説明

樹脂分散体の製造方法及び樹脂粒子

【課題】 熱溶融して形成した塗膜の、被着体との接着性(密着性)が良好で、粒径が均一である樹脂粒子を含有する樹脂分散体および樹脂粒子を安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)の前駆体(b0)、または(b0)および有機溶剤からなる油性液(OL)とを混合し、(W)中に(b0)または油性液(OL)を分散させ、(W)中で(b0)を反応させて(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A)が付着された構造の樹脂粒子(C)の水性分散体(X1)を得る工程を含み、
樹脂(a)および樹脂(b)の少なくとも一方が、特定の一般式で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)、または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有することを特徴とする水性分散体(X1)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂分散体および樹脂粒子の製造方法、並びに樹脂粒子に関する。さらに詳しくは、各種用途に有用な樹脂粒子とその水性分散体の製造方法、並びに樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂粒子(A)の水性分散液中に、樹脂(b)又は樹脂(b)の前駆体(b0)を分散させ、前駆体(b0)を用いる場合前駆体(b0)を反応させて、樹脂粒子(A)の水性分散液中で、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A)が付着してなる構造の樹脂粒子(C)の水性分散体(X1)を得る方法、並びにこの水性分散体(X1)から水性媒体を除去して得た樹脂粒子(B)及び樹脂粒子(C)が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−284881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の樹脂粒子は、樹脂粒子を熱溶融して被着体(金属、紙又は木材等)に密着させる用途に適用する場合、被着体の種類によって、被着体に対する親和性が低くなることがあるという欠点を有する。このため、たとえば、樹脂粒子を塗料用添加剤として用いる場合、塗膜の被着体に対する密着性が低く、塗膜がはがれやすいことがある。また、トナーの母体粒子として用いた場合、紙への密着性が低く、低温定着時にオフセットが生じることがある。
本発明は、樹脂粒子を熱溶融して被着体(金属、紙又は木材等)に密着させる用途に適用する場合であっても、被着体との接着性(密着性)が良好で、粒径が均一である樹脂粒子を含有する樹脂分散体および樹脂粒子を安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、特定のエステル化触媒を用いて製造した樹脂を用いて樹脂粒子を製造することで、被着体との接着性(密着性)が向上することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記6発明である。
(I) 樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)の前駆体(b0)、または(b0)および有機溶剤からなる油性液(OL)とを混合し、(W)中に(b0)または油性液(OL)を分散させ、(W)中で(b0)を反応させて(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A)が付着された構造の樹脂粒子(C)の水性分散体(X1)を得る工程を含み、
樹脂(a)および樹脂(b)の少なくとも一方が、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)、または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有することを特徴とする水性分散体(X1)の製造方法。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
(II) 上記(I)の製造方法で得られた水性分散体(X1)中において、
付着している樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)から脱離させたのち水性分散体から(A)を分離除去して(B)の水性分散体(X2)を得る工程、または
(A)を溶解させ、必要により(A)の溶解物を分離除去して(B)の水性分散体(X2)を得る工程
を含む水性分散体(X2)の製造方法。
(III) 上記(I)の製造方法により得られた水性分散体(X1)から水性溶剤を除去して樹脂粒子(C)を得る工程、または
(II)の製造方法により得られた水性分散体(X2)から水性溶剤を除去して樹脂粒子(B)を得る工程を含む樹脂粒子の製造方法。
(IV) 上記(III)の製造方法により得られた樹脂粒子。
【0005】
(V) 樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)が、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の表面に付着されてなる構造の樹脂粒子(C)であり、
〔1〕[(A)の体積平均粒径/(C)の体積平均粒径]が0.001〜0.3であり、
〔2〕(A)の体積平均粒径が0.0005〜30μm、且つ(C)の体積平均粒径が0.1〜300μmであり、
〔3〕(B)の表面の5%以上が(A)で覆われており、
〔4〕(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が1.0〜1.5であり、
〔5〕(a)および(b)の少なくとも一方が、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有し、(a)および/または(b)が、必要により、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂および(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有することを特徴とする樹脂粒子。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
(VI) 下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有し、必要により、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂および(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有する樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)であり、
〔1〕(B)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が1.0〜1.5であり、
〔2〕(B)の体積平均粒径が0.1〜300μmであることを特徴とする樹脂粒子。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【発明の効果】
【0006】
本発明は以下の効果を有する。
1.樹脂粒子を熱溶融して被着体(金属、紙又は木材等)に密着させる用途に適用する場合であっても、被着体に対する親和性が高樹脂粒子を容易に製造することができる。
したがって、たとえば、本発明の製造方法によって得られる樹脂粒子を塗料用添加剤として用いる場合、塗膜の被着体に対する密着性に優れている。同様に、トナーの母体粒子として用いた場合、紙への密着性に優れ、低温定着時でもオフセットが生じることがない。
2.粒径が均一な樹脂粒子分散体および樹脂粒子を安定的に製造できる。
3.水性分散液中で樹脂粒子が得られるため、安全かつ低コストで樹脂粒子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を詳述する。
本発明は、樹脂粒子(A)に含有される樹脂(a)、樹脂粒子(B)に含有される樹脂(b)の少なくとも一方が、前記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)、またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有することを特徴とする。ポリエステル樹脂(p1)と樹脂(p2)はそれぞれ2種以上を併用してもよく、ポリエステル樹脂(p1)と樹脂(p2)を併用してもよい。また、ポリエステル樹脂(p1)または樹脂(p2)は、樹脂(a)、樹脂(b)のいずれに含有されても、本発明の効果が得られるが、少なくとも樹脂(b)に含有されるのが好ましい。
【0008】
チタン触媒(t)は、前記一般式(I)または(II)で表される化合物であり、2種以上を併用してもよい。
一般式(I)および(II)において、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基である。Xに含まれる窒素原子の数{1級、2級、および3級アミノ基の合計数}は、通常1〜2個、好ましくは1個である。
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなど)が挙げられる。
Xがポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基である場合、この2個の水酸基の酸素原子が、同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく{この場合mは1〜3の整数である}、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合、繰り返し数は2〜5である。6以上の場合、触媒活性が低下するため、オリゴマー成分(低分子量成分)が増え、たとえば、トナーのブロッキング性悪化の原因になる。
Xとして好ましいものは、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)、またはトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。これらRのうち好ましくは、水素原子、およびエーテル結合を含まない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、エチル基、およびイソプロピル基である。
【0009】
式(I)中、mは1〜4の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。nは0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。なお、環構造を形成しない場合、mとnの和は4である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
【0010】
本発明における、上記チタン触媒(t)のうち、一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタニウムテトラキス(モノエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の例としては、下記一般式(I−1)、(I−2)、または(I−3)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
【0011】
【化4】

【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
[式中、Q1およびQ6は水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5およびQ7〜Q9は炭素数1〜6のアルキレン基である。Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基である。]
一般式(II)で表されるものの具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の例としては、下記一般式(II−1)または(II−2)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
【0015】
【化7】

【0016】
【化8】

【0017】
[式中、Q1およびQ6は水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5は炭素数1〜6のアルキレン基である。]
【0018】
これらのチタン触媒のうちで好ましいものは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムテトラキス(エタノールアミネート)、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)の分子内もしくは分子間重縮合物〔下記(t1)および(t3)〕、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)の分子内重縮合物〔下記(t2)〕、およびこれらの混合物であり、さらに好ましくは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、それらの分子内重縮合物〔(t1)および(t2)〕、とくに(t1)である。
【0019】
【化9】

