構造化表面を有する一軸配向物品
幾何学的特徴(15)を含む構造化表面を有するフィルム(9)を一軸延伸するためのプロセスが記載されている。プロセスは、延伸後の特徴(16)の断面形状が延伸前の特徴(15)の断面形状と実質的に同一であるフィルム(10)を提供する。構造化表面物品もまた記載されている。本物品は、幾何学的構造を包含するフィルム全体にわたって実質的に同一の一軸配向を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を有する、高分子フィルムなどの一軸延伸物品およびこのような物品の製造プロセスに関する。構造化表面は、所望の断面を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。
【背景技術】
【0002】
構造化表面を有する光学物品およびこのような物品を提供するためのプロセスが公知である。例えば、米国特許第6,096,247号明細書および同6,808,658号明細書、および米国特許出願公開第2002/0154406 A1号明細書を参照のこと。これらの文献に開示されている構造化表面は、微小角柱(微小立方体などの)およびレンズを包含する。典型的にはこれらの構造は、例えばエンボス加工、押出し成形または切削により好適なポリマーの表面に作られている。
【0003】
構造化表面を有する複屈折性物品もまた公知である。例えば、米国特許第3,213,753号明細書、同4,446,305号明細書、同4,520,189号明細書、同4,521,588号明細書、同4,525,413号明細書、同4,799,131号明細書、同5,056,030号明細書、同5,175,030号明細書ならびに国際公開第2003/0058383 A1号パンフレットおよび国際公開第2004/062904 A1号パンフレットを参照のこと。
【0004】
延伸フィルムの製造プロセスもまた公知である。このようなプロセスは、典型的には、フィルムの機械的および物理特性を向上させるために利用される。これらのプロセスは、二軸延伸技術および一軸延伸技術を含む。例えば国際公開第00/29197号パンフレット、米国特許第2,618,012号明細書、同2,988,772号明細書、同3,502,766号明細書、同3,807,004号明細書、同3,890,421号明細書、同4,330,499号明細書、同4,434,128号明細書、同4,349,500号明細書、同4,525,317号明細書および同4,853,602号明細書を参照のこと。米国特許第4,862,564号明細書、同5,826,314号明細書、同5,882,774号明細書、同5,962,114号明細書および同5,965,247号明細書もまた参照のこと。特開平5−11114号公報、特開平5−288931号公報、特開平5−288932号公報、特開平6−27321号公報および特開平6−34815号公報もまた参照のこと。フィルムの延伸プロセスを開示するさらなる他の日本公開公報としては、特開平5−241021号公報、特開平6−51116号公報、特開平6−51119号公報、および特開平5−11113号公報が挙げられる。国際公開第2002/096622 A1号パンフレットもまた参照のこと。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、構造化表面を有するフィルム、これから製造される物品、および新規なその生産プロセスを提供する。構造化表面は、所望の断面形状を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。本発明の物品の一実施形態は、構造化表面を有するフィルムを含む。本発明の一態様は、一軸配向、好ましくは真の一軸配向をその厚さ全体にわたって有する物品を含む。構造化表面は、複数の幾何学的特徴を含み得る。幾何学的特徴または複数の特徴は細長くてもよい。特徴または複数の特徴は、物品の第1の面内軸と実質的に整列されている。本発明の物品は、その上に構造化表面を有するランドまたは本体部分を含む。物品は、単一層または複数の個別の層を含み得る。本発明の物品は、その反対の側面に構造化表面を有し得る。層は、異なる高分子材料を含み得る。物品は、正にまたは負に複屈折性であり得る。
【0006】
本発明の物品の一実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
フィルムが少なくとも0.1の形状保持パラメータ(SRP)を有する一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。
【0007】
本発明の他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
高分子フィルムが、第1の面内軸の方向に少なくとも1.5の延伸比を有し、および第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比の大きいもの対小さいものの比が1.4以下であり、ならびにフィルムが、本体の厚さおよび幾何学的特徴の全体にわたって同一の一軸配向を実質的に有する一軸配向フィルムを含む。
【0008】
本発明の物品のさらに他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
(a)本体の厚さ(Z’)対幾何学的特徴の高さの比(P’)が少なくとも約2であり、または(b)本体厚さ対特徴高さの比(Z’:P’)が少なくとも約1であると共に特徴高さ対特徴の離間距離の比(P’:FS’)が少なくとも約1であり、または(c)本体厚さ対特徴高さの比(Z’:P’)が少なくとも約1であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離の比(BW’:FS’)が少なくとも約1であり、または(d)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約3であり、または(e)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約1であると共に特徴高さ対特徴の離間距離(P’:FS’)の比が少なくとも約1であり、または(f)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約1であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離(BW’:FS’)の比が少なくとも約1であり、または(g)特徴ベース幅対特徴上部幅の比(BW’:TW’)が少なくとも約2であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離の比(BW’:FS’)が少なくとも約1である一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態において、実質的に上記した本発明の物品は、少なくとも約3の本体の厚さ対特徴のベースの幅の比を有する。
【0010】
本発明の物品のさらに他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
配向高分子フィルムが、(i)第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)、(ii)第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)、および(iii)第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)を有し、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関して互いに実質的に等しい一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。本発明のこの実施形態の一態様において、高分子本体の厚さ対幾何学的特徴の高さの比が少なくとも約2である。
【0011】
本発明はまた、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴を含む表面部分であって、線形幾何学的特徴が高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に本体に配置されている表面部分と
を含む一軸配向構造化表面物品のロールを提供する。
【0012】
本発明の他の態様において、上記のロールは、第1の面内軸に沿って一軸配向である高分子フィルムを含む。さらに他の態様において、上記のロールは、ロールの個々の巻きの間に緩衝層をさらに含む。緩衝層は、生産、保管および輸送中の構造化表面の損傷および/または歪みからの保護を補助する。
【0013】
本発明において、幾何学的特徴は、角柱状またはレンズ状幾何学的特徴の一方であり得る。幾何学的特徴は、第1の面内軸に沿って連続的であっても、断続的であってもよく、マクロ−または微小特徴であってもよく、以下により完全に考察されるとおり、多様な断面プロファイルを有し得る。幾何学的特徴は、構造化表面上において、反復していても、反復していなくてもよい。すなわち、構造化表面は、同一の断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含み得る。または、構造化表面は、異なる断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含み得る。他の実施形態において、構造化表面は、周期的にまたは非周期的な方法のいずれかで配置され得る可算特徴の予め定められたパターンを含み得る。
【0014】
本発明のさらに他の態様において、物品は、第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、第3の面内軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する。本発明においては、n1は、n2およびn3の各々と≠である。すなわち、n1は、n2およびn3より大きくてもよく、n2およびn3未満であってもよい。好ましくは、n2およびn3は、互いに実質的に等しい。本発明のフィルムの相対的複屈折は、0.3以下であることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、多相フィルムを含み得る。この実施形態においては、フィルムは、多成分相分離系または、1種の成分が他に溶解されて、多孔性構造または連続マトリックスまたは両連続マトリックス中の極小粒子のいずれかを形成するものを含み得る。
【0016】
本発明はまた、微小構造化表面または第2の表面上の一方に追加の層を組み込み得る。本発明はまた、このような表面のいずれかまたは両方に、複数の追加の層を組み込み得る。追加の層は、延伸の前または後に追加することができる。追加の層が延伸前に追加される場合、追加の層は延伸可能であるべきである。このような層の例としては、限定されないが、反射防止層、屈折率整合層および保護層が挙げられる。
【0017】
真の一軸延伸は、追加の層が利用される場合、特に有用である。この場合、例えば、横方向に蓄積される応力が最小化されて、層間の接着の要因は重要性の少ない機能である。
【0018】
他の態様において、本発明は、第1および第2の直交面内軸およびフィルムの厚さ方向における第3の相互に直交する軸の座標系に関して定義される予め定められた特性を備える微小構造フィルムのロールを含む。例えば、幾何学的特徴は、ロールのラップの方向と整列することができ(すなわち、縦方向(MD)に沿って)、またはこれらは、ロールのラップの方向の交差方向に整列され得る(すなわち、横方向(TD)に沿って)。または、幾何学的構造は、MDまたはTD方向に対していずれかの所望の角度で整列され得る。
【0019】
本発明は、構造化表面フィルムの製造方法をさらに含む。一態様では、本発明の方法は、
(a)(i)所望の何学的特徴を含む第1の表面および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子フィルムを提供する工程と、これに続いて、
(b)高分子フィルムを、高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含み、
工程(b)前の幾何学的特徴の断面形状が、工程(b)の後も実質的に保持される。
【0020】
他の態様において、本発明は、
(a)(i)第1の構造化表面および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子フィルムを提供する工程であって、第1の構造化表面が、第1の面内軸に実質的に平行な方向に配置された幾何学的特徴を有する工程と、これに続いて、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に高分子フィルムを一軸配向させる工程と
を含む構造化表面フィルムの製造方法を含む。
【0021】
さらに他の態様の本発明は、
(a)所望の構造化表面のネガティブを含むツールを提供する工程と、
(b)ツールと樹脂とを接触させて所望の表面を形成する工程であって、所望の構造表面が幾何学的特徴を含む工程と、
(c)任意により、樹脂を固化させて、(i)所望の構造化表面および反対の表面と(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および、フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有するフィルムを形成する工程と、
(d)ツールからフィルムを除去する工程と、これに続いて
(e)高分子フィルムを、高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含む構造化表面フィルムの製造方法を含む。
【0022】
本発明の他の実施形態は、複数の細長い幾何学的微小特徴を有する所望の微小構造表面フィルムの製造方法を含む。この方法は、
(a)所望の微小構造表面のネガティブ版を含むツールを提供する工程と、
(b)溶融高分子樹脂を、マスターツールおよび第2の表面の間に形成された間隙に提供する工程と、
(c)所望の微小構造表面を有する高分子フィルムを間隙中に形成する工程であって、フィルムが(i)互いに相互に直交する第1および第2の面内軸および、フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と、相互に直交する第3の軸と、(ii)第1の面内軸に実質的に平行な方向に位置された細長い微小特徴を有する所望の微小構造表面とを有する工程と、
(d)工程(c)の高分子フィルムをツールから除去する工程と、
(e)高分子フィルムを第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含む。
【0023】
本発明の方法の一実施形態において、物品は、延伸前に第1の配向状態を有すると共に、第1の配向状態とは異なる第2の配向状態を延伸後に有する。他の実施形態において、延伸工程は、より小さい、物理的断面(すなわち、より小さい幾何学的特徴)を、実質的な配向なしで提供する。
【0024】
本発明の方法は、延伸後に複屈折性であり、および第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する高分子フィルムを提供する。
【0025】
本発明の他の実施形態において、方法は、実質的に同一の比例寸法変化を、フィルムの第2のおよび第3の面内軸の両方の方向に形成する。第2のおよび第3の面内軸の方向におけるこれらの比例寸法変化は、フィルムの延伸または延伸履歴の全体にわたって実質的に同一である。
【0026】
本発明の他の態様においては、本発明のいずれかの方法によって生産されたフィルムは、延伸後フィブリル化されて構造化表面を有する1つ以上の一軸配向繊維を提供する。繊維は、個別の繊維として、または互いに長さに沿って結合された2つ以上の繊維として形成され得る。
【0027】
本願明細書において、以下の用語および句は以下の意味を有するとして用いられている。
【0028】
「断面形状」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸によって分画される幾何学的特徴の外周縁の構成を意味する。幾何学的特徴の断面形状は、特徴の物理的寸法および欠陥または不規則性の存在から独立している。
【0029】
「延伸比」およびその明らかな変形は、延伸方向に沿って離間する2つの点の間の延伸後の距離対相当する点の間の延伸前の距離の比を意味する。
【0030】
「幾何学的特徴」およびその明らかな変形は、構造化表面上に存在する、予め定められた形状または複数の形状を意味する。
【0031】
「マクロ」は接頭語として用いられており、修飾する用語が少なくとも1mmの高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。
【0032】
「微小(micro)」は接頭語として用いられており、修飾する用語が1mm以下の高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。好ましくは、断面プロファイルは、0.5mm以下の高さを有する。より好ましくは、断面プロファイルは、0.05mm以下の高さを有する。
【0033】
「一軸延伸」は、その明らかな変形を包含して、物品の対向する縁を把持し、およびこの物品を1方向にのみ物理的に延伸する動作を意味する。一軸延伸は、例えば瞬間的なまたは比較的極めて少ない二軸延伸をフィルムの部分に誘起することができるせん断効果に起因するフィルムの均一な延伸におけるわずかな不完全性を包含することを意図する。
【0034】
「構造表面(structure surface)」は、少なくとも1つの幾何学的特徴を有する表面を意味する。
【0035】
「構造化表面(structured surface)」は、所望の何学的特徴または複数の幾何学的特徴を表面に付与するいずれかの技術によって形成された表面を意味する。
【0036】
「真の一軸配向」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸に沿って計測された配向感受特性が実質的に同一であり、および第1の面内軸に沿った配向感受特性から実質的に異なる一軸配向(以下を参照のこと)の状態を意味する。
【0037】
実際の物理系は、一般に、第2の面内軸および第3の軸に沿った精確でおよび正確に同一である特性を有さない。用語「真の一軸配向」は、本願明細書において、これらの軸に沿って計測されたフィルムの配向感受特性が軽微な量だけ異なる配向状態を指すために用いられている。偏差の許容可能な量は意図される用途によって異なるであろうことが理解されるであろう。多くの場合、このようなフィルムの均一性は、一軸配向の精確な程度より重要である。この事態は、長く、細い、円柱状の繊維がその繊維軸に沿って延伸される場合にもたらされることができるため、技術分野において、「繊維シンメトリー」として度々称される。
【0038】
「真の一軸延伸」およびその明らかな変形は、一軸延伸(上記を参照のこと)を、第2の面内軸および第3の軸沿った延伸比は実質的に互いに同一であるが、第1の面内軸に沿った延伸比から実質的に異なるような方策で提供する動作を意味する。
【0039】
「一軸配向」は、その明らかな変形を包含して、第1の面内軸(すなわち、一軸延伸方向に実質的に平行な軸)に沿って計測された物品の配向感受特性が、第2の面内軸および第3の軸に沿って計測されたものから異なる配向状態を、物品が有することを意味する。一軸配向の存在を測定するために広く多様な特性が計測され得るが、屈折率が、他が特定されていなければ、本願明細書において注目される特性である。このような特性の他の例示的例としては、結晶配向および形態学、熱および吸湿膨張、小さい歪み異方性機械的圧縮比、耐引裂性、耐クリープ性、収縮、種々の波長での屈折率および吸収係数が挙げられる。
【0040】
積層フィルムの場合において、「一軸」または「真に一軸」は、特に断りのない限り、フィルムの個別の層に適用されることを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、添付の図面を参照する、以下の本発明の種々の実施形態の詳細な説明においてより完全に理解され得る。
【0042】
本発明は、種々の改良および代替形態を受容可能である。本発明の詳細が、例示の目的のみのために図面に示されている。記載の特定の実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。代わりに、本発明の思想および範囲内のすべての改良、均等物、および代替物をカバーすることを意図する。
【0043】
本発明の物品およびフィルムは、一般に、本体部分および表面構造部分を含む。図1は第1の配向状態を有する前駆体フィルムの端面図を表し、一方、図2は、第2の配向状態を有する、本発明のフィルムの一実施形態の端面図を表し、図3A〜図3Dは、本発明のいくつかの変形実施形態の端面図を表す。
【0044】
前駆体フィルム9は、初期厚さ(Z)を有する本体またはランド部分11および高さ(P)を有する表面部分13を含む。表面部分13は、ここでは直角角柱として表される、一連の平行な幾何学的特徴15を含む。幾何学的特徴15の各々は、ベース幅(BW)および頂間間隔(PS)を有する。前駆体フィルムは、P+Zの和に等しい総厚Tを有する。
【0045】
図2を具体的に参照すると、本発明のフィルム10は、厚さ(Z’)を有する本体またはランド部分12および高さ(P’)を有する表面部分14を含む。表面部分14は、角柱を含む一連の平行幾何学的特徴16を含む。幾何学的特徴16の各々は、ベース幅(BW’)および頂間間隔(PS’)を有する。本発明のフィルムは、P’+Z’に等しい総厚T’を有する。
【0046】
前駆体フィルムおよび本発明のフィルムの寸法の間の関係は、T’<T、P’<P、Z’<Zであり、通常はBW’<BWおよびPS’<PSである。
【0047】
本体またはランド部分11、12は、底面17および19と、表面部分13、14の最低点との間の物品の部分を含む。いくつかの場合において、これは、物品の幅(W,W’)にわたる一定の寸法であり得る。他の場合において、この寸法は異なるランド厚さを有する幾何学的特徴の存在によって変化し得る。図9を参照のこと。図9においては、ランド厚さはZ”によって表されている。
【0048】
前駆体フィルム9および本発明のフィルム10の各々は、第1の面内軸18と、第2の面内軸20と、厚さ方向に第3の軸22とを有する。第1の面内軸は、本願明細書において後述される延伸の方向に実質的に平行である。図1および2において、この軸は、フィルム9および10の端面に対して直角である。これらの3本の軸は互いに相互に直交する。
【0049】
