説明

構造化剥離ライナーを製造する方法

本明細書で開示されるのは、構造化剥離ライナーを製造する方法である。この方法は、押出可能材料を提供する工程と、押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出し、それによってベース及び少なくとも1つのレールを形成する工程と、を包含する。レールはベース上に100マイクロメートル未満の高さを有する。他の実施形態では、第1及び第2押出可能材料が提供され、並びにダイを通して押し出されて第1層及び第2層を作り出す。構造化剥離ライナーはまた、既存の基材の上に押し出すことにより形成されてもよい。本明細書でまた開示されるのは、接着剤層と裏材とを含むラミネート構造物を形成する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、構造化剥離ライナーを製造する方法を対象とし、及び特には、構造化剥離ライナーを形成するための輪郭を有するダイを用いる押出成形プロセスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
感圧性接着剤は、2つの材料を接合するのに有用である。接着剤と材料との間の接合面は、接合された材料の性能にとって極めて重要である。どちらの接合面における接着の損失も、材料の使用を失敗に終わらせる可能性がある。接着剤は、様々な理由から過去において構造化されてきた。
【0003】
接着剤を構造化する幾つかの手法が既知であり、例えば、米国特許第5,296,277号及び第5,362,516号(両方共ウィルソン(Wilson)ら);第5,141,790号及び第5,897,930号(両方共カルホーン(Calhoun)ら);並びに第6,197,397号(シャー(Sher)ら)に示されるものが挙げられる。これらの特許は、接着剤と剥離ライナーとの間の接合面から、どのように接着剤の構造を構築するかを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの剥離ライナーは一般に、ライナーの熱可塑性ポリマー表面を構造化することにより製造される。ミクロ構造化パターンを有する剥離ライナーを作製する現在の方法は、ライナーに所望のパターンを付与するミクロ構造化ツール上へのキャスト押出成形に続いて、必要であればシリコーン剥離コーティングすること、又はエンボス加工によること、即ちパターンを付与するために構造化ニップの間で、シリコーン剥離コーティングと共に若しくはシリコーン剥離コーティングなしに、熱可塑性ポリマー表面中にパターンを押し付けることを含む。これらの製造工程は、ライナー上にトポグラフィーを形成し、これは次に接着剤中にトポグラフィーを付与するために使用される。これらの工程は、これらのプロセスのために好適な耐久性のあるパターン付きツール、適切な装備、及び材料を必要とし、それらは更なる加工及び使用のために安定なトポグラフィーを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示されるのは、構造化剥離ライナーを製造する方法である。この方法は、押出可能材料を提供する工程と、押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出し、それによってベース及び少なくとも1つのレールを形成する工程と、を含む。レールはベース上に100マイクロメートル未満の高さを有する。他の実施形態では、第1及び第2押出可能材料が提供され、並びにダイを通して押し出されて第1層及び第2層を作り出す。
【0006】
構造化剥離ライナーはまた、ベース及びレールを既存の基材上に押し出すことにより形成されてもよい。即ち、構造化剥離ライナーを製造する方法は、押出可能材料を提供する工程と、基材を提供する工程と、押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出し、それによって基材上にベース及び少なくとも1つのレールを形成する工程と、を含んでもよく、レールそれぞれがベース上に100マイクロメートル未満の高さを有する。
【0007】
構造化剥離ライナー上に配置される接着剤層を含むラミネート構造物もまた記載される。接着剤層は、構造化剥離ライナーにより構造化され、このようにして形成された構造化接着剤は、次に構造化剥離ライナーから分離されてもよい。構造化接着剤は、ミクロ構造化接着フィルムを用いる用途を含む多様な用途において使用されてもよい。
【0008】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記の「課題を解決するための手段」は、請求項に記載される主題への限定として決して解釈されるべきではなく、この主題は、出願中に補正されてもよいように、添付の「特許請求の範囲」によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】代表的な構造化剥離ライナーの立面図。
【図1b】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図1c】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図1d】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図2a】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図2b】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図2c】代表的な構造化剥離ライナーの断面図。
