説明

架線レス車両の運行支援装置

【課題】本発明の目的は、架線レス車両のエネルギー効率を向上させるような速度パターンを算出することが可能な架線レス車両の運行支援装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、架線レス車両の運行ダイヤ情報と走行区間上にある次駅の情報と走行区間上にある複数の信号機の情報とを予め記憶する記憶手段2と、運行ダイヤ情報と次駅の情報と複数の信号機の情報とに基づいて架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段3とを備え、速度パターン算出手段3は、架線レス車両が最初の信号機で止まらないことと、現在停車中の駅から発車する際について一定の加速度aで加速を行うことと、加速後は架線レス車両が一定の第1の速度Vで走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架線レス車両の運行支援装置に関し、詳しくは、現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出する運行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架線レス車両などの交通車両は、自動車などの車両の走行を規制する交通信号機の管理下に置かれている。したがって、交通車両の運転士は、交通信号機の現示に従って交通車両を進行させ又は停止させる運転を行っている。
【0003】
このような交通信号機の管理下においては、交通車両の停止及び再発進が繰り返し行われるので、定時運行を行うことができず、利用者の不便をまねく可能性がある。特許文献1では、停止や再発進を極力なくして定時運行を行うことが可能な速度パターンを算出する運行支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−44492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1で算出された速度パターンは、加速及び減速する区間が多く、等速走行が行われている区間が少ないため、交通車両におけるエネルギー効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、架線レス車両のエネルギー効率を向上させるような速度パターンを算出することが可能な架線レス車両の運行支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出する架線レス車両の運行支援装置において、前記架線レス車両の運行ダイヤ情報と前記走行区間上にある次駅の情報と前記走行区間上にある複数の信号機の情報とを予め記憶する記憶手段と、前記運行ダイヤ情報と前記次駅の情報と前記複数の信号機の情報とに基づいて前記架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段とを備え、現在停車中の駅と前記複数の信号機の中の最初の信号機との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最初の信号機で止まらないことと、現在停車中の駅から発車する際について一定の加速度で加速を行うことと、加速後は前記架線レス車両が一定の第1の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、前記第1の速度は、前記架線レス車両が最高速度で走行した場合における現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間と、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間と、現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離と、最初の信号機の情報と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっている。
【0008】
また、本発明によれば、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最高速度で走行すると仮定したときに前記架線レス車両が最初の信号機で停車することになるかを判定するようになっており、前記架線レス車両が最初の信号機で停車することになると判定された場合、前記第1の速度は、以下の第1の関係式と第3の関係式とに基づいて算出され、前記架線レス車両が最初の信号機で停車せずに通過できると判定された場合、前記第1の速度は、以下の第2の関係式と第3の関係式とに基づいて算出される。
[第1の関係式]
=(ttarget−t)+tm1
[第2の関係式]
=(tlimit−t)+tm1
[第3の関係式]
=L/V+V/2a
但し、Vは前記第1の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間であり、tは現在停車中の駅からの発車時刻であり、ttargetは最初の信号機が次に赤から青になる時刻であり、tlimitは最初の信号機が次に青から赤になる時刻であり、tm1は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離である。
【0009】
また、本発明によれば、前記複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が前記第2の信号機で止まらないことと、前記第1の信号機を通過した後に前記一定の加速度で加減速を行うことと、前記一定の加速度による加減速を1回以下とすることと、加減速の後は前記架線レス車両が一定の第2の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、前記第2の速度は、前記架線レス車両が最高速度で走行した場合における前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間と、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間と、前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行距離と、前記第2の信号機の情報と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっている。
