有機化合物の組成物、光学フィルムおよびその製造方法
組成物は、少なくとも1つの第1のタイプの一般式Iの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの一般構造式IIの有機化合物を含み、式I中のCoreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、Gkは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供する1セットのイオン形成性側基であり、棒状マクロ分子に剛性を与え;式II中のSysはπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能な少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり、X、Y、ZおよびQは置換基である。組成物は、可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成することができるリオトロピック液晶溶液を形成可能である。前記光学リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される。組成物から形成された固体リタデーション層を含む光学フィルム、光学フィルムを製造する方法、および前記リタデーション層を使用する垂直配向液晶ディスプレイも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に有機化学の分野に関し、特に液晶ディスプレイのための二軸特性を持つ光学リタデーションフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)技術は、近年かなり進歩した。市場に出ているLCDパネルに基づく多くのテレビセット、モニターおよび公共のディスプレイがある。LCDの市場は近い将来増大し続けることが期待される。
【0003】
急速に成長し変化する市場は、研究者および製造業者に対して新しい課題を設定する。LCDの対角サイズの増大(既に100インチサイズを越えている)は、光学部品の質により厳しい制限を課す。リタデーションフィルムの事例において、色ずれが非常に小さいこと、および広視野角での高コントラスト比を提供する能力は、高品質の大型ディスプレイのために必要とされる。
【0004】
今日、液晶ディスプレイの質に影響を与えるLCD技術にはいくつかの欠点がまだ存在し、大型のディスプレイにおいてはプラズマディスプレーパネル(PDP)および中型のディスプレイにおいては陰極線管(CRT)のような競合的な技術がまだ利用可能である。欠点の1つは斜め視野角でのコントラスト比の減少である。従来のLCDにおいて、視野角の性能は偏光板の性能に強く依存する。典型的なLCDは、90°で直交する2つの二色性偏光板を含む。しかしながら、斜め角度では軸の射影間の角度は90°から外れ、偏光板は直交しないようになる。軸から外れた斜め角度の増加につれて光漏れが増加する。これは直交偏光板の二等分線に沿って広視野角で低コントラスト比をもたらす。さらに一般的には、光漏れは直交偏光板間に置かれた液晶セルのためにより悪くなる。
【0005】
LCDにおいて軸から外れた場合のコントラスト低下の問題は、位相リタデーションフィルム(光学的異方性材料を意味する)をうまく使用して解決することができる。特に、3つの異なる主屈折率を有する二軸性リタデーションフィルムは、LCDの光学的補償のために使用することができる。一軸性リタデーションフィルムとは対照的に、一般的には二軸性リタデーションフィルムは補償シートの最小数を使用して、最も優れた補償効果を提供することを可能にする。
【0006】
広視野角でのLCDコントラストの改善のために使用される位相リタデーション光学フィルムは、当技術分野において公知である。大部分の従来の位相リタデーションフィルムはポリカーボネート、ポリエステル、ポリノルボルネンなどなどのポリマーの延伸によって製造される。ポリマーフィルムに用いられる応力のタイプに依存して、様々なタイプの一軸性リタデーションフィルムまたは二軸性リタデーションフィルムを得ることが可能である。しかしながら、その性能の改善は延伸生成プロセスの限界のために困難である。
【0007】
非晶性ポリマーフィルムの延伸に加えて、他のポリマー配向技術は当技術分野において公知である。サーモトロピック液晶ポリマー(LCP)は、様々なタイプの複屈折によって特徴づけられる高異方性フィルムを提供することができる。かかるフィルムの製造は基板上にポリマー溶融物またはポリマー溶液をコーティングすることを含み、後者の事例についてはコーティング後に溶媒蒸発が行われる。延伸された基板上への配向層またはコーティングを使用する電場の適用などの追加の配向作用が含まれる。コーティングの後処理は、ポリマーが液晶相を示す温度で、およびポリマー分子が方向を合わせるのに十分な時間で行われる。一軸性光学フィルムおよび二軸性光学フィルム製造の例は、米国特許第5,132,147号、ならびに他の特許文献および科学出版物中で見出すことができる。
【0008】
光学フィルムは、クロモニックスとしても公知であるような柱状超分子を形成可能である低分子化合物に基づいたリオトロピック液晶(LLC)溶液のコーティングによっても製造することができる。フィルム蒸着条件の変更を介してクロモニックベースのフィルムを製作する新規方法を開発することを目標とした広範囲な研究は、米国特許第5,739,296号、ならびに他の特許文献および科学出版物中で記載されている。特に関心がもたれるのは、修飾剤、安定化剤、界面活性剤および/または公知の組成物中の他の添加剤(それらはフィルムの特質を改善する)を利用するリオトロピック液晶の新規組成物の開発である。最近の研究は、P. Yeh、Optical Waves in Layered Media、ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社(1998)、およびP. Yeh, and C. Gu、Optics of Liquid Crystal Displays、ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、(1999)中で記載されたものなどの(しかしこれらに限定されない)、LCDおよび遠隔通信への適用のための異方性フィルム、偏光板およびリターダーの生成において使用される材料に向けられている。
【0009】
公知の方法および技術を使用して、有機色素LLCシステムに基づく極めて薄い光学的異方性複屈折性フィルムを製造できることが示された。特に、ナフタレンテトラカルボン酸のジベンズイミダゾールのジスルホン酸に基づく薄い結晶性光学的異方性フィルムの生成は、P. Lazarev and M. Paukshto(Proceedings of 7th IDW、(2000)、ページ1159−1160中で)によって記載されている。上記のフィルムにおいて、分子はフィルムコーティング方向と平行なそれらの最小分極率軸でパックされる。この構造は、一軸性−Aプレートリタデーションフィルムタイプまたは二軸性BAプレートリタデーションフィルムタイプを製造することを許容する。
【0010】
水溶性の剛体棒ポリマーは、水性溶液中で自己集合した構造を示すことも公知である。かかるポリマーは、生物中で行われるいくつかの機構を示すことができるモデル物体として使用され、デオキシリボ核酸(DNA)、タンパク質、ポリサッカライドなどの天然の剛体棒ポリマーを意味し、自発的自己集合(生体機能を引き起こす基本である)によって良く配列された構造を形成する高い能力を有する。天然の剛体棒多価電解質は変性なしで抽出することが困難なので、水性溶液中の多価電解質凝集のいくつかの態様を調べるために合成アナログを研究することができる。例えば、水溶性のポリ(2,2’−ジスルホニルベンジジンテレフタルアミドの自己集合特性は、W.Yang et al.(Macromolecules, 41 (5), 1791-1799, 2008)によって調べられた。著者らは、異なる濃度領域におけるPBDTナトリウム塩を調べた。3重量%を越える濃度では、PBDT分子が液晶状態を形成することができることが示された。電解質効果の研究から、塩(NaCl)の追加がPBDT溶液中の会合プロセスを促進することも示された。
【0011】
水性溶液中の合成多価電解質の剪断に誘導される中間相構造は、Langmuir, 2004, val. 20, 6518-6520中でT. Funaki et al.によって記載された。ポリ(2,2’−ジスルホニルベンジジンテレフタルアミドは、先行技術中で公知の手順に従う界面重縮合反応によって調製された。偏光顕微鏡を使用して、著者らは、2.8〜5.0重量%の濃度範囲の水性溶液中のリオトロピックネマチック相を観察した。広角X線回折研究から、ネマチック状態において、PBDT分子は濃度(2.8〜5.0重量%)に関係なく一定の0.30〜0.34nmの鎖間間隔(d)を示すことが指摘された。d値は通常のネマチックポリマーよりも小さく(0.41〜0.45nm)、ネマチック状態におけるPBDT棒がネマチック状態において強い鎖間相互作用を有しており、スルホン酸アニオンの静電反発力にもかかわらず束様構造を形成することを示唆する。2乃至2.8重量%の濃度範囲において、剪断に誘導された複屈折性(SIB)中間相が観察された。
【0012】
多数の剛体棒水溶性ポリマーは、Journal of Applied Polymer Science, Vol. 62, pp. 393-408 (1996)中でN. Sarkar and D. Kershnerによって記載された。著者らは、石油回収の促進などの異なる適用のためにこれらのポリマーを提案する。これらの適用のためには、非常に低濃度で高粘度を保持することができる水溶性の剪断安定性ポリマーを有することが必須である。加水分解したポリアクリルアミドなどの従来使用される屈曲性鎖状ポリマーと比較して、剛体棒ポリマーが低分子量で高粘度になりえることが公知である。新規のスルホン化された水溶性芳香族ポリアミド、ポリ尿素およびポリイミドは、芳香族ジアンヒドリド、二酸塩化物またはホスゲンとスルホン化芳香族ジアミンの界面重合法または溶液重合を介して調製された。これらのポリマーのいくつかは十分に高い分子量(GPCデータに従えば<200,000)、および非常に高い固有粘度(〜65dL/g)を有し、塩溶液中でらせんコイルへと転換するようであった。これらのポリマーは、水性溶液の濃厚化、粒子状材料の凝集および分散の安定化、ならびにキャストフィルムを利用する膜分離などの適用において評価されてきた。
【0013】
水溶性ポリアミドの合成および溶液の特性は、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 27, pp. 3745-3757 (1989)中でE. J. Vandenberg, W. R. Diveley, et al.によって記載される。ポリ[N,N’−(スルホ−フェニレン)フタルアミド]およびポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)ピロメリットイミド]は水溶性形態で調製され、それらの溶液は特有の特性であり、いくつかの点でキサンタンに類似すると実証されることがわかった。最も調べられたポリマー(ポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)テレフタルアミド])は、LiClを含有するDMAC中の塩化テレフタロイルとの2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸の溶液重合によって、ジメチルアセトアミド(DMAC)塩として製造された。単離したポリマーは、水中で溶解されるために加熱を必要とし、もたらされる溶液は0.4%ほどの低濃度で、粘稠溶液またはゲルである。それらは高度に複屈折性で、円偏光二色性特性を示し、塩の含有量に対して粘度感受性である。グアーまたはヒドロキシエチルセルロースの溶液と混合したこのポリマーの溶液は、有意に促進された粘度を生ずる。粘度データから推定されるように、ポリマーは比較的低い分子量(約5000)を有する。PPT−Sのいくつかのメタ異性体アナログおよびパラ異性体アナログが調製され、これらのポリマーはそれらが水中でより可溶性である以外は類似する特性を有し、有意な粘度を得るためにより高い濃度が必要とされる。ポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)ピロメリットイミド]は、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸およびピロメリット酸二無水物から同様に調製された。その水性溶液の特性はPPT−Sの水性溶液に類似する。これらの比較的低分子量の剛体鎖状ポリマーが水中で会合し低濃度で粘稠溶液をもたらすネットワークを形成するようである。
【0014】
スルホン化ポリ−パラフェニレンテレフタルアミドの自己集合特性は、Proc. Symp. on Functional Polymer Materials, 2004中のE. Mendes, S. Viale, and S.J. Pickenによって、主鎖に対するスルホン酸基の数および相対的位置の関数として見なされた。反復単位がただ1つのスルホン酸基を含有する場合、水性溶液の構造は、ゲル(ポリ(スルホ−パラフェニレンテレフタルアミド)の事例において)から超分子ネマチック液晶(ポリ(パラフェニレンスルホテレフタルアミド)の事例において)へ変動することを著者らは報告する。したがって、スルホン酸基の位置は溶液の構造に大きく影響する。2つのスルホン酸基が反復単位中に存在する場合(ポリ(スルホ−パラフェニレンスルホテレフタルアミド)の事例において)、分子多価電解質リオトロピック液晶が形成される。
【0015】
本発明は、液晶ディスプレイまたは他の適用のための光学フィルムの上述の欠点に解決法を提供し、新規のタイプの光学フィルム、特に二軸性リタデーション層を開示する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;上記化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体リタデーション層を形成可能である、組成物を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、前面および裏面を有する基板ならびに基板の前面上に少なくとも1つの固体リタデーション層を含む光学フィルムであって、固体リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能である、光学フィルムを提供する。固体光学リタデーション層は、可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である。
【0018】
なおさらなる態様において、本発明は、光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミドであり、置換基Qはスルホンアミドであり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能である、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と;
b)液体層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である基板上へ溶液の液体層を適用する工程と;
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と;
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と
を含む方法を提供する。
【0019】
なおさらなる態様において、本発明は、垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置される2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに対して垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
、(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイを提供する
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩(濃度は約5.6重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図2】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図3】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(濃度は約10重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図4】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(10%溶液)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図5】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸リチウム塩(濃度は約15重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図6】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸リチウム塩(15%溶液)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図7】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(全濃度は約8重量%である)の組成物のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図8】マイヤーロッドコーティング法により製造され、ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミドセシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩の組成物を含む固体光学リタデーション層を含む光学フィルムの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図9】スロットダイコーティング法により製造され、ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミドセシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩の組成物を含む固体光学リタデーション層を含む光学フィルムの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図10】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図11】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図12】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図13】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図14】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図15】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図16】のポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図17a】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17b】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17c】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17d】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図18】リタデーション層のNZファクターの達成可能な値vs組成物中の第1のタイプの成分および第2のタイプの成分の比を示した図である。
【図19】粘着層および保護層をさらに含む、基板上で形成された光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図20】追加の反射防止層を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図21】追加の反射層を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図22】基板として拡散反射体または鏡面反射体を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図23】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの一般的スキームを図式的に示した図である。
【図24a】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図24b】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図25a】非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図25b】非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図26】本発明に記載の二軸性ACタイプのプレートおよび一軸性の負のC−プレートにより補償された、シミュレートしたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の光学層を示した図である。
【図27a】コントラスト比vs至適二重プレートで補償されたMVA LCDの視野角を示した図である。
【図27b】コントラスト比vs至適二重プレートで補償されたMVA LCDの視野角を示した図である。
【図28】マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)における、コントラスト比vs補償なしの視野角(曲線1)、コントラスト比vs単一プレート補償(曲線2)、およびコントラスト比vs二重プレート補償(曲線3)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の概要が記述されて、具体的な好ましい実施形態への参照によってさらなる理解が得られるが、それは例証の目的のためだけに本明細書において与えられ、添付された請求項の範囲を限定するようには意図されない。
【0022】
本発明の記載および請求項中で使用される様々な用語の定義は、以下にリストされる。
【0023】
用語「可視スペクトル範囲」は、低部境界がおよそ400nmに等しく、上部境界がおよそ700nmに等しいスペクトル範囲を指す。
【0024】
用語「リタデーション層」は、3つの主屈折率(nx、nyおよびnz)によって特徴づけられ、屈折率nxおよびnyについての2つの主方向が、リタデーション層の面と一致するxy面に属し、屈折率(nz)についての1つの主方向はリタデーション層に法線と一致する光学的異方性層を指す。
【0025】
用語「光学的異方性二軸性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nx≠nz≠nyの条件に従う光学層を指す。
【0026】
用語「ACタイプの光学的異方性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nz<ny<nxの条件に従う光学層を指す。
【0027】
用語「BAタイプの光学的異方性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nx<nz<nyの条件に従う光学層を指す。
【0028】
用語「NZファクター」は、以下のように計算される二軸性の程度の定量的測定を指す:
上述の言及された定義は、すべてのタイプの異方性層について垂直なZ軸のまわりの座標系(実験室枠の)の回転に対して不変である。
【0029】
本明細書において使用される時、「前基板表面」は、観察者に向かう表面を指す。「後基板表面」は、前面の反対の表面を指す。
【0030】
用語「板状超分子」は、L≫S≧Hの比を満たす縦方向サイズ(L)および横断面サイズ(幅Sおよび高さH)の超分子を指す。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態において、少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の数側基であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;上記化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、組成物が提供される。
【0032】
開示された組成物の1つの実施形態において、固体リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される。開示された組成物の別の実施形態において、数kは、0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、コンジュゲートされた有機単位が同じである、ポリマーの剛体主鎖を有する。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、コポリマーの剛体主鎖を有する。開示された組成物の1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された組成物の別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーもS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された組成物のさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。
【0033】
一般構造式の(III)および(IV)によって表わされる第1のタイプの有機化合物のコンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4の例を表1中に示す。
表1。本発明に記載のCore1、Core2、Core3およびCore4の構造式の例。
【0034】
【0035】
イオン形成性側基Gは同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0036】
さらに別の実施形態において、第1のタイプの一般構造式(I)の有機化合物は表2中で与えられる構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは1または2に等しい。
表2。本発明に記載の第1のタイプの有機化合物の構造式の例。
【0037】
【0038】
【0039】
開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0040】
開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。
【0041】
開示された組成物の1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0042】
第2のタイプの有機化合物の部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
表3。部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysの例
【0043】
【0044】
他の実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は、表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは表3の構造14および21乃至27から選択され、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwは0に等しい。
表4。本発明に記載の第2のタイプの有機化合物の構造式の例。
【0045】
【0046】
【0047】
別の実施形態において、開示された組成物は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、前面および裏面を有する基板ならびに基板の前面上に少なくとも1つの固体リタデーション層を含む光学フィルムであって、固体リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、光学フィルムを提供する。
【0049】
開示された光学フィルムの1つの実施形態において、前記光学リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される。開示された光学フィルムの別の実施形態において、数kは、0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された光学フィルムの別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。
【0050】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中に示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0051】
開示された光学フィルムの1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0052】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式[I]の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0053】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1-C20)アルキル、および(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0054】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0055】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、一般構造式(II)によって表わされる第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0056】
