説明

検知装置

【課題】受光素子での光検知の空間分解能を向上させることが可能な検知装置を提供する。
【解決手段】検知装置は、複数の受光素子1と、各受光素子1と協働する回路部品2と、各受光素子1が収納されたパッケージ3とを備えている。検知装置は、回路部品2もパッケージ3に収納されている。検知装置は、パッケージ3内において各受光素子1が互いに離間して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を備えた検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線を受光する複数の受光部を備えた焦電素子を用いた赤外線検出器が知られている(特許文献1)。
【0003】
ここで、特許文献1には、図19に示す構成の赤外線検知器が記載されている。この赤外線検知器は、焦電素子130、信号処理IC(図示せず)、外付けの電子部品(チップコンデンサC1)などを同時成形体110に実装して同時成形ブロックとし、この同時成形ブロックを金属製ベース194上に実装し、金属製キャップ195を金属製ベース194に接合してある。要するに、赤外線検出器は、金属製ベース194と金属製キャップ195とで構成される金属製パッケージ内に同時成形ブロックを収納している。
【0004】
また、特許文献1では、焦電素子130として、図20に示すように、4つの受光部130a,130b,130c,130dを備えてクワッドタイプあるいは4エレメントタイプと呼ばれているものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−117216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された赤外線検出器では、4つの受光部130a,130b,130c,130dが1つの焦電素子130において並設されているので、受光部130a,130b,130c,130d間でクロストーク(熱的な相互干渉)が発生して光検知の空間分解能が低下してしまう懸念がある。また、上述の焦電素子130では、受光部130a,130b,130c,130dにおいて発生した電荷だけでなく、受光部130a,130b,130c,130d以外で発生した電荷も、信号処理ICへ出力されるので、光検知の空間分解能が低下してしまう懸念がある。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、受光素子での光検知の空間分解能を向上させることが可能な検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の検知装置は、複数の受光素子と、前記各受光素子と協働する回路部品と、少なくとも前記各受光素子が収納されたパッケージとを備え、前記パッケージ内において前記各受光素子が互いに離間して配置されてなることを特徴とする。
【0009】
この検知装置において、前記受光素子は、赤外線検出素子であることが好ましい。
【0010】
この検知装置において、前記赤外線検出素子は、MEMS赤外線センサであることが好ましい。
【0011】
この検知装置において、前記MEMS赤外線センサは、焦電型であることが好ましい。
【0012】
この検知装置において、前記回路部品が、前記パッケージ内に配置されていることが好ましい。
【0013】
この検知装置において、前記各受光素子は、前記回路部品から等距離となるように配置されてなることが好ましい。
【0014】
この検知装置において、前記各受光素子は、前記パッケージの平面視において前記パッケージの中心よりも前記パッケージの外周線に近づけて配置されてなることが好ましい。
【0015】
この検知装置において、前記各受光素子は、各々の受光面が、前記パッケージの厚み方向に直交する仮想平面に対して傾斜していることが好ましい。
【0016】
この検知装置において、前記受光素子の数が4つであり、前記パッケージの平面視における外周線が正方形状であり、前記各受光素子は、前記外周線よりも内側の仮想正方形の角に位置し、且つ、前記仮想正方形の対角線と前記正方形状の対角線とのなす角度を45度とするように配置されてなることが好ましい。
【0017】
この検知装置において、前記受光素子と同じ構造のリファレンス素子を備え、前記リファレンス素子が前記パッケージ内に収納されてなることが好ましい。
【0018】
この検知装置において、前記パッケージは、前記各受光素子が実装されたパッケージ本体と、前記各受光素子での受光対象の光を透過する機能を有し前記パッケージ本体に接合されたパッケージ蓋を備えることが好ましい。
【0019】
この検知装置において、前記パッケージ蓋は、前記光を透過するレンズを備えることが好ましい。
【0020】
この検知装置において、前記パッケージ蓋は、前記光を透過する平板状の窓材を備えることが好ましい。
【0021】
この検知装置において、前記パッケージ蓋は、前記受光素子の検知エリアを規定する開孔部が形成されてなり、前記開孔部が前記光を透過する部材により閉塞されてなることが好ましい。
【0022】
この検知装置において、前記パッケージ本体は、導電性材料により形成されたシールド部を備え、前記パッケージ蓋は、前記シールド部に電気的に接続されてなることが好ましい。
【0023】
この検知装置において、前記受光素子は、一対の電極のうちの一方の電極が前記シールド部と電気的に接続されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の検知装置においては、受光素子での光検知の空間分解能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態1の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図2】実施形態1の検知装置の概略断面図である。
【図3】実施形態1の検知装置の他の構成例の概略断面図である。
【図4】実施形態1の検知装置に用いるMEMS赤外線センサの概略断面図である。
