説明

有機半導体

式(I)の構造を含む有機半導性化合物(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は独立に単環式芳香族環を含み、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つは少なくとも1つの置換基Xで置換されており、その置換基Xは出現するたびに同一または異なっていてもよく、(i)1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリルまたはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖、または(ii)ハロゲン、ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル、アルキレン基ならびにスタンニル基からなる群から選択される重合性または反応性基からなる群から選択され、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ1個または複数のさらなる環と任意に縮合していてもよい)。有機半導性化合物は薄膜トランジスタ等の有機半導性デバイスにおける活性層として用いられる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には有機半導体材料、特に薄膜トランジスタの部品を形成するための有機半導体に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、2つの主要なタイプ、即ちバイポーラ接合トランジスタと電界効果トランジスタに分類することができる。両方のタイプとも、チャンネル領域においてその間に半導性材料が配置された3つの電極を備える共通の構造を有している。バイポーラ接合トランジスタの3つの電極は、エミッタ、コレクタおよびベースとして知られており、一方、電界効果トランジスタにおいては3つの電極はソース、ドレインおよびゲートとして知られている。バイポーラ接合トランジスタは、エミッタとコレクタとの間の電流がベースとエミッタとの間を流れる電流によって制御されるので、電流作動デバイスと記述することができる。対照的に、電界効果トランジスタは、ソースとドレインとの間を流れる電流がゲートとソースとの間の電圧によって制御されるので、電圧作動デバイスと記述することができる。
【0003】
トランジスタは、陽電荷キャリア(正孔)または陰電荷キャリア(電子)をそれぞれ導く半導性材料を含んでいるかによってp型とn型とに分類することもできる。半導性材料は、電荷を受容し、伝導し、供与する能力によって選択することができる。半導性材料の正孔または電子を受容し、伝導し、供与する能力は、材料をドープすることによって増強することができる。
【0004】
たとえば、p型トランジスタデバイスは、正孔の受容、伝導、および供与の効率が良い半導性材料を選択することと、半導性材料からの正孔の注入および受容の効率が良いソース電極およびドレイン電極のための材料を選択することによって、形成することができる。電極におけるフェルミ準位と半導性材料のHOMO準位とのエネルギー準位の整合を良くすることにより、正孔の注入および受容を増強することができる。対照的に、n型トランジスタデバイスは、電子の受容、伝導、および供与の効率が良い半導性材料を選択することと、半導性材料への電子の注入および半導性材料からの電子の受容の効率が良いソース電極およびドレイン電極のための材料を選択することによって、形成することができる。電極におけるフェルミ準位と半導性材料のLUMO準位とのエネルギー準位の整合を良くすることにより、電子の注入および受容を増強することができる。トランジスタは、薄膜に成分を堆積させて薄膜トランジスタ(TFT)を形成することによって形成することができる。そのようなデバイスにおいて半導性材料として有機材料を用いる場合、それは有機薄膜トランジスタ(OTFT)として知られている。
【0005】
OTFTは、溶液処理等の低コスト、低温の方法によって製造することができる。さらに、OTFTは可撓性のプラスチック基板との適合性が良く(compatible)、ロールツーロール法(roll-to-roll process)における可撓性基板上でのOTFTの大スケール製造が期待されている。
【0006】
図4を参照すると、ボトムゲート有機薄膜トランジスタ(OTFT)の一般的アーキテクチャは、基板10の上に堆積したゲート電極12を備えている。誘電体材料の絶縁層11はゲート電極12の上に堆積しており、ソース電極13およびドレイン電極14は誘電体材料の絶縁層11の上に堆積している。ソース電極13およびドレイン電極14は互いに離間して、ゲート電極12の上に位置する、それらの間のチャンネル領域を画定している。有機半導体(OSC)材料15は、ソース電極13とドレイン電極14とを接続するために、チャンネル領域に堆積している。OSC材料15は少なくとも部分的にソース電極13およびドレイン電極14の上に延在してよい。
【0007】
また、有機薄膜トランジスタの上部にゲート電極を設けて、いわゆるトップゲート有機薄膜トランジスタを形成することが知られている。そのようなアーキテクチャにおいては、ソース電極およびドレイン電極は基板上に堆積し、互いに離間しており、それらの間のチャンネル領域を画定している。有機半導体材料の層はチャンネル領域に堆積してソース電極とドレイン電極とを接続し、少なくとも部分的にソース電極およびドレイン電極の上に延在してよい。誘電体材料の絶縁層は有機半導体材料の上に堆積し、これも少なくとも部分的にソース電極およびドレイン電極の上に延在してよい。ゲート電極は絶縁層の上に堆積し、チャンネル領域の上に位置している。
【0008】
有機薄膜トランジスタは硬質または可撓性基板の上に作成することができる。硬質基板はガラスまたはケイ素から選択してよく、可撓性基板は薄いガラスまたはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリカーボネートおよびポリイミド等のプラスチックを含んでよい。
【0009】
