説明

樹脂成形品の製造方法及び成形型並びに外観部材

【課題】多数の樹脂成形品に同一の表面形状を容易に形成することができ、しかも、製造が容易な樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】電鋳により転写された母型17の表面形状の転写面27を型面に備えた成形型35を用い、転写面27に樹脂成形材料を接触させて成形することにより樹脂成形品10を製造する方法であり、転写面27がHv300以上500未満の硬度を有する金属からなり、この転写面27により強化材料を含有する樹脂成形材料を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂成形品の製造方法と、この製造方法により製造された携帯機器の外観部材と、この製造方法に使用可能な成形型とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラのカバー部材等のように、各種の携帯機器等の外部から視認される部位に配置される外観部材の表面には、凹凸を有する模様装飾が施されたものが多数存在する。この模様装飾は、塗装による方法や成形時に同時に形成する方法などにより形成されている。
【0003】
塗装による方法は、一般的に二工程で形成されており、第1工程として、フラットな下地塗装を行い、第2工程として、下地塗装の表面に模様付け塗装を行う。模様付け塗装では、下地塗装と同じ塗料及び同じ塗装ガンを用いて、塗装条件を調整することで模様を形成している。塗装条件としては、例えば、吹き付け量、吹き付け圧力、塗料粘度等が挙げられる。これらの塗装条件を調整することによって、模様の大きさ、凹凸の高さ、分布状態などを調整することが可能である。しかしながら、このような方法では、多数の機器の表面に同じ模様装飾を施すことが容易でなく、作業者の熟練度により得られる模様装飾が変化し易く、安定性や再現性に欠けるという問題点があった。
【0004】
一方、成形時に同時に装飾を形成する方法では安定性や再現性の問題点は生じ難い。この方法としては、次のようなものが提案されている。
【0005】
下記特許文献1では、実際の布、紙、石目、木目、輝石、葉、花弁、貝殻、皮革、各種の微細パターンを有する人工物(人造皮革、彫刻、彫金)などを母型とし、この母型の表面形状をニッケル電鋳により転写して成形型を形成し、この成形型を用いて時計用文字盤が製造されている。
【0006】
下記特許文献2では、ベリリウム銅や一般的金型材料をエッチング処理することによりシボ調パターンを成形型に形成し、この成形型を用いて射出成形することによりシボ調パターンを有する成形品が製造されている。
【0007】
下記特許文献3では、実際の貝殻を母型として、ニッケル電鋳により母型の表面形状を転写して成形型を形成し、この成形型を用いて樹脂フィルムにエンボス加工を施すことにより、貝殻模様を有する成形品が製造されている。
【0008】
下記特許文献4では、レーザービームによってSTAVAX材の成形型へ文字、記号、模様の反転形状を直接刻印し、このて成形型を用いて成形品が製造されている。
【0009】
成形時に同時に模様装飾を形成する方法は2つに大別できる。一つは所望の模様を有する母型に対してニッケル電鋳を行い、転写面を有する成形型を作製する方法である。もう一つは、一般的金型材料に直接物理的加工を施し、所望の模様の反転模様を有する成形型を作製する方法である。なお、一般的金型材料としては、SK3、SKS3、SKD1、SKD11、SKD12、SKD61、SKT4、SUS420J2、SUS440C、SKU51、SKH55、SKH57等の焼き入れ焼き戻し鋼、マルエージング鋼等の析出硬化鋼などが挙げられる。
【特許文献1】特開2001−311783号公報
【特許文献2】特許3372207号公報
【特許文献3】特開平09−164589号公報
【特許文献4】特開2004−291288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ニッケル電鋳により作製された成形型を用いる方法では、母材の表面形状を忠実に転写することは可能であるものの、各種の繊維や粒子等の強化材料を含有させた樹脂成形材料を用いて成形を繰り返し行うと、耐摩耗性に劣り、比較的少ない成形回数で転写面が摩耗して母材の表面形状を忠実に再現出来なくなるという問題点があった。
【0011】
一方、一般的金型材料を用いた成形型では、ニッケル電鋳により作製された成形型よりも耐摩耗性を確保でき、各種の繊維や粒子等の強化材料を含有させた樹脂成形材料の成形に利用することができる。ところが、このような成形型は、各種の物理的な加工により作製されるため、不定形な凹凸形状などの所望の凹凸形状を形成することが困難であった。また、型面が摩耗した場合、再度、各種の物理的な加工により作製すると、全く同一の形状を再現することが困難であり、多数の樹脂成形品に同一の模様装飾を付すことが容易でなかった。しかも、一般的金型材料は、硬度が高くて切削や研削等の機械加工により所定の精度で加工するには手間を要し、成形型の作製が容易でなく、同一の模様装飾を備えた多数の樹脂成形品の製造が容易でなかった。