【0020】
【化10】

【0021】
【化11】

【0022】
これらのチタン触媒(t)は、例えば市販されているチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート)〔デュポン株式会社製タイザー(Tyzor)TEなど〕を、水存在下で70〜90℃にて反応させることで安定的に得ることができる。また、重縮合物は、更に100℃にて縮合水を減圧留去することで得ることができる。
【0023】
ポリエステル樹脂(p1)としては、ポリオールと、ポリカルボン酸、その酸無水物または低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)エステルとの重縮合物などが使用できる。ポリオールとしては、ジオール(1)および3〜8価のポリオール(2)等が用いられる。ポリカルボン酸、その酸無水物または低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(3)、3〜6価のポリカルボン酸(4)、これらの酸無水物および低級アルキルエステル等が用いられる。
ポリオールとポリカルボン酸の反応比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
【0024】
ジオール(1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);重量平均分子量{ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定される。以下、Mwと略する。}106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(AO)〔エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド(BO)など〕付加物(付加モル数2〜100)(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールのEO10モル付加物など);炭素数15〜30のビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)または炭素数6〜24のポリフェノール(例えば、カテコール、ハイドロキノンおよびレゾルシンなど)のAO付加物(付加モル数2〜100)(例えば、ビスフェノールA・EO2〜4モル付加物、ビスフェノールA・PO2〜4モル付加物など);Mw100〜5000のポリラクトンジオール(例えば、ポリε−カプロラクトンジオールなど);Mw1000〜20000のポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
これらのうち、アルキレングリコール(とくに、1,2−プロピレングリコール)およびビスフェノールのAO付加物が好ましく、さらに好ましくはビスフェノールのAO付加物、およびこれとアルキレングリコールとの混合物である。
【0025】
3〜8価のポリオール(2)としては、3〜8価、炭素数3〜8の脂肪族多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびソルビトールなど);重合度3〜50のノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜100)(フェノールノボラックPO2モル付加物、フェノールノボラックEO4モル付加物など);炭素数6〜30のポリフェノール(例えば、ピロガロール、フロログルシノールおよび1,2,4−ベンゼントリオールなど)のAO付加物(付加モル数2〜100)(ピロガロールEO4モル付加物など);および重合度20〜2000のアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマー(例えばスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合物など]などが挙げられる。
これらのうち、脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、さらに好ましくはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0026】
ジカルボン酸(3)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸およびオクタデカンジカルボン酸など);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸およびメサコン酸など);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えば、ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えば、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち、アルケンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
【0027】
3〜6価のポリカルボン酸(4)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸およびピロメリット酸など)などが挙げられる。
ジカルボン酸(3)または3〜6価のポリカルボン酸(4)の酸無水物としては、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステルおよびイソプロピルエステルなどが挙げられる。
【0028】
ポリエステル樹脂(p1)、または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定、以下Mnと略記)は、好ましくは1,000〜50万、さらに好ましくは2,000〜20万である。
(p1)および(p2)の融点(DSCにて測定される。以下同じである。)は、好ましくは0℃〜200℃、さらに好ましくは、35℃〜150℃である。
(p1)および(p2)のガラス転移温度(Tg)(DSCにて測定される。以下同じである。)は、好ましくは−60℃〜100℃、さらに好ましくは−30℃〜60℃である。
ポリエステル樹脂(p1)および樹脂(p2)のSP値(SP値はPolymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2 P.147〜154に記載された方法によって計算される。)は、好ましくは7〜18、さらに好ましくは8〜14である。
【0029】
ポリエステル樹脂(p1)は、チタン触媒(t)を用いること以外は、通常のポリエステルの製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、チタン触媒(t)の存在下、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧する(例えば130〜7000Pa)ことも有効である。
(t)の添加量としては、重合活性などの観点から、得られる重合体の重量に対して、好ましくは0.0001〜0.8重量%、さらに好ましくは0.0002〜0.6重量%、とくに好ましくは0.0015〜0.55重量%である。
また、チタン触媒(t)の触媒効果を損なわない範囲で他のエステル化触媒を併用することもできる。他のエステル化触媒の例としては、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキサイド)、三酸化アンチモン、チタン触媒(t)以外のチタン触媒(例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、およびテレフタル酸チタン)、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、ゲルマニウム含有触媒、アルカリ(土類)金属触媒(例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩:酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、および安息香酸カリウムなど)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの他のエステル化触媒の添加量としては、得られる重合体に対して、0〜0.6重量%が好ましい。0.6重量%以内とすると、ポリエステル樹脂の着色がさらに少なくなり、カラートナー用の母体粒子に用いるのに好ましくなる。他のエステル化触媒を用いる場合、チタン触媒(t)の含有量は、全触媒の重量に基づいて、50〜100重量%が好ましい。
【0030】
ポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)としては、(p1)と後述するポリイソシアネート(15)から得られるポリウレタン樹脂、(p1)と後述するポリエポキシド(18)から得られるエポキシ樹脂、(p1)と後述するポリアミン(16)から得られるポリアミド樹脂などがあげられる。
これら(p2)のうち好ましいものは、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂であり、さらに好ましいものは、ポリウレタン樹脂である。
樹脂(a)がポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有する場合、ポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)として好ましいものは、各種被着体との密着性が良好である点から、ポリエステル樹脂(p1)および/またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有するポリウレタン樹脂である。
樹脂(a)は、ポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)以外に、必要によりポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂およびポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有してもよく、水性分散液(W)を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂であっても使用できる。また、樹脂(a)には、上記の樹脂以外にもポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等を含有していてもよい。
【0031】
ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂について説明するが、他の樹脂についてもこれらの樹脂と同様にして使用できる。
ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合または共重合したポリマーである。重合には、公知の重合触媒等が使用できる。
ビニルモノマーとしては、下記(5)〜(14)等が挙げられる。
【0032】
(5)ビニル炭化水素:
(5−1)脂肪族ビニル炭化水素:炭素数2〜12のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセンおよび炭素数3〜24のα−オレフィン);炭素数4〜12のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエン)。
(5−2)脂環式ビニル炭化水素:炭素数6〜15のモノ−またはジ−シクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンおよびエチリデンビシクロヘプテン等)、炭素数5〜12のモノ−またはジ−シクロアルカジエン(例えば、(ジ)シクロペンタジエン等);およびテルペン(例えばピネン、リモネンおよびインデン等)等。
(5−3)芳香族ビニル炭化水素:スチレン;スチレンの炭化水素(炭素数1〜24の、アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンおよびトリビニルベンゼン);およびビニルナフタレン等。
【0033】
(6)カルボキシル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸(例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸および/またはメタクリル酸を表す。以下同様である。)、クロトン酸イソクロトン酸および桂皮酸);炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)(例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸およびメサコン酸);および炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜24)エステル(例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノオクタデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテルおよびシトラコン酸モノエイコシルエステル)等。
カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば、1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩、オクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩、ジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリブチルラウリルアンモニウム塩等)が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩の具体例としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
【0034】
(7)スルホ基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸およびメチルビニルスルホン酸);スチレンスルホン酸およびこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸);アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸);ポリ〔n(重合度、以下同様)=2〜30〕オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル、ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル];下記一般式(7−1)〜(7−3)で表される化合物;およびこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩と同様の塩等が用いられる。
【0035】
O(AO)nSO3

CH2=CHCH2OCH2CHCH2O−Ar−R (7−1)

CH2=CHCH3

R−Ar−O(AO)nSO3H (7−2)

CH2COOR’