別の実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、光学フィルムは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0058】
開示された光学フィルムの別の実施形態において、固体リタデーション層は、一般的には、基板前面の面で2つの互いに垂直な方向に対応する2つの屈折率(nxおよびny)および基板前面に対する法線方向での1つの屈折率(nz)を保持する二軸性リタデーション層であり、屈折率はnx≠nz≠nyの条件に従う。
【0059】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、固体リタデーション層は、リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の組成物のモル比の制御を介してあらかじめ決定されるリタデーション層である。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、前記リタデーション層の屈折率はnz<ny<nxの条件に従う。開示された光学フィルムの別の実施形態において、前記リタデーション層の屈折率はnx<nz<nyの条件に従う。
【0060】
別の好ましい実施形態において、基板は可視スペクトル範囲における電磁放射に対して透明である。基板は、ポリマー、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)またはTAC(三酢酸セルロース)を含むことができる。開示された光学フィルムの代替の実施形態において、基板はガラスを含む。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、基板の透過率はUVスペクトル範囲における任意の波長で2%を越えない。光学フィルムの別の実施形態において、可視スペクトル範囲における基板の透過率は、少なくとも90%である。
【0061】
開示された発明の1つの実施形態において、光学フィルムは粘着性透明層上の形成される保護コーティングをさらに含む。
【0062】
光学フィルムの1つの実施形態において、基板は鏡面反射体または拡散反射体である。光学フィルムの別の実施形態において、基板は反射偏光板である。さらに別の実施形態において、光学フィルムは基板の前面上へ沈着された平坦化層をさらに含む。本発明のさらに別の実施形態において、光学フィルムは、有機層の上に置かれる追加の透明な粘着層をさらに含む。本発明の別の可能な実施形態において、光学フィルムは光学フィルムの上に置かれる追加の透明な粘着層をさらに含む。開示された発明の1つの実施形態において、光学フィルムは粘着性透明層上に形成された保護コーティングをさらに含む。粘着層を含む開示された光学フィルムの1つの実施形態において、粘着層の透過率はUVスペクトル範囲における任意の波長で2%を越えない。開示された光学フィルムの別の実施形態において、可視スペクトル範囲における粘着層の透過率は少なくとも90%である。
【0063】
なおさらなる態様において、本発明は、光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミドであり、置換基Qはスルホンアミドであり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能である、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と;
b)液体層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である基板上へ溶液の液体層を適用する工程と;
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と;
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と
を含む方法を提供する。
【0064】
開示された方法の1つの実施形態において、外部配向は剪断力により適用され、溶液の粘度は剪断速度の増加により約200mPa・s以下(below)に減少する。開示された方法の別の実施形態において、外部配向工程は、基板に対する液体層の適用の工程と同時に行われる。
【0065】
開示された方法の1つの実施形態において、数kは0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された方法の別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された方法の1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された方法の別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された方法のさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4はリスト−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−から独立して選択され、nは10乃至10000への範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中に示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0066】
開示された方法の1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0067】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式(I)の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択されイオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0068】
開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0069】
開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−および>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された方法の1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0070】
別の実施形態において、第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0071】
開示された方法のなおさらなる実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は、表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0072】
開示された方法の1つの実施形態において、溶媒は、水、アルカリおよび酸またはそのいずれか組み合わせを含むリストから選択される。開示された方法の別の実施形態において、有機溶媒は、ケトン、カルボン酸、炭化水素、環式炭化水素、クロロ炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択される。開示された方法の好ましい実施形態において、有機溶媒は、アセトン、キシレン、トルエン、エタノール、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、オクタン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエテン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、トリエチルアミン、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメスルスルホキシド(dimethulsulfoxide)、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択される。
【0073】
開示された方法の1つの実施形態において、塩はアルカリ金属塩およびアンモニウム塩を含むリストから選択される。開示された方法において、リオトロピック液晶は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含むことができる。
【0074】
開示された方法の別の実施形態において、基板はポリマーおよびガラスを含むリストから選択された材料から作製される。本発明において、開示された方法は、H+、Ba2+、Pb2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、La3+、Zn2+、Zr4+、Ce3+、Y3+、Yb3+、Gd3+およびその任意の組み合わせを含むリストから選択されたカチオンを含む水溶性無機塩類の溶液による後処理を含む後処理工程をさらに含むことができる。
【0075】
開示された方法の1つの実施形態において、基板工程に対する液体層の適用および後処理工程は、同時に実行される。開示された方法の別の実施形態において、乾燥工程および後処理工程は同時に実行される。開示された方法のさらに別の実施形態において、後処理工程は乾燥後に実行される。
【0076】
開示された方法の別の実施形態において、沈着された液体層上での配向作用は、マイヤーロッド、スロットダイ、押出、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、モールディングを含むリストから選択された装置の使用により行われる。開示された方法の1つの実施形態において、沈着された層上での外部配向作用は、少なくとも1つの配向ツールの層に対する機械変換の使用により行われ、基板表面から配向ツールの縁部または面への距離は所望されるフィルム厚を得るように設定される。この方法において、配向ツールは加熱することができる。
【0077】
開示された方法の別の実施形態において、乾燥工程は、気流中でおよび/または高温で実施される。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態において、開示された方法は基板上への適用の前に行われる前処理工程をさらに含む。前処理工程は基板の表面を親水性にする工程を含むことができる。この方法の別の実施形態において、前処理は平坦化層の適用をさらに含む。開示された方法のさらに別の実施形態において、技術的工程の配列は2回以上反復され、各々の続いて行われる固体リタデーション層の製作において使用される溶液は、以前のサイクルにおいて使用されるものと同じであるかまたは異なる。
【0079】
なおさらなる態様において、本発明は、垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置された2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に対する剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイを提供する。
【0080】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、数kは0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2はリストの−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−から独立して選択される)を有する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中で示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1または2または3に等しい。
【0081】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0082】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式[I]の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0083】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0084】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0085】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、一般構造式(II)によって表わされる第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0086】
別の可能性のある実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、液晶ディスプレイは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0088】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、補償構造は、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns>nf>nnの条件に従う、単一リタデーション層を含む。
【0089】
開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、少なくとも1つの補償構造は液晶セルと前記偏光板の1つのとの間に位置する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの補償構造は液晶セルの内部に位置する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも2つの補償構造が液晶セルの各々の側に位置する。
【0090】
本発明の1つの実施形態において、液晶ディスプレイは、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns=nf>nnの条件に従う、追加のリタデーション層をさらに含む。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、2つの偏光板の少なくとも1つは少なくとも1つのリタデーションTAC層を含む。
【0091】
本発明をより容易に理解するために以下の実施例が参照され、それらは本発明の例示として意図されるが、範囲を限定するようには意図されない。
【実施例】
【0092】
実施例1
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩(表2中の構造3)の合成を記載する。
【0093】
1.377g(0.004mol)の4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を1.2g(0.008mol)の水酸化セシウムおよび40mlの水と混合し、溶解するまで分散スターラーで撹拌した。0.672g(0.008mol)の炭酸水素ナトリウムを溶液に加え撹拌した。得られた溶液を高速(2500rpm)で撹拌しながら、無水トルエン(15mL)中の0.812g(0.004mol)のテレフタロイルジクロリドの溶液を5分以内に徐々に加えた。撹拌をさらに5分間継続し、粘稠な白色エマルジョンを形成させた。次いでエマルジョンを40mlの水で希釈し、撹拌速度を100rpmに減少させた。反応塊をホモジナイズした後、250mlのアセトンを加えることでポリマーを沈殿させた。
【0094】
サンプルのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)解析はダイオードアレー検出器(λ=230nm)を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)社1050クロマトグラフにより行い、バリアン(Varian)社GPCソフトウェアのシラス(Cirrus)3.2およびトーソー・バイオサイエンス(TOSOH Bioscience)社TSKgel G5000 PWXLカラムならびに移動相としての0.2Mリン酸緩衝液(pH=7)を使用した。ポリ(パラ−スチレンスルホン酸)ナトリウム塩をGPCスタンダードとして使用した。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwおよび多分散性Pは、それぞれ3.9×105および1.7×106および4.4であった。
【0095】
実施例2
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造4)の合成を記載する。
【0096】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで13.77gの4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0097】
実施例3
この実施例は、ポリ(パラ−フェニレンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造5)の合成を記載する。
【0098】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで4.35gの1,4−フェニレンジアミン(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0099】
実施例4
この実施例は、ポリ(2−スルホ−1,4−フェニレンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造6)の合成を記載する。
【0100】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで7.52gの2−スルホ−1,4−フェニレンジアミン(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0101】
実施例5
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンナフタレン−2,6−ジカルボキサミド)セシウム塩(表2中の構造7)の合成を記載する。
【0102】
0.344g(0.001mol)の4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を0.3g(0.002mol)の水酸化セシウムおよび10mlの水と混合し、溶解するまで分散スターラーで撹拌した。0.168g(0.002mol)の炭酸水素ナトリウムを溶液に加え撹拌した。得られた溶液を高速(2500rpm)で撹拌しながら、無水トルエン(4mL)中の0.203g(0.001mol)のテレフタロイルジクロリドの溶液を5分以内に徐々に加えた。撹拌をさらに5分間継続し、粘稠な白色エマルジョンを形成させた。次いでエマルジョンを10mlの水で希釈し、撹拌速度を100rpmに減少させた。反応塊をホモジナイズした後、60mlのアセトンを加えることでポリマーを沈殿させた。線維状の沈殿物を濾過し乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0103】
実施例6
この実施例は、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の合成を記載する。
【0104】
1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クアテルフェニル(10g)を0%〜20%オレウム(100ml)へとチャージした。反応塊を50℃まで加熱して5時間撹拌した。その後反応混合物を水(170ml)で希釈した。最終硫酸濃度は約55%となった。沈殿を濾過し、氷酢酸(〜200ml)でリンスした。濾滓を110℃でオーブン中で乾燥した。
【0105】
サンプルのHPLC解析はダイオードアレー検出器(λ=310nm)を備えたヒューレット・パッカード社1050クロマトグラフにより行い、Reprosil(商標)ゴールドC8カラムおよびアセトニトリル/0.4M酢酸アンモニウム(酢酸によりpH=3.5)水性溶液による直線勾配溶出法を使用した。
【0106】
実施例7
この実施例は、ポリ(ジスルホビフェニレン−1,2−エチレン−2,2’−ジスルホビフェニレン)(表2中の構造8)の合成を記載する。
【0107】
臭化銅(I)(0.3g)を水(30mL)中の鉄粉末(1.2g)の懸濁物に加えた。次いで懸濁物を室温で20分間撹拌し、もたらされた混合物を90℃まで加熱した。4−ブロモベンジルブロミド(10g)を反応混合物に小分けで加え、混合物を90℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、固体を濾過により除き湯で洗浄した。濾滓を沸騰メタノール中で溶解した。熱溶液を濾過し、室温まで冷却した。沈殿を濾過し、風乾した。収量2.5g。
【0108】
5.4mlのヘキサン中の2.5Mのブチルリチウム溶液を、−78℃のアルゴン下で、100mlの無水テトラヒドロフラン中の3gの4,4’−ジブロモビベンジルの撹拌溶液に1滴づつ加えた。混合物をこの温度で6時間撹拌し、白色懸濁物を得た。6mlのトリイソプロピルボラートを加え、混合物を一晩撹拌し、温度が室温に上昇するまで放置した。30mlの水を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。有機溶媒はロータベーパー(rotavapor)(35℃、40mbar)で除去し、次いで110mlの水を加え、混合物は濃HClで酸性にした。生成物をジエチルエーテル(7×30ml)の中に抽出し、有機層を硫酸マグネシウムの上で乾燥し、溶媒をロータベーパーで除去した。残渣を11mlのアセトン中で溶解し、13mlの水および7mlの濃塩酸の混合物の中に再び沈殿させた。ビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルの収量は2.4gである。
【0109】
100gの4,4’−ジアミノ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸、23.2gの水酸化ナトリウムおよび3.5Lの水を混合し、0〜5℃まで冷却した。300mlの水中の41gの亜硝酸ナトリウムの溶液を加え、5分間撹拌し、次いで100mlの6M塩酸を溶液に加えた。300mlの水中の71.4gの臭化カリウムの予冷却溶液を2mlの小分けのもたらされた暗黄色溶液に加えた。臭化カリウムを加えた後、室温まで溶液を暖めた。次いで反応混合物を加熱し、90℃で16時間維持した。300mlの水中の70gの水酸化ナトリウムの溶液を加え、溶液を400mlの全体積まで蒸発させ、2.5Lのメタノールで希釈して無機塩を沈殿させ、濾過した。メタノールを20〜30mlまで蒸発させ、3Lのイソプロパノールを加えた。沈殿をフィルター上でメタノールで洗浄し、メタノールから再結晶させた。4,4’−ジブロモ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸の収量は10.7gであった。
【0110】
重合は窒素下で実行した。2.7gの4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸および2.0gのビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルを、2.8gの炭酸水素ナトリウム、28.5mlのテトラヒドロフランおよび17mlの水の混合物中で溶解した。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を加えた(ビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルと比較して5×10-3モル当量)。もたらされた懸濁物を20時間撹拌した。次いで0.04gのブロモベンゼンを加えた。追加の2時間後に、それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄し、乾燥し、トルエン中で溶解した。濾過溶液を濃縮し、ポリマーを5倍の過剰量のエタノール中で沈殿させ、乾燥した。ポリマーの収量は2.7gであった。
【0111】
8.8gの95%硫酸を110℃まで加熱し、2.7gのポリマーを加えた。温度を140℃まで上昇させ、4時間維持した。100℃まで冷却した後、8mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は〜2gであった。
【0112】
実施例8
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−ジオキシテレフタロイル)(表2中の構造9)の合成を記載する。
【0113】
1.384g(0.004mol)の4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸をと500mlビーカー中で2.61g(0.008mol)の炭酸ナトリウムおよび40mlの水混合し、固体が完全に溶解するまで分散スターラーで撹拌した。ジクロロメタン(50ml)を溶液に加えた。高速(7000rpm)で撹拌しながら、無水ジクロロメタン(15ml)中の0.812g(0.004mol)の塩化テレフタロイルの溶液を加えた。撹拌を30分間継続し、400mlのアセトンを濃厚化した反応塊に加えた。固体ポリマーを撹拌機で破砕し、濾過によって分離した。生成物は80%エタノールにより3回洗浄し、50℃で乾燥した。
【0114】
実施例9
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−2−スルホジオキシテレフタロイル)(表2中の構造10)の合成を記載する。
【0115】
1.384g(0.004mol)の4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を500mlビーカー中で3.26g(0.010mol)の炭酸ナトリウムおよび40mlの水と混合し、固体が完全に溶解するまで分散スターラーで撹拌した。ジクロロメタン(60ml)を溶液に加えた。高速(7000rpm)で撹拌しながら、1.132g(0.004mol)の2−スルホテレフタロイルクロライドを15分以内に加えた。撹拌を3時間継続し、400mlのアセトンを濃厚化した反応塊に加えた。沈殿したポリマーを濾過によって分離し、50℃で乾燥した。
【0116】
実施例10
この実施例は、ポリ(スルホフェニレン−1,2−エチレン−2,2’−ジスルホビフェニレン)(表2中の構造11)の合成を記載する。
【0117】
実施例7において記載されるように4,4’−ジブロモビベンジルを調製した。
【0118】
90mlの無水テトラヒドロフラン中の23.6gの1,4−ジブロモベンゼンの溶液を調製した。10mlの溶液を5.0gのマグネシウムチップに撹拌しながら加え、60mlの無水テトラヒドロフラン中のヨウ素(若干の結晶)および混合物を反応が開始するまで加熱した。ジブロモベンゼン溶液の残りを段階的に加えることによって沸騰状態を維持した。次いで反応混合物を8時間沸騰させ、室温のアルゴン下で一晩放置した。混合物はホースを介してアルゴン圧によって滴下漏斗に移し、−78乃至−70℃(固形二酸化炭素/アセトン浴)で激しく撹拌しながら40mlの無水テトラヒドロフラン中の24mlの硼酸トリメチルの溶液に3時間の間に加えた。混合物を2時間撹拌し、次いでアルゴン下で一晩撹拌しながら室温まで熱くさせる。混合物を20mlのエーテルで希釈し、砕いた氷(200g)および濃H2SO4(6ml)の撹拌混合物に注いだ。有機層および水層の分離を促進するために、20mlのエーテルおよび125mlの水の量を混合物に加え、次いで混合物を濾過した。水層をエーテル(4×40ml)で抽出し、合わせた有機抽出物を50mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上で乾燥し、蒸発乾固した。薄茶色固体を800mlのクロロホルム中で溶解し、清澄化した。
【0119】
クロロホルム溶液をほとんど完全に蒸発させ、残留固体をベンゼンから再結晶させた。白色でわずかに帯黄色の沈殿を濾過により除き、乾燥した。ベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルの収量は0.74gであった。
【0120】
重合は窒素下で実行した。2.7gの4,4’−ジブロモ−2,2’−ビベンジルおよび1.9gのベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルを、2.8gの炭酸水素ナトリウム、28.5mlのテトラヒドロフランおよび17mlの水の混合物に加えた。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を加えた(ベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルと比較して5×10-3モル当量)。もたらされた懸濁物を20時間撹拌した。次いで0.04gのブロモベンゼンを加えた。さらに2時間後に、それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄し、乾燥し、トルエン中で溶解した。濾過溶液を濃縮し、5倍の過剰量のエタノール中でポリマーを沈殿させ、乾燥した。ポリマーの収量は2.5gであった。
【0121】
8.8gの95%硫酸を110℃まで加熱し2.7gのポリマーを加えた。温度を140℃まで上昇させ、4時間維持した。室温まで冷却した後8mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥さした。
【0122】
実施例11
この実施例は、ポリ(2−スルホフェニレン−1,2−エチレン−2’−スルホフェニレン)(表2中の構造12)の合成を記載する。
【0123】
重合は窒素下で実行した。10.2gの2,2’−[エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン)]ビス−1,3,2−ジオキサボリナン、10.5gの1,1’−エタン−1,2−ジイルビス(4−ブロモベンゼン)および1gのテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を窒素下で混合した。50mlの2.4Mの炭酸カリウム溶液および300mlのテトラヒドロフランの混合物を窒素バブリングによって脱気した。得られた溶液を第1の混合物に加えた。その後に反応混合物を〜40℃で72時間撹拌した。それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄して、乾燥した。ポリマーの収量は8.7gであった。
