説明

新規フェニルナフタレン誘導体、その製造方法、及びこれを含有する医薬組成物

A=基、R=アルコキシ基、Rは詳細な説明に定義した通りであり、p=1、2、又は3である、式(I)の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規フェニルナフタレン化合物、その調製方法、及びこれを含有する医薬組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は新規であり、メラトニン作動性受容体に関して大いに関連する薬理学的特性を有する。
【0003】
過去10年に、多くの研究によって、メラトニン(N−アセチル−5−メトキシトリプタミン)によってなされる数多くの生理病理学現象及び概日リズムの制御における主要な役割が実証されているが、メラトニンは、急速に代謝されるという事実ゆえに、非常に短い半減期を有する。したがって、代謝的により安定的であり、アゴニスト又はアンタゴニスト特性を有し、かつ、その治療効果がホルモン自体の治療効果よりも優れていると期待できるメラトニンアナログを臨床家が利用できるようになる可能性に大きな関心がある。
【0004】
メラトニン作動性系のリガンドは、概日リズム障害(J. Neurosurg. 1985, 63, pp. 321-341)及び睡眠障害(Psychopharmacology, 1990, 100, pp. 222-226)に関するそれらの有益な作用に加え、中枢神経系に関する有益な薬理学的特性、具体的には、抗不安及び抗精神病性特性(Neuropharmacology of Pineal Secretions, 1990, 8 (3-4), pp. 264-272)、及び鎮痛性特性(Pharmacopsychiat., 1987, 20, pp.222-223)、さらにパーキンソン病(J. Neurosurg. 1985, 63, pp. 321-341)及びアルツハイマー病(Brain Research, 1990, 528, pp. 170-174)の治療のための特性を有する。そのような化合物は、ある種の癌に関する活性(Melatonin-Clinical Perspectives, Oxford University Press, 1988, pp. 164-165)、排卵に関する活性(Science 1987, 227, pp. 714-720)、糖尿病に関する活性(Clinical Endocrinology, 1986, 24, pp. 359-364)、及び肥満治療における活性(International Journal of Eating Disorders, 1996, 20(4), pp. 443-446)も実証されている。
【0005】
それらの種々の効果は、特定のメラトニン受容体の仲介によって発揮される。分子生物学研究によって、そのホルモンを結合することができる多数の受容体サブタイプの存在が実証されている(Trends Pharmacol. Sci., 1995, 16, p.50;WO97.04094)。それらの受容体のいくつかについて、位置決定し、かつ、哺乳動物を含む異なる種についての特性決定をすることが可能となっている。それらの受容体の生理学的機能をより良く理解するために、有効な選択的リガンドを持つことは大きな利点である。さらに、そのような化合物は、それらの受容体の1つ以上に選択的に相互作用することにより、メラトニン作動性系に関連する病状(いくつかは先に言及した)の処置において、臨床医のための優れた薬剤となり得る。
【0006】
本発明の化合物は、新規であることに加えて、メラトニン受容体に対する非常に強い親和性及び/又は1つ以上のメラトニン作動性結合部位に対する選択性を示す。
【0007】
本発明は、より具体的には、式(I):
【0008】
【化15】

【0009】
〔式中、
*Aは、
【0010】
【化16】

【0011】
(式中、R及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、各々は、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルケニル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキニル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、アリール基、アリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、ヘテロアリール基、又はヘテロアリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)を表し、
は、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
さらに、R及びRは一緒に、3〜6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキレン鎖を形成してもよい)の基を表し、
*Rは、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルコキシ基を表し、
*Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は場合により1つ若しくは2つの直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されたアミノ基を表し、
*pは、1、2、又は3であり、
「アリール」は、フェニル、ナフチル、又はビフェニル基を表し、
「ヘテロアリール」は、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する単環式又は二環式芳香族基のいずれをも表すと理解され、
そのように定義された前記アリール及びヘテロアリール基は、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、シアノ、直鎖状又は分枝状ポリハロ(C〜C)アルキル、アルコキシカルボニル、及びハロゲン原子から選択される1〜3個の基で置換されていてもよい〕の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩に関する。
【0012】
薬学的に許容できる酸の中で、非限定的な例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、樟脳酸などに言及することができる。
【0013】
薬学的に許容できる塩基の中で、非限定的な例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、tert−ブチルアミンなどに言及することができる。
【0014】
好ましい本発明の化合物は、
式中、Aが、
【0015】
【化17】