有機半導性材料は、適切な溶媒を用いることによって溶液処理可能とすることができる。例示的な溶媒としては、トルエンおよびキシレン等のモノ−またはポリ−アルキルベンゼン;テトラリン;およびクロロホルムが挙げられる。好ましい溶液堆積技術としては、スピンコーティングおよびインクジェット印刷が挙げられる。他の溶液堆積技術としては、ディップコーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0010】
ソース電極およびドレイン電極の間に画定されるチャンネルの長さは500μmまででよいが、好ましくは長さは200μm未満、より好ましくは100μm未満、最も好ましくは20μm未満である。
【0011】
ゲート電極は広範囲の導電性材料、たとえば金属(たとえば金)または金属化合物(たとえばインジウムスズオキシド)から選択することができる。または、ゲート電極として導電性ポリマーを堆積させてもよい。そのような導電性ポリマーは、たとえばスピンコーティングまたはインクジェット印刷技術および前述の他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積させることができる。
【0012】
絶縁層は、大きな抵抗を有する絶縁材料から選択される誘電体材料を含む。誘電体の誘電率kは典型的には2〜3程度であるが、高いk値を有する材料が望ましい。というのは、OTFTのために達成可能な静電容量はkに正比例し、ドレイン電流IDは静電容量に正比例するからである。したがって、低い操作電圧で大きなドレイン電流を得るためには、チャンネル領域に薄い誘電体層を有するOTFTが好ましい。
【0013】
誘電体材料は有機または無機であってよい。好ましい無機材料としては、SiO2、SiNxおよびスピンオンガラス(SOG)が挙げられる。好ましい有機材料は一般にポリマーであり、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリレート、フッ素化ポリマーおよびDow Corningから入手可能なベンゾシクロブタン(BCB)等の絶縁ポリマーが挙げられる。絶縁層は材料のブレンドから形成されるか、または多層構造を含んでもよい。
【0014】
誘電体材料は、熱蒸発、真空プロセッシングまたは当技術で既知のラミネーション技術によって堆積させることができる。または、誘電体材料はたとえばスピンコーティングまたはインクジェット印刷技術および前述の他の溶液堆積技術を用いて溶液から堆積させることができる。
【0015】
誘電体材料を溶液から有機半導体の上に堆積させる場合には、それは有機半導体の溶解をもたらしてはならない。同様に、有機半導体を溶液から誘電体材料の上に堆積させる場合には、誘電体材料は溶解してはならない。そのような溶解を防ぐ技術としては、直交(orthogonal)溶媒の使用、たとえば下層を溶解しない、最上層の堆積のための溶媒の使用、および下層の架橋が挙げられる。
【0016】
絶縁層の厚みは好ましくは2μm未満、より好ましくは500nm未満である。
【0017】
有機半導体は、電子の運動を可能にする、広く共役したπ系を有する有機分子の種類である。
【0018】
これらの分子の調製のための好ましい方法は、たとえばWO2000/53656に記載されたSuzuki反応(カップリングまたは重合反応)および、たとえばT.Yamamoto、「Electrically Conducting And Thermally Stable pi−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」、Progress in Polymer Science 1993、17巻、1153〜1205頁に記載されたYamamoto重合である。これらの技術は両方とも、金属錯体触媒の金属原子がアリール基とモノマーの脱離基との間に挿入される「金属挿入」を経由して作用する。Yamamoto重合の場合にはニッケル錯体触媒が用いられ、Suzuki反応の場合にはパラジウム錯体触媒が用いられる。
【0019】
たとえば、Yamamoto重合による直鎖状ポリマーの合成においては、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーが用いられる。同様に、Suzuki反応の方法によれば、少なくとも1つの反応性基はボロン酸またはボロン酸エステル等のホウ素誘導基であり、他の反応性基はハロゲンである。好ましいハロゲンは塩素、臭素およびヨウ素、最も好ましくは臭素である。
【0020】
その代わりに、重合またはカップリング反応(Stille反応)における反応性基としてスタンニル基を用いてもよい。
【0021】
有機半導体の性能は、典型的にはその「電荷移動度」(cm2-1-1)の測定によって評価される。これは正孔または電子の移動度のいずれかに関連する可能性がある。この測定は、材料を横切る印加電場への電荷キャリアのドリフト速度に関連する。
【0022】
比較的大きな移動度を有する有機半導体は、広く共役した硬い平面構造を有する化合物を含むものである傾向があり、これにより固体状態における効率的かつ効果的なπ−πスタッキングが可能となる。
【0023】
WO2007/068618には、各々がアセチレン基で置換された中央ベンゼン環を有する縮合芳香族環の配列を含む種々の有機半導体が記載されている。
【0024】
JP2007/088222およびWO2007/116660には、小分子、オリゴマーおよびポリマー形態におけるベンゾジチオフェンおよびその誘導体の有機半導体としての使用が記載されている。
【0025】
しかし、化合物にそのようなπ−πスタックを形成させるために必要な共役レベルの増大は、また、半導体のバンドギャップおよび安定性の低下をもたらし、そのため性能が低下し、寿命が短くなる可能性がある。さらに、これらの化合物は広い共役を達成するために必要な分子サイズが原因で非常に溶解性が低いことがあり、そのため合成において特定の問題を引き起こし、インクジェット印刷等の効率的なトランジスタ製造法におけるそれらの使用を困難にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、高い移動度、良好な溶解性および良好な安定性(特に酸化に対する安定性等の周囲環境における安定性)を有する有機半導体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
第1の態様においては、本発明は式(I):
【化1】

