説明

有機化合物

遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)
【化1】


〔式中、R、R、R、R、R、m、n、w、X、YおよびQは明細書に記載の意味を有する〕の化合物はCRTh受容体が介在する状態、とりわけ炎症性または閉塞性気道疾患を処置するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機化合物、それらの製造および、医薬としての使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
第1の局面において、本発明は、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)
【化1】

〔式中、
Qは−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択され;
はOH、R1aS−、R1aO−およびR1aNR−から選択され{ここでR1a
【化2】

(式中、
1bおよびR1cは独立してH、C−C−アルキルであるか、それらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成する)である}
およびRは独立してH、C−C−アルキルから選択されるか、またはそれらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成し;
およびRは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、SO5a、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、−SR5b、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、アミノ、アミノ(C−C−アルキル)、C−C−アルキルアミノ(C−C−アルキル)、ジ(C−C−アルキル)アミノ(C−C−アルキル)、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、SONR5c5d、−C(O)NR5e5f、C−C−ヒドロキシアルキル、NR5gSO5h、NR5i(CO)R5j、SOR5k、C−C15芳香族性炭素環式基ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を有する、4から10員環ヘテロ環式基から選択され;
はH、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
はHまたはC−C−アルキルであり;RはC−C15−シクロアルキルであり;
およびR10は独立してはH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
【0003】
Xは−CH−、−CH(C−C−アルキル)−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−であり;
Yは−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−であり;
11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
mおよびnはそれぞれ独立して、0−3の整数から選択され;
vは1−3の整数から選択され;そして
wは0−3の整数から選択される、式(1)の該化合物は[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノキシ]−酢酸、2−{2−[2−(1カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−ベンジル]−4−クロロ−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸、2−(2−[(1−カルボキシエトキシ)−5−クロロ−3−メチル−ベンジル]−4−クロロ−6−メチル−フェノキシ)プロピオン酸、3’,3’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1−フェニレン)ビス−プロパン酸、2,2’−[メチレンビス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−2,1−フェニレン]オキシ]]ビス−酢酸、ジエチルエステル、2,2’−[メチレンビス[(3,4,6−トリクロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、4−[4−クロロ−2−[(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)メチル]フェノキシ]−ブタン酸一ナトリウム塩、4−[4−クロロ−2−[(4−クロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]−ブタン酸二ナトリウム塩、[4−クロロ−2−[(4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)メチル]フェノキシ]−酢酸、2,2’−[メチレンビス[(4−クロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、[チオビス[(4,6−ジクロロ−o−フェニレン)オキシ]ジ−酢酸、3,3’−[メチレンビス[(3,4,6−トリクロロ−o−フェニレン)オキシ]]ジ−プロピオン酸、2,2’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、または2,2’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸ジエチルエステルでない〕で示される化合物を提供する。
【0004】
式(I)においてmまたはnが2であるとき、2個のR部分または2個のR部分は同じかまたは異なり得る。mまたはnが3であるとき、3個のR部分の2個またはすべてまたは3個のR部分の2個またはすべてが同じであるか、または3個全てが異なり得る。
QがRが適当なHまたはC−C−アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピルおよびイソブチルである−C(O)ORから選択される式(I)。
QがRがHであり;Rが適当にC−C15−シクロアルキル、例えば、シクロプロピル環であるで−C(O)NRから選択される式(I)。
がOHおよび
【化3】

(式中、R1bおよびR1cが独立してH、C−C−アルキルから選択される)から選択される式(I)。
およびRがHである式(I)。
およびRが独立してH、ハロゲン、ニトロおよびC−C−アルキルから選択される式(I)。
Xが−CH−、−CH(C−C−アルキル)−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−である式(I)。
Yが−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−である(ここでR11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択される)式(I)。
mおよびnがそれぞれ1である式(I)。
vが1−3の整数から選択される式(I)。
wが1である式(I)。
【0005】
本発明の他の態様において、遊離形または薬学的に許容される塩形の化合物であって、該化合物が式(Ia)
【化4】