【図3a】図1a及び図1bの構造化剥離ライナーを使用して形成された、代表的なラミネート構造物の断面図。
【図3b】図1a及び図1bの構造化剥離ライナーを使用して形成された、代表的なラミネート構造物の断面図。
【図4】図3a又は図3bのいずれかのラミネート構造物から形成された、構造化接着フィルムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1aは、ベース12及びレール14を含む代表的な構造化剥離ライナー10の立面図(elevated view)を示す。レールは、構造化表面16を形成する。図1bは、図1aに示される構造化剥離ライナーの断面図を示す。本出願の構造化剥離ライナーは、第1及び第2押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出し、それによって、それぞれ第1層20及び第2層22を形成することにより製造されてもよい。一般に、第1及び第2層は隣接しており、層は共にレール及びベースを形成する。一般に、層又は層類は、軟化した状態で押し出され、次いで、例えば水浴中で急冷されて構造化剥離ライナーを形成する。
【0011】
時には、押出可能材料は、輪郭を有するダイを通して既存の基材上に押し出される。こうした実施形態では、ベース及びレールが既存の基材上に形成される。好適な既存の基材の例には、例えば、紙、ポリ(エチレンテレフタレート)、又はポリエチレン若しくはポリプロピレンのようなポリオレフィンフィルムが挙げられる。既存の基材は、第1押出可能材料及び結果として生じる構造体の接着を強化するために、下塗りされるか又は処理されてもよい。こうした処理の例には、例えば、コロナ、フレーム、プラズマ、及び化学処理が挙げられる。
【0012】
構造化剥離ライナーは単一材料を含んでもよく、例えばベース及びレールは同じ押出可能材料である。構造化剥離ライナーはまた、それぞれが他のものと異なる複数の材料を含んでもよく、その結果構造化剥離ライナーは多層構造体を含む。例えば、構造化剥離ライナーは、異なる第1及び第2押出可能材料を含んでもよく、その結果ベースは多層構造体を含む。別の例として、構造化剥離ライナーは、異なる第1及び第2押出可能材料を含んでもよく、その結果レールそれぞれが多層構造体を含む。
【0013】
図1b及び図1cの断面図に示されるように、第1及び第2層の厚さは、レールそれぞれが第1層の一部分及び第2層を含み、並びにベースが第1層を含むようなものであってもよい。同様に、例えば、図1dに示されるように、レールそれぞれが第2層のみを含み、及びベースが第1及び第2層を含むように、第2層の厚さはレールの高さのそれより大きくてもよい。別の例は、ベースが実質的に第1層を含み、レールそれぞれが実質的に第2層を含むというものである(図示されず)。すべての実施形態では、押出可能材料は既存の基材上に押し出されてもよい。
【0014】
押出成形プロセスは、一般に、押し出された材料の中に分子配向を生み出す。一般に、押し出された材料は、それが構造化剥離ライナー全体であろうと、単にレールであろうと、ウェブ下向きに及びレールに沿って配向される。例えば、レールが、ゼロ(0)°である場合、押し出された材料のポリマー主鎖軸は、45〜90°(ウェブ横断)に対して0〜45°(ウェブ下向き)にほぼ配向している。
【0015】
構造化剥離ライナーは、後押出成形加工を受けてもよい。後押出成形加工は、例えば、熱、電磁放射線(例えば、紫外線、可視光線、及びマイクロ波)、並びに粒子放射線(例えば、電子線曝露)の1つ以上を含み得る硬化工程を伴うことが可能である。
【0016】
レールはベース上に、約100マイクロメートル未満、例えば約50マイクロメートル未満、又は約30マイクロメートル未満の高さを有してもよい。一般に、レールはベース上に、少なくとも約3マイクロメートルの高さを有する。レールは、約300マイクロメートル未満、例えば約200マイクロメートル未満、又は約150マイクロメートル未満の断面として見られるとき、最も広い点において幅を有してもよい。レールは、約15マイクロメートルを超える、例えば約25マイクロメートルを超える、又は約50マイクロメートルを超える幅を有してもよい。レールは、それらの高さより幅があってもよいし、又は幅と高さとが実質的に等しくてもよい。又は、レールはそれらの幅より高くてもよい。いずれのレールの高さも、レールの最上部と、隣接するレール間の表面の平均平面との間の差である。
【0017】
構造化剥離ライナーはレールを含み、一般にベースに沿って単一方向に互いに関して実質的に平行な関係で伸びる複数のレールを含む。レールそれぞれが、ベースの全長に沿って、ベースの端まで実質的に連続している。
【0018】
構造化表面は、ベースの一つの端からベースのもう一つの端までの少なくとも1つの連続構造体を含む、画定されたパターンであってもよい。パターンは、異形ダイ押出成形プロセスを使用して製造されることが可能ないずれの形状を形成してもよい。
【0019】
