説明

検証装置

【課題】プリンターからの用紙の排出速度に追従することが可能であるか否かを判定し、その判定結果に従って適切な処理を行うことにより、オペレーターの作業効率を高める。
【解決手段】この検証装置は、プリンターに接続される外部接続端子と、用紙を搬送する搬送部と、用紙に印刷された印刷情報を読み取る読取部と、印刷情報の読取条件に関する情報に基づいて、用紙を搬送しながら印刷情報を検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、算出された搬送速度の最大値をプリンターからの用紙の排出速度と比較することにより、プリンターからの用紙の排出速度に追従して用紙を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定した場合に、プリンターからの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定する信号を外部接続端子に出力して、印刷情報の検証を行う制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に印刷されたバーコードや文字等の印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う検証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルやタグにバーコードや文字等の印刷情報を印刷するプリンターにおいては、印刷媒体(以下においては、「用紙」ともいう)として、例えば、長尺帯状の台紙(セパレーター)上に所定長さのラベルが所定間隔で仮着されているラベル連続体や、タグ製造用の帯状のシートが用いられる。また、用紙に印刷情報が正確に印刷されたか否かを検証するために、用紙に印刷された印刷情報をスキャナーを用いて読み取って印刷情報の検証を行う検証装置が用いられている。さらに、そのような検証装置を備えたプリンターも知られている。
【0003】
用紙にバーコード等を印刷するプリンターから排出される印刷済みの用紙が検証装置に直接挿入される場合には、検証装置における用紙の搬送速度を、プリンターからの用紙の排出速度に自動的に追従させることが望ましい。一般的に、バーコード等を印刷するプリンターにおける用紙の排出速度は、2インチ/秒(約51mm/s)から10インチ/秒(約254mm/s)までの範囲内であるので、そのプリンターから排出される用紙に印刷されたバーコード等を検証するためには、検証装置における用紙の搬送速度も、上記の速度に追従しなければならない。
【0004】
しかしながら、バーコード等の検証においては、バーコード等を読み取って得られた画像データをデコードして読取データを生成し、読取データを参照データと照合し、検証結果を送信又は格納する必要があるので、特に、QRコードやDataMatrixのような2次元コードの検証には時間を要し、10インチ/秒の速度で用紙を搬送できない場合もある。そのような場合には、プリンターから排出される用紙がスムーズに検証装置に入力されずに、用紙がカールしてラベルが剥がれてしまうといった問題が生じる。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、用紙が給紙される時に用紙のスタート位置にばらつきが生じても用紙間隔を一定に保つことのできる給紙装置、及び、そのような給紙装置を備えた原稿読み取り装置が開示されている。この給紙装置は、用紙を積載する用紙収納手段と、積載された用紙を給送する給紙手段と、給紙された用紙を1枚ずつに分離し搬送する分離搬送手段と、分離搬送手段で分離し搬送された用紙の先端位置を検出する検出手段と、用紙を搬送する搬送速度を制御する制御手段とを有し、制御手段は、検出手段での検出結果に基づき、用紙を搬送する搬送速度を第1の搬送速度から第2の搬送速度に変更するタイミングを決定し、タイミングで搬送速度を変更する。しかしながら、バーコード等の検証装置においては、バーコード等の検証時間を考慮して用紙を搬送する必要があるので、用紙の搬送速度を自由に制御できるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−249126号公報(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、プリンターによって印刷媒体に印刷されたバーコードや文字等の印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う検証装置において、プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが可能であるか否かを判定し、その判定結果に従って適切な処理を行うことにより、オペレーターの作業効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る検証装置は、プリンターによって印刷媒体に印刷された印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う検証装置であって、プリンターとの間で信号を送信及び/又は受信するために用いられる外部接続端子と、印刷情報が印刷された印刷媒体を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される印刷媒体に印刷された印刷情報を光学的に読み取って出力信号を生成する読取部と、印刷情報の読取条件に関する情報に基づいて、印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、算出された搬送速度の最大値をプリンターからの印刷媒体の排出速度と比較することにより、プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定した場合に、プリンターからの印刷媒体の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定する信号を外部接続端子に出力して、読取部によって生成される出力信号に基づいて印刷情報の検証を行う制御部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1つの観点によれば、プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定した場合に、プリンターからの印刷媒体の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定する信号を外部接続端子に出力して、プリンターにおける印刷媒体の排出速度を自動的に低下させることにより、オペレーターの作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る検証装置を用いた印刷/検証システムを示す概略図である。
【図2】連続して発行された一連のラベルの検証例を示す図である。
【図3】図1に示す検証装置の詳細な内部構造を示す側面断面図である。
【図4】図3に示す検証装置における制御部の構成例をその周辺部と共に示すブロック図である。
【図5】1次元コードを直線に沿って読み取って得られた画像における反射率の変化を示す図である。
【図6】1次元コードのデコーダビリティの定義を説明するための図である。
【図7】1次元コードの各グレード判定項目についての判定区分を示す図である。
【図8】1次元コードの総合グレード判定における判定区分を示す図である。
【図9】2次元コードの各グレード判定項目についての判定区分を示す図である。