〔式中、
Qは−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択され;
およびRはHであり;
はHまたはC−C−アルキルであり;
はHであり;
はC−C15シクロアルキルであり;
12およびR13は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、またはC−C−アルキルスルホニル、例えば、−SOCHであり;
Xは−CH−、S、−SO−または−SO−であり;そして
Wは1である〕の化合物を提供する。
【0006】
他の態様において、本発明は、炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置のための薬剤の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形の上記態様のいずれかの式(I)の化合物の使用を提供する。
【0007】
本発明のいずれかのおよびすべての態様は本発明のさらなる態様を記載するためいずれかの他の態様と組合せ得ることが理解される。さらに、態様のいずれかの要素はさらなる態様を記載するためいずれかの態様からのいずれかのおよびすべての要素と組合せられることを意味する。
【0008】
定義
本明細書で使用される用語は以下の意味を有する:
本明細書において使用される“所望により置換されている”は、言及されている基が、その前に記載の基の1個または組合せにより1箇所以上の位置で置換され得ることを意味する。
【0009】
“ハロゲン”または“ハロ”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得;好ましくは臭素または塩素またはフッ素である。
“C−C−アルキル”は、直鎖または分岐鎖C−C−アルキルを示し、それは例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、直鎖または分岐鎖−ペンチル、直鎖または分岐鎖−ヘキシル、直鎖または分岐鎖−ヘプチルまたは直鎖または分岐鎖−オクチルである。好ましくは、C−C−アルキルがC−C−アルキルである。
【0010】
本明細書において使用される“C−C15−炭素環式基”は、3から15員環の炭素原子を有する炭素環式基、例えば単環式基、脂環式、例えばC−C−シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチル;または芳香族性、例えばフェニルのいずれか;または二環式基、例えばビシクロオクチル、インダニルおよびインデニルを含むビシクロノニル、およびナフチルを含むビシクロデシルを示す。好ましくは該C−C15−炭素環式基はC−C10−炭素環式基、例えば、フェニルまたはナフチルである。該C−C15−炭素環式基は1−3個の置換基で置換されていても、非置換であってもよい。好ましい置換基は、ハロ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル、C−C−ハロ−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−ハロアルコキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキルアミノ)、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、(C−C−アルキルアミノ)−スルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル、アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C10−炭素環式基および窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5から12員環ヘテロ環式基である。
【0011】
本明細書において使用される“C−C15−芳香族性炭素環式基”は、6から15個の炭素環原子を有する二価芳香族性基、例えば、フェニレン、ナフチレンまたはアントリレンを示す。C−C15−芳香族性基は、1−3個の置換基で置換または非置換でもよい。好ましい置換基は、ハロ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−ハロアルコキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキルアミノ)、C−C−アルキルスルホニル、−SONH、(C−C−アルキルアミノ)−スルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル、アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C15−炭素環式基および窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5から12員環ヘテロ環式基である。
【0012】
“二価のC−C−脂環式”は、3から8個の炭素環原子を有するシクロアルキレン、例えば、単環式基、例えばシクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレンまたはシクロオクチレン(いずれも1個以上、通常1または2個のC−C−アルキル基で置換されていてもよい);または二環式基、例えばビシクロヘプチレンまたはビシクロオクチレンを示す。好ましくは“C−C−シクロアルキレン”がC−C−シクロアルキレン、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレンまたはシクロペンチレンである。
【0013】
“C−C−アルコキシ”は、直鎖または分岐鎖C−C−アルコキシを示し、それは例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、直鎖または分岐鎖−ペントキシ、直鎖または分岐鎖−ヘキシルオキシ、直鎖または分岐鎖−ヘプチルオキシまたは直鎖または分岐鎖−オクチルオキシである。好ましくは、C−C−アルコキシがC−C−アルコキシである。
【0014】
“C−C−ハロアルキル”および“C−C−ハロアルコキシ”は、1個以上のハロゲン原子、好ましくは1、2または3個のハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素または塩素原子で置換された上記定義のC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシを示す。好ましくは、C−C−ハロアルキルが、1、2または3個のフッ素、臭素または塩素原子で置換されているC−C−アルキルである。好ましくは、C−C−ハロアルコキシが、1、2または3個のフッ素、臭素または塩素原子で置換されたC−C−アルコキシである。
【0015】
本明細書において使用される“C−C−アルキルスルホニル”は、−SO−が結合した上記定義のC−C−アルキルを示す。好ましくは、C−C−アルキルスルホニルが、C−C−アルキルスルホニル、とりわけメチルスルホニルである。
【0016】
“アミノ−C−C−アルキル”および“アミノ−C−C−アルコキシ”は、上記定義のC−C−アルキル、例えばNH−(C−C)−またはC−C−アルコキシ、例えばNH−(C−C)−O−各々に窒素原子により結合しているアミノを示す。好ましくは、アミノ−C−C−アルキルおよびアミノ−C−C−アルコキシが、各々アミノ−C−C−アルキルおよびアミノ−C−C−アルコキシである。
【0017】
“アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキル”は、C−Cアルキルに窒素原子により結合しているアミノおよび同じC−C−アルキルに酸素原子により結合しているヒドロキシを示す。好ましくは、アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキルが、アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキルである。
【0018】
“カルボキシ−C−C−アルキル”および“カルボキシ−C−C−アルコキシ”は、各々上記定義のC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシに炭素原子により結合しているカルボキシを示す。好ましくは、カルボキシ−C−C−アルキルおよびカルボキシ−C−C−アルコキシが、各々カルボキシ−C−C−アルキルおよびカルボキシ−C−C−アルコキシである。
【0019】
“C−C−アルキルカルボニル”、“C−C−アルコキシカルボニル”および“C−C−ハロアルキルカルボニル”は、カルボニル基に炭素原子により結合している、各々上記定義のC−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルキルを示す。“C−C−アルコキシカルボニル”は、アルコキシ基の酸素がカルボニル炭素に結合している、上記定義のC−C−アルコキシを示す。好ましくは、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−ハロアルキルカルボニルが、各々C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−ハロアルキルカルボニルである。
【0020】
“C−C−アルキルアミノ”および“ジ(C−C−アルキル)アミノ”は、アミノ基に炭素原子により結合している上記定義のC−C−アルキルを示す。ジ(C−C−アルキル)アミノ中のC−C−アルキル基は同じでも異なっていてもよい。好ましくは、C−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノが、各々C−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノである。
【0021】
“C−C−アルキルアミノカルボニル”および“ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル”は、カルボニル基の炭素原子に窒素原子により結合している、各々上記定義のC−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノを示す。好ましくは、C−C−アルキルアミノ−カルボニルおよびジ(C−C−アルキル)−アミノカルボニルが、各々C−C−アルキルアミノカルボニルおよびジ(C−C−アルキル)−アミノカルボニルである。
【0022】
本明細書において使用される、“窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、4から10員環ヘテロ環式基”は、単環式または二環式ヘテロ環式環の、例えば、フラン、テトラヒドロフラン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、イソトリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、オキサゾール、イソキサゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、オキサジン、チアゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾフラン、インドール、インダゾールまたはベンゾイミダゾールであり得る。好ましいヘテロ環式基は、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール、イソトリアゾール、ピラゾール、ピリジン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、イソキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールおよびベンゾフランである。該4から10員環ヘテロ環式基は、非置換または置換されていてもよい。好ましい置換基は、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、アミノ−C−C−アルキル、アミノ(ヒドロキシ)C−C−アルキルおよび所望によりアミノカルボニルにより置換されていてよいC−C−アルコキシを含む。好ましい置換基は、ハロ、オキソ、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、アミノ−C−C−アルキルおよびアミノ(ヒドロキシ)C−C−アルキルを含む。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈から他の解釈が必要でない限り、用語“含む”または“含み”もしくは“含まれる”のような派生語は、規定の整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を含むが、他のいかなる整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を除外しないことを意味することが理解されよう。
【0024】
多くの式(I)で示される化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸;硝酸;硫酸;リン酸;および有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、カプリル酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、馬尿酸、プロピオン酸および酪酸;脂肪族ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、グルコン酸、マンデル酸、酒石酸またはリンゴ酸;ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、マレイン酸、マロン酸、セバシン酸またはコハク酸;芳香族性カルボン酸、例えば安息香酸、p−クロロ安息香酸、またはニコチン酸;芳香族性ヒドロキシ酸、例えばo−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸;およびスルホン酸、例えばエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、メタンスルホン酸、(+)−カンファー−10−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸を含む。これらの塩は、既知の塩形成法により、式(I)の化合物から製造し得る。
【0025】
酸性の、例えばカルボキシル基を含む式(I)の化合物は、塩基、特に当分野で既知のような薬学的に許容される塩基と塩を形成することもできる;適当なこのような塩は、金属塩、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛塩;またはアンモニアもしくは薬学的に許容される有機アミンとの塩またはヘテロ環式塩、例えばベンザミン、ベンザチン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、4−(2−ヒドロキシ−エチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、N−メチルグルカミン、ピペラジン、トリエタノール−アミンまたはトロメタミンを含む。これらの塩は、既知の塩形成法により、式(I)の化合物から製造し得る。
【0026】
不斉炭素原子または対称軸がある化合物において、該化合物は、個々の光学活性異性体形またはそれらの混合物、例えば、ラセミまたはジアステレオマー混合物として存在する。本発明は、両方の個々の光学活性RおよびS異性体、ならびに混合物、例えば、それらのラセミまたはジアステレオマー混合物を包含する。
【0027】
式(I)の特定のとりわけ好ましい化合物は実施例において下記のものを含む。
【0028】
プロドラッグは医薬の多数の所望の特性、例えば、溶解度、バイオアベイラビリティ、製造などを向上させるために既知であるため、本発明の化合物はプロドラッグ形で送達され得る。したがって、本発明は、本特許請求の範囲の化合物のプロドラッグ、該化合物を送達する方法および該化合物を含む組成物を包含することを意図する。“プロドラッグ”はこのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与されるときインビボで活性な本発明の親薬物を放出するなんらかの共有結合担体を含むことを意図する。本発明のプロドラッグは、慣用の操作またはインビボのいずれかで親化合物に開裂するような方法で化合物中に存在する官能基を修飾することにより製造される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基が、本発明のプロドラッグを哺乳動物対象に投与したとき、遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたは遊離スルフヒドリル基、各々を形成するため解離するなんらかの基に結合している本発明の化合物を含む。プロドラッグの例は、限定すべきでないが、本発明の化合物中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸、安息香酸誘導体を含む。
【0029】
“治療有効量”は本明細書に記載の炎症性疾患を処置するために有効である本発明の化合物単独での量または特許請求の範囲の化合物の組合せの量または他の活性成分と組合せた本発明の化合物の量を含むことを意図する。
【0030】
本明細書で使用される“処置する”または“処置”なる用語は哺乳動物、特にヒトの疾患状態の処置に及び、そして下記を含む:
(a)特に哺乳動物が疾患状態の素因を有するが、まだそれを有すると診断されていないときに哺乳動物の疾患状態の発症を予防すること;
(b)疾患状態を阻害すること、すなわち発症を阻止すること;および/または
(c)疾患状態を緩和すること、すなわち疾患状態の緩解を引き起こすこと。
【0031】
合成
本発明の他の態様は、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物の製造法であって、
(i)(A)
がR1aS−、R1aO−またはR1aNRであり、(ここでR1a
【化5】

であり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである)である式(I)の化合物の製造のために、
がR1aS−、R1aO−またはR1aNR
(ここでR1a
【化6】

であり;そして
10はC−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性カルボン酸基から選択され;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである)である式(I)の化合物のエステル基−COOR10を開裂する
(B)
がOHであり;
Qが−COONであり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである式(I)の化合物の製造のために、
Qが−COORであり;
がOHであり;
がC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、またはC−C15−芳香族性カルボキシル基であり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである式(I)の化合物のエステル基を適当に開裂するか;または
(C)
Qが−COORまたは−C(O)NRであり;
がC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、またはC−C15−芳香族性カルボキシル基であり;そして
およびRが上記定義のとおりである式(I)の化合物の製造のために、
Qが−COONである式(I)の化合物の適当なエステル化またはアミド化をする;そして
(ii)遊離形または薬学的に許容される塩形の得られた式(I)の化合物を回収する
段階を含む方法を提供する。
【0032】
変法(A)、(B)および(C)はエステル開裂に関する既知の方法を使用してまたは下記実施例の記載に準じて実施得る。
変法(C)はカルボン酸のエステルへのまたは酸のアミドへの変換に関する既知の方法を使用してまたは下記実施例の記載に準じて実施得る。
変法(A)−(C)に対する出発物質、およびそれらの出発物質の製造に対する化合物は新規または既知であり得る;それらは既知の方法にしたがってまたは下記実施例の記載に準じて製造し得る。
【0033】
本発明の他の態様は、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(III)
【化7】

