説明

新規プロテアソームモジュレーター

プロテアソーム活性を調節する新規の分子に関し、それはプロテアソーム起因の病状や疾患を予防または/および治療するための医薬品や化粧品に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規分子、およびプロテアソーム活性を調節するためのその使用に関する。本発明はまた、それらの分子を含む製剤組成物および美容組成物、ならびにプロテアソーム関連の病状および障害を予防および/または治療するためのこれらの分子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテアソームは、細胞質および真核細胞の核の必須タンパク質分解性酵素である。それは、大部分の細胞内タンパク質の分解に関係し、大部分のMHC-1分子によって提起される抗原の形質転換に関与する。
【0003】
3つの主要なもの(キモトリプシン様活性(CT-L)、トリプシン様活性(T-L)およびポスト−酸(post-acid)ペプチターゼ活性)を含めた少なくとも5つのタイプのタンパク質分解活性が確認されている。ポスト−酸ペプチダーゼタイプの触媒部位は、P1位におけるグルタミン酸を含むペプチド配列を選択的に切断する;トリプシン様触媒部位は、P1位における基本アミノ酸(アルギニン、リシン)を含むペプチド配列を選択的であるが独占的ではなく切断する;キモトリプシン様触媒部位は、P1位における疎水性アミノ酸(例えば、ロイシン)を含むペプチド配列を選択的であるが独占的ではなく切断する。
【0004】
プロテアソームの構造は、その活性が複合体レギュレーターにより規制される20Sと呼ばれる触媒活性複合体を含む26Sタンパク質複合体(2.4MDa)の構造である。
【0005】
プロテアソームは、平均7〜8残基を有する3〜25残基のフラグメントにタンパク質を加水分解する。
【0006】
プロテアソームの触媒分子(20S)は、2つの異なる状態で存在することができ、1つは活性状態であり、他方は不活性状態である。
【0007】
プロテアソームは、それがユビキチン依存であるかないかに関わらず、細胞内タンパク質分解に不可欠な要素である(Eytan他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 : 7751-7755 (1989)」;Reichsteiner他「J. Biol. Chem. 268 : 6065-6068(1993)」)。これらのメカニズムは、サイクリンおよび他の短寿命および長寿命のタンパク質の分解に関与している。腫瘍遺伝子(Glotzer他「Nature 349 : 132-138 (1991)」; Ciechanover他「Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88,139-143(1991)」)およびオルニチンデカルボキシラーゼ(Murakami他「Nature, 360 : 597-599(1992)」)は、分解されたタンパク質の例となる。これらのデータは、プロテアソームが細胞増殖の規制および有糸分裂において重要な役割を果たしていることを強く示唆している。
【0008】
プロテアソームはまた、免疫系の細胞への抗原ペプチドの提示において、したがってウイルスおよびガンに対して向けられる監視において、キーとなる役割を果たす(Brown他、「Nature, 355 : 355-360(1991)」)。
【0009】
タンパク質分解においてプロテアソームによって果たされる役割は、上記プロテアソームの阻害により、ガン、自己免疫疾患、エイズ、炎症性疾患、心臓疾患、移植拒絶反応、または筋萎縮のような病状に対して作用することを可能とすることを示唆している(M. Reboud-Ravaux「Progress in Molecular and Subcellular Biology, vol. 29, Springer Verlag, 2002, p.109-125」;Kisselev 他「Chemistry & Biology, 8,739-758(2001)」)。
【0010】
さらに、プロテアソームの活性化は、細胞内タンパク質分解のメカニズムに対し、例えば酸化されたタンパク質の蓄積が観察される場合に望まれ得る、当該メカニズムの促進方向への作用を可能にするであろうことが知られている。この状況においては、プロテアソーム活性化分子は、酸化されたタンパク質を除去することを可能とするはずであり、老化、特に皮膚の老化の兆候が現れることを抑制するための処置および/または方法を構成するに違いない。プロテアソーム活性化分子については、次の文献で特に記載されている:Kisselev他「J. Biol. Chem, 277,22260-22270 (2002)」;Wilk他「Mol. Biol. Rep., 24,119-124 (1997)」;Ruiz De Mena他「Biochem. J., 296,93-97 (1993)」;Arribas他「J. Biol. Chem., 265,13969-13973 (1990)」。
【0011】
タンパク質蓄積はまた、アルツハイマー病およびパーキンソン病の状況においても観察される。プロテアソームの活性化により、これらの病状の治療におけるタンパク質分解プロセスを活性化することが可能となる。このタイプの化合物は、文献(米国特許5,847,076号および日本特許2002029996号)に記載されている。
【0012】
プロテアソームインヒビターは、すでに市場に出ている;Velcade(登録商標)は、多発性骨髄腫の治療のために使用される。Velcade(登録商標)は、プロテアソームの活性部位と共有結合し、よってその活性をブロックする。したがって、そのことは、プロテアソームがタンパク質分解を実行することを防ぎ、特にアポトーシスおよび細胞死プロセスをブロックする(Richardson他「Cancer Control, 10,361-366(2003)」)。
【0013】
しかしながら、非常に効果的なこの作用のメカニズムは、生物にとって有害であり、かなりの副作用をもたらすこともまたわかっている。したがって、この課題は、それらの作用のメカニズムに関して、あまり激しくないプロテアソームインヒビターを見つけるというものである。
【0014】
プロテアソームは、基質の選択および採用する切断スキームにおいて際立った特異性を示さないため、プロテアソームインヒビターを規定する際の困難は、それだけ大きいものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようと意図する課題の1つは、プロテアソームの活性部位および/またはプロテアソーム調節部位に非共有結合する分子の開発というものであった。
【0016】
文献(「Bioorganic and Medicinal Chemistry, 11 (2003), 4881-4889」)は、配列Ac-Leu-Leu-Norleucinal由来の擬似ペプチドについて記述している。これらの化合物は、潜在的なプロテアソームインヒビターである。しかしながら、プロテアソームに対するそれらの活性は、定量化されていない。
【0017】
工業化可能とするために、その合成が簡易で再現性のある低分子を開発することもまた求められている。経口投与のためのような安定性のある分子を得ることもまた望まれている。
【0018】
文献(Papapostolou他「BBRC, 295 (2002) 1090-1095」)は、プロテアソームに非共有結合し、プロテアソームの機能に対する調節活性(あるものに対する活性化活性、他のものに対する阻害活性)を有する低分子ペプチド(5〜6個のアミノ酸)について記述している。
【0019】
しかしながら、標的に対するこれらの分子の親和性は、改良することができる。そして、ヒトへの投与のための条件下におけるそれらの安定性は、多くのものが望まれている。
【0020】
したがって、本発明者は、従来技術の分子の欠点を有しない新規分子を設計および合成することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、以下の一般式(I)に対応する本発明の分子およびその薬学的に受容できる塩により達成される:
(X0)x0-(X1)x1-(X2)x2-X3-(X4)x4-X5-X6-(X7)x7-(X8)x8-(X9)x9 (I)
ここで、x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9は、独立して0または1に等しい整数をそれぞれ表す;
X0は、式(II)に対応するものから選択される基を表す:
【0022】
【化1】

