説明

新規化合物、それを含む医薬組成物、およびこれらの使用方法

本発明のクラスの化合物は、式(I)で表すことができ、式中、Xは、O、S、またはNとすることができる。RおよびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである。RおよびRは独立に、H、4から6個の炭素原子を有する、アリール基、ヘテロアリール基、およびヘテロ環式環基であり、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロ環式の部分は、本明細書で定義する第1の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されている。別の実施形態において、RおよびRは、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する場合によって置換されている5〜7員環を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本出願は、参照により本明細書中に援用される米国仮特許出願第61/129,044号(2008年6月2日出願)および米国仮特許出願第61/193,127号(2008年10月30日出願)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規化合物、それを含む医薬組成物、および酵素の脂肪酸シンターゼ(FAS)を標的にすることによって脂肪酸合成経路を阻害するための使用方法に関する。このような化合物、組成物、および方法は、FAS遺伝子を発現または過剰発現させる癌性細胞の治療、肥満の治療、およびFAS遺伝子またはその相同体を発現または過剰発現する侵襲性微生物の処置を含むがこれらに限定されない種々の治療上有益な用途を有する。
【背景技術】
【0003】
癌と闘う新規化合物が求められていることは周知である。化学療法に使用される薬物として使用される化合物は、様々な基準を満たさなければならない。第1に、これらは、十分に細胞毒性であり、非癌性細胞に対しては十分に非毒性でなければならない。これらは、プロセシング可能(processible)であり、生物学的に利用可能でもなければならない。関連のない領域では、代謝疾患および(肥満のような)関連病態の治療を補助する新規化合物も求められている。最後に、侵襲性微生物の処置を補助する新規化合物も求められている。本発明は、各標的細胞型内で認められる脂肪酸合成経路を標的にすることによってこれらの用途のそれぞれに有用な化合物を提供する。
【0004】
脂肪酸には、細胞の生理機能において主要な3つの役割がある。第1に、脂肪酸は生体膜の構成要素(building block)である。第2に、脂肪酸誘導体は、ホルモンおよび細胞内メッセンジャーとして機能する。第3に、本発明にとって特に重要なことには、脂肪酸は、中性脂肪としても公知であるトリアシルグリセロールとして脂肪組織に貯蔵され得る燃料分子である。
【0005】
脂肪酸合成経路には、主に脂肪酸シンターゼ(FAS)、アルキニルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、リンゴ酸酵素、およびクエン酸リアーゼの4種類の酵素が関与する。主要な酵素であるFASは、前駆体であるマロニル−CoAおよびアルキニル−CoAのNADPH依存性縮合を触媒して、脂肪酸を産生する。NADPHは、一般にFASの反応サイクルの2か所で重要な電子供与体として機能する還元剤である。残りの3種類の酵素(すなわち、ACC、リンゴ酸酵素、およびクエン酸リアーゼ)は必要な前駆体を産生する。他の酵素、例えばNADPHを産生する酵素も、脂肪酸合成に関与する。
【0006】
脂肪酸合成経路における4種類の酵素のうち、FASは、阻害のための好ましい標的である。というのは、FASは脂肪酸への経路内でしか作用しないが、残りの3種類の酵素は他の細胞機能に関係するからである。したがって、残りの3種類の酵素のうちの1つを阻害すると、正常細胞に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
FASは、EC(Enzyme Commission)番号2.3.1.85であり、脂肪酸シンテターゼ、脂肪酸リガーゼ、およびその系統名であるアシル−CoA:マロニル−CoA C−アシルトランスフェラーゼ(脱炭酸、オキソアシルおよびエノイル還元、ならびにチオエステル加水分解)としても公知である。FASが触媒する脂肪酸合成には、アルキニルトランスアシラーゼ、マロニルトランスアシラーゼ、β−ケトアシルシンテターゼ(縮合酵素)、β−ケトアシルレダクターゼ、β−ヒドロキシアシルデヒドラーゼ、エノイルレダクターゼ、およびチオエステラーゼの異なる7種類の酵素または触媒ドメインが関与する。(非特許文献1)。これら7種類の酵素すべてがまとまって、FASをなす。
【0008】
FASによって行われる7つの酵素工程のうち、縮合酵素(すなわち、β−ケトアシルシンテターゼ)およびエノイルレダクターゼが触媒する工程が、脂肪酸合成を低下または停止させる阻害物質の最もよくみられる候補である。FAS複合体の縮合酵素は、構造および機能の点からよく特徴付けられている。縮合酵素の活性部位には、クリティカルなシステインのチオールが含まれており、これは、例えば阻害物質であるセルレニンなど、抗高脂血症試剤の標的である。
【0009】
FAS阻害物質は、化合物が精製FASの酵素活性を阻害する能力によって同定することができる。FAS活性は、例えばマロニルCoAの存在下でNADPHの酸化を測定するなど、当技術分野で公知である多数の手段で検定することができる(非特許文献2)。化合物がFAS阻害物質であるかどうかの決定に関する他の情報は、特許文献1で見ることができ、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
公知の縮合酵素阻害物質としては、アルキル化剤、オキシダント、およびジスルフィド交換を受けることができる試剤を含めて、広範囲の化学物質が挙げられる。酵素の結合ポケットは、長鎖E,Eジエンが好ましい。その場合、原理的に、チオレートアニオンとの反応性を示す基および側鎖ジエンを含む試剤が、良好な縮合酵素阻害物質であり得る。セルレニン[(2S,3R)−2,3−エポキシ−4−オキソ−7,10ドデカジエノイルアミド]が、このような化合物の一例であり、以下の構造を有する。
【0011】
【化1】

セルレニンは、脂肪酸シンターゼの縮合酵素の活性部位におけるクリティカルなシステインのチオール基と共有結合し、この重要な酵素工程を不活性化する(非特許文献3)。セルレニンは、他の活性を有することが知られているが、これらは、ヒト細胞の関連モデルではあり得ない微生物において起こり(例えば、真菌におけるコレステロール合成の阻害、非特許文献4;またはウイルスにおけるRNA合成の低下、非特許文献5)、実質的により高い薬物濃度で起こり(5mg/mlでのウイルスHIVプロテアーゼの阻害、非特許文献6)、または内因性脂肪酸合成の阻害の直接的結果であり得る(Bリンパ球およびマクロファージにおける抗原プロセシングの阻害、非特許文献7)。一部のデータから、セルレニンは、タンパク質のミリストイル化を特異的に阻害するものではないということが示唆される(非特許文献8)。
【0012】
様々な他の化合物が、脂肪酸シンターゼ(FAS)を阻害することがわかった。FAS阻害物質は、化合物が精製FASの酵素活性を阻害する能力によって同定することができる。FAS活性は、放射性標識前駆体(すなわち、アルキニル−CoAまたはマロニル−CoA)の脂肪酸への取り込みを測定することまたはNADPHの酸化を分光測定することによって検定することができる。(非特許文献9)。好ましくは、本発明による阻害物質は、FAS阻害のIC50はLD50より低いことを示すことによって適切な治療係数、安全性プロファイル、および有効性を示す。より好ましくは、LD50は、IC50より少なくとも1桁高い。
【0013】
以下に示す表1に、当技術分野で公知であるFAS阻害物質を列挙する。
【0014】
【表1】

FAS阻害物質は、特許文献2および1994年1月24日出願のそのCIPにも開示され、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。脂肪酸シンターゼ、クエン酸リアーゼ、CoAカルボキシラーゼ、およびリンゴ酸酵素の阻害物質も含まれている。
【0015】
Tomodaおよび同僚(非特許文献10;非特許文献11)によって、Streptomycessp.SK-1894の生成物である天然アシル−CoAシンテターゼ阻害物質であるトリアクシンC(WS−1228Aと呼ばれることもある)も記載されている。トリアクシンCの化学構造は、1−ヒドロキシ−3−(E,E,E−2’,4’,7’−ウンデカトリエニリジン)トリアゼンである。トリアクシンCは、ラット肝臓アシル−CoAシンテターゼの50%阻害を8.7μMで引き起こす。関連化合物であるトリアクシンAは、長鎖脂肪酸と競合する機序によってアシルCoA−シンテターゼを阻害する。アシル−CoAシンテターゼの阻害は、動物細胞に対して毒性がある。Tomodaら(非特許文献12)によって、トリアクシンCはRaji細胞における増殖阻害を引き起こすものであり、またVero細胞およびHela細胞の増殖を阻害することもわかったことがさらに教示されている。Tomodaらによって、アシル−CoAシンテターゼが動物細胞において必要不可欠であり、酵素の阻害が致死効果を及ぼすことも教示されている。
【0016】
特許文献1および特許文献3(それらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に、γ置換−α−メチレン−β−カルボキシ−γ−ブチロラクトンが、脂肪酸合成の阻害物質として開示された。これを使用して、脂肪細胞塊を系統的に小型化することによって腫瘍細胞の増殖を阻害し、体重減少を誘導することができる。これらの化合物は、天然物のセルレニンに比べて、治療への応用について以下の利点を有することがさらに開示された。(1)セルレニンの極めて反応性の高いエポキシド基を含まず、(2)水溶液中で安定であり、可溶であり、(3)2ステップの合成反応で製造することができ、したがって大量生産が容易であり、(4)生化学および薬理学的分析のため高比活性にトリチウム標識することが容易である。
【0017】
FAS阻害物質として有用な新規クラスのチオフェンも、以下の一般構造を有するものとして特許文献4に開示され、その開示内容は、参照により組み込まれる。
【0018】
【化2】