【0012】
そこで、この発明は、多数の樹脂成形品に同一の表面形状を容易に形成することができ、しかも、製造が容易な樹脂成形品の製造方法を提供することを課題とし、また、同一の装飾模様を表面に設け易い携帯機器の外装部材を提供することを他の課題とし、更に、そのような製造方法に好適に使用可能な成形型を提供することを更に他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の樹脂成形品の製造方法は、電鋳により転写された母型の表面形状の転写面を型面に備えた成形型を用い、前記転写面に樹脂成形材料を接触させて成形することにより樹脂成形品を製造する方法において、前記転写面は、Hv300以上500未満の硬度を有する金属からなり、該転写面により強化材料を含有する前記樹脂成形材料を成形することを特徴とする。
【0014】
また、この発明の携帯機器の外観部材は、前記のような製造方法により製造されることを特徴とする。
【0015】
更に、この発明の樹脂成形品の成形型は、電鋳により転写された母型の表面形状の転写面を型面に有し、前記転写面に強化材料を含有する樹脂成形材料を接触させて成形を行う成形型であり、前記転写面は、Hv300以上500未満の硬度を有する金属からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明の樹脂成形品の製造方法によれば、転写面が特定の硬度を有する金属からなり、この転写面により強化材料を含有する樹脂成形材料を成形するので、転写面が摩耗し難く、強化材料が含有された樹脂成形材料を繰り返し成形しても、転写面の劣化を抑制し易い。しかも、転写面が電鋳により形成されているため、転写面が摩耗により劣化した際、再度成形型を作製しても、容易に精度良く同一形状の転写面を再現することができる。そのため、多数の樹脂成形品に同一の表面形状を容易に形成することができ、その製造も容易である。
【0017】
更に、この発明の樹脂成形品によれば、前記のような製造方法により製造されるので、多数の携帯機器の外装部材に同一の装飾模様を設け易い。
【0018】
また、この発明の樹脂成形品の成形型によれば、転写面が特定の硬度を有する金属からなるので、転写面の耐久性を確保し易く、前記ような樹脂成形品の製造方法に好適に使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、この実施の形態の製造方法により製造される樹脂成形品10を示している。
【0021】
この樹脂成形品10は、デジタルカメラ等、各種の携帯機器に装着される外観部材であり、本体部13と、この本体部13の突出部13a側の表面を覆う装飾部15とを備えている。装飾部15の表面には凹凸模様11が形成されている。凹凸模様11は、樹脂成形品10の全表面に形成されていてもよいが、この実施の形態では、一部に形成されている。凹凸模様11の形状は限定されないが、ここでは幾何学的形状でない不定形凹凸模様となっている。
【0022】
樹脂成形品10の本体部13は、金属、樹脂等、任意の材料により予め所定形状に形成された部品である。
【0023】
樹脂成形品10の装飾部15は、樹脂成形材料により本体部13の表面に一体に成形されており、厚肉に形成されていてもよいが、この実施の形態の場合、最も厚い部位が、例えば2mm以下となっており、最も薄い部位が、例えば1mm以下となっている。
【0024】
装飾部15を構成する樹脂成形材料は、強化材料が含有された樹脂複合材料であり、顔料等の他の成分が含有されていてもよい。樹脂としては、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好適である。強化材料としては、樹脂と混合することで強度を向上可能なガラス繊維などが好適である。樹脂と強化材料との混合比は、後述する成形方法により成形可能な範囲であれば、適宜設定可能である。
【0025】
樹脂成形品10をこの実施の形態により製造するには、母型を準備する母型準備工程と、母型の表面形状の転写面を備えた型面を有する成形型を作製する成形型作製工程と、成形型を用いて樹脂成形材料を成形する成形工程とを実施する。
【0026】
母型準備工程は、図2に示すように、凹凸模様11を有する母型17を準備する工程である。
【0027】
母型17は、各種の部材の表面形状をそのまま利用することも可能であるが、この実施の形態の母型17は、樹脂成形品10の本体部13と同一形状を有する基材19の表面に、目的の樹脂成形品10の装飾部15と同一形状の模様部21を形成することにより、凹凸模様11を有する母型17を作製する。
【0028】