【図10】2次元コードの機能セルのダメージを評価する手法を説明するための図である。
【図11】2次元コードの機能セルの各グレード判定項目についての判定区分を示す図である。
【図12】各種のバーコードを検証するために必要となる時間を検討する際の前提となるバーコードの配置を示す図である。
【図13】搬送速度が10インチ/秒である場合における用紙移動量とそれに要する移動時間との関係を示す図である。
【図14】各種のバーコードを検証するために必要な時間を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る検証装置の第1の動作例を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態に係る検証装置の第2の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る検証装置を用いた印刷/検証システムを示す概略図である。この印刷/検証システムは、プリンター10と、検証装置20とによって構成される。プリンター10は、台紙に仮着されたラベル、又は、タグ製造用の帯状のシート等の用紙に、バーコードや文字等の印刷情報を印刷する。検証装置20は、用紙に印刷された印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う。なお、プリンター10又は検証装置20を、ホストとなるパーソナルコンピューター30に接続することも可能である。
【0012】
検証装置20は、プリンター10に一体化されておらず、その設置場所は自由である。また、複数種類のプリンター10が用いられる場合においても、それらのプリンター10によって印刷媒体に印刷された印刷情報を、1台の検証装置20を用いて検証することが可能である。
【0013】
以下においては、台紙に仮着されたラベルを用紙1として用い、ラベルにバーコードを印刷する場合を例として説明する。なお、本願において、「バーコード」とは、通常のバーコード(1次元コード)の他に、QRコードやDataMatrixのような2次元コードも含むものとする。
【0014】
プリンター10において、用紙1が、ロール状に巻回されたロール紙として、プリンター10の筐体に設けられた用紙供給軸11に回転可能に支持されている。用紙供給軸11から引き出された用紙1は、プラテンローラー12とサーマルヘッド13との間に供給され、プラテンローラー12の回転によって搬送される。
【0015】
ラベルとしては、例えば、ある温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)を発色するサーマル紙が用いられる。印刷データに基づく電気信号をサーマルヘッド13に供給することにより、サーマルヘッド13の発熱体が発熱して、ラベルにバーコードが印刷される。印刷が行われた用紙1は、プリンター10の筐体に形成された用紙排出口から外部に排出される。プリンター10から排出される用紙1は、検証装置20に直接挿入されても良いし、一旦切断されてから検証装置20に挿入されても良い。
【0016】
検証装置20は、複数の搬送ローラーを備えた上流側搬送部21、中間搬送部22、及び、下流側搬送部23を含む搬送部と、搬送部によって搬送される用紙1に印刷されたバーコードを光学的に読み取って出力信号を生成するスキャナー部24と、検証エラーが発生したラベルに押印を行うマーキング部25と、検証装置20の各部の動作を制御する制御部26とを含んでいる。さらに、検証装置20は、プリンター10にケーブルを介して接続される外部接続端子(Extra端子)27を含んでも良い。外部接続端子27は、プリンター10との間で信号を送信及び/又は受信するために用いられる。
【0017】
ここで、図1に示すように、プリンター10から排出される用紙1が検証装置20に直接挿入される場合には、検証装置20における用紙の搬送速度を、プリンター10からの用紙の排出速度に自動的に追従させることが望ましい。一般的に、バーコード等を印刷するプリンターにおける用紙の排出速度は、2インチ/秒(約51mm/s)から10インチ/秒(約254mm/s)までの範囲内であるので、そのプリンターから排出される用紙に印刷されたバーコード等を検証するためには、検証装置における用紙の搬送速度も、上記の速度に追従しなければならない。
【0018】
しかしながら、例えば、バーコードの検証においては、バーコードを読み取って得られた画像データをデコードして読取データを生成し、読取データを参照データと照合し、検証結果を送信又は格納する必要があるので、特に2次元コードの検証には時間を要し、10インチ/秒の速度で用紙を搬送できない場合もある。そのような場合には、プリンター10から排出される用紙1がスムーズに検証装置20に入力されずに、用紙1がカールしてラベルが剥がれてしまう。
【0019】
そこで、本実施形態においては、プリンター10から排出される用紙1が検証装置20に直接挿入される場合に、検証装置20の制御部26が、バーコードの読取条件に関する情報に基づいて、用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、算出された搬送速度の最大値をプリンター10からの用紙の排出速度と比較することにより、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定する。
【0020】
制御部26は、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定した場合に、プリンター10からの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定するプリンター排出速度設定信号を外部接続端子27に出力する。プリンター10は、検証装置20の外部接続端子27からプリンター排出速度設定信号を受信すると、そのプリンター排出速度設定信号に従って用紙の排出速度を低下させる。これにより、オペレーターが操作しなくても、プリンター10からの用紙の排出速度及び検証装置20における用紙の搬送速度が適切に調整される。
【0021】
あるいは、プリンター10から排出される用紙1が一旦切断されてから検証装置20に挿入される場合に、検証装置20の制御部26が、バーコードの読取条件に関する情報に基づいて、用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、プリンター10からの用紙の排出速度が操作部を用いて入力された際に、算出された搬送速度の最大値をプリンター10からの用紙の排出速度と比較することにより、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定し、判定結果を通知するように表示部又は音声発生部を制御する。これにより、オペレーターは、プリンター10から排出される用紙1を検証装置20に直接挿入しても良いか否かを判断することができる。
【0022】
図2は、連続して発行された一連のラベルの検証例を示す図である。用紙1は、台紙2に8枚のラベル3を剥離可能に仮着して構成されている。スキャナー部24は、8枚のラベル3にそれぞれ印刷された8個のバーコード4を順次読み取って出力信号を生成する。それらのバーコード4には、バーコード番号No.1〜8が付されているものとする。
【0023】
図1に示す制御部26は、スキャナー部24の出力信号に基づいて、読み取られたバーコードの画像を表す画像データを生成すると共に、その画像データをデコードして、読み取られたバーコードの内容(数字や文字)を表す読取データを生成し、その読取データを、本来印刷すべきバーコードの内容を表す参照データと比較照合することにより、ラベル3に印刷されたバーコード4の検証を行う。
