説明

検体の生物検定用の使い捨て微小流体試験カセット

本発明は、チャネルによって互いにつながれたキャビティが導入されている構造体を含む、検体の定性及び/又は定量分析用試験カセットであって、該試験カセットは、検体含有試料流体を導入する少なくとも1つの入口と、検体との反応又は試料流体との混合のための少なくとも1種の試薬を貯蔵する、少なくとも1つの試薬チャンバーと、検体の検出又は定量分析のための信号を検出する少なくとも1つの検出チャンバーとを含み、前記検出チャンバーの床又は天井は、信号トランスデューサー又は信号検出用窓で構成され、前記チャネルは、流体が毛管力によって試薬チャンバー又は開口に流れ込むことができないように設計され、試薬チャンバー内の試薬及び、場合によっては、検出チャンバー内の更なる試薬は、乾燥状態で貯蔵されていることを特徴とする試験カセット関する。更に、本発明は、バイオセンサー及び/又は化学センサーによって検体を生物検定する装置であって、本発明の試験カセットと、試験カセットを位置決めする少なくとも1つのカップリング部位と、試験カセット内の試料流体を移送する少なくとも1つの手段と、少なくとも1つの温度制御ユニットとを含む装置、ならびにこの装置を操作する方法にも関する。本発明による試験カセット、装置及び方法は、検体を定性的及び/又は定量的に測定するために、環境分析、食品部門、ヒト及び獣医学的診断、ならびに農作物保護において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサー及び/又は化学センサーにより、微小流体技術に基づいて検体を生物検定するための使い捨て試験カセットと、本発明による試験カセットを含む、バイオセンサー及び/又は化学センサーにより検体を生物検定するための装置と、該試験カセットを操作する方法と、環境分析、食品部門、ヒト及び獣医学的診断及び農作物保護におけるその用途と、に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサー又は化学センサーは、信号トランスデューサー及び認識反応を使用して、検体を定性的に又は定量的に検出することができる装置である。一般的に、認識反応は、認識要素に対する/認識要素との検体の特異的結合又は反応である。
【0003】
認識反応の例として、複合体へのリガンドの結合と、イオンの複合体形成と、(生物学的)受容体、膜受容体、又はイオンチャネルへの、リガンドの結合と、抗体への抗原又はハプテンの結合と、酵素への基質の結合と、特定のタンパク質へのDNA又はRNAの結合と、DNA/RNA/PNAのハイブリダイゼーションと、又は酵素による基質のプロセシングと、がある。
【0004】
検体としては、イオン、タンパク質、天然又は合成の抗原又はハプテン、ホルモン、サイトカイン、単糖類及びオリゴ糖、代謝産物又は診断で使用される他の生化学的マーカー、酵素基質、DNA、RNA、PNA、潜在的活性化合物、薬物、細胞、ウィルスが、あり得る。
【0005】
認識要素の例としては、天然又は合成受容体、例えば、金属/金属イオンの錯化剤、シクロデキストリン、クラウンエーテル、抗体、抗体フラグメント、アンチカリン、酵素、DNA、RNA、PNA、DNA/RNA結合タンパク質、膜受容体、イオンチャネル、細胞接着タンパク質又は他のガングリオシド、酵素、単糖類又はオリゴ糖、及び7量体がある。
【0006】
これらのバイオセンサー又は化学センサーは、検体を定性的に及び/又は定量的に測定するために、環境分析、食品部門、ヒト及び獣医学的診断、ならびに農作物保護において、使用することができる。また、認識反応の特異性により、簡単な事前精製を行い又は行うことなく、複合試料、例えば、周囲空気、汚染水、又は体液中の、検体の、定性又は定量測定が可能になる。更に、バイオセンサー又は化学センサーは、2種の異なる物質の間(例えば、タンパク質、DNA、RNA又は生物学的活性物質とタンパク質、DNA、RNAとの間、など)の相互作用を研究するために、活性化合物の(生物)化学的研究及びスクリーニングにおいても、使用することができる。
【0007】
新種の電気バイオセンサーは、金属粒子、例えばナノ粒子により標識された検体の検出に基づいている。検出のために、これらの粒子を、オートメタログラフィー沈着によって、これらが微細構造回路を短絡する程度まで肥大させる。これは、簡単な直流抵抗測定によって実証される(米国特許第4,794,089号明細書;米国特許第5,137,827号明細書;米国特許第5,284,748号明細書)。近年、直流抵抗測定による核酸の検出が実証されている(R.Moller,A.Csaki,J.M.Kohler及びW.Fritzsche,Langmuir17,5426(2001))。
【0008】
電界効果トランジスタを、例えば、酵素反応のために、電子的トランスデューサーとして使用することができる(Zayatsら.Biosens,&Bioelectron.15,671(2000))。
【0009】
記載された機械的トランスデューサーは、共鳴周波数の変化を、物質添加によって実行する振動結晶である(Steinemら.Biosens.&Bioelectronics12,787(1997))。代わりの機械的トランスデューサーでは、標的吸着によって変性される表面波を、インターデジタル構造を使用して活性化する(Howeら,Biosens.&Bioelectron.15,641(2000))。
【0010】
標的分子が磁気ビーズで標識されている場合、認識反応を、ビーズの磁界特性を介して、対応する抵抗器の巨大磁気抵抗(GMR)で検出することができる(Baseltら.Biosens.and Bioelectron.13,731(1998))。
【0011】
バイオセンサー又は化学センサーを提供する、信号トランスデューサーとの、認識反応の統合は、信号トランスデューサーの表面に、認識要素又は検体を固定化することによって達成することができる。認識反応、すなわち、検体の認識要素への/認識要素との、結合又は反応の結果、信号トランスデューサーの表面上で媒質の光学特性が直接変化し(例えば、光学的屈折率、吸収、蛍光、リン光、発光その他の変化)、これを、信号トランスデューサーによって、測定信号に翻訳する。
【0012】
光学的(平面)導波路は、導波層に隣接し、通常は絶縁体である媒質の光学特性の変化を検出することができる、ある種の信号トランスデューサーである。光が導波層中を導波モードで移送される場合、光場は、媒質/導波路の界面で突然に衰えることはないが、導波路に隣接する検出媒質中で指数関数的に減少する。この指数関数的に減少する光場を、エバネッセント場と言う。隣接する媒質の屈折率と格段に異なる屈折率を有する、非常に薄い導波路を利用する場合、エバネッセント場の減衰長(1/eの値に対する光強度の低下)は、<200nmに達する。導波路に隣接する媒質の光学特性が、エバネッセント場内で、例えば、光学的屈折率(米国特許第4815843号明細書;米国特許第5442169号明細書)又は発光(米国特許第5959292号明細書;EP0759159;国際公開第96/35940号パンフレット)の変化によって、変化した場合、これを、適切な測定装置を使用して検出することができる。バイオセンサー又は化学センサーにおいて信号トランスデューサーとして導波路を使用するためには、媒質の光学特性の変化が導波路の表面の非常に近くでしか検出されないことが重大なこととなる。具体的には、認識要素又は検体を導波路の界面に固定化すれば、検出媒質(液体、固体、ガス状)の光学特性が導波路への界面で変化する場合、認識要素への結合又は認識要素の反応は、表面感知法で検出することができる。
【0013】
化学センサー及びバイオセンサーの操作を簡単にするために、これらの装置の寸法を小さくし、できれば、試料の定性及び/又は定量測定に必要な全ての試薬を、試験カセット中にいつでも使用できるように置いておく試みが、既に何年もなされている。より具体的には、微小流体技術を利用し、その目的は、対費用効果があり、貯蔵可能で、操作が容易な使い捨てカセットであって、再生結果をリアルタイムに送達することができるカセットを提供することである。
【0014】
微小流体系に関する公知の問題として、以下がある。