1を超えるレールを有する実施形態では、隣接する形状の中心点間の距離として画定されるピッチは、約150マイクロメートルより一般に大きく、例えば約170マイクロメートルより大きいか、又は約200マイクロメートルより大きい。ピッチは、一般に5100マイクロメートル未満であり、例えば約2500マイクロメートル未満であるか、又は約1700マイクロメートル未満である。
【0020】
レールは、断面図において見られるとき、例えば、正方形、三角形、矩形、菱形、六角形、半円、台形など、いずれの形状を有してもよい。図1a〜図1dは、矩形のレールを図解し、及び図2a〜図2cは、それぞれ、異なる形状26a〜26cを有するレールを示す。
【0021】
一般に、押出可能材料は、押し出されることが可能な熱可塑性材料である。押出可能材料の具体例には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。押出可能材料はまた、幾つかの材料を含んでブレンドを形成してもよい。多層を含む実施形態では、1を超える押出可能材料が使用されて多層を形成してもよい。
【0022】
以下に記載されるように、接着剤層のような接着剤は、構造化剥離ライナーの構造化表面に接触することが可能である。幾つかの実施形態では、次に裏材が、構造化剥離ライナーの反対側の接着剤層に任意に適用されてもよい。他の実施形態では、次に別の剥離ライナー(構造化されていても若しくは構造化されていなくても)、物品、又は基材が、構造化剥離ライナーの反対側の接着剤層に任意に適用されてもよい。幾つかの実施形態では、構造化剥離ライナーの反対側の接着剤層の表面は露出されたまま放置されて、接着剤及び剥離ライナーは次に巻かれてもよく、その結果構造化剥離ライナーの反対側の接着剤表面は次に、接着剤の反対側の構造化剥離ライナーの表面に接触する。構造化剥離ライナー上のこうした表面は、構造化されていてもよく又は構造化されていなくてもよい。次に接着剤層は構造化剥離ライナーから分離されて、接着剤層の上に形成された構造体を結果として生じることが可能である。この構造体は、構造化剥離ライナーの構造化表面の構造体とは逆のものである。接着剤層の上に形成された構造体は、空気脱出路を形成してもよく、その結果、基材との接触において、接着剤層の構造化表面が基材に接着するときに、空気脱出路は、接着剤層の下から空気が流出する出口経路を有する構造化された接着表面を画定する。構造化された接着剤層及び任意の裏材は、構造化接着フィルムと呼ばれる場合もある。
【0023】
図3a及び図3bは、それぞれ代表的なラミネート構造物30及び30bを示し、それは図1の構造化剥離ライナーを使用して形成されてもよい。図3aでは、接着剤層32が、図1bに示されるような構造化剥離ライナーの構造化表面上に配置され、及び裏材34が、ライナーの反対側の接着剤層上に配置される。この場合、構造化剥離ライナーは、結果として生じる構造化接着剤層が、損傷がほとんどなく又は全くなく、ライナーから分離され得るように、固有の剥離特性を有してもよい。図3bでは、剥離層38が、ライナーと接着剤層との間に配置される。剥離層は、結果として生じる構造化接着剤層が、損傷がほとんどなく又は全くなく、ライナーから剥離するのを容易にする。
【0024】
押出可能材料は、構造化接着剤からの構造化剥離ライナーの分離を容易にするために剥離材料を含んでもよい。少なくとも2つの層を含む実施形態では、剥離材料は、接着剤と接触することになる層である、第2層(即ち、図1a〜図1dの要素22)のみの中に存在してもよい。あるいは又はそれに加えて、剥離層が上記のように形成されるように、剥離材料は構造化表面上にコーティングされてもよい。
【0025】
好適な剥離材料の例には、米国特許第5,527,578号及び米国特許第5,858,545号に記載されるもののような放射線硬化性シリコーンであってもよいシリコーン、及びPCT国際公開特許WO00/02966に記載されるもののような他の反応性シリコーンが挙げられ、これらの開示は本明細書に参考として組み込まれる。具体的な例には、米国特許第6,007,914号に記載されるもののようなポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマー及びそれらのブレンドが挙げられ、この開示は本明細書に参考として組み込まれる。剥離コーティングの例には、シリコーン、溶媒型及び無溶媒型、熱硬化型及び放射線硬化型、縮合硬化型及び付加硬化型、エポキシド官能型、アクリレート官能型、シラノール官能型、シリコーン水素化物(silicone hydride)官能型、及び剥離調節剤(release modifiers)、例えばシロキサンが挙げられる。押出可能材料中に組み込まれてもよい又は剥離材料としてコーティングされてもよい好適な剥離材料の別の例は、フルオロカーボン材料である。
【0026】
押出可能材料中の他の添加剤には、分散剤、着色剤、触媒、及び表面張力調節剤を挙げることができる。
【0027】
別の実施形態では、構造化剥離ライナー及び構造化接着剤が、ロールに巻かれて転写テープを形成してもよいように、構造化剥離ライナーは、両面上に剥離機能を含んでもよい。転写テープの形態では、接着剤が両面上に構造化されることになるように、剥離ライナーはまた両面上に構造化されていてもよい。2つのライナー間に接着剤層を含む実施形態では、1つ又は両方のライナーは、接着剤に接触する側上に構造化されていてもよい。
【0028】