HO3SCHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (7−3)
(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダム、ブロックおよび/またはこれらの混合である。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示し、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。)
【0036】
(8)ホスホノ基含有ビニルモノマーおよびその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートおよびフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸)。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩と同様の塩等が用いられる。
【0037】
(9)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
【0038】
(10)含窒素ビニルモノマー:
(10−1)アミノ基含有ビニルモノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等。
(10−2)アミド基(カルバモイル基)含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
(10−3)炭素数3〜10のニトリル基(シアノ基)含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等。
(10−4)4級アンモニウムカチオンを有する基(第4級アンモニオ基)を含有するビニルモノマー:
トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートクロライド、メチルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートブロマイド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドメトサルフェート、ベンジルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドカーボネート、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチルアリルアンモニウムクロライド等。
(10−5)炭素数8〜12のニトロ基含有ビニルモノマー:
ニトロスチレン等。
【0039】
(11)炭素数6〜18のエポキシ基含有ビニルモノマー:
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0040】
(12)炭素数2〜16のハロゲン原子含有ビニルモノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
【0041】
(13)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン:
(13−1)炭素数4〜16のビニルエステル、
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(数平均分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート[多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
(13−2)炭素数3〜16のビニル(チオ)エーテル、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン。
(13−3)炭素数4〜12のビニルケトン
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン。
(13−4)炭素数2〜16のビニルスルホン
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイド等。
【0042】
(14)その他のビニルモノマー:
イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
【0043】
ビニル樹脂のうち、ビニルモノマーを共重合したポリマー(ビニルモノマーの共重合体)としては、上記(5)〜(14)の任意のモノマー同士を、2元またはそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが用いらる。このようなポリマーとしては例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0044】
樹脂(a)は、水性分散液(W)中で樹脂粒子(A)として存在している必要があることから、少なくとも水性分散体(X1)を形成する条件下(5〜90℃が好ましい。)で、樹脂(a)は水に完全に溶解していないことが必要である。そのため、ビニル樹脂が共重合体である場合、ビニル樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類にもよるが、一般に疎水性モノマーが10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10重量%以下になるとビニル樹脂が水溶性になりやすく、樹脂粒子(C)の粒径均一性が損なわれることがある。
ここで、親水性モノマーとは、25℃の水100gに100g以上溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(25℃の水100gに100g以上溶解しないモノマー)をいう(以下の樹脂についても同じである。)。
【0045】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(1)および3〜8価のポリオール(2)]、前記ジカルボン酸(3)、前記3〜6価のポリカルボン酸(4)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物などが挙げられる。
重付加には、公知の重合触媒等が使用できる。
【0046】
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0047】
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−またはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン変性、カルボジイミド変性、アロファネート変性、ウレア変性、ビューレット変性、ウレトジオン変性、ウレトイミン変性、イソシアヌレート変性、またはオキサゾリドン変性による変性物などが挙げられる。変性物の具体例としては、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどおよびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0048】
ポリアミン(16)の例としては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン、炭素数4〜15の複素環式ポリアミン、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン、ポリアミドポリアミンおよびポリエーテルポリアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン
〔1〕炭素数2〜6の脂肪族ポリアミン
アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(アルキレンの炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕。
〔2〕脂肪族ポリアミンのアルキル(アルキルの炭素数1〜4)またはヒドロキシアルキル(アルキルの炭素数2〜4)置換体
ジアルキル(アルキルの炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど。
〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど。
〔4〕炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン
キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど。
炭素数4〜15の脂環式ポリアミン
1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など。
炭素数4〜15の複素環式ポリアミン
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど。
【0049】
炭素数6〜20の芳香族ポリアミン
〔1〕非置換芳香族ポリアミン
1,2−、1,3−または1,4−フェニレンジアミン、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど。
〔2〕核置換アルキル基〔炭素数1〜4のアルキル(メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなど)を有する芳香族ポリアミン〕
2,4−または2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物。
〔3〕核置換電子吸引基{ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)原子、アルコキシ(メトキシ、エトキシなど)基を有する芳香族ポリアミン}
メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキサイド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど。
〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ポリアミンの−NH2の一部または全部が−NH−R’(R’はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕
4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕
ポリアミドポリアミン:
ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど。
ポリエーテルポリアミン:
ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など。
【0050】
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0051】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と前記活性水素化合物(D)との重付加物、またはポリエポキシド(18)と前記ジカルボン酸(3)または3〜6価のポリカルボン酸(4)の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
【0052】
ポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から、分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、65〜1000が好ましく、さらに好ましいのは90〜500である。この範囲であると、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度がさらに良好となる。なお、エポキシ当量が65未満のポリエポキシドを合成するのは困難である。
【0053】
ポリエポキシド(18)の例としては、芳香族ポリエポキシド、複素環ポリエポキシド、脂環族ポリエポキシドおよび脂肪族ポリエポキシドが挙げられる。
芳香族ポリエポキシドとしては、多価フェノールのグリシジルエーテル、多価フェノールグリシジルエステル、グリシジル芳香族ポリアミン、およびアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0054】
多価フェノールのグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化物としては、P−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル等が挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物には、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとポリオールとを反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテルも含まれる。
【0055】
複素環ポリエポキシドとしては、トリスグリシジルメラミン等が挙げられる。
脂環族ポリエポキシドとしては、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステルおよび芳香族ポリエポキシドの核水添化物等が挙げられる。
脂肪族ポリエポキシドとしては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
【0056】
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステルとしては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ポリエポキシドには、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含まれる。
これらのうち、好ましいのは、脂肪族ポリエポキシドおよび芳香族ポリエポキシドであ
る。ポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0057】
ポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂の具体例としては、チタン触媒(t)を用いない点以外は、前述のポリエステル樹脂(p1)として例示したものと同様の原料から得られるものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0058】
本発明の製造方法において、樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)の前駆体(b0)または前駆体(b0)及び有機溶剤からなる油性液(OL)〔油性液(OL)中には、必要により、樹脂(b)を含んでいてもよい。〕とを混合し、水性分散液(W)中に前駆体(b0)または油性液(OL)を分散させて、前駆体(b0)を反応させて、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)が形成される際に、樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に吸着されるため、樹脂粒子(B)同士あるいは樹脂粒子(C)同士が合一しににくなる。また、このため、高剪断条件下においても、樹脂粒子(C)は分裂されにくくなる。このような現象により、樹脂粒子(C)の粒径は一定の値に収斂するようになり、結果として粒径の均一な樹脂粒子が得られる。そのため、樹脂粒子(A)は、前駆体(b0)等を分散する際の温度において、剪断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解したり、膨潤したりしにくいこと、前駆体(b0)または油性液(OL)に溶解したり、膨潤したりしにくいことが好ましい。
【0059】
樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、樹脂粒子(C)の粒径の均一性、粉体流動性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、0〜300℃が好ましく、さらに好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜200℃である。なお、水性分散体(X1)を作成する温度よりTgが低いと、合一を防止したり、分裂を防止したりする効果が小さくなり、粒径の均一性を高める効果が小さくなる。
【0060】
樹脂粒子(A)が水性溶剤{水と必要により有機溶剤(U)からなる溶剤}に対して、溶解したり、膨潤したりするのを低減する観点から、樹脂(a)の分子量、SP値、結晶性、架橋点間分子量等を適宜調整するのが好ましい。
【0061】
樹脂(a)のMnは、200〜500万が好ましく、さらに好ましくは2,000〜500,000である。また、樹脂(a)のSP値は、好ましくは7〜18、さらに好ましくは8〜14である。樹脂(a)の融点(DSCにて測定)は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。また、樹脂粒子(C)の耐熱性、耐水性、耐薬品性及び粒径の均一性等を向上させたい場合、樹脂(a)に、たとえば、3官能以上のモノマーを原料として用いて架橋構造を導入させてもよい。かかる架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。樹脂(a)に架橋構造を導入する場合の架橋点間分子量は、30以上が好ましく、さらに好ましくは50以上である。一方、樹脂粒子(B)から付着している樹脂粒子(A)を分離除去して樹脂粒子(B)の水性分散体(X2)を得る場合、樹脂(a)に架橋構造を導入しない方が好ましい。
【0062】
樹脂(a)を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)にする方法は、特に限定されないが、以下の〔1〕〜〔8〕が挙げられる。
〔1〕ビニル樹脂の場合、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法。
〔2〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤(U)溶液を適当な分散剤存在下で水性溶剤(水と必要により有機溶剤(U)からなる溶剤)中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして、前駆体を硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法。
〔3〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤(U)溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化した後、加熱したり、硬化剤を加えたりして前駆体を硬化させて、樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法。
〔4〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水性溶剤中に分散させて、樹脂粒子(A)の樹脂分散液を製造する方法。
【0063】
〔5〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤(U)に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水性溶剤中に分散させて、樹脂粒子(A)の樹脂分散液を製造する方法。
〔6〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤(U)に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ有機溶剤(U)に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、有機溶剤(U)を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水性溶剤中に分散させて、樹脂粒子(A)の樹脂分散液を製造する方法。
〔7〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤(U)に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性溶剤中に分散させ、これを加熱または減圧等によって有機溶剤(U)を除去して、樹脂粒子(A)の樹脂分散液を製造する方法。
〔8〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤(U)に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水性溶剤を加えて転相乳化して樹脂粒子(A)の樹脂分散液を製造する方法。
【0064】
上記〔1〕〜〔8〕の方法において、併用する乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(S)、水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として有機溶剤(U)、可塑剤(V)等を併用することができる。
【0065】
界面活性剤(S)としては、アニオン界面活性剤(S−1)、カチオン界面活性剤(S−2)、両性界面活性剤(S−3)、非イオン界面活性剤(S−4)などが挙げられる。界面活性剤(S)は2種以上の界面活性剤を併用したものであってもよい。
【0066】
アニオン界面活性剤(S−1)としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩が挙げられる。
【0067】
カルボン酸またはその塩としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはその塩が挙げられ、具体的にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸およびヤシ油、パーム核油、米ぬか油、牛脂などをケン化して得られる高級脂肪酸の混合物があげられる。塩としてはそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルカノールアミンなどの塩があげられる。
【0068】
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩の具体例としては、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩、オキソ法で合成されたアルコール(たとえばトリデカノール:協和発酵工業株式会社製、オキソコール1213、1215、1415:日産化学工業株式会社製、ドバノール23、25、45、ダイヤドール115−L、115H、135:三菱化学株式会社製)の硫酸エステル塩が挙げられる。
