説明

有機電子素子の製造方法およびそれによって製造された有機電子素子

本発明は、基板上に金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次形成するステップを含む有機電子素子の製造方法であって、1)前記有機物層を形成する前に前記第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成するステップ、2)前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層を酸素プラズマ処理して金属酸化物層を形成するステップ、および3)前記金属酸化物層を不活性気体でプラズマ処理して除去するステップ、を含む有機電子素子の製造方法およびその方法によって製造された有機電子素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電子素子の製造方法およびそれによって製造された有機電子素子に関するものである。具体的には、有機電子素子の製造工程中、金属からなる電極表面上に形成される自然酸化物層を除去して電子または正孔の注入、抽出効率を向上させるだけでなく、寿命特性などを向上させられる有機電子素子の製造方法およびそれによって製造された有機電子素子に関するものである。
【0002】
本出願は2006年5月10日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0041872号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
有機電子素子とは正孔および電子を用いて電極と有機物との間における電荷交流を必要とする素子をいう。有機電子素子は動作原理によって下記のように大きく2つに分けることができる。第1に、外部の光源から素子に流入された光子によって有機物層からエキシトン(exiton)が形成され、該エキシトンが電子と正孔に分離し、該電子と正孔が各々他の電極に伝えられて電流源(電圧源)として用いられる形態の電気素子である。第2に、2つ以上の電極に電圧または電流を加えて電極と界面をなす有機物半導体に正孔および/または電子を注入し、注入された電子と正孔によって動作する形態の電子素子である。
【0004】
有機電子素子の例としては有機発光素子、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタなどが挙げられ、これらは全て素子を駆動するために正孔の注入、抽出または輸送物質、電子の注入、抽出または輸送物質、または発光物質を必要とする。
【0005】
以下では主に有機発光素子について具体的に説明するが、前記有機電子素子においては正孔の注入、抽出または輸送物質、電子の注入、抽出または輸送物質、または発光物質が類似する原理によって作用する。
【0006】
一般的に有機発光現象とは有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を用いる有機発光素子(OLED;Organic Light Emitting Device)は通常正極と負極およびこれらの間に備えられた有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は有機発光素子の効率と安全性を高めるためにそれぞれ異なる物質からなる多層構造で形成される場合が多く、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧を印加すると、正極からは正孔が、負極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が結合した時にエキシトン(exciton)が形成され、該エキシトンが再び基底状態に落ちる時に光が出る。このような有機発光素子は自発光、高輝度、高効率、低駆動電圧、広視野角、高コントラスト、高速応答性などの特性を有すると知られている。
【0007】
当技術分野では様々な種類の有機発光素子が公知されており、これらは相異なる用途のために用いられ得る。有機発光素子には前面発光型有機発光素子、背面発光型有機発光素子、および両面発光型有機発光素子がある。
【0008】
背面発光型有機発光素子がアクティブマトリクスディスプレイに用いられると、薄膜トランジスタ(TFT)が発光源の前面に配置されることによって有効ディスプレイ領域の比(開口率)が減少する。このような問題はより多い数のTFTの利用を必要とするより精巧なディスプレイを製作する場合に一層目立つ。背面発光型有機発光素子の場合には一般的に40%未満の開口率を有し、例えば14″級のためのTFTを用いるWXGA型ディスプレイに予測される開口率は20%未満である。このような少ない開口率はOLEDの駆動電力消費および寿命に悪影響を及ぼす。
【0009】
前面発光型有機発光素子は前記のような問題を解決することができる。前面発光型有機発光素子において、下部基板に接しない電極、すなわち上部電極は可視光線領域において実質的に透明である。前記前面発光型有機発光素子の上部電極を形成するために用いられる透明な電極材料の例としてはIZO(インジウム亜鉛酸化物)またはITO(インジウムスズ酸化物)のような伝導性酸化物が挙げられる。その反面、基板と接する電極は通常金属からなる。また、両面有機発光素子も前面有機発光素子と同じように透明な上部電極を含む。
【0010】
前面発光有機発光素子を製作する時、基板上に金属電極を蒸着した後には金属電極の表面上に望まない自然酸化物層が形成される。具体的に、有機発光素子の製造工程においては、金属電極をフォトリソグラフィーとエッチング工程などの技術を用いてパターニングする工程中に外部の水分と酸素に露出して金属電極上に自然酸化物(native oxide)層が形成される。
【0011】
前記自然酸化物層は前記金属電極の特性、すなわち電子注入や正孔注入を妨害し、それによって有機発光素子の効率および輝度を悪化させる。
【0012】
前記金属電極上への自然酸化物層の形成を防止するための1つの方法は蒸着された金属電極上にインシチュ(in situ)で有機物層を形成することである。この方法において、金属電極は空気に露出しないために酸化物層が金属電極の表面上に形成されない。しかし、真空状態下で工程を進行するのは高費用で、工程が難しい。また、原材料供給者は時々表面上に金属電極が積層された基板を、有機物を蒸着する前に空気に露出した状態で供給する。
