説明

施錠荷物輸送システム

【課題】 セキュリティ性の高い施錠荷物輸送システムを提供すること
【解決手段】
錠前3が、第1電子キー4に対して、ランダムデータを付与するランダムデータ発生手段31と、電子キー記憶手段461が記憶しているランダムデータが一致したときのみ、錠前3を開錠する錠前制御手段35とを有すること、ランダムデータを記憶する第1電子キー4を、A地点に設けられた第1通信端末装置11に挿入することにより、通信回線6を介して、ランダムデータをB地点に転送し、B地点に設けられた第2通信端末装置21に挿入された第2電子キー40にランダムデータを書き込む通信制御手段を有することにより、セキュリティ性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子キー記憶手段を備える電子キーにより開錠または施錠される錠前を有する施錠荷物をA地点からB地点に輸送する施錠荷物輸送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ある運送会社が、A地点からB地点に家電等の高額商品を施錠荷物で輸送する際、A地点からB地点の間では、コストダウンのために、他社のトラックを経由して輸送することがある。
A地点で荷積みして、B地点で荷降ろしを行うのであるが、途中では、運送会社と直接関係のない運転手が施錠荷物をトラックに運び込みA地点からB地点まで施錠荷物を輸送する。無関係の運転手が施錠荷物にアクセスすることができるため、施錠荷物が開けられ施錠荷物内の家電等が減少している場合があった。そのため、施錠荷物のセキュリティ性が低いため問題であった。
【0003】
そこで、他社のトラックを経由して輸送する際には、施錠荷物のセキュリティ性を向上するため以下の方策が採られていた。
例えば、輸送するトラックの扉に、南京錠をすることで、中に運び込まれる施錠荷物のセキュリティを向上させていた。
また、中の施錠荷物にアクセスがあったかどうかを判断するために、施錠荷物の扉に取り付けると外す場合にはハサミ等で切り取るしかないパスバンド等を取り付ける。ハサミ等で切り取られていると施錠荷物にアクセスがあったことが認識することができるためである。
以上の方策により、輸送中のトラックに積まれた施錠荷物のセキュリティ性を確保していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、南京錠の鍵は運転手が保管するため、運転手が荷室に入ることは容易でありセキュリティ性を確保できなかった。また、A地点とB地点でそれぞれ同じ鍵を用意することで、運転手が南京錠を開くことができないようにすることも考えられる。しかし、南京錠はメカニカルな鍵であるため、簡単に合鍵を作れてしまうため問題となる。
また、悪意を持った運転手であれば、パスバンドを別途準備し、施錠荷物を開け中身を抜き取り、その後、施錠荷物を閉め再びパスバンドをすることができる。悪意ある者に別途パスバンドを準備された場合には、施錠荷物にアクセスがあったか否かの判断ができないため問題となった。
【0005】
そのため、本出願人は、施錠荷物のセキュリティ性の欠陥を補うため、施錠荷物101をA地点からB地点に輸送する場合、図11に示す施錠荷物輸送システム100を考案した。
図11に示すように、A地点には、第1電子キー112が管理保管されている第1キー管理ボックス111が備え付けられている。B地点には、第2電子キー122が管理保管されている第2キー管理ボックス121が備え付けられている。第1キー管理ボックス111と第2キー管理ボックス121は、配線や通信回線により本部サーバ130が接続している。
【0006】
A地点からB地点に施錠荷物101を輸送する場合、第1に、施錠荷物101をA地点で施錠する。B地点に施錠荷物101が輸送されるまでの間、運転手等の権限のない者が施錠荷物101にアクセスできないようにするためである。施錠荷物101の施錠は、本部サーバ130により、第1キー管理ボックス111を介して第1電子キー112にランダムデータが与えられ、ランダムデータを与えられた第1電子キー112により施錠荷物101がA地点で施錠される。ランダムデータは、本部サーバ130が集中管理している。
第2に、A地点から輸送された施錠荷物101をB地点で解錠する。施錠荷物101の解錠は、本部サーバ130により、第2キー管理ボックス121を介して第2電子キー122にランダムデータが与えられ、ランダムデータを与えられた第2電子キー122により施錠荷物101がB地点で解錠される。
施錠荷物輸送システム100によれば、A地点からB地点の間は、運転手等の権限のない者が施錠荷物101を解錠する第1電子キー112及び第2電子キー122を有さないため、施錠荷物101のセキュリティ性を保つことができる。
【0007】
しかしながら、施錠荷物輸送システム100を使用すると次のような問題が考えられる。
すなわち、本部サーバ130が、電子キーのランダムデータを全て集中管理しているため、本部サーバ130に不正アクセスされると、偽物の電子キーを容易に作成することができてしまうため問題となる。偽物の電子キーによれば、A地点からB地点への輸送途中に施錠荷物101にアクセスできてしまうため、セキュリティ性が低下してしまう。
【0008】
この発明は上記問題点を解決するためのものであって、セキュリティ性の高い施錠荷物輸送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)電子キー記憶手段を備える電子キーにより開錠または施錠される錠前を有する施錠荷物をA地点からB地点に輸送する施錠荷物輸送システムにおいて、前記錠前が、前記電子キーに対して、ランダムデータを付与するランダムデータ発生手段と、前記電子キー記憶手段が記憶している前記ランダムデータが一致したときのみ、前記錠前を開錠する錠前制御手段とを有すること、前記ランダムデータを記憶する前記電子キーを、前記A地点に設けられた第1通信端末装置に挿入することにより、通信回線を介して、前記ランダムデータを前記B地点に転送し、前記B地点に設けられた第2通信端末装置に挿入された第2電子キーに前記ランダムデータを書き込む通信制御手段を有すること、を特徴とする。