【0010】
また、本発明によれば、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最高速度で走行すると仮定したときに前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車することになるかを判定するようになっており、前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車することになると判定された場合、前記第2の速度は、以下の第4の関係式と第6の関係式とに基づいて算出され、前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車せずに通過できると判定された場合、前記第2の速度は、以下の第5の関係式と第6の関係式とに基づいて算出される。
[第4の関係式]
=(ttarget−tg1)+tm2
[第5の関係式]
=(tlimit−tg1)+tm2
[第6の関係式]
=L/V+(V−V/2aV
但し、Vは前記第2の速度であり、aは前記一定の加速度であり、Vは前記第1の信号機を通過したときの速度であり、tは前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間であり、tg1は前記第1の信号機を通過する時刻であり、ttargetは前記第2の信号機が次に赤から青になる時刻であり、tlimitは前記第2の信号機が次に青から赤になる時刻であり、tm2は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行距離である。
【0011】
また、本発明によれば、前記複数の信号機の中の最後の信号機と次駅との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、次駅に到着する際について前記一定の加速度で減速を行うことと、減速する前は前記架線レス車両が前記最後の信号機を通過した際の第3の速度で一定走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、前記第3の速度は、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される最後の信号機から次駅までの走行時間と、最後の信号機から次駅までの走行距離と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっている。
【0012】
また、本発明によれば、前記第3の速度は、以下の第7の関係式と第8の関係式とに基づいて算出される。
[第7の関係式]
=(t−tg2)+tm3
[第8の関係式]
=L/V+V/2a
但し、Vは前記第3の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは最後の信号機から次駅までの走行時間であり、tは次駅への到着時刻であり、tg2は最後の信号機を通過したときの時刻であり、tm3は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは最後の信号機から次駅までの走行距離である。
【0013】
また、本発明によれば、走行中の前記架線レス車両の位置及び速度を検出する検知手段を更に備え、前記速度パターン算出手段は、前記検知手段により検出された前記架線レス車両の現在の位置及び速度に基づいて前記第1ないし第3の速度を補正するように構成されている。
【0014】
また、本発明によれば、現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出する架線レス車両の運行支援装置において、前記架線レス車両の運行ダイヤ情報と前記走行区間上にある次駅の情報とを予め記憶する記憶手段と、前記運行ダイヤ情報と前記次駅の情報とに基づいて前記架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段とを備え、現在停車中の駅と次駅との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、現在停車中の駅から発車する際及び次駅に到着する際について一定の加速度で加減速を行うことと、加速と減速との間は前記架線レス車両が一定の第4の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、前記第4の速度は、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される現在停車中の駅から次駅までの走行時間と、現在停車中の駅から次駅までの走行距離と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっている。
【0015】
また、本発明によれば、前記第4の速度は、以下の第9の関係式と第10の関係式とに基づいて算出される。
[第9の関係式]
=(t−t)+tm4
[第10の関係式]
=L/V+V/a
但し、Vは前記第4の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは現在停車中の駅から次駅までの走行時間であり、tは次駅への到着時刻であり、tは現在停車中の駅からの発車時刻であり、tm4は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは現在停車中の駅から次駅までの走行距離である。
【0016】
