説明

架橋体および架橋用組成物

【課題】高い透明性で接着性・密着性および耐吸水性に優れ、さらに寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性の優れた、しかも成形体への加工が容易な架橋密度の高い水素化された環状オレフィン開環共重合体の架橋体およびその組成物を提供する。
【解決手段】5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンなどの特定のシリル基を有するノルボルネン系単量体と8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのその他のノルボルネン系単量体を開環重合して得られる、数平均分子量が5000〜1,000,000である反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体がシロキサン結合で加熱により架橋され、25℃のトルエンまたはシクロヘキサンで測定される膨潤度が500%以下の架橋体、ならびに、上記環状オレフィン開環共重合体に、架橋剤(例;50℃以上の温度で酸として作用する化合物)を配合してなる架橋用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体のシロキサン結合で架橋された架橋体、およびこの架橋用組成物に関する。さらに詳しくは、光学透明性、耐溶剤性、寸法安定性、高耐熱性に優れ、金属、無機材料への接着性に優れ、光学透明材料、電子材料部品として好適な反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体のシロキサン結合で架橋された架橋体、およびその架橋用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量化、小型化・高密度化の要求に伴い、従来無機ガラスが用いられていた光学部品、液晶表示素子部品の分野で光学透明な樹脂への代替化が進んでいる。しかし、光学透明性以外に、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、接着・密着性などにおいて、樹脂材料のさらなる改良が求められている。これまでに、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、オレフィン・マレイミド共重合体、フルオレン構造を含むポリエチレンテレフタレート、エチレン・ノルボルネン共重合体、エチレン・シクロドデセン共重合体、水素化された環状オレフィンの開環重合体、水素化されたポリシクロヘキセンなどが透明性に優れた材料として知られている。従来、極性基を多く含む重合体は、他の部材との接着性・密着性は良いが、耐吸湿性が劣るものが多い。一方、極性基を含まない重合体は、耐吸湿性はよいが、他の部材との接着・密着性が劣る。また、従来の透明に優れた重合体は架橋されていないため、耐溶剤、薬品性に関し、十分でない。この改善策として、重合体に不飽和二重結合を導入し、過酸化物により架橋させる手法があるが、重合体の酸化劣化防止のために添加する酸化防止剤と過酸化物とが反応してしまうため、充分な架橋密度を得ることができないと同時に重合体の耐酸化劣化性が低下してしまう。また、紫外光照射により不飽和二重結合を架橋させる手法もあるが、高い架橋密度を達成させるために強い光を照射すると、酸化劣化による重合体の黄変が起こり、透明性の低下を招く。
【0003】
これに対し、反応性シリル基を重合体に導入し、加水分解、縮合させることで重合体をシロキサン結合で架橋させる方法は、これら重合体に添加する酸化防止剤への影響が少ない方法である。特許文献1(米国特許第5,912,313号明細書)において、反応性シリル基であるアルコキシシラン官能基を含むノルボルネン系付加重合体が知られている。しかしながら、その重合体のガラス転移温度が250℃以上で耐熱性は優れるが、成形体の形成法が限られ、重合体を溶剤に溶解して、キャスト法によるフィルム、シートやコーティング剤などに限られる。また、架橋法に関して、成形体を300℃に加熱し、架橋化する方法が提案されているが、雰囲気が少しの酸素でも含むと成形体が酸化劣化が生じてしまう点が問題である。また、特許文献2(国際特許公開WO98/20394号公報)、および特許文献3(特開平7−104474号公報)では、反応性シリル官能基を含む環状オレフィン系(共)重合体と酸発生の光開始剤からなる組成物、およびスピンコートした薄膜への紫外光の照射による架橋体の形成について記述している。しかし、強い紫外光の照射は、重合体の黄変色などを招くことが多い。また、薄膜より厚いフィルムやシートなどを架橋させる場合には、この手法では全体を均一に架橋させることが困難となる。さらに、光酸発生剤を用いた場合には、貯蔵時、およびキャスト時の架橋を防ぐため、紫外線を遮断するための特殊な環境を整える必要がある。
【0004】
また、特許文献4(特開昭52−52999号号公報)において、極性基を含むノルボルネンと反応性シリル基を含むシクロアルケンとのを開環共重合して得られる重合体の架橋体が知られているが、重合体の不飽和結合が水素化されてないため、耐酸化劣化性が劣るものである。
【0005】
さらに、特許文献5(開平7−10474号公報)において、反応性シリル基を含む水素化された開環重合体を含む感光性樹脂が知られているが、活性光線、光酸発生剤により、架橋されたものである。また、このような組成物は、光の遮断、周囲の温度上昇を防ぐなど、特別な管理が必要となる。
【0006】
側鎖に反応性シリル基を含む水素化された環状オレフィン開環重合体は、特許文献6(特開平1−132626号公報)に記載されているが、架橋体に関する記載はない。
【0007】
ガラス代替材料として要求される透明性、耐熱性、耐吸水性、他の部材との接着性・密着性以外に耐溶剤性、耐薬品性、寸法安定性などの物性を実現するためには、架橋された重合体とその手法が求められている。また、アルコキシシリル基で代表とされる反応性シリル基を有す重合体のシロキサン結合により架橋する場合には、既知の架橋触媒では、成形時に架橋反応が進行してしまうため、成形加工が困難となることが多い。すなわち、シロキサン結合を生成する触媒として知られている、塩酸などの酸触媒、エチルアミンなどのアミン触媒、チタニウムやスズなどの金属触媒などを用いた場合、キャスト法によるシート、フィルムなどへの成形では、溶媒を除去する工程で重合体が架橋(ゲル化)してしまうため、多くの場合、成形体の表面にシワがよってしまい平坦なものが得られにくい。また、押し出し成形などでも、成形工程で架橋化が起こると成形肌が悪くなったり、着色が起こったり、流動性が低下したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,912,313号明細書
【特許文献2】国際特許公開WO98/20394号公報
【特許文献3】特開平7−104474号公報
【特許文献4】特開昭52−52999号号公報
【特許文献5】開平7−10474号公報
【特許文献6】特開平1−132626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高い透明性を有し接着性・密着性および耐吸水性に優れ、さらに寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性の優れた、しかも成形体への加工が容易な架橋密度の高い水素化された環状オレフィン開環共重合体の架橋体およびその組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1)本発明は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位(a)と下記一般式(2)で示される繰り返し単位(b)を含む数平均分子量が5,000〜1,000,000である水素化された環状オレフィン開環共重合体がシロキサン結合で加熱により架橋され、25℃のトルエンまたはシクロヘキサンで測定される膨潤度が500%以下の架橋体に関する。