しかし、例示された各化合物において、R位は実施形態のある種のサブセットに限定されており、本出願における化合物と重複するものでも、それを開示するものでもない。
【0019】
FAS阻害に有用な新規クラスのチオフェンは、上記と同じ式を有するものとして特許文献5にも開示され、その開示内容は、参照により組み込まれる。やはり、例示された化合物は、本出願における化合物と特にR位において重複するものでも、さもなければそれを開示するものでもない。
【0020】
FAS阻害物質として使用するための他のクラスの新規化合物が、特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9内に開示されている。やはり、これらの出願は、下記に開示する化合物のいずれかを開示するものでも、例示するものでもない。
【0021】
したがって、本発明は、FAS発現ガン腫の治療、肥満の治療、または微生物感染の治療に使用することができるFAS阻害物質として有用な新規化合物が当技術分野で求められていることに対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,981,575号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第08/096,908号明細書
【特許文献3】米国特許第5,759,837号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/005277号
【特許文献5】国際公開第2008/057585号
【特許文献6】国際公開第2007/014249号
【特許文献7】国際公開第2007/014247号
【特許文献8】国際公開第2005/117590号
【特許文献9】国際公開第2004/006835号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Wakil,S.J.、Biochemistry、28巻:4523〜4530頁、1989年
【非特許文献2】Dils,R.およびCarey,E.M.、「Fatty acid synthase from rabbit mammary gland」、Methods Enzymol、35巻:74〜83頁、1975年
【非特許文献3】Funabashiら、J.Biochem.、105巻:751〜755頁、1989年
【非特許文献4】Omura(1976年)、Bacteriol.Rev.、40巻:681〜697頁
【非特許文献5】Perezら(1991年)、FEBS、280巻:129〜133頁
【非特許文献6】Moellingら(1990年)、FEBS、261巻:373〜377頁
【非特許文献7】Faloら(1987年)、J.Immunol.、139巻:3918〜3923頁
【非特許文献8】Simonら、J.Biol.Chem.、267巻:3922〜3931頁、1992年
【非特許文献9】Dilsら、Methods Enzymol.、35巻:74〜83頁
【非特許文献10】Tomodaら、Biochem.Biophys.Act、921巻:595〜598頁、1987年
【非特許文献11】Omuraら、J.Antibiotics、39巻:1211〜1218頁、1986年
【非特許文献12】Tomodaら、J.Biol.Chem.、266巻:4214〜4219頁、1991年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、FAS阻害物質として有用な新規化合物に関する。この目的のために、本発明の新規化合物は、脂肪酸合成の酵素工程の1つまたは複数を阻害する。このような化合物は、FAS遺伝子を発現または過剰発現する癌性細胞の治療、肥満の治療、およびFAS遺伝子またはその相同体を発現または過剰発現する侵襲性微生物の処置を含むがこれらに限定されない種々の治療上有益な用途を有する。
【0025】
本発明のクラスの化合物は、式I:
【0026】
【化3】

で表すことができ、式中、Xは、O、S、またはNのいずれか1つから選択することができるヘテロ原子からなる。RおよびRは、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールから独立に選択される。RおよびRは独立に、水素原子であり、または4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員である。一実施形態において、RおよびRは、両方が水素であることはない。別の実施形態において、RおよびRは、共に水素でない場合、一緒になって、場合によって置換されている4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成する。別の実施形態において、Rは水素であり、Rは、4から6個の炭素原子を有する、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロ環式環基からなり、それらはいずれも、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、または5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環のうちの1つまたは複数で場合によっては置換されている。後者の5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環は、場合によっては、Rの隣接する原子に場合によっては縮合している芳香族であり、かつ/またはRで場合によっては置換されている。
【0027】
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルのいずれか1つからなり、それらは、1つまたは複数のハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、またはC〜Cハロアルコキシ基で場合によっては置換されていてもよい。Rは、C〜Cアルキル基からなる。Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、またはN、O、S、もしくはそれらの任意の組合せを含む5員もしくは6員のヘテロ環からなる。
【0028】
別の実施形態において、RおよびRは、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する5〜7員環を形成し、それは、本明細書で定義する1つまたは複数の置換基で場合によっては置換されている。
【0029】
上記に基づいて、本明細書で考えられる剤形および投与経路またはさもなければ当技術分野で公知である剤形および投与経路を使用して、本発明の1つまたは複数の化合物を単独でまたは別の活性成分と組み合わせて、治療組成物として合成および投与することができる。用法(dosaging)および期間は、本明細書に記載される因子および当業者によって普通考慮される因子にさらに依存する。この目的のために、治療上有効量の決定は、特に本明細書に記載されている詳細な開示および実施例を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の化合物、特にC31を製造する方法の一実施形態を示す。
【図2】図2は、化合物C157を製造するための図1のプロセスの代替ステップを示す。
【図3】図3は、本発明の化合物、特にC31のS型エナンチオマーを調製する方法の一実施形態を示す。
【図4】図4は、本発明の化合物、特にC31のR型エナンチオマーを調製する方法の一実施形態を示す。
【図5】図5は、本発明の化合物、特にC31を製造する方法の代替実施形態を示す。
【図6】図6は、本発明の化合物を精製する代替方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本明細書では、「アルキル基」は、1個または複数の炭素原子を有する直鎖炭素鎖と分枝炭素鎖とを表すが、個々の基、具体的には「プロピル」などの言葉は、その直鎖基しか包含せず、「イソプロピル」などの分枝鎖異性体は、分枝鎖基だけを具体的に指す。
【0032】
本明細書では、「置換アルキル」は、上記に定義したアルキル基であり、アルキル基の1個または複数の水素が、本明細書で別に定義される1つまたは複数の置換基で置換されている。
【0033】
本明細書では、「ハロアルキル」は、上記に定義したアルキル基を指し、アルキル基の1個または複数の水素が、1個または複数のハロゲン原子で置換されている。
【0034】
本明細書では、「アルコキシ基」は、式アルキル−O−の基を指し、式中、アルキルは本明細書に定義する通りである。
【0035】
本明細書では、「置換アルコキシ」は、置換アルキル−O−基を指し、アルキル基は、上記に定義するように置換されている。
【0036】
本明細書では、「ハロアルコキシ」は、上記に定義したアルコキシ基を指し、アルキル基の1個または複数の水素が、1個または複数のハロゲン原子で置換されている。
【0037】
本明細書では、「アルケニル」は、本明細書に定義するように、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含む飽和または不飽和のアルキル基を指す。
【0038】
本明細書では、「アリール基」は、炭素原子しか含まない芳香族環に由来する構造を表す。例としては、フェニルまたはベンジル基およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書では、「アリールアルキル」は、アリール基の結合点でない位置に1つまたは複数のアルキル基を有するアリール基を表す。
【0040】
本明細書では、「アルキルアリール」は、結合点にアルキル基を有するアリール基を表す。
【0041】
本明細書では、「ヘテロアリール」は、炭素および少なくとも1個の非炭素原子からなる5または6個の環原子を含む単環の芳香族環を包含し、非炭素原子は、以下のうちの1つまたは複数とすることができるが、これらに限定されるものではない:窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、塩素、臭素、またはヨウ素。
【0042】
本明細書では、「ヘテロ環式」は、少なくとも1個のヘテロ原子、いくつかの実施形態においては1から4個のヘテロ原子を含む1価の飽和または部分不飽和の環式非芳香族炭素環基を指し、ヘテロ原子は、以下のうちの1つまたは複数とすることができるが、これらに限定されるものではない:窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、塩素、臭素、またはヨウ素。別の非限定的な実施形態において、ヘテロ環式(hetercyclic)環は、1から10個の炭素原子からなることがある。
【0043】
本明細書では、「シクロアルキル」は、環構造にすべての炭素原子を含む1価または多環式の飽和または部分不飽和の環式非芳香族基を指し、本明細書で定義する1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。非限定的ないくつかの実施形態において、シクロアルキル基を含む炭素数は、3〜7個とすることができる。
【0044】
本発明は、FASタンパク質の酵素活性を阻害し、したがって脂肪酸合成の酵素工程の1つまたは複数を阻害するのに有用な新規クラスの化合物に関する。このような化合物は、FAS遺伝子を発現または過剰発現する癌性細胞の治療、肥満の治療、およびFAS遺伝子またはその相同体を発現または過剰発現する侵襲性微生物の処置を含むがこれらに限定されない種々の治療上有益な用途を有する。
【0045】
一実施形態において、本発明のクラスの化合物は、式I:
【0046】
【化4】

で表すことができ、式中、Xは、O、S、またはNのいずれか1つから選択することができるヘテロ原子からなる。RおよびRは、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールから独立に選択される。RおよびRは独立に、水素原子であり、または4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員である。一実施形態において、RおよびRは、両方が水素であることはない。別の実施形態において、RおよびRは、共に水素でない場合、一緒になって、場合によって置換されている4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成する。
【0047】
別の実施形態において、Rは水素からなり、Rは、水素、4から6個の炭素原子を有する、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロ環式環基からなり、Rの環部分は、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、または5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環のうちの1つまたは複数で場合によっては置換されている。後者の5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、Rの隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、かつ/または1つもしくは複数のR置換基で場合によっては置換されている。
【0048】
代替実施形態において、以下にさらに詳細に述べるように、RおよびRは一緒になって、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する5〜7員ヘテロ環式環を形成する。
【0049】
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルのいずれか1つからなり、それらは、1つまたは複数のハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、またはC〜Cハロアルコキシ基で場合によっては置換されていてもよい。
【0050】
は、C〜Cアルキル基からなる。Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、またはN、O、S、もしくはそれらの任意の組合せを含む5員もしくは6員のヘテロ環からなる。
【0051】
別の実施形態において、本発明の化合物は、式Iで定義されるX位において酸素または硫黄からなることがある。この目的のために、これらの実施形態は、下記の式IIaおよびIIb:
【0052】
【化5】

によって定義することができ、式中、R〜Rはそれぞれ、上記の実施形態内で定義される。
【0053】
別の実施形態において、Rは水素からなる。Rは、下記の式III:
【0054】
【化6】

で示されるようにRおよび/またはR8’で場合によっては置換されていてもよいアリール基からなり、式中、R〜Rはそれぞれ、上記の実施形態内で定義される。RおよびR8’は独立に、構造に存在することがなく、あるいはハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、または5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環からなる。後者の5員もしくは6員のシクロアルキル環もしくはヘテロ環式環は、場合によっては、R位におけるアリール環の隣接する2個の炭素原子に場合によっては縮合している芳香族であり、かつ/またはRで場合によっては置換されている。R、R、およびRは、本明細書で定義する実施形態のいずれかである。
【0055】
式IIIの別の実施形態において、Xは、以下の通り:
【0056】
【化7】