【0010】
(2)(1)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記ランダムデータが、前記電子キーにより前記錠前が施錠された時刻に基づいて作成されたものであること、を特徴とする。
(3)(1)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記施錠荷物が、施錠荷物本体に配線された破壊検知用電線を有すること、前記錠前が、前記破壊検知用電線が切断されたときに、切断された日、時刻を記憶する破壊時刻記憶手段を有すること、を特徴とする。
(4)(1)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記錠前が面付錠であること、を特徴とする。
(5)(1)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記錠前が電子式南京錠であること、を特徴とする。
(6)(3)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記錠前が通信装置を有すること、前記破壊検知用電線が切断されたとき、切断された日、時刻が通信装置により送信されること、を特徴とする。
(7)(3)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記錠前がGPSを有すること、前記破壊検知用電線が切断されたとき、前記GPSにより切断された場所が特定できること、を特徴とする。
(8)(5)に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、前記電子式南京錠が、着脱自在なジョイントシャフトと、前記ジョイントシャフトをロックするロック手段と、電池と、前記ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
次に、上記構成を有する本発明の施錠荷物輸送システムについての作用・効果について説明する。
(1)電子キー記憶手段を備える電子キーにより開錠または施錠される錠前を有する施錠荷物をA地点からB地点に輸送する施錠荷物輸送システムにおいて、錠前が、前記電子キーに対して、ランダムデータを付与するランダムデータ発生手段と、電子キー記憶手段が記憶しているランダムデータが一致したときのみ、錠前を開錠する錠前制御手段とを有すること、ランダムデータを記憶する電子キーを、A地点に設けられた第1通信端末装置に挿入することにより、通信回線を介して、ランダムデータをB地点に転送し、B地点に設けられた第2通信端末装置に挿入された第2電子キーにランダムデータを書き込む通信制御手段を有することにより、セキュリティ性を向上させることができる。なぜならば、錠前を施錠・解錠するランダムデータは、本部サーバが付与するのでなく、錠前が付与するからである。錠前がランダムデータを付与することにより、本部サーバはランダムデータを集中管理しなくなる。そのため、本部サーバへの不正アクセスにより、偽物の電子キーが製造されることがなくなるため、セキュリティ性を向上させることができる。
たしかに、錠前が付与したランダムデータを通信回線を通じてB地点に転送する際に、通信回線に不正アクセスすることは可能である。しかし、本部サーバと異なり、ランダムデータは集中管理されておらず、いつ通信されるかが不明である。そのため、ランダムデータに、不正アクセスする場合には、長い時間不正アクセスし続けなければならず、不正アクセスする者には、不正アクセスが発覚するリスクが高くなる。したがって、不正アクセスを行う者に対して、不正アクセスをする行為の抑止力となり、不正アクセスが生じる可能性を低減することができる。
【0012】
(2)ランダムデータが、電子キーにより錠前が施錠された時刻に基づいて作成されたものであることにより、時刻を用いた数字の組み合わせでランダムデータを作成することができるため、ランダムデータを容易に作成することができる。また、時刻に基づいて作成することにより、同じランダムデータを作成することが困難であるため、セキュリティ性を向上させることができる。
(3)施錠荷物が、施錠荷物本体に配線された破壊検知用電線を有すること、錠前が、破壊検知用電線が切断されたときに、切断された日、時刻を記憶する破壊時刻記憶手段を有することにより、切断された日、時刻が記憶されている。そのため、施錠荷物を管理していた者が特定でき、責任の所在を明確にすることができる。責任の所在が明確になることにより、責任者の施錠荷物の保管意識の向上を図ることができる。
(4)錠前が面付錠であることにより、既存のボックス型の荷物等に取り付け可能となる。したがって、既存のボックス型等の外側が頑丈な荷物に錠前を付けることができるため、中身に貴重品をしまうことができる。外側が頑丈であるため、セキュリティ性が高くなる。
(5)錠前が電子式南京錠であることにより、既存のボストンバック等に取り付け可能となる。したがって、ボストンバック等に取り付けることができるため、荷物を多く収納できる。また、荷物がないときには、ボストンバックは小さくできるため、省スペースで持ち運びができる。
(6)錠前が通信装置を有すること、破壊検知用電線が切断されたとき、切断された日、時刻が通信装置により送信されることにより、破壊された時刻が本部サーバに送信される。破壊された時刻が送信されることにより運転手の管理保管責任を明確にすることができる。