なお、上記繰り返し単位(a)の、水素化された環状オレフィン開環共重合体中の割合は、0.5〜30モル%が好ましい。
【0011】
【化1】

【0012】
[式(1)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および
−(CR12fSi(OR3g4(3-g)
−(CR12fSi(R56)OSi(OR)g4(3-g)
−C(O)O(CHSi(OR3(3−a)

で表される反応性シリル基または加水分解・縮合残基でA1〜A4の少なくとも一つは反応性シリル基および/または加水分解・縮合残基を含む。ここで、Yは−CH2−または−O−を示す。また、Xは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールから選ばれたジオールの残基を示す。また、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、R1,R2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基から選ばれた炭化水素基を示す。R4はハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基から選ばれた置換基、R5,R6は炭素数1〜20のアルキル基、アリ−ル基、から選ばれた置換基、fは0〜5の整数、gは1〜3の整数、mは0または1を示す。]
【0013】
【化2】

【0014】
[式(2)中、B1,B2,B3,B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CH2hXで表される極性基。ここで、Xは−C(O)OR7、−OC(O)R7,−CN、−C(O)N(R82であり、R7は炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基およびこれらのハロゲン置換基、R8は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基から選ばれた置換基、hは0〜5の整数を示す。また、B1〜B4にはB1とB2またはB3とB4で形成されるアルキデニル基、スピロ型酸無水物基、スピロ型イミド基、B1とB4,B1とB3またはB2とB4で形成されるシクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、酸無水物基、イミド基も含まれる。pは0から2の整数を示す。]
【0015】
2)また、本発明は、上記1)の反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体と加熱することで酸として作用する化合物を含む架橋用組成物および上記1)の反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体と50℃以上の水または水蒸気の存在下で加熱することで酸として作用する化合物により、シロキサン結合を形成して架橋する架橋用組成物に関する。
なお、本発明の架橋体、あるいは、架橋用組成物には、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物およびこれらアルコキシシラン化合物の縮合体の群から選ばれた少なくとも1種の化合物、および/または、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよびチタニアの群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物が配合されていてもよい。
3)また、架橋された成形体の形態は、フィルムまたはシート形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い透明性を有し、接着性・密着性および耐吸水性に優れ、さらに寸法安定性、耐溶剤性、耐薬品性の優れた、しかも成形体への加工が容易な架橋密度の高い水素化された環状オレフィン開環共重合体の架橋体およびその組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の架橋前の反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体は、上記一般式(1)で示される繰り返し単位(a)と上記一般式(2)で示される繰り返し単位(b)を含む水素化された環状オレフィン開環共重合体である。
【0018】
以下、本発明の側鎖に反応性シリル基を有する水素化された環状オレフィン開環共重合体について、さらに具体的に説明する。本発明の共重合体に用いられる繰り返し単位(a)は、下記一般式(3)で示される環状オレフィン(以下、特定の環状オレフィン(1)という。)の開環重合、さらにそれに続く、共重合体の水素化により形成される。反応性シリル基は、重合体主鎖に結合することなく、側鎖に位置する。
【0019】
【化3】

【0020】
[式(3)中、A1〜A4,Y,およびmは、上記一般式(1)に示すものと同一である。]
【0021】
このような「特定の環状オレフィン(1)」の具体例としては、5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリメトキシシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリメトキシシロキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−ジメトキシメチルシロキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリメトキシシリル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−ジメトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、5−ジメトキシクロロシリル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−メトキシクロロメチルシリル−2−ノルボルネン、5−ジメトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、5−メトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシロキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−ジエトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、5−エトキシメチルクロロシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリルエチル−2−ノルボルネン、5−エトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−エトキシジエチルシリル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−プロポキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、5−トリプロポキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリプロポキシシリルメチル−2−ノルボルネン5−トリブトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリメトキシシリルメチル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、5−(2−ジメトキシクロロシリル)エチル−2−ノルボルネン、5−(1−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリルエチル−7−オキサ−2−ノルボルネン、5−ジメトキシメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、5−トリメトキシプロピルシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシロキシ−ジメチルシリル−2−ノルボルネン、8−トリエトキシシリル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、8−メチルジメトキシシリル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン8−トリエトキシシロキシ−ジメチルシリル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシメチルシリルプロピル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、5−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシメチルシリルプロピル、5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−2−ノルボルネン、5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−2−ノルボルネン、5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−2−ノルボルネン、5−[1’3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−2−ノルボルネン、5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−2−ノルボルネン、5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−2−ノルボルネン、5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−2−ノルボルネン、5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−2−ノルボルネン、5−[1’−メチル−4’4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−2−ノルボルネン、5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−2−ノルボルネン、などが挙げられるが、反応性シリル基としてはハロゲン原子を含まない化合物が腐食などの点で好ましい。なお、これらは、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
繰り返し単位(a)の水素化された環状オレフィン開環共重合体中の割合は、0.5〜30モル%、好ましくは1.0〜20モル%、さらに好ましくは3.0〜10モル%である。繰り返し単位(a)の水素化された環状オレフィン開環共重合体中の割合が0.5モル%未満では、接着性・密着性が不十分であったり、架橋体の形成が困難となる。一方、その割合が30モル%を超えると、耐吸湿性、寸法安定性が低下する。
【0023】
一般式(1)で示される繰り返し単位(a)とともに用いられる一般式(2)で示される繰り返し単位(b)は、下記一般式(4)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」という)を開環共重合しさらに生成共重合体を水素化することにより形成される。
【0024】
【化4】

【0025】
[式(4)中、B1〜B4,pは、上記一般式(2)と同一である。]
このような「特定の環状オレフィン(2)の具体例としては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−ドデシル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−エチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−インデニル−2−ノルボルネン、5,6−インダン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−フロロ−2−ノルボルネン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、2−エチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリフロロエチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル酢酸エチル、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−シアノ−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸アミド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメチルアミド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジエチルアミド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジシクロヘキシルアミド、5−ノルボルネン−2−スピロ−N−フェニルスクシンイミド、5−ノルボルネン−2−スピロ−N−シクロヘキシルスクシンイミド、5−ノルボルネン−2−スピロ−N−メチルスクシンイミド、5−ノルボルネン−2,3−N−フェニルジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2,3−N−シクロヘキシルジカルボキシイミド、アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、メタクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デセン、3,7−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカジェン(ジシクロペンタジエン)、3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、8−メチル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、8−エチリデン−3−テトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、8−シアノ−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、アクリル酸3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、メタクリル酸3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、などを挙げることができる。