【図5】実施形態1の検知装置をジェスチャーセンサとして用いる場合の検知原理の説明図である。
【図6】実施形態1の検知装置をジェスチャーセンサとして用いる場合の検知原理の説明図である。
【図7】実施形態1の検知装置の更に他の構成例における要部概略断面図である。
【図8】実施形態1の検知装置の別の構成例における要部概略断面図である。
【図9】実施形態2の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図10】実施形態3の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図11】実施形態3の検知装置の他の構成例においてパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図12】実施形態4の検知装置の概略断面図である。
【図13】実施形態5の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図14】実施形態6の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図15】実施形態7の検知装置を示し、(a)は要部概略断面図、(b)はパッケージ蓋を取り外した状態の概略平面図である。
【図16】実施形態8の検知装置の要部概略断面図である。
【図17】実施形態8の検知装置の他の構成例の要部概略断面図である。
【図18】実施形態8の検知装置の別の構成例の要部概略断面図である。
【図19】従来例の赤外線検出器の分解斜視図である。
【図20】従来例の赤外線検出器における焦電素子を示し、(a)は平面図、(b)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態1)
本実施形態の検知装置は、図1および図2に示すように、複数の受光素子1と、各受光素子1と協働する回路部品2と、各受光素子1が収納されたパッケージ3とを備えている。ここで、検知装置は、パッケージ3内において各受光素子1が互いに離間して配置されている。また、検知装置は、回路部品2もパッケージ3内に配置されていることが好ましい。これにより、検知装置は、パッケージ3によって回路部品2を保護することができ、また、機器などへ搭載する場合に、機器への搭載が容易になる。ただし、検知装置は、少なくとも各受光素子1がパッケージ3に収納されていればよい。
【0027】
パッケージ3は、パッケージ本体4と、パッケージ本体4との間に各受光素子1および回路部品2を囲む形でパッケージ本体4に気密的に接合されたパッケージ蓋5とを有している。これにより、検知装置は、各受光素子1を保護することができ、また、動作安定性を高めることが可能となる。パッケージ本体4は、絶縁材料(セラミックス)からなる基体41に金属材料からなる回路配線(図示せず)および複数の外部接続用電極(図示せず)が形成されている。パッケージ蓋5は、受光素子1での受光対象の光を透過する機能を有している。なお、パッケージ3は、表面実装型パッケージであることが好ましい。
【0028】
また、パッケージ本体4には、導電性材料により形成されたシールド部43(図2参照)を備えていることが好ましい。これにより、検知装置は、各受光素子1と回路部品2と上記回路配線とを含んで構成される電気回路への外来の電磁ノイズの影響を低減することが可能となり、外来の電磁ノイズに起因したS/N比の低下を抑制することが可能となる。また、パッケージ蓋5は、パッケージ本体4のシールド部43に電気的に接続されていることが好ましい。これにより、検知装置は、上記電気回路への外来の電磁ノイズの影響を、より低減することが可能となる。
【0029】
図1および図2に示した構成の検知装置におけるパッケージ蓋5は、パッケージ本体4側の一面が開放された箱状に形成されパッケージ本体4に対向する部位に開孔部52が形成された蓋本体51と、蓋本体51の開孔部52を閉塞するように蓋本体51に接合された平板状の窓材6とを備えている。ここで、パッケージ蓋5は、窓材6が受光素子1での受光対象の光を透過する機能を有し、且つ、窓材6が導電性を有している。本実施形態では、窓材6を平板状の形状としてあることにより、検知装置全体の薄型化を図ることが可能となる。
【0030】
また、パッケージ蓋5は、図2に示すように、蓋本体51の外壁面に、シールド部43と電気的に接続されるシールド層53を形成してあるが、これに限らず、例えば、図3に示すように、パッケージ5の内壁面に、シールド部43と電気的に接続されるシールド層53を形成してもよい。シールド層53は、例えば、電気めっき法や蒸着法などによって形成すればよい。シールド層53と窓材6とは、例えば、半田や導電性接着剤などを利用して電気的に接続すればよい。また、シールド部43とシールド層53とは、例えば、導電性接着剤や導電層などを利用して電気的に接続すればよい。パッケージ蓋5は、蓋本体51を金属により形成してもよく、この場合、蓋本体51がシールド層53を兼ねるようにしてもよいし、蓋本体51とは別途にシールド層53を設けてもよい。また、パッケージ蓋5とパッケージ本体4との接合方法としては、例えば、シーム溶接法や、表面活性化接合法や、樹脂接合法などを採用することができるが、特に限定するものではなく、パッケージ蓋5およびパッケージ本体4それぞれの材料などに基づいて適宜の接合方法を適用すればよい。
【0031】
なお、パッケージ本体4およびパッケージ蓋5の外周形状は矩形状としてあるが、矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
【0032】
本実施形態の検知装置では、パッケージ本体4とパッケージ蓋5とで囲まれた気密空間を不活性ガス雰囲気(ドライ窒素ガス雰囲気)としてある。不活性ガスは、ドライ窒素ガスに限らず、例えば、アルゴンガスなどでもよい。また、検知装置は、パッケージ本体4とパッケージ蓋5とで囲まれた気密空間を真空雰囲気や空気雰囲気とすることも可能である。
【0033】
本実施形態の検知装置は、上記電気回路からアナログあるいはディジタルの検知信号を出力するパッシブ型のセンサである。