【0024】
検証エラーが発生した場合(スキャナー部24がバーコードを読み取ることができなかった場合、又は、検証結果がNGであった場合)には、制御部26が、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに押印を行うようにマーキング部25を制御する。これにより、マーキング部25が、検証エラーが発生したバーコード(バーコード番号No.2)が印刷されているラベルに、「不可」のスタンプ5を押印する。
【0025】
図3は、図1に示す検証装置の詳細な内部構造を示す側面断面図である。検証装置20は、先に説明した上流側搬送部21〜外部接続端子27に加えて、音声発生部28と、挿入部40と、下側搬送ガイド板51と、上側搬送ガイド板52と、挿入センサー53と、上流側移動検出部54と、下流側移動検出部55と、ラベル位置検出部56と、モーター57と、エンコーダー58と、ベルト59と、表示部73と、操作部74とを含んでいる。ここで、挿入部40、上流側搬送部21〜下流側搬送部23、及び、下側搬送ガイド板51〜ベルト59は、用紙を搬送する搬送部を構成している。
【0026】
挿入部40は、挿入ガイド41と、挿入センサー42と、モーター43と、ベルト44及び46と、回転ローラー45と、搬送ローラー47及び49と、搬送ベルト48と、ガイドローラー50とを含んでいる。挿入ガイド41は、図1に示すプリンター10によって印刷された用紙が検証装置20内に挿入される際に用紙を案内する部分であり、用紙の幅方向の位置を規制するために、用紙の幅方向に移動可能な用紙ガイド部41aを含んでいる。
【0027】
挿入センサー42は、挿入ガイド41の先端部近傍に設けられ、挿入される用紙を検出して、検出信号を制御部26に出力する。挿入部40に用紙が挿入されると、制御部26は、モーター43を制御して回転軸43aを回転させる。回転軸43aの回転は、ベルト44を介して回転ローラー45に伝えられ、さらに、ベルト46を介して搬送ローラー47に伝えられる。これにより、搬送ローラー47及び49を連結している搬送ベルト48が送られるので、挿入部40に挿入された用紙が、搬送ベルト48とガイドローラー50との間に挟まれて搬送される。
【0028】
挿入部40によって搬送される用紙は、下側搬送ガイド板51と上側搬送ガイド板52との間に挿入される。挿入センサー53は、挿入部40の搬送方向下流側における直近に設けられ、搬送される用紙を検出して、検出信号を制御部26に出力する。制御部26は、挿入センサー53から検出信号を受信すると、用紙を搬送するように、上流側搬送部21〜下流側搬送部23を駆動するモーター57を制御する。
【0029】
下側搬送ガイド板51には、複数の搬送用開口と、複数の検出用開口とが形成されている。上流側搬送部21の複数の搬送ローラー21a、中間搬送部22の複数の搬送ローラー22a、及び、下流側搬送部23の複数の搬送ローラー23aは、複数の搬送用開口を通して下側搬送ガイド板51の上方に突出している。また、上流側移動検出部54の複数の検出ローラー54a、及び、下流側移動検出部55の複数の検出ローラー55aは、複数の検出用開口を通して下側搬送ガイド板51の上方に突出している。
【0030】
上側搬送ガイド板52にも、複数の搬送用開口と、複数の検出用開口とが形成されている。上流側搬送部21の複数の搬送ローラー21b、中間搬送部22の複数の搬送ローラー22b、及び、下流側搬送部23の複数の搬送ローラー23bは、複数の搬送用開口を通して上側搬送ガイド板52の下方に突出している。また、上流側移動検出部54の複数の検出ローラー54b、及び、下流側移動検出部55の複数の検出ローラー55bは、複数の検出用開口を通して上側搬送ガイド板52の下方に突出している。
【0031】
搬送ローラー21aと搬送ローラー21bとは、互いに対向して接触するように配置されている。同様に、搬送ローラー22aと搬送ローラー22bとは、互いに対向して接触するように配置されており、搬送ローラー23aと搬送ローラー23bとは、互いに対向して接触するように配置されている。
【0032】
搬送ローラー21a〜23aは、図示しないベルト、トルクリミッター、及び、アイドルギアを介して、モーター57によって駆動される。これらの構成要素も、搬送部を構成している。トルクリミッターは、図1に示すプリンター10から排出される用紙が検証装置20に直接挿入される場合に、検証装置20における用紙の搬送速度をプリンター10からの用紙の排出速度に合わせるために、用紙にかかる張力を制限するものである。
【0033】
挿入部40から挿入された用紙を搬送する際には、まず、上流側搬送部21において、搬送ローラー21aが図中下方から用紙に接触すると共に、搬送ローラー21bが図中上方から用紙に接触し、モーター57の駆動力を受けて搬送ローラー21aが回転することにより、用紙を下流方向(図3における左方向)に搬送する。
【0034】
中間搬送部22は、上流側搬送部21よりも搬送方向下流側であって、且つ、用紙に印刷された印刷情報をスキャナー部24が読み取る位置(図3における矢印Aの位置)の搬送方向下流側における近傍に設けられている。中間搬送部22において、搬送ローラー22aが図中下方から用紙に接触すると共に、搬送ローラー22bが図中上方から用紙に接触し、モーター57の駆動力を受けて搬送ローラー22aが回転することにより、用紙を下流方向に搬送する。中間搬送部22をこのような位置に設けることによって、矢印Aの位置における用紙の平面性を高めて、スキャナー部24による印刷情報の読み取りを精度良く行うことができる。
【0035】
下流側搬送部23は、中間搬送部22よりも搬送方向下流側であって、且つ、マーキング部25よりも搬送方向下流側に設けられている。下流側搬送部23において、搬送ローラー23aが図中下方から用紙に接触すると共に、搬送ローラー23bが図中上方から用紙に接触し、モーター57の駆動力を受けて搬送ローラー23aが回転することにより、用紙を下流方向に搬送する。下流側搬送部23をこのような位置に設けることによって、マーキング位置における用紙の平面性を高めて、マーキングを良好に行うことができる。
【0036】
上流側移動検出部54は、上流側搬送部21の搬送方向下流側における直近に配置されており、検出ローラー54a及び54bと、プーリー54cとを含んでいる。下流側移動検出部55は、中間搬送部22の搬送方向下流側における直近に配置されており、検出ローラー55a及び55bと、プーリー55cとを含んでいる。また、エンコーダー58は、プーリー58cを含んでいる。
【0037】
上流側移動検出部54において、検出ローラー54aが図中下方から用紙に接触すると共に、検出ローラー54bが図中上方から用紙に接触することにより、用紙が搬送されると検出ローラー54a及び54bが回転する。同様に、下流側移動検出部55において、検出ローラー55aが図中下方から用紙に接触すると共に、検出ローラー55bが図中上方から用紙に接触することにより、用紙が搬送されると検出ローラー55a及び55bが回転する。
【0038】
プーリー54c、55c、及び、58cには、ベルト59が掛けられている。従って、プーリー54c及び55cの内のすくなくとも一方が回転すると、その回転がプーリー58cに伝播する。エンコーダー58は、ロータリーエンコーダーであり、プーリー58cの回転に基づいて検出信号を制御部26に出力する。
【0039】
