有機ELプリントヘッド
【課題】組み立て作業性が良く、製造コストを廉価にすることができ、しかも全体の小型化も可能な有機ELプリントヘッドを提供する。
【解決手段】複数の有機EL発光部31が列状に並ぶようにして基板本体30上に設けられている有機ELプリントヘッド基板3と、各有機EL発光部31において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイ4と、を備えている、有機ELプリントヘッドA1であって、レンズアレイ4は、有機ELプリントヘッド基板3に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイ4と有機ELプリントヘッド基板3とが一体化されている。
【解決手段】複数の有機EL発光部31が列状に並ぶようにして基板本体30上に設けられている有機ELプリントヘッド基板3と、各有機EL発光部31において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイ4と、を備えている、有機ELプリントヘッドA1であって、レンズアレイ4は、有機ELプリントヘッド基板3に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイ4と有機ELプリントヘッド基板3とが一体化されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光式の記録媒体に画像を形成するのに使用される有機ELプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機ELプリントヘッドの具体例としては、図17に示すものがある(たとえば特許文献1を参照)。同図に示す有機ELプリントヘッド9は、ケース90、有機ELプリントヘッド基板91、レンズアレイ92、および透明カバー93を備えている。ケース90は、上記した構成部品91〜93の位置関係を規定してそれらの固定保持を図るためのものである。有機ELプリントヘッド基板91は、基板本体91a上に複数の有機EL発光部96が設けられ、かつこれらが封止部材94により封止された構成を有しており、ケース90の下部開口部90aを塞ぐように設けられている。複数の有機EL発光部96としては、赤色、緑色、および青色のそれぞれの光を発する発光部96R,96G,96Bがあり、これらは列状に並んでいる。レンズアレイ92は、複数のロッドレンズ92aがレンズホルダ92bに保持されたものであり、ケース90の内部空間90bに嵌合されて保持されている。透明カバー93は、プラテンローラPとともに感光紙95の位置を規制するものであり、ケース90の上部に取り付けられている。
【0003】
この有機ELプリントヘッド9においては、複数の有機EL発光部96から発せられた光が、複数のロッドレンズ92aを通過することにより、感光紙95上に集束されて照射される。この照射により、感光紙95には所望の画像を形成することができる。
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、次に述べるような不具合があった。
【0005】
すなわち、有機ELプリントヘッド基板91とレンズアレイ92とは、一体化されておらず、これらはケース90を利用して位置関係が規定され、かつ組み付けがなされている。このため、ケース90が必須要素となる分だけ、部品点数が多くなり、製造コスト的に不利である。そればかりか、組み立て製造作業に際しては、有機ELプリントヘッド9の構成部品90〜93を個別に準備した後に、ケース90に対して構成部品91〜93を順次組み付けていく必要があり、その作業は煩雑である。とくに、レンズアレイ92の組み付けに際してはその焦点が合うように正確な位置決めを行なうことが要請されるが、ケース90に寸法誤差があると、正確な位置決めが困難となり、その作業はかなり面倒となる。また、ケース90は、有機ELプリントヘッド基板91やレンズアレイ92よりも大きなサイズに形成せざるを得ないために、このケース90が有機ELプリントヘッド全体のサイズを大きくする要因となっており、全体の小型化を図る観点からしても改善の余地がある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−94729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、組み立て作業性が良く、製造コストを廉価にすることができ、しかも全体の小型化も可能な有機ELプリントヘッドを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面により提供される有機ELプリントヘッドは、複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、を備えている、有機ELプリントヘッドであって、上記レンズアレイは、上記有機ELプリントヘッド基板に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイと有機ELプリントヘッド基板とが一体化されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、有機ELプリントヘッドの必須要素である有機ELプリントヘッド基板に対してレンズアレイが直接組み付けられていることにより、これらが一体化されているために、従来技術とは異なり、有機ELプリントヘッドの組み立てに際して、それらを固定支持させるための専用のケースを用いる必要はなくなる。また、ケースにそれらを個々に組み付ける作業も無くすことができる。したがって、部品点数の減少、および組み立て作業の容易化が達成され、製造コストを従来よりも廉価にすることが可能となる。
【0010】
さらに重要な効果として、本発明では、従来とは異なり、ケースの寸法誤差に起因して有機ELプリントヘッド基板とレンズアレイとの位置関係を適切な位置関係に規定することが困難になることも無くなる。本発明では、レンズアレイと有機ELプリントヘッドとが寸法精度良く製造されていれば、これらを組み付けた際に複数の有機EL発光部に対してレンズアレイの焦点が正確に合うようにすることが可能である。また、本発明においては、ケースを不要にすることにより、有機ELプリントヘッド全体の小型化を図ることも可能となる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイは、複数のレンズがレンズホルダに保持された構成を有し、上記レンズホルダは、上記基板本体に重ね合わされるようにして上記有機ELプリントヘッド基板に組み付けられている。
【0012】
このような構成によれば、レンズアレイの複数のレンズを基板本体に対向させるようにして、レンズアレイの適切な取り付けを簡易に図ることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズホルダおよび上記基板本体には、これらの位置決めが図られるように互いに係合する係合手段が設けられている。
【0014】
このような構成によれば、レンズアレイを有機ELプリントヘッド基板に組み付ける際に、係合手段を利用してそれらを適正な位置関係に設定することができ、それらを直接組み付ける際の作業が容易となる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイが上記基板本体に重ね合わされた状態に保持されるように、上記レンズホルダを上記有機ELプリントヘッド基板またはこの有機ELプリントヘッド基板上に固定して設けられた部材に掛止させて保持させるための掛止手段を備えている。
【0016】
このような構成によれば、掛止手段を利用することにより、レンズアレイを有機ELプリントヘッド基板から分離しないように組み付けることが可能となる。したがって、それらの組み付け作業がより容易となる。また、それらレンズアレイおよび有機ELプリントヘッドを、たとえば接着剤などを利用して接着固定させる必要も無くすことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの複数のレンズは、それらの一部または全部が上記基板本体に埋設されて保持されており、上記基板本体は、上記レンズアレイのレンズホルダとして構成されている。
【0018】
このような構成によれば、レンズアレイの複数のレンズを保持するための専用のレンズホルダが不要となり、部品点数を少なくして製造コストを低減するのにより好適となる。また、複数のレンズが基板本体に埋設されていれば、光軸方向の全体の厚みを小さくし、ヘッド全体の小型化を図るのにも有利となる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの光入射用の各レンズ面は、上記基板本体の光出射面に対向しており、かつ上記基板本体の厚みは、上記各レンズ面から上記各有機EL発光部までの距離を、上記各レンズの焦点距離に一致または略一致させる寸法とされている。