【0034】
回路部品2としては、例えば、IC素子(ASIC(:Applicationspecific IC)など)、抵抗、コンデンサ、マイクロコンピュータなどを用いることができる。回路部品2を用いて実現する機能回路としては、例えば、バンドパスフィルタ、増幅回路、A/D変換回路などを含んで受光素子1の出力信号を信号処理する信号処理回路などが挙げられる。なお、検知装置は、必ずしも、回路部品2が受光素子1の出力信号を信号処理する機能を有している必要はなく、受光素子1のアナログの出力信号を出力するようにしてもよい。また、検知装置において、パッケージ本体4の外部接続電極から出力する電気信号は、ディジタルでもアナログでもよい。
【0035】
検知装置では、回路部品2をパッケージ3内に収納する場合、検知装置全体の小型化および低コスト化などの観点から、回路部品2としてチップ部品を用いることが好ましい。
【0036】
検知装置は、図1(b)に示すように、4つの受光素子1が、2×2のアレイ状に配置されている。ここで、検知装置は、パッケージ本体4の平面視における外周線が正方形状であり、各受光素子1が、当該外周線よりも内側の仮想正方形の角に位置している。また、各受光素子1は、平面視形状が矩形状(図1(b)の例では、正方形状)であるが、必ずしも矩形状である必要はない。
【0037】
また、各受光素子1は、回路部品2から等距離となるように配置されていることが好ましい。これにより、検知装置は、各受光素子1と回路部品2との熱的な相互干渉が各受光素子1ごとにばらつくのを抑制することが可能となり、各受光素子1の特性ばらつきを抑制することが可能となる。また、検知装置は、各受光素子1と回路部品2との間の配線長を揃えることが可能となる。
【0038】
また、各受光素子1は、パッケージ本体4の平面視においてパッケージ本体4の中心よりもパッケージ本体4の外周線に近づけて配置されていることが好ましい。これにより、検知装置は、各受光素子1がパッケージ本体4の中心に近づけて配置されている場合に比べて、受光素子1での光検知の空間分解能を向上させることが可能となる。
【0039】
受光素子1としては、例えば、赤外線検出素子、フォトダイオード素子などを用いることができる。ここで、検知装置は、受光素子1として赤外線検出素子を用いた場合、人体や物体の存否、人体の動作(例えば、ジェスチャーなど)、検知エリアの温度分布などを検知することが可能となる。また、赤外線検出素子としては、焦電体基板の厚み方向の両面に形成され互いに対向する2つ1組の電極と焦電体基板において2つ1組の電極に挟まれた部分とで構成される受光部を備えた焦電素子を用いることも可能であるが、MEMS(micro electro mechanical systems)製造技術を利用して製造された赤外線センサであるMEMS赤外線センサを用いることが好ましい。MEMS製造技術としては、バルクマイクロマシニング技術、表面マイクロマシニング技術などがある。要するに、MEMS赤外線センサは、上述の焦電素子のようなバルク型の赤外線センサではなく、薄膜型の赤外線センサである。MEMS赤外線センサは、焦電型、サーモパイル型、抵抗ボロメータ型のいずれでもよいが、焦電型であることが好ましい。なお、焦電体基板の材料としては、例えば、PbTiO3、PZT(:Pb(Zr,Ti)O3)、PZT−PMN(:Pb(Zr,Ti)O3−Pb(Mn,Nb)O3)などのセラミック材料、LiTaO3、LiNbO3などの単結晶材料や、PVF2などの高分子材料、などの焦電材料を採用することができる。また、各電極の材料としては、例えば、NiCr、Ni、金黒などの導電性を有する赤外線吸収材料を採用することができる。
【0040】
以下、受光素子1として用いることが可能な焦電型のMEMS赤外線センサの一例について図4に基づいて説明する。
【0041】
MEMS赤外線センサは、基板10と、基板10の一表面側に形成された第1電極(下部電極)14aと、第1電極14aにおける基板10側とは反対側に形成された焦電体膜14bと、焦電体膜14bにおける第1電極14a側とは反対側に形成された第2電極(上部電極)14cとを備えている。ここで、基板10としては、上記一表面が(100)面の単結晶のシリコン基板を用いているが、これに限らず、例えば、多結晶のシリコン基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、酸化マグネシウム基板、ガラス基板などを用いることもできる。
【0042】
また、MEMS赤外線センサは、必要に応じて、第1電極14aの直下に、基板10の材料に比べて焦電体膜14bとの格子整合性の良い材料からなる緩衝層14dを設けることが好ましい。ここにおいて、MEMS赤外線センサは、基板10の上記一表面側および他表面側それぞれにシリコン酸化膜からなる絶縁膜19a,19b(以下、第1絶縁膜19a、第2絶縁膜19bと称する)が形成され、基板10の上記一表面側(ここでは、第1絶縁膜19aの表面側)に緩衝層14dが形成されている。なお、基板10として酸化マグネシウム基板やガラス基板などの絶縁性基板を用いる場合には、第1絶縁膜19aおよび第2絶縁膜19bを形成する必要はない。
【0043】
MEMS赤外線センサは、焦電体膜14bの焦電材料として、鉛系の酸化物強誘電体の一種であるPZTを採用しているが、鉛系の酸化物強誘電体は、PZTに限らず、例えば、PZT−PLT、PLTやPZT−PMNなどやその他の不純物を添加したPZT系強誘電体などを採用してもよい。緩衝層14dの材料としては、SrRuO3を採用しているが、これに限らず、例えば、(Pb,La)TiO3やPbTiO3、MgO、LaNiO3などを採用してもよい。また、緩衝層14dは、例えば、Pt膜とSrRuO3膜との積層膜により構成してもよい。
【0044】