本発明のフィルムまたは物品の少なくとも1つの幾何学的特徴の断面形状は、実質的にその前駆体の幾何学的特徴の断面形状の類似物である。この形状の適合度は、入射光の均一な最分布が望まれる光学装置を製造する場合に、特に重要である。これは、特徴の初期断面形状が平坦なまたは湾曲した表面を含むかどうかにかかわらず当てはまる。物品およびプロセスの形状保持性は、形状保持パラメータ(SRP)を算出することにより判定される。
【0050】
所与の特徴についてのSRPは以下のようにして判定される。特徴を有するフィルムの断面の延伸前のイメージが入手される。分断面は、第2の面内軸20および第3の軸22によって分画される面であると共に、フィルムが延伸される方向に直交する。存在する構造特徴の一代表例が選択され、およびこれが特徴として称される。本体部分11および表面部分13の接合部に、イメージ上で線が重畳される。これが特徴ベースライン(FB)である。次いで、この特徴のベースラインより上の面積が算出される。これが非延伸特徴面積(UFA)である。
【0051】
次いで、延伸後のフィルムの断面のイメージが入手される。分断面は、第2の面内軸および第3の軸によって分画される面である。実験用フィルム延伸機器などで非連続または「バッチ」プロセスによってフィルムが延伸された場合、延伸前にフィルム試験片を試験するときに選択したものと同一の特徴を選択することが可能となる。連続フィルム製造ラインでフィルムが延伸された場合、特徴は、フィルム製造分野における当業者により理解されるであろうとおり、非延伸ウェブについて選択された位置に近似する、延伸フィルムウェブの適切な位置から選択されるべきである。特徴ベースライン(FB)が再度規定され、次いで、延伸フィルム特徴の面積が算出される。これが延伸特徴面積(SFA)である。
【0052】
比UFA/SFAが次いで算出される。これがイメージ比(IR)である。次いで、延伸フィルム特徴のイメージが、非延伸フィルム特徴のイメージと同一の面積を有することとなるよう比例的に拡大される。イメージを、各高さおよび幅寸法において、IRの平方根の因数によって拡大させることによって行われる。次いで、延伸フィルムの特徴の拡大イメージを非延伸フィルムの特徴のイメージに、それらの特徴ベースラインが一致するように重畳させる。次いで、重畳されたイメージが、それらの重なる面積が最大となる位置が見つかるまで、共通ベースラインに沿って相互に移動させられる。この、ならびにすべての前述のおよび後述する数学的および数的演算は、当業者に明らかであろうとおり、単に適切に記載されたコードでコンピュータ上で行うことができる。
【0053】
この最適重畳条件で重畳されたイメージの両方によって共有される面積が共通面積(CA)である。比CA/UFAが次いで算出される。この比が共通面積比(CAR)である。完全な形状保持性がもたらされる延伸についてCARは一となる。完全な形状保持性からのいずれかの偏差について、CARは一未満の正の数となる。
【0054】
いずれかの特定のフィルムについて、CARは、少なくとも特徴の形状、延伸比、および延伸操作が真の一軸配向延伸に近づく程度に応じた量で一から差が生じることとなる。他の要因もまた包含され得る。完全形状保持性からの偏差の程度を定量化するために、他のパラメータである形状保持パラメータ(SRP)を創出する必要がある。SRPは、構造化表面を有するフィルムが、一方の極限である完全形状保持性から、他方の極限である、典型的な産業的実施に特徴的な選択された参照点までのどこに位置されるかを、連続的に、比例的に示す尺度である。発明者らはこのような参照点として、同一の特徴形状および延伸比についての、連続的なモードで効率的に操作される、理想化されたフィルムテンター(横配向機)の性能を選択した。フィルムの構造化表面上の特徴の主軸は、延伸方向であるウェブ横方向に平行であると仮定される。縁部効果およびすべての他のプロセス非理想性は、例えば延伸における密度変化などの非理想性はフィルム材料自体のものであるため無視される。次いで、この理想的なテンターの場合については、フィルムに付与されるすべての横延伸は、同一の比だけの、厚さ寸法にのみのフィルムの収縮により順応される。仮定的なテンターが理想的であるため、縦またはウェブ下り方向でのフィルムの収縮はない。
【0055】
イメージ比は、延伸するフィルムについては理想的には、延伸比と同一である。イメージ比が延伸比と異なる場合、これは例えば、ポアソン比、密度変化(例えば延伸中の結晶化に起因する)および局所的延伸比および公称理想延伸比の間のバリエーションに起因するシステムにおける非理想性を示している。
【0056】
以下は図4A〜図4Dを参照して記載されることとなる。計算はコンピュータによって、当業者に公知であるアルゴリズムを用いて簡単に実施され得る。計算は、既にCARの算出に用いられた非延伸フィルムの特徴の実験的に得られたイメージと共に開始される。図4Aにおいて、図示の特徴は直角三角形特徴である。シンメトリーを有しているか有していないかにかかわらず、および真直ぐな面(角柱状)または湾曲した面(レンズ状)を有しているかいないかにかかわらず、本明細書において詳述される方法論は一般にいかなる特徴形状にも適用可能でるため、直角三角形は例示の目的のためにのみ図4Aに示されている。方法論はまた、一般に「上反り」特徴、またはS形状特徴、フック形状特徴、または「マッシュルームキャップ」特徴などの複雑な形状を有する特徴にも適用可能である。
【0057】
図4Aのイメージは、問題となっているフィルムの製造に用いられた延伸比の因数によって、高さ寸法にのみ縮小させることにより図4Bのイメージにコンピュータ的に変換される。これは、問題となっている特徴形状および延伸比についての「理想テンター」におけるフィルム表面特徴になにが起きるであろうかをシミュレートする。次いでイメージが、図4Bのものから図4Cのものに、延伸比の平方根の因数によって、高さおよび幅寸法の各々において拡大されることにより変換される。従って、図4Cのイメージは、図4Aのイメージのものと同じ面積を有する。次いで、図4Aおよび図4Cのイメージが、重畳されると共に、重なり面積最大位置が見つかるまでそれらの共通ベースラインに沿って移動される。これが図4Dに示されている。この図の共通面積(オリジナル特徴イメージおよびコンピュータ的に処理された特徴イメージの両方に共通する、クロスハッチングされた面積)が算出され、およびこの面積対図4Aのイメージの面積の比が算出される。この値が、所与の特徴形状および延伸比についての、理想テンターについての共通面積比(CARIT)である。この計算は、CARITが非延伸特徴形状および利用された延伸比の両方の強い関数であるため、各フィルム試験片について独立に行われなければならないことが理解されるであろう。
【0058】
最後に、SRPが以下の式を用いて算出される。
【0059】
SRP=(CAR−CARIT)/(1−CARIT)
【0060】
完全形状保持性について、SRPは一である。「理想」テンターで延伸された仮定的フィルムの場合については、CARは、CARITと等しく、およびSRPはゼロである。従って、SRPは、構造化表面を有するフィルムが、一方の極限である完全形状保持性から、他方の極限である、典型的な産業的実施に特徴的な選択された参照点までのどこに位置されるかを、連続的に、比例的に示す尺度である。1.00に極めて近いSRPを有するフィルムは極めて高い程度の形状保持性を示す。0.00に極めて近いSRPを有するフィルムは、利用された特徴形状および延伸比について低い程度の形状保持性を示す。本発明においては、フィルムは、少なくとも0.1のSRPを有する。
【0061】
標準フィルムテンターで、または他の手段により製造されたフィルムは、上述のとおり、可能性のある多数の非理想性のためゼロ未満のSRP値を有し得るであろうことは、当業者により理解されるであろう。「理想テンター」は、もたらされることができる、可能性のある最悪の形状保持性を意味するものではない。むしろ、異なるフィルムを共通のスケールで比較するために有用である参照点である。
【0062】
本発明の一実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.1〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.5〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.7〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.9〜1.00のSRPの値を有する。
【0063】
本発明の他の態様においては、フィルムは一軸配向を備えている。一軸配向は、第1の面内軸(n1)に沿ったフィルムの屈折率、第2の面内軸(n2)に沿った屈折率、および第3の軸(n3)に沿った屈折率の差を測定することにより計測され得る。本発明の一軸配向フィルムはn1≠n2およびn1≠n3を有する。本発明のフィルムは、真に一軸配向であることが好ましい。すなわち、n2およびn3は、実質的に、相互に等しく、およびn1との差において相対的である。
【0064】
本発明のさらに他の実施形態において、フィルムは0.3以下の相対的複屈折を有する。他の実施形態において、相対的複屈折は0.2未満でありおよびさらなる他の実施形態においては0.1未満である。相対的複屈折は、以下の式から決定される絶対値である。
【0065】
|n2−n3|/|n1−(n2+n3)/2|
【0066】
相対的複屈折は、可視スペクトルまたは近赤外スペクトルの一方で計測され得る。いずれかの所与の計測値について、同一の波長が用いられるべきである。一方のスペクトルのいずれかの部分における0.3の相対的複屈折がこのテストを満たすのに十分である。
【0067】
本発明のフィルムは、細長い構造であり得る角柱状またはレンズ状特徴の少なくとも1つを含む。構造は、好ましくは、フィルムの第1の面内軸に全体が平行である。図2に示されているとおり、構造化表面は一連の角柱16を含む。しかしながら、他の幾何学的特徴およびこれらの組み合わせが用いられ得る。例えば、図3Aは、幾何学的特徴が、尖部を有している必要がなく、かつ、ベースにおいて相互に接触している必要もないことを示している。
【0068】
図3Bは、幾何学的特徴が丸みのある頂部および湾曲したファセットを有し得ることを示している。図3Cは、幾何学的特徴の頂部が平坦であり得ることを示している。
【0069】
図3Dは、フィルムの対向する表面の両方が構造化表面を有し得ることを示している。
【0070】
図5A〜図5Wは、構造化表面を提供するために用いられ得る他の断面形状を現している。これらの図は、幾何学的特徴が、窪み(図5A〜図5Iおよび図5Tを参照のこと)または突起(図5J〜図5Sおよび図5U〜図5Wを参照のこと)を含み得ることをさらに表している。特徴が窪みを含む場合には、図3Cに示されるとおり、窪みの間の隆起したエリアは突起−タイプの特徴と見なし得る。
【0071】
種々の特徴の実施形態は、所望の結果を達成するよういずれかの方策で組み合わされ得る。例えば水平面が、ラジアス形または平坦な頂部を有する特徴を分離し得る。しかも、これらの特徴のいずれかにおいて湾曲した表面が用いられ得る。
【0072】
図から見ることができるように、特徴はいかなる所望の幾何学的形状を有し得る。これらはフィルムのz軸について、対称または非対称であり得る。しかも、構造化表面は、単一の特徴、所望のパターンの複数の同一の特徴、または所望のパターンに配設された2つ以上の特徴の組み合わせを含み得る。追加で、高さおよび/または幅などの特徴の寸法は、構造化表面にわたって同一であり得る。または、これらは特徴毎に異なっていてもよい。
【0073】
図2に図示された微小構造幾何学的特徴は、直角角柱を含むか、またはほぼ直角角柱である。本願明細書において用いるところでは、直角角柱は、約70°〜約120°、好ましくは約80°〜100°、最も好ましくは約90°の頂角を有する。さらに、微小構造特徴の面は平坦であるか、またはほぼ平坦な表面である。
【0074】
他の実施形態において、微小構造幾何学的特徴は鋸刃状角柱を含む。本願明細書において用いるところ、鋸刃状角柱は、ランドまたは本体とおよそ90°の角度をなす垂直な、または垂直に近い側面を有する。図5Jを参照のこと。一つの有用な実施形態において、鋸刃状角柱は2°〜15°のランドまたは本体からの傾斜角を有し得る。
【0075】
特徴が、第1の面内軸に沿って、連続的または断続的のいずれかであり得ることもまた本発明の範囲内である。
【0076】
本発明のフィルムの種々の実施形態は、図2および図3Aに規定されるとおり、以下の寸法関係を含む。
【0077】
本発明のプロセスは、一般に、延伸および続くフィルムの一軸延伸により伸長されることができる、構造化表面高分子フィルムを提供する工程を含む。構造化表面は、フィルムの形成と同時に設けられ得るか、またはフィルムの形成の後に第1の表面に付与され得る。図6および7を参照してプロセスをさらに説明する。
【0078】
図6は、本発明による方法の概略図である。方法において、フィルムの所望の構造化表面のネガティブ版を含むツール24が提供され、これが、ダイ28のオリフィス(図示せず)を通って駆動ロール26Aおよび26Bの手段により推進される。ダイ28は、ここでは、ペレット、粉末等の形態で乾燥高分子樹脂を受けるためのフィードホッパー32を有するエクストルーダ30を含む溶融系の排出点を含む。溶融樹脂はツール24上にダイ28から排出される。ダイ28およびツール24の間に間隙33が設けられている。溶融樹脂はツール24に接触すると共に硬化して高分子フィルム34を形成する。次いで、フィルム34の前縁がストリッパロール36でツール24から除去され、および一軸延伸装置38に向けられる。次いで、延伸フィルムは、ステーション40で連続ロールに巻かれ得る。
【0079】
フィルム34はロールに巻かれてもよく、またはシートに切断されて装置38において延伸されるまで積み重ねられてもよいことに注目すべきである。フィルム34は延伸後に、連続ロールに巻かれるのではなくシートに切断されてもよいこともまた注目すべきである。
【0080】
フィルム34は、任意に、一軸延伸前に前処理され得る(図示せず)。追加で、フィルム34は、延伸後に後処理され得る(図示せず)。
【0081】
構造化表面をフィルムに付与するために多様な技術が用いられ得る。これらはバッチおよび連続技術を包含する。これらは、所望の構造化表面のネガティブである表面を有するツールを提供する工程と、所望の構造化表面のポジティブ版を高分子フィルムに形成するに十分な条件下で一定の時間、高分子フィルムの少なくとも1つの表面をツールに接触させる工程と、および構造化表面を有する高分子フィルムをツールから除去する工程とを包含し得る。
【0082】
ダイ28およびツール24が相互に垂直配置で示されているが、水平配置または他の配置もまた利用し得る。特定の配置にかかわらず、ダイ28は溶融樹脂を間隙33でツール24に供給する。
【0083】
ダイ28は、ツール24に向って移動することが許容される形で搭載されている。これは、間隙33を所望の空隙に調整することを可能としている。間隙33のサイズは、当業者により理解されるであろうとおり、溶融樹脂の組成、所望の本体厚さ、その粘度、その粘弾性反応、およびほとんど完全にツールを溶融樹脂で充填するために必要な圧力を決定要因とする。
【0084】
溶融樹脂は、任意に、適用される吸引、圧力、温度、超音波振動または機械的手段で、好ましくはツール24のキャビティに実質的に充填されるような粘度のものである。樹脂が実質的にツール24のキャビティを充填した場合、得られるフィルムの構造化表面が複製されたと称される。
【0085】
ツールのネガティブ表面は、フィルムの幅にわたって(すなわち、横(TD)方向)、またはフィルムの長さに沿って(すなわち、縦(MD)方向に沿って)特徴を形成するために位置されていることができる。TDまたはMD方向との完全な整列は要求されない。従って、ツールは、完全な整列からわずかに角度がずれていてもよい。典型的には、この整列は約20°以下である。
【0086】
樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、典型的には固体としてフィードホッパー32に供給される。十分なエネルギーがエクストルーダ30に供給されて、固体樹脂が溶融塊に転換される。ツールは、典型的には、加熱された駆動ロール26A上を通過することにより加熱される。駆動ロール26Aは、例えばその中に高温オイルを循環させることにより、または誘電的に加熱することにより加熱され得る。ツール24の温度は、典型的には樹脂の軟化点より20℃低温から樹脂の分解温度である。
【0087】
部分的に重合された樹脂を包含する重合性樹脂の場合、樹脂は、ダイ28へ供給するディスペンサへ直接的に注入またはポンプされ得る。樹脂が反応性樹脂である場合、本発明の方法は、樹脂を硬化させる1つ以上の追加の工程を包含し得る。例えば、樹脂は、紫外光、赤外線、電子ビーム放射、可視光等などの化学線などの好適な放射エネルギー源に、樹脂を硬化させるに十分な時間露出させることにより硬化され、およびツール24から除去される。
【0088】
溶融フィルムは、多様な方法により冷却されて、さらなる処理のためにフィルムを硬化されることができる。これらの方法としては、押出し樹脂への水の噴霧、冷却ロールを備えるツールの非構造化表面を接触させること、または空気のフィルムへの直接的な吹付けが挙げられる。
【0089】
前述の考察はフィルムおよび構造化表面の同時の形成に集中していた。本発明において有用である他の技術は、ツールを、予め形成されたフィルムの第1の表面に接触させる工程を含む。次いで、フィルム/ツールの組み合わせに圧力、熱または圧力および熱が、フィルムに所望の構造化表面が形成されるまで適用される。続いて、フィルムが冷却されおよびツールから除去される。
【0090】
さらに他の技術においては、予め形成されたフィルムは、所望の構造化表面を形成するために、ダイアモンド旋削などによって機械加工され得る。
【0091】
構造化表面の形成にツールが用いられる場合、構造化表面フィルムのツールからの除去を促進するために離型剤が用いられ得る。離型剤は、薄層としてツールの表面またはフィルムの表面に適用される材料であり得る。または、離型剤はポリマーに組み込まれる添加剤を構成し得る。
【0092】
広く多様な材料が離型剤として用いられ得る。有用な材料の一クラスは、油およびワックスおよびシリコーンなどの有機材料と、ポリテトラフルオロエチレンから形成されるものなどの高分子離型コーティングとを含む。特に有用な離型剤の他のクラスは、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む。これらの材料は金属およびメタロイド表面に化学的に結合すると見出されたばかりではなく、例えば、離型性および/または腐食防止特徴をもこれらの表面に付与する。これらの化合物は、金属またはメタロイド表面(ツールなどの)に結合することができる頭部基と、被離型材料から適当に異なる極性および/または官能性の尾部分を有するとして特性づけられる。これらの化合物は、単層である、または実質的に単層である耐久性の、自己組織化フィルムを形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールとしては以下の式を有するものが挙げられる。
【0093】
【化1】
【0094】
式中、RfはCnF2n+l−(CH2)m−であり、ここで、nは1〜22の整数であり、およびmは0、または1〜6の整数であり;Xは−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり;Yは−CH2−であり、ここでzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキルまたはRf−X−Yz−(ただし、Xが−S−、または−O−であるとき、mは0、およびzが0、nが≧7であり、ならびにXが共有結合である場合、mまたはzは少なくとも1である)である。好ましくは、n+mは8〜20の整数に等しい。
【0095】
フルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物の離型剤として用いられるために特に有用なクラスは、以下の式を有する1つ以上の化合物を含む。
【0096】
【化2】
【0097】
式中、RfはCnF2n+l−(CH2)m−であり、ここで、nは1〜22であり、mは0または1〜6の整数であり;Xは−CO2−、−SO3−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり、およびqは0または1であり;YはC1〜C4アルキレンであり、およびzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキル、またはRf−X−Yzである。フルオロケミカルベンゾトリアゾールが、例えば、米国特許第6,376,065号明細書に記載されている。
【0098】
プロセスは、任意に、オーブンまたは他の装置を提供することなどの、延伸に先立つ前処理工程を包含し得る。前処理工程は、予熱ゾーンおよび加熱ゾーンを包含し得る。延伸比はまた、収縮を制御するためにその最大値から低減され得る。これは、「トーイン」として技術分野において公知である。
【0099】
プロセスは後処理工程をも包含し得る。例えば、フィルムが先ず熱処理されおよび続いて急冷される。
【0100】
一軸延伸は、従来のテンターまたは長さ配向機で生じさせることができる。フィルム処理技術の一般的な考察は、「フィルム処理(Film Processing)」、カナイトシタカ(Toshitaka Kanai)およびグレゴリーカンプベル(Gregory Campbell)編、1999年、チャプター1、2、3、および6に見出すことができる。「ポリマーフィルムの科学および技術(The Science and Technology of Polymer Films)」オービルJ.スィーティング(Orville J.Sweeting)編、1968年、第1巻、第365〜391頁および第471〜429頁もまた参照のこと。一軸延伸はまた、引張り試験機の顎部の間などの、多様なバッチ装置において達成されることができる。
【0101】
一軸延伸プロセスとしては、限定されないが、異なる速度で回転するローラの間での従来の「長さ配向」、テンターにおける従来のクロスウェブ延伸、国際公開第2002/096622 A1号パンフレットに開示されているものなどの放射線状−経路テンターにおける延伸、および引張り試験機の顎部の間での延伸が挙げられる。
【0102】
理想弾性材料については、3つの相互に直交する延伸比のうちの2つが同一である場合には一軸配向がもたらされるであろう。延伸時に顕著な密度変化を伴わない材料については、2つの実質的に同一な延伸比の各々が、第3の直交延伸比の逆数の平方根と実質的に等しくなるであろう。