〔式中、
Qは−C(O)ORであり;
およびRは独立してH、C−C−アルキルであるか、またはそれらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成し;
およびRは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、SONH、(C−C−アルキルアミノ)スルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル、アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニルならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を有する、4から10員環ヘテロ環式基から選択され;
はH、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;Xは−CH−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−であり;
Yは−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−であり;
11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
14はR1bおよびR1cは独立してHまたはC−C−アルキルである;−(CR1b1cCNであり
mおよびnはそれぞれ独立して、0−3の整数から選択され;
vは1−3の整数から選択され;そして
wは0−3の整数から選択される〕
で示される化合物を提供する。
【0034】
式(I)の化合物は、例えば、下記の反応および技術を使用して製造され得る。該反応は試薬および使用される物質ならびに製造される変換物に対して適当な溶媒中で実施され得る。分子に存在する官能基は提案されている変換と一致すべきであることは有機合成の当業者には理解されよう。これはときどき本発明の所望の化合物を得るため、合成段階の順序を変更するまたは他のものよりも特定のプロセススキームを選択する判断が必要である。
【0035】
下記反応スキームで示される合成中間体および最終産物における様々な置換基は、当業者により必要であると理解されるとき適当な保護基を有する完全に合成された形、または当業者に知られている方法により後にそれらの最終形に合成され得る前駆体形で存在し得る。置換基はまた合成シーケンスの途中の様々段階でまたは合成シーケンスの完了後に加えられ得る。多くの場合、一般に使用される官能基操作はある中間体から他の中間体への、またはある式(I)の化合物から他の式(I)の化合物への変換に使用され得る。このような操作の例はエステルまたはケトンのアルコールへの変換;エステルのケトンへの変換;エステル、酸およびアミドの相互変換;アルコールおよびアミンのアルキル化、アシル化およびスルホニル化;ならびに多数の他のものである。置換基はまた一般の反応、例えば、アルキル化、アシル化、ハロゲン化または酸化を使用して加えることができる。このような操作は当分野で既知であり、多数の参考書がこのような操作に関する処理および方法を記載している。多数の官能基操作に関する有機合成の主な文献に例および引用を与える、ならびに有機合成の分野で一般に使用される他の変換を記載しているいくつかの文献はMarch's Organic Chemistry, 5th Edition、Wiley and Chichエステル, Eds. (2001); Comprehensive Organic Transformations, Larock, Ed., VCH (1989); Comprehensive Organic Functional Transformations, Katritzky et al. (series editors), Pergamon (1995);およびComprehensive Organic Synthesis, Trost and Fleming (series editors), Pergamon (1991)である。
【0036】
一般に、本出願の範囲に記載の化合物はスキーム1−3に記載の経路により合成され得る。
【0037】
スキーム1において、置換フェノールとホルムアルデヒド(好ましくは無機酸、例えば、限定はしないが、HSOの存在下で)の縮合で中間体が製造される。無機塩基の存在下の中間体とハロ酢酸エステル(好ましくはブロモ酢酸エチル)のビス−アルキル化で中間体が提供される。次いで中間体の水性無機塩基での加水分解で選択的に活性化されたカルボン酸誘導体が提供され、次いでJ Org Chem, Vol. 58, p. 7948 (1993)の方法にしたがってアルコールまたはアミンで処理し、化合物が提供される。
スキーム1
【化8】

【0038】
スキーム2はまた式(I)の化合物の別の製造法を説明する。この方法はハロゲン化ベンジル、すなわち、臭化ベンジルと芳香族性ボロン酸およびパラジウム触媒でのクロスカップリングで中間体を製造することを含む。の脱メチル化、およびその後のハロ酢酸でのビス−アルキル化および加水分解で化合物を得る。
スキーム2
【化9】

【0039】
前記スキーム1および2に概説の通り、硫化ジアリール10およびジアリールスルホン12である化合物を、下記スキーム3に記載のとおりそれぞれ化合物11および13にあるいはそれぞれ化合物14および15に変換できる。
スキーム3
【化10】

【0040】
およびRが両方CHである化合物のさらなる製造法において、J Med Chem, Vol. 32, pp. 2460-2467 (1989)のとおりにフェノール、例えば、(スキーム1)を無機塩基、例えば、NaOHの存在下でアセトンおよびクロロホルムで処理する。
【0041】
X=COである化合物のさらなる製造法において、J Org Chem, Vol. 8, pp. 316-319 (1943)のとおりに、ジエステル、例えば、(スキーム1)をカルボン酸、例えば、酢酸の存在下で三酸化クロムで処理し、次いでエステル加水分解する。
【実施例】
【0042】
実施例
一般条件
LCMSをWaters Xterra MS C18 4.6×100 5μMカラムを装備したAgilent 1100 LCシステムで記録し、陰イオンエレクトロスプレーイオン化と共にアセトニトリル中の5−95%の10mMの水性重炭酸アンモニウムで2.5分にわたり溶離するか、または陽イオンエレクトロスプレーイオン化と共にアセトニトリル中の5−95%水+0.1%TFAで溶離する。MHおよび[M−H]はモノアイソトピック分子量を意味する。
【0043】
融点(m.p.)は補正していない。
NMRは特記されない限りCDClの400MHzで記録される。
【0044】
略語
【表1】