(7)錠前がGPSを有すること、破壊検知用電線が切断されたとき、GPSにより切断された場所が特定できることにより、トランクが開閉された場所及び破壊された場所がサーバに送信される。トランクが開閉された場所及び破壊された場所が送信されることにより運転手の管理保管責任を明確にすることができる。
(8)電子式南京錠が、着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段と、電池と、ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、を有することにより、電子式南京錠を確実にロックすることができる。したがって、セキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本第1実施形態に係る施錠荷物輸送システムの概念図を表す。
【図2】本第1実施形態に係る施錠荷物の構成図を表す。
【図3】本第1実施形態に係る施錠荷物の閉状態の外観斜視図を表す。
【図4】本第1実施形態に係る施錠荷物の開状態の外観斜視図を表す。
【図5】本第1実施形態に係る錠前の正面図を表す。
【図6】本第1実施形態に係る錠前の背面図(1)を表す。
【図7】本第1実施形態に係る錠前の背面図(2)を表す。
【図8】本第1実施形態に係る図5のAA断面図を表す。
【図9】本第1実施形態に係る図8の錠前の解錠可能状態を表す。
【図10】本第1実施形態に係る電子キーの内部構造図を表す。
【図11】本出願人が考案した施錠荷物輸送システムの概念図を表す。
【図12】本第2実施形態に係る電子式南京錠の構成図(1)を表す。
【図13】本第2実施形態に係る電子式南京錠の構成図(2)を表す。
【図14】本第2実施形態に係る電子式南京錠の構成図(3)を表す。
【図15】本第2実施形態に係る電子式南京錠の外観図を表す。
【図16】本第2実施形態に係る電子式南京錠の底面図を表す。
【図17】本第2実施形態に係る施錠荷物の外観斜視図を表す。
【図18】本第2実施形態に係る図17の点線Lの一部拡大図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明における施錠荷物輸送システムを具体化した一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
(電子キーの構成)
施錠荷物輸送システムの概要を説明する前に、施錠荷物輸送システムで使用する、電子キー4について、図10を用いて説明する。
図10は、図1に示す第1電子キー4、及び第2電子キー40の内部構造を示す図である。
第1電子キー4、及び第2電子キー40は、金属製の差込体43と樹脂製の樹脂ケース44とICチップ用基板45を備える。差込体43は、樹脂ケース44に収容されている本体部43eから差込部43dが延設されている。本体部43eには、ICチップ用基板45を収納するための開口部43aが形成されている。一方、差込部43dには、一対のストッパ部43bが反対向きに張り出すように設けられ、ストッパ部43bと先端部との間に、ロック係止部43cが形成されている。第1実施形態では、ロック係止部43cは円形状の穴で構成されている。
【0015】
ICチップ用基板45には、接触式ICチップ46と、接触式ICチップ46の第2端子47と、LED49がはんだ付けで溶接されている。第1端子は差込体43である。ICチップ用基板45は、延設部45a,45bが所定間隔を空けて平行に延設されている。
接触式ICチップ46内には、図示しない電子キー記憶手段を有する。電子キー記憶手段は、第1電子キー4に対しては第1電子キー記憶手段461となり、第2電子キー40に対しては第2電子キー記憶手段462となり、第1電子キー4、及び第2電子キー40がそれぞれ有する。第1電子キー記憶手段461、及び第2電子キー記憶手段462は、後述する錠前3のランダムデータ発生手段31により発生されるランダムデータを記憶することができる。
【0016】
(施錠荷物輸送システムの概要)
図1に、施錠荷物輸送システム1の概念図を示す。
図1に示すように、A地点とB地点がある。A地点からB地点へ施錠荷物2を輸送するため、施錠荷物2は、始めにA地点に存在する。
A地点には、施錠荷物2の他に、第1電子キー4に付与されたランダムデータを送受信するための第1通信端末装置11を備える。第1通信端末装置11は、図示しないA地点に設置されている第1鍵管理ボックスに備えられている。
B地点には、第2電子キー40に付与されたランダムデータを送受信するための第2通信端末装置21を備える。第2通信端末装置21は、図示しないB地点に設置されている第2鍵管理ボックスに備えられている。
第1通信端末装置11と第2通信端末装置21は、有線であるインターネット等の配線6により接続し通信できる状態となっている。本実施例では配線6を有線としたが無線の方式とすることもできる。配線6は、本部サーバ7を経由している。
【0017】
(施錠荷物の概要)
施錠荷物2について説明する。図3に施錠荷物2の閉状態の外観斜視図を示す。図4に施錠荷物2の開状態の外観斜視図を示す。
図4に示すように、有底箱形状の本体21は縁に沿って開口部211を形成する。本体21は、蓋22の後部22aにおいて、蝶番部材29等により固定され、蓋22によって開口部211を開閉自在に構成する。蓋22を閉じた際に、キー挿入口23の上部に来る場所に、錠前3のフック部308Aと嵌合する引掛け穴292が形成された引掛け部290が蓋22の内側に形成されている。蓋22は、開口部211の縁に沿って隙間が生じないように密着する。蓋22を閉め、開口部211の縁に沿って隙間が生じないように閉めると直方体形状となる。