【0016】
の基を表す、式(I)の化合物である。
【0017】
有利には、Rは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、又はn−ブチル基などの直鎖状又は分枝状(C〜C)アルキル基、あるいは、例えば、シクロプロピル又はシクロブチル基などの(C〜C)シクロアルキル基を表す。
【0018】
は、水素原子を表すことが好ましい。
【0019】
pの好ましい値は、2である。
【0020】
好ましいR基は、メトキシ基である。
【0021】
は、有利には、OH、メトキシ、若しくはNH基、又は臭素若しくはヨウ素などのハロゲン原子を表す。
【0022】
基−CHのフェニル核上の好ましい位置は、3位(又はメタ)である。
【0023】
さらにより具体的には、本発明は、以下の式(I)の化合物に関する:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド、及びN−(2−{3−[3−(アミノメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド。
【0024】
好ましい本発明の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、及び薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩は、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0025】
本発明は、式(I)の化合物の調製方法にも関し、出発材料として式(II):
【0026】
【化18】

【0027】
(式中、A、p、及びRは、式(I)について定義した通りである)
の化合物を用い、前記式(II)の化合物を、臭素の作用に付して、式(III):
【0028】
【化19】

【0029】
(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、前記式(III)の化合物を、酢酸パラジウム又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下で、式(IV):
【0030】
【化20】

【0031】
(式中、Rは、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基、ホルミル基、又はシアノ基を表す)
の化合物と縮合して、式(V):
【0032】
【化21】

【0033】
(式中、A、p、R、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て
*Rが、CN基を表す場合、前記式(V)の化合物を、ラネーニッケルの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/a):
【0034】
【化22】

【0035】
(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
前記式(I/a)の化合物を、1つ以上のアルキル化剤の作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/b):
【0036】
【化23】

【0037】
(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りであり、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素原子又はアルキル基を表す)
の化合物を得て、
*Rがホルミル基を表す場合、前記式(V)の化合物を、NaBH又はトリエチルシランの作用に付し、そしてRが、アルコキシカルボニル基を表す場合、前記式(V)の化合物を、LiAlHの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/c):
【0038】
【化24】

【0039】
(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
前記式(I/c)の化合物を、ハロゲン化水素酸の作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/d):
【0040】
【化25】

【0041】
(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りであり、Xは、ハロゲン原子を表す)
の化合物を得るか、
あるいは前記式(I/c)の化合物を、アルコラートの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/e):
【0042】
【化26】

【0043】
(式中、A、p、R及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
所望する場合には、前記式(I)の化合物の全てを構成する前記化合物(I/a)〜(I/e)(該化合物は、慣用の分離技術によって精製されてもよい)を、薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩に変換し、及び場合により慣用の分離技術によってそれらの異性体に分離することを特徴とする、調製方法にも関する。
【0044】
式(II)の化合物は、市販されているか、あるいは文献に記載されている慣用の化学反応により当業者が得ることができる。
【0045】
具体的には、式(II)の化合物の取得は、例えば、EP0447285及びEP0745584号に記載されている。
【0046】
本発明は、式(I)の化合物の調製用の合成中間体としての使用のみならず、メラトニン作動性受容体リガンドとしての使用のための式(V’):
【0047】
【化27】

