説明

施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置

【課題】操作が簡単であり、隣接するボード相互の位置ズレを防止または抑制可能であり、さらに、その施工の作業効率を向上させ得る施工装置を提供する。
【解決手段】この施工装置1は、自走台車2、可動アーム4、およびアタッチメント装着部5を備え、アタッチメント装着部5は、可動アーム4の先端側に設けられており、ボード100を保持可能なボード保持部70およびタッカー装置等の施工用の付属装置が装着される。そして、可動アーム4は、自走台車2上にその進行方向に沿って設けられた案内部12およびこの案内部12上を相対移動可能なスライダ14を有する直動案内装置10を備えており、この直動案内装置10は、そのスライダ14の相対移動によるアタッチメント装着部5の移動量が、ボード100の幅の2倍以上になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工するために用いる施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置に係り、特に、建築物内でその壁等の内装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内装用のボードを施工するために好適に用い得る施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建築物内での内装に用いられる石膏ボードや化粧板等の各種のボードの貼り付け工事は、ボードを作業者が手で持ち上げて取り付け位置に合わせた後、釘やビス類を打ち付けて固定する方法が行われてきた。しかし、多数のボードをこのように手で取り付ける作業は疲労が大きく、また、その作業能率も悪い。そこで、本願出願人は、先に、特許文献1に記載の技術を提案した。
【0003】
同文献に記載の技術は、天井及び壁施工装置であって、自走台車と、その自走台車上に昇降自在に配設された垂直回転軸と、その垂直回転軸に上下揺動可能に支持された伸縮自在なアームと、そのアームの先端部に直列に配設された垂直調整装置及び水平調整装置を介して配設されるとともにX,Y,Z方向の姿勢微調整装置を有してボード貼り付属装置を着脱可能に保持する保持部と、前記自走台車の走行、各アームの動作、垂直調整装置及び水平調整装置の各動作を制御する制御装置を備えている。これにより、各種のボードの貼り付け工事に際し、例えばボードビス打ち施工であれば、ビスの本打ち,ピッチ打ち,同時打ち等の各種ビス打作業を、人が直接手で取り付けるのではなく、これを利用して自動で施工可能としている。特に、この天井及び壁施工装置は、種々の作業に適用可能とすることを目的として汎用性を高めており、具体的には、例えば上記伸縮自在なアームが上下揺動可能に支持されているので、天井への内装施工をも可能としている。
【特許文献1】特許第2935808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の天井及び壁施工装置は、天井及び壁を含む種々の作業に適用可能とすることを目的として、アーム操作範囲の自由度を大きくして汎用性を高めているので、その操作が複雑であり、壁への内装用のボードを施工する際の微妙な調整がかえって難しいものになっていた。
つまり、上記の建築物の内装に用いられる石膏ボードや化粧板等の各種のボードの貼り付け工事では、一枚のボードを施工した後に、建築物内で次の隣接する二枚目のボードの施工位置に応じた位置に施工装置全体を移動させる必要がある。そのため、施工装置と壁との相対位置の関係が常に維持されるものではなく、その移動の都度、ティーチングや微調整を行わなければボード相互に位置ズレが生じることになる。したがって、上記の天井及び壁施工装置は、その操作が難しく、また、新たにボードを施工する都度、位置の調整を行う必要があるので、隣接するボード相互の位置ズレを防止または抑制するとともに、作業性をより向上させる上では未だ検討の余地が残されていた。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、操作が簡単であり、隣接するボード相互の位置ズレを防止または抑制可能であり、さらに、その施工の作業効率を向上させ得る施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工するための施工装置であって、自走台車と、この自走台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて前記ボードを保持可能なボード保持手段および施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部と、前記可動アームおよび自走台車の走行を制御する制御装置とを備え、前記可動アームは、前記自走台車上にその進行方向に沿って設けられた案内部およびこの案内部上を相対移動可能なスライド部を有する直動案内装置を備えており、当該直動案内装置は、そのスライド部の相対移動により前記アタッチメント装着部を移動可能であり、その移動量が、前記ボードの幅の2倍以上になっていることを特徴としている。
【0007】
この第一の発明に係る施工装置によれば、直動案内装置は、そのスライド部の移動量が、ボードの幅の2倍以上になっているので、隣接する二枚のボードを、一度の調整作業で施工することができる。
つまり、例えばこの第一の発明に係る施工装置を用いて、まず、前記スライド部を前記進行方向での一端の側に位置させた第一の状態とし、この第一の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で第一のボードを保持して当該第一のボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第一のボードを固定する施工をする。
【0008】
次いで、前記第一ボード施工工程の後に、第二のボードを前記ボード保持手段で保持し、その後、前記スライド部を前記進行方向での他端の側に前記第一ボードの幅に応じた量だけ移動させた第二の状態とし、この第二の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で保持した当該第二のボードを、前記第一のボードに隣接して施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第二のボードを固定する施工をするのである。
【0009】
これにより、この第一の発明に係る施工装置によれば、自走台車自体を走行させることなく、隣接するボードを連続的に施工可能なので、ボード相互の位置ズレを防止または抑制することができる。そして、一度の調整作業で隣接する二枚のボードを連続的に施工することができるので、その際の操作が簡単であり、また、その施工の作業効率が良く、作業時間をより短縮することができる。
【0010】
ここで、第一の発明に係る施工装置において、前記可動アームは、前記直動案内装置のスライド部上に設けられて垂直な軸まわりに旋回可能な旋回装置と、この旋回装置上に設けられて垂直方向に伸縮可能なテレスコピック装置と、このテレスコピック装置の上端部に水平方向に伸縮可能に設けられた水平アームとを備え、前記アタッチメント装着部は、前記水平アームの先端側に設けられていることは好ましい。このような構成であれば、自走台車上の直動案内装置は、そのスライド部が自走台車の進行方向に沿って移動し、テレスコピック装置は垂直方向に伸縮し、水平アームは水平方向に伸縮するようになっているので、可動アームが、いわゆる直交軸型のアーム構成になっており、各軸方向での位置の確認が容易である。そのため、その操作が一層簡単である。
【0011】
さらに、第一の発明に係る施工装置において、前記アタッチメント装着部は、これに装着される施工用の付属装置を、前記ボードの上下方向に沿って移動させることのできる上下スライド機構を備えていることは好ましい。このような構成であれば、その上下スライド機構によって、アタッチメント装着部に装着される施工用の付属装置を、ボードの上下方向に沿って移動させることができるので、自走台車や可動アームを移動させることなくボードの上下方向に沿っての保持や施工に必要な作業を行うことができる。そのため、例えばボードが長尺な場合に特に好適に用いて、その施工の作業効率をより向上させ、作業時間をより短縮することができる。
【0012】
また、第一の発明に係る施工装置において、前記アタッチメント装着部と前記水平アーム先端との間に配設されて前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整可能な姿勢調整装置をさらに備え、前記制御装置は、当該姿勢調整装置の各動作を制御可能になっていることは好ましい。このような構成であれば、自走台車や可動アームを移動させることなくアタッチメント装着部の姿勢の微調整が可能なので、所望の施工をより精度良く且つ効率良く行う上でより好適である。
【0013】
また、第一の発明に係る施工装置において、前記ボード保持手段は、前記ボードを吸着可能に適宜離間して配置された複数の真空吸着パットと、これら複数の真空吸着パットのうちの所定の位置の複数の真空吸着パットに対して設けられた距離センサとを備えて構成され、各距離センサは、各所定の位置での真空吸着パットの、ボードとの対向方向の変位を検出するように設けられ、前記制御装置は、各距離センサからの変位の情報が入力されるようになっており、さらに、その入力された各距離センサ相互の変位の情報に基づいて、前記所定の位置の複数の真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する姿勢制御手段を有することは好ましい。このような構成であれば、オペレータは、上述した可動アームを操作して、ボードを施工すべき位置の近傍にアタッチメント装着部を位置させた状態とするだけで、その後のアタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢の微調整を、制御装置によって自動的に行わせることができるので、各軸方向でのボードの位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとすることができる。
【0014】
また、第一の発明に係る施工装置において、前記所定の位置の複数の真空吸着パットは、前記ボード上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するための一対の上部真空吸着パットと、前記一対の上部真空吸着パットよりも低い位置での前記ボードの幅方向の両側の位置それぞれを吸着するための一対の下部真空吸着パットとを有して構成されており、前記制御装置は、前記姿勢制御手段が、前記一対の上部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する上部姿勢制御手段と、その上部姿勢制御手段による姿勢制御後に、前記一対の下部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する下部姿勢制御手段とを有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、ボードが例えば上下に長尺なボードの場合であっても、その上部を保持して垂下させた自然な状態で、まず、制御装置の上部姿勢制御手段でボード上部の姿勢を調整し、次いで、制御装置の下部姿勢制御手段でボード下部の姿勢を調整することができる。したがって、長尺なボードを垂下させた自然な状態から順序良くボードの姿勢を整えることができるので、特に長尺なボードの場合であっても、ボードの位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとすることができる。
【0015】
また、第一の発明に係る施工装置において、前記アタッチメント装着部に、施工用の付属装置として、複数のタッカー装置が装着されていることは好ましい。このような構成であれば、第一の発明に係る施工装置をボードのタッカー打ち工程に適用する上で好適である。
また、第一の発明に係る施工装置において、前記複数のタッカー装置は、前記アタッチメント装着部の上部に配置される上部のタッカー装置と、前記アタッチメント装着部の下部に配置される下部のタッカー装置とを備え、各タッカー装置は、その幅方向に離間した位置にそれぞれ配置される複数のタッカーユニットを有して構成されており、前記上部のタッカー装置と前記下部のタッカー装置との上下方向で対向するタッカーユニット相互は、幅方向でのタッカー打設位置が、互い違いの位置になるように配置されていることは好ましい。このような構成であれば、例えばタッカー装置の各タッカーユニットにタッカーを供給するためのマガジンが長尺な場合であっても、上下方向で対向するタッカーユニット相互は、幅方向でのタッカーの打設位置が、互い違いの位置になるように配置されているので、上部側のタッカーユニットと下部側のタッカーユニットとのマガジン相互の干渉を防止することができる。そのため、例えば上下方向で対向するタッカーユニット相互の打設位置が同じ位置になるように配置されたものと比べて、長尺なマガジンを装着することができる。したがって、マガジンの交換作業の頻度を少なくすることができるので、タッカー打ちの作業効率を一層向上させることができる。