【0020】
このような構成によれば、基板の厚みにより、有機EL発光部からレンズアレイの各レンズ面までの距離が規定されて焦点合わせがなされているが、基板の厚みを所定の寸法に正確に設定することは容易である。したがって、各レンズの焦点合わせを精度良く行なうことが可能であり、いわゆるピンぼけの無い画像形成を行なうのに好適である。
【0021】
本発明の第2の側面により提供される有機ELプリントヘッドは、複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、上記有機ELプリントヘッド基板上に設けられ、かつ上記複数の有機EL発光部を封止する封止手段と、を備えている、有機ELプリントヘッドであって、上記レンズアレイは、上記複数の有機EL発光部を覆うように設けられて、上記封止手段の全体または一部として構成されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される有機ELプリントヘッドと同様に、有機ELプリントヘッド基板とレンズアレイとの位置関係をケースを用いて規定する必要が無くなる。このため、やはり部品点数の減少、組み立て作業の容易化、および全体の小型化などを適切に図ることが可能である。加えて、レンズアレイが封止部材としての役割を果たしているため、その構成は合理的であり、部品点数の減少や全体の小型化などをより促進することが可能である。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの複数のレンズを保持するレンズホルダは、上記複数の有機EL発光部の正面領域に位置して上記複数のレンズを支持するメイン領域と、このメイン領域に繋がった枠状に形成され、かつ上記基板本体上に配されて上記複数の有機EL発光部の周囲を囲むサブ領域と、を有している。
【0024】
このような構成によれば、レンズホルダにより有機EL発光部を適切に封止することが可能となり、レンズホルダ以外の封止部材を設ける必要を無くすことができる。したがって、部品点数を少なくし、製造コストを低減するのにより好適となる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板本体上には、上記有機EL発光部の周囲を囲み、かつ上記有機EL発光部の正面領域に開口部が形成されている枠体が取り付けられており、上記レンズアレイは、上記開口部に嵌入されて上記枠体に支持されている。
【0026】
このような構成によれば、レンズアレイを枠体に支持させているために、レンズアレイとしては、たとえば従来既存のものを用いるといったことが可能となり、製造に際して便宜を図ることができる。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1〜図5は、本発明が適用された有機ELプリントヘッドの一例を示している。図1に示すように、本実施形態の有機ELプリントヘッドA1は、感光紙2にカラー画像を形成するために使用されるものであり、赤色光、緑色光、および青色光を主走査方向(x方向)に延びるライン状に出射できるように構成されている。有機ELプリントヘッドA1は、図2に示すように、有機ELプリントヘッド基板3、レンズアレイ4、および封止ケース5を備えている。
【0030】
有機ELプリントヘッド基板3には、レンズアレイ4が一体的に組み付けられているが、この点については後述する。図3に示すように、有機ELプリントヘッド基板3は、透明な基板本体30の片面30b上に、後述する複数の有機EL発光部31を含む有機物質およびこれに付属する電極の積層部B1が設けられた構成を有している。基板本体30は、たとえば長矩形の略平板状の透明樹脂板あるいは透明ガラス板を用いて構成されている。
【0031】
積層部B1の構成としては、従来既知のものと同様な構成とすることが可能であり、その一例を図4を参照して説明する。すなわち、積層部B1は、基板本体30の片面30b上に、複数の陽極35、複数の有機層36、および複数の陰極37が順次積層して形成された構成を有している。複数の陽極35は、たとえばITOからなり、透光性を有しており、図4の紙面と直交する方向に帯状に延びている。複数の陰極37は、たとえばアルミニウムからなり、複数の陽極35と直交する方向に延びている。複数の有機層36は、複数の陰極37と同方向に帯状に延びており、この帯状の部分のうち、複数の陰極37と複数の陽極35とが交差してこれらの間に挟まれた部分が有機EL発光部31となっている。この有機EL発光部31は、陽極35および陰極37を利用して電場が与えられた際に、エレクトロルミネッセントにより自発光する部分である。この発光部31には、発光物質が含まれており、この発光物質の種類を選択することにより、赤色光、緑色光、青色光を発生させることが可能である。図面には示していないが、有機層36は、そのような有機EL発光部31の自発光効果を生じさせ、また促進させるための部分として、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、および電子注入層を有している。ただし、これらの層の一部については省略可能であり、これらの層をどのように組み合わせるかは任意に選択できる事項である。有機EL発光部31から発せられた光は、複数の陰極37によって下向きに反射されて透明な陽極35を透過し、基板本体30の光出射面30aから下向きに出射する。
【0032】
複数の陰極37および有機層36は、図5に示すように、基板本体30の長手方向に延びる計3列に設けられている。3列の有機層36は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光を発する複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)を含んでおり、これらは一定間隔で基板本体30の長手方向に列状に並んでいる。3列の陰極37の長手方向端部のそれぞれには、端子部37aが連設されている。これに対し、複数の陽極35は、その一端部が基板本体30上に搭載された複数の駆動IC34に向けて延設され、この駆動IC34に導通接続されている。これら複数の駆動IC34のスイッチング動作により、通電のオン・オフがなされ、複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)の発光駆動が制御される。なお、図5においては、有機ELプリントヘッド基板3の右側の端部のみが描かれているが、これとは反対の左側の端部は、右側の端部と対称となっている。
【0033】
封止ケース5は、基板本体30上の積層部B1を外力から保護するとともに、この積層部B1への水分などの進入を防止するためのものである。この封止ケース5は、積層部B1を覆うように基板本体30上に載せられ、かつこの基板本体30に接着されている。この接合手段としては、たとえば紫外線硬化性などの接着剤を用いた接着手段、あるいは超音波を利用した接着手段など、種々の手段を用いることができる。
【0034】
図2および図3によく表われているように、レンズアレイ4は、複数のロッドレンズ40と、これら複数のロッドレンズ40を支持するレンズホルダ40とを備えている。レンズホルダ40は、合成樹脂製であり、一定方向に延びたバー状である。このレンズホルダ40の長手方向の両端部の上面部には、位置決め用の一対の凸部40cが突設されている。これに対し、基板本体30には、位置決め用の一対の孔部30cが形成されている。レンズホルダ40は、それらの孔部30cに凸部40cが嵌入していることにより基板本体30との位置決めが図られた状態でこの基板本体30に直接組み付けられている。この組み付けを確実にする手段として、たとえばレンズホルダ40の長手両端部は、基板本体30に接着されている。この接着手段としても、先に述べた封止ケース5と基板本体30との接着手段と同様に、種々の手段を用いることが可能である。
【0035】
上記の組み付け構造により、複数のロッドレンズ40の光入射用のレンズ面40aは、複数の有機EL発光部31に対して基板本体30や陽極35を挟んで対向しており、複数の有機EL発光部31から発せられる光を受けるようになっている。各ロッドレンズ40は、たとえば正立等倍像を結像可能なものである。レンズホルダ40の上面およびレンズ面40aの双方または一方は、基板本体30の光出射面30aに接触しており、基板本体30の厚みtは、各ロッドレンズ40の光入射用のレンズ面40aから有機EL発光部31までの距離を各ロッドレンズ40の焦点距離とする寸法である。なお、本実施形態のレンズアレイ4は、複数のロッドレンズ40が1列に配列されているが、複数列に配列されたものを用いてもよいことは勿論である。
