説明

楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置

【課題】 演奏者が主導して楽曲データを再生しつつ、演奏を行うことができるので、様々な練習形態に適用可能で、かつ、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲を演奏することができるという興趣性を備えた楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置を提供すること。
【解決手段】 カラオケ装置100は、打撃情報の入力タイミングに基づいて、電子ドラムセットDrの各パーツおよび当該楽曲データ20に規定された各楽器毎に、当該打撃情報の拡声に併せて各楽器における楽音のMIDIデータを生成し、かつ、当該楽音を再生して拡声するとともに、楽曲の演奏の進行に併せて譜面データ30および歌詞データ40を表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏者が希望する楽曲に併せて電子ドラムセットなどの複数の打楽器からなる楽器の演奏を行うことができる楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データなどの楽曲データに基づき楽音を生成して自動演奏を行うカラオケ装置において、特定のパートの演奏についてユーザが行うことができる技術が提案されている。
【0003】
従来、このような技術において、楽曲データは、各パート毎に音色や音高などを時系列に記憶したシーケンスデータであり、ユーザが演奏するパートについては、曲データに基づく自動演奏の楽音をミュートして発音しないという手段が用いられている。そして、ユーザが演奏するパートについては、ユーザが演奏することによって生成されるオーディオデータを外部入力として入力し、他のパートについて曲データに基づいて生成されたオーディオデータと合成して出力するようになっている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−187175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなカラオケ装置であっては、楽器の演奏者が主導して楽曲データを再生することができないので、初心者などの技術が未熟な演奏者の練習や正確に演奏する練習など様々な形態の練習に適用することができない場合もある。また、このようなカラオケ装置では、正確に、かつ、的確に演奏することができない演奏者にあっては、的確に打撃できない一方、楽曲は進行してしまうという演奏の興趣性を低下させる場合も生ずる。
【0005】
本発明は、上記の課題の一例を解決するものとして、演奏者が主導して楽曲データを再生しつつ、演奏を行うことができるので、様々な練習形態に適用可能で、かつ、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲を演奏することができるという興趣性を備えた楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、演奏者における打撃に基づいて、打楽器における楽音を、当該打楽器とは異なる楽器の楽音を少なくとも有する楽曲データの再生とともに拡声する楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、打撃面を有する複数の打撃部材における前記演奏者の打撃を打撃情報として取得する第1取得手段と、前記取得された打撃情報と前記演奏者によって打撃された前記打撃部材の種別を示す種別情報とに基づいて当該各打撃部材に対応して予め設定された打楽器における楽音の拡声を制御する拡声制御手段と、各楽音が前記打撃部材を打撃する打撃タイミングを示すタイミング情報に割り付けられて構成される前記楽曲データと打撃を行う打撃部材の種別を示す音符が前記タイミング情報に割り付けられて構成される譜面データとを取得する第2取得手段と、前記検出された打撃情報のタイミングに基づいて、前記タイミング情報を参照しつつ、前記楽曲データに規定された各楽音を再生する再生手段と、前記検出された打撃情報のタイミングに基づいて、前記タイミング情報を参照しつつ、前記譜面データに規定された各音符を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える構成を有している。
【0007】
この構成により、請求項1に記載の発明は、取得された演奏者における打撃情報と打撃された打撃部材の種別情報とに基づいて当該各打撃部材に対応して予め設定された打楽器の楽音を拡声するとともに、検出された打撃情報のタイミングに基づいて、タイミング情報を参照しつつ、楽曲データの各楽音を再生し、打撃を行う打撃部材の種別を示す音符を譜面として表示手段に表示させる。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明では、演奏者が打撃部材を打撃することによって当該打撃に割り付けられた楽曲データを構成する他の楽器の楽音が再生されるとともに、当該打撃に伴って譜面データが表示される。
【0009】
したがって、請求項1に記載の発明は、演奏者が打撃を行わなければ楽曲の再生および譜面データの表示が行われないので、または、演奏者の打撃のリズムに併せて楽曲データを構成する楽音の再生および譜面の表示が行われるので、演奏された打撃に併せて楽曲データを再生することによって演奏者が主導して楽曲データを再生しつつ、様々な練習形態に用いることができるとともに、その進行に伴って譜面データを表示させることができ、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲の演奏が行えるので、演奏による興趣性を提供することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記再生手段が、前記取得された打撃情報および種別情報に基づいて、前記譜面データに沿って前記打撃部材が打撃された場合に前記楽曲データに規定された各楽音を再生する構成を有している。
【0011】
この構成により、請求項2に記載の発明は、取得された打撃情報および種別情報に基づいて、譜面データに沿って打撃部材が打撃された場合に楽曲データに規定された各楽音を再生する。
【0012】
したがって、請求項2に記載の発明は、的確に順序よく打撃部材を打撃しなければ楽曲データが再生されないので、正確性が要求される練習に用いることができるとともに、正確に打撃すれば、楽曲データが的確に再生することができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記再生手段が、少なくとも何れか一の打撃部材における打撃情報が取得された際に、当該打撃情報毎に楽曲データに規定された各楽音を再生する構成を有している。
【0014】
この構成により、請求項3に記載の発明は、打撃された打撃部材の種別に関係なく、打撃を行えば楽曲データが再生されるので、演奏が上手でない演奏者によっても楽曲データを再生させることができるとともに、的確に打撃が行われたか否かを判別する機能を用いれば演奏者の演奏における採点を行うことができ、演奏を客観的に評価することができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記打撃情報と種別情報に基づいて前記譜面データ通りに演奏者によって前記打撃部材が打撃されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段における判定結果に基づいて当該楽曲データにおける前記演奏者の演奏について採点を行う採点手段と、前記採点手段における採点結果を前記演奏者に告知する告知手段と、を更に備える構成を有している。
【0016】
この構成により、請求項4に記載の発明は、譜面データ通りに演奏者によって打撃部材が打撃されたか否かを判定するとともに、この判定結果に基づいて当該楽曲データにおける演奏者の演奏について採点を行い、採点結果を演奏者に告知するので、演奏者による演奏を客観的に評価することができ、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記各楽曲データ毎に当該楽曲データの再生中に前記演奏者によって打撃される前記打撃部材を設定する設定手段を更に備え、前記再生手段が、前記設定された打撃部材に対応する打楽器の楽音のみを再生するとともに、前記表示制御が、前記選択された打撃部材における音符のみを譜面データとして表示させる構成を有している。
【0018】
この構成により、請求項5に記載の発明は、各楽曲データ毎に当該楽曲データの再生中に演奏者によって打撃される前記打撃部材を設定し、演奏される打撃部材以外の打撃部材の楽音を打楽器部材以外の楽音とともに再生する。
【0019】
したがって、請求項5に記載の発明は、一の楽曲データによって様々なパターンの演奏を行うことができるとともに、演奏する打撃部材の数を変更することによって演奏における難易度も設定することができるので、初心者から上級者まで幅広く興趣することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記再生手段が、前記楽曲データにおける設定された打撃部材に対応する打楽器の楽音を消音して当該楽曲データを再生する構成を有している。
【0021】