【0016】
なお、前記アタッチメント装着部は、これに装着される施工用の付属装置を着脱自在な付属装置着脱機構を備えていることは好ましい。このような構成であれば、一台の施工装置で種々の貼り付け工事に応じた工具に簡単に換装することができる。
次に、本発明のうち第二の発明は、第一の発明に係る施工装置とともに用いられ、前記ボードを前記施工装置に対して受け渡しするためのボードスタッカであって、台車と、その台車上に設けられて上下方向を向く軸まわりに回転可能なターンテーブルと、そのターンテーブル上に前記ボードを複数枚支持可能に立設されるボード支持枠と、を有し、前記ボード支持枠は、複数枚のボードを周方向に等配して支持可能になっており、前記ターンテーブルは、各ボードを、前記施工装置に対して受け渡しをすることが可能な受渡位置と、それ以外の待機位置とに位置させるように回転可能になっていることを特徴としている。
【0017】
第二の発明に係る施工装置用ボードスタッカによれば、複数枚のボードを支持可能であり、第一の発明に係る施工装置に対して受け渡しをすることが可能な受渡位置と、それ以外の待機位置とに各ボードを位置させるように回転可能なので、上記第一の発明に係る施工装置を用いて、例えば上述した、隣接する二枚のボードを一度の調整作業で施工する場合等に好適に適用することができる。
【0018】
ここで、第二の発明に係る施工装置用ボードスタッカにおいて、前記支持可能なボードの等配数が2〜4のうちのいずれか一つであることは好ましい。このような構成であれば、複数枚のボードを周方向に等配する上で安定した配置にする上で好適である。
次に、本発明のうち第三の発明は、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する方法であって、第一の発明に係る施工装置、および第二の発明に係る施工装置用ボードスタッカを用いて、前記スライド部を前記進行方向での一端の側に位置させた第一の状態とし、この第一の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で前記ボードスタッカに支持されているボードのうち受渡位置の第一のボードを保持して当該第一のボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第一のボードを固定する施工をする第一ボード施工工程と、前記第一ボード施工工程の後に、前記ボードのうち待機位置から受渡位置に新たに位置させた第二のボードを前記ボード保持手段で保持し、その後、前記スライド部を前記進行方向での他端の側に前記第一ボードの幅に応じた量だけ移動させた第二の状態とし、この第二の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で保持した当該第二のボードを前記第一のボードに隣接して施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第二のボードを固定する施工をする第二ボード施工工程とを含むことを特徴としている。
【0019】
第三の発明に係るボードの施工方法によれば、前記可動アームの直動案内装置によるスライド移動のみによって自走台車自体を走行させることなく、隣接するボードを連続的に施工可能なので、ボード相互の位置ズレを防止または抑制することができる。そして、一度の調整作業で隣接する二枚のボードを連続的に施工することができるので、その作業効率が良く、作業時間をより短縮することができる。
【0020】
次に、本発明のうち第四の発明は、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する方法であって、前記ボードを施工する装置として、台車と、この台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて前記ボードを保持可能なボード保持手段および施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部と、前記可動アームおよび台車の走行を制御する制御装置とを備える施工装置を用いており、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で前記ボードの上方の位置を保持して当該ボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該ボードの上方の位置を固定する施工をする上部施工工程と、前記上部施工工程の後に、前記ボード保持手段の保持を一旦解除し、当該ボード保持手段および前記所望の施工用の付属装置を前記上方の位置よりも低い位置に移動させ、その後、当該上方の位置よりも低い位置を前記ボード保持手段で保持するとともに、前記所望の施工用の付属装置で前記ボードの上方の位置よりも低い位置を固定する施工をする下部施工工程とを含むことを特徴としている。
【0021】
第四の発明に係るボードの施工方法によれば、上部施工工程の後に、上方から下方への保持位置の変更(持ち替え)をし、下部施工工程に移行しているので、その作業効率が良く、作業時間を短縮することができる。
つまり、上下に長尺なボードを施工する場合には、まず、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で前記ボードの上方の位置を保持して当該ボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該ボードの上方の位置を固定する施工をする。次いで、前記上部施工工程の後に、前記ボード保持手段の保持を一旦解除し、当該ボード保持手段および前記所望の施工用の付属装置を前記上下スライド機構で前記上方の位置よりも低い位置に移動させ、その後、当該上方の位置よりも低い位置を前記ボード保持手段で保持するとともに、前記所望の施工用の付属装置で前記ボードの上方の位置よりも低い位置を固定する施工をするのである。
【0022】
これにより、例えば長尺なボードを施工する場合であっても、上方での一度の調整作業で長尺なボードの上部から下部までの必要な位置への種々の施工を連続的に行うことができる。したがって、この第四の発明に係るボードの施工方法によれば、その施工の作業効率が良く、作業時間をより短縮することができる。
なお、このような長尺なボードを施工するために、保持位置の変更(持ち替え)を行わないで、長尺なボードの上部から下部までを一度に保持および固定する施工が可能な構成も考え得る。しかし、このような構成では、アタッチメント装着部自体が非常に長尺なものとなる(例えば長尺なボードは、3m以上のものがある)。そのため、このような長尺なアタッチメント装着部とした場合、建築物内でのボードを施工時の移動や取り回しに支障があるばかりでなく、現実的には建築物内での必要階にエレベータでの移動が不可能であり、装置自体の搬送も困難となるのである。
ここで、第四の発明に係るボードの施工方法において、前記ボードを施工する装置として、上記第一の発明に係る施工装置を用いていることは好ましい。施工装置がこのような構成であれば、上述した上部施工工程の後に、上方から下方への保持位置の変更(持ち替え)をし、下部施工工程に移行してボードの施工をする上で好適である。
【0023】
さらに、本発明のうち第五の発明は、台車と、この台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部とを備え、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する装置に用いられ、前記アタッチメント装着部に装着されて前記ボードの保持およびその保持の解除が可能なボード保持手段と、そのボード保持手段を制御する制御装置とを備えるボード保持装置であって、前記ボード保持手段は、前記ボードを吸着可能に適宜離間して配置された複数の真空吸着パットと、これら複数の真空吸着パットのうちの所定の位置の複数の真空吸着パットに対して設けられた距離センサとを備えて構成され、各距離センサは、各所定の位置での真空吸着パットの、前記ボードとの対向方向の変位を検出するように設けられ、前記制御装置は、各距離センサからの変位の情報が入力されるようになっており、さらに、その入力された各距離センサ相互の変位の情報に基づいて、前記所定の位置の複数の真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する姿勢制御手段を有することを特徴としている。
【0024】
この第五の発明に係るボード保持装置によれば、例えば上述の姿勢調整装置を備えた施工装置等にこれを採用すれば、例えばオペレータが上述した可動アームを操作して、ボードを施工すべき位置の近傍にアタッチメント装着部を位置させた状態とするだけで、その後のアタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢の微調整を、制御装置によって自動的に行わせることができるので、第五の発明に係るボード保持装置を採用した施工装置での各軸方向のボードの位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとすることができる。
【0025】
ここで、第五の発明に係るボード保持装置において、前記所定の位置の複数の真空吸着パットは、前記ボードの上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するための一対の上部真空吸着パットと、前記一対の上部真空吸着パットよりも低い位置での前記ボードの幅方向の両側の位置それぞれを吸着するための一対の下部真空吸着パットとを有して構成されており、前記制御装置は、前記姿勢制御手段が、前記一対の上部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する上部姿勢制御手段と、その上部姿勢制御手段による姿勢制御後に、前記一対の下部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する下部姿勢制御手段とを有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、例えば上述の姿勢調整装置を備えた施工装置等にこれを採用すれば、ボードが例えば上下に長尺なボードの場合であっても、その上部を保持して垂下させた自然な状態で、まず、制御装置の上部姿勢制御手段でボード上部の姿勢を調整し、次いで、制御装置の下部姿勢制御手段でボード下部の姿勢を調整することができる。したがって、長尺なボードを垂下させた自然な状態から順序良くボードの姿勢を整えることができるので、特に長尺なボードの場合であっても、ボードの位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとする上で好適である。
【発明の効果】
【0026】
上述のように、本発明によれば、操作が簡単であり、隣接するボード相互の位置ズレを防止または抑制可能であり、さらに、その施工の作業効率を向上させ得る施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る施工装置および施工装置用ボードスタッカ、並びにボード保持装置の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
まず、施工装置について説明する。
本実施形態での施工装置は、建築物内でその壁等の内装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内装用のボードを施工するために用いた例である。なお、この施工装置には、上記ボード保持装置が採用されている。
【0028】
詳しくは、図1に示すように、この施工装置1は、自走可能な台車である自走台車2と、その自走台車2上に設けられる可動アーム4と、この可動アーム4の先端側に設けられたアタッチメント装着部5とを備えて構成されている。
自走台車2は、略直方体状の筐体2aと、その筐体2aの前後に進行方向に沿って装備された走行用の4つの車輪2bとを有している。そして、その筐体2a内に、可動アーム4等の駆動を制御する制御部と、自走台車2の走行等の制御をする制御部とを含む、施工装置1全体を制御可能な制御装置8を備え、さらに、不図示のバッテリーおよび前記車輪2bのうちの駆動輪を駆動するための走行用のモータを備えている。この制御装置8は、オペレータによって操作される不図示のコントローラとの間で、必要な信号を送受信可能に構成されており、コントローラから入力された操作信号に応じて、可動アーム4を構成する各アクチュエータおよび自走台車2のモータ等に必要な制御指令を適宜出力可能になっている。
