説明

検知システムにおける誤警報を減少させるためのシステム及び方法

コンテナ内の目標物を分類するためのシステム及び方法が提供される。一態様においては、コンテナ内の持ち込み禁制品を検知するための部品を含む画像形成システムにより発生する警報を分析する方法が提供される。該方法は、画像形成システムからの複数の画像を受信し、警報を発生させる原因となる少なくとも1つの物体に対して少なくとも1つの特性を推定し、少なくとも1つの分類器に少なくとも1つの特性を入力し、少なくとも1つの分類器の票決に基づいて少なくとも1つの物体に判定を下し、コンテナに対して最終判定を下すことを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ここに述べられたシステム及び方法は、一般的に検知後分類システム、より具体的には統計及び確率を使用して誤警報と正しい警報を区別することに関する。
【0002】
2001年9月11の事件以来、国土安全保障省は、米国の飛行場での治安検査を著しく強化した。このような治安検査のための努力は、爆発物を含む持ち込み禁制品に対する乗客及び機内持ち込み荷物の検査を含む。
【0003】
少なくとも幾つかの周知の治安検査用走査システムは、X線透過技術を使用する。これらのシステムは、例えば武器及び刃物の検知は可能であるが、低い誤警報率で爆発物を検知する能力には欠ける。
【0004】
例えば、コンピューター断層撮影(CT)は、物体の位置又は重なりに関係なく、物質特性の定量的測定を提供し、従来のX線透過による多画像及び放射性同位体ベースの画像形成システムに比べて大きな利点をもたらす。CT走査器においては、多数の正確なX線「画像」が、多くの角度から得られる。これらの画像は、次に平面画像又は立体画像を再構成するために使用される。画像は、画像化した体積内の、各々の体積要素(又はボクセル)に対するX線量減衰値の写像である。
【0005】
例えばCT走査器を使用するシステムは、航空安全を脅かすこととなる爆発物を検知するために、荷物を検査する時に、世界中の空港で広く使用される。これらのシステムは、X線源と、これに対向して配置され、コンテナが水平軸に沿って移送される時に、例えばスーツケースなどの物体を通過するX線放射線を検知する検知器とを使用する。
【0006】
少なくとも幾つかの周知の走査用システムは、ほとんどの爆発物及び他の持ち込み禁制品を検知することが可能である。しかしながら、爆発物及び他の持ち込み禁制品と良性物質とが共有する類似点により、誤警報が起こる場合がある。誤警報と正しい警報とを識別することができるシステムの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様においては、コンテナ内の持ち込み禁制品を検知するための部品を含む画像形成システムにより発生する警報を分析するための方法が提供される。該方法は、画像形成システムから複数の画像を受信し、警報を発生させる原因となる少なくとも1つの物体に対する少なくとも1つの特性を推定し、少なくとも1つの特性を少なくとも1つの分類器に入力し、少なくとも1つの分類器の票決に基づいて、少なくとも1つの物体に対して判定を下し、コンテナに最終判定を下すことから成る。
【0008】
別の態様においては、走査されるコンテナ内の疑わしい持ち込み禁制品に対して警報を発生するように形成された検知用部品を含む、画像形成システムとともに使用する検知後処理システムが提供される。検知後処理システムは、誤警報を実際の検知から分離するように構成される。検知後分類システムは、システムバスに電気的に結合されたメモリーを含み、少なくとも1つのプロセッサーがシステムバスと電気的に結合し、該システムバスを介して、通信可能にメモリーに取り付けられる。検知後処理システムは、画像形成システムから複数の画像要素を含む複数の画像を受信し、この受信した画像をメモリー内に保存し、画像形成システムにより警報をトリガした少なくとも1つの物体に対応する、複数の画像要素の各々の画像要素の組から複数の特性を推定し、複数の分類器に複数の特性を入力し、複数の分類器の各々の分類器による票決に基づいて、少なくとも1つの物体によりトリガされた各々の警報に対する警報の状態を判定するように構成される。
【0009】
別の態様においては、画像形成システムにより誤警報と正しい警報を区別し、コンテナを走査している間に警報が画像形成システムにより発生されるようにするための検知後分類システムが提供される。この検知後分類システムは、画像形成システムから受信された複数の画像の中の複数の画像要素の少なくとも1つの推定された特性に基づいて、警報の状態を判定して、票決するように構成された少なくとも1つの分類器を含む。少なくとも1つの分類器は、正しい警報の組と誤警報の組とを含むテスト用セットを集積し、該テスト用セットを使用して少なくとも1つの分類器の第一の行為を推定し、各々のテストの組の複数の特性に対する少なくとも1つの範囲及び標準偏差を定め、各々の組に対して摂動係数を増加し、複数の特性の少なくとも1つの特性の値を修正し、修正したテスト用セット値を使用して少なくとも1つの分類器の第二の行為を推定することから構成される。
