説明

方向転換装置

【課題】搬送時間を短縮することができる方向転換装置を提供する。
【解決手段】同じ長さを有し、何れか一方が第1搬送レール16と同じ高さで、他方が一方よりも下方に配置され、且つ、互いに垂直で、2つの中点が同一鉛直線上に位置するように配置され、FOUP5を搬送する直線状の第1及び第2搬送路3・4と、その中点を中心に、第1及び第2搬送路3・4を同時に回転させるターンテーブル2及び回転部22と、第1及び第2搬送路3・4を鉛直方向に移動させる昇降部23と第1搬送レール16からFOUP5が第1搬送レール16と同じ高さの搬送路に排出されると、第1及び第2搬送路3・4を略90度回転させ、FOUP5を搬送路外に搬出した後、第1及び第2搬送路3・4の鉛直方向の位置を入れ替えるように制御する制御部21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される物品の搬送方向を転換する方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造、液晶製造、FA(Factory Automation)等における搬送手段として、例えば、特許文献1に記載の搬送装置がある。特許文献1の搬送装置は、一対のレールの上面から突出するようにホイールが回転可能に設けられており、ホイールに載置された物品がそのホイールの回転により、レールに沿って移送されるようになっている。また、特許文献1において、直角に配置されたレールには、物品の方向を変換するディレクター駆動レールが設けられている。ディレクター駆動レールは、直角に配置された2つのレールの間を旋回可能に設けられており、物品を載置した状態で旋回することで、物品を方向転換できるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特表2003−506289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように物品を方向転換する場合、方向転換終了後に、ディレクター駆動レールを再び旋回し、元の位置に戻さなければ、次に搬送レールを移送されてくる物品を方向転換できなくなってしまう。このため、方向転換する度に、ディレクター駆動レールを元の位置に戻す必要があり、その間は、物品を搬送できないため、無駄な時間が発生してしまい、搬送時間が長くなってしまうという問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、搬送時間を短縮することができる方向転換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ワークを搬送する搬送レールから排出されたワークを方向転換する方向転換装置において、同じ長さを有し、何れか一方が搬送レールと同じ高さで、他方が一方よりも下方に配置され、且つ、互いに垂直で、2つの中点が同一鉛直線上に位置するように配置され、ワークを搬送する直線状の第1及び第2搬送路と、中点を中心に、第1及び第2搬送路を同時に回転させる回転部と、第1及び第2搬送路を鉛直方向に移動させる昇降部と搬送レールからワークが搬送レールと同じ高さの搬送路に排出されると、第1及び第2搬送路を略90度回転させ、ワークを搬送路外に搬出した後、第1及び第2搬送路の鉛直方向の位置を入れ替えるように制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成によると、ワークを方向転換して搬出した後、短時間で、次のワークを方向転換させる準備を行うことができる。具体的には、第1搬送路を搬送レールの高さと一致させると共に、第2搬送路を第1搬送路と垂直で第1搬送路より下方に配置しておくことで、第2搬送路が邪魔になることなく搬送レールのワークを第1搬送路に排出することができるようになっている。そして、搬送レールから第1搬送路にワークが排出されると、第1及び第2搬送路を略90度回転させることで、ワークを90度方向転換できる。そして、第1搬送路からワークを搬出した後に、第1及び第2搬送路の鉛直方向の位置を入れ替えることで、搬送レールのワークを第2搬送路に排出できるようになる。
【0008】
即ち、回転部に搬送路を一つだけ設けた場合、搬送路を回転させ、ワークを搬出した後に、その搬送路を再び搬送レールからワークを受け取ることができる位置まで回転させる必要があるが、上記のように2つの搬送路の鉛直方向の位置を入れ替えるようにすることで、無駄な時間を短縮できるようになる。
