説明

架橋した親水性ポリマーを含む、低い保持能力の親水性不織布

本発明は、親水性の合成不織布ウェブに関する。本発明のウェブに含まれる1cm×1cmの少なくとも1つの領域は、親水性の架橋ポリマーを含み、不織布繊維ウェブm&sup2(m&sup2)当たり水性液体100g未満の保持能力を有する。
加えて、本発明は、このような不織布ウェブの製造方法にも関する。
更に、本発明は、架橋した親水性ポリマーを含む不織布ウェブを含む吸収性物品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性の架橋ポリマーを含む合成不織布ウェブに関する。本発明の前記ウェブは、前記不織布繊維ウェブ1m当たり水性液体100g未満の保持能力を有する。
加えて、本発明は、このような不織布ウェブの製造方法にも関する。
更に、本発明は、架橋した親水性ポリマーを含む不織布ウェブを含む吸収性物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維から製造される不織布布地は広範な様々な異なる用途に用いられ、例えば、前記不織布布地は、例えばトップシート材料として又は吸収性コアの貯蔵層を封入するためのコアラップとして、吸収性物品に一般に適用される。このような不織布布地は、通常は疎水性である。しかし、衛生用製品における多くの適用では、親水性の不織布を有することが必要である。それ故に、不織布布地は、適宜処理されなければならない。
【0003】
不織布布地を親水性にするための一般的な方法は、親水性界面活性剤で不織布の表面をコーティングすることである。このコーティングは不織布と界面活性剤との間に堅固な化学結合をもたらさないため、界面活性剤は、吸収性物品が濡らされると、使用中に洗い流される可能性がある。液体しみ出し時間の減少は、不織布が界面活性剤でコーティングされている場合に望ましい効果である。液体しみ出しとは、液体が不織布布地を通り抜けることをいい、液体しみ出し時間とは、特定の量の液体が不織布を通り抜けるのにかかる時間をいう。しかし、コーティングされた不織布布地が液体に曝されるときに界面活性剤が洗い流されると、次の噴出におけるしみ出し時間は再び増加する。これによって、界面活性剤で処理された疎水性不織布布地を含むおむつは、結果として使用中に性能が低下する。更に、液体しみ出し時間が界面活性剤の使用のために減少するのと同時に、洗い流し(=界面活性剤処理された不織布布地と接触していた液体)の表面張力が低下する。この低下は、おむつ中での尿漏れの増加を引き起こす可能性があるため、望ましくない。
【0004】
不織布布地を親水性にする別の可能性は、コロナ処理などの高エネルギー処理を適用することである。
【0005】
コロナ放電は、空気がイオン化を生じるのに十分な高い電位に曝される場合に生じる電気的な事象であり、それにより、空気が電気絶縁体から電気の伝導体に変化する。
【0006】
しかし、コロナ処理は、材料を貯蔵する際にコーティングの耐久性を低くし、すなわち経時的に親水性が低下する。
【0007】
従って、貯蔵時に耐久性があり、濡らされたときに容易に洗い流されず、及び洗い流しの表面張力を著しく低下させずに、複数回の液体への曝露おいて迅速な液体しみ出しを達成させることを可能にする、不織布の親水性コーティングが必要である。
【0008】
親水性モノマー類を化学的にグラフト化する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第5,830,604号、名称「ポリマー性シート及びそれを用いた電気化学装置(Polymeric sheet and electrochemical device using the same)」(レイモンド(Raymond)らに発行);米国特許第5,922,417号、名称「ポリマー性シート(Polymeric sheet)」(レイモンド(Raymond)らに発行);及びPCT国際公開特許WO98/58108、名称「不織布布地処理(Non-woven fabric treatment)」はすべて、バッテリーのような電気化学装置においてセパレーターとして使用するための不織布を製造するための方法に言及している。
【0009】
これらの化学的なグラフト化方法は、比較的大量の未反応のモノマー類及び可溶性非グラフトポリマー類に起因して洗浄工程を必要とし、そうでなければこれらが不織布布地の表面に残存する。未反応のモノマー類が適切に洗い流されないと、後に、使用中に洗い流される可能性がある。不織布布地が吸収性物品に適用される場合、このようなモノマー類は、吸収性物品の着用者と接触する可能性があるので、非常に望ましくない。可溶性ポリマー類が洗い流されないと、これらは、使用中に非常に膨潤し及び/又は洗い流されて、液体しみ出し時間を減少させる可能性がある。しかし、追加的な洗浄工程は、特に処分しなければならない大量の洗浄水及び乾燥するのに必要なエネルギーのために比較的費用が嵩む。
【0010】
更に、超吸収性ポリマー類を含む不織布布地の製造も、当該技術分野では周知である。例えば、米国特許第6,417,425号、名称「吸収性物品及び該吸収性物品の調製方法(Absorbent article and process for preparing an absorbent article)」(ウィットモア(Whitmore)らに発行)には、繊維ウェブ上に、超吸収性ポリマー粒子、超吸収性形成モノマー類、反応開始剤及び水を含有するブレンドを噴霧することを含む方法が開示されている。前記ウェブはその後、重合条件に付される。
【0011】
更に、米国特許第5,567,478号、名称「吸水性シート材料の製造方法及びその使用(Process for producing a water-absorbing sheet material and the use thereof)」(ホーベン(Houben)らに発行)は、吸水性ポリマーと予め加工された不織布布地とから成る吸水性シート状材料の製造方法に言及しており、ここで、前記の予め加工された不織布布地は、部分的に中和されたアクリル酸及び少なくとも1の架橋剤を含む溶液で含浸され、特定のコーティング量まで搾り出され、こうして適用された前記モノマー溶液は、重合がラジカル開始剤の存在下で行われることを特徴とする。得られる製品は、負加の下での改善された吸水率及びより高い保持を有すると言われている。
【0012】
米国特許第6,417,425号及び米国特許第5,567,478号に開示されている方法で製造された不織布ウェブは、向上した保持能力を有することを目的としている。そのため、超吸収性ポリマーの繊維ウェブ上への付着量は比較的多い。しかし、かかる不織布ウェブは、不織布に含まれる超吸収性ポリマーが液体吸収時に膨張するとウェブの孔を容易に塞ぎ、それによって液体しみ出しのための浸透性を低下させることがあるので、トップシート又は獲得層材料としては適さない。
【0013】
(本発明の目的)
本発明の目的は、親水性コーティングが貯蔵時に耐久性があり、濡らされたときに容易に洗い流されず、及び洗い流しの表面張力を著しく低下させずに、複数回の液体への曝露において迅速な液体しみ出しを達成させることを可能にする、親水性不織布ウェブを提供することである。親水性不織布ウェブは、液体と接触したときに液体に対して高い液体透過性を維持する必要がある。
【0014】
その上、親水性不織布ウェブは、液体と接触したときに洗い流される可能性のある大量の未反応のモノマー類を含むべきではない。この目的は、不織布ウェブを、未反応のモノマー類が前記吸収性物品の着用者と接触する可能性のある吸収性物品に適用する場合に、特に望ましい。
【0015】
本発明の別の目的は、親水性不織布ウェブであって、前記不織布ウェブが比較的少量の親水性コーティングのみを含むものを提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
また本発明の更なる目的は、親水性不織布ウェブの製造方法を提供することである。前記方法は、不織布ウェブを製造するための製品製造ラインなどの高速プロセスに適している必要がある。そのため、親水性コーティングを提供することが望ましいと考えられ、この場合、前記方法は洗浄工程を要しない。更に、前記方法は、上述の目的を満たす親水性不織布ウェブをもたらす必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、合成不織布繊維ウェブであって、前記不織布繊維ウェブがその1m当たり水性液体100g未満の保持能力を有する1cm×1cmの寸法の少なくとも1つの領域を含み、前記領域が架橋した親水性ポリマーを含む、合成不織布繊維ウェブに関する。
【0018】
本発明は、更に、合成不織布繊維ウェブを処理する方法であって、前記方法が、
a)合成不織布繊維ウェブを用意するか又は複数の繊維を用意する工程;
b)親水性モノマー類、架橋剤分子及びラジカル重合開始剤分子を含む水溶液を用意する工程;
c)前記ウェブ又は複数の繊維に前記水溶液が浸透するように、前記ウェブ又は複数の繊維を前記水溶液に接触させる工程;
d)前記ウェブ/複数の繊維を紫外線に曝露する工程;
を含み、前記不織布ウェブ又は複数の繊維上の前記親水性ポリマーの付着量が、前記ポリマーを含まない前記ウェブ又は複数の繊維の30重量%未満となるように、前記水溶液中での前記モノマー類の濃度が選択される、方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書は、本発明を指摘し且つ明白に請求する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、添付の明細書と併せて、以下の図面によって更によく理解できると考えられ、前記明細書及び図面では、同類の構成要素には同じ参照番号が与えられている。
【0020】
定義
本明細書で使用するとき、以下の用語は、以下の意味を有する:
「吸収性物品」は、液体を吸収して収容する装置に言及する。一実施形態において、用語「吸収性物品」は、着用者の体と接触させて又は近接して設置されて、体から排出される様々な排出物を吸収して収容する装置に言及する。吸収性物品としては、おむつ、成人失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、おむつホルダー及びおむつライナー、生理用ナプキンなどが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本発明の別の実施形態では、用語「吸収性物品」は拭き取り用品に言及する。
【0021】
「使い捨て」とは、一般に洗濯又は他の方法で復元若しくは再使用されることを意図しない(すなわち、前記物品は、1回の使用後に廃棄されて、好ましくはリサイクルされるか、堆肥化されるか、又はさもなければ環境に適合する方法で処理されることを意図する)物品を説明するために本明細書で用いる。
【0022】
「含む」及び「含んでいる」は、その前にくるもの、例えば構成要素の存在を明記する幅広い解釈ができる用語であるが、当該技術分野で既知の、又は本明細書で開示した、他の機構、要素、工程、又は構成要素の存在を排除しない。
【0023】
用語「親水性」とは、この繊維上に付着した水性流体(例えば、水性体液)によって濡れることが可能な繊維又は繊維の表面について表している。親水性及び湿潤性は、典型的には、流体の接触角及び(例えば不織布布地を通る)流体しみ出し時間の観点から規定される。この点については、アメリカ化学会(the American Chemical Society)の出版物、名称「接触角、湿潤性、及び接着(Contact angle, wettability and adhesion)」(ロバート・F・グールド(Robert F.Gould)編集)(1964年版権)にて詳細に説明されている。繊維又は繊維の表面は、流体と繊維若しくはその表面との間の接触角が90°未満のときか、又は流体が繊維の表面全体に自然に広がる傾向があるとき(通常は両方の条件は共存する)に、流体によって濡らされる(すなわち、親水性である)と言われている。逆に、接触角が90°より大きく、流体が繊維の表面全体に自然に広がらない場合は、繊維又は繊維の表面は疎水性であるとみなされる。
【0024】
「不織布布地」及び「不織布ウェブ」という用語は、交換可能に使用される。
【0025】
用語「複数の繊維」は、まだ不織布ウェブに変換されていない複数の個々の繊維又はフィラメントに言及される。しかし、繊維は互いに絡まっていてもよい。本発明の好ましい実施形態において、複数の繊維は連続フィラメントから成る。
【0026】
不織布布地
不織布布地は、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合された、一方向に配向された繊維又はランダムに配向された繊維で製造されたウェブであり、紙と、更なるニードル加工の有無を問わず、結合糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチで結合した製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品とを除く。
【0027】
繊維は天然起源でも人工起源でもよい。繊維は短く切断したフィラメント若しくは連続フィラメントでもよいし、又はその場で形成されてもよい。
【0028】
不織布布地は、メルトブローイング、スパンボンディング、カーディングのような多くの方法によって形成することができる。不織布布地の坪量は、通常は、1平方メートル当たりのグラム数(g/m)で表される。
【0029】
市販の繊維の直径は、約0.001mm未満から約0.2mm超過までの範囲に及び、いくつかの異なる形態:短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの撚っていない束(麻くず(tow))、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)、で提供される。繊維は、その起源、化学構造、又はその両方によって分類される。繊維は、例えば、布地(不織布、不織布ウェブ又は不織布布地とも呼ばれる)にされることができる。
【0030】
不織布布地は、自然に作られる繊維(天然繊維)、人によって製造される繊維(合成繊維)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。天然繊維の例としては、羊毛、絹、毛皮、及び毛髪などの動物繊維と、セルロース、綿、亜麻、リネン、及び麻布などの植物繊維と、ある種の天然に生じる鉱物繊維とが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明での使用に関して、不織布布地は合成である。合成繊維は、天然源及び鉱物源に由来する繊維を含む人工繊維である。天然源に由来する合成繊維の例としては、ビスコース、多糖類(デンプン、レーヨン及びリオセルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。鉱物源からの繊維の例としては、ポリプロピレンやポリエチレン繊維などのポリオレフィン繊維及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。鉱物源からの繊維は、石油、並びにガラス及びアスベストなどのケイ酸塩繊維に由来する。
【0032】
不織布ウェブは、繊維及びウェブがほぼ同じ時点で形成される直接押出成形法によって形成することができるか、又は明確に後の時点でウェブに配置できる予め形成された繊維によって形成することもできる。直接押出成形法の例としては、スパンボンディング、メルトブローイング、溶媒紡糸、電界紡糸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。不織布ウェブは、多くの場合、いくつかの層を含み、これらの層は例えば異なる押出成形法で製造されてよい。
【0033】
本明細書で使用するとき、「スポンバンド繊維」という用語は、複数の微細な、通常は環状のスピナレットの毛管からフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成される、小さな直径の繊維に言及される。スパンボンド繊維は収集面に沈着するときに急冷されて、概して粘着性はない。スパンボンド繊維は一般的に連続的である。
【0034】
本明細書で使用するとき、「メルトブロー繊維」という用語は、溶融熱可塑性材料を、融解した糸又はフィラメントとして、複数の微細な、通常は環状の金型(die)毛管を通して、溶融熱可塑性材料のフィラメントを弱めてその直径を減少させる収束高速ガス(例えば空気)の流れの中に押し出すことによって形成される繊維を表す。その後、高速ガス流によって、メルトブロー繊維は移動し、収集面上に沈着して、無作為に分布したメルトブロー繊維のウェブを形成する。
【0035】
「レイイング(laying)」の方法の例には、湿式レイイング(wet-laying)及び乾式レイイング(dry-laying)が挙げられる。乾式レイイング(dry-laying)の方法の例には、典型的には層を形成する、エアレイイング、カーディング、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記の方法を組み合わせると、一般にハイブリッド又は複合体と呼ばれる不織布がもたらされる。
【0036】
不織布ウェブ中の繊維は、典型的には、重なり合う接合部のいくつかで、1つ以上の隣接繊維に接合している。これには、2層以上の層があるときの各層内での繊維の接合と層間の繊維の接合とが含まれる。繊維は、機械的な絡合、化学結合、又はこれらの組み合わせによって接合することができる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、不織布布地は、ポリプロピレン(PP)及び/又はポリエチレン(PE)及び/又はポリエステル(PET)で作られる。別の実施形態では、不織布布地は、PPとPET又はPEとPPから成る2成分繊維で作られる。
【0038】
吸収性物品中でコアラップ材料として使用するために、不織布布地は、好ましくは、スパンボンド法とメルトブローン法の組み合わせ(SMMS)によって作られ、坪量は、好ましくは7g/m〜30g/m、より好ましくは8g/m〜20g/m、更により好ましくは8g/m〜15g/mである。
【0039】
吸収性物品中のトップシート材料として使用するために、不織布布地は、好ましくはスパンボンド繊維を含む。トップシートの坪量は、好ましくは10g/m〜30g/m、より好ましくは15g/m〜20g/mである。別の実施形態では、トップシートは、10g/m〜25g/m、より好ましくは15g/m〜20g/mの好ましい坪量を有するカード不織布布地を含む。
【0040】
吸収性物品中の獲得材料としての用途のために、不織布は、好ましくはカーディング方法によって作られ、坪量は、好ましくは20g/m〜200g/m、より好ましくは40g/m〜100g/m、更により好ましくは約50g/m〜70g/mである。材料は、例えば、樹脂透過熱接着方法、又は空気透過熱接着方法によって更に結合される。
【0041】
恒久的に親水性の不織布布地の製造方法
本発明の方法は、合成不織布ウェブの処理又は複数の合成繊維の処理に言及する。この方法は比較的安価な化学物質を含むため、非常に経済的である。更に、この方法は非常に速い。少なくとも200m/分、より好ましくは少なくとも300m/分、更により好ましくは少なくとも400m/分のライン速度で進行可能である。
【0042】
本発明による不織布ウェブ/複数の繊維を処理するための方法は、以下の工程を含む。
【0043】
工程a)
合成不織布ウェブを用意するか又は複数の合成繊維を用意すること。不織布ウェブ又は繊維は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン類、ポリエステルなどのような樹脂で製造されてよい。不織布ウェブに含まれる繊維の直径は、典型的には、約0.001mm未満から約0.2mm超過までの範囲に及ぶ。
【0044】
好ましくは、本発明に好適な不織布ウェブの坪量は、5g/m〜200g/m、より好ましくは7g/m150g/m、更により好ましくは7g/m〜100g/mである。
【0045】