【0010】
図1−3は、ここに述べられたシステム及び方法の例示的実施形態を示している。図1−3に示され、図1−3を参照して述べられた実施形態は、例示的なものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例示的検知後分類システムのブロック図である。
【図2】図1で示した検知後分類システムと共に使用することができる分類器を形成するための例示的方法の流れ図である。
【図3】図1で示した検知後分類システムを使用して、警報を処理するための例示的方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで述べられた実施形態は、部品の検出及び/又は警報を行うことを含む画像形成システムの出力を効率的に処理し、部品により発生される誤警報と部品により発生される正しい警報とを区別するシステム及び方法を提供する。一実施形態においては、検知後分類システムは、画像形成システムからの画像を受信するが、この場合、各々の画像は、ピクセル又はボクセルなどの複数の画像要素から成る。画像を形成するこれらの画像要素を使用して、検知後分類システムは、警報を発生させる物体に対する1又はそれ以上の特性を推定する。1又はそれ以上の特性は、1又はそれ以上の分類器に入力され、票決に基づいて物体に対して判定を下す。検知後分類システムは、次にコンテナに対して最終判定を下す。
【0013】
システム及び方法の技術的効果は、確率基準で誤警報と正しい警報を区別するために、画像特性と認識発見技術のセットを使用することにより誤警報が発生するのを減少させることにある。画像特性は、これらに限定されるものではないが、統計特性、情報理論値、及び/又は形状的特性を含む。画像特性は、警報の性質に対して票決するように訓練された一連の帰納的学習システムに入力するものとして使用される。十分に多い数の票決を受信した警報は、誤警報と認識される。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施形態が、貨物検査のためのシステムと組み合わせた用途及び貨物検査のためのシステムの作動を参照して、以下に述べられる。しかしながら、本発明は、これらに限定されるものではなく、海上、陸上、及び/又は飛行機により運搬される箱、ドラム、及び荷物、並びに他のコンテナ及び/又は物体を含む貨物コンテナを走査するために、あらゆる適当なシステムに同様に有効であることが、本明細書の教示による知識を得た当業者にとって明らかである。
【0015】
更に、本発明の実施形態が、貨物検査のためのX線コンピューター断層撮影(CT)走査システムを組み込むシステムと組み合わせた用途及びシステムの作動を参照して、以下に述べられているが、これらに限定されるものではなく、中性子又はガンマ線を含むあらゆる適当な放射線源が、代替的実施形態において使用できることが、本明細書の教示による知識を得た当業者にとって明らかである。更に、ここに述べられた検知後分類システムの機能を可能にするために、十分な数のピクセルを形成するどのような走査システムも使用できることが、本明細書の教示による知識を得た当業者にとって明らかである。
【0016】
図1は、検知後分類システム100の例示的実施形態のブロック図である。一実施形態においては、システム100は、貨物用コンテナ、箱、又は包みなどのコンテナ202を走査するために、X線コンピューター断層撮影(CT)走査システム200を使用し、内容物を認識及び/又はコンテナ202内に収容される物質のタイプを判定する。ここで用いられる「内容物」という用語は、コンテナ202内に収容されるあらゆる物体及び/又は物質を意味し、持ち込み禁制品を含むことができる。
【0017】
一実施形態においては、走査システム200は、少なくとも1つの放射線ビームがコンテナ202を透過するように形成された少なくとも1つのX線源204を含む。代替的実施形態においては、走査システム200は、異なるエネルギー分布の放射線を射出するように形成された複数のX線源204を含む。代替的には、各々のX線源204は、選択したエネルギー分布の放射線を異なる時点で射出するように形成することができる。特定の実施形態においては、走査システム200は、多エネルギー走査を利用して、コンテナ202の減衰画像を得る。CT画像の形成に加えて、多エネルギー走査は、物体内容物の密度画像及び原子番号の形成を可能にする。一実施形態においては、コンテナ202の二重エネルギー走査は、低エネルギーでのコンテナ202の走査及び高エネルギーでのコンテナ202の走査により、コンテナ202を検査することを含む。低エネルギー走査及び高エネルギー走査に対してデータが集積され、コンテナ202のCT、密度及び/又は原子番号画像が再構成されて、以下に詳細に述べられているように、コンテナ202の物質内容物に基づいて、コンテナ202内の物質又は持ち込み禁制品のタイプを認識しやすくする。