【0009】
また、本発明の搬送レール、第1及び第2搬送路は、両側に沿って回転可能な複数のローラを有しており、ローラ上に載置されたワークをローラの回転によって搬送することを特徴する。
【0010】
この構成によると、搬送レール及び搬送路の両側に沿って設けられているローラの回転によりワークが搬送されるようになっているため、ワークの方向が乱れることなくワークを搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る方向転換装置は、半導体製品製造施設のように、工程内や工程間を搬送レールで処理対象物を搬送して処理を加えながら最終製品とする搬送システム等に好適に適用される。尚、以降の説明においては、処理対象物を半導体とし、半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の処理対象物を搬送する搬送システムについて説明するが、これに限定されるものではなく、電子部品や機械部品、化学品、食品、書類等の荷物を搬送する全業種の搬送システムに適用することができる。
【0012】
また、半導体とは、例えば、図5に示すFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるカセット内に複数枚収納された半導体ウェハ(図示せず)である。FOUPは略立方体の2つの角取りした形状を有している。半導体は、カセット単位で搬送され、後述の各処理装置15内で所定の処理が施されていく。以下の説明で、搬送レール10上を搬送される搬送物をFOUP5(ワーク)と称する。
【0013】
本実施の形態の搬送システムは、図4に示すように、複数の処理装置15と、FOUP5を各処理装置15に搬送する搬送レール10と、方向転換装置1と、搬送システム全体を制御する図示しない制御装置とを有している。なお、搬送システムは、複数の処理装置15を含む複数のベイからなっており、FOUP5は1つのベイ内で処理が終了すると、次のベイへと搬送される。
【0014】
処理装置15は、例えば、薄膜フィルムをウェハ上に形成させるための装置、種々の段階としてウェハを洗浄、調整、測定するための装置、ウェハを保管する装置(所謂、「ストッカ」)等を含む。各処理装置15は、入出口にロードポート15aを有しおり、ロードポート15aにより搬送レール10上を搬送されるFOUP5を取り込み、収納される半導体を処理装置に取り込んだり、処理後の半導体をFOUP5に収納し、搬送レール10に排出したりすることができるようになっている。
【0015】
搬送レール10は、FOUP5を処理装置15から他の処理装置15に、又は次のベイに搬送するレールである。搬送レール10は、例えば図5に示すように、FOUP5の底面を支持可能な幅で隔てられた1対のレール11・12と、各レール11・12の上面から突出した複数のローラ13とを有している。ローラ13は、レール11・12の長手方向に沿って略均等な間隔で配置され、一定方向に回転するようになっている。そして、ローラ13に載置されたFOUP5は、ローラ13が回転することにより、ローラ13の回転方向に移動するようになっている。
【0016】
なお、ローラ13を駆動させる駆動モータは、各ベイ毎に独立して作動するようになっている。これにより、各ベイ毎にローラ13の回転速度を変えることができるため、搬送するFOUP5の搬送速度を変えることができるようになる。即ち、処理工程の処理時間が異なるベイ毎に応じてFOUP5の搬送速度を変えることができる。また、次のベイ内のFOUP5数が多い場合は、ローラ13の回転速度を減速させることで、FOUP5の搬送速度も減速でき、次のベイに搬送されるFOUP5の数を減らすことができるようになり、処理能力以上の数のFOUP5がベイに存在することを防ぐことができるようになる。
【0017】
また、搬送レール10のレール11・12は、図示しないが、外側の縁に沿って上方に突起した形状となることが好ましい。この突起部分を搬送ガイドとすることにより、搬送されるFOUP5が水平方向に横ズレを生じることを防ぐことができるようになる。
【0018】