・検出のために検体を検出試薬と混合することは、層流の精密制御が不可能なので、最適以下である。
・層流は、試験カセットの製造又は貯蔵中に制御することが困難な表面特性、例えば、表面電荷、混入物、疎水性度、濡れなどが、変わることによって影響を受ける。
・流体の移送中に空気泡が形成される可能性がある。
・流れ、特にその容積及び速度の、精密制御が不可能である。
・側方流動における個々の反応ステップの精密な時間的制御が不可能である。
【0015】
例えば、DE102005011530には、非常に少量の検体のリアルタイム定量測定用の微小流体装置が記載されている。リアルタイム分析は、検出ユニットに流される試料によって達成される。検出ユニットは、検体、例えば抗体を獲得する検体獲得ユニットが、流路に沿って多数の検体検出ユニットに固定化されている流路で構成されている。検体は、例えば光学的信号によって、定量的に測定される。検体試料は、例えばマイクロポンプを使用して、流路に移送する。前記装置の目的は、検体獲得ユニットによって、流れの方向に獲得される検体の数を最適化することである。検出感度を落とすことなく、広い範囲(流路の長さ)で検体を定量的に測定する。この装置は、半導体技術又は微視的高精度装置−小型化され、集積され、一体化された、マイクロポンプ、マイクロ弁、センサーなど、に基づく、多数の微視的構成物で、構成されている。しかし、この装置の製造及び操作は、使い捨て試験アッセイとして可能な用途としては、複雑で高価すぎる。
【0016】
国際公開第2005/070533号パンフレットには、試料流体中の検体の濃度を測定するための微小流体装置であって、チャネル系につながれたチャンバーと、場合によっては、入口及び出口を持つ集積フィルターユニットと、を有し、封止層によって少なくとも1つの面で封止されている構造体を含む装置が、記載されている。この装置は、試料流体の少なくとも1つの成分に結合する試薬を含有し、チャンバーのカバー又は被覆粒子に固定化された反応チャンバーを有する。試料チャンバーには入口を通った試料流体が充填され、入口はカバーで閉められる。試料流体は、ポンプによって、試料チャンバーからチャネル系を通って反応チャンバーに移送される。該装置は、更に、標識流体及び洗浄流体を含有するチャネル系と、廃液を排出する放出チャネル系と、を有する。複合体チャネル系の様々な部分は、必要な場合、僅かな圧力によって破壊され得るソフトシールを使用して、封止することができる。装置内の流れの向きは、弁及びブラシ状又は弁状流体ダイオードを使用して、確保される。反応チャンバーが結合試薬と反応した後、標識流体が反応チャンバーに加えられ、試料流体の固定化されていない部分は、洗浄流体によって洗い落とされる。反応チャンバー内で、光学又は磁気信号を測定することによって、反応が検出される。光学信号は、反応チャンバーのカバーを通して測定される。前記封止層は、反応チャンバーのカバーを形成し、透明であるのが適切である。該装置により、容積及び反応時間を精密に制御することが可能になる。しかし、この装置の設計では、測定が開始される前に、反応チャンバー内で幾つかの処置が必要であり、したがって設計は手が込んでいる。使用される流体要素のため、装置は非常に複雑になり、これは、不調になりやすいこと、高価な製造コストにも反映する。流体要素を使用することにより、装置の貯蔵性も下がる。
【0017】
カセットの貯蔵性及び移送性に関しては、特に、従来技術の乾式アッセイ技術であって、カセット内の、必要な場合は別々のチャンバー内の、全ての試薬が乾燥状態で利用可能である技術が利用される。試料流体は、通常、1つのチャンバーから次のチャンバーへ、微小流体チャネルによって移送される。
【0018】
国際公開第2005/088300号パンフレットには、血液分析のための一体化された微小流体試験カセットであって、下部本体部分と上部本体部分とで構成されたカセットが記載されている。両要素は、2つの部分を結合することによって閉じたチャンバーとチャネルとで構成されている。試験カセットは、試料を調製するための1つ以上の前処理要素(前処理チャンバー又はチャネル)と、試料の1つ以上の検体を認識するための1つ以上の多層乾式アッセイ要素(検出チャンバー)と、前処理要素を多層乾式アッセイ要素につなぐ1つ以上のチャネル(平均≦3mm)と、を有する。前処理要素は、特に、必要な場合、乾燥剤を持つ、チャネル又は(マイクロ/ナノ)クッションの形態の、フィルター要素又は多孔性の要素である。試料は、先ず、前処理要素を通り、次いで多層乾式アッセイ要素に導入される。多層乾式アッセイ認識要素は、定性及び定量アッセイ用の認識要素を乾燥安定状態で持つ機能層を、少なくとも1つ有する。この試薬層は、励起可能な認識要素が、親水性ポリマーバインダー材料(ゼラチン、アガロース、その他)に、実質的に一様に分散されている吸水層で構成されている。検出は、多層乾式アッセイ要素内にある、認識反応から光学的に励起可能な流体が拡散する検出層を照射することによって、透明窓を通る反射測光により行う。試料を移送するために、例えば、毛管力又は圧力を利用する。この装置の欠点は、多層乾式アッセイ要素の設計に手が込んでいることである。容積、混合、及び温置時間の、精密制御が不可能であり、したがって、試験結果は、量的に再現性がない。
【0019】
国際公開第2005/088300号パンフレットでも国際公開第2005/070533号パンフレットでも、カセットは、反応チャンバーを照射する光源、反応チャンバーからの信号を集めるフィルター、及び検出ユニット、を有するカセットを、操作する装置に、挿入される。
【0020】
側方流動アッセイ(LFA)は、生化学分析で既に長年知られている。側方流動アッセイ(LFA)は、抗体−抗原反応の作用を利用する。更に、分析すべき試料(溶液)は、毛管力によってセンサーの表面を横断させる。LFAにより検体を検出するには、例えば、直接競合イムノアッセイをニトロセルロース片上で行い、分析すべき試料は、毛管力により、ニトロセルロース片全体の中を通り抜けさせる。抗検体抗体が固定化されている区域は、片試験の検出区域として作用する。マイコトキシン(例えば、デオキシニバレノール)を検出するLFAアッセイの例として、AccuScan読取り装置を併用するNeogen,Lansing,MI,USAのリビールアッセイ(試験カセット)がある。試験カセットを読取り装置に挿入し、該装置は、片試験の得られた範囲の写真を撮る。読取り装置は、得られた写真を翻訳し、ラインが認識された時、スコアを得る。該装置は、試験結果の主観的な翻訳を削除し、客観的で追跡可能な文書を提供する。記載された試験は、簡単で、比較的迅速に行うことができ、複雑な読取り装置を必要としない。欠点は、該方法は、定性的なマイコトキシン検出しかできない点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来技術から、検体を定性的及び/又は定量的に測定するための、生体分析、環境分析、土壌診断、食品部門、ヒト及び獣医学的診断及び農作物保護用の、費用効果があり、貯蔵可能で、操作が容易な、生化学的試験方法を行うための、装置が必要であった。本発明の更なる目的は、操作が容易で簡単な装置によって、再現性のある定量的リアルタイム測定を可能にすることである。この目的のため、本発明は、反応条件、特に容積及び時間の制御、また、最高の場合は、最適混合及び操作温度の制御を可能にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、試験方法を行うために必要な全ての試薬を乾燥状態で含む検体の定性及び/又は定量分析用の、本発明の微小流体試験カセットにより、達成される。本発明の試験カセットは、チャネルによって互いにつながれたキャビティが導入されている構造体を有する。本発明によれば、試験カセットは、検体含有試料流体を導入する少なくとも1つの入口と、検体との反応又は試料流体との混合のための少なくとも1種の試薬を貯蔵する、少なくとも1つの試薬チャンバーと、検体の検出又は定量分析のための信号を検出する少なくとも1つの検出チャンバーと、を含み、
・前記検出チャンバーの床又は天井は、信号トランスデューサー又は信号検出用窓で構成され、
・前記チャネルは、流体が毛管力によって試薬チャンバー又は開口に流れ込むことができないように設計され、