(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は独立に単環式芳香族環を含み、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つは少なくとも1つの置換基Xで置換されており、その置換基Xは出現するたびに同一または異なっていてもよく、(i)1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリルまたはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖、または(ii)ハロゲン、ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル、アルキレン基ならびにスタンニル基からなる群から選択される重合性または反応性基からなる群から選択され、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ1個または複数のさらなる環と任意に縮合していてもよい)
の有機半導性化合物を含む有機半導性デバイスに関する。
【0028】
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4基は炭素環式またはヘテロ環式芳香族であってよい。好ましくは、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は独立にベンゼンまたはチオフェンである。
【0029】
好ましくは、複数の置換基Xが導入される。少なくとも1つの非末端環(Ar1またはAr2)が置換されていることが好ましい。1つの好ましい実施形態においては、少なくとも2つの置換基Xが同一の芳香族環、好ましくはAr1の上に導入される。
【0030】
上述の戦略的に位置付けられた置換基Xによって溶解性が増大し、化合物を溶液処理することが可能になる。さらに、これらの置換基によって、化合物のメソゲン(mesogenic)領域が自己整列して最密ラメラシートの位置規則的構造を取ることが可能になる。
【0031】
可溶化のための好ましい置換基は、アルキル基、好ましくはC4〜C18アルキル、最も好ましくはオクチル(octy)、デシルおよびヘキサデシル(hexydecyl)である。
【0032】
一方、本発明の化合物によって与えられる大きな硬い同一平面構造によって、π共役が拡張し、分子間および分子内移動度が増大する。
【0033】
好ましくは、Ar2〜Ar4のいくつかまたは全部はヘテロ環式芳香族基を含む。
【0034】
式(I)の化合物は1つまたは複数のさらなるアリール基と縮合していてもよい。したがって、1つの好ましい実施形態においては、さらなるアリール基Ar5がAr3と縮合して構造:
【化2】

を与える。
【0035】
さらなるアリール基Ar5はヘテロ環式芳香族基を含んでよい。この場合には、置換基Xは好ましくは少なくとも1つまたは複数の非末端アリール基Ar1、Ar2およびAr3の上に導入される。
【0036】
Ar4およびAr5の各々は任意に置換される。
【0037】
ある実施形態においては、Ar4はさらなるアリール系Ar6と縮合して構造:
【化3】

(式中、アリール系Ar6は任意に置換され、ヘテロ環式芳香族基を含んでもよい)
を与えてもよい。
【0038】
この場合には、置換基Xは好ましくは1つまたは複数の非末端アリール基Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の上に導入される。
【0039】
いくつかの実施形態においては、Ar5はさらなるアリール系Ar7と縮合して構造:
【化4】

