説明

架橋可能成形組成物

架橋可能成形組成物は、(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、(ii)イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分との反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分を含み、エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つが、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される。この成形組成物は、特に強化及び熱硬化に適している。該成形組成物から導かれた架橋樹脂例が、多くの場合260℃超えの高い熱変形温度を達成できることが示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に熱硬化性樹脂組成物及び該組成物から導かれた硬化樹脂に関する。特に、本発明は、成形で使用するための官能化イソシアナート単量体に基づいた熱硬化性樹脂組成物に関する。本発明は、積層品などの造形品の製造で使用するための強化用成形組成物、及び該樹脂及び造形品の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル共重合法で硬化可能な熱硬化性樹脂は周知である。該樹脂の例は、不飽和ポリエステル樹脂及びいわゆるビニルエステル樹脂である。両ケースでは、フマラート及びメタクリラート等のエチレン性不飽和基を含む重合体が、スチレン等の共重合可能単量体に溶解している。このような樹脂は標準状態下で液体であるが、有機ペルオキシド開始剤などのフリーラジカル源で処理すると、急速に架橋して硬い熱硬化プラスチック塊を形成するだろう。該プロセスは、例えば、接着剤及び造形品の製造で利用される。
造形品の製造のための成形プロセスで使われる熱硬化プラスチックの重要な特性は、その熱変形温度(heat deflection temperature)(「加熱たわみ温度(heat distortion temperature)」と呼ばれることもあり、多くの場合、当業者は「HDT」と略記する)であり、架橋樹脂の高温での剛性の尺度である。
HDTは、ある樹脂組成物が特定用途に適しているために実証されなければならない様々な機械的、熱的及び化学的な材料特性の1つである。
樹脂を構成している重合体と共重合可能単量体のどちらか又は両方のエチレン性不飽和基の数を増やすことによってHDTを高め、完成品に高い架橋密度を与えることができる。しかしながら、より高い架橋密度は完成品を脆弱にもするので、その機械的性能が損なわれる。特に、高い架橋密度の樹脂製の物品は引張り破壊又は曲げ破壊に対して低歪みを示すので、強度が低い。
その結果として、完成品が高温(例えば200℃超え)及び相当の機械的応力にさらされる多くの用途に熱硬化プラスチックの使用を拡大することは、一方では、伝統的な熱硬化性樹脂によってもたらされる低い熱変形温度のため、他方では、高いHDTを得るため高架橋密度を与えるように設計された樹脂の使用に起因する劣った機械的特性のため、困難なことが分かっている。
さらに、このような硬化性樹脂を繊維などの強化成分と併用する場合の機械的特性を予測するのは難しい。例えば、望ましいHDTを有する樹脂は、強化されると、造形品(特に当該物品がかなりの負荷にさらされる場合)を形成するのに役立たせるには不十分な引張り強さ及び曲げ強さを有し得る。
【0003】
該製品にはよくあることだが、フリーラジカル共重合プロセスで硬化可能であり、かつ良い機械的特性を有する強化品を製造するために使用できる、HDTが200℃より高い熱硬化性樹脂が当該技術分野で要望されている。特に、金属などの伝統的材料の代用品としてそれらを使用できるようにする範囲の望ましい引張り特性及び曲げ特性(特に、引張り強さ、曲げ強さ、破壊モジュラス、破壊ひずみ)を示す熱硬化性樹脂が要望されている。
252℃までのHDTを有し、かつ硬化積層品に加工するときに許容できる引張り特性及び曲げ特性を有する熱硬化性樹脂は、特許出願PCT/GB2008/001120に開示されている。これらの樹脂のHDTは、多くの高温用途で使われる物品の製造にこれらの樹脂を役立つようにする。該樹脂の最大HDTを得るためには、硬化樹脂を最大HDTに近い後硬化温度にさらさなければならない。
いくつかの用途では、一例として航空宇宙用途では、300℃に近いか、又は300℃を超えさえするHDTが望ましい。しかし、得られるHDTは、造形品をさらすことができる後硬化温度によって制限され得る。
この類の極端に高い耐熱性を有し、かつ航空宇宙産業に適している代替熱硬化性樹脂が知られている。該樹脂の例は、ポリシアナート樹脂及びポリイミド樹脂、例えばYLA Inc., of Benicia, California, USAから入手可能な当該樹脂である。しかし、これらの樹脂は、それらの最大の耐熱性を得るために300℃を超える温度で硬化する必要があり、この硬化プロセスは標準大気圧よりかなり高い圧力をも必要とする。例えば、ポリシアナート樹脂RS-9は、典型的に100psi(689kPa)までの圧力及び398°F(193℃)の後、600°F(315.5℃)の後硬化温度を必要とする。硬化製品は700°F(371℃)のガラス転移温度を有する。
従って、標準の周囲圧力で硬化でき、かつ、まず第一に、約260℃以上、特に約290℃以上のオーダーの熱変形温度(HDT)を達成でき、さらに繊維強化積層品などの物品で許容できる機械的特性(引張り強さ、曲げ強さ等)を保持する熱硬化性樹脂を提供できれば技術的に有利であろう。HDT自体より有意に低い後硬化温度にさらしてこのような高いHDTを達成できる熱硬化性樹脂を提供することも望ましいだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(発明の概要)
驚くべきことに、本発明者らは、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和官能化イソシアナート生成物と、少なくとも2、適切には少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体とから導かれた官能化イソシアナート樹脂が、たった200℃の温度での後硬化後に、260℃超え、多くの場合290℃超えの熱変形温度を達成できることを見い出した。該樹脂は、成形用に特に適しており、かつ強化されると、良い特性、例えば引張り特性及び曲げ特性を獲得する。
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、各イソシアナート単量体上に複数の、特に少なくとも6つのエチレン性不飽和基を備えることが、架橋剤と反応するのみならず、他の同様に官能化されたイソシアナートとも反応して官能化イソシアナートの網目構造を形成する、官能化イソシアナート単量体を生じさせると考える。結果として生じた架橋樹脂は、高いHDTを有するのみならず、特に強化に適しており、強化されると、優れた引張り特性及び曲げ特性を示す。
また、後述するように、このような官能化イソシアナート組成物の例は、架橋されると、少なくとも260℃の高いHDTを有し、かつ強化されると、優れた引張り特性及び曲げ特性を示す造形品の製造用に非常に適している。
本発明は、架橋可能成形組成物、該組成物で用いる官能化イソシアナート生成物、該組成物を含むキット及び該組成物製の架橋樹脂に関する。
さらに、本発明は、このような組成物、樹脂及び物品の製造方法、並びに当該方法における該組成物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一態様では、
下記成分:
(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
を含んでなり、
エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つが、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される、架橋可能成形組成物を提供する。
該組成物は、後述するように、典型的に開始剤の添加によって架橋することができる。
本成形組成物は、発明者らが、200℃で硬化したときに260℃以上、特に280℃以上という高いHDTを示すと共に優れた引張り特性及び曲げ特性を示す樹脂の単量体として特に有効であることを見い出したエチレン性不飽和官能化イソシアナート生成物を含む。従って、有利なことに、本成形組成物は、硬化温度より少なくとも60℃高い、適切には少なくとも80℃高いHDTを示し得る。
特定分類の官能化イソシアナートと架橋性単量体の組合せである本成形組成物は、成形及び強化用の既知の樹脂、すなわち高いHDTを脆性樹脂、すなわち不十分な引張り特性及び曲げ特性という代償でしか達成できない樹脂に伴う欠点を軽減することができる。本架橋可能組成物は、特に造形品の形成用、特に金属などの伝統的材料の代用品として使うのに適している。
【0006】
官能化イソシアナート生成物が少なくとも6、さらに好ましくは6より多くのエチレン性不飽和基、適切には8以上の該不飽和基を有するように、イソシアナート成分(i)及びエチレン性不飽和成分(ii)を選択することができる。
イソシアナート成分(i)は少なくとも2のイソシアナート官能性を有する必要がある。官能性は、分子毎のイソシアナート基(-NCO)の数を意味し、すなわち純粋なジイソシアナートの官能性は2である。種々の型の変性ジイソシアナート及びポリイソシアナートが市販されている。
ポリイソシアナートを発生させるための反応例は、ホモオリゴマー化反応、例えば三量化(特にイソシアヌラート形成)、二量化(ウレチドン形成)及びビウレット形成(ジイソシアナートの尿素と過剰のジイソシアナートの反応)である。
市販のポリイソシアナート製品は、種々の異性体及びオリゴマーの混合物を含むことが多い。このような場合、分子のブレンドの数平均官能性を決定する;これは混合物の重要な特徴であり、製造業者は彼らの市販製品を命名するために使用する。
従って、平均イソシアナート官能性は必ずしも整数ではない。例えば、本質的にウレチドン二量体残基及びイソシアヌラート三量体残基から成る混合物は、残基の相対量に応じて、2〜3の平均イソシアナート官能性を有するだろう。それにもかかわらず、2、3又は4つのイソシアナート基を有するイソシアナート及びその混合物が本発明で使うのに適し得る。
【0007】
以下、用語「イソシアナート官能性」を用いて、この分野の慣例により、分子のブレンドに適用する場合は「平均イソシアナート官能性」をも意味する。
広い分類の市販ジイソシアナートとして、脂肪族アルキレジイソシアナート{例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,4-テトラメチレンジイソシアナート及び1,12-ドデカンジイソシアナート等}、脂環式ジイソシアナート{例えば1,3-及び1,4-シクロヘキサンジイソシアナート並びにイソホロンジイソシアナート(IPDI)及び水素化芳香族ジイソシアナート、例えば水素化ジフェニルメタンジイソシアナート(hMDI)、水素化トルエンジイソシアナート(hTDI)、水素化テトラメチルキシリレンジイソシアナート(hTMXDI)及び水素化ポリメチレンポリフェニルジイソシアナート(hPAPI)等が挙げられる}及び芳香族ジイソシアナート{例えば2,4-及び2,6-トルエンジイソシアナート(TDI)並びに2,2'-、2,4'-及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート等}が挙げられる。
また、上述したように、このようなジイソシアナートの変性型も利用可能であり、二量体、三量体、ウレチドン変性、尿素変性、ウレタン変性及びアロファナート変性ジイソシアナートが挙げられる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、イソシアナート成分(i)は非芳香族イソシアナートである。
好ましくはイソシアナート成分(i)は、脂肪族アルキレンイソシアナート及び/又は環式脂肪族イソシアナート(水素化芳香族イソシアナートを含め)の少なくとも1つに由来する。この点で、成分(i)はイソシアナートの混合物で構成され得る。
驚くべきことに、本発明者らは、選ばれたイソシアナートの分類に基づいてイソシアナート官能性を選択した場合に(架橋樹脂について観察される高いHDTと共に強化された場合の架橋樹脂について優れた機械的特性を併せ持つという点で)、特に改善された結果が得られることをも見い出した。
理論に拘束されることを望むものではないが、イソシアナート成分(i)が少なくともいくつかの環式二量体及び三量体残基を含むと、このことが、結果として生じた官能化イソシアナート生成物(1)の鎖剛性を高め、架橋樹脂のHDT上昇にも寄与すると考えられる。