・試薬チャンバー内の試薬及び、場合によっては、検出チャンバー内の更なる試薬は、乾燥状態で貯蔵されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に照らして、正確に規定された容積の試料流体は、チャネル及びチャンバーに移送され、これは、チャネルの配置及び試料流体を移送する適切な装置の使用によって可能になる。反応時間も同様に精密に制御することができ、これは、分析の、より良好な再現性に役立つ。チャンバー及びチャネルの適切な設計により、小さな空隙容積、及び、存在する場合は、固定化検出試薬との最適な接触を伴う最適流れプロファイルが、確保される。チャンバー内では、種々の反応ステップ、例えば、試薬の再構成、試薬と試料流体との混合、試薬と検体との間の反応が、行われる。本発明では、事前の洗浄操作なしで、認識反応の後、検出ステップを直接行い、これにより、カセットの設計及びその取扱いが更に簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】試験カセット。
【図2】試験カセット、側面図。
【図3】寸法が記入された試験カセット。
【図4】試験カセットの見取り図−上からの側面投影図。
【図5】試験カセットの見取り図−下からの側面投影図。
【図6】PWGバイオチップ。
【図7】PWGバイオチップ、側面図。
【図8】PWGバイオチップの寸法
【図9】試験カセットを操作するための本発明による装置の図。
【図10】アッセイの線量−応答曲線における温度の効果。
【図11】ペルティエ要素を使用する温度制御を測定するための実験装置。
【図12】試験カセットの冷却速度のシミュレーション。
【図13】露天温度のグラフ。
【図14】マイコトキシンフモニシンに基づくアッセイの線量−応答曲線における温置時間の効果。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本体は、透明又は耐光性であってもよく、種々のポリマー材料、例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、多環式オレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、天然ゴム又はその誘導体、ポリウレタン、テフロン又は類縁体、あるいは種々の無機材料、例えば、ガラス、石英、シリコンで、構成される。POM及びポリアミドが好ましく使用される。本体は、公知の方法、例えば、機械加工(ミリング加工、その他)、射出成形、エンボス技術、ガラス/無機材料の場合は、フォトリソグラフィー/エッチング、その他の公知の方法によって、製造する。
【0026】
試験カセットは、総容積が小さく、取扱いが簡単であれば、どのような形態及び寸法も取り得る。
【0027】
チャンバー及びチャネルは、本体に組み込まれ、入口及び、通常、任意の空気穴及び/又は試料チャンバーを除いて、少なくとも1つの面が封止ユニットによって封止されているのが好ましい。
【0028】
試薬チャンバー内及び検出チャンバー内の温度は、試験カセットを操作する間中、制御されるのが有利である。
【0029】
この目的のため、試験カセットは、温度制御可能要素との接触によって、温度制御できるように構成されるのが好ましい。
【0030】
試験カセットは、任意の試料チャンバー、試薬チャンバー、及び検出チャンバーが、本体の下部側に向き合うように設計するのが好ましい。次いで、信号トランスデューサー又は検出用窓が、検出チャンバーの床を形成するのが好ましい。カセットのこの面は、好ましくは薄い封止ユニットで、より好ましくは封止フィルムで、封止されている。封止ユニットは、耐光性又は透明でも可能である。カセットが温度制御可能面上に配置される場合、温度制御されている底とチャンバー内の試料溶液との間で、迅速な温度均等化が起こり得る。
【0031】
本発明による試験カセットの好ましい実施形態では、封止ユニットは、厚さが30μm〜1000μmの範囲、好ましくは50μm〜500μmの範囲の封止フィルムである。封止フィルムは、本体上でピンと張り、曲がれないようにしっかり留めることができるものが有利である。例えば、ポリオレフィンフィルム又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)製のフィルムを、封止フィルムとして使用することができる。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、封止ユニットは、試験カセットの上部及び下部側に置かれる。これにより、本発明による試験カセットの製造が簡単になる。上部及び下部封止フィルムの厚さは、同じでも異なってもよい。
【0033】
封止ユニットは、従来技術で通常使用される結合技術、例えば、溶接、又は、必要な場合には接着剤を使用する接着結合、を使用して、本体に留めることができる。
【0034】
本発明に照らして、精密に規定された容積の液体を、ある特定の時間、チャンバー内で止め、更にその時間後に移送する。
【0035】
本発明による試験カセットでは、通常、1〜1000μl、好ましくは10〜500μl、特に好ましくは10〜250μlを移送する。
【0036】
チャンバーは、どのような形態も可能である。四角の検出チャンバー及び/又は丸い試薬チャンバーが好ましい。
【0037】
チャンバーの容積は、通常1〜1000μlの範囲、好ましくは10〜500μlの範囲である。
【0038】
試料チャンバーは典型的には丸く、その直径は、好ましくは5〜15mm、特に8〜12mmである。試薬チャンバーは通常丸く、その直径は、好ましくは5〜15mm、特に5〜10mmである。両チャンバーとも、1〜1000μlの範囲の流体容積を収容することができる。
【0039】
検出チャンバーは、通常、四角であり、その寸法は、好ましくは、幅が5〜15mmで、長さが5〜15mm、特に好ましくは、10mm×10mmであり、典型的には、1〜1000μlの範囲の流体容積を収容し、本発明によれば、該流体で完全に満たされなければならない。
【0040】
試料チャンバー、試薬チャンバー、及び検出チャンバーの、設計は、減少した空隙容積、及び、存在する場合、固定化検出試薬との最適接触を伴う最適流れプロファイル、を確保するようにすべきである。
【0041】
チャネルは、直線でも曲がっていてもよいが、曲がり角を持つ直線が好ましい。その結果、比較的長いチャネルを、カセットの限られた範囲に導入することができる。チャネルの横断面は、どのような形態も取るが、通常、丸又は四角、好ましくは丸である。チャネルの横断面の寸法は、同じでも異なってもよく、同じ寸法のチャネルの場合、横断面又は直径が、通常0.2〜3mmの範囲、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。チャネルの長さは、通常5mm〜1000mmの範囲、好ましくは5mm〜500mmの範囲である。
【0042】
本発明では、流体は、移送が時間及び容積に関し精密に規定されている、試料流体を移送する手段を、使用して移送される。前もって規定された流体容積を、1つのチャンバーから次のチャンバーに押しやるのが好ましい。
【0043】
試料流体を移送する手段は、本発明による試験カセットを操作する装置の一部であり、該装置は、同様に、本発明により提供されるものである。試料流体を移送する手段は、試験カセットを、前記装置に導入するカップリング部位に一体化されているのが更に好ましい。
【0044】
流体は、本発明による試験カセット内でのみ取り扱われ、したがって前記装置は、試料流体又は試薬と接触しないのが好ましい。
【0045】
通常,時間及び容積に関して精密に規定された空気噴射を、試料流体を移送する手段を介して、試験カセットに加える。これらの空気噴射によって、試料流体は、種々のチャネル及びキャビティを通って導かれる。
【0046】
分析すべき試料流体は、入口を通り、試験カセット、好ましくは試料チャンバーに導入される。次いで、試験カセットは、通常、1つ以上のカバーによって、気密状態で封止される。カバーは、種々の技術、例えば、接着剤結合、溶接、積層、その他により、本体に気密状態で結合されるポリマー材料又は無機材料で作ることができる。
