説明

材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法

【課題】 材料の無駄がなく、材料の回収が容易な材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を提供する。
【解決手段】 材料通路11を介して貫通穴10に連通する材料供給口14を有するとともに材料供給部12の外面に沿って移動可能なホッパー取付部材15を設け、材料供給口14にホッパー13を取付けた状態でホッパー取付部材15を移動させる。また材料供給部12の下端位置にホッパー取付部材15の材料供給口14を位置させ、材料供給口14にホッパー13を取付け、ホッパー取付部材15を移動させ材料供給口14を材料供給部12の下端位置に位置させて材料供給口14付近の材料23をホッパー13内に落下させて回収している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体状や顆粒状の材料を装置本体に供給するための材料供給装置ならびにこの材料供給装置を用いた材料供給方法および材料回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は射出成形機に材料を供給するための材料供給装置を例にして説明する。
従来の射出成形機において、顆粒状の樹脂材料を射出チャンバに供給する材料供給装置として、たとえば特許文献1に記載の材料供給装置が提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載の材料供給装置を図9の断面図を用いて説明する。
この図9に示す材料供給装置は、ホッパー47内に貯留する顆粒状の材料Psを材料供給通路41を介して射出チャンバ33から射出シリンダ31に送り込んでいる。
すなわち、両端部に開口を有するホッパー47をジャケット42上部に固定するように取付ける。
【0004】
ジャケット42には、水平方向に形成した貫通穴である材料供給通路41を設ける。またジャケット42には、この材料供給通路41と連通するとともに直交する連通路48を設ける。材料供給通路41の一端は射出チャンバ33に連通路43を介して連通している。また材料供給通路41の他端のブラケット44上には材料供給アクチュエータ46を配置する。材料供給アクチュエータ46は材料供給通路41に嵌合する材料供給プランジャ45を有する。
【0005】
鉛直方向に延在する射出チャンバ33の下側には射出シリンダ31を連続するように設ける。射出シリンダ31の外周部には材料Psを加熱して溶融させる射出シリンダヒータ38を配設する。射出シリンダ31内部にはトーピード40を配置する。また射出シリンダ31の下端部には、金型内に溶融した材料Pmを射出するためのノズル32を取付ける。ノズル32の外周部にはノズル32内の材料を溶融状態に維持するためのノズルヒータ39を配設する。
射出チャンバ33の上端部には射出用アクチュエータ35を配置する。射出用アクチュエータ35には材料Pmを射出シリンダ31に送り込むための射出プランジャ34を設ける。また射出用プランジャ34の上下動位置を検出するための2つの位置検出センサ36、37を射出用アクチュエータ35の外周部に取付ける。
【0006】
ホッパー47の上側の開口部からホッパー47内に供給する材料Psは、自重で連通路48から材料供給通路41に落下する。この材料供給通路41に落下した材料Psを材料供給アクチュエータ46の材料供給プランジャ45にて、連通路43を介して射出チャンバ33に送り込む。射出チャンバ33内に送り込まれた材料Psは、自重で射出シリンダ31に落下し、材料Psは射出シリンダヒータ38によって溶融する。射出用アクチュエータ35を駆動すると、射出プランジャ34によって、溶融した材料Pmはトーピード40と射出シリンダ31との間を通過し、ノズル32から金型に射出される。
【0007】
【特許文献1】特開2003−231123号公報(段落0019〜0026、および図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1記載の材料供給装置は、材料の自重により適量の材料を射出チャンバに供給できるという利点を備えている。しかし、射出成形機が金型に射出する材料を変更するとき不都合が発生する。
材料Psを変えるには、ホッパー47内に貯留する材料Psと、連通路48および材料供給通路41内の材料を取り除く必要がある。ホッパー47の材料はホッパー47を取り外して行なうが、取り外しのとき材料Psがホッパー47下端の開口からこぼれ落ち、材料の無駄が発生する。また連通路48および材料供給通路41の内部に落下した材料Psを取り除くには、小さな開口である連通路48の上端部から材料Psを回収する必要があり、面倒な作業となる。また連通路43に残った材料Psをすべてノズル32から排出するのに多くの時間を要する。