【0124】
8.5gのポリマーを45mlの95%硫酸の中へチャージした。反応塊を〜140℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後に、74mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は8gであった。
【0125】
実施例12
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−2−スルホ−1,4−ジオキシメチルフェニレン)(表2中の構造13)の合成を記載する。
【0126】
190gの4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸および41.5gの水酸化ナトリウムを1300mlの水中で溶解した。1180gの氷を撹拌しながら溶液にチャージした。次いで70.3gの亜硝酸ナトリウム、230mlの硫酸および1180mlの水を反応塊に加え、−2乃至0℃の温度で1時間撹拌した。次いでそれを濾過し、2.4Lの氷水で洗浄した。濾滓を800mlの水中で懸濁し、100℃まで加熱した。次いでおよそ〜600mlの溶液が残存するまで水を蒸留して除いた。110mlの水中の166gの水酸化セシウム水和物を溶液に加えた。次いでそれを6Lのエタノールに加え、もたらされた懸濁物を室温で撹拌し、濾過し、濾滓を600mlのエタノールで洗浄し、真空オーブン中で45℃で乾燥した。4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸の収量は230gであった。
【0127】
30mlの96%硫酸および21gのp−キシレンを混合し、100℃まで加熱し、その温度で15分間維持した。反応塊を室温まで冷却し、50gの水および氷で急冷した。もたらされた懸濁物を−10℃まで冷却し、濾過し、得られた濾滓を冷塩酸(15mlの濃塩酸および10mlの水)で洗浄した。沈殿を圧搾し、塩酸溶液(40mlの濃塩酸および25mlの水)から再結晶させた。白色物質を90℃の真空下で乾燥した。p−キシレンスルホン酸の収量は34gであった。
【0128】
35mlの四塩化炭素、2.5gのp−キシレンスルホン酸、4.8gのN−ブロモスクシンイミドおよび0.16gの過酸化ベンゾイルの混合物を沸騰まで撹拌しながら加熱し、その温度で60分間維持した。次いで追加の0.16gの過酸化ベンゾイルを加え、混合物を追加の60分間沸騰状態で維持した。冷却後に生成物を45mlの水で抽出し、20%の塩酸から再結晶させた。2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼンスルホン酸の収量は約1gであった。
【0129】
0.23gの4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、1.2mlのo−ジクロロベンゼン、0.22gの2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼンスルホン酸、1.2mlの10N水酸化ナトリウムおよび0.081gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、コンデンサーおよび窒素の出入り口を装備した25mlフラスコに連続的に加えた。反応混合物を80℃の窒素下で撹拌した。6時間の反応後に有機層を単離し、水で洗浄し、続いて希塩酸、およびもう一度水で洗浄した。次いで溶液をメタノールに加えて白色ポリマーを沈殿させた。次いでアセトンおよびメタノールからポリマーを再沈殿させた。
【0130】
実施例13
この実施例は、2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジン塩化テレフタロイルおよびポリエチレングリコール400のコポリマー(ポリエチレングリコール鎖を加え、Mが水素である、表2中の構造3)の合成を記載する。4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸(4.1g)を1Lビーカー中で水(150ml)中で水酸化セシウム水和物(4.02g、2.0当量)と混合し、固体が完全に溶解するまで撹拌した。10mlの水中で溶解された重炭酸セシウム(3.9g、1.0当量)を溶液に加え、室温で1分間電気ミキサーにより撹拌した。クロロホルム(40ml)およびポリエチレングリコール400(8.0g)を加えた。高速で撹拌しながら、10mlのクロロホルム中の塩化テレフタロイル(2.42g、1.0当量)の溶液を、ビーカーから注いで小分けで加えた。反応は周囲条件で撹拌せずに30分間放置した。300mlのエタノールを加え、濃厚化した反応塊を撹拌機で破砕し、ポリマーを濾過した。生成物を200mlの80%エタノールの中で懸濁し、15分間撹拌し、濾過した。エタノールによる洗浄をもう1回反復した。200mlのアセトンにより同様の方法で生成物を洗浄した。固体コポリマーを85℃で14時間乾燥した。
【0131】
剛体コアポリマーの中へのエチレンオキシド断片の導入はマクロ分子弾性の修飾を可能にし、それはそこでゲスト−ホスト混合物中の相の共存を改善する。
【0132】
実施例14
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)(表2中の構造3)セシウム塩のリオトロピック液晶溶液からの+Aタイプの固体光学リタデーション層の調製を記載する。
【0133】
実施例1において記載されるように、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)を合成した。リオトロピック液晶溶液を以下の手順に従って調製した。1%水溶液を調製し、機械的混和物から濾過し、蒸発によって約5.6重量%まで濃縮した。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図1中に示す。
【0134】
フィッシャー(Fisher)社ブランドの顕微鏡スライドグラスを10%水酸化ナトリウム溶液で30分間処置し、続いて脱イオン水によりリンスし、コンプレッサの補助によって気流中で乾燥した。23℃の室温および50%の相対的湿度で、〜100mm/sの直線速度で移動するマイヤーロッド#4で溶液をガラス板表面上へ適用した。溶液がコートされた液体層を同じ湿度および温度で乾燥した。
【0135】
固体リタデーション層の光学的特性を決定するために、光透過および反射スペクトルを、ケアリー(Cary)社500走査分光光度計を使用して、約400乃至700nmの波長領域において測定した。固体リタデーション層の光透過は、コーティング方向に対して平行および垂直(それぞれ、TparおよびTper)に直線的に偏光され、リタデーションフィルム面に垂直な方向で伝播する光ビームを使用して測定した。光学的反射は、リタデーションフィルム面の垂直面に対して12度の角度で伝播し、コーティング方向に対して平行および垂直(それぞれ、RparおよびRper)に偏光されるS偏光を使用して測定した。リタデーションフィルムサンプルの位相リタデーションは、アクソメトリックス(Axometrics)社のミュラー行列偏光計を使用して、0、30、45および60度の入射角で測定した。得られたデータを使用して図2中に提示されるようにリタデーションフィルムの主屈折率(nx、nyおよびnz)を計算する。得られた固体リタデーション層は、ポジティブAプレート(波長λ550=nmでnx=1.83、ny=1.55、nz=1.55)として特徴づけられた。
【0136】
実施例15
この実施例は、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0137】
実施例6において記載されるように、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸を得て、5.8gの蒸留水および3.2gの水酸化セシウムの20%水性溶液と混合し、次いでリオトロピック液晶溶液が形成されるまで室温(23℃)で約1時間撹拌した。LLC溶液の偏光顕微鏡法像を図3中に示す。
【0138】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性評価した。リタデーションフィルムの主屈折率スペクトル依存性を図4中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0.4である。
【0139】
実施例16
この実施例は、(4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の溶液からの−Aタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0140】
実施例6において記載されるよう、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸を得て、8.5gの蒸留水および0.5gの水酸化リチウムの20%水性溶液と混合し、次いでリオトロピック液晶溶液が形成されるまで室温(23℃)で約1時間撹拌した。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図5中に示す。
【0141】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。主屈折率スペクトル依存性を図6中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz=nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0である。
【0142】
実施例17
この実施例は、P1としてこの後示されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)(表2中の構造3)酸、およびC1としてこの後示される(4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P1の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0143】
以下のようにP1/C1=70/30モル%組成物を調製した。5.18g(0.007mol)のP1のセシウム塩を515gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、45μmの孔サイズを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.59g(0.003mol)のC1を50gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、3.75ml(0.006mol)の20重量%のCsOHを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、575gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす95gの二成分組成物を形成した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は8%に等しかった。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図7中に示す。
【0144】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。フィッシャー社ブランドの顕微鏡スライドグラスを10%NaOH溶液中での30分間の浸漬によってコーティングのために調製し、続いて脱イオン水でリンスし、コンプレッサによる気流中で乾燥した。22℃の温度および55%の相対的湿度で、約100mm/sの直線速度で移動するガードナー(Gardner)(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8で得られたLLC溶液をガラスパネル表面上へ適用した。光学フィルムを圧縮空気流で乾燥した。光学フィルムの典型的な偏光顕微鏡法像を図8中に示す。スロットダイ技術によってコーティングした光学フィルムの偏光顕微鏡法像を図9中に示す。
【0145】
実施例14において記載されるようにコーティングを光学的に特性を評価した。リタデーションフィルムの主屈折率スペクトル依存性を図10中に示す。屈折率nxおよびnyについての2つの主方向はリタデーション層の面と一致するxy−面に属し、屈折率nzについての1つの主方向は補償パネルに対する法線と一致する。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnz<ny<nxの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約1.5に等しかった。
【0146】
図11は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約2.0に等しかった。この事例において、比P1/C1は66/34に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約8%に等しかった。
【0147】
図12は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約3.0に等しかった。この事例において、比P1/C1は約60/40に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約8%に等しかった。
【0148】
実施例18
この実施例は、実施例17において記載される有機化合物P1およびC1の組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0149】
以下のように、P1/C1=38/62モル%組成物を調製した。2.81g(0.0038mol)のP1のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.28g(0.0062mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄な溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%の水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0150】
実施例17において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率スペクトル依存性を図13中に示す。得られたリタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0.75に等しい。
【0151】
図14は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約0.5に等しい。この事例において、比P1/C1は約15/85に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0152】
図15は、およそ16/42/42のモル比で、化合物P1のセシウム塩(「+A成分」)、化合物C1のセシウム塩(「BA成分」)および化合物C1のリチウム塩(「−A成分」)の三成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約0.3に等しい。組成物(P1+C1)CTOTの重量濃度は約13%であった。
【0153】
実施例19
この実施例は、実施例17において記載されるものと同じ有機化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液からの−Aタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0154】
以下のように、P1/C1=15/85モル%組成物を調製した。1.48g(0.002mol)のP1のセシウム塩を50gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、6.12g(0.0113mol)のC1化合物を100gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、3.05gの20重量%水酸化リチウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、180gの清澄な溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、3gの二成分組成物を形成してリオトロピック液晶(LLC)溶液を製作した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約15%であった。
【0155】
実施例17において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率スペクトル依存性を図16中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0である。
【0156】
したがって、リタデーション層タイプの制御の原則は、少なくとも1つの第1のタイプの成分および少なくとも1つの第2のタイプの成分の混合に基づき、前記成分は別々に異なるタイプの光学的リタデーション層を形成することができる。
【0157】
第1のタイプの化合物は、一軸性の+Aプレートタイプ(図17a)の光学的リタデーション層を形成可能なリオトロピック液晶溶液を形成可能な剛体ポリマー分子を表わし、屈折率nx1、ny1およびnz1は、以下の条件を満たす:
nx1>ny1=nz1=n┴1 (V)
【0158】
第2のタイプの化合物は、二軸性BAタイプ(図17b)または一軸性の−Aタイプ(図17c)の光学的リタデーション層を形成可能なリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、屈折率nx2、ny2およびnz2は以下の条件を満たす:
nx2<nz2≦ny2 (VI)
【0159】
混合された場合、ゲスト−ホストタイプの複合LLC溶液が形成される。複合LLC溶液は基板上へコーティングすることができ、第1のタイプの化合物および第2のタイプの化合物の個別のLLC溶液と同じ方法で剪断応力によって配列することができる。一般的事例において、複合LLC溶液は二軸性タイプの光学的リタデーション層を形成する(図17d)。固体光学的リタデーション層の主屈折率間の相関性は、複合リオトロピック液晶溶液中の第1のタイプの成分および第2のタイプの成分のモル比によって制御される。第1のタイプの化合物が多い溶液はACタイプの固体リタデーション層を形成し、第2のタイプの化合物が多い溶液はBAタイプの固体リタデーション層を形成する。前記固体リタデーション層のNZファクターは広い範囲で変化し、下限は第2のタイプの化合物によって形成された固体リタデーション層のNZファクターによって定義される。
【0160】
一方で主屈折率nxiはコーティング方向に対応し、他方で主屈折率nyiおよびnziはコーティング方向に垂直な平面中にある直角方向に対応する。主屈折率nx1およびn┴1は第1のタイプの有機化合物の選択によって制御され、主屈折率nx2、ny2およびnz2は第2のタイプの有機化合物の選択によって制御される。したがって、表2、3および4中に示される第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の選択、ならびにモル比cは、主屈折率nx、nyおよびnzの事前に設定された関係を持つ光学フィルムを調製することを可能にする。
【0161】
本発明中で開示された組成物および方法は光学フィルムの3つの主屈折率を独立して制御することを可能にする。光学フィルムの主屈折率は以下条件を満たす:
(VII)
(式中、Nは成分の数であり、nxi、nyiおよびnziはi成分に対応する主屈折率であり、ciは混合物中のi成分のモル部分であり、
である)。
【0162】
いくつかの特定の事例は以下で考慮する。
【0163】
A.第1のタイプの1つの化合物および第2のタイプの1つの化合物の二成分組成物の条件は次の通りである:ny1=nz1=n┴1<nx1 およびny2=nz2=n┴2>nx2。
【0164】
第2の化合物はネガティブAタイプを形成するが、その遅延率は、第1の化合物から形成されるポジティブAタイプの遅延率に等しくはない。そこで、関係式(VII)は、
(式中、N=2、c1=c、c2=1−c、およびcは第1のタイプの成分のモル部分である)である。
【0165】
モル比cが0から1へ変化する場合、異方性光学フィルムのタイプはネガティブAタイプからポジティブAタイプへ転換する。
【0166】
B.第1のタイプの1つの化合物および第2のタイプの1つの化合物の二成分組成物。
【0167】
この事例において、光学フィルムの屈折率は以下の条件を満たす:
(VIII)
(式中、N=2、c1=c、c2=1−c、およびcは0乃至1の値を有するモル比である)。
【0168】
第1のタイプの化合物のモル部分の任意の値で関係式(VI)および(VIII)のny>nzに基づいて、cは0≦c<1の条件を満たす。nx1>max(n┴,ny2)およびnx2<min(n┴,nz2)ならば、モル比cが規定された範囲内で変化する場合、異方性光学フィルムのタイプは、ポジティブBAタイプ(nx<nz<ny)からポジティブACタイプ(nz<ny<nx)へ変化するが、前記組成物から製造された異方性光学フィルムのNZファクターの下限は、第2のタイプの個別の化合物によって形成された異方性光学フィルムのNZファクターの値によって定義される。
【0169】
C.第1のタイプの1つの化合物(「+A成分」)および第2のタイプの2つの化合物(「BA成分」および「−A成分」)を含む三成分組成物。
【0170】
ポリマー(「+A成分」)成分の存在が必要とされる場合、この組成物はリオトロピック液晶相または固体リタデーションフィルムに対して特定の所望される特性を与えるために使用することができるが、リタデーションフィルムのNZファクターの増加は所望されない。この事例において、NZファクターの許容範囲は0乃至+∞である。
【0171】
図18は、P1化合物およびC1化合物の組成物に基づいた実験データを要約し、固体光学リタデーション層のNZファクターvs組成物中の第2のタイプの成分のモル部分のプロットを表わし、NZファクターの値の達成可能な範囲vs組成物を示す。
【0172】
実施例20
この実施例は、P2としてこの後参照されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンスルホテレフタルアミド(表2中の構造4)セシウム塩、および実施例17において記載される化合物C1の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P2の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0173】
以下のようにP2/C1=65/35mol%組成物を調製した。5.32g(0.0065mol)のP2のセシウム塩を475gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.86g(0.0035mol)のC1を60gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、4.4mlの20重量%水酸化セシウム(0.007mol)を懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P2およびC1の清澄溶液を共に混合して、547gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす127gの二成分組成物を形成した。組成物(P2+C1)CTOTの全濃度は約6重量%に等しかった。
【0174】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。コーティングのNZファクターの値は約2.0に等しい。
【0175】
実施例21
この実施例は、実施例20において記載される有機化合物P2および実施例17において記載されるC1の二成分組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0176】
以下のようにP2/C1=35/65モル%組成物を調製した。2.86g(0.0035mol)のP2のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.44g(0.0065mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P2およびC1の清澄溶液を共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P2+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0177】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価したが、ガードナーの(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#4をガードナーの(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8の代わりに使用した。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでのNZファクターは約0.7に等しい。
【0178】
実施例22
この実施例は、P3としてこの後参照されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンナフタレン−2,6−ジカルボキサミド(表2中の構造7)、および実施例17において記載されるC1の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P3の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0179】
以下のように、P3/C1=65/35mol%組成物を調製した。5.12gのP3のセシウム塩(0.0065mol)を475gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物は磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.86g(0.0035mol)のC1を60gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、4.4mlの20重量%水酸化セシウム(0.007mol)を懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P3およびC1の清澄溶液は共に混合して、547gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす127gの二成分組成物を形成した。組成物(P3+C1)CTOTの全濃度は約6重量%に等しかった。
【0180】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。コーティングのNZファクターの値は約2.4に等しい。
【0181】
実施例23
この実施例は、実施例17において記載されるものと同じ有機化合物P3およびC1の二成分組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0182】
以下のようにP3/C1=30/70モル%組成物を調製した。2.36g(0.0030mol)のP3のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.70g(0.0070mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P3およびC1の清澄溶液は共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P3+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0183】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価したが、ガードナー(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#4をガードナー(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8の代わりに使用した。得られた固体光学的リタデーション層は、約350nmに等しい厚み、およびnx<nz<nyの条件に従う主屈折率によって特徴づけられる。波長λ=550nmでのNZファクターは約0.6に等しい。
【0184】
上記実施例は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の比の変動によって、固体光学的リタデーション層の二軸性の程度を調整する能力を示す。
【0185】
実施例24
図19は、基板1上で形成された光学フィルムの横断面を示す。フィルムは、固体光学的リタデーション層2、粘着層3および保護層4を含有する。固体光学的リタデーション層は、実施例14または16において記載される方法を使用して製作することができる。ポリマー層4は、輸送過程における損傷から光学結晶フィルムを守る。
【0186】
この光学フィルムは半生成物であり、それは例えば、外部リターダーとしてLCD中で使用することができる。保護層4の除去に際して、光学フィルムは粘着層3によりガラス上へ適用することができる。
【0187】
実施例25
基板上に形成された追加の反射防止層5を持つ上記の光学フィルムは、LCD前面に適用することができる(図20)。例えば、二酸化ケイ素の反射防止層は、LCD前面から反射される光の割合を30%低下させる。
【0188】
実施例26
電気光学装置またはLCDの前面に適用された上記の光学フィルムに対して、追加の反射層6を基板上に形成することができる(図21)。反射層は、例えばアルミニウムフィルムの沈着によって得ることができる。
実施例27
【0189】
この実施例において、固体光学的リタデーション層2は、基板として働く、拡散半透明反射体または鏡面半透明反射体6上へ適用される(図22)。反射体層6は平坦化層7(省略可能)で覆われてもよい。ポリウレタンポリマーもしくはアクリルポリマーまたは他の材料もこの平坦化層の作製のために使用することができる。