【0018】
一実施形態においては、走査システム200は、X線源204から射出され、コンテナ202を透過する放射線を検出するように形成された少なくとも1つのX線検知器206を含む。X線検知器206は、視野全体か又は視野の一部を検知するように形成される。透過した放射線を検出すると、X線検知器206は、透過した放射線を検出したことを示す信号を発生する。該信号は、以下に述べるように、データ集積システム及び/又はプロセッサーに伝送される。透過した放射線を検出すると、各々のX線検出器要素は、透過した放射線を検出したことを示す信号を発生する。該信号は、以下に述べるように、データ集積システム及び/又はプロセッサーに伝送される。走査システム200は、リアルタイムで又はリアルタイムではないか、又は時間遅れをもって、コンテナ202のCT画像を再構成するために利用される。
【0019】
走査システム200の一実施形態においては、データ集積システム208は、X線検出器206と作動的に結合されて、信号通信する。データ集積システム208は、X線検出器206により生成され、伝送される信号を受信するように形成される。プロセッサー210は、データ集積システム208と作動的に結合される。プロセッサー210は、コンテナ202とその内容物の画像を形成又は生成し、コンテナ202の内容物の物質を判定し易くするために、形成された画像を処理するように構成される。より特定的には、一実施形態においては、データ集積システム208及び/又はプロセッサー210は、X線検知器206から受信した信号に基づいて、少なくとも1つの減衰画像を形成する。減衰画像を利用して、内容物の少なくとも1つの画像が再構成され、内容物のCT番号、密度及び/又は原子番号が、再構成された画像から推定される。これらのCT画像に基づいて、貨物の密度及び/又は原子画像を形成することができる。CT画像、密度及び/又は原子番号画像は、これらに限定されるものではないが、爆発物などの持ち込み禁制品の存在を推定するために分析される。
【0020】
走査システム200の代替的実施形態においては、コンテナ画像を形成及び/又は処理するために、1つのプロセッサー210又は1つより多いプロセッサー210を使用することができる。走査システム200の一実施形態は、データ集積システム208及び/又はプロセッサー210に作動的に結合されたディスプレイ装置212、メモリー装置214及び/又は入力装置216を含む。ここで述べられているプロセッサーという用語は、プロセッサーとして従来技術で意味する集積回路だけでなく、コンピューター、マイクロコントローラー、マイクロコンピューター、プログラム可能なロジックコントローラー、アプリケーション特定集積回路及びあらゆる他のプログラム可能な回路を広く意味する。プロセッサーは、保存装置及び/又はマウス及び/又はキーボードなどの入力装置を含むことができる。
【0021】
走査システム200の実施形態の作動中に、X線源204は、X線源204への電源により付与される電圧に応じたエネルギー範囲でX線を発生する。最初のビームが発生されてコンテナ202を通過し、コンテナ202と対向する側に位置するX線検知器206が最初のビームの強さを測定する。
【0022】
疑わしい持ち込み禁制品に対して走査システム200から発生された警報は、画像要素特性及び認識発見技術の組を使用して検知後分類システム100により処理されて、確立基準で誤警報と正しい警報とを区別し易くする。一実施形態においては、画像特性を推定するために、二次元画像ピクセルが使用される。代替的実施形態においては、画像特性を推定するために、三次元画像ボクセルが使用される。例示的実施形態においては、画像特性は、これらに限定されるものではないが、統計特性、情報理論値、及び/又は形状的特性を含む。統計的特性の例としては、これらに限定されるものではないが、平均値、中央値、標準偏差、歪対称、及び/又は尖度を含む。情報理論値の例としては、エントロピーがある。形状的特性の例としては、漣状のものがある。検知後分類システム100の代替的実施形態は、これらの例示と異なる特性及び/又はこれらの例示に追加する特性を利用する。代替的実施形態においては、画像特性は、走査システム200で警報を発生させる1又はそれ以上の目的物218の特性を含む。画像特性は、複数の帰納的学習システム又は分類器に入力される時に使用され、該システムは、警報の性質で票決されるように訓練され、分類器により十分な数の票決を受信した警報は、誤警報として認識される。
【0023】