方向転換装置1は、FOUP5の搬送方向を転換する装置である。方向転換装置1は、図4に示すように、2つ以上の搬送レール10が交差する交差部に設けられ、FOUP5の搬送方向を転換できるようになっている。交差部は、四方十字型交差部であってもよいし、三方「T字型」交差部、垂直交差部であってもよく、2つ以上の搬送レールの搬送方向が夫々垂直となる交差部であればよい。本実施の形態では、図1に示すように、第1搬送レール16、第2搬送レール17及び第3搬送レール18からなる三方「T字型」交差部に方向転換装置1を配置した場合について説明する。具体的には、三方「T字型」交差部を形成する第1搬送レール16及び第2搬送レール17は一直線上に配置され、それらの搬送レールに垂直に第3搬送レール18が配置され、方向転換装置1は、これら3つの搬送レール16・17・18の交差部分に配置される。なお、搬送レール16・17は、FOUP5を図中上方向に搬送し、搬送レール18は、FOUP5を図中左方向に搬送するようになっている。
【0019】
方向転換装置1は、図1に示すように、水平方向に回転するターンテーブル2(回転部)と、ターンテーブル2に設けられ、上方から見て互いに十字型に交差する第1搬送路3及び第2搬送路4を有している。ターンテーブル2は、略円筒形状であって、その中心軸が回転軸となり、一定方向(図中矢印方向)に90度間隔で回転する。第1搬送路3は、搬送レール10のレール11・12に設けられたローラ13の幅と同じ幅に隔てられた一対のローラ3aを直線上に複数有しており、ローラ3aに載置されたFOUP5がそのローラ3aの回転により搬送されるようになっている。また、第2搬送路4も、第1搬送路3と同様に、一対のローラ4aを直線上に複数有している。なお、第1搬送路3及び第2搬送路4は、鉛直方向に昇降可能になっており、ローラ3a・4aは、昇降時に互いに接触しないように設けられている。
【0020】
十字型に交差する第1搬送路3及び第2搬送路4は、その交点がターンテーブル2の中心軸と一致するように配置される。より具体的には、第1搬送路3及び第2搬送路4は、同じ長さを有しており、それらの中点がターンテーブル2の中心軸と一致するように配置される。即ち、第1搬送路3及び第2搬送路4は、それらの中点を中心に回転するようになっている。さらに、ターンテーブル2に設けられた第1搬送路3が、第1搬送レール16及び第2搬送レール17と一直線となるように配置され、第2搬送路4が第3搬送レール18と一直線となるように配置される。従って、ターンテーブル2を略90度回転させると、第1搬送路3は、第3搬送レール18と一直線となり、第2搬送路4は、第1及び第2搬送レール16・17と一直線となり、さらに90度回転させると、第1搬送路3は、再び第1搬送レール16及び第2搬送レール17と一直線となり、第2搬送路4は第3搬送レール18と一直線となる
【0021】
なお、ローラ3a・4aは、正逆回転可能となっており、第1搬送路3及び第2搬送路4を回転させて向きが逆になっても、ローラ3a・4aを逆方向に回転することで、FOUP5を常に一定方向に搬送できるようになっている。
【0022】
また、ローラ3a・4aは、図示しないが、FOUP5が載置される円筒状の載置部と、該載置部分よりも一回り略大きい径を有する円筒状の縁部とからなり、FOUP5は、移動部に載置され搬送される際に、載置部よりも径が大きい縁部がガイドの役割を果たすことにより、FOUP5の横ズレを防ぐことができるようになっている。
【0023】
また、回転駆動される方向転換装置に設置される駆動モータであって、第1、2搬送路のローラ駆動や昇降動作を司る電力モータへの外部からの電力供給手段には非接触給電方式、スリップリング方式などの慣用技術を用い、場合によりバッテリー搭載などの方法を採用する。
【0024】
ここで、回転及び昇降移動する、方向転換装置1の第1搬送路3及び第2搬送路4の位置関係について説明する。
【0025】
搬送システムの開始時等においては、図1(a)に示すように、第1搬送路3は、第1搬送レール16及び第2搬送レール17と一直線となる位置で、図3(a)及び図3(b)に示すように、ローラ3aが搬送レール16・17のローラ13の高さと略同じ位置になり、第2搬送路4は、ローラ4aが第1搬送路3から突出しないように第1搬送路3の下方の位置に配置される。これにより、第1搬送レール16を搬送されるFOUP5は、第2搬送路4に邪魔されることなく、第1搬送路3を介して第2搬送レール17に搬送されることが可能になる。