【0047】
試験カセットの特定の一実施形態では、試薬チャンバー内の試薬は、(吸着、固定化、分散、乾燥されて)試薬が取込まれている試薬パッドの形態の、例えば微粒子又は繊維の、繊維状又は多孔性材料に、貯蔵されている。
【0048】
試薬パッドは、必要な上澄液の流体容積、及び、この溶液中の個々の成分の濃度に関し、検出チャンバーの要件を満たすように選択される。
【0049】
試薬パッドは、ガラス又は例えばセルロースのようなポリマーで構成されるのが好ましい。試薬パッドは、側方流動試験でも使用される試薬パッド、及び種々の形態で市販されている試薬パッドが、適切である。この試薬チャンバーを満たすために、例えば、Pall社の極厚ガラスフィルター(孔径:1μm、代表的な厚さ:1270μm(50ミル)、代表的な水の流速:30kPaで210ml/分/cm)であって、互いに重ねられた、直径が合う2枚の円形フィルター片を有する試薬パッドが、選択される。
【0050】
試薬チャンバーの試薬は、典型的には
・認識反応に使用される、標識された又は標識されていない認識要素、特に天然又は合成の受容体、例えば、金属/金属イオン、シクロデキストリン、クラウンエーテル、抗体、抗体フラグメント、アンチカリン、酵素、DNA、RNA、PNA、DNA/RNA結合タンパク質、膜受容体、イオンチャネル、細胞接着タンパク質、又はその他ガングリオシド、酵素、単糖類又はオリゴ糖、及び7量体の錯化剤、及び/又は
・標識された又は標識されていない検体、例えば、イオン、タンパク質、天然又は合成の抗原又はハプテン、ホルモン、サイトカイン、単糖類及びオリゴ糖、代謝産物、又は診断に使用される他の生化学的マーカー、酵素基質、DNA、RNA、PNA、潜在的活性化合物、薬物、細胞、ウィルスである。
【0051】
より具体的には、標識抗体は認識要素として使用される。
【0052】
必要な場合は、認識要素と検体との反応に必要な又は有利な補助因子又は更なる化学物質を、同様にして、試薬チャンバーに貯蔵する。
【0053】
場合によっては、試薬チャンバーは、試薬パッドに対する試薬の含浸又は放出を支援するために、試薬間の非特異的相互作用を抑制する補助物質、例えば、界面活性剤、脂質、バイオポリマー、ポリエチレングリコール、生体分子、タンパク質、ペプチドのような表面活性物質も、含有する。
【0054】
試薬が事前に規定された濃度で置かれ、カセットの操作の間、これらの放出の再現性が確保されているのが、好ましい。
【0055】
試薬パッドには、通常、試薬を10−3M〜10−15Mの範囲の濃度、好ましくはナノモル濃度、及び、通常補助物質を15重量%〜0.1ppbの量で、含有する約50〜500μlの溶液が、含浸されている。含浸は、例えば、乾燥又は凍結乾燥によって行われる。
【0056】
試料流体を移送する手段は、試料流体が試薬チャンバーに流れ込み、試薬パッドを完全に濡らすように、試料流体を移す。
【0057】
検体含有試料流体の試薬チャンバーへの導入の結果、試薬は、溶解して検体と反応し、又は試料流体と完全に混合する。
【0058】
驚くべきことに、規定された試料容積(規定された空気噴射による)を持つ試薬パッドの濡れが速い−通常、1ms〜10s、好ましくは約500ms〜5s、特に好ましくは1s−結果により、試薬が、試料流体に溶解し(再構成され)、試料流体と最適に混合されるばかりでなく、試料流体中の試薬の濃度も非常に高い再現性で設定されることが発見された。これにより、試料容積中の検体の定量測定を行うことが可能になる。試薬パッドが濡れた後、規定された時間(前温置時間)、例えば、生化学的反応が終わるまで、又は、ある反応温度に達するまで、置いておくことができる。
【0059】
更に規定された空気噴射で、溶解試薬を含む試料容積を、更にチャネルを介して、検出チャンバーに移送する。
【0060】
試験カセット内の試料流体は、試薬チャンバーの前でろ過して、細胞、血液成分、又は他の生物、有機又は無機粒子を除去することが好ましい。この目的のため、例えば(マイクロ)クッション又はチャネル形状のガラス繊維又は多孔性材料、ガラスろ紙又は膜で造られた1つ以上のろ過ユニットを試験カセットに組込むことができる。ろ過ユニットは、試料流体から、好ましくは0.2〜100μmの範囲の粒子、特に0.5〜15μmの範囲の粒子を除去することができる。
【0061】
換気口(複数を含む)を介して全チャネル系の換気を行うのが好ましい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、検出は、検出チャンバー内に床として組み入れられた信号トランスデューサー(センサープラットホーム、バイオチップ)を介して、行われる。この場合、封止ユニットが、検出チャンバーを除いて、カセットの全下部側に置かれる。
【0063】
信号トランスデューサーの表面には、通常、1つ以上の分離した測定領域が規定され、ここに、1つ以上の試料内の検体を検出する更なる結合パートナーが固定化されている。検出チャンバーでは、固定化された結合パートナーと検体との間のバイオチップの表面で、生化学的反応が起こる。標識反応パートナーは、検出チャンバー内で励起され、発生した信号が検出され、検体の定量のため使用される。
【0064】
検出のためには、種々のバイオチップ、例えば、表面プラスモン共鳴、平面導波路、水晶振動子、電界発光を、使用することができ、種々の方法、例えば、バイオチップの表面への結合による屈折率変化の測定を使用することができる(例えば、国際公開第02/20873号パンフレット及びEP1316594参照)。
【0065】
検出チャンバー内の反応は、例えば、
・固定化結合パートナー(認識要素)への(検出可能な)検体の直接結合;
・固定化結合パートナー(認識要素)への検体の直接結合、及び、反応溶液からの第二又は複数の試薬による検体の標識化、(ここで、該試薬は、光学的又は電気的に検出することができる)(サンドウィッチアッセイ);
・固定化結合パートナー(認識要素)への検出可能な試薬の結合(ここで、該試薬は、溶液内の検体と競合する)(競合アッセイ)がある。
【0066】
本発明による試験カセットの特に好ましい実施形態では、使用されるバイオチップは、層(a)より低い屈折率を持つ光学的に透明な第二層(b)に、光学的に透明な第一層(a)を有する、平面薄膜導波路であって、第一光学層(a)又は第二光学的層(b)内の1個以上のインカップリング要素が、励起光の通路に対して垂直に配向して導入され、薄膜導波路内の励起光は、1つ以上のインカップリング要素を介して送り込まれ、及び、場合によってはアウトカップリング要素を介して送り出される、平面薄膜導波路である。
【0067】
本発明では、インカップリング要素として、同じ時間及び/又は変調度の、格子構造を利用するのが好ましい。
【0068】
センサープラットホームの表面上には、代わりに、1つ以上の物理的吸収又は静電作用によって検体を直接検出する反応パートナーが、透明光学接着促進層によって固定化されるのが好ましい。結合パートナーは、空間的に分離した測定領域内のセンサープラットホームの表面に選択的に置かれ、及び、測定領域の間の範囲は、非特異的結合を抑制するために、不動態化されているのが好ましい。
【0069】
空間的に分離した測定領域内のセンサープラットホームの表面に、結合パートナーを選択的に置くためには、インクジェットスポッティング;ピン又はペンによる機械的スポッティング;マイクロコンタクトプリンティング;圧力差、電位差、又は電磁ポテンシャルの影響下での、平行又は交叉するマイクロチャネルへの送達による、測定領域と、生物学的、生化学的、又は合成認識要素との、流体接触;からなる群の1つ以上の方法を利用することができる。
【0070】
センサープラットホーム及び対応する検出方法の種々の実施形態が、例えば、国際公開第95/33197号パンフレット、国際公開第95/33198号パンフレット、国際公開第97/373211号パンフレット、又は国際公開第200113096号パンフレットに記載されている。センサープラットホーム及び対応する検出方法の種々の実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