【0048】
(式中、A、p、及びRは、式(I)について定義した通りであり、R’は、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基又はホルミル基を表す)
の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩にも関する。
【0049】
本発明の化合物の薬理学的研究によって、実は、本発明の化合物は、非毒性であり、メラトニン受容体に対して高い選択的な親和性を有し、中枢神経系に関して実質的な活性を有することがであることが実証され、特には、本発明の化合物は、睡眠障害に関する治療学的特性、抗不安、抗精神病性、及び鎮痛性特性、及び微小循環に関する特性を有することが見出され、これによって、本発明の化合物は、ストレス、睡眠障害、不安、季節性情緒障害又は重度の鬱、心血管系の病状、消化系の病状、時差ぼけによる不眠及び疲労、統合失調症、パニック発作、メランコリー、摂食障害、肥満、不眠、精神病性障害、癲癇、糖尿病、パーキンソン病、老人性認知症、正常又は病的な加齢に関連する種々の障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、及び脳循環障害の処置に有用であることを確立することできた。活性の別分野において、本発明の化合物は、性的機能不全の処置に用いることができ、排卵阻害及び免疫調節特性を有し、かつ、癌の処置に用いることができる。
【0050】
該化合物は、季節性情緒障害、重度の鬱、睡眠障害、心血管系の病状、消化器系の病状、時差ぼけによる不眠及び疲労、摂食障害、及び肥満の処置に有用であることが好ましい。
【0051】
例えば、該化合物は、季節性情緒障害、重度の鬱、及び睡眠障害の処置に用いられる。
【0052】
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物又は式(V’)の化合物をそれ自体であるいは1つ以上の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物にも関する。
【0053】
本発明による医薬組成物の中で、より具体的には、経口、非経口、経鼻、経皮、直腸、経舌、眼、又は呼吸器投与に好適な医薬組成物、具体的には、錠剤若しくは糖衣錠、舌下錠剤、サシェ(sachets)、パケー剤(paquets)、ゼラチンカプセル剤、舌錠(glossettes)、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚ゲル剤、及び飲用若しくは注射可能なアンプルに言及することができる。
【0054】
投与量は、患者の性別、年齢、及び体重、投与経路、治療指数の特性、又は任意の関連する処置によって変動し、1回以上の投与で24時間あたり0.01mg〜1gの範囲である。
【0055】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、これを何ら限定するものではない。以下の調製により、本発明の化合物の調製に使用するための合成中間体が生成される。
【0056】
調製1:N−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミド
N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミド(29mmol)を酢酸160mlに溶解する。混合物を70℃に加熱し、臭素(35mmol)を酢酸20ml中の溶液中で滴下して加える。その温度で6時間攪拌した後、反応混合物を冷却し、次いで氷冷水に注ぎ込む。30分間激しく攪拌した後、混合物を酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル相を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下で蒸発させる。得られた残渣をトルエンから再結晶化して、ベージュ色の固体の形態で表題生成物を得る。
融点:103〜105℃
【0057】
調製2:N−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]プロパンアミド
手順は、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミドを、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]プロパンアミドに置き換えて、調製1の通りとする。表題生成物を95°エタノールから再結晶化し、白色固体の形態で単離する。
融点:146〜148℃
【0058】
調製3:N−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]ブタンアミド
手順は、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミドを、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]ブタンアミドに置き換えて、調製1の通りとする。表題生成物を95°エタノールから再結晶化し、白色固体の形態で単離する。
融点:86〜88℃
【0059】
調製4:N−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]シクロブタンカルボキサミド
手順は、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミドを、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]シクロブタンカルボキサミドに置き換えて、調製1の通りとする。表題生成物を95°エタノールから再結晶化し、白色固体の形態で単離する。
融点:154〜155℃
【0060】
調製5:1−[2−(3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]−2−ピロリジノン