【0026】
次に、第1搬送レール16上のFOUP5を、第1搬送レール16と搬送方向が垂直な第3搬送レール18に進入させる場合、FOUP5が、第1搬送レール16から第1搬送路3に進入すると、図1(b)に示すように、ターンテーブル2を回転させる。そして、ターンテーブル2を略90度回転させると、図2(a)や図3(c)に示すように、FOUP5を載置した第1搬送路3は、第3搬送レール18と一直線となる。これにより、第1搬送路3上のFOUP5は、第3搬送レール18に進入可能となる。
【0027】
第1搬送路3が第3搬送レール18と一直線となると、第1搬送路3と垂直に配置された第2搬送路4は、第1搬送レール16及び第2搬送レール17と一直線となる。従って、第1搬送路3上のFOUP5が第3搬送レール18に進入した後、図2(b)や図3(d)に示すように、第1搬送路3を下降させると共に、第2搬送路4を、ローラ4aがローラ13の高さと一致するまで上昇させることより、第1搬送レール16を搬送されるFOUP5は、第2搬送路4に進入可能となる。即ち、図1(a)で説明した状態と同じになる。
【0028】
次に、方向転換装置1を制御する制御装置20について説明する。図6は、方向転換装置1を制御する制御装置のブロック図である。
【0029】
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有する制御部21と、ターンテーブル2を回転させる回転部22と、第1及び第2搬送路3・4を昇降させる昇降部23と、第1及び第2搬送路3・4のローラ3a・4aを回転させるローラ駆動部24と、FOUP5がターンテーブル2に載置されたことを検知するセンサ25とを有している。
【0030】
制御部21のCPUは、ROM等に格納される図7に示すデータテーブルやプログラムを実行することで、図8に示す処理ルーチンを実行し、回転部22や昇降部23、ローラ駆動部24を制御するようになっている。
【0031】
図7に示すデータテーブルは、FOUP5を第1搬送レール16から第3搬送レール18に搬送する際に使用されるテーブルであって、回転角度欄と、モード欄と、FOUP欄と、ローラ回転方向欄と、上下位置欄とを有している。回転角度欄には、ターンテーブル2の回転角度、0度、90度、180度、270度が格納されている。本実施の形態では、回転角度は、第1搬送路3の回転を基準とし、図1(a)で説明した、第1搬送路3が第1搬送レール16及び第2搬送レール17と一直線となる状態を「0度」とする。
【0032】
モード欄には、搬出モードと搬入モードとが格納されている。搬出モードは、ターンテーブル2から第3搬送レール18にFOUP5を搬出する際のモードであり、搬入モードは、第1搬送レール16からターンテーブル2にFOUP5を搬入する際のモードである。
【0033】
FOUP欄には、「なし」、「あり」が格納されている。「なし」の場合、ターンテーブル2上にFOUP5が載置されていない状態であり、「あり」の場合、FOUP5が載置された場合である。より具体的には、本実施の形態では、FOUP5が第1搬送レール16からターンテーブル2の略中心まで移動すると、センサ25がそれを検知し、FOUP5が「なし」の状態から「あり」の状態となる。また、FOUP5がターンテーブル2から第3搬送レール18に搬出されると、FOUP5が「あり」の状態から「なし」の状態となる。
【0034】
ローラ回転方向欄は、第1搬送路欄及び第2搬送路欄に区分され、ターンテーブル2の回転角度に対応する、ローラ3a又はローラ4aの回転方向が格納されている。なお、回転角度が「0度」の場合において、FOUP5を第1搬送レール16から第2搬送レール17方向に搬送させるように回転する方向をローラ3aの「正」方向とする。即ち、回転角度が「180度」の場合、ローラ3aの回転方向を「逆」にすることで、回転角度が「0度」の場合にローラの回転方向を「正」とした場合と同方向にFOUP5を搬送できるようになる。また、回転角度が「90度」の場合において、FOUP5を第1搬送レール16から第2搬送レール17方向に搬送させるように回転する方向をローラ4aの「正」方向とする。また、テーブル中の「−」は、ローラを回転させないことを意味する。さらに、後述するが、ターンテーブル2が回転中は、ローラ3a・4aは回転しないようになっている。