例示的実施形態においては、検知後分類システム100は、システムバス(図示されず)に電気的に結合された1又はそれ以上のプロセッサー102を含む。システム100は、システムバスに電気的に結合されたメモリー104を更に含んでおり、該メモリー104は、プロセッサー102に通信可能に取り付けられる。ここで用いられるプロセッサーという用語は、プロセッサーとして従来技術で意味する集積回路だけでなく、コンピューター、マイクロコントローラー、マイクロコンピューター、プログラム可能なロジックコントローラー、アプリケーション特定集積回路及びあらゆる他のプログラム可能な回路を広く意味する。プロセッサーは、保存装置及び/又はマウス及び/又はキーボードなどの入力装置を含むことができる。更に、このシステム100は、1又はそれ以上の分類器106を含む。例示的実施形態においては、該システム100は、異なる学習システムを使用する多数の分類器を含む。1つのこのような学習システムは分類ツリーであり、これは帰納的二元データ分割の形態である。分類ツリーの各々のノードは、値を割り当て、2つの小ノードに分割する。分類ツリーを使用して、物質密度などの変動する目標物の分類を予測するために、末端ノードに到達するまで、ツリーを通して移動するように変数値が使用される。分類器を形成するために使用することができる別の学習システムとしてはフィッシャー判別式があり、これは、2又はこれ以上の目的物の分類を最も良好に区別する特性の線形組み合わせを発見するものである。分類器を形成するために使用することができる学習システムの別の例示としては、神経網がある。一実施形態においては、上記したような学習システムが、システム100で使用される複数の分類器を形成するために使用される。代替的実施形態においては、上記した学習システム以外の学習システムが使用される。更なる代替的実施形態においては、上記した学習システムの多数の形態、及び上記したもの以外の学習システムを含む上記した学習システムが、システム100で使用される複数の分類器に含まれる。
【0024】
図2は、分類器106(図1に示されている)を形成するための方法300が流れ図で示されており、これは検知後分類システム100(図1に示されている)と共に使用することができる。例示的実施形態においては、テスト用セットが収集される302。テスト用セットは、多数の源から収集される302か、又は手作業により形成される。データセットは、例えば持ち込み禁制品ではない物体だけを有するコンテナのX線画像、持ち込み禁制品と持ち込み禁制品ではない物体の両方を有するコンテナのX線画像、及び持ち込み禁制品のみを有するコンテナのX線画像を含む。更に、データは、例えば、空港及び/又は鉄道駅などの旅行中核地から集められた現実のX線画像から収集することができる302。例示的実施形態においては、テスト用セットは2つの組を含む。1つの組は、正しい警報及び推定された特性の関連する系列、すなわち「特性ベクトル」を含む。2つ目の組は、誤警報及び関連する特性ベクトルを含む。
【0025】
更に、例示的実施形態においては、各々の分類器106の行為が推定される304。行為のテスト中に、各々のテストの組は、各々の分類器106に入力され、各々の分類器106に対して2つの値を形成する。1つの値は、保持する正しい警報の割合PDである。もう1つの値は、保持する誤警報の割合PFAである。これら分類器106の最初の行為テストは、後のテスト結果と比較するための基準線を形成するように機能する。例示的実施形態においては、各々の分類器106の行為が推定された304後に、範囲及び標準偏差が、各々の特性に対して推定される306。
【0026】
例示的実施形態においては、摂動係数が、予め定められた量で増加する308。ここで用いられる摂動係数は、テスト用セットのデータに付与される周知の測定の変化である。例示的実施形態においては、摂動係数を増加した308後、両方のテストの組の各々の警報に対する特性値が修正される310。一実施形態においては、値は、無作為量で修正される310。
【0027】
代替的実施形態においては、各々の特性値は、ゼロと、段階308で設定される摂動係数に各々の特性に対する推定された306標準偏差を掛けた値に等しい値の第二の値との間の無作為量で修正される310。別の代替的実施形態においては、特性値は、すべての特性に対して修正される310ものではない。別の代替的実施形態においては、各々の特性の値は、異なる量で修正される310。更に別の代替的実施形態においては、限度を超えた値をもたらす修正310が、限度値と等しい値か又はちょうど限度値内の値をもたらすように、各々の特性の値は制限される。例示的実施形態においては、特性値が修正された310後、各々の分類器106の行為は再推定され312、前に推定された行為と比較される。段階308、310、312及び314が、分類器106の堅牢性を判定するために繰り返される。
【0028】