【0103】
従来のテンターにおいて延伸されたフィルムは、一軸配向であっても、一軸延伸されていたとしても真に一軸配向ではない。これは、フィルムはテンター中の移動方向の軸に沿って自由に収縮することができないが、厚さ方向には自由に収縮することができるからである。国際公開第2002/096622 A1号パンフレットに開示されているものなどの放射線状−経路テンターにおいて延伸されたフィルムは、放射線状経路がテンター中の移動軸に沿った適切な量のフィルムの縮小を許容するため、一軸延伸されていると共に、および真に一軸配向されている。放射線状−経路テンター以外のプロセスもまた真の一軸配向を提供し得、およびコンセプトは、利用されるプロセスによって制限されることを意味しない。
【0104】
真の一軸配向はまた、延伸の全履歴中にわたって一軸条件下でフィルムを延伸するこれらのプロセスに限定されない。一軸延伸からの偏差は、延伸工程の種々の部分にわたって、一定の許容範囲内に維持されることが好ましい。しかしながら、延伸プロセスの早期における一軸性からの偏差が延伸プロセスにおけるその後において補償されるプロセスであって、得られるフィルムにおいて真の一軸性が達成されるものもまた、本発明の範囲に包含される。
【0105】
本願明細書において、テンター延伸装置の、フィルム縁部を把持する把持手段による移動経路、および従って、フィルムの縁部によってテンターを移動する際にトレースされる経路は境界軌道と称される。三次元的でおよび実質的に非平面状である境界軌道を提供することは本発明の範囲内である。フィルムは、単一のユークリッド平面内にない境界軌道である面外境界軌道を用いて面外延伸され得る。
【0106】
真の一軸性には要求されないが、放射線状−経路テンタープロセスにおいては、フィルムは面内で延伸されることが好ましい。TD、主延伸方向に沿って延伸された直線が、延伸後も実質的にまっすぐであり続けることが好ましい。フィルムの従来のテンタープロセスにおいて、これは典型的な事例ではなく、およびこのように延伸された線は相当な曲がりまたは「反り」を受ける。
【0107】
境界軌道は、必要ではないが、中央面を通る鏡像を形成する対称であり得る。この中央面は、フィルムが移動する初期方向にベクトルを通過し、および境界軌道の間の初期中央面を通過する面であり、および非延伸フィルムの表面に鉛直なベクトルが延伸装置に供される。
【0108】
他のフィルム延伸プロセスのように、放射線状−経路テンターは、フィルムの均一な空間的な引張りが延伸プロセス中にわたって維持されるような条件の選択から利益を受ける。フィルムの良好な空間的均一性は、非延伸フィルムまたはウェブのウェブ横およびウェブ下り厚さ分布の注意深い制御、およびウェブの延伸中にわたる温度分布の注意深い制御で多数の高分子系について達成され得る。多数の高分子系は、非均一性に対して特に感受性であり、キャリパーおよび温度均一性が不十分であれば、非均一な方法で延伸するであろう。例えば、ポリプロピレンは、一軸延伸下で「直線延伸」する傾向にある。一定のポリエステル、特にポリエチレンナフタレートもまた極めて感受性である。
【0109】
どちらの延伸技術を利用しても、幾何学的特徴の形状保持性が望ましい場合には、延伸は第1の面内軸に対して実質的に平行に実施されるべきである。延伸が第1の面内軸に対してより平行であるだけ、達成される形状保持性が良好となることが見出された。良好な形状保持性は、厳密な平行からの偏差が20°以下である場合に達成されることができる。この偏差が厳密な平行から10°以下である場合に、より良好な形状保持性が達成される。偏差が平行から5°以下である場合に、さらに良好な形状保持性が達成される。
【0110】
放射線状延伸工程はまた、一軸延伸からの偏差を、延伸工程の種々の部分にわたって一定の許容範囲内に維持することができる。さらに、延伸の初期の部分において面外にフィルムの部分が変形しても、延伸の最終部分中に面内にフィルムを戻してこれらの条件を維持することができる。
【0111】
延伸の全履歴にわたって維持された真の一軸交差延伸において、瞬間縦方向延伸比(MDDR)は、密度変化について修正された、交差方向延伸比(TDDR)の逆数の平方根にほぼ等しい。上述のとおり、フィルムは、面外境界軌道、すなわち単一のユークリッド平面内にない境界軌道を用いて面外延伸され得る。本発明のこの実施形態の関係要求を満たす、無数の、しかしながらそれにもかかわらず特定の境界軌道が在り、従って実質的に一軸延伸履歴が面外境界軌道を用いて維持され得る。
【0112】
延伸に続いて、フィルムは、所望の場合には加熱および急冷され得る。
【0113】
ここで図7を参照すると、非延伸構造化表面フィルム34は、それぞれフィルムの厚さ、幅、および長さを示す、寸法T、WおよびLを有する。フィルム34が因数ラムダ(λ)によって延伸された後、延伸フィルム35は、それぞれフィルムの延伸された厚さ、延伸された幅、および延伸された長さを示す寸法T’、W’、およびL’を有する。この延伸は、一軸性特質を延伸フィルム35に付与する。
【0114】
第1の面内軸、第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比の間の関係は、繊維シンメトリー、および従って延伸フィルムの一軸配向の指標である。本発明においては、フィルムは、少なくとも1.1の第1の面内軸に沿った最小の延伸比を有する。好ましくは、第1の面内軸に沿った延伸比は少なくとも1.5である。本発明の他の実施形態において、延伸比は少なくとも1.7である。より好ましくは少なくとも3である。より高い延伸比もまた有用である。例えば、3〜10またはそれ以上の延伸比が本発明において有用である。
【0115】
第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比は、本発明では典型的には実質的に同一である。この実質的な同一性は、これらの相互の延伸比の相対比として最も簡便に表される。2つの延伸比が等しくなければ、その場合には、相対比は、これらの軸の一方に沿ったより大きい延伸比対他方の軸に沿ったより小さい延伸比である。好ましくは、相対比は1.4未満である。2つの比が等しい場合、相対比は1である。
【0116】
第1の面内方向に沿ったλの延伸比を有する真の一軸延伸の場合において、プロセスが、第2の面内軸および第3の軸に沿ったフィルムの厚さ方向において実質的に同一の比例寸法変化を形成する場合、厚さおよび幅は、同一の比例寸法変化で低減されることとなる。この場合において、KT/λ0.5およびKW/λ0.5によってこれはほぼ表され得、ここで、Kは延伸中の密度変化について考慮する換算因数を表す。理想的な事例においては、Kは1である。延伸中に密度が減少する場合、Kは1より大きい。延伸中に密度が増大する場合、Kは1未満である。
【0117】
本発明においては、最終厚さT’対フィルムの初期厚さTの比は、NDSR延伸比(NDSR)として定義され得る。MDSRは、延伸後のフィルムの部分の長さをその部分の初期長さで除したものとして定義され得る。例示の目的だけのために、図8におけるY’/Yを参照のこと。TDSRは、延伸後のフィルムの部分の幅をその部分の初期幅で除したものとして定義され得る。例示の目的だけのために、図8におけるX’/Xを参照のこと。
【0118】
第1の面内方向は、MD(例えば、長さ配向の事例において)またはTD(例えば、放射線状テンターの事例において)と一致し得る。他の例においては、連続的ウェブでなくむしろシートが、いわゆるバッチテンタープロセスにおいてはテンターに供給される。このプロセスは米国特許第6,609,795号明細書に記載されている。この場合、第1の面内方向または軸はTDと一致する。
【0119】
本発明は、一般に、一軸性の特徴が望まれる、多数の異なる構造化表面フィルム、材料およびプロセスに適用可能である。本発明のプロセスは、微小構造化表面を有する高分子フィルムの製造に特に適当であると考えられており、ここでは、処理中にフィルムが延伸されるときに、フィルムに用いられる材料の粘弾性特徴が利用されて、材料において誘起された分子配向(ある場合には)の量が制御される。向上は、1つ以上の向上した光学性能、増強された寸法安定性、よりよい加工性等を包含する。
【0120】
普通、本発明において用いられるポリマーは、結晶性、半結晶性、液晶性または非晶質ポリマーまたはコポリマーであり得る。ポリマー技術分野においては、ポリマーは、典型的には、完全に結晶性ではないと一般に認識されており、従って、本発明のコンテクストにおいては、結晶性または半結晶性ポリマーは非晶質ではないポリマーを指すと共に、部分結晶性、半結晶性等の、通例結晶性として称されるこれらの材料のいずれかを含むことが理解されるべきである。液晶ポリマーはまた、度々剛性−ロッドポリマーとして称され、技術分野において三次元的結晶性秩序から異なるいくらかの形態の長距離秩序を備えていると理解されている。
【0121】
本発明においては、フィルム形態へ溶融加工性または硬化性の一方であるいずれかのポリマーが用いられ得ることが予期される。これらとしては、限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、および以下の族からポリマーへさらに処理することができるオリゴマーであって:ポリエステル(例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンビ安息香酸、ポリアルキレンナフタレート(例えばポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)およびポリブチレンナフタレート(PBN)およびその異性体)、および液晶ポリエステル);ポリアリレート;ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド(例えばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、およびポリアミド612、芳香族ポリアミドおよびポリフタルアミド);ポリエーテル−アミド;ポリアミド−イミド;ポリイミド(例えば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド);ポリエーテルイミド;ポリオレフィンまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン);サーリン(Surlyn)(登録商標)(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Del.)から入手可能)などのアイオノマー;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、およびポリブチルアクリレート);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−alt−クロロトリフルオロエチレン)、およびTHV(登録商標)(3M Co.));塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(例えば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー);いずれかの立体規則性のポリスチレン(例えば、アタクチックポリスチレン、イソタクチックポリスチレンおよびシンジオタクチックポリスチレン)およびいずれかの立体規則性の環状−または鎖状−置換ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、およびシンジオタクチックポリジクロロスチレン);いずれかのこれらのスチレン系材料のコポリマーおよびブレンド(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシドおよびポリオキシメチレン);セルロース系材料(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、および硝酸セルロース);硫黄含有ポリマー(例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、およびポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、およびポリウレタンを挙げ得る。2つ以上のポリマーまたはコポリマーのブレンドまたはアロイもまた用いられ得る。
【0122】
いくつかの実施形態においては、半結晶性熱可塑性が用いられ得る。半結晶性熱可塑性の一例は半結晶性ポリエステルである。半結晶性ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むポリマーは、本発明における望ましい特性の多数を有していることが見出されている。
【0123】
ポリエステルに用いられるための好適なモノマーおよびコモノマーは、ジオールまたはジカルボン酸またはエステルタイプのものであり得る。ジカルボン酸コモノマーとしては、限定されないが、テレフタル酸;イソフタル酸;フタル酸;すべてのナフタレンジカルボン酸異性体(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−);4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、t−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸(2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸など)、他の置換芳香族ジカルボン酸(第3級ブチルイソフタル酸およびナトリウムスルホン化イソフタル酸など)、シクロアルカンジカルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体など)および2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体などのビベンゾイック酸;二環式−または多環式−ジカルボン酸(種々のノルボルナン異性体およびノルボルネン異性体ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、およびビシクロ−オクタンジカルボン酸など);アルカンジカルボン酸(セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、およびドデカンジカルボン酸など);および縮合環芳香族炭化水素のジカルボン酸異性体のいずれか(インデン、アントラセン、フェネアントラセン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレン等など)が挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルカンまたはシクロアルカンジカルボン酸が用いられ得る。または、ジメチルテレフタレートなどのこれらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステルが、ジカルボン酸自体の代わりにまたは組み合わせて用いられ得る。
【0124】
好適なジオールコモノマーとしては、限定されないが、直鎖または分岐アルカンジオールまたはグリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコールなどのプロパンジオール、テトラメチレングリコールなどのブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよび高級ジオールなど)、エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールなどの)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートなどの鎖状−エステルジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体および1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体シクロアルカングリコール、二環式−または多環式ジオール(種々のトリシクロデカンジメタノール異性体、ノルボルネンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、およびビシクロ−オクタンジメタノールなど)、芳香族グリコール(1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールAなどのビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、および1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体など)、およびジメチルまたはジエチルジオールなどのこれらのジオールの低級アルキルエーテルまたはジエーテルが挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルキルおよびシクロアルケニルジオールが用いられ得る。
【0125】
ポリエステル分子への分岐構造の付与に役立つことができるトリ−または多官能コモノマーもまた用いることができる。これらは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシまたはエーテルのいずれかのタイプであり得る。例としては、限定されないが、トリメリト酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられる。
【0126】
コモノマーとしても好適なものは、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびそれらの異性体などのヒドロキシカルボン酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等などの混合官能基のトリ−または多官能コモノマーを包含する混合官能基のモノマーである。
【0127】
好適なポリエステルコポリマーとしては、PENのコポリマー(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸のコポリマー、またはそれらのエステルであって、(a)テレフタル酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)、およびポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(テレフタル酸のコポリマーまたはそのエステルであって、(a)ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)が挙げられる。記載のコポリエステルはまた、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである、少なくとも1種の成分が1種のポリエステルベースのポリマーであり、および他の成分または複数の成分が他のポリエステルまたはポリカーボネートであるペレットのブレンドであり得る。
【0128】
本発明のフィルムはまた、高分子粒子を連続高分子マトリックスまたは相の二−連続マトリックス中に含む分散相を含有し得る。代わりに、本発明実施形態において、分散相は多層フィルムの層の1つ以上に存在し得る。用いられる高分子粒子のレベルは本発明に重大ではなく、最終物品が意図している目的を達成するよう選択される。ポリマー粒子のレベルおよびタイプに影響し得る要因としては、粒子のアスペクト比、マトリックス中の粒子の寸法整列、粒子の体積率、構造化表面フィルムの厚さ等が挙げられる。典型的には、ポリマー粒子は、上述のものと同一のポリマーから選択される。
【0129】
本発明により製造されるフィルムは、タイヤコード、ろ過媒体、テープバッキング、皮膚用清拭布などの拭布、微小流体フィルム、ぼかしフィルタ、偏光子、反射型偏光子、ダイクロイック偏光子、直線反射型/ダイクロイック偏光子、吸収性偏光子、位相差板(z軸位相差板)、回折格子、偏光ビームスプリッタおよび偏光回折格子を含む広く多様な製品に有用であり得る。フィルムは、それ自体特定のエレメントを構成し得、またはこれらは、タイヤ、フィルタ、接着テープ、例えば前面および背面投影システム用のビームスプリッタ他のエレメントにおける部品として、またはディスプレイまたはマイクロディスプレイにおいて用いられる輝度上昇フィルムとして用いられることができる。
【0130】
上記の記載において、エレメントの位置が「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上部」および「底部」の用語で度々記載されてきた。これらの用語は、図面に図示されたものなどの本発明の種々のエレメントの説明を簡潔化するために、単に用いられている。本発明のエレメントの有用な配向にどのようにも限定をすると理解されるべきではない。
【0131】
従って、本発明は、上述の特定の例に限定されると考慮されるべきではなく、むしろ、適切に特許請求の範囲に規定されているとおり、本発明のすべての態様を包含すると理解すべきである。本発明に適用され得る種々の改良、均等物、ならびに数多くの構造は、本発明が本明細書のレビューの対象とする当業者に直ちに明らかであろう。特許請求の範囲は、このような改良および装置を包含することを意図している。
【実施例】
【0132】
実施例1
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)をこの実施例において用いた。
【0133】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下でエクストルーダホッパーの押出し型材に充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを232℃から282℃に昇温させながら、および282℃に設定したダイまで溶融系を続けさせてPETを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0134】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含んでいた。三角形は鋸刃状パターンを形成していた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング方向または縦方向(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベノトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0135】
【化3】
【0136】