手順は、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミドを、N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]−2−ピロリジノンに置き換えて、調製1の通りとする。表題生成物を95°エタノールから再結晶化し、白色固体の形態で単離する。
融点:137〜139℃
【0061】
実施例1:N−(2−{3−[2−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
工程A:N−{2−[3−(2−ホルミルフェニル)−7−メトキシ−1−ナフチル]エチル}アセトアミド
調製1で得られた化合物(6.2mmol)をトルエン30mlに溶解し、溶液を窒素流下に10分間置く。テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.25mmol)を溶液に加え、混合物を再び窒素流下で10分間放置する。水10mlに予め溶解した炭酸ナトリウム(27mmol)及びエタノール6mlに予め溶解した2−ホルミルフェニルボロン酸(6.8mmol)を混合物に加える。反応混合物を12時間加熱還流し、次いで周囲温度に冷却し、ろ過し、水50ml及び酢酸エチル50mlに溶解する。2相を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させる。得られた残渣をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:2/8)により精製して、淡黄色の油分の形態で表題生成物を得る。
【0062】
工程B:N−(2−{3−[2−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
工程Aで得られた化合物(2.9mmol)をメタノール40mlに溶解する。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(5.8mmol)を少しに分けて加え、溶液を周囲温度で10分間攪拌する。メタノールを蒸発除去し、得られた残渣を1N塩酸水溶液に溶解し、次いで酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で蒸発させる。残渣をシクロヘキサンから再結晶化して、淡黄色の固体の形態で表題生成物を得る。
融点:57〜59℃
【0063】
実施例2:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
工程A:N−{2−[3−(3−ホルミルフェニル)−7−メトキシ−1−ナフチル]エチル}アセトアミド
手順は、2−ホルミルフェニルボロン酸を3−ホルミルフェニルボロン酸に置き換えて、実施例1の工程Aの通りとする。表題生成物は、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)による精製後、白色固体の形態で得られ、これを95°エタノールから再結晶化する。
融点:123〜125℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 76.06 6.09 4.03
実測値 75.76 6.10 4.01
【0064】
工程B:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
手順は、工程Aで得られた化合物から出発して、実施例1の工程Bの通りとする。シリカゲル上でクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)による精製後、白色固体の形態の表題生成物を得て、これを95°エタノールから再結晶化する。
融点:153〜155℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 75.62 6.63 4.01
実測値 75.33 6.61 4.22
【0065】
実施例3:N−(2−{3−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
工程A:4−{4−[2−(アセチルアミノ)エチル]−6−メトキシ−2−ナフチル}安息香酸メチル
調製1で得られた化合物(25mmol)、4−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸(27mmol)、酢酸パラジウム(0.05mmol)、炭酸水素ナトリウム(49mmol)、及び臭化テトラブチルアンモニウム(0.3mmol)を、ジオキサン/水混合物(60ml/40ml)に溶解する。混合物を4時間加熱還流し、次いで周囲温度に冷却する。酢酸エチル150mlを加え、2相を分離する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させる。得られた残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)により精製し、白色固体の形態で表題生成物を得て、これを95°エタノールから再結晶化する。
融点:147〜149℃
【0066】
工程B:N−(2−{3−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
工程Aで得られた化合物(5.5mmol)を、エーテル30ml及びTHF10mlに溶解する。溶液を0℃に冷却し、次いで水素化リチウムアルミニウム(16.5mmol)を少しに分けて加える。混合物を周囲温度で6時間攪拌し、次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液を数滴滴下することにより、白色沈殿物が得られるまで、水素化リチウムアルミニウムを加水分解する。ろ過後、エーテル及びTHFを減圧下で蒸発除去し、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)により精製し、白色固体の形態で表題生成物を得て、これを95°エタノールから再結晶化する。
