説明

検査システムおよび関連される方法

構造を検査するためのシステム及び方法を提供する。システムは、構造の少なくとも一部を示しているデータを捕捉することができる少なくとも1つの非破壊検査(“NDI”)センサと、NDIセンサの位置データを捕捉するための少なくとも1つの位置センサを含んでいる。システムはまた構造を示しているデータと位置データがほぼ同時に捕捉されるように、データを捕捉するためのNDIセンサおよび/または位置センサをトリガーするように動作可能な機構を含んでいる。システムはさらにセンサを搭載し、ベースに対して可動に取付けられている可動アームを含んでいる。システムはデータ捕捉システムが各センサにより捕捉されるデータに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するように、センサと通信することができるデータ捕捉システムを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非破壊検査に関し、特にデータ捕捉システムと共に検査システムを使用する欠陥についての構造の非破壊的検査に関する。
【背景技術】
【0002】
構造の非破壊検査(“NDI”)は構造を傷つけず、または大きな解体を必要とせずに構造を徹底的に検査する。非破壊検査は典型的に検査の一部を除去することに関する計画、労力、価格を減少させ、構造に損傷を与える潜在性を避けるので好ましいものである。NDIは構造の外部および/または内部の徹底的な検査が必要とされる多くの応用で有効である。例えばNDIは構造に対する任意のタイプの内部または外部の損傷または構造中の欠陥(傷)について航空機構造を検査するために航空機産業で普通に使用されている。検査は構造の完全性及び適合性を確認するために製造中または現場検査を含んだ完成された構造が使われるようになった後に行われることができる。現場では、構造の内部表面に対するアクセスはしばしば限定され、構造の解体を必要とし、付加的な時間と労力が必要となる。
【0003】
日常的に非破壊的に検査される構造には、複合サンドウィッチ構造およびその他の接着剤で結合されたパネルやアセンブリのような複合構造と、輪郭を付けられた表面を有する構造がある。これらの複合構造と、グラファイト材料の使用のような軽量の複合され結合された材料への移行は、装置とプロセスが構造の完全性と、製造品質と、安全性および信頼性のある使用のためのライフサイクルサポートを確実にするために有効であることを示している。このようにして、構造の性能に悪影響する可能性があるひび割れ、不連続性、空隙、または有孔性のような任意の欠陥を識別するために構造を検査することがしばしば望ましい。例えば、通常コアの各側面に結合される複合物または金属皮を有する軽量のハニカムまたは発泡体コア材料の1以上の層からなる複合サンドウィッチ構造の典型的な欠陥は、コアと皮の間またはコアと埋設された隔壁との間の境界で生じる剥離を含んでいる。
【0004】
種々のタイプのセンサがNDIを実行するために使用されることができる。1以上のセンサは検査される構造の部分にわたって移動し、構造に関するデータを受信できる。例えばパルス−エコー(PE)、透過探傷(TT)またはねじれ波センサは厚さの測定、積層欠陥および有孔性の検出または構造中のひび割れ検出等のための超音波データを得るために使用される。共振、パルス−エコーまたは機械的インピーダンスセンサは典型的に構造の接着結合線におけるような空隙または空洞の指示を与えるために使用される。航空機構造の高分解能の検査は検査下の部分または構造の平面画像を提供するために超音波検査(UT)を使用して普通は行われる。センサにより捕捉されたデータは典型的に処理され、その後、受信された信号の振幅のグラフとしてディスプレイによりユーザに提示される。構造の検査が行われる速度を増加するために、走査システムは検査センサのアレイ、即ち送信機および/または検出器のアレイを含むことができる。
【0005】
NDIは適切なセンサを構造上で動かす技術者により手作業で行われることができる。手作業の走査は訓練された技術者が検査を必要とする構造の全ての部分にわたってセンサを動かすことを必要とする。手作業の走査は典型的に技術者が別の方向でセンサを同時にインデックスしながら一方方向に端から端へ繰り返し動かす作業を含んでいる。さらにセンサは典型的に位置情報を捕捉されたデータへ関連させないので、構造を手作業で走査している同じ技術者は、構造に欠陥が存在するならばそれが位置される場所を決定するために構造を走査しながらセンサディスプレイも観察しなければならない。それ故、検査の品質はセンサの運動だけでなく、表示されたデータを解釈する技術者の注意深さに関する技術者の能力に大きく依存する。したがって構造の手作業の走査は時間がかかり、集中的な労力を必要とし、人によるエラーを受けやすい。