【0023】
ここで、Yは、飽和もしくは不飽和の直鎖、分岐もしくは環状のC1-C24アルキル基を表し、nは0および1から選択される整数を表す。
【0024】
次の場合に依存して
n=1であれば、X0はアミノアシル鎖上にグラフトしたビオチニル基を表す;
n=0であれば、X0はアシル鎖HY-CO-を表す;
X1およびX3は、その側鎖に少なくとも1つのヒドロキシル官能基をそれぞれ含むL体もしくはD体の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸をそれぞれ表す。X1およびX3は、それらが同じもしくは異なっていてもよく、例えばトレオニンおよびセリンから選択することができる;
X2は、例えばバリン、ロイシンまたはイソロイシンのようなアルキル側鎖を含むものから選択することができるL型もしくはD型の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸を表す;
X4は、例えばフェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシンのような芳香族側鎖を含むものから選択することができるL型もしくはD型の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸を表す;X4はまた、p-ベンゾイルフェニルアラニンのような光活性反応性基を含む芳香族アミノ酸でもあり得る;
X5は、以下のものから選択されるL型もしくはD型のアミノ酸を表す:正帯電アミノ酸(例、リシン、アルギニンまたはヒスチジン)、負帯電アミノ酸(例、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、アミド官能基を有するアミノ酸(例、アスパラギンまたはグルタミン);
X6は、チロシン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシンまたはアラニンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表す;X6はまた、p-ベンゾイルフェニルアラニンのような光活性反応性基を含む芳香族アミノ酸でもあり得る;X6はまた、リシンでもあり得る;
X7は、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、アスパラギンまたはアルギニンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表す;
X8は、プロリン、バリン、イソロイシンおよびアスパラギン酸から選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表す;
X9は、セリン、アラニン、リシン、アルギニンおよびトリプトファンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表す;
i-i+1(i=1,・・・8)で示される2つの連続したアミノ酸Xi-Xi+1の間の結合は、ペプチド基
【0025】
【化2】

【0026】
または以下のリストから特に選択される擬似ペプチド結合であり得る:
エステル CO-O
チオエステル CO-S
ケトメチレン CO-CH2
N-メチルアミド CO-N(Me)
逆アミド NH-CO
Z/Eビニレン CH=CH
エチレン CH2-CH2
メチレンチオ CH2-S
メチレンオキシ CH2-O
チオアミド CS-NH
メチレンアミノ CH2-NH
ケトメチレンアミノ CO-CH2-NH
ヒドラジノ CO-NH-NH
カルボニルヒドラゾン CO-NH-N=
N-アミノ CO-N(NH2)
上記のアミノ酸Xi(i=1,・・・9)は、Ci(i=1,・・・9)で示されるそれらのα-炭素の修飾を含むことができ、アミノ酸の側鎖Rを有する。その修飾は、以下の式
【0027】
【化3】

【0028】
を以下から選択される基
【0029】
【化4】

【0030】
で置換することからなる。
【0031】
R基およびCH-R1基はアミノ酸の側鎖を表し、そしてR2はC1-C6アルキル基を表す;必要に応じて、R-R2は環を構成する。
【0032】
本発明の擬似ペプチド結合は、以下の条件にも対応する:
・x0は1に等しく、
あるいは
・結合qi-i+1(i=1,・・・8)の内の1つは、擬似ペプチド結合であり、
あるいは
・Ci(i=1,・・・9)の内の1つは、上記の修飾の内の1つを含む。
【0033】
実際には、実験セクションにおいて例証されるように、少なくとも1つの非ペプチド基を含む式(I)の分子は、プロテアソームの活性部位および/または調節部位に非共有結合するという特性を一般に有する。特に、それらは、プロテアソームのCT-L(キモトリプシン様)活性の活性部位および/または調節部位に結合するという特性を有する。
【0034】
これらの分子の内のいくつかは、プロテアソーム阻害活性を有し、他のものはプロテアソーム活性化剤となる。P-ベンゾイルフェニルアラニン光活性基を含むいくつかの分子は、光化学処理の適用により、プロテアソームと共有結合することができる。
【0035】
インビトロで実行されたテストにおいて、本発明の分子が、Papapostolou他「BBRC, 295 (2002) 1090-1095」で記述された厳密なペプチド構造を有する従来技術の分子より大きなプロテアソームに対する親和性を有することは、注目すべきである。
【0036】
さらに、それらが厳密にペプチドの性質でないこと(非ペプチド結合および/または特定の修飾アミノ酸の存在)により、これらの分子の分解に対するプロテアーゼの効果を減らし、したがってインビボでの投与条件下でのタンパク質分解への抵抗が大きくなるという予想が可能となる。
【0037】
上記の擬似ペプチドの特徴に加えて、式(I)の分子の調製のために使われるアミノ酸は、L光学異性体の形にある天然アミノ酸であってもよい。しかしながら、それらのD体同類物またはβ-アミノ酸、γ-アミノ酸もしくはω-アミノ酸同類物を使用することは、予想することができる。
【0038】
本発明の分子は、以下の特徴の内の少なくとも1つを含んでいる:
・N-末端におけるビオチニル鎖もしくはアシル鎖、
・または修飾されたペプチド結合
・または修飾α-炭素を含むアミノ酸の存在。
【0039】
各々のこれらの修飾は、単純なペプチド鎖に関する変形からなる:
【0040】
【化5】

【0041】
しかしながら、本発明の分子は、例えば以下のような単純なペプチド鎖に関する2つ以上の修飾を含むことができる:
・N-末端におけるアシル基および1つ以上の擬似ペプチド結合
・N-末端におけるビオチニル基およびペプチド鎖の中のp-ベンゾイルフェニルアラニン基
・修飾α-炭素を含む擬似ペプチド結合およびアミノ酸
・N-末端アシル基およびβ-アミノ酸もしくはγ-アミノ酸。
【0042】
x0=1のとき、アシル鎖-Y-CO-は、直鎖、分岐もしくは環状であり、そして飽和もしくは不飽和であり得る。好ましくは、式-CpH2p-CO-(pは1〜23の範囲にある整数)で表される直鎖である。
【0043】
好ましくは、整数x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9の内の少なくとも1つは、1に等しい。
【0044】
式(I)に対応する分子の中でも、4〜8個のアミノ酸、好ましくは5〜7個のアミノ酸、さらに好ましくは6個のアミン酸を含むものが、好適である。
【0045】
x0=1の場合において、
・nが1のとき、好ましくは、Yは1から8個の炭素原子を含み、例えば、Yは-CpH2p-を表し、pは1、2、3、4、5、6、7もしくは8であり得る;
・nが0のとき、好ましくは、Yは5から23個の炭素原子を含み、例えば、Yは-CpH2p-を表し、pは5〜23の範囲にある整数であり得る。
【0046】
好ましくは、X1およびX3の内の少なくとも1つは、トレオニンを表す。さらに好ましくは、X1およびX3の両方が、トレオニンを表す。
【0047】
好ましくは、X2は、イソロイシンまたはバリンから選択される。
【0048】
好ましくは、X4は、フェニルアラニン、チロシンおよびp-ベンゾイルフェニルアラニンから選択される。
【0049】
好ましくは、整数x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9の内の少なくとも2つは、1に等しい。さらに好ましくは、これらの整数の内の少なくとも3つが、1に等しい。
【0050】
式(I)に対応する分子の中でも、とりわけ好ましい配列は、以下の式(Ia)に対応するものである:
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6 (Ia)
ここで、X0、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は上記と同じ定義であり、アミノ酸XiおよびXi+1(i=1,・・・5)の間の結合qi,i+1は、ペプチド結合または擬似ペプチド結合である。
【0051】
分子(Ia)の第一の好ましい変形によれば、X0は以下のものを表す:
【0052】
【化6】

【0053】
pは1〜8、好ましくは2〜6の範囲にあり、そしてX4はp-ベンゾイルフェニルアラニン基を表す。
【0054】
分子(Ia)の第二の好ましい変形によれば、X0はアシル基を表す:
【0055】
【化7】