接着剤層は、溶媒中に溶解又は分散された接着剤を構造化表面上にコーティングすることにより作製されてもよいし、又はホットメルト接着剤が使用されて、溶融状態でそれを構造化表面上にコーティングし、次いでそれを冷却して接着剤層を形成してもよい。裏材が次に、構造化表面の反対側の接着剤層に適用されてもよい。接着剤層はまた、既存の接着剤層をミクロ構造化ライナー表面にラミネートすることにより形成されてもよい。既存の接着剤層は、裏材の上に配置された接着剤層を含む接着フィルムの形態であってもよい。接着剤層は、剥離ライナー、物品、又は基材上に配置されてもよい。方法は、接着剤中の特有の構成成分に依存して、上記の硬化手段のいずれかを用いるなどして、接着剤を架橋することを更に含んでもよい。
【0029】
接着剤は一般に感圧性接着剤である。感圧性接着剤は、それらの特性により一般に特徴付けられる。感圧性接着剤が、対象とする用途の要求に合うように、次のもの:(1)永続的粘着、(2)指圧以下の圧力による被着体への接着、(3)被着体上に留まるための十分な能力、及び(4)十分な結合力、が挙げられる特性を所有することは、当業者には周知である。多くの感圧性接着剤が、数々の異なる応力速度条件下でこれらの特性を満足させるはずである。
【0030】
感圧性接着剤は、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート(アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する)、ポリオレフィン、及びシリコーンに基づくもののいずれかであってもよい。感圧性接着剤は、水系若しくは溶媒系、ホットメルト型、又は100%固体のコーティング可能型であってもよい。更に、感圧性接着剤は、単一の感圧性接着剤又は2つ以上の感圧性接着剤の組み合わせを含んでもよい。
【0031】
有用なポリ(メタ)アクリル感圧性接着剤は、例えば、少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー、例えば、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチル−ブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、及びn−ブチルアクリレートなど;並びに少なくとも1つの任意のコモノマー構成成分、例えば(メタ)アクリル酸、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、フマレート、スチレンマクロマー、又はこれらの組み合わせなどから得られる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル感圧性接着剤は、アクリル酸の約0〜約20重量%、及びイソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、又はn−ブチルアクリレートの少なくとも1つの約100〜約80重量%から得られる。例えば、ポリ(メタ)アクリル感圧性接着剤は、約2〜約10重量%のアクリル酸、及びイソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、又はn−ブチルアクリレートの少なくとも1つの約90〜約98重量%から得られてもよい。別の例は、約2重量%〜約10重量%のアクリル酸、及びイソオクチルアクリレートの約90重量%〜約98重量%を含む。更に別の例については、接着剤は、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、又は2−メチルブチルアクリレートの約94〜98重量%、及び2〜6重量%の(メタ)アクリルアミドから得られる。
【0032】
感圧性接着剤への添加剤は、粘着性及び結合力のような所望の特性を付与する、制御する、調整するなどのために使用されてもよい。例えば、粘着付与剤及び/又は粘着除去剤(detackifiers)が使用されてもよく;例えば有用な粘着付与剤には、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、及びテルペン樹脂が挙げられる。例えば、油、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、水素添加ブチルゴム、顔料、及び硬化剤を包含する他の物質が、特別の目的のために添加され得る。
【0033】
接着剤は、例えば、水中又は有機溶媒中で溶媒コーティングされ得る。他の実施形態では、接着剤はホットメルトコーティングされる。他の実施形態では、接着剤は、100%固体組成物としてコーティングされ、次いで硬化されてもよい。
【0034】
裏材は、紙又はいずれかのフィルム、例えば、ポリ塩化ビニルのようなグラフィックフィルムであってもよい。裏材は、電子写真術、静電印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、電子編集(electronic cutting)、又は他の画像技術若しくはグラフィック技術が挙げられるいずれかの商業技術を使用して画像化されてもよい。裏材を接着剤層に接触させることは、裏材を、構造化剥離ライナー上に既に形成された接着剤層にラミネートすることを含んでもよいし、又は接着剤層が裏材上に形成され、次いで接着剤層が、構造化剥離ライナーの構造化表面と接触してもよい。後者の場合には、その上に既に形成された接着剤層を有する裏材は、テープのような接着フィルムであってもよい。