【0006】
半自動化された検査システムも開発されている。例えば自動車自動化スキャナ(MAUS(商標名))システムは超音波検査に典型的に適合された固定したフレームと1以上の自動化された走査ヘッドを使用する自動車走査システムである。MAUSシステムはパルスエコー、ねじれ波、透過探傷センサと共に使用されることができる。固定されたフレームは真空吸引カップ、磁石または類似の固定方法により検査されるために構造の表面に取り付けられることができる。小さいMAUSシステムは技術者により構造の表面上で手作業で動かされるポータブル装置であってもよい。
【0007】
さらに、自動化された検査システムが構成されている。例えば自動化超音波走査システム(AUSS(商標名))のシステムは透過探傷超音波検査を使用できる複雑な機械的走査システムである。AUSSシステムはまたパルス−エコー検査および同時的な二重周波数検査を行うこともできる。AUSSシステムは例えば、構造の1表面に沿って超音波送信機を動かす一方のプローブアームと、構造の反対側の表面に沿って超音波受信機を対応して動かす他方のプローブアームとを有しており、検査を受ける構造の対向表面に近接したTTU検査のために位置されることができるロボット制御されたプローブアームを有している。超音波送信機と受信機の整列の維持と、相互および検査を受ける構造との間隔を適切に維持するため、通常の自動化検査システムは10個の軸において運動制御を有するAUSS−Xシステムのような多数の軸で運動制御を行う複雑な位置付けシステムを有することができる。
【0008】
実時間でNDIセンサ(即ちツールの先端)の正確な位置を決定する能力がないので、多軸のロボットはNDIではあまり使用されていない。ロボット制御装置は典型的にロボットがそのプログラムされたパスに緊密に追従することを確実にするためにサーボ制御装置に対してCPU優先順位を与える。しかしながら、ロボットの販売者はその製品の行き先をプログラムされるように意図されているが位置される場所を報告しないので、位置のフィードバックを提供しようとはしない。さらにNDIに使用されるロボットはセンサがデータを捕捉するときセンサの3次元位置を獲得することができない。さらにセンサがデータを捕捉することのできる周波数が限定されているので、NDIセンサの分解能及び正確性も限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、NDIデータとそのNDIデータに関連される位置データの両者を捕捉することのできる検査システムを提供することが有効である。また、センサの位置が測定されるときNDIデータをより正確に迅速に捕捉することも有効である。さらに、複雑な形状を有する構造を検査することができる検査システムを提供することが有効である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は構造内の傷の位置および特性についての情報を提供するためにNDIデータ及び関連される位置データを捕捉することができる検査システムを提供することによって前述の必要性を解決し、さらに別の利点を実現する。システムは通常、可動アームを有するロボットと、可動アームにより支持されている非破壊検査センサを含んでいる。非破壊検査センサは傷の位置が正確に突き止められるように、関連される位置データが捕捉される時間とほぼ同じ時間における構造を示しているデータを捕捉することができる。さらに、システムは可動アームを駆動する運動制御プログラムによって提供されるデータおよびその他の位置情報とは無関係の位置データを独立して捕捉することができ、それによって位置データは予め定められたクロックサイクルにしたがって記録されることができる。
【0011】
本発明の1実施形態では、構造を検査するシステムが提供される。このシステムは構造の少なくとも一部を示しているデータを捕捉することができる少なくとも1つの非破壊検査センサ(例えば超音波センサ)と、その非破壊検査センサの位置データを捕捉するための少なくとも1つの位置センサとを含んでいる。このシステムは構造を示しているデータと位置データがほぼ同時に捕捉されるように、データを捕捉するための非破壊検査センサおよび/または位置センサをトリガーするように動作可能な機構も含んでいる。システムはさらに、センサを支持し、ベースに対して可動に、典型的には回転可能に取付けられている可動アームを含み、可動アームはベースと非破壊検査センサとの間に少なくとも1つの可動ジョイントを備えている。システムはデータ捕捉システムが各センサにより捕捉されるデータに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するように、センサと通信することができるデータ捕捉システムを含んでいる。