また、本発明によれば、走行中の前記架線レス車両の位置及び速度を検出する検知手段を更に備え、前記速度パターン算出手段は、前記検知手段により検出された前記架線レス車両の現在の位置及び速度に基づいて前記第4の速度を補正するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る架線レス車両の運行支援装置によれば、現在停車中の駅から最初の信号機までの間と、複数の信号機における第1の信号機からその次にある第2の信号機までの間と、最後の信号機から次駅までの間の各区間において架線レス車両の加速あるいは減速が1回以下となるので、加減速によるエネルギー消費が抑えられる。しかも、加減速区間の後に等速区間があるような速度パターンを算出するので、架線レス車両のエネルギー効率を従来に比べて向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る架線レス車両の運行支援装置によれば、現在停車中の駅と次駅との間に信号機がない場合、加減速がそれぞれ1回で且つ加速後は等速走行するような速度パターンが算出されるので、架線レス車両のエネルギー効率を従来に比べて向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る架線レス車両の運行支援装置によれば、速度パターン算出手段は、架線レス車両の現在の位置や速度を検知手段から取得して、架線レス車両の速度パターンを補正するようになっているので、交通の混雑状況など様々な状況で架線レス車両に遅延等が発生した場合においても、速度パターンを補正することにより運行ダイヤに従った定時運行を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置の構成を示した図である。
【図2】現在停車中の駅から複数の信号機の中の最初の信号機まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【図3】現在停車中の駅と最初の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【図4】第1の信号機からその次にある第2の信号機まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【図5】第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【図6】最後の信号機から次駅まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【図7】現在停車中の駅から次駅まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【図8】現在の位置から次にある第2の信号機まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【図9】現在の位置と第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置の構成を示した図である。
【0022】
図1の運行支援装置1は、架線レス車両(図示せず)に搭載されるものであり、現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出するように構成されている。
【0023】
図1に示すように、運行支援装置1は、架線レス車両の運行ダイヤ情報と走行区間上にある次駅の情報と走行区間上にある複数の信号機の情報とを予め記憶する記憶手段2と、運行ダイヤ情報と次駅の情報と複数の信号機の情報とに基づいて架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段3と、走行中の架線レス車両の位置及び速度を検出する検知手段4と、速度パターンを表示する表示手段5とを備えている。
【0024】
上述の運行ダイヤ情報は、架線レス車両の時刻表の情報を含み、例えば、現在停車中の駅からの出発時刻や次駅への到着時刻の情報を含んでいる。また、次駅の情報は、次駅の位置情報と次駅までの距離の情報とを含んでいる。また、信号機の情報は、走行区間上にある各信号機の位置情報と、各信号機間の距離と、信号機が赤から青及び青から赤に変わる時刻の情報とを含んでいる。
【0025】
図1に示すように、速度パターン算出手段3は、記憶手段2に接続されており、速度パターン算出手段3は、運行ダイヤ情報と次駅の情報と複数の信号機の情報とを記憶手段2から取得して、架線レス車両の速度パターンを算出するようになっている。また、速度パターン算出手段3によって算出された速度パターンは、表示手段5に送信される。架線レス車両の運転士は、表示手段5に表示された速度パターンに従って架線レス車両を運転する。
【0026】
[現在停車中の駅から最初の信号機までの速度パターン]
以下、本発明の実施形態に係る運行支援装置1において、現在停車中の駅と複数の信号機の中の最初の信号機との間の速度パターンを算出する方法を、図面を参照しながら説明する。
図2は、現在停車中の駅から複数の信号機の中の最初の信号機まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。また、図3は、現在停車中の駅と最初の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【0027】
現在停車中の駅と前記複数の信号機の中の最初の信号機との間の速度パターンを算出する場合、速度パターン算出手段3は、架線レス車両が最初の信号機で止まらないことと、現在停車中の駅から発車する際について一定の加速度aで加速を行うことと、加速後は架線レス車両が一定の第1の速度Vで走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっている。
【0028】
図2を参照しながら第1の速度Vの算出方法を説明する。
現在停車中の駅から最初の信号までの走行時間をtとする。ここで、この走行時間tに対して許容できるマージンをtm1とする。走行時間tは、現在停車中の駅からの発車時刻をtとし、最初の信号への到着時刻をt´とすると、以下のように表すことができる。
=(t´−t)+tm1 (式1)