(式中、アリール系Ar7は任意に置換され、ヘテロ環式芳香族基を含んでもよい)
を与える。
【0040】
この場合には、置換基Xは好ましくは1つまたは複数の非末端アリール基Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5の上に導入される。
【0041】
上記の構造は4〜7個の縮合環を有する化合物を説明するが、これらの化合物にまださらなる環を縮合させて8個以上の縮合環にわたって共役を延在させた化合物を形成させ得ることが理解されよう。
【0042】
好ましくは、構造IIは:
【化5】

(式中、Z1およびZ2は独立にS、O、SeまたはNRであり;W1およびW2は独立にS、O、Se、NRまたは−CR=CR−であり;RはHまたは置換基であり;X1およびX2は同一または異なっていてもよく、置換基Xから選択される)
を含む。
【0043】
好ましくは、構造IVは構造:
【化6】

(式中、V1およびV2は独立にS、O、Se、NR、NRまたは−CR=CR−である)
を含む。
【0044】
より好ましくは、構造IVは構造:
【化7】

を含む。
【0045】
好ましくは、構造I〜IVの末端アリール基の1つまたは両方は、1つまたは複数の置換基Xで置換されており、その置換基の1つは反応性もしくは重合性基または1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリル、アルキルもしくはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル鎖を含み、残りの基は独立に水素または1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリル、アルキルもしくはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル鎖を含む。
【0046】
反応性または重合性基は、好ましくは独立にハロゲン;ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル;アルキレン基;およびスタンニル基等の部分を含む。
【0047】
末端アリール基は1つだけの他のアリール基と縮合したアリール基を表し、たとえば構造IIIは末端アリール基Ar4およびAr3を有し、一方構造IVは末端アリール基Ar6およびAr7を有する。たとえば、構造IVは構造:
【化8】

(式中、X1〜X10は同一または異なっていてもよく、上述の置換基Xから選択される)
を含んでよい。
【0048】
いくつかの実施形態においては、化合物は構造I〜IVのいずれかを含む小分子を含む。他の実施形態においては、化合物は構造I〜IVのいずれかを含む繰り返し単位を有するオリゴマーまたはポリマーを含んでよい。
【0049】
1つの実施形態においては、有機半導性デバイスは薄膜トランジスタである。
【0050】
第2の態様においては、本発明は本明細書に記述した薄膜トランジスタを含む光学デバイスに関する。第2の態様の1つの実施形態においては、光学デバイスは有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。別の実施形態においては、光学デバイスは光起電デバイス(photovoltaic device)または光センサ等の光反応デバイスである。
【0051】
第3の態様においては、本発明は構造I〜IVの1つまたは複数を含む有機半導性化合物を提供する。
【0052】
さらなる態様においては、本発明は薄膜トランジスタを形成するための溶液に関し、該溶液は構造I〜IVの1つまたは複数を含む化合物を含む溶質および溶媒を有する。好ましくは、溶媒は置換されたベンゼン、好ましくはハロゲンおよびアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されたベンゼン、たとえばテトラリン、n−ブチルベンゼン、トルエン、クロロベンゼンおよび1,3,5−トリメチルベンゼンを含む群から選択される。
【0053】
好ましくは、式(I)の化合物の濃度は0.5重量/体積%、好ましくは1.0w/v%、最も好ましくは2.0w/v%を超える。この濃度は、可溶化基Xを導入することによって達成することができる。
【0054】
さらなる態様においては、本発明は構造I〜IVのいずれかを含む化合物を含む溶質を有する溶液を基板に塗布するステップを含む、トランジスタを形成する方法に関する。好ましくは、溶液はインクジェット印刷によって塗布される。
【0055】
さらなる態様においては、本発明は半導性化合物を合成するための方法に関し、該方法は1つまたは複数のさらなるアリール基を構造:
【化9】

(式中、Z1およびZ2は独立にS、O、SeまたはNRであり、RはHまたは置換基であり、X1およびX2は独立に(i)1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリルもしくはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル鎖(2つ以上の置換基Xは連結されて環を形成していてもよい)または(ii)ハロゲン、ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル、アルキレン基ならびにスタンニル基からなる群から選択される重合性または反応性基の1つを含む)
を含む化合物に縮合させるステップを含み、さらなるアリール基の1つまたは複数はヘテロ環式であってよい。
【0056】
好ましくは、構造I〜IVはSuzuki反応(これは他の方法に伴う金属触媒残渣および微妙な反応条件の問題が回避できるので望ましい)とこれに続く酸誘起分子内環化(acid induced intramolecular cyclization)反応によって合成される。
【0057】
本発明による例示的な化合物としては以下:
【化10】