また、MEMS赤外線センサでは、第1電極14aと焦電体膜14bと第2電極14cとで受光部(センシングエレメント)14を構成している。ここにおいて、MEMS赤外線センサでは、第1電極14aの材料として、Ptを採用し、第2電極14cの材料として、NiCrなどの導電性を有する赤外線吸収材料を採用しているが、これらの材料は特に限定するものではない。第1電極14aの材料としては、例えば、Au、Al、Cuなどを採用してもよい。また、第2電極14cの材料としては、Ni、金黒などの導電性を有する赤外線吸収材料を採用してもよい。MEMS赤外線センサでは、第2電極14cの材料として、導電性を有する赤外線吸収材料を採用した場合、第2電極14cが赤外線吸収膜を兼ねることとなる。また、MEMS赤外線センサは、基板10に、受光部14と基板10との熱絶縁用の空洞10aが形成されている。ところで、受光素子1は、出力用の一対の電極を有しているものであり、一方の電極をシールド部43と電気的に接続して用いることが好ましい。これにより、検知装置は、上記電気回路への外来の電磁ノイズの影響を、より低減することが可能となる。MEMS赤外線センサでは、第1電極14aと第2電極14cとで一対の電極を構成しており、第1電極14aをシールド部43と電気的に接続して用いることが好ましい。
なお、図4では、基板10の上記一表面側に空洞10aを形成してあるが、空洞10aは基板10の厚み方向に貫通するように形成してもよい。
【0045】
以下、上述のMEMS赤外線センサの製造方法について簡単に説明する。
【0046】
まず、基板10の上記一表面側および上記他表面側それぞれの全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜19a,19bを熱酸化法により形成する。その後、基板10の上記一表面側(ここでは、第1絶縁膜19a上)の全面に、緩衝層14dをスパッタ法、CVD法、蒸着法などにより成膜する。続いて、緩衝層14dにおける基板10側とは反対側の全面に第1電極14aをスパッタ法、CVD法、蒸着法などにより成膜し、第1電極14aにおける緩衝層14d側とは反対側の全面に焦電体膜14bをスパッタ法、CVD法、ゾルゲル法などにより成膜する。
【0047】
焦電体膜14bを成膜した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して焦電体膜14bをパターニングし、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第1電極14aをパターニングする。
【0048】
その後、基板10の上記一表面側に所定形状の第2電極14cをスパッタ法やCVD法などの薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を利用して形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して基板10に空洞10aを形成する。
【0049】
上述の空洞10aを形成する工程が終了するまでをウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々のMEMS赤外線センサに分割する。
【0050】
受光素子1は、受光部14の平面視形状を正方形状としてあり、上述の仮想正方形の角に受光部14の中心が位置するように配置されている。したがって、回路部品2が各受光素子1へ与える熱の影響を均一化することが可能となる。なお、MEMS赤外線センサの構造は図4の構造に限定するものではない。
【0051】
ところで、検知装置では、パッケージ本体4の基体41の絶縁材料としてセラミックスやガラスなどの無機材料を採用することが好ましい。これにより、検知装置は、上記絶縁材料としてエポキシ樹脂などの有機材料を採用する場合に比べて、パッケージ本体4の吸湿による上記回路配線間の絶縁抵抗の低下を防ぐことが可能となるとともに、耐熱性を向上させることが可能となる。ここで、上記無機材料として、アルミナを採用すれば、上記無機材料として窒化アルミニウムや炭化珪素などを採用する場合に比べて、上記絶縁材料の熱伝導率が小さくなる。これにより、検知装置は、例えば、受光素子1として焦電型のMEMS赤外線センサや焦電素子を用いている場合などに、外部の熱のゆらぎに起因した受光素子1の感度の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
また、パッケージ蓋5における窓材6は、厚み方向に一表面側(図1の下面側)にフィルタ部(図示せず)を形成してあり、光学フィルタを構成している。ここにおいて、フィルタ部は、所定の波長域の光を透過し当該波長域以外の光を反射する光学多層膜(多層干渉フィルタ膜)により構成されている。したがって、本実施形態の検知装置では、パッケージ蓋5が、所望の波長域以外の不要な波長域の光をフィルタ部によりカットすることが可能となり、太陽光などによるノイズの発生を防止することができ、高感度化を図れる。なお、窓材6は、厚み方向の上記一表面側に限らず、他表面側にフィルタ部を形成してもよく、少なくとも一方にフィルタ部を形成してあることが好ましい。また、上記一表面側に形成するフィルタ部と上記他表面側に形成するフィルタ部とは、互いのフィルタ特性が同じでもよいが、互いのフィルタ特性を異ならせることによって、より効果的に不要な光をカットすることが可能となる。
【0053】
受光素子1として赤外線検出素子を用いる場合、窓材6は、所望の波長域の赤外線を透過すればよい。ここで、受光素子1での受光対象の光として、例えば人体から放射される赤外線を想定している場合、窓材6は、例えば、導電性を有し且つ赤外線を透過する基材の一種であるシリコン基板を用いて形成することができる。この場合、フィルタ部は、所定の波長域の赤外線を透過し当該波長域以外の赤外線を反射する光学多層膜(多層干渉フィルタ膜)により構成すればよい。これにより、本実施形態の検知装置では、パッケージ蓋5が、所望の波長域以外の不要な波長域の赤外線や可視光をフィルタ部によりカットすることが可能となり、太陽光などによるノイズの発生を防止することができ、高感度化を図れる。なお、受光素子1での受光対象の光が赤外線の場合、窓材6の基礎となる基材の材料は、シリコンに限らず、例えば、ゲルマニウム、ガリウム砒素、亜鉛化硫黄などでもよい。