この構成により、請求項6に記載の発明は、前記楽曲データにおける設定された打撃部材に対応する打楽器の楽音を消音して当該楽曲データを再生するので、楽曲データの再生に自己の演奏を合わせることができるので、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲の演奏を可能とする興趣性を提供することができる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記表示制御手段が、前記検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて前記取得された譜面データにおける音符の表示を変化させつつ、当該譜面データを表示手段に表示させる構成を有している。
【0023】
この構成により、請求項7に記載の発明は、検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて取得された譜面データにおける音符の表示を変化させつつ、当該譜面データを表示させる。
【0024】
したがって、請求項7に記載の発明は、演奏者の演奏に合わせて譜面の表示変化を行うことができるので、参照すべき譜面を容易に特定することができる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記複数の打撃部材を有している。
【0026】
この構成より、請求項8に記載の発明は、電子ドラムセットなどの打楽器部材を当該装置が設置された場所に持ち込む必要もなく、演奏を興趣することができる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、前記取得手段が、カラオケ用の楽曲データとして前記楽曲データを取得するとともに、当該楽曲データの歌詞を示す歌詞データを取得し、前記表示制御手段が、前記検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて前記取得された歌詞データにおける歌詞の表示を変化させつつ、当該歌詞データを表示手段に表示させる構成を有している。
【0028】
この構成により、請求項9に記載の発明は、楽曲データの歌詞を示す歌詞データを取得し、検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて取得された歌詞データにおける歌詞の表示を変化させつつ、当該歌詞データを表示させる。
【0029】
したがって、請求項9に記載の発明は、歌唱者とも演奏を行うことができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本願の発明は、演奏者が打撃を行わなければ楽曲の再生および譜面データの表示が行われないので、または、演奏者の打撃のリズムに併せて楽曲データを構成する楽音の再生および譜面の表示が行われるので、演奏された打撃に併せて楽曲データを再生することによって演奏者が主導して楽曲データを再生しつつ、様々な練習形態に用いることができるとともに、その進行に伴って譜面データを表示させることができ、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲の演奏が行えるので、演奏による興趣性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
以下に説明する実施の形態は、電子ドラムセットと接続され、配信されたカラオケデータを再生するカラオケ装置に対して本願の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置を適用した場合の実施形態である。
【0033】
まず、図1を用いて本実施形態における電子ドラムセットを含めたカラオケ装置の概要について説明する。なお、図1は、本願に係る電子ドラムセットを含めたカラオケ装置の構成を示す構成図である。
【0034】
本実施形態のカラオケ装置100は、MIDI機能を有し、演奏者または操作者(以下、「演奏者等」という。)の操作に基づいて、MIDIデータを生成するための楽曲データ20と、当該楽曲データ20における電子ドラムセットDrの各パーツの音符を示す譜面のデータ(以下、「譜面データ」という)30と、楽曲データ20の再生に伴って歌唱者に歌詞を提供するための歌詞データ40と、から構成されるカラオケデータDを任意の場所に固定設置されたサーバ装置から取得し、取得されたカラオケデータDに基づいて、MIDI機能により楽音を生成して再生するとともに、譜面データ30および歌詞データ40をディスプレイMに表示をさせて演奏者および歌唱者に提供するようになっている。
【0035】
また、このカラオケ装置100は、電子ドラムセットDrの各パーツ(以下、単に「パーツ」ともいう。)と接続されており、当該接続されたドラムセットの各パーツが演奏者によって叩かれると、すなわち、打撃されると、当該各パーツにて検出された打撃されたことを示す情報(以下、「打撃情報」という。)を取得し、取得された打撃情報に基づいて、MIDI機能により予め設定された打楽器音を、楽曲データ20によって生成された楽音とともに、接続されたスピーカシステムSPを介して拡声するようになっている。
【0036】
特に、本実施形態のカラオケ装置100は、打撃情報の入力タイミングに基づいて、電子ドラムセットDrの各パーツおよび当該楽曲データ20に規定された各楽器毎に、当該打撃情報の拡声に併せて各楽器における楽音のMIDIデータを生成し、かつ、当該楽音を再生して拡声するとともに、楽曲の演奏の進行に併せて譜面データ30および歌詞データ40を表示するようになっている。
【0037】
すなわち、本実施形態のカラオケ装置100は、演奏者が電子ドラムセットDrの各パーツを打撃することによって当該打撃に割り付けられた楽曲データ20を構成する他の楽器の楽音が再生されるとともに、当該打撃に割り付けられた各パーツの譜面データ30および歌詞データ40を表示させるようになっている。
【0038】
なお、本実施形態では、当該打撃情報の拡声に併せて楽曲データ20に規定された各楽器における楽音のMIDIデータを生成して当該楽音を再生することを、単に「再生」という。
【0039】
このように、本実施形態のカラオケ装置100は、演奏者が打撃を行わなければ楽曲が再生されないので、または、演奏者の打撃のリズムに併せて楽曲データ20を構成する楽器の楽音が再生されるので、演奏者が主導して楽曲データ20を再生しつつ、演奏を行うことができ、様々な練習形態に適用可能で、かつ、演奏による興趣性を向上させることができるようになっている。そして、このカラオケ装置100は、演奏者に対しては、電子ドラムセットDrの各パーツの譜面データ30を、歌唱者に対しては、歌詞カードを、楽曲データ20の再生に伴って表示させることができるので、演奏指示を的確に行うことができるようになっている。
【0040】
次に、図2および図3を用いて本実施形態におけるカラオケデータDと当該カラオケデータDに含まれる楽曲データ20に基づいて生成されるMIDIデータについて説明する。なお、図2は、本実施形態におけるカラオケデータDの構成の一例を示す図であり、図3は、本実施形態における楽曲データ20の構成の一例を示す図である。
【0041】
本実施形態のカラオケデータDは、図2に示すように、カラオケデータDの再生に用いるための付加情報10と、各楽器毎に規定されるMIDIデータを生成するための楽曲データ20と、電子ドラムセットDrの各パーツの楽譜、すなわち、ドラム譜をディスプレイMに表示させるための譜面データ30と、歌詞データ40をディスプレイMに表示させるための歌詞データ40と、から構成される。
【0042】
付加情報10には、標準的なテンポの情報(以下、「テンポ情報」という。)と、楽譜において拍子記号によって表される拍子を示す情報と、ジャンルの情報(以下、「ジャンル情報」という。)と、電子ドラムセットDrの各パーツの音色を決定するための情報と、タイトル画像のデータなどから構成される。
【0043】
楽曲データ20は、電子ドラムセットDrの各パーツ毎におよび当該楽曲に用いられている各楽器毎に、MIDIデータを生成するための当該各楽器の楽音を規定する各データを有しており、エレキギター、キーボード、スネアドラム、バスドラム、シンバルおよびハイハットなどの各楽器の種別情報21毎に、音色の情報(以下、「音色情報」という)22が規定されるとともに、楽曲を構成する各楽器の各楽音毎に、電子ドラムセットDrの各パーツの打撃情報に対応付けて、ノートナンバーの情報(以下、「ノートナンバー情報」という。)、ノートオンおよびノートオフなどのMIDIデータを生成するための楽音データ23が楽曲の開始から終了まで時系列に配列されて規定されている。
【0044】
本実施形態では、エレキギターなどの電子ドラムセットDrのパーツ以外の各楽器における楽音データ(以下、「楽器用楽音データ」という。)23aには、楽曲の開始から終了までの楽器の各楽音が、電子ドラムセットDrを構成するパーツの入力タイミングに割り付けられて規定されている。すなわち、楽器用楽音データ23aには、電子ドラムセットDrにおける打撃情報が検出された際に、当該検出された打撃に割り付けられた楽音を再生するためのデータが生成されるように構成されている。
【0045】
また、電子ドラムセットDrの各パーツにおける楽音データ(以下、「ドラムパーツ用楽音データ」という。)23bには、楽曲の開始から終了までの楽器の各楽音が、電子ドラムセットDrの他のパーツの入力タイミングに割り付けられて規定されている。ただし、ベースドラムは、後述するように、演奏者によって選択される演奏する際の難易度が一番低い場合でも演奏されるパーツであるため、ベースドラムにおける楽音データ23には、楽曲の開始から終了までの楽器の各楽音が、電子ドラムセットDrの他のパーツの入力タイミングに割り付けられていない。