(式中、X11〜X13は同一または異なっていてもよく、上述の置換基Xから選択される)
が挙げられる。
【0058】
これらの化合物の重合は、必要であればSuzuki、StilleまたはYamamoto重合等の技術を用いて実施することができる。そのような重合によって形成される例示的なポリマーは以下の通りである:
【化11】

【0059】
ここで本発明の実施形態を、例のためにのみ、付随する図面を参照して記述する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】中間体1〜4および実施例1にも記載した、本発明による化合物の合成を示す図である。
【図2】実施例1で合成した半導体を含む実施例3の有機電界効果トランジスタデバイスの性能データを示す図である。
【図3】実施例1で合成した半導体を含む実施例3の有機電界効果トランジスタデバイスの性能データを示す図である。
【図4】先行技術によるボトムゲート有機薄膜トランジスタの一般的アーキテクチャの概略図である。
【図5】本発明の実施形態によって共通の基板の上に作成した有機薄膜トランジスタおよび隣接する有機発光デバイスを含むピクセルの概略図である。
【図6】本発明の実施形態によって有機発光デバイスに積層関係で作成した有機薄膜トランジスタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の説明を通して、同様の参照数字は同様の部品を特定するために用いることとする。
【0062】
本発明による有機半導体は、以下に述べるSuzukiカップリング反応とそれに続く酸誘起分子内環化反応によって製造することができる[図1]。
【0063】
中間体1
【化12】

【0064】
窒素下の3−ブロモチオフェン(100g、0.61mol)のジエチルエーテル(750ml)溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(294.4ml、0.74mmol、ヘキサン中2.5M)を滴下して加えた。この温度でさらに20分撹拌した後、混合物をチューブを通してメチルジスルフィド(144.3g、1.53mmol)のジエチルエーテル(550ml)の氷冷溶液に移した。反応混合物を室温に加温し、この温度でさらに12時間撹拌した。水(500ml)を加え、有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。粗生成物を蒸留し、黄色オイルとして中間体1を得た(43.1g、54%、70℃、15mmHg)。
【0065】
中間体2
【化13】

【0066】
中間体1(42g、0.32mol)の撹拌された酢酸(200ml)溶液に15℃で、N−ブロモスクシンイミド(57.4g、0.32mol)を温度が15℃〜17℃に保たれるような速度で少しずつ加えた。得られた混合物を一夜放置して室温まで加温し、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水、NaHCO3飽和水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン)で精製して、無色オイルとして中間体2を得た(32g、48%)。
【0067】
中間体3
【化14】

【0068】
中間体2(18g、86.1mmol)のジクロロメタン(360ml)溶液に0℃で3−クロロ過安息香酸(31.2g、90.4mmol、50〜55%)を少しずつ加え、得られた溶液を室温で12時間、撹拌した。反応混合物を水性Na2CO3で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、黄色オイルとして中間体3を得た(15.2g、78%)。これをさらに精製することなく用いた。1H NMR(CDCl3,400MHz)δppm 7.44(1H,d,J=6.3Hz)、7.36(1H,d,J=6.3Hz)、2.80(3H,s)。
【0069】
中間体4
【化15】

【0070】
中間体3(11.2g、49.75mmol)および2,5−ジオクチルフェニレン−1,4−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロレート)(12g、21.66mmol)のトルエン溶液を窒素で1時間脱気した。Pd(PPh34(1.25g、0.05mol%)を加え、続いてさらに5分後にK2CO3(10%、8.97g、64.90mmol)および数滴のAliquat 336溶液を加え、混合物を24時間、還流撹拌した。混合物をトルエンで希釈し、水相を分離し、有機物をセライトを通して濾過し、水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、ベージュ色固体として中間体4を得た(10.3g、HPLC 82%)。これをさらに精製することなく用いた。1H NMR(CDCl3,400MHz)δppm 7.60(2H,d,J=5.9Hz)、7.53(2H,d,J=5.9Hz)、7.14(2H,s)、2.70(6H,s)、2.52(4H.m)、1.48(4H,m)、1.20(20H,m)、0.85(6H,t,J=7.4Hz)。
【実施例1】
【0071】
【化16】