基材19は、後の成形型作製工程における電鋳時の処理が可能な材料からなり、例えば電鋳用メッキ浴に対する安定性を有し、電鋳により形成される被膜の応力により変形しない程度の強度を有するものである。電鋳時に被膜の応力で変形すると転写面に反り等の変形が生じ易いからである。樹脂成形品10の本体部13が電鋳時の処理が可能な材料からなる場合、本体部13を母型17の基材19として用いるのが特に好適である。複数作製された樹脂成形品10の本体部13の一つを用いて母材を作製することが可能であり、母型17を安価に作製することができ、また、母型17が樹脂成形品10と同一形状であるため転写面を本体部13の表面部形状に精度よく対応させることが容易だからである。
【0029】
模様部21を形成するには、塗装等、各種の方法を採用可能であるが、ここでは、塗装により形成する。例えば、図2に示すように、基材19の表面に下地塗装を施して下地層23を平坦に形成し、塗料、塗装方法、塗装条件等を下地塗装と異ならせて下地層23の表面に模様付塗装を施すことで表面層25を形成し、硬化或いは固化させて塗膜からなる凹凸模様11を有する模様部21を形成してもよい。
【0030】
次に、成形型作製工程について説明する。成形型作製工程は、母型準備工程により得られた母型17を用いて成形型を作製する工程である。
【0031】
この成形型作製工程で作製する成形型35は、射出成形等に使用可能な型であり、ここでは成形空間が型面の面積に対して薄い偏平形状に形成されたものである。
【0032】
成形型35は、図3(d)に示すように、開閉可能な上型37及び下型39を有する型本体33と、母型17の凹凸模様11の転写面27を有する転写面分割型31とを備えている。
【0033】
型本体33の上型37及び下型39は、例えば、Hv500以上の一般的金型材料等の適宜な材料により形成されている。上型37には上型凹部41が設けられ、転写面分割型31が装着可能となっている。上型凹部41に転写面分割型31を装着した状態では、転写面27が型面の少なくとも一部を構成する。下型39には下方凹部43が設けられ、樹脂成形品10の本体部13を収容可能となっている。本体部13に転写面分割型31及び樹脂成形品10の本体部13を収容して型締めすることで、本体部13の表面と転写面27との間に成形空間が形成可能に構成されている。
【0034】
転写面分割型31は、電鋳により形成されており、母型17の凹凸模様11の転写面27が特定の材料により形成されている。転写面27を構成する材料は、硬度がHv300以上500未満の範囲の材料であることが必要である。転写面27の硬度がHv300より小さいと、繰り返し樹脂成形材料を成形した際、転写面27の樹脂成形材料による摩耗が激しく、著しく耐久性が低下し易くなるため好ましくない。転写面27の硬度をHv400以上とすれば、十分な耐久性を確保することが可能であり特に好適である。
【0035】
一方、転写面27の硬度が過剰に高いと、後述するように、転写体29を加工して転写面分割型31を作製する際、転写面27以外の外形等の加工時に負荷される応力が大きくなり、転写面27の形状を維持し難くなり易く、また、加工コストが高価になり易い。そのため、転写面27の硬度はHv500以下であることが必要であり、好ましくは硬度をHv450以下とすれば、転写面27の形状を維持しつつ各種の機械加工を施し易くできる。特に、薄肉の転写面分割型31を形成する場合には、加工時に熱変形が生じ易いため、転写面27の硬度をHv450以下とするのが好適である。
【0036】
このような転写面27を構成する材料は、電鋳可能であって所定の硬度が得られる金属であり、ニッケル合金、銅合金等が挙げられる。この実施の形態では、転写面27がニッケル合金により形成されている。ニッケル合金は、銅合金に比べ、所望の硬度を得やすくて好適である。
【0037】
合金成分としては、コバルト、タングステン、モリブデン、鉄などが挙げられる。コバルト、タングステン、又はモリブデンは、後述する電鋳用メッキ浴中のニッケル成分と合金成分との組成比に対する合金の硬度の相関を把握し易く、電鋳用メッキ浴の組成比の調整により容易に所望の硬度を得易いため好適である。
【0038】
この転写面27を有する転写面分割型31は、全体を同一の金属から形成してもよく、転写面27を構成する層を他の金属層に積層して形成してもよい。全体が同一の金属層からなる場合、全体を単一の電鋳用メッキ浴で作製できて製造容易ではあるが、より好ましくは、転写面27を構成する層が転写面27より軟質の金属層に一体に積層された構成とするのが好適である。転写面27を除く部位が軟質になるため加工し易く、加工時に転写面27の形状を維持し易いからである。
【0039】
また、このような積層構造では、十分な硬度を有する転写面27を精度良く形成することができ、転写面27の硬度と転写面27の精度との両立が容易である。即ち、転写面27にメッキやDLC等を付着させて硬度を向上させるとすれば、付着させた層により転写面27の形状が変化し易いが、転写面27を電鋳により作製して積層構造を形成すれば、高い硬度の転写面27を母型17の表面形状に精度良く一致させることができる。