融点:164〜166℃
【0067】
実施例4:N−(2−{3−[3−(ブロモメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
実施例2で得られた化合物(0.6g;1.7mmol)を氷酢酸酸10ml及び酢酸中の45%臭化水素酸溶液3.1ml(17mmol)に溶解する。混合物を周囲温度で24時間攪拌し、次いで氷冷水30mlに注ぎ込む。形成した沈殿物をろ別し、吸引して除去し、次いで95°エタノールから再結晶化して、淡黄色の固体の形態で表題生成物を得る。
融点:118〜120℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 64.09 5.38 3.40
実測値 63.92 5.37 3.42
【0068】
実施例5:N−(2−{3−[3−(ヨードメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
実施例4で得られた化合物(0.35g;0.85mmol)をアセトン20mlに溶解し、次いでヨウ化ナトリウム0.14g(0.94mmol)を溶液に加える。混合物を2時間激しく加熱還流する。冷却後、反応混合物をろ過し、次いでアセトンを減圧下で蒸発除去する。残渣を水に溶解し、次いでエーテルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、次いで減圧下で蒸発させる。得られた残渣をトルエンから再結晶化して、淡黄色の固体の形態で表題生成物を得る。
融点:155〜157℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 57.53 4.83 3.05
実測値 57.53 4.83 3.06
【0069】
実施例6:N−(2−{7−メトキシ−3−[3−(メトキシメチル)フェニル]−1−ナフチル}エチル)アセトアミド
メタノール2mlに予め溶解した実施例4で得られた化合物(0.1g;0.24mmol)を、ナトリウムメタノラート(0.012g;0.48mmol)の新しく調製した溶液10mlに滴下して加える。混合物を沸点で4時間加熱する。冷却後、メタノールを減圧下で蒸発除去し、残渣を水に溶解し、エーテルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、次いで減圧下で蒸発させる。得られた残渣を95°エタノールから再結晶化して、白色固体の形態で表題生成物を得る。
融点:86〜87℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 76.01 6.93 3.85
実測値 75.37 6.92 3.82
【0070】
実施例7:N−(2−{3−[3−(アミノメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド塩酸塩
工程A:N−{2−[3−(3−シアノフェニル)−7−メトキシ−1−ナフチル]エチル}アセトアミド
手順は、2−ホルミルフェニルボロン酸を、2−シアノフェニルボロン酸に置き換えて、実施例1の工程Aの通りとする。表題化合物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/ヘキサン:4/6)により精製し、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得る。
融点:141〜143℃
【0071】
工程B:N−(2−{3−[3−(アミノメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド塩酸塩
工程Aで得られた化合物(1.2g;3.5mmol)をメタノール100mlに溶解する。溶液をオートクレーブに注ぎ込み、次いでラネーニッケル0.5gを加え、溶液をアンモニアガスで飽和する。50barsの圧力に達するまで水素を導入し、反応混合物を60℃で12時間攪拌する。オートクレーブを周囲温度に冷やし、ラネーニッケルをろ別し、メタノールを減圧下で蒸発除去する。残渣をエチルエーテルに溶解し、沈殿物が得られるまで、塩化水素ガスで飽和したエチルエーテルの溶液を滴下して加える。次いで、沈殿物を吸引ろ過して除去し、イソプロパノールから再結晶化する。
融点:239〜241℃
【0072】
実施例8:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)プロパンアミド
工程A:3−{6−メトキシ−4−[2−(プロピオニルアミノ)エチル]−2−ナフチル}安息香酸メチル
手順は、調製2で得られた化合物及び3−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸から出発し、実施例3の工程Aの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:113〜115℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 73.64 6.44 3.58
実測値 73.70 6.44 3.58
【0073】
工程B:N−(2−{3−{3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)プロパンアミド
手順は、工程Aで得られた化合物から出発して、実施例3の工程Bの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:135〜137℃
【0074】
実施例9:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)ブタンアミド
工程A:3−{4−[2−(ブチリルアミノ)エチル]−6−メトキシ−2−ナフチル}安息香酸メチル