実施例28
【0190】
この実施例は、本発明に記載の単一二軸性ACタイプのプレートで補償されたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)を記載する。シミュレートしたMVA LCDデザインの光学層を図23中で示し、これらは液晶セル10の各々の側に配置された2つの偏光板8および11、ならびに前面の偏光板8と液晶セル10との間に位置する1つの補償構造9を含む。LCDはバックライト12をさらに含む。補償構造は、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてのns>nf>nnの条件に従う、単一リタデーション層を含む。このリタデーション層は以下のパラメーターを有する二軸性ACタイプのプレートである。波長λ=550nmで、厚みd=1.2ミクロンおよびns=1.72、nf=1.68、nn=1.62(ns>nf>nn)。このタイプのリタデーション層の調製は実施例17、20および22中に記載され、nx=ns、ny=nfおよびnz=nnである。
【0191】
前部8および後部11の偏光板は各々、50nmのリタデーションを提供するネガティブCタイプのプレートの典型的な特性を持つ1つの内部TAC層を含む。このTACフィルムのリタデーションは光学的補償に影響を及ぼし、考慮される。セットアップは、アジマス角45、135、−45、−135での再配向面を持つ4つのLCドメインが使用される、マルチドメイン垂直配向液晶(MVA LC)セルに基づく。Δnd≒275nmのセルリタデーションを提供するために、LC光学異方性ΔnのためにVAセルの厚みdを選択した。層表面に対するLCディレクタープレチルト角は89°である。負の誘電異方性(ε||−ε┴=−3.5)および低複屈折(Δn≒0.08)を持つLC材料は、45、135;−45、−135のアジマス角で配向される。シミュレーションにおいて使用されるLCの弾性モジュールは、K11=10pN、K22=5pNおよびK33=15pNという典型的な値であった。与えられたLCパラメーターについて、最大値に近い透過率を持つ状態は実験と一致する8Vの適用電圧で達成される。
【0192】
図23中に示される光学的異方性要素の主軸の角度方向は、以下の通りである。
・前部偏光板および後部偏光板の透過軸は、それぞれφ=90°およびφ=0°である、
・二軸性ACタイプのプレートリターダーの事例においてns方向はφ=90°である。
【0193】
ACタイプのプレート厚みの最適化は、550nmでの最大のコントラスト比のために行われた。コントラスト比vs視野角を図24aおよび24b中で示す。比較のために、非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)のコントラスト比vs視野角を図25aおよび25b中で示す。
【0194】
実施例29
この実施例は、本発明に記載の二軸性ACタイプのプレートおよび一軸性のネガティブC−プレートで補償されたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)を記載する。シミュレートしたMVA LCDデザインの光学層を図26中で示し、これらは液晶セル10の各々の側に配置された2つの偏光板8および11、ならびに前面の偏光板8と液晶セル10との間に位置する1つの補償構造9を含む。LCDはバックライト12も含む。補償構造は二軸性ACタイプのプレート14およびプレートに対して垂直な光学軸を有する一軸性のネガティブCプレート13を含む。二軸性ACタイプのプレートは以下のパラメーターを有する。波長λ=550nmで、厚みd=1.2ミクロンおよびns=1.72、nf=1.68、nn=1.62(ns>nf>nn)。このタイプのリタデーション層の調製は実施例17、20および22中に記載され、nx=ns、ny=nfおよびnz=nnである。一軸性のネガティブC−プレートは70nmに等しいリタデーションによって特徴づけられる。
【0195】
前部8および後部11の偏光板は各々、50nmのリタデーションを提供するネガティブCタイプのプレートの典型的な特性を持つTAC層を含む。このTACフィルムのリタデーションは光学的補償に影響を及ぼし、考慮される。セットアップは、アジマス角45、135、−45、−135での再配向面を持つ4つのLCドメインが使用される、マルチドメイン垂直配向液晶(MVA LC)セルに基づく。Δnd≒275nmのセルリタデーションを提供するために、LC光学異方性ΔnのためにVAセルの厚みdを選択した。層表面に対するLCディレクタープレチルト角は89°であった。負の誘電異方性(ε||−ε┴=3.5)および低複屈折(Δn≒0.08)を持つLC材料は、45、135;−45、−135のアジマス角で配向される。シミュレーションにおいて使用されるLCの弾性モジュールは、K11=10pN、K22=5pNおよびK33=15pNという典型的な値であった。かかるLCパラメーターで最大値に近い透過率を持つ状態は実験と一致する8Vの適用電圧で達成される。
【0196】
図26中に示される光学的異方性要素の主軸の角度方向は、以下の通りである。
・前部偏光板および後部偏光板の透過軸は、それぞれφ=90°およびφ=0°である、
・二軸性ACタイプのプレートリターダーの事例においてns方向はφ=90°である。
【0197】
至適な二重プレートの補償MVA LCDのコントラスト比vs視野角を図27aおよび27b中で示す。比較のために、マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の補償なしのコントラスト比vs視野角(曲線1)、単一プレート補償のコントラスト比vs視野角(曲線2)、および二重プレート補償のコントラスト比vs視野角(曲線3)を、図28中で示す。
【0198】
本発明は特定の好ましい実施形態に関して詳細に記載したが、当業者は様々な修飾および増強が以下の請求項の趣旨および範囲から逸脱せずになされてもよいことを認識するだろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に有機化学の分野に関し、特に液晶ディスプレイのための二軸特性を持つ光学リタデーションフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)技術は、近年かなり進歩した。市場に出ているLCDパネルに基づく多くのテレビセット、モニターおよび公共のディスプレイがある。LCDの市場は近い将来増大し続けることが期待される。
【0003】
急速に成長し変化する市場は、研究者および製造業者に対して新しい課題を設定する。LCDの対角サイズの増大(既に100インチサイズを越えている)は、光学部品の質により厳しい制限を課す。リタデーションフィルムの事例において、色ずれが非常に小さいこと、および広視野角での高コントラスト比を提供する能力は、高品質の大型ディスプレイのために必要とされる。
【0004】
今日、液晶ディスプレイの質に影響を与えるLCD技術にはいくつかの欠点がまだ存在し、大型のディスプレイにおいてはプラズマディスプレーパネル(PDP)および中型のディスプレイにおいては陰極線管(CRT)のような競合的な技術がまだ利用可能である。欠点の1つは斜め視野角でのコントラスト比の減少である。従来のLCDにおいて、視野角の性能は偏光板の性能に強く依存する。典型的なLCDは、90°で直交する2つの二色性偏光板を含む。しかしながら、斜め角度では軸の射影間の角度は90°から外れ、偏光板は直交しないようになる。軸から外れた斜め角度の増加につれて光漏れが増加する。これは直交偏光板の二等分線に沿って広視野角で低コントラスト比をもたらす。さらに一般的には、光漏れは直交偏光板間に置かれた液晶セルのためにより悪くなる。
【0005】
LCDにおいて軸から外れた場合のコントラスト低下の問題は、位相リタデーションフィルム(光学的異方性材料を意味する)をうまく使用して解決することができる。特に、3つの異なる主屈折率を有する二軸性リタデーションフィルムは、LCDの光学的補償のために使用することができる。一軸性リタデーションフィルムとは対照的に、一般的には二軸性リタデーションフィルムは補償シートの最小数を使用して、最も優れた補償効果を提供することを可能にする。
【0006】
広視野角でのLCDコントラストの改善のために使用される位相リタデーション光学フィルムは、当技術分野において公知である。大部分の従来の位相リタデーションフィルムはポリカーボネート、ポリエステル、ポリノルボルネンなどなどのポリマーの延伸によって製造される。ポリマーフィルムに用いられる応力のタイプに依存して、様々なタイプの一軸性リタデーションフィルムまたは二軸性リタデーションフィルムを得ることが可能である。しかしながら、その性能の改善は延伸生成プロセスの限界のために困難である。
【0007】
非晶性ポリマーフィルムの延伸に加えて、他のポリマー配向技術は当技術分野において公知である。サーモトロピック液晶ポリマー(LCP)は、様々なタイプの複屈折によって特徴づけられる高異方性フィルムを提供することができる。かかるフィルムの製造は基板上にポリマー溶融物またはポリマー溶液をコーティングすることを含み、後者の事例についてはコーティング後に溶媒蒸発が行われる。延伸された基板上への配向層またはコーティングを使用する電場の適用などの追加の配向作用が含まれる。コーティングの後処理は、ポリマーが液晶相を示す温度で、およびポリマー分子が方向を合わせるのに十分な時間で行われる。一軸性光学フィルムおよび二軸性光学フィルム製造の例は、米国特許第5,132,147号、ならびに他の特許文献および科学出版物中で見出すことができる。
【0008】
光学フィルムは、クロモニックスとしても公知であるような柱状超分子を形成可能である低分子化合物に基づいたリオトロピック液晶(LLC)溶液のコーティングによっても製造することができる。フィルム蒸着条件の変更を介してクロモニックベースのフィルムを製作する新規方法を開発することを目標とした広範囲な研究は、米国特許第5,739,296号、ならびに他の特許文献および科学出版物中で記載されている。特に関心がもたれるのは、修飾剤、安定化剤、界面活性剤および/または公知の組成物中の他の添加剤(それらはフィルムの特質を改善する)を利用するリオトロピック液晶の新規組成物の開発である。最近の研究は、P. Yeh、Optical Waves in Layered Media、ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社(1998)、およびP. Yeh, and C. Gu、Optics of Liquid Crystal Displays、ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、(1999)中で記載されたものなどの(しかしこれらに限定されない)、LCDおよび遠隔通信への適用のための異方性フィルム、偏光板およびリターダーの生成において使用される材料に向けられている。
【0009】
公知の方法および技術を使用して、有機色素LLCシステムに基づく極めて薄い光学的異方性複屈折性フィルムを製造できることが示された。特に、ナフタレンテトラカルボン酸のジベンズイミダゾールのジスルホン酸に基づく薄い結晶性光学的異方性フィルムの生成は、P. Lazarev and M. Paukshto(Proceedings of 7th IDW、(2000)、ページ1159−1160中で)によって記載されている。上記のフィルムにおいて、分子はフィルムコーティング方向と平行なそれらの最小分極率軸でパックされる。この構造は、一軸性−Aプレートリタデーションフィルムタイプまたは二軸性BAプレートリタデーションフィルムタイプを製造することを許容する。
【0010】
水溶性の剛体棒ポリマーは、水性溶液中で自己集合した構造を示すことも公知である。かかるポリマーは、生物中で行われるいくつかの機構を示すことができるモデル物体として使用され、デオキシリボ核酸(DNA)、タンパク質、ポリサッカライドなどの天然の剛体棒ポリマーを意味し、自発的自己集合(生体機能を引き起こす基本である)によって良く配列された構造を形成する高い能力を有する。天然の剛体棒多価電解質は変性なしで抽出することが困難なので、水性溶液中の多価電解質凝集のいくつかの態様を調べるために合成アナログを研究することができる。例えば、水溶性のポリ(2,2’−ジスルホニルベンジジンテレフタルアミドの自己集合特性は、W.Yang et al.(Macromolecules, 41 (5), 1791-1799, 2008)によって調べられた。著者らは、異なる濃度領域におけるPBDTナトリウム塩を調べた。3重量%を越える濃度では、PBDT分子が液晶状態を形成することができることが示された。電解質効果の研究から、塩(NaCl)の追加がPBDT溶液中の会合プロセスを促進することも示された。
【0011】
水性溶液中の合成多価電解質の剪断に誘導される中間相構造は、Langmuir, 2004, val. 20, 6518-6520中でT. Funaki et al.によって記載された。ポリ(2,2’−ジスルホニルベンジジンテレフタルアミドは、先行技術中で公知の手順に従う界面重縮合反応によって調製された。偏光顕微鏡を使用して、著者らは、2.8〜5.0重量%の濃度範囲の水性溶液中のリオトロピックネマチック相を観察した。広角X線回折研究から、ネマチック状態において、PBDT分子は濃度(2.8〜5.0重量%)に関係なく一定の0.30〜0.34nmの鎖間間隔(d)を示すことが指摘された。d値は通常のネマチックポリマーよりも小さく(0.41〜0.45nm)、ネマチック状態におけるPBDT棒がネマチック状態において強い鎖間相互作用を有しており、スルホン酸アニオンの静電反発力にもかかわらず束様構造を形成することを示唆する。2乃至2.8重量%の濃度範囲において、剪断に誘導された複屈折性(SIB)中間相が観察された。
【0012】
多数の剛体棒水溶性ポリマーは、Journal of Applied Polymer Science, Vol. 62, pp. 393-408 (1996)中でN. Sarkar and D. Kershnerによって記載された。著者らは、石油回収の促進などの異なる適用のためにこれらのポリマーを提案する。これらの適用のためには、非常に低濃度で高粘度を保持することができる水溶性の剪断安定性ポリマーを有することが必須である。加水分解したポリアクリルアミドなどの従来使用される屈曲性鎖状ポリマーと比較して、剛体棒ポリマーが低分子量で高粘度になりえることが公知である。新規のスルホン化された水溶性芳香族ポリアミド、ポリ尿素およびポリイミドは、芳香族ジアンヒドリド、二酸塩化物またはホスゲンとスルホン化芳香族ジアミンの界面重合法または溶液重合を介して調製された。これらのポリマーのいくつかは十分に高い分子量(GPCデータに従えば<200,000)、および非常に高い固有粘度(〜65dL/g)を有し、塩溶液中でらせんコイルへと転換するようであった。これらのポリマーは、水性溶液の濃厚化、粒子状材料の凝集および分散の安定化、ならびにキャストフィルムを利用する膜分離などの適用において評価されてきた。
【0013】
水溶性ポリアミドの合成および溶液の特性は、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 27, pp. 3745-3757 (1989)中でE. J. Vandenberg, W. R. Diveley, et al.によって記載される。ポリ[N,N’−(スルホ−フェニレン)フタルアミド]およびポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)ピロメリットイミド]は水溶性形態で調製され、それらの溶液は特有の特性であり、いくつかの点でキサンタンに類似すると実証されることがわかった。最も調べられたポリマー(ポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)テレフタルアミド])は、LiClを含有するDMAC中の塩化テレフタロイルとの2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸の溶液重合によって、ジメチルアセトアミド(DMAC)塩として製造された。単離したポリマーは、水中で溶解されるために加熱を必要とし、もたらされる溶液は0.4%ほどの低濃度で、粘稠溶液またはゲルである。それらは高度に複屈折性で、円偏光二色性特性を示し、塩の含有量に対して粘度感受性である。グアーまたはヒドロキシエチルセルロースの溶液と混合したこのポリマーの溶液は、有意に促進された粘度を生ずる。粘度データから推定されるように、ポリマーは比較的低い分子量(約5000)を有する。PPT−Sのいくつかのメタ異性体アナログおよびパラ異性体アナログが調製され、これらのポリマーはそれらが水中でより可溶性である以外は類似する特性を有し、有意な粘度を得るためにより高い濃度が必要とされる。ポリ[N,N’−(スルホ−p−フェニレン)ピロメリットイミド]は、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸およびピロメリット酸二無水物から同様に調製された。その水性溶液の特性はPPT−Sの水性溶液に類似する。これらの比較的低分子量の剛体鎖状ポリマーが水中で会合し低濃度で粘稠溶液をもたらすネットワークを形成するようである。
【0014】
スルホン化ポリ−パラフェニレンテレフタルアミドの自己集合特性は、Proc. Symp. on Functional Polymer Materials, 2004中のE. Mendes, S. Viale, and S.J. Pickenによって、主鎖に対するスルホン酸基の数および相対的位置の関数として見なされた。反復単位がただ1つのスルホン酸基を含有する場合、水性溶液の構造は、ゲル(ポリ(スルホ−パラフェニレンテレフタルアミド)の事例において)から超分子ネマチック液晶(ポリ(パラフェニレンスルホテレフタルアミド)の事例において)へ変動することを著者らは報告する。したがって、スルホン酸基の位置は溶液の構造に大きく影響する。2つのスルホン酸基が反復単位中に存在する場合(ポリ(スルホ−パラフェニレンスルホテレフタルアミド)の事例において)、分子多価電解質リオトロピック液晶が形成される。
【0015】
本発明は、液晶ディスプレイまたは他の適用のための光学フィルムの上述の欠点に解決法を提供し、新規のタイプの光学フィルム、特に二軸性リタデーション層を開示する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;上記化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体リタデーション層を形成可能である、組成物を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、前面および裏面を有する基板ならびに基板の前面上に少なくとも1つの固体リタデーション層を含む光学フィルムであって、固体リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能である、光学フィルムを提供する。固体光学リタデーション層は、可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である。
【0018】
なおさらなる態様において、本発明は、光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミドであり、置換基Qはスルホンアミドであり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能である、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と;
b)液体層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である基板上へ溶液の液体層を適用する工程と;
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と;
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と
を含む方法を提供する。
【0019】
なおさらなる態様において、本発明は、垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置される2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに対して垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
、(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイを提供する
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩(濃度は約5.6重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図2】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図3】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(濃度は約10重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図4】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(10%溶液)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図5】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸リチウム塩(濃度は約15重量%である)のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図6】4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸リチウム塩(15%溶液)から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図7】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(全濃度は約8重量%である)の組成物のリオトロピック液晶溶液テクスチャーの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図8】マイヤーロッドコーティング法により製造され、ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミドセシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩の組成物を含む固体光学リタデーション層を含む光学フィルムの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図9】スロットダイコーティング法により製造され、ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミドセシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩の組成物を含む固体光学リタデーション層を含む光学フィルムの偏光顕微鏡像を示した図である。
【図10】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図11】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図12】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図13】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図14】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図15】ポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上の有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図16】のポリ(2,2’−ジスルホニル−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩および4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾール[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸セシウム塩(水性溶液)の組成物から調製されたガラス基板上有機リタデーション層の屈折率スペクトルを示した図である。
【図17a】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17b】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17c】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図17d】リタデーション層のタイプの制御を示した図である。
【図18】リタデーション層のNZファクターの達成可能な値vs組成物中の第1のタイプの成分および第2のタイプの成分の比を示した図である。
【図19】粘着層および保護層をさらに含む、基板上で形成された光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図20】追加の反射防止層を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図21】追加の反射層を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図22】基板として拡散反射体または鏡面反射体を持つ光学フィルムの横断面を図式的に示した図である。
【図23】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの一般的スキームを図式的に示した図である。
【図24a】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図24b】二軸性ACタイプのプレートリターダーにより補償されたVA LCDの波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図25a】非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図25b】非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の波長λ=550nmでのシミュレートした視野角コントラスト比マップを示した図である。
【図26】本発明に記載の二軸性ACタイプのプレートおよび一軸性の負のC−プレートにより補償された、シミュレートしたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の光学層を示した図である。
【図27a】コントラスト比vs至適二重プレートで補償されたMVA LCDの視野角を示した図である。
【図27b】コントラスト比vs至適二重プレートで補償されたMVA LCDの視野角を示した図である。
【図28】マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)における、コントラスト比vs補償なしの視野角(曲線1)、コントラスト比vs単一プレート補償(曲線2)、およびコントラスト比vs二重プレート補償(曲線3)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の概要が記述されて、具体的な好ましい実施形態への参照によってさらなる理解が得られるが、それは例証の目的のためだけに本明細書において与えられ、添付された請求項の範囲を限定するようには意図されない。
【0022】
本発明の記載および請求項中で使用される様々な用語の定義は、以下にリストされる。
【0023】
用語「可視スペクトル範囲」は、低部境界がおよそ400nmに等しく、上部境界がおよそ700nmに等しいスペクトル範囲を指す。
【0024】
用語「リタデーション層」は、3つの主屈折率(nx、nyおよびnz)によって特徴づけられ、屈折率nxおよびnyについての2つの主方向が、リタデーション層の面と一致するxy面に属し、屈折率(nz)についての1つの主方向はリタデーション層に法線と一致する光学的異方性層を指す。
【0025】
用語「光学的異方性二軸性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nx≠nz≠nyの条件に従う光学層を指す。
【0026】
用語「ACタイプの光学的異方性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nz<ny<nxの条件に従う光学層を指す。
【0027】
用語「BAタイプの光学的異方性リタデーション層」は、屈折率nx、nyおよびnzが可視スペクトル範囲において、nx<nz<nyの条件に従う光学層を指す。
【0028】
用語「NZファクター」は、以下のように計算される二軸性の程度の定量的測定を指す:
上述の言及された定義は、すべてのタイプの異方性層について垂直なZ軸のまわりの座標系(実験室枠の)の回転に対して不変である。
【0029】
本明細書において使用される時、「前基板表面」は、観察者に向かう表面を指す。「後基板表面」は、前面の反対の表面を指す。
【0030】
用語「板状超分子」は、L≫S≧Hの比を満たす縦方向サイズ(L)および横断面サイズ(幅Sおよび高さH)の超分子を指す。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態において、少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の数側基であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;上記化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、組成物が提供される。
【0032】