【0026】
上記繰り返し単位(b)を形成する上記一般式(4)に示す化合物の「特定の環状オレフィン(2)」は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基、酸無水物基、ニトリル基、イミド基を含む「特定の環状オレフィン(2)」は、生成重合体の耐吸水性、寸法安定性の低下を招くので、使用する場合には、「特定の環状オレフィン(2)」の中で10モル%以下で用いることが好ましい。
【0027】
繰り返し単位(b)の本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体中の割合は、全繰り返し単位中、70〜99.5%、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは90〜97モル%である。(b)の割合が70モル%未満では耐吸水性が低下することがあり、一方、99.5モル%を超えると架橋が困難となる。
【0028】
一般式(1)で示される繰り返し単位(a)および一般式(2)で示される繰り返し単位(b)は、それぞれ、下記一般式(5)で表される繰り返し単位(c)および下記一般式(6)で表される繰り返し単位(d)の水素化反応によって形成されるが、本発明の水素化された開環共重合体中にこれら残存する繰り返し単位(c)および繰り返し単位(d)を含むことができる。
【0029】
【化5】

【0030】
[A1〜A4、およびmは、上記一般式(1)と同じ]
【0031】
【化6】

【0032】
[B1〜B4、およびpは、上記一般式(2)と同じ]
【0033】
繰り返し単位(c)および繰り返し単位(d)の合計の割合は、本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体中に、5モル%未満、好ましくは1モル%未満、さらに好ましくは0.5モル%未満である。繰り返し単位(c)および繰り返し単位(d)の合計の割合が5モル%を超えると、本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体の耐酸化・劣化性が低くなり、黄色ないし褐色に着色し、透明性が低下する。
【0034】
本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体は、「特定の環状オレフィン(1)」と「特定の環状オレフィン(2)」の開環共重合を行った後、水素化反応を行うことにより、形成される。
【0035】
開環共重合は、重合触媒として1)単成分系触媒および2)多成分系触媒が用いられる。
1)単成分系触媒としては、
W(OR’)2(=NAr)(=CH−(C(CH3)2-R)
[Ar:2,6−diisopropyl-phenyl、R:CH3、phenyl、R’:t-Bu、C(Me)2CF3、C(Me)(CF3)2
Mo(OR’)2(=NAr)(=CH−(C(CH3)2-R)
[Ar:2,6−diisopropyl-phenyl、R:CH3、phenyl、R’:t-Bu、C(Me)2CF3、C(Me)(CF3)2
W(Br)2(OCH2(t-Bu))2(=CH(t-Bu))、
W(CO)4(=C(OMe)(CH2CH2CH=CH2)、
RuCl2[P(phenyl)32(=CHCO2Et)、
RuCl2[P(cyclohexyl)32(=CHCH=CPh2)、
RuCl2[P(cyclohexyl)32(=CH−Ph)、
Ta(OAr)3(=CH(t-Bu))(solvent)
[Ar:2,6-diisopropyl]
Ta(SAr’)3(=CH(t-Bu))(solvent)、
[Ar’:2,4,6−triisopropyl-benzen]
Bis(cyclopentadienyl)3,3−dimethyltitanacyclobutane、
Bis(cyclopentadienyl)3−t-butyltitanacyclobutane、
などが挙げられる。
【0036】
2)多成分系触媒としては、(a)W、Mo、Re、Ti、Hfの化合物から選ばれた少なくとも1種と(b)周期律表IA、IIA、IIB、IIIA、IVAあるいはIVB族元素の化合物で金属−炭素結合、または金属−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせなる触媒であるが、触媒活性を向上させるために(c)添加剤(活性向上剤)を加えたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、Mo、Re、Ti、Zr、Hfの化合物はこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩、β−ジケトン化合物、スルフォン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、シクロペンタジエニル錯体、インデニル錯体、ヒドリド錯体、およびその誘導体あるいはこれらの組み合わせであるがWおよびMoの化合物は特にアルコキシ化物、フェノキシ化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物が重合活性が高く、好ましい。
【0037】
(a)成分の具体的な例としてWCl6,WCl5、WCl4、WBr6、WBr4、WOCl4、WOBr4、W(OC656、WCl4(OCH2CH2Cl)2、WCl2(OC65)4、WOCl2(OC63-2,6-(iPr)22、WO(OC63-2,6-(Me)2)4、MoCl5、MoCl3,Mo(OC25)5、MoO2(acac)2、、Mo(CO)5・Pyridine、WCl6・C55N、ReOCl3、Re(CO)5Cl、TiCl4、HfCl4、ZrCl4、(Cyclopentadienyl)2TiCl2、(Indenyl)2ZrCl2などが挙げられる。
【0038】
(b)成分の具体例として、BuLi、EtLi、HexylLi、C55Na、(Bu)2Mg、EtMgCl、BuMgBr、(Et)2Zn、Me3Al、Me2AlCl、EtAlCl2,Et2AlCl、Et2AlBr、Et2AlH、Bu2AlH、Et3Al、Bu3Al、(Hexyl)3Al、MAO(Methylalumoxane)、MMAO(Bu3Al−MAOmixture)、(Bu)4Sn、(Ph)4Sn、LiH、LiAlH4、NaH、NaBH4、AlH3などが挙げられる。
【0039】
(a)成分と(b)成分の割合は金属原子に比で、(a):(b)が1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:30の範囲で用いられる。
【0040】
(c)成分の活性向上剤は、さらに重合活性を高めるために用いられる。具体的な例として、水、酸素、アセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、N−ニトロソジメチルアニリン、テトラブチルアンモニウムクロライド、N−ニトロソジフェニルアミン、三臭化アルミニウムなどが挙げられる。(c)成分は、種類により添加量は異なるが、(a)成分1モルに対して、0.005〜10モル、好ましくは0.01〜2.0の範囲で用いられる。
【0041】
開環重合反応の溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ブテン、2−メチルブテンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ニトロメタンなどの極性溶媒から1種または2種以上選ばれて、用いられる。
【0042】