図3、及び図4に示すように、施錠荷物2は、本体21のうち正面部21aにキー挿入口23が形成されている。また、正面部21aに任意の手提げ手段222を備える。手提げ手段222は、正面部21aを一部内側に埋没させて凹部223を形成し、この中に取手部224が回転自在に取り付けられている。取手部224は、施錠荷物2の保管時には正面部21aから突出しないように凹部223内に収納されて、施錠荷物2を他の部材と干渉させることなく積み重ね自在にする。そして、取手部224は、施錠荷物2の移動時には凹部223内から起立して、使用者によって掴持される。
【0018】
図3に示すように、施錠荷物2の本体21、及び蓋22の内部には、破壊検知用電線28が配線されている。破壊検知用電線28は内部に配線されているが、破壊検知用電線28が理解しやすいように、図3では、点線として表した。
破壊検知用電線28は、施錠荷物2の直方体形状に合わせるように、施錠荷物2の縁部に沿うような形状で直方体形状に配線されている。さらに、本体21及び蓋22がそれぞれ有する面の部分には、直方体形状の角から反対の角へ破壊検知用電線28が交差するように配線されている。破壊検知用電線28が交差するように配線されていることにより、本体21及び蓋22の面の部分が破壊され破られたとしても、破壊検知用電線28が切断され、破壊されたことを認識することができる。
【0019】
図2に施錠荷物2の構成図を示す。
図2に示すように、錠前3は、施錠荷物制御部30を有する。施錠荷物2は、施錠荷物制御部30と接続する電池5、及び、破壊検知用電線28を有する。
施錠荷物制御部30は、ランダムデータを第1電子キー4に付与するランダムデータ発生手段31を有する。また、施錠荷物制御部30は、施錠荷物2を解錠、及び施錠した時刻を記憶する開閉時刻記憶手段32を有する。施錠荷物制御部30は、時刻が測定できる時刻測定手段33を有する。施錠荷物制御部30は、破壊検知用電線28が切断された際に検知する手段である破壊検知手段34を有する。破壊検知手段34は、破壊検知用電線28が切断された時間を時刻測定手段33から読み取り切断された時刻を正確に記憶することができる。施錠荷物制御部30は、第1電子キー4、及び第2電子キー40が錠前に挿入されたときに、第1電子キー4、及び第2電子キー40が記憶しているランダムデータが一致した時のみ錠前3を解錠する錠前制御手段35を有する。施錠荷物制御部30は、位置の認識が可能なGPS36を有する。施錠荷物制御部30は、本部サーバ7と通信可能な通信装置37を有する。
【0020】
(錠前の概要)
図5に錠前3の正面図を示す。図6に錠前3の背面図(1)を表す。図7に錠前3の背面図(2)を表す。図8に図5のAA断面図を表す。図9に図8の錠前3の解錠可能状態を表す。
図5に示す錠前3は、正面に図3中のキー挿入口23が形成されている。錠前3は、本第1実施形態においては、施錠荷物2に後付け可能な面付錠とする。面付錠とすることで、既存の施錠荷物に取り付けることができるため、セキュリティ性を向上させることができる。図5に示す錠前3のうちキー挿入口23以外は、図3においては施錠荷物2の表面には現れておらず、内部に収納されている。図6に示すように、錠前3の背面には、軸307を中心に回転する回転部材308、及び図示しない施錠荷物制御部30と接続する電線309が形成されている。回転部材308には、蓋22に形成された引掛け穴292と嵌合可能なフック部308Aが形成されている。回転部材308は、電子キー4をキー挿入口23に挿入し回転させることで、図7に示す状態に90度回転し、引掛け穴292と嵌合しない状態となる。
【0021】
図8に示すように、キー挿入口23はキー挿入部304に連通している。キー挿入部304には、レバー301が形成されている。レバー301に、キー当接部3011、ばね部材当接部3012、及び錠前施錠部3014が形成されている。レバー301は、上記3つの部分が形成されていればよいため、三角形状であってもよい。レバー301は、図8においては、レバー軸3013を中心にばね310に押圧され、キー当接部3011がキー挿入部304に突出した状態にある。また、レバー軸3013を中心にばね310に押圧された状態にあるとき、錠前施錠部3014は、錠前3の第1施錠穴306に嵌合する。錠前施錠部3014が第1施錠穴306に嵌合することで、錠前3は施錠状態となる。
また、ソレノイド302が、錠前3のうち、電子キー4が挿入される部分とは反対の部分に形成されている。図8においては、錠前3内の第2施錠穴305に、ソレノイド302の一部であり、通電状態の場合に摺動する施錠部303が嵌合されている。図8においては、非通電状態にあるとき施錠部303は第2施錠穴305に嵌合するため、錠前3は施錠状態となる。
【0022】
第1施錠穴306、及び第2施錠穴305は、180度対向する位置に形成されている。そのため、第1施錠穴306に錠前施錠部3014が嵌合し、及び第2施錠穴305に施錠部303が嵌合している場合には、偶力が働くため小さな力で確実に施錠することができる。すなわち、第1施錠穴306に錠前施錠部3014が嵌合する力、又は第2施錠穴305に施錠部303が嵌合する力が小さいとしても、偶力が発生するため、小さな力であったとしても、確実に施錠することができる。また2か所で嵌合し、施錠することにより施錠する力が大きくなる。
【0023】
図9に示すように、錠前3のキー挿入口23に、電子キー4を挿入する。電子キー4の差込体43がキー挿入部304に挿入される。差込体43は、キー挿入部304に突出しているキー当接部3011に当接する。キー当接部3011に当接すると、レバー301はレバー軸3013を中心に回転する。その理由は、キー当接部3011が押圧されると、ばね309の押圧力よりも強い力がかかるためレバー軸3013を中心に回転するからである。レバー301が回転すると、錠前施錠部3014も動作し、第1施錠穴306に嵌合された状態が解除される。