【0035】
図4は、接着剤層42及び裏材44を有する代表的な構造化接着フィルム40を示し、それは、図1a又は図1bの構造化剥離ライナーから接着剤層/裏材を分離することにより形成されてもよい。構造化接着フィルムは、スキージ若しくはローラー、又は他の従来技術の使用により、被着体又は表面に手でラミネートされてもよい。
【実施例】
【0036】
これらの実施例は単に例示のみを目的としたものであり、及び添付の「特許請求の範囲」を制限することを意味するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、パーセンテージ、比率などはすべて重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。
【0037】
【表1】

【0038】
試験方法
表面エネルギー
フィルムサンプルの平らな面の表面エネルギーが、例えば、有機固体の分散−極性の表面張力特性(Dispersion-Polar Surface Tension Properties of Organic Solids)、接着ジャーナル(J. Adhesion)、2巻、1970年4月、66ページの中に記載されるように、D.H.ケルブレ(D. H. Kaelble)の数学的近似法を使用して、ヘキサデカン及び水の前進接触角に基づいて分散及び極性の寄与を計算することにより決定された。レーム・ハートモデル100−00 115ゴニオメーター(Rame-Hart Model 100-00 115 Goniometer)(ニュージャージー州ネットコング(Netcong)のレーム・ハート機器社(Rame-Hart Instrument Co.)から市販されている)が使用されて、水及びヘキサデカンを使用して前進接触角が決定された。計算のために、水の表面張力は、72.8ダイン/cm、分散構成成分は、21.8ダイン/cm、及び極性構成成分は、51.0ダイン/cmであると考えられた。ヘキサデカンの表面張力は、27.6ダイン/cmであると考えられ、すべてが分散構成成分に属すると考えられた。表面エネルギーは、エルグ/cmによって計算され、ニュートン/メートルに変換された。
【0039】
ウェットアウト試験
0.033〜0.030ニュートン/メートル(33〜30ダイン/cm)の値を有する、臨界濡れ張力ダイン溶液(ウィスコンシン州メクォン(Mequon)のジェムコ社(Jemmco, LLC)から市販されている)のウェットアウトが、フィルムサンプルの平らな面上で評価された。サンプルは、溶液がフィルムを濡らすことが観察された場合には「濡れ」と、あるいは溶液がフィルムを濡らさないことが観察された場合には「不濡れ」と評定された。
【0040】
WYKO分析
接着剤サンプルは、WYKO RST表面形状測定装置(WYKO RST surface profiler)(アリゾナ州ツーソン(Tucson)のWYKO社(WYKO Corp.))を使用し、干渉顕微鏡法(interferometry microscopy)を使用して評価された。この技術は、光干渉法を使用して、サンプルの表面トポグラフィーを評価した。光は、本質的に水平の表面から反射されることでレールの寸法が決定できた。
【0041】
インデントパネル試験
円形のインデントが、2.5cmの先端径を有する半球形ドロップハンマーを使用して、0.7mm厚さのアルミニウム試験パネルの中に作製された。インデントは、パネルの平面において、約2.8cmの直径であり、約0.6cmの深さであった。試験されるべき7.5cm×7.5cm試験サンプルが、インデントの上の中央に置かれ、パネル上に平らに適用され、インデントの上にピンと張られた。PA−1ハンドアプリケータ(Hand Applicator)保護スリーブ付き(SA−1、3Mから入手可能)が使用されて、サンプルがパネル上に約1kgの質量を使用して押し付けられた。次にフィルムは、親指を用いて、くぼんだインデントの中に押し付けられた。少なくとも3kgの質量が適用された。インデントの中に適合する及びくぼんだパネルインデントに均一に接触するサンプルの性能が次のように評定された:
0−取り込まれた空気にぶつかって、インデントの中に著しくは適合しない;
1−約50%の範囲までインデントの中に押し下げられ得る;
2−押し下げられてインデントの大部分と適合し得るが小さな気泡を残す;
3−押し下げられてインデントの中にゆっくりと(5秒を超えて)及び完全に適合し得る;
4−押し下げられてインデントの中に迅速に(5秒未満)及び完全に適合し得る。
【0042】
実施例1及び2、並びに比較例C1