ここで、マージンtm1が現在停車中の駅から最初の信号までの距離に比例すると考えられるので、(式1)は以下のように表すことができる。
=(t´−t)+kL (式2)
ここで、Lは現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離であり、kは比例係数である。
【0029】
第1の速度Vを求める場合、まず、現在停車中の駅から最初の信号機までの最小走行時間tminを導出する。最小走行時間tminは、車両性能の最高速度Vmax(Vmax>V)で走行した場合の走行時間である。したがって、図2に示すように、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iは、以下のようになる。
=Vmax´/2 (式3)
=Vmax(tmin−t´) (式4)
ここで、t´は、速度が0から最高速度Vmaxになるまでの時間である。
【0030】
次に、現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離Lは、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iを用いると、以下のようになる。
=I+I=Vmax´/2+Vmax(tmin−t´)
=Vmaxmin−Vmax´/2 (式5)
max=at´の関係を用いると、(式5)は以下のようになる。
min=L/Vmax+Vmax/2a (式6)
なお、Lは上述した信号機の情報を用いることにより入力することができ、Vmax及びaは、車両性能から予め知ることができるものである。
【0031】
第1の速度Vと現在停車中の駅から最初の信号までの走行時間をtとの関係式は、(式6)のVmaxをVに置き換え、tminをtに置き換えることにより得られる。
=L/V+V/2a (式7)
【0032】
次に、図3を参照して第1の速度Vを求める際のフローを説明する。
図3に示すように、ステップS1において、(式6)を用いて最小走行時間tminを求める。
次に、ステップS2において、現在停車中の駅からの発車時刻tから最小走行時間tminで最初の信号機に到着した場合、最初の信号が赤(停止)であるかを判定する。この判定を行う際、上述した信号機の情報を用いる。
そして、最初の信号機が赤である場合、ステップS3において、最初の信号機が次に赤から青になる時刻ttargetを、(式2)のt´に代入する。(式2)は以下のようになる。
=(ttarget−t)+kL (式8)
最後に、ステップS4において、(式8)の関係により得られたtを(式7)に代入して第1の速度Vを求める。
【0033】
一方、最初の信号機が赤でない場合(すなわち、青である場合)、ステップS5において、最初の信号機が次に青から赤になる時刻tlimitを、(式2)のt´に代入する。(式2)は以下のようになる。
=(tlimit−t)+kL (式9)
最後に、ステップS4において、(式9)の関係により得られたtを(式7)に代入して第1の速度Vを求める。なお、ttarget及びtlimitは上述した信号機の情報を用いることにより入力することができ、tは上述した運行ダイヤ情報を用いることにより入力することができる。
以上のステップにより第1の速度Vを求めることができる。
【0034】
[複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターン]
以下、本発明の実施形態に係る運行支援装置において、複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する方法を、図面を参照しながら説明する。
図4は、第1の信号機からその次にある第2の信号機まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。また、図5は、第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【0035】
複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合、速度パターン算出手段3は、架線レス車両が第2の信号機で止まらないことと、第1の信号機を通過した後に一定の加速度aで加減速を行うことと、一定の加速度aによる加減速を1回以下とすることと、加減速の後は架線レス車両が一定の第2の速度Vで走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっている。
【0036】
図4を参照しながら第2の速度Vの算出方法を説明する。
第1の信号機からその次にある第2の信号機までの走行時間をtとする。ここで、この走行時間tに対して許容できるマージンをtm2とする。走行時間tは、第1の信号機を通過する時刻をtg1とし、第2の信号機への到着時刻をt´´とすると、以下のように表すことができる。
=(t´´−tg1)+tm2 (式10)
ここで、マージンtm2が第1の信号機から第2の信号機までの距離に比例すると考えられるので、(式10)は以下のように表すことができる。
=(t´´−tg1)+kL (式11)
ここで、Lは第1の信号機から第2の信号機までの走行距離であり、kは比例係数である。
【0037】
第2の速度Vを求める場合、まず、第1の信号機から第2の信号機までの最小走行時間tminを導出する。最小走行時間tminは、車両性能の最高速度Vmax(Vmax>V)で走行した場合の走行時間である。図4に示すように、第1の信号機を通過するときの速度をVとすると、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iは、以下のようになる。
=V´´+(Vmax−V)t´´/2 (式12)
=Vmax(tmin−t´´) (式13)
ここで、t´´は、速度がVから最高速度Vmaxになるまでの時間である。
【0038】
次に、第1の信号機から第2の信号機までの走行距離Lは、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iを用いると、以下のようになる。