【0056】
ここで、YはC3〜C23アルキル基を表す。
【0057】
さらに好ましくは、X0は以下の基を表す:
【0058】
【化8】

【0059】
pは3〜23、好ましくは5〜19の範囲にある。
【0060】
式(I)に対応する分子の中でも、別の好ましい配列は、以下の式(Ib)に対応するものである:
X3-X5-X6-X7-X8-X9 (Ib)
ここで、X3、X5、X6、X7、X8およびX9は、上記と同じ定義であり、
・2つの連続するアミノ酸の間の結合の内の少なくとも1つは、擬似ペプチド結合であり、
あるいは
・アミノ酸の内の1つのα-炭素の内の1つは、修飾α-炭素である。
【0061】
本発明に従えば、用語「塩」は、ペプチド鎖のカルボキシル官能基のアミン塩、およびこの同じポリペプチド鎖のアミン基との酸付加塩の両方に関する。カルボキシル官能基の塩は、無機塩基および有機塩基で形成させることができる。無機塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、バリウム塩およびマグネシウム塩)、アンモニウム塩、第一鉄塩、第二鉄塩、亜鉛塩、マンガン塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。有機アミンとの塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ(n-プロピル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、カフェインおよびプロカインが挙げられる。
【0062】
酸付加塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、塩化臭素酸、硫酸、リン酸または硫酸)との塩;有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸または安息香酸)との塩が挙げられる。
【0063】
本発明の好ましい分子の中でも、以下からなるものを挙げることができる:
【0064】
【化9】

【0065】
TNL*GPS、または他にSEK*RVW、TRA*LVR、SNL*NDAおよびTHI*VIK、
ここで、*は以下のものを表す:
・エステル結合、チオエステル結合、ケトメチレン結合、ケトメチレンアミノ結合、N-メチルアミド結合、逆アミド結合、Z/Eビニレン結合、エチレン結合、メチレンチオ結合、メチレンオキシ結合、チオアミド結合、メチレンアミド結合、ヒドラジノ結合、カルボニルヒドラゾンおよびN-アミノ結合から選択される結合
あるいは
*に隣接するアミノ酸の1つに対する置換基としてのアザ−アミノ酸の存在。
【0066】
Biotはビオチニル基を表し、Avaはδ-アミノ吉草酸を表し、Bpaはp-ベンゾイルフェニルアラニン基を表す。
【0067】
本発明によると、上記の分子は、そのC末端および/または可能な場合はそのN末端で、本発明の分子の生体利用性を促進する他の分子とカップリングすることもまた予想することができる。この効果に対しては、細胞への浸透を促進し、以下の文献で特に記述されているペプチドについて挙げることができる:ROJA他「Nat. Biotechnol., 16,370-375(1998)」;FUTAKI他「J. Biol. Chem., 276,5836-5840 (2001)」;MORRIS他「Nat. Biotechnol., 19,1173-1176 (2001)」。ペネトラチンと呼ばれる製品およびDiatos社より販売されているペプチドベクターについても挙げることができる。
【0068】
本発明の分子は、ペプチド合成および擬似ペプチド合成のような当業者に周知の技法によって調製することができる。これらの合成の技法は、実験セクションで例証される。擬似ペプチドの合成に関して、例えば、以下の文献を参照とすることができる:SPATOLA「Vega Data, Vol.1 issue 3 (1983)」;SPATOLA「Chemistry and Biochemistry of Amino Acids Peptides and Proteins, Weinstein, ed., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983)」;MORLEY. J. -S.「Trends Pharm. Sci., 463-468 (1980)」;HUDSON他「Int. J. Pept. Prot. Res. 14,177-185 (1979)」;SPATOLA他「Life Sci., 38,1243-1249 (1986)」;Hann「J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 307-314 (1982)」;ALMQUIST他「J. Med. Chem., 23,1392- 1398 (1980)」;JENNINGS-WHITE他「EP-45665」;HOLLADAY他「Tetrahedron Lett. 24,4401-4404 (1983)」;HRUBY他「Life Sci. 31,189-199 (1982)」。
【0069】
本発明によって修飾されるペプチドはまた、組み換え核酸分子由来のペプチドの発現に次いで修飾すること(フェニルアラニン残基上へのp-ベンゾイル基のグラフト、ビオチニルアミノアシル基およびアシル基のグラフト)により得ることができる。
【0070】
本発明の分子は、プロテアソーム活性を調節するのに用いることができる; これらの用途は、本発明のもう一つの主題を構成する。
【0071】
本発明の主題の1つは、特に、プロテアソーム、とりわけそのキモトリプシン(CT-L)活性を伴う病状の予防および/または治療における使用のための医薬品を調製するために、上記の分子を使うことである。
【0072】
これらの分子のいくつかは、プロテアソーム活性阻害特性を有し、そしてこれに関して、それらは、以下から選択される病状の予防および/または治療における使用のための医薬品を調製するために使うことができる:多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫、肉腫のような血液腫瘍を含むガン(RICHARSON他「Cancer Control, 10,361-366 (2003)」、ADAMS「Drugs Discovery Today, 8,307-311」);または固形の脾臓腫瘍、乳房腫瘍、結腸腫瘍、腎臓腫瘍、耳/鼻/咽喉の腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、膵臓腫瘍、皮膚腫瘍(LENZ「Cancer Treatment Reviews, 29,41-48(2003)」);クローン病および喘息のような炎症性疾患(ELLIOT他「J. Allergy Clin. Immunol. 104,294-300(1999)」、ELLIOT他「Journal of Molecular Medecine, 81,235-245 (2003)」);筋萎縮症(LECKER他「J. Nutr. 129, 2275-2375(1999)」);エイズ(SCHUBERT「Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97,1357-1362 (2000)」);関節リウマチおよび急性播種性紅斑性狼瘡のような自己免疫疾患(Schwartz他「J. Immunol, 164,6114-6157 (2000)」);心筋炎のような心疾患および心筋レベル、脳レベルまたは肺レベルのいずれかを問わない虚血性過程の帰結(CAMPBELL他「J. Mol. Cell Cardiol. 31,467-476」);脳卒中(ZHANG 他「Curr. Drug Targets Inflamm. Allergy 1, 151-156 (2002)」、DI NAPOLI他「Current Opinion Invest. Drugs, 4,303-341 (2003)」);同種移植の拒絶反応;外傷、火傷、角膜再生(STRAMER他「Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 42, 1698-1706 (2001)」)。
【0073】
これらの分子のいくつかは、プロテアソーム作用刺激活性を有し、そしてこれに関し、例えば、アルツハイマー病(TSUJI and SHIMOHAMA「M. Reboud-Ravaux, Progress in Molecular and Subcellular Biology, vol. 29, Springer Verlag, 2002, p. 42-60」)およびパーキンソン病(SIDELL他「J. Neur. Chem., 79,510-521(2001)」)のような老化に関係する特定の病状の予防または治療における使用のための医薬品を調製するために使うことができる。
【0074】
プロテアソーム作用刺激分子はまた、経年皮膚老化もしくは光線性皮膚老化(光による老化)の効果を遅延させ、および/または治療するように意図された組成物を調製するために、美容用品または皮膚科関係において使うことができる(FISHER他「Photochem. Photobiol. 69,154-157 (1999)」)。酸化されたタンパク質は、皮膚の古い線維芽細胞に蓄積する。一方、(酸化されたタンパク質の分解に反応し得る)プロテアソームは、その活性が減少することになる(GRUNE「Hautartz, 54, 818-821 (2003)」;LY他「Science, 287,2486-2492 (2000)」)。本発明の1つの主題は、特に、美容的に受容できる担体の中の本発明の分子を応用することを含む、生理学的および/または光線性の皮膚老化の影響が現れることを予防または治療するための美容プロセスである。皮膚老化の中でも、とりわけ、皺の発生、顔のつやがなくなること、皮膚のたるみ、および弾力性の減少を挙げることができる。
【0075】
本発明の分子は、治療分野(抗ガン治療、抗エイズ併行治療など)および美容分野の両方において、単独または1つ以上の活性成分と組み合わせて使用することができる。それらはまた、放射線治療処置と共に使用することもできる。
【0076】
本発明の分子はまた、腫瘍の放射線増感において使用するための医薬品の調製のためにも使うこともできる。
【0077】
本発明の1つの主題はまた、薬学的に受容可能な担体の中に本発明の分子を含む医薬品である。
【0078】
担体およびアジュバントの選択は、治療される病状のタイプによって調節される投与方法に基づいて行われる。経口投与または非経口投与が予想され得る。
【0079】
ヒトまたは必要に応じて動物に投与する式(I)の分子の量は、この分子に特異的な活性(その活性は、実施例で開示される手段で測定することができる。)に依存する。その量は、治療される病状の重篤度にもまた依存する。
【0080】
本発明の1つの主題はまた、美容的および/または皮膚科的に受容可能な担体の中に発明の分子を含む美容用組成物および/または皮膚科用組成物である。このような担体は、例えば、クリーム、ローション、ミルク、軟膏、シャンプーでありえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
《実験セクション》
A−分子の合成
1−リポペプチド
17種のリポペプチドを合成した。それらの構造は、表Iに示される:
【0082】
【表1】