【0045】
実施例1
a)[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
炭酸セシウム(60g、184mmol)をDMF(120mL)中の2,2’−メチレン−ビス(4−クロロフェノール)(24.48g、91mmol)の冷(0℃)溶液に少しずつ加え、次いで酢酸ブロモメチル(17.3mL、184mmol)を加える。反応物を環境温度で16時間撹拌して、次いで氷浴冷却しながら1Mの水性HCl(1,000mL)に注ぐ。得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄し、エタノールから再結晶し、真空乾燥し、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る。
1H NMR: δ 3.81 (6H, s), 4.05 (2H, s), 4.65 (4H, s), 6.78 (2H, d, J=8.7), 7.12 (2H, dd, J=2.2-8.7), 7.21 (2H, s)。
【0046】
b)2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸の製造
2Mの水性NaOH(100mL)をTHF(100mL)中の[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(23.5g、56.9mmol)の懸濁液に加え、反応物を環境温度で一晩撹拌する。有機溶媒を蒸発させ、残渣を水で希釈し、濃HClでpH1に酸性化する。得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空乾燥し、2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸を得る;MH=386。
【0047】
c)[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)フェノキシ]−酢酸の製造
クロロギ酸イソブチル(30μL、0.23mmol)をTHF(20mL)中の2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸(0.100g、0.26mmol)およびTEA(40μL、0.26mmol)の冷(−15℃)溶液に加える。1.5時間後、反応を0℃に温め、次いでMeOH(5mL)およびDMAP(31mg、0.25mmol)を連続して加え、反応物を環境温度で一晩撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を10%のMeOH含有EtOAc中にとり、1Mの水性HClおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。粗生成物を20:1 CHCl:MeOHで溶離するシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)フェノキシ]−酢酸を得る。
1H NMR (DMSO): δ 3.70 (3H, s), 3.90 (2H, s), 4.72 (2H, s), 4.85 (2H, s), 6.89-7.50 (2H, m), 7.18-7.28 (4H, m), 13.0 (1H br, s).
【0048】
実施例2、3、4および5
これらの実施例、すなわち、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−エトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)フェノキシ]−酢酸;[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−イソブトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]酢酸;[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−イソプロポキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;および[4−ブロモ−2−(5−ブロモ−2−カルボキシメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸は実施例1の記載と同様の方法により製造される。
【0049】
実施例6
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−シクロプロピルカルバモイルメトキシ−ベンジル)フェノキシ]−酢酸の製造
クロロギ酸イソブチル(30μL、0.23mmol)をTHF(20mL)中の2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸(実施例1b;0.10g、0.26mmol)およびTEA(40μL、0.29mmol)の冷(−15℃)溶液に加える。反応物を−15℃から−10℃で2時間撹拌し、アミノシクロプロパン(90μL、0.13mmol)およびDMAP(31mg、0.26mmol)を連続して加える。さらに1.5時間後、反応混合物を環境温度に温め、溶媒を蒸発させる。残渣を10%のMeOH含有EtOAc中にとり、1Mの水性HCl次いで塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させる。粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(20:1−10:1 CHCl:MeOH勾配溶離)により精製し、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−シクロプロピルカルバモイルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸)を得る;MH=424。
【0050】
実施例7
a)4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシ−ベンジル)−ベンゼンの製造
1−ブロモメチル−2−メトキシ−ベンゼン(1.0g、5.0mmol)、5−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸(1.03g、5.5mmol)およびPd(PPh(0.311g、0.27mmol)をTHF(90mL)中に溶解する。(4.5mL)中のNaCO(1.5g、14mmol)の溶液を加え、反応物を16時間激しく撹拌させながら還流温度に加熱する。反応混合物を室温に冷却し、濾過する。濾液を蒸発させ、残渣を5:95 EtOAc:イソヘキサンで溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシ−ベンジル)−ベンゼンを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.72 (3H, s), 3.74 (3H, s), 3.79 (2H, s), 6.88 (2H, m), 6.97 (3H, m), 7.25 (2H, m).
【0051】
b)4−クロロ−2−(ヒドロキシル−ベンジル)−フェノールの製造
4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシ−ベンジル)−ベンゼン(0.880g、3.35mmol)をCHCl(10mL)中に溶解し、撹拌しながら0℃に冷却する。三臭化ホウ素(1MのCHClの溶液;6.7mL、6.7mmol)を内部温度<5℃を維持しながら滴下する。溶液を0℃で1時間、次いで環境温度で16時間撹拌する。反応混合物を水中に注ぎ、有機層を分離し、蒸発させる。残渣を15:85 EtOAc:イソヘキサンで溶離するシリカフラッシュクロマトグラフィーゲルにより精製し、4−クロロ−2−(ヒドロキシル−ベンジル)−フェノールを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.75 (2H, s), 6.70 (1H, t), 6.80 (2H, m), 6.85 (1H, d), 6.97 (1H, d), 7.03 (2H, m), 9.50 (2H, br, s).
【0052】
c)[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
4−クロロ−2−(ヒドロキシル−ベンジル)−フェノール(0.180g、0.77mmol)および炭酸カリウム(0.212g、1.53mmol)をDMF(2.5mL)中に懸濁させる。酢酸ブロモメチル(0.145mL、1.53mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、水およびEtOAcを残渣に加える。有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.70 (6H, s), 3.94 (2H, s), 4.83 (2H, s), 4.86 (2H, s), 6.88 (3H, m), 7.12 (1H, d), 7.19 (3H, m).
【0053】
d)[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸の製造
[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(0.230g、0.6mmol)を温MeOH(5ml)中に溶解し、環境温度に冷却する。2Mの水性NaOH(1.2mL、2.4mmol)を加え、反応物を環境温度で3時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残渣を水中に溶解し、1Mの水性HClでpH1にゆっくり酸性化する。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸を得る;MH=351。
【0054】
実施例8
この実施例、すなわち、[4−フルオロ−2−(5−フルオロ−2−カルボキシメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]酢酸。
a)(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−メタノールの製造
水素化ホウ素ナトリウム(61mg、1.62mmol)をMeOH(10mL)中の5−フルオロ−2−メトキシベンズアルデヒド(1.0g、6.49mmol)の溶液に加える。1時間後、反応物を1Mの水性HClに注ぎ、DCMで抽出する。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(0−100% EtOAcイソヘキサン勾配溶離)により精製し、(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−メタノールを得る。
【0055】
b)2−ブロモメチル−4−フルオロ−1−メトキシ−ベンゼンの製造
三臭化リン(0.312mL、3.28mmol)をDCM(10mL)中の(5−フルオロ−2メトキシ−フェニル)−メタノール(1.03g、6.56mmol)の溶液に加える。30分後、反応混合物を直接シリカゲルカラムに注ぎ、DCMで溶離し、2−ブロモメチル−4−フルオロ−1−メトキシ−ベンゼンを得る。
【0056】
c)1,1’−メチレンビス[5−フルオロ−2−メトキシ−ベンゼンの製造
炭酸ナトリウム(1.459g、13.8mmol)をTHF(20mL)中の2−ブロモメチル−4−フルオロ−1−メトキシ−ベンゼン(1.37g、6.25mmol)および5−フルオロ−2−メトキシフェニルボロン酸(1.1.7g、6.28mmol)の混合物に加え、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.288g、0.25mmol)に加える。反応物をアルゴン下で16時間還流しながら加熱し、蒸発させる。粗生成物を水とEtOAcで分配し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(0−100% EtOAc−イソヘキサン勾配溶離)で粗1,1’−メチレンビス[5−フルオロ−2−メトキシ−ベンゼンを得る。
【0057】
d)2,2’−メチレンビス[4−フルオロフェノール]の製造
三臭化ホウ素(1MのDCM溶液;8.4mL、4.06mmol)をDCM(10mL)中の1,1’−メチレンビス[5−フルオロ−2−メトキシ−ベンゼン(1.07g、4.06mmol)の冷(0℃)溶液に加える。反応物をRTで16時間撹拌し、水(20mL)を滴下してクエンチする。層を分離し、有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(0−40% EtOc−イソヘキサン勾配溶離)、次いで水から結晶化し、2,2’−メチレンビス[4−フルオロフェノール]を得る。
【0058】
e)[4−フルオロ−2−(5−フルオロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
DMF(1mL)中の2,2’−メチレンビス[4−フルオロフェノール](0.10g、0.42mmol)、2−メチル酢酸ブロモ(77μL、0.85mmol)および炭酸カリウム(0.117g、0.85mmol)の混合物をRTで16時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(0−100% イソヘキサン中のEtOAc勾配)により濾過し、[4−フルオロ−2−(5−フルオロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る。
【0059】
f)[2−(2−カルボキシメトキシ−5−フルオロ−ベンジル)−4−フルオロ−フェノキシ]−酢酸の製造
NaOH(2Mの水性;1mL、2.0mmol)をMeOH(10mL)中の[4−フルオロ−2−(5−フルオロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(0.117g、0.31mmol)の溶液に加え、反応物をRTで16時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、水(5mL)を加え、混合物を濃HClでpH1に酸性化する。得られた固体を濾過により回収し、真空乾燥し、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−フルオロ−ベンジル)−4−フルオロ−フェノキシ]−酢酸を得る;[M−H]=351。
【0060】
実施例9
a)[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−エトキシカルボニルメトキシ−フェニルスルファニル)フェノキシ]−酢酸エチルエステルの製造
炭酸セシウム(2.3g、6.96mmol)をDMF(10mL)中のビス(2−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)硫化物)(1.0g、3.48mmol)の溶液に少しずつ加え、次いでエチル酢酸ブロモ(0.772mL、6.96mmol)を加える。反応物を環境温度で16時間撹拌し、次いで1Mの水性HCl(100mL)に氷浴冷却しながら注ぐ。生成物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄し、乾燥させる(NaSO)。濾過し、次いで蒸発させ、真空乾燥し、粗物質を得、これを1:8EtOAc:イソヘキサン(10mL)中でトリチュレートする。濾過し、次いで50℃で真空乾燥させ、[4−クロロ−2(5−クロロ−2−エトキシカルボニルメトキシ−フェニルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸エチルエステルを得る。
1H NMR: δ 1.30 (6H, t), 4.28 (4H, q), 4.68 (4H, s), 4.86 (4H, s), 6.75 (2H, d), 7.20 (4H, m).
【0061】
b)(4−クロロ−2−[2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−フェニルスルファニル]−フェノキシ)−酢酸の製造
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−エトキシカルボニルメトキシ−フェニルスルファニル)−フェノキシ]−酢酸エチルエステル(0.50g、1.09mmol)をMeOH:THF(12mL+10mL)中に環境温度で懸濁する。4Mの水性NaOH(4mL、16mmol)を加え、反応混合物を60℃で30分間撹拌する。反応混合物を高温で濾過し、次いで蒸発させ、残渣を水中に溶解させ、氷浴中で冷却し、ゆっくり濃HClでpH1−2に酸性化する。沈殿した固体を濾取し、氷水で洗浄し、乾燥させ、(4−クロロ−2−[2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−フェニルスルファニル]−フェノキシ)−酢酸を得る;[M−H]=401。
【0062】
実施例10
a)(4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]フェノキシ)−酢酸エチルエステルの製造
炭酸セシウム(613mg、1.88mmol)を少しずつDMF(2.5mL)中の4−クロロ−2−[(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)スルホニル]フェノール(300mg、0.94mmol)の溶液に加え、次いで酢酸ブロモエチル(208μL、1.88mmol)を加える。反応混合物を環境温度で16時間撹拌し、次いで1Mの水性HCl(100ml)に氷浴冷却しながら注ぐ。生成物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄し、乾燥させる(NaSO)。濾過し、次いで蒸発させ、真空乾燥し、{4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]−フェノキシ}−酢酸エチルエステルを得る;MH=491。
【0063】
b)(4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]−フェノキシ)−酢酸の製造
(4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]−フェノキシ)−酢酸エチルエステル(70mg、0.14mmol)をMeOH(3ml)中に環境温度で懸濁する。4Mの水性NaOH(1mL、4mmol)を加え、反応物を環境温度で2時間撹拌する。反応混合物を真空蒸発させ、氷浴中で冷却し、濃HClでpH1−2にゆっくり酸性化する。沈殿した固体を濾過し、氷水で洗浄し、乾燥させ、{4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]−フェノキシ)酢酸を得る;[M−H]=435。
【0064】
実施例11
a)[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステルの製造
2,2’−メチレンビス(4−クロロ−フェノール)(12g、44.6mmol)をDMF(100mL)中に溶解する。炭酸リチウム(3.3g、44.6mmol)、次いでベンジル−2−酢酸ブロモ(7.7mL、49mmol)を加える。懸濁液を80℃で8時間撹拌する。さらにベンジル−2酢酸ブロモ(1mL、6.4mmol)を加え、100℃で4時間撹拌し続ける。反応混合物を蒸発乾燥させ、水を残渣に加え、これをpH1に2Mの水性HClで酸性化し、EtOAcで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。粗生成物を4:1 イソヘキサン:EtOAcで溶離するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物をイソヘキサン中に懸濁し、最小容量のEtOAc中に溶解させ、種晶を入れ、放置する。得られた固体を濾過により回収し、イソヘキサンで洗浄し、乾燥させ、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステルを得る;m.p.=135−137℃。