SまたはOからなることができ、式中、R〜R、RおよびR8’は、本明細書に定義する通りである。
【0057】
別の実施形態において、RおよびRは、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する5〜7員環を形成する。いくつかの実施形態において、5〜7員環は、少なくとも2個の窒素原子を有することができる。さらに別の実施形態において、RおよびRは、結合している原子および結合と共に、互いにパラ位に2個の窒素原子を有する6員環を形成する。前述の実施形態のいずれかにおいて、ヘテロ環式環の構造は、Rまたは本明細書で記載される他の何らかの置換基で場合によっては置換されていてもよい。この目的のために、前述の実施形態は、下記の式IVの構造:
【0058】
【化8】

で表すことができ、式中、R、R、およびRは、上記に定義する実施形態のいずれかである。
【0059】
式IVの別の実施形態において、Xは、以下の通り:
【0060】
【化9】

SまたはOからなることができ、式中、R、R、およびRは、上記に定義する実施形態のいずれかである。
【0061】
本発明の非限定的ないくつかの実施形態において、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる。非限定的な別の実施形態において、Rは、直鎖または分枝鎖のCアルキル基からなる。非限定的なさらに別の実施形態において、Rは、式−(CHCHで表すことができる。
【0062】
本発明の非限定的ないくつかの実施形態において、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる。非限定的なさらに別の実施形態において、Rはメチル基からなる。
【0063】
上記に基づいて、式I、II、III、およびIVの構造は、以下の通り改変することができる。
【0064】
【化10】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を有する化合物からなることができる(以降、「C31」と称する)。
【0065】
【化11】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を有する化合物からなることができる(以降、「C157」と称する)。
【0066】
【化12】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を有する化合物からなることができる(以降、「C144」と称する)。
【0067】
【化13】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を有する化合物からなることができる(以降、「C145」と称する)。
【0068】
【化14】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を有する化合物からなることができる(以降、それぞれ「C193」、「C138」、「C139」、「C141」、「C142」、「C178」、および「C181」と称する)。
【0069】
【化15】

いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下の化合物のいずれか1つとすることができる。
【0070】
【化16】

【0071】
【化17】

前述の化合物の使用の可能な範囲を限定しようとすることなく、想定される臨床的な治療適応(clinical therapeutic indications)としては、細胞が脂肪酸シンターゼを過剰発現させる多くの組織で発生する癌を含めて、様々なタイプの癌の治療が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の1つまたは複数の低分子、またはその薬剤塩を、標的FAS活性および脂肪酸合成の阻害によって肥満を治療および/または予防するために使用される組成物として合成および投与することができる。最後に、本発明の1つまたは複数の化合物を、FASタンパク質またはその相同体を発現する侵襲性有機体による微生物感染を治療するために使用される組成物として合成および投与することができる。このような微生物としては、staphylococciおよびenterococciが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、当技術分野で公知である方法または本明細書で別に指定する方法で合成することができる。
【0072】
別段の指定のない限り、本発明の特定の化合物の言葉は、化合物のすべての異性体を包含し、それらのジアステレオマー、互変異性体、エナンチオマー、ラセミ体および/または他の混合物がすべて含まれる。別段の指定のない限り、特定の化合物の言葉は、そのイオン、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、保護された形、およびプロドラッグも包含する。この目的のために、活性化合物の対応する塩、例えば薬剤として許容される塩を調製、精製、および/もしくは取り扱うことが好都合であり、または望ましいことがある。薬剤として許容される塩の例は、Bergeら、1977年、「Pharmaceutically Acceptable Salts」、J.Pharm.Sci.、66巻、1〜19頁に述べられており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
上記に基づいて、本発明の1つまたは複数の化合物を単独でまたは別の活性成分と組み合わせて、治療組成物として合成および投与することができる。本発明の組成物は、ヒトおよび他の動物に投与するために、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、非経口無菌液剤または懸濁剤、経口液剤または懸濁剤、適量の化合物を含有する水中油型および油中水型乳剤、坐剤などの単位剤形、ならびに流動性懸濁剤または液剤で提供することができる。この目的のために、医薬組成物は、選択された投与経路に適合するように製剤化することができ、投与経路に特異的な材料を含有することができる。このような医薬組成物の投与経路は、通常5つの一般群に分けられる:吸入、経口、経皮、非経口、および坐剤。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、静脈内、皮内、筋肉内、髄腔内、または皮下注射などの注射によって非経口投与するのに適するものであり得る。あるいは、本発明の組成物を、本明細書に記載する経口投与またはさもなければ当技術分野で公知である経口投与のために製剤化することができる。
【0074】
本明細書で使用されるように、「医薬賦形剤」および「医薬キャリア」という用語は、同じ意味を有する。経口投与には、固体または流体単位剤形を調製することができる。錠剤などの固体組成物を調製するには、化合物を、医薬賦形剤またはキャリアとしてタルク、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、デンプン、ラクトース、アカシア、メチルセルロース、および機能的に同様の材料など通常の材料と混合することができる。化合物を不活性医薬賦形剤と混合し、混合物を適切なサイズの硬ゼラチンカプセルに充填することによって、カプセル剤が調製される。化合物のスラリーを許容できる植物油、軽質液状ワセリン、または他の不活性油と機械カプセル化することによって、軟ゼラチンカプセル剤が調製される。
【0075】
シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤などの経口投与用の流体単位剤形を調製することができる。剤形を砂糖または別の甘味剤、芳香性着香剤、および保存剤と共に水性ビヒクルに溶解して、シロップ剤を生成することができる。懸濁剤は、水性ビヒクルを用いて、アカシア、トラガカント、メチルセルロースなどの懸濁化剤の助けによって調製することができる。
【0076】
非経口投与には、化合物および無菌ビヒクルを利用して、流体単位剤形を調製することができる。液剤を調製する際に、化合物を注射用水に溶解し、適切なバイアルまたはアンプルに充填し、密封する前に濾過滅菌することができる。局所麻酔薬、保存剤、および緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶解することができる。組成物をバイアルに充填した後凍結し、水を真空下で除去することができる。次いで、凍結乾燥した粉末をバイアルで計量し、使用前に水で戻すことができる。
【0077】
治療の用量および期間は、(1)患者の年齢、体重、および臓器機能(例えば、肝機能および腎機能);(2)治療対象の疾患過程の性質および程度、ならびに著しい任意の既存併存疾患および服用中の併用薬物、(3)投与経路、治療をもたらすのに必要な投与頻度および投与期間、ならびに薬物の治療係数など、薬物に関連したパラメーターを含めて、種々の因子に依存する。一般に、用量は、標的部位において有効濃度約1μg/ml〜10μg/mlを達成することを目的に、血清レベル1ng/ml〜100ng/mlを実現するように選択される。このような因子を用いて、癌性細胞、肥満、もしくは侵襲性微生物感染、またはそれらに関連した疾患の標的症状を改善し、かつ/あるいは癌性細胞、肥満、もしくは侵襲性微生物感染、またはそれらに関連した疾患を治療または予防するように、治療上有効量を投与することができる。治療上有効量の決定は、特に本明細書に記載されている詳細な開示および実施例を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。
【実施例】
【0078】
(実施例1)−図1に示すC31の合成
ステップA−トリフル酸オクチル(1)。−40℃に冷却したCHCl(212mL)中オクタノール(4.6g、35.3mmol)に、ピリジン(CaHから新たに蒸留、3.28mL、40.6mmol)、およびトリフル酸無水物(6.41mL、38.1mmol)を添加し、溶液を−40℃で20分間撹拌させておいた。次いで、反応混合物を、室温まで3時間かけてゆっくりと温まらせた。次いで、白色固体をセライトに通して濾過し、ペンタン(2回×70mL)で洗浄した。溶媒の大部分は蒸発して、約5〜10mLの溶媒が残存し、白色沈殿物が存在した。熱ペンタン(70mL)を添加し、この混合物を濾過して、いずれの残留ピリジン塩も除去した。濾液を再び蒸発させて、薄橙色透明油1(TLCにより定量的、rf=0.64、10%EtOAc/Hex)が得られ、直ちに使用した。
【0079】
ステップB−2,2,4−トリメチル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(2)。0℃に冷却したチオ乳酸(14.0g、132.0mmol)に、滴下漏斗を使用して2−メトキシプロペン(50.5mL、528mmol)を滴下した。溶液を室温まで温まらせ、次いで48時間加熱還流した。室温に冷却した後、EtO(200mL)を添加し、この混合物をNaCO(1N、3回×150mL)で抽出し、塩水(2回×100mL)で洗浄した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、粗黄色油を得た。これを、80〜95℃で蒸留(HOアスピレーター圧、25〜35トール)して、純粋な2を得た(9.9g、52%)。
【0080】
【化18】

ステップC−2,2,5−トリメチル−5−オクチル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン(3)。−78℃のTHF(47mL)中LiHMDS(31.7mL、31.7mmol、THF中1M)の混合物に、THF(47mL)中2(4.3g、29.4mmol)をカニューレによって滴下し、得られた黄色溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、ペンタン(8mL)中トリフル酸オクチル1(9.0g、35mmol)を、室温で、カニューレによって−78℃のエノラートの溶液にゆっくりと添加した。−78℃で2時間撹拌した後、1N HCl(200mL)を添加し、溶液をEtO(3回×75mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な3(5.45g、72%)が得られた。
【0081】
【化19】

ステップD−2−アセチルスルファニル−2−メチル−デカン酸エチルエステル(4)。EtOH(無水、14.6mL)中3(5.33g、20.6mmol)に、NaOEt(2.1M、12.7mL、26.9mmol)[EtOH(24mL)中Na金属(1.24g、54mmol)から新たに調製]を添加し、溶液を室温で撹拌させておいた。30分後、溶液をNHCl(飽和)/1N HCl(100mL、3:2)に注ぎ込み、EtO(3回×75mL)で抽出した。次いで、有機物を合わせて、HOで十分に洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させ、CHCl(129mL)に再溶解した。この予冷した溶液(0℃)に、NEt(4.3mL、30.9mmol)および塩化アセチル(3.2mL、41.2mmol)を添加した。0℃で40分経過した後、NHCl(飽和)(200mL)を添加し、溶液をCHCl(3回×70mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な4(3.1g、54%)が得られた。
【0082】
【化20】