手順は、調製3で得られた化合物から出発し、2−ホルミルフェニルボロン酸を、(3−メトキシカルボニル)フェニルボロン酸に置き換えて、実施例1の工程Aの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:86〜88℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 74.05 6.71 3.45
実測値 73.93 6.77 3.64
【0075】
工程B:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)ブタンアミド
手順は、工程Aで得られた化合物から出発して、実施例3の工程Bの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:113〜115℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 76.36 7.21 3.71
実測値 76.21 7.15 3.72
【0076】
実施例10:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)シクロブタンカルボキサミド
工程A:3−(4−{2−[(シクロブチルカルボニル)アミノ]エチル}−6−メトキシ−2−ナフチル)安息香酸メチル
手順は、調製4で得られた化合物から出発して、実施例3の工程Aの通りとする。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)より精製し、続いて95°エタノールから再結晶化した後に、表題化合物が白色固体の形態で得られる。
融点:128〜130℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 74.80 6.52 3.35
実測値 74.55 6.48 3.32
【0077】
工程B:N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)シクロブタンカルボキサミド
手順は、工程Aで得られた化合物から出発して、実施例3の工程Bの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:131〜133℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 77.09 6.99 3.60
実測値 76.98 7.05 3.53
【0078】
実施例11:1−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)2−ピロリジノン
工程A:3−{6−メトキシ−4−[2−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチル]−2−ナフチル}安息香酸メチル
手順は、調製5で得られた化合物から出発して、実施例3の工程Aの通りとする。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(アセトン/シクロヘキサン:3/7)により精製し、続いて95°エタノールから再結晶化した後に、表題化合物が白色固体の形態で得られる。
融点:110〜112℃
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 74.42 6.25 3.47
実測値 74.09 6.29 3.63
【0079】
工程B:1−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)−2−ピロリジノン
手順は、工程Aで得られた化合物から出発して、実施例3の工程Bの通りとする。表題化合物が、95°エタノールから再結晶化した後に白色固体の形態で得られる。
融点:129〜131℃
【0080】
薬理学的研究
実施例A:急性毒性研究
各々8匹のマウス(26±2グラム)を含む群への経口投与後に急性毒性を評価した。初日の経過の間及び治療後2週間毎日、規則正しい間隔で動物を観察した。LD50(動物の50%致死量)を評価し、本発明の化合物の毒性が低いことを実証した。
【0081】
実施例B:ヒツジの隆起部細胞についてのメラトニン受容体結合研究
ヒツジの隆起部細胞について、本発明の化合物のメラトニン受容体結合研究を慣用の技術に従って行った。腺性下垂体の隆起部は、事実上、哺乳動物では高密度のメラトニン受容体によって特徴づけられる(Journal of Neuroendocrinology, 1, pp. 1-4, 1989)。
【0082】
プロトコル
1)ヒツジの隆起部膜を調製して、2−[125I]−ヨードメラトニンに対する結合能及び親和性を決定するための飽和(saturation)実験における標的組織として用いる。
2)ヒツジの隆起部膜を、メラトニンとの比較で種々の試験化合物を用いた競合結合実験における標的組織として用いる。
【0083】
各実験を3回づつ行い、各化合物につき異なる濃度範囲を試験する。統計処理した後の結果によって、試験化合物の結合親和性を決定することができる。
【0084】
結果
本発明の化合物は、メラトニン受容体に対して強い新和性を有することが明らかである。
【0085】
実施例C:
1.メラトニン受容体MT及びMTへの結合研究
2−[125I]−ヨードメラトニンを対照放射性リガンドとして用いて、MT及びMT受容体結合実験を行う。液体シンチレーション計数管を用いて、保持された(retained)放射能を決定する。
【0086】
次いで、競合結合実験を種々の試験化合物を用いて3回づつ行う。各化合物につき、異なる濃度範囲を試験する。結果により、試験化合物の結合親和性(K)を決定することができる。
【0087】
2.メラトニン部位MTへの結合研究