【0009】
本発明の目的は、上記不都合を解決して、材料の無駄がなく、材料の回収が容易な材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明における材料供給装置は、ノズルを有する射出チャンバと、射出チャンバに一端が連通する貫通穴と貫通穴とほぼ直交する方向に設ける材料通路を有する材料供給部と、貫通穴の他端に設けるとともに材料を射出チャンバに送り出す供給用アクチュエータと、材料を貯蔵するホッパーとを備える材料供給装置において、材料通路を介して貫通穴に連通する材料供給口を有するとともに材料供給部の外面に沿って移動可能なホッパー取付部材を設け、材料供給口にホッパーを取付けた状態でホッパー取付部材を移動させることにより、ホッパー取付部材は材料通路と材料供給口との位置が合致する材料供給位置と、材料供給口が材料供給部外面にて閉塞された材料非供給位置とに設定可能であることを特徴とする。
また本発明の材料供給装置を用いた材料供給方法は、材料供給部の下端位置に材料供給口を位置させ、材料供給口に前記ホッパーを取付けるステップと、材料供給部を移動させ材料供給口を材料供給部の上端位置に位置させて材料供給口から材料通路を介して貫通穴に材料を落下させるステップと、供給用アクチュエータを駆動しプランジャにより貫通穴内の材料を射出チャンバに押し出すステップを有することを特徴とする。
またさらに本発明の材料供給装置を用いた材料回収方法は、材料供給部の下端位置にホッパー取付部材の材料供給口を位置させ、材料供給口に前記ホッパーを取付けるステップと、ホッパー取付部材を移動させ材料供給口を材料供給部の上端位置に位置させて材料供給口から材料通路を介して貫通穴に材料を落下させるステップと、ホッパー取付部材を移動させ材料供給口を材料供給部の下端位置に位置させて材料供給口付近の材料をホッパー内に落下させて回収するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、材料通路を介して貫通穴に連通する材料供給口を有するとともに材料供給部の外面に沿って移動可能なホッパー取付部材を設け、材料供給口にホッパーを取付けた状態でホッパー取付部材を移動させる。また本発明では材料供給部の下端位置にホッパー取付部材の材料供給口を位置させ、材料供給口にホッパーを取付け、ホッパー取付部材を移動させ材料供給口を材料供給部の下端位置に位置させて材料供給口付近の材料をホッパー内に落下させて回収している。
このため本発明の材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法では、材料の無駄は発生せず、材料の回収作業が容易となり、さらに射出チャンバに残留している材料を短時間で排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を用いて本発明の実施形態における材料供給装置、ならびにこの材料供給装置を
用いた材料供給方法および材料回収方法について詳しく説明する。
【0013】
〔材料供給装置の説明:図3および図7〕
はじめに本発明の実施形態における材料供給装置を図3の断面図を用いて説明する。なお、図3は材料供給位置を図示している。
球状の材料23を貯留するホッパー13は、材料供給口14を形成したホッパー取付部材15に取付ける。そしてこのホッパー取付部材15は、材料供給部12の外面を移動可能に構成している。
材料供給部12には水平方向に貫通する貫通穴10を設け、貫通穴10の一端が筐体4の連通路8を介して射出チャンバ2に連通している。連通路8には射出チャンバ2側に傾斜した斜面8aを形成し、材料23を射出チャンバ2に落下しやすくしている。
【0014】
材料供給部12の貫通穴10の他端には材料23を射出チャンバ2に送り出すための供給用アクチュエータ16を設ける。供給用アクチュエータ16は空気シリンダからなる。また供給用アクチュエータ16は、プランジャ17を有し、プランジャ17の前進移動によって貫通穴10内の材料23を射出チャンバ2に送り込む。
供給用アクチュエータ16には、プランジャ17を前進および後退運動させるための第1の空気穴16aと第2の空気穴16bを設け、この空気穴16a、16bから圧縮空気を供給および排気する。
【0015】
ホッパー取付部材15の内面に取付けた材料供給部12には、ホッパー13内の材料23を通過させるための材料通路11を形成する。材料通路11の詳細を図7の平面図で説明する。図7は材料供給部12を上面から見た平面図である。図7に示すように、材料供給部12の外形形状は好ましくは円形状とする。円形状とすると材料供給部12の外面をホッパー取付部材15が移動しやすくなる。