IR(NaCl) 3430,1868,1693,1644cm−1;分析値(C1528S)C,H。
【0083】
ステップE−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(5)。−78℃のTHF(155mL)中4(3.11g、10.8mmol)に、LiHMDS(13.4mL、13.4mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を、−5℃まで2時間かけてゆっくりと温まらせ、次いで−5℃でさらに20分間維持した。次いで、溶液を1N HCl(200mL)に注ぎ込み、EtO(3回×100mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CHCOH/ヘキサン類)によって、5(1.2g、46%)が得られた。
【0084】
【化21】

IR(NaCl) 3422,1593cm−1;分析値(C1322S),C,H。
【0085】
ステップF−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(7)。−40℃に冷却したDMF(23mL)中5(1.4g、5.8mmol)に、NaH(326mg、8.15mmol、鉱油中60%)を添加し、溶液を温まらせ、0℃で30分間撹拌した。次いで、ブロモ酢酸t−ブチル6(1.29mL、8.73mmol)を直接添加し、混合物を温まらせ、室温で3時間撹拌した。NHCl(飽和)/1N HCl(6:1、100mL)を添加し、溶液をEtO(3回×70mL)で抽出した。有機物を合わせて、HOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な7(1.7g、82%)が得られた。
【0086】
【化22】

分析値(C1932S)C,H。
【0087】
ステップG−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(8)。CHCl(32mL)に溶解した7(1.7g、4.7mmol)に、トリフルオロ酢酸(TFA)(9.1mL)を添加し、溶液を室温で4〜5時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗材料をクロマトグラフィーにかけて(40%EtOAc/2%CHCOH/ヘキサン類)、純粋な8(1.1、77%)を得た。
【0088】
【化23】

IR(NaCl) 3442,1645cm−1;分析値(C1524S)C,H。
【0089】
ステップH−N−(4−クロロフェニル)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(9)。0℃に冷却した8(1.165g、3.9mmol、1.0当量)のCHCl溶液に、EDC(1.196g、6.24mmol、1.6当量)、DMAP(71.3mg、0.58mmol、0.15当量)、および4−クロロアニリン(697mg、5.46mmol、1.4当量)を添加し、溶液を0℃で1時間撹拌させておいた。反応を室温までゆっくりと温まらせ、12時間撹拌した。混合物を、飽和NHCl水溶液:1N HCl(4:1)に注ぎ込み、CHClで抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc−40%EtOAc/ヘキサン)によって、純粋な化合物(1.132g、収率71%)が白色粉末として得られた。次いで、化合物をエーテル:クロロホルム(9:1)で再結晶して、白色結晶固体が得られた。
【0090】
【化24】

(実施例2)−C157の合成
C157を作製するために、第2のステップで、図2に示すように、乳酸をチオ乳酸の代わりに使用する点以外は、図1に示すC31を作製するのに使用したプロセスと同じプロセスを使用することができる。
【0091】
(実施例3)−化合物精製の一般手順
冷却した8(0.2mmol、1.0当量)のCHCl(3.0mL)溶液(0℃)に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(0.32mmol、1.6当量)、アニリン誘導体(0.22mmol、1.1当量)、およびDMAP(0.03mmol、0.15当量)を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで室温まで温め、4時間撹拌した。溶液を飽和NHCl水溶液(10ml)に注ぎ込み、CHCl(3回×10ml)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/Hex)によって、純粋な生成物が得られた。
【0092】
【化25】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−フェニルアセトアミド(10)。8(45.0mg、0.15mmol)およびアニリン(17.0L、0.18mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物10(50.0mg、67%)が油として得られた。
【0093】
【化26】

【0094】
【化27】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−p−トリル−アセトアミド(11)。8(45.0mg、0.15mmol)および4−メチルアニリン(19.2mg、0.18mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物11(51.0mg、65%)が固体として得られた。
【0095】
【化28】

融点:96℃。
【0096】
【化29】

N−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(12)。8(45.0mg、0.15mmol)および2−トリフルオロメチルアニリン(21.0μL、0.16mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物12(30.0mg、45%)が得られた。
【0097】
【化30】

【0098】
【化31】

N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(13)。8(45.0mg、0.15mmol)および3−トリフルオロメチルアニリン(21.0μL、0.16mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物13(54.3mg、82%)が得られた。
【0099】
【化32】

【0100】
【化33】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド(14)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−トリフルオロメチルアニリン(30.0μL、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物14(48.0mg、54%)が固体として得られた。
【0101】
【化34】

融点:87℃。
【0102】
【化35】

N−(2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(15)。8(45.0mg、0.15mmol)および2−トリフルオロメトキシアニリン(23.0μL、0.17mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物15(40.0mg、58%)が得られた。
【0103】
【化36】

【0104】
【化37】

N−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(16)。8(45.0mg、0.15mmol)および3−トリフルオロメトキシアニリン(22.0μL、0.17mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物16(54.4mg、79%)が得られた。
【0105】
【化38】

【0106】
【化39】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アセトアミド(17)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−トリフルオロメトキシアニリン(29.5μL、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物17(62.0mg、68%)が固体として得られた。
【0107】
【化40】

融点:87℃。
【0108】
【化41】

N−(4−メトキシ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(18)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−メトキシアニリン(29.5mg、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物18(64.0mg、79%)が固体として得られた。
【0109】
【化42】

融点:99℃。
【0110】
【化43】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4−オクチルオキシ−フェニル)−アセトアミド(19)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−オクチルオキシアニリン(53.0mg、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物19(76.0mg、75%)が固体として得られた。
【0111】
【化44】

融点:64℃。
【0112】
【化45】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(2−メチルスルファニル−フェニル)−アセトアミド(20)。8(45.0mg、0.15mmol)および2−メチルチオアニリン(20.0μL、0.16mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物20(50.0mg、79%)が得られた。
【0113】
【化46】

【0114】
【化47】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4−メチルスルファニル−フェニル)−アセトアミド(21)。8(45.0mg、0.15mmol)および3−トリフルオロメトキシアニリン(22.0μL、0.17mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物21(21.0mg、49%)が得られた。
【0115】
【化48】

【0116】
【化49】

N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(22)。8(45.0mg、0.15mmol)およびベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミン(24.7mg、0.18mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物22(51.0mg、61%)が固体として得られた。
【0117】
【化50】

融点:102℃。
【0118】
【化51】

N−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(23)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニルアミン(52.5mg、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物23(81.0mg、81%)が固体として得られた。
【0119】
【化52】

融点:83℃。
【0120】
【化53】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4−チオフェン−2−イルフェニル)−アセトアミド(24)。8(60.0mg、0.2mmol)および4−(2−チオフェニル)−アニリン(42.0mg、0.24mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物24(82.0mg、90%)が固体として得られた。
【0121】
【化54】

融点:130℃。
【0122】
【化55】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(2−モルホリン−4−イル−フェニル)−アセトアミド(25)。8(45.0mg、0.15mmol)および2−モルホリノアニリン(32.0mg、0.18mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物25(62.0mg、67%)が油として得られた。
【0123】
【化56】

【0124】
【化57】

N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(26)。8(45.0mg、0.15mmol)および4−クロロ−2−トリフルオロメチルアニリン(26.0μL、0.18mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物26(24.0mg、25%)が得られた。
【0125】
【化58】

【0126】
【化59】

N−(4−フルオロ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(27)。8(100.0mg、0.33mmol)および4−フルオロアニリン(44.0μL、0.47mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物27(127.0mg、98%)が得られた。
【0127】
【化60】

【0128】
【化61】

4−[2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセチルアミノ]−安息香酸メチルエステル(28)。8(100.0mg、0.33mmol)および4−アミノ安息香酸メチル(70.0mg、0.46mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物28(98.0mg、69%)が得られた。
【0129】
【化62】

【0130】
【化63】

N−(4−ブロモ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(32)。8(300.0mg、1.0mmol)および4−ブロモアニリン(172mg、1.0mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物32(227.0mg、50%)が固体として得られた。
【0131】
【化64】

【0132】
【化65】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−アセトアミド(33)。8(600.0mg、2.0mmol)および4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(438mg、2.0mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物33(651.0mg、65%)が固体として得られた。
【0133】
【化66】

【0134】
【化67】

4−[2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセチルアミノ]−ベンズアミド(34)。8(114.0mg、0.38mmol)および4−アミノベンズアミド(52mg、0.38mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物34(103.0mg、65%)が固体として得られた。
【0135】
【化68】

【0136】
【化69】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(35)。8(105.0mg、0.35mmol)および4−アミノ−ベンゼンスルホンアミド(60mg、0.35mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物35(37.0mg、24%)が固体として得られた。
【0137】
【化70】

【0138】
【化71】

N−(4−シアノ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(36)。8(107.0mg、0.35mmol)および4−アミノ−ベンゾニトリル(41mg、0.35mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物36(106.0mg、76%)が固体として得られた。
【0139】
【化72】

【0140】
【化73】

5−メチル−5−オクチル−4−{2−オキソ−2−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エトキシ}−5H−チオフェン−2−オン(37)。8(100.0mg、0.33mmol)および1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(77mg、0.33mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物37(66.0mg、39%)が固体として得られた。
【0141】
【化74】

【0142】
【化75】

4−{2−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エトキシ}−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(38)。8(100.0mg、0.33mmol)および1−(4−クロロフェニル(cholorphenyl))−ピペラジン(65mg、0.33mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物38(73.0mg、46%)が固体として得られた。
【0143】
【化76】

【0144】
【化77】

4−{2−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エトキシ}−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(39)。8(105.0mg、0.35mmol)および1−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン(67mg、0.35mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物39(113.0mg、68%)が固体として得られた。
【0145】
【化78】

【0146】
【化79】

4−{2−[4−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エトキシ}−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(40)。8(116.0mg、0.38mmol)および1−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペラジン(78mg、0.38mmol)に対して、一般手順Aに従って、化合物40(137.0mg、74%)が固体として得られた。
【0147】
【化80】

【0148】
【化81】

N−(4−クロロ−フェニル)−2−(2,2−ジヘキシル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(41)。8(45.0mg、0.16mmol)および2−ブロモ−N−(4−クロロ−フェニル)−アセトアミド(41mg、0.16mmol)に対して、一般手順Bに従って、化合物41(48.0mg、67.4%)が固体として得られた。
【0149】
【化82】