ラベル位置検出部56は、好ましくは、反射型光センサーと透過型光センサーとの両方を含んでいる。反射型光センサーは、用紙の少なくとも一方の面においてラベルの位置に対応して印刷された位置検出マーク(アイマーク)を検出して、検出信号を制御部26に出力する。また、透過型光センサーは、用紙上においてラベルが存在する領域とラベルが存在しない領域との光透過率の差を検出して、検出信号を制御部26に出力する。
【0040】
反射型光センサーを用いる場合には、下側センサー56a又は上側センサー56bが反射型光センサーによって構成される。一方、透過型光センサーを用いる場合には、下側センサー56aが、透過型光センサーの発光部又は受光部によって構成され、上側センサー56bが、透過型光センサーの受光部又は発光部によって構成される。
【0041】
スキャナー部24は、搬送される用紙をスキャンすることにより、用紙に印刷されたバーコードを光学的に読み取って出力信号を生成する読取部である。例えば、スキャナー部24は、照明部と光センサー部とを有しており、照明部によって照明された用紙に印刷されているバーコードを光センサー部が読み取って出力信号を生成する。光センサー部としては、1次元又は2次元CCD(電荷結合素子)イメージセンサー等の撮像素子を用いることができる。スキャナー部24によって生成される出力信号は、制御部26に出力される。
【0042】
マーキング部25は、制御部26の制御の下で、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに押印を行う押印部である。スキャナー部24がバーコードを読み取ることができなかったり、スキャナー部24が読み取ったバーコードの内容が本来印刷すべきバーコードの内容と異なっていたりする場合には、そのバーコードが印刷されているラベルに、「不可」又は「NG」等の押印を行う。なお、マーキング部25は、レーザーやインクジェットを用いてマーキングを行っても良いし、用紙の一部を切り欠いたり孔を開けたりしてマーキングを行っても良い。さらに、検証エラーが発生した場合や、操作エラーが生じた場合には、制御部26が、音声発生部28に音声(メッセージやブザー音)を発生させるようにしても良い。
【0043】
図4は、図3に示す検証装置における制御部の構成例をその周辺部と共に示すブロック図である。図4に示すように、制御部26は、CPU(central processing unit:中央演算装置)60と、ROM(read only memory)61と、フラッシュRAM(random access memory)62と、用紙検出制御回路63と、ピッチ検出制御回路64と、駆動制御回路65と、エンコーダー制御回路66と、インターフェース(IF)67と、設定部68と、スキャン制御回路69と、検証部70と、マーキング制御回路71と、音声回路72とを含んでいる。これらは、バスラインを介して相互に接続されている。
【0044】
ROM61には、CPU60に各種の処理を行わせるためのソフトウェア(制御プログラム)が格納されている。CPU60は、ROM61に格納されている制御プログラムに従って、用紙検出制御回路63〜音声回路72を制御する。また、格納部であるフラッシュRAM62には、本来印刷すべき印刷情報の内容を表す参照データが格納されている。
【0045】
参照データは、メモリーカード、USBメモリー、フレキシブルディスク、MO、MT、CD−R/W、DVD−R/W、又は、DVD−RAM等の持ち運び可能な外部記憶媒体を用いることにより、予めフラッシュRAM62に格納される。あるいは、参照データは、パーソナルコンピューター30からインターフェース67を介してフラッシュRAM62に格納されても良い。
【0046】
用紙検出制御回路63は、用紙が挿入部40に挿入されたか否かを検出するように挿入センサー42を制御すると共に、用紙が検証装置本体内に挿入されたか否かを検出するように挿入センサー53を制御する。また、ピッチ検出制御回路64は、ラベル位置検出部56から出力される検出信号に基づいて、台紙に仮着されたラベルの位置(用紙の長手方向における位置)を求め、ラベル位置検出部56がラベルを検出してから次のラベルを検出するまでの距離をラベルのピッチとして求める。
【0047】
駆動制御回路65は、用紙が挿入部40に挿入された際に、用紙を搬送するようにモーター43を制御すると共に、用紙が検証装置本体内に挿入された際に、用紙を搬送するようにモーター57を制御する。エンコーダー制御回路66は、エンコーダー58から出力される検出信号に基づいて、用紙の移動量又は搬送速度を求める。エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度は、駆動制御回路65によるモーター43及び57の制御にフィードバックされるようにしても良い。
【0048】
CPU60は、インターフェース67を介して表示部73及び操作部74に接続されている。表示部73は、例えば、CPU60から供給される信号に基づいて操作メッセージ等を表示する液晶パネルと、バーコードを読取中であることを表示する発光ダイオードと、検証エラーが発生したことを表示する発光ダイオードとを含んでいる。
【0049】
また、操作部74は、例えば、検証装置20を操作するために用いられるスタートキー等の操作キーと、内部設定情報(検証対象情報や検証装置の動作設定内容等)を設定するために用いられる内部設定情報設定キーと、プリンターからの用紙の排出速度を入力するために用いられるテンキーとを含んでいる。
【0050】
設定部68は、操作部74又はパーソナルコンピューター30を用いて設定された内部設定情報をフラッシュRAM62に格納する。また、設定部68は、フラッシュRAM62から内部設定情報を読み出す。CPU60は、その内部設定情報に従って、検証装置20の各部を制御する。
【0051】
検証装置20の内部設定情報は、印刷情報の読取条件に関する情報(読取条件情報)として、例えば、用紙のサイズ、用紙の位置、用紙における印刷情報の読取位置、印刷情報であるバーコードの種類、バーコードのサイズ、バーコードの数等に関する情報を含んでいる。なお、読取条件情報は、少なくともバーコードの位置と、バーコードの種類と、バーコードのサイズとに関する情報を含むことが望ましい。CPU60は、読取条件情報に基づいて、用紙におけるバーコードの読取範囲を決定すると共に、バーコードの検証時間を算出し、さらに、用紙を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値(例えば、9インチ/秒)を算出する。
【0052】
プリンターから排出される用紙が検証装置20に直接挿入される場合には、検証装置20における用紙の搬送速度をプリンターからの用紙の排出速度以上に設定することにより、用紙が弛緩することなく、エンコーダー制御回路66によって測定された用紙の搬送速度がプリンターからの用紙の排出速度と等しくなる。CPU60は、算出された搬送速度の最大値をプリンターからの用紙の排出速度と比較することにより、プリンターからの用紙の排出速度に追従して用紙を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定する。
【0053】
プリンターからの用紙の排出速度(例えば、8インチ/秒)に追従して用紙を搬送しながらバーコードを検証することが可能であると判定された場合には、CPU60が、検証装置20における用紙の搬送速度を、プリンター10からの用紙の排出速度よりも3%速く設定することにより、用紙を弛緩させることなく、用紙の搬送速度をプリンター10からの用紙の排出速度に自動的に追従させる。
【0054】