【0012】
本発明の種々の特徴では、データ捕捉システムは構造の3次元点クラウドを生成することができる。この点クラウドは構造中の欠陥を検出するための情報を含むことができる。データ捕捉システムは例えば少なくとも200Hzの周波数で位置データを捕捉することができる。
【0013】
位置センサ及び非破壊検査センサは構造に沿って自動的に移動されることができる。位置センサは3次元位置データを提供することもできる。可動アームはベースと非破壊検査センサとの間に複数の可動のジョイントを含むことができる。複数の位置センサは位置データを捕捉するためそれぞれの可動ジョイントにおいて同じ位置に配置されることができる。
【0014】
本発明の別の特徴では、構造を検査するためのシステムが提供される。このシステムは位置データ(例えば3次元位置データ)を提供するための少なくとも1つのセンサを含んでいる。システムはまたセンサを支持しベースに対して可動に取付けられている可動アームも含んでおり、その可動アームは少なくとも1つの可動ジョイントを含んでいる。本発明の1実施形態では、センサは可動ジョイントの近くに位置されている位置エンコーダである。さらにシステムは可動アームの運動を制御するための制御装置を含んでおり、この制御装置は予め規定された運動制御プログラムにしたがって可動アームを動かすように動作可能である。センサは可動アームの運動と無関係に位置データを捕捉することができる。システムはさらに構造を示しているデータを捕捉するための非破壊検査センサを含むことができる。システムはデータ捕捉システムがセンサにより捕捉されるデータに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するように、各センサと通信することができるデータ捕捉システムを含むことができる。
【0015】
本発明の実施形態はまた構造を検査するための方法を提供する。この方法は構造の少なくとも一部を示しているデータ及び関連される位置データがほぼ同じ時間に捕捉されるように、構造に近接して非破壊検査センサを移動させ、データを捕捉するために非破壊検査センサおよび/または少なくとも1つの位置センサをトリガーするステップを含んでいる。この方法はさらに非破壊検査センサにより捕捉されるデータ及び関連される位置データに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するステップを含んでいる。
【0016】
本発明の種々の特徴において、方法は非破壊検査センサにより捕捉されるデータ及び関連される位置データに基づいて構造の画像(例えば3次元点クラウド)を生成するステップを含んでいる。移動ステップは予め規定された運動制御プログラムにしたがって非破壊検査センサを移動させるステップを含むことができ、位置センサは非破壊センサの運動と独立して位置データを捕捉することができる。さらにこの方法は例えば200Hz以上の周波数で位置データを捕捉するステップを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を一般的な用語で、必ずしも実寸大にかかれていない添付図面を参照に説明する。
本発明を添付図面を参照して以下説明するが、ここでは本発明を全ての実施形態が示されているのではなく幾つかの実施形態を示している。本発明は多くの異なる形態で実施されることができるので、ここで説明される実施形態に限定されるものと解釈されてはならず、これらの実施形態はこの説明が応用可能な法的要件を満たすために与えられている。類似の符合は全体を通して類似の素子を指している。
【0018】
図面、特に図1−2を参照すると、検査システム10が示されている。この検査システム10はロボット12に搭載され、データ捕捉システム14と通信するセンサ18を含んでいる。センサ18が構造20に沿って動かされるとき、データは処理のためデータ捕捉システム14へ送信される。典型的にロボット12はセンサ18を構造20の近くへ移動するように自動的に制御され、一方、データ捕捉システム14はセンサの応答をマップするために構造の表面の画像を生成する。
【0019】
検査システム10は航空機、自動車または建設産業等のように構造中の傷または欠陥の検出が必要とされる種々の産業において任意の数の構造を検査するために使用されることができる。センサ18は構造の性能に悪影響する可能性があるひび割れ、剥離、不連続性、空隙、または空洞のような構造内または構造表面に沿った任意の数の欠陥を検出することができる。