高級アルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩、オクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。
硫酸化油の具体例としては、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂、羊脂などの硫酸化物の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)等が挙げられる。
硫酸化脂肪酸エステルの具体例としては、オレイン酸ブチル、リシノレイン酸ブチルなどの硫酸化物の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)等が挙げられる。
硫酸化オレフィンの具体例としては、ティーポール(シェル社製)等が挙げられる。
【0069】
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩および炭素数8〜16の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩が挙げられる。
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、sec−トリデカノール23カルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、sec−トリデカノール23EO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩などが挙げられる。
【0070】
スルホン酸塩としては、(d1)アルキルベンゼンスルホン酸塩、(d2)アルキルナフタレンスルホン酸塩、(d3)スルホコハク酸ジエステル型、(d4)α−オレフィンスルホン酸塩(テーポール)、(d5)イゲポンT型、(d6)その他芳香環含有化合物のスルホン酸塩が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
アルキルナフタレンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホコハク酸ジエステル型の具体例としては、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩などが挙げられる。
その他芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノまたはジスルホン酸塩、スチレン化フェノールスルホン酸塩などが挙げられる。
【0071】
リン酸エステル塩としては、(e1)高級アルコールリン酸エステル塩および(e2)高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩が挙げられる。
【0072】
高級アルコールリン酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等が挙げれる。
高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩の具体例としては、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩が挙げられる。
【0073】
カチオン界面活性剤(S−2)としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型などが挙げられる。
【0074】
第4級アンモニウム塩型としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
【0075】
アミン塩型としては、1〜3級アミンを無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸など)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキル燐酸など)で中和することにより得られる。第1級アミン塩型としては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩;低級アミンの高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。第2級アミン塩型としては、脂肪族アミンのEO付加物などの無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。また、第3級アミン塩型としては、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂肪族アミンのEO(2モル以上)付加物、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩または有機酸塩等が挙げれる。
【0076】
両性界面活性剤(S−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0077】
カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられる。アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持っている両性界面活性剤で、例えば、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは1または2;mは1または2;Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど);グリシン型両性界面活性剤(ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩など)などが挙げられる。
【0078】
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤で、例えば、アルキルジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど)、アミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、アルキルジヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)などが挙げられる。
【0079】
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0080】
非イオン界面活性剤(S−4)としては、AO付加型非イオン界面活性剤および多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0081】
AO付加型非イオン界面活性剤は、高級アルコ−ル、高級脂肪酸またはアルキルアミン等に直接AOを付加させるか、グリコ−ルにAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ−ルに高級脂肪酸などを反応させるか、あるいは多価アルコ−ルと高級脂肪酸とを反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
【0082】
AOのうち好ましいものは、EOおよびEOとPOのランダムまたはブロック付加物である。
AOの付加モル数としては10〜50モルが好ましく、該AOのうち50〜100重量%がEOであるものが好ましい。
【0083】
AO付加型非イオン界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンアルキルエ−テル(例えば、オクチルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO付加物、ステアリルアルコールEO付加物、オレイルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO・POブロック付加物など);ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(例えば、ステアリル酸EO付加物、ラウリル酸EO付加物など);ポリオキシアルキレン多価アルコ−ル高級脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのオレイン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのステアリン酸ジエステルなど);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ−テル(例えば、ノニルフェノールEO付加物、ノニルフェノールEO・POブロック付加物、オクチルフェノールEO付加物、ビスフェノールA・EO付加物、ジノニルフェノールEO付加物、スチレン化フェノールEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエ−テルおよび(例えば、ラウリルアミンEO付加物,ステアリルアミンEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアルカノ−ルアミド(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物など)が挙げられる。
【0084】
多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルAO付加物が挙げられる。
【0085】
多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート、ショ糖モノステアレートなどが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物の具体例としては、エチレングリコールモノオレートEO付加物、エチレングリコールモノステアレートEO付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO・POランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO付加物、ソルビタンモノステアレートEO付加物、ソルビタンジステアレートEO付加物、ソルビタンジラウレートEO・POランダム付加物などが挙げられる。
【0086】
多価アルコールアルキルエーテルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド、ラウリルグリコシドなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物の具体例としては、ソルビタンモノステアリルエーテルEO付加物、メチルグリコシドEO・POランダム付加物、ラウリルグリコシドEO付加物、ステアリルグリコシドEO・POランダム付加物などが挙げられる。
【0087】
水溶性ポリマー(T)としては、セルロース化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
【0088】
有機溶剤(U)は、樹脂(a)の乳化分散の際に必要に応じて水性溶剤中に加えてもよいし、被乳化分散体中[前躯体(b0)を含む油性液(OL)中]に加えてもよい。
有機溶剤(U)の具体例としては、芳香族炭化水素溶剤{トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等};脂肪族または脂環式炭化水素溶剤{n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等};ハロゲン溶剤{塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなど};エステルまたはエステルエーテル溶剤{酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなど};エーテル溶剤{ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど};ケトン溶剤{アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなど};アルコール溶剤{メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなど};アミド溶剤{ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど};スルホキシド溶剤{ジメチルスルホキシドなど};複素環式化合物溶剤{N−メチルピロリドンなど}ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。なお、前記水性溶剤中に用いる有機溶剤(U)としては、これらのうち、25℃で水と任意の割合で混和する溶剤{アセトン及びメタノール等}が好ましい。
【0089】
可塑剤(V)は、樹脂(a)の乳化分散の際に必要に応じて水性溶剤中に加えてもよいし、被乳化分散体中[前駆体(b0)または油性液(OL)中]に加えてもよい。
可塑剤(V)としては、何ら限定されず、(V1)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];(V2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];(V3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];(V4)燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];(V5)脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];(V6)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0090】
樹脂粒子(A)の粒径は、通常、樹脂粒子(B)の粒径よりも小さくなり、得られる樹脂粒子(C)又は(B)の粒径の均一性の観点から、粒径比[樹脂粒子(A)の体積平均粒径/樹脂粒子(C)の体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。粒径比の下限はさらに好ましくは0.003、特に好ましくは0.005であり、上限はさらに好ましくは0.25、特に好ましくは0.1である。かかる粒径比が、0.3より大きいと樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に効率よく吸着しないため、得られる樹脂粒子(C)の粒度分布が広くなる傾向がある。
【0091】
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、所望の粒径の樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、0.0005〜30μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは20μm、特に好ましくは10μm、最も好ましくは2μmであり、下限は、さらに好ましくは0.01μm、特に好ましくは0.02μm、最も好ましくは0.04μmである。ただし、例えば、体積平均粒径1μmの樹脂粒子(C)を得たい場合、好ましくは0.0005〜0.3μm、特に好ましくは0.001〜0.2μmの範囲、10μmの樹脂粒子(C)を得たい場合、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.04〜2μm、最も好ましくは0.05〜1μm、100μmの樹脂粒子(C)を得たい場合、好ましくは0.05〜30μm、特に好ましくは0.1〜20μmである。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置{たとえば、LA−920(株式会社堀場製作所製)}やコールターカウンター〔例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)〕で測定できる。
なお、上記粒径比が得やすいことから、後述する樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、0.1〜300μmが好ましい。この上限は、さらに好ましくは250μm、特に好ましくは200μm、最も好ましくは20μmであり、下限は、さらに好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μm、最も好ましくは4μmである。
【0092】
樹脂(b)は、ポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有することが好ましいが、前述のように、樹脂(a)および樹脂(b)の少なくとも一方が、前記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有すればよいので、樹脂(a)がポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有する場合、樹脂(b)にはポリエステル樹脂(p1)または樹脂(p2)を含有しなくてもよい。
樹脂(b)がポリエステル樹脂(p1)を構成単位として含有する場合、該樹脂(b)の前駆体(b0)はポリエステル樹脂(p1)を構成単位として含有する。
樹脂(b)がポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有する場合、ポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)として好ましいものは、ポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有するポリウレタン樹脂である。
樹脂(b)は、ポリエステル樹脂(p1)と樹脂(p2)以外に、必要により、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂およびポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有してもよい。その具体例については、樹脂(a)と同様のものが使用できる。なお、樹脂(b)中には、必要により樹脂(b)の前躯体(b0)を反応させて得られる樹脂以外の樹脂{後述するデットポリマー等}が含まれていてもよい。
樹脂(b)中に含有されるポリエステル樹脂(p1)および樹脂(p2)以外の樹脂は、用途・目的に応じて適宜好ましいもの選択することができる。一般に好ましいものは、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、およびポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂、さらに好ましくはビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂およびそれらの混合物である。
【0093】
樹脂(b)のMn、融点、Tg、SP値は、樹脂粒子(C)又は樹脂粒子(B)の用途によって好ましい範囲に適宜調整すればよい。例えば、樹脂粒子(C)、樹脂粒子(B)をスラッシュ成形用樹脂、粉体塗料として用いる場合、樹脂(b)のMnは、2,000〜50万が好ましく、さらに好ましくは4,000〜20万である。樹脂(b)の融点は、0〜200℃が好ましく、さらに好ましくは、35〜150℃である。樹脂(b)のTgは、−60〜100℃が好ましく、さらに好ましくは、−30〜60℃である。樹脂(b)のSP値は、7〜18が好ましく、さらに好ましくは8〜14である。
樹脂粒子(C)又は樹脂粒子(B)を電子部品(液晶ディスプレイ等)製造用スペーサー、電子測定機の標準粒子として用いる場合、樹脂(b)のMnは、2万〜1,000万が好ましく、さらに好ましくは4万〜200万である。樹脂(b)の融点は、40〜300℃が好ましく、さらに好ましくは、70〜250℃である。樹脂(b)のTgは、−0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは、50〜200℃である。樹脂(b)のSP値は、8〜18が好ましく、さらに好ましくは9〜14である。
樹脂粒子(C)または樹脂粒子(B)をトナーの母体粒子{電子写真、静電記録、静電印刷などに使用されるトナーの母体粒子}として用いる場合、樹脂(b)のMnは、1,000〜500万が好ましく、さらに好ましくは2,000〜50万である。樹脂(b)の融点は、20〜300℃が好ましく、さらに好ましくは、80〜250℃である。樹脂(b)のTgは、20〜200℃が好ましく、さらに好ましくは、40〜100℃である。樹脂(b)のSP値は、8〜16が好ましく、さらに好ましくは9〜14である。
【0094】
本発明の製造方法においては、樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)の前駆体(b0)または前駆体(b0)及び有機溶剤からなる油性液(OL)〔油性液(OL)中に、必要により、樹脂(b)を含んでいてもよい。〕とを混合し、水性分散液(W)中に前駆体(b0)または油性液(OL)を分散させて、さらに、前駆体(b0)を反応させて、樹脂粒子(A)の水性分散液中で、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A)が付着してなる構造の樹脂粒子(C)の水性分散体(X1)を得る。
【0095】
樹脂(b)の前駆体(b0)、または前駆体(b0)及び有機溶剤からなる油性液(OL)を水性分散液(W)に分散させる際、分散装置を用いることができる。
分散装置としては、一般に乳化機や、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、バッチ式乳化機{ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)等}、連続式乳化機{エバラマイルダー(株式会社荏原製作所製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(サンテック株式会社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工株式会社製)等}、高圧乳化機{マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社製)、ナノマイザー(エス・ジーエンジニアリング株式会社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等}、膜乳化機{膜乳化機(冷化工業株式会社製)等}、振動式乳化機{バイブロミキサー(冷化工業株式会社製)等}、超音波乳化機{超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等}等が挙げられる。これらのうち、粒径の均一化の観点で好ましいものは、バッチ式乳化機、連続式乳化機、高圧乳化機、さらに好ましくはAPVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーである。