【0040】
転写面27を構成する層は樹脂成形材料に対する耐摩耗性が得られる範囲で薄くすることが好ましい。転写面27の表面により樹脂成形材料に対する耐摩耗性が得られると共に、この層が厚く形成されても表面が摩耗により劣化される速度は変らないからである。
【0041】
転写面27を構成する層がニッケル合金からなる場合、残部をニッケル層とするのが好適である。両層がニッケル系の金属であるため、層間の接合強度を確保し易いからである。その場合、ニッケル合金層はニッケル層上に被膜として形成されるのが特に好適である。ニッケル合金層に生じる引張り応力が大きいため、ニッケル合金層を薄くすることで、転写体29の反りを防止し易くでき、ニッケル合金層を形成するためのメッキ浴に用いる応力緩和剤の使用量を少なくしたり、無くすことができるからである。
【0042】
このような成形型35を作成するには、図3(a)〜(d)に示すように、電鋳により母型17の凹凸模様11を転写した転写面27を有する転写体29を作製し、この転写体29を加工して転写面分割型31を作製し、この転写面分割型31を型本体33の所定位置に装着することで作製する。
【0043】
転写面27を有する転写体29を作製するには、母型準備工程において作製された母型17の表面に電鋳用メッキ浴中で電鋳を行い、図3(a)に示すように、母型17の表面に付着した状態で転写体29を形成する。なお、図中では、転写体29を構成する層の図示は省略されている。
【0044】
電鋳に用いるメッキ浴としては、ニッケル合金からなる転写面27の場合、例えば、ニッケル成分及び合金成分を含有するスルファミン酸浴などを使用可能である。電鋳用メッキ浴には、応力緩和剤、ピット防止剤、光沢剤などの他の成分が含有されていてもよい。
【0045】
電鋳用メッキ浴中のニッケル成分と合金成分との組成比は、電鋳用メッキ浴の組成比と得られるニッケル合金層の硬度との相関に基づき、所望の硬度が得られるように調整することができる。また、ニッケル合金の場合、通常、ニッケルに比べて、形成される被膜に生じる応力が大きいため、合金成分の割合に応じて応力緩和剤の添加量を増加することが好ましい。更に、電鋳用メッキ浴の温度やpH等のメッキ条件は、電鋳用メッキ浴の含有成分に応じて適宜設定すればよい。
【0046】
電鋳用メッキ浴を用いて電鋳により転写体29を作製するには、母型17の模様部21の表面の不定形な凹凸模様11にスパッタリング等により導電性を付与した後、電鋳用メッキ浴中に浸漬し、表面に被膜を生成して、型本体33に応じた転写面分割型31が得られる厚さまで成長させることで形成する。
【0047】
このとき、ニッケル−コバルト合金等のように厚肉に被膜を形成可能な合金の場合には、単一のメッキ浴を用いて所望の被膜厚に形成すればよい。
【0048】
また、ニッケルータングステン合金やニッケル−モリブデン合金等のように厚肉に被膜を形成することが容易でない合金の場合には、当該合金による被膜を形成した後、別の電鋳用メッキ浴を用いて同様に電鋳を行うことで、この被膜と一体に積層可能な金属からなる被膜を積層し、型本体33に応じた転写面分割型31が得られる厚さの被膜を形成する。具体的には、ニッケルータングステン合金やニッケル−モリブデン合金の場合には、ニッケルからなる被膜を積層する。
【0049】
母型17表面に転写体29を形成した後、図3(b)に示すように、転写体29を母型17から剥離し、例えば、切削加工、研削加工等の各種の機械加工を施し、型本体33に装着可能な形状にすることにより、図3(c)に示すような転写面分割型31を作製する。この実施の形態では、転写面分割型31が上型37の上型凹部41に嵌合して装着されるものであるため、転写体29の転写面27の周囲の外形形状を切削加工すると共に、転写面27の背面を研削加工して平坦にする。なお、転写面27表面を研磨して滑らかな面にしてもよい。加工時には、変形が生じない程度の加工条件で加工することが好ましい。これにより、母型17の凹凸模様11の忠実な転写面27を備えた転写面分割型31が作製される。
【0050】
その後、図3(d)に示すように、転写面分割型31を型本体33の上型37の上型凹部41に嵌合して装着することにより、成形型35の作製が完了する。
【0051】
次に、成形工程について説明する。成形工程は、得られた成形型35を用いて前記のような樹脂成形材料を成形する工程である。
【0052】
まず、図4(a)に示すように、下型39の下型凹部43に樹脂成形品10の本体部13を収容すると共に、上型37の上型凹部41に転写面分割型31を装着して型締めする。次に図4(b)に示すように、上述のような樹脂と強化材料とを予め均一に混練した樹脂成形材料を成形可能な状態にして成形型35に供給し、転写面分割型31の転写面27と本体部13との間に形成されている成形空間に樹脂成形材料を射出する。これにより、本体部13の突出部13a側の表面に装飾部15を成形する。その後、図4(c)に示すように、型開きして取り出すことで、母型17の不定形凹凸形状が再現された凹凸表面を有する樹脂成形品10が得られる。更に、この成形工程を多数回繰り返すことで、多数の樹脂成形品10を製造することが可能である。