【0013】
したがって、金属電極上に形成される自然酸化物層の存在にもかかわらず、電子注入または正孔注入特性が向上した有機発光素子およびその製作方法に対する開発が求められており、このような要求は前述した他の有機電子素子においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2006−0041872号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、有機電子素子の製造工程中に金属電極上に形成される自然酸化物層を除去して前記金属電極の電子または正孔注入、抽出特性を向上させ、効率上昇、駆動電圧の下降、寿命上昇、および安定性の上昇などの特性を向上させる有機電子素子の製造方法およびそれによって製造された有機電子素子を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基板上に金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次形成するステップを含む有機電子素子の製造方法であって、
1)前記有機物層を形成する前に前記第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成するステップと、
2)前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層を酸素プラズマ処理して金属酸化物層を形成するステップ、および
3)前記金属酸化物層を不活性気体でプラズマ処理して前記第1電極上の自然酸化物層を除去するステップを含む有機電子素子の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次積層した形態で含み、製造工程中、前記第1電極を形成した後、有機物層を形成する前に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成し、形成された層に酸素プラズマ処理および不活性気体プラズマ処理を順次行って第1電極上の自然酸化物層が除去されていることを特徴とする有機電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、有機電子素子の製造時、金属からなる電極上に電極より酸化力の大きい金属を用いて層を形成した後にプラズマ処理することにより、前記金属によって電極上に形成される自然酸化物層を効果的に除去することができ、それにより、電極の電子または正孔の注入、抽出特性を向上させ、それに伴って素子の電子注入効率、駆動電圧減少などの特性、および寿命特性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に一実施状態に係るプラズマ処理による有機発光素子電極上の自然酸化物層の除去方法をステップ別に示す図である。
【図2】実施例1によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図3】実施例2によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図4】実施例3によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図5】比較例1によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図6】比較例2によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図7】比較例3によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図8】比較例4によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図9】比較例5によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図10】比較例6によって製造された有機発光素子の電子注入特性を示す図である。
【図11】本発明の一実施状態による基板1、アノード2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子注入層6、およびカソード7からなる有機発光素子の例を示す図である。
【図12】本発明の一実施状態による基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、および有機物層13からなる有機薄膜トランジスタの例を示す図である。
【図13】本発明の一実施状態による基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、および有機物層13からなる有機薄膜トランジスタの例を示す図である。
【図14】本発明の一実施状態による基板14、アノード15、電子供与体層16、電子受容体層17、およびカソード18からなる有機太陽電池の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る有機電子素子の製造方法は、基板上に金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次形成するステップを含み、前記有機物層を形成する前に前記第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成し、プラズマで処理するステップをさらに含むことを特徴とする。ここで、前記第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成するステップにおいて、前記層が形成された後に酸化還元反応によってどのような形態に変換するかに関わらず、前記層を形成する材料は前記第1電極より酸化率の高い金属そのものである。
【0022】
有機電子素子を製造する時、第1電極がパターニング工程途中またはその後に大気中に露出し、その上部に自然酸化物層(native oxide layer)、例えばアルミニウム酸化物(Al)層が形成される。前記自然酸化物層は第1電極の電子または正孔の注入、抽出特性を妨げる。その結果、有機電子素子が動作し難くなる。
【0023】
しかし、本発明では、有機物層を形成する前に第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成してプラズマ処理することにより、有機電子素子の製造工程中に第1電極上に形成される自然酸化物層を除去することができる。より具体的に説明すれば次の通りである。