【0029】
可動アーム4は、図1に示すように、上記自走台車2の筐体2a上に装備されており、直動案内装置10、旋回装置20、テレスコピック装置30および水平アーム40を備えて構成されている。
まず、直動案内装置10について詳しく説明する。
直動案内装置10は、図2および図3に示すように、案内部12およびスライダ14を備えている。案内部12は、自走台車2上に且つその幅方向での両側それぞれに、その進行方向に沿って二条設けられた案内レールである。そして、スライダ14は、幅方向両側の各案内部12に対し、軸方向に離間した位置の二箇所(計4箇所)に配置されており、各スライダ14は、その内部の無限循環路内を転動しつつ循環する複数の転動体を介して案内部12上を相対移動可能になっている。そして、計4箇所のスライダ14上には、矩形状のスライドベース11が載置固定されている。さらに、このスライドベース11には、図3に示すように、そのほぼ中央部に、上下に貫通する貫通孔11aが形成されており、この貫通孔11aに、モータブラケット19を介して直動案内用モータ18が固定されている。
【0030】
この直動案内用モータ18は、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。この直動案内用モータ18は、その軸方向を上下にして且つ出力軸18bを下方に向けて設置され、その出力軸18bにピニオン18aが固定されている。そして、上記自走台車2の上面2aには、このピニオン18aに歯合する位置に、上記案内部12同様に自走台車2の進行方向に沿って直動案内ラック16が付設されている。これにより、このスライドベース11は、制御装置8からの制御指令に応じて直動案内用モータ18が駆動されると案内部12に沿ってスライド移動して、制御指令に応じた所定のスライド位置に位置可能になっている。なお、上記スライド部には、スライドベース11およびスライダ14が対応している。
【0031】
ここで、この直動案内装置10は、そのスライドベース11の相対移動による前記アタッチメント装着部5の移動量(図1に示す符号W’)、つまり、直動案内装置10によるスライドベース11の可動範囲W’が、ボード100の幅Wの2倍以上になっている。なお、移動による自身の位置は、サーボモータによるアブソリュート方式によって常に把握されており、例えば電源が再投入された場合であっても自身の位置の情報が保持されるようになっている。また、移動する方向の両側での移動限界には、必要に応じて近接センサが設けられており、他の部品や構造部との干渉が防止されている。なお、以下、他のサーボモータにて制御される他の構成において、その移動による自身の位置、および移動する方向の両側での移動限界についても同様である。
【0032】
次に、旋回装置20について詳しく説明する。
旋回装置20は、図4に示すように、スライド部を構成するスライドベース11上に設けられており、垂直な軸まわりに旋回可能になっている。
詳しくは、同図に示すように、スライドベース11上には、上方に向けて円環状に張り出す旋回装置装着部11aが付設されている。そして、この円環状の旋回装置装着部11aの内周側に、円環状の旋回歯車26が固定されている。この旋回歯車26は、その円環状の内側の面にギア26aを全周に渡って有している。さらに、この旋回装置装着部11aの外周側には、円環状の旋回案内ベアリング22の内輪が外嵌しており、この旋回案内ベアリング22の外輪は、円環状の旋回ブラケット24の内側の面に内嵌している。ここで、これら円環状の旋回装置装着部11a、旋回歯車26、旋回案内ベアリング22および旋回ブラケット24は、いずれも直動案内用モータ19の軸心と同軸に配置されている。そして、旋回ブラケット24の上面は、矩形状の板部材である旋回ベース21に固定されている。この旋回ベース21は、そのほぼ中央に、上下に貫通する貫通孔21aが形成されており、この貫通孔21aに対し、上記直動案内用モータ18が干渉しないように挿通されている。
【0033】
さらに、この旋回ベース21には、図4に示すように、直動案内用モータ18の近傍かつこれに干渉しない位置に、上下に貫通する貫通孔21bが形成されており、この貫通孔21bに、モータブラケット29を介して旋回用モータ28が固定されている。
この旋回用モータ28は、直動案内用モータ18同様に、その内部に減速機構を有するサーボモータであり、上記制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。この旋回用モータ28は、その軸方向を上下にして且つ出力軸28bを下方に向けて設置され、その出力軸28bにピニオン28aが固定されている。そして、このピニオン28aが上記円環状の旋回歯車26のギア26aに歯合する位置に設けられている。これにより、旋回ベース21は、制御装置8からの制御指令に応じて旋回用モータ28が駆動されると直動案内用モータ18の軸心を中心に旋回して、制御装置8からの制御指令に応じた所定の旋回位置に位置可能になっている。そして、この旋回装置20上に、垂直方向に伸縮可能なテレスコピック装置30が設けられている。
【0034】
次に、テレスコピック装置30について詳しく説明する。
このテレスコピック装置30は、図4および図5に示すように、下段ポール31、中段ポール32および上段ポール33を備えて構成されている。各ポール31、32、33は、図5に示すように、略矩形断面をもつ角筒状に形成されており、下段ポール31は、旋回ベース21の上面に下端が固定された状態で立設している。そして、外側の下段ポール31内に中段ポール32が必要な隙間を隔てて内嵌し、さらに、中段ポール32内に上段ポール33が必要な隙間を隔てて内嵌している。そして、下段ポール31および中段ポール32相互は、中段ポール昇降手段を介して連結されており、中段ポール32が下段ポール31に対し垂直方向に伸縮可能になっている。また、中段ポール32および上段ポール33相互は、上段ポール昇降手段を介して連結されており、上段ポール33が中段ポール32に対し垂直方向に伸縮可能になっている。
【0035】
詳しくは、中段ポール昇降手段は、図5に示すように、中段昇降用モータ34、中段昇降用ボールねじ35および中段昇降用リニアガイド36を備えて構成されている。
中段昇降用リニアガイド36は、角筒状の下段ポール31と中段ポールとの間の適宜の位置の4箇所に、垂直方向に沿って介装され、これにより、下段ポール31に対し中段ポール32を垂直方向にスライド移動可能になっている。
【0036】
中段昇降用モータ34は、角筒状の下段ポール31の外側面に且つその上端の位置に、ブラケット34aを介して付設されている。中段昇降用モータ34は、その軸方向を上下にして且つその出力軸を上方に向けて設置されており、この出力軸に、タイミングベルト34bに歯合する駆動スプロケット34cが固定されている。この中段昇降用モータ34は、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。
【0037】
一方、中段昇降用ボールねじ35は、中段昇降用モータ34が付設された側の、下段ポール31と中段ポール32との間の位置に、垂直方向に沿って介装されており、この中段昇降用ボールねじ35のナット35bが、中段ポール32の外側面に且つその下端の位置に付設されている。そして、中段昇降用ボールねじ35のねじ軸35cは、その両端が、下段ポール31の下端および上端側(上端側は不図示)に回転可能にそれぞれ支持されている。さらに、このねじ軸35cの上端には、タイミングベルト34bに歯合する従動スプロケット35aが固定されており、この従動スプロケット35aと、上記中段昇降用モータ34の出力軸に固定された駆動スプロケット34cとにタイミングベルト34bが掛け渡されている。
【0038】
これにより、中段ポール昇降手段は、制御装置8からの制御指令に応じて中段昇降用モータ34が駆動されると、駆動スプロケット34cからタイミングベルト34bを介して従動スプロケット35aに必要な動力が伝達され、従動スプロケット35aによってねじ軸35cが回され、ナット35bが中段昇降用リニアガイド36の案内する垂直方向に沿って移動し、これに連結された中段ポール32がスライド移動して、制御指令に応じた所定の伸縮位置に中段ポール32を位置可能になっている。
【0039】
また、上段ポール昇降手段は、中段ポール昇降手段同様に、図5に示すように、上段昇降用モータ37、上段昇降用ボールねじ38および上段昇降用リニアガイド39を備えて構成されている。
上段昇降用リニアガイド39は、角筒状の中段ポール32と上段ポール33との間の適宜の位置の4箇所に、垂直方向に沿って介装され、これにより、中段ポール32に対し上段ポール33を垂直方向にスライド移動可能になっている。
【0040】
上段昇降用モータ37は、角筒状の中段ポール32の、上記中段昇降用モータ34が付設された側の外側面に且つその上端の位置に、ブラケット37aを介して付設されている。上段昇降用モータ37は、その軸方向を上下にして且つ出力軸を上方に向けて設置されており、その出力軸に、タイミングベルト37bに歯合する駆動スプロケット37cが固定されている。この上段昇降用モータ37は、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。
【0041】
一方、上段昇降用ボールねじ38は、上段昇降用モータ37が付設された側の、中段ポール32と上段ポール33との間の位置に、垂直方向に沿って介装されており、この上段昇降用ボールねじ38のナット38bが、上段ポール33の外側面に且つその下端の位置に付設されている。そして、上段昇降用ボールねじ38のねじ軸38cは、その両端が、中段ポール32の下端および上端側(上端側は不図示)に回転可能にそれぞれ支持されている。さらに、このねじ軸38cの上端には、タイミングベルト37bに歯合する従動スプロケット38aが固定されており、この従動スプロケット38aと、上記上段昇降用モータ37の出力軸に固定された駆動スプロケット37cとにタイミングベルト37bが掛け渡されている。
【0042】
これにより、上段ポール昇降手段は、制御装置8からの制御指令に応じて上段昇降用モータ37が駆動されると、駆動スプロケット37cからタイミングベルト37bを介して従動スプロケット38aに必要な動力が伝達され、従動スプロケット38aによってねじ軸38cが回され、ナット38bが上段昇降用リニアガイド39の案内する垂直方向に沿って移動し、これに連結された上段ポール33がスライド移動して、制御指令に応じた所定の伸縮位置に上段ポール33を位置可能になっている。
【0043】
次に、水平アーム40について詳しく説明する。
水平アーム40は、上述のテレスコピック装置30の上段ポール33上端部に連結されるとともに、水平方向に張り出して設けられており、さらに、水平方向に向けて伸縮可能になっている。
詳しくは、水平アーム40は、図6に示すように、水平アーム装着腕41を備えて構成されており、この水平アーム装着腕41の上端部41aが、上段ポール33上端部に連結され、水平アーム装着腕41の本体部41bが下方に向けて垂下されている。そして、水平アーム装着腕41の下端部41cは、同図での紙面手前側に向けて張り出して形成されており、その張り出してなる下端部41cの下側の面に、水平移動用リニアガイド42の二つのスライダ42aが、案内部42bの軌道方向を水平方向に向けるように装着されている。なお、水平アーム装着腕41の下端部41cは、水平方向に拡幅して形成されており、その水平方向に拡幅してなる両端部に、水平移動用リニアガイド42の二つのスライダ42aがそれぞれ装着されている。そして、水平移動用リニアガイド42の案内部42bに対し、角筒状の水平アーム本体45の上面が固定され、この水平アーム本体45の先端45a(同図での左側の端部)に、必要なアタッチメント等を装着可能な姿勢調整装置固定ベース46が固定されている。
【0044】
さらに、上記水平アーム装着腕41の下端部41cには、その上側の面に、ブラケット44aが立設されており、このブラケット44aに、水平移動用ボールねじ44のハウジング44dが固定されている。このハウジング44d内には、水平移動用ボールねじ44のナットが、その軸まわりでの回転が可能且つ軸方向への移動は拘束されるように保持されている。そして、この水平移動用ボールねじ44は、そのねじ軸44cの軸線の向きを、水平移動用リニアガイド42の案内部42bの軌道方向と一致させて付設されている。さらに、水平移動用ボールねじ44のねじ軸44cは、その先端が、カップリング44eを介して姿勢調整装置固定ベース46に連結されている。なお、このカップリング44eは、ねじ軸44cの回転を許容し且つ姿勢調整装置固定ベース46に対するねじ軸44cの軸方向への移動を拘束可能に相互を連結している。