【0053】
このような成形工程を繰り返すと、成形型35の転写面分割型31の転写面27が射出された樹脂成形材料により徐々に摩耗し、母型17の不定形凹凸模様を忠実に再現できなくなることが生じる。その場合には、摩耗した転写面分割型31の作製時に使用した母型17を用い、再度、成形型作製工程を実施することにより、新たな転写面分割型31を作製する。そして、摩耗した転写面分割型31に代えて新たな転写面分割型31を型本体33に装着することで、再び成形工程を実施することで、より多くの樹脂成形品を製造することができる。
【0054】
以上のような樹脂成形品10の製造方法によれば、母型17の表面形状を電鋳により転写して転写面27を形成し、この転写面27に樹脂成形材料を接触させて成形を行うので、母型17の表面形状を忠実に再現して樹脂成形品10を形成することができる上、一旦、母型17を作成すれば、電鋳を繰り返すことで複数回転写面27を形成することができ、母型17の表面形状を忠実に再現可能な成形型35を複数回作製することが可能である。そのため、極めて多数の樹脂成形品10において母型17の表面形状を忠実に再現することが可能である。
【0055】
その際、転写面27がHv300以上の十分な硬度を有する金属からなるため、強化材料を含有した樹脂成形材料を接触させて繰り返し成形しても、強化材料が接触することで転写面27が摩耗により劣化され難く、転写面27の耐久性を確保し易い。この実施の形態では、転写面27に母型17の不定形凹凸模様が転写されているので、多数の凹凸が存在しているが、転写面27の硬度が十分に高いため、繰り返し樹脂成形材料と接触しても、転写面27の凹凸形状を長期間維持することができる。
【0056】
同時に、転写面27がHv500未満の硬度を有する金属からなるため、転写面分割型31を使用可能な形状にするための各種の加工が容易であり、加工時に転写面27の形状を維持し易くて母型17の表面形状を忠実に再現することが容易である。
【0057】
また、この実施の形態では、電鋳により転写面27を有する転写体29を形成し、転写体29を型本体33に装着可能に加工して転写面分割型31を形成し、転写面分割型31を型本体33に装着することにより成形型35を形成するので、上型37或いは下型39に直接転写面27を形成する場合に比べて、成形型35の作製が容易である。また、成形を繰り返すことで転写面27が摩耗した場合に、転写面分割型31だけを再度作製すれば、再び樹脂成形品10を成形することが可能であり、同一の型本体33を用いて極めて多数の樹脂成形品10を成形することが容易である。
【0058】
更に、樹脂成形品10が本体部13と装飾部15とを備え、本体部13を成形型35内に配置して本体部13と転写面27との間で装飾部15を成形するので、装飾部15を本体部13とは異なる材料で形成でき、樹脂成形品10の機能を確保しつつ材料の選択の自由度を向上でき、樹脂成型品10を安価に製造し易い。
【0059】
また、母型17が、樹脂成形品10の本体部13と同一形状を有する基材19と、基材19の表面を覆う模様部21とを備えていて、模様部21と同一形状の装飾部15を成形するので、複数作製された樹脂成形品10の本体部13の一つを用いて母材を作製することが可能であり、母型17を安価に作製することが可能であり、また、母型17が樹脂成型品10と同一形状であるため、成形型35の型面形状を本体部13に対応させることが容易である。
【0060】
更に、この実施の形態では、母型17の模様部21が塗装により形成された塗膜であるため、母型17の模様部21を容易に作製することができる。また、優れた外観を有する塗膜を母型17に形成するだけで、この塗膜と同一の凹凸模様11を多数複製することができ、模様装飾を塗装により形成する場合に比べて、優れた外観の模様装飾を備えた携帯機器の外観部材を多数作製することが容易である。
【0061】
なお、上記実施の形態は、この発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、上記実施の形態では、装飾部15だけを樹脂成形材料により成形した例について説明したが、特に限定されるものではなく、樹脂成型品10全体を樹脂成形材料により成形することも可能である。
【0062】
また、上記実施の形態では、表面に凹凸模様11を有する樹脂成形品10の例について説明したが、表面が平坦な樹脂成形品10であっても本願発明を適用することが可能である。
【0063】
更に、上記では、母型準備工程として凹凸模様11を有する母型17を作製した例について説明したが、母型17を作製することなく、各種の部材を母型17として利用して、その表面形状を電鋳により転写して転写面27を形成することも可能である。
【0064】