【0096】
樹脂(b)の前駆体(b0)を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)に分散させる際、前駆体(b0)は液体であることが好ましい。前駆体(b0)が常温で固体である場合、前駆体(b0)の融点以上の温度で分散させてもよい。
樹脂(b)の前駆体(b0)または前駆体(b0)及び有機溶剤からなる油性液(OL)の粘度は、粒径均一性の観点から、好ましくは10〜5万mPa・s(B型粘度計で測定、分散時の温度)、さらに好ましくは100〜1万mPa・sである。
分散時の温度としては、0〜150℃(加圧下)が好ましく、さらに好ましくは5〜98℃である。上記の粘度が高い場合、温度を上げて粘度を上記好ましい範囲まで低下させて、乳化分散を行うことが好ましい。
油性液(OL)に用いる有機溶剤は、前駆体(b0)を25℃〜分散時の温度で溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、具体的には、有機溶剤(U)と同様のものが例示される。好ましいものは前駆体(b0)から得られる樹脂(b)の種類によって異なるが、樹脂(b)とのSP値差が3以下であるのが好適である。また、樹脂粒子(C)の粒径均一性の観点からは、樹脂(b)を溶解させるが、樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)を溶解・膨潤させにくい溶剤が好ましい。
【0097】
樹脂(b)の前駆体(b0)としては、化学反応により樹脂(b)になりうるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂(b)がビニル樹脂である場合、前駆体(b0)は、先述のビニルモノマー(単独で用いても、混合して用いてもよい)が挙げられる。また、樹脂(b)が縮合樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびポリエステル樹脂)である場合、前駆体(b0)は、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが例示される。
【0098】
ビニルモノマーを前駆体(b0)として用いた場合、前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)にする方法としては、例えば、油溶性開始剤、ビニルモノマーおよび必要により有機溶剤(U)を水溶性ポリマー(T)存在下、樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる懸濁重合法);ビニルモノマーおよび必要により有機溶剤(U)を乳化剤(界面活性剤(S)と同様のものが例示される)、水溶性開始剤を含む樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に乳化させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる乳化重合法)等が挙げられる。
なお、ポリエステル樹脂(p1)の有する官能基(水酸基、カルボキシル基等)と反応可能な官能基を有するビニルモノマーを用い、予めポリエステル樹脂(p1)と反応させることにより、ポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有するビニル樹脂を得ることができる。
【0099】
上記油溶性または水溶性開始剤としては、パーオキサイド系重合開始剤(I)、アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
【0100】
(I)パーオキサイド系重合開始剤
(I−1)油溶性パーオキサイド系重合開始剤:アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド等。
(I−2)水溶性パーオキサイド系重合開始剤:過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等。
【0101】
(II)アゾ系重合開始剤:
(II−1)油溶性アゾ系重合開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等。
(II−2)水溶性アゾ系重合開始剤:アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等。
【0102】
(III)レドックス系重合開始剤
(III−1)非水系レドックス系重合開始剤:油溶性過酸化物{ヒドロペルオキサイド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル等}と、油溶性還元剤{第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素、ジエチル亜鉛等)等}との組合せなど。
(III−2)水系レドックス系重合開始剤:水溶性過酸化物{過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキサイド等}と、水溶性の無機もしくは有機還元剤(2価鉄塩、亜硫酸水素ナトリウム、アルコール、ポリアミン等)との組合せなど。
【0103】
前駆体(b0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いることもできる。ここで「反応性基」とは硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。樹脂(b)がポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する場合、前駆体(b0)のうち、プレポリマー(α)がポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有することが好ましい。
この場合、前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)を形成する方法としては、反応性基含有プレポリマー(α)、硬化剤(β)および必要により有機溶剤(U)を、樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させて樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)またはその溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)またはその溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)に分散させることで水と反応させて、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させる方法等が例示できる。
【0104】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記〔1〕、〔2〕などが挙げられる。
〔1〕:反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素化合物(β1)であるという組み合わせ。
〔2〕:反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)であるという組み合わせ。
これらのうち、水性溶剤中での反応率の観点から、〔1〕の組合せがより好ましい。
上記組合せ〔1〕において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基)(α1d)および酸ハライド基(ハロカルボニル基)(α1e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α1a)、(α1b)および(α1c)であり、特に好ましいものは、(α1a)および(α1b)である。
ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。上記ブロック化剤としては、オキシム[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等];ラクタム[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール[エタノール、メタノール、オクタノール等];フェノール[フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド、2−メルカプトピリジン等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシムであり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0105】
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)およびポリウレタン(αz)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(αx)、(αy)および(αz)であり、特に好ましいものは(αx)および(αz)である。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、前述のポリエステル樹脂(p1)および/またはポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物等)などが挙げらる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物などが挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(1)および/または3〜8価のポリオール(2)とポリイソシアネート(15)との重付加物、ポリエステル(αx)とポリイソシアネート(15)の重付加物などが挙げられる。
【0106】
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)、ポリウレタン(αz)などに反応性基を含有させる方法としては、次の2つの方法等が挙げられる。
〔1〕:二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法。
〔2〕:二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した該官能基と反応可能な官能基および反応性基を含有する化合物とを反応させる方法。
上記方法〔1〕では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基(ハロカルボニル基)含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーなどが得られる。
二以上の構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、2/1〜1.01/1が好ましく、さらに好ましくは1.5/1〜1.01/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
上記方法〔2〕では、上記方法〔1〕で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキサイドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、カルボニル基を4以上有する酸無水物を反応させることで酸無水物基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基)含有プレポリマーが得られる。
官能基および反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1.01/1が好ましく、さらに好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0107】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。
反応性基含有プレポリマー(α)のMnは、500〜30,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、1,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは2,000〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、2,000ポイズ以下が好ましく、さらに好ましくは1,000ポイズ以下である。2,000ポイズ以下にすることで粒度分布のシャープな樹脂粒子(C)が得られる点で好ましい。
【0108】
活性水素化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)および水(β1d)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β1a)、(β1b)および(β1d)であり、さらに好ましいもは、(β1a)および(β1d)であり、特に好ましいもは、ブロック化されたポリアミンおよび(β1d)である。
ポリアミン(β1a)としては、ポリアミン(16)と同様のものが例示される。これらのうち、好ましいものは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびそれらの混合物である。
【0109】
ポリアミン(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合、この例としては、前記ポリアミンと炭素数3〜8のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン、炭素数2〜8のアルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン、エナミン、およびオキサゾリジンなどが挙げられる。
【0110】
ポリオール(β1b)としては、前記のジオール(1)および3〜8価のポリオール(2)と同様のものが例示される。ジオール(1)単独、またはジオール(1)と少量のポリオール(2)の混合物が好ましい。
ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0111】
必要により、活性水素化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を活性水素化合物(β1)と一定の比率で併用することにより、樹脂(b)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなど);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネートなど);モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0112】
上記組合せ〔2〕における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)およびそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α2a)、(α2b)およびアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)であり、特に好ましいものは、(α2b)である。なお、アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
【0113】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)およびポリ酸ハライド(β2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β2a)および(β2b)であり、さらに好ましいものは、(β2a)である。
【0114】
ポリイソシアネート(β2a)としては、ポリイソシアネート(15)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシド(18)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0115】
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)および3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、(β2c−1)単独、および(β2c−1)と少量の(β2c−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(β2c−1)としては、前記ジカルボン酸(3)と、ポリカルボン酸としては、前記3〜6価のポリカルボン酸(4)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0116】
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。
ポリ酸ハライド(β2e)としては、前記(β2c)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)などが挙げられる。
さらに、必要により(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
【0117】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、1/2〜2/1が好ましく、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0118】
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)からなる前駆体(b0)を水性溶剤中で反応させて得られた樹脂(b)が樹脂粒子(B)および樹脂粒子(C)の構成成分となる。反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させた樹脂(b)のMwは、3,000以上が好ましく、さらに好ましくは3,000〜1000万、特に好ましくは,5000〜100万である。
【0119】
また、水性分散液(W)中において、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との反応時に、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることもできる。この場合樹脂(b)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させて得られた樹脂と、デットポリマーとの混合物となる。
デッドポリマーとしては、ビニル樹脂およびポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がさらに好ましく、ポリエステル樹脂(p1)がとくに好ましい。
樹脂(b)中のデッドポリマー〔前躯体(b0)が反応して得られた樹脂以外のポリマー〕の含有量は、好ましくは0〜80重量%、さらに好ましくは5〜70重量%である。
【0120】
樹脂粒子(A)および/または樹脂粒子(B)中に他の添加物(顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)を混合しても差し支えない。樹脂粒子(A)または樹脂粒子(B)中に他の添加物する方法としては、水性分散液(W)中で水性分散体(X1)を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ樹脂(a)または樹脂(b)の前躯体(b0)と添加物とを混合した後、水性分散液(W)中にその混合物を加えて分散させることがより好ましい。
また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水性分散液(W)中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない樹脂粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、有機溶剤(U)および/または可塑剤(V)とともに上記添加物を樹脂粒子に含浸させることもできる。
【0121】
樹脂(b)100重量部に対する水性分散液(W)の使用量は、50〜2,000重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上では樹脂(b)の分散状態が良好である。2,000重量部以下であると経済的である。
【0122】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせによる反応性により選択されるが、好ましくは10分〜40時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、0〜150℃が好ましく、さらに好ましくは50〜120℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えばイソシアネートと活性水素化合物の反応の場合には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0123】
樹脂粒子(C)は、水性分散体(X1)から水性溶剤を除去することにより得られる。水性溶剤を除去する方法としては、以下の方法等が例示される。
〔1〕水性分散体(X1)を減圧下または大気圧下で乾燥する方法。
〔2〕遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより、水性分散体(X1)を固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法。
〔3〕水性分散体(X1)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)。
上記〔1〕または〔2〕の方法において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0124】
樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)との付着力を強めたいとき、水性分散液(W)中に前駆体(b0)又は油性液(OL)を分散した際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにしたり、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が同一の電荷持つ場合、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)と逆電荷をもつ界面活性剤(S)または水溶性ポリマー(T)を使用したり、樹脂(a)と樹脂(b)とのSP値差を2以下にしたりすることが有効である。