図3は、検知後分類システム100(図1に示している)を使用して、正しい警報か或いは誤警報として、コンテナ202(図1に示している)内の物体218(図1に示している)を分類するための方法400を示す流れ図である。例示的実施形態においては、検知後分類システム100は、走査システム200(図1に示している)から複数の画像を受信する402。一実施形態においては、システム100は、警報がトリガされた時に、複数の画像を自動的に受信する402。代替的実施形態においては、システム200の使用者は、トリガされた警報について判定を要求し、システム200は、複数の画像をシステム100に提供する。各々の画像に対して、システム100は、ピクセル又はボクセルなどの、各々の画像を形成する複数の画像要素から特性のベクトルを推定する404。より特定的には、システム100は、システム200により警報をトリガした各々の物体218と組み合わせた画像要素を使用して、上記したような一連の特性を推定する404。
【0029】
例示的実施形態においては、特性ベクトルが、分類器106(図1に示している)に入力される406。各々の分類器106は、特性ベクトルの1又はそれ以上の特性を使用して、警報の票決を判定する408。より特定的には、各々の分類器106は学習システムを使用し、分類器106は、警報を分類器106が正しい警報か又は誤警報かを票決するために、該学習システムで判定するように形成されている。一実施形態においては、分類器106により成された票決は、肯定・否定又は正・誤票決である。代替的実施形態においては、分類器106により成された票決は、重み付けした値である。別の代替的実施形態においては、分類器106により成された票決は、確率である。
【0030】
例示的実施形態においては、各々の分類器106により成された票決は、警報について最終決定をするために結合される410。特に、各々の分類器106の票決は、システム100によって、警報が正しい警報であるか誤警報であるかを確定する判定を行うために表にされる。一実施形態においては、分類器票決の結合410は、使用者による調整が可能である。このような場合には、システム100は、すべての分類器が賛成に票決した場合にだけ、誤警報として警報を認識するか、代替的にはすべての分類器が賛成に票決した場合にだけ、正しい警報として警報を認識する。代替的実施形態においては、システム100は、1つの分類器が票決した場合のように少ない分類器で票決した場合には、誤警報として、又は代替的には正しい警報として警報を認識する。例示的実施形態においては、段階404、406、408及び410は、システム200により警報をトリガしたコンテナ202内の各々の物体218に対して繰り返される。
【0031】
例示的実施形態においては、すべての警報が正しい警報であるか又は誤警報であるかを判定した後、システム100は、コンテナ202に対して判定を下す412。すべての警報が誤警報であると判定された場合には、コンテナ202は安全確認される。一方で、幾つかの警報が正しい警報であると判定された場合には、コンテナ202は、手作業による検査など、更なる検査を受ける。代替的実施形態においては、安全確認されるコンテナ202は、すべての警報が誤警報であると判定されたものである必要はない。
【0032】
要約すると、一実施形態においては、コンテナ内の持ち込み禁制品を検知するための部品を含む画像形成システムにより発生する警報を分析するための方法が提供される。該方法は、画像形成システムから複数の画像を受信し、警報を発する原因となる少なくとも1つの物体の少なくとも1つの特性を推定することを含む。代替的実施形態においては、物体の特性の推定は、物体と組み合わせた複数の画像要素を使用して達成される。
【0033】
更に、該方法は、少なくとも1つの分類器に特性を入力し、分類器の票決に基づいて、物体に対しする判定を下すことを含む。代替的実施形態においては、物体に対して判定を下すのは、分類器の票決の最小の数に基づく。このように該方法は、推定された特性を使用して、分類器により、物体が正しい警報か又は誤警報であるかに対する票決を判定することを含む。票決は、正・誤選択、重み付けした値、及び確率の中の1つである。別の代替的実施形態においては、票決が重み付けした値である時、物体に対して判定を下すことは、重み付けした値の処理を含む。
【0034】
更に、この方法は、画像形成システムによりコンテナを走査している間に、警報を発生した、安全確認された物体の最小の数に基づいて、コンテナに最終判定が下される。
【0035】
上記したシステム及び方法は、貨物コンテナを効率的に及び信頼性を持って検査することを促進する。より特定的には、該システム及び方法は、部品の検出及び/又は警報を行うことを含む画像形成システムの出力を効率的に処理し、部品により発生される誤警報と部品により発生される正しい警報とを区別し易くする。警報の正しさを判定するために多数の分類器を使用すると、各々の物体の分類の正確さが増大されることになる。更に、異なる分類方法を使用すると、各々の物体及び各々の目標物の分類の正確さが更に増大されることになる。警報の正しさを判定することにより、完了しなければならない手作業による検査の数を減少させることができ、これにより検査に必要な職員の減少及び/又は安全検査場で乗客に時間を取らせないようにすることができる。