【0045】
また、水平アーム装着腕41の本体部41bには、モータブラケット43aを介して水平移動用モータ43が固定されている。この水平移動用モータ43は、その軸方向を案内部42bの軌道方向に向けて設置されており、その出力軸に、タイミングベルト43dに歯合する駆動スプロケット43cが固定されている。この水平移動用モータ43は、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。
【0046】
そして、上記ねじ軸44cの途中部分には、タイミングベルト43dに歯合するとともにハウジング44d内のナットに連結固定された従動スプロケット44bが外嵌しており、この従動スプロケット44bと、上記水平移動用モータ43の出力軸に固定された駆動スプロケット43cとにタイミングベルト43dが掛け渡されている。
これにより、制御装置8からの制御指令に応じて水平移動用モータ43が駆動されると、駆動スプロケット43cからタイミングベルト43dを介して従動スプロケット44bに必要な動力が伝達され、従動スプロケット44bに連結されたハウジング44d内のナットが回転することによってねじ軸35cが軸方向に移動し、ナット35bが中段昇降用リニアガイド36の案内する垂直方向に沿って移動し、カップリング44eを介して連結された姿勢調整装置固定ベース46を押し引きすることによって、水平アーム本体45が水平移動用リニアガイド42の案内部42bの軌道方向に沿ってスライド移動し、制御指令に応じた所定の伸縮位置に姿勢調整装置固定ベース46を位置可能になっている。そして、この水平アーム40先端側の姿勢調整装置固定ベース46にアタッチメント装着部5等が設けられている。すなわち、図7に示すように、姿勢調整装置固定ベース46には、ボードアライメント補正装置78が連結されている。
【0047】
以下、ボードアライメント補正装置78について詳しく説明する。
ボードアライメント補正装置78は、施工装置1が、図1に示すボードスタッカ90からボード100の受け渡しをする際に、ボード100の傾きを調整して、常に所期の位置でボード100を保持するためのボードアライメント補正手段である。
このボードアライメント補正装置78は、図7に示すように、矩形状の板部材であるアライメント補正ベース49を有し、このアライメント補正ベース49と上記姿勢調整装置固定ベース46との間に、二条のアライメント補正用リニアガイド48が介装されており、相互をスライド移動可能に連結している。ここで、これらのアライメント補正用リニアガイド48は、そのスライド案内の方向が、上記ボード100の幅方向に沿った方向に向けて配置されている。なお、同図の例では、案内レール48aがアライメント補正ベース49に固定され、スライダ48bが姿勢調整装置固定ベース46に固定されている。
【0048】
さらに、このボードアライメント補正装置78は、アライメント補正ベース49および姿勢調整装置固定ベース46相互をスライド移動させるための駆動手段として、アライメント補正シリンダ47を備えている。
このアライメント補正シリンダ47は、上記ボード100の幅方向に沿った方向を向く二つのロッドを有している。このアライメント補正シリンダ47は、相互のロッドが、その軸方向で互いに反対の側に向けて伸縮可能なツインロッド型のシリンダであり、一方のロッド47aは、回動可能な支軸およびシリンダ連結腕46aを介して姿勢調整装置固定ベース46に連結され、他方のロッド47bは、回動可能な支軸を介してアライメント補正ベース49に連結されている。なお、上記シリンダ連結腕46aは、姿勢調整装置固定ベース46の左右方向(上記ボード100の幅方向)を向く面の一方に、シリンダ連結腕46aの上端が上方に向けて張り出すように固定されている。そして、このアライメント補正シリンダ47は、不図示の電磁弁に接続されており、この電磁弁に、上記制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じて二つのロッド47a、47bが適宜伸縮可能になっており、左右方向で3つの位置に位置可能になっている。そして、このボードアライメント補正装置78のアライメント補正ベース49に、姿勢調整装置60が装着されている。
【0049】
以下、この姿勢調整装置60について、図8、図9および図10を適宜参照しつつ詳しく説明する。
この姿勢調整装置60は、アタッチメント装着部5と水平アーム40先端との間に配設されており、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整可能になっている。そして、上記制御装置8は、この姿勢調整装置60の各動作についても制御可能になっている。
【0050】
詳しくは、この姿勢調整装置60は、略箱型の筐体60aを有し、X、Y、Z方向の姿勢を調整するために、θz調整部61、θy調整部62およびθx調整部63の3つの調整部を備えて構成されている。
まず、θz調整部61について説明する。
図9に示すように、アライメント補正ベース49には、ボード100の幅方向(左右方向ともいう)両側に、アタッチメント装着部5側に向けて張り出す支持腕49aがそれぞれ設けられている。そして、略箱型の筐体60aは、筐体60aからアライメント補正ベース49側に向けて張り出すθz支持腕68Zを有しており、このθz支持腕68Zが、θz支軸67Zを介して支持腕49aに連結されている。そして、θz支軸67Zは、ボード100の幅方向を向いて挿通されており、筐体60aは、このθz支軸67Zと共にその軸まわりに回動可能にθz支軸67Zに連結されている。
【0051】
ここで、θz調整部61は、筐体60aの左右方向で同図の右側に配置されている。
同図に示すように、このθz調整部61は、θz駆動モータ64Zと、このθz駆動モータ64Zの出力軸に、タイミングベルトおよびタイミングプーリによって動力を伝達可能な動力伝達機構61aを介して連結されたθzウォーム軸65Zと、このθzウォーム軸65Zに歯合するθzウォーム歯車66Zとを備えて構成されている。そして、このθzウォーム歯車66Zは、その軸心が、上記θz支軸67Zと同軸に設けられており、さらに、θz支軸67Zのうち右側の支軸と一体に固定されている。また、このθz駆動モータ64Zは、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。
【0052】
これにより、θz調整部61は、制御装置8からの制御指令に応じてθz駆動モータ64Zが駆動されると、減速機構61aを介してθzウォーム軸65Zに必要な動力が伝達され、このθzウォーム軸65Zに歯合するθzウォーム歯車66Zがθz支軸67Zと共にその軸まわりに回動することによって、θz支軸67Zに連結されているθz支持腕68zが回転し、姿勢調整装置60の筐体60aを、図8(a)に示す、θz方向で回動させることが可能になっており、アタッチメント装着部5のθz方向での姿勢を調整可能になっている。
【0053】
次に、θy調整部62について説明する。
図8(a)に示すように、姿勢調整装置60の筐体60aには、そのアタッチメント装着部5側に、円形のθy旋回部60bが開口しており、このθy旋回部60bに、円環状のθy旋回ベアリング69Yの外輪が内嵌して筐体60a側に固定されている。そして、θy旋回ベアリング69Yの内輪は、θy支軸67Yと一体に設けられている円形のθy旋回ベース68Yの外周部に外嵌しており、水平方向を向く軸回りにθy旋回ベース68Yを回動可能に支持している。また、θy支軸67Yは、水平方向を向く軸回りに回動可能に筐体60aのアタッチメント装着部5側とは反対側に挿通され支持されている。
【0054】
ここで、θy調整部62は、筐体60aの上下方向で同図の下側に配置されている。
すなわち、図8(a)に示すように、このθy調整部62は、θy駆動モータ64Yと、このθy駆動モータ64Yの出力軸に、タイミングベルトおよびタイミングプーリによって動力を伝達可能な動力伝達機構62a(図10参照)を介して連結されたθyウォーム軸65Yと、このθyウォーム軸65Yに歯合するθyウォーム歯車66Yとを備えて構成されている。そして、このθyウォーム歯車66Yは、その軸心が、上記θy支軸67Yと同軸に設けられており、且つ、θy支軸67Yと一体に回転可能になっている。また、このθy駆動モータ64Yは、内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。
【0055】
これにより、θy調整部62は、制御装置8からの制御指令に応じてθy駆動モータ64Yが駆動されると、減速機構62aを介してθyウォーム軸65Yに必要な動力が伝達され、このθyウォーム軸65Yに歯合するθyウォーム歯車66Yがθy支軸67Yと共にその軸まわりに回動することによって、θy旋回ベアリング69Yによって筐体60aに旋回可能に支持されているθy旋回ベース68Yが回転し、図8(b)に示す、θy旋回ベース68Yを、θy方向に回動させることが可能になっており、アタッチメント装着部5のθy方向での姿勢を調整可能になっている。
【0056】
次に、θx調整部63について説明する。
図10に示すように、上記θy旋回ベース68Yには、そのアタッチメント装着部5側を向く面に、θx旋回支軸67Xを介してθx旋回ベース68Xが連結されている。θx旋回支軸67Xは、その軸方向を上下方向にして装着されている。そして、θy旋回ベース68Yおよびθx旋回ベース68Xには、その上下方向に適宜離間した位置に、θx旋回支軸67Xを挿通可能なθx支持腕69Xが複数設けられており、このθx支持腕69Xによってθx旋回支軸67Xが支持されている。そして、このθx旋回支軸67Xの支持は、θy旋回ベース68Yに対してはθx旋回支軸67Xを固定するように装着されており、また、θx旋回ベース68Xに対しては、θx旋回支軸67Xの軸まわりにθx旋回ベース68Xを回転可能に軸支している。さらに、θx旋回支軸67Xには、その上端部に、略扇状のθx扇歯車66Xが固定されている。
【0057】
一方、図8(a)に示すように、θx旋回ベース68Xの上部には、ブラケット63aを介してθx駆動モータ64Xが固定されている。このθx駆動モータ64Xは、その軸線を上下とし、出力軸側を下方に向けて装着されており、その出力軸に、θxピニオン65Xが固定されている。このθx駆動モータ64Xは、その内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。そして、このθxピニオン65Xが、上記略扇状のθx扇歯車66Xに歯合するように装着されている。
【0058】
これにより、θx調整部63は、制御装置8からの制御指令に応じてθx駆動モータ64Xが駆動されると、θxピニオン65Xに歯合する扇歯車66Xに必要な動力が伝達され、この扇歯車66Xに固定されたθx旋回支軸67Xがθx旋回ベース68Xと共にその軸まわりに回動することによって、図9に示す、θx旋回ベース68Xを、θx方向に回動させることが可能になっており、アタッチメント装着部5のθx方向での姿勢を調整可能になっている。
【0059】
すなわち、上述した姿勢調整装置60によれば、その備えるθz調整部61、θy調整部62およびθx調整部63の3つの調整部によって、θz、θyおよびθx方向での姿勢を適宜調整することで、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整可能になっている。
次に、アタッチメント装着部5について詳しく説明する。
【0060】
図8に示すように、アタッチメント装着部5は、上記姿勢調整装置60側に、アタッチメント固定ベース50を有し、このアタッチメント固定ベース50が、上記姿勢調整装置60のθx旋回ベース68Xに連結されている。このアタッチメント固定ベース50は、その上下方向を長手方向とする略長方形状の板部材であり、θx旋回ベース68Xに連結されている側とは反対側の面に、上下スライド機構51を備えている。
【0061】
以下、この上下スライド機構51について詳しく説明する。
上下スライド機構51は、図8ないし図9に示すように、アタッチメント固定ベース50の上下方向に沿って張り渡たされた案内レールである二条の上下スライド案内53を有している。この二条の上下スライド案内53は、アタッチメント固定ベース50の幅方向に適宜の距離を隔てて張り渡たされている。さらに、アタッチメント固定ベース50は、二条の上下スライド案内53同士の間の位置に、上下スライド案内53に沿って上下スライドラック56が張り渡たされている。なお、これら二条の上下スライド案内53および上下スライドラック56が張り渡たされている方向は、ボード100の上下方向と一致している。
【0062】