また、上記では、転写面27を転写面分割型31に設けて、型本体33に装着した成形型35について説明したが、型本体33自体や上型37又は下型39自体に転写面27を形成したものであってもよい。
【実施例】
【0065】
以下、この発明の実施例について説明する。
[実施例1]
母型の作製
【0066】
携帯機器の外観部品である樹脂成形品10の本体部13を予め多数作製して、その一つを基材19として用い、その表面に塗装により模様部21を形成し、表面に不定形凹凸模様11を作製した。
【0067】
第1工程として、つや消し黒塗料をスプレー塗装により塗布し、室温で約20分間放置して表面を十分に乾燥させることにより、下塗り塗装を施して下地層23を形成した。次いで、第2工程として、下塗り塗装に使用した塗料と同じ塗料を用い、下地層23の上に模様付け塗装を施して表面層25を形成した。その後、100℃のオーブンに1時間入れて硬化させた。これにより基材19の表面に模様部21を形成し、不定形凹凸模様11が付与された母型17を完成した。
電鋳用メッキ浴の作製
【0068】
槽容量200Lの温度調節器と基材回転機構を備えた電鋳装置を用いて建浴した。表1の浴組成で調製し、メッキ温度の50±0.5℃に調節した後、pHが4.1±0.1となるようにスルファミン酸で調整することにより、ニッケル−コバルト合金用の電鋳用メッキ浴を得た。
(表1)
スルファミン酸ニッケル:350g/L
ホウ酸 :35g/L
ラウリル硫酸ナトリウム:0.5g/L
コバルト含有量165g/Lのスルファミン酸コバルト:30.3mL/L
サッカリン :0.0006g/L
転写体の作製
【0069】
不定形凹凸模様11が付与された母型17に、ニッケルスパッタリングにより導電膜を成膜した。膜厚は約200nmとした。得られた導電膜にカソードとの接点を設け、導電膜が形成された母型17を電鋳用メッキ浴に浸漬させ、表2のメッキ条件で63時間連続して処理することで、母型17の不定形凹凸模様11の表面に転写体29を作製した。
【0070】
その結果、得られた転写体29の厚さは約3mmであり、転写面27の硬度はHv420であった。

(表2)
電鋳用メッキ浴温度:50±0.5℃
pH :4.1±0.1
電流密度 :4A/100cm
成形型の作製
【0071】
得られた転写体29を母型17から剥がし、不定形凹凸模様11の転写面27と反対側の面を研磨加工して平坦にすると共に外形を切削加工することにより、型本体33の上型37の上型凹部41に対応した形状とし、更に、転写面27をバフ研磨して鏡面仕上げすることにより、全体がニッケル−コバルト合金からなる転写面分割型31を作製した。
【0072】
この転写面分割型31を型本体33の上型37の上型凹部41に装着して成形型35を作製した。
射出成形
【0073】
下型39の下型凹部43に予め作製された外観部品の本体部13を配置して型締めし、成形型35を準備した。樹脂成形材料として、ガラス繊維20wt%含有のポリカーボネートからなり、黒顔料で着色された樹脂ペレットを使用した。この樹脂ペレットを加熱して射出可能な状態にし、成形型35に供給して射出成形を行うことにより、樹脂成形品10を成形した。
成形結果
【0074】
樹脂成形品10の表面に黒い凹凸模様11が形成され、母型17の不定形凹凸模様11と同一の模様装飾が得られた。そして、成形を繰り返したところ、ショット数10万回で模様装飾の形状劣化が生じた。
[実施例2]
【0075】
電鋳によりニッケル層とニッケル−タングステン合金層とが一体に積層され、ニッケル−タングステン合金層に転写面27が形成された転写面分割型31を作製する他は、実施例1と同様にして樹脂成形品10を成形した。
ニッケル−タングステン合金層の作製
【0076】
槽容量200Lの温度調節器と基材回転機構を備えた電鋳装置を用いて建浴した。表3の浴組成で調製し、メッキ温度の60±0.5℃に調節した後、pHが8.0±0.1となるようにスルファミン酸で調整することにより、ニッケル−タングステン合金層用の電鋳用メッキ浴を準備した。
(表3)
スルファミン酸ニッケル: 75g/L
ホウ酸 : 15g/L
タングステンナトリウム: 66g/L
クエン酸ナトリウム :125g/L
【0077】
次に、実施例1と同様に、不定形凹凸模様11が付与された母型17に、ニッケルスパッタリングにより導電膜を成膜した。
【0078】
導電膜にカソードとの接点を設け、導電膜が形成された母型17をニッケル−タングステン合金層形成用の電鋳用メッキ浴に浸漬させ、表4のメッキ条件で10分間処理することで、母型17の不定形凹凸模様11の表面に約10μmのニッケル−タングステン合金層を形成した。
(表4)
電鋳用メッキ浴温度:60±0.5℃
pH :8.0±0.1
電流密度 :3.7A/100cm
ニッケル層の作製
【0079】
槽容量200Lの温度調節器と基材回転機構を備えた電鋳装置を用いて建浴した。表5の浴組成で調製し、メッキ温度の25±0.5℃に調節した後、pHが4.1±0.1となるようにスルファミン酸で調整することにより、ニッケル層形成用の電鋳用メッキ浴を準備した。