【0072】
中間体4(1g、1.69mmol)のEaton試薬(7ml)溶液を室温、暗所で48時間撹拌した。暗緑色溶液を氷水(100ml)に注ぎ、得られた粘着性の褐色固体をピリジン(60ml)に溶解し、溶液を18時間、還流撹拌した。混合物を冷却し、ジクロロメタン(600ml)に注ぎ、2M HClおよび水で充分に洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5%ジクロロメタン:ヘキサン)で精製して、白色固体として実施例1を得た(240mg、35%、HPLC 99.6%);融点(DSC)126.5℃。1H NMR(CDCl3,400MHz)δppm 7.57(2H,d,J=4.8Hz)、7.37(2H,d,J=4.8Hz)、3.27(4H,t,J=8Hz)、1.85(4H,m)、1.61(4H.m)、1.40(4H,m)、1.30(12H,m)、0.88(6H,t,J=7.4Hz)。
【実施例2】
【0073】
【化17】

【0074】
実施例1について述べたものと同様の方法で、Suzukiカップリング反応とそれに続く酸誘起分子内環化反応によって、実施例2を合成した。
【実施例3】
【0075】
活性層として実施例1の化合物を用いた有機電界効果トランジスタデバイスを、トップゲート−ボトムコンタクトデバイスで作成した。ガラス基板上にリフトオフすることによって、金のソースドレインコンタクトを画定した。チャンネル長さ10〜200μmおよび幅2mmを画定した。洗浄した基板上に実施例1の化合物を2%テトラリン溶液から1000rpmで60秒間スピンコーティングすることによって、デバイスを作成した。次いでフィルムをホットプレート上、80℃で10分間乾燥し、金属ブロック上で1分間冷却した。半導体層の上にフッ素系溶媒からフッ素化誘電体材料をスピンコーティングし、ホットプレート上、80℃で10分間乾燥し、金属ブロック上で1分間冷却した。観察された飽和における最高移動度は、チャンネル長さ100μmにおいて0.71cm2/Vsであった。オン/オフ比〜104が得られた。−40VのVgまたは16V/100nmのゲートフィールドにおける外挿法によって、接触抵抗27kΩ・cmが計算された[図2]。
【実施例4】
【0076】
活性層として実施例2の化合物を用いた有機電界効果トランジスタデバイスを、トップゲート−ボトムコンタクトデバイスで作成した。ガラス基板上にリフトオフすることによって、金のソースドレインコンタクトを画定した。チャンネル長さ10〜200μmおよび幅2mmを画定した。洗浄した基板上に実施例2の化合物を2%1,3,5−トリメチルベンゼン溶液から1000rpmで60秒間スピンコーティングすることによってデバイスを作成した。半導体溶液、基板およびスピンコーターチャックは、材料のスピンコーティングステップの直前に全て高温(80℃)に昇温した。次いでフィルムをホットプレート上、80℃で5分間乾燥し、金属ブロック上で1分間冷却した。半導体層の上にフッ素系溶媒からフッ素化誘電体材料をスピンコーティングし、ホットプレート上、80℃で10分間乾燥し、金属ブロック上で1分間冷却した。観察された飽和における最高移動度は、チャンネル長さ50μmにおいて0.05cm2/Vsであった。オン/オフ比10-5が得られた。−40VのVgまたは16V/100nmのゲートフィールドにおける外挿法によって、接触抵抗180kΩ・cmが計算された[図3]。
【0077】
得られる化合物は易溶解性であり、したがって基板上にインクジェット印刷することにより塗布して、図4に示されるような薄膜トランジスタにおける半導性層15を提供することができる。
【0078】
そのような有機薄膜トランジスタ(OTFT)の応用は、光学デバイス、好ましくは有機光学デバイスにおけるピクセルの駆動であろう。そのような光学デバイスの例としては、光反応性デバイス、特に光検出器、および発光デバイス、特に有機発光デバイスが挙げられる。OTFTはアクティブマトリックス有機発光デバイスへの使用、たとえばディスプレイ用途への使用に特に適している。
【0079】
図5に、共通の基板104の上に作成した有機薄膜トランジスタ100および隣接する有機発光デバイス(OLED)102を含むピクセルを示す。OTFT100は、ゲート電極106、誘電体層108、ソース電極110およびドレイン電極112、ならびにOSC層114を含む。OLED102は、アノード116、カソード118ならびにアノード116とカソード118との間に設けられたエレクトロルミネッセンス層120を含む。電荷輸送層、電荷注入層または電荷遮断層等のさらなる層をアノード116とカソード118との間に位置させてもよい。図5の実施形態においては、カソード材料118の層はOTFT100およびOLED102の両方を横切って延在しており、カソード層118をOSC層114から電気的に絶縁するために絶縁層122が設けられている。OTFT100およびOLED102の活性領域は、基板104の上にフォトレジスト124の層を堆積させ、これをパターン化して基板上にOTFT100およびOLED102の領域を画定することによって形成された、共通のバンク材料によって画定される。
【0080】
図5において、有機発光デバイス102を発光状態および非発光状態とで切り替えるため、ドレイン電極112は有機発光デバイス102のアノード116に直接接続される。