従って、本発明の実施形態によれば、好ましくはイソシアナート成分(i)は、下記式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のイソシアヌラート三量体残基を含む。好ましくはイソシアナートは、R1が脂肪族アルキレン基(特にアルキレン基内に4〜12個の炭素原子を有する)及び脂環式基から選択される、式(I)のイソシアヌラート三量体残基を含む。
特に好ましい実施形態では、R1が脂環式基、例えばイソホロン基である。適切には、特にイソシアナート成分が、R1が脂環式アルキレン基である式(I)の三量体残基を含む場合、該イソシアナート成分は、2〜4、特に3〜4のイソシアナート官能性を有するように選択される。
第一の好ましい群の実施形態では、イソシアナート成分は、R1がイソホロン基であり、かつ該イソシアナートが3〜4の官能性を有する、式(I)の三量体残基を含む。
さらなる実施形態では、イソシアナート成分(i)は、下記式(II):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R3は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のイミノオキサジアジンジオン三量体残基を含む。
適切なイソシアナート成分(i)は、必要に応じて三量体残基(I)及び/又は(II)に加えて、下記式(III):
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、R5は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のウレチドン二量体残基を含んでもよい。好ましくは、R5は、C4〜C12アルキレン基及び脂環式基から選択される。イソシアナートが脂肪族アルキレンジイソシアナートに由来する場合、イソシアナート成分(i)が式(III)のウレチドン二量体残基を含むことが特に好ましい。
本発明の第二の好ましい群の実施形態では、イソシアナート成分(i)が、アルキレン鎖内に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアナートに由来し、ひいてはR5がC4〜C12アルキレン基である式(III)の二量体残基を含む。この群の実施形態では、好ましくはイソシアナートが2〜3.5のイソシアナート官能性を有する。
該実施形態では、イソシアナート成分(i)が3未満の官能性を有すると都合がよい。これは、式(III)の環式二量体残基は、特にイソシアナートが脂肪族アルキレンジイソシアナートに由来する場合、ビウレット(buiret)又はおそらくより高次のオリゴマーに比べて高い鎖剛性をもたらし得ると考えられるので望ましい。
この群の実施形態では、好ましくはイソシアナート成分(i)がヘキサメチレンジイソシアナートに由来し、かつイソシアナート官能性が2より高く、3.5未満である。
【0015】
イソシアナート成分が、いわゆる「連鎖伸長(chain extended)」イソシアナートを含んでよい。連鎖伸長イソシアナートは、ジイソシアナート又はさらに高次のイソシアナート(X)と「エクステンダー(extender)」分子(Y)の反応から形成されるイソシアナートであり、エクステンダー分子は、イソシアナート基と反応して、X-Y-X型のイソシアナート終結分子を形成する2つ以上の官能基を含む。
イソシアナート(X)とエクステンダー分子(Y)の相対量を調節することによって、大きいか又は小さい連鎖伸長度、すなわちX-(Y-X)n中のnの高いか又は低い値を得ることができる。適切には、nは1〜5の範囲である。n=1だと特に好ましい。
従って、適切には、ジイソシアナート又はさらに高次のイソシアナート(X)が超過して、適切には、イソシアナート(X)及びエクステンダー分子(Y)のモルに基づいて少なくとも2:1超過してエクステンダー分子(Y)と反応する。
適切には、ジイソシアナート又はさらに高次のイソシアナート(X)は、本明細書で論じるイソシアナートから選択される。
好ましくは、エクステンダー分子は、ジオールである(すなわちイソシアナートと反応する官能基がヒドロキシルである)。ジオールは単純なジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等であってよい。或いは、ジオールがエーテルジオール(例えばジエチレングリコール又はジプロピレングリコール)、ポリエーテルジオール(例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール)、ポリカプロラクトンジオール又はポリエステルジオールであってよい。好ましいジオールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。特に好ましいジオールはエチレングリコール及びポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールの場合、好ましくはMwが1000未満、さらに好ましくは500未満、なおさらに好ましくは300未満である。150〜250の範囲のMwが特に好ましい。
【0016】
イソシアナート成分(i)は、該イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分(ii)との反応を受ける。
好ましくは、エチレン性不飽和成分がアクリラート成分を含み、エチレン性不飽和基が(メタ)アクリラート基である。好ましいアクリラート成分については後述する。
本明細書で使用する場合、用語「(メタ)アクリラート」は、技術上周知なように、アクリラート及びメタクリラートを包含する。
適切には、イソシアナート成分とアクリラート成分の反応では(官能化イソシアナート生成物(1)を形成するため)、2つ以上のイソシアナート成分間の反応はない。例えば、適切には、ジイソシアナート間で反応して該ジイソシアナートの二量体又は三量体生成物を形成することはない。同様に、適切には、2つ以上のウレタンアクリラート生成物間の反応は、該ウレタンアクリラート生成物(1)の形成中に存在しない。
エチレン性不飽和成分に関しては、好ましくはイソシアナートのイソシアナート基と反応する官能基が、ウレタン基を形成するための反応が可能なヒドロキシル官能基である。従って、好ましくは官能化イソシアナート生成物がウレタンアクリラート生成物である。
エチレン性不飽和成分(ii)は、各イソシアナート成分(i)との反応のための1つ以上の成分を含み得る。適切にはエチレン性不飽和成分(ii)は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有する少なくとも1つの成分を含む。従って、エチレン性不飽和成分は、少なくとも2つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分を含み得る。これは、完成樹脂内での適切な架橋網目構造の形成に役立ち、かつ高いHDTのみならず、優れた引張り特性及び曲げ特性を併せ持つことに貢献する。
典型的に該アクリラート成分は、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート及びグリセロールジ(メタ)アクリラートから選択され少なくとも1つを含み得る。
【0017】
しかし、特に好ましい実施形態によれば、エチレン性不飽和成分(ii)は、3〜5つのエチレン性不飽和基を有するように選択される少なくともいくつかの成分を含む。従って、トリ(メタ)アクリラート又はさらに高次の(メタ)アクリラート、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラートを利用してよい。
好ましくは、エチレン性不飽和成分(ii)は2つ以上の成分の組合せを含む。
適切にはエチレン性不飽和成分(ii)は、
(iia)3〜5つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と、
(iib)1又は2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の組合せを含む。さらに好ましくは、エチレン性不飽和成分(ii)は、
(iia)3〜5つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分と、
(iib)1、又は必要に応じて2つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分と
の組合せを含む。
アクリラート成分がモノ(メタ)アクリラート基を含む場合、好ましくはアクリラート成分はモノヒドロキシモノ(メタ)アクリラートを含む。特に好ましいモノ(メタ)アクリラートは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート等から選択される少なくとも1つを含む。
さらに好ましくは、エチレン性不飽和成分(ii)は、
(iia)ヒドロキシ官能性トリ(メタ)アクリラート及び/又はヒドロキシ官能性テトラ(メタ)アクリラートと、
(iib)ヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラートと
の組合せを含む。
好都合には、イソシアナート(i)との反応のために供給されるいずれの該成分(iia)対(iib)のモル比も、約80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70、さらに好ましくは60:40〜40:60、特に約55:45である。
エチレン性不飽和成分(ii)が成分の組合せを含む場合、典型的に官能化イソシアナート生成物(1)は、イソシアナート成分(i)と第1のエチレン性不飽和成分との反応後、第2のエチレン性不飽和成分との反応の生成物である。
好都合には、イソシアナート(1)との反応を受ける成分(iia)対(iib)のモル比は、80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70、特に約65:35である。
好ましくは官能化イソシアナート生成物(1)は、イソシアナート成分(i)と第1のエチレン性不飽和成分(iia)との反応後、第2のエチレン性不飽和成分(iib)との反応の生成物である。
好ましくは、エチレン性不飽和成分(ii)は、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート及びグリセロールジ(メタ)アクリラートから選択される少なくとも1つを含む。便宜上、成分(iib)として、少なくともいくらかのグリセロールジメタクリラートが特に好ましい。
最も好ましくは、エチレン性不飽和成分(ii)は、(iia)ペンタエリスリトールトリアクリラートと(iib)グリセロールジメタクリラートの組合せを含み、或いは場合によってはこの組合せから成る。
【0018】
本発明者らは、エチレン性不飽和成分(ii)の量がイソシアナート成分(i)のイソシアナート基に対して化学量論的過剰に存在すると、好ましいように、最終樹脂の特性が改善されることを見い出した。すなわち、イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する官能基の数(従って、適切にはヒドロキシル基の数)がイソシアナート基の数より多い。
特に、エチレン性不飽和成分(ii)、例えばヒドロキシアクリラート成分は、イソシアナート成分のイソシアナート基に対して、好ましくは少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%当量過剰(イソシアナート官能性を超えるヒドロキシル官能性の当量)で存在する。ヒドロキシアクリラート成分が、イソシアナート成分のイソシアナート基に対して少なくとも20%当量過剰、さらに好ましくは少なくとも35%当量過剰で存在すると、さらに良い結果を得ることができる。
官能化イソシアナート生成物(1)が、エチレン性不飽和成分(ii)を与える2つ以上の成分の組合せの反応生成物である場合、各エチレン性不飽和成分(iia)、(iib)がイソシアナート成分(i)の化学量論未満の量で存在すると、特に好ましい。しかし、好ましくはエチレン性不飽和成分(iia)と(iib)の合計量が、イソシアナート成分に比し、好ましくはイソシアナート基と反応する官能基の化学量論過剰に相当する。
【0019】
本成形組成物は、官能化イソシアナート生成物(1)に加えて、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体の形態の単量体成分(2)を含む。