【0035】
上下位置欄は、第1搬送路欄及び第2搬送路欄に区分され、ターンテーブル2の回転角度における第1搬送路3と第2搬送路4の位置が格納されている。ここで、位置が「上」とは、ローラ3a又はローラ4aが搬送レール16・17・18のローラ13の高さと同じ位置となる状態であり、「下」とは、ローラ3a又はローラ4aが「上」にあるローラ3a又はローラ4aから突出しない位置となる状態を言う。例えば、回転角度が「0度」で、FOUPが「なし」の状態の場合、第1搬送路3及び第2搬送路4の位置関係は、第1搬送路3が「上」の位置、第2搬送路4が「下」の位置となる状態となる。
【0036】
(制御装置の動作)
次に、第1搬送レール16のFOUP5を第3搬送レール18に進入させる場合の方向転換装置1の制御装置の動作について説明する。
【0037】
図8に示す方向転換処理ルーチンにおいて、まず、第1搬送路3を基準とし、ターンテーブル2の回転角度を取得する(S1)。そして、取得した回転角度及び図7のデータテーブルに基づいて、搬送路のローラを駆動する(S2)。具体的には、回転角度が「0度」で、モードが「搬入モード」である場合、第1搬送路3のローラ3aを正方向に回転させる。なお、このとき、第2搬送路4のローラ4aは回転しない。
【0038】
次に、ターンテーブル2にFOUP5が載置されているか否かを判定する(S3)。具体的には、FOUP5が第1搬送レール16から第1搬送路3の中央にまで進入したか否かを判定する。FOUP5が載置されていない場合(S3:NO)、S3を繰り返す。FOUP5が載置された場合(S3:YES)、ローラ3aの回転を停止すると共に(S4)、ターンテーブル2を略90度回転させる(5)。なお、このとき、FOUP5が第1搬送路3を移動しながらターンテーブルを回転するようにしてもよい。
【0039】
そして、ターンテーブル2が90度回転し、第1搬送路3が第3搬送レール18と一直線となった後、再びローラ3aを回転させる(S6)。続いて、ターンテーブル2にFOUP5が載置されてないか否かを判定する(S7)。即ち、第1搬送路3上のFOUP5が第3搬送レール18に排出されたか否かを判定する。FOUP5が載置されている場合(S7:NO)、S7を繰り返す。FOUP5が載置されていない場合(S7:YES)、ローラ3aの回転を停止し(S8)、第1搬送路3を下降させると共に、第2搬送路4を上昇させ、第1搬送路3及び第2搬送路4の高さの位置を入れかえる(S9)。その後、S1に戻り、上記動作を繰り返す。
【0040】
(本実施形態の概要)
以上説明したように、本実施の形態において、FOUP5を搬送する第1搬送レール16から排出されたFOUP5を方向転換する方向転換装置において、同じ長さを有し、何れか一方が第1搬送レール16と同じ高さで、他方が一方よりも下方に配置され、且つ、互いに垂直で、2つの中点が同一鉛直線上に位置するように配置され、FOUP5を搬送する直線状の第1及び第2搬送路3・4と、中点を中心に、第1及び第2搬送路3・4を同時に回転させるターンテーブル2及び回転部22と、第1及び第2搬送路3・4を鉛直方向に移動させる昇降部23と第1搬送レール16からFOUP5が第1搬送レール16と同じ高さの搬送路に排出されると、第1及び第2搬送路3・4を略90度回転させ、FOUP5を搬送路外に搬出した後、第1及び第2搬送路3・4の鉛直方向の位置を入れ替えるように制御する制御部21とを備えた構成となっている。
【0041】
この構成によると、FOUP5を方向転換して搬出した後、短時間で、次のFOUP5を方向転換させる準備を行うことができる。具体的には、第1搬送路3を第1搬送レール16の高さと一致させると共に、第2搬送路4を第1搬送路と垂直で第1搬送路3より下方に配置しておくことで、第2搬送路4が邪魔になることなく第1搬送レール16のFOUP5を第1搬送路3に排出することができるようになっている。そして、第1搬送レール16から第1搬送路3にFOUP5が排出されると、第1及び第2搬送路3・4を略90度回転させることで、FOUP5を90度方向転換できる。そして、第1搬送路3からFOUP5を搬出した後に、第1及び第2搬送路3・4の鉛直方向の位置を入れ替えることで、第1搬送レール16のFOUP5を第2搬送路4に排出できるようになる。
【0042】