また、電子キー4が挿入され、電子キー4の接触式ICチップ46が正しいと施錠荷物制御部30の錠前制御手段35により前記ランダムデータとの認証がされる。認証がされると、錠前3のソレノイド302に、施錠荷物制御部30からソレノイド操作電圧が印加される。それにより、ソレノイド302が作動し、施錠部303が摺動し、第2施錠穴305との嵌合状態が解除される。
第1施錠穴306、及び第2施錠穴305の施錠状態が解除されることにより、図9に示すように、錠前3は、解錠可能状態となる。図9に示す状態で、電子キー4を90度回転させることにより、図7に示すように、回転部材308が図6の状態から軸307を中心に回転させる。回転部材308が図7に示す状態となることで、回転部材308のフック部308Aが、施錠荷物2の引掛け穴292から外れるため解錠状態となる。
反対に、回転部材308を図7の状態から軸307を中心に図6の状態に回転させると、回転部材308のフック部308Aが、施錠荷物2の引掛け穴292に引っかかるため施錠状態となる。
【0024】
(施錠荷物輸送システムの作用・効果)
図1に示すように、A地点からB地点に施錠荷物2を輸送する場合、施錠荷物2をA地点で施錠する。施錠の仕方は、第1電子キー4を、図3に示す、施錠荷物2の錠前3のキー挿入口23に挿入し、蓋22を開け、その後蓋22を閉め、第1電子キー4を取り外すことで施錠される。蓋22が閉められたときに、第1電子キー4に対して、ランダムデータ発生手段31がランダムデータを付与する。第1電子キー4の第1電子キー記憶手段461に、ランダムデータが記憶される。
具体的には、第1電子キー4が錠前3を施錠した時刻を開閉時刻記憶手段32により把握し、施錠時刻をもとにランダムデータ発生手段31によりランダムにデータを発生させる。施錠時刻は、0.001秒単位まで測定する。ランダムデータ発生手段31により発生させたランダムデータを第1電子キー4に付与する。開閉時刻記憶手段32により作成されたランダムデータは、2度と来ない時間を基に作成されている。また、0.001秒までの単位で測定している。そのため、同じランダムデータを作成することは困難である。同じランダムデータを作成することが困難であるため、以前使用した電子キーを用いて、施錠荷物2を解錠することも困難である。同じランダムデータの作成が困難であるためセキュリティ性を向上させることができる。
本実施形態においては、第1電子キー4にランダムデータを付与するのは施錠時としたが、解錠、及び第1電子キー4を挿入した時であっても良い。
【0025】
次に、ランダムデータが付与された第1電子キー4を錠前3のキー挿入口23から取り外し、第1電子キー4を第1通信端末装置11に挿入する。第1通信端末装置11は、配線6や通信回線を介してB地点の第2通信端末装置21に接続されている。そのため、第1電子キー4を第1通信端末装置11に挿入すると、A地点の第1通信端末装置11からB地点の第2通信端末装置21にランダムデータが送信される。
ランダムデータは配線6や通信回線を介して本部サーバ7を通り送信されるが、従来技術の図11に示す本部サーバ130のようにランダムデータは集中管理されていない。そのため、本部サーバ130に不正アクセスされることにより簡単かつ短時間でランダムデータが盗まれることがない。本部サーバ130によりランダムデータが集中管理されていると、不正アクセスする者がアクセスしやすいため、セキュリティ性が低下する。
【0026】
本実施形態は、本部サーバ7はデータを通過させるだけのものである。そのため、本部サーバ7によりランダムデータが集中管理されていないため、いつ通信されるかは不明である。したがって、ランダムデータに不正アクセスしようとする者は、長い時間不正アクセスをし続けなければならず、不正アクセスが発覚するリスクが高くなる。したがって、不正アクセスをする者に対して、不正アクセスをする行為の抑止力となり、不正アクセスが生じる可能性を低減することができる。
本部サーバ7がランダムデータを集中管理しないことにより、不正アクセスを困難にすることができるため、ランダムデータが盗まれる可能性を低減することができる。その結果として、偽物の電子キーが作成される可能性が低減される。以上より、セキュリティ性を向上させることができる。
【0027】
施錠荷物2は、A地点を離れB地点へと移動する。本実施形態では、A地点からB地点に施錠荷物2を輸送する際は、A地点とB地点をトラック8にて運搬する。トラック8を運転する運転手Zは、A地点からB地点を結ぶ区間の施錠荷物2についての管理保管の責任者となる。
例えば、施錠荷物2が解錠された場合には、開閉時刻記憶手段32に解錠された時刻が記憶される。そのため、いつ何時施錠荷物2を解錠したのかが確認できる。例えば、施錠荷物2がA地点からB地点を結ぶ区間において解錠されたならば、運転手Zの責任が明確となる。また、解錠された時刻に運転手Zが管理保管義務を追行していないときには、管理保管義務を追行していないことが明確になる。解錠された時刻が明確となることで、運転手Zが施錠荷物2の管理保管義務を追行しているとするならば、運転手Zが自ら管理保管義務を追行していたことを立証しなければならない。そのため、運転手Zが、施錠荷物2の管理保管義務を怠ったため解錠されたのかを明確にすることができる。
運転手Zは、管理保管義務を追行していることを立証しなければならないため、運転手Zに対して、施錠荷物2の管理保管義務追行を促す効果がある。
【0028】