好ましくは単量体成分(2)の架橋性単量体は、ジビニル又はさらに高次のビニル、アクリラート又はアリル単量体を含む。適切な架橋性単量体は、ジビニルベンゼン(DVB);アクリラート成分について上述したヒドロキシ官能性(メタ)アクリラート、例えばグリセロールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラート等;ヒドロキシル基を持たない二官能性及び多官能性(メタ)アクリラート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート等;並びに上記(メタ)アクリラートのエトキシル化型又はプロポキシル化型、例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、プロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリラート等から選択される少なくとも1つを含む。
【0020】
好都合なことに、架橋性単量体成分は、(メタ)アクリラート基を含まない少なくとも1つの単量体、例えばビニル又はアリル単量体を含む。また架橋性単量体が(メタ)アクリラート単量体を含む場合には、好都合には、ヒドロキシル基を持たない少なくとも1つの二官能性又は多官能性(メタ)アクリラート(特に上記単量体から選択される)がある。
さらに、特に架橋性単量体が(メタ)アクリラート成分を含む実施形態でも、好都合には、単量体がフリーのカルボキシル基を含まない。(カルボキシル基を有する単量体は、例えば(メタ)アクリル酸の二量体/三量体によってもたらされ得る)。
本発明の実施形態によれば、架橋性単量体成分(2)は、2つのエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの成分を含み、特にグリセロールジ(メタ)アクリラート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラートから選択される1つ以上の成分を含む。
特に好ましい実施形態では、架橋性単量体成分(2)は、必要に応じて、2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体成分に加えて、又はその代わりに、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する少なくともいくらかの単量体を含む。従って、適切には、架橋性単量体成分(2)は、8まで、好ましくは6まで、最も好ましくは4又は3つのエチレン性不飽和基を有する単量体を含む。
【0021】
従って、架橋性単量体成分(2)は、任意に、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート並びにそのエトキシル化型及びプロポキシル化型から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。
適切には化学量論的過剰のエチレン性不飽和成分(ii)によって、架橋性単量体(2)の少なくともいくらかを供給することができる。同様に、エチレン性不飽和成分(iia)及び(iib)の組合せによって供給される化学量論的過剰の場合、成分(iia)又は(iib)の過剰によって、架橋性単量体(2)の少なくともいくらかを供給することができる。該実施形態では、好ましくは過剰の成分(iib)が少なくともいくらかの架橋性単量体(2)を供給する。
特に好ましい実施形態では、グリセロールジ(メタ)アクリラートは、過剰のエチレン性不飽和成分(iib)として供給された架橋性単量体(2)として含まれる。
さらに又はこれとは別に、イソシアナート成分(i)との反応のために供給されるエチレン性不飽和成分(ii)との混合物中の成分によって、少なくともいくらかの架橋性単量体(2)を供給することができる。
【0022】
適切には、架橋性単量体に加えて、単量体成分(2)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含む反応性希釈剤単量体をも含む。該反応性希釈剤単量体は、フリーラジカル重合を利用して、官能化イソシアナート生成物と共重合させることができる。従って、該反応性希釈剤単量体は、好ましくは架橋性単量体としては使用されない。
1つのエチレン性不飽和基を含む反応性希釈剤単量体の例として、ビニル芳香族単量体、特にスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ハロゲン化スチレン及びビニルトルエンが挙げられる。例えばウレタンアクリラート生成物を形成するための反応中の粘度を下げるため、イソシアナート成分(i)及びエチレン性不飽和成分(ii)を含む反応性組成物に(すなわち反応前に)該単量体を添加することができる。
反応性希釈剤単量体系が、少なくともいくつかのビニル芳香族単量体、例えばスチレン及び/又はビニルトルエン等を含むことが特に好ましい。
適切には化学量論的過剰のエチレン性不飽和成分(ii)によって、反応性希釈剤単量体の少なくともいくらかを供給することができる。同様に、成分(iia)及び(iib)の組合せによって供給される化学量論的過剰の場合、過剰のエチレン性不飽和成分によって、反応性希釈剤単量体の少なくともいくらかを供給することができる。
適切には、単量体成分(2)は、1つより多くの単量体を含む。好ましくは単量体成分は、1つのエチレン性不飽和結合を有する少なくとも1つの反応性希釈剤単量体と、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する少なくとも1つの架橋性単量体とを含む。最も好ましくは、単量体成分(2)は、エチレン性不飽和結合を有する少なくとも1つの反応性希釈剤単量体と、2つより多くのエチレン性不飽和結合を有する少なくとも1つの架橋性単量体とを含む。特に好ましくは、単量体成分(2)は、3〜5、特に3及び/又は4つのエチレン性不飽和結合を有する少なくとも1つの架橋性単量体を含む。
好ましくは、単量体成分(2)は、ビニル芳香族反応性希釈剤単量体と、少なくとも1つのジビニルベンゼンと、架橋性単量体として選択された少なくとも2つの(メタ)アクリラート基とを含む。最も好ましくは、2つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラートに加えて又はその代替として、少なくとも3、特に少なくとも4つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラートを含めてよい。
特に好ましい組成物では、単量体成分は、少なくとも1つのトリ(メタ)アクリラート及び/又はテトラ(メタ)アクリラートと共に、ビニル芳香族希釈剤単量体及び少なくとも1つのジ(メタ)アクリラートを含む。好ましくは単量体成分(2)は、グリセロールジメタクリラート、エチレングリコールジメタクリラート及びトリプロピレングリコールジアクリラートの1つ以上のから選択されるジ(メタ)アクリラートの組合せを、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート及びペンタエリスリトールテトラアクリラートから選択される少なくとも1つのさらに高次の(メタ)アクリラートと共に含む。このような好ましい組合せは、スチレン及びビニルトルエンの1つ以上から選択される反応性希釈剤単量体と併用され得る。
【0023】
さらに一般的に、反応性希釈剤単量体と架橋性単量体の相対量については、反応性希釈剤単量体と架橋性単量体の総質量に基づいたwt%を単位として、架橋性単量体に対する反応性希釈剤単量体(化学量論過剰のアクリラート成分又はアクリラート成分の組合せによって供給されるいずれの該反応性希釈剤単量体及び/又は架橋性単量体をも含め)の比は、好ましくは10:90〜50:50の範囲内である。さらに好ましくは該比は10:90〜45:55の範囲内である。最も好ましくは該比は10:90〜40:60の範囲内である。
適切には、反応性希釈剤単量体と架橋性単量体の総質量の少なくとも5wt%、さらに好ましくは少なくとも7wt%、さらに好ましくは少なくとも9wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%が、イソシアナート基との反応のための官能基を有する全てのエチレン性不飽和成分(ii)の化学量論的過剰によって供給される。2つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分の化学量論的過剰によって、約10〜12wt%が供給されることが特に好ましい。好ましい実施形態では、成分(2)の5wt%〜15wt%が過剰のグリセロールジメタクリラートによって供給される。
同様に、官能化イソシアナート生成物(1)と単量体成分(2)(架橋性単量体及び反応性希釈剤単量体)の相対量も、架橋樹脂の引張り特性及び曲げ特性に影響を与え得る。好ましくは官能化イソシアナート生成物と単量体成分の総質量に基づいたwt%を単位として、官能化イソシアナート生成物(1)対単量体成分(2)の比は80:20〜20:80の範囲内である。さらに好ましくは該比は70:30〜30:70、さらに好ましくは65:35〜35:65、最も好ましくは60:40〜40:60の範囲内である。
好都合には、単量体成分(2)の架橋性成分に対する官能化イソシアナート生成物(1)の質量比は、80:20〜20:80、特に70:30〜30:70、適切には65:35〜35:65、最も好ましくは60:40〜40:60の範囲内である。
【0024】
官能化イソシアナート生成物を与えるための反応では、適切にはイソシアナート成分(i)とエチレン性不飽和成分(ii)を50〜100℃、さらに好ましくは70〜90℃の範囲の温度で反応させる。最も適切にはイソシアナート成分とエチレン性不飽和成分を80〜85℃の範囲の温度で反応させる。
好ましくはイソシアナート含量が1%未満、好ましくは0.5%未満、好都合には0.1〜0.3%(実施例に関連して後述する方法に従って測定した場合)になるまで、イソシアナート成分(i)とエチレン性不飽和成分(ii)の間の反応を続ける。
適切には、このプロセスは、官能化イソシアナート生成物(1)を与えるためのエチレン性不飽和成分(ii)とイソシアナート成分(i)の間の反応を触媒するための触媒を添加する工程を含む。
好ましい触媒は金属塩、さらに好ましくは金属カルボン酸塩である。錫触媒、ジブチル錫ジラウラートが好ましい。
【0025】
本発明の特に好ましい実施形態は、成形に適した架橋可能組成物であって、下記成分:
(1)(i)2、3又は4つのイソシアナート基を有し、かつヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートの少なくとも1つに由来するイソシアナート成分と、
(ii)ヒドロキシ官能性トリ(メタ)アクリラート及び必要に応じて化学量論より少ない量のヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラートと
の反応生成物であるウレタンアクリラート生成物;及び
(2)ビニル芳香族希釈剤単量体と、ジ(メタ)アクリラート及び/又はトリ(メタ)アクリラート及び/又はテトラ(メタ)アクリラートから選択される1つ以上の架橋性単量体とを含む単量体成分
を含んでなる架橋可能組成物に関する。
特定の実施形態例は、成形に適した架橋可能組成物であって、下記成分:
(1)(i)2、3又は4つのイソシアナート基を有し、かつヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートの少なくとも1つに由来するイソシアナート成分と、
(ii)ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラートの少なくとも1つ
との反応生成物であるウレタンアクリラート生成物;及び
(2)ビニル芳香族反応性希釈剤単量体と、ジ(メタ)アクリラート(特にグリセロールジメタクリラート及びエチレングリコールジメタクリラート)、トリ(メタ)アクリラート(特にトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート)及びテトラ(メタ)アクリラート(特にペンタエリスリトールテトラアクリラート)から選択される1つ以上を含む架橋性単量体とを含む単量体成分
を含んでなる架橋可能組成物に関する。
【0026】
さらに、本発明は、下記成分:
(1)(i)2、3又は4つのイソシアナート基を有するイソシアナート成分と、
(ii)ヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラート又はさらに高次の(メタ)アクリラート
との反応生成物であるウレタンアクリラート生成物;及び
(2)反応性希釈剤単量体と、ジ(メタ)アクリラート又はさらに高次の(メタ)アクリラートである架橋性単量体とを含む単量体成分
を含んでなる架橋可能組成物であって、
該組成物が、硬化したとき、下記特性:
(a)少なくとも260℃、特に少なくとも280℃のHDT;及び/又は