【0024】
本発明において、酸化率とは酸素と反応して酸素含有量が反応前より多くなる反応をする程度を意味する。上記のように、第1電極上に第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成する場合、その層は実質的に前記第1電極上に形成される自然酸化物層上に形成される。この時、前記自然酸化物層とその上に形成される層の境界面には下記のような酸化還元反応が起こる:
[反応式1]
+yR −> xM+yRO
【0025】
前記反応式において、Mは第1電極を形成するために用いられた金属種であり、Rは第1電極上の層を形成するために用いられた金属種であって、第1電極を形成するために用いられた金属種より酸化率の大きい金属種であり、xおよびyはモル比である。
【0026】
言い換えれば、第1電極上に形成された自然酸化物層上に第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成すれば、前記自然酸化物層は第1電極を構成する金属より酸化率の大きい金属と反応する。このような反応により、第1電極上に形成された第1電極と関連した自然酸化物層の代わりに新たな金属層が形成され、その上には前記第1電極より酸化率の高い金属層の代わりに第1電極より酸化率の高い金属の酸化物層が形成される。
【0027】
例えば、第1電極がAlからなるカソードである逆構造の有機発光素子である場合、第1電極上に形成される自然酸化物層は酸化アルミニウム(Al)である。前記酸化アルミニウム層上にCaを用いて薄膜が蒸着される。この時、Caを用いて形成した薄膜は1〜10nmであることが好ましい。前記CaはAlと下記のように反応する:
[反応式2]
Al + Ca −> 2Al + 3CaO
【0028】
前記2つの物質間の反応は2つの新しい層を形成し、それによって有機発光素子の電子注入特性を向上させる。
【0029】
前記のような作用原理により、本発明では、金属からなる第1電極上に形成される自然酸化物層を除去することによって、電流の側面漏れを起こすことなく、前記金属からなる第1電極の電子の注入、抽出特性、または正孔の注入、抽出特性を向上させることができる。これにより、本発明に係る有機電子素子は電子または正孔の注入、抽出効率に優れるだけでなく発光特性および寿命特性などに優れる。
【0030】
前記第1電極より酸化率の高い金属は特に限定されないが、酸化物形成エネルギー(formation energy、ΔH°)がMgO形成エネルギー値である−635.09kJ/mol以上であることが好ましい。
【0031】
前記第1電極より酸化率の高い金属の例としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはこれらの混合物質が挙げられ、具体的にはCa、Mg、Ca/Ag、Mg/Agなどが用いられる。Liそのものは大気中で不安定であるために大気中では蒸着し難いこともあるが、Liそのものを安定に蒸着できる方法を用いる場合にはLiを用いることもできる。
【0032】
アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の熱化学データの一例を示す下記表1を参照すれば、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの混合物質はその強い酸化力によって金属からなる第1電極表面の酸素を奪って自然酸化物層の形成を防止するだけでなく、既に形成された自然酸化物層と反応して自然酸化物層を減少または除去することができる。
【0033】
【表1】

【0034】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成する層は熱蒸着、スパッタリング、電子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着などの方法によって形成することができるが、これらの方法に限定されるものではない。具体的な例として、前記第1電極より酸化率の高い金属を用いた層は10−7torr程度で約10〜20秒間600℃〜900℃の温度範囲で真空熱蒸着して形成することができる。但し、この場合に前記金属が蒸着される電極は常温に維持することが好ましい。また、前述したように前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成する層が層として形成された後に酸化還元反応によって酸化物層に変換するとしても、層を形成する材料は前記第1電極より酸化率の高い金属そのものでなければならない。前記層を金属酸化物で形成すると、前述した作用原理による効果を得ることができない。
【0035】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層は1層以上のサブ層(sub−layer)を含むことができる。
【0036】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層はその厚さが比較的に薄く形成されることが好ましい。特に1〜10nmであることが好ましい。前記範囲で電子または正孔の注入、抽出を妨害する自然酸化物層を効果的に減少または除去することができる。このように、数nm程度の厚さの層をなす、第1電極より酸化率の高い金属は、前記金属からなる第1電極上の自然酸化物層と部分的または全体的に反応するか、周辺空気または水分と反応して酸化物を形成することができる。
【0037】
前記2)ステップによれば、第1電極上の自然酸化物層上に形成した前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層を酸素プラズマで処理して金属酸化物層を形成することができる。上記のように、酸素プラズマ処理は、自然酸化物層と第1電極より酸化率の高い金属との反応を促進して自然酸化物層の結合エネルギーを下げる。そうすると、自然酸化物層は既存酸化物(例えば、アルミニウムオキサイド(Al))より結合エネルギーの低い金属酸化物層(例えば、アルミニウムカルシウムオキサイド(AlCaO))の形態に変換する。前記酸素プラズマの処理条件は、RFパワー60〜100W、酸素流量20〜50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)、圧力10〜20mtorr、および処理時間30〜100秒であることが好ましい。