【0083】
リポペプチドは、Fmoc-Leu(tBu)-Wang PS樹脂、Fmoc-Lys(Boc)-WangPS樹脂およびFmoc-Tyr(tBu)-Wang PS樹脂(Senn Chemicals International(ディールスドルフ、スイス)を使って、半自動式シンセサイザー(CNRS、IBMC、ストラスブール、フランス)(1.Neimark, J. and Briand, J. P. (1993)「Pept. Res. 6, 219-228」)で合成される。用いた方法は、従来からのFmoc/tBuプロトコルである。ペプチド鎖の延長は、Fmoc-アミノ酸(樹脂置換で3当量)の連続的なカップリングおよび脱保護により行った。使用したアミノ酸(Neosystem (ストラスブール、フランス)またはSenn Chemicals International(ジャンティイ、フランス))は、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Gln(OtBu)-OHおよびFmoc−Lys(Boc)−OHである。カップリング触媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(3当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(3当量)およびジイソピロピルエチルアミン(DIEA)(9当量)である。
【0084】
各工程の進行は、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸を使った比色アッセイによって制御する。Fmoc基のN末端脱保護は、ピペレジンの20%DMF溶液で行う。
【0085】
脂質鎖は、DIEA(9当量)の存在下で酸塩化物(3当量)を使ってカップリングした。
【0086】
ペプチドを10mlのTFA、0.750gのフェノール、0.25mlのEDT、0.5mlのチオアニソールおよび0.5mlの脱イオン水の混合物により樹脂から2時間で切断する。この混合物を最初に樹脂-ペプチドに0℃において加えるが、切断は室温で行う。氷冷Et2Oを加えることにより、ペプチドを沈殿させ、そして、樹脂を濾過で分離する。TFAを使って、焼結ガラスに残っているペプチドを氷冷Et2Oで満たした丸底フラスコ全体に溶かす。次いで、それを濃縮し、凍結乾燥する。
【0087】
Jasco875UV検出器をつないだL6200ポンプを備えている日立メルクシステムで行われる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりペプチドを精製する。使った分取カラムは、Macherey-Nagel Nucleosil 300-7 C4カラム(250×10mm i.d.)である。溶離液は、0.1体積%のTFA(配列グレード、Sigma)の超純水溶液Aおよび0.08%のTFAと20%の水とのアセトニトリル(Carlo Erba)溶液Bから構成される。ペプチドを、50%までのA中の20%のBの勾配により、30分かけて4ml/分において溶離させる。ペプチドを手作業により回収する。溶媒を蒸発させた後、精製したペプチドを凍結乾燥し、その後に質量分析およびNMRにより同定する。
2−擬似ペプチド
2.1還元ペプチド
a.Fmoc-ロイシナールを調製するための手順(Douat C.、Heitz A.、Martinez J.、Fehrentz J. A.「Tetrahedron Lett.,2000,41,37-40」):この手順は、以下のスキーム1により概説される。
【0088】
【化10】

【0089】
スキーム1:Fmoc-ロイシナールの合成
b.Fmoc-Leu-N(CH2-CH22Oの合成
Fmoc-Leu-HをDouat他(上記§a)によって記述されたようにして合成した。4.81mmol(0.53ml)のN-メチルモルホリンおよび4.81mmol(0.62ml)のイソブチルクロロホルメート(IBCF)をFmoc-Leu-OH(4.81mmol、1.7g)の無水THF溶液(10mol)に-15℃において窒素流の下で滴下して加える。溶液をマグネチックスターラープレートが付いたマグネチックバーで攪拌する。その反応媒体を15分間攪拌し、濾過し、そして無水THFによって2回洗滌する。さらに窒素下で、4.81mmol(0.42ml)のモルホリンを滴下して加え、その混合物を室温において1時間攪拌する。溶媒を回転エバポレーターにより真空下で蒸発させ、残渣を50mlの酢酸エチルに溶かし、5%のKHSO4水溶液(15ml)、5%のKHSO3水溶液(15ml)に続き脱イオン水(2×10m)で洗滌する。有機相をMgSO4で乾燥し、そして回転エバポレーターにより真空下で蒸発させた。70:30の酢酸エチル:ヘキサン混合物(Rf=0.40)で実行される溶離によるシリカカラムクロマトグラフィーを使って、粗生成物(1.88g)を精製する。生成物は、白い泡の形状である(収率69%、1.4g、3.31mmol)。
【0090】
【化11】

【0091】
1H NMR (300 MHz, CDC13): 0.94ppm (3H, d, Jk-j = 6.5 Hz, Hk) ; 0.99ppm (3H, d, Jk-j ppm= 6.5 Hz, Hk); l.54ppm(2H,m,Hi) ; 1.69 ppm (lH, m, Hj) ; 3.47 ppm (4H, m, H1) ; 3.66 ppm (4H, m, Hm) ; 4.22ppm (lH, t, Je-f = 6.7Hz, He) ; 4.37 ppm (2H, m, Hf) ; 4.70 ppm (lH, m, Hh) 5.57 ppm (lH, d, Jg-h= 8.8 Hz, Hg) ; 7.31 ppm (2H, m,Hc); 7.40 ppm (2H, dd, Jb-a= Jb-c=7.3Hz, Hb) ; 7.60 ppm (2H, m, Hd); 7.76ppm (2H, d, Ja-b = 7.3Hz, Ha)。
【0092】
このようにして得られるWeinrebアミド(1.4g、3.31mmol)を30mlの無水THFに溶かし、氷浴で冷却し、次いで小さな断片の1.25当量のLiAlH4(162.3mg、4.14mmol)を10分間かけて加える。その反応媒体を0℃において40分間攪拌し、次いで5%KHSO4水溶液(5ml)で加水分解する。生成物をジエチルエーテル(3×30ml)で抽出し、そして有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、真空下で蒸発させて、Fmoc-ロイシナール(794mg、2.35mmol)を得る。その後の精製をせずに、これを使用する。
c−固体支持体上での合成
1%のジビニルベンゼン(Senn Chemicals、ディールスドルフ、スイス)で架橋したFmoc-Ser(tBu)-Wang PS樹脂を使って、擬似ヘキサペプチドを半自動シンセサイザー(CNRS、IBMC、ストラスブール、フランス)により合成する。使用した方法は、従来からのFmoc/tBuプロトコルである。ペプチド鎖の延長を、Fmoc-アミノ酸(0.75mmol)の連続カップリングにより0.5meq./gで置換された0.5gの樹脂を使って行う。アスパラギンおよびトレオニンの側鎖は、トリチル基およびtert-ブチル基で保護する。カップリング触媒は、ジメチルホルムアミド(DMF、5ml)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(0.75mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.75mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(2.25mmol)である。
【0093】
各工程の進行は、Ser、Gly、Leu、AsnおよびThrに対して2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸を使い、そしてProに対してクロラニル(テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン)を使った比色アッセイによって制御する。Fmoc基のN末端脱保護は、ピペレジンの20%DMF溶液で行う。
d−還元結合Ψ[CH2-NH]の合成
この合成は、以下のスキーム2により概説される:
【0094】
【化12】