(b)200℃以下で硬化したとき、その硬化温度より少なくとも60℃高いHDT
の1つ以上を示す、架橋可能組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらなる態様は、本発明の第一態様でもたらされる該官能化イソシアナート生成物(1)の提供に関する。本発明の第一態様に関して述べた特徴は、この態様にも当てはまる。
本発明のこの態様の実施形態は、
(1)(i)2、3又は4つのイソシアナート基を有し、かつヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートの少なくとも1つに由来するイソシアナート成分と、
(ii)イソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である官能化イソシアナート生成物に関する。
好ましい実施形態は、
(1)(i)2、3又は4つのイソシアナート基を有し、かつヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートの少なくとも1つに由来するイソシアナート成分と、
(ii)必要に応じて化学量論より少ない量のヒドロキシジ(メタ)アクリラートと組み合わせた、ヒドロキシ官能性トリ(メタ)アクリラート又はさらに高次の(メタ)アクリラート、特に少なくとも1つのペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラートと
の反応生成物である官能化イソシアナート生成物に関する。
【0028】
本発明の実施形態の特に好ましい官能化イソシアナートは、イソホロンジイソシアナートの三量体と、ヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラート及びトリ(メタ)アクリラート、特にペンタエリスリトールトリアクリラート及びグリセロールジメタクリラートの組合せとの反応生成物に基づいたものである。
さらなる好ましい実施形態は、2〜3のイソシアナート官能性を有するウレチドン変性1,6-ジイソシアナトヘキサンと、ヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラート及びトリ(メタ)アクリラート、特にペンタエリスリトールトリアクリラート及びグリセロールジメタクリラートの組合せとの反応生成物に基づいた官能化イソシアナートを提供する。
適切には、成形組成物は、官能化イソシアナート生成物の架橋を開始するための開始剤を用いて架橋を受ける。従って、開始剤はフリーラジカル開始剤であり、すなわち開始剤は、フリーラジカル重合を開始するためのフリーラジカル源を供給する。適切な開始剤は、UV活性化を必要とするものよりはむしろ熱硬化(周囲温度であっても高温であっても)のために提供される当該開始剤である。
好ましくは開始剤は、ペルオキシド、金属塩及びアミンから選択される少なくとも1つを含む。最も好ましくは開始剤は液状である。
室温硬化に適した開始剤には、ジベンゾイルペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド並びに媒体及び高反応性MEKPとして既知の他のメチルエチルケトンペルオキシドがある。高温での硬化のため、開始剤例としてジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ペルエステル及びペルケタールが挙げられる。
好ましくはペルオキシドは、メチルエチルケトンペルオキシド、t-ブチルペルベンゾアート(例えば、Akzo NobelからTrigonox Cとして入手可能)から選択される。
さらに、ベンゾイルペルオキシド又はシクロヘキサノンペルオキシドをジメチル又はジエチルアニリン等のアミン促進剤と併用することができる。
好ましくは金属塩はコバルトオクトアートである。
好ましくは開始剤は、メチルエチルケトンペルオキシドとコバルトオクトアートを両方とも含む。
【0029】
上述したように、本発明の成形組成物は、実施例セクションで述べるプロトコルに従って測定した場合、少なくとも260℃のHDTを有する架橋組成物を提供することができる。さらに好ましくは、本発明の成形組成物は、少なくとも265℃、最も好ましくは少なくとも270℃、特に少なくとも280℃のHDTを有する。
本発明のさらなる態様は、本発明の第一態様の成形組成物から導かれ、かつ200℃で硬化したとき、少なくとも260℃、好ましくは少なくとも280℃のHDTを示す架橋樹脂に関する。
本発明のなおさらなる態様は、硬化温度より少なくとも60℃、さらに好ましくは少なくとも70℃、特に80℃高いHDTを示す、本発明の第一態様の成形組成物から導かれた架橋樹脂に関する。
【0030】
該架橋樹脂は特に、強化に適し、かつ成形プロセスで使うのに適している。
従って、本発明の実施形態は、本発明の第一態様に従い、かつさらに(3)強化成分を含む架橋可能成形組成物に関する。
強化成分は、好ましくは繊維又は他の細長い材料、例えばストランド、リボン、ワイヤー、ウィスカー又はチューブを含む。
好ましくは繊維又は他の細長い材料は、無機材料で構成される。適切な無機繊維の例として、ガラス繊維及びホウ素繊維が挙げられる。
これとは別に又はこれに加えて、有機繊維、例えば炭素繊維及びKevlar(時にはアラミドとして知られる)繊維を使用することができる。
セルロース系繊維などの天然繊維も適しており、麻繊維、サイザル麻繊維、ジュート繊維、ケナフ繊維及び紙繊維が挙げられる。
好ましくは繊維はチョップド(chopped)繊維である。好ましくは繊維は不織繊維、例えば不織マットである。
いわゆるウィスカーの例として、グラファイトウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素などが挙げられる。
適切なワイヤーとして、特に高強度スチールワイヤー及びタングステンワイヤーが挙げられる。
カーボンナノチューブは、チューブ形の好ましい強化成分である。
しかし、強化成分は、他の形であってもよい。例えば、ガラスフレークとしてガラスを組み入れることもできる。粒状フィラーを強化成分として用いてもよく、例として、粘土粒子並びにナノスケール粒子、例えばナノシリカ、ナノチタニア及びナノシルバーが挙げられる。
好ましくは強化成分が繊維を含む。
さらに好ましくは強化成分がガラス繊維、最も好ましくはチョップドストランドマットの形態のチョップドガラス繊維を含む。前記チョップドストランドマットは、エマルション結合型又は粉末結合型のどちらであってもよい。
好ましくは強化成分は、最終強化樹脂の総質量に基づいて、少なくとも10wt%以上の量で存在する。さらに好ましくは、強化成分は、少なくとも20wt%、さらに好ましくは少なくとも30wt%、最も好ましくは少なくとも35wt%の量で存在する。
特に好ましい組成物では、強化成分がガラス繊維であり、少なくとも30wt%、さらに好ましくは少なくとも35wt%の量で存在する。
【0031】
強化成分に加えて、本成形組成物がフィラー及び/又は他の通常の添加剤を含んでもよい。
好ましくは本組成物は、所望の成形プロセス前の望ましくないか又は早過ぎるフリーラジカル反応を阻止するため、抑制剤をも含む。適切な抑制剤には、キノン及び置換フェノールがある。特に好ましいキノンの例として、2-メチル-1,4-ベンゾキノン、メチルヒドロキノン、1,4-ナフタキノン、1,4-ベンゾキノン、ヒドロキノン及びその混合物が挙げられる。好ましい置換フェノールの例として、4-メトキシフェノール、4-tert-ブチル-カテコール及び4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールが挙げられる。
実際には、本発明の架橋可能成形組成物を強化成分との併用に適合させて最終使用者に供給することができる。そして最終使用者が所望の強化成分を加える。
【0032】
本発明は、本組成物を硬化/架橋させるために必要な種々の成分を含むキットにも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、下記成分:
(A)(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
(ここで、エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される);
並びに
(B)強化成分
を含んでなるキットを提供する。
適切にはキットは、さらに(C)官能化イソシアナート生成物の架橋を開始するための開始剤を含む。従って、開始剤は、フリーラジカル開始剤であり、すなわち開始剤は、フリーラジカル源を供給して、フリーラジカル重合を開始する。典型的に、使用時には開始剤(C)を(A)の官能化イソシアナート生成物(1)及び/又は単量体成分(2)と混ぜ合わせ、このようにして惹起された樹脂を強化成分と混ぜ合わせる。
キットはさらに、ここで述べたように、早過ぎるフリーラジカル反応を抑制するため、抑制剤(D)を含んでよい。この場合もやはり、一般的にこれは、官能化イソシアナート生成物(1)及び単量体成分(2)を含む成分(A)と共に含められる。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
【0033】
本発明は、架橋樹脂、すなわち上記組成物の架橋した樹脂にも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、下記成分:
(A)(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
の架橋反応生成物
(ここで、エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される);
並びに
(B)強化成分
を含んでなる架橋樹脂を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
好ましくは架橋樹脂は造形品の形態をしている。
【0034】
本発明は、複合品、特に本明細書に記載の強化組成物から作られた積層品にも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、重合材料の少なくとも1つ、必要に応じて少なくとも2つの層を含んでなる複合品であって、少なくとも1つの層が、
(A)下記成分:
(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
(ここで、エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される)
から形成される架橋官能化イソシアナート樹脂;
並びに
(B)強化成分
を含む、複合品を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
好ましくは複合品が積層品である。
好ましくは複合品の第2層の組成は、第1層とは異なる。
それにもかかわらず、好ましくは、第2層も架橋官能化イソシアナート生成物(A)を含む。適切には、第2層は強化成分を含まない。
好ましくは複合品は、少なくとも3つの層、さらに好ましくは少なくとも4つの層を含む。
各層自体が、複数の層を含んでよい。例えばガラス繊維強化層は、ガラス繊維強化樹脂の2つ以上の層を含んでよい。強化成分、例えばガラス繊維を一連の層に配置してから樹脂を架橋することによって、該配置を生じさせてよい。或いは、各層を適用してから架橋することによって、複数の層を構築してよい。
また、複合品のいずれの層も全体的に均一の組成である必要はない。例えば複合品が、強化成分に富んだ1つ以上の領域及び低レベルの強化成分を含有するか又は強化成分を含有しない1つ以上の領域を含む層を含んでよい。
複合品の好ましい実施形態は、強化成分に富んだ少なくとも1つの領域を含有する架橋官能化イソシアナート樹脂の単層を含んでよい。
【0035】
本発明は、本明細書で述べた生成物、組成物、樹脂及び複合品の製造方法にも関する。 従って、さらなる態様では、本発明は、架橋可能成形組成物の製造方法であって、以下の工程:
(I)イソシアナート成分(i)と、
エチレン性不飽和成分(ii)と
の反応から、本明細書の定義どおりの官能化イソシアナート生成物(1)を形成する工程;及び
(II)(1)反応生成物に、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分(2)を添加する工程
を含んでなる方法を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
【0036】
上述したように、単量体成分(2)は、好ましくは架橋性単量体に加えて、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤単量体を含む。