【0036】
貨物を検査するためのシステム及び方法の例示的実施形態が、詳細に述べられている。このシステム及び方法は、ここに述べられた特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろシステムの部品及び/又は方法の段階が、独立して、かつ別個に、ここに述べられた他の部品及び/又は段階において利用することができる。更に、述べられたシステムの部品及び/又は方法段階は、他のシステム及び/又は方法においても使用でき、或いは他のシステム及び/又は方法と組み合わせて使用できるのであるから、ここで述べられたようなシステム及び方法だけで実行するように限定されるものではない。
【0037】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して述べられているが、当業者は、本発明が特許請求の範囲の意図及び範囲内で修正されて実施することができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0038】
100 検知後分類システム
200 走査システム
202 コンテナ
204 X線源
206 X線検知器
208 データ集積システム
210 プロセッサー
212 ディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内の持ち込み禁制品を検知するための部品を含む画像形成システムにより生成される警報を分析する方法であって、
前記画像形成システムから複数の画像を受信し、
警報を発生させる原因となる少なくとも1つの物体に対して少なくとも1つの特性を推定し、
少なくとも1つの分類器に前記少なくとも1つの特性を入力し、
前記少なくとも1つの分類器の票決に基づいて、前記少なくとも1つの物体に判定を下し、
前記コンテナに最終判定を下す、
ことから成る方法。
【請求項2】
少なくとも1つの特性を推定することは、前記少なくとも1つの物体に関連する複数の画像要素を使用して、前記少なくとも1つの物体に対する少なくとも1つの特性を推定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの分類器により、推定された前記少なくとも1つの特性を使用して、前記少なくとも1つの物体について正しい警報か又は誤警報かどうかに対する票決を判定することを更に含み、前記票決は、正・誤選択、重み付けした値、及び確率の中の1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記票決は、重み付けした値であり、前記少なくとも1つの物体に対して判定を下すことは、前記重み付けした値を処理することを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの物体に対して判定を下すことは、最も少ない数の分類器の票決に基づいて、前記少なくとも1つの物体に判定を下すものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテナに最終判定を下すことは、前記画像形成システムによる前記コンテナの走査中に、警報を発生した安全確認された物体の最も少ない数に基づいて、前記コンテナに最終判定を下すものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
走査されるコンテナ内の疑わしい持ち込み禁制品が検知されたとき警報を発生するように構成された検知用部品を含む画像形成システムと共に使用され、誤警報を実際の検知から区別するように構成された検知後処理システムであって、
システムバスに電気結合されたメモリーと、
前記システムバスに電気的に結合され、前記システムバスを介して前記メモリーに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサーと、
から成り、
前記画像形成システムから、各々が複数の画像要素を含む複数の画像を受信し、
前記メモリーに前記受信した画像を保存し、
前記画像形成システムにより警報をトリガした少なくとも1つの物体に対応する、前記複数の画像要素の各々の画像要素の組から複数の特性を推定し、
複数の分類器に前記複数の特性を入力し、
前記複数の分類器の各々の分類器による票決に基づいて、前記少なくとも1つの物体によりトリガされた各々の警報に対する警報状態を判定する、
ように構成された
ことを特徴とする検知後処理システム。
【請求項8】