=I+I=V´´+(Vmax−V)t´´/2+Vmax(tmin−t´´)
=Vmaxmin−(Vmax−V)t´´/2 (式14)
max=V+at´´の関係を用いると、(式14)は以下のようになる。
min=L/Vmax+(Vmax−V/2aVmax (式15)
【0039】
第2の速度Vと第1の信号機から第2の信号機までの走行時間をtとの関係式は、(式15)のVmaxをVに置き換え、tminをtに置き換えることにより得られる。
=L/V+(V−V/2aV (式16)
【0040】
次に、図5を参照して第2の速度Vを求める際のフローを説明する。
図3に示すように、ステップS11において、(式15)を用いてtminを求める。
次に、ステップS12において、第1の信号機を通過する時刻tg1から最小走行時間tminで第2の信号機に到着した場合、第2の信号機が赤(停止)であるかを判定する。この判定を行う際、上述した信号機の情報を用いる。
そして、第2の信号機が赤である場合、ステップS13において、第2の信号機が次に赤から青になる時刻ttargetを、(式11)のt´´に代入する。(式11)は以下のようになる。
=(ttarget−tg1)+kL (式17)
最後に、ステップS14において、(式17)の関係により得られたtを(式16)に代入して第2の速度Vを求める。
【0041】
一方、第2の信号機が赤でない場合(すなわち、青である場合)、ステップS15において、第2の信号機が次に青から赤になる時刻tlimitを、(式11)のt´´に代入する。(式11)は以下のようになる。
=(tlimit−tg1)+kL (式18)
最後に、ステップS14において、(式18)の関係により得られたtを(式16)に代入して第2の速度Vを求める。
以上のステップにより第2の速度Vを求めることができる。
【0042】
[複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターン]
以下、本発明の実施形態に係る運行支援装置1において、複数の信号機の中の最後の信号機と次駅との間の速度パターンを算出する方法を、図面を参照しながら説明する。
図6は、最後の信号機から次駅まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【0043】
複数の信号機の中の最後の信号機と次駅との間の速度パターンを算出する場合、速度パターン算出手段3は、次駅に到着する際について一定の加速度aで減速を行うことと、減速する前は架線レス車両が最後の信号機を通過した際の第3の速度Vで一定走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっている。
【0044】
図6を参照しながら第3の速度Vの算出方法を説明する。
最後の信号機から次駅までの走行時間をtとする。ここで、この走行時間tに対して許容できるマージンをtm3とする。走行時間tは、最後の信号機を通過する時刻をtg2とし、次駅への到着時刻をtとすると、以下のように表すことができる。
=(t−tg2)+tm3 (式19)
ここで、マージンtm3が最後の信号機から次駅までの距離に比例すると考えられるので、(式19)は以下のように表すことができる。
=(t−tg2)+kL (式20)
ここで、Lは最後の信号機から次駅までの走行距離であり、kは比例係数である。
【0045】
図6に示すように、等速区間の走行距離I及び減速区間の走行距離Iは、以下のようになる。
=V(t−t´´´) (式21)
=V´´´/2 (式22)
ここで、t´´´は、速度がVから0になるまでの時間である。
【0046】
次に、最後の信号機から次駅までの走行距離Lは、等速区間の走行距離I及び減速区間の走行距離Iを用いると、以下のようになる。
=I+I=V(t−t´´´)+V´´´/2
=V−V´´´/2 (式23)
=at´´´の関係から(式23)は以下のようになる。
=L/V+V/2a (式24)
以上から、第3の速度Vは(式20)及び(式24)から求めることができる。
【0047】
[現在停車中の駅と次駅との間の速度パターン]
以下、本発明の実施形態に係る運行支援装置1において、現在停車中の駅と次駅との間の速度パターンを算出する方法を、図面を参照しながら説明する。この算出方法は、現在停車中の駅と次駅との間に信号機がない場合に用いられる。図7は、現在停車中の駅から次駅まで走行した場合の時刻tと速度Vの関係を示した図である。
【0048】
現在停車中の駅と次駅との間の速度パターンを算出する場合、速度パターン算出手段3は、現在停車中の駅から発車する際及び次駅に到着する際について一定の加速度aで加減速を行うことと、加速と減速との間は架線レス車両が一定の第4の速度Vで走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっている。
【0049】
図7を参照しながら第4の速度Vの算出方法を説明する。
現在停車中の駅から次駅までの走行時間をtとする。ここで、この走行時間tに対して許容できるマージンをtm4とする。走行時間tは、現在停車中の駅からの発車時刻をtとし、次駅への到着時刻をtとすると、以下のように表すことができる。
=(t−t)+tm4 (式25)
ここで、マージンtm4が現在停車中の駅から次駅までの距離に比例すると考えられるので、(式25)は以下のように表すことができる。
=(t−t)+kL (式26)
ここで、Lは現在停車中の駅から次駅までの走行距離であり、kは比例係数である。
【0050】
図7に示すように、加速区間の走行距離I、等速区間の走行距離I及び減速区間の走行距離Iは、以下のようになる。
=V/2 (式27)
=V(t−t−t) (式28)
=V/2 (式29)
ここで、tは、速度が0からVになるまでの時間であり、tは、速度がVから0になるまでの時間である。
【0051】
次に、現在停車中の駅から次駅までの走行距離Lは、t=tの関係を用いると、以下のようになる。
=I+I+I
=v/2+v(t−t−t)+v/2