【0046】
具体的には、各楽器の楽音データ23には、各楽音(楽音ナンバー)毎に、ノートナンバー情報24と、当該楽音が割り付けられている電子ドラムセットDrの各パーツの種別情報(以下、「パーツ種別情報」という。)25と、再生の基準となる打撃情報の種別情報、すなわち、楽曲データ20の開始から検出される打撃情報の順番を示し、各楽音を再生するタイミングの基準となる情報(以下、「打撃種別情報」という。)26と、打撃情報の検出から再生するまでの時間を音符にて示す再生開始情報27と、4分音符または8分音符などの当該楽音の音符成分を示す音符情報28と、が規定されている。
【0047】
例えば、図3に示すように、メロディを構成するピアノの楽音データ23では、第1のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「60」、パーツ種別情報25に「ベースドラム」、打撃情報の種別として「第1番目の打撃情報(第1打撃情報)」、再生開始情報27に「8分音符」および音符情報28に「4分音符」が規定されており、第2のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「62」、パーツ種別情報25に「ベースドラム」、打撃情報の種別として「第1番目の打撃情報(第1打撃情報)」、再生開始情報27に「付点4分音符」、および音符情報28に「8分音符」が規定されている。
【0048】
また、図3に示すように、第3のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「64」パーツ種別情報25に「スネアドラム」、打撃情報の種別として「第2番目の打撃情報(第2打撃情報)」、再生開始情報27に「0」および音符情報28に「付点4分音符」が規定されており、第4のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「60」、パーツ種別情報25に「スネアドラム」、打撃情報の種別として「第2番目の打撃情報(第2打撃情報)」、再生開始情報27に「付点4分音符」、および、音符情報28に「8分音符」が規定されている。
【0049】
また、本実施形態において、電子ドラムセットDrの各パーツの楽音データ23についても、電子ドラムセットDr以外の楽器における楽音データ23と同様に、ベースドラムを除き、当該他のパーツのパーツ種別情報25が用いられて規定されている。
【0050】
なお、本実施形態では、各楽器の楽音データ23に基づいてMIDIデータが生成されるようになっており、例えば、上述のようなメロディを構成するピアノの楽音データ23が規定されている場合には、第1打撃情報が検出されると、後述するように、ノートナンバー情報24、音色情報22、再生開始情報27および音符情報28と、後述のように検出されたテンポとに基づいて、第1のピアノ楽音が当該打撃情報の検出時から所定のタイミングにて、かつ、所定の音色にて再生されるようにMIDIデータが生成されるようになっている。このMIDIデータの詳細については後述する。
【0051】
また、本実施形態では、原則的には、楽器用楽音データ23aにおけるパーツ種別情報25には、各電子ドラムセットDrの各パーツが用いられるようになっているが、後述するように、演奏の難易度の設定によって、電子ドラムセットDrの何れか一のまたは複数のパーツを演奏に用いない設定が行われた場合には、楽曲データ20を書き換えて各楽器の楽音データ23におけるパーツ種別情報25と打撃種別情報26が変更されるようになっている。
【0052】
譜面データ30には、楽曲を構成する電子ドラムセットDrにおける各パーツ毎に、各楽音の音符のデータ(以下、「譜面用音符データ」という。)31が、所定のタイミングでディスプレイMに表示するための種々の制御に係る情報(以下、「他情報」という。)32とともに、楽曲の開始から終了まで時系列に配列されて規定されている。
【0053】
具体的には、この譜面用音符データ31には、ドラムセットの各パーツにおける各楽音(楽音ナンバー)毎に、楽音データ23と同様に当該楽音毎に打撃情報を割り当てるためのパーツ種別情報(すなわち、ドラム譜上各パーツの音符であることを示す五線譜における位置を示す情報(以下、譜面用音符データでは「音高情報」という。))34および打撃種別情報35と、4分音符、8分音符などの音符成分を示す音符情報36と、4分の4拍子における2拍目など各小節内における拍子に基づく拍の相対的な位置の情報(以下、「拍情報」という。)37と、が規定されている。
【0054】
なお、本実施形態では、電子ドラムセットDrにおける各パーツ毎の譜面用音符データ31に基づいて譜面をディスプレイMに表示するための表示制御データが生成されるようになっており、例えば、拍情報37にて小節が認識され、かつ、当該拍情報37、音高情報34および音符情報36に基づいて打撃情報の入力に対応して楽曲の開始から規定された順序に従って演奏する各パーツの音符を譜面にして表示するように表示制御データが生成される。そして、所定のブロック毎に所定のタイミングにて各音符を表示されるように表示制御データが生成される。
【0055】
また、本実施形態では、各楽音ナンバー毎に、各電子ドラムセットDrの各パーツにおける譜面を表示するための情報が規定されているが、演奏の難易度の設定によって、電子ドラムセットDrの何れか一のまたは複数のパーツを演奏に用いない設定が行われた場合には、譜面データ30を書き換えて当該楽音ナンバー毎に削除するようになっている。
【0056】
歌詞データ40には、所定の小節毎など予め設定されたブロック毎に、所定のタイミングでディスプレイMに歌詞を表示するための制御に係る種々の情報(以下、「他情報」という。)41とともに、楽曲の開始から終了まで歌詞を示すテキストデータ47などの歌詞表示データ42が規定されている。
【0057】
具体的には、この歌詞表示データ42には、歌詞が所定のブロック毎に規定されるとともに、各ブロックの歌詞毎に、楽音データ23と同様のパーツ種別情報44および打撃種別情報45と、打撃情報の検出からの色変わりするまで時間を音符にて示す色変わりを開始するための情報(以下、「色変わり開始情報」という。)46と、歌詞を示すテキストデータ47と、が規定されている。
【0058】
なお、本実施形態では、歌詞表示データ42に基づいて歌詞をディスプレイMに表示するための表示制御データが生成されるようになっており、例えば、所定の打撃情報が検出された際に、各ブロックを表示させるための表示制御データを生成するとともに、色変わり開始情報46とテキストデータ47に基づいて打撃情報の入力に対応して楽曲の開始から規定された順序に従って歌唱される歌詞をテキストにして表示するように表示制御データが生成される。
【0059】
また、本実施形態では、原則的には、歌詞表示データ42におけるパーツ種別情報44には、各電子ドラムセットDrの各パーツが用いられるようになっているが、楽音データ23と同様に、演奏の難易度の設定によって、電子ドラムセットDrの何れか一のまたは複数のパーツを演奏に用いない設定が行われた場合には、歌詞データ40を書き換えて各楽音におけるパーツ種別情報44と打撃種別情報45が変更されるようになっている。
【0060】
MIDIデータは、楽曲データ20に基づいて生成されるようになっており、このMIDIデータには、ノートナンバーおよび音色の他に、検出されたテンポに基づいて、再生開始情報27および音符情報28に基づいて、打撃情報の検出時から各楽音が再生開始されるまでの時刻(すなわち、ノートオンの時刻)および当該各楽音が再生終了するまでの時刻(すなわち、ノートオフの時刻)が規定されるようになっている。
【0061】
なお、MIDIデータの生成される際に用いられる打撃情報は、楽音データ23の各楽音に割り付けられた電子ドラムセットDrのパーツ種別情報25に一致させる必要がなく、何れの打撃情報によっても、すなわち、楽音データ23のパーツの種別情報には関係なく、打撃種別情報26に基づいて各楽音データ23のMIDIデータが生成されるようになっている。
【0062】
また、本実施形態では、上述のように、電子ドラムセットDrのパーツを演奏に用いない場合であっても、変更されたパーツ種別情報25および打撃種別情報26に基づいて、各楽器の楽音データ23に基づいてMIDIデータの生成が可能になっている。
【0063】
次に、上述と同様に図1を用いて本実施形態におけるカラオケ装置100およびドラムセットの構成の詳細について説明する。
【0064】
本実施形態のカラオケ装置100は、図1に示すように、電子ドラムセットDrの各パーツなどの接続を行うための端子ユニット101と、マイクロホンMcから出力された音声信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「A/D変換器」という。)102と、打撃情報に基づいてMIDIデータを生成する打楽器音データ生成部103と、カラオケデータDを取得する際に図示しないサーバ装置との通信制御を行う通信制御部104と、楽音データ23に基づいてMIDIデータを生成するとともに譜面用音符データ31および歌詞表示データ42に基づいて表示制御データを生成する制御データ生成部105と、MIDI音源を有する音源部106と、音源部106から出力されたオーディオデータと音声データに対してDSP処理を行う音出力制御部107と、DSP処理されたオーディオデータをアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換器(以下、「D/A変換器」という。)108と、変換されたアナログ信号の信号レベルを増幅し、スピーカシステムSPに拡声する電力増幅装置109と、を有している。