各々の分類器は、前記複数の特性の少なくとも1つの特性を使用して、各々の警報に対する前記警報の状態についての票決を与えるように構成され、各々の票決は、正・誤の選択、重み付けした値、及び確率の中の1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の検知後処理システム。
【請求項9】
前記検知後処理システムは、前記複数の分類器から得られた前記票決を結合して、各々の警報に対する前記警報状態を判定するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の検知後処理システム。
【請求項10】
前記検知後処理システムは、前記複数の分類器により判定された重み付けされた値の票決を結合するように構成されたことを特徴とする請求項8に記載の検知後処理システム。
【請求項11】
前記検知後処理システムは、前記複数の分類器により与えられた票決の最小の数に基づいて、誤警報として警報の安全確認をするように構成されることを特徴とする請求項7に記載の検知後処理システム。
【請求項12】
警報を安全確認するために、前記複数の分類器より与えられた票決の前記必要とする数が調整可能であることを特徴とする請求項11に記載の検知後処理システム。
【請求項13】
前記検知後処理システムは、安全確認された警報の最小の数に基づいて、更なる検査から前記コンテナを安全確認するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の検知後処理システム。
【請求項14】
コンテナの走査中に画像形成システムにより発せられる正しい警報から誤警報を区別するための検知後分類システムであって、
前記検知後分類システムは、前記画像システムから受信した複数の画像内の複数の画像要素の少なくとも1つの推定される特性に基づき、前記警報の状態について判定し、票決を行うように構成された少なくとも1つの分類器を含み、前記少なくとも1つの分類器は、
正しい警報の組と誤警報の組とを含むテスト用セットを収集し、
前記テスト用セットを使用して、前記少なくとも1つの分類器の第一の行為を推定し、
各々のテストの組の複数の特性に対する範囲及び標準偏差の少なくとも1つを判定し、
摂動係数を増加させ、
各々の組に対して、前記複数の特性の少なくとも1つの特性の値を修正し、
前記修正したテスト用セットの値を使用して、前記少なくとも1つの分類器の第二の行為を推定する、
ように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの分類器の第一の行為を推定することは、各々の組に対して、得られた正しい警報の割合と得られた誤警報の割合を判定することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。
【請求項16】
少なくとも1つの特性の値を修正することは、無作為量で少なくとも1つの特性の値を修正することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。
【請求項17】
少なくとも1つの特性の値を修正することは、前記少なくとも1つの特性に対して、ゼロと、前記摂動係数に前記標準偏差を掛けることにより定められた量との間で、少なくとも1つの特性の値を修正することを含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。
【請求項18】
少なくとも1つの特性の値を修正することは、前記複数の特性の一部に対する値を修正することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。
【請求項19】
少なくとも1つの特性を修正することは、異なる量で各々の特性の値を修正することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。
【請求項20】
少なくとも1つの特性の値を修正することは、修正した値を予め定められた範囲に制限することを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の検知後分類システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−540930(P2010−540930A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526982(P2010−526982)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/071438
【国際公開番号】WO2009/045616
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510067212)モルフォ ディテクション インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】