【0095】
スキーム2:還元結合Ψ[CH2-NH]の合成
Fmoc-Pro-OHおよびFmoc-Gly-OHを連続的にカップリングし、-NH2官能基を切り離した後に、アルデヒドFmoc-Leu-OH(0.253g、0.75mmol)を反応器に加え、5mlのDMFに溶解させる。数滴の氷冷されたAcOHを反応媒体に加え、3当量のNaBH3CNを1時間かけて何回かに分けて添加する。その混合物を一晩攪拌したままの状態に置く。Fmoc基を上記の条件下で脱保護する。
【0096】
Fmoc-Asn(Trt)-OHおよび Fmoc-Thr(tBu)-OHの連続カップリングを上記の条件下で行うことにより、ヘキサ擬似ペプチドの合成を終わらせる。
【0097】
ペプチドを10mlのTFA、0.750gのフェノール、0.25mlのEDT、0.5mlのチオアニソールおよび0.5mlの脱イオン水の混合物により樹脂から2時間で切断する。この混合物を最初に0℃に冷却するが、切断は室温で行う。氷冷Et2Oを加えることにより、ペプチドを沈殿させ、そして、樹脂を濾過で分離する。TFAを使って、焼結ガラスに残っているペプチドを氷冷Et2Oで満たした丸底フラスコ全体に溶かす。次いで、それを濃縮し、凍結乾燥する。
【0098】
Jasco875UV検出器をつないだL6200ポンプを備えている日立メルクシステムで行われる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、擬似ペプチドを精製する。使った分取カラムは、Waters DELTA PAK C18(300×7.8mm i.d.、粒径:15μm、多孔率:300Å)である。溶離液は、0.1体積%のTFA(配列グレード、Sigma)の超純水溶液Aおよび0.08%のTFAと20%の水とのアセトニトリル(Carlo Erba)溶液Bから構成される。ペプチドを、50%までのA中の20%のBの勾配により、30分かけて4ml/分において溶離させる。ペプチドを手作業により回収する。溶媒を蒸発させた後、精製したペプチドを凍結乾燥し、その後に質量分析およびNMRにより同定する。
【0099】
m/z[ES] [M+H]に対する理論値573.31、実験値574.41。
【0100】
NMRスペクトルは、予想される構造と一致する。
2.2ヒドラジノペプチド
a−NβBoc-NβBoc-Nα-Z-ヒドラジノグリシンの調製のため手順
Boc-2N-N(Z)-CH2-COOHをN.Brosse他(N.Brosse, M.-F.Pinto, J.Bodiguel, B.Jamart-Gregoire「J.org.Chem.,2001,66,2869-2873」)によって記述される方法によって合成した。この合成経路は、下記のスキーム3で概説される:
【0101】
【化13】

【0102】
スキーム3:NβBoc-NβBoc-Nα-Z-ヒドラジノグリシンの合成
b−固体支持体合成:
この合成は、下記のスキーム4で概説される。
【0103】
1%のジビニルベンゼン(Senn Chemicals、ディールスドルフ、スイス)で架橋したFmoc-Ser(tBu)-Wang PS樹脂を使って、擬似ヘキサペプチドを半自動シンセサイザー(CNRS、IBMC、ストラスブール、フランス)により合成する。使用した方法は、従来からのBoc/Bzlプロトコルである。ペプチド鎖の延長を、Boc-アミノ酸(1.04mmol)の連続カップリングにより0.69meq./gで置換された0.5gの樹脂を使って行う。アスパラギンおよびトレオニンの側鎖は、キサンチル基およびBzl基でそれぞれ保護する。Nβ,Nβ-Boc-Nα(Z)Gly-OHを通常のアミノ酸のように組み入れる。この残基に関しては、他のアミノ酸のカップリングのための反応が2時間であるかわりに、カップリング時間が一晩となる。カップリング触媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、5ml)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(1.04mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(1.04mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(3.12mmol)である。
【0104】
各工程の進行は、Ser、Gly、Leu、AsnおよびThrに対して2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸を使い、そしてProに対してクロラニル(テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン)を使った比色アッセイによって制御する。Fmoc基のN末端脱保護は、ピペレジンの20%DMF溶液で行う。
【0105】
【化14】

【0106】
スキーム4:ヒドラジノペプチドの合成
末端トレオニンのカップリングの後、チオアニソール(1ml)およびEDT(0.5ml)の存在下で、ペプチドをTFA(10ml)とTFMSA(1ml)との混合物により、樹脂から切断する。Jasco875UV検出器をつないだL6200ポンプを備えている日立メルクシステムで行われる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、擬似ペプチドを精製する。使用した分取カラムは、Waters DELTA PAK C18(300×7.8mm i.d.、粒径:15μm、多孔率:300Å)である。溶離液は、0.1体積%のTFA(配列グレード、Sigma)の超純水溶液Aおよび0.08%のTFAと20%の水とのアセトニトリル(Carlo Erba)溶液Bから構成される。ペプチドを、50%までのA中の20%のBの勾配により、30分かけて4ml/分において溶離させる。ペプチドを手作業により回収する。溶媒を蒸発させた後、精製したペプチドを凍結乾燥し、その後に質量分析およびNMRにより同定する。
2.3 ケト−メチレンアミノペプチドΨ[CO-CH2-NH]:
a−ジメチルジオキシラン(DMD)の合成
254mlの蒸留水、192mlのアセトンおよび58gのNaHCO3を1L丸底フラスコに加える。その混合物を5℃にして、120gのOxone(登録商標)を3分ごとに少量づつ加える。酸化剤を加えるごとに、かなりの量のガスを放出させる。その添加の終了時に、冷水浴を取りはずし、そしてDMDを軽度の真空の下の冷たい壁に移すことにより回収する。溶液(0.09Mにおいて約150ml)を4Åモレキュラーシーブに-20℃において保存し、そして24時間以内に使用する。
b−DMDを用いた酸化:
グリオキサールFmoc-Leu-CHOの合成:
ジアゾFmoc-Leu-CH=N2(548mg、1.5mmol)をDMD(50ml、4.5mmol)の溶液中に溶解させることにより、直接反応させる。0℃において10分攪拌した後に、溶媒を蒸発させ、そして沈殿による分離を介して残留水を除去するために、残渣をDCM(15ml)に溶かす。溶媒を再び蒸発させる。収量は定量的である。その後の精製をすることなく、グリオキサールを直ぐに使用する。
【0107】
合成が終了した時点で、ケト−メチレンアミノ擬似ペプチドを通常のプロトコルに従って樹脂から切断する。
【0108】
この合成経路は、以下のスキーム5で概説され、そしてGroarke M.、Hartzoulakis B.、McKervey M. A.、Walker B.、Williams C. H.「Bioorg. Med. Chem. Lett.,2000,10,153-155」に従った。
【0109】
【化15】