【0065】
また、このカラオケ装置100は、カラオケデータDの再生時に背景画像として表示するための動画像データが記憶されたハードディスク(以下、「HD」という。)50の読み出し制御を行うHDドライブ(以下、「HDD」という。)110と、HD50から読み出された動画像データをデコードするデコーダ111と、譜面および歌詞を示す画像を生成するOSD処理部112と、動画像データの出力制御を行う映像出力制御部113と、を有している。
【0066】
さらに、このカラオケ装置100は、各種の操作を行う際に用いられる操作部114と、楽曲データ20を再生する際に当該演奏者の演奏の採点を行う採点制御部115と、各部を制御して各処理を行うシステム制御部116と、各処理を行う際にデータを記憶するとともに、取得したカラオケデータDを一時的に記憶するROM/RAM117と、を有している。
【0067】
なお、本実施形態の端子ユニット101は、本発明の設定手段を構成するとともに、打楽器音データ生成部103は、本発明の第1取得手段を構成し、通信制御部104は、本発明の第2取得手段を構成する。また、本実施形態の制御データ生成部105は、本発明の再生手段および表示制御手段を構成するとともに、音源部106は、本発明の拡声制御手段および再生手段を構成し、OSD処理部112は、本発明の表示制御手段を構成する。さらに、本実施形態の操作部114は、本発明の設定手段を構成するとともに、採点制御部115は、本発明の判定手段および採点手段を構成し、ディスプレイMおよびスピーカシステムSPは、本発明の告知手段を構成する。そして、本実施形態の電子ドラムセットDrの各パーツは、本発明の打撃部材を構成する。
【0068】
端子ユニット101には、マイクロホンMc用の入力端子、電子ドラムセットDrの各パーツ用の入力端子、ディスプレイMを接続するための出力端子、および、スピーカシステムSPを接続するための各出力端子が設けられている。
【0069】
特に、この電子ドラムセットDrの各パーツ用の入力端子は、例えば、ホーンジャックによって構成され、各ホーンジャックに配線コードが接続されると、すなわち、ホーンジャックに配線コードが挿入されると、当該配線コードが接続された旨の信号をシステム制御部116に出力するようになっている。
【0070】
なお、本実施形態のシステム制御部116には、各パーツ用の入力端子と接続された接続検出用の各ポートを有し、配線コードが入力端子に接続されると、該当するポートに印可される電圧が0vから5vに変化することによって当該配線コードが接続された旨を検出するようになっている。
【0071】
A/D変換器102は、マイクロホンMcから入力された音声を、端子ユニット101を介して音声信号として受信し、受信されたアナログ形式の音声信号をデジタル形式の音声信号、すなわち、音声データに変換して音出力制御部107に出力するようになっている。
【0072】
打楽器音データ生成部103には、後述するように、各パーツから出力された打撃情報が端子ユニット101を介して入力されるようになっており、この打楽器音データ生成部103は、入力された打撃情報と当該打撃情報の入力タイミングに基づいてMIDIデータを生成し、生成されたMIDIデータを音源部106に出力するようになっている。
【0073】
具体的には、本実施形態の打楽器音データ生成部103は、端子ユニット101における各パーツ用の入力端子および再生される楽曲データ20に基づいて、スネアドラム、シンバルまたはバスドラムなどのパーツの音色に関する情報(以下、「音色情報22」という。)と、ノートナンバーの情報(以下、「ノートナンバー情報24」という。)とから構成されるノートオンイベント情報が予め設定されたテーブルデータ(以下、「打撃情報変換テーブルデータ」という。)を有している。
【0074】
また、この打楽器音データ生成部103は、楽曲データ20の再生開始前に、当該楽曲データ20の付加情報10を取得して、打撃情報変換テーブルデータの音色情報22およびノートナンバー情報24を設定するとともに、楽曲データ20の再生開始後には、打撃情報が入力されると、当該打撃情報変換テーブルに基づいて、対応するノートオンイベント情報をMIDIデータとして音源部106に出力するようになっている。
【0075】
一方、この打楽器音データ生成部103は、入力された打撃情報を各パーツの識別情報を添付しつつ、データ生成部および採点制御部115に出力するようになっている。
【0076】
通信制御部104は、電話公衆網回線またはインターネットなどのネットワークに接続されるようになっており、システム制御部116の制御の下、演奏者または操作者の操作に基づいて、任意の場所に固定設置され、当該演奏者または操作者によって選択されたカラオケデータDを図示しないサーバ装置から取得し、ROM/RAM117に一時的に記憶するようになっている。
【0077】
制御データ生成部105は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、打楽器音データ生成部103から出力された打撃情報を受信するようになっている。
【0078】
この制御データ生成部105は、システム制御部116の制御の下、演奏開始前に、操作部114の操作に基づいて、および、システム制御部116において検出された電子ドラムセットDrにおける各パーツの接続の有無に基づいて、一時的にROM/RAM117に記憶されたカラオケデータDにおける楽曲データ20、譜面データ30および歌詞データ40の書き換えを行うようになっている。
【0079】
また、この制御データ生成部105は、演奏者の演奏が開始され、楽曲データ20における再生の開始が指示されると、書き換えられた楽曲データ20をROM/RAM117から取得し、後述のように、操作者によって設定された演奏者が演奏により楽音を発生させるパーツの選択または端子ユニット101によって接続を検出したパーツの種別と、取得された楽曲データ20と、受信された打撃情報と、に基づいて、MIDIデータを生成して当該生成されたMIDIデータを音源部106に出力するようになっている。
【0080】
特に、本実施形態の制御データ生成部105は、楽曲データ20の再生時には、譜面データ30と打撃情報に基づいて演奏者が演奏しているテンポを検出し、検出されたテンポに基づいてMIDIデータを生成し、生成されたMIDIデータを音源部106に出力するようになっている。
【0081】
一方、制御データ生成部105は、システム制御部116の制御の下、入力された打撃情報に基づいて、書き換えられた譜面データ30と歌詞データ40における表示制御データを生成し、生成された各表示制御データをOSD処理部112に出力するようになっている。
【0082】
なお、本実施形態における制御データ生成部105の構成およびその動作の詳細については後述する。
【0083】
音源部106には、複数の音色およびノートナンバーから特定されるMIDI音源が予め記憶されており、この音源部106は、入力されたMIDIデータに基づいて当該記憶されているMIDI音源を用いてオーディオ信号を生成し、音出力制御部107に出力するようになっている。
【0084】
具体的には、本実施形態の音源部106は、打楽器音データ生成部103から出力されたノートオンイベント情報が入力された場合に、音色情報とノートナンバー情報に基づいてMIDI音源を特定し、特定されたMIDI音源からオーディオ信号を生成して音出力制御部107に出力するようになっている。
【0085】
また、この音源部106は、再生表示制御データ生成部105から出力されたMIDIデータが入力された場合には、ノートオンイベント情報と同様に、音色情報とノートナンバー情報に基づいてMIDI音源を特定し、特定されたMIDI音源からデジタル形式のオーディオデータを生成して音出力制御部107に出力するようになっている。
【0086】
音出力制御部107は、DSP(Digital Signal Processing)装置から構成され、システム制御部116の制御の下、入力された音声データおよびオーディオデータに対して、ディレイなどの所定のエフェクト処理を行うとともに、音量レベルをそれぞれ調整しつつ、音声データおよびオーディオデータのミキシングを行い、オーディオデータとしてD/A変換器108に出力するようになっている。
【0087】
D/A変換器108には、音出力制御部107から出力されたオーディオデータが入力されるようになっており、このD/A変換器108は、入力されたデジタル形式のオーディオデータをアナログ形式のオーディオ信号に変換し、電力増幅装置109に出力するようになっている。
【0088】
電力増幅装置109には、D/A変換器108から出力されたオーディオ信号が入力されるようになっており、この電力増幅装置109は、入力されたオーディオ信号を所定のレベルに増幅して端子ユニット101を介してスピーカシステムSPに出力するようになっている。
【0089】
なお、スピーカシステムSPは、カラオケ装置100が設けられた設置場所によって適したシステムによって構成されている。
【0090】
HDD110は、楽曲データ20が再生される際に譜面データ30がディスプレイMに表示されている際に、譜面データ30と重畳されて表示され、MPEG(Moving Picture Expert Group)−2形式にて構成された複数の動画像データ(以下、「背景画像データ」という。)が記憶されたHD50を備え、システム制御部116の制御の下、楽曲データ20における付加情報10に規定されたジャンル情報に基づいて所定の動画像データをHD50から読み出してデコーダ111に出力するようになっている。