【0036】
次に、有機ELプリントヘッドA1の作用について説明する。
【0037】
まず、図1において、有機ELプリントヘッドA1を用いてカラー画像を形成するには、感光紙2に対して有機ELプリントヘッドA1を副走査方向(y方向)に相対移動させつつ、有機ELプリントヘッドA1から赤色光、緑色光および青色光を照射させる。この光の照射に際しては、有機ELプリントヘッドA1の外部から複数の駆動IC34に1ライン分の画像データを繰り返し入力し、目的とする有機EL発光部31(31R,31G,31B)を発光させる。有機EL発光部31から発せられた光は、基板本体30およびロッドレンズ40を透過して感光紙2上に集束し、感光紙2を露光させる。感光紙2は、この露光後に現像液など用いて現像処理されることにより、前記露光に対応したカラー画像を顕在化させる。
【0038】
一方、この有機ELプリントヘッドA1においては、既述したとおり、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4が直接組み付けられている。このため、従来において用いられていたようなケースを不要にしつつ、有機ELプリントヘッド基板3とレンズアレイ4との位置関係を規定することが可能である。したがって、部品点数の減少を図ることができ、またケースに有機ELプリントヘッド3やレンズアレイ4を順次組み付けていく作業も不要となるため、全体の組み立て製造作業も容易となる。さらには、ケースを不要にできれば、それだけ全体の小型化も図ることが可能となる。
【0039】
また、従来とは異なり、ケースの寸法誤差に起因して、有機EL発光部31から各ロッドレンズ40までの距離に誤差が発生することもなくなる。とくに、この有機ELプリントヘッドA1においては、有機EL発光部31からレンズ面40aまでの距離は、基板本体30の厚みtにより規定されており、レンズアレイ4を基板本体30の光出射面30aに接触させるだけで前記距離を所定の正確な寸法に設定することができるため、その寸法精度を高くし、鮮明なプリント画像を得るのに好適となる。
【0040】
図6〜図11は、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4を直接組み付ける場合の他の例を示している。なお、図6以降の図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0041】
図6に示す構成においては、レンズアレイ4のレンズホルダ41の長手方向両端部に、フック部42aを有する掛止用凸部42が一体的に設けられている。一方、封止ケース5の長手方向両端部の上面部には、フック部42aが係入する切欠部50が設けられている。このような構成によれば、掛止用凸部42を利用してレンズアレイ4を封止ケース5に掛止させることにより、このレンズアレイ4を基板本体30に当接させるようにして有機ELプリントヘッド基板3に一体的に組み付けることが可能である。この場合、それら有機ELプリントヘッド基板3や封止ケース5からレンズアレイ4が容易に分離しないように組み付けることが可能である。したがって、たとえば接着剤を用いてレンズアレイ4を有機ELプリントヘッド基板3に接着させるといった手間を省くことが可能となる。また、これとは異なり、それらレンズアレイ4と有機ELプリントヘッド基板3との確実な固定を図るべくこれらを接着させる際には、他の手段(ジグなど)を利用してそれらが分離および位置ずれしないようにする必要が無いため、その接着作業は容易となる。
【0042】
なお、本発明では、図6に示した構成の変形例として、たとえば、先に述べた掛止用凸部42と同様な掛止用凸部を、封止ケース5または基板本体30に設けた構成とすることもできる。この場合には、前記掛止用凸部の先端をレンズアレイ4のレンズホルダ41に係合させることとなるが、このような構成によっても、図6に示した実施形態と同様な作用が得られる。また、掛止用凸部42に係合させるための切欠部50は、適宜省略することが可能である。
【0043】
図7に示す構成においては、バネ弾性をもつクリップ7を利用して、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4を組み付けている。封止ケース5の上面部およびレンズアレイ4の下面部には、切欠部51,44が設けられており、これらの切欠部51,44にクリップ7の上下両端部分が係入している。この係入作用により、レンズアレイ4は、基板本体30に当接するようにして有機ELプリントヘッド基板3に対して分離しないように組み付けられている。このような構成によっても、レンズアレイ4を有機ELプリントヘッド3に接着剤などを用いて接着する必要を無くすことが可能である。
【0044】
図8および図9に示す構成においては、有機ELプリントヘッド基板3の基板本体30の下面部分に凹部30dが形成され、かつこの凹部30dにレンズアレイ4が嵌入している。図8に示す構成では、凹部30dが比較的浅い深さに形成され、レンズホルダ41の上部のみが凹部30dに嵌入している。これに対し、図9に示す構成では、凹部30dが深く形成されており、凹部30d内にレンズアレイ4の略全体が嵌入している。これらの構成によれば、基板本体30の凹部30dにレンズアレイ4を嵌入させるだけで、それらの位置決めが適切に図られるために、レンズアレイ4の組み付け作業は、やはり容易である。
【0045】
図10および図11に示す構成においては、複数のロッドレンズ40が、基板本体30内に埋設され、この基板本体30に直接保持されている。図10に示す構成では、各ロッドレンズ40の一部分のみが基板本体30に埋設されているのに対し、図11に示す構成では、各ロッドレンズ40の略全体が埋設されている。このような構成は、たとえば基板本体30を樹脂成形する際にインサート成形の手法を用いることにより実現可能である。これらのいずれの構成においても、基板本体30は、ロッドレンズ40を保持するレンズホルダの役割を果たしており、実質的に、レンズアレイが有機ELプリントヘッド基板3に対して一体的に組み付けられた構成となっている。このような構成によれば、専用のレンズホルダが不要となり、部品点数の少数化や全体の小型化などがより促進される。
【0046】
図12〜図14は、本発明に係る有機ELプリントヘッドの他の例を示している。
【0047】
本実施形態の有機ELプリントヘッドA2は、有機ELプリントヘッド基板3Aが、積層部B2から基板本体30Aとは反対方向(図面の上方)に向けて光を出射させるように構成されている。また、レンズアレイ4Aは、基板本体30A上に載設されて、積層部B2を封止する封止ケースとしての役割を果たすように構成されている。
【0048】
より具体的には、図14において、積層部B2は、先に述べた積層部B1とその基本的な構成は共通するが、複数の陽極35Aが反射電極として構成されている一方、複数の陰極37Aが透明電極として構成されている点において異なっている。各陽極35Aは、反射率が高く、有機層36への正孔注入効率の高い材料、たとえばモリブデンあるいはクロムにより形成されている。各陽極35Aは、表面の光反射率が高ければよく、たとえばITOなどの導体の表面に、上記したモリブデンやクロムの金属層を重ねて設けた構成であってもよい。このようにすると、陽極35Aの厚みが大きくなり、陽極35Aの抵抗値を小さくして駆動電圧を低くすることが可能となる。各陰極37Aは、金属薄膜層370上に導体層371を積層した構成を有している。金属薄膜層370は、有機層36への電子注入効率の高い材料、たとえば仕事関数または電子親和力の小さい材料であるアルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金により、厚みが50nm以下に形成され、透光性を有している。一方、導体層371は、陰極37Aの抵抗値を小さくするためのものであり、たとえばITOからなる。このような積層部B2の構成によれば、複数の有機層36の複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)において発生した光は、その一部が陰極37Aを直接透過し、また他の一部は陽極35Aによって反射されてから陰極37Aを透過することにより、基板本体30Aとは反対方向に出射する。基板本体30Aは、透明である必要はない。
【0049】