=v−v (式30)
また、v=atの関係から(式30)は以下のようになる。
=L/v+v/a (式31)
以上から、第4の速度Vは(式26)及び(式31)から求めることができる。
【0052】
[走行中における速度パターンの補正]
以下、本発明の実施形態に係る運行支援装置1において、架線レス車両が走行している間に速度パターンを補正する方法を、図面を参照しながら説明する。
なお、以下では例として、架線レス車両が第1の信号機からその次にある第2の信号機まで走行する際、等速区間中に速度パターンを補正する場合について説明する。
【0053】
図8は、現在の位置から次にある第2の信号機まで走行した場合の時刻と速度の関係を示した図である。また、図9は、現在の位置と第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合のフローチャートである。
【0054】
まず、運行支援装置1の構成について説明する。図1に示すように、速度パターン算出手段3は、検知手段4に接続されており、速度パターン算出手段5は、架線レス車両の現在の位置や速度を検知手段4から取得して、架線レス車両の速度パターンを補正するようになっている。
【0055】
図8を参照しながら、補正後の第2の速度V´の算出方法を説明する。
現在の位置から第2の信号機までの走行時間をt´とする。ここで、この走行時間t´に対して許容できるマージンをtm2´とする。走行時間t´は、現在の時刻をtg1´とし、第2の信号機への到着時刻をt´´とすると、以下のように表すことができる。
´=(t´´−tg1´)+tm2´ (式32)
ここで、マージンtm2´現在の位置から第2の信号機までの距離に比例すると考えられるので、(式32)は以下のように表すことができる。
´=(t´´−tg1´)+kL´ (式33)
ここで、L´は現在の位置から第2の信号機までの走行距離であり、kは比例係数である。
【0056】
補正後の第2の速度V´を求める場合、まず現在の位置から第2の信号機までの最小走行時間tminを導出する。最小走行時間tminは、車両性能の最高速度Vmax(Vmax>V´)で走行した場合の走行時間である。図8に示すように、検知手段により検知された現在の速度をVとすると、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iは、以下のようになる。
=V´´+(Vmax−V)t´´/2 (式34)
=Vmax(tmin−t´´) (式35)
ここで、t´´は、速度がVから最高速度Vmaxになるまでの時間である。
【0057】
次に、現在の位置から第2の信号機までの走行距離L´は、加速区間の走行距離I及び等速区間の走行距離Iを用いると、以下のようになる。
´=I+I=V´´+(Vmax−V)t´´/2+Vmax(tmin−t´´)
=Vmaxmin−(Vmax−V)t´´/2 (式36)
max=V+at´´の関係から、最小走行時間tminは以下のようになる。
min=L´/Vmax+(Vmax−V/2aVmax (式37)
なお、L´は上述した信号機の情報と検知手段4により検知した現在の位置の情報とを用いることにより入力することができる。
【0058】
補正後の第2の速度V´と現在の位置から第2の信号機までの走行時間t´との関係式は、(式37)のVmaxをV´に置き換え、tminをt´に置き換えることにより得られる。
´=L/V´+(V´−V/2aV´ (式38)
【0059】
次に、図9を参照して、補正後の第2の速度V´を求める際のフローを説明する。
図9に示すように、ステップS21において、(式37)を用いてtminを求める。
次に、ステップS22において現在の時刻をtg1´から最小走行時間tminで第2の信号機に到着した場合、第2の信号機が赤(停止)であるかを判定する。
そして、第2の信号機が赤である場合、ステップS23において、第2の信号機が次に赤から青になる時刻ttargetを、(式33)のt´´に代入する。(式33)は以下のようになる。
´=(ttarget−tg1´)+kL´ (式39)
最後に、ステップS24において、(式39)の関係により得られたt´を(式38)に代入して、補正後の第2の速度V´を求める。
【0060】
一方、第2の信号機が赤でない場合(すなわち、青である場合)、ステップS25において、第2の信号機が次に青から赤になる時刻tlimitを、(式33)のt´´に代入する。(式33)は以下のようになる。
´=(tlimit−tg1´)+kL´ (式40)
最後に、ステップS24において、(式40)の関係により得られたt´を(式38)に代入して、補正後の第2の速度V´を求める。
以上のステップにより補正後の第2の速度V´を求めることができる。
【0061】
なお、架線レス車両が現在停車中の駅から最初の信号機まで走行する際、等速区間中に速度パターンを補正する場合についても、上述した計算方法と同様の方法で求めることができる。
【0062】
本実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置1によれば、現在停車中の駅から最初の信号機までの間と、複数の信号機における第1の信号機からその次にある第2の信号機までの間と、最後の信号機から次駅までの間の各区間において架線レス車両の加速あるいは減速が1回以下となるので、加減速によるエネルギー消費が抑えられる。しかも、加減速区間の後に等速区間があるような速度パターンを算出するので、架線レス車両のエネルギー効率を従来に比べて向上させることができる。
特に、上述の速度パターンの算出方法を用いると、複数の信号機がある場合でも、最適な例としては、現在停車中の駅から次駅へ走行させる際に加減速が1回ずつで加減速の間が一定の速度で走行できる速度パターンを算出することができる。これにより、架線レス車両のエネルギー効率がより向上する。
【0063】