2−[125I]−ヨードメラトニンを放射性リガンドとして用い、MT部位への結合の実験をハムスター脳膜上で行う。4℃の温度で、2−[125I]−ヨードメラトニン及び異なる濃度の試験化合物と共に、膜を30分間インキュベーションする。インキュベーション後、膜をろ過系を用いて速やかにろ過し、次いで冷緩衝液で洗浄する。シンチレーション計数管を用いて、保持された放射能を測定する。IC50値(特異的結合を50%阻害する濃度)を非線形回帰モデルに従って競合曲線から計算する。
【0088】
したがって、本発明の化合物に見出されるK値は、1つ以上のメラトニン作動性結合部位に対する結合を示し、その値は10μM以下である。
【0089】
例示として、実施例2の化合物は、MT部位に関して0.36nMのKを有し、実施例7の化合物は、MT部位に関して3.40nMのKを有する。
【0090】
さらに、実施例2の工程Aで得られた化合物は、MT部位に関して0.42nMのKを有する。
【0091】
実施例D:ラットの運動活動(locomotive activity)の概日リズムに対する本発明の化合物の作用
昼間/夜間の交替による生理学的、生化学的、及び行動に関する概日リズムの大部分に影響を及ぼすことにメラトニンが関与していることにより、メラトニン作動性リガンド研究用の薬理学的モデルを確立することが可能となった。
【0092】
化合物の効果を、多くのパラメーターに関して、具体的には、内因性概日時計の活性の信頼できる指標である、運動活動の概日リズムに関して試験する。
【0093】
この研究では、特定の実験モデル、すなわち、一時的な隔離(永続的暗所(permanent darkness))中に置かれたラットに対するそのような化合物の効果を評価する。
【0094】
実験プロトコル
1ヶ月齢の雄ラットを、該ラットが実験室に到着し次第、24時間につき12時間光を当てる光サイクル(LD12:12)に付す。2〜3週間の順応後、運動活動の位相(phase)を検出し、一昼夜(nychthemeral)(LD)又は概日(DD)リズムをモニタリングするために、記録システムに接続された車輪を備えるかごの中に該ラットを置いた。
【0095】
記録されたリズムがLD12:12の光サイクルで安定なパターンを示したら直ぐに、ラットを永続的暗所(DD)中に置く。
【0096】
2〜3週間後、フリーコース(free course)(内因性時計のリズムに影響を及ぼすリズム)が明確に確立されたときに、ラットに試験化合物を日々(daily)投与する。
【0097】
活動のリズムを視覚化することによって観察を行った:
−活動のリズムに対する光リズムの影響
−永続的暗所中で該リズムへの影響が無くなること
−化合物の日々の投与による影響;一過性又は持続的効果。
【0098】
ソフトウェアパッケージによって、活動の持続性及び度合い、フリーコースの間及び処置の間の動物のリズムの期間を測定することが可能であり、存在する場合には概日及び非概日(例えば、超概日性)成分をスペクトル分析により実証することが可能である。
【0099】
結果
本発明の化合物は、明らかに、メラトニン作動性系を介して概日リズムに対する強力な作用を有している。
【0100】
実施例E:明るい/暗いかご試験
本発明の化合物を、該化合物の抗不安活性を明らかにすることができる行動に関するモデルである明るい/暗いかご試験で試験する。
【0101】
設備は、プレキシグラスで覆われた2つのポリビニルボックスからなる。ボックスの1つは暗所にある。他方のボックス上に、ボックスの中心において約4000ルクスの光の強度をもたらすランプを置く。不透明なプラスチックトンネルにより、暗いボックスと明るいボックスとが分かれている。5分間の期間、個々に動物を試験する。各実施期間の間に、各ボックスの床を清浄にする。各試験の開始時に、暗いボックスに面したトンネル中にマウスを置く。マウスが照明されたボックス中で過ごした時間及び暗いボックスに最初に入った後にトンネルを通過した回数を記録した。
【0102】
試験開始30分前に化合物を投与した後に、本発明の化合物によって、照明されたカゴ中で過ごす時間及びトンネルを通過回数が有意に増加し、このことは本発明の化合物の抗不安活性を実証するものである。
【0103】
実施例F:ラットの尾動脈に対する本発明の化合物の活性
本発明の化合物をインビトロでラットの尾動脈で試験した。メラトニン作動性受容体が該尾動脈の血管中に存在しており、したがってメラトニン作動性リガンド活性研究用の関連する薬理学的モデルを提供する。受容体の刺激は、研究される動脈セグメントに依存して、血管収縮又は血管拡張のいずれかを引き起こすことができる。
【0104】
プロトコル
1ヶ月齢のラットを12h/12hの明/暗サイクルに2〜3週間の期間馴らした。屠殺後、尾動脈を単離し、高酸素化された媒体中で維持する。次いで、動脈を両端でカニューレ挿入し、好適な媒体中の器官室(organ chamber)中で垂直に吊るし、その近位の端を介して潅流する。潅流フローの圧力変化によって、化合物の血管収縮又は血管拡張効果を評価することができる。化合物の活性をフェニレフリン(1μM)により予め収縮させたセグメントついて評価する。ある濃度の試験化合物を予め収縮させたセグメントに加えることにより、濃度/応答曲線を非累積的に(non-cumulatively)決定する。観察される効果が平衡状態に達したとき、媒体を変え、調製物を20分間放置した後、同じ濃度のフェニレフリン及びさらなる濃度の試験化合物を加える。
【0105】
結果
本発明の化合物は、フェニレフリンにより予め収縮した尾動脈の直径を有意に改変する。
【0106】
実施例G:医薬組成物:錠剤
各々がN−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミド(実施例2)5mgの用量を含有する1000個の錠剤5g
小麦デンプン20g
トウモロコシデンプン20g
ラクトース30g
ステアリン酸マグネシウム2g
シリカ1g
ヒドロキシプロピルセルロース2g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