【0038】
前記3)ステップによれば、前記第1電極上の酸化物層を不活性気体、好ましくはイオン質量の大きい不活性気体によってイオン衝突効果を用いたプラズマエッチングを行い、それによって酸化物層が容易に剥がれるために酸化物層を完全に除去することができる。イオン衝突エッチングの代わりに乾式エッチングを行う場合には酸化物層が除去されることなくそのまま残る。
【0039】
前記イオン質量の大きい不活性気体としてはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)またはラドン(Rn)が好ましく(Ar<Kr<Xe<Rn)、特にアルゴンがより好ましい。前記不活性気体プラズマの処理条件は、RFパワー300〜600W、不活性気体流量5〜20sccm、圧力5〜20mtorr、および処理時間200〜500秒であることが好ましい。
【0040】
すなわち、本発明に係る自然酸化物層の除去方法は、酸素プラズマ処理によって、有機電子素子の第1電極上に存在する自然酸化物層と前記第1電極より酸化率の高い金属の反応を促進して自然酸化物層の結合エネルギーを下げると同時に、イオン質量の大きい不活性気体によってイオン衝突効果を用いたプラズマエッチングを行うことによって酸化物層が容易に剥がれるために、有機発光素子の第1電極上に存在する自然酸化物層を効率的に除去することができる。
【0041】
前記第1電極より酸化率の高い金属は第1電極表面のエネルギー準位を変える役割をすることによってトンネリングによって電子または正孔の注入、抽出を容易にする。
【0042】
一般的に、有機電子素子において、隣接したピクセル間の漏れ電流は好ましくないと知られている。本発明の一実施状態によれば、第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成する層を、シャドウマスクを用いて前記第1電極の表面のうちの選択的な領域だけに形成して、1つのピクセルに連結された層が隣接したピクセルに連結されないようにすることによって側面漏れ電流を避けることができる。
【0043】
アクティブマトリクス有機電子素子の構造において、ピクセルは絶縁構造によって側面に分離し得る。本発明により、上記のようなシャドウマスクを用いて第1電極上の選択的な領域だけに層を形成する場合、その層が隣接したピクセル間の側面絶縁構造にかけて拡張されないために側面漏れ電流を防止することができる。
【0044】
本発明に係る有機電子素子は、前記のような第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層を第1電極と有機物層との間に備えることを除いては、本発明分野における公知の方法によって第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を公知の材料で形成することができる。
【0045】
前記第1電極は1層以上の金属層からなってもよい。前記第1電極を形成するために用いられる金属の例としてはアルミニウム、モリブデン、クロム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、銀、スズ、および鉛またはこれらの合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記例のうち、反射度が比較的に高い(>50%)アルミニウム電極がより好ましい。前記金属材料は熱蒸着またはスパッタリングなどによる蒸着法によって基板上に蒸着することができる。また、フォトリソグラフィーとエッチング方法のような当技術分野に知られている方法によってパターニングして電極として形成することができる。
【0046】
本発明の一実施状態によれば、前記有機電子素子は図11の構造を有する有機発光素子でありうる。すなわち、基板1上にアノード2を形成し、その上に正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5または電子輸送層6などの有機物層を形成した後、その上にカソード7を蒸着することができる。
【0047】
前記有機発光素子は前面発光型、背面発光型、および両面発光型に適用することができ、特に前面発光型または両面発光型に適用するときに有利である。
【0048】
前記有機発光素子は、第1電極がアノードであり、第2電極がカソードである正構造の有機発光素子であり得、この場合、前記第1電極と有機物層との間に形成された層によって素子の正孔注入特性を向上させることができる。また、本発明に係る有機発光素子は、第1電極がカソードであり、第2電極がアノードである逆構造の有機発光素子であり得、この場合、前記第1電極と有機物層との間に形成された層によって素子の電子注入特性を向上させることができる。
【0049】
前記第2電極は透明な導電物質からなってもよい。第1電極と同じように、第2電極は1層以上の層からなってもよい。本発明に係る有機発光素子が前面発光型または両面発光型である場合、第2電極は光を透過すべきであるため、第2電極材料として一般的に反射性が低く透明な材料が用いられる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)が用いられる。
【0050】
前記有機物層は有機物質の種類に応じて単層、または2層以上の多層構造でありうる。すなわち、正孔および電子輸送特性を有すると共に発光特性を有する有機物質を用いる場合に前記有機物層を単層構造で形成することができる。一方、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送、および電子注入特性のうちの1つ以上の機能を有する有機物質からなる有機物層を2層以上積層することによって有機物層を多層構造で形成することができる。前記有機物層は発光層の他に電子注入層または正孔注入層を含むことが好ましく、これらの層のうちの1つは第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層の上に形成することができる。
【0051】
前記有機物層はイミダゾール、オキサゾール、およびチアゾールを含む有機物からなる。前記有機物層は有機物質と仕事関数の低い金属、例えばLi、Cs、Na、Mg、Sc、Ca、K、Ce、Euなどのような金属を共に蒸着して形成することもできる。前記電子注入層としてはアルカリ金属フッ化物が好ましく、フッ化リチウム(LiF)が電子注入能力に優れるためにより好ましい。