また、本実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置1によれば、現在停車中の駅と次駅との間に信号機がない場合、加減速がそれぞれ1回で且つ加速後は等速走行するような速度パターンが算出されるので、架線レス車両のエネルギー効率を従来に比べて向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る架線レス車両の運行支援装置1によれば、速度パターン算出手段3は、架線レス車両の現在の位置や速度を検知手段4から取得して、架線レス車両の速度パターンを補正するようになっているので、交通の混雑状況など様々な状況で架線レス車両に遅延等が発生した場合においても、速度パターンを補正することにより運行ダイヤに従った定時運行を行うことができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 運行支援装置
2 記憶手段
3 速度パターン算出手段
4 検知手段
5 表示手段
a 加速度
第1の速度
第2の速度
第3の速度
第4の速度
第1の信号機を通過したときの速度
現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間
第1の信号機から第2の信号機までの走行時間
最後の信号機から次駅までの走行時間
現在停車中の駅から次駅までの走行時間
現在停車中の駅からの発車時刻
target 最初の信号機が次に赤から青になる時刻
limit 最初の信号機が次に青から赤になる時刻
m1,tm2,tm3,tm4 走行時間におけるマージン
現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離
第1の信号機から第2の信号機までの走行距離
最後の信号機から次駅までの走行距離
現在停車中の駅から次駅までの走行距離
g1 第1の信号機を通過する時刻
g2 最後の信号機を通過したときの時刻
次駅への到着時刻


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出する架線レス車両の運行支援装置において、
前記架線レス車両の運行ダイヤ情報と前記走行区間上にある次駅の情報と前記走行区間上にある複数の信号機の情報とを予め記憶する記憶手段と、
前記運行ダイヤ情報と前記次駅の情報と前記複数の信号機の情報とに基づいて前記架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段とを備え、
現在停車中の駅と前記複数の信号機の中の最初の信号機との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最初の信号機で止まらないことと、現在停車中の駅から発車する際について一定の加速度で加速を行うことと、加速後は前記架線レス車両が一定の第1の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、
前記第1の速度は、前記架線レス車両が最高速度で走行した場合における現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間と、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間と、現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離と、最初の信号機の情報と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっていることを特徴とする架線レス車両の運行支援装置。
【請求項2】
前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最高速度で走行すると仮定したときに前記架線レス車両が最初の信号機で停車することになるかを判定するようになっており、
前記架線レス車両が最初の信号機で停車することになると判定された場合、前記第1の速度は、以下の第1の関係式と第3の関係式とに基づいて算出され、
前記架線レス車両が最初の信号機で停車せずに通過できると判定された場合、前記第1の速度は、以下の第2の関係式と第3の関係式とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の架線レス車両の運行支援装置。
[第1の関係式]
=(ttarget−t)+tm1
[第2の関係式]
=(tlimit−t)+tm1
[第3の関係式]
=L/V+V/2a
但し、Vは前記第1の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは現在停車中の駅から最初の信号機までの走行時間であり、tは現在停車中の駅からの発車時刻であり、ttargetは最初の信号機が次に赤から青になる時刻であり、tlimitは最初の信号機が次に青から赤になる時刻であり、tm1は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは現在停車中の駅から最初の信号機までの走行距離である。
【請求項3】
前記複数の信号機の中の第1の信号機とその次にある第2の信号機との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が前記第2の信号機で止まらないことと、前記第1の信号機を通過した後に前記一定の加速度で加減速を行うことと、前記一定の加速度による加減速を1回以下とすることと、加減速の後は前記架線レス車両が一定の第2の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、
前記第2の速度は、前記架線レス車両が最高速度で走行した場合における前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間と、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間と、前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行距離と、前記第2の信号機の情報と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の架線レス車両の運行支援装置。