米国特許第6,376,065号明細書に開示されているとおり、式中、RfはC8F17であり、およびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均92℃であった。
【0137】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.37×106Pa(1070psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約510ミクロンであった。
【0138】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。顕微鏡を用いて断面を検証して、角柱状構造が、フィルムの表面上で、およそ85°の頂角、フィルムランドの水平面から三角形の一辺について20°の傾斜および垂直面から反対の辺について15°の傾きを有することを特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、44ミクロンの底部幅(BW)および19ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。
【0139】
構造化キャストフィルムを、10:7(溝に沿って:溝に直角に)のアスペクト比のシートに切り取り、プレナムで計測される約100℃に予熱し、およびほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて、6.4の公称延伸比まで延伸し、ならびに直ちに6.3の延伸比に緩和させた。すなわち個別のシートを、従来の連続的操作フィルムテンターに供給した。6.4から6.3への緩和は、最終フィルムにおける収縮を制御するための延伸温度で達成される。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって16.5ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、5.0ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、180ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.672、1.549および1.547と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.016であった。
【0140】
実施例2
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を、この実施例で用いた。
【0141】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PETを、エクストルーダ内の約282℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および282℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0142】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0143】
【化4】
【0144】
式中、RfはC4F9であり、およびRは−(CH2)6−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均98℃であった。
【0145】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.92×106Pa(1150psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0146】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.4ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは、触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、99%の算出充填率を導き出した。
【0147】
構造化フィルムは、実施例1と同様の方策で延伸されることができる。
【0148】
実施例3
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)を反応容器内で形成した。
【0149】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0150】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0151】
【化5】
【0152】
式中、RfはC8F17であり、およびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均144℃であった。
【0153】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は5.51×106Pa(800psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0154】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えたKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.3ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0155】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、プレナムで計測される公証165℃に予熱し、およびこの温度で、25秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0156】
表1は、キャストフィルムの中心からの種々の距離での延伸の効果を示す。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例4
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)反応容器内で形成した。
【0159】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0160】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0161】
【化6】
【0162】
米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC8F17でありおよびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均153℃であった。
【0163】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.13×106Pa(600psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0164】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0165】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸させた。フィルムを、公証158℃に予熱し、この温度で、90秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0166】
キャストフィルム上において用いたものと同一の接触プロフィロメトリを用いて延伸フィルムを計測した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって22ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、8.5ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、約220ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.790、1.577および1.554と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.10であった。
【0167】
プロフィロメトリデータを用いて、見かけ上の断面積の比は、延伸および配向における密度変化について補正されていない、6.4の延伸比の計測推測値をもたらす。この6.4の値を延伸比およびプロフィロメトリデータについて用いて、形状保持パラメータを0.94と算出した。
【0168】
実施例5
カルボキシレート(テレフタレートおよびナフタレート)部位(サブユニット)比によって測定される40mol%ポリエチレンテレフタレート(PET)および60mol%ポリエチレンナフタレート特徴を含むコ−ポリマー(いわゆる40/60coPEN)を反応容器内で形成した。内部粘度(I.V.)は約0.5であった。
【0169】
40/60coPEN樹脂ペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを285℃から277℃に降温させながら、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続させて40/60coPENを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0170】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0171】
【化7】
【0172】
米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC4F9であり、およびRは−(CH2)6−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均102℃であった。
【0173】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.23×106Pa(614psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約560ミクロンであった。
【0174】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、49.9ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0175】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、実験用延伸器を用いて延伸した。フィルムを103℃まで60秒予熱し、およびこの温度で、20秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.758、1.553および1.551と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.0097であった。
【0176】
実施例6
米国特許出願公開第2004/0227994 A1号明細書の実施例1〜4に記載の方法により形成した多層光学フィルムをキャストし、および保護ポリプロピレン表層を除去した。用いた低指数ポリマーは、co−PETであった。
【0177】
多層光学フィルムをシートに切り取り、および60℃で最低2時間でオーブン中で乾燥した。プラテンを115℃に加熱した。厚紙シート、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、剥離ライナ、ニッケル微小構造ツール、多層光学フィルム、剥離ライナ、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、および厚紙シートの順番で、フィルムを層構造に積み重ねた。構造物をプラテンの間に置き、および閉じた。1.38×105Pa(20psi)の圧力を60秒維持した。
【0178】
ニッケル微小構造ツールの構造化表面は、90°頂角、10ミクロンの底部幅(BW)および約5ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含む。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。
【0179】
エンボスシートを10:7(溝の横断方向に沿って)のアスペクト比に切り取った。構造化多層光学フィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、ほとんど100℃まで予熱し、およそ6の延伸比に約20秒にわたって延伸し、および次いで延伸を、テンター中において延伸温度にある状態で約10%緩和させて、フィルムにおける収縮を制御した。構造化高さを含むフィルム(T’)の最終厚さは、150ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.699、1.537および1.534と計測した。この延伸材料の断面における複屈折は、従って0.018であった。
【0180】
実施例7
配向、微小複製構造を以下のとおり構成した。125ミクロンピッチでの90°角柱状の溝を、キャストPEN(ポリエーテルナフタレン)の0.010インチ厚のフィルムに、125℃で4分間での圧縮成形によりエンボス加工した。ツール構造化フィルムを氷水で急冷した。フィルムを除去しおよび乾燥させた後、次いで、このフィルムを、溝の長軸に沿って128℃で5×一軸延伸した。これは5%の横方向収縮をもたらし、およそ62ミクロンの最終ピッチが得られた。屈折率は、配向軸に沿って1.84および交差方向に1.53と計測された。屈折率は、フィルムの平坦な裏面で、メトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を632.8nmの波長で用いて計測した。
【0181】
配向微小構造化フィルムの一片を、続いて、等方性屈折率1.593を有するUV硬化性アクリレート樹脂を用いて、構造化表面がスライドに対向するようガラス顕微鏡スライドに粘着させた。アクリレート樹脂を、UVチャンバを通すマルチパス(樹脂の完全な硬化を保証するため各面について3回)によって硬化させた。
【0182】
ヘリウム−ネオンレーザビームを、スライドに装着された配向構造化フィルムに通過させた。HeNeレーザを、グラントンプソン偏光子を通すことにより均一な直線偏光に偏光した。常光線(o光線)を極わずかな分離角で構造を通過させた。ここで、0級発散の半角は、およそ2°であると見出された。次いで、レーザビームを90°回転させて直交偏光(e光線)とするために、グラントンプソンの直後に半波長プレートを挿入した。0級ビームは、およそ8°の発散半角、またはo光線の4×発散を示した。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明において有用な前駆体フィルムの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態フィルムの断面図である。
【図3A】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3B】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3C】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3D】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図4A】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4B】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4C】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4D】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図5A】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5B】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5C】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5D】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5E】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5F】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5G】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5H】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5I】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5J】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5K】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5L】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5M】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5N】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5O】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5P】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5Q】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5R】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5S】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5T】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5U】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5V】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5W】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図6】本発明によるプロセスを示す概略図である。
【図7】延伸後のフィルムが一軸配向である構造表面フィルムの、延伸プロセスの前および後の両方を示す斜視図である。
【図8】縦方向(MD)、法線方向すなわち厚さ方向(ND)、交差方向(TD)の座標軸も示す、本発明によるフィルムの一軸延伸の方法を示す概略図である。
【図9】さまざまな断面寸法の構造化表面を有する本発明の物品の端面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を有する、高分子フィルムなどの一軸延伸物品およびこのような物品の製造プロセスに関する。構造化表面は、所望の断面を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。
【背景技術】
【0002】
構造化表面を有する光学物品およびこのような物品を提供するためのプロセスが公知である。例えば、米国特許第6,096,247号明細書および同6,808,658号明細書、および米国特許出願公開第2002/0154406 A1号明細書を参照のこと。これらの文献に開示されている構造化表面は、微小角柱(微小立方体などの)およびレンズを包含する。典型的にはこれらの構造は、例えばエンボス加工、押出し成形または切削により好適なポリマーの表面に作られている。
【0003】
構造化表面を有する複屈折性物品もまた公知である。例えば、米国特許第3,213,753号明細書、同4,446,305号明細書、同4,520,189号明細書、同4,521,588号明細書、同4,525,413号明細書、同4,799,131号明細書、同5,056,030号明細書、同5,175,030号明細書ならびに国際公開第2003/0058383 A1号パンフレットおよび国際公開第2004/062904 A1号パンフレットを参照のこと。
【0004】
延伸フィルムの製造プロセスもまた公知である。このようなプロセスは、典型的には、フィルムの機械的および物理特性を向上させるために利用される。これらのプロセスは、二軸延伸技術および一軸延伸技術を含む。例えば国際公開第00/29197号パンフレット、米国特許第2,618,012号明細書、同2,988,772号明細書、同3,502,766号明細書、同3,807,004号明細書、同3,890,421号明細書、同4,330,499号明細書、同4,434,128号明細書、同4,349,500号明細書、同4,525,317号明細書および同4,853,602号明細書を参照のこと。米国特許第4,862,564号明細書、同5,826,314号明細書、同5,882,774号明細書、同5,962,114号明細書および同5,965,247号明細書もまた参照のこと。特開平5−11114号公報、特開平5−288931号公報、特開平5−288932号公報、特開平6−27321号公報および特開平6−34815号公報もまた参照のこと。フィルムの延伸プロセスを開示するさらなる他の日本公開公報としては、特開平5−241021号公報、特開平6−51116号公報、特開平6−51119号公報、および特開平5−11113号公報が挙げられる。国際公開第2002/096622 A1号パンフレットもまた参照のこと。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、構造化表面を有するフィルム、これから製造される物品、および新規なその生産プロセスを提供する。構造化表面は、所望の断面形状を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む。本発明の物品の一実施形態は、構造化表面を有するフィルムを含む。本発明の一態様は、一軸配向、好ましくは真の一軸配向をその厚さ全体にわたって有する物品を含む。構造化表面は、複数の幾何学的特徴を含み得る。幾何学的特徴または複数の特徴は細長くてもよい。特徴または複数の特徴は、物品の第1の面内軸と実質的に整列されている。本発明の物品は、その上に構造化表面を有するランドまたは本体部分を含む。物品は、単一層または複数の個別の層を含み得る。本発明の物品は、その反対の側面に構造化表面を有し得る。層は、異なる高分子材料を含み得る。物品は、正にまたは負に複屈折性であり得る。