(実施例4)−カップリング反応:一般手順
火力乾燥したフラスコに、ブロモ化合物32(1.0当量)とフェニルボロン酸(1.1当量)、CsCO(1.5当量)、およびDMF中Pd(PPh(0.2当量)を加え、アルゴン中100℃で24時間加熱した。冷却した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込み、エーテルで抽出し、水および塩水で洗浄した。次いで、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにかけて、所望の生成物を得た。
【0150】
【化83】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−アセトアミド(42)。(KS−II−94):33(130.0mg、0.25mmol)と1−ヨード−4−トリフルオロメチル−ベンゼン(46μl、0.31mmol)、CsCO(126mg、0.39mmol)、およびPd(PPh(29mg、0.025mmol)に対して、一般手順Cに従って、化合物42(94.0mg、73%)が固体として得られた。
【0151】
【化84】

【0152】
【化85】

2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−N−(4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−アセトアミド(43)。(KS−II−95):33(116.0mg、0.23mmol)と1−ヨード−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼン(43μL、0.27mmol)、CsCO(112mg、0.34mmol)、およびPd(PPh(26.5mg、0.023mmol)に対して、一般手順Cに従って、化合物43(80.0mg、65%)が固体として得られた。
【0153】
【化86】

【0154】
【化87】

N−ビフェニル−4−イル−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(44)。32(110.0mg、0.24mmol)とフェニルボロン酸(32mg、0.26mmol)、CsCO(126mg、0.39mmol)、およびPd(PPh(55.4mg、0.052mmol)に対して、一般手順Cに従って、化合物44(44.0mg、41%)が固体として得られた。
【0155】
【化88】

(実施例5)−C31のR型およびS型エナンチオマーを調製するプロセス
図3に示すS型エナンチオマーの合成
ステップA−2−tert−ブチル−4−メチル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(1)。Ar雰囲気中、火力乾燥したフラスコに、(R)−チオ乳酸(2.5g、23.5mmol)と、続いてペンタン(20mL)、およびピバルアルデヒド(2.82mL、25.9mmol)、およびトリフルオロ酢酸数滴を加えた。反応にディーンスターク装置を装備して、水を除去した。次いで、溶液を48時間(55℃)加熱還流し、同時に水を連続的に除去した。室温に冷却した後、溶媒を完全に蒸発させた。粗生成物を−78℃でペンタン:エーテル(5:1)から再結晶した。白色固体材料をるつぼに通して濾過して、生成物1(1.04g、収率:25.4%)を得た。
【0156】
【化89】

ステップB−トリフル酸オクチル(2)。−40℃に冷却したCHCl(212mL)中オクタノール(4.6g、35.3mmol)に、ピリジン(CaHから新たに蒸留、3.28mL、40.6mmol)およびトリフル酸無水物(6.41mL、38.1mmol)を添加し、溶液を−40℃で20分間撹拌させておいた。次いで、反応混合物を、室温まで3時間かけてゆっくりと温まらせた。次いで、白色固体をセライトに通して濾過し、ペンタン(2回×70mL)で洗浄した。溶媒の大部分は蒸発して、約5〜10mLの溶媒が残存し、白色沈殿物が存在した。熱ペンタン(70mL)を添加し、この混合物を濾過して、いずれの残留ピリジン塩も除去した。濾液を再び蒸発させて、透明薄橙色油2(TLCにより定量的、rf=0.64、10%EtOAc/Hex)が得られ、直ちに使用した。
【0157】
ステップC−2−tert−ブチル−4−メチル−4−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(3)。−78℃のTHF(47mL)中LiHMDS(13.8mL、13.8mmol、THF中1M)の混合物に、THF(15mL)中1(2.09g、12.0mmol)をカニューレによって滴下し、得られた黄色溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、ペンタン(8mL)中トリフル酸オクチル2(3.48g、13.2mmol)を、室温で、カニューレによって−78℃のエノラートの溶液にゆっくりと添加した。−78℃で2時間撹拌した後、1N HCl(200mL)を添加し、溶液をEtO(3回×75mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な3(2.42g、75%)が得られた。
【0158】
【化90】

ステップD−(S)−2−アセチルスルファニル−2−メチル−デカ−3,5,7,9−テトライン酸エチルエステル(4):EtOH(無水、14.6mL)中3(1.43g、5.0mmol)に、NaOEt(12.5mmol)[EtOH(15mL)中Na金属(300mg、12.5mmol)から新たに調製]を添加し、溶液を室温で撹拌させておいた。30分後、溶液をNHCl(飽和)/1N HCl(25mL、3:2)に注ぎ込み、EtO(3回×25mL)で抽出した。次いで、有機物を合わせて、HOで十分に洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、中間体(I)を得た。次いで、これをCHCl(25mL)に再溶解した。この予冷した溶液(0℃)に、NEt(0.83mL、6.0mmol)および塩化アセチル(0.39mL、5.5mmol)を添加した。0℃で40分経過した後、NHCl(飽和)(50mL)を添加し、溶液をCHCl(3回×20mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な4(1.0g、70.6%)が得られた。
【0159】
【化91】

ステップE−(S)−5−メチル−5−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−チオフェン−2,4−ジオン(5)(KS−II−61)。−78℃のTHF(15mL)中4(0.922g、3.2mmol)に、LiHMDS(4.8mL、4.8mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を、−5℃まで2時間かけてゆっくりと温まらせ、次いで−5℃でさらに20分間維持した。次いで、溶液を1N HCl(20mL)に注ぎ込み、EtO(3回×20mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CHCOH/ヘキサン類)によって、5(0.51g、65.6%)が得られた。
【0160】
【化92】

ステップF−(S)−N−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(7)(KS−II−62)。25mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気中で5−メチル−5−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−チオフェン−2,4−ジオン5(85.0mg、0.35mmol)、N−(4−クロロフェニル)−2−ブロモアセトアミド6(91.0mg、0.36mmol)、炭酸カリウム(97.0mg、0.7mmol、窒素雰囲気中で火力乾燥および冷却)、およびDMF(3.0mL)を加えた。混合物を70℃で2〜3時間加熱した(TLCでモニターした)。固体材料を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、溶液をエーテル(30mL)で希釈し、水(3回×15mL)で洗浄し、飽和NHCl水溶液(2回×10mL)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、粗生成物を半固体として得た。次いで、粗生成物をジエチルエーテル:ヘキサン(1:1)から再結晶して、白色粉末を得た(基本的に粉砕されている)。次いで、生成物を濾過し、エーテル:ヘキサン(1:1)で洗浄した。濾液を濃縮し、再びエーテル:ヘキサン(1:1)で再結晶して、白色粉末を得た。白色粉末を合わせて、真空乾燥して、収率61.5%で生成物7(88.0g)を得た。
【0161】
【化93】

図4に示すR型エナンチオマーの合成
ステップA−(S)−2−tert−ブチル−4−メチル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(8)。Ar雰囲気中、火力乾燥したフラスコに、(S)−チオ乳酸(4.17g、39.3mmol)と、続いてペンタン(80mL)、およびピバルアルデヒド(4.48mL、41.3mmol)、およびトリフルオロ酢酸数滴を加えた。反応にディーンスターク装置を装備して、水を除去した。次いで、溶液を48時間(55℃)加熱還流し、同時に水を連続的に除去した。室温に冷却した後、溶媒を完全に蒸発させた。次いで、粗生成物を−78℃でペンタン:エーテル(5:1)から再結晶した。白色固体材料をるつぼに通して濾過して、生成物8(3.23g、収率:47.3%)を得た。
【0162】
【化94】

ステップB−(R)−2−tert−ブチル−4−メチル−4−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(3)。−78℃のTHF(47mL)中LiHMDS(16.0mL、16.0mmol、THF中1M)の混合物に、THF(15mL)中8(2.42g、13.9mmol)をカニューレによって滴下し、得られた黄色溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、ペンタン(8mL)中トリフル酸オクチル2(3.85g、14.6mmol)を、室温で、カニューレによって−78℃のエノラートの溶液にゆっくりと添加した。−78℃で2時間撹拌した後、1N HCl(200mL)を添加し、溶液をEtO(3回×75mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な9(2.54g、64%)が得られた。
【0163】
【化95】

ステップC−(R)−2−アセチルスルファニル−2−メチル−デカ−3,5,7,9−テトライン酸エチルエステル(10):EtOH(無水、14.6mL)中9(1.43g、5.0mmol)に、NaOEt(12.5mmol)[EtOH(15mL)中Na金属(300mg、12.5mmol)から新たに調製]を添加し、溶液を室温で撹拌させておいた。30分後、溶液をNHCl(飽和)/1N HCl(25mL、3:2)に注ぎ込み、EtO(3回×25mL)で抽出した。次いで、有機物を合わせて、HOで十分に洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、中間体(II)を得た。次いで、これをCHCl(25mL)に再溶解した。この予冷した溶液(0℃)に、NEt(0.83mL、6.0mmol)および塩化アセチル(0.39mL、5.5mmol)を添加した。0℃で40分経過した後、NHCl(飽和)(50mL)を添加し、溶液をCHCl(3回×20mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン類)によって、純粋な10(1.29g、90.0%)が得られた。
【0164】
【化96】

ステップD−(R)−5−メチル−5−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−チオフェン−2,4−ジオン(11)。−78℃のTHF(15mL)中10(1.23g、4.27mmol)に、LiHMDS(6.4mL、6.4mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を、−5℃まで2時間かけてゆっくりと温まらせ、次いで−5℃でさらに20分間維持した。次いで、溶液を1N HCl(20mL)に注ぎ込み、EtO(3回×20mL)で抽出した。有機物を合わせて、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CHCOH/ヘキサン類)によって、11(352.0mg、34%)が得られた。
【0165】
【化97】