また、施錠荷物2には、破壊検知用電線28が形成されている。そのため、施錠荷物2が外部からの破壊行為により破壊されると破壊検知用電線28が切断される。破壊検知用電線28が切断されると、電流が破壊検知用電線28を流れなくなるため、電流が流れなくなった時刻を破壊検知手段34が記憶する。したがって、施錠荷物2は、破壊検知用電線28、及び破壊検知手段34を有するため、いつ何時施錠荷物2が破壊されたのかを確認することができる。
施錠荷物2がA地点からB地点を結ぶ区間において破壊されたのであれば、運転手Zの責任が明確となる。また、破壊された時刻に運転手Zが何をしていたのか、運転手Zが施錠荷物2の管理保管義務を追行しているにも限らず、破壊されたのか、又は、施錠荷物2の管理保管義務を怠ったため破壊されたのかを明確にすることができる。
【0029】
施錠荷物2がB地点に到着する。施錠荷物2を解錠するため、B地点の第2通信端末装置21に第2電子キー40を挿入する。第2電子キー40の第2電子キー記憶手段462にA地点で、施錠荷物2に付与されたランダムデータが記憶される。第2電子キー40の第2電子キー記憶手段462にランダムデータが記憶されたことにより、第2電子キー40により、施錠荷物2の錠前3を解錠することができる。
電気通信回線を通じて第2通信端末装置21からランダムデータを取得した第2電子キー40でなければ、B地点において錠前3を解錠することができない。それにより、A地点からB地点を結ぶ区間におけるセキュリティ性を向上させることができる。すなわち、ランダムデータは配線6を介して送信されるが、従来技術のように、本部サーバ130で集中管理されていないため、本部サーバ130に不正アクセスされることにより簡単かつ短時間でランダムデータが盗まれることがない。そのため、偽物の電子キーを作成される可能性も低くなる。
また、万が一、第2電子キー40以外の電子キーにより解錠することができたとしても、開閉時刻記憶手段32に解錠時刻が記憶されているため、いつ何時施錠荷物2が解錠されたかが分かる。いつ解錠されたかが分かることで、どこで開閉されたかも特定することができるため、施錠荷物2の管理保管責任者である運転手Zの責任を明確にすることができる。
また、A地点からB地点へと移動する際には、トランク2に備えられるGPS36により位置を確認することができる。位置を確認することができることにより、荷物の運搬状況を確認することができる。
また、破壊検知用電線28と通信装置37が接続されているため、破壊検知用電線28が切断され、破壊された時刻が、通信装置37により、本部サーバ7に送信される。破壊された時刻が送信されることにより、運転手Zの管理保管責任を明確にすることができる。
また、通信装置37は破壊された時刻だけではなく、開閉されたときも、本部サーバ7に開閉時刻を送信する。開閉された時刻が送信されることにより、運転手Zの管理保管責任を明確にすることができる。
【0030】
以上詳細に説明したように、本実施形態における施錠荷物輸送システム1によれば、次の効果を有する。
すなわち、錠前3が、第1電子キー4に対して、ランダムデータを付与するランダムデータ発生手段31と、電子キー記憶手段41が記憶しているランダムデータが一致したときのみ、錠前3を開錠する錠前制御手段35とを有すること、ランダムデータを記憶する第1電子キー4を、A地点に設けられた第1通信端末装置11に挿入することにより、配線6や通信回線を介して、ランダムデータをB地点に転送し、B地点に設けられた第2通信端末装置21に挿入された第2電子キー40にランダムデータを書き込む通信制御手段を有することにより、セキュリティ性を向上させることができる。なぜならば、錠前3を施錠・解錠するランダムデータは、本部サーバが付与するのでなく、錠前3が付与するからである。錠前3がランダムデータを付与することにより、本部サーバはランダムデータを集中管理しなくなるため、本部サーバへの不正アクセスにより、偽物の電子キーが製造されることがなくなるためである。
【0031】
また、ランダムデータが、第1電子キー4により錠前3が施錠された時刻に基づいて作成されたものであることにより、時刻を用いた数字の組み合わせでランダムデータを作成することができる。施錠時刻は、0.001秒単位まで測定する。開閉時刻記憶手段32により作成されたランダムデータは、2度と来ない時間を基に作成されている。また、0.001秒までの単位で測定している。そのため、同じランダムデータを作成することは困難である。同じランダムデータを作成することが困難であるため、以前使用した電子キーを用いて、施錠荷物2を解錠することも困難である。同じランダムデータの作成が困難であるためセキュリティ性を向上させることができる。
【0032】
また、施錠荷物2が、施錠荷物2に配線された破壊検知用電線28を有すること、錠前3が、破壊検知用電線28が切断されたときに、切断された日、時刻を記憶する破壊時刻記憶手段35を有することにより、切断された日、時刻が記憶されているため、施錠荷物2を管理しデータ者が特定でき、責任の所在を明確にすることができる。責任の所在が明確になることにより、責任者の施錠荷物2の保管意識の向上を図ることができる。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態における施錠荷物である施錠荷物50を図17に示す。図18に、図17の施錠荷物50の点線Lの一部拡大図を示す。第1実施形態において施錠荷物は、トランク形状としたが、施錠荷物はトランク形状に限られず、その他に錠前により施錠が可能で、かつ荷物を入れることができればよい。例えば、図17に示すように施錠荷物50がバッグ形状のものであってもよい。図12に、施錠荷物50を施錠する錠前である電子式南京錠60を示す。
第2実施形態においては、施錠荷物50及び電子式南京錠60以外に第1実施形態と異なるところがないため、その他については、説明を割愛する。