試験カセットの特定の実施形態では、試料流体の1種以上の検体に特異的に結合する検出可能な認識要素を、試薬チャンバー内に、前もって規定された濃度で、供給する。試薬チャンバーへの検体含有試料流体の導入の結果、認識要素は、溶解し、検体に特異的に結合する(検体−認識要素複合体)。ここで、試料流体内の検体の量が増加するに従って、認識要素の遊離の結合部位は、ますます飽和することになる。
【0072】
更なる空気噴射の結果、検体−認識要素複合体及び遊離の結合部位を有する任意の認識要素は、信号トランスデューサー上の固定化結合パートナー、例えば、検体−タンパク質複合体、より具体的には検体−BSA複合体に、到達する。遊離の結合部位を有する認識要素は、対応する固定化検体−タンパク質複合体に特異的に結合する。
【0073】
遊離の結合部位を有する検出可能な認識要素が溶液中により多く存在するほど、すなわち、試料流体内の対応する検体の比率が低いほど、検出可能な認識要素はチップにより多く結合することとなる。試料流体からの検体で飽和した認識要素は、溶液内に残る。電磁放射がバイオチップに送り込まれる結果、標識され且つ固定化検体タンパク質複合体に結合された認識要素は、導波路のエバネッセント場内で励起され得る。溶液内に配置された、標識認識要素は、このプロセスでは励起されない。この方法で、試料流体内に存在する検体の間接定量化が可能である。
【0074】
検出可能な認識要素とマイコトキシン検出用の固定化結合パートナーとの組合せは、国際公開第2007/079893号パンフレットに記載され、該公報の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0075】
本発明による試験カセットの更なる実施形態では、検出チャンバーの床は、検出チャンバー内で進む生化学的反応を検出することができる透明窓である。透明窓は、この場合、透明でなければならず、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)で構成される封止フィルム、又は、独立した要素、によって形成することができる。この場合、窓は、好ましくは、使用する光に対して透明なガラス又はプラスチックで構成され、検出チャンバーを除いて、試験カセットの一面上に、封止ユニットによって留められる。
【0076】
この実施形態では、試薬を試薬チャンバー内にのみ貯蔵するのが好ましく、そこで、試料流体との混合を検出チャンバーへの移送前に行う。
【0077】
通常、測定すべき検体の濃度に応じて、そのスペクトル特性、例えば、光学的に検出することができる吸光度、発光、蛍光などを変えるように、溶液中の試薬を変換する。あるいは、測定すべき検体の濃度に応じて、検出試薬がそのスペクトル特性、例えば、光学的に検出することができる吸光度、発光、蛍光、電界発光、電気静電容量などを変えるように、溶液中の検出試薬を、更なる試薬又は該検体そのものに結合する。
【0078】
更なる実施形態では、検出チャンバー内に、検出チャンバー内の生化学的反応の進行を検出することができる、1種以上の信号トランスデューサーが、配置されている。この実施形態では、窓は、透明又は耐光性であり得る。ここで、試薬も、同様に、試薬チャンバー内にのみ貯蔵されることが好ましく、そこで、試料流体との混合を検出チャンバーへの移送前に行う。
【0079】
この場合、測定すべき検体の濃度に応じて、その物質特性、例えば、信号トランスデューサーによって検出することができる、吸光度、発光、蛍光、電界発光、静電容量、導電性、pH、質量などを変えるように、溶液中の試薬を変換する。あるいは、測定すべき検体の濃度に応じて、検出試薬がそのスペクトル特性、例えば、信号トランスデューサーによって検出することができる吸光度、発光、蛍光、電界発光、電気静電容量、導電性、pH、質量などを変えるように、溶液中の検出試薬を、更なる試薬又は該検体そのものに結合する。
【0080】
検出チャンバーの床としての光学信号を検出する透明窓と検出チャンバー内の更なる信号トランスデューサーとの組合せも、同様に、本発明の内容に照らして、可能である。
【0081】
本発明の更なる実施形態では、各試験カセットは、好ましくは試験カセットを説明するための以下の情報を含むバーコードを持つ。
・アッセイのタイプ
・製造バッチ/ロット番号・日付
・有効期限
・測定領域の形状を記載するスポットアレイ形状コード化
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、本発明によって提供されるのと同じように、本発明による試験カセットを含むバイオセンサー及び/又は化学センサーを用いる検体の生物検定装置によって、この情報を読取り、使用する。
【0083】
ある用途のためには、種々の検出反応が、1つの試験カセットで同時に行えるように、試験カセットが、互いに隣り合う2つ以上のチャネル及びチャンバー系を有することが有利である。
【0084】
更に、本発明は、バイオセンサー及び/又は化学センサーによって検体を生物検定する装置であって、本発明による試験カセットと、少なくとも1つの本発明による試験カセットを位置決めする1つのカップリング部位と、少なくとも1つの試験カセット内の試料流体を移送する手段と、を含む装置を提供する。本発明による装置は、最適な再現性のある結果を確保するために、試験カセット内で操作温度を制御する少なくとも1つの温度制御ユニットも有する。
【0085】
本発明による装置の好ましい実施形態では、温度制御ユニットは、少なくとも1つの平面温度制御可能要素を有し、該要素には、温度制御された支持体とチャンバー内の試料溶液との間の温度均等化を素早く行うことができるように、本発明による試験カセットの薄肉側が配置されている。例えば、ペルティエ(Peltier)又は支持体の温度制御用のカートリッジ要素を利用することができる。
【0086】
理想的には、温度制御ユニットはコンピューター制御され、温度は、試験カセットの操作の間中一定に保たれる。試験カセットは、20〜37℃、好ましくは25℃付近の温度で操作されるのが好ましい。
【0087】
温度制御に関し、光学検出を損なう可能性のある試験カセットでの濃縮が起こらないように気をつけることが好ましい。試験カセットの温度、室温及び特定の周囲空気の湿度に注意を払うべきである(図13:露天温度のグラフ)。本発明による装置は、15〜40℃の温度及び65%の相対空気湿度で操作するのが好ましい。
【0088】
通常、カップリング部位は、反応を開始する機械的な制動装置、すなわち、試料流体を移送する手段を使用する空気噴射、及び/又は、試験カセット内の温度制御ユニットによる温度制御、を備える。
【0089】
本発明の特定の実施形態では、本発明による装置は、少なくとも1つの励起光源、より具体的にはレーザーと、本発明による試験カセットの検出チャンバー内に生化学的反応を検出する少なくとも1つの読出しユニットと、を含む少なくとも1つの光学ユニットも、含む。
【0090】
読出しユニットは、例えば、CCDカメラ、CCDチップ、フォトダイオードアレイ、アバランシェ・ダイオード・アレイ、マルチチャネルプレート、及びマルチチャネル光電子倍増管からなる群からの、空間分解検出器が好ましい。
【0091】
通常、光学ユニットは、励起光を形作る、より具体的には、励起光に焦点を合わせる、分割する、方向を変える、及び方向付けるための、鏡、プリズム、及び/又はレンズも、有する。
【0092】
PWGセンサープラットホームを有する試験カセットを操作するためには、励起通路をモニターし調節する、より具体的には、格子構造に対する入射角及び位置に関し、レーザービームを位置決めすることによって、カップリングパラメーターを最適化するゴニオメーターを、光学ユニットに一体化することが有利である。レーザービームの精密な設定により、PWGセンサープラットホームから散乱される光の強度が最大になる。
【0093】
試験カセットも、同様に、固定化ユニットによりカップリング部位内に精密に保持されるのが好ましい。
【0094】
PWGセンサープラットホームを有する試験カセットを使用する場合、格子に平行に100μmの精度及びPWGチップの表面に垂直に200μmの精度が好ましい。第二位置決めは、50μmの分解能でインカップリング調整する間に設定する。信号の質は、センサープラットホームのレーザービームに対する正確な位置決めに依存することは言及されるべきであり、したがって許容限界を観察すべきである。