【0125】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、保存安定性等の観点から、樹脂粒子(C)は、0.1〜50(好ましくは0.2〜40)重量%の樹脂粒子(A)と50〜99.9(好ましくは60〜99.8)重量%の樹脂粒子(B)とから構成されることが好ましい。
【0126】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性、保存安定性等の観点から、樹脂粒子(B)の表面の5(好ましくは30、さらに好ましくは80)%以上が樹脂粒子(A)で覆われているのが好ましい。なお、表面被覆率は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)=(SA)×100/(SA)+(SB)
(SA):樹脂粒子(A)に覆われている部分の面積
(SB):樹脂粒子(B)が露出している部分の面積
【0127】
粒径均一性から、樹脂粒子(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]は、1.0〜1.5が好ましく、さらに好ましくは1.0〜1.45、特に好ましくは1.05〜1.2である。
樹脂粒子(C)の体積平均粒径は、用途により異なるが、0.1〜300μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは250μm、特に好ましくは200μm、最も好ましくは20μmであり、下限は、さらに好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μm、最も好ましくは4μmである。
なお、体積平均粒径および個数平均粒径は、コールターカウンターで同時に測定することができる。
【0128】
樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)との粒径、および、樹脂粒子(A)による樹脂粒子(B)表面の被覆率を変えることで粒子表面に所望の凹凸を付与することができる。
粉体流動性を向上させたい場合、樹脂粒子(C)のBET値比表面積が0.5〜5.0m2/gであるのが好ましい。BET比表面積は、比表面積計、例えばQUANTASORB(ユアサアイオニクス製)を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1vol%、検量ガス:窒素)することができる。
同様に粉体流動性の観点から、樹脂粒子(C)の表面平均中心線粗さRaが0.01〜0.8μmであるのが好ましい。Raは、粗さ曲線とその中心線との偏差の絶対値を算術平均した値のことであり、例えば、走査型プローブ顕微鏡システム(東陽テクニカ製)で測定することができる。
【0129】
樹脂粒子(C)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましい。その場合、樹脂粒子(A)および樹脂粒子(B)も球状であるのが好ましい。樹脂粒子(C)はWadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましく、さらに好ましくは0.90〜1.00である。なお、Wadellの実用球形度は、粒子の投影面積に等しい面積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小面積の円との直径の比から求められる。粒子の投影像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影することができる。
【0130】
樹脂粒子(B)の水性分散体(X2)は、水性分散体(X1)中において、樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)から脱離させた後、該水性分散体から樹脂粒子(A)を分離除去したり、または水性分散体(X1)中において、樹脂粒子(B)を溶解させることなく樹脂粒子(A)を溶解させたりして得られる。樹脂粒子(A)の溶解物は必要に応じて分離除去してもよい。
さらに、この水性分散体(X2)から水性溶剤を除去することにより樹脂粒子(B)が得られる。水性溶剤の除去方法としては、樹脂粒子(C)の場合と同様の方法が例示される。
水性分散体(X1)中において、付着している樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)から脱離させる方法としては、次の方法等が例示できる。
〔1〕水性分散体(X1)を超音波処理する方法。
〔2〕水性分散体(X1)を大量の水または水溶性有機溶剤{メタノール、エタノールもしくはアセトン等}で希釈し、攪拌により剪断を与える方法。
〔3〕水性分散体(X1)に酸、アルカリまたは無機塩等を添加し、攪拌により剪断を与える方法。
〔4〕水性分散体(X1)を加熱し、攪拌により剪断を与える方法。
〔5〕水性分散体(X1)に有機溶剤を含む場合に、有機溶剤を留去する方法。
【0131】
水性分散体(X1)中において、樹脂粒子(A)を溶解させる方法としては、次の方法等が例示できる。
〔1〕樹脂(a)がカルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合、水性分散体(X1)中に塩基{水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、DBU等}またはそれらの水溶液を加える方法。
〔2〕樹脂(a)が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニオ基等の塩基性官能基を有する樹脂(一般に塩基性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合、水性分散体(X1)中に酸{塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等}またはそれらの水溶液を加える方法。
〔3〕樹脂(a)が、特定の有機溶剤(U)に溶解する場合{一般に樹脂(a)と有機溶剤(U)のSP値の差が2.5以下であるのが好ましい}に、水性分散体(X1)中に特定の有機溶剤(U)を加える方法。
【0132】
水性分散体から樹脂粒子(A)またはその溶解物を分離除去する方法としては、以下の方法が例示できる。
〔1〕一定の目開きを有する濾紙、濾布、メッシュ等を用いて濾過し、樹脂粒子(B)のみを濾別する方法。
〔2〕遠心分離により樹脂粒子(B)のみを沈降させ、上澄み中に含まれる樹脂粒子(A)またはその溶解物を除去する方法。
【0133】
樹脂粒子(A)の樹脂粒子(B)に対する粒径比、および、水性分散体(X1)中における樹脂粒子(A)による樹脂粒子(B)表面の被覆率、水性分散体(X1)中における樹脂粒子(B)/水性溶剤界面上で樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)側に埋め込まれている深さ、を変えることにより、樹脂粒子(B)の表面を平滑にしたり、表面に所望の凹凸を付与したりすることができる。
樹脂粒子(A)による樹脂粒子(B)表面の被覆率や、樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)側に埋め込まれている深さは、以下のような方法で制御することができる。
〔1〕水性分散体(X1)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)とが正負逆の電荷を持つようにすると被覆率、深さが大きくなる。この場合、樹脂粒子(A)、樹脂粒子(B)各々の電荷を大きくするほど、被覆率、深さが大きくなる。
〔2〕水性分散体(X1)を製造する際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)とが同極性(どちらも正、またはどちらも負)の電荷を持つようにすると、被覆率は下がり、深さが小さくなる傾向にある。この場合、一般に界面活性剤(S)および/または水溶性ポリマー(T)[特に樹脂粒子(A)および樹脂粒子(B)と逆電荷を有するもの]を使用すると被覆率が上がる。また、水溶性ポリマー(T)を使用する場合には、水溶性ポリマー(T)の分子量が大きいほど深さが小さくなる。
〔3〕水性分散体(X1)を製造する際に、樹脂(a)がカルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基等の酸性官能基を有する樹脂(一般に酸性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性溶剤のpHが低いほど被覆率、深さが大きくなる。逆に、pHを高くするほど被覆率、深さが小さくなる。
〔4〕水性分散体(X1)を製造する際に、樹脂(a)が1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニオ基等の塩基性官能基を有する樹脂(一般に塩基性官能基1個当たりの分子量が1,000以下であるのが好ましい)である場合に、水性溶剤のpHが高いほど被覆率、深さが大きくなる。逆に、pHを低くするほど被覆率、深さが小さくなる。
〔5〕樹脂(a)と樹脂(b)とのSP値差を小さくするほど被覆率、深さが大きくなる。
【0134】
樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、用いられる用途により異なるが、0.1〜300μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは250μm、特に好ましくは200μm、最も好ましくは20μmであり、下限は、さらに好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μm、最も好ましくは4μmである。また、粒径均一性から、樹脂粒子(B)の[体積平均粒径/個数平均粒径]は、1.0〜1.5であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0〜1.45、特に好ましくは1.05〜1.15である。
【0135】
粉体流動性を向上させたい場合には、樹脂粒子(B)のBET値比表面積を0.5〜5.0m2/gとすることが好ましく、表面平均中心線粗さRaを0.01〜0.8μmとすることが好ましい。
樹脂粒子(B)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましく、Wadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましく、より好ましくは0.90〜1.00である。
【実施例】
【0136】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において、「部」は重量部、「%」は重量%を意味する。
【0137】
実施例における樹脂物性の測定条件は、以下のとおりである。
1.ガラス転移温度(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/5803.
2.酸価および水酸基価
JIS K0070−1992に規定の方法。
【0138】
3.MnおよびMw
ポリウレタン樹脂以外の樹脂{ポリエステル樹脂を含む}のMnおよびMwは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : 東ソー製 HLC−8120
カラム : TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点 (分子量 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000 4480000)
また、ポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて以下の条件で測定した。
装置 : 東ソー製 HLC−8220GPC
カラム : Guardcolumn α
TSKgel α−M
流量 : 1ml/分
試料溶液 : 0.125%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量 : 100μl
温度 : 40℃
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
【0139】
4.体積平均粒径および粒度分布
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した{1%のイオン交換水の分散液、25℃}。
樹脂粒子(B)及び樹脂粒子(C)の体積平均粒径及び粒度分布{体積平均粒径/個数平均粒径}は、コールカウンター{マルチサイザーIII、コールター社製}で測定した{0.5%のイオン交換水の分散液、25℃}。
【0140】
<製造例1>
[チタン触媒(t)の合成]
冷却管、撹拌機および液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。さらに、100℃にて2時間、400Paの減圧下で反応(脱水縮合)させることで、分子内重縮合物(t1)を得た。
本発明に用いる他のチタン触媒(t)についても、同様の合成法にて得ることができる。
【0141】
<製造例2>
[アミン硬化エポキシ樹脂水性分散液[樹脂粒子(A−1)分散体]の合成]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、スチレン化フェノールEO付加物(エレミノールHB−12、三洋化成工業株式会社製)48部とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828、油化シェル社製)232部を投入し、40℃で均一に溶解させた。次いで、40℃で、攪拌下で反応容器に水を滴下した。水を30部投入したところで、反応容器内が乳白色に乳化した。さらに水を225部滴下し、乳濁液を得た。この乳濁液を加熱して70℃まで昇温した後、乳濁液を70℃に維持したまま、エチレンジアミン20部及び水446部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間、反応・熟成してアミン硬化エポキシ樹脂水性分散液[樹脂粒子(A−1)分散体]を得た。
[樹脂粒子(A−1)分散体]の体積平均粒径は、0.85μmであった。また、樹脂粒子(A−1)分散体の一部を遠心分離し、さらに樹脂粒子(A−1)に対して10倍重量の水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、乾燥{40℃×12時間}して{樹脂粒子(A−1)}を単離した。樹脂粒子(A−1)のTg(DSCで測定)は118℃であった。
【0142】
<製造例3>
[ビニル樹脂の水性分散体[樹脂粒子(A−2)分散体]の合成]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水682部、メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、25℃、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散体[樹脂粒子(A−2)分散体]を得た。
[樹脂粒子(A−2)分散体]の体積平均粒径は、0.10μmであった。また、[樹脂粒子(A−2)分散体]の一部を乾燥して樹脂粒子(A−2)を単離した。樹脂粒子(A−2)のTgは148℃であった。
【0143】
<製造例4>
[[ウレタンプレポリマー1]の水伸長反応物と[ポリエステル樹脂p1−2]との混合物からなる[樹脂粒子(A−3)分散体]の合成]
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物681部、ビスフェノールA・PO2モル付加物81部、テレフタル酸275部、アジピン酸7部、無水トリメリット酸22部、重縮合触媒として製造例1で得たチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2部を投入し、大気圧下、230℃で5時間脱水反応を行った後、400Paの減圧下で5時間脱水反応を行い、[ポリエステル樹脂p1−1]を得た。[ポリエステル樹脂p1−1]は、Tg54℃、Mn2200、Mw9500、酸価0.8、水酸基価53であった。
【0144】
オートクレーブに、上記[ポリエステル樹脂p1−1]407部、IPDI54部、酢酸エチル485部を投入し、密閉状態で100℃、8時間反応を行い、ポリエステル樹脂(p1−1)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー1]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー1]の溶液のNCO含量は0.8%であった。
【0145】
一方、上記と同様にビスフェノールA・EO2モル付加物570部、テレフタル酸217部、重縮合触媒として製造例1で得たチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2部を大気圧下、230℃で8時間重縮合し、Mn2400、水酸基価51、酸価5の[ポリエステル樹脂p1−2]を得た。
[ウレタンプレポリマー1]の溶液400部と[ポリエステル樹脂p1−2]800部とを酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、[樹脂溶液1]を得た。[樹脂溶液1]の一部を減圧乾燥{1300Pa、40℃、8時間}し、樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは55℃であった。
【0146】
ビーカー内に、水500部、ノニルフェノールEO14モル付加物(ノニポール200、三洋化成工業株式会社製)4部を入れ均一に溶解した。TK式ホモミキサーで18,000rpmに撹拌しながら、[樹脂溶液1]を投入し15分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付の反応容器に移し、昇温して酢酸エチルを留去し、さらに98℃まで昇温して5時間反応させて、[ウレタンプレポリマー1]の水伸長反応物と[ポリエステル樹脂p1−2]の混合物からなる[樹脂粒子(A−3)分散体]を得た。
[樹脂粒子(A−3)分散体]の体積平均粒径は、0.21μmであった。また、[樹脂粒子(A−3)分散体]の一部を遠心分離し、更に樹脂粒子(A−3)に対して10倍重量の水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、乾燥{40℃×12時間}して樹脂粒子(A−3)を単離した。(A−3)のTgは74℃であった。
【0147】
<製造例5>
[[ポリエステル樹脂p1−3]の合成]
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物218部、ビスフェノールA・PO3モル付加物537部、テレフタル酸213部、アジピン酸47部、重縮合触媒として製造例1で得たチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)2部を投入し、大気圧下、230℃で5時間脱水反応を行った後、400Paの減圧下で5時間脱水反応を行った。更に180℃に冷却し、無水トリメリット酸43部を投入し、大気圧下で2時間反応を行い、[ポリエステル樹脂p1−3]を得た。[ポリエステル樹脂p1−3]は、Tg44℃、Mn2700、Mw6500、酸価25であった。
【0148】
<製造例6>
[[ポリエステル樹脂(p1−4)を構成単位として有するウレタンプレポリマー2]の合成]
攪拌装置および脱水装置のついた耐圧反応容器に、1,2−プロピレングリコール396部、テレフタル酸317部、アジピン酸67部、無水トリメリット酸9部、重縮合触媒として製造例1で得たチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.25部を投入し、加圧下{0.3MPa}、230℃で6時間脱水反応を行った後、徐々に圧を大気圧に戻しながら縮合水と過剰のプロピレングリコールを溜去した。系内が大気圧となった時点でチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.25部を加え400Paの減圧下で6時間脱水、脱アルコール反応を行ない、[ポリエステル樹脂p1−4]を得た。[ポリエステル樹脂p1−4]は、Tg42℃、Mn5200、Mw21200、酸価0.8であった。
オートクレーブに、上記[ポリエステル樹脂p1−4]422部、IPDI61部、酢酸エチル517部を投入し、密閉状態で100℃、8時間反応を行い、ポリエステル樹脂(p1−4)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー2]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー2]の溶液のNCO含量は0.8%であった。
【0149】
<製造例7>
[[ポリエステル樹脂(p1−5)を構成単位として有するウレタンプレポリマー3]の合成]
重縮合触媒をチタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−5]を得た。[ポリエステル樹脂p1−5]は、Tg42℃、Mn5150、Mw21500、酸価1.2であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−5]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−5)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー3]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー3]の溶液のNCO含量は0.7%であった。
【0150】
<製造例8>
[[ポリエステル樹脂(p1−6)を構成単位として有するウレタンプレポリマー4]の合成]
重縮合触媒をチタニウムテトラキス(エタノールアミネート)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−6]を得た。[ポリエステル樹脂p1−6]は、Tg43℃、Mn5280、Mw22100、酸価0.5であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−6]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−6)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー4]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー4]の溶液のNCO含量は0.7%であった。
【0151】
<製造例9>
[[ポリエステル樹脂(p1−7)を構成単位として有するウレタンプレポリマー5]の合成]