【0081】
図6に示す代替の配置においては、有機薄膜トランジスタ200は有機発光デバイス202への積層関係で(in a stacked relationship)作成することができる。そのような実施形態においては、有機薄膜トランジスタ202はトップゲートまたはボトムゲート配置のいずれかで上述のように組み立てられる。図5の実施形態のように、OTFT200およびOLED202の活性領域はフォトレジスト124のパターン化された層によって画定されるが、この積層配置においては、2つの分離されたバンク層(1つはOLED202のため、1つはOTFT200のため)がある。平坦化層204(パッシベーション層としても作用する)は、OTFT200の上に堆積する。例示的なパッシベーション層204としては、BCBおよびパリレンが挙げられる。有機発光デバイス202はパッシベーション層204の上に作成され、有機発光デバイス202のアノード116はパッシベーション層204およびバンク層124を通過する導電性ビア206によってOTFT200のドレイン電極112に電気的に接続されている。
【0082】
OTFTおよび光学活性領域(たとえば発光領域または光検知領域)を含む画素回路(pixel circuit)はさらなる要素を含んでもよいことが認識されよう。特に、図5および図6のOLED画素回路は、典型的には図示されている駆動トランジスタに加えて少なくとも1つのさらなるトランジスタおよび少なくとも1つのコンデンサ(capacitor)を含むことになる。本明細書に記載した有機発光デバイスは、トップ発光デバイスまたはボトム発光デバイスであってよいことが認識されよう。即ち、デバイスはデバイスのアノード側またはカソード側のいずれかを通して発光してよい。透明なデバイスにおいては、アノードとカソードの両方が透明である。透明カソードデバイスは(もちろん完全に透明なデバイスが望ましい場合を除いて)透明なアノードを有する必要はなく、したがってボトム発光デバイスに用いられる透明なアノードは、アルミニウム層等の反射性材料の層で置換または補充することができるということが認識されよう。
【0083】
透明なカソードはアクティブマトリックスデバイスに特に有利である。なぜなら、そのようなデバイスにおける透明なアノードを通る発光は、図6に示す実施形態から見られるように、発光ピクセルの下に位置するOTFT駆動回路によって少なくとも部分的に遮蔽され得るからである。
【0084】
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の厚みは5〜200nmの範囲であってよいが、典型的にはたとえば原子間力顕微鏡(AFM)で測定されるように50nmである。
【0085】
デバイスアーキテクチャには他の層が含まれてもよい。たとえば自己組織化単分子層(SAM)をゲート電極、ソース電極またはドレイン電極の上に設けるのに加えて、必要に応じて結晶性を増大させ、接触抵抗を低減し、表面特性を修復し、接着性を増大させるために、基板、絶縁層および有機半導性材料の上に設けてもよい。特にデバイス性能を改善するために、たとえば有機半導体の形態(特にポリマーの配列および結晶性)を改善することおよび特にk値が高い誘電性表面に対して電荷トラップをカバーすることによって、結合領域および有機領域を含む単分子層をチャンネル領域の誘電性表面に設けてもよい。そのような単分子層のための例示的な材料としては、アルキル長鎖を有するクロロ−またはアルコキシ−シラン、たとえばオクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0086】
疑いなく、当業者には他に多くの有効な選択肢が想起されるであろう。本発明は記述した実施形態に限定されず、以下の請求項の範囲内に存在する、当業者には明白な改変を包含することを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は独立に単環式芳香族環を含み、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つは少なくとも1つの置換基Xで置換されており、置換基Xは出現するたびに同一または異なっていてもよく、(i)1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリルまたはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖、または(ii)ハロゲン、ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル、アルキレン基ならびにスタンニル基からなる群から選択される重合性または反応性基からなる群から選択され、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ1個または複数のさらなる環と任意に縮合していてもよく、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つはヘテロ環式芳香族基を含む)
の有機半導性化合物を含む有機半導性デバイス。
【請求項2】
さらなるアリール基Ar5がAr3と縮合して式(II):
【化2】