そして材料供給部12の貫通穴10に連通するように、材料供給部12の上面側に材料通路11を形成する。図示するように、材料通路11は丸穴とすることが好ましい。
【0016】
このように構成すると、材料供給口14を形成したホッパー取付部材15にホッパー13を取付けた状態で、ホッパー取付部材15を材料供給部12の外面に沿って移動させることにより、ホッパー取付部材15は材料通路11と材料供給口14との位置が合致する材料供給位置と、材料供給口14が材料供給部12の外面にて閉塞された材料非供給位置とに設定可能となる。
【0017】
ふたたび図3に戻って説明する。材料供給部12の貫通穴10の一端部に連通するとともに鉛直方向に延在する射出チャンバ2は、加熱筒3に形成した逆円錐状の円錐部3aを有する。円錐部3aの下方には材料23をノズル1まで導くための開口を形成し、この開口内に螺旋状溝を形成したスクリュウ5を配設する。ホッパー13内の材料23が、材料供給口14と材料通路11と貫通穴10を介して円錐部3aに供給される。逆円錐形状の円錐部3aとすることにより、材料23がスクリュウ5の螺旋状溝に導入されやすくなる。また円錐部3aの近傍には材料23の有無を検出するセンサ9を配設する。このセンサ9は、発光素子より光を出射し材料23からの反射光を受光素子で検出する反射型光センサ、あるいは検出部と電子鏡部を有し検出部は電子鏡部から送られてきた変調光を受光し、受光が継続している場合には材料23無しを検出し、受光が遮断された場合には材料23有りを検出する透過型光センサのいずれかを使用する。
このセンサ9の出力信号によって供給用アクチュエータ16を動作させる。すなわち射出チャンバ2の円錐部3aに材料23が無くなると、センサ9が材料無し検出信号を出力して供給用アクチュエータ16を動作させ、プランジャ17を前進させ材料23を射出チャンバ2に送り込む。
【0018】
筐体4下方の加熱筒3の下端にはノズル1を有する。ノズル1は加熱筒3と一体、または別体でも良い。加熱筒3とノズル1の中心部には開口を形成し、その開口内に回転可能なスクリュウ5を配設する。スクリュウ5は材料23をノズル1まで導くとともにノズル1から射出する働きを有し、スクリュウ5を回転させることにより、材料23はスクリュウ5の螺旋状溝に沿って下降する。加熱筒3外周に配設する加熱筒ヒータ6によって材料23は溶融し、スクリュウ5の溝内に形成した小穴5aを介してスクリュウ5下端の流出口5bからノズル1に到達する。
ノズル1の外周にもノズルヒータ7を配設し、材料23の溶融状態を維持させる。
スクリュウ5の上端には図示しない回転機構を設けるとともにスクリュウ5を下方向に押圧する手段を設ける。押圧手段によってノズル1から金型に溶融した材料23を射出する。
【0019】
〔材料供給方法の説明:図1から図4〕
つぎに以上説明した材料供給装置を用いた材料供給方法を図1から図4の断面図を使用して説明する。
はじめに図1に示すように、供給用アクチュエータ16を駆動してプランジャ17を前進させ、プランジャ17にて材料23の貫通穴10への落下を塞き止めている。
さらにホッパー取付部材15を移動させて材料供給口14を材料供給部12の直径方向の下端位置に位置させる。
【0020】
つぎに材料23を充填したホッパー13を、下側からホッパー取付部材15に取り付ける。ホッパー13に雄ねじを形成し、ホッパー取付部材15に雌ねじを形成し、両者を螺合することにより、ホッパー取付部材15にホッパー13を取付ける。ホッパー取付部材15へホッパー13を取付た状態を図2に示す。
このホッパー取付作業では、ホッパー13の開口部は上向きであり、螺合すれば取り付けることができ、ホッパー取付部材15へのホッパー13の取付作業が容易であり、さらに材料23がホッパー13からこぼれ落ちることもない。
【0021】
つぎに図3に示すように、ホッパー取付部材15を移動させ材料供給口14を材料供給部12の上端位置に位置させる。ホッパー取付部材15の移動は、ホッパー13を材料供給部12の下端位置から上端位置まで角度180度回転させることにより行なう。
すると、ホッパー取付部材15の材料供給口14の位置と、材料供給部12の材料通路11の位置とが合致し、ホッパー13内の材料23は材料供給口14から材料通路11に材料23が落下する。材料通路11に自重で落下した材料23は、貫通穴10内の前進位置に停止しているプランジャ17によって塞き止められる。
【0022】
つぎに図4に示すように、供給用アクチュエータ16である空気シリンダの第2の空気穴16bに圧縮空気を送り込み、プランジャ17を前進位置から後退位置に移動させる。この結果、プランジャ17で塞き止められていた材料23は、自重で貫通穴10内に落下する。
その後は図示しないが、供給用アクチュエータ16の第1の空気穴16aに圧縮空気を送り込み、プランジャ17を前進位置まで移動させると、貫通穴10内に落下した材料23は筐体4の連通路8を介して射出チャンバ2の円錐部3aまで送り込むことができる。