ステップE−(R)−N−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(7)(KS−II−62):25mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気中で(R)−5−メチル−5−オクタ−1,3,5,7−テトライニル−チオフェン−2,4−ジオン11(195.0mg、0.80mmol)、N−(4−クロロフェニル)−2−ブロモアセトアミド6(209.0mg、0.85mmol)、炭酸カリウム(220.0mg、1.6mmol、窒素雰囲気中で火力乾燥および冷却)、およびDMF(3.0mL)を加えた。混合物を70℃で2〜3時間加熱した(TLCでモニターした)。固体材料を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、溶液をエーテル(30mL)で希釈し、水(3回×15mL)で洗浄し、飽和NHCl水溶液(2回×10mL)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、粗生成物を半固体として得た。次いで、粗生成物をジエチルエーテル:ヘキサン(1:1)から再結晶して、白色粉末を得た(基本的に粉砕されている)。次いで、生成物を濾過し、エーテル:ヘキサン(1:1)で洗浄した。濾液を濃縮し、再びエーテル:ヘキサン(1:1)で再結晶して、白色粉末を得た。白色粉末を合わせて、真空乾燥して、収率63.0%で生成物12(206.0g)を得た。
【0166】
【化98】

(実施例6)−図5に示すO−酢酸ヒドラジドを有する化合物の代替合成方法
ステップA−トリフル酸オクチル(1)。乾燥した3Lの3ツ口丸底フラスコに、メカニカルスターラー、温度計、および窒素パージ用入口を装備した。フラスコに、ジクロロメタン(1050mL)中オクタノール(150g、1.15mol)を加え、−40℃に冷却し、続いてピリジン(107mL)を添加した。この冷溶液に、−40℃から−20℃でトリフル酸無水物(209mL、1.08当量)を45分かけて添加した。反応を室温まで温まらせた。室温で1.5時間撹拌した後、次いで白色固体をセライトに通して濾過し、ペンタン(2回×100mL)で洗浄した。濾液を<30℃で減圧濃縮して、溶媒の大半を除去した。熱ペンタン(1,000mL)を添加し、この混合物を濾過して、いずれの残留ピリジン塩も除去した。濾液を<30℃でほぼ乾固するまで減圧濃縮して、無色透明油(257.7g、85.3%)が得られ、直ちに使用した。
【0167】
ステップB−2,2,4−トリメチル−[1,3]オキサチオラン−5−オン(2)。12Lの3ツ口丸底フラスコに、窒素でパージした雰囲気中でメカニカルスターラー、温度計、およびディーンスタークトラップを装備した。フラスコに、チオ乳酸(1,000g、9.4mol)と、続いてアセトン(12.25mol、1.3当量)、p−トルエンスルホン酸(17.9g、0.09mol、0.01当量)、およびベンゼン(2,400mL)を加えた。混合物を47時間加熱還流し、同時に水を連続的に除去した。約190mLの水を回収した。溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル(3,500mL)で希釈し、2N NaCO(2回×2,000mL)と、続いて水(2,000mL)および飽和塩化ナトリウム(2,000mL)で洗浄した。溶液を硫酸塩で乾燥し、濾過し、減圧濃縮すると、油が得られた。次いで、粗生成物を真空蒸留して、生成物2(967.6g、70.2%)を無色油として得た。沸点=70.5℃〜73℃(726mmHg)。
【0168】
ステップC−2,2,4−トリメチル−4−オクチル−[1,3]−オキサチオラン−5−オン(3)。乾燥した5Lの3ツ口丸底フラスコに、メカニカルスターラー、温度計、および窒素パージ用入口を装備した。−78℃のTHF(350mL)中LiHMDS(831mL、THF中1.0M)の混合物に、2(110.5g、0.76mol)のテトラヒドロフラン(221mL)溶液を40分かけて滴下した。溶液を−78℃で1時間撹拌した後、温度を−60℃未満に維持してトリフル酸オクチル(257.7g、0.98mol、1.3当量)を50分かけて滴下した。−78℃で4時間撹拌した(TLCでモニターした)後、2N HCl(800mL)を添加し、溶液を酢酸エチル(2回×600mL)で抽出した。有機層を合わせて、脱イオン水(3回×1,000mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮して、粗油を得た。粗生成物を真空蒸留して、化合物3(185.9g、95.3%)を無色油として得た。沸点=110℃〜116℃(726mmHg)。
【0169】
ステップD−2−アセチルスルファニル−2−メチル−デカン酸エチルエステル(4)。3Lの3ツ口丸底フラスコに、メカニカルスターラーおよび窒素パージ用入口を装備した。フラスコに、エタノール(370mL)を添加し、続いてナトリウム金属(21.5g、0.93mol、1.3当量)を少量ずつ添加した。透明な溶液を20〜25℃に冷却し、続いてエタノール(315mL)中3(185g、0.72mol)を添加した。2時間撹拌した(TLCでモニターした)後、溶液をNHCl(飽和)/1N HCl(2,200mL、3:2)に注ぎ込み、酢酸エチル(2回×1,000mL)で抽出した。次いで、有機物を合わせて、HO(2回×1,000mL)、塩水で十分に洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させ(182.1gの淡黄色油)、CHCl(1,100mL)に再溶解した。この予冷した溶液(0℃)に、NEt(137g、1.35mol)および塩化アセチル(84.3g、1.07mol)を添加した。0℃で1時間経過した(TLCでモニターした)後、NHCl(飽和)(2,000mL)を添加し、溶液をCHCl(500mL)で抽出した。有機物を合わせて、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。次いで、粗生成物を減圧留去で精製して、4(187.6g、90.7%)を得た。沸点=115℃〜127℃(726mmHg)。
【0170】
ステップE−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(5)。6Lの3ツ口丸底フラスコに、メカニカルスターラーおよび窒素パージ用入口を装備した。フラスコに、4(187g、0.77mol)と、続いてテトラヒドロフラン(1,870mL)を加え、次いで−78℃に冷却した。冷溶液に、テトラヒドロフラン中LiHMDS(805mL、1.24当量)を50分かけて滴下した。反応混合物を、−70℃から−50℃で1時間、続いて−50℃から−40℃で2時間、−40℃で1時間撹拌し、次いで室温までゆっくり温めた。反応をTLCでモニターした。溶液を2N HCl(1,000mL)でクエンチし、酢酸エチル(1,500mL)で抽出した。水層を酢酸エチル500mLで抽出した。有機相を合わせて、脱イオン水(2回×2,000mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物を冷蔵庫に終夜貯蔵した。結晶生成物5を濾過で単離し(44g)、ヘキサンで洗浄した。溶媒を除去することなく、濾液を再び冷蔵庫に入れた。さらにいくらかの固体が単離された。さらに結晶化しなくなるまで操作を繰り返した。5の全単離収量:65g、41.4%。
【0171】
(実施例7)−代替精製プロセス:
抽出が行われると、有機層を飽和重炭酸ナトリウムで(2回)洗浄した。次いで、水層を1N HCl溶液で(pH約3〜4に)酸性化した。次いで、水層をエーテルで(3回)抽出し、水、塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、清浄な生成物を得た。これを、NMRで確認した。
【0172】
(反応からの)元の有機層を水、塩水で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、スルファニル−2−メチルデカン酸エチルエステルIを得た。次いで、この材料を、図6に示すように化合物4の合成にリサイクルした。
【0173】
(実施例8)−精製手順B
N−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルオキシ)−アセトアミド(9):250mLの丸底フラスコに、窒素雰囲気中で4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン5(9.32g、38.5mmol)、N−(4−クロロフェニル)−2−ブロモアセトアミド27(9.98g、40.4mmol)、炭酸カリウム(10.62g、77.0mmol、窒素雰囲気中で火力乾燥および冷却)、およびDMF(96.0mL)を加えた。混合物を70℃で2〜3時間加熱した(TLCでモニターした)。固体材料を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄した。次いで、溶液をエーテル(300mL)で希釈し、水(3回×100mL)で洗浄し、飽和NHCl水溶液(2回×100mL)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、粗生成物を半固体として得た。次いで、粗生成物をジエチルエーテル:ヘキサン(1:1)から再結晶して、白色粉末を得た(基本的に粉砕されている)。次いで、生成物を濾過し、エーテル:ヘキサン(1:1)で洗浄した。濾液を濃縮し、再びエーテル:ヘキサン(1:1)で再結晶して、白色粉末を得た。白色粉末を合わせて、真空乾燥して、収率74%で生成物9(11.66g)を得た。
【0174】
(実施例9):生物学的および生化学的方法
本発明による化合物を、以下に記載する様々な生物学的試験にかけた。
【0175】
ZR−75−1ヒト乳癌細胞由来のFASの精製。American Type Culture Collectionから入手した培養ZR−75−1ヒト乳癌細胞から、ヒトFASを精製した。Linnら、1981年およびKuhajdaら、1994年を改変した手順で、低張溶解(hypotonic lysis)、ポリエチレングリコール(PEG)による連続沈殿(successivepolyethyleneglycol (PEG) precipitation)、およびアニオン交換クロマトグラフィーを利用する。ZR−75−1細胞を、RPMI培地(10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、およびストレプトマイシンを含む)中で5%CO雰囲気下、37℃で培養した。
【0176】
10本のT150フラスコのコンフルエント細胞を、1.5mlの溶解バッファー(20mM Tris−HCl、pH 7.5、1mM EDTA、0.1mM フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、0.1%Igepal CA−630)で溶解し、氷上で20ストロークしてダウンスホモジナイズする(bouncehomogenized)。JA−20ローター(Beckman)を使用して、溶解産物を20,000rpmで30分間、4℃で遠心し、上清を溶解バッファーで42mlにする。50%PEG 8000の溶解バッファー溶液を、上清にゆっくりと添加して、最終濃度を7.5%にする。4℃で60分間振盪した後、JA−20ローター(Beckman)を使用して、溶液を15,000rpmで30分間、4℃で遠心する。次いで、固体のPEG 8000を上清に添加して、最終濃度を15%にする。振盪および遠心を上記のように繰り返した後、ペレットを10mlの緩衝液A(20mM KHPO、pH 7.4)に4℃で終夜再懸濁する。0.45μM濾過の後、タンパク質溶液をMono Q 5/5アニオン交換カラム(Pharmacia)にアプライした。カラムを緩衝液Aで1ml/分にて15分間洗浄し、結合している材料を、60分かけて60mlで1M KClへのリニアグラジエントで溶出する。FAS(MW:約270kD)は、典型的には4〜15%のSDS−PAGEを使用して、Coomassie G250染色剤(Bio−Rad)で同定して、0.25M KClにて3つの0.5ml分画で溶出する。FASタンパク質濃度は、Coomassie Plus Protein Assay Reagent(Pierce)を製造業者の仕様書に従って使用し、BSAを標準物質として用いて決定する。この手順によって、Coomassie染色ゲルで判断して実質的に純粋(>95%)なFAS調製物が生じる。
【0177】
FAS酵素活性の測定および化合物のIC50の決定。96ウェルプレートでNADPHのマロニル−CoA依存性酸化をOD340にて分光測定することによって、FAS活性を求める(DilsらおよびArslanianら、1975年)。各ウェルには、2μgの精製FAS、100mM KHPO、pH 6.5、1mM ジチオスレイトール(Sigma)、および187.5μM β−NADPH(Sigma)が含まれている。阻害物質のストック溶液は、DMSO中2、1、および0.5mg/mlで調製され、1ウェル当たり1μlのストックを添加すると、最終濃度が20、10、および5μg/mlになる。各実験について、セルレニン(Sigma)を正の対照として、DMSO対照、阻害物質、およびブランク(FAS酵素なし)と共にデュプリケートで実施する。