【0034】
図17に示すように、中空円筒形状の本体51は、中空部に通じる開口部511を形成する。開口部511には、ファスナー512が形成されている。ファスナー512の一端には、デジタル電子式南京錠60が取り付けられる南京錠穴514Aが形成された南京錠取付部514が形成されている。ファスナー512には、ファスナー512を開閉するためのファスナー手持部515が形成されている。ファスナー手持部515には、南京錠穴515Aが形成されている。図18に示すように、ファスナー512を閉めた状態で、ファスナー手持部515の南京錠穴515A、及び南京錠取付部514の南京錠穴514Aに電子式南京錠60を取付ける。電子式南京錠60が取り付けられることにより、ファスナー512は、施錠状態となる。本第2実施形態においては、錠前を電子式南京錠60としている。
また、ファスナー512を挟んで両側に手持ち部516が形成されている。手持ち部516を起立させ両方を手に持つことで、使用者は施錠荷物50を持つことができる。
【0035】
図17に示すように、施錠荷物50の本体51には、破壊検知用電線528が配線されている。破壊検知用電線528は内部に配線されているが、破壊検知用電線528が理解しやすいように、図17では、点線として表した。
破壊検知用電線528は、施錠荷物50の形状に合わせるように配線されている。さらに、破壊検知用電線528が交差するように配線されている。破壊検知用電線528が交差するように配線されていることにより、本体51の側面の部分が切断等され破られたとしても、破壊検知用電線528が切断され、破壊されたことを認識することができる。破壊されたことは、施錠荷物50に備えられた第1実施形態と同様の破壊認識装置により認識する。
【0036】
第1実施形態においては、面付錠である錠前を用いたが、第2実施形態においては錠前を電子式南京錠60としている。電子式南京錠60の構成は、以下のとおりである。
図15に、電子式南京錠60、及び電子キー4の外観図を示す。また、図16に、電子式南京錠60の底面図を示す。電子式南京錠60は、U字形状で一端部が錠本体611に対して着脱自在なジョイントシャフト612を有している。電子キー4は、LED4a、一対の接触端子4bを備えている。図15に示すように、電子式南京錠60の上面には、表示手段(表示器)608が付設されている。表示手段608での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
【0037】
図12、図13、図14に、電子式南京錠60の構成を断面図で示す。図12は、短シャフト612bが錠本体611に挿入され、ロックされている状態(施錠状態)を示し、図13は、短シャフト612bが錠本体611から離脱した状態(開錠状態)を示している。また、図14は、短シャフトが錠本体611に挿入されているが、未だロックされていない状態を示す。
金属製であり、内部に中空部611dを有する錠本体611の上面には、ジョイントシャフト612の短シャフト612bが着脱自在に挿入される短シャフト穴611aと、長シャフト612aが挿入される長シャフト穴611bが形成されている。また、短シャフト穴611aと長シャフト穴611bを連通する横穴611cが形成されている。横穴611cには、平板状のロッキングカム616を挟んで一対のロック球614、615が取り付けられている。横穴の入口には、ロック球614,615が抜け出ないようにするための凸部(図示しない)が形成されている。
ロッキングカム616の中心には、回転軸618の先端部が固定されている。回転軸618の先端面は、樹脂製の押え板617により回転自在に保持されている。
【0038】
錠本体611の中空部611dには、樹脂製のケース613が装着されている。樹脂製のケース613を用いているのは、輸送用の電子式南京錠610は、屋外で使用されることがあるため、防水仕様とするためである。
ケース613の上面には、凸部613cが形成されており、凸部613cに形成された保持穴613dに、回転軸618が回転可能に保持されている。ケース613には、保持穴613dに連続して少し径の大きい保持穴613eが形成されており、保持穴613eも回転軸618を回転可能に保持している。
また、ケース613には、2個の乾電池632を収納するための電池収納穴613aが形成されている。また、長シャフト612aを摺動自在に保持するためのガイド穴613bが形成されている。ガイド穴613bには、長シャフト612aが摺動可能に装着されている。長シャフトには、抜け止め部材612fが固設されている。抜け止め部材612fは、ケース613のガイド穴613hによりガイドされ、長シャフト612aが錠本体611から離脱しないための抜け止めとして機能している。
【0039】
また、ケース613には、長シャフト612aを検出するための摺動ノッチ624を摺動可能に保持するノッチ摺動穴613fが形成されている。ノッチ摺動穴613fには、付勢バネ625が付設されており、付勢バネ625は、摺動ノッチ624を長シャフト612aに当接する方向に付勢している。
ケース613の中央部には、中空部613gが形成されており、回転軸を回転させるためのモータ621、モータ621の回転軸に固設されたモータギア620、回転軸618に固設され、モータギア620と係合している回転軸ギア619、回転軸618の下端部に固設され、検出ノッチ622aが形成された検出板622、検出ノッチ622aを検出するためのリミットスイッチである施錠位置検出スイッチ623、摺動ノッチ624により長シャフトの位置を確認するためのリミットスイッチである長シャフト確認スイッチ626、及び電子キー4が装着され、電子キー4の接点と接触するための電子キー装着部628が収納されている。