そして、各上下スライド案内53には、そのレール上に、上下方向での上部および下部のそれぞれに対し、軸方向に離間した位置の二箇所(計4箇所)に上下スライダ54が配置されている。各上下スライダ54は、その内部の無限循環路内を転動しつつ循環する複数の転動体を介して上下スライド案内53上を相対移動可能になっている。そして、上部および下部の計4箇所の上下スライダ54上には、矩形状のスライドベースが固定されている。つまり、上方に位置する4箇所の上下スライダ54には、上部スライドベース52Aが固定され、また、下方に位置する4箇所の上下スライダ54には、下部スライドベース52Bが固定されている。
【0063】
さらに、各スライドベース52A、52Bそれぞれには、上下スライドモータ58がモータブラケット58bを介して固定されている。この上下スライドモータ58は、図8(a)に示すように、その本体部をボード100側に向けて配置されており、その軸線を水平とし、出力軸側をアタッチメント固定ベース50側に向けて装着されている。そして、その出力軸に、ピニオン58aが固定されている。この上下スライドモータ58は、その内部に減速機構を有するサーボモータであり、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じた正逆回転および停止が可能になっている。そして、そのピニオン58aが、上記上下スライドラック56のラック56aに歯合するように装着されている。
【0064】
これにより、この上下スライド機構51は、制御装置8からの制御指令に応じて上下の各上下スライドモータ58が駆動されると、そのピニオン58aに上下スライドラック56のラック56aが歯合しており、上下スライドラック56に沿って二条の上下スライド案内53が張り渡たされているので、アタッチメント固定ベース50の上下方向に沿って、各スライドベース52A、52Bそれぞれをスライド移動させることが可能になっている。
【0065】
そして、上記アタッチメント装着部5の各スライドベース52A、52Bには、図11ないし図12に示す、施工用の付属装置が装備されるようになっている。なお、図11は、施工用の付属装置であるドライバ装置の説明図であり、また、図12は、施工用の付属装置であるタッカー装置の説明図である。
本実施形態の例では、アタッチメント装着部5の各スライドベース52A、52Bには、、図11に示すドライバ装置86がそれぞれ装備されている。
【0066】
同図に示すように、各ドライバ装置86は、各スライドベース52A、52Bの幅とほぼ同じ長さで左右に延びる板状の本体部86hを有し、この本体部86h両端それぞれおよびその略中央部の3箇所に、ビス打ちが可能なドライバユニット86nをそれぞれ有して構成されている。そして、各ドライバ装置86の本体部86hには、各スライドベース52A、52Bにねじによって装着可能な装着部86aがドライバユニット86n同士の間の位置に形成されており、これにより、各ドライバ装置86は、当該ドライバ装置86をボード100の上下方向に沿って移動させることのできる上下スライド機構51を介してアタッチメント装着部5の各スライドベース52A、52Bに取り付けられている。そして、その状態で、各ドライバ装置86の各ドライバユニット86nは、そのビスの打設ヘッド86sが、ビス打ちに必要な位置に対向するように取り付けられている。なお、各ドライバユニット86n自体は、通常のドライバユニットと同様のものであるので、その詳細な説明は省略する。
【0067】
さらに、上記アタッチメント装着部5には、ボード100を保持可能なボード保持手段であるボード保持部70が装備されている。
以下、このボード保持部70について詳しく説明する。
上述のように、アタッチメント装着部5は、上記姿勢調整装置60側に、アタッチメント固定ベース50を有しているが、図8ないし図9に示すように、このアタッチメント固定ベース50には、さらにボード保持部70が連結されている。
【0068】
ボード保持部70は、アタッチメント固定ベース50の上端および下端それぞれに、真空吸着パット支持板75が固定されている。各真空吸着パット支持板75は、保持すべきボード100側に向けて張り出して形成されており、その張り出した先端側の左右両側に、上端および下端の真空吸着パット支持板75を相互に繋ぐ横断面が矩形状の角パイプである真空吸着パット支柱76がそれぞれ張り渡たされている。そして、左右の各真空吸着パット支柱76に、それぞれ4箇所(左右で計8箇所)に真空吸着パット71が装着され、複数の真空吸着パット71は、ボード100を安定して吸着してその保持が可能なように上下方向に適宜離間して配置されている。また、左右の真空吸着パット71は同じ高さに設置されて対をなしている。なお、これら真空吸着パット71は、自走台車2に搭載された不図示の空圧機器に接続されており、制御装置8からの制御指令が空圧機器の制御弁に入力されると、その制御指令に応じて真空吸着(保持)ないし真空破壊(保持の解除)が適宜なされるようになっている。
【0069】
より詳しくは、図9に示すように、各真空吸着パット71は、その基端側の固定部71aが真空吸着パット支持板75に固定されており、先端側の吸着部71bが、ボード100に対向するように設置されている。
ここで、図8に示すように、各真空吸着パット支柱76の上下方向での4箇所の真空吸着パット71は、上端近傍に位置する上部真空吸着パット72と、下端近傍に位置する下部真空吸着パット74と、これら以外の略中央部近傍に位置する他の真空吸着パット71とによって構成されている。つまり、一対の上部真空吸着パット72は、ボード100の上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するようになっており、また、一対の下部真空吸着パット74は、ボード100の下部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するようになっている。ここで、前記所定の位置の複数の真空吸着パットには、上部真空吸着パット72および下部真空吸着パット74が対応する。
【0070】
そして、これら上部真空吸着パット72および下部真空吸着パット74のそれぞれには、図9に示すように、距離センサ77が付設されている。
各距離センサ77は、各上部真空吸着パット72および下部真空吸着パット74の吸着パット表面71cの、ボード100との対向方向での変位を検出するように設けられている。そして、上記の制御装置8には、各距離センサ77からの変位の情報が入力されるようになっている。
【0071】
そして、制御装置8は、その入力された各距離センサ77相互の変位の情報に基づいて、上部真空吸着パット72相互、および下部真空吸着パット74相互の変位の偏差が小さくなるように、前記姿勢調整装置60に、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整するように構成されており、さらに、水平アーム40をも駆動して対向方向での押しつけ圧を調整することで、上部真空吸着パット72相互、および下部真空吸着パット74相互の変位の偏差が所定の範囲内に収まるようにアタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整するように構成されている。
【0072】
詳しくは、制御装置8は、CPUと、CPUの制御プログラム等を記憶しているROM等の記憶媒体と、その記憶媒体から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を一時的に記憶するためのRAMと、上記可動アーム4等のアクチュエータ、並びに距離センサ77等の外部装置との間で必要なデータの入出力を行なうインターフェースI/Fとを備えて構成されている。CPUは、前記記憶媒体の内部に記憶されているプログラムを起動させて、そのプログラムに従って、図13のフローチャートに示す、ボード100を施工すべき壁面(ないし柱あるいは枠、以下同じ)とボード100との相対位置の変更のための姿勢調整処理を実行可能になっている。
【0073】
図13は、制御装置8で実行される、姿勢調整処理を実行するプログラムのフローチャートである。
ここで、オペレータは、予め、上記コントローラの操作によって、ボード100を、アタッチメント装着部5のボード保持部70で保持する。このとき、ボード保持部70でボード100の上方の位置を保持するようにする。次いで、ボード100が壁面近傍に位置した状態になるように可動アーム4を操作する。
【0074】
そして、オペレータによってコントローラから姿勢調整処理を実行する操作信号が入力されると、同図に示すように、制御装置8内では、同プログラムが実行されて、まず、ステップS1に移行する。ステップS1では、アタッチメント装着部5を、予め設定されている上部前傾姿勢に位置させる一連の処理が実行されて、ステップS2に移行する。
ステップS2では、水平アーム40をボード100との対向方向に伸張させる処理が実行されて、ステップS3に移行する。
【0075】
ステップS3では、一対の上部真空吸着パット72の各距離センサ77のうちいずれか一方からの変位の情報が所定の変位量に変わったとの入力がされたか否かを判定し、いずれか一方からの変位の情報が所定の変位量に変わったとの入力がされたとき(Yes)にはステップS4に移行し、そうでないとき(No)はステップS2に処理を戻す。
ステップS4では、水平アーム40の伸張を停止してステップS5に移行する。
【0076】
ステップS5では、一対の上部真空吸着パット72の各距離センサ77のうちいずれか一方からの変位の情報に対し、いずれか他方の距離センサ77の変位の情報が、相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲に収まるように、姿勢調整装置60の備えるθz調整部61、θy調整部62およびθx調整部63の3つの調整部を駆動することによって、θz、θyおよびθx方向での姿勢を適宜調整し、さらに水平アーム40をも駆動して対向方向での押しつけ圧を調整することで姿勢を適宜調整するという所定手順の一連の処理を実行することで、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整してステップS6に移行する。
【0077】
ステップS6では、ステップS5での一連の処理によって一対の上部真空吸着パット72の各距離センサ77相互の変位の偏差が所定の範囲に収まったか否かを判定し、所定の範囲内であればボード100上部の姿勢が調整された(Yes)との判定をしてステップS7に移行し、そうでないとき(No)はステップS5に処理を戻す。
ステップS7では、アタッチメント装着部5のθz調整部61が駆動されて、ボード100を施工すべき壁面と並行に位置させる一連の処理が実行されて、ステップS8に移行する。
【0078】
ステップS8では、一対の下部真空吸着パット74の各距離センサ77のうちいずれか一方からの変位の情報が所定の変位量に変わったとの入力がされたか否かを判定し、いずれか一方からの変位の情報が所定の変位量に変わったとの入力がされたとき(Yes)にはステップS9に移行し、そうでないとき(No)はステップS7に処理を戻す。
ステップS9では、θz調整部61の駆動を停止して、ボード100を施工すべき壁面と並行に位置させる一連の処理を終えてステップS10に移行する。
【0079】
ステップS10では、一対の下部真空吸着パット74の各距離センサ77のうちいずれか一方からの変位の情報に対し、いずれか他方の距離センサ77の変位の情報が、相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲に収まるように、姿勢調整装置60の備えるθz調整部61、θy調整部62およびθx調整部63の3つの調整部によって、θz、θyおよびθx方向での姿勢を適宜調整し、さらに水平アーム40をも駆動して対向方向での押しつけ圧を調整することで姿勢を適宜調整するという所定手順の一連の処理を実行することで、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整してステップS11に移行する。
【0080】
ステップS11では、ステップS10での一連の処理によって一対の下部真空吸着パット74の各距離センサ77相互の変位の偏差が所定の範囲に収まったか否かを判定し、所定の範囲内であればボード100下部の姿勢が調整された(Yes)との判定をして処理を戻(終了)し、そうでないとき(No)はステップS10に処理を戻す。
以上が制御装置8内で実行される姿勢調整処理であり、前記姿勢制御手段には、上述のステップS1からステップS11が対応し、また、前記上部姿勢制御手段には、ステップS1〜S6が対応し、前記下部姿勢制御手段には、ステップS7〜S11が対応する。
【0081】
次に、上記施工装置用ボードスタッカについて詳しく説明する。