本発明に特に好ましいウェブは、ポリプロピレンから成るスパンボンド層−メルトブローン層−メルトブローン層−スパンボンド層(SMMS)を有するウェブである。それ故に、前記不織布は、スパンボンディングによって形成された2層の外側層と、メルトブローイングによって形成された2層の内側層を有する多層ウェブである。このSMMS不織布ウェブは、好ましくは、8g/m〜15g/mの坪量を有する。
【0046】
本発明のための別の特に好ましいウェブは、ポリプロピレン(PP)から成り、15g/m〜20g/mの坪量を有するスパンボンドウェブである。
【0047】
本発明のための特に好ましい更なるウェブは、ポリエステル(PET)から成り、40g/m〜80g/mの坪量を有するカードウェブである。
【0048】
複数の繊維が本発明の方法に使用される場合、複数の繊維は、本発明の方法の任意の時点で更なる方法工程において(例えば、複数の繊維を水溶液と接触させる前、又は複数の繊維を紫外線に曝露した後で)不織布布地に形成することができる。その上、個々の繊維又はフィラメントを不織布布地に形成する追加的な方法工程は、少なくとも第1の複数の繊維及び第2の複数の繊維を含んでいてよく、ここで、前記第1の複数の繊維は前記第2の複数の繊維とは相違する。この相違は、例えば、水溶液中の異なる親水性モノマーに起因する可能性がある。本発明の一実施形態では、前記第一の複数の繊維のみを本発明の方法に付している(処理された繊維)。この実施形態では、異なる複数の繊維から形成される不織布布地は、処理された繊維と未処理の繊維とを含む。
【0049】
工程b)
親水性モノマー類、架橋分子及びラジカル重合開始剤を含む水溶液を用意すること。
【0050】
前記水溶液は、フリーラジカル重合反応によって重合可能なモノマー類を含む。水溶液に含まれるモノマー分子は、好ましくは、少なくとも1つの不飽和二重結合を含有する。好ましくは、前記モノマー類は、酸又は塩基と反応して塩を形成することができるアミン基又はカルボン酸基のような基を含む。
【0051】
好適なモノマー類及びコモノマー類は、酸性、中性、塩基性、又は双性イオン性であり得る。好適な強酸モノマー類には、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、メタクリルスルホン酸などのような、オレフィン性不飽和の脂肪族又は芳香族スルホン酸類の群から選択されるものが挙げられる。特に好ましい強酸モノマー類は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(2-acylamido-2-mehtylpropanesulfonic acid)、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレートである。好適な弱酸モノマー類には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、エタクリル酸、シトラコン酸、フマル酸、β−ステリルアクリル酸などのような、オレフィン性不飽和カルボン酸類及びカルボン酸無水物類の群から選択されるものが挙げられる。特に好ましい弱酸モノマー類は、アクリル酸及びメタクリル酸である。
【0052】
カチオン含有モノマー類、酸含有モノマー類及び非酸モノマー類のように、本発明で使用するのに更に好適なモノマー類は、米国特許第6,380,456号(11欄及び12欄)に開示されている。
【0053】
好ましくは、モノマー類は、溶液の10重量%〜70重量%、より好ましくは15重量%〜50重量%、更により好ましくは20重量%〜40重量%、最も好ましくは25重量%〜35重量%のモノマー類の濃度で水溶液に含まれている。比較的高いモノマー類の濃度は、紫外線方法工程で生じる重合プロセスの全体的効率に役立つ。その結果、紫外線照射後に不織布ウェブ上に残存する未反応のモノマー類の量を減少させることができる。
【0054】
水溶液は、ラジカル重合開始剤を更に含む。前記開始剤は、光で活性化されると反応性ラジカルを形成することができる(光開始剤)。好適な光開始剤は一般には紫外線の吸収によって最大活性化されるため、前記開始剤は、好ましくは紫外線スペクトル中の光を吸収することができる必要がある。前記開始剤は、更には、モノマー類を含む水溶液中に十分に可溶性である必要がある。
【0055】
本発明で使用するのに好適な光開始剤としては、α−ヒドロキシケトン類型及びベンジルジメチルケタール類(benzilidimethyl-ketals)型が挙げられる。更に、好適な光開始剤としては、ジメトキシベンジルフェノン(スイス、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)から商標名イルガキュア(Irgacure)651として入手可能)、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン(スイス、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)から商標名ダロキュア(Darocur)1173Cとして入手可能)、I−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I-hydroxycyclohexylphenylketone)(スイス、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Speciality Chemicals Inc.)から商標名イルガキュア(Irgacure)184として入手可能)、及びジエトキシアセトフェノン、及び2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチル−プロピオフェノン(スイス、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Speciality Chemicals Inc.)から商標名イルガキュア(Irgacure)2959として入手可能)が挙げられる。ダロキュア(Darocur)1173C、イルガキュア(Irgacure)2959及びイルガキュア(Irgacure)184が好ましい光開始剤である。イルガキュア(Irgacure)2959、ダロキュア(Darocur)1173C及びイルガキュア(Irgacure)184は特に好ましい。光開始剤の組み合わせも使用できる。
【0056】
好適なラジカル重合開始剤の更なる例は、ベンゾフェノン及びその誘導体、アセトフェノン、過酸化ベンゾイル又はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
【0057】
いずれか1つの特定の反応開始剤を適用してもよく、あるいは2以上の異なる反応開始剤の組み合わせを適用してもよい。異なる反応開始剤の組み合わせを使用する場合、前記反応開始剤が紫外線スペクトル内の異なる範囲でそれらの最大紫外線吸収を有することが好ましい。更に、前記反応開始剤は、紫外線照射方法工程に使用される紫外線を吸収するように選択されなければならない。光開始剤に加えて、水溶液は、フリーラジカルの形成のために光を吸収する必要がない、熱反応開始剤及びレドックスフリーラジカル開始剤のような1以上の追加的なフリーラジカル開始剤を含むこともできる。好適な代替の反応開始剤は、例えば、米国再発行特許第32,649号に開示されている。
【0058】
既に指摘したように、水溶液中での反応開始剤の溶解度を考慮しなければならない。溶解度は、例えば、選択されたモノマー類に左右される。ベンゾフェノンを反応開始剤として使用し、アクリル酸をモノマー類として使用する場合、アクリル酸の中和度を適宜選択しなければならない:ベンゾフェノンは、アクリル酸と比べてアクリル酸ナトリウム(中和されたアクリル酸)の水溶液ではあまり可溶性ではない。従って、アクリル酸濃度約30%及び中和度約70%におけるベンゾフェノンの溶解度は、中和度0%におけるベンゾフェノンの溶解度約0.5重量%に比べて、前記水溶液の約0.1重量%までの濃度に制限される。ベンゾフェノンに代わるものとして、より水溶性の高い水素引き抜き開始剤(例えば、アセトフェノン)を適用することができる。
【0059】
更なる例として、ダロキュア(Darocur)1173Cが、0%中和の中和度におけるアクリル酸の水溶液中で良好な溶解度を有するが、中和度70%では限られた溶解度しか有さない。これらの溶液中での反応開始剤の溶解度を高めるために、ダロキュア(Darocur)1173Cの代わりにイルガキュア(Irgacure)2959を使用することができる。溶解するのは遅いが、水溶液の少なくとも約2.0重量%の濃度が、70%まで中和されたアクリル酸の濃厚溶液中で得ることができる。
【0060】
一般に、水溶液中での開始剤分子の濃度は、好ましくは前記水溶液の0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%、更により好ましくは0.5重量%〜2.5重量%である。しかしながら、好ましい濃度は、選択される反応開始剤(単数/複数)、適用されるモノマー類及び(モノマー類を中和させることができる実施形態の場合は)前記モノマー類の中和度に左右される。比較的高濃度の反応開始剤は、紫外線方法工程で生じる重合プロセスの全体的効率に役立つ。その結果、比較的低い紫外線照射量を受けて不織布ウェブ上に残存する未反応のモノマー類の量を減少させることができる。
【0061】
本発明に好適な架橋分子は、好ましくは多官能性である(例えば、二官能性、三官能性、四官能性)。架橋剤は、好ましくは、選択されたモノマー類と共重合できる少なくとも2つの反応部位を有する多官能性モノマーであり、また前記モノマー類を含む水溶液中に十分に可溶性でなければならない。
【0062】