【0091】
デコーダ111には、HDD110から出力された動画像データが入力されるようになっており、このデコーダ111は、入力された動画像データからデジタル形式の映像データを生成しつつ、生成された映像データをアナログ形式の映像信号に変換し、当該変換された映像信号を映像出力制御部113に出力するようになっている。
【0092】
OSD処理部112には、制御データ生成部105から出力された表示制御データが入力されるようになっており、OSD処理部112は、システム制御部116の制御の下、当該入力された表示制御データに基づいて、歌詞とドラム譜からなる譜面をディスプレイMに表示するための表示信号を生成し、生成された表示信号を映像出力制御部113に出力するようになっている。特に、このOSD処理部112は、歌詞およびドラム譜の色変わりを行わせるための表示信号を生成するようになっている。
【0093】
映像出力制御部113には、デコーダ111から出力された映像信号およびOSD処理部112から出力された表示信号が入力されるようになっており、この映像出力制御部113は、入力された映像信号および表示信号を同期させつつ、重畳し、映像信号として端子ユニット101を介してディスプレイMに出力するようになっている。
【0094】
また、この映像出力制御部113は、システム制御部116の制御の下、操作部114と連動し、各種の設定を行う際に所定の映像をディスプレイMに表示させるとともに、算出された採点結果を示す映像を当該ディスプレイMに表示させるようになっている。
【0095】
なお、ディスプレイMは、例えば、液晶表示素子またはCRT(Cathode Ray Tube)によって構成され、映像出力制御部113の制御にしたがって所定の映像信号を表示するようになっている。
【0096】
操作部114は、カラオケ装置100に設けられたコントロールパネルまたはリモートコントロールユニットによって構成され、各種確認ボタン及び数字キー等の多数のキーを有している。特に、本実施形態では、演奏する電子ドラムセットDrのパーツの選択、楽曲データ20の選択、および、再生中止などの各種の操作指示を入力する際に用いられるようになっている。
【0097】
なお、本実施形態では、演奏する電子ドラムセットDrの各パーツの演奏の可否を個別に設定するだけでなく、演奏する電子ドラムセットDrの各パーツの演奏の可否を簡易に行わせるため、映像出力制御部113と連動し、当該電子ドラムの演奏における難易度に基づいて当該電子ドラムの演奏するパーツの選択を設定することができるようになっている。例えば、本実施形態の難易度としては、低レベル、中レベルおよび高レベルに分け、低レベルには、ベースドラムのみ、中レベルには、ベースドラム、スネアドラムおよびタムドラムを、高レベルには全てのパーツを演奏者が演奏可能に設定されるようになっている。
【0098】
採点制御部115には、打楽器音データ生成部103から出力された各パーツの識別情報が添付された打撃情報が入力されるようになっている。この採点制御部115は、ROM/RAM117に記憶されている書き換えられた譜面データ30における譜面用音符データ31と入力された打撃情報とを、順次、楽曲の開始から終了まで照合し、楽曲の再生終了後に、照合結果に基づいて所定の算出方法により得点を算出するようになっており、算出された得点を示す情報を採点結果としてシステム制御部116を介して映像出力制御部113に出力されるようになっている。
【0099】
具体的には、この採点制御部115は、打撃情報が入力される毎に、譜面用音符データ31における未だ照合されていない先頭に配されている音符の音高情報34と当該打撃情報とともに入力される識別情報が一致するか否かを判別し、一のカラオケデータの全体を通して一致する数または一致しない数を算出するようになっており、当該一致する数または一致しない数に基づいて所定の算出方法により得点を算出するようになっている。
【0100】
システム制御部116は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成され、各部とバスBによって接続されている。また、このシステム制御部116は、端子ユニット101の各ポート、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、楽曲データ20を再生するための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。特に、本実施形態のシステム制御部116は、後述するように、再生表示制御データ生成部105における各種の処理を制御して楽曲データ20を再生するカラオケ演奏制御処理を行うようになっている。
【0101】
なお、本実施形態のシステム制御部116におけるカラオケ演奏制御処理の詳細については後述する。
【0102】
ROM/RAM117には、所定の動作を行う際の制御プログラムが記憶されているとともに、通信制御部104を介して取得された楽曲データ20、および、当該楽曲データ20が再生される際に必要な各種のデータが一時的に記憶されるようになっている。
【0103】
電子ドラムセットDrは、例えば、ベースドラム用パーツ、スネアドラム用パーツ、複数のタムドラム用パーツ、複数のシンバル類用パーツ、および、ハイハットシンバル用パーツから構成されている。
【0104】
各パーツは、カラオケ装置100における端子ユニット101の当該指定されたジャックと配線コードによって接続されているとともに、各パーツには、振動膜が設けられ、各パーツがスティックによって打撃された際に、打撃されたことを打撃情報としてカラオケ装置100に出力するようになっている。また、各パーツにおける振動膜は、各パーツに固着されるとともに、当該振動膜の中央部には圧電膜が内蔵されており、振動膜が打撃されて振動すると圧電膜がこの振動による機械電気変換素子の歪変化を電気信号として検出し、検出された電気信号を打撃情報としてカラオケ装置100に出力するようになっている。
【0105】
次に、図4を用いて本実施形態における制御データ生成部105の構成をおよびその動作について説明する。なお、図4は、本実施形態の制御データ生成部105において、楽曲データ20の書き換え処理を説明するための図である。
【0106】
本実施形態の制御データ生成部105は、システム制御部116の制御の下、演奏者の演奏開始前に、演奏者等によって設定された電子ドラムセットDrの各パーツの設定、例えば、演奏の難易度の設定と、システム制御部116において検出された端子ユニット101における電子ドラムセットDrの各パーツの接続の有無に基づいて、一時的にROM/RAM117に記憶された楽曲データ20、譜面データ30および歌詞データ40における書き換え処理(以下、「書き換え処理」という。)を行うようになっている。
【0107】
また、この制御データ生成部105は、演奏者の演奏が開始されると、ROM/RAM117に格納されている譜面データ30と受信された打撃情報に基づいて演奏者が演奏しているテンポを検出する処理(以下、「テンポ検出処理」という。)を行うようになっている。
【0108】
さらに、この制御データ生成部105は、当該検出されたテンポと楽曲データ20に基づいてMIDIデータを生成するMIDIデータの生成処理(以下、「MIDIデータ生成処理」という。)と、譜面データ30および歌詞データ40に基づいて表示制御データを生成する処理(以下、「表示制御データ生成処理」という。)と、を行い、生成されたMIDIデータを音源部106に出力するとともに、生成された表示制御データをOSD処理部112に出力するようになっている。
【0109】
なお、この制御データ生成部105における書き換え処理、テンポ検出処理、MIDIデータ生成処理および譜面データ生成処理の詳細については以下に説明する。
【0110】
(書き換え処理)
本実施形態の制御データ生成部105は、演奏者の演奏開始前に、演奏者等によって設定された電子ドラムセットDrの各パーツの設定と、システム制御部116において検出された端子ユニット101における電子ドラムセットDrの各パーツの接続の有無に基づいて、演奏者が演奏する電子ドラムセットDrのパーツを検出するようになっている。
【0111】
また、制御データ生成部105は、各楽器の楽音データ23において、演奏者が演奏しない、すなわち、演奏することが選択されなかったパーツ種別情報25を検索し、当該パーツ種別情報25を、打撃種別情報26の若い隣接する楽音における演奏者が選択したパーツ種別情報25に書き換えるとともに、当該パーツ種別情報25を有する各楽音に規定されている再生開始情報27に、書き換えの対象となった打撃種別情報26の若い隣接する楽音における再生開始情報27および音符情報28を合算したものを加算し、当該規定されている再生開始情報27を加算された情報に書き換えるようになっている。
【0112】