即ち、回転部に搬送路を一つだけ設けた場合、搬送路を回転させ、FOUP5を搬出した後に、その搬送路を再び第1搬送レール16からFOUP5を受け取ることができる位置まで回転させる必要があるが、上記のように2つの搬送路の鉛直方向の位置を入れ替えるようにすることで、無駄な時間を短縮できるようになる。
【0043】
また、本発明の第1搬送レール16、第1及び第2搬送路3・4は、両側に沿って回転可能な複数のローラ3a・4aを有しており、ローラ上に載置されたFOUP5をローラの回転によって搬送する構成となっている。
【0044】
この構成によると、第1搬送レール16及び搬送路の両側に沿って設けられているローラの回転によりFOUP5が搬送されるようになっているため、FOUP5の方向が乱れることなくFOUP5を搬送することができる。
【0045】
(変形例)
本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の趣旨と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【0046】
例えば、本実施の形態では、FOUP5が第1搬送路3に載置されると、第1搬送路3のローラ3aの回転を停止し、ターンテーブル2を回転させているが、FOUP5を搬送しながらターンテーブル2を回転するようにしてもよい。この場合、第1搬送路3上のFOUP5を停止させることなく、第1搬送レール16から第3搬送レール18に搬送できるようになるため、方向転換に要する時間をより短縮できるようになる場合がある。さらに、本実施の形態では、方向転換装置1を三方「T字型」交差部に配置した場合について説明したが、上記したようにこれに限定されることはなく、2つ以上の搬送レールが交差する位置に設けることができる。
【0047】
また、方向転換装置1上において、FOUP5をローラ3a・4aの回転により搬送するようにしているが、例えば、ベルトコンベアにより搬送するようにしてもよく、その搬送方法は上述の実施の形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施の形態の方向転換装置を上面から見た概略図。
【図2】本実施の形態の方向転換装置を上面から見た概略図。
【図3】本実施の形態の方向転換装置を側面から見た概略図。
【図4】本実施の形態の搬送システムの一部分の概略図。
【図5】図4の搬送システムに用いられる搬送レールの概略図。
【図6】方向転換装置のブロック図。
【図7】データテーブルを示す図。
【図8】方向転換処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0049】
1 方向転換装置
2 ターンテーブル
3 第1搬送路
4 第2搬送路
5 FOUP
16 第1搬送レール
17 第2搬送レール
18 第3搬送レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送レールから排出されたワークを方向転換する方向転換装置において、
同じ長さを有し、何れか一方が前記搬送レールと同じ高さで、他方が前記一方よりも下方に配置され、且つ、互いに垂直で、2つの中点が同一鉛直線上に位置するように配置され、ワークを搬送する直線状の第1及び第2搬送路と、
前記中点を中心に、前記第1及び第2搬送路を同時に回転させる回転部と、
前記第1及び第2搬送路を鉛直方向に移動させる昇降部と
前記搬送レールから前記ワークが前記搬送レールと同じ高さの搬送路に排出されると、前記第1及び第2搬送路を略90度回転させ、前記ワークを前記搬送路外に搬出した後、前記第1及び第2搬送路の鉛直方向の位置を入れ替えるように制御する制御部と
を備えていることを特徴とする方向転換装置。
【請求項2】
前記搬送レール、前記第1及び第2搬送路は、両側に沿って回転可能な複数のローラを有しており、前記ローラ上に載置されたワークを前記ローラの回転によって搬送することを特徴する請求項1に記載の方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−217078(P2007−217078A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36572(P2006−36572)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】