図13に示すように、レンズアレイ4Aのレンズホルダ41Aは、複数のロッドレンズ40を支持するメイン領域410と、これに繋がったサブ領域411とを有している。メイン領域410は、複数のロッドレンズ40を積層部B2の正面(図面では上方)に配置させて支持させる領域であり、積層部B2の正面領域を覆っている。サブ領域411は、メイン領域410の一面(下向き面)から下方に突出した枠状であり、その下端先端は基板本体30Aに当接して接合されている。このサブ領域411は、積層部B2の周囲を覆っている。
【0050】
この有機ELプリントヘッドA2においても、レンズアレイ4Aが有機ELプリントヘッド基板3Aに直接組み付けられている。したがって、先の実施形態と同様に、それらを個々に組み付けるためのケースを不要とし、全体の部品点数を少なくすることができるといった利点が得られる。とくに、レンズアレイ4Aは、積層部B2を封止する封止手段としても構成されているために、このレンズアレイ4Aとは別の封止部材が不要であり、部品点数をより少なくして、全体構造の簡素化を図るのに一層好適なものとなる。また、全体の厚みを小さくし、一層の小型化も可能となる。さらに、レンズアレイ4Aは、基板本体30A上に直接取り付けられているために、複数の有機EL発光部31から各ロッドレンズ40の光入射面40aまでの距離を各ロッドレンズ40の焦点距離に合わせることも容易かつ正確に行なうことが可能である。
【0051】
図15および図16は、レンズアレイ4を用いて封止手段を構成する場合の他の例を示している。これらの図に示す構成においては、有機ELプリントヘッド基板3Aの基板本体30A上に、枠体59が取り付けられており、この枠体59がレンズアレイ4を支持している。より具体的には、枠体59は、積層部B2の周囲を囲むようにして基板本体30A上に取り付けられているが、積層部B2の上方に位置する開口部59aを有している。レンズアレイ4は、その開口部59aに嵌入されて枠体59に保持されており、開口部59aの全体を塞いでいる。枠体59には、レンズアレイ4の下面部分を支持する段部59bが適宜設けられており、レンズアレイは、この段部59bに当接することによって透明基板30A上における高さが規定されている。図15に示す構成においては、レンズアレイ4の略全体が開口部59aに嵌入しているのに対し、図16に示す構成においては、レンズアレイ4の一部分のみが開口部59aに嵌入し、他の部分は外部に露出している。
【0052】
これら図15および図16に示す構成によれば、レンズアレイ4および枠体59により、積層部B2が適切に封止されている。このように、レンズアレイ4を利用した封止構造は、先の図12〜図14に示した実施形態と同様に合理的であり、全体の小型化などを図るのに好適となる。また、レンズアレイ4としては、たとえば細長な直方体状に形成された既存のものを使用したい場合があるが、枠体59の開口部59aをそれに対応した形状およびサイズに形成しておくことにより、そのようなレンズアレイについても適切に使用することが可能となり、便利である。
【0053】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る有機ELプリントヘッドの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0054】
本発明は、カラー画像形成用のものに限らず、たとえばモノクロ画像形成用のものにも適用することができる。また、本発明に係る有機ELプリントヘッドの具体的な使用用途も限定されず、感光紙とは異なる記録媒体への露光に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る有機ELプリントヘッドの一例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す有機ELプリントヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す有機ELプリントヘッドの要部拡大断面図である。
【図5】図1に示す有機ELプリントヘッドの要部分解斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の他の例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のVI−VI断面図である。
【図7】(a)は、本発明の他の例を示す分解斜視図であり、(b)は、要部断面図である。
【図8】本発明の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明の他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の他の例を示す断面図である。
【図12】本発明の他の例を示す斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図13の要部拡大断面図である。
【図15】本発明の他の例を示す断面図である。
【図16】本発明の他の例を示す断面図である。
【図17】従来技術の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
A1,A2 有機ELプリントヘッド
3,3A 有機ELプリントヘッド基板
4,4A レンズアレイ
5 封止ケース
30,30A 基板本体
30a 光出射面
31 有機EL発光部
40 ロッドレンズ
41,41A レンズホルダ
59 枠体
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光式の記録媒体に画像を形成するのに使用される有機ELプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機ELプリントヘッドの具体例としては、図17に示すものがある(たとえば特許文献1を参照)。同図に示す有機ELプリントヘッド9は、ケース90、有機ELプリントヘッド基板91、レンズアレイ92、および透明カバー93を備えている。ケース90は、上記した構成部品91〜93の位置関係を規定してそれらの固定保持を図るためのものである。有機ELプリントヘッド基板91は、基板本体91a上に複数の有機EL発光部96が設けられ、かつこれらが封止部材94により封止された構成を有しており、ケース90の下部開口部90aを塞ぐように設けられている。複数の有機EL発光部96としては、赤色、緑色、および青色のそれぞれの光を発する発光部96R,96G,96Bがあり、これらは列状に並んでいる。レンズアレイ92は、複数のロッドレンズ92aがレンズホルダ92bに保持されたものであり、ケース90の内部空間90bに嵌合されて保持されている。透明カバー93は、プラテンローラPとともに感光紙95の位置を規制するものであり、ケース90の上部に取り付けられている。
【0003】
この有機ELプリントヘッド9においては、複数の有機EL発光部96から発せられた光が、複数のロッドレンズ92aを通過することにより、感光紙95上に集束されて照射される。この照射により、感光紙95には所望の画像を形成することができる。
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、次に述べるような不具合があった。
【0005】
すなわち、有機ELプリントヘッド基板91とレンズアレイ92とは、一体化されておらず、これらはケース90を利用して位置関係が規定され、かつ組み付けがなされている。このため、ケース90が必須要素となる分だけ、部品点数が多くなり、製造コスト的に不利である。そればかりか、組み立て製造作業に際しては、有機ELプリントヘッド9の構成部品90〜93を個別に準備した後に、ケース90に対して構成部品91〜93を順次組み付けていく必要があり、その作業は煩雑である。とくに、レンズアレイ92の組み付けに際してはその焦点が合うように正確な位置決めを行なうことが要請されるが、ケース90に寸法誤差があると、正確な位置決めが困難となり、その作業はかなり面倒となる。また、ケース90は、有機ELプリントヘッド基板91やレンズアレイ92よりも大きなサイズに形成せざるを得ないために、このケース90が有機ELプリントヘッド全体のサイズを大きくする要因となっており、全体の小型化を図る観点からしても改善の余地がある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−94729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、組み立て作業性が良く、製造コストを廉価にすることができ、しかも全体の小型化も可能な有機ELプリントヘッドを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面により提供される有機ELプリントヘッドは、複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、を備えている、有機ELプリントヘッドであって、上記レンズアレイは、上記有機ELプリントヘッド基板に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイと有機ELプリントヘッド基板とが一体化されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、有機ELプリントヘッドの必須要素である有機ELプリントヘッド基板に対してレンズアレイが直接組み付けられていることにより、これらが一体化されているために、従来技術とは異なり、有機ELプリントヘッドの組み立てに際して、それらを固定支持させるための専用のケースを用いる必要はなくなる。また、ケースにそれらを個々に組み付ける作業も無くすことができる。したがって、部品点数の減少、および組み立て作業の容易化が達成され、製造コストを従来よりも廉価にすることが可能となる。