一方、プリンターからの用紙の排出速度(例えば、10インチ/秒)に追従して用紙を搬送しながらバーコードを検証することが不可能であると判定された場合には、CPU60は、プリンターからの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下(例えば、8インチ/秒)に設定するプリンター排出速度設定信号を外部接続端子27に出力する。プリンターは、検証装置20の外部接続端子27からプリンター排出速度設定信号を受信すると、そのプリンター排出速度設定信号に従って用紙の排出速度を、例えば、8インチ/秒に低下させる。
【0055】
しかしながら、プリンターによっては、外部から用紙の排出速度等を制御できない場合もある。そこで、本実施形態において、プリンターからの用紙の排出速度に追従して用紙を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定された場合に、CPU60は、プリンターから排出される用紙を検証装置20に直接挿入するためにはプリンターからの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に落とす必要がある旨を通知するように表示部73を制御し、又は、音声回路72を介して音声発生部28を制御しても良い。例えば、表示部73に、「プリンターからの用紙の排出速度を○○以下に設定して下さい」という表示を行うようにしても良い。
【0056】
あるいは、操作部74又はパーソナルコンピューター30を用いて設定された読取条件情報を用いる替わりに、検証装置20が、実際に複数のバーコードを読み込んで、その結果に基づいて読取条件情報を設定するようにしても良い。例えば、読取条件設定モードにおいて、スキャン制御回路69が、搬送部によって搬送される用紙に印刷されたバーコードを最大のスキャン範囲において読み取るようにスキャナー部24を制御する。CPU60は、スキャナー部24の出力信号に基づいて、用紙に印刷されたバーコードに対応する読取範囲を検出し、検出された読取範囲を読取条件情報としてフラッシュRAM62に格納する。
【0057】
プリンターから排出される用紙が一旦切断されてから検証装置20に挿入される場合には、検証装置20における用紙の搬送速度を、プリンターからの用紙の排出速度とは無関係に、印刷情報の検証に要する時間に合わせて自動的に、あるいは、手動で設定することができる(自走)。CPU60は、バーコードの読取条件に関する情報に基づいて、用紙を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値を算出する。
【0058】
その場合には、プリンターからの用紙の排出速度が操作部74を用いて入力された際に、CPU60は、算出された搬送速度の最大値をプリンターからの用紙の排出速度と比較することにより、プリンターからの用紙の排出速度に追従して用紙を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定し、判定結果を通知するように表示部73又は音声回路72を制御する。
【0059】
検証モードにおいて、スキャン制御回路69は、用紙が搬送される際に、バーコードの読取動作を行うようにスキャナー部24を制御する。特に、スキャン制御回路69は、CPU60によって指定された読取範囲においてバーコードの読取動作を行うように、スキャナー部24を制御する。これにより、バーコードの検証動作を効率的に行うことができる。
【0060】
検証部70は、スキャナー部24の出力信号に基づいて、読み取られたバーコードの画像を表す画像データを生成し、その画像データをデコードして、読み取られたバーコードの内容(数字や文字)を表す読取データを生成する。その際に、検証部70は、バーコードをデコードすることができたか否かに基づいて、スキャナー部24がバーコードを読み取ることができたか否かを判定する。また、検証部70は、生成された読取データを、フラッシュRAM62に格納されている本来印刷すべきバーコードの内容を表す参照データと比較照合すると共に、バーコードのグレードを判定する。さらに、検証部70は、検証が行われたバーコードに関する検証データを、パーソナルコンピューター30に送信するか、又は、フラッシュRAM62に格納されている検証ファイルに保存する。
【0061】
マーキング制御回路71は、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに押印を行うようにマーキング部25を制御する。これにより、マーキング部25は、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに、「不可」又は「NG」等の押印を行う。音声回路72は、検証エラーが発生した場合や、操作エラーが生じた場合に、音声発生部28に音声(メッセージ又は警告音)を発生させる。
【0062】
ここで、バーコードの検証において検証可能な項目(検証データ)には、バーコードを読み取ることができたか否かについての判定結果と、読取データの照合結果と、バーコードを読み取ることができた場合における印刷品質(グレード)の判定結果とが含まれる。
【0063】
グレード判定項目として、1次元コードの場合には、例えば、コントラストと、モジュレーションと、ディフェクトと、読取可能ライン数(例えば、10ライン中における読取可能なライン数)とが挙げられる。また、2次元コードの場合には、例えば、コントラストと、軸の非均一性と、未使用誤り訂正と、機能セルのダメージとが挙げられる。
【0064】
検証部70における1次元コードのグレード判定結果は、例えば、バーコードの種類と、読取データと、Rminグレードと、SCグレードと、ECminグレードと、MODグレードと、DEFグレードと、Vグレードと、総合グレードとを含んでおり、さらに、検証日時を含むようにしても良い。
【0065】
図5は、1次元コードを直線に沿って読み取って得られた画像における反射率の変化を示す図である。図5において、横軸は直線上の位置を表しており、縦軸は反射率(%)を表している。
【0066】
バーコードを読み取るためには、最低反射率Rminが、最高反射率Rmaxの50%以下であることが望ましい。
Rmin≦Rmax×50%
全体的なしきい値は、(Rmin+Rmax)/2となる。
【0067】
シンボルコントラストSCは、最高反射率Rmaxと最低反射率Rminとの差として定義される。
SC=Rmax−Rmin
【0068】
最小エッジコントラストECminは、スペース部の反射率Rs’と、そのスペース部に隣接するバーの反射率Rb’との差の内で最小の値として定義される。
ECmin=MIN(Rs’−Rb’)
ここで、MIN(x)は、変数xの最小値を表す。
【0069】
モジュレーションMODは、最小エッジコントラストECmin(エッジ4の位置)をシンボルコントラストSCで割った値として定義される。
MOD=ECmin/SC
【0070】
ディフェクトDEFは、バーの反射率変動の最大幅ERNmax(エレメント7の位置)をシンボルコントラストSCで割った値として定義される。
DEF=ERNmax/SC
【0071】
デコーダビリティVは、図6に示すように各バーの位置がばらつく場合に、1モジュール(バーコードのバー及びスペースの幅を決める最小単位)の幅Wにおいて残されたスペースの幅(小さい方)を0.5Wで割った値として定義される。
V=a/0.5W (a≦bの場合)
V=b/0.5W (a>bの場合)
【0072】