【0110】
スキーム5:ケト−メチレンアミノ基Ψ[CO-CH2-NH]を含むペプチドの合成
2.4 カルボニルヒドラゾンペプチドΨ[CO-NH-N=]:
この合成経路は、以下のスキーム6で概説され、そしてLourak M.、Vanderesse R.、Vicherat A.、Jamal-Eddine J.、Marraud M.「Tetrahedron Lett., 2000,8773-8776」に従った。
【0111】
【化16】

【0112】
スキーム6:カルボニルヒドラゾン基Ψ[CO-NH-N=]を含むペプチドの合成
DIEAの存在下でDCM中のTBTUで活性化されるエステルの形成を介して、N-Fmocロイシン(1g、2.83mmol)をtert-ブチルカルバゼート(273mg、3.11mmol)とカップリングする。脱保護された化合物を98%の収率で得る。酸性媒体中で変化しやすいBoc保護を、HClの3N酢酸エチル溶液の中で化合物を1時間攪拌することにより取り除く。次いで、塩化水素に対するトリエチルアミン(Et3N)のメタノール溶液の作用により、ヒドラジンを再び発生させる。この反応は、定量的でクリーンである。ケトンパートナーとしての市販グリシンの模倣薬であるエチルグリオキシレート(1.7g、16.64mmol)でのヒドラジンの濃縮により、カルボニルヒドラゾン結合を得る。この反応を達成するために、塩基は必要ではない。2時間の反応時間は、DCMにおいて十分である。擬似ジペプチドジエチルエステルを、酢酸エチル中の30%の石油エーテルから構成される溶離液を使ってシリカゲルで精製し、そして84%の収率を有する固体の形で回収する。
【0113】
エステルFmoc-LeuΨ[CO-NH-N=]-Gly-OEt(1.05g、2.33mmol)を1/2(v/v)のMeOH/THF混合物に0℃において溶解させる。次いで2当量のLiOH(112mg、4.66mmol)をゆっくり加え、そしてその溶液を10分間攪拌したままにする。溶媒の混合物を蒸発させた後、残渣をEtOAcに溶かし、5%のKHSO4水溶液(2×10ml)および蒸留水(2×10ml)で洗滌することにより処理する。MgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させた後に得られた酸(635mg、1.5mmol)を、スキーム7で例証されるように、BtOH、TBTUおよびDIEAの存在下での形成中のヘキサペプチドとの一晩のカップリングにおいて、直ぐに使用する。
【0114】
【化17】

【0115】
スキーム7:カルボニルヒドラゾン基を含むペプチドの合成
合成が完了した時点で、カルボニルヒドラゾン擬似ペプチドを通常のプロトコルに従って樹脂から切断する。
3.ビオチニル化ペプチドおよび/またはp-ベンゾイルフェニルアラニン基を有するペプチド
Biot-Ava-TVT-Bpa-KFの合成
Fmoc-Phe-Wang樹脂(500mg)を5mlのDMFに溶かす。DMF中の5mlの20%ピペリジンを3回使った脱保護工程の後、5mlのDMFに溶かしたFmoc-Lys(Boc)-OH(513mg、3当量)を、TBTU(351mg、3当量)、BtOH(168mg、3当量)およびDIEA(0.6ml、9当量)の存在下で添加する。40分の攪拌の後、TNBSAの存在下で、メタノール中の樹脂ビーズのサンプルに関してテストを行う。テストが陰性(ビーズの白い着色の観察)となってから、脱保護工程を開始する。次に、アミノ吉草酸Fmoc-Ava-OHが得られるまで、Bpa(492.4mg、3当量)を順に加えるなどする。Fmoc基の脱保護の後、ビオチン(Bachem、スイス)(268mg、3当量)をDIEA(0.6 ml、3当量)の存在下で最終的に加える。攪拌を一晩続ける。5×5mlのDCMによって樹脂をすすいだ後に、樹脂を真空下で乾燥する。ペプチドおよびその樹脂は、0.75gのフェノール、0.5mlのチオアニソール、0.5mlの浸透水、0.25mlのEDTおよび10mlのTFAを含んでいる混合物と反応させる。混合物の添加を氷浴中で0℃において行った場合、攪拌は室温において1時間30分継続した。ペプチドは、氷冷したEt2Oの添加により沈殿し、そして樹脂を濾過により取り除く。焼結ガラスに残存しているペプチドを、氷冷Et2Oを満たした丸底フラスコにTFAを使って溶解させる。次いで、それを濃縮し、凍結乾燥する。
【0116】
ペプチドを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製する。使用する分取カラムは、Waters DELTA PAK C18(15μm、300Å、7.8×300mm)である。溶離液は、0.1体積%のTFAの水溶液Aおよび0.08%のTFAと20%の水とのアセトニトリル溶液Bから構成される。
B−生物活性
1.酵素
ゼノパス(Xenopus laevis)26Sプロテアソームを以下で記述されたプロトコルに従って精製した:GLICKMAN and COUX(2001)「Current Protocols in Protein Science, Suppl. 24, Wiley, New York, pp. 21.5.1-21.5.17.」。
【0117】
酵母(Saccharomyces cerevisae)26Sプロテアソームおよび酵母20Sプロテアソーム以下で記述されたプロトコルに従って精製した:LEGGETT他(2002)「Molecular Cell, 10, pp 495-507」。
2.基質
Bachem社(Voisins-le-Bretonneux、フランス)から提供された蛍光発生基質Suc-LLVY-amc(CT-L)、Z-LLE-βNA(PA)およびBoc-LRR-amc(T-L)を使って、ペプチド活性を決定した。
3.装置
酵素活性はBioliseによって制御されたBMG Fluostarマルチウエルプレートリーダー蛍光計を使って測定した。この装置は、ペルティエ効果サーモスタットデバイスを備えている。
【0118】
緩衝液のpHは、放射計TT1C pHメーター、Bタイプ電極を備えているpH-statを使って測定した。
【0119】
反応速度データの数学的処理および統計学的処理は、Kaleidagraph3.08.dソフトウエア(Abelbeck Software)を使って実行した。
4.プロテアソームの活性の測定
酵母26Sプロテアソームおよびゼノパス26Sプロテアソームのペプチド活性ならびに酵母20Sプロテアソームのペプチド活性(潜伏もしくは活性化状態)を表IIに掲げた条件の下で決定した。
【0120】
【表2】

