.97 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 19.1, 6.5 Hz, 1 H), 7.67 (s, 2 H).。
【0127】
実施例15
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-6-メチル-ピリジン
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-6-メチル-ピリジンは、実施例14に類似して、5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸および2-エチル-N-ヒドロキシ-6-メチル-イソニコチンアミジンから開始して製造される;LC-MS: tR = 1.01 min, [M+1] = 382.15; 1H NMR (CDCl3): δ 1.04 (s, 6 H), 1.34 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 1.38 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 1.67 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 2.38 (s, 2 H), 2.65 (s, 3 H), 2.81 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.91 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 3.17 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 7.70 (s, 2 H)。
【0128】
実施例16:EC50値を決定するためのGTPγSアッセイ法
GTPγS結合アッセイ法は、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, 442587)で、組換えヒトS1P1受容体を発現するCHO細胞の膜標品を用いて200μlの最終体積で行った。アッセイ条件は、20mM Hepes(Fluka, 54461)100mM NaCl(Fluka, 71378)、5mM MgCl2(Fluka, 63064)、0.1%のBSA(Calbiochem, 126609、1μM GDP(Sigma, G-7127)、2.5%のDMSO(Fluka, 41644)、50pMの35S-GTPγS(Amersham Biosciences, SJ1320)である。pHは、7.4である。試験化合物を溶解して、100%のDMSOに希釈し、35S-GTPγSの非存在下で150μlの上記アッセイ緩衝液中で室温にて30分間プレインキュベートする。50μlの、35S-GTPγSの添加後、アッセイを室温にて1時間インキュベートする。アッセイをPackard Biosciencesからのセル‐ハーベスターを使用して反応混合物をMultiscreenプレート(Millipore, MAHFC1H60)に移すことによって終結させて、プレートを氷冷10mM Na2HPO4/NaH2PO4(70%/30%)で洗浄して、乾燥させ、底面を封着して、25μlのMicroScint20(Packard Biosciences、order No. 6013621)を添加後に、上部を封着する。膜結合型の35S-GTPγSをPackard BiosciencesからのTopCountで測定する。
【0129】
EC50は、最大の特異的35S-GTPγS結合の50%を誘導するアゴニストの濃度である。特異的結合は、非特異的結合を最大結合から減算することによって決定する。最大結合は、10μMのS1Pの存在下においてMultiscreenプレートに結合したcpmの量である。非特異的結合は、アッセイにおけるアゴニストの非存在下での結合の量である。
【0130】
表1は、本発明のいくつかの化合物のEC50値を示す。EC50値は、上記方法に従って決定した。
【表1】

【0131】
実施例525:インビボでの有効性の評価
式(I)の化合物の有効性は、正常圧の雄ウィスターラットに対する3〜30mg/kgの式(I)の化合物の経口投与後に、循環リンパ球を測定することによって評価する。動物は、12時間-光/暗闇サイクルで気候制御条件に収容して、通常のラット固形飼料および飲料水の自由な摂取をさせた。血液は、薬物投与前、並びに後の3、6および24時間に収集する。全血をAdvia Hematologyシステム(Bayer Diagnostics, Zurich, Switzerland)を使用する血液検査に供する。
【0132】
すべてのデータは、平均±SEMとして示してある。統計分析は、多重比較のためにStatistica(StatSoft)およびStudent-Newman-Keuls法を使用して分散分析(分散分析)によって行う。帰無仮説は、p<0.05のときに拒絶する。
【0133】
一例として、表2には、媒体だけで処理した一群の動物と比較して、正常圧の雄ウィスターラットに対する本発明のいくつかの化合物の10mg/kgの経口投与の6時間後におけるリンパ球カウントに対する効果を示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物およびその塩、
【化1】


式中、
Aは、*-CO-CH=CH-、*-CO-CH2CH2-、
【化2】


を表し、
式中アステリスクは、式(I)の基Bに連結されている結合を示し;
Bは、
【化3】


を表し;
R1は、水素、メチル、エチルまたは塩素を表し;
R2は、メチル、エチル、n-プロピルまたは塩素を表し;
R3およびR4は、メチルを表すか;
またはR3およびR4は、エチルを表すか;
またはR3およびR4は、これらが付着される炭素原子と共に、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル環を形成し;
R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはトリフルオロメチルを表し;並びに、
R6は、メチルまたはエチルを表す。
【請求項2】
Aが*-CO-CH2-CH2-を表し、式中アステリスクが式(I)の基Bに連結されている結合を示す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項3】
Aが*-CO-CH=CH-を表し、式中アステリスクが、式(I)の基Bに連結されている結合を示す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項4】
Aが
【化4】


を表し、式中アステリスクが式(I)の基Bに連結されている結合を示す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項5】
Aが
【化5】


を表す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項6】
Aが
【化6】


を表し、式中アステリスクが、式(I)の基Bに連結されている結合を示す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項7】
R1およびR2がメチル基を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項8】
R1がメチル基を表し、かつR2がエチル基を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項9】
Bが
【化7】


を表し;並びに式中R3、R4およびR5が請求項1において式(I)について定義されたとおりである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項10】
Bが
【化8】


を表し;並びに式中R3およびR4が、メチルを表し、かつR5がメチルまたはエチルを表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物;またはこのような化合物の塩。
【請求項11】
Bが
【化9】


を表し;および式中R6が請求項1において式(I)について定義されたとおりである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項12】
Aが*-CO-CH=CH-、*-CO-CH2CH2-
【化10】


または
【化11】


を表し、式中アステリスクが式(I)の基Bに連結されている結合を示し;
R1がメチル、エチルまたは塩素を表し;
R2がメチルまたはエチルを表し;
R3およびR4がメチルを表すか;
またはR3およびR4がエチルを表し;かつ、
R5およびR6がメチルまたはエチルを表す、請求項1に記載の化合物またはこのような化合物の塩。
【請求項13】
以下からなる群より選択される請求項1に記載の化合物:
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロペノン、
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロペノン、
3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-1-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-プロパン-1-オン、
1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-(2-エチル-6-メチル-ピリジン-4-イル)-プロパン-1-オン、
2-エチル-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2,6-ジエチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2-クロロ-6-メチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2,6-ジメチル-4-[5-((1aS,5aR)-1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン、
4-[5-(5,5-ジエチル-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2-エチル-6-メチル-ピリジン、
4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-2,6-ジメチル-ピリジン、
2,6-ジメチル-4-[5-(3,5,5-トリエチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-ピリジン、および、
2-クロロ-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル]-6-メチル-ピリジン;並びにこれらの化合物の塩。
【請求項14】
以下からなる群より選択される請求項1に記載の化合物:
2-エチル-6-メチル-4-[5-(1,1,2-トリメチル-1,1a,5,5a-テトラヒドロ-3-チア-シクロプロパ[a]ペンタレン-4-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-ピリジン、および、
2-エチル-4-[5-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-6-メチル-ピリジン;並びにこれらの化合物の塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩または請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防および/または治療のための医薬組成物の製造のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項18】
腎臓、肝臓、心臓および肺から選択される移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病および橋本甲状腺炎から選択される自己免疫性症候群;並びにアトピー性皮膚炎からなる群より選択される疾患もしくは障害の予防または治療のための、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防または治療のための、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、NSAID、細胞毒性薬、接着分子阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン受容体アンタゴニストおよび組換えサイトカイン受容体からなる群より選択される1つまたはいくつかの薬剤と組み合わせて使用するための医薬組成物の製造のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。


【公表番号】特表2009−524603(P2009−524603A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550900(P2008−550900)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050225
【国際公開番号】WO2007/086001
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】