【0178】
アッセイは、Molecular Devices SpectraMax Plus分光光度計で行われる。FAS、緩衝液、阻害物質、および対照を含有するプレートを、37℃に加熱された分光光度計に入れる。カイネティックスプロトコルを使用して、これらのウェルは、100μlの100mM KHPO、pH 6.5を含むデュプリケートウェルをブランクとし、プレートをOD340について10秒間隔で5分間読み取り、NADPHのマロニル−CoA非依存性酸化を測定する。プレートを分光光度計から取り出し、マロニル−CoA(67.4μM、1ウェル当たりの最終濃度)およびアルキニル−CoA(61.8μM、1ウェル当たりの最終濃度)を、ブランクを除く各ウェルに添加する。カイネティックスプロトコルを用いて、プレートを、再び上記のように読み取って、マロニル−CoA依存性のNADPH酸化を測定する。マロニル−CoA依存性のNADPH酸化のΔOD340と非マロニル−CoA依存性のNADPH酸化のΔOD340の差は、比FAS活性(specific FAS activity)である。FAS調製物の純度のため、非マロニル−CoA依存性のNADPH酸化は無視できる。
【0179】
FASに対するIC50は、試験された各阻害物質濃度のΔOD340をプロットし、線形回帰を行い、回帰直線(best-fit line)、r値、および95%信頼区間を算出することによって決定される。FASの50%阻害を示す化合物濃度がIC50である。各化合物濃度について、SOFTmax PROソフトウェア(Molecular Devices)でΔOD340対時間のグラフをプロットする。線形回帰のコンピューター処理、回帰直線、r、および95%信頼区間の算出は、Prism Version 3.0(Graph Pad Software)を使用して行われる。
【0180】
総脂質への[14C]アセテートの取り込みの測定および化合物のIC50の決定。このアッセイは、総脂質への[14C]アセテートの取り込みを測定し、インビトロでの脂肪酸合成経路活性の尺度である。これは、脂肪酸合成の阻害をインビトロで測定するのに利用される。
【0181】
上記のように培養されたMCF−7ヒト乳癌細胞を、24ウェルプレートに1ウェル当たり5×10個の細胞で播種する。終夜インキュベートした後、被検化合物をDMSOに可溶化し、5、10、および20μg/mlにてトリプリケートで添加し、必要ならより低い濃度で試験する。ビヒクル対照として、DMSOをトリプリケートウェルに添加する。C75を正の対照として5および10μg/mlにてトリプリケートで実施する。4時間インキュベートした後、0.25μCiの[14C]アセテート(体積10μl)を各ウェルに添加する。
【0182】
さらに2時間インキュベートした後、培地をウェルから吸引し、800μlのクロロホルム:メタノール(2:1)および700μlの4mMMgClを各ウェルに添加する。各ウェルの内容物を1.5mlのエッペンドルフ型チューブに移し、高速Eppendorf Microcentrifuge 5415Dで、2分間全速で回転させる。水層(上層)を除去した後、さらに700μlのクロロホルム:メタノール(2:1)および500μlの4mM MgClを各チューブに添加し、次いで上記のように1分間遠心する。パスツールピペットを使用して、水層を除去し、廃棄する。さらに400μlのクロロホルム:メタノール(2:1)および200μlの4mM MgClを各チューブに添加し、次いで遠心し、水層を廃棄する。下相(有機相)をシンチレーションバイアルに移し、Nガス中40℃で乾燥する。乾燥すると、3mlのシンチラント(APB #NBC5104)を添加し、バイアルを14Cについて計数を行う。Beckmanシンチレーションカウンターによって、トリプリケートの平均cpm値を算出する。
【0183】
化合物のIC50は、対照に比べて脂質への[14C]アセテートの取り込みを50%低下させる薬物濃度と定義される。これは、試験された各阻害物質濃度の平均cpmをプロットし、線形回帰を行い、回帰直線、r値、および95%信頼区間を算出することによって決定される。各化合物濃度について、平均cpm値をBeckmanシンチレーションカウンター(モデルLS6500)で算出する。線形回帰のコンピューター処理、回帰直線、r、および95%信頼区間の算出は、Prism Version 3.0(Graph Pad Software)を使用して行われる。
【0184】
脂肪酸酸化の測定および化合物のSC150の決定。このアッセイは、[14C]パルミテートの酸可溶性生成物への分解を測定し、インビトロでの脂肪酸酸化経路活性の尺度である。これは、インビトロで脂肪酸酸化を測定するのに利用される。
【0185】
上記のように培養されたMCF−7ヒト乳癌細胞を、24ウェルプレートに1ウェル当たり2.5×10個の細胞で播種する。終夜インキュベートした後、被検化合物をDMSOに可溶化し、0.98、0.39、1.56、6.25、25、および100μg/mlにてトリプリケートで添加し、必要ならより低い濃度で試験する。ビヒクル対照として、DMSOをトリプリケートウェルに添加する。C75を正の対照として5および10μg/mlにてトリプリケートで実施する。1時間インキュベートした後、培地を除去し、シクロデキストラン中100μMの[14C]パルミテートおよび無血清培地中200μMのカルニチン(体積250μl)を各ウェルに添加する。
【0186】
さらに30分間インキュベートした後、2.6N HClOを添加することによって、反応を停止する。各ウェルの内容物を1.5mlのエッペンドルフ型チューブに移し、4N KOHを添加する。チューブを60℃で30分間インキュベートした。1M 酢酸Naおよび3N HSOを各チューブに添加し、ボルテックスする。チューブを1000rpmで5分間、室温で遠心する。250μlの上清を2mlのエッペンドルフ型チューブに移す。各チューブに、938μlのクロロホルム:メタノール(1:1)、468μlのクロロホルムおよび281μlの脱イオン水を添加する。チューブをボルテックスし、1000rpmで5分間、室温で遠心する。750μlの上相をシンチレーションバイアルに移し、5mlのシンチラントを添加し、バイアルを14Cについて1分間計数を行う。Beckmanシンチレーションカウンターによって、トリプリケートの平均cpm値を算出する。
【0187】
化合物のSC150は、無処置対照に比べて[14C]パルミテートの酸可溶性生成物の産生を150%上昇させる薬物濃度と定義される。これは、試験された各阻害物質濃度の平均cpmをプロットし、線形回帰を行い、回帰直線、r値、および95%信頼区間を算出することによって決定される。各化合物濃度について、平均cpm値をBeckmanシンチレーションカウンター(モデルLS6500)で算出する。線形回帰のコンピューター処理、回帰直線、r、および95%信頼区間の算出は、Prism Version 3.0(Graph Pad Software)を使用して行われる。化合物がこの150%閾値を実現できない場合、陰性とみなされる。実現した最大値(FAO Max)も報告する。
【0188】
XTT細胞毒性アッセイ。XTTアッセイは、[51Cr]放出細胞毒性アッセイの非放射性代替法である。XTTは、代謝活性のある生細胞によってのみホルマザン色素に還元されるテトラゾリウム塩である。XTTの還元は、OD490−OD650として分光測定される。
【0189】
癌性細胞に対する特定化合物の細胞毒性を測定するために、American Type Culture Collectionから入手したMCF−7ヒト乳癌細胞(表に「(M)」で示す)を、96ウェルプレートに1ウェル当たり9×10個で、10%ウシ胎仔血清、インスリン、ペニシリン、およびストレプトマイシンを含むDMEM培地を用いて播種する。37℃で5%CO中終夜培養した後、被検化合物をDMSOに溶解し、体積1μlで以下の濃度:80、40、20、10、5、2.5、1.25、および0.625μg/mlにてトリプリケートでウェルに添加する。必要に応じて、別の濃度を試験する。1μlのDMSOをトリプリケートウェルに添加したものが、ビヒクル対照である。C75を、正の対照として40、20、10、15、12.5、10、および5μg/mlにてトリプリケートで実施する。
【0190】
72時間インキュベートした後、細胞をXTT試薬(Cell Proliferation Kit 11(XTT)Roche)と共に、製造業者の指示書に従って4時間インキュベートする。Molecular Devices SpectraMax Plus分光光度計で、プレートをOD490およびOD650について読み取る。XTT試薬を含有するが細胞を含まない3つのウェルは、プレートブランクとする。XTTデータはOD490−OD650として報告される。SOFTmax Proソフトウェア(Molecular Dynamics)を使用して、平均値および平均値の標準誤差を算出する。
【0191】
化合物のIC50は、対照に比べてOD490−OD650を50%低下させる薬物濃度と定義される。各化合物濃度について、SOFTmax PROソフトウェア(Molecular Devices)でOD490−OD650を算出する。IC50は、線形回帰で、対照に対するFAS活性(%)対薬物濃度をプロットことによって算出する。Prism Version 3.0(Graph Pad Software)を使用して、線形回帰、回帰直線、r、および95%信頼区間を決定する。
【0192】
OVCAR3細胞(「OV」)およびHCT116細胞(「H」)に対しても、試験を実施した。
【0193】
体重減少スクリーン。Balb/Cマウス(Jackson Labs)を初期体重減少スクリーニングに用いる。動物を、温度および12時間の昼/夜サイクル室に収容し、マウス用飼料および水を自由に摂餌させる。1実験当たりトリプリケートでビヒクル対照を含む各被検化合物について、3匹マウスを用いた。実験では、マウスは、それぞれの被検化合物ごとに別々に、3匹のマウスを1つのケージに収容する。化合物をDMSOに10mg/mlで希釈し、マウスに、DMSO約100μl中60mg/kg、またはビヒクル単独を腹腔内注射する。マウスを毎日観察し、計量する。Excel(Microsoft)を使用して、平均体重および標準誤差を算出する。処置動物が処置前の体重に到達するまで、実験を継続する。
【0194】
抗菌性。微量液体希釈アッセイを用いて、化合物の抗菌活性を評価する。化合物を2倍段階希釈して試験し、目に見える増殖を阻害する濃度(対照の10%におけるOD600)をMICと定義する。被検微生物としては、Staphylococcus aureus(ATCC#29213)、Enterococcus faecalis(ATCC#29212)、Pseudomonasaeruginosa(ATCC#27853)、およびEscherichia coli(ATCC#25922)が挙げられる。アッセイは、Mueller Hinton BrothおよびTrypticase Soy Brothの2種類の増殖培地で行う。
【0195】
血液(Tsoy/5%ヒツジ血液)寒天板に、10%グリセロールを含有するT soyブロス中で維持される凍結ストックから接種し、37℃で終夜インキュベートする。コロニーを、濁度が0.5マクファーランド標準液の濁度と一致するように無菌ブロスに懸濁する。接種物を1:10で無菌ブロス(Mueller HintonまたはTrypticase soy)に希釈し、96ウェルプレート1ウェル当たり195μlを分注する。被検化合物をDMSOに溶解し、体積5μlで以下の濃度:25、12.5、6.25、3.125、1.56、および0.78μg/mlにてデュプリケートでウェルに添加する。必要に応じて、別の濃度を試験する。5μlのDMSOをトリプリケートウェルに添加したものが、ビヒクル対照である。正の対照用化合物であるバンコマイシン(E. faecalisおよびS. aureus)およびトブラマイシン(E. coliおよびP. aeruginosa)の段階希釈物が、各実施に含まれる。
【0196】
37℃で24時間インキュベートした後、Molecular Devices SpectraMax Plus分光光度計で、プレートをOD600について読み取る。SOFTmax Proソフトウェア(Molecular Devices)を使用して、平均OD600値を算出し、Prism version 3.02(Graph Pad Software、San Diego)を使用して、MIC値を線形回帰分析で決定する。MICは、ビヒクル対照の指示値の10%に等しいOD600指示値を生じるのに必要とされた化合物濃度と定義される。
【0197】
生物学的試験の結果
【0198】
【表2】