好適な多官能性モノマー架橋剤としては、様々なPEG分子量を有するポリエチレンオキシドジ(メタ)アクリレート類であるIRR280(ベルギー、UCBケミカル(UCB Chemical)から入手可能なPEGジアクリレート)、様々なエチレンオキシド分子量を有するトリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane ethyoxyiate tri(meth)acrylate)であるIRR210(ベルギー、UCBケミカルズ(UCB Chemicals)から入手可能なアルコキシル化トリアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(trimethyolpropane tri(meth)acrylate)、ジビニルベンゼン(divnylbenzene)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(pentaeythritol triallyl ether)、トリアリルアミン、N,N−メチレン−ビス−アクリルアミド、及び当該技術分野で既知の他の多官能性モノマー架橋剤が挙げられる。好ましいモノマー架橋剤には、多官能性ジアクリレート類及びトリアクリレート類が挙げられる。
【0063】
あまり好ましくはないが、重合可能なモノマー基を1個のみ含有する多官能性架橋剤の全て若しくは一部を使用することも可能であり(この場合、架橋は、架橋剤に含まれる1以上の追加の官能基と、ポリマー鎖中に組み込まれたモノマー類との反応によって形成される)、又は重合可能なモノマー基を含有しない多官能性架橋剤の全て若しくは一部を使用することも可能である(この場合、多官能性架橋剤は、重合によってポリマー鎖に組み込まれた少なくとも2個の官能基と反応する)。共有結合を形成せずに架橋を形成する架橋剤の全て又は一部を使用することもまた可能である。これらの架橋剤は、ポリマー鎖上で非共有結合性の相互作用(例えば、静電、錯化、水素結合及び分散力の相互作用)を介して官能基と相互作用することができる。この種の好適な架橋剤は、米国再発行特許第32,649号に記載されている。
【0064】
水溶液中の架橋分子の好ましい濃度は、前記水溶液の0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%である。比較的高濃度の架橋分子は、可溶性ポリマーの濃度を低下させる。これは架橋後にかなり堅い親水性ポリマー網状組織ももたらし、それが、親水性ポリマー網状組織の、液体吸収したときの膨潤能力を低下させることから、本発明では好ましい。その結果、本発明の不織布ウェブの保持能力が低く、また前記不織布の孔が、液体を吸収したときにほとんど塞がらないことが確実になる。
【0065】
任意に、水溶液は、水溶液による不織布ウェブの濡れを向上させるために、界面活性剤及び/又は有機溶媒を更に含む。好適な有機溶媒の例は、異なる長さ及び異なる分枝度のアルキル鎖を有する種々のアルコール類である。
【0066】
一般に、界面活性剤はアニオン性、カチオン性及び非イオン性であり得る。非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性及び半極性非イオン性界面活性剤の例は、米国特許第5,707,950号及び米国特許第5,576,282号に開示されている。本発明によれば、長鎖(C12〜C22)エトキシル化アルコールのような非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。カチオン性界面活性剤は、アクリル酸がモノマー類として使用される場合、これらの界面活性剤がアクリル酸モノマーと反応して水溶液から沈殿することがあるため、あまり好ましくない。本発明で使用するのに好適な界面活性剤は、ネオドール(Neodol)91−6(オランダ、シェル・インターナショナル社(Shell International B.V.)から入手可能)である。ネオドール(Neodol)91−6は、鎖内に9〜11個のメチレン基、及び先端基に6個のCHCH−O基を有する。
【0067】
好ましくは、本発明で適用される界面活性剤は、コモノマー類として作用し、そのため、紫外線時に不織布ウェブに含まれる親水性ポリマーに共重合される。その結果、界面活性剤は、不織布ウェブの使用中に液体と接触する際(例えば、不織布ウェブが吸収性物品において使用されるときに)洗い流されないことが確実になる。
【0068】
非界面活性剤モノマー類と共重合するいかなる重合可能な界面活性剤も使用することができる。好ましい界面活性剤モノマー類は、ポリマー鎖中への高度な組み込みを促進する、1以上の入手可能な非界面活性剤モノマー類との反応性比を有する。従って、好ましい(メタ)アクリル酸モノマー類の場合、共重合可能な(メタ)アクリル酸官能基、エステル官能基、又はアミド官能基を含有する界面活性剤モノマー類を有することが好ましい。特に好ましい重合可能な界面活性剤は、アルキルポリオキシエチレン界面活性剤のアクリル酸及びメタクリル酸エステルである。好適なメタクリル酸エステル界面活性剤は、米国、ビマックス・ケミカルズ(BIMAX Chemicals)から商標名LEM23及びBEM23として入手可能である。
【0069】
アクリル酸がモノマー類として使用される場合、好ましいコモノマー界面活性剤は、アクリル基を含む。これらのアクリル基は、アクリル酸との共重合を強化すると考えられている。
【0070】
界面活性剤の好ましい濃度は、前記水溶液の0.01重量%〜30重量%、より好ましくは0.25重量%〜10重量%、なおより好ましくは0.25重量%〜5重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2重量%である。
【0071】
工程c)
不織布ウェブ又は複数の繊維を、親水性モノマー類、架橋分子及びラジカル重合開始剤を含む水溶液に接触させること。前記モノマー類は、ラジカル重合プロセスを受けることが可能である。
【0072】
不織布ウェブ/複数の繊維を前記水溶液に接触させる工程は、好ましくは、反応媒体に酸素が接触するのを低減させるために不活性ガス雰囲気下、例えば窒素下で行われる。好ましくは、不活性ガス雰囲気中の残留酸素濃度は100ppm未満、より好ましくは60ppm未満である。
【0073】
本発明では、水溶液が不織布ウェブ/複数の繊維に浸透して、水溶液に含まれる構成成分が前記繊維と密着していることを確実にすることが重要である。これは、例えば、加圧を用いて水溶液を適用すること(スロットコーティングにおいてなど)によって、又は前記ウェブ/複数の繊維の一方の面(好ましくは前記ウェブ/複数の繊維の下方)に真空を与え、前記ウェブ/複数の繊維のもう一方の面(好ましくは前記ウェブ/複数の繊維の上方)から水溶液を適用することによって行うことができ、それにより、水溶液が前記ウェブ/複数の繊維に浸透する。
【0074】
しかし、本発明では、水溶液に含まれる構成成分の付着量、特にモノマー類の付着量が比較的少量であることが更に重要である。
【0075】
本発明の方法によれば、水溶液に含まれるモノマー類の濃度は、その後の紫外線照射方法工程で不織布ウェブ/複数の繊維上に形成される親水性の架橋ポリマーの付着量が(親水性の架橋ポリマーを含まない不織布ウェブ/複数の繊維の)30重量%未満となるように選択されなければならない。好ましくは、水溶液中のモノマー類の濃度は、不織布ウェブ/複数の繊維上の親水性の架橋ポリマーの付着量が25重量%未満、更により好ましくは20重量%未満、なおより好ましくは15重量%未満、最も好ましくは10重量%未満となるように選択される必要がある。しかしながら、親水性の架橋ポリマーの付着量は、少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%でなければならない。
【0076】
親水性の架橋ポリマーの付着量は、不織布ウェブ/複数の繊維を水溶液に接触させた後(だが、紫外線工程前)のモノマー類の付着量に依存する:モノマー類の付着量は、架橋した親水性ポリマーの付着量と少なくとも同じ程度である。しかし、前記ウェブ/複数の繊維が水溶液に接触した直後のモノマーの付着量は、モノマー類の一部が紫外線前に、例えば蒸発によって失われることがあるため、親水性の架橋ポリマーの付着量よりも高い場合がある。しかしながら、紫外線照射の間に前記ウェブ/複数の繊維上に存在するモノマー類は、少量の未反応のモノマー類との重合プロセスの効率が非常に良いので、親水性の架橋ポリマー中にほとんど完全に組み込まれる。従って、モノマー類の付着量と親水性の架橋ポリマーの付着量との差は小さく、また蒸発のためのモノマー損失に主に起因する。
【0077】
その上、水溶液を不織布ウェブ/複数の繊維上に均質に適用させることが望ましい。
【0078】
不織布ウェブ/複数の繊維を水溶液に接触させる好適な方法は、例えば、キスロールコーティング又は噴霧である。両方の方法が、当該技術分野において周知である。
【0079】
しかし、本発明によって水溶液を不織布ウェブ/複数の繊維上に適用する好ましい方法は、当該技術分野において周知の、接触応用におけるスロットコーティングによるものである。スロットコーティングは、水溶液が不織布ウェブ/複数の繊維に完全に浸透するのを確実にする。
【0080】
水溶液はまた、不織布ウェブ/複数の繊維上に噴霧することができる。キスロールコーティングと同様に、噴霧は、水溶液の付着量を低く、容易に制御可能にでき、これは本発明において好ましい。
【0081】
本発明によれば、後から不織布ウェブ/複数の繊維上への水溶液の構成成分の付着量を制御するのが非常に困難であるため、不織布ウェブ/複数の繊維が、水溶液を含む浴に不織布ウェブ/複数の繊維を直接入れることによって水溶液と接触するのは好ましくない。
【0082】
本発明に従って水溶液中で使用するのに好ましい溶媒は、重合反応を開始させるのに用いられる光開始剤による紫外線の吸収を大きくは妨げない。溶媒中の特定の光開始剤に関し、これは、フリーラジカル重合を開始させるために紫外線源から出て光開始剤によって利用される周波数(frequencies)に対して、光開始剤によって吸収される紫外線に比べて溶媒が著しい量の紫外線を吸収しない場合に達成され得る。好ましくは、溶媒は紫外線を完全に通す。また、好ましくは、溶媒は、紫外線照射に直接曝露されるとき、又は「励起状態」の光開始剤若しくは結果として得られるいかなるフリーラジカルの存在下でも、化学反応(例えば、水素引き抜き)を受けない。更に、溶媒は、好ましくは、不織布ウェブ/複数の繊維の特性に悪影響を及ぼさない。適切な溶媒の例は水である。
【0083】