円錐部3aに送り込まれた材料23は、スクリュウ5の回転によってスクリュウ5の螺旋状溝を順次下方向に送られ、加熱筒3の加熱筒ヒータ6によって溶融し、さらにスクリュウ5の小穴5aからスクリュウ5内部に導かれ、流出口5bからノズル1領域に到達する。ノズルヒータ7によって溶融状態が維持され、スクリュウ5を下方向に押圧することによってノズル1から金型内に材料23を射出する。
【0023】
加熱筒3の円錐部3aに材料23がなくなると、センサ9が材料無し信号を出力し、セン
サ9の出力信号によって供給用アクチュエータ16を作動させ、プランジャ17にて材料23を射出チャンバ2に送り込む。
【0024】
〔材料回収方法の説明:図3および図2〕
つぎに以上説明した材料供給装置を用いた材料回収方法を図3と図2を使用して説明する。
ホッパー13内に貯留する材料23を変えるには、はじめに図3に示す状態にする。
図3の状態は、ホッパー取付部材15が材料供給部12の上端位置に位置するとともにプランジャ17が貫通穴10内の前進位置に位置している。すなわちプランジャ17にて材料23の貫通穴10への落下を塞き止めている。
その後、ホッパー取付部材15を材料供給部12の下端位置に移動させるように角度180度回転させる。その結果、図2に示す状態となる。
すると材料供給口14付近に停留していた材料23は、ホッパー13内に落下し材料23を回収することができる。なお、材料供給部12の材料通路11にわずかな量の材料23が残留するが、この材料通路11の材料23はホッパー13をホッパー取付部材15から取り外した後、簡単に回収できる。
【0025】
このように本発明では、ホッパー13を材料供給部12の下端位置でホッパー取付部材15に取り付け、ホッパー取付部材15を材料供給部12の上端位置に移動させて材料23を貫通穴10に供給し、またホッパー取付部材15を材料供給部12の下端位置に移動させて材料23を回収している。
この結果、本発明では、ホッパー13から材料23がこぼれ落ちることは発生せず材料の無駄がなく、さらにホッパー13を回転させるだけで材料23をホッパー13内に回収できることから材料の回収が容易な材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を提供することができる。
【0026】
〔材料通路の他の実施形態の説明:図8〕
以上の説明では、材料供給部12に形成する材料通路11は円形の開口で説明したが、材料通路は長穴形状でもよい。この実施形態を図8の平面図を用いて説明する。
図8に示すように、材料供給部12に形成する材料通路11aを材料供給部12の上端位置から下端方向に伸びる開口とする。
材料通路11aを材料供給部12の上端位置から下端方向に伸びる開口とすると、材料通路11aに残留する材料23は、長穴形状の材料通路11aを介してホッパー13内へ落下させることができる。このため、材料通路11aに残留する材料23はほとんど無く、材料23のほとんどが回収できるという効果を有する。
また、材料通路11aの長穴は、材料供給部12の上端位置の開口幅が下端方向の開口幅より大きい開口としても良い。このようにすると、材料通路11a内の材料23がホッパー13内に落下しやすくなる。
【0027】
〔アッタチメントの説明:図5および図6〕
以上の説明では、ホッパー13は螺合にてホッパー取付部材15に取付けた実施形態で説明したが、取り付けおよび取り外しが簡単なアッタチメントを介してホッパー13をホッパー取付部材15に取付けても良い。この実施形態を図5と図6を用いて説明する。なお、この図5と図6は図3におけるA―A線における断面図である。また、図5と図6では材料供給部12に形成する材料通路の形状は長穴の実施形態で説明するが、材料通路は長穴でなく図7に示すような円形でも良い。
【0028】
アッタチメント20は、ホッパー13の開口部付近の全周に亘って形成する凹部20aと、ホッパー取付部材15に設けるコイルばねからなる弾性部材20bと、弾性部材20bによって付勢された鋼球からなるボール20cから構成する。凹部20aは断面形状V字
状の形状に形成する。
このアッタチメント20においては、ホッパー13をホッパー取付部材15に取付けるときはホッパー13をホッパー取付部材15に押し込む。すると、弾性部材20bによって付勢されたボール20cが凹部20aに係合し、ホッパー13をホッパー取付部材15に取付けることができる。ボール20cが弾性部材20bによって凹部20aに押圧されていることから、ホッパー13がホッパー取付部材15から外れることはない。
またホッパー取付部材15からホッパー13を取り外すときは、ホッパー13をホッパー取付部材15から引き抜くような力を加えると、ボール20cが凹部20aのV字状溝をすべって凹部20aから離脱し、ホッパー13をホッパー取付部材15から取り外すことができる。