【0010】
さらに重要な効果として、本発明では、従来とは異なり、ケースの寸法誤差に起因して有機ELプリントヘッド基板とレンズアレイとの位置関係を適切な位置関係に規定することが困難になることも無くなる。本発明では、レンズアレイと有機ELプリントヘッドとが寸法精度良く製造されていれば、これらを組み付けた際に複数の有機EL発光部に対してレンズアレイの焦点が正確に合うようにすることが可能である。また、本発明においては、ケースを不要にすることにより、有機ELプリントヘッド全体の小型化を図ることも可能となる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイは、複数のレンズがレンズホルダに保持された構成を有し、上記レンズホルダは、上記基板本体に重ね合わされるようにして上記有機ELプリントヘッド基板に組み付けられている。
【0012】
このような構成によれば、レンズアレイの複数のレンズを基板本体に対向させるようにして、レンズアレイの適切な取り付けを簡易に図ることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズホルダおよび上記基板本体には、これらの位置決めが図られるように互いに係合する係合手段が設けられている。
【0014】
このような構成によれば、レンズアレイを有機ELプリントヘッド基板に組み付ける際に、係合手段を利用してそれらを適正な位置関係に設定することができ、それらを直接組み付ける際の作業が容易となる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイが上記基板本体に重ね合わされた状態に保持されるように、上記レンズホルダを上記有機ELプリントヘッド基板またはこの有機ELプリントヘッド基板上に固定して設けられた部材に掛止させて保持させるための掛止手段を備えている。
【0016】
このような構成によれば、掛止手段を利用することにより、レンズアレイを有機ELプリントヘッド基板から分離しないように組み付けることが可能となる。したがって、それらの組み付け作業がより容易となる。また、それらレンズアレイおよび有機ELプリントヘッドを、たとえば接着剤などを利用して接着固定させる必要も無くすことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの複数のレンズは、それらの一部または全部が上記基板本体に埋設されて保持されており、上記基板本体は、上記レンズアレイのレンズホルダとして構成されている。
【0018】
このような構成によれば、レンズアレイの複数のレンズを保持するための専用のレンズホルダが不要となり、部品点数を少なくして製造コストを低減するのにより好適となる。また、複数のレンズが基板本体に埋設されていれば、光軸方向の全体の厚みを小さくし、ヘッド全体の小型化を図るのにも有利となる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの光入射用の各レンズ面は、上記基板本体の光出射面に対向しており、かつ上記基板本体の厚みは、上記各レンズ面から上記各有機EL発光部までの距離を、上記各レンズの焦点距離に一致または略一致させる寸法とされている。
【0020】
このような構成によれば、基板の厚みにより、有機EL発光部からレンズアレイの各レンズ面までの距離が規定されて焦点合わせがなされているが、基板の厚みを所定の寸法に正確に設定することは容易である。したがって、各レンズの焦点合わせを精度良く行なうことが可能であり、いわゆるピンぼけの無い画像形成を行なうのに好適である。
【0021】
本発明の第2の側面により提供される有機ELプリントヘッドは、複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、上記有機ELプリントヘッド基板上に設けられ、かつ上記複数の有機EL発光部を封止する封止手段と、を備えている、有機ELプリントヘッドであって、上記レンズアレイは、上記複数の有機EL発光部を覆うように設けられて、上記封止手段の全体または一部として構成されていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される有機ELプリントヘッドと同様に、有機ELプリントヘッド基板とレンズアレイとの位置関係をケースを用いて規定する必要が無くなる。このため、やはり部品点数の減少、組み立て作業の容易化、および全体の小型化などを適切に図ることが可能である。加えて、レンズアレイが封止部材としての役割を果たしているため、その構成は合理的であり、部品点数の減少や全体の小型化などをより促進することが可能である。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レンズアレイの複数のレンズを保持するレンズホルダは、上記複数の有機EL発光部の正面領域に位置して上記複数のレンズを支持するメイン領域と、このメイン領域に繋がった枠状に形成され、かつ上記基板本体上に配されて上記複数の有機EL発光部の周囲を囲むサブ領域と、を有している。
【0024】
このような構成によれば、レンズホルダにより有機EL発光部を適切に封止することが可能となり、レンズホルダ以外の封止部材を設ける必要を無くすことができる。したがって、部品点数を少なくし、製造コストを低減するのにより好適となる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板本体上には、上記有機EL発光部の周囲を囲み、かつ上記有機EL発光部の正面領域に開口部が形成されている枠体が取り付けられており、上記レンズアレイは、上記開口部に嵌入されて上記枠体に支持されている。
【0026】
このような構成によれば、レンズアレイを枠体に支持させているために、レンズアレイとしては、たとえば従来既存のものを用いるといったことが可能となり、製造に際して便宜を図ることができる。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1〜図5は、本発明が適用された有機ELプリントヘッドの一例を示している。図1に示すように、本実施形態の有機ELプリントヘッドA1は、感光紙2にカラー画像を形成するために使用されるものであり、赤色光、緑色光、および青色光を主走査方向(x方向)に延びるライン状に出射できるように構成されている。有機ELプリントヘッドA1は、図2に示すように、有機ELプリントヘッド基板3、レンズアレイ4、および封止ケース5を備えている。
【0030】
有機ELプリントヘッド基板3には、レンズアレイ4が一体的に組み付けられているが、この点については後述する。図3に示すように、有機ELプリントヘッド基板3は、透明な基板本体30の片面30b上に、後述する複数の有機EL発光部31を含む有機物質およびこれに付属する電極の積層部B1が設けられた構成を有している。基板本体30は、たとえば長矩形の略平板状の透明樹脂板あるいは透明ガラス板を用いて構成されている。
【0031】