なお、モータ621、施錠位置検出スイッチ623、長シャフト確認スイッチ626等の配線、及び制御手段640は、図が複雑になるため、図示を省略している。
錠本体611の中空部611dの開口611eは、本体蓋627により閉じられている。図16に示すように、本体蓋627には、電子キー4の挿入口629、電池挿入蓋630、ミニUSB端子635が形成されている。
ミニUSB端子635は、図示しない配送センターの制御手段と電子式南京錠60を接続するための端子である。電子式南京錠60の記憶している履歴は、定期的に、配送センターの制御手段に吸い上げられる。
【0040】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、A地点からB地点へ施錠荷物を輸送するものとしているが、B地点からA地点に施錠荷物を輸送する場合にも使用することができる。
例えば、本実施例では、施錠荷物2を輸送することとしたが、施錠荷物2の大きさは問わない。そのため、トラックにつむ1つのコンテナであっても施錠荷物とすることができる。また、段ボールを施錠荷物とすることもできる。そのほか、ものを収納することができるもので、かつ錠前を取付け施錠できるものであれば、施錠荷物とすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 施錠荷物輸送システム
2 施錠荷物
11 第1通信端末装置
21 第2通信端末装置
3 錠前
30 施錠荷物制御部
31 ランダムデータ発生手段
32 開閉時刻記憶手段
33 時刻測定手段
34 破壊検知手段
35 錠前制御手段
4 第1電子キー
40 第2電子キー
5 電池


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キー記憶手段を備える電子キーにより開錠または施錠される錠前を有する施錠荷物をA地点からB地点に輸送する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記錠前が、前記電子キーに対して、ランダムデータを付与するランダムデータ発生手段と、前記電子キー記憶手段が記憶している前記ランダムデータが一致したときのみ、前記錠前を開錠する錠前制御手段とを有すること、
前記ランダムデータを記憶する前記電子キーを、前記A地点に設けられた第1通信端末装置に挿入することにより、通信回線を介して、前記ランダムデータを前記B地点に転送し、前記B地点に設けられた第2通信端末装置に挿入された第2電子キーに前記ランダムデータを書き込む通信制御手段を有すること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項2】
請求項1に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記ランダムデータが、前記電子キーにより前記錠前が施錠された時刻に基づいて作成されたものであること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項3】
請求項1に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記施錠荷物が、施錠荷物本体に配線された破壊検知用電線を有すること、
前記錠前が、前記破壊検知用電線が切断されたときに、切断された日、時刻を記憶する破壊時刻記憶手段を有すること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項4】
請求項1に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記錠前が面付錠であること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項5】
請求項1に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記錠前が電子式南京錠であること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項6】
請求項3に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記錠前が通信装置を有すること、
前記破壊検知用電線が切断されたとき、切断された日、時刻が通信装置により送信されること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項7】
請求項3に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記錠前がGPSを有すること、
前記破壊検知用電線が切断されたとき、前記GPSにより切断された場所が特定できること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。
【請求項8】
請求項5に記載する施錠荷物輸送システムにおいて、
前記電子式南京錠が、着脱自在なジョイントシャフトと、前記ジョイントシャフトをロックするロック手段と、
電池と、
前記ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、を有すること、
を特徴とする施錠荷物輸送システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−1980(P2012−1980A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138416(P2010−138416)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】