【0052】
前記有機物層は、蒸着法の他にも、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または熱転写法などの方法によって製造することができる。
【0053】
本発明に係る有機発光素子のうちの逆構造を有する素子の一例として、スパッタリングや熱蒸着などの方法を用いて透明なガラス基板上にアルミニウムを蒸着してカソードを形成する。その後、フォトレジスト工程とエッチング工程を経る間にアルミニウム電極上に自然酸化物(Al)層が形成され、これが電子注入効率を落とす要因として作用する。前記自然酸化物層が形成されたアルミニウム電極上に、スパッタリングや熱蒸着などの方法により、前記カソードより酸化率の高い金属、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの混合物質を蒸着し、酸素プラズマ処理および不活性気体プラズマ処理を行う。その上に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層のような有機物層を形成する。その上に第2電極として用いることができるIZO(Indium Zinc Oxide)を初めとする透明なアノード物質を蒸着して有機発光素子を製造することができる。このように、有機発光素子は、基板上にカソード、有機物層、およびアノードの順に積層された逆構造(inverted structure;top emission)形態で製造することができるが、基板上にアノード、有機物層、およびカソードの順に積層された正構造形態で製造することもできる。
【0054】
本発明に係る有機電子素子が有機薄膜トランジスタである場合、その構造は図12または図13の構造でありうる。すなわち、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、および有機物層13を含む構造でありうる。
【0055】
本発明に係る有機電子素子が有機太陽電池である場合、その構造は図14の構造でありうる。すなわち、正極15、電子供与体層16、電子受容体層17、および負極18を順次積層した形態を含む構造でありうる。
【0056】
本発明に係る有機電子素子は、基板上の第1電極上の自然酸化物層が効果的に除去されることにより、最終製品において第1電極と有機物層との間に自然酸化物層が含まれていない。したがって、本発明に係る有機電子素子は、従来のものに比べて、電子または正孔の注入、抽出特性に優れ、発光や寿命などの素子特性に優れる。
【実施例】
【0057】
本発明に係る有機電子素子およびその製造方法について以下の実施例に基づいてより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0058】
実施例1:Ca処理した有機発光素子の製造
ガラス基板上にアルミニウム(Al)電極層をフォトレジストおよびエッチング方法によって150nm厚さで形成し、その上にカルシウム(Ca)で約10−7torrの真空度、不活性気体(N、またはAr)雰囲気下で、700℃で10秒間真空熱蒸着して2nm厚さの層を形成した。前記形成された蒸着層に下記の処理条件で酸素プラズマ処理を行った。
【0059】
プロセスチャンバー真空が数十mtorrである状態で、ラジオ周波数(Radio frequency、13.56MHz)を用いる容量結合(capacitively−coupled)モデルグロー放電(glow discharge)プラズマ装置(RF−5S、Advanced energy社)を使った。すなわち、2つの平行電極板(間隔=3.5cm)の間に80Wの電圧をかけ、先ずプラズマ周波数13.56MHz下で酸素(O)の安定したプラズマを維持し、流量30sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)、圧力14mtorr、および60秒の処理時間で、前記カルシウムによって形成された蒸着層を酸化処理した。
【0060】
前記酸素プラズマ処理により、自然酸化物層は既存酸化物(アルミニウムオキサイド)より結合エネルギーの低いアルミニウムカルシウムオキサイド(AlCaO)形態に変換した。
【0061】
前記変換したアルミニウムカルシウムオキサイドにアルゴンプラズマ処理を行った。この時、アルゴンプラズマ処理の条件は、RFパワー500W、アルゴン流量10sccm、圧力10mtorr、および処理時間300秒であった。
【0062】
その次、前記層上に電子注入物質であるLiF層を1.5nm厚さで形成し、その上に有機物層として電子輸送層(下記電子輸送物質)、発光層(Alq)、正孔輸送層(NPB;4,4’−bis[N−(1−naphtyl)−N−phenylamino] biphenyl)、および正孔注入層(下記正孔注入物質(ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン、HAT))を、20nm、30nm、40nm、および50nmにして順次積層した。その次、前記有機物層上に正孔注入電極として透明なIZO電極をスパッタリング法によって150nmの厚さで形成して有機発光素子を製造した。
【0063】
【化1】

【0064】
実施例2:Mg処理した有機発光素子の製造
Caの代わりにマグネシウム(Mg)を3.0nmに蒸着して用いたことを除いては実施例1と同じ方式によって有機発光素子を製造した。
【0065】
実施例3:Cs処理した有機発光素子の製造
Caの代わりにセシウム(Cs)を3.0nmに蒸着して用いたことを除いては実施例1と同じ方式によって有機発光素子を製造した。
【0066】
比較例1:電子注入層のない有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層を形成した後、酸素プラズマ処理とアルゴンプラズマ処理を行い、電子注入層がないことを除いては、実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。前記製造された有機発光素子の電子注入特性を確認した。
【0067】