重縮合触媒をチタニルビス(トリエタノールアミネート)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−7]を得た。[ポリエステル樹脂p1−7]は、Tg42℃、Mn5130、Mw21600、酸価0.7であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−7]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−7)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー5]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー5]の溶液のNCO含量は0.9%であった。
【0152】
<製造例10>
[[ポリエステル樹脂(p1−8)を構成単位として有するウレタンプレポリマー6]の合成]
重縮合触媒をチタニルヒドロキシ(トリエタノールアミネート)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−8]を得た。[ポリエステル樹脂p1−8]は、Tg43℃、Mn5240、Mw22200、酸価1.1であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−8]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−8)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー6]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー6]の溶液のNCO含量は0.9%であった。
【0153】
<製造例11>
[[ポリエステル樹脂(p1−9)を構成単位として有するウレタンプレポリマー7]の合成]
重縮合触媒を前記(t1)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−9]を得た。[ポリエステル樹脂p1−9]は、Tg42℃、Mn5170、Mw21300、酸価0.9であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−9]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−9)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー7]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー7]の溶液のNCO含量は0.7%であった。
【0154】
<製造例12>
[[ポリエステル樹脂(p1−10)を構成単位として有するウレタンプレポリマー8]の合成]
重縮合触媒を前記(t2)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−10]を得た。[ポリエステル樹脂p1−10]は、Tg42℃、Mn5200、Mw22400、酸価1.1であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−10]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−10)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー8]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー8]の溶液のNCO含量は0.8%であった。
【0155】
<製造例13>
[[ポリエステル樹脂(p1−11)を構成単位として有するウレタンプレポリマー9]の合成]
重縮合触媒を前記(t3)に代える以外は製造例6の[ポリエステル樹脂p1−4]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂p1−11]を得た。[ポリエステル樹脂p1−11]は、Tg43℃、Mn5260、Mw22800、酸価0.5であった。
また、[ポリエステル樹脂p1−4]を[ポリエステル樹脂p1−11]に代える以外は製造例6の[ウレタンプレポリマー2]と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(p1−11)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー9]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー9]の溶液のNCO含量は0.7%であった。
【0156】
<製造例14>
[[ビニル樹脂溶液]の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に酢酸エチル160部を仕込み、75℃に昇温した後、スチレン40部、メタクリル酸ブチル120部、アクリル酸60部、酢酸エチル60部及びアゾビスイソブチロニトリル0.3部の混合液を4時間かけて滴下し、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を追加した後、75℃で8時間熟成を行ってMn4200、水酸基価0,酸価210の[スチレン−アクリル共重合体]を含む[樹脂溶液2][共重合体濃度50%]を得た。
【0157】
<製造例15>
[[硬化剤1]の合成]
撹拌機、脱溶剤装置、および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン50部とメチルエチルケトン300部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤してケチミン[硬化剤1]を得た。[硬化剤1]の全アミン価は415であった。
【0158】
<製造例16>
[[樹脂粒子(A−1)分散体]を含む[水性分散液W1]の作成]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(Mn2000)787部、ポリエーテルジオール(Mn4,000、EO単位含量50%、PO単位含量50%、ブロック体)800部を仕込み、120℃、1300Paで減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった{水分は、カールフィッシャー法で測定した。}。次いでHDI 55.5部、水添MDI 65.5部及びジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、[水溶性高分子T1]を得た。次いで、[樹脂粒子(A−1)分散体]100部、[水溶性高分子T1]1部及び水107部を混合攪拌し、乳白色の液体[水性分散液W1]を得た。
【0159】
<製造例17>
[[樹脂粒子(A−2)分散体]を含む[水性分散液W2]の作成]
水784部、[樹脂粒子(A−2)分散体]136部、カルボキシメチルセルロース(「CMCダイセル1170」、ダイセル化学工業株式会社製)2部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム{フェニル・ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム}の48.5%水溶液(「エレミノールMON−7」、三洋化成工業株式会社製)80部を混合攪拌し、乳白色の液体[水性分散液W2]を得た。
【0160】
<製造例18>
[[樹脂粒子(A−3)分散体]を含む[水性分散液W3]の作成]
水634部、[樹脂粒子(A−3)分散体]286部、カルボキシメチルセルロース(「CMCダイセル1170」、ダイセル化学工業株式会社製)2部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(「エレミノールMON−7」、三洋化成工業株式会社製)154部を混合攪拌し、乳白色の液体[水性分散液W3]を得た。
【0161】
<製造例19>
[[ポリエステル樹脂1]の合成]
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物218部、ビスフェノールA・PO3モル付加物537部、テレフタル酸213部、アジピン酸47部、重縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1部を投入し、大気圧下、230℃で5時間脱水反応を行った後、230℃/400Paの減圧下で5時間脱水反応を行った。更に180℃に冷却し、無水トリメリット酸43部を投入し、大気圧下で2時間反応を行い、[ポリエステル樹脂1]を得た。[ポリエステル樹脂1]は、Tg45℃、Mn2740、Mw6550、酸価24であった。
【0162】
<製造例20>
[[ウレタンプレポリマー10]の合成]
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物681部、ビスフェノールA・PO2モル付加物81部、テレフタル酸275部、アジピン酸7部、無水トリメリット酸22部、重縮合触媒としてジブチルチンオキサイド1部を投入し、大気圧下、230℃で5時間脱水反応を行った後、230℃/400Paの減圧下で5時間脱水反応を行い、[ポリエステル樹脂2]を得た。[ポリエステル樹脂2]は、Tg55℃、Mn2260、Mw9470、酸価0.6、水酸基価54であった。
オートクレーブに、[ポリエステル樹脂2]407部、IPDI54部、酢酸エチル485部を投入し、密閉状態で100℃、5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー10]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー10]の溶液のNCO含量は1.0%であった。
【0163】
<製造例21>
[[ポリエステル樹脂3]の合成]
重縮合触媒をチタンテトライソプロポキシド2部に代える以外は製造例19の[ポリエステル樹脂1]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂3]を得た。[ポリエステル樹脂3]は、Tg42℃、Mn5100、Mw21000、酸価1.2であった。
【0164】
<製造例22>
[[ウレタンプレポリマー11]の合成]
重縮合触媒をチタンテトライソプロポキシド2部に代える以外は製造例20の[ポリエステル樹脂2]と同様に反応させ[ポリエステル樹脂4]を得た。[ポリエステル樹脂4]は、Tg41℃、Mn5130、Mw21100、酸価1.4であった。
[ポリエステル樹脂2]を[ポリエステル樹脂4]に代える以外は製造例20の[ウレタンプレポリマー10]と同様に反応させ、分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー11]の溶液を得た。[ウレタンプレポリマー11]の溶液のNCO含量は0.9%であった。
【0165】
<実施例1>
ビーカー内に[ポリエステル樹脂p1−3]177部、酢酸エチル181部、[ウレタンプレポリマー1]の溶液39.2部、[硬化剤1]0.9部を投入して溶解・混合均一化し、[樹脂溶液3]を得た。この[樹脂溶液3]中に[水性分散液W1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で240分間脱溶剤し、水性分散体(X1−1)を得た。水性分散体(X1−1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して樹脂粒子(C1)を得た。さらに、樹脂粒子(C1)100部にMEKオキシムブロックドHDI20部を添加し、ヘンシェルミキサーにて30分攪拌して塗料組成物(CP1)を得た。
【0166】
<実施例2>
上記<実施例1>において、[水性分散液W1]の替わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−2)、樹脂粒子(C2)および塗料組成物(CP2)を得た。
【0167】
<実施例3>
上記<実施例1>において、[水性分散液W1]の替わりに[水性分散液W3]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−3)、樹脂粒子(C3)および塗料組成物(CP3)を得た。
【0168】
<実施例4>
上記<実施例1>において、[ポリエステル樹脂p1−3]177部、酢酸エチル181部の代わりに、製造例14で作成した[スチレン−アクリル共重合体]を含む[樹脂溶液2]358部、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−4)、樹脂粒子(C4)および塗料組成物(CP4)を得た。
【0169】
<実施例5>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー2]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−5)、樹脂粒子(C5)および塗料組成物(CP5)を得た。
【0170】
<実施例6>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー3]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−6)、樹脂粒子(C6)および塗料組成物(CP6)を得た。
【0171】
<実施例7>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー4]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−7)、樹脂粒子(C7)および塗料組成物(CP7)を得た。
【0172】
<実施例8>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー5]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−8)、樹脂粒子(C8)および塗料組成物(CP8)を得た。
【0173】
<実施例9>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー6]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−9)、樹脂粒子(C9)および塗料組成物(CP9)を得た。
【0174】
<実施例10>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー7]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−10)、樹脂粒子(C10)および塗料組成物(CP10)を得た。
【0175】
<実施例11>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー8]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−11)、樹脂粒子(C11)および塗料組成物(CP11)を得た。
【0176】
<実施例12>
上記<実施例1>において、[ウレタンプレポリマー1]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー9]の溶液、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、水性分散体(X1−12)、樹脂粒子(C12)および塗料組成物(CP12)を得た。
【0177】
<実施例13>
上記<実施例2>において得られた水性分散体(X1−2)100部に、5%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を使用し、40℃に温調し回転数12,000rpmで10分間混合して、樹脂粒子(C2)の表面に付着した樹脂粒子(A−2)を溶解させた。次いで遠心分離で上澄みを除去し、さらに水100部を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して樹脂粒子(B2)を得た。さらに、樹脂粒子(B2)100部にMEKオキシムブロックドHDI20部を添加し、ヘンシェルミキサーにて30分攪拌して塗料組成物(BP2)を得た。
【0178】
<実施例14>
上記<実施例13>において水性分散体(X1−2)の代わりに<実施例4>で得た水性分散体(X1−4)を使用する以外は同様の方法により、樹脂粒子(B4)および塗料組成物(BP4)を得た。
【0179】
<実施例15>
上記<実施例13>において水性分散体(X1−2)の代わりに<実施例5>で得た水性分散体(X1−5)を使用する以外は同様の方法により、樹脂粒子(B5)および塗料組成物(BP5)を得た。
【0180】
<比較例1>
ビーカー内に[ポリエステル樹脂1]177部、酢酸エチル181部、[ウレタンプレポリマー10]の溶液39.2部、[硬化剤1]0.9部を投入して溶解・混合均一化し、[樹脂溶液4]を得た。この[樹脂溶液4]中に[水性分散液W1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で240分間脱溶剤し、比較の水性分散体(HX1−1)を得た。水性分散体(HX1−1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して比較の樹脂粒子(HC1)を得た。さらに、樹脂粒子(HC1)100部にMEKオキシムブロックドHDI20部を添加し、ヘンシェルミキサーにて30分攪拌して比較の塗料組成物(HCP1)を得た。
【0181】
<比較例2>
上記<比較例1>において、[水性分散液W1]の代わりに[水性分散液W2]を使用する以外は同様の方法により、比較の水性分散体(HX1−2)、樹脂粒子(HC2)および塗料組成物(HCP2)を得た。
【0182】
<比較例3>
上記<比較例1>において、[ポリエステル樹脂1]の代わりに[ポリエステル樹脂3]を、[ウレタンプレポリマー10]の溶液の代わりに[ウレタンプレポリマー11]の溶液を使用する以外は同様の方法により、比較の水性分散体(HX1−3)、樹脂粒子(HC3)および塗料組成物(HCP3)を得た。
【0183】
<比較例4>
上記<比較例1>において、[ポリエステル樹脂1]177部、酢酸エチル181部の代わりに[スチレン−アクリル共重合体]を含む[樹脂溶液2]358部を使用する以外は同様の方法により、比較の水性分散体(HX1−4)、樹脂粒子(HC4)および塗料組成物(HCP4)を得た。
【0184】
<比較例5>
上記<実施例13>において、水性分散体(X1−2)の代わりに比較の水性分散体(HX1−2)を用いる以外は同様の方法により、比較の樹脂粒子(HB2)および塗料組成物(HBP2)を得た。
【0185】
<物性測定例1>
実施例1〜15で得た樹脂粒子(C1)〜(C12)、樹脂粒子(B2)、(B4)および(B5)、並びに比較例1〜5で得た比較の樹脂粒子(HC1)〜(HC4)および(HB2)について、体積平均粒径および粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)、表面被覆率、BET比表面積、表面平均中心線粗さ、および円形度(Wadellの実用球形度)を測定した。
さらに各樹脂粒子の耐熱保存性を見るため、40℃の雰囲気で7日間保管し融着の有無を確認した。融着の確認法は、保管した各樹脂粒子50gを見開き150μmの標準ふるいで15分振倒し、ふるい上に残った樹脂粒子の量を計測し、その割合をもとに下記の基準で判定した。
◎:凝集物0.2%未満
○:凝集物0.2%〜1.0%未満
△:凝集物1.0%〜2.0%未満
×:凝集物2.0%以上
【0186】
さらに上記作成した、塗料組成物(CP1)〜(CP12)、(BP2)、(BP4)、(BP5)、(HCP1)〜(HCP4)および(HBP2)を、日本テストパネル株式会社製リン酸亜鉛処理鋼板標準板に市販のコロナ帯電方式スプレーガンを用いて、膜圧が40〜60μmになるように静電塗装し、180℃で20分間焼き付けた後、JIS K6830−1996に規定する方法に従い剪断接着試験を行い、結果を表1および2に示した。接着性(密着性)の評価基準は、以下の通りである。
【0187】
○:完全な凝集破壊
△:部分的に界面破壊が生じる痕跡破壊
×:完全な界面破壊
密着性の評価と同様に、塗料組成物を静電塗装し、焼き付けた後、40℃の温水に10日間浸漬した。次いで、JIS K6830−1996に規定する方法に従い剪断接着試験(耐水密着性)を行った。評価基準は、上記接着性(密着性)の場合と同様とした。
これらの評価結果を表1および2に示した。
【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の製造方法で得られる水性分散体および樹脂粒子は、樹脂粒子を熱溶融して被着体(金属、紙又は木材等)に密着させる用途に適用する場合であっても、被着体への密着性が良好で、高性能の樹脂粒子を安定的に製造できることから、本発明の製造方法で得られる樹脂分散体および樹脂粒子は、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品(液晶など)製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真トナー用母体粒子、静電記録トナー用母体粒子、静電印刷トナー用母体粒子、各種ホットメルト接着剤、その他成形材料等に、有用な樹脂粒子として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)の前駆体(b0)、または(b0)および有機溶剤からなる油性液(OL)とを混合し、(W)中に(b0)または油性液(OL)を分散させ、(W)中で(b0)を反応させて(b)からなる樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A)が付着された構造の樹脂粒子(C)の水性分散体(X1)を得る工程を含み、
樹脂(a)および樹脂(b)の少なくとも一方が、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)、または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有することを特徴とする水性分散体(X1)の製造方法。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
式中のXが、モノ、ジもしくはトリアルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式中のmまたはpが2以上であり、Xがすべて同一の基である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
チタン触媒(t)が、下記一般式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表されるチタン触媒である請求項1〜3のいずれか記載の水性分散体の製造方法。
【化1】