積層部B1の構成としては、従来既知のものと同様な構成とすることが可能であり、その一例を図4を参照して説明する。すなわち、積層部B1は、基板本体30の片面30b上に、複数の陽極35、複数の有機層36、および複数の陰極37が順次積層して形成された構成を有している。複数の陽極35は、たとえばITOからなり、透光性を有しており、図4の紙面と直交する方向に帯状に延びている。複数の陰極37は、たとえばアルミニウムからなり、複数の陽極35と直交する方向に延びている。複数の有機層36は、複数の陰極37と同方向に帯状に延びており、この帯状の部分のうち、複数の陰極37と複数の陽極35とが交差してこれらの間に挟まれた部分が有機EL発光部31となっている。この有機EL発光部31は、陽極35および陰極37を利用して電場が与えられた際に、エレクトロルミネッセントにより自発光する部分である。この発光部31には、発光物質が含まれており、この発光物質の種類を選択することにより、赤色光、緑色光、青色光を発生させることが可能である。図面には示していないが、有機層36は、そのような有機EL発光部31の自発光効果を生じさせ、また促進させるための部分として、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、および電子注入層を有している。ただし、これらの層の一部については省略可能であり、これらの層をどのように組み合わせるかは任意に選択できる事項である。有機EL発光部31から発せられた光は、複数の陰極37によって下向きに反射されて透明な陽極35を透過し、基板本体30の光出射面30aから下向きに出射する。
【0032】
複数の陰極37および有機層36は、図5に示すように、基板本体30の長手方向に延びる計3列に設けられている。3列の有機層36は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光を発する複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)を含んでおり、これらは一定間隔で基板本体30の長手方向に列状に並んでいる。3列の陰極37の長手方向端部のそれぞれには、端子部37aが連設されている。これに対し、複数の陽極35は、その一端部が基板本体30上に搭載された複数の駆動IC34に向けて延設され、この駆動IC34に導通接続されている。これら複数の駆動IC34のスイッチング動作により、通電のオン・オフがなされ、複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)の発光駆動が制御される。なお、図5においては、有機ELプリントヘッド基板3の右側の端部のみが描かれているが、これとは反対の左側の端部は、右側の端部と対称となっている。
【0033】
封止ケース5は、基板本体30上の積層部B1を外力から保護するとともに、この積層部B1への水分などの進入を防止するためのものである。この封止ケース5は、積層部B1を覆うように基板本体30上に載せられ、かつこの基板本体30に接着されている。この接合手段としては、たとえば紫外線硬化性などの接着剤を用いた接着手段、あるいは超音波を利用した接着手段など、種々の手段を用いることができる。
【0034】
図2および図3によく表われているように、レンズアレイ4は、複数のロッドレンズ40と、これら複数のロッドレンズ40を支持するレンズホルダ40とを備えている。レンズホルダ40は、合成樹脂製であり、一定方向に延びたバー状である。このレンズホルダ40の長手方向の両端部の上面部には、位置決め用の一対の凸部40cが突設されている。これに対し、基板本体30には、位置決め用の一対の孔部30cが形成されている。レンズホルダ40は、それらの孔部30cに凸部40cが嵌入していることにより基板本体30との位置決めが図られた状態でこの基板本体30に直接組み付けられている。この組み付けを確実にする手段として、たとえばレンズホルダ40の長手両端部は、基板本体30に接着されている。この接着手段としても、先に述べた封止ケース5と基板本体30との接着手段と同様に、種々の手段を用いることが可能である。
【0035】
上記の組み付け構造により、複数のロッドレンズ40の光入射用のレンズ面40aは、複数の有機EL発光部31に対して基板本体30や陽極35を挟んで対向しており、複数の有機EL発光部31から発せられる光を受けるようになっている。各ロッドレンズ40は、たとえば正立等倍像を結像可能なものである。レンズホルダ40の上面およびレンズ面40aの双方または一方は、基板本体30の光出射面30aに接触しており、基板本体30の厚みtは、各ロッドレンズ40の光入射用のレンズ面40aから有機EL発光部31までの距離を各ロッドレンズ40の焦点距離とする寸法である。なお、本実施形態のレンズアレイ4は、複数のロッドレンズ40が1列に配列されているが、複数列に配列されたものを用いてもよいことは勿論である。
【0036】
次に、有機ELプリントヘッドA1の作用について説明する。
【0037】
まず、図1において、有機ELプリントヘッドA1を用いてカラー画像を形成するには、感光紙2に対して有機ELプリントヘッドA1を副走査方向(y方向)に相対移動させつつ、有機ELプリントヘッドA1から赤色光、緑色光および青色光を照射させる。この光の照射に際しては、有機ELプリントヘッドA1の外部から複数の駆動IC34に1ライン分の画像データを繰り返し入力し、目的とする有機EL発光部31(31R,31G,31B)を発光させる。有機EL発光部31から発せられた光は、基板本体30およびロッドレンズ40を透過して感光紙2上に集束し、感光紙2を露光させる。感光紙2は、この露光後に現像液など用いて現像処理されることにより、前記露光に対応したカラー画像を顕在化させる。
【0038】
一方、この有機ELプリントヘッドA1においては、既述したとおり、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4が直接組み付けられている。このため、従来において用いられていたようなケースを不要にしつつ、有機ELプリントヘッド基板3とレンズアレイ4との位置関係を規定することが可能である。したがって、部品点数の減少を図ることができ、またケースに有機ELプリントヘッド3やレンズアレイ4を順次組み付けていく作業も不要となるため、全体の組み立て製造作業も容易となる。さらには、ケースを不要にできれば、それだけ全体の小型化も図ることが可能となる。
【0039】
また、従来とは異なり、ケースの寸法誤差に起因して、有機EL発光部31から各ロッドレンズ40までの距離に誤差が発生することもなくなる。とくに、この有機ELプリントヘッドA1においては、有機EL発光部31からレンズ面40aまでの距離は、基板本体30の厚みtにより規定されており、レンズアレイ4を基板本体30の光出射面30aに接触させるだけで前記距離を所定の正確な寸法に設定することができるため、その寸法精度を高くし、鮮明なプリント画像を得るのに好適となる。
【0040】
図6〜図11は、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4を直接組み付ける場合の他の例を示している。なお、図6以降の図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0041】
図6に示す構成においては、レンズアレイ4のレンズホルダ41の長手方向両端部に、フック部42aを有する掛止用凸部42が一体的に設けられている。一方、封止ケース5の長手方向両端部の上面部には、フック部42aが係入する切欠部50が設けられている。このような構成によれば、掛止用凸部42を利用してレンズアレイ4を封止ケース5に掛止させることにより、このレンズアレイ4を基板本体30に当接させるようにして有機ELプリントヘッド基板3に一体的に組み付けることが可能である。この場合、それら有機ELプリントヘッド基板3や封止ケース5からレンズアレイ4が容易に分離しないように組み付けることが可能である。したがって、たとえば接着剤を用いてレンズアレイ4を有機ELプリントヘッド基板3に接着させるといった手間を省くことが可能となる。また、これとは異なり、それらレンズアレイ4と有機ELプリントヘッド基板3との確実な固定を図るべくこれらを接着させる際には、他の手段(ジグなど)を利用してそれらが分離および位置ずれしないようにする必要が無いため、その接着作業は容易となる。
【0042】
なお、本発明では、図6に示した構成の変形例として、たとえば、先に述べた掛止用凸部42と同様な掛止用凸部を、封止ケース5または基板本体30に設けた構成とすることもできる。この場合には、前記掛止用凸部の先端をレンズアレイ4のレンズホルダ41に係合させることとなるが、このような構成によっても、図6に示した実施形態と同様な作用が得られる。また、掛止用凸部42に係合させるための切欠部50は、適宜省略することが可能である。
【0043】