【0054】
以上説明した本実施形態の検知装置は、複数の受光素子1と、各受光素子1と協働する回路部品2と、各受光素子1が収納されたパッケージ3とを備え、パッケージ3内において各受光素子1が互いに離間して配置されているので、受光素子1での光検知の空間分解能を向上させることが可能となる。
【0055】
本実施形態の検知装置は、例えば、各受光素子1として焦電型のMEMS赤外線センサを用い、回路部品2として各受光素子1の出力信号に基づいてジェスチャーを検知する適宜のプログラムを搭載したASIC或いはマイクロコンピュータを用いることにより、ジェスチャーセンサとして用いることが可能である。この場合、ジェスチャーセンサは、各受光素子1の出力信号に基づいて人の特性部位(例えば、ユーザの手など)での所定のジェスチャーを認識するジェスチャー認識部と、ジェスチャー認識部により認識されたジェスチャーに予め対応付けられた制御出力を制御対象機器へ与える制御部とを備えることが好ましく、ジェスチャー認識部および制御部を、上述のASICやマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより、実現すればよい。
【0056】
検知装置をジェスチャーセンサとして用いる場合、人の特性部位のような物体の移動方向、物体の移動速度、物体の有無、物体の形状などに基づいてジェスチャーを検知するようにすることが可能である。
【0057】
ここで、物体の移動方向および移動速度それぞれを検知する原理について図5に基づいて説明する。
【0058】
焦電型のMEMS赤外線センサは微分型センサであるから、物体100が、図5(a)における矢印の向きに検知装置の前方を横切った場合、図5(a)における左側の受光素子1の出力は、図5(b)に示すように正弦波状の波形となり、図5(a)における右側の受光素子1の出力は、図5(c)に示すような正弦波状の波形となる。したがって、ジェスチャー認識部が、検知出力を発生する受光素子1の相対的な位置関係に基づいて物体100の移動方向を特定する移動方向特定手段を備えていれば、物体100の移動方向を特定することが可能となる。また、ジェスチャー認識部が、左側の受光素子1に検知出力が発生した時刻と右側の受光素子1に検知出力が発生した時刻との時間差tと、左側の受波素子1と右側の受波素子1との距離とに基づいて、物体100の移動速度を求める移動速度演算手段を備えていれば、物体100の移動速度を求めることが可能となる。
【0059】
次に、物体の有無を検知する原理について図6に基づいて説明する。
【0060】
例えば、物体100が人の手であり、図6(a)における左側の受光素子1の前方(図6(a)においては上方)で指を閉じた状態から開いた状態に動かした場合、左側の受光素子1の出力は、図6(b)に示すような正弦波状の波形となる。また、図6(a)における右側の受光素子1の前方で手を右側の受光素子1の光軸方向に動かした場合、右側の受光素子1の出力は、図6(c)に示すような正弦波状の波形となる。また、図6(a)における右側の受光素子1の前方で手を傾けた場合も、右側の受光素子1の出力は、図6(c)に示すような正弦波状の波形となる。したがって、ジェスチャー認識部が、各受光素子1の各々の出力に基づいて各受光素子1の各々の検知エリア内の物体100の有無を判断する物体検知手段を備えていれば、物体100の有無を判断することが可能となる。図6(b),(c)は、図6(a)における左側の受光素子1の前方で指を動かすのと略同時に、図6(a)における右側の受光素子1の前方で手を動かした場合の各受光素子1の波形を例示しているが、指の動きと手の動きとが時系列で行われれば、その時系列の順序で受光素子1の出力が正弦波状の波形として現れる。なお、ジェスチャー認識部の移動方向特定手段、移動速度演算手段および物体検知手段は、上述のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現可能である。
【0061】
上述の制御部は、ジェスチャーと制御出力とをあらかじめ対応付けたテーブルを記憶したメモリ(図示せず)を備えており、ジェスチャー認識部にて認識されたジェスチャーに対応する制御出力を制御対象機器へ与えるようになっている。
【0062】
なお、ジェスチャーセンサは、ジェスチャー認識部により認識されたジェスチャーを、制御対象機器の操作の動きとして利用してもよい。
【0063】
また、検知装置を人体検知センサの用途に用いる場合には、受光素子1の数は4つに限らず、例えば、2つでもよく、2つの受光素子1を1×2のアレイ状に配置してもよい。また、受光素子1の数が4つの場合でも、2×2のアレイ状に限らず、1×4のアレイ状に配置してもよい。また、検知装置は、受光素子1の各々の出力に基づいて人体検知を行うようにしてもよい。
【0064】
また、上述の検知装置では、各受光素子1を平板状のパッケージ本体4の一表面上に配置してあり、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の上記一表面および窓材6と略平行となっているが、これに限らず、例えば、図7や図8それぞれに示すように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0065】
ここで、図7では、パッケージ本体4の上記一表面の中央部に、錐台状の突台部45が突設されており、突台部45の側面に各受光素子1を配置してある。また、図8では、パッケージ本体4の上記一表面の周部に、上記一表面から離れるにつれて徐々に開口面積が大きくなる枠部46が突設されており、枠部46の内側面に各受光素子1を配置してある。図7や図8の構成では、パッケージ本体4および窓材6の厚み方向に交差する所望の角度方向からの光の受光量を増加させ、所望の角度方向からの光に対する受光素子1の感度を向上させることが可能となる。
【0066】
(実施形態2)