【0065】
b)4−[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸メチルエステルの製造
DMF(2ml)中に[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステル(0.21g、0.5mmol)、メチル−4−酪酸ブロモ(0.091g、0.5mmol)および炭酸カリウム(0.138g、1mmol)を含む溶液を室温で60時間撹拌する。反応混合物を真空濃縮し、水(20mL)を粗残渣に加える。水性部分をEtOAc(20ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し(10mL)、乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、4−[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸メチルエステルを得、これを次の段階でそのまま使用する。
【0066】
c)4−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸の製造
4−[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸メチルエステル(0.2g、0.386mmol)をTHF(5ml)中に溶解し、撹拌しながら2MのNaOH(0.773mL、1.55mmol)で処理する。反応混合物を室温で一晩撹拌させる。溶媒を真空除去し、残渣を水(10ml)中に溶解し、撹拌しながら2MのHCl(1mL)を使用して酸性化する。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させ、4−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸を白色固体として得る;MH=413。
【0067】
実施例12
a)4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシ−ベンジル)−ニトロベンゼンの製造
2−メトキシ−5−ニトロ臭化ベンジル(3.23g、13.11mmol)および5−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸(2.43g、13.11mmol)をTHF(180ml)中に溶解させ、Pd(PPh(0.72g、0.625mmol)で処理する。反応混合物を暗所でアルゴン雰囲気下撹拌し、水(10ml)中のNaCO(3.5g、33mmol)溶液を加え、反応物を還流温度で23時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、濾過する。濾液を蒸発させ、残渣を25:75 EtOAc:イソヘキサンで溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシベンジル)−ニトロベンゼンを得る;MH=308。
【0068】
b)4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−ニトロベンジル)−フェノールの製造
トルエン(15mL)中に4−クロロ−1−メトキシ−2−(2−メトキシ−ベンジル)−ニトロベンゼン(1.5g、4.87mmol)を含む溶液を塩化ベリリウム(2.3g、28.8mmol)で処理する。反応混合物をアルゴン雰囲気下で還流温度で23時間撹拌し、次いで室温に冷却する。溶媒を真空除去し、粗残渣を2MのHClの水性溶液に取りこむ。溶液をCHCl(150mL)で抽出し、有機部分を乾燥させ(MgSO)、乾燥蒸発させる。残渣を20:80 EtOAc:イソヘキサンで溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−ニトロベンジル)−フェノールを得る。
【0069】
c)[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−4−ニトロフェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−ニトロベンジル)−フェノール(0.091g、0.33mmol)および炭酸カリウム(0.0.91g、0.66mmol)をDMF(3mL)中に懸濁させる。酢酸ブロモメチル(0.063mL、0.66mmol)を加え、反応混合物を室温で17時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、EtOAcを残渣に加える。有機部分を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発乾燥させ、[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る。
【0070】
d)[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸の製造
[2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(0.076g、0.18mmol)を温MeOH(5mL)中に溶解し、2Mの水性NaOH(0.36mL、0.72mmol)で処理する。数滴のTHFを加え、溶解を助ける。反応混合物を環境温度に冷却し、2.5時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残渣を水中に溶解させ、pH1に1Mの水性HClでゆっくり酸性化する。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸を得る;[M−H]=394。
【0071】
実施例13
a)[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステルの製造
2,2’−メチレンビス(4−クロロ−フェノール)(12g、44.6mmol)をDMF(100mL)中に溶解する。炭酸リチウム(3.3g、44.6mmol)を加え、次いでベンジル−2−酢酸ブロモ(7.7mL、49mmol)を加える。懸濁液を80℃で8時間撹拌する。さらにベンジル−2−酢酸ブロモ(1mL、6.4mmol)を加え、撹拌を100℃で4時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾燥させ、水を残渣に加え、これをpH1に2Mの水性HClで酸性化し、EtOAcで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。粗生成物を4:1 イソヘキサン:EtOAcで溶離するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。生成物をイソヘキサン中に懸濁し、最小容量のEtOAc中に溶解させ、種晶を入れ、放置する。得られた固体を濾過により回収し、イソヘキサンで洗浄し、乾燥させ、[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステルを得る;m.p.=135−137℃。
【0072】
b)2−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸の製造
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステル(0.5g、1.20mmol)、CHCl(0.13mL、1.62mmol)、NaOHペレット(0.268g、6.71mmol)をアセトン(1.43mL)に加え、溶解を助けるため音波処理する。反応混合物を還流温度で7時間加熱し、加熱中にさらにアセトンを徐々に加える(全量1.5mL)。溶媒を真空除去し、残渣を水中に取りこむ。水性部分のpHをpH12に2MのNaOHで調節し、次いでDCMおよびEtOAcで洗浄する。溶液を次いでpH0に2MのHClで酸性化する。得られる沈殿をEtOAcで抽出し、有機層を乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。粗残渣を重量管理(mass directed)分取HPLCにより精製し、表題化合物を得る;[M−H]=411。
【0073】
実施例14
a)(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−酢酸メチルエステルの製造
5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(3.9g、22.7mmol)をDMF(20mL)中に溶解し、炭酸カリウム(4.7g、34.1mmol)を加える。懸濁液を10分間環境温度で撹拌後、酢酸ブロモメチル(3.22mL、34.1mmol)を加える。懸濁液を環境温度で16時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾燥させる。水を残渣に加え、混合物をEtOAcで抽出する。有機層を水および塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO)、乾燥蒸発させ、(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−酢酸メチルエステルを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 3.70 (3H, s), 5.05 (2H, s), 7.27 (1H, d), 7.65 (1H, d), 7.70 (1H, dd), 10.35 (1H, s).
【0074】
b)(4−クロロ−2−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−酢酸メチルエステルの製造
(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(5g、22mmol)をアルゴン雰囲気下でメタノール中に溶解させ、0℃に撹拌下で冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(0.413g、11mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌する。水(1ml)を加え、反応混合物を蒸発乾燥させる。EtOAcを残渣に加え、混合物を水および塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO)、蒸発乾燥させる。残渣を溶離剤として1:3 EtOAc:イソヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(4−クロロ−2−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−酢酸メチルエステルを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 1.20 (3H, t), 4.15 (2H, q), 4.55 (2H, d), 4.82 (2H, s), 5.25 (1H, t), 6.90 (1H, d), 7.22 (1H, dd), 7.38 (1H, s).
【0075】
c)(2−ブロモメチル−4−クロロ−フェノキシ)−酢酸メチルエステルの製造
(4−クロロ−2−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−酢酸エチルエステル(0.500g、2.04mmol)をDCM(10ml)中に溶解し、0℃で撹拌しながら冷却する。三臭化リン(0.116mL、1.02mmol)を加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌する。反応混合物をDCMで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(2−ブロモメチル−4−クロロ−フェノキシ)−酢酸エチルエステルを得る。
1H NMR (DMSO-d6): δ 1.20 (3H, t), 4.15 (2H, q), 4.65 (2H, s), 4.91 (2H, s), 7.00 (1H, d), 7.35 (1H, dd), 7.55 (1H, d).
【0076】
d)(E)−3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−アクリル酸の製造
(2−ブロモメチル−4−クロロ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(0.7g、2.38mmol)および2−2−カルボキシビニルベンゼンボロン酸(0.5g、2.62mmol)をアルゴン不活性雰囲気下でTHF(33ml)中に溶解する。撹拌した反応混合物を次いでPd(PPh(0.131g、0.14mmol)で処理し、水(2ml)中のNaCO(0.64g、5.99mmol)の溶液を加え、反応物を還流温度で激しく撹拌しながら21時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、濾過する。濾液を蒸発させ、残渣をMeOH:DCM(1:4から4:1へ増加)で溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(E)−3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−アクリル酸を得る;[M−H]=345。
【0077】
e)3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−プロピオン酸の製造
(E)−3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−アクリル酸(0.122g、0.35mmol)をMeOH(10ml)中に溶解し、室温でアルゴン雰囲気下で撹拌する。溶液を次いで5%のパラジウム炭素(0.018g)で処理する。反応混合物をアルゴンで、次いで2回窒素でパージし、水素雰囲気下に5時間置く。混合物を次いでセライトTMフィルター材を介して濾過し、溶媒を真空除去し、3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−プロピオン酸を得る;[M−H]=347。
【0078】
実施例15
a)[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロフェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステル(3.53g、8.46mmol)、酢酸ブロモメチル(0.803mL、8.46mmol)、炭酸カリウム(1.17g、8.46mmol)およびテトラブチルヨウ化アンモニウムをDMF(20ml)中に懸濁し、環境温度で16時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾燥させる。EtOAcを残渣に加え、混合物を1Mの水性HClおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、[2−(2−tert−ブトキシカルボニルメトキシ−5−クロロベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸ベンジルエステルを得る;[M+H]=456?。
【0079】
b)[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
酢酸(14ml)中の三酸化クロム(1.07g、10.71mmol)の溶液を酢酸(7mL)中の[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロフェノキシ]−酢酸メチルエステル(0.906g、1.85mmol)の熱(60℃)溶液に少しずつ加える。5分後、反応物を室温に冷却し、水で希釈し、エーテルで抽出する。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、4:1 イソヘキサン:EtOAcで溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る;MH=503。
【0080】
c)[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸の製造
2Mの水性NaOH(0.70mL、1.59mmol)をMeOH(5mL)中の[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(0.200g、0.397mmol)の溶液に加える。反応物を1時間RTで撹拌し、溶媒を蒸発させる。残渣を水およびエーテルで分配し、水性相をpH1に2MのHClで酸性化する。CHClで抽出後、有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸を得る;[M−H]=397。
【0081】
実施例16
a)[4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
(4−クロロ−2−ヒドロキシメチル−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(230mg、1.0mmol)および4−メチルスルホニルフェノール(0.340g、2.0mmol)をマイクロウェーブ反応漕中で溶融し、塩化亜鉛(0.680g、5.0mmol)を加える。反応混合物をEmrys OptimizerTMマイクロウェーブで2分間180℃で加熱する。温水を加え、混合物をEtOAcで抽出する。有機層を蒸発させ、残渣を30分にわたってアセトニトリル:水 0:100から100:0の勾配で溶離するC18シリカ逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る;M=385。
【0082】
b)[2−(2−tert−ブトキシカルボニルメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステルの製造
[4−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(60mg、0.16mmol)をDMF(1ml)中に溶解し、炭酸カリウム(32mg、0.23mmol)を加える。10分間室温で撹拌後、tert−ブチル−2−酢酸ブロモ(46mg、0.23mmol)を加え、懸濁液を16時間RTで撹拌する。反応混合物を蒸発させる。残渣を水およびEtOAcで分配し、有機相を塩水で洗浄する。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。残渣を溶離剤としてEtOAc:イソヘキサン1:1を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[2−(2−tert−ブトキシカルボニルメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステルを得る;[MH−tBu]=443。
【0083】
c)[2−(2−カルボキシメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸の製造
[2−(2−tert−ブトキシカルボニルメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸メチルエステル(60mg、0.12mmol)をTHF(1ml)中に溶解させ、2MのNaOH(0.12mL、0.24mmol)を加える。3時間RTで撹拌後、2MのHCl(0.12ml)を加え、反応混合物を蒸発乾燥させる。残渣を水およびEtOAcで分配する。有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させる。残渣をCHClでトリチュレートし、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸を得る;MH=429。
【0084】
下記実施例は上記実施例1の方法を使用して製造された。
【化11】