本発明の方法によって不織布ウェブ/複数の繊維の湿潤性を容易にし、その結果、不織布ウェブ/複数の繊維中への水溶液の浸透を援助するために、不織布ウェブ/複数の繊維を水溶液に接触させる前に、不織布ウェブ/複数の繊維をコロナ処理に付すことが可能である。
【0084】
コロナ放電は、空気がイオン化を起こすのに十分高い電位に曝される場合に生じる電気的な事象であり、それにより、空気が電気絶縁体から電気の伝導体に変化する。不織布ウェブ/複数の繊維をコロナ処理に付すことにより、不織布ウェブ/複数の繊維の表面エネルギーが高まり、それによって湿潤性が促進される。
【0085】
不織布ウェブ/複数の繊維のコロナ処理に好適な機器は、ラボラトリー・コロナ処理機(モデル番号BD−20AC、米国、エレクトロテクニック・プロダクツ社(Electro-Technic Products Inc.)製)である。工業規模の機器は、例えば、コロテック社(Corotec company)から供給される。コロナ処理及び好適な機器は当該技術分野では周知であり、例えば、米国特許第5,332,897号を参照のこと。0.2W/(0.3m×0.3m×分)((フィート×フィート×分))〜0.5W/(0.3m×0.3m×分)((フィート×フィート×分))のコロナエネルギー量が、ポリプロピレン不織布ウェブ/複数の繊維の表面エネルギーを約30mN/mから40mN/m〜45mN/mまで高めるのに好適である。
【0086】
水の表面張力は、例として水溶液の場合は、約72mN/mである。従って、コロナ処理後の前記ウェブ/複数の繊維は、より容易に水で濡れる。
【0087】
その上、コロナ処理は、不織布ウェブ/複数の繊維内でのラジカルの形成にも寄与する。理論に束縛されないが、それによって、不織布ウェブ/複数の繊維に化学的にグラフト化する親水性ポリマーの数が増加されることができると考えられる。これは、前記ウェブ/複数の繊維上の親水性ポリマーの耐久性のある付着の一因となり、また、前記ウェブ/複数の繊維の使用中に液体と接触したときに(例えば、吸収性物品において使用されるときに)洗い流しの危険が低減することにも寄与する。
【0088】
コロナ処理の代替として又はこれに加えて、水溶液は界面活性剤を含んで溶液の表面張力を下げることができる。
【0089】
水溶液に含まれている界面活性剤の代替として又はこれに加えて、本発明の方法のために用意される不織布ウェブ/複数の繊維は、前記不織布ウェブ/複数の繊維を水溶液と接触させる前に界面活性剤で処理されることが可能である。
【0090】
工程d)
不織布ウェブを水溶液に接触させた後で不織布ウェブ/複数の繊維を紫外線照射に曝露すること。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、標準的な中圧水銀ランプは、選択された光開始剤(単数/複数)に応じて、100nm〜400nmで最大透過率を有する紫外線を発光する。好適なランプは、例えば、ISTメッツ社(IST Metz GmbH)、ドイツ、ニュールチンゲン(Neurtingen)から入手可能である(例えば、M350K2H型ランプ)。好ましいランプは、160W/cmランプ長〜200W/cmランプ長のエネルギー出力を特徴とする。
【0092】
反応を行うのに必要とされるエネルギー量は、例えば、特定のモノマー化学、必要とされる付着量、不織布ウェブ/複数の繊維の厚さ、不織布ウェブ/複数の繊維とエネルギー源との間のライン速度及び距離、光開始剤の濃度、並びに残留モノマーの所望の減少程度に依存する。
【0093】
好ましい実施形態では、不織布ウェブ/複数の繊維は、繊維を溶融、燃焼又は他の方法で破損させずに、紫外線照射源からできるだけ近い距離に配置される。
【0094】
本発明によれば、不織布ウェブは、前記ウェブの主表面の両面に紫外線を照射されることが好ましい。それ故に、紫外線ランプは、好ましくは、前記ウェブの両方の表面の向かい側に配置される。これによって、紫外線の効率を高めることができる。
【0095】
不織布ウェブ/複数の繊維は、好ましくは、少なくとも300mJ/cm、より好ましくは少なくとも450mJ/cm、更により好ましくは少なくとも600mJ/cm、なおより好ましくは少なくとも650mJ/cm、最も好ましくは少なくとも700mJ/cmの紫外線総量に曝露される。
【0096】
不織布ウェブ/複数の繊維を紫外線照射に曝露する工程は、好ましくは、反応媒体に酸素が接触するのを低減させるために不活性ガス雰囲気下、例えば窒素下で行われる。好ましくは、不活性ガス雰囲気中の残留酸素濃度は、100ppm未満、より好ましくは60ppm未満である。
【0097】
光開始剤による紫外線の吸収は、結果として、溶液中に存在するモノマー類のフリーラジカル重合反応を開始し得る(例えば、結合開裂による)フリーラジカルの形成をもたらす。結果として得られる架橋した親水性ポリマー(類)は、本発明の不織布ウェブ/複数の繊維が使用中に液体と接触したときに(例えば、不織布ウェブ/複数の繊維が吸収性物品中に用いられる実施形態において尿と接触したときに)、多くは洗い流されない。理論に束縛されないが、不織布ウェブ/複数の繊維による架橋した親水性ポリマーの保持は、(i)架橋に起因する不溶性と、(ii)架橋した親水性ポリマーと前記ウェブ/複数の繊維との絡み合い、との組み合わせに起因すると考えられている。モノマー類及び反応開始剤が、不織布ウェブ/複数の繊維に含まれる繊維と密着しているので、架橋ポリマーが繊維の周囲に形成して、繊維を「取り囲み」、そのため繊維に「固定される」と考えられている。絶対不可欠ではないが、好ましくは、ポリマーの少なくとも一部は、不織布ウェブ/複数の繊維に含まれる繊維の少なくとも一部と化学的にグラフト化されてもいる。
【0098】
構成成分(例えば、開始剤分子、架橋分子)の付着量、特にモノマー類の付着量は、比較的低いので、架橋した親水性ポリマーの付着量も比較的低く、好ましくは(親水性の架橋ポリマーを含まない不織布ウェブ/複数の繊維の)30重量%未満、より好ましくは25重量%未満、更により好ましくは20重量%、なおより好ましくは15重量%未満、最も好ましくは10重量%未満である。しかし、架橋した親水性ポリマーの付着量は少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%でなければならない。その結果、高い保持能力を有する超吸収性ポリマーは、不織布ウェブ/複数の繊維上には形成されない。従って、本発明の方法によって処理された繊維を含む不織布ウェブの保持能力は比較的低い。これは、水を吸収したときにポリマーが相当に膨潤し、その結果として場合により不織布ウェブの孔を塞いで、不織布ウェブの液体透過性を低下させるようにならないことを、確実にする。特に吸収物品におけるトップシート、コアラップ又は獲得層のような不織布ウェブの用途においては、不織布ウェブの液体透過性が必要とされる。
【0099】
結果として、非常に親水性の不織布ウェブ/複数の繊維が本方法で得られた。更に、不織布ウェブ/複数の繊維は、前記親水性ポリマーが、液体と接触したときに洗い流されないように、架橋される及び/又は前記ウェブ内で絡まる及び/又は前記ウェブの繊維と化学的にグラフト化するため、永続的に親水性である。
【0100】
任意に、本発明の方法は、場合により不織布ウェブ/複数の繊維上に残存するいかなる水溶液(特に、溶媒)をも取り除くために紫外線照射後に乾燥工程を含んでもよい。
【0101】
本発明による不織布ウェブの吸収能力並びに保持能力は、一方の面の(親水性ポリマーを含まない)不織布ウェブの(吸収/保持)能力に、及びもう一方の面の処理されたウェブに含まれる親水性ポリマーの(吸収/保持)能力に依存する。
【0102】
不織布ウェブは、典型的には、その吸収能力よりもかなり低い保持能力を有する。これは、不織布ウェブが、例えば、ウェブの厚さ及び坪量によって比較的大量の液体を吸収することはできるが、典型的には吸収した液体を、例えば加圧下では保持するとができないことを意味する。
【0103】
超吸収性ポリマーのようなポリマーは、通常、高い吸収能力と高い保持能力との両方を有する。液体は、加圧下でも前記ポリマー内に「閉じ込め」られる。従って、超吸収性ポリマーは、典型的に、吸収性物品の貯蔵構成要素に適用される。
【0104】
しかしながら、本発明では、不織布ウェブに含まれる親水性ポリマーの第一の課題は、液体を貯蔵することではなく、不織布ウェブを親水性にすることである。親水性ポリマーを含む不織布ウェブは、未処理の(通常、疎水性の)合成不織布ウェブよりも容易に濡れることができる。従って、本発明の不織布ウェブは、未処理のウェブよりも効率良く液体を獲得して運搬することができる。このような特徴は、迅速な吸収が漏れの恐れを低減するので、前記ウェブを吸収性物品におけるトップシート、獲得層又はコアラップとして使用するのに特に望ましい。
【0105】
不織布ウェブ上の親水性ポリマーの比較的少ない付着量及び比較的高い架橋度のために、これらの親水性ポリマーの吸収能力と保持能力も比較的低い。更に、上述のように、(親水性ポリマーを含まない)不織布ウェブ自体の保持限界は比較的低い。それ故に、本発明による前記ウェブの全体的な保持能力は比較的低い。これは、超吸収性ポリマーに起因して高い保持能力を有する、当該技術分野で知られているような不織布ウェブ上に形成される超吸収性ポリマーとは対照的である。
【0106】
親水性ポリマーを含む本発明の不織布ウェブの1cm×1cmの寸法を有する少なくとも1つの領域の保持能力は、以下に詳細に説明するシリンダー遠心分離保持能力(CCRC)試験法に準拠して測定した場合、100g/m(親水性ポリマーを含む不織布ウェブ1平方メートル当たりのグラム数)未満、好ましくは80g/m未満、より好ましくは50g/m未満、更に好ましくは35g/m未満である。好ましくは、少なくとも本発明の不織布ウェブの5cm×10cmの寸法を有する領域の保持能力は、100g/mm未満、より好ましくは80g/m未満、更により好ましくは50g/m未満、最も好ましくは35g/m未満である。更に、最も好ましい実施形態において、まさにその不織布ウェブ領域は、先に定義した保持能力を有する。
【0107】
これとは正反対に、先行技術の超吸収性ポリマーを含む不織布ウェブは、典型的に、約800g/m〜数千g/mの保持能力を有する。
【0108】