さらに、この態様では、反応性希釈剤単量体は適切にはイソシアナート成分(i)とエチレン性不飽和成分(ii)の反応混合物に添加される。換言すれば、反応性希釈剤単量体はイソシアナート成分とエチレン性不飽和成分の反応前又は反応中に組成物に添加される。
従って、本方法は、好ましくはイソシアナート成分(i)とエチレン性不飽和成分(ii)の反応混合物に、反応性希釈剤単量体を含む単量体成分を添加するさらなる工程を含む。 このような反応性希釈剤単量体は、反応混合物の粘度を下げ、それによって反応を完了へと近づけるのに役立ち得ることが分かった。さらに、特にエチレン性不飽和成分がアクリラート成分である場合、引き続き、好ましくは架橋性単量体が反応してウレタンアクリラート生成物を架橋するのと同時に、フリーラジカル重合によって、反応性希釈剤単量体をウレタンアクリラート重合体に組み入れることができる。
さらに、本方法は、イソシアナート成分(i)とエチレン性不飽和成分(ii)の反応混合物に、少なくともいくらかの架橋性単量体を添加することを含んでよい。
例えば、エチレン性不飽和成分(ii)を少なくともいくらかの架橋性単量体(2)との混合物として供給することができる。この実施形態の好ましい例は、ヒドロキシ官能性アクリラート単量体の、その後の架橋反応のため少なくともいくらかのアクリラート単量体を含む成分(ii)としての使用に関する。
適切には反応工程(I)及び(II)は、例えばスチレン(すなわち好ましくは工程(I)がスチレンを供給する工程を含む)のようなそれ自体好ましくは次に引き続く架橋工程で反応するビニル芳香族単量体の存在下で行なわれる。
【0037】
さらなる関連態様では、本発明は、本明細書の定義どおりの官能化イソシアナートの、本明細書の定義どおりの強化成分を含んでなる架橋可能成形組成物の製造方法における使用をも提供する。
従って、この態様の好ましい部分では、本発明は、本明細書の定義どおりの架橋可能成形組成物の、本明細書の定義どおりの強化成分を含んでなる架橋樹脂の製造方法における使用を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこの態様にも当てはまり得る。
上述したように、本発明の強化樹脂を作ることを望む製造業者に供給される組成物は、強化成分を含めないことがあり、その後、製造業者が強化成分を添加することができる。従って、本発明は、特に強化成分を含浸させるため、強化成分と併用できる、官能化イソシアナート生成物から導かれた架橋可能成形組成物にも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、本発明の第一態様の架橋可能成形組成物の製造方法であって、以下の工程:
(I)イソシアナート成分(i)と、
エチレン性不飽和成分(ii)と
の反応から官能化イソシアナート生成物(1)を形成する工程、及び
(II)(1)の反応生成物に、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分(2)を添加する工程
を含んでなる方法を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
【0038】
さらなる関連態様では、本発明は、本明細書の定義どおりの官能化イソシアナート生成物の、強化成分と併用し得る本明細書の定義どおりの架橋可能成形組成物の製造方法における使用をも提供する。所望の用途に応じて、強化成分を架橋可能組成物に添加してよく、或いは組成物を強化成分に添加してよい。
上述したように、エチレン性不飽和イソシアナート生成物は、好ましくはアクリラート成分、最も好ましくはアクリラート成分の混合物によってもたらされる。
従って、この態様の好ましい部分では、本発明は、本明細書の定義どおりのウレタンアクリラートの、強化成分と併用し得る本明細書の定義どおりの架橋可能ウレタンアクリラート組成物の製造方法における使用を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでも本態様にも当てはまり得る。
【0039】
本発明は、強化架橋樹脂の製造方法にも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、強化架橋樹脂の製造方法であって、下記工程:
(I)イソシアナート成分(i)と、
エチレン性不飽和成分(ii)と
の反応から官能化イソシアナート生成物(1)を形成する工程;
(II)反応生成物(1)に、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分(2)を添加する工程;
(III)強化成分を(1)及び(2)の混合物と混ぜ合わせる工程;及び
(IV)単量体成分と官能化イソシアナート生成物の間の架橋反応を引き起こす工程
を含んでなる方法を提供する。
第一態様及び本明細書の他のいずれの態様の任意及び好ましい特徴も、単独又はいずれの組合せでもこれらの態様にも当てはまり得る。
単量体成分と官能化イソシアナート生成物の間の架橋反応を引き起こす工程(IV)は、好ましくは熱硬化に有効なフリーラジカル開始剤を利用する。好ましくは本方法は、強化成分の組入れの直前に反応生成物(1)及び単量体成分(2)に開始剤を添加する工程(IIa)を含む。
好ましくは開始剤は、メチルエチルケトンペルオキシド及びコバルトオクトアートを含む。
【0040】
好ましくは本方法は、樹脂組成物を硬化させる工程(V)をさらに含む。
適切には、樹脂を硬化させる工程は、硬化段階及び後硬化段階を含む。適切には硬化段階は室温で起こる。典型的持続時間は5〜15時間である。例えば、樹脂を一晩放置して硬化させてよい。
本発明者らは、後硬化工程が、高いHDT並びに良い引張り特性及び曲げ特性を達成するのに有益であり得ることを見い出した。
適切には、後硬化段階は、樹脂組成物を60℃超え、好ましくは70℃超え、さらに好ましくは75℃超えの温度で加熱する工程を含む、好ましい温度は約80℃である。好ましくは該温度は100℃以下である。
好ましくは、このような高温での後硬化は少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間起こる。好ましい持続時間は約5時間である。
好ましくは後硬化の工程は、二段階の後硬化を含む。
第2段階の後硬化は、好ましくは100℃超え、好ましくは150℃超え、さらに好ましくは180℃超えの温度で起こる。好ましい温度は約200℃である。好ましくは該温度は300℃以下である。
第2段階の後硬化は、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間起こる。好ましい持続時間は約3時間である。
これらの温度及び持続時間のいずれの組合せも二段階後硬化工程で使用することができる。しかし、適切には第1段階の後硬化は第2段階の後硬化より低温においてである。適切には第1段階中の後硬化は、第2段階より長い時間である。
好ましい後硬化工程では、樹脂組成物を60〜100℃の温度範囲で約5時間の第1段階で後硬化させ、次に150〜300℃の温度範囲で約3時間の第2段階で後硬化させる。
特に好ましい硬化工程では、樹脂組成物を約80℃で約5時間の第1段階で硬化させ、次に約200℃で約3時間の第2段階で硬化させる。
【0041】
本発明は、官能化イソシアナート生成物及び架橋性単量体を含む「既成の」組成物を架橋する方法にも関する。
従って、さらなる関連態様では、本発明は、架橋樹脂の製造方法であって、下記工程:
(I)強化成分、及び架橋開始剤を、下記成分:
(1)イソシアナート成分(i)と、
エチレン性不飽和成分(ii)と
の反応生成物である官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋剤を含む単量体成分
を含む組成物と混ぜ合わせる工程
を含んでなる方法を提供する。
【0042】
本発明は、複合品、必要に応じて積層品の製造方法にも関する。
従って、さらなる態様では、本発明は、複合品の製造方法であって、下記工程:
(A)重合材料で構成された第1層を形成する工程、及び
(B)(1)イソシアナート成分(i)と、
エチレン性不飽和成分(ii)と
の反応生成物である官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
の架橋反応生成物から形成された架橋強化官能化イソシアナート樹脂(該樹脂は強化成分を含む)を含む第2層を形成する工程
を含んでなる方法を提供する。
好ましくは複合品が積層品である。
好ましくは第2層を第1層の上又は隣に形成する。
好ましくはウレタンアクリラート生成物、単量体成分及び強化成分を含むウレタンアクリラート組成物を適用し、かつウレタン アクリラート生成物と単量体成分の間の反応を開始することによって、第2層を形成する。
好ましくは複合品を型内で形成する。好ましくは工程(A)及び/又は(B)が、それぞれの層を型内で形成する工程を含む。
好ましくは複合品又は架橋樹脂が造形品の形態をしている。
【0043】
前述した各態様を他の態様の1つ、又はいくつか又は全てと組み合わせてよく、かつ各態様の範囲内の特徴を他の態様由来の特徴と組み合わせてよい。従って、さらなる態様では、本発明は、前記態様の1つ、又はいくつか又は全てを包含する組成物、生成物、複合品、方法又は使用を提供する。
以下、好ましい実施形態を例としてさらに詳述する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(本発明の実施形態の説明)
(材料及び方法)
Vestanat T1890/100は、Degussa GmbHから入手可能なイソホロンジイソシアナートの専売の三量体である。それは、17.3±0.3質量%のイソシアナート含量及び3〜4のNCO官能性を有する。
Desmodur N3400は、Bayer AGから入手可能な専売のウレトジオン(uretdione)変性1,6-ジイソシアナトヘキサンである。それは、21.8±0.7質量%のイソシアナート及び2.5の平均NCO官能性を有する。
SR444Dは、Sartomer Co. Inc.*から入手可能な商用グレードのペンタエリスリトールトリアクリラートである。
PETIAは、UCB S.A.*から得た、別の商用グレードのペンタエリスリトールトリアクリラートである。
*これらの両商品は、不純物としてペンタエリスリトールテトラアクリラートをも含有する。
SR368は、Sartomer Co. Inc.から入手可能な商用グレードのトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラートである。
Fascat 4202HPは、Atofinaから入手可能な専売の錫ベース反応触媒である。
Butanox LPTは、Akzo Nobelから入手可能な専売のメチルエチルケトンペルオキシドである。
Solution Qは、ジエチレングリコール中33wt%のヒドロキノン溶液である。
Accelerator Gは、Scott Bader Company Limitedから入手可能なコバルト(II)オクトアートのスチレン中の溶液であり、コバルト濃度は1.00wt%である。
Accelerator Eは、Scott Bader Company Limitedから入手可能なコバルト(II)オクトアートのスチレン中の溶液であり、コバルト濃度は0.42wt%である。
【0045】
加工中、混合物の小サンプル(0.5〜1.5g)を乾燥テトラヒドロフランに溶かし、残存イソシアナートを、測定した量のジ-n-ブチルアミンと反応させて、未反応ジ-n-ブチルアミンを0.1M塩酸で逆滴定することによって、上述した反応混合物のイソシアナート含量を決定する。
BS2782 Part 8 Method 835C (1980)に従い、機械化タイミング装置としてTechneゲルタイマーを用いて25℃で上記液状樹脂のゲル化時間を測定した。この方法では、100gの樹脂を2% Accelerator G+2% Butanox LPTで惹起し、25℃で維持しながら、Techneゲルタイマーで駆動される垂直に動くプランジャーを利用してゲル化時間を測定する。
750rpmで回転する19.5mmの円錐体が取り付けられたResearch Equipment (London) Limited製の粘度計を用いて、液状樹脂のICI円錐平板粘度を25℃で測定した。
BS EN ISO 75-2 Method A (1996)の方法に従って熱変形温度を決定した。この方法に従う試験片の調製では、液状樹脂を2%wt Accelerator G+2%wt Butanox LPTで硬化させ、硬化試験片を室温で一晩放置した後、試験結果の表内に示すように後硬化させた。