この施工装置用ボードスタッカ(以下、単に「ボードスタッカ」ともいう)は、上述した施工装置1とともに用いられ、ボード100を施工装置1に対して受け渡しするためのものであり、図1ないし図2に示すように、このボードスタッカ90は、周方向に等配された4つのキャスタ92aを下部に有する台車92と、その台車92上に設けられて上下方向を向く軸まわりに回転可能な平面視が円形のターンテーブル94と、そのターンテーブル94上に複数枚(この例では二枚)のボード100を周方向に等配して支持可能に立設されるボード支持枠96と、を有して構成されている。
【0082】
このボード支持枠96は、その基端部96a内に、ボード支持枠96の支柱96hを上下方向に伸縮可能に設けられた上下駆動シリンダ96bを有している。そして、この支柱96hの上端には、支持梁96cが水平方向を向いて設けられており、この支持梁96cの両端部に、支持梁96cの水平方向を向く軸まわりに回動自在な回動継手96dを介してボード100を立てかけ可能なボード支持枠本体96fがそれぞれ連結されている。ボード支持枠本体96fは、ボード100の幅方向での両側それぞれを支持可能に左右に立設しており、相互は連結されている。そして、図1に示すように、各ボード支持枠本体96fは、垂線VLに対して所定の傾斜角θを有し、下方の対向距離が広く、上方の対向距離が狭くなっている。また、各ボード支持枠本体96fの下端部には、略水平方向に張り出したボード載置板96gをそれぞれ有して構成されており、これにより、ボード100を各ボード支持枠本体96fに安定して立てかけられるようになっている。
【0083】
ここで、各ボード支持枠本体96fには、ボード100の幅方向の一方の側に、ボード支持枠本体96fの長手方向に離間した二箇所の位置にボードアライメント補正板88が着脱可能に装着されている。
このボードアライメント補正板88は、上記ボードアライメント補正装置78との協働によって、ボードスタッカ90から施工装置1に受け渡しされるボード100の上下方向の傾きを調整して、安定した受け渡しが可能になっている。
【0084】
すなわち、まず、上記ボードアライメント補正装置78の備えるアライメント補正シリンダ47を伸縮方向での伸張側の状態とし、その状態でアタッチメント装着部5を保持すべきボード100に対向させる。次いで、保持すべきボード100にアタッチメント装着部5を対向させたまま、アライメント補正シリンダ47を伸縮方向での縮小側の状態とし、アタッチメント装着部5を、保持すべきボード100の幅方向に移動させる。このとき、ボードスタッカ90側の上記ボードアライメント補正板88は、保持すべきボード100の幅方向に且つアライメント補正シリンダ47を伸縮方向での縮小側に対向するように配置されており、幅方向での移動を規制するようになっている。これにより、ボード100の上下方向の傾きが調整されて、保持すべきボード100の幅方向でのアタッチメント装着部5との相対位置が所定の位置に位置するようになっている。したがって、受け渡しされるボード100を安定して受け渡し可能である。
【0085】
また、ターンテーブル94内には、各ボード100を、施工装置1に対して受け渡しをすることが可能な受渡位置Uと、それ以外の待機位置Tとに位置させるように回転可能に軸支するサーボモータ94aが内蔵されている。
そして、上下駆動シリンダ96bは、不図示の空圧機器に接続されており、制御装置8からの制御指令が空圧機器の制御弁に入力されると、その制御指令に応じて伸縮可能であり、また、サーボモータ94aは、制御装置8からの制御指令が入力されると、その制御指令に応じて、各ボード100を受渡位置Uないし待機位置Tに位置させるように回転可能になっている。ここで、上記ボード保持装置には、上述のボード保持部70および制御装置8が対応している。
【0086】
次に、上述の施工装置1、ないしボードスタッカ90を用いてボード100を施工する方法について、図1、図2および図14〜図16を適宜参照しつつ以下詳しく説明する。
まず、上述の施工装置1、ないしボードスタッカ90を用いて複数の隣接するボード100を連続して施工する方法について説明する。
上述の施工装置1、ないしボードスタッカ90を用いて複数の隣接するボード100を連続して施工する際には、まず、図1に示すように必要な装置を配置する。
【0087】
すなわち、同図に示すように、施工作業を行う通路の全幅Rに対し、ボードスタッカ90は、通路幅の中心線CL上に、ターンテーブル94の旋回中心がほぼ一致するように位置させる。一方、施工装置1は、ボード100を施工すべき壁面Hに対し、必要な作業領域を確保するために、通路の全幅Rに対し、壁面H側の自走台車と施工壁面との距離FWを広く確保し、自走台車と後方壁面との距離RWについては、干渉しない範囲で少なくしておく。なお、同図に示す例は、施工作業を行う通路の全幅Rが狭い場合の例であって、広いフロア内での施工や屋外ないし外装の施工等のように作業スペースが容易に確保可能な場合はこの限りでない。
【0088】
そして、図1に示す配置状態としたら、ボードスタッカ90の受渡位置Uから、アタッチメント装着部5に装着したボード保持部70でボードスタッカ90に支持されているボード100のうち受渡位置Uの第一のボード100Aを保持する。なお、このときの第一のボード100Aの受け渡しは、上述のボードアライメント補正板88およびボードアライメント補正装置78との協働によって、安定して第一のボード100Aの受け渡しが可能である(以下、第二のボード100Bについても同様)。
【0089】
次いで、同図14(a)に示すように、施工装置1のスライドベース11を進行方向での一端の側に位置させた第一の状態J1とする。そして、この第一の状態J1で、当該第一のボード100Aを施工すべき位置Sに第一のボード100Aを位置させる。その後、アタッチメント装着部5に装着した所望の施工用の付属装置(上記の例では、ドライバ装置86)で当該第一のボード100Aを固定する施工をする(第一ボード施工工程)。
【0090】
次いでこの第一ボード施工工程の後に、ターンテーブル94を駆動して、ボード100のうち待機位置Tから受渡位置Uに新たに位置させた第二のボード100Bをボード保持部70で保持する。その後、、図14(b)に示すように、スライドベース11をその進行方向での他端の側に第一のボード100Aの幅Wに応じた量だけ(例えばW’)移動させた第二の状態J2とする。そして、この第二の状態J2で、アタッチメント装着部5に装着したボード保持部70で保持した当該第二のボード100Bを、第一のボード100Aに隣接して施工すべき位置に位置させる。その後、アタッチメント装着部5に装着した所望の施工用の付属装置、例えば上記ドライバ装置86で当該第二のボード100Bを固定する施工をする(第二ボード施工工程)。
【0091】
次に、上記第一のボード100Aないし第二のボード100Bの各ボードそれぞれを施工する際の、各ボードの位置決め方法について説明する。
各ボードの位置決め方法は、上述のように、オペレータのコントローラでの操作によって、ボード100を、アタッチメント装着部5のボード保持部70で保持する。このとき、ボード保持部70は、ボード100の上方の位置を保持する。これにより、ボード100が長尺であってもその上部を保持して垂下させた自然な状態で支持することを可能としている。次いで、可動アーム4を操作して当該ボード100を施工すべき壁面Hの施工位置(図14での符号S1ないしS2)近傍に位置させる。
【0092】
そして、その状態でオペレータが、コントローラから上述の姿勢調整処理を実行する操作信号を入力すると、図15(a)に示すように、アタッチメント装着部5は、予め設定されている上部前傾姿勢に位置し(ステップS1)、ボード100を、その上部が前傾した姿勢で支持する。以降、上記姿勢調整処理に応じた動作によって、水平アーム40がボード100との対向方向に伸張され(ステップS2)、一対の上部真空吸着パット72の一方が所定の変位量に押されたら水平アーム40を停止し(ステップS3〜4)、一対の上部真空吸着パット72相互の変位の偏差が小さくなるように、姿勢調整装置60で調整し、相互の変位の偏差が所定の範囲に収められる(ステップS5〜6)。この上部姿勢制御によって、まず、ボード100の上部の位置決めがなされる。
【0093】
次いで、引き続き上記姿勢調整処理に応じた動作によって、θz調整部61の駆動なされ、これによりボード100の下方が壁面Hとの対向方向に移動され(ステップS7)、一対の下部真空吸着パット74の一方が所定の変位量に押されたらθz調整部61を停止し(ステップS8〜9)、一対の下部真空吸着パット74相互の変位の偏差が小さくなるように、姿勢調整装置60で調整し、相互の変位の偏差が所定の範囲に収められる(ステップS10〜11)。この下部姿勢制御によってボード100の下部の位置決めがなされ、これら上部姿勢制御および下部姿勢制御による二段階の位置決めによって、ボード100が上下に長尺な場合であっても確実に且つ効率の良い位置決めを行うことができる。
【0094】
次に、各ボードを固定する施工方法について説明する。
各ボードを固定する施工方法は、上記位置決め後、図16(a)に示すように、まず、アタッチメント装着部5に装着したボード保持部70でボード100の上方の位置を保持しつつ、アタッチメント装着部5に装着した所望の施工用の付属装置、例えば本実施形態の例ではドライバ装置86で当該ボード100の上方の位置を固定する施工をする。ここで、上下のドライバ装置86は、上下スライド機構51で上方の位置から適宜の間隔で順次低い位置に移動させつつビス打ちの施工を効率良く行うことができる(上部施工工程)。
【0095】
次いで、図15(b)に示すように、その上部施工工程の後に、ボード保持部70の保持を一旦解除する。このとき、当然に当該ボード100は、その上方の位置が既に固定されているので位置ずれが生じることはない。そして、アタッチメント装着部5を、上述のテレスコピック装置30によって上方の位置よりも低い位置に移動させる。その後、ボード100の上方の位置よりも低い位置をボード保持部70で保持するとともに、ドライバ装置86でボード100の上方の位置よりも低い位置を固定する施工をする。ここで、ドライバ装置86は、ボード100の長さに合わせて上下スライド機構51で上下方向での適宜の位置から適宜の間隔で順次低い位置に移動させつつビス打ちの施工を行う(下部施工工程)。これにより、ボード100が長尺なものであっても、上方から下方に向けて順次固定する施工を行うことができる。
【0096】
次に、上述の施工装置1、ボードスタッカ90およびボード100の施工方法の作用・効果について説明する。
上述のように、この施工装置1によれば、その可動アーム4を構成する直動案内装置10は、そのスライドベース11の移動量W’が、ボード100の幅Wの2倍以上になっているので、隣接する二枚のボード100A、Bを、一度の調整作業で施工可能である。
【0097】
そして、上述の第一ボード施工工程および第二ボード施工工程を含むボードの施工方法によれば、この施工装置1を用いて、上記第一ボード施工工程によって所期の施工をし、次いで、その第一ボード施工工程の後に、上記第二ボード施工工程によって所期の施工をしているので、可動アーム4の直動案内装置10によるスライド移動のみによって、自走台車2自体を走行させることなく、隣接する二枚のボード100A、Bを連続的に施工することができる。そのため、隣接するボード100A、B相互の位置ズレを防止または抑制することができる。そして、一度の調整作業で隣接する二枚のボード100A、Bを連続的に施工することができるので、その操作が簡単であり、また、その施工の作業効率が良く、作業時間をより短縮することができる。
【0098】
さらに、ボード100を施工するに際し、上述の上部施工工程および下部施工工程を含むボードの施工方法によれば、上部施工工程の後に、上方から下方への保持位置の変更(持ち替え)をし、下部施工工程に移行しているので、長尺なボード100を施工する場合であっても、上方での一度の調整作業で長尺なボード100の上部から下部までの必要な位置への種々の施工を連続的に行うことができる。したがって、その施工の作業効率が良く、作業時間をより短縮することができる。
【0099】
そして、この施工装置1によれば、可動アーム4は、直動案内装置10のスライダ14上に設けられて垂直な軸まわりに旋回可能な旋回装置20と、この旋回装置20上に設けられて垂直方向に伸縮可能なテレスコピック装置30と、このテレスコピック装置30の上端部に水平方向に伸縮可能に設けられた水平アーム40とを備え、アタッチメント装着部5は、水平アーム40の先端側に設けられており、自走台車2上の直動案内装置10は、そのスライダ14が自走台車2の進行方向に沿って移動し、テレスコピック装置30は垂直方向に伸縮し、水平アーム40は水平方向に伸縮するようになっているので、可動アーム4が、いわゆる直交軸型のアーム構成になっている。そのため、各軸方向での位置の確認が容易であり、その操作が一層簡単である。