本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、図9に示すように、パッケージ蓋5の構成が相違するのみである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施形態におけるパッケージ蓋5は、蓋本体51が開孔部52を有する平板状に形成されており、蓋本体51の周部とパッケージ本体4の周部との間に介在する枠状(ここでは、矩形枠状)のフレーム部54を備えている。本実施形態の検知装置においても、実施形態1で説明した図2や図3のシールド部43およびシールド層53を備えていることが好ましい。なお、本実施形態では、蓋本体51とフレーム部54とに跨ってシールド層53を形成してもよいし、蓋本体51とフレーム部54との各々を導電性材料により形成して、蓋本体51とフレーム部54とでシールド層53を兼ねるようにしてもよい。また、蓋本体51とフレーム部54との一方を導電性材料、他方を絶縁性材料により形成して、絶縁性材料により形成した方に、シールド層53を設けるようにしてもよい。
【0068】
本実施形態の検知装置では、フレーム部54の高さ寸法(図9における上下方向の寸法)を変えることにより、各受光素子1と窓材6との距離を変えることが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態の検知装置においても、上述の図7や図8それぞれに示したように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0070】
(実施形態3)
本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、図10に示すように、受光素子1の配置が相違するのみである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施形態の検知装置では、実施形態1と同様に、受光素子1の数が4つであり、パッケージ3の平面視における外周線が正方形状であるが、各受光素子1が、パッケージ3の平面視における外周線よりも内側の仮想正方形の角に位置し、且つ、当該仮想正方形の対角線と上記正方形状の対角線とのなす角度を45度とするように配置されている点が相違する。
【0072】
ここにおいて、パッケージ3の平面視における外周線と、パッケージ本体4の平面視における外周線とは、同じ正方形状である。したがって、4つの受光素子1は、図10(b)に示すように、パッケージ本体4の上記一表面側(図10(a)の上面側)で、パッケージ本体4の外周線よりも内側の上記仮想正方形の角に位置し、且つ、上記仮想正方形の対角線とパッケージ本体4の外周線からなる正方形状の対角線とのなす角度を45度とするように配置されている。なお、受光素子1は、実施形態1と同様、受光部14の平面視形状を正方形状としてあり、上述の仮想正方形の角に受光部14の中心が位置するように配置されている。
【0073】
しかして、本実施形態の検知装置では、実施形態1に比べて、平面視において回路部品2の両側に配置された受光素子1間の距離を短くすることが可能となる。また、本実施形態の検知装置では、各受光素子1と回路部品2とを図示しないワイヤ(ボンディングワイヤ)により電気的に接続するような場合に、各受光素子1と回路部品2との間のワイヤによる配線長を短くすることが可能となり、また、各受光素子1と回路部品2との接続が容易になる。
【0074】
また、検知装置は、図11に示すように、図10(b)のパッケージ本体4をパッケージ本体4の厚み方向に沿った中心線を中心軸として45度回転させ、角を面取りした形状としてもよい。
【0075】
本実施形態の検知装置においても、上述の図7や図8それぞれに示したように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0076】
(実施形態4)
図12に示す本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、実施形態1で説明した窓材6(図1(a)および図2参照)の代わりに、レンズ7を備えている点のみ相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、図12では、実施形態1において説明した図2や図3中のシールド部43およびシールド層53の図示を省略してある。
【0077】
レンズ7は、中央部が平凸型のレンズ部71を構成し、周部72が、蓋本体51に取り付けるためのフランジ部を構成している。受光素子1が赤外線検出素子の場合には、レンズ7の材料としてシリコンやゲルマニウムなどを採用することが好ましい。シリコン製やゲルマニウム製のレンズ7は、陽極酸化技術を応用した半導体レンズの製造方法によって製造することが好ましい。この製造方法については、例えば、特許第3897055号公報、特許第3897056号公報に記載されている半導体レンズの製造方法を適用することができる。これにより、本実施形態の検知装置では、レンズ部71を、球面レンズよりも短焦点で且つ開口径が大きく収差が小さな非球面レンズとすることができるので、レンズ部71が球面レンズの場合に比べて、短焦点化を図れ、検知装置全体の薄型化を図れる。
【0078】
本実施形態の検知装置では、パッケージ蓋5が、各受光素子1の受光対象の光を透過するレンズ7を備えているので、受光素子1の検知エリアを広げたり、高感度化を図ることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の検知装置では、レンズ部71の凸曲面部71aがパッケージ本体4側に位置し且つ平面部71bがパッケージ本体4側とは反対側に位置するようにレンズ7を配置してある。これにより、検知装置は、レンズ部71に傷が付きにくくなる。また、レンズ部71には、実施形態1で説明したフィルタ部を設けることが好ましい。
【0080】
本実施形態の検知装置においても、上述の図7や図8それぞれに示したように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0081】
また、実施形態2や実施形態3の検知装置における窓材6に代えて、本実施形態と同様のレンズ7を設けてもよい。