図7に示す構成においては、バネ弾性をもつクリップ7を利用して、有機ELプリントヘッド基板3にレンズアレイ4を組み付けている。封止ケース5の上面部およびレンズアレイ4の下面部には、切欠部51,44が設けられており、これらの切欠部51,44にクリップ7の上下両端部分が係入している。この係入作用により、レンズアレイ4は、基板本体30に当接するようにして有機ELプリントヘッド基板3に対して分離しないように組み付けられている。このような構成によっても、レンズアレイ4を有機ELプリントヘッド3に接着剤などを用いて接着する必要を無くすことが可能である。
【0044】
図8および図9に示す構成においては、有機ELプリントヘッド基板3の基板本体30の下面部分に凹部30dが形成され、かつこの凹部30dにレンズアレイ4が嵌入している。図8に示す構成では、凹部30dが比較的浅い深さに形成され、レンズホルダ41の上部のみが凹部30dに嵌入している。これに対し、図9に示す構成では、凹部30dが深く形成されており、凹部30d内にレンズアレイ4の略全体が嵌入している。これらの構成によれば、基板本体30の凹部30dにレンズアレイ4を嵌入させるだけで、それらの位置決めが適切に図られるために、レンズアレイ4の組み付け作業は、やはり容易である。
【0045】
図10および図11に示す構成においては、複数のロッドレンズ40が、基板本体30内に埋設され、この基板本体30に直接保持されている。図10に示す構成では、各ロッドレンズ40の一部分のみが基板本体30に埋設されているのに対し、図11に示す構成では、各ロッドレンズ40の略全体が埋設されている。このような構成は、たとえば基板本体30を樹脂成形する際にインサート成形の手法を用いることにより実現可能である。これらのいずれの構成においても、基板本体30は、ロッドレンズ40を保持するレンズホルダの役割を果たしており、実質的に、レンズアレイが有機ELプリントヘッド基板3に対して一体的に組み付けられた構成となっている。このような構成によれば、専用のレンズホルダが不要となり、部品点数の少数化や全体の小型化などがより促進される。
【0046】
図12〜図14は、本発明に係る有機ELプリントヘッドの他の例を示している。
【0047】
本実施形態の有機ELプリントヘッドA2は、有機ELプリントヘッド基板3Aが、積層部B2から基板本体30Aとは反対方向(図面の上方)に向けて光を出射させるように構成されている。また、レンズアレイ4Aは、基板本体30A上に載設されて、積層部B2を封止する封止ケースとしての役割を果たすように構成されている。
【0048】
より具体的には、図14において、積層部B2は、先に述べた積層部B1とその基本的な構成は共通するが、複数の陽極35Aが反射電極として構成されている一方、複数の陰極37Aが透明電極として構成されている点において異なっている。各陽極35Aは、反射率が高く、有機層36への正孔注入効率の高い材料、たとえばモリブデンあるいはクロムにより形成されている。各陽極35Aは、表面の光反射率が高ければよく、たとえばITOなどの導体の表面に、上記したモリブデンやクロムの金属層を重ねて設けた構成であってもよい。このようにすると、陽極35Aの厚みが大きくなり、陽極35Aの抵抗値を小さくして駆動電圧を低くすることが可能となる。各陰極37Aは、金属薄膜層370上に導体層371を積層した構成を有している。金属薄膜層370は、有機層36への電子注入効率の高い材料、たとえば仕事関数または電子親和力の小さい材料であるアルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金により、厚みが50nm以下に形成され、透光性を有している。一方、導体層371は、陰極37Aの抵抗値を小さくするためのものであり、たとえばITOからなる。このような積層部B2の構成によれば、複数の有機層36の複数の有機EL発光部31(31R,31G,31B)において発生した光は、その一部が陰極37Aを直接透過し、また他の一部は陽極35Aによって反射されてから陰極37Aを透過することにより、基板本体30Aとは反対方向に出射する。基板本体30Aは、透明である必要はない。
【0049】
図13に示すように、レンズアレイ4Aのレンズホルダ41Aは、複数のロッドレンズ40を支持するメイン領域410と、これに繋がったサブ領域411とを有している。メイン領域410は、複数のロッドレンズ40を積層部B2の正面(図面では上方)に配置させて支持させる領域であり、積層部B2の正面領域を覆っている。サブ領域411は、メイン領域410の一面(下向き面)から下方に突出した枠状であり、その下端先端は基板本体30Aに当接して接合されている。このサブ領域411は、積層部B2の周囲を覆っている。
【0050】
この有機ELプリントヘッドA2においても、レンズアレイ4Aが有機ELプリントヘッド基板3Aに直接組み付けられている。したがって、先の実施形態と同様に、それらを個々に組み付けるためのケースを不要とし、全体の部品点数を少なくすることができるといった利点が得られる。とくに、レンズアレイ4Aは、積層部B2を封止する封止手段としても構成されているために、このレンズアレイ4Aとは別の封止部材が不要であり、部品点数をより少なくして、全体構造の簡素化を図るのに一層好適なものとなる。また、全体の厚みを小さくし、一層の小型化も可能となる。さらに、レンズアレイ4Aは、基板本体30A上に直接取り付けられているために、複数の有機EL発光部31から各ロッドレンズ40の光入射面40aまでの距離を各ロッドレンズ40の焦点距離に合わせることも容易かつ正確に行なうことが可能である。
【0051】
図15および図16は、レンズアレイ4を用いて封止手段を構成する場合の他の例を示している。これらの図に示す構成においては、有機ELプリントヘッド基板3Aの基板本体30A上に、枠体59が取り付けられており、この枠体59がレンズアレイ4を支持している。より具体的には、枠体59は、積層部B2の周囲を囲むようにして基板本体30A上に取り付けられているが、積層部B2の上方に位置する開口部59aを有している。レンズアレイ4は、その開口部59aに嵌入されて枠体59に保持されており、開口部59aの全体を塞いでいる。枠体59には、レンズアレイ4の下面部分を支持する段部59bが適宜設けられており、レンズアレイは、この段部59bに当接することによって透明基板30A上における高さが規定されている。図15に示す構成においては、レンズアレイ4の略全体が開口部59aに嵌入しているのに対し、図16に示す構成においては、レンズアレイ4の一部分のみが開口部59aに嵌入し、他の部分は外部に露出している。
【0052】
これら図15および図16に示す構成によれば、レンズアレイ4および枠体59により、積層部B2が適切に封止されている。このように、レンズアレイ4を利用した封止構造は、先の図12〜図14に示した実施形態と同様に合理的であり、全体の小型化などを図るのに好適となる。また、レンズアレイ4としては、たとえば細長な直方体状に形成された既存のものを使用したい場合があるが、枠体59の開口部59aをそれに対応した形状およびサイズに形成しておくことにより、そのようなレンズアレイについても適切に使用することが可能となり、便利である。
【0053】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る有機ELプリントヘッドの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0054】
本発明は、カラー画像形成用のものに限らず、たとえばモノクロ画像形成用のものにも適用することができる。また、本発明に係る有機ELプリントヘッドの具体的な使用用途も限定されず、感光紙とは異なる記録媒体への露光に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る有機ELプリントヘッドの一例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す有機ELプリントヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す有機ELプリントヘッドの要部拡大断面図である。
【図5】図1に示す有機ELプリントヘッドの要部分解斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の他の例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のVI−VI断面図である。
【図7】(a)は、本発明の他の例を示す分解斜視図であり、(b)は、要部断面図である。
【図8】本発明の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明の他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の他の例を示す断面図である。