例えば、図4(a)に示すように、メロディを構成するピアノの楽音データ23において、第1のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「60」、パーツ種別情報25に「ベースドラム」、打撃情報の種別として「第1打撃情報」、再生開始情報27に「8分音符」および音符情報28に「4分音符」が規定されており、第2のピアノ楽音の楽音データ23としては、ノートナンバー情報24に「62」、パーツ種別情報25に「スネアドラム」、打撃情報の種別として「第2打撃情報」、再生開始情報27に「付点4分音符」、および、音符情報28に「8分音符」が規定されているとし、演奏しないパーツとしてスネアドラムが選択されると、制御データ生成部105は、図4(b)に示すように、第2のピアノ楽音の楽音データ23において、パーツ種別情報25を「ベースドラム」に書き換えるとともに、再生開始情報27に規定された「付点4分音符」を、当該「付点4分音符」に第1のピアノ楽音における音符情報28および音符情報28が合算された付点4分音符を加算した「付点2分音符」に書き換えるようになっている。
【0113】
一方、制御データ生成部105は、譜面用音符データ31において、演奏者が演奏しない、すなわち、演奏することを選択されなかったパーツにおける音高情報34、音符情報36および拍情報37を検索し、該当する音高情報34、音符情報36および拍情報37を削除するとともに、楽音データ23と同様に打撃種別情報35を書き換えるようになっている。
【0114】
他方、制御データ生成部105は、歌詞表示データ42において、楽音データ23と同様に、パーツ種別情報44と打撃種別情報45を書き換えるようになっている。そして、この制御データ生成部105は、楽音データ23における再生開始情報27と同様に、当該パーツ種別情報25を有する各歌詞に規定されている色変わり開始情報46に、書き換えの対象となった打撃種別情報45の若い隣接する歌詞における色変わり開始情報46を加算し、当該規定されている色変わり再生開始情報27を加算された情報に書き換えるようになっている。
【0115】
(テンポ検出処理)
本実施形態の制御データ生成部105は、演奏者の演奏が開始されると、各打撃情報が入力された際の時刻(以下、「入力時刻」という。)を検出するとともに、各打撃情報が入力される毎に、入力された打撃情報における入力時刻と前回の打撃情報が入力された際の入力時刻に基づいて、入力差の時間を算出するようになっている。
【0116】
また、この制御データ生成部105は、打撃情報をカウントし、当該カウントに基づいて、各打撃情報が入力される毎に、算出された時間差と譜面データ30とを照合するようになっており、各打撃情報が入力される毎にテンポを検出するようになっている。
【0117】
具体的には、この制御データ生成部105は、楽曲データ20の再生開始から、入力される打撃情報をカウントするとともに、カウントされた打撃情報の数、すなわち、打撃種別情報に基づいて、入力された打撃情報に該当する譜面データ30上のパーツの拍情報37と当該パーツの前回のパーツにおける拍情報37を検索し、当該拍情報37の差、すなわち、拍数を算出するようになっている。そして、この制御データ生成部105は、(式1)における演算を行うことによってテンポを検出するようになっている。
テンポ = (60秒×拍数)/打撃情報の時間 ・・・・(式1)
【0118】
例えば、任意の打撃情報と前回の打撃情報の入力に基づいて算出された時間差が1000ms、任意の打撃情報に該当する拍情報37が4分の4拍子の3拍目、前回の打撃情報に該当する拍情報37が4分の4拍子の1拍目とすると、制御データ生成部105は、拍数を「2」と算出するとともに、(式1)に基づいてテンポを「120」と算出するようになっている。
【0119】
なお、この制御データ生成部105は、打撃情報が入力される毎にテンポを検出するようになっている。また、この制御データ生成部105は、楽曲データ20の再生開始時においては、テンポを検出することができないので、付加情報10に基づいてテンポを決定するようになっている。
【0120】
また、本実施形態では、打撃情報が入力された毎に(式1)によって算出されたテンポを用いてもよいし、当該算出されたテンポ以前に算出されたテンポまたは標準テンポを用いて算出されたテンポを補正するようにしてもよい。
【0121】
(MIDIデータ生成処理)
本実施形態の制御データ生成部105は、書き換えられた各楽音データ23、すなわち、各楽器用楽音データ23aおよび演奏されない電子ドラムセットDrにおけるパーツ用楽音データ23と検出されたテンポに基づいて、MIDIデータを生成するようになっている。
【0122】
具体的には、制御データ生成部105は、打撃情報が入力されると、打撃情報の入力順を示す打撃種別情報26に基づいて、各楽音データ23における該当する楽音を検索し、該当する楽音が存在する場合に、テンポ情報と、ノートナンバー情報24、音色情報22、再生開始情報27および音符情報28に基づいて、MIDIデータを生成するようになっている。
【0123】
すなわち、本実施形態の制御データ生成部105は、検出されたテンポに基づいて、再生開始情報27および音符情報28に基づいて打撃情報の検出時から各楽音が再生開始されるまでの時刻を示すノートオンと、当該各楽音が再生終了するまでの時刻を示すノートオフの時間を算出するとともに、算出されたノートオンおよびノートオフの情報と、ノートナンバー情報24および音色情報22に基づいてMIDIデータにおける演奏情報を生成するようになっている。
【0124】
(表示データ生成処理)
本実施形態の制御データ生成部105は、書き換えられた譜面データ30の譜面用音符データ31と歌詞表示データ42と検出されたテンポに基づいて、演奏に伴って色変わりする譜面または歌詞における表示制御データを生成するようになっている。
【0125】
具体的には、制御データ生成部105は、譜面における表示制御データを生成する場合には、テンポ検出処理において行われた打撃情報のカウント数と譜面用音符データ31の拍情報37に基づいて、小節の切り替わる際の打撃情報の入力を検出し、当該小節の切り替わりが検出された場合には、未だ表示されていない再生順序上先頭に配された小節における譜面の表示制御データを、当該再生順序上最前の小節に属する音符の音高情報34および音符情報28に基づいて生成するようになっている。
【0126】
また、この制御データ生成部105は、打撃情報が入力されると、入力された打撃情報のタイミングと当該打撃情報に添付されて入力されたパーツの種別を示す情報と、譜面用音符データ31を照合し、入力された打撃情報に該当する譜面上のパーツの音符を特定するようになっている。そして、この制御データ生成部105は、特定された音符と検出されたテンポに基づいて次の音符までの色変わり時間を算出し、算出された時間に基づいて音符が色変わりするように表示制御データを生成するようになっている。
【0127】
一方、本実施形態の制御データ生成部105は、歌詞における表示制御データを生成する場合には、テンポ検出処理において行われた打撃情報のカウント数と打撃識別情報に基づいて、表示すべきブロックがあるか否かを検出し、表示すべきブロックがある場合には、当該ブロックを表示する表示制御データを生成するようになっている。
【0128】
また、この制御データ生成部105は、打撃情報が入力されると、入力された打撃情報と当該打撃情報に添付されて入力されたパーツの種別を示す情報と、歌詞表示データ42を照合し、入力された打撃情報に該当する歌詞を特定するようになっている。そして、この制御データ生成部105は、特定された歌詞と検出されたテンポに基づいて次の歌詞までの色変わり時間を算出し、算出された時間に基づいて歌詞が色変わりするように表示制御データを生成するようになっている。
【0129】
次に、図5〜図7を用いて本実施形態のシステム制御部116におけるカラオケ演奏制御処理については説明する。なお、図5〜図7は、本実施形態のシステム制御部116におけるカラオケ演奏制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0130】
以下の説明において、楽曲データ20を特定する識別情報は、予め定められているものとし、電子ドラムセットDrの各パーツとカラオケ装置100は、配線コードによって既に接続されているものとする。
【0131】
まず、操作部114を介して演奏者等によって再生すべきカラオケデータDの識別情報、例えば、曲番号が入力され、システム制御部116が当該カラオケデータDの識別情報の入力を検出すると(ステップS101)、システム制御部116は、通信制御部104に図示しないサーバ装置と通信回線を確立させ、当該識別情報に基づいて該当するカラオケデータDを取得させてROM/RAM117に記憶させる(ステップS102)。
【0132】
次いで、システム制御部116は、操作部114と映像出力制御部113と連動させて、映像出力制御部113に電子ドラムセットDrにおける各パーツの選択、例えば、電子ドラムセットDrの演奏における難易度を設定するための画像をディスプレイMに表示させ、その入力を待機する(ステップS103)。
【0133】
次いで、システム制御部116は、操作部114を介して演奏者等の操作入力を検出すると(ステップS104)、当該入力された難易度、すなわち、演奏する電子ドラムセットDrのパーツの種別を解析する(ステップS105)。
【0134】
次いで、システム制御部116は、制御データ生成部105に、解析されたパーツの種別に基づいて楽音データ23、譜面用音符データ31、および、歌詞表示データ42の書き換え処理を行わせる(ステップS106)。具体的には、制御データ生成部105は、上述のように、各データにおけるパーツ種別情報25などの書き換えを行う。
【0135】
次いで、システム制御部116は、楽器音データ生成部に、解析されたパーツの種別と付加情報10に含まれる音色情報22およびノートナンバー情報24に基づいて、打撃情報変換テーブルデータを設定させる(ステップS107)。