このように、本発明ではアッタチメント20を介してホッパー13をホッパー取付部材15に取り付け取り外しすることにより、ホッパー取付部材15へのホッパー13の取り付けおよび取り外し作業を容易に行なうことができる。
【0029】
〔停止機構の説明:図5および図6〕
以上の説明では、ホッパー13を取付けたホッパー取付部材15を材料供給部12の下端位置と上端位置に停止させる位置はおおよその位置であったが、以下に説明する実施形態では、ホッパー13を取付けたホッパー取付部材15を材料供給部12の下端位置と上端位置の所定位置に停止させる停止機構の構成について図5と図6を用いて説明する。
【0030】
材料供給部12外周部の同一円周上の角度180度毎に2列合計4箇所の逆円錐形状の凹部19aを設ける。さらにホッパー取付部材15に角度180度で対向した2組合計4箇所に、弾性部材19bに付勢されたボール19cを配設する。停止機構19は、凹部19aと弾性部材19bとボール19cから構成する。弾性部材19bはコイルばねからなり、ボール19cは鋼球からなる。
このように停止機構19を設けることにより、材料供給部12の外面をホッパー取付部材15を回転させ凹部19aとボール19cの位置が合致すると、弾性部材19bによって付勢されたボール19cが凹部19aに係合し、所定位置にホッパー取付部材15に取り付けたホッパー13を停止させることができる。
また、図5と図6では材料供給部12に形成する材料通路11aは長穴を形成しているが、材料通路は長穴でなくても図7に示すような円形でも良い。
【0031】
〔他の実施形態の説明:図5および図6〕
本発明の他の実施形態の材料回収方法を図5と図6を用いて説明する。図5および図6では材料通路は長穴であり、さらにアッタチメント20と停止機構19を設けている。図5はホッパー13が材料供給部12の上端位置を、図6はホッパー13が材料供給部12の上端と下端との中間位置をそれぞれ示す。なお、図5と図6においては、材料供給部12の貫通穴10の材料通路11a形成位置にはプランジャが位置し、材料23の貫通穴10への落下はプランジャ17にて塞き止められた状態を図示している。
図5に示す材料23の供給状態から、材料23をホッパー13内に回収しようとしてホッパー13を矢印25の方向に移動させると、材料通路11aが長穴となっていることから、図6に示すように材料通路11a内の材料は貫通穴10内のプランジャ17の外周部を転がり落ち自重でホッパー13内に落下し、材料通路11aに残留する材料23は無くなる。
この図5と図6を用いて説明した実施形態でも、材料23がホッパー13からこぼれ落ちることは発生せず材料の無駄が発生せず、ホッパー13を回転させるだけで材料23をホッパー13内に回収できることから材料の回収が容易な材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を提供することができる。また材料23の回収時は、プランジャ17が材料通路11、11aと連通路8とを遮断していることから、射出チャンバ2内の材料23は少なくなる。このため射出チャンバ2に残留している材料を排
出する時間は短くできる。
【0032】
以上の実施形態では射出チャンバが鉛直方向に延在する射出成形機を用いて説明したが、射出チャンバが水平方向に延在する射出成形機にも本発明は適用できる。そのときはL字状の材料供給部を設け、水平な射出チャンバと平行な部分にホッパー取付部材を取り付けるように構成する。
また以上の実施形態において、材料としては球状の形状で説明したが、材料は球状以外に円筒状や角形状の顆粒状、または粉体状であっても本発明は適用できる。
また以上の説明では射出成形機に材料を供給する材料供給装置、材料供給方法および材料回収方法を例にして説明したが、射出成形機以外にも菓子製造装置の材料混練本体に菓子材料を供給する場合にも適用でき、さらに砂と砂利とセメントを混練してコンクリートを製造する場合にも適用できる。
またさらに、本体に対して1つの材料供給装置を配設した例で説明したが、複数の材料供給装置を本体に配設してもよい。この場合は異なる材料を本体に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法における材料通路を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態における材料供給装置ならびにこの装置を用いた材料供給方法および材料回収方法における材料通路を示す平面図である。
【図9】従来技術における材料供給装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ノズル