【0020】
用語「構造」は、検査システム10は機械加工された鍛造、鋳造または複合パネルまたは部品のように異なる形状と寸法の任意の数の部品または構造を検査するために使用されることができるので、限定する意図はない。検査は予防的なメンテナンス目的で検査されている新しく製造された構造または既存の構造で行われることができる。さらに構造は任意の数の材料であってもよい。例えば構造はアルミニウムのような金属材料、またはグラファイト−エポキシのような複合材料であってもよい。
【0021】
図1に示されているようなロボットは典型的に構造20の3次元プロフィールを生成するために開発されている。このロボットは通常多軸の動作能力を含み、部品の測定及び検査に使用される3次元プロフィールを生成するためにソフトウェアのサポートを使用する。特に図1に示されているロボット12は他の可動接続も許容されるが、以下ピボット26として参照する1以上の可動接続を有する可動アーム24とベース28とを含んでいる。それ故、可動アーム24とピボット26の組合せは幾らかの自由度を与え、これによってセンサ18が任意の数の位置及び方向で移動することを可能にしている。ロボット12は正確にセンサ18を位置させるためのデータ捕捉システム14に位置データ(3次元空間のX、Y、Z)を提供する1以上のセンサ18を各ピボット26においてまたはその他の方法でそれらに関連して含んでいる。例えば図1に示されているロボット12は6個のピボット26を含んでおり、各ピボットはセンサ18の3次元位置を集合的に規定する位置エンコーダを含んでいる。以下説明するように、センサ18は構造20を示している非破壊検査(“NDI”)データを提供する。このようにしてロボット12は構造20の検査中に捕捉された位置データとNDIデータを使用して任意の欠陥の正確な位置を提供する。
【0022】
ロボット12は検査される構造20のタイプにしたがって異なる寸法にされることができ、センサ18が最小の労力で構造に沿って移動されることができるように一般的に容易に操作される。ロボット12は異なる位置または研究所内で使用されることができるように永久的に固定されるか持ち運び可能であることができ、構造を中央検査位置へ移送するために典型的に必要とされる休止時間量を減少するように検査構造20を現場で都合よく検査するため遠隔で使用されることさえも可能である。本発明により使用されることのできるロボット12の1例はKuka Roboter GmbH(Augsburg、ドイツ)により製造されているが、センサ18を支持しデータ捕捉システム14と通信することのできる任意のロボットまたは座標測定機械が使用されることができる。さらにロボット12は位置データを捕捉するための種々の数(例えば1以上)のセンサを含むことができ、それらのセンサはセンサ18の近く等の異なる位置に配置されることができる。
【0023】
データ捕捉システム14は位置センサ及びセンサ18により集収されたデータに基づいて複雑な形状の構造20のA−走査、B−走査、C−走査画像を含む種々の画像を生成することができる。さらにデータ捕捉システム14は位置センサ及びセンサ18により捕捉されたデータに基づいて3次元点クラウドを生成することができる。したがって位置データ流は点クラウドを生成するためにNDIデータ流にマップされることができる。NDIデータは他の情報の中で、構造20中の欠陥、不規則性、またはその他の不完全性に関するデータを含むことができる。
【0024】
データ捕捉システム14は典型的に、構造20中の任意の欠陥がディスプレイ上で提示されることができるように画像化ソフトウェアの制御下で動作するプロセッサまたは類似のコンピュータ装置を含んでいる。プロセッサは位置センサ及びセンサ18により生成されるデータを処理し、モニタまたはその他の観察装置のようなディスプレイ上に示される走査されたデータの画像を生成することができるデスクトップ、ラップトップ、またはポータブル処理装置のようなコンピュータにより実施されることができる。データ捕捉システム14はデータの画像を生成し、ユーザが先に生成された画像を記憶し編集することも可能にする。それ故、画像の永久記録は将来の使用或いは記録の維持のために維持されることができる。しかしながらデータ捕捉システム14は技術者がデータに基づいて欠陥を特徴付け位置を突き止めるために使用することのできる位置およびNDIデータを算術的に集収し解析することができるので、データ捕捉システムは画像を生成する必要はないことを理解すべきである。