(表5)
スルファミン酸ニッケル:60g/L
ホウ酸 :35g/L
ラウリル硫酸ナトリウム:0.5g/L
【0080】
ニッケル−タングステン合金層が形成された母型17を、ニッケル層形成用の電鋳用メッキ浴に浸漬させ、表6のメッキ条件で63時間連続して処理することで、母型17のニッケル−タングステン合金層の表面にニッケル層を形成した。
(表6)
電鋳用メッキ浴温度:50±0.5℃
pH :4.1±0.1
電流密度 :4A/100cm
【0081】
その結果、母型17の不定形凹凸模様11の表面に、ニッケル−タングステン合金層とニッケル層とが一体に積層されて、ニッケル−タングステン合金層に転写面27が形成された転写体29が作製された。
【0082】
得られた転写体29の厚さは約3mmであり、積層された状態で測定された転写面27の硬度はHv450であった。この値から、転写面27が形成されているニッケル−タングステン合金層の硬度を、ニッケル層に硬度既知のニッケル−コバルト層を10μm積層した対照サンプルと比較して推定したところ、ニッケル−タングステン合金層の硬度はHv500であると推定できた。
成形結果
【0083】
実施例1と同様にして成形型35の作製及び樹脂成形品10の成形を行ったところ、樹脂成形品10の表面に黒い凹凸模様11が形成されており、母型17の不定形凹凸模様11と同一の模様装飾が得られた。成形を繰り返したところ、ショット数10万回で模様装飾の形状劣化が生じた。そのため、実施例1と同程度の耐久性が得られていた。
[実施例3]
【0084】
電鋳により、ニッケル層とニッケル−モリブデン合金層とが一体に積層され、ニッケル−モリブデン合金層に転写面27が形成された転写面分割型31を作製する他は、実施例1と同様にして樹脂成形品10を成形した。
ニッケル−モリブデン合金層の作製
【0085】
槽容量200Lの温度調節器と基材回転機構を備えた電鋳装置を用いて建浴した。表7の浴組成で調製して、メッキ温度の25±0.5℃に調節した後、pHが8.0±0.1となるように硫酸で調整することにより、ニッケル−モリブデン合金層用の電鋳用メッキ浴を準備した。
(表7)
硫酸ニッケル :60g/L
モリブデン酸ナトリウム: 4g/L
クエン酸 :66g/L
【0086】
次に、実施例1と同様に、不定形凹凸模様11が付与された母型17に、ニッケルスパッタリングにより導電膜を成膜した。
【0087】
導電膜にカソードとの接点を設け、導電膜が形成された母型17をニッケル−モリブデン合金層用の電鋳用メッキ浴に浸漬させ、表8のメッキ条件で、10分間処理することで被膜を形成し、母型17の不定形凹凸模様11の表面に約10μmのニッケル−モリブデン合金層を形成した。
(表8)
電鋳用メッキ浴温度:25±0.5℃
pH :8.0±0.1
電流密度 :4A/100cm
ニッケル層の作製
【0088】
実施例2と同様にしてニッケル層を形成した。
【0089】
その結果、母型17の不定形凹凸模様11の表面に、ニッケル−モリブデン合金層とニッケル層とが一体に積層されて、ニッケル−モリブデン合金層に転写面27が形成された転写体29が作製された。
【0090】
得られた転写体29の厚さは約3mmであり、積層された状態で測定された転写面27の硬度はHv300であった。この値から、転写面27が形成されているニッケル−モリブデン合金層の硬度を、実施例2のようにして推定したところ、ニッケル−モリブデン合金層の硬度はHv400であると推定できた。
成形結果
【0091】
実施例1と同様にして成形型35の作製及び樹脂成形品10の成形を行ったところ、樹脂成形品10の表面に黒い凹凸模様11が形成されており、母型17の不定形凹凸模様11と同一の模様装飾が得られた。成形を繰り返したところ、ショット数10万回で模様装飾の形状劣化が生じた。そのため、実施例1と同程度の耐久性が得られていた。
[比較例]
【0092】
電鋳により、ニッケルからなる転写面分割型31を作製する他は、実施例1と同様にして樹脂成形品10を成形した。
電鋳用メッキ浴の作製
【0093】
槽容量200Lの温度調節器と基材回転機構を備えた電鋳装置を用い、表9の浴組成で調製し、メッキ温度の50±0.5℃に調節した後、pHが4.1±0.1となるようにスルファミン酸で調整することにより、ニッケル用の電鋳用メッキ浴を準備した。
(表9)
スルファミン酸ニッケル:60g/L
ホウ酸 :35g/L
ラウリル硫酸ナトリウム:0.5g/L
転写体の作製
【0094】
不定形凹凸模様11が付与された母型17に、ニッケルスパッタリングにより導電膜を成膜した。膜厚は約200nmとした。
【0095】
導電膜にカソードとの接点を設け、導電膜が形成された母型17を電鋳用メッキ浴に浸漬させ、表7のメッキ条件で、63時間処理することで、母型17の不定形凹凸模様11の表面に転写体29を作製した。
【0096】
その結果、得られた転写体29の厚さは約3mmであり、転写面27の硬度はHv280であった。