【0121】
CT-L:キモトリプシン様活性、T-L:トリプシン様活性、PA:ポスト−酸(またはカスパーゼ)タイプ活性
5.阻害効果の検出および考察
観察される化合物を緩衝液(ペプチド、擬似ペプチド)またはDMSO(リポペプチド、光活性化ペプチド)に溶かした。インヒビターの存在下で、酵素を対応する緩衝液(表II)の中でプレインキュベート(30℃において15分)する。インヒビターをDMSO(リポペプチド、光活性化可能ペプチド)に溶かした場合、インヒビターのないコントロールは、インヒビター(3.5%、v/v)を用いるアッセイと同一の量のDMSOを含んでいる。基質を添加することで、反応を開始させる。それを30℃において連続的に30分間モニターする。インヒビターを用いるアッセイの初期速度(実験点から計算される)をコントロールの初期速度と比較する。少なくとも2つの独立したテストの平均を計算することにより、提示された結果を得た。変動は、10%未満である。
5.1−反応速度分析
IC50パラメータは、50%の酵素活性の損失を生じさせるインヒビターの濃度と一致する。
a.IC50パラメータの測定
濃度を増加させたインヒビターの存在下で、酵素をプレインキュベートする。基質を添加することで、反応を開始させる(「阻害効果の検出および考察」のパラグラフを参照)。%阻害は、方程式1から計算する。
【0122】
【数1】

【0123】
式中、V0はコントロールの速度であり、V1はインヒビターの存在下での速度である。
【0124】
実験点は、濃度の関数として観察される化合物の阻害効果の変化を示している。原則として、それらは、方程式2で示される曲線と一致する。式中の[I]はインヒビターの濃度である。
【0125】
【数2】

【0126】
阻害が協同的である場合、実験点は、方程式3で示される曲線と一致する。式中のnは協同性指数を表す。
【0127】
【数3】

【0128】
b.阻害のメカニズムの考察
インヒビターの濃度の関数としてのV0/Vi比の変化の曲線を追跡することにより、阻害のメカニズムを決定する。
・厳密な競合阻害
酵素の単一部位を伴う阻害の場合、インヒビターの濃度の関数としてのV0/Vi比の変化は、方程式4で規定される直線(図1a)となる。
【0129】
【数4】

【0130】
これは、阻害が厳密に競合している場合である:PAPAPOSTOLOU他、「Biochem. Biophys. Res. Comm.,2,295,1090-1095(2002)」;STEIN他「Biochemistry,35,3899-3908(1989)」。
【0131】
【数5】

【0132】
・放物線型の阻害
阻害が酵素の2つの異なる部位を伴う場合、インヒビターの濃度の関数としてのV0/Vi比の変化は、図1cの反応スキームに従って、方程式6で規定される放物線(図1b)を形成する。
【0133】
【数6】

【0134】
CT-L活性およびPA活性の阻害の場合、第一の部位は触媒部位であるが、第二の部位は非触媒調節部位であり、その位置は未知である:PAPAPOSTOLOU他、「Biochem. Biophys. Res. Comm.,2,295,1090-1095(2002)」;KISSELEV他「J. Biol. Chem.,278,35869-35877(2003)」。
【実施例】
【0135】
6−実施例
6.1 ペプチド
比較の目的のために、活性化20SプロテアソームのCT-L活性およびポスト−酸活性のインヒビターである種々のペプチドを調べた。例示のためには、ペプチドTVTFKF(CT-L活性:IC50=229μM、PA活性:IC50=210μM)およびTITYKF(CT-L活性:IC50=260μM、PA活性:IC50=336μM)を挙げることができる。それらは、プロテアソームの活性部位および調節部位の両方に作用する(放物線型反応速度)。
6.2 リポペプチド
いくつかのリポペプチドは、活性化20SプロテアソームのCT-L活性のインヒビターである。
【0136】
その阻害効果は、ペプチドの配列および脂肪族鎖の長さに依存する。鎖CH3-(CH2)x-CO-は、CXと記される。
【0137】
【表3】

【0138】
・35μMのオーダーのIC50値は、リポペプチドCH3-(CH2)6-CO-TVTYKFおよびCH3-(CH2)8-CO-TVTFKFに対して観察される。C10炭素鎖は、それがペプチドTVTFKFのN-末端に結合している場合に、6.5の係数で阻害能力を増加させる(CH3-(CH2)8-CO-TVTFKFとペプチドTVTFKFとの間の比較)。同様に、C8炭素鎖とのTVTYKFのN-末端の修飾により、17倍の増加が観察される。
・与えられた配列のペプチドに対し、阻害効果は、一般に炭素鎖の長さに非常に敏感である。そのことは、阻害効果の正確な調節を、単にこのパラメータを調節することにより得ることができることを示唆している。したがって、親油性脂肪族鎖は、対応するペプチドの阻害効果を補強することが明らかに可能である。
6.2 擬似ペプチド
次のペプチドを合成した:
TNLGPS
次いで、TNLGPS配列を一連の擬似ペプチドの合成の出発点として使用した。
【0139】
還元された擬似ペプチドアミド結合-Ψ[CH2-NH]-をロイシン残基とグリシン残基の間に導入する。この結合は、非加水分解性である。
TNL-Ψ[CH2-NH]-GPS (1)
Ac-TNL-Ψ[CH2-NH]-GPS (2)
対応する擬似ペプチドTNL-Ψ[CH2-NH]-GPS(1)は、活性化20Sプロテアソームのインヒビターのように作用する。この擬似ペプチドに対するIC50の評価値は380μMであるが、ペプチドTLNGPSは、1750μMのIC50でプロテアソームを阻害する(その加水分解が無視できる実験条件の下でのテスト)。反応速度分析は、擬似ペプチド1が触媒部位および調節部位と反応することを示している。
【0140】
擬似ペプチド1のN-末端をアセチル化することにより得られる擬似ペプチド2は、擬似ペプチド1の半分の効果である。
【0141】
同じオーダーの阻害効果は、ポスト−酸活性(PA:[1]=500μMに対して63%;[2]=1mMに対して28%)に関連して見出される。
6.3 ビオチニル化ペプチドおよび/またはp-ベンゾイルフェニルアラニン基を有するペプチド
このカテゴリーは、下記の分子で例示される:
Biot-Ava-TVT-Bpa-KF (3) IC50=32μM。
【0142】
これは、p-ベンゾイルフェニルアラニン光活性化性基およびBpa基(Biot=ビオチニル、Ava=δ-アミノ吉草酸)を有する。
7.プロテアソーム活性化効果:
7.1 活性化効果の検出および定量化
調べる化合物を緩衝液またはDMSOに溶解させる。テストする分子の存在下で、酵素を対応する緩衝液中でプレインキュベート(30℃において15分)する。分子をDMSOに溶かした場合、コントロール(テストされる追加の分子を含まない)は、アッセイ(3.5%、v/v)と同一の量のDMSOを含んでいる。基質を添加することで、反応を開始させる。それを30℃において連続的に30分間モニターする。少なくとも2つの独立したアッセイの平均を計算することにより、提示された結果を得た。活性化は、テスト分子で処理された後の、100%より大きい活性によって特徴づけられる。変動は、10%未満である。結果は、コントロールの初期速度V0に対する、テスト化合物の存在下での初期速度Vaの比に等しい活性化ファクターfaによって表される。
7.2 結果
いくつかのペプチドおよびリポペプチドは、潜伏する20SプロテアソームのCT-L活性および/またはT-L活性のアクティベーターである。
【0143】
【表4】

【0144】
したがって、ペプチドおよびリポペプチドは、脂肪族鎖の長さの変化に基づいてCT-L活性を手際よく調節することができる分子を構成する。効果の複雑性は、活性部位または調節部位であって、相互作用が可能な部位の多様性に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の特性を示す図であり、図1aは、酵素の単一部位を含む阻害のV0/Vi比特性の変化を表し、図1bは、図1cで表された反応スキームによる放物線型の阻害のV0/Vi比特性の変化を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の分子およびその薬学的に受容できる塩であり:
(X0)x0-(X1)x1-(X2)x2-X3-(X4)x4-X5-X6-(X7)x7-(X8)x8-(X9)x9 (I)
ここで、x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9は、独立して0または1に等しい整数をそれぞれ表し;
X0は、式(II)に対応するものから選択される基を表し:
【化1】