重合の方法として、窒素、またはアルゴン雰囲気下で反応容器に溶媒と「特定の環状オレフィン(1)」および「特定の環状オレフィン(2)」からなる単量体と、必要に応じて、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィンやビニルエーテル、チオビニルエーテル、酢酸ビニルなどから選ばれた分子量調節剤を仕込み、−20℃から100℃の範囲の温度に重合系を設定する。次に、上記触媒成分を遷移金属原子1g原子当たり、単量体を100〜100,000モルを添加して−20℃から100℃の範囲で重合を行う。溶媒/単量体の重量比は、1〜20の範囲で行われる。分子量の調節は、重合触媒の量と分子量調節剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によって、目的とする分子量に調節される。重合の停止は、水、アルコール、有機酸、炭酸ガス、アルデヒド化合物、ケトン化合物などから選ばれた化合物により行われる。重合体溶液にマレイン酸、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸から選ばれた酸の水/アルコール混合物を添加して、触媒残さは、重合体溶液から水相に移行し、重合体溶液から分離・除去される。重合体は、重合体溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残存する未反応モノマーも除去される。
【0043】
また、重合反応は、先に「特定の環状オレフィン(1)」または「特定の環状オレフィン(2)」のいずれか一方を重合した後に、残りの「特定の環状オレフィン(1)」または「特定の環状オレフィン(2)」を添加することにより、繰り返し単位(c)と繰り返し単位(d)が、さらに水素化されることにより、繰り返し単位(a)および繰り返し単位(b)が重合体分子中に、傾斜型またはブロック状に組成分布のある重合体を得ることができる。
【0044】
本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体を得るための水素化反応は、重合された環状オレフィン開環共重合体をそのまま水素化反応に用いてもよいし、上記の触媒、残単量体がない重合体を溶媒に溶解し、水素化反応に用いてもよい。水素化反応は、水素圧1.0〜10MPaで、温度50〜200℃の範囲で、水素化触媒は遷移金属原子当たり、10〜1000ppm/重合体の範囲で、通常、行われる。
【0045】
水素化触媒としては、不均一系のシリカ、アルミナ、ゼオライト、ケイソウ土、マグネシア、カーボン、炭酸カルシウムなどの担体から選ばれた担体にパラジウム、白金、プラチナ、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ニッケルから選ばれた金属が担持された固体触媒、均一系のオクタン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、オクタン酸コバルト/トリエチルアルミイウム、オクタン酸コバルト/n-ブチルリチウム、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド/ジエチルアルミニウムクロライド、酢酸パラジウム/トリエチルアルミニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリトリルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリキシリルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリシクロヘキシルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロルテニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ジヒドロ・カルボニル・ルテニウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロルテニウムなどが用いられる。
【0046】
水素化された共重合体は、不飽和結合の水素化率が高いほど優れた熱安定性を有するものとなる。その結果、脱溶媒工程、ペレット化工程、製品の成形加工などの工程で加熱によって、熱劣化、酸素による劣化などを防ぐことができる。水素化率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。共重合体の水素化率が90%未満では耐熱劣化性が不十分である。
【0047】
本発明の環状オレフィン開環共重合体およびその水素添加物の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜500,000、さらに好ましくは40,000〜300,000である。5,000未満では、強度が劣り、一方、1,000,000を超えると、フィルム、シートなどのキャスト工程での溶液粘度が高くなり、取り扱いが困難となる。
【0048】
本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体は、反応性のシリル基を含むため、架橋反応は水の存在下で有機酸、各種金属化合物を触媒として、進行する。このため、加工成形の過程で架橋が起こることによる成形品の流れ不良、表面肌の荒れ、光沢不良などを防ぐため、触媒の種類にもよるが、50℃以下では用いることができるが、これ以上の温度での使用には注意が必要となる。好ましくは、酸触媒としては、加熱分解により酸を発生する化合物、あるいは熱水または水蒸気の存在下で加水分解することにより酸を発生する化合物の中から選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。熱分解あるいは加水分解の進行する温度は、50℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。
【0049】
加熱分解により酸を発生する化合物としては、ベンジルスルフォニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルホスフォニウム塩、ヒドラジニウム塩などが挙げられる。有機酸としては、カルボン酸、スルフォン酸、スルフィン酸、リン酸ジエステル、ジアルキルリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの有機酸が挙げられる。
【0050】
高温での加水分解が容易で酸を発生する化合物として、カルボン酸エステル、亜リン酸エステル、スルフィン酸エステル、次亜リン酸エステル、などのエステル化合物が挙げられる。これらの中で、亜リン酸エステル、次亜リン酸エステルが好ましい。これらの化合物は、キャスト用のフィルム、シートを作製する際に水素化された開環共重合体に混合しておくことにより、キャスト法または押し出し法により、フィルム、またはシートを作製した後、これらフィルム、シートを50℃以上の熱水、または水蒸気に曝すことにより、有機酸が発生し、架橋されたフィルム、シートが容易に得られる。
【0051】
金属化合物としては、Al、Mg、Zn、Ba、Ca、Sb、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、V、Y、Sm、Yb、Scなどの金属のアルコール塩、チオール塩、フェノール類塩、β−ジケトン塩、有機カルボン酸塩、酸化物、ハロゲン化物などの金属化合物が用いられる。これらの中で、Snの有機カルボン酸塩が好ましく、50℃以下で少量、使用することができる。
【0052】
これら触媒は、水素化された開環共重合体100重量部当たり、0.001〜5重量部の範囲で用いられ、反応性シリル基の加水分解・縮合反応は0〜200℃の範囲で行われる。