【0136】
次いで、システム制御部116は、映像出力制御部113に記憶されたカラオケデータDからタイトル画像のデータを読み出させ、読み出させたタイトル画像のデータをディスプレイMに表示させる(ステップS108)。
【0137】
次いで、システム制御部116は、付加情報10に含まれるジャンル情報に基づいて再生すべき楽曲データ20のジャンルを特定してHD50における背景画像データを決定し、HDD110に当該決定された背景画像データの再生準備を行わせるとともに(ステップS109)、映像出力制御部113に演奏開始の準備ができた旨の画像を表示させてその指示の入力を待機する(ステップS110)。
【0138】
次いで、システム制御部116は、操作部114を介して演奏者等における演奏開始の指示の入力を検出すると(ステップS111)、制御データ生成部105に、演奏開始合図音のMIDIデータを生成させるとともに、HDD110およびデコーダ111に決定された背景画像データの再生を開始させて当該打撃情報の検出を待機する(ステップS112)。
【0139】
具体的には、制御データ生成部105は、付加情報10に含まれるテンポ情報によって示されるテンポに基づいて演奏開始合図音のMIDIデータを生成し、音源部106を介して演奏開始合図音を拡声させる。また、HDD110は、背景画像データをHD50から読み出してデコーダ111にて映像信号に変換し、映像出力制御部113を介してディスプレイMに背景画像の表示を開始させる。
【0140】
次いで、システム制御部116は、以下のように、ステップS113〜S119の処理を行う。ただし、システム制御部116は、ステップS114とステップS115〜119の処理を同時に並列処理として行う。
【0141】
まず、システム制御部116は、打楽器音生成部における打撃情報の入力を検知すると(ステップS113)、打楽器音データ生成部105に、入力された打撃情報に基づいて該当する電子ドラムセットDrのパーツにおける打楽器音を拡声するためのMIDIデータを生成させて音源部106に出力させる(ステップS114)。
【0142】
なお、このとき、採点制御部115は、打楽器音データ生成部105を介して入力された打撃情報と譜面データとを照合して打撃された電子ドラムセットDrのパーツの種別の一致を判断し、その結果を内部に記憶する。
【0143】
一方、システム制御部116は、打楽器音生成部に入力された打撃情報に基づいて、制御データ生成部105に楽曲データ20の開始後最初の打撃情報か否かを判断させる(ステップS115)。
【0144】
次いで、ステップS115の処理において、制御データ生成部105が検知された打撃情報が楽曲データ20の開始後最初の打撃情報であると判断すると、システム制御部116は、制御データ生成部105にテンポを標準テンポに決定させる(ステップS116)。
【0145】
また、ステップS114の処理において、制御データ生成部105が検知された打撃情報が楽曲データ20の開始後最初の打撃情報でないと判断すると、システム制御部116は、制御データ生成部105にテンポ検出処理を行わせる(ステップS117)。具体的には、制御データ生成部105は、上述のように、前回の打撃情報が入力された時刻に基づいて入力時刻差を算出し、当該入力された打撃情報の順番を特定しつつ、譜面用音符データ31と照合してテンポを検出する。
【0146】
次いで、システム制御部116は、制御データ生成部105に決定されたテンポまたは検出されたテンポと各楽音データ23とに基づいて、MIDIデータを生成させ、生成されたMIDIデータを音源部106に出力する(ステップS118)。
【0147】
他方、システム制御部116は、制御データ生成部105に、検出されたテンポと譜面用音符データ31および歌詞表示データ42とに基づいて譜面および歌詞を表示させるための表示データを生成させる表示データ生成処理を行わせる(ステップS119)。
【0148】
具体的には、制御データ生成部105は、上述のように、当該入力された打撃情報において、所定のブロックの譜面および歌詞を表示させるか否かを判断し、所定の小節の譜面または所定のブロックの歌詞を表示させる場合には、当該譜面および歌詞を表示させるための表示制御データを生成するとともに、当該入力された打撃情報に割り当てられた、すなわち、当該打撃情報における打撃種別情報35、45を有する各パーツの音符および歌詞の色変わりを行わせるための表示制御データを生成する。
【0149】
次いで、システム制御部116は、音源部106に打楽器音データ生成部103および制御データ生成部105から出力されたMIDIデータに基づいて、オーディオデータを生成させ、音出力制御部107にてDSP処理を行わせつつ、電力増幅装置109を介して各楽音をスピーカシステムSPから出力させる(ステップS120)。
【0150】
具体的には、音源部106は、打楽器音データ生成部103にて生成されたMIDIデータについては、入力に合わせて、すなわち、打撃情報の入力タイミングに合わせて、
リアルタイムにオーディオデータを生成しつつ、制御データ生成部105にて生成されたMIDIデータについては、ノートオンおよびノートオフによって規定された時刻に基づいてオーディオデータを生成する。
【0151】
一方、システム制御部116は、OSD処理部112に表示制御データに基づいて表示データを生成させ、映像出力制御部113に再生された背景画像に重畳させつつ、ディスプレイMに表示させる(ステップS121)。なお、システム制御部116は、ステップS120の処理とステップS121の処理を同時に並列処理として行う。
【0152】
次いで、システム制御部116は、制御データ生成部105に、次に入力されるべき打撃情報があるか否かを判断させる(ステップS122)。例えば、システム制御部116は、楽曲データまたは譜面データを参照しつつ、未だ再生されていない楽音があるか、または、色変わりされていない譜面があるか判断する。
【0153】
このとき、制御データ生成部105が次に入力されるべき打撃情報があると判断すると、システム制御部116は、当該打撃情報の入力を待機して(ステップS123)ステップS113の処理に戻り、次に入力されるべき打撃情報があると判断すると、ステップS124の処理に移行する。
【0154】
最後に、システム制御部116は、各部を制御してカラオケデータDの再生を終了する再生終了処理を行い(ステップS124)、本動作を終了させる。具体的には、システム制御部116は、HDD110およびMPEGを制御して画像データの読み出し、および、その再生を終了させるとともに、映像出力制御部113を制御して演奏が終了した旨の画像をディスプレイMに表示させる。
【0155】
特に、システム制御部116は、再生終了処理として採点制御部115に内部に記憶された打撃されたパーツ種別の判断結果に基づいて採点結果を、映像出力制御部113を介して表示させる。
【0156】
以上、本実施形態のカラオケ装置100は、演奏者が電子ドラムセットDrのパーツを打撃することによって当該打撃に割り付けられた楽曲データ20を構成する他の楽器の楽音を再生させることができるとともに、当該打撃に伴って譜面データ30を表示させることができる。したがって、演奏者が打撃を行わなければ楽曲が再生されないので、または、演奏者の打撃のリズムに併せて楽曲データ20を構成する他の楽器の楽音が再生されるので、譜面を参照しつつ演奏された打撃に併せて楽曲データ20を再生することによって演奏者が主導して楽曲データ20を再生しつつ、様々な練習形態に用いることができるとともに、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲を演奏することができるという興趣性を提供することができる。
【0157】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、打撃された打撃部材の種別に関係なく、打撃を行えば楽曲データ20を再生させることができるので、演奏が上手でない演奏者によっても楽曲データ20を再生することができるとともに、的確に打撃が行われたか否かを判別することによって演奏者の演奏における採点を行うことができ、演奏を客観的に評価することができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0158】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、譜面データ30の通りに演奏者によって打撃部材が打撃されたか否かを判定するとともに、この判定結果に基づいて当該楽曲データ20における演奏者の演奏について採点を行い、採点結果を演奏者に告知することができるので、演奏を客観的に評価することができ、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0159】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、各楽曲データ20毎に当該楽曲データ20の再生中に演奏者によって打撃される電子ドラムセットDrのパーツを設定し、演奏されるパーツ以外のパーツの楽音を電子ドラムセットDr以外の楽音とともに再生させることができる。したがって、一の楽曲データ20によって様々なパターンの演奏を行うことができるとともに、演奏する電子ドラムセットDrのパーツの数を変更することによって演奏における難易度も設定することができるので、初心者から上級者まで幅広く興趣することができる。