開示された組成物の1つの実施形態において、固体リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される。開示された組成物の別の実施形態において、数kは、0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、コンジュゲートされた有機単位が同じである、ポリマーの剛体主鎖を有する。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、コポリマーの剛体主鎖を有する。開示された組成物の1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された組成物の別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーもS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された組成物のさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。
【0033】
一般構造式の(III)および(IV)によって表わされる第1のタイプの有機化合物のコンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4の例を表1中に示す。
表1。本発明に記載のCore1、Core2、Core3およびCore4の構造式の例。
【0034】
【0035】
イオン形成性側基Gは同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0036】
さらに別の実施形態において、第1のタイプの一般構造式(I)の有機化合物は表2中で与えられる構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは1または2に等しい。
表2。本発明に記載の第1のタイプの有機化合物の構造式の例。
【0037】
【0038】
【0039】
開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0040】
開示された組成物のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。
【0041】
開示された組成物の1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0042】
第2のタイプの有機化合物の部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
表3。部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysの例
【0043】
【0044】
他の実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は、表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは表3の構造14および21乃至27から選択され、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwは0に等しい。
表4。本発明に記載の第2のタイプの有機化合物の構造式の例。
【0045】
【0046】
【0047】
別の実施形態において、開示された組成物は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、前面および裏面を有する基板ならびに基板の前面上に少なくとも1つの固体リタデーション層を含む光学フィルムであって、固体リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、光学フィルムを提供する。
【0049】
開示された光学フィルムの1つの実施形態において、前記光学リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される。開示された光学フィルムの別の実施形態において、数kは、0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された光学フィルムの別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。
【0050】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中に示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0051】
開示された光学フィルムの1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0052】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式[I]の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0053】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1-C20)アルキル、および(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0054】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0055】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、一般構造式(II)によって表わされる第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0056】
別の実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、光学フィルムは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0058】
開示された光学フィルムの別の実施形態において、固体リタデーション層は、一般的には、基板前面の面で2つの互いに垂直な方向に対応する2つの屈折率(nxおよびny)および基板前面に対する法線方向での1つの屈折率(nz)を保持する二軸性リタデーション層であり、屈折率はnx≠nz≠nyの条件に従う。
【0059】
開示された光学フィルムのさらに別の実施形態において、固体リタデーション層は、リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の組成物のモル比の制御を介してあらかじめ決定されるリタデーション層である。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、前記リタデーション層の屈折率はnz<ny<nxの条件に従う。開示された光学フィルムの別の実施形態において、前記リタデーション層の屈折率はnx<nz<nyの条件に従う。
【0060】
別の好ましい実施形態において、基板は可視スペクトル範囲における電磁放射に対して透明である。基板は、ポリマー、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)またはTAC(三酢酸セルロース)を含むことができる。開示された光学フィルムの代替の実施形態において、基板はガラスを含む。開示された光学フィルムの1つの実施形態において、基板の透過率はUVスペクトル範囲における任意の波長で2%を越えない。光学フィルムの別の実施形態において、可視スペクトル範囲における基板の透過率は、少なくとも90%である。
【0061】
開示された発明の1つの実施形態において、光学フィルムは粘着性透明層上の形成される保護コーティングをさらに含む。
【0062】
光学フィルムの1つの実施形態において、基板は鏡面反射体または拡散反射体である。光学フィルムの別の実施形態において、基板は反射偏光板である。さらに別の実施形態において、光学フィルムは基板の前面上へ沈着された平坦化層をさらに含む。本発明のさらに別の実施形態において、光学フィルムは、有機層の上に置かれる追加の透明な粘着層をさらに含む。本発明の別の可能な実施形態において、光学フィルムは光学フィルムの上に置かれる追加の透明な粘着層をさらに含む。開示された発明の1つの実施形態において、光学フィルムは粘着性透明層上に形成された保護コーティングをさらに含む。粘着層を含む開示された光学フィルムの1つの実施形態において、粘着層の透過率はUVスペクトル範囲における任意の波長で2%を越えない。開示された光学フィルムの別の実施形態において、可視スペクトル範囲における粘着層の透過率は少なくとも90%である。
【0063】
なおさらなる態様において、本発明は、光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含む組成物であって、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミドであり、置換基Qはスルホンアミドであり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し、
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能である、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と;
b)液体層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である基板上へ溶液の液体層を適用する工程と;
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と;
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と
を含む方法を提供する。
【0064】
開示された方法の1つの実施形態において、外部配向は剪断力により適用され、溶液の粘度は剪断速度の増加により約200mPa・s以下(below)に減少する。開示された方法の別の実施形態において、外部配向工程は、基板に対する液体層の適用の工程と同時に行われる。
【0065】
開示された方法の1つの実施形態において、数kは0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された方法の別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された方法の1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された方法の別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する。開示された方法のさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4はリスト−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−から独立して選択され、nは10乃至10000への範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中に示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。
【0066】
開示された方法の1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0067】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式(I)の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択されイオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0068】
開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0069】
開示された方法のさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−および>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された方法の1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0070】
別の実施形態において、第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0071】
開示された方法のなおさらなる実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は、表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0072】
開示された方法の1つの実施形態において、溶媒は、水、アルカリおよび酸またはそのいずれか組み合わせを含むリストから選択される。開示された方法の別の実施形態において、有機溶媒は、ケトン、カルボン酸、炭化水素、環式炭化水素、クロロ炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択される。開示された方法の好ましい実施形態において、有機溶媒は、アセトン、キシレン、トルエン、エタノール、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、オクタン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエテン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、トリエチルアミン、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメスルスルホキシド(dimethulsulfoxide)、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択される。
【0073】
開示された方法の1つの実施形態において、塩はアルカリ金属塩およびアンモニウム塩を含むリストから選択される。開示された方法において、リオトロピック液晶は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含むことができる。
【0074】
開示された方法の別の実施形態において、基板はポリマーおよびガラスを含むリストから選択された材料から作製される。本発明において、開示された方法は、H+、Ba2+、Pb2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、La3+、Zn2+、Zr4+、Ce3+、Y3+、Yb3+、Gd3+およびその任意の組み合わせを含むリストから選択されたカチオンを含む水溶性無機塩類の溶液による後処理を含む後処理工程をさらに含むことができる。
【0075】
開示された方法の1つの実施形態において、基板工程に対する液体層の適用および後処理工程は、同時に実行される。開示された方法の別の実施形態において、乾燥工程および後処理工程は同時に実行される。開示された方法のさらに別の実施形態において、後処理工程は乾燥後に実行される。
【0076】
開示された方法の別の実施形態において、沈着された液体層上での配向作用は、マイヤーロッド、スロットダイ、押出、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、モールディングを含むリストから選択された装置の使用により行われる。開示された方法の1つの実施形態において、沈着された層上での外部配向作用は、少なくとも1つの配向ツールの層に対する機械変換の使用により行われ、基板表面から配向ツールの縁部または面への距離は所望されるフィルム厚を得るように設定される。この方法において、配向ツールは加熱することができる。
【0077】
開示された方法の別の実施形態において、乾燥工程は、気流中でおよび/または高温で実施される。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態において、開示された方法は基板上への適用の前に行われる前処理工程をさらに含む。前処理工程は基板の表面を親水性にする工程を含むことができる。この方法の別の実施形態において、前処理は平坦化層の適用をさらに含む。開示された方法のさらに別の実施形態において、技術的工程の配列は2回以上反復され、各々の続いて行われる固体リタデーション層の製作において使用される溶液は、以前のサイクルにおいて使用されるものと同じであるかまたは異なる。
【0079】
なおさらなる態様において、本発明は、垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置された2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に対する剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;X、Y、ZおよびQは置換基であり;置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、m、h、p、vは0、1、2、3または4である)を有し;第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり;第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物またはそれらの塩の組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり;溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な二軸性タイプの固体リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイを提供する。
【0080】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、数kは0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、数nは10乃至10000の範囲中の整数である。開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位は同じである。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物はコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位は他のものとは異なる。開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、数kは1以上であり、イオン形成性側基は同じである。開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、数kは1以上であり、少なくとも1つの前記イオン形成性側基は他のものとは異なる。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位(Core)は一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2はリストの−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−から独立して選択される)を有する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの剛体コアポリマーは一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである。コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4の例は表1中で示され、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1または2または3に等しい。
【0081】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、イオン形成性側基は、第1のタイプの有機化合物またはその塩の水中での可溶性を提供し、同じであるかまたは異なり、−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから独立して選択される。
【0082】
1つの実施形態において、第1のタイプの一般構造式[I]の有機化合物は表2中で与えられた構造3乃至13から選択され、イオン形成性側基Gはスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい。
【0083】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物は、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む。
【0084】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、第1のタイプの有機化合物の追加の側基の少なくとも1つは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される。開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、第1のタイプの有機化合物の塩はアンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される。
【0085】
開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、一般構造式(II)によって表わされる第2のタイプの有機化合物の少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysは、表3中で与えられた構造14乃至27から選択される。
【0086】
別の可能性のある実施形態において、第2のタイプの一般構造式(II)の有機化合物は表4中で与えられた構造28乃至35から選択され、分子系Sysは構造14および21乃至27によって表わされ、置換基はスルホン酸基−SO3Hであり;m、p、vおよびwは0に等しい。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、液晶ディスプレイは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む。
【0088】
開示された液晶ディスプレイの1つの実施形態において、補償構造は、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns>nf>nnの条件に従う、単一リタデーション層を含む。
【0089】
開示された液晶ディスプレイの別の実施形態において、少なくとも1つの補償構造は液晶セルと前記偏光板の1つのとの間に位置する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも1つの補償構造は液晶セルの内部に位置する。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、少なくとも2つの補償構造が液晶セルの各々の側に位置する。
【0090】
本発明の1つの実施形態において、液晶ディスプレイは、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns=nf>nnの条件に従う、追加のリタデーション層をさらに含む。開示された液晶ディスプレイのさらに別の実施形態において、2つの偏光板の少なくとも1つは少なくとも1つのリタデーションTAC層を含む。
【0091】
本発明をより容易に理解するために以下の実施例が参照され、それらは本発明の例示として意図されるが、範囲を限定するようには意図されない。
【実施例】
【0092】
実施例1
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)セシウム塩(表2中の構造3)の合成を記載する。
【0093】
1.377g(0.004mol)の4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を1.2g(0.008mol)の水酸化セシウムおよび40mlの水と混合し、溶解するまで分散スターラーで撹拌した。0.672g(0.008mol)の炭酸水素ナトリウムを溶液に加え撹拌した。得られた溶液を高速(2500rpm)で撹拌しながら、無水トルエン(15mL)中の0.812g(0.004mol)のテレフタロイルジクロリドの溶液を5分以内に徐々に加えた。撹拌をさらに5分間継続し、粘稠な白色エマルジョンを形成させた。次いでエマルジョンを40mlの水で希釈し、撹拌速度を100rpmに減少させた。反応塊をホモジナイズした後、250mlのアセトンを加えることでポリマーを沈殿させた。
【0094】
サンプルのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)解析はダイオードアレー検出器(λ=230nm)を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)社1050クロマトグラフにより行い、バリアン(Varian)社GPCソフトウェアのシラス(Cirrus)3.2およびトーソー・バイオサイエンス(TOSOH Bioscience)社TSKgel G5000 PWXLカラムならびに移動相としての0.2Mリン酸緩衝液(pH=7)を使用した。ポリ(パラ−スチレンスルホン酸)ナトリウム塩をGPCスタンダードとして使用した。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwおよび多分散性Pは、それぞれ3.9×105および1.7×106および4.4であった。
【0095】
実施例2
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造4)の合成を記載する。
【0096】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで13.77gの4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0097】
実施例3
この実施例は、ポリ(パラ−フェニレンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造5)の合成を記載する。
【0098】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで4.35gの1,4−フェニレンジアミン(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0099】
実施例4
この実施例は、ポリ(2−スルホ−1,4−フェニレンスルホテレフタルアミド)(表2中の構造6)の合成を記載する。
【0100】
10gの2−スルホテレフタル酸(40mmol)、27.5gのトリフェニルフォスフィン(88.7mmol)、20gの塩化リチウムおよび50mlのピリジンを、500mlの三口フラスコにおいて200mlのN−メチルピロリドン中で溶解した。混合物を40℃で15分間撹拌し、次いで7.52gの2−スルホ−1,4−フェニレンジアミン(40mmol)を加えた。反応混合物を115℃で3時間撹拌した。1Lのメタノールを粘稠溶液に加え、形成された黄色沈殿を濾過し、メタノール(500ml)およびジエチルエーテル(500ml)で連続して洗浄した。帯黄色固体を80℃の減圧下で一晩乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0101】
実施例5
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンナフタレン−2,6−ジカルボキサミド)セシウム塩(表2中の構造7)の合成を記載する。
【0102】
0.344g(0.001mol)の4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を0.3g(0.002mol)の水酸化セシウムおよび10mlの水と混合し、溶解するまで分散スターラーで撹拌した。0.168g(0.002mol)の炭酸水素ナトリウムを溶液に加え撹拌した。得られた溶液を高速(2500rpm)で撹拌しながら、無水トルエン(4mL)中の0.203g(0.001mol)のテレフタロイルジクロリドの溶液を5分以内に徐々に加えた。撹拌をさらに5分間継続し、粘稠な白色エマルジョンを形成させた。次いでエマルジョンを10mlの水で希釈し、撹拌速度を100rpmに減少させた。反応塊をホモジナイズした後、60mlのアセトンを加えることでポリマーを沈殿させた。線維状の沈殿物を濾過し乾燥した。実施例1において記載されるように、GPCによってサンプルの分子量解析を行った。
【0103】
実施例6
この実施例は、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の合成を記載する。
【0104】
1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クアテルフェニル(10g)を0%〜20%オレウム(100ml)へとチャージした。反応塊を50℃まで加熱して5時間撹拌した。その後反応混合物を水(170ml)で希釈した。最終硫酸濃度は約55%となった。沈殿を濾過し、氷酢酸(〜200ml)でリンスした。濾滓を110℃でオーブン中で乾燥した。
【0105】
サンプルのHPLC解析はダイオードアレー検出器(λ=310nm)を備えたヒューレット・パッカード社1050クロマトグラフにより行い、Reprosil(商標)ゴールドC8カラムおよびアセトニトリル/0.4M酢酸アンモニウム(酢酸によりpH=3.5)水性溶液による直線勾配溶出法を使用した。
【0106】
実施例7
この実施例は、ポリ(ジスルホビフェニレン−1,2−エチレン−2,2’−ジスルホビフェニレン)(表2中の構造8)の合成を記載する。
【0107】
臭化銅(I)(0.3g)を水(30mL)中の鉄粉末(1.2g)の懸濁物に加えた。次いで懸濁物を室温で20分間撹拌し、もたらされた混合物を90℃まで加熱した。4−ブロモベンジルブロミド(10g)を反応混合物に小分けで加え、混合物を90℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、固体を濾過により除き湯で洗浄した。濾滓を沸騰メタノール中で溶解した。熱溶液を濾過し、室温まで冷却した。沈殿を濾過し、風乾した。収量2.5g。
【0108】