【0053】
本発明の水素化された環状オレフィン開環共重合体に、下記無機粒子を配合した複合体架橋用組成物として用いることができる。共重合体溶液と無機粒子とを少量の水分の存在下で上記金属化合物からなる加水分解・縮合触媒を用いて、0〜100℃の範囲で、無機粒子またはアルコキシシラン化合物と予めグラフト化反応を行うことにより、ミクロに無機粒子が分散された光学的に透明な複合体組成物を形成でき、さらに50℃以上で酸として作用する化合物で架橋することにより、架橋体とすることができる。無機粒子としては、平均粒子径200nm以下のシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン、酸化スズ、モンモリロナイト、などの金属酸化物である無機粒子などが用いられる。多官能アルコキシ化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物およびこれらの加水分解・縮合で形成される縮合度3〜50のオリゴマーおよびシリカなどが用いられる。
【0054】
無機粒子は、凝集を防ぐため表面処理したものでよい。また、平均の粒子径は100nm以下、このましくは20nm以下である。平均粒子径が100nmを超えると、複合体としての透明性が低下する。多官能アルコキシ化合物は、予め、加水分解・縮合してオリゴマー体(縮合度:3〜50)としたものでも、水素化された開環共重合体と混合した際にアルコキシシラン化合物自身の加水分解・縮合と同時に共重合体とのグラフト縮合を行ってもよい。
【0055】
これら無機粒子および多官能アルコキシ化合物は、水素化された開環共重合体100重量部当たり、3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部添加することができる。3重量部未満では、複合体としての寸法安定性に関わる線膨張係数の低減効果が少なく、一方、50重量部を超えると複合体が脆くなる。
【0056】
さらに、架橋体を得る他の方法として、触媒を用いずにさらに高温の200〜400℃で水、またはスチームと接触する方法が挙げられる。
【0057】
水素化された開環共重合体は、架橋化することにより、線膨張係数の低減により寸法安定性が増し、耐溶剤・薬品性、耐液晶性が大幅に改良される。架橋度の指標としての“25℃でのトルエンまたはシクロヘキサンでの膨潤度”は、500%以下、好ましくは300%以下、さらに好ましくは200%以下である。膨潤度が500%を超えると、耐溶剤性、耐薬品性、耐液晶性の改良が不充分となる。なお、膨潤度は、架橋反応に用いられる酸を発生する化合物や金属化合物の種類、量および架橋反応の温度により、容易に調整することができる。なお、本発明の一般式(2)で表される繰り返し単位(b)にエステル、ニトリル、アミド、イミドなどの極性基が含まれる場合は、“25℃でのトルエン溶媒”を用いて膨潤度を測定する。また、一般式(2)で表される繰り返し単位(b)にエステル、ニトリル、アミド、イミドなどの極性基が含まれない場合は“25℃でのシクロヘキサン溶媒”を用いて膨潤度を測定する。
【0058】
本発明の水素化された開環共重合体には、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイトビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加して、耐熱劣化性を向上させることができる。
【0059】
本発明の水素化された開環共重合体の架橋体および架橋用組成物は、押出し機により、直接、フィルム、シートにすることができるし、また炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ケトン、エーテル、エステル、アミン、アミド、尿素など極性溶媒から選ばれた溶媒に重合体および架橋触媒さらに金属酸化物またはアルコキシシラン化合物などを溶解または分散させ、キャスティング、蒸発工程を経て、光学透明なフィルムおよびシートにすることができる。また、これら溶媒に重合体を膨潤させた後、押出し機で溶媒を蒸発させながら、重合体をフィルム、シートに成形・加工することもできる。このようにして得られたシート、フィルムをさらに高温下で曝したり、高温の水蒸気下で曝すことにより、架橋化されたシート、フィルムとすることができる。
【0060】
本発明の水素化された開環共重合体の架橋体、および架橋用組成物は、光学透明材料として好適に用いられる。優れた光学透明性、耐熱性、接着・密着性、寸法安定性、耐溶剤・耐薬品性、耐吸湿性を有するので、導光板、偏光フィルム、液晶パネル、液晶基板、位相差フィルム、透明導電性フィルム、OHPフィルム、光ディスク、光ファイバー、レンズ、など光学部品、電子部品、コーティング剤、接着剤さらに医療容器、容器などにも用いられる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものでない。また、分子量、膨潤度、ガラス転移温度、耐液晶性、全光線透過率、溶液粘度は下記の方法で測定した。
【0062】
(1)重量平均分子量、数平均分子量
ウオ−ターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o-ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値を示す。
(2)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、厚さ約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
(3)ガラス転移温度
本発明の環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E'と損失弾性率E''との比E'/E'' = Tanδ)のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック(株)製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いて得られるTanδの温度分散のピーク温度で求めた。
(4)飽和吸水率
試料フィルムを100℃、17時間真空下で処理した後、23℃の水中に24時間浸して試料に水を吸収させ、浸漬前後の重量変化により、吸水率を測定した。
飽和吸水率=〔(W2−W1)/(W1)〕×100(%)
浸漬前の重量:W1、浸漬後の重量:W2
(5)曲げ弾性率
ASTM D790に従って測定した。
(6)接着性・密着性
10cm×10cmの試験片にアルミニウムを蒸着し、この蒸着膜に対して、カッターにより、1mm×1mmの碁盤目が5個X5個、形成されるように切り込みを入れ、セロハンテープによる剥離試験を行い、25ブロック中における剥離したブロックの数を測定した。
(7)膨潤度
厚さ50〜500ミクロン、縦2 cm × 横2
cmのフィルムまたはシートを25℃のトルエン溶媒、または25℃のシクロヘキサン溶媒に3時間浸漬し、浸漬前後の重量比から、膨潤度を算出した。まったく膨潤しないもので100%である。水素化された開環共重合体の繰り返し単位(b)に極性基を含む重合体はトルエン溶媒を用い、繰り返し単位(b)に極性基を含まない重合体はシクロヘキサン溶媒を用いた。
【0063】
1.重合体Aの合成