【0160】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、楽曲データ20における設定された電子ドラムセットDrに対応する打楽器の楽音を消音して当該楽曲データ20を再生するので、楽曲データ20の再生に自己の演奏を合わせることができ、他の楽器を演奏する演奏者がいなくても楽曲を演奏することができる興趣性を有する。
【0161】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、検出された打撃情報に基づいて、楽曲データ20の進行状況に対応させて取得された譜面データ30における音符の表示を変化させつつ、当該譜面データ30を表示させることがきる。したがって、演奏者の演奏に合わせて譜面の表示変化を行うことができるので、参照すべき譜面を容易に特定することができる。
【0162】
また、本実施形態のカラオケ装置100は、楽曲データ20の歌詞を示す歌詞データ40を取得し、検出された打撃情報に基づいて、楽曲データ20の進行状況に対応させて取得された歌詞データ40における歌詞の表示を変化させつつ、当該歌詞データ40を表示させることができる。したがって、歌唱者とも演奏を行うことができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0163】
なお、本実施形態では、制御データが演奏者に打撃された電子ドラムセットDrの各パーツに無関係に、打撃情報に基づいて各楽音データ23を再生するようになっているが、楽曲データ20において設定されているパーツの種別に沿って演奏者が打撃をした場合に限り、各楽音データ23を再生するようにしてもよい。この場合には、的確に順序よく電子ドラムセットDrのパーツを打撃しなければ楽曲データ20が再生されないので、正確性が要求される練習に用いることができるとともに、正確に打撃すれば、楽曲データ20が的確に再生することができるので、演奏による興趣性を向上させることができる。
【0164】
また、本実施形態では、カラオケデータDを取得した後に、難易度、すなわち、電子ドラムセットDrにおいて演奏を行うと設定されたパーツの種別に基づいて、楽曲データ20、譜面データ30および歌詞データ40を書き換えているが、当該カラオケデータDを取得する前に、難易度の設定を行い、既に書き換えを必要としない楽曲データ20、譜面データ30および歌詞デーを含むカラオケデータDを取得して再生するようにしてもよい。
【0165】
また、本実施形態のカラオケデータDでは、楽曲データ、譜面データおよび歌詞データ毎に各種の情報を有する構成をしているが、楽音毎に、打撃情報の入力タイミングに基づいて、MIDIデータを生成するためのデータおよび譜面と歌詞を表示させるためのデータなどの各種のデータが構成されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本願に係る携帯用電話機における一実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】一実施形態におけるカラオケデータの構成の一例を示す図である。
【図3】一実施形態における楽曲データの構成の一例を示す図である。
【図4】一実施形態の制御データ生成部において、楽曲データの書き換え処理を説明するための図である。
【図5】一実施形態のシステム制御部におけるカラオケ演奏制御処理の動作を示すフローチャート(I)である。
【図6】一実施形態のシステム制御部におけるカラオケ演奏制御処理の動作を示すフローチャート(II)である。
【図7】一実施形態のシステム制御部におけるカラオケ演奏制御処理の動作を示すフローチャート(III)である。
【符号の説明】
【0167】
10 … 付加情報
20 … 楽曲データ
30 … 譜面データ
40 … 歌詞データ
50 … HD
100 … カラオケ装置
101 … 端子ユニット
102 … A/D変換器
103 … 打楽器音データ生成部
104 … 通信制御部
105 … 制御データ生成部
106 … 音源部
107 … 音出力制御部
108 … D/A変換器
109 … 電力増幅器
110 … HDD
111 … デコーダ
112 … OSD処理部
113 … 映像出力制御部
114 … 操作部
115 … 採点制御部
116 … システム制御部
117 … ROM/RAM
D … カラオケデータ
Dr … 電子ドラムセット
Mc … マイクロホン
M … ディスプレイ
SP … スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者における打撃に基づいて、打楽器における楽音を、当該打楽器とは異なる楽器の楽音を少なくとも有する楽曲データの再生とともに拡声する楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
打撃面を有する複数の打撃部材における前記演奏者の打撃を打撃情報として取得する第1取得手段と、
前記取得された打撃情報と前記演奏者によって打撃された前記打撃部材の種別を示す種別情報とに基づいて当該各打撃部材に対応して予め設定された打楽器における楽音の拡声を制御する拡声制御手段と、
各楽音が前記打撃部材を打撃する打撃タイミングを示すタイミング情報に割り付けられて構成される前記楽曲データと打撃を行う打撃部材の種別を示す音符が前記タイミング情報に割り付けられて構成される譜面データとを取得する第2取得手段と、
前記検出された打撃情報のタイミングに基づいて、前記タイミング情報を参照しつつ、前記楽曲データに規定された各楽音を再生する再生手段と、
前記検出された打撃情報のタイミングに基づいて、前記タイミング情報を参照しつつ、前記譜面データに規定された各音符を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項2】
請求項1に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記再生手段が、前記取得された打撃情報および種別情報に基づいて、前記譜面データに沿って前記打撃部材が打撃された場合に前記楽曲データに規定された各楽音を再生することを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項3】
請求項1に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記再生手段が、少なくとも何れか一の打撃部材における打撃情報が取得された際に、当該打撃情報毎に楽曲データに規定された各楽音を再生することを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項4】
請求項3に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記打撃情報と種別情報に基づいて前記譜面データ通りに演奏者によって前記打撃部材が打撃されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段における判定結果に基づいて当該楽曲データにおける前記演奏者の演奏について採点を行う採点手段と、
前記採点手段における採点結果を前記演奏者に告知する告知手段と、
を更に備えることを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記各楽曲データ毎に当該楽曲データの再生中に前記演奏者によって打撃される前記打撃部材を設定する設定手段を更に備え、
前記再生手段が、前記設定された打撃部材に対応する打楽器の楽音のみを再生するとともに、前記表示制御が、前記選択された打撃部材における音符のみを譜面データとして表示させることを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項6】
請求項5に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記再生手段が、前記楽曲データにおける設定された打撃部材に対応する打楽器の楽音を消音して当該楽曲データを再生することを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記表示制御手段が、前記検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて前記取得された譜面データにおける音符の表示を変化させつつ、当該譜面データを表示手段に表示させることを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記複数の打撃部材を有することを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置において、
前記取得手段が、カラオケ用の楽曲データとして前記楽曲データを取得するとともに、当該楽曲データの歌詞を示す歌詞データを取得し、
前記表示制御手段が、前記検出された打撃情報に基づいて、楽曲データの進行状況に対応させて前記取得された歌詞データにおける歌詞の表示を変化させつつ、当該歌詞データを表示手段に表示させることを特徴とする楽音再生機能付き電子打楽器拡声装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−57727(P2007−57727A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242000(P2005−242000)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】