比較として、坪量が5g/m〜200g/mで本発明のいかなる親水性ポリマーをも含まない未処理の不織布ウェブは、通常、約1g/m〜約10g/mの保持能力を有し;坪量が7g/m〜150g/mで、いかなる親水性ポリマーをも含まない不織布ウェブは、通常、約1g/m〜約7g/mの保持能力を有し;並びに坪量が7g/m〜150g/mで、いかなる親水性ポリマーをも含まない不織布ウェブは、通常、約1g/m〜約5g/mの保持能力を有する。
【0109】
本発明の不織布ウェブの保持能力は、親水性ポリマーの付着量だけでなく、これらの親水性ポリマーの架橋度にも左右される:高い架橋度を有するポリマーは、通常、より低い吸収能力及び保持能力を示す。前記ポリマーは、隣接する網状組織の架橋間の比較的低い分子量のポリマー部分に起因して、より膨潤性が低い。そのため、高度に架橋したポリマーは、より架橋度の低いポリマーほど膨潤することができない。
【0110】
本発明の不織布ウェブが吸収性物品に用いられる場合、不織布ウェブは、続いて起こる尿などの液体の噴出後も、短いしみ出し時間を示すことが望ましい。液体しみ出しとは、液体が不織布布地を通り抜けることをいい、液体しみ出し時間とは、特定の量の液体が不織布ウェブを通り抜けるのにかかる時間をいう。本発明によれば、液体しみ出し時間は以下に記載する試験法に従って求められる。
【0111】
好ましくは、本発明の不織布ウェブは、5度目の噴出に対して5秒未満の液体しみ出し時間を示し、それぞれの噴出は5mLの食塩水溶液を含む。より好ましくは、液体しみ出し時間は、5度目の噴出に対して4.5秒未満、更により好ましくは、5度目の噴出に対して4.0秒未満である。従って、液体しみ出しは、数回の噴出後でも維持される。更に好ましくは、5度目の噴出後の前記不織布ウェブの液体しみ出し時間は、1度目の噴出のしみ出し時間と比べて5%超過しては増加しない。
【0112】
親水性ポリマーを含む本発明の不織布ウェブは、(例えば、倉庫内で)数週間貯蔵した後でも親水性を維持する。従って、本発明の不織布ウェブは、前記不織布ウェブを液体しみ出し時間の試験前に少なくとも10週間貯蔵した場合でも、液体の5度目の噴出に対して5秒未満の液体しみ出し時間を示すことが好ましい。
【0113】
親水性ポリマーの重要な部分は、不織布布地が水性溶媒に曝されるときに洗い流されない。従って、不織布布地が水溶液に曝されるときには、表面張力の著しい低下は起こらない。
【0114】
一般に、本発明の不織布ウェブが吸収性物品に適用される場合、処理された不織布布地からの水性洗い流しの表面張力は少なくとも65mN/m、より好ましくは少なくとも68mN/m、更により好ましくは少なくとも71mN/mであることが好ましい。
【0115】
更に、本発明の不織布ウェブに含まれる親水性ポリマーの分布が実質的に均質である不織布ウェブを有することが好ましい。「実質的に均質である」とは、本発明によれば、次のように定義される:不織布ウェブに含まれる親水性ポリマーが、不織布ウェブ内にランダムに選択された面積100mm(10mm×10mm)のうち少なくとも60%を被覆する。選択された面積は、走査電子顕微鏡で分析される。より好ましくは、親水性ポリマーは、前記のランダムに選択された面積100mmのうち少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%を被覆する。前記の選択された面積は電子顕微鏡を用いて分析される。
【0116】
本発明の好ましい親水性ポリマーは、部分的に中和されたポリ(メタ)アクリル酸類、それらのコポリマー類及びこれらのデンプン誘導体である。最も好ましくは、親水性ポリマーは、ポリアクリル酸(すなわち、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含む。好ましくは、親水性ポリマーは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは70%〜99%まで中和される。
【0117】
一般に、前記中和度は、不織布ウェブと本発明の方法との両方にある程度の影響を及ぼす:中和されていない酸の形態のモノマーはより重合し易く、その結果として得られる架橋ポリマーの網状組織は、水及び生理学的溶液中であまり膨潤しない。更に、主に中和されていないモノマー類を含むポリマーは、親水性がより低く、またそのため、本発明ではあまり望ましくない。
【0118】
中和されたモノマー類(塩)を含む溶液は容易に蒸発せず、またより親水性である。より高い親水性のために、前記溶液は(通常は疎水性の)不織布ウェブ/複数の繊維に適用するのがより困難でもある。
【0119】
本発明の方法は、重合後に前記ウェブ/複数の繊維上に残存する少量の未反応のモノマー類との、非常に効率の良い重合プロセスを可能にする。好ましくは、重合後に未反応のモノマー類の量は、前記ウェブ/複数の繊維の乾燥重量に対して2000ppm未満、より好ましくは1000ppm未満である。これは、例えば、モノマー類、開始剤分子及び架橋分子のような水溶液に含まれる構成成分が不織布ウェブ/複数の繊維の繊維と密着しており、そのため、繊維の「周囲に」架橋ポリマーを形成させることができる限り、モノマー類の単独重合は本発明にとって不利益ではないという事実に起因する。これは、ポリマーを前記繊維に化学的にグラフト化することに焦点を当てた方法、とりわけ、架橋分子を適用しない方法とは対照的である。これらの方法では、モノマー類の単独重合は避けなければならず、また繊維へのグラフト重合は(例えば、適切な反応開始剤を選択することによって)確実にしなければならない。結果として、前記重合プロセスは、むしろ非効率的であり、その結果、紫外線後に不織布ウェブ/複数の繊維上に残存する比較的大量の残留未反応のモノマー類をもたらす。そのため、このようなプロセスは、一般には、未反応のモノマー類を洗い流すために、紫外線照射後に洗浄工程を必要とする。
【0120】
本発明によれば、重合後に前記ウェブ/複数の繊維上に残存する未反応のモノマー類の量は、好ましくは2000ppm未満、より好ましくは1000ppm未満である。残留モノマー類の量は、エダナ(Edana)試験法2002の410.2−02「残留モノマー類の量の測定(Determination of the amount of residual monomers)」に準拠して求められ、前記試験法は、試料としてPA超吸収粉末1.000gの代わりに不織布ウェブ1.000gを用いるように変更される。
【0121】
それ故に、本発明の方法の更なる利点は、紫外線照射後に不織布ウェブ/複数の繊維上に残存する未反応の残留モノマー類の量が比較的少ないことである。従って、本発明の方法は、紫外線後に洗浄工程を必要とせず、これは高速の不織布製造プロセスにとって望ましい。未反応のモノマー類は、本発明の不織布ウェブ/複数の繊維が吸収性物品に適用される場合に、大量の未反応のモノマー類がとりわけ着用者の皮膚と接触すると望ましくないと考えられるため、特に問題がある。
【0122】
吸収性物品
図1は、本発明による吸収性物品の好ましい実施形態としてのおむつ20の平面図である。おむつは、広げて非収縮状態(すなわち、弾性による収縮なし)で表されている。構造の一部を切り欠いて、おむつ20の下層構造をより明瞭に示している。着用者に接触するおむつ20の部分が、読者に向いている。図1のおむつ20のシャーシ22は、おむつ20の本体を構成する。シャーシ22は、液体透過性トップシート24及び/又は液体不透過性バックシート26を含む外側カバーを備える。シャーシ22はまた、トップシート24とバックシート26との間に包み込まれた、吸収性コア28の大部分又は全部を含んでいてもよい。シャーシ22は、好ましくは、サイドパネル30と、伸縮部材33を有するレッグカフ32と、腰部機構34とを更に含む。レッグカフ32及び腰部機構34は、典型的には、伸縮部材を含む。おむつの一方の末端部は、おむつ20の前腰部領域36として構成されている。反対側の末端部は、おむつ20の後腰部領域38として構成されている。前腰部領域と後腰部領域との間を長手方向に延びるおむつの中間部は、股部領域37として構成されている。股部領域37は、おむつを着用したときに着用者の脚の間に通常位置するおむつ20の部分である。
【0123】
前記腰部領域36及び38は、好ましくは後腰部領域38に取り付けられた締着部材40と、前腰部領域36に取り付けられたランディング領域42とから構成される締着装置を含んでもよい。
【0124】
おむつ20は、長手方向軸100及び横断方向軸110を有する。おむつ20の周囲は、おむつ20の外側縁部によって画定され、長手方向縁部44はおむつ20の長手方向軸100にほぼ平行をなし、終縁部46は、おむつ20の横断方向軸110とほぼ平行をなす。
【0125】
おむつはまた、前及び後耳パネル、ウエストキャップ機構、並びに弾性部などを含む当技術分野で既知の他の機構を含んで、よりよい適合性、収容性、及び美的特質を提供することもできる。
【0126】
吸収性コア28は、通常圧縮性であって、順応性があり、着用者の皮膚に対して非刺激性であり、尿などの液体及び他のある種の身体排泄物を吸収して保持できる、いかなる吸収性材料をも含むことができる。吸収性コア28は、エアフェルトと一般に呼ばれる粉砕木材パルプのような、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に通常使用される、多種多様な液体吸収性材料を含むことができる。他の好適な吸収性材料の例としては、捲縮セルロース詰め物;コフォーム(co-form)を含むメルトブローポリマー類;化学的に剛化、改質若しくは架橋されたセルロース繊維;ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、吸収性ゲル材料、又は他のいずれか既知の吸収性材料、あるいはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。吸収性コアは、微量(通常10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを更に含んでもよい。
【0127】