【0006】
本発明の物品の一実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
フィルムが少なくとも0.1の形状保持パラメータ(SRP)を有する一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。
【0007】
本発明の他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
高分子フィルムが、第1の面内軸の方向に少なくとも1.5の延伸比を有し、および第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比の大きいもの対小さいものの比が1.4以下であり、ならびにフィルムが、本体の厚さおよび幾何学的特徴の全体にわたって同一の一軸配向を実質的に有する一軸配向フィルムを含む。
【0008】
本発明の物品のさらに他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
(a)本体の厚さ(Z’)対幾何学的特徴の高さの比(P’)が少なくとも約2であり、または(b)本体厚さ対特徴高さの比(Z’:P’)が少なくとも約1であると共に特徴高さ対特徴の離間距離の比(P’:FS’)が少なくとも約1であり、または(c)本体厚さ対特徴高さの比(Z’:P’)が少なくとも約1であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離の比(BW’:FS’)が少なくとも約1であり、または(d)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約3であり、または(e)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約1であると共に特徴高さ対特徴の離間距離(P’:FS’)の比が少なくとも約1であり、または(f)本体厚さ対特徴ベース幅の比(Z’:BW’)が少なくとも約1であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離(BW’:FS’)の比が少なくとも約1であり、または(g)特徴ベース幅対特徴上部幅の比(BW’:TW’)が少なくとも約2であると共に特徴ベース幅対特徴の離間距離の比(BW’:FS’)が少なくとも約1である一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態において、実質的に上記した本発明の物品は、少なくとも約3の本体の厚さ対特徴のベースの幅の比を有する。
【0010】
本発明の物品のさらに他の実施形態は、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に、高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴と
を含み、
配向高分子フィルムが、(i)第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)、(ii)第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)、および(iii)第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)を有し、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関して互いに実質的に等しい一軸配向構造化表面高分子フィルムを含む。本発明のこの実施形態の一態様において、高分子本体の厚さ対幾何学的特徴の高さの比が少なくとも約2である。
【0011】
本発明はまた、
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)高分子本体の第1の表面に配置された線形幾何学的特徴を含む表面部分であって、線形幾何学的特徴が高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に本体に配置されている表面部分と
を含む一軸配向構造化表面物品のロールを提供する。
【0012】
本発明の他の態様において、上記のロールは、第1の面内軸に沿って一軸配向である高分子フィルムを含む。さらに他の態様において、上記のロールは、ロールの個々の巻きの間に緩衝層をさらに含む。緩衝層は、生産、保管および輸送中の構造化表面の損傷および/または歪みからの保護を補助する。
【0013】
本発明において、幾何学的特徴は、角柱状またはレンズ状幾何学的特徴の一方であり得る。幾何学的特徴は、第1の面内軸に沿って連続的であっても、断続的であってもよく、マクロ−または微小特徴であってもよく、以下により完全に考察されるとおり、多様な断面プロファイルを有し得る。幾何学的特徴は、構造化表面上において、反復していても、反復していなくてもよい。すなわち、構造化表面は、同一の断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含み得る。または、構造化表面は、異なる断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含み得る。他の実施形態において、構造化表面は、周期的にまたは非周期的な方法のいずれかで配置され得る可算特徴の予め定められたパターンを含み得る。
【0014】
本発明のさらに他の態様において、物品は、第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、第3の面内軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する。本発明においては、n1は、n2およびn3の各々と≠である。すなわち、n1は、n2およびn3より大きくてもよく、n2およびn3未満であってもよい。好ましくは、n2およびn3は、互いに実質的に等しい。本発明のフィルムの相対的複屈折は、0.3以下であることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、多相フィルムを含み得る。この実施形態においては、フィルムは、多成分相分離系または、1種の成分が他に溶解されて、多孔性構造または連続マトリックスまたは両連続マトリックス中の極小粒子のいずれかを形成するものを含み得る。
【0016】
本発明はまた、微小構造化表面または第2の表面上の一方に追加の層を組み込み得る。本発明はまた、このような表面のいずれかまたは両方に、複数の追加の層を組み込み得る。追加の層は、延伸の前または後に追加することができる。追加の層が延伸前に追加される場合、追加の層は延伸可能であるべきである。このような層の例としては、限定されないが、反射防止層、屈折率整合層および保護層が挙げられる。
【0017】
真の一軸延伸は、追加の層が利用される場合、特に有用である。この場合、例えば、横方向に蓄積される応力が最小化されて、層間の接着の要因は重要性の少ない機能である。
【0018】
他の態様において、本発明は、第1および第2の直交面内軸およびフィルムの厚さ方向における第3の相互に直交する軸の座標系に関して定義される予め定められた特性を備える微小構造フィルムのロールを含む。例えば、幾何学的特徴は、ロールのラップの方向と整列することができ(すなわち、縦方向(MD)に沿って)、またはこれらは、ロールのラップの方向の交差方向に整列され得る(すなわち、横方向(TD)に沿って)。または、幾何学的構造は、MDまたはTD方向に対していずれかの所望の角度で整列され得る。
【0019】
本発明は、構造化表面フィルムの製造方法をさらに含む。一態様では、本発明の方法は、
(a)(i)所望の何学的特徴を含む第1の表面および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子フィルムを提供する工程と、これに続いて、
(b)高分子フィルムを、高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含み、
工程(b)前の幾何学的特徴の断面形状が、工程(b)の後も実質的に保持される。
【0020】
他の態様において、本発明は、
(a)(i)第1の構造化表面および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子フィルムを提供する工程であって、第1の構造化表面が、第1の面内軸に実質的に平行な方向に配置された幾何学的特徴を有する工程と、これに続いて、
(b)高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に高分子フィルムを一軸配向させる工程と
を含む構造化表面フィルムの製造方法を含む。
【0021】
さらに他の態様の本発明は、
(a)所望の構造化表面のネガティブを含むツールを提供する工程と、
(b)ツールと樹脂とを接触させて所望の表面を形成する工程であって、所望の構造表面が幾何学的特徴を含む工程と、
(c)任意により、樹脂を固化させて、(i)所望の構造化表面および反対の表面と(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および、フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有するフィルムを形成する工程と、
(d)ツールからフィルムを除去する工程と、これに続いて
(e)高分子フィルムを、高分子フィルムの第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含む構造化表面フィルムの製造方法を含む。
【0022】
本発明の他の実施形態は、複数の細長い幾何学的微小特徴を有する所望の微小構造表面フィルムの製造方法を含む。この方法は、
(a)所望の微小構造表面のネガティブ版を含むツールを提供する工程と、
(b)溶融高分子樹脂を、マスターツールおよび第2の表面の間に形成された間隙に提供する工程と、
(c)所望の微小構造表面を有する高分子フィルムを間隙中に形成する工程であって、フィルムが(i)互いに相互に直交する第1および第2の面内軸および、フィルムの厚さ方向において第1および第2の面内軸と、相互に直交する第3の軸と、(ii)第1の面内軸に実質的に平行な方向に位置された細長い微小特徴を有する所望の微小構造表面とを有する工程と、
(d)工程(c)の高分子フィルムをツールから除去する工程と、
(e)高分子フィルムを第1の面内軸に実質的に平行な方向に延伸する工程と
を含む。
【0023】
本発明の方法の一実施形態において、物品は、延伸前に第1の配向状態を有すると共に、第1の配向状態とは異なる第2の配向状態を延伸後に有する。他の実施形態において、延伸工程は、より小さい、物理的断面(すなわち、より小さい幾何学的特徴)を、実質的な配向なしで提供する。
【0024】
本発明の方法は、延伸後に複屈折性であり、および第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する高分子フィルムを提供する。
【0025】
本発明の他の実施形態において、方法は、実質的に同一の比例寸法変化を、フィルムの第2のおよび第3の面内軸の両方の方向に形成する。第2のおよび第3の面内軸の方向におけるこれらの比例寸法変化は、フィルムの延伸または延伸履歴の全体にわたって実質的に同一である。
【0026】
本発明の他の態様においては、本発明のいずれかの方法によって生産されたフィルムは、延伸後フィブリル化されて構造化表面を有する1つ以上の一軸配向繊維を提供する。繊維は、個別の繊維として、または互いに長さに沿って結合された2つ以上の繊維として形成され得る。
【0027】
本願明細書において、以下の用語および句は以下の意味を有するとして用いられている。
【0028】
「断面形状」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸によって分画される幾何学的特徴の外周縁の構成を意味する。幾何学的特徴の断面形状は、特徴の物理的寸法および欠陥または不規則性の存在から独立している。
【0029】
「延伸比」およびその明らかな変形は、延伸方向に沿って離間する2つの点の間の延伸後の距離対相当する点の間の延伸前の距離の比を意味する。
【0030】
「幾何学的特徴」およびその明らかな変形は、構造化表面上に存在する、予め定められた形状または複数の形状を意味する。
【0031】
「マクロ」は接頭語として用いられており、修飾する用語が少なくとも1mmの高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。
【0032】
「微小(micro)」は接頭語として用いられており、修飾する用語が1mm以下の高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。好ましくは、断面プロファイルは、0.5mm以下の高さを有する。より好ましくは、断面プロファイルは、0.05mm以下の高さを有する。
【0033】
「一軸延伸」は、その明らかな変形を包含して、物品の対向する縁を把持し、およびこの物品を1方向にのみ物理的に延伸する動作を意味する。一軸延伸は、例えば瞬間的なまたは比較的極めて少ない二軸延伸をフィルムの部分に誘起することができるせん断効果に起因するフィルムの均一な延伸におけるわずかな不完全性を包含することを意図する。
【0034】
「構造表面(structure surface)」は、少なくとも1つの幾何学的特徴を有する表面を意味する。
【0035】
「構造化表面(structured surface)」は、所望の何学的特徴または複数の幾何学的特徴を表面に付与するいずれかの技術によって形成された表面を意味する。
【0036】
「真の一軸配向」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸に沿って計測された配向感受特性が実質的に同一であり、および第1の面内軸に沿った配向感受特性から実質的に異なる一軸配向(以下を参照のこと)の状態を意味する。
【0037】
実際の物理系は、一般に、第2の面内軸および第3の軸に沿った精確でおよび正確に同一である特性を有さない。用語「真の一軸配向」は、本願明細書において、これらの軸に沿って計測されたフィルムの配向感受特性が軽微な量だけ異なる配向状態を指すために用いられている。偏差の許容可能な量は意図される用途によって異なるであろうことが理解されるであろう。多くの場合、このようなフィルムの均一性は、一軸配向の精確な程度より重要である。この事態は、長く、細い、円柱状の繊維がその繊維軸に沿って延伸される場合にもたらされることができるため、技術分野において、「繊維シンメトリー」として度々称される。
【0038】
「真の一軸延伸」およびその明らかな変形は、一軸延伸(上記を参照のこと)を、第2の面内軸および第3の軸沿った延伸比は実質的に互いに同一であるが、第1の面内軸に沿った延伸比から実質的に異なるような方策で提供する動作を意味する。
【0039】
「一軸配向」は、その明らかな変形を包含して、第1の面内軸(すなわち、一軸延伸方向に実質的に平行な軸)に沿って計測された物品の配向感受特性が、第2の面内軸および第3の軸に沿って計測されたものから異なる配向状態を、物品が有することを意味する。一軸配向の存在を測定するために広く多様な特性が計測され得るが、屈折率が、他が特定されていなければ、本願明細書において注目される特性である。このような特性の他の例示的例としては、結晶配向および形態学、熱および吸湿膨張、小さい歪み異方性機械的圧縮比、耐引裂性、耐クリープ性、収縮、種々の波長での屈折率および吸収係数が挙げられる。
【0040】
積層フィルムの場合において、「一軸」または「真に一軸」は、特に断りのない限り、フィルムの個別の層に適用されることを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、添付の図面を参照する、以下の本発明の種々の実施形態の詳細な説明においてより完全に理解され得る。
【0042】
本発明は、種々の改良および代替形態を受容可能である。本発明の詳細が、例示の目的のみのために図面に示されている。記載の特定の実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。代わりに、本発明の思想および範囲内のすべての改良、均等物、および代替物をカバーすることを意図する。
【0043】
本発明の物品およびフィルムは、一般に、本体部分および表面構造部分を含む。図1は第1の配向状態を有する前駆体フィルムの端面図を表し、一方、図2は、第2の配向状態を有する、本発明のフィルムの一実施形態の端面図を表し、図3A〜図3Dは、本発明のいくつかの変形実施形態の端面図を表す。
【0044】
前駆体フィルム9は、初期厚さ(Z)を有する本体またはランド部分11および高さ(P)を有する表面部分13を含む。表面部分13は、ここでは直角角柱として表される、一連の平行な幾何学的特徴15を含む。幾何学的特徴15の各々は、ベース幅(BW)および頂間間隔(PS)を有する。前駆体フィルムは、P+Zの和に等しい総厚Tを有する。
【0045】
図2を具体的に参照すると、本発明のフィルム10は、厚さ(Z’)を有する本体またはランド部分12および高さ(P’)を有する表面部分14を含む。表面部分14は、角柱を含む一連の平行幾何学的特徴16を含む。幾何学的特徴16の各々は、ベース幅(BW’)および頂間間隔(PS’)を有する。本発明のフィルムは、P’+Z’に等しい総厚T’を有する。
【0046】
前駆体フィルムおよび本発明のフィルムの寸法の間の関係は、T’<T、P’<P、Z’<Zであり、通常はBW’<BWおよびPS’<PSである。
【0047】
本体またはランド部分11、12は、底面17および19と、表面部分13、14の最低点との間の物品の部分を含む。いくつかの場合において、これは、物品の幅(W,W’)にわたる一定の寸法であり得る。他の場合において、この寸法は異なるランド厚さを有する幾何学的特徴の存在によって変化し得る。図9を参照のこと。図9においては、ランド厚さはZ”によって表されている。
【0048】
前駆体フィルム9および本発明のフィルム10の各々は、第1の面内軸18と、第2の面内軸20と、厚さ方向に第3の軸22とを有する。第1の面内軸は、本願明細書において後述される延伸の方向に実質的に平行である。図1および2において、この軸は、フィルム9および10の端面に対して直角である。これらの3本の軸は互いに相互に直交する。
【0049】
本発明のフィルムまたは物品の少なくとも1つの幾何学的特徴の断面形状は、実質的にその前駆体の幾何学的特徴の断面形状の類似物である。この形状の適合度は、入射光の均一な最分布が望まれる光学装置を製造する場合に、特に重要である。これは、特徴の初期断面形状が平坦なまたは湾曲した表面を含むかどうかにかかわらず当てはまる。物品およびプロセスの形状保持性は、形状保持パラメータ(SRP)を算出することにより判定される。
【0050】
所与の特徴についてのSRPは以下のようにして判定される。特徴を有するフィルムの断面の延伸前のイメージが入手される。分断面は、第2の面内軸20および第3の軸22によって分画される面であると共に、フィルムが延伸される方向に直交する。存在する構造特徴の一代表例が選択され、およびこれが特徴として称される。本体部分11および表面部分13の接合部に、イメージ上で線が重畳される。これが特徴ベースライン(FB)である。次いで、この特徴のベースラインより上の面積が算出される。これが非延伸特徴面積(UFA)である。
【0051】
次いで、延伸後のフィルムの断面のイメージが入手される。分断面は、第2の面内軸および第3の軸によって分画される面である。実験用フィルム延伸機器などで非連続または「バッチ」プロセスによってフィルムが延伸された場合、延伸前にフィルム試験片を試験するときに選択したものと同一の特徴を選択することが可能となる。連続フィルム製造ラインでフィルムが延伸された場合、特徴は、フィルム製造分野における当業者により理解されるであろうとおり、非延伸ウェブについて選択された位置に近似する、延伸フィルムウェブの適切な位置から選択されるべきである。特徴ベースライン(FB)が再度規定され、次いで、延伸フィルム特徴の面積が算出される。これが延伸特徴面積(SFA)である。
【0052】
比UFA/SFAが次いで算出される。これがイメージ比(IR)である。次いで、延伸フィルム特徴のイメージが、非延伸フィルム特徴のイメージと同一の面積を有することとなるよう比例的に拡大される。イメージを、各高さおよび幅寸法において、IRの平方根の因数によって拡大させることによって行われる。次いで、延伸フィルムの特徴の拡大イメージを非延伸フィルムの特徴のイメージに、それらの特徴ベースラインが一致するように重畳させる。次いで、重畳されたイメージが、それらの重なる面積が最大となる位置が見つかるまで、共通ベースラインに沿って相互に移動させられる。この、ならびにすべての前述のおよび後述する数学的および数的演算は、当業者に明らかであろうとおり、単に適切に記載されたコードでコンピュータ上で行うことができる。
【0053】
この最適重畳条件で重畳されたイメージの両方によって共有される面積が共通面積(CA)である。比CA/UFAが次いで算出される。この比が共通面積比(CAR)である。完全な形状保持性がもたらされる延伸についてCARは一となる。完全な形状保持性からのいずれかの偏差について、CARは一未満の正の数となる。
【0054】
いずれかの特定のフィルムについて、CARは、少なくとも特徴の形状、延伸比、および延伸操作が真の一軸配向延伸に近づく程度に応じた量で一から差が生じることとなる。他の要因もまた包含され得る。完全形状保持性からの偏差の程度を定量化するために、他のパラメータである形状保持パラメータ(SRP)を創出する必要がある。SRPは、構造化表面を有するフィルムが、一方の極限である完全形状保持性から、他方の極限である、典型的な産業的実施に特徴的な選択された参照点までのどこに位置されるかを、連続的に、比例的に示す尺度である。発明者らはこのような参照点として、同一の特徴形状および延伸比についての、連続的なモードで効率的に操作される、理想化されたフィルムテンター(横配向機)の性能を選択した。フィルムの構造化表面上の特徴の主軸は、延伸方向であるウェブ横方向に平行であると仮定される。縁部効果およびすべての他のプロセス非理想性は、例えば延伸における密度変化などの非理想性はフィルム材料自体のものであるため無視される。次いで、この理想的なテンターの場合については、フィルムに付与されるすべての横延伸は、同一の比だけの、厚さ寸法にのみのフィルムの収縮により順応される。仮定的なテンターが理想的であるため、縦またはウェブ下り方向でのフィルムの収縮はない。