450gsmの粉末結合型チョップドストランドガラスマット(Owens Corning grade M273A)の4つの層でガラス強化積層品を調製し、再度2%wt Accelerator G+2%wt Butanox LPTで惹起した後、手で積層品をレイアップした。これらの積層品を室温で一晩放置して硬化させた後、80℃で5時間、次に200℃で3時間、後硬化させた。これらの積層品の引張り特性をBS EN ISO 527-4 (1997)の方法を用いて測定した。BS EN ISO 14125 (1998) Method Aの方法で曲げ特性を測定した。(チョップドストランドマットはいわゆる粗強化材であり、粗強化材の規格によって指示されるように、25mm幅の試験片を用いた。)EN 60 (1977)の方法を利用してガラス含量を決定した。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
還流冷却管、電動式固定撹拌機及び温度プローブを備えた2リットルの蓋付き丸底フラスコに516.09gのVestanat 1890/100、226.26gのスチレン、0.48gのFascat 4202HP並びに0.60gの1,4-ナフタキノン、0.15gの1,4-ベンゾキノン及び1.8gのSolution Qから成る抑制剤の混合物を充填した。この混合物を撹拌しながら80〜85℃の温度に加熱した後、696.94gのSartomer SR444Dの滴下添加を開始した。この添加を100分続け、この間、温度を80〜85℃に維持した。反応が発熱性なので、添加速度の変動は、一定のバッチ温度の維持を果たせる1つの手段である。この添加が完了したら、イソシアナート含量が1.45%に減少するまで、反応混合物を80〜85℃で30分間撹拌した。次に253.21gのグリセロールジメタクリラートを45分かけて滴下添加した。この場合もやはりフラスコ内の温度を80〜85℃に維持した。この添加完了後、イソシアナート含量が0.26%に減少するまで混合物を80〜85℃で撹拌した(約3時間かかった)。次にそれを40℃未満に冷却した後、306.55gのジビニルベンゼン(63%グレード)を添加した。生成物は、25℃で12.5ポアズの粘度(ICI円錐平板粘度計で測定した場合)、及び16.8分のゲル化時間を有する液状樹脂だった。
【0047】
(実施例2)
還流冷却管、電動式固定撹拌機及び温度プローブを備えた1リットルの蓋付き丸底フラスコに212.76gのDesmodur N3400、112.09gのスチレン、0.24gのFascat 4202HP並びに0.30gの1,4-ナフタキノン、0.075gの1,4-ベンゾキノン及び0.9gのSolution Qから成る抑制剤の混合物を充填した。この混合物を撹拌しながら80〜85℃の温度に加熱した後、393.75gのPETIAの滴下添加を開始した。この添加工程を70分続け、この間、温度を80℃〜85℃に維持した。この添加が完了したら、イソシアナート含量が2.00%に減少するまで、反応混合物を80〜85℃で35時間撹拌した。次に126.60gのグリセロールジメタクリラートを40分かけて滴下添加した。この場合もやはりフラスコ内の温度を80〜85℃に維持した。この添加完了後、イソシアナート含量が0.11%に減少するまで混合物を80〜85℃で撹拌した(約2時間半かかった)。次にそれを40℃未満に冷却した後、153.28gのジビニルベンゼン(63%グレード)を添加した。生成物は、25℃で6.4ポアズの粘度(ICI円錐平板粘度計で測定した場合)、及び8.3分のゲル化時間を有する液状樹脂だった。
【0048】
(比較例C1)
還流冷却管、電動式固定撹拌機及び温度プローブを備えた1リットルの蓋付き丸底フラスコに265.618gのイソホロンジイソシアナート、158.263gのスチレン並びに0.3gの1,4-ナフタキノン、0.075gの1,4-ベンゾキノン及び0.9gのSolution Qから成る抑制剤の混合物を充填した。この混合物を撹拌しながら80〜85℃の温度に加熱した。次に0.24gのFascat 4202HPを添加した後、284.762gの2-ヒドロキシエチルアクリラートの滴下添加を開始した。この添加工程を35分続け、この間、温度を80〜85℃に維持した。添加が完了したら、イソシアナート含量が0.07%に減少するまで、反応混合物を80〜85℃で撹拌した(約3時間かかった)。次にそれを40℃未満に冷却した後、137.806gのグリセロールジメタクリラート及び152.036gのジビニルベンゼン(63%グレード)を添加した。
生成物の液状樹脂は、25℃で0.7ポアズの粘度、及び27.3分のゲル化時間を有した。
【0049】
(比較例C2)
これは、Scott Bader Company Limitedから商業的に入手可能なイソフタル酸ポリエステル積層樹脂、Crystic PD7952PAである。
「材料及び方法」で前述したように、熱変形温度の測定用試験片を調製した。2回の各後硬化サイクルの後にHDTを測定した。後硬化Aでは、室温で一晩試験片を放置してから、オーブン内で5時間80℃、次いでさらに3時間200℃にさらした。後硬化Bは、80℃で5時間後、この場合は200℃ではなく250℃で3時間であること以外は同様だった。結果として生じたHDTを下表Iに示す。
【0050】

表I
【0051】
実施例1の場合、各後硬化サイクルを利用して調製した試験片のHDTは、測定機器の上限を超えた。悲しいことに、出願人は、この290℃という上限を超えるHDTを測定できる試験装置を知らない。たとえそうでも、表は、実施例1及び2(本発明に従う)が、200℃の後硬化の後に、比較例のHDTをずっと有意に超えるHDTを達成することを明白に示している。
「材料及び方法」で前述した手順に従ってガラス強化積層品を調製した。「材料及び方法」で言及した標準的方法を利用して、それらの引張り特性及び曲げ特性を評価した。これらを下表IIに示す。
【0052】

表II
【0053】
結果は、公知技術の比較材料の機械的特性に加えて、より高いHDTを達成しても本発明の実施例の機械的特性が損なわれないことを示している。実際に、実施例1の強さ及びモジュラスの数値と比較例の当該数値の比較は興味深い驚くべき特徴を明らかにしている。実施例1のHDTの比較例C1のHDTを超える増加が硬化材料の架橋密度の増加のためだけだとしたら、一般通念は、前記高架橋密度が実施例1をより脆弱にすると予測するであろう。この脆化は、より高いモジュラスとより低い強度によって明らかになるであろう。実際は、実施例1は、張力及び(特に)湾曲下の両方で比較例1より低いモジュラスを示す。
【0054】
異なる架橋可能単量体系における発明技術の性能を評価するため、実施例1のウレタン(メタ)アクリラートオリゴマーの2種のマスターバッチ濃縮物型を1つはスチレン中、1つはビニルトルエン中で調製した。これらのマスターバッチを次に共重合可能単量体の異なる組合せで希釈した。
(マスターバッチ実施例M1)
還流冷却管、電動式固定撹拌機及び温度プローブを備えた1リットルの蓋付き丸底フラスコに291.14gのVestanat T1890/100、133.45gのスチレン、0.28gのFascat 4202HP並びに0.35gの1,4-ナフタキノン、0.045gの1,4-ベンゾキノン及び1.06gのSolution Qから成る抑制剤の混合物を充填した。この混合物を撹拌しながら80〜85℃の温度に加熱した後、426.22gのPETIAの滴下添加を開始した。この添加工程を30分続け、この間、温度を80〜85℃に維持した。この添加が完了したら、イソシアナート含量が2.14%に減少するまで、反応混合物を80〜85℃で2時間撹拌した。次に147.45gのグリセロールジメタクリラートを25分かけて滴下添加した。この場合もやはりフラスコ内の温度を80〜85℃に維持した。この添加完了後、イソシアナート含量が0.38%に減少するまで、混合物を80〜85℃で撹拌した(約4時間半かかった)。次にそれを冷却し、後のさらなる希釈用にデカントした。
【0055】
(マスターバッチ実施例M2)
還流冷却管、電動式固定撹拌機及び温度プローブを備えた1リットルの蓋付き丸底フラスコに291.14gのVestanat T1890/100、133.45gのビニルトルエン、0.28gのFascat 4202HP並びに0.35gの1,4-ナフタキノン、0.045gの1,4-ベンゾキノン及び1.06gのSolution Qから成る抑制剤の混合物を充填した。この混合物を撹拌しながら80〜85℃の温度に加熱した後、426.22gのPETIAの滴下添加を開始した。この添加工程を60分続け、この間、温度を80〜85℃に維持した。この添加が完了したら、イソシアナート含量が2.17%に減少するまで、反応混合物を80〜85℃で45分間撹拌した。次に147.45gのグリセロールジメタクリラートを30分かけて滴下添加した。この場合もやはりフラスコ内の温度を80〜85℃に維持した。この添加完了後、イソシアナート含量が0.34%に減少するまで、混合物を80〜85℃で撹拌した(約5時間半かかった)。次にそれを冷却し、後のさらなる希釈用にデカントした。
【0056】
(実施例3〜7)
上記2種のマスターバッチ実施例を種々の共重合可能単量体(下表IIIに質量による比率を示す)で希釈して実施例3〜7を調製した。表は、このようにして調製した完成樹脂組成物のオリゴマー含量、及び硬化材料のHDTをも示す。試験片を2% Butanox LPT+5% Accelerator Eで硬化させることによって、これらのHDTを得た。室温で一晩放置した後、試験片を80℃で5時間、次に200℃で3時間、後硬化させた(すなわち後硬化A)。
【0057】

表III
【0058】
比較目的のため、実施例1及び2はそれぞれ55.0%及び51.6%のオリゴマー含量を有し、比較例C1は54.3%のオリゴマー含量を有する。比較例C2のポリエステル重合体含量は典型的に約57%である。
かなり明白に、種々の両多官能性(メタ)アクリラート単量体及びビニル芳香族単量体を本発明の範囲内で用いて、公知技術の当該温度をずっと超える280℃より高い、普通は290℃より高い熱変形温度を得ることができる。
実例で用いたオリゴマーと共重合可能単量体との質量比を下表IVに要約する。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分:
(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)前記イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
を含んでなり、
前記エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つが、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される、架橋可能成形組成物。
【請求項2】
前記イソシアナート成分(i)が、下記式(I):
【化1】

(式中、R1は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のイソシアヌラート三量体残基を含む、請求項1に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項3】
前記イソシアナート成分(i)が、下記式(II):
【化2】

(式中、R1は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のイミノオキサジアジンジオン三量体残基を含む、請求項1又は2に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項4】
前記イソシアナート成分(i)が、下記式(III):
【化3】

(式中、R1は、脂肪族アルキレン基、脂環式アルキレン基、アリーレン基及びアルカリーレン基から選択される二価有機基である)
のウレチドン二量体残基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項5】
前記イソシアナート成分(i)が非芳香族イソシアナートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項6】
前記イソシアナート成分(i)が、アルキレン鎖内に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアナートに由来し、かつ2〜3.5のイソシアナート官能性を有する、請求項5に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項7】
前記イソシアナート成分(i)が、3未満の官能性を有する、請求項5又は6に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項8】
前記イソシアナート成分(i)が、ヘキサメチレンジイソシアナートに由来する、請求項6又は7に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項9】