【0095】
通常、試験カセットは、例えば、シリコーンカバーで封止され、試料流体を移送する手段は、例えば、圧力サージ、シリンジ、プランジャー、又はポンプであり、好ましくはポンプであり、該手段が、第一容積の空気を試験カセットに押し込む。該空気圧により、試料流体は、試料チャンバーから試薬チャンバーへ移送され、試薬パッドを濡らす。これにより前温置フェーズが開始され、その間、例えば、試料の毒物が蛍光抗体と反応する。前温置時間は、反応パートナーにより、通常1〜20分の範囲、好ましくは3〜7分の範囲である。通常、前温置時間が延ばされると、より強い信号が発生する。前温置時間は、3秒の精度で制御されるのが好ましい。更なるステップで、試料流体を移送する手段は、第二の前もって規定された容積の空気を、試験カセットに押し込み、それによって、更に試料流体の移送が起こり、場合によっては、フィルターを通り、チャネル及び検出チャンバーに移送される。主たる温置はここで起こり、通常1〜100分かかる。
【0096】
検出は、±5秒の精度で、1〜30分後、好ましくは5〜15分後に行うのが好ましい。この目的のため、レーザービームは、例えば、センサープラットホームの表面上の検出チャンバーに導かれ、発生した蛍光は、読出しユニットによって自記される。通常、反応は、まだ平衡に達していない。したがって、測定の再現性を確保するために、それぞれのステップの持続時間は、精密に順守されるのが好ましい。
【0097】
本発明による装置は、試料流体を移送する手段、及び/又は、温度制御ユニット、及び/又は、光学ユニット、及び、固定ユニットによりカップリング部位内の試験カセットの関連した位置決め、及び、生化学的反応パラメーター、例えば、温置時間/温度、反応時間/温度、その他の制御及び設定、を自動的に制御する制御ユニットを、有するのが好ましい。制御ユニットは、較正曲線を参照して分析値を計算して表示する計算要素も、有する。
【0098】
通常、本発明による装置は、以下のように操作される。
1.使用者が試験カセットをカップリング部位に挿入する。
2.使用者は、解除ボタンを押し、本発明による装置を始動する。
本発明による装置では、制御ユニットにより、以下のステップは自動的に行われる。
3.温度制御ユニットが、例えば、25℃の温度に達するまで試験カセットを加熱し、そこに保つ。
4.集積平面導波路を有するカセットを使用する場合、カップリング条件が最適化される。レーザーの位置決めは、ゴニオメーターを使用して設定する。
5.試料流体を移送する手段が、試料流体を試薬チャンバーに移送する。前温置が開始される。
6.試料流体を移送する手段が、試料流体を検出チャンバーに移送する。主たる温置が開始される。
7.カップリング条件を微調整する。屈折率(ステップ5の空気、現在は水溶液)の変化による、1°の角度補正を考慮に入れる。
8.レーザービームのスイッチを入れ、得られた信号は、読出しユニットによって自記される。
【0099】
更に、本発明は、本発明による試験カセットを操作する方法であって、以下のステップを特徴とする方法を提供する。
A.検体含有試料を試験カセットへ導入するステップと、
B.試料流体を移送する手段によって、試料流体を試薬チャンバーへ移送するステップと、
C.試薬チャンバー内で試薬パッドを濡らし、そこに置かれた試薬を溶解するステップであって、試薬パッドが完全に濡れることになり、その濡れ速度が制御され、その速度が好ましくは1ms〜10sの範囲であるステップと、
D.場合によっては、前温置するステップであって、前温置時間が好ましくは3秒の精度で制御されているステップと、
E.試料流体を移送する手段によって検出チャンバーに移送するステップであって、検出チャンバーが完全に満たされることになるステップと、
F.場合によっては、検出チャンバー内に置かれた(温置)試薬との、1種以上の検体の定量測定に使用される生化学的反応のステップであって、温置時間が制御されているステップと、次いで
G.検出チャンバー内の試料流体のスペクトル特性及び/又は物質特性の変化を、励起して測定するステップと、
H.較正曲線を参照することにより検体値を、計算して表示するステップ。
【0100】
本方法の再現性のためには、精密に規定された容積の試料流体を移送するのが好ましい。また、操作の間中、温度制御ユニットを使用して、試薬チャンバー内及び検出チャンバー内のカセットの温度を制御するのが有利である。
【0101】
他の試験カセットを使用する方法を繰り返す場合、結果の再現性のためには、パラメーター、より具体的には、容積、時間(移送及び温置時間)、及び/又は温度を、規定し、且つ、制御ユニットによって自動的に制御するのが、好ましい。
【0102】
本発明の大きな利点は、新規な微小流体試験カセットを使用して分析を行う人間が、分析のためのどのような定量的プロセスステップも行わなくてよい、例えば、試料容積の正確な分配、及び、試薬の正確な分配を、行わなくてもよいことである。
【0103】
その結果、分析の専門家ではない人間でも生化学的試験方法を行うことができる。更なる利点は、試験を開始する前に、流体を試験カセットに貯蔵するのではなく、乾燥試薬を挿入するだけであることである。該系の主な利点は、試料溶液は別として、更なる流体を加える必要はなく、本方法を簡単に行うようにすることである。分析の終わった時、試料流体は試験カセット内に残り、したがって、有毒な又は伝染性の物質による環境への危険が起こる可能性がない。この試験カセットを使い捨てカセットとして使用することにより、簡単な設計、したがって低い製造コストによって、経済的に実行可能なものとなる。
【0104】
検体を定性的及び/又は定量的に測定するために、本発明による試験カセット、該試験カセットを操作する装置、及び試験カセットを操作する方法を、環境分析、食品部門、ヒト及び獣医学的診断、ならびに農作物保護に使用することは、同様に、本発明によって提供されるものである。
【0105】
前記用途の例として、親和性スクリーニング及び研究におけるリアルタイム結合研究及び動態パラメーターの測定のために;定性及び定量検体測定、より具体的には、DNA及びRNA分析及び一塩基多型のようなゲノム内のゲノム又はプロテオミクスの相違の測定のため、例えば、タンパク質DNA相互作用を測定するために;mRNA発現及びタンパク質(生)合成の制御メカニズムを測定するために;毒性研究のため、発現プロファイルを測定するため、より具体的には、生物学的及び化学的マーカー物質、例えば、mRNA、タンパク質、ペプチド、又は低分子量有機(メッセンジャー)物質を測定するため、ならびに医薬製品の研究開発、ヒト及び獣医学的診断、農薬製品の研究開発、症候性及び前駆症状性植物診断において、抗体、抗原、病原体、又は細菌を検出するために;医薬製品開発における患者の層別化のため、及び薬物の治療のための選択のために;特に食物及び環境分析における、病原体、有害物質及び病原菌、より具体的には、サルモネラ、プリオン、ウィルス、及び細菌の検出のために、薬剤研究、コンビナトリアルケミストリ、臨床及び前臨床開発において、スクリーニング方法で、化学、生化学、又は生物検体を、定量及び/又は定性測定することである。
【0106】
本発明による試験カセットの特定の実施形態を、図1〜6に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0107】
試験カセット1は、構造体2から構成され、その中にチャネル及びキャビティが導入されている。この本体には、その上部及び下部側に封止フィルム5が備えられ、構造体の種々のキャビティ及びチャネルが、密封状態で封止される結果となる(開口3、19及び20は除外される)。
【0108】
例えば、本発明による試験カセットは、射出成形法を使用して製造された。本体は、黒いポリオキシメチレン(POM)製のプレートで構成され、その中にチャネル及びチャンバーが、ドリルで穴が開けられ及び平坦にされ、形成されている。
【0109】