5.4mlのヘキサン中の2.5Mのブチルリチウム溶液を、−78℃のアルゴン下で、100mlの無水テトラヒドロフラン中の3gの4,4’−ジブロモビベンジルの撹拌溶液に1滴づつ加えた。混合物をこの温度で6時間撹拌し、白色懸濁物を得た。6mlのトリイソプロピルボラートを加え、混合物を一晩撹拌し、温度が室温に上昇するまで放置した。30mlの水を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。有機溶媒はロータベーパー(rotavapor)(35℃、40mbar)で除去し、次いで110mlの水を加え、混合物は濃HClで酸性にした。生成物をジエチルエーテル(7×30ml)の中に抽出し、有機層を硫酸マグネシウムの上で乾燥し、溶媒をロータベーパーで除去した。残渣を11mlのアセトン中で溶解し、13mlの水および7mlの濃塩酸の混合物の中に再び沈殿させた。ビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルの収量は2.4gである。
【0109】
100gの4,4’−ジアミノ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸、23.2gの水酸化ナトリウムおよび3.5Lの水を混合し、0〜5℃まで冷却した。300mlの水中の41gの亜硝酸ナトリウムの溶液を加え、5分間撹拌し、次いで100mlの6M塩酸を溶液に加えた。300mlの水中の71.4gの臭化カリウムの予冷却溶液を2mlの小分けのもたらされた暗黄色溶液に加えた。臭化カリウムを加えた後、室温まで溶液を暖めた。次いで反応混合物を加熱し、90℃で16時間維持した。300mlの水中の70gの水酸化ナトリウムの溶液を加え、溶液を400mlの全体積まで蒸発させ、2.5Lのメタノールで希釈して無機塩を沈殿させ、濾過した。メタノールを20〜30mlまで蒸発させ、3Lのイソプロパノールを加えた。沈殿をフィルター上でメタノールで洗浄し、メタノールから再結晶させた。4,4’−ジブロモ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸の収量は10.7gであった。
【0110】
重合は窒素下で実行した。2.7gの4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸および2.0gのビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルを、2.8gの炭酸水素ナトリウム、28.5mlのテトラヒドロフランおよび17mlの水の混合物中で溶解した。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を加えた(ビベンジル4,4’−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルと比較して5×10-3モル当量)。もたらされた懸濁物を20時間撹拌した。次いで0.04gのブロモベンゼンを加えた。追加の2時間後に、それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄し、乾燥し、トルエン中で溶解した。濾過溶液を濃縮し、ポリマーを5倍の過剰量のエタノール中で沈殿させ、乾燥した。ポリマーの収量は2.7gであった。
【0111】
8.8gの95%硫酸を110℃まで加熱し、2.7gのポリマーを加えた。温度を140℃まで上昇させ、4時間維持した。100℃まで冷却した後、8mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は〜2gであった。
【0112】
実施例8
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−ジオキシテレフタロイル)(表2中の構造9)の合成を記載する。
【0113】
1.384g(0.004mol)の4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸をと500mlビーカー中で2.61g(0.008mol)の炭酸ナトリウムおよび40mlの水混合し、固体が完全に溶解するまで分散スターラーで撹拌した。ジクロロメタン(50ml)を溶液に加えた。高速(7000rpm)で撹拌しながら、無水ジクロロメタン(15ml)中の0.812g(0.004mol)の塩化テレフタロイルの溶液を加えた。撹拌を30分間継続し、400mlのアセトンを濃厚化した反応塊に加えた。固体ポリマーを撹拌機で破砕し、濾過によって分離した。生成物は80%エタノールにより3回洗浄し、50℃で乾燥した。
【0114】
実施例9
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−2−スルホジオキシテレフタロイル)(表2中の構造10)の合成を記載する。
【0115】
1.384g(0.004mol)の4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸を500mlビーカー中で3.26g(0.010mol)の炭酸ナトリウムおよび40mlの水と混合し、固体が完全に溶解するまで分散スターラーで撹拌した。ジクロロメタン(60ml)を溶液に加えた。高速(7000rpm)で撹拌しながら、1.132g(0.004mol)の2−スルホテレフタロイルクロライドを15分以内に加えた。撹拌を3時間継続し、400mlのアセトンを濃厚化した反応塊に加えた。沈殿したポリマーを濾過によって分離し、50℃で乾燥した。
【0116】
実施例10
この実施例は、ポリ(スルホフェニレン−1,2−エチレン−2,2’−ジスルホビフェニレン)(表2中の構造11)の合成を記載する。
【0117】
実施例7において記載されるように4,4’−ジブロモビベンジルを調製した。
【0118】
90mlの無水テトラヒドロフラン中の23.6gの1,4−ジブロモベンゼンの溶液を調製した。10mlの溶液を5.0gのマグネシウムチップに撹拌しながら加え、60mlの無水テトラヒドロフラン中のヨウ素(若干の結晶)および混合物を反応が開始するまで加熱した。ジブロモベンゼン溶液の残りを段階的に加えることによって沸騰状態を維持した。次いで反応混合物を8時間沸騰させ、室温のアルゴン下で一晩放置した。混合物はホースを介してアルゴン圧によって滴下漏斗に移し、−78乃至−70℃(固形二酸化炭素/アセトン浴)で激しく撹拌しながら40mlの無水テトラヒドロフラン中の24mlの硼酸トリメチルの溶液に3時間の間に加えた。混合物を2時間撹拌し、次いでアルゴン下で一晩撹拌しながら室温まで熱くさせる。混合物を20mlのエーテルで希釈し、砕いた氷(200g)および濃H2SO4(6ml)の撹拌混合物に注いだ。有機層および水層の分離を促進するために、20mlのエーテルおよび125mlの水の量を混合物に加え、次いで混合物を濾過した。水層をエーテル(4×40ml)で抽出し、合わせた有機抽出物を50mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上で乾燥し、蒸発乾固した。薄茶色固体を800mlのクロロホルム中で溶解し、清澄化した。
【0119】
クロロホルム溶液をほとんど完全に蒸発させ、残留固体をベンゼンから再結晶させた。白色でわずかに帯黄色の沈殿を濾過により除き、乾燥した。ベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルの収量は0.74gであった。
【0120】
重合は窒素下で実行した。2.7gの4,4’−ジブロモ−2,2’−ビベンジルおよび1.9gのベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルを、2.8gの炭酸水素ナトリウム、28.5mlのテトラヒドロフランおよび17mlの水の混合物に加えた。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を加えた(ベンザイン1,4−ジボロン酸のジプロピレングリコールエステルと比較して5×10-3モル当量)。もたらされた懸濁物を20時間撹拌した。次いで0.04gのブロモベンゼンを加えた。さらに2時間後に、それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄し、乾燥し、トルエン中で溶解した。濾過溶液を濃縮し、5倍の過剰量のエタノール中でポリマーを沈殿させ、乾燥した。ポリマーの収量は2.5gであった。
【0121】
8.8gの95%硫酸を110℃まで加熱し2.7gのポリマーを加えた。温度を140℃まで上昇させ、4時間維持した。室温まで冷却した後8mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥さした。
【0122】
実施例11
この実施例は、ポリ(2−スルホフェニレン−1,2−エチレン−2’−スルホフェニレン)(表2中の構造12)の合成を記載する。
【0123】
重合は窒素下で実行した。10.2gの2,2’−[エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン)]ビス−1,3,2−ジオキサボリナン、10.5gの1,1’−エタン−1,2−ジイルビス(4−ブロモベンゼン)および1gのテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)を窒素下で混合した。50mlの2.4Mの炭酸カリウム溶液および300mlのテトラヒドロフランの混合物を窒素バブリングによって脱気した。得られた溶液を第1の混合物に加えた。その後に反応混合物を〜40℃で72時間撹拌した。それを150mlのエタノールの中へ注いでポリマーを沈殿させた。生成物を水で洗浄して、乾燥した。ポリマーの収量は8.7gであった。
【0124】
8.5gのポリマーを45mlの95%硫酸の中へチャージした。反応塊を〜140℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後に、74mlの水を1滴づつ加え、混合物を冷却した。もたらされた懸濁物を濾過し、濃塩酸で洗浄し、乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は8gであった。
【0125】
実施例12
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホビフェニル−2−スルホ−1,4−ジオキシメチルフェニレン)(表2中の構造13)の合成を記載する。
【0126】
190gの4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸および41.5gの水酸化ナトリウムを1300mlの水中で溶解した。1180gの氷を撹拌しながら溶液にチャージした。次いで70.3gの亜硝酸ナトリウム、230mlの硫酸および1180mlの水を反応塊に加え、−2乃至0℃の温度で1時間撹拌した。次いでそれを濾過し、2.4Lの氷水で洗浄した。濾滓を800mlの水中で懸濁し、100℃まで加熱した。次いでおよそ〜600mlの溶液が残存するまで水を蒸留して除いた。110mlの水中の166gの水酸化セシウム水和物を溶液に加えた。次いでそれを6Lのエタノールに加え、もたらされた懸濁物を室温で撹拌し、濾過し、濾滓を600mlのエタノールで洗浄し、真空オーブン中で45℃で乾燥した。4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸の収量は230gであった。
【0127】
30mlの96%硫酸および21gのp−キシレンを混合し、100℃まで加熱し、その温度で15分間維持した。反応塊を室温まで冷却し、50gの水および氷で急冷した。もたらされた懸濁物を−10℃まで冷却し、濾過し、得られた濾滓を冷塩酸(15mlの濃塩酸および10mlの水)で洗浄した。沈殿を圧搾し、塩酸溶液(40mlの濃塩酸および25mlの水)から再結晶させた。白色物質を90℃の真空下で乾燥した。p−キシレンスルホン酸の収量は34gであった。
【0128】
35mlの四塩化炭素、2.5gのp−キシレンスルホン酸、4.8gのN−ブロモスクシンイミドおよび0.16gの過酸化ベンゾイルの混合物を沸騰まで撹拌しながら加熱し、その温度で60分間維持した。次いで追加の0.16gの過酸化ベンゾイルを加え、混合物を追加の60分間沸騰状態で維持した。冷却後に生成物を45mlの水で抽出し、20%の塩酸から再結晶させた。2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼンスルホン酸の収量は約1gであった。
【0129】
0.23gの4,4’−ジオキシビフェニル−2,2’−ジスルホン酸、1.2mlのo−ジクロロベンゼン、0.22gの2,5−ビス(ブロモメチル)ベンゼンスルホン酸、1.2mlの10N水酸化ナトリウムおよび0.081gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを、コンデンサーおよび窒素の出入り口を装備した25mlフラスコに連続的に加えた。反応混合物を80℃の窒素下で撹拌した。6時間の反応後に有機層を単離し、水で洗浄し、続いて希塩酸、およびもう一度水で洗浄した。次いで溶液をメタノールに加えて白色ポリマーを沈殿させた。次いでアセトンおよびメタノールからポリマーを再沈殿させた。
【0130】
実施例13
この実施例は、2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジン塩化テレフタロイルおよびポリエチレングリコール400のコポリマー(ポリエチレングリコール鎖を加え、Mが水素である、表2中の構造3)の合成を記載する。4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジスルホン酸(4.1g)を1Lビーカー中で水(150ml)中で水酸化セシウム水和物(4.02g、2.0当量)と混合し、固体が完全に溶解するまで撹拌した。10mlの水中で溶解された重炭酸セシウム(3.9g、1.0当量)を溶液に加え、室温で1分間電気ミキサーにより撹拌した。クロロホルム(40ml)およびポリエチレングリコール400(8.0g)を加えた。高速で撹拌しながら、10mlのクロロホルム中の塩化テレフタロイル(2.42g、1.0当量)の溶液を、ビーカーから注いで小分けで加えた。反応は周囲条件で撹拌せずに30分間放置した。300mlのエタノールを加え、濃厚化した反応塊を撹拌機で破砕し、ポリマーを濾過した。生成物を200mlの80%エタノールの中で懸濁し、15分間撹拌し、濾過した。エタノールによる洗浄をもう1回反復した。200mlのアセトンにより同様の方法で生成物を洗浄した。固体コポリマーを85℃で14時間乾燥した。
【0131】
剛体コアポリマーの中へのエチレンオキシド断片の導入はマクロ分子弾性の修飾を可能にし、それはそこでゲスト−ホスト混合物中の相の共存を改善する。
【0132】
実施例14
この実施例は、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)(表2中の構造3)セシウム塩のリオトロピック液晶溶液からの+Aタイプの固体光学リタデーション層の調製を記載する。
【0133】
実施例1において記載されるように、ポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)を合成した。リオトロピック液晶溶液を以下の手順に従って調製した。1%水溶液を調製し、機械的混和物から濾過し、蒸発によって約5.6重量%まで濃縮した。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図1中に示す。
【0134】
フィッシャー(Fisher)社ブランドの顕微鏡スライドグラスを10%水酸化ナトリウム溶液で30分間処置し、続いて脱イオン水によりリンスし、コンプレッサの補助によって気流中で乾燥した。23℃の室温および50%の相対的湿度で、〜100mm/sの直線速度で移動するマイヤーロッド#4で溶液をガラス板表面上へ適用した。溶液がコートされた液体層を同じ湿度および温度で乾燥した。
【0135】
固体リタデーション層の光学的特性を決定するために、光透過および反射スペクトルを、ケアリー(Cary)社500走査分光光度計を使用して、約400乃至700nmの波長領域において測定した。固体リタデーション層の光透過は、コーティング方向に対して平行および垂直(それぞれ、TparおよびTper)に直線的に偏光され、リタデーションフィルム面に垂直な方向で伝播する光ビームを使用して測定した。光学的反射は、リタデーションフィルム面の垂直面に対して12度の角度で伝播し、コーティング方向に対して平行および垂直(それぞれ、RparおよびRper)に偏光されるS偏光を使用して測定した。リタデーションフィルムサンプルの位相リタデーションは、アクソメトリックス(Axometrics)社のミュラー行列偏光計を使用して、0、30、45および60度の入射角で測定した。得られたデータを使用して図2中に提示されるようにリタデーションフィルムの主屈折率(nx、nyおよびnz)を計算する。得られた固体リタデーション層は、ポジティブAプレート(波長λ550=nmでnx=1.83、ny=1.55、nz=1.55)として特徴づけられた。
【0136】
実施例15
この実施例は、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0137】
実施例6において記載されるように、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸を得て、5.8gの蒸留水および3.2gの水酸化セシウムの20%水性溶液と混合し、次いでリオトロピック液晶溶液が形成されるまで室温(23℃)で約1時間撹拌した。LLC溶液の偏光顕微鏡法像を図3中に示す。
【0138】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性評価した。リタデーションフィルムの主屈折率スペクトル依存性を図4中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0.4である。
【0139】
実施例16
この実施例は、(4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の溶液からの−Aタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0140】
実施例6において記載されるよう、4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸を得て、8.5gの蒸留水および0.5gの水酸化リチウムの20%水性溶液と混合し、次いでリオトロピック液晶溶液が形成されるまで室温(23℃)で約1時間撹拌した。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図5中に示す。
【0141】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。主屈折率スペクトル依存性を図6中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz=nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0である。
【0142】
実施例17
この実施例は、P1としてこの後示されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンテレフタルアミド)(表2中の構造3)酸、およびC1としてこの後示される(4,4’−(5,5−ジオキシドジベンゾ[b,d]チエン−3,7−ジイル)ジベンゼンスルホン酸(表4中の構造28)の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P1の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0143】
以下のようにP1/C1=70/30モル%組成物を調製した。5.18g(0.007mol)のP1のセシウム塩を515gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、45μmの孔サイズを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.59g(0.003mol)のC1を50gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、3.75ml(0.006mol)の20重量%のCsOHを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、575gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす95gの二成分組成物を形成した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は8%に等しかった。LLC溶液の典型的な偏光顕微鏡法像を図7中に示す。
【0144】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。フィッシャー社ブランドの顕微鏡スライドグラスを10%NaOH溶液中での30分間の浸漬によってコーティングのために調製し、続いて脱イオン水でリンスし、コンプレッサによる気流中で乾燥した。22℃の温度および55%の相対的湿度で、約100mm/sの直線速度で移動するガードナー(Gardner)(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8で得られたLLC溶液をガラスパネル表面上へ適用した。光学フィルムを圧縮空気流で乾燥した。光学フィルムの典型的な偏光顕微鏡法像を図8中に示す。スロットダイ技術によってコーティングした光学フィルムの偏光顕微鏡法像を図9中に示す。
【0145】
実施例14において記載されるようにコーティングを光学的に特性を評価した。リタデーションフィルムの主屈折率スペクトル依存性を図10中に示す。屈折率nxおよびnyについての2つの主方向はリタデーション層の面と一致するxy−面に属し、屈折率nzについての1つの主方向は補償パネルに対する法線と一致する。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnz<ny<nxの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約1.5に等しかった。
【0146】
図11は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約2.0に等しかった。この事例において、比P1/C1は66/34に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約8%に等しかった。
【0147】
図12は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約3.0に等しかった。この事例において、比P1/C1は約60/40に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約8%に等しかった。
【0148】
実施例18
この実施例は、実施例17において記載される有機化合物P1およびC1の組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0149】
以下のように、P1/C1=38/62モル%組成物を調製した。2.81g(0.0038mol)のP1のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.28g(0.0062mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄な溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%の水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0150】
実施例17において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率スペクトル依存性を図13中に示す。得られたリタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0.75に等しい。
【0151】
図14は、化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約0.5に等しい。この事例において、比P1/C1は約15/85に等しく、組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0152】
図15は、およそ16/42/42のモル比で、化合物P1のセシウム塩(「+A成分」)、化合物C1のセシウム塩(「BA成分」)および化合物C1のリチウム塩(「−A成分」)の三成分組成物を含む溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率(nx、nyおよびnz)を示す。波長λ=550nmでNZファクターは約0.3に等しい。組成物(P1+C1)CTOTの重量濃度は約13%であった。
【0153】
実施例19
この実施例は、実施例17において記載されるものと同じ有機化合物P1およびC1の二成分組成物を含む溶液からの−Aタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0154】
以下のように、P1/C1=15/85モル%組成物を調製した。1.48g(0.002mol)のP1のセシウム塩を50gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、6.12g(0.0113mol)のC1化合物を100gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、3.05gの20重量%水酸化リチウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P1およびC1の清澄溶液を共に混合して、180gの清澄な溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、3gの二成分組成物を形成してリオトロピック液晶(LLC)溶液を製作した。組成物(P1+C1)CTOTの全濃度は約15%であった。
【0155】
実施例17において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。溶液から調製された固体光学的リタデーション層の主屈折率スペクトル依存性を図16中に示す。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでNZファクターは約0である。
【0156】
したがって、リタデーション層タイプの制御の原則は、少なくとも1つの第1のタイプの成分および少なくとも1つの第2のタイプの成分の混合に基づき、前記成分は別々に異なるタイプの光学的リタデーション層を形成することができる。
【0157】
第1のタイプの化合物は、一軸性の+Aプレートタイプ(図17a)の光学的リタデーション層を形成可能なリオトロピック液晶溶液を形成可能な剛体ポリマー分子を表わし、屈折率nx1、ny1およびnz1は、以下の条件を満たす:
nx1>ny1=nz1=n┴1 (V)
【0158】
第2のタイプの化合物は、二軸性BAタイプ(図17b)または一軸性の−Aタイプ(図17c)の光学的リタデーション層を形成可能なリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、屈折率nx2、ny2およびnz2は以下の条件を満たす:
nx2<nz2≦ny2 (VI)
【0159】
混合された場合、ゲスト−ホストタイプの複合LLC溶液が形成される。複合LLC溶液は基板上へコーティングすることができ、第1のタイプの化合物および第2のタイプの化合物の個別のLLC溶液と同じ方法で剪断応力によって配列することができる。一般的事例において、複合LLC溶液は二軸性タイプの光学的リタデーション層を形成する(図17d)。固体光学的リタデーション層の主屈折率間の相関性は、複合リオトロピック液晶溶液中の第1のタイプの成分および第2のタイプの成分のモル比によって制御される。第1のタイプの化合物が多い溶液はACタイプの固体リタデーション層を形成し、第2のタイプの化合物が多い溶液はBAタイプの固体リタデーション層を形成する。前記固体リタデーション層のNZファクターは広い範囲で変化し、下限は第2のタイプの化合物によって形成された固体リタデーション層のNZファクターによって定義される。
【0160】
一方で主屈折率nxiはコーティング方向に対応し、他方で主屈折率nyiおよびnziはコーティング方向に垂直な平面中にある直角方向に対応する。主屈折率nx1およびn┴1は第1のタイプの有機化合物の選択によって制御され、主屈折率nx2、ny2およびnz2は第2のタイプの有機化合物の選択によって制御される。したがって、表2、3および4中に示される第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の選択、ならびにモル比cは、主屈折率nx、nyおよびnzの事前に設定された関係を持つ光学フィルムを調製することを可能にする。
【0161】
本発明中で開示された組成物および方法は光学フィルムの3つの主屈折率を独立して制御することを可能にする。光学フィルムの主屈折率は以下条件を満たす:
(VII)
(式中、Nは成分の数であり、nxi、nyiおよびnziはi成分に対応する主屈折率であり、ciは混合物中のi成分のモル部分であり、
である)。
【0162】
いくつかの特定の事例は以下で考慮する。
【0163】
A.第1のタイプの1つの化合物および第2のタイプの1つの化合物の二成分組成物の条件は次の通りである:ny1=nz1=n┴1<nx1 およびny2=nz2=n┴2>nx2。
【0164】
第2の化合物はネガティブAタイプを形成するが、その遅延率は、第1の化合物から形成されるポジティブAタイプの遅延率に等しくはない。そこで、関係式(VII)は、
(式中、N=2、c1=c、c2=1−c、およびcは第1のタイプの成分のモル部分である)である。
【0165】
モル比cが0から1へ変化する場合、異方性光学フィルムのタイプはネガティブAタイプからポジティブAタイプへ転換する。
【0166】
B.第1のタイプの1つの化合物および第2のタイプの1つの化合物の二成分組成物。
【0167】
この事例において、光学フィルムの屈折率は以下の条件を満たす:
(VIII)
(式中、N=2、c1=c、c2=1−c、およびcは0乃至1の値を有するモル比である)。
【0168】
第1のタイプの化合物のモル部分の任意の値で関係式(VI)および(VIII)のny>nzに基づいて、cは0≦c<1の条件を満たす。nx1>max(n┴,ny2)およびnx2<min(n┴,nz2)ならば、モル比cが規定された範囲内で変化する場合、異方性光学フィルムのタイプは、ポジティブBAタイプ(nx<nz<ny)からポジティブACタイプ(nz<ny<nx)へ変化するが、前記組成物から製造された異方性光学フィルムのNZファクターの下限は、第2のタイプの個別の化合物によって形成された異方性光学フィルムのNZファクターの値によって定義される。