19センチメートル(7.5インチ)の幅を有する、PPの異形押出成形フィルム(比較実施例C1)並びにPP及び添加剤(実施例1及び2)が、6.4センチメートル(2.5インチ)デイビス−標準単軸押し出し機(Davis-Standard Single Screw Extruder)を、25マイクロメートル(1ミル)深さ、152マイクロメートル(6ミル)ピッチ、及び1センチメートル当たり66ライン(1インチ当たり167ライン)の寸法を有するワイヤーカット平行半円溝を有する20センチメートル(8インチ)ダイと共に使用して調製された。押出成形機温度は:ゾーン1 177℃(350°F);ゾーン2 204℃(400°F);ゾーン3 232℃(450°F);ゾーン4 232℃(450°F)であり、及びダイブロック温度は232℃(450°F)であり;5RPMの軸回転速度は、3メートル/分(10フィート/分)の押出成形速度を与え、114マイクロメートル(4.5ミル)のキャリパーを与えた。ダイブロックの1.3センチメートル(0.5インチ)内に16℃(60°F)の冷水浴が存在した。使用された添加剤の量が表1に示される。フィルムそれぞれの平らな面の表面エネルギー及びウェットアウトが、上記の試験方法に記載されるように決定され、その結果が表1に示される。接着フィルムがその紙ライナーから取り外され、接着剤層が3つの押出成形されたフィルムサンプルの構造化された側上に、3MのPA−1プラスチックスキージを使用してしっかりと接着された。接着フィルムは次に押出成形されたライナーサンプルから手で剥がされた。手で剥がした結果は表1に示される。
【0043】
【表2】

【0044】
NM=測定されず
実施例3
実施例2において調製されたフィルムのサンプルは、シリコーン剥離溶液の薄層により、ナンバー5マイヤー(Number 5 Mayer)ロッドを使用してコーティングされ、2分間104℃でオーブン乾燥され、続いて1日室温で後硬化された。剥離溶液は、ヘプタンの18.2グラム、MEKの4.6グラム、SYL−OFF292シリコーンポリマー(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から市販される)の4.0グラム、SYL−OFF 297固定添加剤(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から市販される)の0.11グラム、SYL−OFF C4−2117速硬化添加剤(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から市販される)の0.11グラム、及びSYL−OFF 176スズ触媒(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から市販される)の0.17グラムを含有する混合物であった。剥離コーティングされたフィルムは、PSA溶液により、公称178マイクロメートル(7ミル)の湿潤厚さでコーティングされて、10分間71℃でオーブン乾燥された。
【0045】
PVCのフィルム裏材が乾燥した接着剤にラミネートされた。フィルム裏材/PSAサンプルは、ライナーから滑らかにかつ容易に取り外された。WYKO分析は、11ミクロンまでの表面路の深さ及び約150ミクロン(6ミル)のピッチを有する、ライナーのほぼうね状の輪郭に対応する、PSA表面上の直線路パターンを示した。異形押出成形剥離ライナーを取り外されたラミネートのサンプルが平らなパネルに適用されると、取り込まれた空洞部分は、適用されたサンプルの端から離れたところの下に意図的に形成されて、適用されたサンプルの中心近くに高くなった領域を作製した。適用されたフィルムサンプルの高くなった領域の上及び近くを手で押し、通路中の流体出口を介して空洞部分を端へと押し出すことにより、ラミネート全体をパネルに対して平らにした。空気流出はまた、上記のインデントパネル試験の一般手順を使用しても実演され、これは1の評定となった。
【0046】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない、本発明の様々な修正及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化剥離ライナーを形成する方法であって、前記方法が、
押出可能材料を提供する工程と、
前記押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出すことで、ベース及び前記ベース上の少なくとも1つのレールを形成する工程と、を含み、前記レールが前記ベース上に100マイクロメートル未満の高さを有する、構造化剥離ライナーを形成する方法。
【請求項2】
第1及び第2押出可能材料を提供する工程と、前記第1及び第2押出可能材料を前記ダイを通して押し出し、第1層及び第2層を作り出す工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レールそれぞれが前記第1及び第2層を含み、前記ベースが前記第1層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
レールそれぞれが前記第2層を含み、前記ベースが前記第1及び第2層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
レールそれぞれが実質的に前記第2層を含み、前記ベースが実質的に前記第1層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
レールそれぞれが前記ベース上に50マイクロメートル未満の高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
レールそれぞれが前記ベース上に30マイクロメートル未満の高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記押出可能材料が、シリコーン又はフルオロカーボン剥離材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ラミネート構造物を形成する方法であって、前記方法が、