更に、本発明のSAP粒子は吸収性材料として適用され得る。本発明のSAP粒子は、好ましくは、吸収性コア全体の少なくとも50重量%、より好ましくは吸収性コア全体の少なくとも60重量%、更により好ましくは少なくとも75重量%、なおより好ましくは少なくとも90重量%の量で存在する。
【0128】
図2は、横断方向軸110に沿った図1の断面図を示す。図2は、吸収性コアに含まれる異なる領域の好ましい実施形態を示す。図2では、流体獲得領域50が上側獲得層52及び下側獲得層54を含む一方で、流体獲得領域の下にある流体貯蔵領域は貯蔵層60を含み、それは上側コアラップ層56と下側コアラップ層58とで包まれている。
【0129】
1つの好ましい実施形態では、上側獲得層52が本発明の不織布布地を含むが、下側獲得層54は、好ましくは、化学的に剛化され、撚り合わされ、巻かれた繊維と、表面積の大きな繊維と、熱可塑性の結合繊維との混合物を含む。別の好ましい実施形態では、両方の獲得層52、54が本発明の不織布ウェブから供給される。獲得層は、好ましくは貯蔵層に直接接触している。
【0130】
貯蔵層60は、好ましくは、コアラップ材料で包まれている。好ましい一実施形態では、コアラップ材料は、本発明の不織布ウェブを含む。コアラップは、トップ層56(「コアカバー」とも呼ばれる)及びボトム層58を備える。トップ層56及びボトム層58は、2以上の別個のシートの材料から供給されてもよく、あるいは単一シートの材料から供給されてもよい。トップ層及びボトム層56、58が別個のシートから供給される場合、少なくともトップ層56は、好ましくは本発明の不織布ウェブを含むが、ボトム層58は他の不織布ウェブを含んでもよい。実施形態において、単一シート材料を使用する場合、単一シートは(例えばC型に折り畳んで)貯蔵層60の周りを包むことができる。更に、単一シートは、貯蔵層の周囲を包んだ後で密封されてもよい。
【0131】
本発明の貯蔵層は、典型的に、繊維材料と混合されたSAP粒子を含む。吸収性コアに適切とされる他の材料もまた含まれていてもよい。
【0132】
本発明によれば、好ましくは、吸収性物品のトップシート24及び/又はコアラップの全て若しくは一部が本発明の親水性不織布布地から作製される。更に、本発明の親水性不織布布地は、好ましくは、獲得材料52及び/又は54として吸収性コア28中で使用される。
【0133】
試験方法
1.シリンダー遠心分離保持能力(CCRC)
この試験は、本明細書で用いられる不織布合成不織布繊維ウェブが遠心力(centrifuge forces)を受けたときに、前記ウェブの生理食塩水溶液の保持能力を測定するのに役立つ(それはまた、様々な力が材料に適用されたときの、使用中の不織布繊維ウェブの吸収能力の維持を示唆するものである)。
【0134】
前記試験は、不織布繊維ウェブを用いて、例えば、いずれの親水性ポリマー又はいずれのコーティングをも全く含まない不織布繊維ウェブを用いて、親水性ポリマーを含む本発明の不織布繊維ウェブを用いて、及び当該技術分野において知られているような超吸収性ポリマー粒子を含む不織布繊維ウェブを用いて、行うことができる。
【0135】
まず生理食塩水溶液を次のように調製する:18.00gの塩化ナトリウムを計量し、2リットルのメスフラスコに添加し、次いで全ての塩化ナトリウムが溶解するまで攪拌しながら2リットルの脱イオン水で満たす。
【0136】
深さが最小5cmであり、4つの遠心分離シリンダーを保持するのに十分大きいパンに食塩水溶液の一部を40mm(±3mm)のレベルまで入れる。
【0137】
各不織布ウェブサンプルは別個のシリンダーで試験されるので、サンプルをそれに入れる前に、使用されるべき各シリンダーを0.01gの精度で計量する。これらのシリンダーは流体がシリンダーから出るように非常に細かいメッシュを底部に有する。
【0138】
各測定に関して二重の試験を同時に行う;そのため、2つのサンプルを常に次のように調製する:
試験される不織布ウェブ0.3gを0.005gの精度で計量し(これが「サンプル」である)、次いでこのサンプルを空の計量されたシリンダーに移す。(これを複製のために繰り返す。)
サンプルをシリンダーに移し入れた直後に、その満たされたシリンダーを食塩水溶液を入れたパンに配置する(シリンダーは、互いに接触してはならず、又はパンの壁に接触して配置してはいけない)。
【0139】
15分(±30秒)後、シリンダーをパンから取り出し、食塩水溶液をシリンダーから排出させ;次いでシリンダーを更に45分間パンに再び置く。合計60分間の含浸時間の後、シリンダーを溶液から取り出し、過剰の水をシリンダーから流出させ、次いでサンプルを含むシリンダーを、2つの複製サンプルが反対側の位置になるように遠心分離器内のシリンダースタンドに置く。
【0140】
使用される遠心分離器は、シリンダー及びシリンダースタンドが、シリンダーから出た液体を捕らえる遠心分離カップに嵌るように装備され、シリンダースタンドの底部に置かれる質量に適用される250g(±5g)の遠心分離加速度(例えば、264mmの内径に対して136rad/s(1300rpm))を供給できるいかなる遠心分離器であってもよい。好適な遠心分離器は、ヘレウス・メガフュージ(Heraeus Megafuge)1.0VWR No.5211560(VWRサイエンティフィック(VWR Scientific)、米国フィラデルフィア)である。遠心分離器は250gの遠心分離加速度が得られるように設定される。264mmのローター直径を有するヘレウス・メガフュージ(Heraeus Megafuge)1.0の場合、遠心分離器の設定は136rad/s(1300rpm)である。
サンプルを3分間(±10秒)遠心分離する。
シリンダーを遠心分離器から取り出し、0.01g単位で計量する。
【0141】
サンプル(i)に関して、シリンダー遠心分離保持能力(CCRC)Wは、不織布ウェブ1グラム当たり吸収された生理食塩水溶液のグラム数として表され、以下のように計算される:
【数1】

式中:
CSは、遠心分離後のサンプルを含むシリンダー質量[g]であり、
Cbは、サンプルを含まない乾燥シリンダー質量[g]であり、
は、食塩水溶液を含まないサンプルの質量[g]である。
【0142】
次に、サンプルとその複製についての2つのW値の平均を(0.01g/g単位で)計算する。
【0143】
それ故に、坪量が15g/mの不織布ウェブの場合、そのCCRCは、上記式で求められるCCRC値Wの15倍となる。例えば、坪量が15g/mでCCRCが5g/gの不織布ウェブの場合、ウェブ1平方メートル当たりのCCRCは、15g/m×5g/g=75g/mとなる。
【0144】
2.付着量の決定
a)不織布ウェブ上の親水性ポリマーの付着量:
付着量は、架橋した親水性ポリマーを含まない不織布ウェブの1mサンプルを計量することによって求められる。サンプルは±0.01gの精度で計量される。
【0145】
サンプルは、本発明の親水性ポリマーを含むように処理した後、再び±0.01gの精度で計量される。次に、付着量を以下のようにして計算する:
[(w×100)/w]−100=付着量(%)
:親水性ポリマーを含むウェブの重量
:親水性ポリマーを含まないウェブの重量
前記ウェブを本発明の方法で処理した後で付着量を求める場合、付着量を求める前にウェブを乾燥工程に付して、残留水溶液が不織布ウェブ試験サンプルに残らないことを確実にする必要がある場合がある。
【0146】
b)複数の繊維上の親水性ポリマーの付着量:
モノマー類の付着量は、上記の不織布ウェブに関する測定と同様に求められるが、不織布ウェブの1mサンプルを計量する代わりに、初期試験サンプルは複数の繊維10gであり、ここで、複数の繊維10gは架橋した親水性ポリマーを含まない。サンプルは±0.01gの精度で計量される。
【0147】
サンプルは、本発明の親水性ポリマーを含むように処理した後、再び±0.01gの精度で計量される。次に、付着量を以下のようにして計算する:
[(w×100)/w]−100=付着量(%)
:親水性ポリマーを含む複数の繊維の重量
:親水性ポリマーを含まない複数の繊維の重量(=10g)
複数の繊維を本発明の方法で処理した後で付着量を求める場合、付着量を求める前に複数の繊維を乾燥工程に付して、残留水溶液が複数の繊維の試験サンプルに残らないことを確実にする必要がある場合がある。
【0148】
3.表面張力の測定
表面張力(単位:mN/m)は、以下の試験に従って測定される。
【0149】
装置:
機器:ドイツのクルス社(Kruss GmbH)によって供給されるK10張力計又は等価物。容器の上昇速度は4mm/分であるべきである。液体表面の高さは、プレート又はリングを用いる場合、自動的に感知されるべきである。この機器は、サンプルの位置を自動的に正しい高さに調整することができなければならない。試験の精度は±0.1mN/mであるべきである。
【0150】
手順:
1.生理食塩水40mL(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)をきれいに洗ったビーカー内に注ぐ。
2.白金リング又は白金プレートを用いて表面張力を試験する。表面張力は、20℃で71〜72mN/mであるべきである。
3.脱イオン水及びイソプロパノールでビーカーを洗浄し、このビーカーを数秒間ガスバーナーで熱して乾燥させる。室温に平衡化するまで待つ。
4.60×60mmの不織布試験片10枚をきれいに洗ったビーカーに入れる。不織布の坪量は、少なくとも10g/mであるべきである。
5.生理食塩水(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)40mLを添加する。
6.界面活性剤を含まないきれいなプラスチック棒で、10秒間攪拌する。
7.不織布を浸した溶液を5分間放置する。
8.再び10秒間攪拌する。
9.界面活性剤を含まないきれいなプラスチック棒で、不織布を溶媒から取り出す。
10.溶液を10分間放置する。
11.白金プレート又は白金リングを用いて表面張力を試験する。
【0151】
4.しみ出しの測定
試験は、エダナ(Edana)法150.3−96(1996年2月)の液体しみ出し時間(Liquid Strike Through Time)に基づいて行われる。エダナ(Edana)法と比較したときの変更点として、以下に記載されている試験は、1度目の噴出だけではなく次に続く数回の噴出をも測定する。