【0169】
C.第1のタイプの1つの化合物(「+A成分」)および第2のタイプの2つの化合物(「BA成分」および「−A成分」)を含む三成分組成物。
【0170】
ポリマー(「+A成分」)成分の存在が必要とされる場合、この組成物はリオトロピック液晶相または固体リタデーションフィルムに対して特定の所望される特性を与えるために使用することができるが、リタデーションフィルムのNZファクターの増加は所望されない。この事例において、NZファクターの許容範囲は0乃至+∞である。
【0171】
図18は、P1化合物およびC1化合物の組成物に基づいた実験データを要約し、固体光学リタデーション層のNZファクターvs組成物中の第2のタイプの成分のモル部分のプロットを表わし、NZファクターの値の達成可能な範囲vs組成物を示す。
【0172】
実施例20
この実施例は、P2としてこの後参照されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンスルホテレフタルアミド(表2中の構造4)セシウム塩、および実施例17において記載される化合物C1の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P2の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0173】
以下のようにP2/C1=65/35mol%組成物を調製した。5.32g(0.0065mol)のP2のセシウム塩を475gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.86g(0.0035mol)のC1を60gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、4.4mlの20重量%水酸化セシウム(0.007mol)を懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P2およびC1の清澄溶液を共に混合して、547gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす127gの二成分組成物を形成した。組成物(P2+C1)CTOTの全濃度は約6重量%に等しかった。
【0174】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。コーティングのNZファクターの値は約2.0に等しい。
【0175】
実施例21
この実施例は、実施例20において記載される有機化合物P2および実施例17において記載されるC1の二成分組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0176】
以下のようにP2/C1=35/65モル%組成物を調製した。2.86g(0.0035mol)のP2のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5μSm/cm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.44g(0.0065mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P2およびC1の清澄溶液を共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するためにこの組成物を回転蒸発装置で濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P2+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0177】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価したが、ガードナーの(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#4をガードナーの(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8の代わりに使用した。得られた固体光学的リタデーション層を主屈折率によって特性を評価し、それはnx<nz<nyの条件に従っていた。波長λ=550nmでのNZファクターは約0.7に等しい。
【0178】
実施例22
この実施例は、P3としてこの後参照されるポリ(2,2’−ジスルホ−4,4’−ベンジジンナフタレン−2,6−ジカルボキサミド(表2中の構造7)、および実施例17において記載されるC1の二成分組成物を含む溶液からのACタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。有機化合物の前記組成物は複合リオトロピック液晶システムを形成可能である。P3の剛体棒状マクロ分子は、板状超分子C1のπ−πスタック(カラム)と共に配向させることができる。
【0179】
以下のように、P3/C1=65/35mol%組成物を調製した。5.12gのP3のセシウム塩(0.0065mol)を475gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物は磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、1.86g(0.0035mol)のC1を60gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、4.4mlの20重量%水酸化セシウム(0.007mol)を懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P3およびC1の清澄溶液は共に混合して、547gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす127gの二成分組成物を形成した。組成物(P3+C1)CTOTの全濃度は約6重量%に等しかった。
【0180】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価した。コーティングのNZファクターの値は約2.4に等しい。
【0181】
実施例23
この実施例は、実施例17において記載されるものと同じ有機化合物P3およびC1の二成分組成物を含む溶液からのBAタイプの固体光学的リタデーション層の調製を記載する。
【0182】
以下のようにP3/C1=30/70モル%組成物を調製した。2.36g(0.0030mol)のP3のセシウム塩を70gの脱イオン水(導電率〜5/cmμSm)中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。溶解後に、孔サイズ45μmを持つ親水性ナイロンフィルターで溶液を濾過した。別に、3.70g(0.0070mol)のC1を103gの脱イオン水中で溶解し、懸濁物を磁石撹拌機で混合した。撹拌しながら、清澄溶液が形成されるまで、7.75mlの20重量%水酸化セシウムを懸濁物の中へ徐々に一滴ずつ約15分間で加えた。P3およびC1の清澄溶液は共に混合して、400gの清澄溶液を形成した。過剰な水を除去するために回転蒸発装置でこの組成物を濃縮し、リオトロピック液晶(LLC)溶液を表わす70gの二成分組成物を形成した。組成物(P3+C1)CTOTの全濃度は約11%に等しかった。
【0183】
実施例14において記載されるようにコーティングを製造し、光学的に特性を評価したが、ガードナー(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#4をガードナー(登録商標)ワイヤー状のステンレス鋼棒#8の代わりに使用した。得られた固体光学的リタデーション層は、約350nmに等しい厚み、およびnx<nz<nyの条件に従う主屈折率によって特徴づけられる。波長λ=550nmでのNZファクターは約0.6に等しい。
【0184】
上記実施例は、組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物の比の変動によって、固体光学的リタデーション層の二軸性の程度を調整する能力を示す。
【0185】
実施例24
図19は、基板1上で形成された光学フィルムの横断面を示す。フィルムは、固体光学的リタデーション層2、粘着層3および保護層4を含有する。固体光学的リタデーション層は、実施例14または16において記載される方法を使用して製作することができる。ポリマー層4は、輸送過程における損傷から光学結晶フィルムを守る。
【0186】
この光学フィルムは半生成物であり、それは例えば、外部リターダーとしてLCD中で使用することができる。保護層4の除去に際して、光学フィルムは粘着層3によりガラス上へ適用することができる。
【0187】
実施例25
基板上に形成された追加の反射防止層5を持つ上記の光学フィルムは、LCD前面に適用することができる(図20)。例えば、二酸化ケイ素の反射防止層は、LCD前面から反射される光の割合を30%低下させる。
【0188】
実施例26
電気光学装置またはLCDの前面に適用された上記の光学フィルムに対して、追加の反射層6を基板上に形成することができる(図21)。反射層は、例えばアルミニウムフィルムの沈着によって得ることができる。
実施例27
【0189】
この実施例において、固体光学的リタデーション層2は、基板として働く、拡散半透明反射体または鏡面半透明反射体6上へ適用される(図22)。反射体層6は平坦化層7(省略可能)で覆われてもよい。ポリウレタンポリマーもしくはアクリルポリマーまたは他の材料もこの平坦化層の作製のために使用することができる。
実施例28
【0190】
この実施例は、本発明に記載の単一二軸性ACタイプのプレートで補償されたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)を記載する。シミュレートしたMVA LCDデザインの光学層を図23中で示し、これらは液晶セル10の各々の側に配置された2つの偏光板8および11、ならびに前面の偏光板8と液晶セル10との間に位置する1つの補償構造9を含む。LCDはバックライト12をさらに含む。補償構造は、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてのns>nf>nnの条件に従う、単一リタデーション層を含む。このリタデーション層は以下のパラメーターを有する二軸性ACタイプのプレートである。波長λ=550nmで、厚みd=1.2ミクロンおよびns=1.72、nf=1.68、nn=1.62(ns>nf>nn)。このタイプのリタデーション層の調製は実施例17、20および22中に記載され、nx=ns、ny=nfおよびnz=nnである。
【0191】
前部8および後部11の偏光板は各々、50nmのリタデーションを提供するネガティブCタイプのプレートの典型的な特性を持つ1つの内部TAC層を含む。このTACフィルムのリタデーションは光学的補償に影響を及ぼし、考慮される。セットアップは、アジマス角45、135、−45、−135での再配向面を持つ4つのLCドメインが使用される、マルチドメイン垂直配向液晶(MVA LC)セルに基づく。Δnd≒275nmのセルリタデーションを提供するために、LC光学異方性ΔnのためにVAセルの厚みdを選択した。層表面に対するLCディレクタープレチルト角は89°である。負の誘電異方性(ε||−ε┴=−3.5)および低複屈折(Δn≒0.08)を持つLC材料は、45、135;−45、−135のアジマス角で配向される。シミュレーションにおいて使用されるLCの弾性モジュールは、K11=10pN、K22=5pNおよびK33=15pNという典型的な値であった。与えられたLCパラメーターについて、最大値に近い透過率を持つ状態は実験と一致する8Vの適用電圧で達成される。
【0192】
図23中に示される光学的異方性要素の主軸の角度方向は、以下の通りである。
・前部偏光板および後部偏光板の透過軸は、それぞれφ=90°およびφ=0°である、
・二軸性ACタイプのプレートリターダーの事例においてns方向はφ=90°である。
【0193】
ACタイプのプレート厚みの最適化は、550nmでの最大のコントラスト比のために行われた。コントラスト比vs視野角を図24aおよび24b中で示す。比較のために、非補償マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)のコントラスト比vs視野角を図25aおよび25b中で示す。
【0194】
実施例29
この実施例は、本発明に記載の二軸性ACタイプのプレートおよび一軸性のネガティブC−プレートで補償されたマルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)を記載する。シミュレートしたMVA LCDデザインの光学層を図26中で示し、これらは液晶セル10の各々の側に配置された2つの偏光板8および11、ならびに前面の偏光板8と液晶セル10との間に位置する1つの補償構造9を含む。LCDはバックライト12も含む。補償構造は二軸性ACタイプのプレート14およびプレートに対して垂直な光学軸を有する一軸性のネガティブCプレート13を含む。二軸性ACタイプのプレートは以下のパラメーターを有する。波長λ=550nmで、厚みd=1.2ミクロンおよびns=1.72、nf=1.68、nn=1.62(ns>nf>nn)。このタイプのリタデーション層の調製は実施例17、20および22中に記載され、nx=ns、ny=nfおよびnz=nnである。一軸性のネガティブC−プレートは70nmに等しいリタデーションによって特徴づけられる。
【0195】
前部8および後部11の偏光板は各々、50nmのリタデーションを提供するネガティブCタイプのプレートの典型的な特性を持つTAC層を含む。このTACフィルムのリタデーションは光学的補償に影響を及ぼし、考慮される。セットアップは、アジマス角45、135、−45、−135での再配向面を持つ4つのLCドメインが使用される、マルチドメイン垂直配向液晶(MVA LC)セルに基づく。Δnd≒275nmのセルリタデーションを提供するために、LC光学異方性ΔnのためにVAセルの厚みdを選択した。層表面に対するLCディレクタープレチルト角は89°であった。負の誘電異方性(ε||−ε┴=3.5)および低複屈折(Δn≒0.08)を持つLC材料は、45、135;−45、−135のアジマス角で配向される。シミュレーションにおいて使用されるLCの弾性モジュールは、K11=10pN、K22=5pNおよびK33=15pNという典型的な値であった。かかるLCパラメーターで最大値に近い透過率を持つ状態は実験と一致する8Vの適用電圧で達成される。
【0196】
図26中に示される光学的異方性要素の主軸の角度方向は、以下の通りである。
・前部偏光板および後部偏光板の透過軸は、それぞれφ=90°およびφ=0°である、
・二軸性ACタイプのプレートリターダーの事例においてns方向はφ=90°である。
【0197】
至適な二重プレートの補償MVA LCDのコントラスト比vs視野角を図27aおよび27b中で示す。比較のために、マルチドメイン垂直配向液晶ディスプレイ(MVA LCD)の補償なしのコントラスト比vs視野角(曲線1)、単一プレート補償のコントラスト比vs視野角(曲線2)、および二重プレート補償のコントラスト比vs視野角(曲線3)を、図28中で示す。
【0198】
本発明は特定の好ましい実施形態に関して詳細に記載したが、当業者は様々な修飾および増強が以下の請求項の趣旨および範囲から逸脱せずになされてもよいことを認識するだろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物と
を含む組成物であって、
第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり、
kはセットGk中の側基の数であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;
数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり; 置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である。)を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、
組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、
前記溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体リタデーション層を形成可能である組成物。
【請求項2】
前記固体リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、前記組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、前記コンジュゲートされた有機単位が同一である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記剛体棒状マクロ分子が、コポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位が、他のものとは異なる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−、を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる。)を有するコポリマーである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項6または7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造式28乃至35
を有し、分子系Sysが構造14および21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される無機化合物をさらに含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前面および裏面を有する基板と、
基板の前面上に少なくとも1つの固体光学リタデーション層と
を含む光学フィルムであって、
固体光学リタデーション層が、
少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物と、
を含み、
第1のタイプの有機化合物が、一般構造式I
、(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり;
kはセットGk中の数側基であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)
を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である)
を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、固体光学リタデーション層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である、光学フィルム。
【請求項17】
前記光学リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、前記組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される、請求項16に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項16または17のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項19】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、前記コンジュゲートされた有機単位が同じである、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項20】
前記剛体棒状マクロ分子がコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項21】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)
を有する、請求項16乃至20のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項22】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−s2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3、Core4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1、Core2とは異なる。)
を有するコポリマーである、請求項16乃至20のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項23】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項21または22のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項24】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kが0、1または2に等しい、請求項16乃至21のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項25】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項16乃至24のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項26】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項25に記載の光学フィルム。
【請求項27】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項16乃至26のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項16乃至25のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項29】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造28乃至35
から選択され、分子系Sysが構造14および21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項28に記載の光学フィルム。
【請求項30】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項16乃至29のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項31】
前記固体リタデーション層が、一般的には、基板前面の平面で2つの互いに垂直な方向に対応する2つの屈折率(nxおよびny)および基板前面に対する法線方向での1つの屈折率(nz)を保持する二軸性リタデーション層であり、屈折率がnx≠nz≠nyの条件に従う、請求項16に記載の光学フィルム。
【請求項32】
前記屈折率が、nz<ny<nxの条件に従う、請求項31に記載の光学フィルム。
【請求項33】
前記屈折率が、nx<nz<nyの条件に従う、請求項31に記載の光学フィルム。
【請求項34】
前記基板材料が、ポリマーおよびガラスを含むリストから選択される、請求項16乃至33のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項35】
前記基板の前面および裏面が、平らであるかもしくは湾曲しているかまたはそのいずれか組み合わせである、請求項16乃至34のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項36】
光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物とを含む組成物であって、
第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり、
kはセットGk中の数側基であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、
第2のタイプの有機化合物が、一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である)を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能な、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と、
b)前記溶液の液体層を基板上に適用する工程であって、該液体層が、可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である工程と、
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と、
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項37】
前記外部配向作用(c)の適用が剪断作用を含み、前記溶液の粘度が、増加した剪断速度下で200mPa・s以下の値まで減少する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記配向工程(c)が、基板に対する液体層の適用の工程と同時に行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)
を有する、請求項36乃至38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2およびS3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる。)を有するコポリマーである、請求項36乃至38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1または2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項39または40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kが0、1または2に等しい、請求項36乃至39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項36乃至42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項36乃至44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項36乃至45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造28乃至35
から選択され、分子系Sysはが構造14、21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項46に記載の方法
【請求項48】
前記塩が、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩を含むリストから選択される、請求項36乃至47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記基板が、ポリマーおよびガラスを含むリストから選択された材料から作製される、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
H+、Ba2+、Pb2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、La3+、Zn2+、Zr4+、Ce3+、Y3+、Yb3+、Gd3+およびその任意の組み合わせを含むリストから選択されたカチオンによる任意の水性可溶性無機塩の溶液による後処理工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
沈着された液体層上での前記配向作用が、マイヤーロッド、スロットダイ、押出、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、モールディングを含むリストから選択された装置の使用により行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
前記工程の配列が2回以上反復され、各々の続いて行われる固体リタデーション層の製作において使用される溶液が以前のサイクルにおいて使用されるもの同じであるかまたは異なる、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置された2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に対して剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、Z、QおよびRは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である。)を有し、
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、前記溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体二軸性リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイ。
【請求項55】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項54に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項56】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位が同一である、請求項54または55のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項57】