【0025】
センサ18は構造20を検査するために情報を生成することができる任意の適切なセンサまたはプローブであってもよく、種々のファスナのような任意の適切な技術を使用してロボット12に取付けられることができる。センサ18は典型的に非破壊センサであり、それによってセンサは構造を損傷することなくまたは構造の解体を必要とせずに構造20を検査することができる。図1に示されている検査システム10の実施形態では、センサ18は超音波センサである。超音波センサ18は当業者に知られているように表面ライディングまたは薄膜プローブであってもよい。しかしながらセンサ18はパルス−エコー、透過探傷、ねじれ波、共振、ピッチ/キャッチ、機械的インピーダンスまたは超音波アレイセンサのような種々のタイプのNDIセンサであってもよい。典型的には、NDIデータを集めるためのセンサ18と、位置データを集めるための1以上のセンサまたはエンコーダが存在する。しかしながら本発明の1変形では、NDIデータ及び関連される位置データを集収できる単一のセンサ18であってもよい。同様に、必要ならばセンサアレイのようなNDIデータを捕捉するための2以上のセンサが存在してもよい。
【0026】
1実施形態では、検査システム12はまたNDIデータを捕捉するためにセンサ18をトリガーするために使用される当業者に知られているようなトランジスタ−トランジスタ−論理(“TTL”)トリガーのようなトリガーを含んでいる。特にTTLセンサは1以上のセンサが位置データを捕捉しているのと同時にまたは実質的に同時にNDIデータを捕捉するためにセンサ18をトリガーする。結果として、NDIデータと位置データは相関的であり、NDIデータの正確な3次元位置を提供することができる。TTLトリガーは典型的に独立してバッファされたデータ捕捉システムにより使用され、これはネットワークを介して利用可能である。
【0027】
1実施形態では、ロボット12に関連される1以上のセンサは予め定められた周波数で、換言すると予め定められたクロックサイクルにしたがって位置データを捕捉することができる。位置センサは典型的に少なくとも200Hzの周波数で位置データを捕捉することができる。換言すると、ロボット12が毎秒約20インチの速度でセンサ18を移動させるならば、この実施形態の位置センサは約0.1インチ(0.25cm)毎に位置データを捕捉する。さらにTTLトリガーを使用して、センサ18は位置データが捕捉されるのとほぼ同じ周波数およびほぼ同じ時間でNDIデータを捕捉することができる。センサは種々の周波数でデータを捕捉することができ、例えば500Hz程度またはそれ以上の高い周波数が検査システム10で実現されることができることが理解される。通常の検査システムは約10Hzで位置データを捕捉することができるが本発明の幾つかの実施形態の検査システム10はより多くのデータを捕捉でき構造20をオーバーサンプルできる。オーバーサンプルは画像のより高い解像度が得られるように検査システム10が典型的に必要とされるよりも多くのデータを生成することを可能にする。
【0028】
検査システム10は可動アーム24の運動を制御するためのサーボ制御装置も含んでいる。この制御装置は位置センサにより捕捉された位置データと独立して可動アーム24を動かすように動作可能である。結果として、位置センサは予め定められたクロックサイクルにしたがって位置データを捕捉することができ、これは制御装置が典型的にロボット12の運動を制御するための優先順位を与える通常の検査システムとは異なっている。それ故、位置センサが位置データを捕捉する周波数は典型的にロボット12の運動により影響されず、位置センサはロボットの運動について考慮せずに一定の周波数及び実時間でより多量の位置データを獲得することができる。通常、ロボット12の運動は位置センサによりデータ捕捉プロセスと独立してプログラムされ、そのため位置センサの位置フィードバックはセンサ18の位置を決定するために依存する必要がある唯一のデータである。換言するとセンサ18の位置はロボット12の運動制御プログラムにより提供されることができる任意のデータまたは他の情報に対して依存することなしに位置センサにより捕捉されたデータから決定される。しかしながらロボット12の運動は位置データを獲得するためのデータ捕捉プロセスと独立してプログラムされる必要がないことを理解すべきである。例えば、位置センサが位置データの捕捉を必要とする周波数が絶対に必要ではない例が存在する可能性がある。
【0029】