MHはモノアイソトピック分子量を意味する。
記載されているときを除きR=R=Hであり、X=CHであり、Y=0であり、w=1である。
【表2】

【表3】

【0085】
医薬的使用およびアッセイ
以後“本発明の薬剤”と代替的に記載する、式(I)および(Ia)の化合物ならびにこれらの薬学的に許容される塩は、医薬として有用である。特に、該化合物は有効なCRTh受容体アンタゴニスト活性を有し、そして以下のアッセイで試験できる。
【0086】
シンチレーション近接アッセイ(SPA)プロトコール
膜をK562またはヒトCRTh受容体で安定にトランスフェクトされた発現チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞から製造した。
【0087】
アッセイを100μLの最終容量の96−ウェルU底ポリプロピレンプレート中で行い、下記の通りのアッセイ要素を加える:DMSO/アッセイバッファー(25μL)、HプロスタグランジンD(PGD)(25μL)およびCRTh膜断片(50μL)中の試験化合物。アッセイを60分間振動しながら環境温度でインキュベートし、次いでフィルタープレートで回収する。プレートを2時間乾燥させ、Micro−Scint 20(登録商標)(50μL)を加え、TopSeal−S(登録商標)で密閉する。プレートを、次いでそれぞれのウェルを20分間Packard Top Count装置を使用してカウントする。Ki値をSigma Plot(登録商標)ソフトウェアを使用して測定する。
【0088】
CRTHcAMPアッセイプロトコール
試験化合物を、アッセイ刺激バッファー/DMSO中に製造し、5μL/ウェルをアッセイプレート(384ウェル、白色optiplate)に加える。
【0089】
CRTh受容体で安定にトランスフェクトされたCHO細胞をアッセイ刺激バッファー中で4×10/mLの濃度に調製し(組織培養フラスコから分離し、PBS中で洗浄する)、アッセイプレート(10μL/ウェル)に加える。
【0090】
アッセイプレートを室温で15分間、振盪機でインキュベーションする。
アゴニスト(10nM プロスタグランジンD)および5μM ホルスコリンの混合物をアッセイ刺激バッファー中に製造し、アッセイプレート(5μL/ウェル)に加える。
【0091】
さらに、cAMP標準物をアッセイ刺激バッファーで連続的に希釈し、アッセイプレート(20μL/ウェル)上、空のウェルに分離して加える。
アッセイプレートを室温で60分間、振盪機でインキュベーションする。
【0092】
細胞溶解バッファー(Alphascreen(登録商標)受容体ビーズおよびビオチン化cAMPを含む溶解バッファー)を添加60分前に暗条件下で調製する。Alphascreen(登録商標)受容体ビーズを60分後、溶解混合物に加える。得られた溶解混合物を、アッセイプレート(40μL/ウェル)のすべてのウェルに加える。
【0093】
アッセイプレートをTopseal−S(登録商標)で密閉し、そして暗室、室温で45分間、振盪機でインキュベーションする。プレートを次いで、Packard Fusion(登録商標)装置を使用してカウントする。
【0094】
得られたカウント/分を、製造したcAMP標準曲線を使用して、nM cAMPに変換する。IC50値を次いでPrism(登録商標)ソフトウェアを使用して決定する。
【0095】
本明細書の実施例の化合物は、一般的にSPA結合アッセイにおいて、1μM以下のKi値を有する。化合物はまた一般的に機能的アッセイにおいて、1μM以下のIC50値を有する。
【0096】
下記の実施例の化合物は、一般的にSPA結合アッセイにおいて、1μM以下のKi値を有する。例えば、実施例2および13の化合物は、各々0.0.008および0.058μMのKi値を有する。
【0097】
下記の実施例の化合物は、一般的に機能アッセイにおいて、1μM以下のIC50値を有する。例えば、実施例2および13の化合物は、各々0.068および0.052μMのIC50値を有する。
【0098】
遊離形または塩形の式(I)および(Ia)の化合物は、Th2細胞、好酸球および好塩基球上に発現されるGタンパク質共役化学誘因物質受容体CRThのアンタゴニストである。PGDは、CRThに対する天然リガンドである。したがって、CRThおよびPGDの結合を阻害するアンタゴニストは、アレルギーおよび炎症状態の処置において有用である。本発明にしたがう処置は、対症的または予防的であり得る。
【0099】
したがって、本発明の薬剤は炎症性または閉塞性気道疾患の処置において有用であり、例えば、組織損傷、気道炎症、気管支過反応性、リモデリングまたは疾患の進行の減少をもたらす。本発明が適用できる炎症性または閉塞性気道疾患は、例えば内因性(非−アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度の喘息、中度の喘息、重度の喘息、気管支炎喘息、運動誘発喘息、職業的喘息および下記の細菌感染誘導喘息を含む、いかなるタイプもしくは起源であれ、喘息を含む。喘息の処置はまた、喘鳴症候群を示し、主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、しばしば初期のまたは早期の喘息として同定される“喘鳴小児”と診断されるまたは診断できる、例えば、4または5歳以下の対象の処置を包含すると理解されるべきである。(便宜上、この特定の喘息状態は、“喘鳴小児症候群”と呼ぶ。)
【0100】
喘息の処置における予防効果は、症候発作、例えば、急性喘息または気管支収縮発作の頻度または重症度の減少、肺機能の改善または気道過反応性の改善により証明され得る。さらに、他の対症療法、すなわち症候発作を、それが起きたとき、制限もしくは中止するための、またはそれを意図した治療、例えば抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド)または気管支拡剤の必要性の減少により証明され得る。喘息における予防効果は、特に“モーニングディッピング(morning dipping)”になる傾向の対象において明らかになり得る。“モーニングディッピング”とは、喘息のかなりの割合に共通する、認識された喘息症候群であり、例えば約4−6a.m.の時間、すなわち、前に投与された何らかの喘息対症治療から通常相当離れた時間に起こる喘息発作により特徴付けられる。
【0101】
本発明が適用できる他の炎症または閉塞気道疾患および状態は、急性肺外傷(ALI)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、それらと関連する慢性気管支炎もしくは呼吸困難を含む慢性閉塞性肺(pulmonary)、気道もしくは肺嚢(lung)疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気腫、ならびに他の薬剤治療、特に、他の吸入薬剤治療の結果生じる気道過反応性の悪化を含む。本発明はまた、急性、アラキジン性(arachidic)、カタール性、クループ性、慢性もしくは結核様(phthinoid)気管支炎を含む、いかなるタイプもしくは起源であれ、気管支炎の処置に適用できる。さらに本発明が適用できる炎症性または閉塞性気道疾患は、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、いかなるタイプもしくは起源であれ、塵肺(しばしば気道の閉塞を伴い、慢性または急性であり、しばしば粉塵の繰り返し吸引により起こる、肺の炎症性の、一般に職業的な疾患)を含む。
【0102】
これらの抗炎症性活性、特に好酸球活性化の阻害関連を考慮して、本発明の薬剤はまた、好酸球関連疾患、例えば、好酸球増多症、特に、例えば、肺組織の病的好酸球性進入(それが気道および/または肺に影響する限り過好酸球増多症を含む)が関与する気道の好酸球関連疾患、ならびに、例えば、レフラー症候群に続発するもしくは併発する気道の好酸球関連疾患;好酸球性肺炎;熱帯好酸球増多症を含む寄生虫、特に後生動物の侵入;気管支肺アスペルギルス症;チャーグ・ストラウス症候群を含む結節性多発性動脈炎;好酸球性肉芽腫;および薬物反応誘導により起こる気道が影響する好酸球関連疾患の処置において有用である。
【0103】
本発明の薬剤はまた、皮膚の炎症もしくはアレルギー状態、例えば、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑症、過敏性血管炎、蕁麻疹、類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症および皮膚の他の炎症もしくはアレルギー状態の処置に有用である。
【0104】
本発明の薬剤はまた、他の疾患または状態、特に、炎症性要素を有する疾患または状態、例えば、目の疾患および状態の処置、例えば結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎;鼻に影響する疾患、例えばアレルギー性鼻炎;および自己免疫性血液疾患、例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆(pure red cell anaemia)および特発性血小板減少症を含む、自己免疫性反応が関与するか、自己免疫性要素を有する炎症性疾患;全身性エリテマトーデス;多発性軟骨炎;強皮症(sclerodoma);ウェゲナー肉芽腫;皮膚筋炎;慢性活性肝炎;重症筋無力症;スティーブン−ジョンソン症候群;特発性スプルー;自己免疫性炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎ならびにクローン病;内分泌性眼症;Grave病;サルコイドーシス;肺胞炎;慢性過敏性肺炎;多発性硬化症;原発性胆汁性肝硬変;ブドウ膜炎(前部および後部);乾性角結膜炎および春期角結膜炎;間質性肺線維症;乾癬性関節炎;およびネフローゼ症候群を有するまたは有さない糸球体腎炎、例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型ネフロパシーの処置のために使用され得る。
【0105】
本発明の薬剤で処置し得る他の疾患または状態は、敗血症性ショック;リウマチ性関節炎;骨関節症;増殖性疾患、例えば癌;アテローム性動脈硬化症;移植後の同種移植片拒絶反応;卒中;肥満;再狭窄;糖尿病、例えばI型糖尿病(若年性糖尿病)およびII型糖尿病;下痢性疾患;虚血/再かん流障害;網膜症、例えば糖尿病性網膜症もしくは高圧酸素−誘導網膜症;および上昇した眼圧もしくは眼球水性体液の分泌を特徴とする状態、例えば緑内障を含む。
【0106】
炎症状態、例えば、炎症性気道疾患の阻害における本発明の薬剤の有効性を、例えば、Szarka et al., J Immunol Methods, Vol. 202, pp. 49-57 (1997);Renzi et al., Am Rev Respir Dis, Vol. 148, pp. 932-939 (1993);Tsuyuki et al., J Clin Invest, Vol. 96, pp. 2924-2931 (1995);Cernadas et al., Am J Respir Cell Mol Biol, Vol. 20, pp. 1-8 (1999);およびWilliams and Galli, J Exp Med, Vol. 192, pp. 455-462 (2000)に記載の通り、気道炎症または他の炎症状態の動物モデル、例えば、マウスまたはラットモデルにおいて証明し得る。
【0107】
本発明の薬剤はまた、他の薬剤物質、例えば抗炎症剤、気管支拡張剤または抗ヒスタミン剤と組合せて使用するための、例えば、この薬剤の治療効果の増強剤としてまたはこの薬剤の必要用量もしくは潜在的副作用減少の手段として、特に閉塞性または炎症性気道疾患、例えば上記記載の疾患の処置において、共治療剤として有用である。本発明の薬剤は、固定された医薬組成物として他の薬剤物質と混合され得、または他の薬剤物質と別々に、他の薬剤物質の前に、同時にまたは後に投与され得る。したがって本発明は、上記記載の本発明の薬剤と、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤もしくは鎮咳剤、本発明の薬剤および同じもしくは異なる医薬組成物中にある該薬剤物質との組合せ剤を含む。
【0108】
このような抗炎症剤は、ステロイド、特に、グルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドもしくはモメタゾンフロエート;またはWO 02/88167、WO 02/12266、WO 02/100879、WO 02/00679(とりわけ実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のもの)、WO 03/035668、WO 03/048181、WO 03/062259、WO 03/064445およびWO 03/072592、WO 04/039827、WO 04/066920に記載のステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば、WO 00/00531、WO 02/10143、DE 10261874(2004)、WO 03/082280、WO 03/082787、WO 03/104195、WO 03/101932、WO 04/019935、WO 04/018429、WO 04/005229、WO 03//086294およびWO 04/26248に記載のもの;LTB4アンタゴニスト、例えば、米国特許第5,451,700号に記載のもの;LTD4アンタゴニスト、例えば、モンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えば、シロミラスト(Ariflo(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden),V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH 351591(Schering−Plough)、Arofylline (AlmirallProdesfarma)、PD189659(Parke−Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)、CC−10004(Celgene)、KW 4490(協和発酵工業)、WO 03/104204、WO 03/104205、WO 04/000814、WO 04/000839およびWO 04/005258 (Merck)、ならびにWO 98/18796およびWO 03/39544に記載のもの;A2aアゴニスト、例えば、EP 1052264、EP 1241176、EP 409595A2、WO 94/17090、WO 96/02543、WO 96/02553、WO 98/28319、WO 99/24449、WO 99/24450、WO 99/24451、WO 99/38877、WO 99/41267、WO 99/67263、WO 99/67264、WO 99/67265、WO 99/67266、 WO 00/23457、WO 00/77018、WO 00/78774、WO 01/23399、WO 01/27130、WO 01/27131、WO 01/60835、WO 01/94368、WO 02/00676、WO 02/22630、WO 02/96462およびWO 03/086408に記載のもの;A2bアンタゴニスト、例えば、WO 02/42298に記載のもの;およびベータ(β)−2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、フェノテロール、プロカテロール、およびとりわけ、フォルモテロールおよびその薬学的に許容される塩、およびWO 00/75114の式(I)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけ式
【化12】