図7は、1次元コードの各グレード判定項目についての判定区分を示す図であり、図8は、1次元コードの総合グレード判定における判定区分を示す図である。各グレード判定項目について、図7に示すような区分に従って4〜0の点数が付けられる。さらに、各グレード判定項目について10ラインの平均AVEを求め、図8に示すような区分に従って平均AVEの値がグレードA〜D、Fに分類される。ここで、複数のグレード判定項目について判定されたグレードの内で最も低いグレードが、総合グレードとされる。
【0073】
図8において、グレードAは、最高の品質で、最も信頼性が高く、バーコードリーダーがシンボルを1回だけ走査することによりバーコードを読み取ることができる品質である。グレードBは、殆どの場合に1本の走査線で1回で読み取れるか、又は、再スキャンで読み取れる品質である。グレードCは、グレードBよりも再スキャンの回数を多くすれば読み取れる品質である。グレードDは、シンボルに対して複数の走査線を通過させることにより読み取れる品質であるが、バーコードリーダーによっては読み取れないシンボルもある。グレードFは、読み取りに失敗する可能性が高い品質である。
【0074】
また、検証部70における2次元コード(QRコード)のグレード判定結果は、例えば、バーコードの種類と、読取データと、SCグレードと、D(水平)グレードと、D(垂直)グレードと、ANグレードと、UECグレードと、総合グレードとを含んでおり、さらに、検証日時を含むようにしても良い。
【0075】
シンボルコントラストSCは、白反射率Rmaxと黒反射率Rminとの差として定義される。
SC=Rmax−Rmin
【0076】
セルの伸縮Dは、水平方向(X軸方向)と垂直方向(Y軸方向)との2方向について、タイミングセルの白い領域と黒い領域とが隣接する場合に、白い領域の幅の伸縮度として定義される。即ち、白い領域の幅が50%で黒い領域の幅が50%である場合を基準として、白い領域の幅W(%)は、(50±15)%まで許容される。セルの伸縮Dは、余裕度15%に対する白い領域の幅W(%)の誤差の割合として定義される。
D=(W−50%)/15%
【0077】
軸の非均一性ANは、X軸方向における平均セル寸法をXAVGとし、Y軸方向における平均セル寸法をYAVGとした場合に、次式によって定義される。
AN=ABS(XAVG−YAVG)/{(XAVG+YAVG)/2}
ここで、ABS(x)は、変数xの絶対値を表す。
【0078】
未使用誤り訂正UECは、測定された誤り訂正数をNECとし、最大限可能な誤り訂正数をNMAXとした場合に、次式によって定義される。
UEC=1−NEC/NMAX
【0079】
図9は、2次元コードの各グレード判定項目についての判定区分を示す図である。各グレード判定項目について、図9に示すような区分に従って4〜0の点数が付けられる。さらに、機能セルのダメージについて、グレード判定が行われるようにしても良い。
【0080】
図10は、2次元コードの機能セルのダメージを評価する手法を説明するための図である。3個の切り出しシンボルA1、A2、A3について、白又は黒が反転したセルの数Aがカウントされる。なお、グレード判定は、切り出しシンボルA1、A2、A3についてそれぞれ行われる。
【0081】
また、水平及び垂直のタイミングセルB1、B2について、白又は黒が反転したセルの数Bがカウントされ、1辺のタイミングセルの数NTCに対するセルの数Bの割合b(%)が算出される。
b=B/NTC×100%
なお、グレード判定は、タイミングセルB1、B2についてそれぞれ行われる。
【0082】
さらに、全てのアライメントパターンについて、白又は黒が反転したセルの数Cがカウントされ、アライメントパターンの総セルの数NAPに対するセルの数Cの割合c(%)が算出される。
c=C/NAP×100%
【0083】
図11は、2次元コードの機能セルの各グレード判定項目についての判定区分を示す図である。各グレード判定項目について、図11に示すような区分に従って4〜0の点数が付けられる。以上において、複数のグレード判定項目について判定されたグレードの内で最も低いグレードが、総合グレードとされる。なお、グレード判定において、A=4、B=3、C=2、D=1、F=0である。
【0084】
次に、各種のバーコードを検証するために必要となる時間について検討する。以下においては、図12に示すように、各種のバーコードが印刷された小型のラベルが台紙の長手方向に沿って9mmのピッチで配置されている場合について説明する。
【0085】
図13は、搬送速度が10インチ/秒である場合における用紙移動量とそれに要する移動時間との関係を示す図である。図13において、横軸は用紙移動量(mm)を表しており、縦軸は移動時間(ms)を表している。図13に示すように、用紙が9mm移動する間の移動時間は約35.4msであるから、10インチ/秒(約254mm/s)の搬送速度を維持するためには、1つのバーコードを約35ms以内で検証する必要がある。
【0086】
図14は、各種のバーコードを検証するために必要な時間を示す図である。図4に示す検証部70における検証時間は、1つのバーコードを読み取って得られた画像データをデコードする時間と、読取データを参照データと照合する時間と、検証結果を送信又は格納する時間とを含んでいる。
【0087】
図14に示すように、セルピッチが0.25mmのQRコード(バージョン1)を検証する場合には、検証時間は32msであり、セルピッチが0.25mmで14×14セルのDataMatrixを検証する場合には、検証時間は40msであり、セルピッチが0.15mmで16桁のバーコード(1次元コード)を検証する場合には、検証時間は24msである。従って、上記DataMatrixを検証する場合には、10インチ/秒(約254mm/s)の搬送速度を維持することができないことが分かる。
【0088】
次に、本発明の一実施形態に係る検証装置の第1の動作例について、図1〜図4、及び、図15を参照しながら説明する。図15は、本発明の一実施形態に係る検証装置の第1の動作例を示すフローチャートである。第1の動作例においては、検証装置20がプリンター10に接続されて使用される。
【0089】
ステップS11において、オペレーターが、検証装置20の外部接続端子27をケーブルを介してプリンター10に接続する。ステップS12において、オペレーターが、検証装置20を電源オンの状態にして、操作部74を操作することにより、用紙1を弛緩させることがないように、検証装置20における用紙の搬送速度を10インチ/秒に初期設定する。CPU60は、「ラベルを通してください」というメッセージを表示部73に表示する。
【0090】
ステップS13において、オペレーターが、プリンター10から排出される用紙1を検証装置20に直接挿入すると、用紙検出制御回路63が、挿入センサー42から出力される検出信号に基づいて、用紙が挿入部40に挿入されたと判定し、駆動制御回路65が、搬送ベルト48によって用紙を搬送するようにモーター43を駆動する。さらに、用紙が検証装置本体内に挿入されると、用紙検出制御回路63は、挿入センサー53から出力される検出信号に基づいて、用紙が検証装置本体内に挿入されたと判定し、駆動制御回路65が、上流側搬送部21〜下流側搬送部23によって用紙を搬送するようにモーター57を駆動する。
【0091】
CPU60は、エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度に基づいて、プリンター10からの用紙の排出速度を検出する。また、CPU60の制御の下で、スキャン制御回路69が、搬送部によって搬送される用紙に印刷されたバーコードを最大のスキャン範囲において読み取るようにスキャナー部24を制御する。スキャナー部24は、画像を読み取って出力信号を生成する。
【0092】