ロボット12は典型的に位置センサ及びセンサ18により累積されるデータを処理し、処理されたデータを表示するためにデータ捕捉システム14と通信している。多くの場合、通信ケーブルがロボット12とデータ捕捉システム14との間でデータを送信する。他の実施形態ではデータは無線通信によってロボット12とデータ捕捉システム14との間で伝送されることができる。ロボット12は直接的にまたはネットワーク等を介して間接的にプロセッサへ接続されることができる。さらに本発明の実施形態では、データ捕捉システム14はロボット12の近くに配置されることができ、それによってロボットとデータ捕捉システムとの間の遠隔接続は必要とされない。さらにデータ捕捉システム14はデータがロボットにより収集され処理されるようにロボット12に組み込まれることができることを理解すべきである。
【0030】
図1および2は欠陥を検査するためにセンサ18が湾曲した構造20に沿って自動的に移動されることができることを示している。すなわち、ロボット12は種々の方向及び位置で構造20に沿ってセンサ18を移動させるためにピボット26を中心に可動アーム24を旋回または回転させることができる。図1に示されているように、データ捕捉システム14は前述したように画像を表示することができるディスプレイを含んでいる。さらにセンサ18は一般的に構造に垂直である等、構造20に対して所望の方位および接近度を維持しながら、平滑で比較的粗く、複雑および/または輪郭を付けられた表面上を移動することができる。
【0031】
したがって本発明の実施形態はNDI技術をともなって既製の高速度のロボットを使用することができる。このようにして検査システム10は増加した速度でより多量のデータを集めることができる。位置センサによる3次元位置の獲得とセンサ18によるNDIデータの捕捉は構造20内の欠陥を特徴付けするためのさらに多くの詳細を与える。TTLトリガーのようなトリガーの使用はまた位置データが捕捉されるのとほぼ同じ時間にNDIデータが捕捉されることを確実にし、それによってNDIと位置データとは適切に相関される。さらに、位置データはロボット12の運動制御プログラムにより提供されることができるデータまたはその他の情報と独立した方法で位置センサにより捕捉されることができ、それによって一致したクロックサイクル及び実時間で位置センサが位置データを捕捉することを可能にする。データ捕捉システム14は構造20中の欠陥を検出し位置を突き止める確率を増加する3次元画像を生成することも可能にする。さらにロボット12は幾つかの自由度を与え、それによってセンサ18が複雑な形状を有する構造20を検査するように適合することを可能にする。さらに、検査システム10は正確であり、したがって欠陥が構造20の修理および/または置換のために都合よく示され位置が突き止められる。
【0032】
ここで説明される本発明の多くの変形及び他の実施形態が前述の説明及び関連される図面で提示された教示の利点を有して本発明が関係する当業者により行われよう。それ故、本発明は説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、変形及び他の実施形態が特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されよう。特定の用語がここで使用されているが、これらは一般的及び説明の意味で使用され、限定する目的で使用されてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の1実施形態による検査システムの斜視図。
【図2】図1の検査システムの側面図。
【図3】本発明の1実施形態による非破壊センサを搭載するロボットの斜視図。
【図4】本発明の1実施形態による非破壊センサの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造を示しているデータを捕捉するための少なくとも1つの非破壊検査センサと、
その非破壊検査センサの位置データを捕捉するための少なくとも1つの位置センサと、
構造を示しているデータと位置データがほぼ同時に捕捉されるように、データを捕捉するために非破壊検査センサおよび位置センサの少なくとも1つをトリガーするように動作可能な機構と、
各センサを搭載し、ベースに対して可動に取付けられ、ベースと非破壊検査センサとの間に少なくとも1つの可動ジョイントを具備している可動アームと、
各センサと通信可能に構成され、それによって各センサにより捕捉されたデータに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するデータ捕捉システムとを具備している、構造を検査するシステム。
【請求項2】