ここで、Yは、飽和もしくは不飽和の直鎖、分岐もしくは環状のC1-C24アルキル基を表し、nは0および1から選択される整数を表し;
X1およびX3は、その側鎖に少なくとも1つのヒドロキシル基をそれぞれ含むL体もしくはD体の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸をそれぞれ表し;
X2は、アルキル側鎖を含むものから選択されるL型もしくはD型の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸を表し;
X4は、芳香族側鎖を含むものから選択され得るL型もしくはD型の天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸を表し;
X5は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸およびグルタミンから選択されるL型もしくはD型のアミノ酸を表し;
X6は、チロシン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、p-ベンゾイルフェニルアラニンおよびリシンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表し;
X7は、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、アスパラギンまたはアルギニンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表し;
X8は、プロリン、バリン、イソロイシンおよびアスパラギン酸から選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表し;
X9は、セリン、アラニン、リシン、アルギニンおよびトリプトファンから選択され得るL型もしくはD型のアミノ酸を表し;
i-i+1(i=1,・・・8)で示される2つの連続したアミノ酸Xi-Xi+1の間の結合は、ペプチド結合
【化2】

または以下から選択される擬似ペプチド結合であり得:CO-O、CO-S、CO-CH2、CO-N(Me)、NH-CO、CH=CH、CH2-CH2、CH2-S、CH2-O、CS-NH、CH2-NH、CO-CH2-NH、CO-NH-NH、CO-NH-N=、CO-N(NH2);
上記のアミノ酸Xi(i=1,・・・,9)は、Ci(i=1,・・・,9)で示されるそれらのα-炭素の修飾を含むことができ、アミノ酸の側鎖Rを有し、その修飾は以下の式
【化3】

を以下から選択される基
【化4】

で置換することからなり;
R基およびCH-R1基はアミノ酸の側鎖を表し、そしてR2はC1-C6アルキル基を表し;R-R2は環を構成することができ;
本発明の擬似ペプチドは、以下の条件にも対応し:
・x0は1に等しく、
あるいは
・結合qi-i+1(i=1,・・・8)の内の1つは、擬似ペプチド結合であり、
あるいは
・Ci(i=1,・・・9)の内の1つは、上記の修飾の内の1つを含む。
【請求項2】
下記の条件の内の1つ以上が実証されることを特徴とする、請求項1に記載の分子:
整数x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9の内の少なくとも1つは、1に等しい;
X1およびX3は、それらが同じでも異なっていてもよく、トレオニンおよびセリンから選択することができる;
X2は、バリン、ロイシンまたはイソロイシンから選択される;
X4は、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンおよびp-ベンゾイルフェニルアラニンから選択される。
【請求項3】
前記分子が、4〜8個のアミノ酸、好ましくは5〜7個のアミノ酸、さらに好ましくは6個のアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の分子。
【請求項4】
x0=1であり、そしてアシル鎖-Y-CO-が式-CpH2p-CO-で表される直鎖であり、pが1〜23の整数であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分子。
【請求項5】
以下を特徴とする、請求項4に記載の分子:
・nが1のとき、Yが-CpH2p-を表し、pは1、2、3、4、5、6、7もしくは8であり得;
・nが0のとき、Yが-CpH2p-を表し、pは5〜23の範囲にある整数であり得る。
【請求項6】
下記の条件の内の1つ以上が実証されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の分子:
・ X1およびX3の内の少なくとも1つはトレオニンを表し、好ましくはX1およびX3は、の両方がトレオニンを表す;
・ X2は、イソロイシンまたはバリンから選択される;
・ X4は、フェニルアラニン、チロシンおよびp-ベンゾイルフェニルアラニンから選択される;
・ 整数x0、x1、x2、x4、x7、x8およびx9の内の少なくとも2つが1に等しく、さらに好ましくは、これらの整数の内の少なくとも3つが1に等しい。
【請求項7】
式(Ia)に対応することを特徴とする、請求項1に記載の分子:
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6 (Ia)
ここで、アミノ酸XiとXi+1(i=1,・・・5)との間の結合qi,i+1は、ペプチド結合または擬似ペプチド結合である。
【請求項8】
X0が以下を表すことを特徴とする、請求項7に記載の分子:
【化6】

ここで、pは1〜8、好ましくは2〜6の範囲にあり、そしてX4はp-ベンゾイルフェニルアラニン基を表す。
【請求項9】
X0が以下の基を表すことを特徴とする、請求項7に記載の分子:
【化8】

ここで、pは3〜23、好ましくは5〜19の範囲にある。
【請求項10】
式(Ib)に対応することを特徴とする、請求項1に記載の分子:
X3-X5-X6-X7-X8-X9 (Ib)
ここで:
・2つの連続するアミノ酸の間の結合の内の少なくとも1つは、擬似ペプチド結合であり、
あるいは
・アミノ酸の内の1つのα-炭素の内の1つは、修飾α-炭素である。
【請求項11】
以下のリストに属することを特徴とする、請求項1に記載の分子:
【化9】

ここで、Biotはビオチニル基を表し、Avaはδ-アミノ吉草酸を表し、Bpaはp-ベンゾイルフェニルアラニン基を表し、
TNL*GPS
SEK*RVW
TRA*LVR
SNL*NDA
THI*VIK、
ここで、*は以下のものを表す:
・エステル結合、チオエステル結合、ケトメチレン結合、ケトメチレンアミノ結合、N-メチルアミド結合、逆アミド結合、Z/Eビニレン結合、エチレン結合、メチレンチオ結合、メチレンオキシ結合、チオアミド結合、メチレンアミド結合、ヒドラジノ結合、カルボニルヒドラゾン結合およびN-アミノ結合から選択される結合
あるいは
*に隣接するアミノ酸の1つに対する置換基としてのアザ−アミノ酸の存在。
【請求項12】
そのC-末端および/またはN-末端において、その生体利用性を促進する他の分子とカップリングした請求項1から11のいずれか1項に記載の分子を含むことを特徴とする分子。
【請求項13】
薬学的に受容できる担体の中に請求項1から12のいずれか1項に記載の分子を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項14】
プロテアソームを伴う病状の予防および治療において使用する目的の医薬品を調製するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の分子の使用。
【請求項15】
前記病状が以下から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の使用:
血液腫瘍を含むガンまたは固形腫瘍、自己免疫疾患、エイズ、炎症性疾患、心疾患および心筋レベル、脳レベルもしくは肺レベルのいずれかを問わない虚血性過程の帰結、同種移植の拒絶反応、筋萎縮症、脳卒中、外傷、火傷、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような老化関連病状、ならびに老化の兆候の現れ。
【請求項16】
腫瘍の放射線増感において使用する目的である医薬品の調製のための請求項14に記載の使用。
【請求項17】
美容的および/または皮膚科的に受容可能な担体の中に請求項1から12のいずれか1項に記載の分子を含む美容用組成物および/または皮膚科用組成物。
【請求項18】
美容的に受容可能な担体の中にある請求項1から12のいずれか1項に記載の分子の応用を含むことを特徴とする、経年皮膚老化および/または光線性老化の影響が現れることを予防または治療するための美容プロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2008−505051(P2008−505051A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544500(P2006−544500)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003283
【国際公開番号】WO2005/061530
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506206052)セントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・サイエンティフィック (1)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】