の化合物およびその薬学的に許容される塩、ならびにWO 04/16601の式(I)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形)を含む(文献は本明細書の一部とする)。さらに、β−2−アドレナリン受容体アゴニストは、JP 05025045、WO 93/18007、WO 99/64035、US 2002/0055651、WO 01/42193、WO 01/83462、WO/02 66422、WO 02/70490、WO 02/76933、WO 03/024439、WO 03/072539、WO 03/042160、WO 03/091204、WO 03/042164、WO 03/099764、WO 04/016578、WO 04/022547、WO 04/032921、WO 04/037773、WO 04/037807、WO 04/039762、WO 04/039766、WO 04/045618、WO 04/046083、WO 04/033412、WO 04/037768、WO 04/037773およびEP 1440966の化合物を含む。
【0109】
このような気管支拡張剤は、抗コリン剤またはムスカリン受容体拮抗剤、特に、イプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム(tiotropium)塩およびCHF 4226(Chiesi)、またWO 01/04118、WO 02/51841、WO 02/53564、WO 03/00840、WO 03/87094、WO 04/05285、WO 02/00652、WO 03/53966、EP 0424021、米国特許第5,171,744号、米国特許第3,714,357号およびWO 03/33495に記載のものも含む。
【0110】
このような共治療抗ヒスタミン剤は、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライドを含む。
【0111】
本発明の薬剤およびステロイド、β−2アゴニスト、PDE4阻害剤またはLTD4アンタゴニストの組合せ剤は、例えば、COPDまたは、特に、喘息の処置に使用され得る。本発明の薬剤および抗コリン剤または抗ムスカリン剤、PDE4阻害剤、ドーパミン受容体アゴニストもしくはLTB4アンタゴニストの組合せ剤は、例えば、喘息または特に、COPDの処置に使用される。
【0112】
他の有用な本発明の薬剤と抗炎症性剤の組合せ剤は、ケモカイン受容体、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9、CCR−10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5のアンタゴニストとの組合せであり;特に有用なものは、CCR−3アンタゴニスト、例えばWO 2002/026723に記載、とりわけ4−{3−[(S)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−モルホリン−2−イルメチル]−ウレイドメチル}−ベンズアミドおよびWO 03/077907、WO 03/007939およびWO 02/102775に記載のものである。
【0113】
またとりわけ有用なのは、米国特許第6166037号、WO 00/66558およびWO 00/66559に記載のCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D;武田アンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770);およびCCR−5アンタゴニストである。
【0114】
本発明の薬剤は、適当な経路で、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル形で;非経腸的に、例えば、静脈内に;例えば、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において吸入により;例えば、アレルギー性鼻炎の処置において経鼻で;例えば、アトピー性皮膚炎の処置において皮膚に局所的に;または、例えば、炎症性腸疾患の処置において経直腸的に投与され得る。
【0115】
本発明はまた、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体とともに含む医薬組成物を提供する。該組成物は、共治療薬、例えば上記記載の抗炎症剤、気管支拡剤または抗ヒスタミン剤を含み得る。このような組成物を慣例の希釈剤または賦形剤およびガレヌス分野で既知の技術を使用して製造し得る。したがって、経口投薬形は、錠剤およびカプセルを含み得る。局所投与用製剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達システム、例えば、パッチの形であり得る。吸入用組成物は、エアロゾルもしくは他の噴霧可能製剤または乾燥粉末製剤を含み得る。
【0116】
本発明はまた、炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置のための薬剤の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形の前記態様のいずれかにおける本発明の化合物の使用を提供する。
【0117】
本発明はまた、炎症またはアレルギー状態を処置または予防するための処置法であって、治療有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を処置を必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0118】
該組成物が、エアロゾル製剤、好ましくは例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤、例えばHFA134aもしくはHFA227またはこれらの混合物を含むとき、1個またはそれ以上の当分野で既知の共溶媒、例えばエタノール(20重量%まで);および/または1個またはそれ以上の界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレート;および/また1個またはそれ以上の充填剤、例えばラクトースを含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは、好ましくは、例えば、所望により望む粒径分布の希釈剤または担体、例えばラクトース、および湿気による製造物の性能劣化に対する保護のための化合物と一緒に、10ミクロンまでの粒径を有する式(I)の化合物を含む。組成物が噴霧製剤を構成するとき、それは、好ましくは水、共溶媒、例えばエタノールまたはプロピレングリコールおよび安定剤(これは界面活性剤であり得る。)を含む賦形剤中、溶解または懸濁している式(I)の化合物を含む。
【0119】
本発明は、
(a)吸入可能形、例えば、エアロゾルもしくは他の噴霧可能構成物または吸入可能粒子、例えば、微粒子形の本発明の薬剤;
(b)吸入可能形の本発明の薬剤を含む吸入可能医薬;
(c)吸入デバイスに関連する吸入可能形の本発明の薬剤を含む医薬生成物;および
(d)吸入引可能形の本発明の薬剤を含む吸入デバイス
を含む。
【0120】
本発明の実施において、使用される本発明の薬剤の用量はもちろん、例えば、処置される特定の状態、所望の効果および投与経路に依存して変化する。一般的に、経口投与による適当な1日用量は、0.01−100mg/kgである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)
【化1】