【0055】
イメージ比は、延伸するフィルムについては理想的には、延伸比と同一である。イメージ比が延伸比と異なる場合、これは例えば、ポアソン比、密度変化(例えば延伸中の結晶化に起因する)および局所的延伸比および公称理想延伸比の間のバリエーションに起因するシステムにおける非理想性を示している。
【0056】
以下は図4A〜図4Dを参照して記載されることとなる。計算はコンピュータによって、当業者に公知であるアルゴリズムを用いて簡単に実施され得る。計算は、既にCARの算出に用いられた非延伸フィルムの特徴の実験的に得られたイメージと共に開始される。図4Aにおいて、図示の特徴は直角三角形特徴である。シンメトリーを有しているか有していないかにかかわらず、および真直ぐな面(角柱状)または湾曲した面(レンズ状)を有しているかいないかにかかわらず、本明細書において詳述される方法論は一般にいかなる特徴形状にも適用可能でるため、直角三角形は例示の目的のためにのみ図4Aに示されている。方法論はまた、一般に「上反り」特徴、またはS形状特徴、フック形状特徴、または「マッシュルームキャップ」特徴などの複雑な形状を有する特徴にも適用可能である。
【0057】
図4Aのイメージは、問題となっているフィルムの製造に用いられた延伸比の因数によって、高さ寸法にのみ縮小させることにより図4Bのイメージにコンピュータ的に変換される。これは、問題となっている特徴形状および延伸比についての「理想テンター」におけるフィルム表面特徴になにが起きるであろうかをシミュレートする。次いでイメージが、図4Bのものから図4Cのものに、延伸比の平方根の因数によって、高さおよび幅寸法の各々において拡大されることにより変換される。従って、図4Cのイメージは、図4Aのイメージのものと同じ面積を有する。次いで、図4Aおよび図4Cのイメージが、重畳されると共に、重なり面積最大位置が見つかるまでそれらの共通ベースラインに沿って移動される。これが図4Dに示されている。この図の共通面積(オリジナル特徴イメージおよびコンピュータ的に処理された特徴イメージの両方に共通する、クロスハッチングされた面積)が算出され、およびこの面積対図4Aのイメージの面積の比が算出される。この値が、所与の特徴形状および延伸比についての、理想テンターについての共通面積比(CARIT)である。この計算は、CARITが非延伸特徴形状および利用された延伸比の両方の強い関数であるため、各フィルム試験片について独立に行われなければならないことが理解されるであろう。
【0058】
最後に、SRPが以下の式を用いて算出される。
【0059】
SRP=(CAR−CARIT)/(1−CARIT)
【0060】
完全形状保持性について、SRPは一である。「理想」テンターで延伸された仮定的フィルムの場合については、CARは、CARITと等しく、およびSRPはゼロである。従って、SRPは、構造化表面を有するフィルムが、一方の極限である完全形状保持性から、他方の極限である、典型的な産業的実施に特徴的な選択された参照点までのどこに位置されるかを、連続的に、比例的に示す尺度である。1.00に極めて近いSRPを有するフィルムは極めて高い程度の形状保持性を示す。0.00に極めて近いSRPを有するフィルムは、利用された特徴形状および延伸比について低い程度の形状保持性を示す。本発明においては、フィルムは、少なくとも0.1のSRPを有する。
【0061】
標準フィルムテンターで、または他の手段により製造されたフィルムは、上述のとおり、可能性のある多数の非理想性のためゼロ未満のSRP値を有し得るであろうことは、当業者により理解されるであろう。「理想テンター」は、もたらされることができる、可能性のある最悪の形状保持性を意味するものではない。むしろ、異なるフィルムを共通のスケールで比較するために有用である参照点である。
【0062】
本発明の一実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.1〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.5〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.7〜1.00のSRPの値を有する。本発明の他の実施形態において、構造化表面を有するフィルムは、約0.9〜1.00のSRPの値を有する。
【0063】
本発明の他の態様においては、フィルムは一軸配向を備えている。一軸配向は、第1の面内軸(n1)に沿ったフィルムの屈折率、第2の面内軸(n2)に沿った屈折率、および第3の軸(n3)に沿った屈折率の差を測定することにより計測され得る。本発明の一軸配向フィルムはn1≠n2およびn1≠n3を有する。本発明のフィルムは、真に一軸配向であることが好ましい。すなわち、n2およびn3は、実質的に、相互に等しく、およびn1との差において相対的である。
【0064】
本発明のさらに他の実施形態において、フィルムは0.3以下の相対的複屈折を有する。他の実施形態において、相対的複屈折は0.2未満でありおよびさらなる他の実施形態においては0.1未満である。相対的複屈折は、以下の式から決定される絶対値である。
【0065】
|n2−n3|/|n1−(n2+n3)/2|
【0066】
相対的複屈折は、可視スペクトルまたは近赤外スペクトルの一方で計測され得る。いずれかの所与の計測値について、同一の波長が用いられるべきである。一方のスペクトルのいずれかの部分における0.3の相対的複屈折がこのテストを満たすのに十分である。
【0067】
本発明のフィルムは、細長い構造であり得る角柱状またはレンズ状特徴の少なくとも1つを含む。構造は、好ましくは、フィルムの第1の面内軸に全体が平行である。図2に示されているとおり、構造化表面は一連の角柱16を含む。しかしながら、他の幾何学的特徴およびこれらの組み合わせが用いられ得る。例えば、図3Aは、幾何学的特徴が、尖部を有している必要がなく、かつ、ベースにおいて相互に接触している必要もないことを示している。
【0068】
図3Bは、幾何学的特徴が丸みのある頂部および湾曲したファセットを有し得ることを示している。図3Cは、幾何学的特徴の頂部が平坦であり得ることを示している。
【0069】
図3Dは、フィルムの対向する表面の両方が構造化表面を有し得ることを示している。
【0070】
図5A〜図5Wは、構造化表面を提供するために用いられ得る他の断面形状を現している。これらの図は、幾何学的特徴が、窪み(図5A〜図5Iおよび図5Tを参照のこと)または突起(図5J〜図5Sおよび図5U〜図5Wを参照のこと)を含み得ることをさらに表している。特徴が窪みを含む場合には、図3Cに示されるとおり、窪みの間の隆起したエリアは突起−タイプの特徴と見なし得る。
【0071】
種々の特徴の実施形態は、所望の結果を達成するよういずれかの方策で組み合わされ得る。例えば水平面が、ラジアス形または平坦な頂部を有する特徴を分離し得る。しかも、これらの特徴のいずれかにおいて湾曲した表面が用いられ得る。
【0072】
図から見ることができるように、特徴はいかなる所望の幾何学的形状を有し得る。これらはフィルムのz軸について、対称または非対称であり得る。しかも、構造化表面は、単一の特徴、所望のパターンの複数の同一の特徴、または所望のパターンに配設された2つ以上の特徴の組み合わせを含み得る。追加で、高さおよび/または幅などの特徴の寸法は、構造化表面にわたって同一であり得る。または、これらは特徴毎に異なっていてもよい。
【0073】
図2に図示された微小構造幾何学的特徴は、直角角柱を含むか、またはほぼ直角角柱である。本願明細書において用いるところでは、直角角柱は、約70°〜約120°、好ましくは約80°〜100°、最も好ましくは約90°の頂角を有する。さらに、微小構造特徴の面は平坦であるか、またはほぼ平坦な表面である。
【0074】
他の実施形態において、微小構造幾何学的特徴は鋸刃状角柱を含む。本願明細書において用いるところ、鋸刃状角柱は、ランドまたは本体とおよそ90°の角度をなす垂直な、または垂直に近い側面を有する。図5Jを参照のこと。一つの有用な実施形態において、鋸刃状角柱は2°〜15°のランドまたは本体からの傾斜角を有し得る。
【0075】
特徴が、第1の面内軸に沿って、連続的または断続的のいずれかであり得ることもまた本発明の範囲内である。
【0076】
本発明のフィルムの種々の実施形態は、図2および図3Aに規定されるとおり、以下の寸法関係を含む。
【0077】
本発明のプロセスは、一般に、延伸および続くフィルムの一軸延伸により伸長されることができる、構造化表面高分子フィルムを提供する工程を含む。構造化表面は、フィルムの形成と同時に設けられ得るか、またはフィルムの形成の後に第1の表面に付与され得る。図6および7を参照してプロセスをさらに説明する。
【0078】
図6は、本発明による方法の概略図である。方法において、フィルムの所望の構造化表面のネガティブ版を含むツール24が提供され、これが、ダイ28のオリフィス(図示せず)を通って駆動ロール26Aおよび26Bの手段により推進される。ダイ28は、ここでは、ペレット、粉末等の形態で乾燥高分子樹脂を受けるためのフィードホッパー32を有するエクストルーダ30を含む溶融系の排出点を含む。溶融樹脂はツール24上にダイ28から排出される。ダイ28およびツール24の間に間隙33が設けられている。溶融樹脂はツール24に接触すると共に硬化して高分子フィルム34を形成する。次いで、フィルム34の前縁がストリッパロール36でツール24から除去され、および一軸延伸装置38に向けられる。次いで、延伸フィルムは、ステーション40で連続ロールに巻かれ得る。
【0079】
フィルム34はロールに巻かれてもよく、またはシートに切断されて装置38において延伸されるまで積み重ねられてもよいことに注目すべきである。フィルム34は延伸後に、連続ロールに巻かれるのではなくシートに切断されてもよいこともまた注目すべきである。
【0080】
フィルム34は、任意に、一軸延伸前に前処理され得る(図示せず)。追加で、フィルム34は、延伸後に後処理され得る(図示せず)。
【0081】
構造化表面をフィルムに付与するために多様な技術が用いられ得る。これらはバッチおよび連続技術を包含する。これらは、所望の構造化表面のネガティブである表面を有するツールを提供する工程と、所望の構造化表面のポジティブ版を高分子フィルムに形成するに十分な条件下で一定の時間、高分子フィルムの少なくとも1つの表面をツールに接触させる工程と、および構造化表面を有する高分子フィルムをツールから除去する工程とを包含し得る。
【0082】
ダイ28およびツール24が相互に垂直配置で示されているが、水平配置または他の配置もまた利用し得る。特定の配置にかかわらず、ダイ28は溶融樹脂を間隙33でツール24に供給する。
【0083】
ダイ28は、ツール24に向って移動することが許容される形で搭載されている。これは、間隙33を所望の空隙に調整することを可能としている。間隙33のサイズは、当業者により理解されるであろうとおり、溶融樹脂の組成、所望の本体厚さ、その粘度、その粘弾性反応、およびほとんど完全にツールを溶融樹脂で充填するために必要な圧力を決定要因とする。
【0084】
溶融樹脂は、任意に、適用される吸引、圧力、温度、超音波振動または機械的手段で、好ましくはツール24のキャビティに実質的に充填されるような粘度のものである。樹脂が実質的にツール24のキャビティを充填した場合、得られるフィルムの構造化表面が複製されたと称される。
【0085】
ツールのネガティブ表面は、フィルムの幅にわたって(すなわち、横(TD)方向)、またはフィルムの長さに沿って(すなわち、縦(MD)方向に沿って)特徴を形成するために位置されていることができる。TDまたはMD方向との完全な整列は要求されない。従って、ツールは、完全な整列からわずかに角度がずれていてもよい。典型的には、この整列は約20°以下である。
【0086】
樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、典型的には固体としてフィードホッパー32に供給される。十分なエネルギーがエクストルーダ30に供給されて、固体樹脂が溶融塊に転換される。ツールは、典型的には、加熱された駆動ロール26A上を通過することにより加熱される。駆動ロール26Aは、例えばその中に高温オイルを循環させることにより、または誘電的に加熱することにより加熱され得る。ツール24の温度は、典型的には樹脂の軟化点より20℃低温から樹脂の分解温度である。
【0087】
部分的に重合された樹脂を包含する重合性樹脂の場合、樹脂は、ダイ28へ供給するディスペンサへ直接的に注入またはポンプされ得る。樹脂が反応性樹脂である場合、本発明の方法は、樹脂を硬化させる1つ以上の追加の工程を包含し得る。例えば、樹脂は、紫外光、赤外線、電子ビーム放射、可視光等などの化学線などの好適な放射エネルギー源に、樹脂を硬化させるに十分な時間露出させることにより硬化され、およびツール24から除去される。
【0088】
溶融フィルムは、多様な方法により冷却されて、さらなる処理のためにフィルムを硬化されることができる。これらの方法としては、押出し樹脂への水の噴霧、冷却ロールを備えるツールの非構造化表面を接触させること、または空気のフィルムへの直接的な吹付けが挙げられる。
【0089】
前述の考察はフィルムおよび構造化表面の同時の形成に集中していた。本発明において有用である他の技術は、ツールを、予め形成されたフィルムの第1の表面に接触させる工程を含む。次いで、フィルム/ツールの組み合わせに圧力、熱または圧力および熱が、フィルムに所望の構造化表面が形成されるまで適用される。続いて、フィルムが冷却されおよびツールから除去される。
【0090】
さらに他の技術においては、予め形成されたフィルムは、所望の構造化表面を形成するために、ダイアモンド旋削などによって機械加工され得る。
【0091】
構造化表面の形成にツールが用いられる場合、構造化表面フィルムのツールからの除去を促進するために離型剤が用いられ得る。離型剤は、薄層としてツールの表面またはフィルムの表面に適用される材料であり得る。または、離型剤はポリマーに組み込まれる添加剤を構成し得る。
【0092】
広く多様な材料が離型剤として用いられ得る。有用な材料の一クラスは、油およびワックスおよびシリコーンなどの有機材料と、ポリテトラフルオロエチレンから形成されるものなどの高分子離型コーティングとを含む。特に有用な離型剤の他のクラスは、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む。これらの材料は金属およびメタロイド表面に化学的に結合すると見出されたばかりではなく、例えば、離型性および/または腐食防止特徴をもこれらの表面に付与する。これらの化合物は、金属またはメタロイド表面(ツールなどの)に結合することができる頭部基と、被離型材料から適当に異なる極性および/または官能性の尾部分を有するとして特性づけられる。これらの化合物は、単層である、または実質的に単層である耐久性の、自己組織化フィルムを形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールとしては以下の式を有するものが挙げられる。
【0093】
【化1】
【0094】
式中、RfはCnF2n+l−(CH2)m−であり、ここで、nは1〜22の整数であり、およびmは0、または1〜6の整数であり;Xは−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり;Yは−CH2−であり、ここでzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキルまたはRf−X−Yz−(ただし、Xが−S−、または−O−であるとき、mは0、およびzが0、nが≧7であり、ならびにXが共有結合である場合、mまたはzは少なくとも1である)である。好ましくは、n+mは8〜20の整数に等しい。
【0095】
フルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物の離型剤として用いられるために特に有用なクラスは、以下の式を有する1つ以上の化合物を含む。
【0096】
【化2】
【0097】
式中、RfはCnF2n+l−(CH2)m−であり、ここで、nは1〜22であり、mは0または1〜6の整数であり;Xは−CO2−、−SO3−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり、およびqは0または1であり;YはC1〜C4アルキレンであり、およびzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキル、またはRf−X−Yzである。フルオロケミカルベンゾトリアゾールが、例えば、米国特許第6,376,065号明細書に記載されている。
【0098】
プロセスは、任意に、オーブンまたは他の装置を提供することなどの、延伸に先立つ前処理工程を包含し得る。前処理工程は、予熱ゾーンおよび加熱ゾーンを包含し得る。延伸比はまた、収縮を制御するためにその最大値から低減され得る。これは、「トーイン」として技術分野において公知である。
【0099】
プロセスは後処理工程をも包含し得る。例えば、フィルムが先ず熱処理されおよび続いて急冷される。
【0100】
一軸延伸は、従来のテンターまたは長さ配向機で生じさせることができる。フィルム処理技術の一般的な考察は、「フィルム処理(Film Processing)」、カナイトシタカ(Toshitaka Kanai)およびグレゴリーカンプベル(Gregory Campbell)編、1999年、チャプター1、2、3、および6に見出すことができる。「ポリマーフィルムの科学および技術(The Science and Technology of Polymer Films)」オービルJ.スィーティング(Orville J.Sweeting)編、1968年、第1巻、第365〜391頁および第471〜429頁もまた参照のこと。一軸延伸はまた、引張り試験機の顎部の間などの、多様なバッチ装置において達成されることができる。
【0101】
一軸延伸プロセスとしては、限定されないが、異なる速度で回転するローラの間での従来の「長さ配向」、テンターにおける従来のクロスウェブ延伸、国際公開第2002/096622 A1号パンフレットに開示されているものなどの放射線状−経路テンターにおける延伸、および引張り試験機の顎部の間での延伸が挙げられる。
【0102】
理想弾性材料については、3つの相互に直交する延伸比のうちの2つが同一である場合には一軸配向がもたらされるであろう。延伸時に顕著な密度変化を伴わない材料については、2つの実質的に同一な延伸比の各々が、第3の直交延伸比の逆数の平方根と実質的に等しくなるであろう。
【0103】
従来のテンターにおいて延伸されたフィルムは、一軸配向であっても、一軸延伸されていたとしても真に一軸配向ではない。これは、フィルムはテンター中の移動方向の軸に沿って自由に収縮することができないが、厚さ方向には自由に収縮することができるからである。国際公開第2002/096622 A1号パンフレットに開示されているものなどの放射線状−経路テンターにおいて延伸されたフィルムは、放射線状経路がテンター中の移動軸に沿った適切な量のフィルムの縮小を許容するため、一軸延伸されていると共に、および真に一軸配向されている。放射線状−経路テンター以外のプロセスもまた真の一軸配向を提供し得、およびコンセプトは、利用されるプロセスによって制限されることを意味しない。
【0104】
真の一軸配向はまた、延伸の全履歴中にわたって一軸条件下でフィルムを延伸するこれらのプロセスに限定されない。一軸延伸からの偏差は、延伸工程の種々の部分にわたって、一定の許容範囲内に維持されることが好ましい。しかしながら、延伸プロセスの早期における一軸性からの偏差が延伸プロセスにおけるその後において補償されるプロセスであって、得られるフィルムにおいて真の一軸性が達成されるものもまた、本発明の範囲に包含される。
【0105】
本願明細書において、テンター延伸装置の、フィルム縁部を把持する把持手段による移動経路、および従って、フィルムの縁部によってテンターを移動する際にトレースされる経路は境界軌道と称される。三次元的でおよび実質的に非平面状である境界軌道を提供することは本発明の範囲内である。フィルムは、単一のユークリッド平面内にない境界軌道である面外境界軌道を用いて面外延伸され得る。
【0106】
真の一軸性には要求されないが、放射線状−経路テンタープロセスにおいては、フィルムは面内で延伸されることが好ましい。TD、主延伸方向に沿って延伸された直線が、延伸後も実質的にまっすぐであり続けることが好ましい。フィルムの従来のテンタープロセスにおいて、これは典型的な事例ではなく、およびこのように延伸された線は相当な曲がりまたは「反り」を受ける。
【0107】
境界軌道は、必要ではないが、中央面を通る鏡像を形成する対称であり得る。この中央面は、フィルムが移動する初期方向にベクトルを通過し、および境界軌道の間の初期中央面を通過する面であり、および非延伸フィルムの表面に鉛直なベクトルが延伸装置に供される。
【0108】
他のフィルム延伸プロセスのように、放射線状−経路テンターは、フィルムの均一な空間的な引張りが延伸プロセス中にわたって維持されるような条件の選択から利益を受ける。フィルムの良好な空間的均一性は、非延伸フィルムまたはウェブのウェブ横およびウェブ下り厚さ分布の注意深い制御、およびウェブの延伸中にわたる温度分布の注意深い制御で多数の高分子系について達成され得る。多数の高分子系は、非均一性に対して特に感受性であり、キャリパーおよび温度均一性が不十分であれば、非均一な方法で延伸するであろう。例えば、ポリプロピレンは、一軸延伸下で「直線延伸」する傾向にある。一定のポリエステル、特にポリエチレンナフタレートもまた極めて感受性である。
【0109】
どちらの延伸技術を利用しても、幾何学的特徴の形状保持性が望ましい場合には、延伸は第1の面内軸に対して実質的に平行に実施されるべきである。延伸が第1の面内軸に対してより平行であるだけ、達成される形状保持性が良好となることが見出された。良好な形状保持性は、厳密な平行からの偏差が20°以下である場合に達成されることができる。この偏差が厳密な平行から10°以下である場合に、より良好な形状保持性が達成される。偏差が平行から5°以下である場合に、さらに良好な形状保持性が達成される。