【化2】

【化3】

[式中、Q1およびQ6は水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5およびQ7〜Q9は炭素数1〜6のアルキレン基である。Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基である。]
【請求項5】
樹脂(a)および/または(b)が、ポリエステル樹脂(p1)および(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)以外に、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、および(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
前躯体(b0)が、ポリエステル樹脂(p1)の構成単位および反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)とからなる請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の製造方法で得られた水性分散体(X1)中において、
付着している樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)から脱離させたのち水性分散体から(A)を分離除去して(B)の水性分散体(X2)を得る工程、または
(A)を溶解させ、必要により(A)の溶解物を分離除去して(B)の水性分散体(X2)を得る工程
を含む水性分散体(X2)の製造方法。
【請求項8】
(B)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が1.0〜1.5である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか記載の製造方法により得られた水性分散体(X1)から水性溶剤を除去して樹脂粒子(C)を得る工程、または
請求項7または8記載の製造方法により得られた水性分散体(X2)から水性溶剤を除去して樹脂粒子(B)を得る工程を含む樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の製造方法により得られた樹脂粒子。
【請求項11】
樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)が、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の表面に付着されてなる構造の樹脂粒子(C)であり、
〔1〕[(A)の体積平均粒径/(C)の体積平均粒径]が0.001〜0.3であり、
〔2〕(A)の体積平均粒径が0.0005〜30μm、且つ(C)の体積平均粒径が0.1〜300μmであり、
〔3〕(B)の表面の5%以上が(A)で覆われており、
〔4〕(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が1.0〜1.5であり、
〔5〕(a)および(b)の少なくとも一方が、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)または(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有し、(a)および/または(b)が、必要により、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂および(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有することを特徴とする樹脂粒子。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項12】
下記一般式(I)または(II)で表されるチタン触媒(t)の存在下に形成されてなるポリエステル樹脂(p1)またはポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有し、必要により、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂および(p1)以外のポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を含有する樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)であり、
〔1〕(B)の[体積平均粒径/個数平均粒径]が1.0〜1.5であり、
〔2〕(B)の体積平均粒径が0.1〜300μmであることを特徴とする樹脂粒子。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノ−もしくはポリ−アルカノールアミンから1個の水酸基中の水素原子を除いた残基、または、炭素数2〜12のポリアルカノールアミンから2個の水酸基中の水素原子を除いた残基であって、この2個の水酸基の酸素原子が同一のチタン原子と結合し環構造を形成していてもよく、この2個の水酸基の酸素原子が異なるチタン原子に結合し繰り返し構造{繰り返し数2〜5}を形成していてもよい。Rは水素原子、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数(環構造を形成する場合、1〜3の整数)、nは0〜3の整数である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項13】
スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真トナー用母体粒子、静電記録トナー用母体粒子、静電印刷トナー用母体粒子またはホットメルト接着剤に使用するための請求項10〜12のいずれか記載の樹脂粒子。

【公開番号】特開2008−101204(P2008−101204A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243913(P2007−243913)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】