【0082】
(実施形態5)
図13に示す本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、受光素子と同じ構造のリファレンス素子11を備え、リファレンス素子11がパッケージ3内に収納されている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
本実施形態の検知装置では、受光素子1の受光対象の光がリファレンス素子11の受光面へ入射しないように、パッケージ3内に遮光部材8を配置してある。遮光部材8は、パッケージ本体4とは別体であり、パッケージ本体4に接合されている。
【0084】
本実施形態の検知装置では、実施形態1において説明した電気回路において、各受光素子1の各々の出力とリファレンス素子11の出力との差分を求めることにより、電磁ノイズや外乱ノイズの影響を低減することが可能となり、各受光素子1の出力のS/N比を向上させることが可能となる。
【0085】
ところで、遮光部材8は、図13(a)に示すように、リファレンス素子11の前方に位置する前壁部82と、リファレンス素子11の側方に位置する側壁部81とを備えており、側壁部81をパッケージ本体4に対して、接着剤(例えば、エポキシ樹脂など)により接合してある。しかして、本実施形態の検知装置では、遮光部材8をパッケージ本体4とは別体としてあることにより、遮光部材8をパッケージ本体4に一体成形する場合に比べて、遮光部材8の材料および形状の自由度が高くなるとともに、パッケージ本体4へのリファレンス素子11の実装が容易になる。
【0086】
ここで、遮光部材8の材料としては、ステンレス鋼を採用しているが、これに限らず、例えば、Al、Cu、黒色のプラスチックなどを採用してもよい。
【0087】
本実施形態の検知装置では、各受光素子1およびリファレンス素子11として赤外線検出素子を用いる場合、遮光部材8が、各受光素子1から放射される赤外線がリファレンス素子11へ到達するのを阻止する機能も有している。これにより、検知装置は、リファレンス素子11と他の受光素子1との熱的な相互緩衝を抑制することが可能となる。
【0088】
本実施形態の検知装置では、受光素子1と同じ構造のリファレンス素子11を備え、リファレンス素子がパッケージ3内に収納されているので、検知精度の向上を図ることが可能となる。
【0089】
(実施形態6)
図14に示す本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態5と略同じであり、遮光部材8の形状などが相違する。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
本実施形態の検知装置では、遮光部材8を平板状の形状としてあり、パッケージ本体4の上記一表面側に、リファレンス素子11を囲み且つ遮光部材8を支持する支持部45が突設されている。
【0091】
本実施形態の検知装置では、実施形態5と同様、受光素子1と同じ構造のリファレンス素子11を備え、リファレンス素子11がパッケージ3内に収納されているので、検知精度の向上を図ることが可能となる。
【0092】
本実施形態の検知装置では、実施形態1において説明した回路部品2(図1参照)をパッケージ3の外に備えている(図14では、図示していない)が、実施形態1と同様に、回路部品2をパッケージ3内に配置してもよい。
【0093】
実施形態5,6の各々の検知装置では、実施形態1の検知装置における4つの受光素子1のうちの1つをリファレンス素子11として用いているが、これに限らず、4つの受光素子1とは別にリファレンス素子11を配置するようにしてもよい。
【0094】
また、実施形態5,6の各々の検知装置においても、上述の図7や図8それぞれに示したように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0095】
また、実施形態5,6の各々の検知装置においても、窓材6に代えて、本実施形態4で説明したレンズ7(図12参照)を設けてもよい。
【0096】
(実施形態7)
図15に示す本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態5と略同じであり、各受光素子1の各々が他の受光素子1に対するリファレンス素子11を兼ねている点が相違する。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
本実施形態の検知装置では、予め受光素子1を2つ1組として組をなす受光素子1の対応関係を、回路部品2を構成するASICやマイクロコンピュータの記憶部に記憶させておき、組をなす2つの受光素子1で同時に出力が発生した場合には、検知信号を発生せず、組をなす2つの受光素子1で規定時間内に出力が発生した場合にのみ、検知信号を発生するようにしている。
【0098】
(実施形態8)
図16に示す本実施形態の検知装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、パッケージ蓋5における開孔部52が、受光素子1の検知エリア9を規定するように形成されている点が相違する。本実施形態の検知装置では、開孔部52の開口形状、開口サイズ、受光素子1の受光面との相対的な位置関係などにより、受光素子1の検知エリア9および受光角が規定される。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
本実施形態の検知装置では、パッケージ蓋5に、受光素子1の検知エリアを規定する開孔部52が形成されてなり、開孔部52が受光素子1の受光対象の光を透過する部材である窓材6により閉塞されているので、検知対象を精度良く検知することが可能となる。要するに、本実施形態の検知装置では、検知対象に対する検知分解能を向上させることが可能となる。
【0100】