【請求項4】
前記速度パターン算出手段は、前記架線レス車両が最高速度で走行すると仮定したときに前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車することになるかを判定するようになっており、
前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車することになると判定された場合、前記第2の速度は、以下の第4の関係式と第6の関係式とに基づいて算出され、
前記架線レス車両が前記第2の信号機で停車せずに通過できると判定された場合、前記第2の速度は、以下の第5の関係式と第6の関係式とに基づいて算出されることを特徴とする請求項3に記載の架線レス車両の運行支援装置。
[第4の関係式]
=(ttarget−tg1)+tm2
[第5の関係式]
=(tlimit−tg1)+tm2
[第6の関係式]
=L/V+(V−V/2aV
但し、Vは前記第2の速度であり、aは前記一定の加速度であり、Vは前記第1の信号機を通過したときの速度であり、tは前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行時間であり、tg1は前記第1の信号機を通過する時刻であり、ttargetは前記第2の信号機が次に赤から青になる時刻であり、tlimitは前記第2の信号機が次に青から赤になる時刻であり、tm2は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは前記第1の信号機から前記第2の信号機までの走行距離である。
【請求項5】
前記複数の信号機の中の最後の信号機と次駅との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、次駅に到着する際について前記一定の加速度で減速を行うことと、減速する前は前記架線レス車両が前記最後の信号機を通過した際の第3の速度で一定走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、
前記第3の速度は、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される最後の信号機から次駅までの走行時間と、最後の信号機から次駅までの走行距離と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の架線レス車両の運行支援装置。
【請求項6】
前記第3の速度は、以下の第7の関係式と第8の関係式とに基づいて算出されることを特徴とする請求項5に記載の架線レス車両の運行支援装置。
[第7の関係式]
=(t−tg2)+tm3
[第8の関係式]
=L/V+V/2a
但し、Vは前記第3の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは最後の信号機から次駅までの走行時間であり、tは次駅への到着時刻であり、tg2は最後の信号機を通過したときの時刻であり、tm3は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは最後の信号機から次駅までの走行距離である。
【請求項7】
走行中の前記架線レス車両の位置及び速度を検出する検知手段を更に備え、
前記速度パターン算出手段は、前記検知手段により検出された前記架線レス車両の現在の位置及び速度に基づいて前記第1ないし第3の速度を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の架線レス車両の運行支援装置。
【請求項8】
現在停車中の駅から次駅までの走行区間における速度パターンを算出する架線レス車両の運行支援装置において、
前記架線レス車両の運行ダイヤ情報と前記走行区間上にある次駅の情報とを予め記憶する記憶手段と、
前記運行ダイヤ情報と前記次駅の情報とに基づいて前記架線レス車両の速度パターンを算出する速度パターン算出手段とを備え、
現在停車中の駅と次駅との間の速度パターンを算出する場合、前記速度パターン算出手段は、現在停車中の駅から発車する際及び次駅に到着する際について一定の加速度で加減速を行うことと、加速と減速との間は前記架線レス車両が一定の第4の速度で走行することとを満たす速度パターンを算出するようになっており、
前記第4の速度は、前記運行ダイヤ情報を考慮して算出される現在停車中の駅から次駅までの走行時間と、現在停車中の駅から次駅までの走行距離と、前記一定の加速度とに基づいて算出されるようになっていることを特徴とする架線レス車両の運行支援装置。
【請求項9】
前記第4の速度は、以下の第9の関係式と第10の関係式とに基づいて算出されることを特徴とする請求項7に記載の架線レス車両の運行支援装置。
[第9の関係式]
=(t−t)+tm4
[第10の関係式]
=L/V+V/a
但し、Vは前記第4の速度であり、aは前記一定の加速度であり、tは現在停車中の駅から次駅までの走行時間であり、tは次駅への到着時刻であり、tは現在停車中の駅からの発車時刻であり、tm4は前記走行時間tにおけるマージンであり、Lは現在停車中の駅から次駅までの走行距離である。
【請求項10】
走行中の前記架線レス車両の位置及び速度を検出する検知手段を更に備え、
前記速度パターン算出手段は、前記検知手段により検出された前記架線レス車両の現在の位置及び速度に基づいて前記第4の速度を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の架線レス車両の運行支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126404(P2011−126404A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286088(P2009−286088)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】