前記イソシアナート成分(i)が、脂環式ジイソシアナートに由来し、かつ2〜4のイソシアナート官能性を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項10】
前記イソシアナート成分(i)が、イソホロンジイソシアナートに由来し、かつ3〜4のイソシアナート官能性を有する、請求項9に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項11】
前記イソシアナート成分(i)が、水素化芳香族イソシアナートに由来する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項12】
前記イソシアナート成分(i)が、
水素化ジフェニルメタンジイソシアナート(水素化 MDI)、
水素化トルエン ジイソシアナート(水素化 MDI)、
水素化テトラメチルキシリレンジイソシアナート(h-TMXDI)、又は
水素化ポリメチレンポリフェニルジイソシアナート(水素化PAPI)
に由来する、請求項11に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項13】
前記イソシアナート成分(i)が、2〜3.5の官能性を有する、請求項11又は12に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項14】
前記イソシアナート成分(i)が、ジイソシアナート又はさらに高次のイソシアナート(X)と、イソシアナート基と反応する少なくとも2つ以上の官能基を有するエクステンダー分子(Y)との反応生成物である連鎖伸長イソシアナートを含み、前記反応生成物がX-Y-X型のイソシアナート終結分子である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項15】
前記ジイソシアナート又はさらに高次のイソシアナートが、請求項1〜13のいずれか1項に記載のイソシアナートから選択され、かつ前記エクステンダー分子がジオール、好ましくはエチレングリコール又はポリエチレングリコールである、請求項14に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項16】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、3つ以上のエチレン性不飽和基を有するように選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項17】
前記イソシアナート成分のイソシアナート基と反応するエチレン性不飽和成分(ii)の官能基がヒドロキシル官能基である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項18】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、3〜5つのエチレン性不飽和基を有するように選択される、請求項16又は17に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項19】
前記エチレン性不飽和成分(ii)がアクリラート成分を含み、かつ前記エチレン性不飽和基が(メタ)アクリラート基である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項20】
前記エチレン性不飽和成分(ii)がヒドロキシ官能性トリ(メタ)アクリラートを含む、請求項19に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項21】
少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択されるエチレン性不飽和成分(ii)が、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及び
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラート
の少なくとも1つ以上を含む、請求項16に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項22】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、2種以上の成分の組合せを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項23】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、下記成分:
(iia)3〜5つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と、
(iib)1又は2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の組合せを含む、請求項22に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項24】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、下記成分:
(iia)3〜5つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分と
(iib)2つの(メタ)アクリラート基を有するアクリラート成分と
の組合せを含む、請求項23に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項25】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、下記成分:
(iia)ヒドロキシ官能性トリ(メタ)アクリラート及び/又はヒドロキシ官能性テトラ(メタ)アクリラートと、
(iib)ヒドロキシ官能性ジ(メタ)アクリラートと
の組合せを含む、請求項23又は24に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項26】
成分(iia)対(iib)のモル比が、約80:20〜20:80、好ましくは75:25〜25:75、さらに好ましくは70:30〜30:70、特に約65:35である、請求項23〜25のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項27】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート及びグリセロールジ(メタ)アクリラートから選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項28】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、前記イソシアナート成分のイソシアナート基に対して化学量論的過剰である総量で存在する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項29】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、前記イソシアナート成分のイソシアナート基に対して少なくとも3%、適切には約5%、好都合には少なくとも10%当量過剰(イソシアナート官能性を超えるヒドロキシル官能性の当量)で存在する、請求項28に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項30】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、少なくとも20%当量過剰で存在する、請求項29に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項31】
前記エチレン性不飽和成分(ii)が、(iia) ペンタエリスリトールトリアクリラート及び(iib)グリセロールジメタクリラートを含む、請求項22〜30のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項32】
前記単量体成分(2)の架橋性単量体が、ジビニル又はさらに高次のビニル及びジ(メタ)アクリラート又はさらに高次の(メタ)アクリラートから選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項33】
前記架橋性単量体成分(2)が、ジビニルベンゼン;ヒドロキシル官能性(メタ)アクリラート、グリセロールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリラート;ヒドロキシル基を持たない二官能性及び多官能性(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート;並びに上記(メタ)アクリラートのエトキシル化型又はプロポキシル化型、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、及びプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリラートから選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜32のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項34】
前記架橋性単量体成分(2)が、グリセロールジ(メタ)アクリラート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラートから選択される1つ以上を含む、請求項33に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項35】
前記架橋性単量体成分(2)が、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する単量体を含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項36】
前記架橋性単量体成分(2)が、8つまで、好ましくは6つまでのエチレン性不飽和基を有する単量体を含む、請求項32〜35のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項37】
前記架橋性単量体成分(2)が、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート並びに上記のエトキシル化型及びプロポキシル化型から選択される1つ以上を含む、請求項36に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項38】
前記架橋性単量体成分(2)の少なくともいくつかが、化学量論的過剰のエチレン性不飽和成分(ii)によって供給される、請求項1〜37のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項39】
前記単量体成分(2)が、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含む少なくとも1つの反応性希釈剤単量体をも含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項40】
前記反応性希釈剤単量体がビニル芳香族単量体であり、好ましくはスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ハロゲン化スチレン及びビニルトルエンから選択される少なくとも1つである、請求項39に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項41】
前記反応性希釈剤単量体及び架橋性単量体の総質量に基づいたwt%を単位として、該架橋性単量体に対する反応性希釈剤単量体の比が、10:90〜50:50、特に10:90〜45:55、特に10:90〜40:60の範囲内である、請求項39又は40に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項42】
前記官能化イソシアナート生成物及び単量体成分の総質量に基づいた質量パーセントを単位として、該単量体成分に対する官能化イソシアナート生成物の比が、80:20〜20:80、特に70:30〜30:70の範囲内、適切には65:35〜35:65の範囲内、好ましくは60:40〜40:60の範囲内である、請求項1〜41のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項43】
さらに(3)強化成分を含む、請求項1〜42のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項44】