【0100】
さらに、この施工装置1によれば、アタッチメント装着部5は、これに装着される施工用の付属装置であるドライバ装置86を、ボード100の上下方向に沿って移動させることのできる上下スライド機構51を備えているので、自走台車2や可動アーム4を移動させることなくボード100の上下方向に沿って施工に必要な作業を行うことができる。そのため、ボード100が長尺な場合に特に好適に用いて、その施工の作業効率をより向上させ、作業時間をより短縮することができる。
【0101】
また、この施工装置1によれば、アタッチメント装着部5と水平アーム40先端との間に配設されてアタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整可能な姿勢調整装置60をさらに備え、制御装置8は、姿勢調整装置60の各動作を制御可能になっているので、自走台車2や可動アーム4を移動させることなくアタッチメント装着部5の姿勢の微調整が可能である。そのため、所望の施工をより精度良く行う上でより好適である。
【0102】
また、この施工装置1によれば、ボード保持部70は、ボード100を吸着可能に適宜離間して配置された複数の真空吸着パット71と、これら複数の真空吸着パット71のうちの所定の位置の複数の真空吸着パット72、74に対して設けられた距離センサ77とを備えて構成され、各距離センサ77は、各所定の位置での真空吸着パット72、74の変位を検出するように設けられ、制御装置8は、各距離センサ77からの変位の情報が入力されるようになっており、さらに、その入力された各距離センサ77相互の変位の情報に基づいて、所定の位置の複数の真空吸着パット72、74相互の変位の偏差が小さくなるように、姿勢調整装置60に、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力可能なので、オペレータは、上述した可動アーム4を操作して、ボード100を施工すべき位置の近傍にアタッチメント装着部5を位置させた状態とするだけで、その後のアタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢の微調整を、制御装置8によって自動的に行わせることができる。そのため、各軸方向でのボード100の位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとすることができる。
【0103】
また、この施工装置1によれば、所定の位置の複数の真空吸着パット72、74は、ボード100上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するための一対の上部真空吸着パット72と、一対の上部真空吸着パット72よりも低い位置でのボード100の幅方向の両側の位置それぞれを吸着するための一対の下部真空吸着パット74とを有して構成されており、制御装置8は、一対の上部真空吸着パット72相互の変位の偏差が小さくなるように、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を姿勢調整装置60に出力可能であり、さらに、その姿勢制御後に、一対の下部真空吸着パット74相互の変位の偏差が小さくなるように、アタッチメント装着部5のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を姿勢調整装置60に出力可能に構成されているので、ボード100が例えば上下に長尺なものの場合であっても、その上部を保持して垂下させた自然な状態で、まず、ボード100上部の姿勢を調整し、次いで、ボード100下部の姿勢を調整することができる。したがって、長尺なボード100を垂下させた自然な状態から上から下へと順序良く姿勢を整えることができるので、ボード100の位置の設定が一層容易であり、また、その操作をより簡単なものとすることができる。
【0104】
そして、上述のように、ボードスタッカ90によれば、複数枚(この例では二枚)のボード100A、Bを支持可能であり、施工装置1に対して受け渡しをすることが可能な受渡位置Uと、それ以外の待機位置Tとに各ボード100A、Bを位置させるように回転可能なので、上記施工装置1を用いて、上述した、隣接する二枚のボード100A、Bを一度の調整作業で施工する場合等に適用する上で好適である。
【0105】
以上説明したように、上述の施工装置1、ボードスタッカ90およびボード100の施工方法によれば、操作が簡単であり、隣接するボード100A、B相互の位置ズレを防止または抑制可能であり、さらに、その施工の作業効率を向上させることができる。
なお、本発明に係る施工装置、ボードスタッカおよびボードの施工方法、並びにボード保持装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【0106】
例えば、上記実施形態では、施工用の付属装置として複数のドライバ装置86が装備されている例で説明したが、これに限定されず、上記ドライバ装置86に替えて、アタッチメント装着部5に施工用の付属装置として、複数のタッカー装置80を装着することができる。このように、上記施工装置1において、アタッチメント装着部5に、施工用の付属装置として、タッカー装置80が装着されていれば、本発明に係る施工装置をボードのタッカー打ち工程に適用する上で好適である。
【0107】
図12に示すように、各タッカー装置80は、各スライドベース52A、52Bの幅とほぼ同じ長さで左右に延びる板状の本体部80hを有している。なお、この板状の本体部80hは、上記ドライバ装置86の本体部86hより上下に長い為、他の部品との干渉を避けるために必要な位置に逃げ加工が施されている。
そして、この本体部80h両端それぞれおよびその略中央部の3箇所に、タッカー打ちが可能なタッカーユニット80tをそれぞれ有して構成されている。そして、各タッカー装置80の本体部80hには、各スライドベース52A、52Bにねじによって装着可能な装着部80aが複数のタッカーユニット80t同士の間の位置に形成されており、これにより、各タッカー装置80は、当該タッカー装置80をボード100の上下方向に沿って移動させることのできる上下スライド機構51を介してアタッチメント装着部5の各スライドベース52A、52Bに取り付けられるようになっている。なお、各タッカー装置80に搭載される各タッカーユニット80t自体は、通常のタッカーユニットと同様のものであるので、その詳細な説明は省略する。
【0108】
ここで、上部のタッカー装置80と下部のタッカー装置80との上下方向で対向するタッカーユニット80t相互は、ボード100の幅方向でのタッカーの上部打設位置Duおよび下部打設位置Dbが、互い違いの位置になるように配置されている。
このタッカー装置80によれば、上下のタッカー装置80相互は、幅方向でのタッカーの打設位置Du、Dbが、互い違いの位置になるように配置されているので、同図に示すように、タッカー装置80の各タッカーユニット80tにタッカーを供給するためのマガジン80mが長尺な場合であっても、上下のタッカー装置80のマガジン80m相互の干渉を防止することができる。そのため、例えば上下方向で対向するタッカー装置の各タッカーユニット相互の打設位置が同じ位置になるように配置されたものと比べて、長尺なマガジンを装着することができる。したがって、マガジンの交換作業の頻度を少なくすることができるので、作業効率を一層向上させることができる。
【0109】
また、例えば上記実施形態では、ボードスタッカ90が支持可能なボードの等配数が2である例で説明したが、これに限定されず、例えば図17に示すように、支持可能なボードの等配数が3であってもよいし(同図(b))、また、支持可能なボードの等配数が4であってもよい(同図(c))。図17(a)ないし(c)に示すように、支持可能なボードの等配数が2〜4のうちのいずれか一つであれば、複数枚のボードを周方向に等配する上で安定した配置にする上で好適である。
【0110】
また、例えば上記実施形態では、アタッチメント装着部5は上下スライド機構51を備え、この上下スライド機構51は、これに装着されるドライバ装置86を、ボード100の上下方向に沿って移動させることができる例で説明したが、これに限定されず、例えば上下スライド機構51が、さらに、ボード保持手段であるボード保持部70をもボード100の上下方向に沿って移動させる構成としてもよい。また、必ずしも上下スライド機構を備える構成に限定されるものではない。しかし、自走台車や可動アームを移動させることなくボードの上下方向に沿って保持や施工に必要な作業を効率良く行う上では、上記実施形態のように、アタッチメント装着部に上下スライド機構を備える構成とすることは好ましい。
【0111】
また、上記実施形態では、本発明に係る施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法の一実施形態について、建築物内でその壁等の内装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内装用のボードを施工するために用いた例で説明したが、これに限定されず、本発明に係る施工装置、施工装置用ボードスタッカおよびボードの施工方法は、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する用途であれば、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る施工装置およびボードスタッカの一実施形態を説明する正面図である。
【図2】図1に示す施工装置およびボードスタッカの平面図である。
【図3】図2でのA−A断面図である。
【図4】図1でのB部詳細図であり、同図では、スライドベースよりも上部の部分を、図5でのC−C断面図にて図示している。
【図5】図2での要部拡大図であり、同図では、テレスコピック装置の各ポールは断面にて図示している。
【図6】図1での要部の拡大図である。
【図7】ボードアライメント補正装置を説明する図であり、同図(a)は、同図(b)でのD矢視図であり、同図(b)は図1での要部の拡大図である。
【図8】アタッチメント装着部を説明する図であり、同図(a)は、図1での要部の拡大図であり、同図(b)は、同図(a)の右側面図である。
【図9】アタッチメント装着部を説明する図であり、同図は、図8(b)でのE矢視図を示している。
【図10】アタッチメント装着部を説明する図であり、同図は、図8(b)での要部の一部分を示している。
【図11】アタッチメント装着部に装着される施工用の付属装置を説明する図であり、同図は、ドライバ装置の説明図である。
【図12】アタッチメント装着部に装着される施工用の付属装置を説明する図であり、同図は、タッカー装置の説明図である。
【図13】制御装置内で実行される姿勢調整処理のフローチャートである。
【図14】本発明に係る施工方法の一実施形態であって、複数の隣接するボードを連続して施工する方法を説明する図である。
【図15】本発明に係る施工方法の一実施形態であって、ボードを施工する際の位置決め方法を説明する図である。
【図16】本発明に係るボードの施工方法の一実施形態を説明する図である。
【図17】本発明に係る施工装置用ボードスタッカの変形例を説明する図である。
【符号の説明】
【0113】
1 施工装置
2 自走台車
3 アウトリガ
4 可動アーム
5 アタッチメント装着部
8 制御装置
10 直動案内装置
11 スライドベース(スライド部)
12 案内部
14 スライダ(スライド部)
16 直動案内ラック
18 直動案内用モータ
19 モータブラケット
20 旋回装置
21 旋回ベース
22 旋回案内ベアリング
24 旋回ブラケット
26 旋回歯車
28 旋回用モータ
29 モータブラケット
30 テレスコピック装置
31 下段ポール
32 中段ポール
33 上段ポール
34 中段昇降用モータ
35 中段昇降用ボールねじ
36 中段昇降用リニアガイド
37 上段昇降用モータ
38 上段昇降用ボールねじ
39 上段昇降用リニアガイド
40 水平アーム
41 水平アーム装着腕
42 水平移動用リニアガイド
43 水平移動用モータ
44 水平移動用ボールねじ
45 水平アーム本体
46 姿勢調整装置固定ベース
47 アライメント補正シリンダ
48 アライメント補正用リニアガイド
49 アライメント補正ベース
50 アタッチメント固定ベース
51 上下スライド機構
52A 上部スライドベース
52B 下部スライドベース
53 上下スライド案内
54 上下スライダ
56 上下スライドラック
58 上下スライドモータ
60 姿勢調整装置
61 θz調整部
62 θy調整部
63 θx調整部
64Z θz駆動モータ
65Z θzウォーム軸
66Z θzウォーム歯車
67Z θz支軸
68Z θz支持腕