【0110】
放射線状延伸工程はまた、一軸延伸からの偏差を、延伸工程の種々の部分にわたって一定の許容範囲内に維持することができる。さらに、延伸の初期の部分において面外にフィルムの部分が変形しても、延伸の最終部分中に面内にフィルムを戻してこれらの条件を維持することができる。
【0111】
延伸の全履歴にわたって維持された真の一軸交差延伸において、瞬間縦方向延伸比(MDDR)は、密度変化について修正された、交差方向延伸比(TDDR)の逆数の平方根にほぼ等しい。上述のとおり、フィルムは、面外境界軌道、すなわち単一のユークリッド平面内にない境界軌道を用いて面外延伸され得る。本発明のこの実施形態の関係要求を満たす、無数の、しかしながらそれにもかかわらず特定の境界軌道が在り、従って実質的に一軸延伸履歴が面外境界軌道を用いて維持され得る。
【0112】
延伸に続いて、フィルムは、所望の場合には加熱および急冷され得る。
【0113】
ここで図7を参照すると、非延伸構造化表面フィルム34は、それぞれフィルムの厚さ、幅、および長さを示す、寸法T、WおよびLを有する。フィルム34が因数ラムダ(λ)によって延伸された後、延伸フィルム35は、それぞれフィルムの延伸された厚さ、延伸された幅、および延伸された長さを示す寸法T’、W’、およびL’を有する。この延伸は、一軸性特質を延伸フィルム35に付与する。
【0114】
第1の面内軸、第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比の間の関係は、繊維シンメトリー、および従って延伸フィルムの一軸配向の指標である。本発明においては、フィルムは、少なくとも1.1の第1の面内軸に沿った最小の延伸比を有する。好ましくは、第1の面内軸に沿った延伸比は少なくとも1.5である。本発明の他の実施形態において、延伸比は少なくとも1.7である。より好ましくは少なくとも3である。より高い延伸比もまた有用である。例えば、3〜10またはそれ以上の延伸比が本発明において有用である。
【0115】
第2の面内軸および第3の軸に沿った延伸比は、本発明では典型的には実質的に同一である。この実質的な同一性は、これらの相互の延伸比の相対比として最も簡便に表される。2つの延伸比が等しくなければ、その場合には、相対比は、これらの軸の一方に沿ったより大きい延伸比対他方の軸に沿ったより小さい延伸比である。好ましくは、相対比は1.4未満である。2つの比が等しい場合、相対比は1である。
【0116】
第1の面内方向に沿ったλの延伸比を有する真の一軸延伸の場合において、プロセスが、第2の面内軸および第3の軸に沿ったフィルムの厚さ方向において実質的に同一の比例寸法変化を形成する場合、厚さおよび幅は、同一の比例寸法変化で低減されることとなる。この場合において、KT/λ0.5およびKW/λ0.5によってこれはほぼ表され得、ここで、Kは延伸中の密度変化について考慮する換算因数を表す。理想的な事例においては、Kは1である。延伸中に密度が減少する場合、Kは1より大きい。延伸中に密度が増大する場合、Kは1未満である。
【0117】
本発明においては、最終厚さT’対フィルムの初期厚さTの比は、NDSR延伸比(NDSR)として定義され得る。MDSRは、延伸後のフィルムの部分の長さをその部分の初期長さで除したものとして定義され得る。例示の目的だけのために、図8におけるY’/Yを参照のこと。TDSRは、延伸後のフィルムの部分の幅をその部分の初期幅で除したものとして定義され得る。例示の目的だけのために、図8におけるX’/Xを参照のこと。
【0118】
第1の面内方向は、MD(例えば、長さ配向の事例において)またはTD(例えば、放射線状テンターの事例において)と一致し得る。他の例においては、連続的ウェブでなくむしろシートが、いわゆるバッチテンタープロセスにおいてはテンターに供給される。このプロセスは米国特許第6,609,795号明細書に記載されている。この場合、第1の面内方向または軸はTDと一致する。
【0119】
本発明は、一般に、一軸性の特徴が望まれる、多数の異なる構造化表面フィルム、材料およびプロセスに適用可能である。本発明のプロセスは、微小構造化表面を有する高分子フィルムの製造に特に適当であると考えられており、ここでは、処理中にフィルムが延伸されるときに、フィルムに用いられる材料の粘弾性特徴が利用されて、材料において誘起された分子配向(ある場合には)の量が制御される。向上は、1つ以上の向上した光学性能、増強された寸法安定性、よりよい加工性等を包含する。
【0120】
普通、本発明において用いられるポリマーは、結晶性、半結晶性、液晶性または非晶質ポリマーまたはコポリマーであり得る。ポリマー技術分野においては、ポリマーは、典型的には、完全に結晶性ではないと一般に認識されており、従って、本発明のコンテクストにおいては、結晶性または半結晶性ポリマーは非晶質ではないポリマーを指すと共に、部分結晶性、半結晶性等の、通例結晶性として称されるこれらの材料のいずれかを含むことが理解されるべきである。液晶ポリマーはまた、度々剛性−ロッドポリマーとして称され、技術分野において三次元的結晶性秩序から異なるいくらかの形態の長距離秩序を備えていると理解されている。
【0121】
本発明においては、フィルム形態へ溶融加工性または硬化性の一方であるいずれかのポリマーが用いられ得ることが予期される。これらとしては、限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、および以下の族からポリマーへさらに処理することができるオリゴマーであって:ポリエステル(例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンビ安息香酸、ポリアルキレンナフタレート(例えばポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)およびポリブチレンナフタレート(PBN)およびその異性体)、および液晶ポリエステル);ポリアリレート;ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド(例えばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、およびポリアミド612、芳香族ポリアミドおよびポリフタルアミド);ポリエーテル−アミド;ポリアミド−イミド;ポリイミド(例えば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド);ポリエーテルイミド;ポリオレフィンまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン);サーリン(Surlyn)(登録商標)(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Del.)から入手可能)などのアイオノマー;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、およびポリブチルアクリレート);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−alt−クロロトリフルオロエチレン)、およびTHV(登録商標)(3M Co.));塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(例えば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー);いずれかの立体規則性のポリスチレン(例えば、アタクチックポリスチレン、イソタクチックポリスチレンおよびシンジオタクチックポリスチレン)およびいずれかの立体規則性の環状−または鎖状−置換ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、およびシンジオタクチックポリジクロロスチレン);いずれかのこれらのスチレン系材料のコポリマーおよびブレンド(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシドおよびポリオキシメチレン);セルロース系材料(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、および硝酸セルロース);硫黄含有ポリマー(例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、およびポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、およびポリウレタンを挙げ得る。2つ以上のポリマーまたはコポリマーのブレンドまたはアロイもまた用いられ得る。
【0122】
いくつかの実施形態においては、半結晶性熱可塑性が用いられ得る。半結晶性熱可塑性の一例は半結晶性ポリエステルである。半結晶性ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むポリマーは、本発明における望ましい特性の多数を有していることが見出されている。
【0123】
ポリエステルに用いられるための好適なモノマーおよびコモノマーは、ジオールまたはジカルボン酸またはエステルタイプのものであり得る。ジカルボン酸コモノマーとしては、限定されないが、テレフタル酸;イソフタル酸;フタル酸;すべてのナフタレンジカルボン酸異性体(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−);4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、t−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸(2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸など)、他の置換芳香族ジカルボン酸(第3級ブチルイソフタル酸およびナトリウムスルホン化イソフタル酸など)、シクロアルカンジカルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体など)および2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体などのビベンゾイック酸;二環式−または多環式−ジカルボン酸(種々のノルボルナン異性体およびノルボルネン異性体ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、およびビシクロ−オクタンジカルボン酸など);アルカンジカルボン酸(セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、およびドデカンジカルボン酸など);および縮合環芳香族炭化水素のジカルボン酸異性体のいずれか(インデン、アントラセン、フェネアントラセン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレン等など)が挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルカンまたはシクロアルカンジカルボン酸が用いられ得る。または、ジメチルテレフタレートなどのこれらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステルが、ジカルボン酸自体の代わりにまたは組み合わせて用いられ得る。
【0124】
好適なジオールコモノマーとしては、限定されないが、直鎖または分岐アルカンジオールまたはグリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコールなどのプロパンジオール、テトラメチレングリコールなどのブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよび高級ジオールなど)、エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールなどの)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートなどの鎖状−エステルジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体および1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体シクロアルカングリコール、二環式−または多環式ジオール(種々のトリシクロデカンジメタノール異性体、ノルボルネンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、およびビシクロ−オクタンジメタノールなど)、芳香族グリコール(1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールAなどのビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、および1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体など)、およびジメチルまたはジエチルジオールなどのこれらのジオールの低級アルキルエーテルまたはジエーテルが挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルキルおよびシクロアルケニルジオールが用いられ得る。
【0125】
ポリエステル分子への分岐構造の付与に役立つことができるトリ−または多官能コモノマーもまた用いることができる。これらは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシまたはエーテルのいずれかのタイプであり得る。例としては、限定されないが、トリメリト酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられる。
【0126】
コモノマーとしても好適なものは、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびそれらの異性体などのヒドロキシカルボン酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等などの混合官能基のトリ−または多官能コモノマーを包含する混合官能基のモノマーである。
【0127】
好適なポリエステルコポリマーとしては、PENのコポリマー(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸のコポリマー、またはそれらのエステルであって、(a)テレフタル酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)、およびポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(テレフタル酸のコポリマーまたはそのエステルであって、(a)ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)が挙げられる。記載のコポリエステルはまた、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである、少なくとも1種の成分が1種のポリエステルベースのポリマーであり、および他の成分または複数の成分が他のポリエステルまたはポリカーボネートであるペレットのブレンドであり得る。
【0128】
本発明のフィルムはまた、高分子粒子を連続高分子マトリックスまたは相の二−連続マトリックス中に含む分散相を含有し得る。代わりに、本発明実施形態において、分散相は多層フィルムの層の1つ以上に存在し得る。用いられる高分子粒子のレベルは本発明に重大ではなく、最終物品が意図している目的を達成するよう選択される。ポリマー粒子のレベルおよびタイプに影響し得る要因としては、粒子のアスペクト比、マトリックス中の粒子の寸法整列、粒子の体積率、構造化表面フィルムの厚さ等が挙げられる。典型的には、ポリマー粒子は、上述のものと同一のポリマーから選択される。
【0129】
本発明により製造されるフィルムは、タイヤコード、ろ過媒体、テープバッキング、皮膚用清拭布などの拭布、微小流体フィルム、ぼかしフィルタ、偏光子、反射型偏光子、ダイクロイック偏光子、直線反射型/ダイクロイック偏光子、吸収性偏光子、位相差板(z軸位相差板)、回折格子、偏光ビームスプリッタおよび偏光回折格子を含む広く多様な製品に有用であり得る。フィルムは、それ自体特定のエレメントを構成し得、またはこれらは、タイヤ、フィルタ、接着テープ、例えば前面および背面投影システム用のビームスプリッタ他のエレメントにおける部品として、またはディスプレイまたはマイクロディスプレイにおいて用いられる輝度上昇フィルムとして用いられることができる。
【0130】
上記の記載において、エレメントの位置が「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上部」および「底部」の用語で度々記載されてきた。これらの用語は、図面に図示されたものなどの本発明の種々のエレメントの説明を簡潔化するために、単に用いられている。本発明のエレメントの有用な配向にどのようにも限定をすると理解されるべきではない。
【0131】
従って、本発明は、上述の特定の例に限定されると考慮されるべきではなく、むしろ、適切に特許請求の範囲に規定されているとおり、本発明のすべての態様を包含すると理解すべきである。本発明に適用され得る種々の改良、均等物、ならびに数多くの構造は、本発明が本明細書のレビューの対象とする当業者に直ちに明らかであろう。特許請求の範囲は、このような改良および装置を包含することを意図している。
【実施例】
【0132】
実施例1
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)をこの実施例において用いた。
【0133】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下でエクストルーダホッパーの押出し型材に充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを232℃から282℃に昇温させながら、および282℃に設定したダイまで溶融系を続けさせてPETを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0134】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含んでいた。三角形は鋸刃状パターンを形成していた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング方向または縦方向(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベノトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0135】
【化3】
【0136】
米国特許第6,376,065号明細書に開示されているとおり、式中、RfはC8F17であり、およびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均92℃であった。
【0137】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.37×106Pa(1070psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約510ミクロンであった。
【0138】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。顕微鏡を用いて断面を検証して、角柱状構造が、フィルムの表面上で、およそ85°の頂角、フィルムランドの水平面から三角形の一辺について20°の傾斜および垂直面から反対の辺について15°の傾きを有することを特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、44ミクロンの底部幅(BW)および19ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。
【0139】
構造化キャストフィルムを、10:7(溝に沿って:溝に直角に)のアスペクト比のシートに切り取り、プレナムで計測される約100℃に予熱し、およびほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて、6.4の公称延伸比まで延伸し、ならびに直ちに6.3の延伸比に緩和させた。すなわち個別のシートを、従来の連続的操作フィルムテンターに供給した。6.4から6.3への緩和は、最終フィルムにおける収縮を制御するための延伸温度で達成される。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって16.5ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、5.0ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、180ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.672、1.549および1.547と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.016であった。
【0140】
実施例2
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を、この実施例で用いた。
【0141】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PETを、エクストルーダ内の約282℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および282℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0142】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0143】
【化4】
【0144】
式中、RfはC4F9であり、およびRは−(CH2)6−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均98℃であった。
【0145】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.92×106Pa(1150psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0146】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.4ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは、触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、99%の算出充填率を導き出した。