ステップS14において、CPU60は、ピッチ検出制御回路64によって求められたラベルの位置及びピッチと、エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度と、スキャナー部24の出力信号とに基づいて、バーコードの位置、種類、サイズ、数等に関する読取条件情報を検出し、用紙1においてバーコードの読取動作を行う読取範囲を指定する。
【0093】
ステップS15において、CPU60は、読取条件情報に基づいて、バーコードの検証時間を算出し、さらに、用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値を算出する。
【0094】
ステップS16において、CPU60は、算出された搬送速度の最大値をプリンター10からの用紙の排出速度と比較することにより、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定する。プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能であると判定された場合には、処理がステップS18に移行する。一方、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが不可能であると判定された場合には、処理がステップS17に移行する。
【0095】
ステップS17において、CPU60は、プリンター10からの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下(望ましくは、最大値の95%以下)に設定するプリンター排出速度設定信号を外部接続端子27に出力することにより、プリンター10からの用紙の排出速度を低く設定する。なお、一般的なバーコードプリンターにおいては、用紙の排出速度を自由に設定することはできず、5段階あるいは10段階の内から1つの速度を選択することができるようになっている。また、印刷を行っていない状態においても、用紙の排出速度を選択することができる。このように、段階的に用紙の排出速度を設定可能なプリンターの場合には、プリンターからの用紙の排出速度を、算出された搬送速度の最大値以下に設定することが可能である。
尚、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが不可能であると判定された場合には、外部接続端子27を介してプリンタ10の動作を停止させることができる。
【0096】
ステップS18において、CPU60は、エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度に基づいてプリンター10からの用紙の排出速度を測定し、検証装置20における用紙の搬送速度を、プリンター10からの用紙の排出速度よりも3%速く設定することにより、用紙1を弛緩させることなく、検証装置20における用紙の搬送速度をプリンター10からの用紙の排出速度に自動的に追従させる。
【0097】
ステップS19において、スキャン制御回路69が、スキャナー部24に、指定された読取範囲においてラベルをスキャンさせることにより、スキャナー部24がバーコードを読み取って出力信号を生成する。
【0098】
ステップS20において、検証部70が、スキャナー部24の出力信号に基づいてバーコードを検証し、検証データをパーソナルコンピューター30に送信し、又は、フラッシュRAM62に格納する。マーキング制御回路71は、マーキング部25を制御することにより、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに、「不可」又は「NG」等の押印を行う。
【0099】
CPU60は、ラベル位置検出部56から出力される検出信号に基づいて、次に検証の対象とすべきラベルが存在するか否かを判定する。次に検証の対象とすべきラベルが存在する場合には、上記の検証動作が繰り返される。一方、台紙に仮着された一連のラベルに印刷されたバーコードの検証が終了して、次に検証の対象とすべきラベルが存在しない場合には、用紙を排出して処理が終了する。
【0100】
次に、本発明の一実施形態に係る検証装置の第2の動作例について、図1〜図4、及び、図16を参照しながら説明する。図16は、本発明の一実施形態に係る検証装置の第2の動作例を示すフローチャートである。第2の動作例においては、検証装置20がプリンター10に接続されないで使用される。
【0101】
ステップS21において、オペレーターが、検証装置20を電源オンの状態にして、操作部74を操作することにより、検証装置20における用紙の搬送速度を6インチ/秒に初期設定する。CPU60は、「ラベルを通してください」というメッセージを表示部73に表示する。
【0102】
ステップS22において、オペレーターが、プリンター10によってバーコードが印刷された3枚のラベルが仮着された台紙(一旦切断されたもの)を検証装置20に挿入することにより、3枚のラベルを検証装置20に読み取らせる。CPU60の制御の下で、スキャン制御回路69が、搬送部によって搬送される用紙に印刷されたバーコードを最大のスキャン範囲において読み取るようにスキャナー部24を制御する。スキャナー部24は、画像を読み取って出力信号を生成する。
【0103】
ステップS23において、CPU60は、ピッチ検出制御回路64によって求められたラベルの位置及びピッチと、エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度と、スキャナー部24の出力信号とに基づいて、バーコードの位置、種類、サイズ、数等に関する読取条件情報を検出し、用紙1においてバーコードの読取動作を行う読取範囲を指定する。
【0104】
ステップS24において、CPU60は、読取条件情報に基づいて、バーコードの検証時間を算出し、さらに、用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能な搬送速度の最大値を算出する。
【0105】
ステップS25において、オペレーターが、操作部74を操作することにより、プリンター10におけるプリント速度(用紙の排出速度)を入力すると、ステップS26において、CPU60が、算出された搬送速度の最大値をプリンター10からの用紙の排出速度と比較することにより、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながらバーコードを検証することが可能であるか否かを判定し、判定結果を通知するように表示部73又は音声回路72を制御する。
【0106】
ここで、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながら印刷情報を検証することが可能であると判定された場合に、CPU60は、プリンター10から排出される用紙1を検証装置20に直接挿入できる旨を通知するように表示部73又は音声回路72を制御しても良い。例えば、表示部73に、「プリンターから用紙を入力可」という表示を行うようにしても良い。
【0107】