試験カセット1は、検出すべき検体を含有する試料流体を試験カセット1に取込むための入口3と、試料流体がチャネル6を介して移送される試薬チャンバー7と、検体が更なるチャネル6を介して移送され、PWGバイオチップ10を含む検出チャンバー9と、を備える。
【0110】
試料チャンバー4は、直径が10mmの円形である。試薬チャンバー7は、直径が8mmの円形である。検出チャンバー9は、寸法が10mm×10mmの四角である。チャネル6は、直径1mmの円形の横断面を有する。
【0111】
試薬チャンバー7では、試料流体からの検体に特異的な蛍光色素標識抗体が、試薬パッド8に含浸されて置かれている。
【0112】
試薬パッド8は、直径8mmの互いに重ねられた2枚の円形フィルター片を備えた、Pall社の極厚ガラスフィルター(孔径:1μm、代表的な厚さ、1270μm(50ミル)、代表的な水の流速:30kPaで210ml/分/cm)で、構成されている。
【0113】
PWGバイオチップ10及び試薬パッド8は両方とも、POMプレート2中の2枚のポリオレフィンフィルムの間に保持され、フィルムは、試験カセットを封止するための封止フィルム5としても作用する。該フィルムは、PWGバイオチップ10の領域内に、PWGバイオチップ10の測定領域に自由に近づくことができる窓21を、有する。上部封止フィルム5の厚さは180μmであり、下部封止フィルム5の厚さは80μmである。
【0114】
試験の開始時に、試料流体は、試料チャンバー4に導入され、適切なシリコーンカバーにより、気密状態で封止される。流体は、試料チャンバー4内及び隣接するチャネル6内に分配され、これらは、流体が毛管力により試薬チャンバー7や入口3に流れ込まないように設計されている。移送ユニットによって、規定された容積の空気を、入口から、チャネル6を介して試料チャンバー4に導入する。この容量の空気により、試薬チャンバー7に流れて、試薬パッド8を完全に濡らすように、試料流体が動かされる。
【0115】
試料流体が試薬チャンバー7に導入された結果、抗体は溶解し、試料流体内に存在する検体(検体−抗体複合体)に特異的に結合する。試料流体内の検体の量が増加するに従って、抗体の遊離の結合部位が、ますます飽和し始める。
【0116】
25℃の温度でのある保持時間(10分)の後、検体−抗体複合体を含有する試料流体は、更に規定された空気噴射によって、次のステップの検出チャンバー9に移送される。検出チャンバー9は、試料流体で完全に満たされる。
【0117】
全チャネル系の換気は、上部封止フィルムに置かれた換気孔(複数を含む)20により行う。
【0118】
検出チャンバー9はPWGバイオチップ10を含む。PWGバイオチップ10の図を図6(上面)及び図7(側面図)に示す。
【0119】
検出チャンバー9で、生化学的検出反応の経過及び終点が検出される。
【0120】
検出チャンバー9内のPWGバイオチップ10は、例えば、厚さ0.7mmの10mm×12mm(12.0±0.05mm×10.0±0.05mm×0.70±0.05mm)ガラス板で構成されている。チップの一面には、Ta(五酸化タンタル)製の155nmの薄い導波層12がある。チップの測定領域は、中央に、10mm×6mmの長方形の検出範囲を含む。この検出範囲に平行に、500μm幅の三日月形のバンド:励起光にカップリングするための格子11がある。PWGバイオチップ10の端部に対する格子11の位置決め精度は、±0.05mmである。格子深さは18nmであり、格子周期は318nmであり、デューティーサイクルは0.5である。
【0121】
薄い導波層12の上には、リン酸ドデシル製の単層が、接着促進層13として置かれている。接着促進層13上には、検体−BSA複合体が、アレイ15の形態で、吸着して置かれている/固定化されている。検体−BSA複合体スポット16と参照スポット17との間の自由域は、BSA14でブロックされる(不動態化)。
【0122】
検出チャンバー9では、検体−抗体複合体及び遊離の結合部位を有する任意の抗体が、PWGバイオチップ10上の固定化された検体−BSA複合体スポット16に到達する。遊離の結合部位を有する抗体は、対応する固定化検体−BSA複合体に特異的に結合する。遊離の結合部位を有する抗体がより多く溶液中に存在するほど、すなわち、試料流体中の対応する検体の比率が低いほど、より多くの蛍光色素標識抗体が、PWGバイオチップ10に結合し始める。試料流体中の検体で飽和された抗体は、溶液中に残る。
【0123】
薄膜導波路12への電磁放射のカップリングの結果、蛍光色素で標識され且つ固定化検体−BSA複合体に結合する抗体が、励起され、薄膜導波路12のエバネッセント場で蛍光を発光することができる。蛍光色素で標識され且つ溶液中に置かれた抗体は、この溶液中では励起されない。この方法で、試料流体内に存在する検体の間接的な定量化が可能になる。
【0124】
試験カセットを操作するための本発明による装置の特定の実施形態を、図9に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0125】
本発明の試験カセットを操作する装置は、本発明の試験カセット1を位置決めする支持体30、を有するカップリング部位を含む。PWGバイオチップ10の下には、支持体30に窓31がある。また、該装置は、試験カセット1に試料流体を移送する手段32と、温度制御要素33と、を含む。図9では、温度制御要素33は、接触によって支持体30の温度を制御し、該支持体は、次に、試験カセット1に設定温度を伝える。
【0126】
また、本発明の装置は、光学ユニット内に、可動式レーザー37と、試験カセット1の検出チャンバー内の生化学的反応を検出する、少なくとも1個のCCDカメラ35と、を含む。また、光学ユニットは、可動式鏡36及びフィルター付きレンズ34も含む。更に、励起光を形成する、より具体的には、励起光の焦点を合わせる、分割する、方向を変える、及び方向付けるための、プリズム及び/又はレンズが、可能であり、また、励起通路をモニターし、調節する、より具体的には、PWGバイオチップ10の格子構造に対する入射角及び位置決めに関し、レーザービームを位置決めすることにより、カップリングパラメーターを最適化するゴニオメーターも、可能である(図9には示されず)。レーザービームの精密な設定によって、PWGバイオチップ10から散乱された光の強度を最大にする。
【0127】
レーザービーム(図9参照)は、試験カセット1のPWGチップ10に反射する。
【0128】
光励起の結果、得られる蛍光写真は、光学窓31を通して、CCDカメラ35によって感知される。
【0129】
また、カップリング部位は、試験カセット内で反応を開始する機械的な制動装置も含む。
【0130】
最適な、再現性のある結果を確保するため、温度制御ユニット33により、試験カセット1内の操作温度を調整する。制動装置の作動によりスイッチを入れ、カセットを開始するのが典型的である。
【0131】
試験カセットは25℃±2K付近の温度で操作されるのが好ましい。図10にアッセイの線量−応答曲線における温度の効果を示す。図11にペルティエ要素を使用する温度制御を測定するための実験装置を示し、図12に試験カセットの冷却速度のシミュレーションを示す。
【0132】
試料流体を移送する手段32は、時間及び容積に関して精密に規定された空気噴射を、封止された試験カセットに導入する。これらの空気噴射を使用して、試料流体は、種々のチャネル6及びキャビティを通って運ばれ、種々の反応ステップ、例えば、試薬の再構成、試薬と試料との混合、その他は、そこで行われる。
【0133】
試験カセット1はシリコーンカバー21で封止され、試料流体を移送する手段32(ポンプ)は、第一容積の空気を試験カセット1に押し込む。該空気圧により、試料流体は、試料チャンバー4から試薬チャンバー7に移送され、試薬パッド8を濡らす。これにより前温置フェーズが開始され、その間、例えば、試料の毒物が蛍光抗体と反応する。前温置時間は、反応パートナーにより、通常2〜5分±3秒の範囲である。通常、前温置時間が延ばされると、より強い信号が発生する。図14に、マイコトキシンフモニシンに基づくアッセイの線量−応答曲線における温置時間の効果を示す。更なるステップで、試料流体を移送する手段32は、第二の前もって規定された容積の空気を、試験カセット1に押し込み、それによって、更に試料流体の移送が起こり、場合によってはフィルターを通り、チャネル6及び検出チャンバー9に移送され、ここで、主たる温置が行われる。検出は、±5秒の精度で10分後に行うのが好ましい。この目的のため、レーザービームは、PWGバイオチップ10の表面上の検出チャンバー9に導かれ、発生した蛍光は、CCDカメラ35によって記録される。通常、反応はまだ平衡に達していない。それぞれのステップの持続時間は、精密に順守される。