(表10)
電鋳用メッキ浴温度:50±0.5℃
pH :4.1±0.1
電流密度 :4A/100cm
成形結果
【0097】
実施例1と同様にして成形型35を作製し、実施例1と同一の条件で樹脂成形品10の成形を行ったところ、黒い樹脂成形品10の表面に凹凸形状が形成されており、母型17の不定形凹凸模様11と同一の模様装飾が得られた。そして、成形を繰り返したところ、ショット数が約1000回で模様装飾の形状劣化が生じ、実施例1と比べて耐久性が劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】この発明の実施の形態の製造方法により製造される樹脂成形品を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態の製造方法に用いる母型の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態の製造方法における成形型作製工程を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態の製造方法における成形工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0099】
10 樹脂成形品
11 凹凸模様
13 本体部
15 装飾部
17 母型
19 基材
21 模様部
27 転写面
29 転写体
31 転写面分割型
33 型本体
35 成形型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電鋳により転写された母型の表面形状の転写面を型面に備えた成形型を用い、前記転写面に樹脂成形材料を接触させて成形することにより樹脂成形品を製造する方法において、
前記転写面は、Hv300以上500未満の硬度を有する金属からなり、該転写面により強化材料を含有する前記樹脂成形材料を成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記転写面は、前記母型の凹凸模様が転写されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記転写面は、ニッケル合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
前記ニッケル合金は、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−タングステン合金、又はニッケル−モリブデン合金からなることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
前記転写面は、ニッケル層に一体に積層されたニッケル合金層に形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂成形品は、本体部と、該本体部の表面を覆う装飾部とを備え、
前記本体部を前記成形型内に配置して前記本体部と前記転写面との間で前記装飾部を成形することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
前記母型は、前記本体部と同一形状を有する基材と、該基材の表面を覆う模様部とを備え、前記模様部と同一形状の前記装飾部を成形することを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
前記模様部は、塗装により形成された塗膜であることを特徴とする請求項6又は7に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
前記成形型は、前記転写面を有する転写面分割型と、該転写面分割型を装着可能な型本体とを有し、
電鋳により前記転写面を有する転写体を形成し、該転写体を前記型本体に装着可能に加工して前記転写面分割型を形成し、該転写面分割型を前記型本体に装着することにより前記成形型を作製することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
前記請求項1乃至9の何れか一つの製造方法により製造されたことを特徴とする外観部材。
【請求項11】
電鋳により転写された母型の表面形状の転写面を型面に有し、前記転写面に強化材料を含有する樹脂成形材料を接触させて成形を行う成形型であり、前記転写面は、Hv300以上500未満の硬度を有する金属からなることを特徴とする樹脂成形品の成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−190312(P2009−190312A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34594(P2008−34594)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】