比較例2:自然酸化物層を除去しない有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層形成と酸素プラズマ処理とアルゴンプラズマ処理することなく、電子注入層も挿入しないことを除いては、実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。前記製造された有機発光素子の電子注入特性を確認した。
【0068】
比較例3:プラズマ処理だけをした有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層を形成することなく、酸素およびアルゴンでプラズマ処理することを除いては実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。
【0069】
比較例4:酸素プラズマ処理だけをした有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層を形成することなく、酸素でプラズマ処理した後、アルゴンでプラズマ処理しないことを除いては実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。
【0070】
比較例5:金属酸化物を蒸着した有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層を形成することなく、アルミニウム電極上にMgOを直接蒸着して層を形成したことを除いては実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。
【0071】
比較例6:アルカリ金属蒸着後プラズマ処理しない有機発光素子の製造
アルミニウム電極上にCaを用いて蒸着層を形成した後、酸素およびアルゴンプラズマ処理をしないことを除いては実施例1と同じ方法によって有機発光素子を製造した。
【0072】
<実験例>
実施例1〜3および比較例1〜6による有機発光素子の自然酸化物層の除去効果の差を比較するために電子注入特性を確認し、その結果を図2〜図10に示す。
【0073】
図2および図5に示すように、比較例1の場合、電子注入層(LiF)が省略されており、有機発光素子の電子注入効率が非対称的であった。すなわち、上記のように処理した時に酸化膜は除去されるが、電子注入効果が低下することが分かる。
【0074】
また、図6に示すように、比較例2の蒸着層形成と酸素処理およびアルゴンプラズマ処理をしない状態では、電子注入効率が相当な非対称性を示し、電子注入効果が顕著に低下することが分かる。
【0075】
図7および図8に示すように、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物層を形成することなく、プラズマ処理だけをする場合には自然酸化物層の除去効果が低下することが分かる。
【0076】
また、図9に示すように、アルカリ金属またはアルカリ土類金属そのものを蒸着する場合には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物を蒸着する場合より自然酸化物の除去効率が低下することが分かる。
【0077】
また、図10に示すように、アルカリ金属だけを蒸着する場合には、測定初期データによれば左右対称で良好に電子を注入することができるが、時間が経過した後には電子注入能力が落ちることが分かる。
【符号の説明】
【0078】
1 基板
2 アノード
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 カソード
9 絶縁層
10 ゲート電極
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 有機物層
15 正極
16 電子供与体層
17 電子受容体層
18 負極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次形成するステップを含む有機電子素子の製造方法であって、
1)前記有機物層を形成する前に前記第1電極上に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成するステップ、
2)前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層を酸素プラズマ処理して金属酸化物層を形成するステップ、および
3)前記金属酸化物層を不活性気体でプラズマ処理して前記第1電極上の自然酸化物層を除去するステップ、を含む有機電子素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1電極は、アルミニウム、モリブデン、クロム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、銀、スズ、鉛、およびこれらの合金からなる群から選択される材料からなる、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1電極より酸化率の高い金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらの混合物質から選択される、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いた層を形成する時に層の厚さを1〜10nmにする、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いた層を形成する時にシャドウマスクを用いて前記第1電極の表面のうちの選択的な領域だけに層を形成する、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項6】
前記不活性気体は、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)またはラドン(Rn)である、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項7】
前記酸素プラズマ処理の条件は、RFパワー60〜100W、酸素流量20〜50sccm、圧力10〜20mtorr、および処理時間30〜100秒である、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項8】
前記不活性気体プラズマ処理の条件は、RFパワー300〜600W、不活性気体流量5〜20sccm、圧力5〜20mtorr、および処理時間200〜500秒である、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項9】