前記強化成分が、下記(i)〜(vii):
(i)該強化成分が、繊維、ストランド、リボン、ワイヤー、ウィスカー及びチューブから選択される少なくとも1つを含み;及び/又は
(ii)該強化成分が無機材料で構成され;及び/又は
(iii)該強化成分が無機繊維、好ましくはガラス繊維で構成され;及び/又は
(iv)該強化成分がチョップド繊維で構成され;及び/又は
(v)該強化成分が不織繊維を含み;及び/又は
(vi)ここで、前記繊維が不織マットを含み;及び/又は
(vii)該強化成分が繊維で構成され、ここで、前記繊維は、粉末結合型チョップドストランドマットの形態をしている;
の1つ以上から選択される、請求項43に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項45】
前記強化成分が、最終強化樹脂の総質量に基づいて少なくとも10質量パーセント、適切には少なくとも20質量パーセント、好ましくは少なくとも35質量パーセントの量で存在する、請求項43又は44に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項46】
望ましくないか又は早過ぎるフリーラジカル反応を阻止するための抑制剤をさらに含み、かつ必要に応じて前記抑制剤がキノン及び置換フェノールから選択される、請求項1〜45のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項47】
前記抑制剤がキノンであり、かつ1,4-ナフタキノン、1,4-ベンゾキノン及びヒドロキノン、メチルヒドロキノン及び2-メチル-1,4-ベンゾキノンから選択される少なくとも1つである、請求項46に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項48】
該組成物が、硬化したとき、少なくとも260℃、適切には少なくとも265℃、特に少なくとも270℃、好ましくは280℃以上のHDTを有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項49】
硬化したとき、該硬化温度より少なくとも60℃高いHDTを有する、請求項1〜48のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項50】
200℃で硬化したとき、少なくとも270℃のHDTを有する、請求項48又は49に記載の架橋可能成形組成物。
【請求項51】
少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有し、かつ
(i)請求項1〜15のいずれか1項の定義どおりのイソシアナート成分と、
(ii)請求項1及び16〜31のいずれか1項の定義どおりのエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、官能化イソシアナート生成物。
【請求項52】
下記成分:
(A)(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)前記イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物;及び
(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分
(ここで、前記エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される)
を含む架橋可能成形組成物;
並びに
(B)(3)強化成分
を含んでなるキット。
【請求項53】
前記架橋可能成形組成物が、請求項2〜50のいずれか1項の定義どおりである、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
(4)前記架橋可能成形組成物の架橋を開始するための開始剤をさらに含む、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記開始剤が、ペルオキシド、金属塩及びアミンから選択される少なくとも1つであり、かつ必要に応じて前記開始剤が、メチルエチルケトンペルオキシド及びコバルトオクトアートを含む、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
請求項1〜50のいずれか1項に記載の組成物及び(3)強化成分から導かれた架橋樹脂。
【請求項57】
重合材料の少なくとも1つ、必要に応じて少なくとも2つの層を含んでなる複合品であって、前記1つの層又は少なくとも2つの層の少なくとも1つの層が、請求項1〜50のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物から導かれた架橋樹脂を含む、複合品。
【請求項58】
少なくとも2つの層の積層品の形態をしている、請求項57に記載の複合品。
【請求項59】
前記複合品が、下記(i)〜(v):
(i)前記積層品の第2層の組成が、第1層の組成と異なり;及び/又は
(ii)第2層が、請求項1〜50のいずれか1項に記載の架橋可能成形組成物から導かれた架橋イソシアナート生成物をも含み;及び/又は
(iii)第2層が、強化成分を含まず;及び/又は
(iv)該複合品が、少なくとも3つの層を含み;及び/又は
(v)該複合品の各層の1つ以上が、複数の層を含む
の1つ以上から選択される、請求項58に記載の複合品。
【請求項60】
架橋可能成形組成物の製造方法であって、以下の工程:
(1)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)前記イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応から官能化イソシアナート生成物を形成する工程;
(2)(1)の反応生成物を、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分と混ぜ合わせる工程(但し、前記エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される);及び必要に応じて
(3)強化成分を、(1)と(2)の混合物と混ぜ合わせる工程
を含んでなる方法。
【請求項61】
前記官能化イソシアナート生成物(1)及び/又は単量体成分(2)が、請求項1〜42のいずれか1項の定義どおりである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記単量体成分が、前記架橋性単量体に加えて、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤単量体を含み、かつ該方法が、反応性希釈剤単量体を含む単量体成分を、前記イソシアナート成分と前記エチレン性不飽和成分の反応混合物に、必要に応じて該イソシアナート成分と該エチレン性不飽和成分の反応前又は反応中に添加する工程を含む、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記エチレン性不飽和成分が、前記イソシアナート成分のイソシアナート基に対して化学量論的過剰に供給される、請求項60〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記イソシアナート成分と前記エチレン性不飽和成分を50〜100℃の範囲内、好ましくは70〜90℃の範囲内の温度で反応させる、請求項60〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記イソシアナート成分と前記各エチレン性不飽和成分の間の反応を、該イソシアナート含量が1%未満になるまで、必要に応じて該イソシアナート含量が0.5%未満になるまで続ける、請求項60〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記官能化イソシアナート生成物を形成する工程で触媒を使用し、必要に応じて前記触媒がジブチル錫ジラウラートである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
請求項1〜50のいずれか1項の定義どおりの官能化イソシアナート生成物又は組成物の、強化成分を含む架橋可能官能化イソシアナート組成物の製造方法における使用、又は強化成分との組合せのための使用。
【請求項68】
強化架橋樹脂の製造方法であって、以下の工程:
(I)(i)2以上のイソシアナート官能性を有するイソシアナート成分と、
(ii)前記イソシアナート成分のイソシアナート基と反応する少なくとも1つの官能基及び少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和成分と
の反応生成物である、少なくとも6つのエチレン性不飽和基を有する官能化イソシアナート生成物の反応から架橋可能官能化イソシアナート生成物を形成する工程;及び
(II)(I)の反応生成物を、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する架橋性単量体を含む単量体成分と混ぜ合わせる工程(但し、前記エチレン性不飽和成分(ii)及び/又は単量体成分(2)の少なくとも1つは、少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有するように選択される);及び
(III)(I)と(II)の混合物を強化成分(3)と混ぜ合わせる工程;及び
(IV)前記単量体成分と官能化イソシアナート生成物の間の架橋反応を引き起こす工程
を含んでなる方法。
【請求項69】
(i)イソシアナート成分、(ii)エチレン性不飽和成分、(2)単量体成分及び(3)強化成分の少なくとも1つ以上が、請求項2〜44のいずれか1項の定義どおりである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記樹脂組成物を硬化させる工程(5)をさらに含む、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記樹脂の硬化工程が、下記(i)〜(viii):
(i)前記硬化工程が、硬化段階と後硬化段階を含み;及び/又は
(ii)硬化段階が室温で起こり;及び/又は
(iii)硬化段階の持続時間が5〜15時間であり;及び/又は
(iv)後硬化段階が、前記樹脂組成物を60℃より高い温度で加熱する工程を含み;及び/又は
(v)後硬化段階の持続時間が少なくとも2時間であり;及び/又は
(vi)後硬化工程が、二段階の後硬化を含み;及び/又は
(vii)第2段階の後硬化が100℃より高い温度であり;及び/又は
(viii)第2段階の後硬化の持続時間が少なくとも1時間である
の1つ以上を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記樹脂組成物が、60〜100℃の温度範囲で約5時間の第1段階で後硬化され、次に150〜300℃の温度範囲で約3時間の第2段階で後硬化される、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
架橋樹脂の製造方法であって、架橋開始剤及び必要に応じて強化成分をも、請求項1〜50のいずれか1項の定義どおりの官能化イソシアナート生成物(1)及び単量体成分(2)を含む組成物と混ぜ合わせる工程を含んでなる方法。
【請求項74】
複合品の製造方法であって、以下の工程:
(A)重合材料で構成された第1層を形成する工程、及び
(B)それぞれ請求項1〜50のいずれか1項の定義どおりの
(1)官能化イソシアナート生成物と、
(2)単量体成分と
の架橋可能反応生成物から形成された架橋強化樹脂を含む第2層を形成する工程(前記樹脂は、強化成分を含む)
を含んでなる方法。
【請求項75】
前記複合品が積層品である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記複合品が型内で形成される、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
請求項1〜50のいずれか1項に記載の組成物を成形することによって得られた造形品。

【公表番号】特表2012−504168(P2012−504168A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528416(P2011−528416)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002301
【国際公開番号】WO2010/035006
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(511078886)スコット ベイダー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】