(式中、Ar5は1つまたは複数の置換基Xで任意に置換された単環式芳香族環を表す)
の構造を与える、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項3】
アリール基Ar5がヘテロ環式芳香族基を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
Ar4がさらなるアリール系Ar6と縮合して式(III):
【化3】

(式中、Ar6は1つまたは複数の置換基Xで任意に置換された単環式芳香族環を表す)
の構造を与える、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
アリール系Ar6がヘテロ環式芳香族基を含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
Ar5がさらなるアリール系Ar7と縮合して式(IV):
【化4】

(式中、Ar7は1つまたは複数の置換基Xで任意に置換された単環式芳香族環を表す)
の構造を与える、請求項4または5に記載のデバイス。
【請求項7】
アリール系Ar7がヘテロ環式芳香族基を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
半導性化合物が構造:
【化5】

(式中、X1およびX2は同一または異なっていてもよく、置換基Xから選択され;Z1およびZ2は独立にS、O、SeまたはNR1であり;W1およびW2は独立にS、O、Se、NR1または−CR1=CR1−であり;R1はHまたは置換基である)
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
半導性化合物が構造:
【化6】

(式中、V1およびV2は独立にS、O、SeまたはNR1であり;W1およびW2は独立にS、O、Se、NR1または−CR1=CR1−であり;R1はHまたは置換基である)
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
半導性化合物が構造:
【化7】

を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
構造:
【化8】

(式中、X1〜X10は同一または異なっていてもよく、置換基Xから選択される)
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の半導性化合物。
【請求項12】
化合物がオリゴマーまたはポリマーを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスを含む薄膜トランジスタ。
【請求項14】
請求項13に記載の薄膜トランジスタを含む光学デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載の薄膜トランジスタを含むエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項16】
式(I):
【化9】

(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は独立に単環式芳香族環を含み、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つは少なくとも1つの置換基Xで置換されており、置換基Xは出現するたびに同一または異なっていてもよく、(i)1〜20個の炭素原子、アルコキシ、アミノ、アミド、シリルまたはアルケニルを有する任意に置換された直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖、または(ii)ハロゲン、ボロン酸、ジボロン酸ならびにボロン酸およびジボロン酸のエステル、アルキレン基ならびにスタンニル基からなる群から選択される重合性または反応性基からなる群から選択され、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ1個または複数のさらなる環と任意に縮合していてもよく、またAr1、Ar2、Ar3およびAr4の少なくとも1つはヘテロ環式芳香族基を含む)
の有機半導性化合物を含む溶質を含む、薄膜トランジスタを形成するための溶液。
【請求項17】
置換されたベンゼン、好ましくはハロゲンおよびアルキルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されたベンゼンを含む群から選択される溶媒を含む、請求項16に記載の溶液。
【請求項18】
請求項16または17に記載の溶液を基板に塗布するステップを含む、トランジスタを形成する方法。
【請求項19】
溶液がインクジェット印刷によって塗布される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数のさらなるアリール基を構造:
【化10】

(式中、Z1およびZ2は独立にS、O、Se、NR1またはNCHであり、R1はHまたは置換基であり、X1およびX2は同一または異なっていてもよく、請求項1で定義された置換基Xから選択され、またさらなるアリール基の1つまたは複数はヘテロ環式であってよい)
を含む化合物に縮合させるステップを含む、半導性化合物を合成する方法。
【請求項21】
縮合化合物がSuzukiカップリング反応によって合成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
【化11】

【化12】

から選択される構造を含む半導性化合物。
【請求項23】
式(I):
【化13】

(式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は請求項1から22のいずれか一項で定義され、式(I)の各単位は同一または異なっている)
の2つの単位を連結する単結合または二価のリンカー基を含む有機半導性化合物。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510454(P2012−510454A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538046(P2011−538046)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002735
【国際公開番号】WO2010/061176
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】