【0134】
検体値は、制御ユニット38の計算要素によって較正曲線を参照して計算され、表示される。
【0135】
他の試験カセットを使用する方法を繰り返す場合、結果の再現性のためには、パラメーター、より具体的には容積、時間(移送及び温置時間)及び/又は温度を規定し、装置のそれぞれの要素を制御ユニット38によって自動的に制御する。
【符号の説明】
【0136】
1 試験カセット
2 構造体
3 入口
4 試料チャンバー
5 封止フィルム
6 チャネル
7 試薬チャンバー
8 試薬パッド
9 検出チャンバー
10 PWGバイオチップ
11 格子
12 ガラス板(図示せず)上の薄い導波層
13 接着促進層
14 BSA
15 アレイ
16 マイコトキシン−BSA複合体スポット
17 参照スポット
18 空気チャネル
19 空孔
20 換気孔
21 封止フィルムの窓
22 換気チャネル
30 支持体
31 光学窓
32 試料流体を移送する手段
33 温度制御要素−ペルティエ又はカートリッジ要素
34 フィルター付きレンズ
35 CCDカメラ
36 可動式鏡
37 可動式レーザー
38 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネルによって互いにつながれたキャビティが導入されている構造体を含む、検体の定性及び/又は定量分析用の試験カセットであって、該試験カセットは、
・検体含有試料流体を導入する少なくとも1つの入口と、
・検体との反応又は試料流体との混合のための、少なくとも1種の試薬を貯蔵する、少なくとも1つの試薬チャンバーと、
・検体の検出又は定量分析のための信号を検出する、少なくとも1つの検出チャンバーと、を含み、
・前記検出チャンバーの床又は天井が、信号トランスデューサー又は信号検出用窓で構成され、
・前記チャネルが、流体が毛管力によって試薬チャンバー又は開口に流れ込むことができないように、設計され、
・試薬チャンバー内の試薬及び、場合によっては、検出チャンバー内の更なる試薬が、乾燥状態で貯蔵されていることを特徴とする試験カセット。
【請求項2】
試薬チャンバー内の試薬が、試薬パッドに置かれることを特徴とする請求項1に記載の試験カセット。
【請求項3】
本体の少なくとも1面が、封止ユニットによって封止されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験カセット。
【請求項4】
封止ユニットが封止フィルムであることを特徴とする請求項3に記載の試験カセット。
【請求項5】
封止ユニットの厚さが、30μm〜1000μmであることを特徴とする請求項4に記載の試験カセット。
【請求項6】
試薬チャンバー及び検出チャンバーが、本体の下部側に収容されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の試験カセット。
【請求項7】
信号トランスデューサー又は信号検出用窓が、検出チャンバーの床を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の試験カセット。
【請求項8】
検出チャンバーの床が信号トランスデューサーであり、該信号トランスデューサー上に、1つ以上の分離した測定領域が規定され、その上に、試料中の検体を検出する更なる結合パートナーが1つ以上固定化されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の試験カセット。
【請求項9】
信号トランスデューサーが、平面導波路であることを特徴とする請求項8に記載の試験カセット。
【請求項10】
バイオセンサー及び/又は化学センサーによって検体を生物検定する装置であって、請求項1〜9のいずれか1つに記載の試験カセットと、試験カセットを位置決めする、少なくとも1つのカップリング部位と、試験カセット内の試料流体を移送する少なくとも1つの手段と、少なくとも1つの温度制御ユニットと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
温度制御ユニットが、試験カセットの下部側に接触する、少なくとも1つの平面温度制御可能要素を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
平面温度制御可能要素の温度が、ペルティエ又はカートリッジ要素によって制御されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
装置が、検出チャンバー内にある試料流体の、少なくとも1つの励起源と、検出チャンバー内にある信号を検出する、少なくとも1つの読出しユニットと、場合によっては、鏡、プリズム、及び/又はレンズと、を含む光学ユニットを、有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
装置が、試料流体を移送する手段及び/又は温度制御ユニット及び/又は光学ユニットを、自動的に制御する制御ユニットを、有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1つに記載の装置を操作する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする方法。
A.検体含有試料を試験カセットへ導入するステップと、
B.試料流体を移送する手段によって、試料流体を試薬チャンバーへ移送するステップと、
C.試薬チャンバー内で試薬パッドを濡らし、そこに置かれた試薬を溶解するステップであって、試薬パッドが完全に濡れることになり、その濡れ速度が制御されているステップと、
D.場合によっては、前温置するステップであって、前温置時間が制御されているステップと、
E.試料流体を移送する手段によって検出チャンバーに移送するステップであって、検出チャンバーが完全に満たされることになるステップと、
F.場合によっては、検出チャンバー内に置かれた、1種以上の検体の定量測定に使用される試薬との生化学的反応(温置)のステップであって、温置時間が制御されているステップと、次いで
G.検出チャンバー内の試料流体のスペクトル特性及び/又は物質特性の変化を、励起して測定するステップと、
H.較正曲線を参照することにより検体値を、計算して表示するステップ。
【請求項16】
濡れ速度が、1ms〜10sの範囲であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
精密に規定された容積の試料流体を移送することを特徴とする請求項15又は16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
試薬チャンバー内及び検出チャンバー内の温度を、操作の間中、制御することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
検体を定性的及び/又は定量的に測定するための、環境分析、食品部門、ヒト及び獣医学的診断、ならびに農作物保護における、請求項1〜9のいずれか1つに記載の試験カセット、請求項10〜14のいずれか1つに記載の装置、又は請求項15〜18のいずれか1つに記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−523550(P2012−523550A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503890(P2012−503890)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001949
【国際公開番号】WO2010/115531
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】