【0199】
【表3】

【0200】
【表4】

【0201】
【表5】

【0202】
【表6】

【0203】
【表7】

【0204】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式を含む化合物:
【化99】

[式中、Xは、O、S、およびNからなる群から選択されるヘテロ原子からなり、
およびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールからなる群から選択され、
およびRは独立に、水素、または4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員である、ただし、RおよびRは、両方が水素であることはないこと、さらにRおよびRは、共に水素でない場合、同じ4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員であることを条件とする]。
【請求項2】
Xが、酸素または硫黄からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素であり、Rが、それぞれ4から6個の炭素原子を有する、置換または非置換アリール基、置換または非置換ヘテロアリール基、および置換または非置換ヘテロ環式環基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、Rの隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素からなり、Rが、前記第1の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されているアリール基からなる、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する置換または非置換の5〜7員ヘテロ環式環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記5〜7員ヘテロ環式環が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、5〜7員ヘテロ環式環上の隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN−置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記5〜7員ヘテロ環式環が、環構造内に少なくとも2個の窒素原子を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
前記5〜7員ヘテロ環式環が、2個の窒素原子を有する6員環からなる、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
前記2個の窒素原子が、互いにパラ位に存在する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、直鎖または分枝鎖のCアルキル基からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
がメチル基からなる、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
下記からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化100】

【化101】

【請求項16】
次式を含む化合物:
【化102】

[式中、RおよびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールからなる群から選択され、
およびRは独立に、水素、または4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員である、ただし、RおよびRは、両方が水素であることはないこと、さらにRおよびRは、共に水素でない場合、同じ4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員であることを条件とする]。
【請求項17】
が水素であり、Rが、それぞれ4から6個の炭素原子を有する、置換または非置換アリール基、置換または非置換ヘテロアリール基、および置換または非置換ヘテロ環式環基からなる群から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、Rの隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN−置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が水素からなり、Rが、前記第1の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されているアリール基からなる、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
およびRが、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する置換または非置換の5〜7員ヘテロ環式環を形成する、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
前記5〜7員ヘテロ環式環が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、前記5〜7員ヘテロ環式環の隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
およびRが、結合している原子および結合と共に、2個の窒素原子を有する6員環を形成する、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
前記2個の窒素原子が、互いにパラ位に存在する、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項16に記載の化合物。
【請求項25】
が、直鎖または分枝鎖のCアルキル基からなる、請求項16に記載の化合物。
【請求項26】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項16に記載の化合物。
【請求項27】
がメチル基からなる、請求項16に記載の化合物。
【請求項28】
下記からなる群から選択される、請求項16に記載の化合物。
【化103】

【化104】

【請求項29】
次式を含む化合物:
【化105】

[式中、RおよびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールからなる群から選択され、
およびRは独立に、水素、または4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員である、ただし、RおよびRは、両方が水素であることはないこと、さらにRおよびRは、共に水素でない場合、同じ4〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環の環員であることを条件とする]。
【請求項30】
が水素であり、Rが、それぞれ4から6個の炭素原子を有する、置換または非置換アリール基、置換または非置換ヘテロアリール基、および置換または非置換ヘテロ環式環基からなる群から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、Rの隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
が水素からなり、Rが、前記第1の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されているアリール基からなる、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
およびRが、結合している原子および結合と共に、環構造内に少なくとも1個の窒素原子を有する置換または非置換の5〜7員ヘテロ環式環を形成する、請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
前記5〜7員ヘテロ環式環が、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基の1つまたは複数で置換されており、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、前記5〜7員ヘテロ環式環の隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
およびRが、結合している原子および結合と共に、2個の窒素原子を有する6員環を形成する、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
前記2個の窒素原子が、互いにパラ位に存在する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項29に記載の化合物。
【請求項38】
が、直鎖または分枝鎖のCアルキル基からなる、請求項29に記載の化合物。
【請求項39】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項29に記載の化合物。
【請求項40】
がメチル基からなる、請求項29に記載の化合物。
【請求項41】
次の構造:
【化106】

を含む、請求項29に記載の化合物。
【請求項42】
次式を含む化合物:
【化107】

[式中、Xは、O、S、またはNからなり、
およびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールからなる群から選択され、
およびR8’は独立に、構造に存在することがなく、あるいはハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択される第1の置換基からなり、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、アリール基の隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、またはRからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される第2の置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されており、
は、C〜Cアルキル基からなり、Rは、C〜Cアルキル、アリル基、モルホリン、ピペラジン、RでN置換されたピペラジン、およびN、O、S、またはそれらの任意の組合せを含む5員または6員のヘテロ環からなる群から選択される]。
【請求項43】
Xが、次式の化合物:
【化108】

を形成する酸素または硫黄からなる、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
’が構造に存在することがなく、Rが、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、−OR、−SR、−CN、−CONH、−SONH、−C(O)OR、−CONHR、およびシクロアルキルまたはヘテロ環式環からなる群から選択され、前記第1の置換基のシクロアルキルまたはヘテロ環式環は、場合によっては芳香族であり、アリール基の隣接する2個の原子に場合によっては縮合しており、Rからなる少なくとも1つの置換基で場合によっては置換されている、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
8’が構造に存在することがなく、Rが、ハロゲン、C〜Cハロアルキル基、およびORからなる群から選択される、請求項42に記載の化合物。
【請求項46】
がORであり、RはC〜Cハロアルキル基である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項42に記載の化合物。
【請求項48】
が、直鎖または分枝鎖のCアルキル基からなる、請求項42に記載の化合物。
【請求項49】
が、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル基からなる、請求項42に記載の化合物。
【請求項50】
がメチル基からなる、請求項42に記載の化合物。
【請求項51】
下記からなる群から選択される、請求項42に記載の化合物。
【化109】

【化110】

【請求項52】
次式を含む化合物:
【化111】

[式中、Xは、O、S、またはNからなり、
およびRは独立に、H、C〜C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリールからなる群から選択され、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルからなる群から選択され、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、およびC〜Cハロアルコキシ基からなる群から選択される置換基の1つまたは複数で場合によっては置換されている]。
【請求項53】
Xが、次式の化合物:
【化112】

を形成する酸素または硫黄からなる、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
下記からなる群から選択される、請求項52に記載の化合物。
【化113】

【請求項55】
医薬賦形剤、ならびに請求項1、16、29、42、および52のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項56】
前記化合物が、下記からなる群から選択される、請求項55に記載の医薬組成物。
【化114】

【化115】

【請求項57】
前記化合物が、下記からなる群から選択される、請求項55に記載の医薬組成物。
【化116】

【請求項58】
有効量の請求項55に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体における癌を治療する方法。
【請求項59】
前記被験体が動物である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記被験体がヒトである、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項58に記載の方法。
【化117】

【化118】

【請求項62】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項58に記載の方法。
【化119】

【請求項63】
有効量の請求項55に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体における脂肪酸シンターゼ活性を阻害する方法。
【請求項64】
前記被験体が動物である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記被験体がヒトである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項63に記載の方法。
【化120】

【化121】

【請求項67】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項63に記載の方法。
【化122】

【請求項68】
有効量の請求項55に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体における体重減少を誘導する方法。
【請求項69】
前記被験体が動物である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記被験体がヒトである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項68に記載の方法。
【化123】

【化124】

【請求項72】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項68に記載の方法。
【化125】

【請求項73】
有効量の請求項55に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体における侵襲性微生物細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項74】
前記被験体が動物である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記被験体がヒトである、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項73に記載の方法。
【化126】

【化127】

【請求項77】
前記医薬組成物が、下記からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項73に記載の方法。
【化128】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−521978(P2011−521978A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511901(P2011−511901)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/045945
【国際公開番号】WO2009/149066
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510316914)ファスジェン, インコーポレイテッド (2)
【出願人】(398076227)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー (35)
【Fターム(参考)】