前記剛体棒状マクロ分子がコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、請求項54または55のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項58】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)を有する、請求項54乃至57のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項59】
少なくとも1つ前記の剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択されnは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである、請求項54乃至57のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項60】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい)を有する構造から選択され、同じであるかまたは異なることができる、請求項58または59のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項61】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい、請求項54乃至58のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項62】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項54乃至61のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項63】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−H2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項62に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項64】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項54乃至63のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項65】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項54乃至64のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項66】
前記第2のタイプの有機化合物が構造式28乃至35
を有し、分子系Sysが構造14、21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項65に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項67】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項54乃至66のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項68】
前記補償構造が、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns>nf>nnの条件に従う、請求項54乃至67のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項69】
少なくとも1つの前記補償構造が、液晶セルと1つの前記偏光板との間に位置する、請求項54乃至68のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項70】
少なくとも1つの前記補償構造が液晶セルの内部に位置する、請求項54乃至69のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項71】
液晶セルの各々の側に位置する少なくとも2つの補償構造を含む、請求項54乃至68のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項72】
進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向における1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns=nf>nnの条件に従う、追加のリタデーション層をさらに含む、請求項68乃至71のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項73】
前記2つの偏光板の少なくとも1つが、少なくとも1つのリタデーションTAC層を含む、請求項54乃至72のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項1】
少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物と
を含む組成物であって、
第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり、
kはセットGk中の側基の数であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;
数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり; 置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である。)を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、
組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、
前記溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体リタデーション層を形成可能である組成物。
【請求項2】
前記固体リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、前記組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、前記コンジュゲートされた有機単位が同一である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記剛体棒状マクロ分子が、コポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位が、他のものとは異なる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−C(O)O−、−O(O)C−CH=CH−、−C(O)−CH2−、−OC(O)−O−、−OC(O)−、−C≡C−、−C(O)−S−、−S−、−S−C(O)−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される)を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−、を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる。)を有するコポリマーである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項6または7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造式28乃至35
を有し、分子系Sysが構造14および21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される無機化合物をさらに含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前面および裏面を有する基板と、
基板の前面上に少なくとも1つの固体光学リタデーション層と
を含む光学フィルムであって、
固体光学リタデーション層が、
少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物と、
を含み、
第1のタイプの有機化合物が、一般構造式I
、(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり;
kはセットGk中の数側基であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)
を有し、
第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である)
を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、固体光学リタデーション層が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である、光学フィルム。
【請求項17】
前記光学リタデーション層の二軸性のタイプおよび程度が、前記組成物中の第1のタイプの有機化合物および第2のタイプの有機化合物のモル比によって制御される、請求項16に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項16または17のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項19】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、前記コンジュゲートされた有機単位が同じである、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項20】
前記剛体棒状マクロ分子がコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項21】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)
を有する、請求項16乃至20のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項22】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−s2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3、Core4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1、Core2とは異なる。)
を有するコポリマーである、請求項16乃至20のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項23】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分のCore1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項21または22のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項24】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kが0、1または2に等しい、請求項16乃至21のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項25】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項16乃至24のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項26】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項25に記載の光学フィルム。
【請求項27】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項16乃至26のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項16乃至25のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項29】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造28乃至35
から選択され、分子系Sysが構造14および21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項28に記載の光学フィルム。
【請求項30】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項16乃至29のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項31】
前記固体リタデーション層が、一般的には、基板前面の平面で2つの互いに垂直な方向に対応する2つの屈折率(nxおよびny)および基板前面に対する法線方向での1つの屈折率(nz)を保持する二軸性リタデーション層であり、屈折率がnx≠nz≠nyの条件に従う、請求項16に記載の光学フィルム。
【請求項32】
前記屈折率が、nz<ny<nxの条件に従う、請求項31に記載の光学フィルム。
【請求項33】
前記屈折率が、nx<nz<nyの条件に従う、請求項31に記載の光学フィルム。
【請求項34】
前記基板材料が、ポリマーおよびガラスを含むリストから選択される、請求項16乃至33のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項35】
前記基板の前面および裏面が、平らであるかもしくは湾曲しているかまたはそのいずれか組み合わせである、請求項16乃至34のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項36】
光学フィルムを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物と、
少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物とを含む組成物であって、
第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、
nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、
Gkは1セットのイオン形成性側基であり、
kはセットGk中の数側基であり;
イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、
第2のタイプの有機化合物が、一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、ZおよびQは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である)を有し;
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能な、組成物のリオトロピック液晶溶液を調製する工程と、
b)前記溶液の液体層を基板上に適用する工程であって、該液体層が、可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明である工程と、
c)前記液体層上へ外部配向作用を適用する工程と、
d)乾燥して固体光学リタデーション層を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項37】
前記外部配向作用(c)の適用が剪断作用を含み、前記溶液の粘度が、増加した剪断速度下で200mPa・s以下の値まで減少する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記配向工程(c)が、基板に対する液体層の適用の工程と同時に行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)
を有する、請求項36乃至38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの前記剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2およびS3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択され、nは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる。)を有するコポリマーである、請求項36乃至38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1または2または3に等しい。)
を有する構造から選択される、請求項39または40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kが0、1または2に等しい、請求項36乃至39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項36乃至42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−CH2O−、−NH−、>N−、およびそのいずれか組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項36乃至44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項36乃至45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第2のタイプの有機化合物が、構造28乃至35
から選択され、分子系Sysはが構造14、21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項46に記載の方法
【請求項48】
前記塩が、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩を含むリストから選択される、請求項36乃至47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記基板が、ポリマーおよびガラスを含むリストから選択された材料から作製される、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
H+、Ba2+、Pb2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、La3+、Zn2+、Zr4+、Ce3+、Y3+、Yb3+、Gd3+およびその任意の組み合わせを含むリストから選択されたカチオンによる任意の水性可溶性無機塩の溶液による後処理工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
沈着された液体層上での前記配向作用が、マイヤーロッド、スロットダイ、押出、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、モールディングを含むリストから選択された装置の使用により行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
前記工程の配列が2回以上反復され、各々の続いて行われる固体リタデーション層の製作において使用される溶液が以前のサイクルにおいて使用されるもの同じであるかまたは異なる、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
垂直配向モード液晶セル、液晶セルの各々の側に配置された2つの偏光板、および前記偏光板の間に位置する少なくとも1つの補償構造を含む液晶ディスプレイであって、偏光板が互いに垂直な透過軸を有し、補償構造が少なくとも1つのリタデーション層を含み、リタデーション層が少なくとも1つの第1のタイプの有機化合物および少なくとも1つの第2のタイプの有機化合物を含み、第1のタイプの有機化合物が一般構造式I
(I)
(式中、Coreは剛体棒状マクロ分子を形成可能なコンジュゲートされた有機単位であり、nは剛体棒状マクロ分子中のコンジュゲートされた有機単位の数であり、Gkは1セットのイオン形成性側基であり、kはセットGk中の側基の数であり;イオン形成性側基および数kは、第1のタイプの有機化合物の溶媒中での可溶性を提供し、棒状マクロ分子に対して剛性を与え;数nは有機化合物またはその塩の溶液中でのマクロ分子の自己集合を促進する異方性を分子に提供する。)を有し、第2のタイプの有機化合物が一般構造式II
(II)
(式中、Sysは少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系であり;
X、Y、Z、QおよびRは置換基であり;
置換基Xはカルボン酸基−COOHであり、mは0、1、2、3または4であり;
置換基Yはスルホン酸基−SO3Hであり、hは0、1、2、3または4であり;
置換基Zはカルボキサミド−CONH2であり、pは0、1、2、3または4であり;
置換基Qはスルホンアミド−SO2NH2であり、vは0、1、2、3または4である。)を有し、
第2のタイプの有機化合物がπ−π相互作用を介して板状超分子を形成可能であり、組成物がリオトロピック液晶溶液を形成可能であり、前記溶液が可視スペクトル範囲における電磁放射に対して実質的に透明な固体二軸性リタデーション層を形成可能である、液晶ディスプレイ。
【請求項55】
前記数kが0、1、2、3、4、5、6、7または8に等しく、前記数nが10乃至10000の範囲中の整数である、請求項54に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項56】
前記棒状マクロ分子がポリマーの剛体主鎖を有し、コンジュゲートされた有機単位が同一である、請求項54または55のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項57】
前記剛体棒状マクロ分子がコポリマーの剛体主鎖を有し、少なくとも1つのコンジュゲートされた有機単位が他のものとは異なる、請求項54または55のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項58】
少なくとも1つの前記コンジュゲートされた有機単位(Core)が、一般構造式III
−(Core1)−S1−(Core2)−S2− (III)
(式中、Core1およびCore2はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1およびS2は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択される。)を有する、請求項54乃至57のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項59】
少なくとも1つ前記の剛体コアポリマーが、一般構造式IV
[−(Core1)−S1−(Core2)−S2−]n-t[−(Core3)−S3−[(Core4)−S4−]j]t (IV)
(式中、Core1、Core2、Core3およびCore4はコンジュゲートされた有機成分であり、スペーサーのS1、S2、S3およびS4は−CO−NH−、−NH−CO−、−O−NH−、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルキレン、直鎖状および分岐状の(C1−C4)アルケニレン、(C2−C20)ポリエチレングリコール、−O−CH2−、−CH2−O−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−、−CO−CH2−、−OCO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CO−S−、−S−、−S−CO−、−O−、−NH−、−N(CH3)−を含むリストから独立して選択されnは10乃至10000の範囲中の整数であり、tは1乃至n−1の範囲中の整数であり、jは0または1であり、リストでのCore3およびCore4のうちの1つのコンジュゲートされた有機成分はCore1およびCore2とは異なる)を有するコポリマーである、請求項54乃至57のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項60】
イオン形成性基Gを含む前記コンジュゲートされた有機成分Core1、Core2、Core3およびCore4が、一般式1乃至2
(式中、イオン形成性側基Gは−COOH、−SO3Hおよび−H2PO3を含むリストから選択され、kは0、1または2に等しく、pは1、2または3に等しい)を有する構造から選択され、同じであるかまたは異なることができる、請求項58または59のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項61】
前記第1のタイプの有機化合物が、構造3乃至13
から選択され、イオン形成性側基Gがスルホン酸基−SO3Hであり、kは0、1または2に等しい、請求項54乃至58のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項62】
前記第1のタイプの有機化合物が、直鎖状および分岐状の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、および(C2−C20)アルキニルを含むリストから独立して選択された追加の側基をさらに含む、請求項54乃至61のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項63】
前記追加の側基の少なくとも1つが、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)−NH−、−(SO2)NH−、−O−、−H2O−、−NH−、>N−、およびその任意の組み合わせを含むリストから選択された架橋基Aを介してCoreと結合される、請求項62に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項64】
前記第1のタイプの有機化合物の塩が、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩を含むリストから選択される、請求項54乃至63のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項65】
前記第2のタイプの有機化合物が、一般式14乃至27
を持つ構造から選択された少なくとも部分的にコンジュゲートされた実質的に平面の多環分子系Sysを有する、請求項54乃至64のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項66】
前記第2のタイプの有機化合物が構造式28乃至35
を有し、分子系Sysが構造14、21乃至27から選択され、置換基がスルホン酸基−SO3Hであり、m、p、vおよびwが0に等しい、請求項65に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項67】
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を含むリストから選択された無機化合物をさらに含む、請求項54乃至66のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項68】
前記補償構造が、進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向での1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns>nf>nnの条件に従う、請求項54乃至67のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項69】
少なくとも1つの前記補償構造が、液晶セルと1つの前記偏光板との間に位置する、請求項54乃至68のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項70】
少なくとも1つの前記補償構造が液晶セルの内部に位置する、請求項54乃至69のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項71】
液晶セルの各々の側に位置する少なくとも2つの補償構造を含む、請求項54乃至68のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項72】
進相軸および遅相軸にそれぞれ対応する2つの面内屈折率(nfおよびns)および法線方向における1つの屈折率(nn)によって特徴づけられ、可視スペクトル範囲における電磁放射についてns=nf>nnの条件に従う、追加のリタデーション層をさらに含む、請求項68乃至71のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項73】
前記2つの偏光板の少なくとも1つが、少なくとも1つのリタデーションTAC層を含む、請求項54乃至72のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25a】
【図25b】
【図26】
【図27a】
【図27b】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25a】
【図25b】
【図26】
【図27a】
【図27b】
【図28】
【公表番号】特表2012−500316(P2012−500316A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523471(P2011−523471)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053602
【国際公開番号】WO2010/020928
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(508189717)クリスオプティクス株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053602
【国際公開番号】WO2010/020928
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(508189717)クリスオプティクス株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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