2 射出チャンバ
10 貫通穴
11 材料通路
12 材料供給部
13 ホッパー
14 材料供給口
15 ホッパー取付部材
16 供給用アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有する射出チャンバと、
前記射出チャンバに一端が連通する貫通穴と該貫通穴とほぼ直交する方向に設ける材料通路を有する材料供給部と、
前記貫通穴の他端に設けるとともに材料を前記射出チャンバに送り出す供給用アクチュエータと、
前記材料を貯蔵するホッパーとを備える材料供給装置において、
前記材料通路を介して前記貫通穴に連通する材料供給口を有するとともに前記材料供給部の外面に沿って移動可能なホッパー取付部材を設け、
前記材料供給口に前記ホッパーを取付けた状態で前記ホッパー取付部材を移動させることにより、前記ホッパー取付部材は前記材料通路と前記材料供給口との位置が合致する材料供給位置と、前記材料供給口が前記材料供給部外面にて閉塞された材料非供給位置とに設定可能である
ことを特徴とする材料供給装置。
【請求項2】
射出チャンバは、下端に前記ノズルを結合するとともにほぼ鉛直方向に延在するように配設し、
前記材料供給部の断面形状は円形であり、
前記材料供給部の直径方向の上端位置に前記材料通路を配設する
ことを特徴とする請求項1記載の材料供給装置。
【請求項3】
前記材料通路は長穴である
ことを特徴とする請求項1記載の材料供給装置。
【請求項4】
前記材料通路の長穴は、前記材料供給部の直径方向の上端位置から下端方向に伸びる開口である
ことを特徴とする請求項3記載の材料供給装置。
【請求項5】
前記材料通路の長穴は、前記材料供給部の直径方向の上端位置の開口幅が下端位置の開口幅より大きい
ことを特徴とする請求項4記載の材料供給装置。
【請求項6】
前記材料供給部には、直径方向の下端位置と上端位置に前記ホッパー取付部材を停止させる停止機構を設ける
ことを特徴とする請求項2記載の材料供給装置。
【請求項7】
前記停止機構は、前記材料供給部の外周に設ける凹部と、前記ホッパー取付部材に設ける付勢されたボールである
ことを特徴とする請求項6記載の材料供給装置。
【請求項8】
前記ホッパーはアッタチメントを介して前記ホッパー取付部材に取付けることを特徴とする請求項1記載の材料供給装置。
【請求項9】
前記射出チャンバには、前記材料の有無を検出するセンサを配置する
ことを特徴とする請求項1記載の材料供給装置。
【請求項10】
前記センサは反射型光センサ、または透過型光センサである
ことを特徴とする請求項9記載の材料供給装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の材料供給装置を用いた材料供給方法は、
前記材料供給部の下端位置に前記材料供給口を位置させ、前記材料供給口に前記ホッパーを取付けるステップと、
前記材料供給部を移動させ前記材料供給口を前記材料供給部の上端位置に位置させて前記材料供給口から前記材料通路を介して前記貫通穴に前記材料を落下させるステップと、
前記供給用アクチュエータを駆動し前記プランジャにより前記貫通穴内の前記材料を前記射出チャンバに押し出すステップを有する
ことを特徴とする材料供給方法。
【請求項12】
前記供給用アクチュエータを駆動し前記プランジャにより前記貫通穴内の前記材料を前記射出チャンバに押し出すステップは、前記センサによる材料無信号によ
り行う
ことを特徴とする請求項11に記載の材料供給方法。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の材料供給装置を用いた材料回収方法は、
前記材料供給部の下端位置に前記ホッパー取付部材の前記材料供給口を位置させ、前記材料供給口に前記ホッパーを取付けるステップと、
前記ホッパー取付部材を移動させ前記材料供給口を前記材料供給部の上端位置に位置させて前記材料供給口から前記材料通路を介して前記貫通穴に前記材料を落下させるステップと、
前記ホッパー取付部材を移動させ前記材料供給口を前記材料供給部の下端位置に位置させて前記材料供給口付近の前記材料を前記ホッパー内に落下させて回収するステップを有する
ことを特徴とする材料回収方法。
【請求項14】
前記材料を前記ホッパー内に回収するステップでは、前記材料通路を前記プランジャにて閉塞する
ことを特徴とする請求項13に記載の材料回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−245629(P2007−245629A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74566(P2006−74566)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】