データ捕捉システムは構造の3次元点クラウドを生成するように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記点クラウドは構造中の欠陥を検出するための情報を含んでいる請求項2記載のシステム。
【請求項4】
非破壊検査センサは超音波センサである請求項1記載のシステム。
【請求項5】
可動アームはベースと非破壊検査センサとの間に複数の可動ジョイントを具備している請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数の位置センサは位置データを捕捉するためにそれぞれの可動ジョイントで同じ位置に配置されている請求項5記載のシステム。
【請求項7】
位置センサは3次元位置データを提供可能に構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項8】
各位置センサと非破壊検査センサは構造に沿って自動的に移動される請求項1記載のシステム。
【請求項9】
データ捕捉システムは200Hz以上の周波数で位置データを捕捉することができるように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項10】
位置データを捕捉するための少なくとも1つのセンサと、
センサを支持し、ベースに可動に取付けられ、少なくとも1つの可動ジョイントを具備している可動アームと、
可動アームの運動を制御するための制御装置とを含んでおり、前記制御装置は予め規定された運動制御プログラムにしたがって可動アームを動かすように動作可能であり、センサは可動アームの運動と独立している位置データを捕捉することができるように構成されている構造検査のためのシステム。
【請求項11】
センサは3次元位置データを捕捉することができる請求項10記載のシステム。
【請求項12】
センサはジョイントの近くに位置される位置エンコーダである請求項10記載のシステム。
【請求項13】
さらに、可動アームにより支持され、構造を示すデータを捕捉することができる非破壊検査センサを具備している請求項10記載のシステム。
【請求項14】
さらに、各センサおよび非破壊検査センサと通信することが可能であり、各センサにより捕捉されるデータに基づいて構造の少なくとも一部を示す情報を生成するデータ捕捉システムを具備している請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記データ捕捉システムは200Hz以上の周波数で位置データを捕捉することができるように構成されている請求項14記載のシステム。
【請求項16】
非破壊検査センサを構造に近接するように移動させ、
構造の少なくとも一部を示しているデータおよび関連される位置データがほぼ同時に捕捉されるように、データを捕捉するため少なくとも1つの非破壊検査センサと少なくとも1つの位置センサをトリガーし、
非破壊検査センサおよび関連される位置データにより捕捉されるデータに基づいて構造の少なくとも一部を示している情報を生成するステップを含んでいる構造の検査方法。
【請求項17】
前記情報を生成するステップにおいて、非破壊検査センサ及び関連される位置データによって捕捉されるデータに基づいて構造の画像を生成する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記情報を生成するステップにおいて、構造の3次元点クラウドを生成する請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記移動させるステップにおいて、予め規定された運動制御プログラムにしたがって非破壊検査センサを移動させ、前記位置センサは非破壊検査センサの運動と独立している位置データを捕捉する請求項16記載の方法。
【請求項20】
さらに、200Hz以上の周波数で位置データを捕捉する請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記移動するステップにおいて非破壊検査センサを自動的に移動させる請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−510393(P2009−510393A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526964(P2008−526964)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030045
【国際公開番号】WO2007/021541
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】