【0152】
装置
リスター(Lister)しみ出し用機器:
電磁バルブが取付けられた漏斗:3.5(±0.25)秒に25mLの放出速度
しみ出し用プレート:25mm厚のアクリルガラスで構成されたもの。前記プレートの総重量は500gでなければならない。電極は非腐蝕性材料のものであるべきである。電極は、プレートの底部に切り込まれた断面の溝(4.0mm×7.0mm)にセットされ、急速に固まるエポキシ樹脂で固定される。
ベースプレート:およそ125mm×125mmの正方形のアクリルガラス。
漏斗を支えるためのリングスタンド
0.01秒まで測定する電子タイマー
50mL容量のビュレット
コア濾紙アールストローム(Ahlstrom)グレード989又はその等価物(平均しみ出し時間1.7秒±0.3秒、寸法:10×10cm)
【0153】
手順
1.必要な数の12.5cm×12.5cmサンプルを注意深く切断して、サンプルの縁でだけサンプルに触るようにする。
2.コア濾紙10枚を取り出す。
3.1つのサンプルを、ベースプレート上の10枚一組の濾紙の上に置く。サンプルは、(吸収性物品において適用される場合)使用者の皮膚に面するように意図される不織布の側が最上部にくるように、濾紙の上に配置されるべきである。
4.しみ出し用プレートを、このプレートの中心が試験片の中央上部にくるように、上に乗せる。
5.前記プレートの上でビュレットと漏斗の中心を合わせる。
6.電極がタイマーに接続していることを確実にする。タイマーのスイッチを入れ、時計を0にセットする。
7.ビュレットを食塩水溶液(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)で満たす。
8.漏斗の排出バルブを閉じたままで、ビュレットから漏斗に5.0mLの液体(=1回の噴出)を流す。
8.漏斗の電磁バルブを開け、5.0mLの液体を排出させる。液体の最初の流れが電気回路を完成させ、タイマーが開始する。タイマーは、液体がパッド内に浸透し、しみ出し用プレートの電極のレベルより下に落ちたときに停止する。
9.電子タイマーに示されている時間を記録する。
10.60秒間待ち、手順6に戻って2度目、3度目及びそれに続く任意の噴出を行うが、それぞれの噴出は5mLの液体を含む。
11.報告:1度目、2度目、及びそれに続く任意の噴出に対する秒単位での時間。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】上側層を部分的に切り欠いた、使い捨ておむつの平面図。
【図2】図1に示す使い捨ておむつの横断方向軸に沿った断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成不織布繊維ウェブであって、前記不織布繊維ウェブがその1m当たり水性液体100g未満の保持能力を有する1cm×1cmの寸法の少なくとも1つの領域を含み、前記領域が、架橋した親水性ポリマーを含む、合成不織布繊維ウェブ。
【請求項2】
前記領域内の前記架橋した親水性ポリマーの付着量が、前記ポリマーを含まない前記ウェブの30重量%未満である、請求項1に記載のウェブ。
【請求項3】
前記架橋した親水性ポリマーの少なくとも一部が、前記ウェブの前記面積に含まれる繊維の少なくとも一部に化学的にグラフト化されている、請求項1又は2に記載のウェブ。
【請求項4】
前記ウェブの前記領域が界面活性剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項5】
前記界面活性剤が、前記親水性ポリマーに含まれるコモノマー類である、請求項4に記載のウェブ。
【請求項6】
前記ウェブの前記領域が、液体の5度目の噴出に対して5秒未満の液体しみ出し時間を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項7】
前記ウェブに含まれる前記領域からの水性の洗い流しの表面張力が少なくとも65mN/mである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項8】
前記親水性ポリマーがモノマー類から重合されたものであり、前記モノマー類のうち少なくとも一部が少なくとも1つの不飽和二重結合を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項9】
前記モノマー類が(メタ)アクリル酸又はその塩を含む、請求項8に記載のウェブ。
【請求項10】
前記(メタ)アクリル酸が70%〜99%中和されている、請求項9に記載のウェブ。
【請求項11】
前記架橋した親水性ポリマーを含まない前記ウェブが、5g/m〜200g/mの坪量を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項12】
前記架橋した親水性ポリマーを含まない前記ウェブが、8g/m〜15g/mの坪量を有し、ポリプロピレン(PP)から成るスパンボンド層−メルトブローン層−メルトブローン層−スパンボンド層(SMMS)で構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項13】
前記架橋した親水性ポリマーを含まない前記ウェブが、15g/m〜20g/mの坪量を有し、ポリプロピレン(PP)から成るスパンボンドウェブである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項14】
前記架橋した親水性ポリマーを含まない前記ウェブが、40g/m〜80g/mの坪量を有し、ポリエステル(PET)から成るカードウェブである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項15】
前記領域が、5cm×10cmの寸法を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項16】
前記ウェブのいずれかの領域が、前記架橋した親水性ポリマーを含み、前記ウェブ1m当たり水性液体100g未満の保持能力を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のウェブ。
【請求項17】
架橋した親水性ポリマーを含むように合成不織布繊維ウェブを処理する方法であって、前記方法が、
a)合成不織布繊維ウェブを用意するか又は複数の繊維を用意する工程;
b)親水性モノマー類、架橋剤分子及びラジカル重合開始剤分子を含む水溶液を用意する工程;
c)前記ウェブ又は複数の繊維に前記水溶液が浸透するように、前記ウェブ又は複数の繊維を前記水溶液に接触させる工程;
d)前記ウェブ/複数の繊維を紫外線に曝露する工程;
を含み、前記不織布ウェブ又は複数の繊維上の前記親水性ポリマーの付着量が、前記ポリマーを含まない前記ウェブ又は複数の繊維の30重量%未満となるように、前記水溶液中での前記モノマー類の濃度が選択される、方法。
【請求項18】
前記モノマー類が、前記水溶液の10重量%〜70重量%の濃度で前記水溶液中に含まれている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記架橋分子が、前記水溶液の0.01重量%〜10重量%の濃度で前記水溶液に含まれている、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記開始剤分子が、前記水溶液の0.01重量%〜5重量%の濃度で前記水溶液に含まれている、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記紫外線照射が不活性雰囲気下で行われる、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記水溶液が界面活性剤を更に含む、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記界面活性剤がコモノマー類である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記界面活性剤が、前記溶液の0.01重量%〜30重量%の濃度で前記水溶液に含まれている、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記不織布ウェブ又は複数の繊維が更にコロナ処理に付される、請求項17〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
実質的に液体透過性のトップシート、実質的に液体不透過性のバックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コアを備える吸収性物品であって、前記吸収性物品が請求項1〜16のいずれか1項に記載のウェブを含む、吸収性物品。
【請求項27】
前記ウェブが前記トップシートに含まれている、請求項26に記載の吸収性物品。
【請求項28】
前記吸収性物品が獲得層を更に含み、前記ウェブが前記獲得層に含まれている、請求項26又は27に記載の吸収性物品。
【請求項29】
前記吸収性物品が、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配置されたコアカバーを更に備えており、前記ウェブが前記コアカバーに含まれている、請求項26〜28のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項30】
ウェブ/複数の繊維を含む吸収性物品であって、前記ウェブ/複数の繊維が請求項17〜25のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−531830(P2007−531830A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505277(P2007−505277)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010464
【国際公開番号】WO2005/095705
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】