〔式中、
Qは−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択され;
はOH、R1aS−、R1aO−およびR1aNR−から選択され{ここでR1a
【化2】

(式中、
1bおよびR1cは独立してH、C−C−アルキルであるか、それらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成する)である}
およびRは独立してH、C−C−アルキルから選択されるか、またはそれらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成し;
およびRは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、SO5a、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、−SR5b、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、アミノ、アミノ(C−C−アルキル)、C−C−アルキルアミノ(C−C−アルキル)、ジ(C−C−アルキル)アミノ(C−C−アルキル)、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、SONR5c5d、−C(O)NR5e5f、C−C−ヒドロキシアルキル、NR5gSO5h、NR5i(CO)R5j、SOR5k、C−C15芳香族性炭素環式基ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を有する、4から10員環ヘテロ環式基から選択され;
はH、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
はHまたはC−C−アルキルであり;RはC−C15−シクロアルキルであり;
およびR10は独立してはH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
Xは−CH−、−CH(C−C−アルキル)−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−であり;
Yは−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−であり;
11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
mおよびnはそれぞれ独立して、0−3の整数から選択され;
vは1−3の整数から選択され;そして
wは0−3の整数から選択される、ただしQがHであるとき、wが1−3の整数から選択され、式(1)の該化合物は[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸、[2−(2−カルボキシメトキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノキシ]−酢酸、2−{2−[2−(1カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−ベンジル]−4−クロロ−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸、2−(2−[(1−カルボキシエトキシ)−5−クロロ−3−メチル−ベンジル]−4−クロロ−6−メチル−フェノキシ)プロピオン酸、3’,3’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1−フェニレン)ビス−プロパン酸、2,2’−[メチレンビス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−2,1−フェニレン]オキシ]]ビス−酢酸、ジエチルエステル、2,2’−[メチレンビス[(3,4,6−トリクロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、4−[4−クロロ−2−[(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)メチル]フェノキシ]−ブタン酸一ナトリウム塩、4−[4−クロロ−2−[(4−クロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]−ブタン酸二ナトリウム塩、[4−クロロ−2−[(4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)メチル]フェノキシ]−酢酸、2,2’−[メチレンビス[(4−クロロ−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、[チオビス[(4,6−ジクロロ−o−フェニレン)オキシ]ジ−酢酸、3,3’−[メチレンビス[(3,4,6−トリクロロ−o−フェニレン)オキシ]]ジ−プロピオン酸、2,2’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸、または2,2’−[メチレンビス[(4−メチル−2,1−フェニレン)オキシ]]ビス−酢酸ジエチルエステルでない〕で示される化合物。
【請求項2】
Qが−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択され;
がOHおよび
【化3】

(式中、R1bおよびR1cが独立してH、C−C−アルキルから選択される)から選択され;
およびRがHであり;
およびRが独立してH、ハロゲン、ニトロおよびC−C−アルキルから選択され;
Xが−CH−、−CH(C−C−アルキル)−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−であり;
Yが−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−であり、(ここでR11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択される);
mおよびnが1であり;
vが1−3の整数から選択され;そして
wが1である
請求項1に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物。
【請求項3】
化合物が、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(Ia)
【化4】

〔式中、
Qは−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択され;
およびRはHであり;
はHまたはC−C−アルキルであり;
はHであり;
はC−C15シクロアルキルであり;
12およびR13は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、またはC−C−アルキルスルホニルであり;
Xは−CH−、S、−SO−または−SO−であり;そして
Wは1である〕で示される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−メトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−エトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−イソブトキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−イソプロポキシカルボニルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−ブロモ−2−(5−ブロモ−2−カルボキシメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−クロロ−2−(5−クロロ−2−シクロプロピルカルバモイルメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[4−フルオロ−2−(5−フルオロ−2−カルボキシメトキシ−ベンジル)−フェノキシ]−酢酸;
[2−(2−カルボキシメトキシ−5−フルオロ−ベンジル)−4−フルオロ−フェノキシ]−酢酸;
{4−クロロ−2−[2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−フェニルスルファニル]−フェノキシ)−酢酸;
{4−クロロ−2−[ベンゼンスルホニル−5−クロロ−2−カルボキシメトキシ]−フェノキシ酢酸;
4−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酪酸;
[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸;
2−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸;
3−[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンジル)−フェニル]−プロピオン酸;
[2−(2−カルボキシメトキシ−5−クロロ−ベンゾイル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸;および
[2−(2−カルボキシメトキシ−5−メタンスルホニル−ベンジル)−4−クロロ−フェノキシ]−酢酸から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項1−4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
請求項1−4のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項7】
CRTh受容体が介在する疾患の処置のための薬剤の製造のための請求項1−4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置のための薬剤の製造のための請求項1−4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1で定義される式(I)の化合物の製造法であって、
(i)(A)
がR1aS−、R1aO−またはR1aNRであり、(ここでR1a
【化5】

であり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである)である式(I)の化合物の製造のために、
がR1aS−、R1aO−またはR1aNR
(ここでR1a
【化6】

であり;そして
10はC−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性カルボン酸基から選択され;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである)である式(I)の化合物のエステル基−COOR10を開裂する
(B)
がOHであり;
Qが−COONであり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである式(I)の化合物の製造のために、
Qが−COORであり;
がOHであり;
がC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、またはC−C15−芳香族性カルボキシル基であり;そして
他の全ての記号が上記定義のとおりである式(I)の化合物のエステル基を適当に開裂するか;または
(C)
Qが−COORまたは−C(O)NRであり;
がC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、またはC−C15−芳香族性カルボキシル基であり;そして
およびRが上記定義のとおりである式(I)の化合物の製造のために、
Qが−COONである式(I)の化合物の適当なエステル化またはアミド化をする;そして
(ii)遊離形または薬学的に許容される塩形の得られた式(I)の化合物を回収する
段階を含む方法。
【請求項10】
式(111)
【化7】

〔式中、
Qは−C(O)ORであり;
およびRは独立してH、C−C−アルキルであるか、またはそれらが結合している炭素原子と一緒に、二価のC−C−脂環式基を形成し;
およびRは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、SONH、(C−C−アルキルアミノ)スルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル、アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニルならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を有する、4から10員環ヘテロ環式基から選択され;
はH、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;Xは−CH−、−CO−、−CH(OH)−、−CH(OC−C−アルキル)−、−C(ハロゲン)−、−O−、−S−、−SO−または−SO−であり;
Yは−O−、−S−、−CH−または−NR11(C−C−アルキル)−であり;
11はH、C−C−アルキル、C−C15−シクロアルキル、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基)、およびC−C15−芳香族性炭素環式基から選択され;
14はR1bおよびR1cは独立してHまたはC−C−アルキルである;−(CR1b1cCNであり
mおよびnはそれぞれ独立して、0−3の整数から選択され;
vは1−3の整数から選択され;そして
wは0−3の整数から選択される〕
で示される化合物。

【公表番号】特表2008−545672(P2008−545672A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512750(P2008−512750)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004844
【国際公開番号】WO2006/125593
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】