【0147】
構造化フィルムは、実施例1と同様の方策で延伸されることができる。
【0148】
実施例3
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)を反応容器内で形成した。
【0149】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0150】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0151】
【化5】
【0152】
式中、RfはC8F17であり、およびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均144℃であった。
【0153】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は5.51×106Pa(800psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0154】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えたKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.3ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0155】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、プレナムで計測される公証165℃に予熱し、およびこの温度で、25秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0156】
表1は、キャストフィルムの中心からの種々の距離での延伸の効果を示す。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例4
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)反応容器内で形成した。
【0159】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0160】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0161】
【化6】
【0162】
米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC8F17でありおよびRは−(CH2)2−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均153℃であった。
【0163】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.13×106Pa(600psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0164】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0165】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸させた。フィルムを、公証158℃に予熱し、この温度で、90秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0166】
キャストフィルム上において用いたものと同一の接触プロフィロメトリを用いて延伸フィルムを計測した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって22ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、8.5ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、約220ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.790、1.577および1.554と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.10であった。
【0167】
プロフィロメトリデータを用いて、見かけ上の断面積の比は、延伸および配向における密度変化について補正されていない、6.4の延伸比の計測推測値をもたらす。この6.4の値を延伸比およびプロフィロメトリデータについて用いて、形状保持パラメータを0.94と算出した。
【0168】
実施例5
カルボキシレート(テレフタレートおよびナフタレート)部位(サブユニット)比によって測定される40mol%ポリエチレンテレフタレート(PET)および60mol%ポリエチレンナフタレート特徴を含むコ−ポリマー(いわゆる40/60coPEN)を反応容器内で形成した。内部粘度(I.V.)は約0.5であった。
【0169】
40/60coPEN樹脂ペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを285℃から277℃に降温させながら、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続させて40/60coPENを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0170】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【0171】
【化7】
【0172】
米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC4F9であり、およびRは−(CH2)6−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均102℃であった。
【0173】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.23×106Pa(614psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約560ミクロンであった。
【0174】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、49.9ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0175】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、実験用延伸器を用いて延伸した。フィルムを103℃まで60秒予熱し、およびこの温度で、20秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.758、1.553および1.551と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.0097であった。
【0176】
実施例6
米国特許出願公開第2004/0227994 A1号明細書の実施例1〜4に記載の方法により形成した多層光学フィルムをキャストし、および保護ポリプロピレン表層を除去した。用いた低指数ポリマーは、co−PETであった。
【0177】
多層光学フィルムをシートに切り取り、および60℃で最低2時間でオーブン中で乾燥した。プラテンを115℃に加熱した。厚紙シート、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、剥離ライナ、ニッケル微小構造ツール、多層光学フィルム、剥離ライナ、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、および厚紙シートの順番で、フィルムを層構造に積み重ねた。構造物をプラテンの間に置き、および閉じた。1.38×105Pa(20psi)の圧力を60秒維持した。
【0178】
ニッケル微小構造ツールの構造化表面は、90°頂角、10ミクロンの底部幅(BW)および約5ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含む。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。
【0179】
エンボスシートを10:7(溝の横断方向に沿って)のアスペクト比に切り取った。構造化多層光学フィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、ほとんど100℃まで予熱し、およそ6の延伸比に約20秒にわたって延伸し、および次いで延伸を、テンター中において延伸温度にある状態で約10%緩和させて、フィルムにおける収縮を制御した。構造化高さを含むフィルム(T’)の最終厚さは、150ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.699、1.537および1.534と計測した。この延伸材料の断面における複屈折は、従って0.018であった。
【0180】
実施例7
配向、微小複製構造を以下のとおり構成した。125ミクロンピッチでの90°角柱状の溝を、キャストPEN(ポリエーテルナフタレン)の0.010インチ厚のフィルムに、125℃で4分間での圧縮成形によりエンボス加工した。ツール構造化フィルムを氷水で急冷した。フィルムを除去しおよび乾燥させた後、次いで、このフィルムを、溝の長軸に沿って128℃で5×一軸延伸した。これは5%の横方向収縮をもたらし、およそ62ミクロンの最終ピッチが得られた。屈折率は、配向軸に沿って1.84および交差方向に1.53と計測された。屈折率は、フィルムの平坦な裏面で、メトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を632.8nmの波長で用いて計測した。
【0181】
配向微小構造化フィルムの一片を、続いて、等方性屈折率1.593を有するUV硬化性アクリレート樹脂を用いて、構造化表面がスライドに対向するようガラス顕微鏡スライドに粘着させた。アクリレート樹脂を、UVチャンバを通すマルチパス(樹脂の完全な硬化を保証するため各面について3回)によって硬化させた。
【0182】
ヘリウム−ネオンレーザビームを、スライドに装着された配向構造化フィルムに通過させた。HeNeレーザを、グラントンプソン偏光子を通すことにより均一な直線偏光に偏光した。常光線(o光線)を極わずかな分離角で構造を通過させた。ここで、0級発散の半角は、およそ2°であると見出された。次いで、レーザビームを90°回転させて直交偏光(e光線)とするために、グラントンプソンの直後に半波長プレートを挿入した。0級ビームは、およそ8°の発散半角、またはo光線の4×発散を示した。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明において有用な前駆体フィルムの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態フィルムの断面図である。
【図3A】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3B】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3C】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図3D】本発明のフィルムの一変形実施形態の断面図である。
【図4A】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4B】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4C】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図4D】形状保持パラメータ(SRP)をどのように算出するかの判定に有用なプロファイルの断面図である。
【図5A】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5B】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5C】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5D】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5E】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5F】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5G】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5H】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5I】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5J】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5K】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5L】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5M】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5N】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5O】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5P】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5Q】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5R】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5S】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5T】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5U】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5V】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図5W】本発明において有用な幾何学的特徴の一代替プロファイルの断面図である。
【図6】本発明によるプロセスを示す概略図である。
【図7】延伸後のフィルムが一軸配向である構造表面フィルムの、延伸プロセスの前および後の両方を示す斜視図である。
【図8】縦方向(MD)、法線方向すなわち厚さ方向(ND)、交差方向(TD)の座標軸も示す、本発明によるフィルムの一軸延伸の方法を示す概略図である。
【図9】さまざまな断面寸法の構造化表面を有する本発明の物品の端面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において前記第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)前記高分子本体の前記第1の表面に配置された線形幾何学的特徴を含む表面部分であって、前記線形幾何学的特徴が前記高分子フィルムの前記第1の面内軸に実質的に平行な方向で前記本体に配置されている表面部分と、
を含む、一軸配向構造化表面物品であって、
前記物品が、前記第1の面内軸の方向に少なくとも1.5の延伸比を有し、および前記第2の面内軸および前記第3の軸に沿った延伸比の大きいもの対小さいものの比が1.4以下であり、ならびに前記物品が、前記本体の厚さおよび前記幾何学的特徴の高さ全体にわたって実質的に同一の一軸配向を有する、一軸配向構造化表面物品。
【請求項2】
前記幾何学的特徴および前記本体の各々が厚さを有し、前記本体の厚さ対前記幾何学的特徴の高さの比が少なくとも2である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
複屈折性である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
正の複屈折性である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
負の複屈折性である、請求項3に記載の物品。
【請求項6】
0.3以下の相対的複屈折を有する、請求項3に記載の物品。
【請求項7】
前記高分子本体の前記第1の表面の複数の線形幾何学的特徴をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記複数の幾何学的特徴が前記第1の面内軸と実質的に整列されている、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記第1の面内軸に実質的に平行である方向で前記本体の前記第2の表面に配置された複数の第2の幾何学的特徴をさらに含む、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記一軸配向高分子フィルムが、(i)前記第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、(ii)前記第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、(iii)前記第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有し、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関して互いに実質的に等しい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項1】
(a)(i)第1および第2の表面と、(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸および高分子フィルムの厚さ方向において前記第1および第2の面内軸と相互に直交する第3の軸とを有する高分子本体と、
(b)前記高分子本体の前記第1の表面に配置された線形幾何学的特徴を含む表面部分であって、前記線形幾何学的特徴が前記高分子フィルムの前記第1の面内軸に実質的に平行な方向で前記本体に配置されている表面部分と、
を含む、一軸配向構造化表面物品であって、
前記物品が、前記第1の面内軸の方向に少なくとも1.5の延伸比を有し、および前記第2の面内軸および前記第3の軸に沿った延伸比の大きいもの対小さいものの比が1.4以下であり、ならびに前記物品が、前記本体の厚さおよび前記幾何学的特徴の高さ全体にわたって実質的に同一の一軸配向を有する、一軸配向構造化表面物品。
【請求項2】
前記幾何学的特徴および前記本体の各々が厚さを有し、前記本体の厚さ対前記幾何学的特徴の高さの比が少なくとも2である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
複屈折性である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
正の複屈折性である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
負の複屈折性である、請求項3に記載の物品。
【請求項6】
0.3以下の相対的複屈折を有する、請求項3に記載の物品。
【請求項7】
前記高分子本体の前記第1の表面の複数の線形幾何学的特徴をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記複数の幾何学的特徴が前記第1の面内軸と実質的に整列されている、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記第1の面内軸に実質的に平行である方向で前記本体の前記第2の表面に配置された複数の第2の幾何学的特徴をさらに含む、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記一軸配向高分子フィルムが、(i)前記第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、(ii)前記第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、(iii)前記第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有し、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関して互いに実質的に等しい、請求項1に記載のフィルム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図5S】
【図5T】
【図5U】
【図5V】
【図5W】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図5S】
【図5T】
【図5U】
【図5V】
【図5W】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−525849(P2008−525849A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548308(P2007−548308)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045367
【国際公開番号】WO2006/071547
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045367
【国際公開番号】WO2006/071547
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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