図16に示した構成の検知装置では、パッケージ蓋5において、各受光素子1の各々の前方に、受光素子1の受光面と同程度の開口サイズの開孔部52を形成してあるが、開孔部52の開口サイズや位置は、これに限らない。例えば、図17に示すように、各受光素子1の斜め前方に、受光素子1の受光面と同程度の開口サイズの開孔部52を形成してもよいし、図18に示すように、各受光素子1の前方に、受光素子1の受光面よりも小さな開口サイズの開孔部52を形成し、且つ、各受光素子1の斜め前方に、受光素子1の受光面と同程度の開口サイズの開孔部52を形成してもよい。
【0101】
なお、開孔部52を閉塞し受光素子1の受光対象の光を透過する部材は、窓材6に限らず、例えば、開孔部52に埋め込まれたものでもよい。例えば、受光素子1が赤外線検出素子の場合、このような部材の材料としては、例えば、ポリエチレンを採用することが可能である。また、受光素子1がフォトダイオード素子の場合、このような部材の材料としては、例えば、ガラス、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などを採用することが可能である。
【0102】
本実施形態の検知装置においても、上述の図7や図8それぞれに示したように、各受光素子1の各々の受光面が、パッケージ本体4の厚み方向に直交する仮想平面(図示せず)に対して傾斜している構成としてもよい。
【0103】
ところで、各実施形態の検知装置は、受光素子1の数や配置、回路部品2の機能などを適宜設定することにより、ジェスチャーセンサや、人体検知センサなどに限らず、例えば、受光素子1の出力の有無により入力の有無を特定する非接触入力センサや、各受光素子1の出力の組み合わせにより物体の形状を認識する形状認識センサや、各受光素子1の出力の組み合わせにより温度分布を認識する温度分布センサなどにも応用することが可能である。また、各実施形態では、受光素子1が4つの場合について説明したが、受光素子1の数は複数であればよく、4つに限定するものではない。
【符号の説明】
【0104】
1 受光素子(リファレンス素子)
2 回路部品
3 パッケージ
4 パッケージ本体
5 パッケージ蓋
6 窓材(部材)
7 レンズ
11 リファレンス素子
14a 第1電極(電極)
14c 第2電極(電極)
43 シールド部
52 開孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光素子と、前記各受光素子と協働する回路部品と、少なくとも前記各受光素子が収納されたパッケージとを備え、前記パッケージ内において前記各受光素子が互いに離間して配置されてなることを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記受光素子は、赤外線検出素子であることを特徴とする請求項1記載の検知装置。
【請求項3】
前記赤外線検出素子は、MEMS赤外線センサであることを特徴とする請求項2記載の検知装置。
【請求項4】
前記MEMS赤外線センサは、焦電型であることを特徴とする請求項3記載の検知装置。
【請求項5】
前記回路部品が、前記パッケージ内に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記各受光素子は、前記回路部品から等距離となるように配置されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記各受光素子は、前記パッケージの平面視において前記パッケージの中心よりも前記パッケージの外周線に近づけて配置されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記各受光素子は、各々の受光面が、前記パッケージの厚み方向に直交する仮想平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項9】
前記受光素子の数が4つであり、前記パッケージの平面視における外周線が正方形状であり、前記各受光素子は、前記外周線よりも内側の仮想正方形の角に位置し、且つ、前記仮想正方形の対角線と前記正方形状の対角線とのなす角度を45度とするように配置されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項10】
前記受光素子と同じ構造のリファレンス素子を備え、前記リファレンス素子が前記パッケージ内に収納されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項11】
前記パッケージは、前記各受光素子が実装されたパッケージ本体と、前記各受光素子での受光対象の光を透過する機能を有し前記パッケージ本体に接合されたパッケージ蓋を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項12】
前記パッケージ蓋は、前記光を透過するレンズを備えることを特徴とする請求項11記載の検知装置。
【請求項13】
前記パッケージ蓋は、前記光を透過する平板状の窓材を備えることを特徴とする請求項11記載の検知装置。
【請求項14】
前記パッケージ蓋は、前記受光素子の検知エリアを規定する開孔部が形成されてなり、前記開孔部が前記光を透過する部材により閉塞されてなることを特徴とする請求項11記載の検知装置。
【請求項15】
前記パッケージ本体は、導電性材料により形成されたシールド部を備え、前記パッケージ蓋は、前記シールド部に電気的に接続されてなることを特徴とする請求項11ないし請求項14のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項16】
前記受光素子は、一対の電極のうちの一方の電極が前記シールド部と電気的に接続されてなることを特徴とする請求項15記載の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−220419(P2012−220419A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88434(P2011−88434)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】