一方、プリンター10からの用紙の排出速度に追従して用紙1を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定された場合に、CPU60は、プリンター10から排出される用紙1を検証装置20に直接挿入するためにはプリンター10からの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下(望ましくは、最大値の95%以下)に落とす必要がある旨を通知するように表示部73又は音声回路72を制御しても良い。例えば、表示部73に、「プリンターからの用紙の排出速度を○○以下に設定して下さい」という表示を行うようにしても良い。これにより、ステップS27において、オペレーターは、プリンター10からの用紙の排出速度を、算出された搬送速度の最大値以下となるように低く設定する。なお、一般的なバーコードプリンターにおいては、用紙の排出速度を5段階あるいは10段階の内から選択的に設定することができるようになっている。また、印刷を行っていない状態においても、用紙の排出速度を設定することができる。このように、段階的に用紙の排出速度を設定可能なプリンターの場合には、プリンターからの用紙の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定することが可能である。
【0108】
ステップS28において、オペレーターは、検証装置20における用紙の搬送速度を10インチ/秒に初期設定して、プリンター10から排出される用紙を検証装置に直接挿入する。
【0109】
ステップS29において、CPU60は、エンコーダー制御回路66によって求められた用紙の移動量又は搬送速度に基づいてプリンター10からの用紙の排出速度を測定し、検証装置20における用紙の搬送速度を、プリンター10からの用紙の排出速度よりも3%速く設定することにより、用紙1を弛緩させることなく、検証装置20における用紙の搬送速度をプリンター10からの用紙の排出速度に自動的に追従させる。
【0110】
ステップS30において、スキャン制御回路69が、スキャナー部24に、指定された読取範囲においてラベルをスキャンさせることにより、スキャナー部24がバーコードを読み取って出力信号を生成する。
【0111】
ステップS31において、検証部70が、スキャナー部24の出力信号に基づいてバーコードを検証し、検証データをパーソナルコンピューター30に送信し、又は、フラッシュRAM62に格納する。マーキング制御回路71は、マーキング部25を制御することにより、検証エラーが発生したバーコードが印刷されているラベルに、「不可」又は「NG」等の押印を行う。
【0112】
CPU60は、ラベル位置検出部56から出力される検出信号に基づいて、次に検証の対象とすべきラベルが存在するか否かを判定する。次に検証の対象とすべきラベルが存在する場合には、上記の検証動作が繰り返される。一方、台紙に仮着された一連のラベルに印刷されたバーコードの検証が終了して、次に検証の対象とすべきラベルが存在しない場合には、用紙を排出して処理が終了する。
【符号の説明】
【0113】
1…用紙、
2…台紙、
3…ラベル、
4…バーコード、
5…スタンプ、
10…プリンター、
11…用紙供給軸、
12…プラテンローラー、
13…サーマルヘッド、
20…検証装置、
21…上流側搬送部、
21a、21b…搬送ローラー、
22…中間搬送部、
22a、22b…搬送ローラー、
23…下流側搬送部、
23a、23b…搬送ローラー、
24…スキャナー部、
25…マーキング部、
26…制御部、
27…外部接続端子、
28…音声発生部、
30…パーソナルコンピューター、
42…挿入センサー、
43…モーター、
53…挿入センサー、
56…ラベル位置検出部、
56a…下側センサー、
56b…上側センサー、
60…CPU、
61…ROM、
62…フラッシュRAM、
63…用紙検出制御回路、
64…ピッチ検出制御回路、
65…駆動制御回路、
66…エンコーダー制御回路、
67…インターフェース、
68…設定部、
69…スキャン制御回路、
70…検証部、
71…マーキング制御回路、
72…音声回路、
73…表示部、
74…操作部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターによって印刷媒体に印刷された印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う検証装置であって、
前記プリンターとの間で信号を送信及び/又は受信するために用いられる外部接続端子と、
印刷情報が印刷された印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される印刷媒体に印刷された印刷情報を光学的に読み取って出力信号を生成する読取部と、
印刷情報の読取条件に関する情報に基づいて、印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、算出された搬送速度の最大値を前記プリンターからの印刷媒体の排出速度と比較することにより、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定した場合に、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に設定する信号を前記外部接続端子に出力して、前記読取部によって生成される出力信号に基づいて印刷情報の検証を行う制御部と、
を具備する検証装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記プリンターから排出される印刷媒体を弛緩なく搬送するように前記搬送部を制御し、前記搬送部における搬送速度を測定することにより、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度を求める、請求項1記載の検証装置。
【請求項3】
プリンターによって印刷媒体に印刷された印刷情報を読み取って印刷情報の検証を行う検証装置であって、
印刷情報が印刷された印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される印刷媒体に印刷された印刷情報を光学的に読み取って出力信号を生成する読取部と、
印刷情報の読取条件に関する情報に基づいて、印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが可能な搬送速度の最大値を算出し、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度が操作部を用いて入力された際に、算出された搬送速度の最大値を前記プリンターからの印刷媒体の排出速度と比較することにより、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが可能であるか否かを判定し、判定結果を通知するように表示部又は音声発生部を制御すると共に、前記読取部によって生成される出力信号に基づいて印刷情報の検証を行う制御部と、
を具備する検証装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記プリンターからの印刷媒体の排出速度に追従して印刷媒体を搬送しながら印刷情報を検証することが不可能であると判定したときに、前記プリンターから排出される印刷媒体を前記検証装置に直接挿入するためには前記プリンターからの印刷媒体の排出速度を算出された搬送速度の最大値以下に落とす必要がある旨を通知するように表示部又は音声発生部を制御する、請求項1〜3のいずれか1項記載の検証装置。
【請求項5】
前記印刷情報の読取条件に関する情報が、少なくともバーコードの位置と、バーコードの種類と、バーコードのサイズとに関する情報を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−176523(P2012−176523A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40142(P2011−40142)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】