窒素雰囲気下で400mlのガラス製耐圧反応器に単量体の8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、190ミリモル、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン10ミリモル、溶媒のトルエン200ml、分子量調節剤の1−ヘキセン、60ミリモルを加えた。触媒成分のWCl6を0.04ミリモル、パラアルデヒド0.05ミリモル、トリエチルアルミニウムを0.4ミリモルを加えて、重合を60℃、3時間行った。重合体溶液にベンズアルデヒド0.4ミリモルを添加して、重合を停止した。単量体の重合体への転化率は98%であった。重合体溶液に0.4gの2,6-ジt-ブチル−p−クレゾールを添加した後、塩酸を含むメタノールに入れ、重合体を凝固した。さらに、凝固した重合体をメタノールで洗浄した後、50℃で17時間、乾燥した。この重合体の5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンに由来する構造単位の割合は4.6モル%であった。これは270MHz 1H−NMRにて、不飽和二重結合のプロトン(−CH=CH−)(テトラメチチルシラン基準:5.4〜6.0ppm)とエトキシ基のメチレンプロトン(−OCH2−)のピーク比から求めた。
【0064】
次に、この重合体30gをトルエン300mlに溶かし、水素化触媒[P(C6H5)33HCl(CO)Ruを3.0ミリモルを添加し、150℃、水素圧7.0MPaで4時間、水素化反応を行い、水素化された重合体を得た。得られた水素化された重合体溶液に乳酸30ミリモルを含むメタノール/水(50/50容量比)100mlを添加し、攪拌・静置分離する重合体溶液から脱触媒を行うための操作を3度、行なった。最後に、水100mlを添加して、重合体溶液から微量の乳酸を除去した。重合体溶液に重合体100重量部当たり、1重量部の酸化防止剤のペンタエリスリチル−テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加した後、多量のメタノール中に入れ、重合体を凝固した。重合体は80℃、17時間、乾燥した。水素化されたこの重合体を重合体Aとする。重合体Aの分子量はゲルパーミエ−ション・クロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算分子量で数平均分子量は75,000、重量平均分子量は188,000であった。重合体Aの水素化率は270MHzの1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)から−CH3基プロトン(3.3〜3.8ppm)および−Si(OCH2CH3)3基のCH2プロトンに対する不飽和結合−CH=CH−プロトン(5.4〜6.0ppm)のピーク比から求めた。重合体Aの水素化率は99.6%であった。
【0065】
2.重合体Bの合成
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、200ミリモル使用し、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンを用いないこと以外、重合体Aの合成と同様に行った。水素化重合体の数平均分子量は76,000、重量平均分子量は185,000であった。また、重合体の水素化率は99.7%であった。
【0066】
3.重合体Cの合成
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンの代わりに8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを用いる以外、重合体Aの合成と同様に行った。単量体の重合体への転化率は98%であった。この重合体の270MHz 1H−NMR測定で主鎖の不飽和二重結合(−CH=CH−)のプロトンと−Si(OCH2CH3)3基のプロトンから5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンに由来する構造単位の割合を求めた。この割合は重合体中、4.5モル%であった。水素化反応の溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを用いる以外、重合体Aの合成と同様に行い、水素化された重合体Cを得た。重合体Cの水素化率は99.7%であった。また、GPCから数平均分子量は79,000、重量平均分子量は198,000であった。
【0067】
4.重合体Dの合成
単量体の8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン190ミリモルの代わりに8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン170ミリモル、2−ノルボルネン20ミリモルを用いる以外、重合体Aと同様に行い、重合体Dを得た。重合体Dの数平均分子量は80,500、重量平均分子量は208,000であった。重合体Dの水素化率は99.7%であった。また重合体Dの5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンに由来する構造単位の割合は4.7モル%、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.012,5.17,10]−3−ドデセンに由来する構造単位の割合は85モル%であった。
【0068】
比較例1
重合体Aを5gを用いて、固形分20重量%のトルエン溶液を作製した。この重合体溶液を用いて、厚さ約100μmのフィルムA−1(縦10cm×横10cm)を作製した。各種の評価結果を表1に示す。
【0069】
実施例1
重合体Aを5g、さらに亜リン酸トリブチル0.025gを含む固形分20重量%の重合体溶液を作製し、キャストして、厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムを140℃の水蒸気に3時間曝し、架橋を行った。十分、乾燥したフィルムを用いて、評価を行った。このフィルムをフィルムA−2とする。評価結果を表1に示す。
【0070】
実施例2
重合体A5g、テトラエトキシシラン1g、スズジオクトエート0.0005g、および亜リン酸トリブチル0.025gをトルエンに溶解し、固形分20重量%の重合体溶液を作製した。この溶液を2日間、室温で放置した後、キャストして厚さ100μmのフィルムを作製した。このフィルムをさらに140℃、3時間、水蒸気で加熱処理し、その後、十分乾燥して、評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
実施例3
重合体Aを5gとトルエン/キシレン(50/50重量比)の混合溶媒に分散されたコロイダルシリカ分散液(シリカ:30重量%)を重合体A100重量部当たり、5重量部、さらに亜リン酸トリエチルとオクタン酸スズ(II)をそれぞれ、重合体A 100重量部当たり、0.5重量部、0.01重量部を添加して、トルエンで調製して、固形分20重量%のトルエン溶液を作製した。この溶液を2日間、室温で放置した後、キャストして、厚さ約100μmのフィルムを作製した。さらに、140℃の水蒸気に3時間曝し、架橋を行った。このフィルムを乾燥して、評価を行った(フィルムA−4)。結果を表1に示す。
【0072】
比較例2
比較例1と同様に重合体Bを用いて、架橋してないフィルムB−1を作製した。評価結果を表1に示す。
【0073】
比較例3
重合体Bを用いる以外、実施例1と同様にして、亜リン酸トリブチルで加水分解・架橋反応を試みたフィルムB−2を作製した。しかし、架橋はかからなかった。評価結果を表1に示す。
【0074】
比較例4
重合体Bを用いる以外、実施例2と同様にして、テトラエトキシシランを配合し、亜リン酸トリブチル、スズジオクトエートを添加し、加水分解・架橋反応を試みた約厚さ100μmのキャストフィルムB−3を得た。フィルムB−3は架橋がかからず、白濁した。これらの評価結果を表1に示す。