前記レールが構造化表面を形成する、請求項1に記載の構造化剥離ライナーを提供する工程と、
前記構造化表面上に接着剤を接触させて、前記構造化表面上に接着剤層を形成する工程と、を含む、ラミネート構造物を形成する方法。
【請求項10】
前記接触工程が、前記接着剤を前記構造化表面上にコーティングする工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触工程が、前記接着剤を前記構造化表面にラミネートする工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
裏材を、前記構造化表面の反対側の前記接着剤層に接触させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
第2剥離ライナーを、前記構造化表面の反対側の前記接着剤層に接触させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2剥離ライナーが構造化表面を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レールが構造化表面を形成し、前記方法が、
前記構造化表面上にシリコーン又はフルオロカーボン剥離材料をコーティングして剥離層を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
構造化剥離ライナーを形成する方法であって、前記方法が、
押出可能材料を提供する工程と、
既存の基材を提供する工程と、
前記押出可能材料を、輪郭を有するダイを通して押し出し、それによって前記既存の基材上にベース及び少なくとも1つのレールを形成する工程と、を含み、レールそれぞれが前記ベース上に100マイクロメートル未満の高さを有する、構造化剥離ライナーを形成する方法。
【請求項17】
第1及び第2押出可能材料を提供する工程と、前記第1及び第2押出可能材料を前記ダイを通して押し出して第1層及び第2層を作り出す工程と、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
レールそれぞれが前記第1及び第2層を含み、前記ベースが前記第1層を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
レールそれぞれが前記第2層を含み、前記ベースが前記第1及び第2層を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
レールそれぞれが実質的に前記第2層を含み、前記ベースが実質的に前記第1層を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
レールそれぞれが前記ベース上に50マイクロメートル未満の高さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
レールそれぞれが前記ベース上に30マイクロメートル未満の高さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記押出可能材料が、シリコーン又はフルオロカーボン剥離材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
ラミネート構造物を形成する方法であって、前記方法が、
前記レールが構造化表面を形成する、請求項16に記載の構造化剥離ライナーを提供する工程と、
前記構造化表面上に接着剤を接触させて接着剤層を形成する工程と、を含む、ラミネート構造物を形成する方法。
【請求項25】
前記接触工程が、前記接着剤を前記構造化表面上にコーティングする工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記接触工程が、前記接着剤を前記構造化表面にラミネートする工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
裏材を、前記構造化表面の反対側の前記接着剤層に接触させる工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
第2剥離ライナーを、前記構造化表面の反対側の前記接着剤層に接触させる工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記第2剥離ライナーが構造化表面を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記レールが構造化表面を形成し、前記方法が、
前記構造化表面上にシリコーン又はフルオロカーボン剥離材料をコーティングして剥離層を形成する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505661(P2010−505661A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531527(P2009−531527)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/079391
【国際公開番号】WO2008/042650
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】