〔式中、
*Aは、
【化2】


(式中、R及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、各々は、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルケニル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキニル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、アリール基、アリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、ヘテロアリール基、又はヘテロアリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)を表し、
は、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
さらに、R及びRは一緒に、3〜6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキレン鎖を形成してもよい)の基を表し、
*Rは、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルコキシ基を表し、
*Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は場合により1つ若しくは2つの直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されたアミノ基を表し、
*pは、1、2、又は3であり、
「アリール」は、フェニル、ナフチル、又はビフェニル基を表し、
「ヘテロアリール」は、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する単環式又は二環式芳香族基のいずれをも表すと理解され、
そのように定義された前記アリール及びヘテロアリール基は、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、シアノ、直鎖状又は分枝状ポリハロ(C〜C)アルキル、アルコキシカルボニル、及びハロゲン原子から選択される1〜3個の基で置換されていてもよい〕の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項2】
Aが、
【化3】


の基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項3】
が、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルキル基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項4】
が、(C〜C)シクロアルキル基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項5】
が、水素原子を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項6】
pが、2である、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項7】
が、メトキシ基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項8】
が、OH基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項9】
が、OMe基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項10】
が、NH基を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項11】
が、ハロゲン原子を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項12】
前記−CH基が、前記フェニル基上の3位(メタ)にある、請求項1に記載の式(I)の化合物及びその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項13】
N−(2−{3−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミドである、請求項1に記載の式(I)の化合物及びその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項14】
N−(2−{3−[3−(アミノメチル)フェニル]−7−メトキシ−1−ナフチル}エチル)アセトアミドである、請求項1に記載の式(I)の化合物及びその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項15】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法であって、出発材料として式(II):
【化4】


(式中、A、p、及びRは、式(I)について定義した通りである)
の化合物を用い、前記式(II)の化合物を、臭素の作用に付して、式(III):
【化5】


(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、前記式(III)の化合物を、酢酸パラジウム又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下で、式(IV):
【化6】


(式中、Rは、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基、ホルミル基、又はシアノ基を表す)
の化合物と縮合して、式(V):
【化7】


(式中、A、p、R、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
*Rが、CN基を表す場合、前記式(V)の化合物を、ラネーニッケルの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/a):
【化8】


(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
前記式(I/a)の化合物を、1つ以上のアルキル化剤の作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/b):
【化9】


(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りであり、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素原子又はアルキル基を表す)
の化合物を得て、
*Rが、ホルミル基を表す場合、前記式(V)の化合物を、NaBH又はトリエチルシランの作用に付し、そしてRが、アルコキシカルボニル基を表す場合、前記式(V)の化合物を、LiAlHの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/c):
【化10】


(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
前記式(I/c)の化合物を、ハロゲン化水素酸の作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/d):
【化11】


(式中、A、p、及びRは、先に定義した通りであり、Xは、ハロゲン原子を表す)
の化合物を得るか、
あるいは前記式(I/c)の化合物を、アルコラートの作用に付して、前記式(I)の化合物の具体的ケースである、式(I/e):
【化12】


(式中、A、p、R及びRは、先に定義した通りである)
の化合物を得て、
所望する場合には、前記式(I)の化合物の全てを構成する前記化合物(I/a)〜(I/e)(該化合物は、慣用の分離技術によって精製されてもよい)を、薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩に変換し、及び場合により慣用の分離技術によってそれらの異性体に分離することを特徴とする調製方法。
【請求項16】
式(I)の化合物の調製用の合成中間体としての使用及びメラトニン作動性受容体リガンドとしての使用のための、式(V’):
【化13】


〔式中、
*Aは、
【化14】


(式中、R及びR’は、同一であっても異なっていてもよく、各々は、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルケニル基、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキニル基、(C〜C)シクロアルキル基、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、アリール基、アリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)、ヘテロアリール基、又はヘテロアリール−(C〜C)アルキル基(該アルキル部分は、直鎖状でも分枝状でもよい)を表し、
は、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
さらに、R及びRは一緒に、3〜6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキレン鎖を形成してもよい)の基を表し、
*Rは、直鎖状又は分枝状(C〜C)アルコキシ基を表し、
*R’は、直鎖状若しくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基又はホルミル基を表す〕の化合物、そのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにその薬学的に許容できる酸又は塩基との付加塩。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、若しくは請求項16に記載の式(V’)の化合物、又はそれらの薬学的に許容できる酸若しくは塩基との付加塩の1つを、薬学的に許容できる賦形剤の1つ以上と組み合わせて含有する医薬組成物。
【請求項18】
メラトニン作動性系障害を処置するための薬剤の製造における使用のための請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
睡眠障害、ストレス、不安、季節性情緒障害又は重度の鬱、心血管系の病状、消化系の病状、時差ぼけによる不眠及び疲労、統合失調症、パニック発作、メランコリー、摂食障害、肥満、不眠、精神病性障害、癲癇、糖尿病、パーキンソン病、老人性認知症、正常又は病的な加齢に関連する種々の障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、脳循環障害、及び性的機能不全を処置するための薬剤の製造における使用、及び排卵の阻害剤及び免疫調節としての使用のため、並びに癌の処置における使用のための請求項17に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2006−505604(P2006−505604A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550730(P2004−550730)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003278
【国際公開番号】WO2004/043907
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】