前記有機電子素子は有機発光素子である、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1電極はアノードであり、第2電極はカソードである、請求項9に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項11】
前記第1電極はカソードであり、第2電極はアノードである、請求項9に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項12】
前記有機物層は、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層、および正孔輸送層からなる群から選択される1つ以上の層を含む、請求項9に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項13】
前記有機物層のうちの前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層と接する層は電子注入層または正孔注入層である、請求項9に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項14】
前記有機発光素子は前面発光型または両面発光型である、請求項9に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項15】
前記有機電子素子は有機薄膜トランジスタであり、前記第1電極はゲート電極であり、前記第2電極はソース電極とドレイン電極を含む、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項16】
前記有機電子素子は有機太陽電池であり、前記有機物層は電子供与体層と電子受容体層を含む、請求項1に記載の有機電子素子の製造方法。
【請求項17】
金属からなる第1電極、1層以上の有機物層、および第2電極を順次積層した形態で含み、製造工程中、前記第1電極を形成した後、有機物層を形成する前に前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて層を形成し、形成された層に酸素プラズマ処理および不活性気体プラズマ処理を順次行って第1電極上の自然酸化物層が除去されていることを特徴とする有機電子素子。
【請求項18】
前記第1電極は、アルミニウム、モリブデン、クロム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、銀、スズ、鉛、およびこれらの合金からなる群から選択される材料からなることを特徴とする、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項19】
前記第1電極より酸化率の高い金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらの混合物質から選択される、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項20】
前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層はその厚さが1〜10nmである、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項21】
前記不活性気体は、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)またはラドン(Rn)である、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項22】
前記酸素プラズマ処理の条件は、RFパワー60〜100W、酸素流量20〜50sccm、圧力10〜20mtorr、および処理時間30〜100秒である、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項23】
前記不活性気体プラズマ処理の条件は、RFパワー300〜600W、不活性気体流量5〜20sccm、圧力5〜20mtorr、および処理時間200〜500秒である、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項24】
前記有機電子素子は有機発光素子である、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項25】
前記第1電極はアノードであり、第2電極はカソードである、請求項24に記載の有機電子素子。
【請求項26】
前記第1電極はカソードであり、第2電極はアノードである、請求項24に記載の有機電子素子。
【請求項27】
前記有機物層は、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層、および正孔輸送層からなる群から選択される1つ以上の層を含む、請求項24に記載の有機電子素子。
【請求項28】
前記有機物層のうちの前記第1電極より酸化率の高い金属を用いて形成した層と接する層は電子注入層または正孔注入層である、請求項24に記載の有機電子素子。
【請求項29】
前記有機発光素子は前面発光型または両面発光型である、請求項24に記載の有機電子素子。
【請求項30】
前記有機電子素子は有機薄膜トランジスタであり、前記第1電極はゲート電極であり、前記第2電極はソース電極とドレイン電極を含む、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項31】
前記有機電子素子は有機太陽電池であり、前記有機物層は電子供与体層と電子受容体層を含む、請求項17に記載の有機電子素子。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【公表番号】特表2009−536439(P2009−536439A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509436(P2009−509436)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/KR2007/002315
【国際公開番号】WO2007/129874
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】