【図12】本発明の他の例を示す斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図13の要部拡大断面図である。
【図15】本発明の他の例を示す断面図である。
【図16】本発明の他の例を示す断面図である。
【図17】従来技術の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
A1,A2 有機ELプリントヘッド
3,3A 有機ELプリントヘッド基板
4,4A レンズアレイ
5 封止ケース
30,30A 基板本体
30a 光出射面
31 有機EL発光部
40 ロッドレンズ
41,41A レンズホルダ
59 枠体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、
上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、
を備えている、有機ELプリントヘッドであって、
上記レンズアレイは、上記有機ELプリントヘッド基板に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイと有機ELプリントヘッド基板とが一体化されていることを特徴とする、有機ELプリントヘッド。
【請求項2】
上記レンズアレイは、複数のレンズがレンズホルダに保持された構成を有し、
上記レンズホルダは、上記基板本体に重ね合わされるようにして上記有機ELプリントヘッド基板に組み付けられている、請求項1に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項3】
上記レンズホルダおよび上記基板本体には、これらの位置決めが図られるように互いに係合する係合手段が設けられている、請求項2に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項4】
上記レンズアレイが上記基板本体に重ね合わされた状態に保持されるように、上記レンズホルダを上記有機ELプリントヘッド基板またはこの有機ELプリントヘッド基板上に固定して設けられた部材に掛止させて保持させるための掛止手段を備えている、請求項2または3に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項5】
上記レンズアレイの複数のレンズは、それらの一部または全部が上記基板本体に埋設されて保持されており、上記基板本体は、上記レンズアレイのレンズホルダとして構成されている、請求項1に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項6】
上記レンズアレイの光入射用の各レンズ面は、上記基板本体の光出射面に対向しており、かつ上記基板本体の厚みは、上記各レンズ面から上記各有機EL発光部までの距離を、上記各レンズの焦点距離に一致または略一致させる寸法とされている、請求項1ないし5のいずれかに記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項7】
複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、
上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、
上記有機ELプリントヘッド基板上に設けられ、かつ上記複数の有機EL発光部を封止する封止手段と、
を備えている、有機ELプリントヘッドであって、
上記レンズアレイは、上記複数の有機EL発光部を覆うように設けられて、上記封止手段の全体または一部として構成されていることを特徴とする、有機ELプリントヘッド。
【請求項8】
上記レンズアレイの複数のレンズを保持するレンズホルダは、上記複数の有機EL発光部の正面領域に位置して上記複数のレンズを支持するメイン領域と、このメイン領域に繋がった枠状に形成され、かつ上記基板本体上に配されて上記複数の有機EL発光部の周囲を囲むサブ領域と、を有している、請求項7に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項9】
上記基板本体上には、上記有機EL発光部の周囲を囲み、かつ上記有機EL発光部の正面領域に開口部が形成されている枠体が取り付けられており、
上記レンズアレイは、上記開口部に嵌入されて上記枠体に支持されている、請求項7に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項1】
複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、
上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、
を備えている、有機ELプリントヘッドであって、
上記レンズアレイは、上記有機ELプリントヘッド基板に直接組み付けられていることにより、これらレンズアレイと有機ELプリントヘッド基板とが一体化されていることを特徴とする、有機ELプリントヘッド。
【請求項2】
上記レンズアレイは、複数のレンズがレンズホルダに保持された構成を有し、
上記レンズホルダは、上記基板本体に重ね合わされるようにして上記有機ELプリントヘッド基板に組み付けられている、請求項1に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項3】
上記レンズホルダおよび上記基板本体には、これらの位置決めが図られるように互いに係合する係合手段が設けられている、請求項2に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項4】
上記レンズアレイが上記基板本体に重ね合わされた状態に保持されるように、上記レンズホルダを上記有機ELプリントヘッド基板またはこの有機ELプリントヘッド基板上に固定して設けられた部材に掛止させて保持させるための掛止手段を備えている、請求項2または3に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項5】
上記レンズアレイの複数のレンズは、それらの一部または全部が上記基板本体に埋設されて保持されており、上記基板本体は、上記レンズアレイのレンズホルダとして構成されている、請求項1に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項6】
上記レンズアレイの光入射用の各レンズ面は、上記基板本体の光出射面に対向しており、かつ上記基板本体の厚みは、上記各レンズ面から上記各有機EL発光部までの距離を、上記各レンズの焦点距離に一致または略一致させる寸法とされている、請求項1ないし5のいずれかに記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項7】
複数の有機EL発光部が列状に並ぶようにして基板本体上に設けられている有機ELプリントヘッド基板と、
上記各有機EL発光部において発生した光を目的領域上に集束させるためのレンズアレイと、
上記有機ELプリントヘッド基板上に設けられ、かつ上記複数の有機EL発光部を封止する封止手段と、
を備えている、有機ELプリントヘッドであって、
上記レンズアレイは、上記複数の有機EL発光部を覆うように設けられて、上記封止手段の全体または一部として構成されていることを特徴とする、有機ELプリントヘッド。
【請求項8】
上記レンズアレイの複数のレンズを保持するレンズホルダは、上記複数の有機EL発光部の正面領域に位置して上記複数のレンズを支持するメイン領域と、このメイン領域に繋がった枠状に形成され、かつ上記基板本体上に配されて上記複数の有機EL発光部の周囲を囲むサブ領域と、を有している、請求項7に記載の有機ELプリントヘッド。
【請求項9】
上記基板本体上には、上記有機EL発光部の周囲を囲み、かつ上記有機EL発光部の正面領域に開口部が形成されている枠体が取り付けられており、
上記レンズアレイは、上記開口部に嵌入されて上記枠体に支持されている、請求項7に記載の有機ELプリントヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−341465(P2006−341465A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168677(P2005−168677)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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