【0075】
比較例5
重合体Cを添加物なしで、シクロヘキサン溶液でキャストして、厚さ約100μmのフィルムC−1を得た。評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例4
重合体Cを5g、さらに亜リン酸トリブチル0.025gを含む固形分20重量%のシクロヘキサン重合体溶液を作製し、キャストして、厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムを140℃の水蒸気に3時間曝し、架橋を行った。十分、乾燥したフィルムを用いて、評価を行った。このフィルムをフィルムC−2とする。評価結果を表1に示す。
【0077】
実施例5
重合体C、5g、テトラエトキシシラン1g、スズジオクトエート0.0005g、および亜リン酸トリブチル0.025gをシクロヘキサンに溶解し、固形分20重量%の重合体溶液を作製した。この溶液を2日間、室温で放置した後、キャストして厚さ100μmのフィルムを作製した。このフィルムを120℃、5時間、水蒸気で加熱処理した。十分乾燥して、評価を行った。このフィルムをフィルムC−3とする。これらの評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例6
重合体Dを5g、亜リン酸ジブチル0.025gを含む固形分20重量%のトルエン溶液を用いてキャストし、厚さ約100μmのフィルムを作成した。このフィルムを110℃の水蒸気に2時間曝し、架橋を行った。このフィルムを乾燥してフィルムD−2を得た。評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例7
重合体Dを5g、テトラエトキシシラン1g、スズジオクトエート0.0005g、および亜リン酸トリブチル0.025gをトルエンに溶解し、固形分20重量%のトルエン溶液を作成した。この溶液を室温で2日間放置後、キャストして厚さ約100μmのフィルムを作成した。このフィルムを110℃の水蒸気に2時間曝し、架橋を行った。このフィルムを乾燥してフィルムD−3を得た。評価結果を表1に示す。
【0080】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される繰り返し単位(a)と下記一般式(2)で示される繰り返し単位(b)を含む数平均分子量が5,000〜1,000,000である水素化された環状オレフィン開環共重合体がシロキサン結合で加熱により架橋され、25℃のトルエンまたはシクロヘキサンで測定される膨潤度が500%以下の架橋体。
【化1】

[式(1)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および
−(CR12fSi(OR3g4(3-g)
−(CR12fSi(R56)OSi(OR)g4(3-g)
−C(O)O(CHSi(OR3(3−a)

で表される反応性シリル基または加水分解・縮合残基で、A1〜A4の少なくとも一つは反応性シリル基および/または加水分解・縮合残基を含む。ここで、Yは−CH2−または−O−を示す。また、Xは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールから選ばれたジオールの残基を示す。また、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、R1,R2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基から選ばれた炭化水素基を示す。R4はハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基から選ばれた置換基、R5,R6は炭素数1〜20のアルキル基、アリ−ル基、から選ばれた置換基、fは0〜5の整数、gは1〜3の整数、mは0または1を示す。]
【化2】

[式(2)中、B1,B2,B3,B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CH2hXで表される極性基を示す。ここで、Xは−C(O)OR7、−OC(O)R7、−CN、−C(O)N(R82であり、R7は炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリ−ル基、シクロアルキル基およびこれらのハロゲン置換基、R8は水素原子、炭素数1−20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、hは0〜5の整数を示す。また、B1〜B4にはB1とB2またはB3とB4で形成されるアルキデニル基、スピロ型酸無水物基、スピロ型イミド基、B1とB4,B1とB3またはB2とB4で形成されるシクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、酸無水物基、イミド基も含まれる。pは0から2の整数を示す。]
【請求項2】
水素化された環状オレフィン開環共重合体中の繰り返し単位(a)割合が0.5〜30モル%である請求項1記載の架橋体。
【請求項3】
さらに、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物およびこれらアルコキシシラン化合物の縮合体の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する請求項1または2に記載の架橋体。
【請求項4】
さらに、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよびチタニアの群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物を含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の架橋体。
【請求項5】
請求項1または2記載の水素化された環状オレフィン開環共重合体と、50℃以上に加熱することにより酸として作用する化合物とを含むことを特徴とする架橋用組成物。
【請求項6】
請求項1または2記載の水素化された環状オレフィン開環共重合体と、水または水蒸気の存在下で50℃以上に加熱することで加水分解して酸として作用する化合物とを含むことを特徴とする架橋用組成物。
【請求項7】
さらに、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物およびこれらアルコキシシラン化合物の縮合体の群から選ばれた少なくとも1種の化合物が配合された請求項5または6に記載の架橋用組成物。
【請求項8】
さらに、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよびチタニアの群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物が配合された請求項5〜7いずれか1項に記載の架橋用組成物。
【請求項9】
架橋された成形体の形態がシートまたはフィルムである請求項1〜4いずれか1項に記載の架橋体。

【公開番号】特開2011−26623(P2011−26623A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252994(P2010−252994)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【分割の表示】特願2001−277845(P2001−277845)の分割
【原出願日】平成13年9月13日(2001.9.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】