64Y θy駆動モータ
65Y θyウォーム軸
66Y θyウォーム歯車
67Y θy支軸
68Y θy旋回ベース
69Y θy旋回ベアリング
64X θx駆動モータ
65X θxピニオン
66X θx扇歯車
67X θx旋回支軸
68X θx旋回ベース
69X θx支持腕
70 ボード保持部(ボード保持手段)
71 真空吸着パット
72 上部真空吸着パット
74 下部真空吸着パット
75 真空吸着パット支持板
76 真空吸着パット支柱
77 距離センサ
78 ボードアライメント補正装置
80 タッカー装置(施工用の付属装置)
82 上部タッカー装置
84 下部タッカー装置
86 ドライバ装置(施工用の付属装置)
88 ボードアライメント補正板
90 (施工装置用)ボードスタッカ
92 台車
94 ターンテーブル
96 ボード支持枠
100(100A、100B) ボード
U 受渡位置
T 待機位置
J1 第一の状態
J2 第二の状態
姿勢制御手段
上部姿勢制御手段
下部姿勢制御手段
CL 通路幅の中心線
D タッカーの打設位置
W ボードの幅
W’ 直動案内装置によるスライドベースの可動範囲
H 壁面
R 通路全幅
FW 自走台車と施工壁面との距離
RW 自走台車と後方壁面との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工するための施工装置であって、
自走台車と、この自走台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて前記ボードを保持可能なボード保持手段および施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部と、前記可動アームおよび自走台車の走行を制御する制御装置とを備え、
前記可動アームは、前記自走台車上にその進行方向に沿って設けられた案内部およびこの案内部上を相対移動可能なスライド部を有する直動案内装置を備えており、当該直動案内装置は、そのスライド部の相対移動により前記アタッチメント装着部を移動可能であり、その移動量が、前記ボードの幅の2倍以上になっていることを特徴とする施工装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動アームは、前記直動案内装置のスライド部上に設けられて垂直な軸まわりに旋回可能な旋回装置と、この旋回装置上に設けられて垂直方向に伸縮可能なテレスコピック装置と、このテレスコピック装置の上端部に水平方向に伸縮可能に設けられた水平アームとを備え、前記アタッチメント装着部は、前記水平アームの先端側に設けられていることを特徴とする施工装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記アタッチメント装着部は、これに装着される施工用の付属装置を、前記ボードの上下方向に沿って移動させることのできる上下スライド機構を備えていることを特徴とする施工装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、
前記アタッチメント装着部と前記水平アーム先端との間に配設されて前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整可能な姿勢調整装置をさらに備え、
前記制御装置は、当該姿勢調整装置の各動作を制御可能になっていることを特徴とする施工装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ボード保持手段は、前記ボードを吸着可能に適宜離間して配置された複数の真空吸着パットと、これら複数の真空吸着パットのうちの所定の位置の複数の真空吸着パットに対して設けられた距離センサとを備えて構成され、各距離センサは、各所定の位置での真空吸着パットの、前記ボードとの対向方向の変位を検出するように設けられ、
前記制御装置は、各距離センサからの変位の情報が入力されるようになっており、さらに、その入力された各距離センサ相互の変位の情報に基づいて、前記所定の位置の複数の真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する姿勢制御手段を有することを特徴とする施工装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記所定の位置の複数の真空吸着パットは、前記ボードの上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するための一対の上部真空吸着パットと、前記一対の上部真空吸着パットよりも低い位置での前記ボードの幅方向の両側の位置それぞれを吸着するための一対の下部真空吸着パットとを有して構成されており、
前記制御装置は、前記姿勢制御手段が、前記一対の上部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する上部姿勢制御手段と、その上部姿勢制御手段による姿勢制御後に、前記一対の下部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する下部姿勢制御手段とを有して構成されていることを特徴とする施工装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記アタッチメント装着部に、施工用の付属装置として、複数のタッカー装置が装着されていることを特徴とする施工装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記複数のタッカー装置は、前記アタッチメント装着部の上部に配置される上部のタッカー装置と、前記アタッチメント装着部の下部に配置される下部のタッカー装置とを備え、各タッカー装置は、その幅方向に離間した位置にそれぞれ配置される複数のタッカーユニットを有して構成されており、
前記上部のタッカー装置と前記下部のタッカー装置との上下方向で対向するタッカーユニット相互は、幅方向でのタッカー打設位置が、互い違いの位置になるように配置されていることを特徴とする施工装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の施工装置とともに用いられ、前記ボードを前記施工装置に対して受け渡しするためのボードスタッカであって、
台車と、その台車上に設けられて上下方向を向く軸まわりに回転可能なターンテーブルと、そのターンテーブル上に前記ボードを複数枚支持可能に立設されるボード支持枠と、を有し、
前記ボード支持枠は、複数枚のボードを周方向に等配して支持可能になっており、前記ターンテーブルは、各ボードを、前記施工装置に対して受け渡しをすることが可能な受渡位置と、それ以外の待機位置とに位置させるように回転可能になっていることを特徴とする施工装置用ボードスタッカ。
【請求項10】
請求項9において、
前記支持可能なボードの等配数が2〜4のいずれか一つであることを特徴とする施工装置用ボードスタッカ。
【請求項11】
建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する方法であって、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の施工装置、および、請求項9または10に記載の施工装置用ボードスタッカを用いて、
前記スライド部を前記進行方向での一端の側に位置させた第一の状態とし、この第一の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で前記ボードスタッカに支持されているボードのうち受渡位置の第一のボードを保持して当該第一のボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第一のボードを固定する施工をする第一ボード施工工程と、
前記第一ボード施工工程の後に、前記ボードのうち待機位置から受渡位置に新たに位置させた第二のボードを前記ボード保持手段で保持し、その後、前記スライド部を前記進行方向での他端の側に前記第一ボードの幅に応じた量だけ移動させた第二の状態とし、この第二の状態で、前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で保持した当該第二のボードを前記第一のボードに隣接して施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該第二のボードを固定する施工をする第二ボード施工工程とを含むことを特徴とするボードの施工方法。
【請求項12】
建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する方法であって、
前記ボードを施工する装置として、台車と、この台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて前記ボードを保持可能なボード保持手段および施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部と、前記可動アームおよび台車の走行を制御する制御装置とを備える施工装置を用いており、
前記アタッチメント装着部に装着したボード保持手段で前記ボードの上方の位置を保持して当該ボードを施工すべき位置に位置させ、その後、前記アタッチメント装着部に装着した所望の施工用の付属装置で当該ボードの上方の位置を固定する施工をする上部施工工程と、
前記上部施工工程の後に、前記ボード保持手段の保持を一旦解除し、当該ボード保持手段および前記所望の施工用の付属装置を前記上方の位置よりも低い位置に移動させ、その後、当該上方の位置よりも低い位置を前記ボード保持手段で保持するとともに、前記所望の施工用の付属装置で前記ボードの上方の位置よりも低い位置を固定する施工をする下部施工工程とを含むことを特徴とするボードの施工方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記ボードを施工する装置として、請求項1〜8のいずれか一項に記載の施工装置を用いていることを特徴とするボードの施工方法。
【請求項14】
台車と、この台車上に設けられる可動アームと、この可動アームの先端側に設けられて施工用の付属装置が装着されるアタッチメント装着部とを備え、建築物の壁等の内外装に用いられる石膏ボードや化粧板等の内外装用のボードを施工する装置に用いられ、前記アタッチメント装着部に装着されて前記ボードの保持およびその保持の解除が可能なボード保持手段と、そのボード保持手段を制御する制御装置とを備えるボード保持装置であって、
前記ボード保持手段は、前記ボードを吸着可能に適宜離間して配置された複数の真空吸着パットと、これら複数の真空吸着パットのうちの所定の位置の複数の真空吸着パットに対して設けられた距離センサとを備えて構成され、各距離センサは、各所定の位置での真空吸着パットの、前記ボードとの対向方向の変位を検出するように設けられ、
前記制御装置は、各距離センサからの変位の情報が入力されるようになっており、さらに、その入力された各距離センサ相互の変位の情報に基づいて、前記所定の位置の複数の真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する姿勢制御手段を有することを特徴とするボード保持装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記所定の位置の複数の真空吸着パットは、前記ボードの上部且つその幅方向での両側の位置それぞれを吸着するための一対の上部真空吸着パットと、前記一対の上部真空吸着パットよりも低い位置での前記ボードの幅方向の両側の位置それぞれを吸着するための一対の下部真空吸着パットとを有して構成されており、
前記制御装置は、前記姿勢制御手段が、前記一対の上部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する上部姿勢制御手段と、その上部姿勢制御手段による姿勢制御後に、前記一対の下部真空吸着パット相互の変位の偏差が小さくなるように且つ所定の範囲内に収まるように、前記アタッチメント装着部のX、Y、Z方向の姿勢を調整するための信号を出力する下部姿勢制御手段とを有して構成されていることを特徴とするボード保持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−101438(P2008−101438A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286773(P2006−286773)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(594102544)萬産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】